薄膜コーティングで被覆されたマイクロウェルアレイおよびそれを製造する方法
本発明は、1枚以上の薄膜コーティングで被覆されたマイクロウェルアレイ組成物に関する。本発明は、アレイをエッチングし、1枚以上の薄膜コーティングを蒸着し、調製し、使用する方法を含む、薄膜で被覆されたマイクロウェルアレイを製造し使用するプロセスを含む。また、本発明は、基板を備えるアレイであって、基板は、複数の反応チャンバを備える表面と表面上の薄膜コーティングとを有する光ファイバフェイスプレートであり、薄膜は厚さ0.1〜5.0ミクロンで水に対して不浸透性である、アレイである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚以上の薄膜コーティングで被覆された基板から成るマイクロウェルアレイ組成物に関する。本発明は、薄膜で被覆されたマイクロウェルアレイを製造し使用するプロセスを含む。
【背景技術】
【0002】
微量の試料に対して平行微量分析を実行するための能力は、化学、生物学、創薬、および医学の進歩にとって重要なものである。現在、時間効率および費用効率を最大化することに集中した取り組みにより、はるかに多数の反応チャンバを有し、使用する試薬の量が少ないマイクロウェルアレイが、従来の1536ウェルマイクロタイタープレートを上回っている。利用可能なマイクロウェルアレイは何種類かあるが、多くのマイクロウェル材料はバイオアッセイおよび化学反応の成分と適合せず、その結果、低感受性、高バックグラウンド信号、および再現性の欠如等の問題を引き起こすことが判明している。したがって、改良されたマイクロウェルアレイの開発が依然として必要である。
【0003】
適合しない材料の問題に対する1つの解決策は、マイクロウェルアレイに対して適合する材料の薄膜コーティングを施して、その表面特性および機能を強化することである。Patilらの特許文献1は、高密度マイクロアレイアプリケーションにおいて使用するために金属および金属酸化物から成るマスク層で高分子基板を被覆するための方法を開示している。Yon‐Hinらの特許文献2は、マイクロウェルまたはチャネルを形成するために高分子基板上で感光作画性薄膜を使用するためのプロセスについて記載している。Hellerらの特許文献3は、マイクロ電極アレイを形成するため、および、個々のマイクロ電極上にマイクロウェルを形成するための、基板の金属、絶縁体、およびパッシベーションコーティングの蒸着について記載している。Waltらの特許文献4は、光ファイバアレイ上のマイクロウェルの内面を生物学的に適合する材料の薄膜または層で被覆することを開示している。
【0004】
アレイを作成するために、ある種の光ファイバ束が使用されてきた。当該技術分野においては、光ファイバ束の端面にエッチングされた反応チャンバに官能基を付着させるための(および、付着した官能基を検出するための)いくつかの方法が既知である。例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3を参照されたい。反応性官能基のパターンは、平面支持部上における反応パッドのパターンの生成において使用されるものと同様のフォトリソグラフィ技術を使用して、反応チャンバ内でも作成され得る。非特許文献4、非特許文献5、ならびに非特許文献6を参照されたい。
【0005】
基板上の官能基のアレイは、例えば、特許文献5;特許文献6;特許文献7;および特許文献8において記載されている付着のための技術;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;ならびに非特許文献13において記載されているような、電子集積回路の構築において一般に使用されるフォトリソグラフィ技術を使用して構成され得る。フォトリソグラフィおよび電子ビームリソグラフィは、反応物質(例えば、タンパク質または核酸)の付着を可能にする官能基によって基板を感光性にするものである。例えば、非特許文献14;非特許文献15を参照されたい。あるいは、非特許文献16に記載されているような薄膜技術を使用して、官能基のアレイを生成することもできる。
【特許文献1】米国特許第6,395,483号明細書
【特許文献2】米国特許第6,440,645号明細書
【特許文献3】米国特許第5,632,957号明細書
【特許文献4】米国特許第6,377,721号明細書
【特許文献5】米国特許第5,143,854号明細書
【特許文献6】米国特許第5,445,934号明細書
【特許文献7】米国特許第5,744,305号明細書
【特許文献8】米国特許第5,800,992号明細書
【非特許文献1】Michaelら、Anal.Chem.70:1242−1248(1998年)
【非特許文献2】Fergusonら、Nature Biotechnology 14:1681−1684(1996年)
【非特許文献3】HealeyおよびWalt、Anal.Chem.69:2213−2216(1997年)
【非特許文献4】Healeyら、Science 269:1078−1080(1995年)
【非特許文献5】MunkholmおよびWalt、Anal.Chem.58:1427−1430(1986年)
【非特許文献6】Bronkら、Anal.Chem.67:2750−2757(1995年)
【非特許文献7】Cheeら、Science 274:610−614(1996年)
【非特許文献8】Fodorら、Nature 364:555−556(1993年)
【非特許文献9】Fodorら、Science 251:767−773(1991年)
【非特許文献10】Gushinら、Anal.Biochem.250:203−211(1997年)
【非特許文献11】Kinositaら、Cell 93:21−24(1998年)
【非特許文献12】Kato‐Yamadaら、J.Biol.Chem.273:19375−19377(1998年)
【非特許文献13】Yasudaら、Cell 93:1117−1124(1998年)
【非特許文献14】Service、Science 283:27−28(1999年)
【非特許文献15】Rai‐Choudhury、HANDBOOK OF MlCROLITHOGRAPHY,MlCROMACHINING,AND MlCROFABRICATlON、VOLUME I:MlCROLITHOGRAPHY、Volume PM39、SPIE Press(1997年)
【非特許文献16】Zasadzinskiら、Science 263:1726−1733(1994年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の光ファイバアレイにおける1つの主な不利点は、光ファイバ束を含む材料の制約である。高効率導波管として作用するために、各ファイバ要素は、低屈折率クラッディングで取り囲まれた高屈折率コアを含まなくてはならない。これらの光ファイバ材料は、多くの反応条件、特に、多くの場合水溶液中で行われ、高感度酵素試薬を含有するバイオアッセイと、適合しない場合が多い。不適合の2つの主な原因は、反応チャンバに含有される溶液への光ファイバ基板の溶解、および、当該チャンバに含有される成分との光ファイバ基板の実際の化学反応である。例えば、バリウム酸化物およびランタン酸化物等のコア成分は、特に高温において水溶性の水酸化物を形成することができる。バリウムおよびランタン等の多価重金属は、酵素、特に金属イオン補因子を持つ酵素と、好ましくない相互作用を生じ得る。重金属酸化物表面は、溶液界面において正に帯電する傾向があり、核酸等の負に帯電した種を非特異的に結合する傾向がある。これらの効果はすべて、光ファイバ反応チャンバにおいて行われるアッセイおよび反応の性能を低下させる傾向がある。より一層小型化されたことも、これらの好ましくない効果を悪化させる傾向がある。
【0007】
光ファイバ基板が2つの材料(コアおよびクラッディング)から成るという事実も、単分子層(例えば、官能基)による反応チャンバのあらゆる表面改質の有効性を制限し得る。例えば、一価の表面は、反対の電荷を含有する機能性高分子電解質の荷電表面と結合することによって改質される。光ファイバ基板のコアおよびクラッディング材料は、それぞれ異なる種類の電荷を有する。このように、基板は単一の一様な電荷を含有するものではないため、単一の高分子電解質による光ファイバ基板のいかなる改質も不可能である。
【0008】
光ファイバ基板の光学特性も制限されている。光ファイバフェイスプレートの反応チャンバ内において光化学反応が実行されている間に、光子が生成され、ファイバコアを通過して最終的には当該ファイバの他端面まで到達する。同時に、光子は、クラッディング材料を貫通し、隣接する反応チャンバの別のファイバによって捕捉されるまで移動することもできる。透明なクラッディングを通って移動するこれらの光子は、多くの場合、光散乱と称され、近接する反応チャンバ間での光流出および物理的干渉(例えば、クロストーク)等の問題を引き起こす。
【0009】
いかなるバイオアッセイおよび反応条件とも適合し、優れた光学特性を有するマイクロウェルアレイの明確な必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
化学反応およびバイオアッセイに光ファイバフェイスプレートを使用することに関連する問題を緩和するための1つの手法は、本明細書において記載されている方法を使用して、アレイ基板を1枚以上の薄膜コーティングで被覆することである。概して、本明細書における考察は光ファイバ基板に焦点を置いたものであるが、以下に記載するようなその他の基板を、本明細書に記載されているいかなる実施形態において使用してもよい。
【0011】
本発明は、1枚以上の薄膜コーティングで被覆され、当該コーティングのうち少なくとも1枚は非透明である基板を含むアレイ組成物に関する。本発明の一態様は、複数の反応チャンバを持つ上面と、底部とを有する光ファイバフェイスプレートである基板を含むアレイである。アレイの各反応チャンバは、底部および側壁を有する。実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの該上面の少なくとも1つは非透明薄膜コーティングで被覆されており、該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明であり、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの該上面の少なくとも1つは透明薄膜コーティングで被覆されている。該透明コーティングは、該非透明コーティングと異なり、該透明コーティングは、光学的に透明で、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、防水性である。
【0012】
一実施形態において、該透明コーティングは二酸化ケイ素である。さらなる実施形態において、存在する場合、該透明コーティングの厚さは、該アレイの該上面において約200〜400nm、該側壁において50〜100nm、および該底部において100〜300nmである。
【0013】
別の実施形態において、該非透明コーティングは不透明である。別の実施形態において、該非透明コーティングは半不透明である。別の実施形態において、該非透明コーティングは光沢不透明である。別の実施形態において、非透明コーティングは半透明である。一実施形態において、存在する場合、該非透明コーティングの厚さは、該アレイの該上面において約200〜300nm、該側壁において60〜120nm、コーナーエリアにおいて50nm以上であり、該コーナーエリアは該反応チャンバの該底部と側壁との間に形成された接合部から成る。
【0014】
該非透明コーティングは、有機化合物、無機化合物、および非金属酸化物から選択される。一実施形態において、該無機化合物は金属である。別の実施形態において、該非透明コーティングは、クロム、金、銀、チタン、プラチナ、およびアルミニウムから選択される。一実施形態において、該非透明コーティングは伝導性である。別の実施形態において該非透明コーティングは誘電性である。
【0015】
別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は、該透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、該アレイの該上面は該透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部は、該透明コーティングで被覆されている。一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部ならびに該アレイの該上面のそれぞれは、該透明コーティングで被覆されている。
【0016】
一実施形態において、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに透明コーティングが塗布され、該反応チャンバの該底部の中心には該コーティングが無く、該底部の該中心付近に開口を形成するように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該透明コーティングで部分的に被覆されている。一実施形態において、該開口の直径は約28ミクロンである。別の実施形態において、該コーティングが該コーナーエリアに塗布された際に該反応チャンバの該底部にある該開口の周囲にコーティングのリングが形成され、該リングは8.5ミクロンの幅を有する。
【0017】
別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は、該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、該アレイの該上面は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部は、該非透明コーティングで被覆されている。一実施形態において、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに非透明コーティングが塗布され、該反応チャンバの該底部の中心には該透明コーティングが無く、該底部の該中心付近に開口を形成するように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該非透明コーティングで部分的に被覆されている。さらなる実施形態において、該非透明コーティングで既に部分的に被覆されたアレイに該透明コーティングが塗布され、該透明コーティングは、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの上面の少なくとも1つに塗布される。
【0018】
一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および該アレイの該上面は該透明コーティングで被覆され、該底部は該非透明コーティングで被覆されている。一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部は該透明コーティングで被覆され、該アレイの該上面は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、該アレイの該上面および実質的にすべての該反応チャンバの底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および該アレイの該上面は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、該アレイの該上面は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および該アレイの該上面は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は該非透明コーティングで被覆され、該アレイの該上面は被覆されていない。別の実施形態において、該透明コーティングは、少なくとも第1の透明コーティングを含む。別の実施形態において、該非透明コーティングは、少なくとも第1の非透明コーティングを含む。
【0019】
別の実施形態において、該非透明コーティングは、いかなる透明コーティングが塗布されるよりも前に該アレイに塗布される。一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該アレイの上面は、いかなる透明コーティングが塗布されるよりも前に、該非透明コーティングで被覆される。別の実施形態において、該透明コーティングは、いかなる非透明コーティングが塗布されるよりも前に、該アレイに塗布される。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該アレイの上面は、いかなる非透明コーティングが塗布されるよりも前に、該透明コーティングで被覆される。
【0020】
一実施形態において、該非透明コーティング上に酵素が固定化されている。別の実施形態において、該透明コーティング上に酵素が固定化されている。一実施形態において、該アレイの該反応チャンバは規則的なパターンで配置されている。別の実施形態において、該アレイの該反応チャンバは不規則なパターンで配置されている。別の実施形態において、該アレイ上の隣接する2つの反応チャンバの中心点間の間隔は5μm乃至200μmであり、各反応チャンバは4μm乃至190μmの少なくとも1つの寸法の幅を有する。一実施形態において、反応チャンバの数は10,000以下である。別の実施形態において、反応チャンバの数は10,000を超える。一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの深さは10乃至100μmである。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの深さは50乃至55μmである。
【0021】
別の実施形態において、該アレイは、複数の反応チャンバを備える上面と、反応チャンバを持たない反対側の平面的な研磨面とから成り、該研磨面は、該反応チャンバからの光信号が該研磨面を通って検出されるような光透過性であり、該反応チャンバを備える該上面と該研磨面との間の距離は、厚さ5mmを超えない。
【0022】
一実施形態において、該アレイはインデックス機能を備える。別の実施形態において、該アレイ基板は、ある角度で斜角をつけられた1つ以上の側縁を備える。別の実施形態において、該角度は45度である。別の実施形態において、該基板は1つ以上の識別コードでマークされている。
【0023】
本発明の別の態様は、複数の反応チャンバを含む上面と、底部とを有する光ファイバフェイスプレートである基板を含むアレイである。該アレイの各反応チャンバは、底部および側壁を有する。実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの該上面の少なくとも1つは、非透明薄膜コーティングで被覆されている。該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明である。
【0024】
一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの上面の少なくとも1つは、被覆されていない。一実施形態において、該非透明コーティングは不透明である。別の実施形態において、該非透明コーティングは半不透明である。別の実施形態において、該非透明コーティングは光沢不透明である。別の実施形態において、該非透明コーティングは半透明である。
【0025】
一実施形態において、存在する場合、該非透明コーティングの厚さは、該アレイの該上面において約200〜300nm、該側壁において60〜120nm、コーナーエリアにおいて50nm以上であり、該コーナーエリアは該反応チャンバの該底部と側壁との間の接合部から成る。別の実施形態において、該非透明コーティングは、有機化合物、無機化合物、および非金属酸化物から選択される。一実施形態において、該無機化合物は金属である。別の実施形態において、該非透明コーティングは、クロム、金、銀、チタン、プラチナ、およびアルミニウムから選択される。一実施形態において、該非透明コーティングは伝導性である。別の実施形態において、該非透明コーティングは誘電性である。
【0026】
別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は被覆されている。別の実施形態において、該アレイの該上面は被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部は被覆されている。別の実施形態において、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに非透明コーティングが塗布され、該反応チャンバの該底部の中心には該非透明コーティングが無く、該底部の該中心付近に開口を形成するように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該非透明コーティングで部分的に被覆されている。別の実施形態において、該開口の直径は28ミクロンである。別の実施形態において、該コーティングが該コーナーエリアに塗布された際に該開口の周囲にコーティングのリングが形成され、該コーティングのリングは8.5ミクロンの幅を有する。
【0027】
一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および該アレイの該上面は、被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部は、被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および該アレイの該上面は、被覆されている。
【0028】
一実施形態において、該非透明コーティングは、少なくとも第1の非透明コーティングを含む。別の実施形態において、該非透明コーティングは少なくとも第1の非透明コーティングと第2の非透明コーティングとを含み、さらに該第1および第2のコーティングは同じでない。別の実施形態において、該非透明コーティング上に酵素が固定化されている。一実施形態において、該アレイの該反応チャンバは規則的なパターンで配置されている。別の実施形態において、該アレイの該反応チャンバは不規則なパターンで配置されている。別の実施形態において、該アレイの隣接する2つの反応チャンバの中心点間の間隔は5μm乃至200μmであり、各反応チャンバは4μm乃至190μmの少なくとも1つの寸法の幅を有する。
【0029】
一実施形態において、該アレイの反応チャンバの数は10,000以下である。別の実施形態において、該アレイの反応チャンバの数は10,000を超える。一実施形態において、該アレイの実質的にすべての該反応チャンバの深さは10乃至100μmである。別の実施形態において、該アレイの実質的にすべての該反応チャンバの深さは50乃至55μmである。別の実施形態において、該アレイは、複数の反応チャンバを含有する上面と、反応チャンバを持たない反対側の平面的な研磨底面とを含み、該研磨底面は、該反応チャンバからの光信号が該研磨底面を通って検出されるような光透過性であり、該反応チャンバを備える該上面と該研磨底面との間の距離は、厚さ5mmを超えない。
【0030】
一実施形態において、該アレイはインデックス機能を備える。別の実施形態において、該アレイ基板は、ある角度で斜角をつけられた1つ以上の側縁を含む。別の実施形態において、該斜角をつけられた側縁の角度は45度である。
【0031】
本発明の別の態様は、複数の反応チャンバを含有する基板の上面に、非透明薄膜コーティングを蒸着するプロセスであって、各反応チャンバは底部および側壁を有するプロセスである。該非透明コーティングは、不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明であり、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該アレイの上面に蒸着される。該プロセスのステップは、(a)基板をある角度で基板キャリアに取り付けるステップと、(b)該取り付けられた基板を真空チャンバ内でスピンさせるステップと、(c)実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該アレイの上面に、該非透明コーティングを蒸着するステップと、(d)該基板を該真空チャンバから除去するステップと、(e)該非透明コーティングで被覆された該基板を、該基板キャリアから取り外すステップと、を含む。一実施形態において、該基板は光ファイバフェイスプレートである。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該アレイの上面は、該非透明コーティングが塗布される前に、透明コーティングで被覆される。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該基板の上面は、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該基板の上面への透明コーティングの塗布前に、非透明コーティングで被覆される。別の実施形態において、該透明コーティングは、光学的に透明で、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、防水性である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
定義:
別段の定義がなされていない限り、本明細書において使用されているすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。本明細書において記載されているものと同様または同等の方法および材料を本発明の実践において使用することができ、例となる適切な方法および材料を以下に記載する。例えば、2つを超えるステップを含む方法が記載され得る。そのような方法においては、定義された目標を実現するために必ずしもすべてのステップが必要とされない場合があり、本発明は、単独のステップの使用によってこれらの別個の目標を実現することを想定している。すべての出版物、特許出願、特許、およびその他の参考文献の開示は、参照することによりその全体が本書に組み込まれる。また、材料、方法、および例は例示的なものにすぎず、限定を意図するものではない。
【0033】
「検体」は、所望の試料において検出もしくは測定される、または当該試料から分離される、自然発生的な、または合成された、分子、化合物、組成物、または複合体を意味する。検体は、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、核酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、化合物、脂質、ビタミン、バクテリア、ウイルス、薬剤、および代謝産物を含むが、これらに限定されない。
【0034】
「固定サンドイッチ」は、2つのFOFと当該2つのFOF間に位置付けられたガスケットとの組み合わせをいい、各FOFの研磨面がガスケットの方を向くように各FOFのコーナーノッチは適切なガスケットコーナーバリアと適正に整列され、当該FOFの研磨面とガスケットとの間には、防液性のシールが形成される。
【0035】
「コア材料」は、光ファイバ繊維の内部成分をいう。当該材料は透明であり、高屈折率を有する。
【0036】
「クラッディング材料」は、光ファイバ繊維の外部成分をいう。当該材料は透明であり、低屈折率を有する。
【0037】
「コーナーエリア」は、反応チャンバの側壁と底部との間に接合部が形成された、反応チャンバの内部面をいう(図16a参照)。
【0038】
「コーナーバリア」はガスケットにおける機能をいい、当該機能はガスケットのコーナーにある角度で置かれたバンドを含み、FOFがガスケットに取り付けられた際にFOFを配向するための物理的基礎を提供する。
【0039】
「コーナーノッチ」は、光ファイバフェイスプレートを配向するための物理的基礎を提供するために、角度をなして切断され、且つ除去された光ファイバフェイスプレートの1コーナーをいい、例えば、光ファイバフェイスプレートが分析用のシステム上またはエッチングプロセス用のガスケット内に取り付けられた際に、光ファイバフェイスプレートのコーナーノッチは分析システムまたはガスケットに位置する補完機能と一致する。
【0040】
「エッチングプロセス」は、酸を使用してアレイ基板内に反応チャンバを作成する化学プロセスをいう。
【0041】
「光ファイバフェイスプレート(Fiber Optic Faceplate)」または「FOF」は、モノリシック構造を形成するために融合され、その後、必要な厚さの「ウエハ」を形成するために「スライス」される、光ファイバケーブルの束をいう。
【0042】
「官能基」は、反応物質、反応基質、または検体を反応チャンバの内側面に重着することができる、任意の化学的または生物学的種を意味する。
【0043】
「ガスケット」は、エッチングプロセス用の装置の一構成要素をいう。ガスケットは、2つのFOFの間に整列され、流体密封シールを形成することによって、各FOFの片側(例えば、研磨側)が酸に曝露されないように保護する。
【0044】
「ガスケットインデックス機能」は、FOFのコーナーノッチを補完するノッチを作成し、FOFを配向するための物理的基礎を提供する、ガスケットの1コーナーに位置付けられたバンドをいう。
【0045】
「インデックス機能」は、FOFを配向するための物理的基礎を提供する構造をいう。
【0046】
「FOFインデックス機能」は、FOFを適正に配向するための物理的基礎を提供する、FOF上のコーナーノッチをいう。
【0047】
「イオンプレーティング」は、薄膜コーティングをアレイ基板に蒸着するために使用される気相蒸着の方法を意味し、当該方法においては、第一に、帯電した原子および中性原子を使用して基板から汚染物質が除去され、第二に、コーティング材料が蒸発され、エネルギー不活性ガスまたは反応ガス原子およびイオンとの相互作用によって強化され、基板に蒸着される。
【0048】
「防水性」は、反応チャンバ内に含有される水溶液に対するバリアを提供し、チャンバ溶液が反応チャンバの側壁構成要素へ浸出するのを防止するための、薄膜コーティングの能力をいう。
【0049】
「非透明薄膜コーティング」または「非透明コーティング」は、そこを通る光の通路を調節する、例えば、ブロックする、実質的にブロックする、または拡散させる、材料のコーティングをいう。例えば、非透明薄膜コーティングまたは非透明コーティングは、不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明である。
【0050】
「不透明」は、1000の光子のうち薄膜材料を通過するのは2未満となるように、光の通路がブロックされることを意味する。
【0051】
「光学的に透明」は、薄膜コーティングを透過する光の能力をいう。「PEEK製クランプ」は、エッチングプロセス中、2つのFOFおよびガスケットを共にしっかりと保持するために使用される、ポリエーテルエーテルケトン(Poly Ether Ether Ketone)で作られたクランプをいう。
【0052】
「部分的なコーティング」は、表面全体に満たない部分が被覆されている、例えば、反応チャンバの底部または側壁の表面全体に満たない部分が被覆されていることを意味する。「Pico Titer Plate(商標)」または「PTP」は、エッチングされたFOFを含むアレイ基板を意味する。
【0053】
「プラズマ化学気相成長法(Plasma−Enhanced Chemical Vapor Deposition)」または「PECVD」は、薄膜コーティングをアレイ基板に蒸着するために使用される気相蒸着の方法を意味し、当該方法において、薄膜コーティングはガスの化学反応から産出される。
【0054】
「反応物質」は、単独で、または別の反応物質と連動して、所望の試料内の検体を結合、形成、またはそれと反応することができる、自然発生的な、または合成された、任意の化学的または生物学的な分子、化合物、組成物、または複合体を意味する。本発明の反応物質は、化学反応または生物学的測定、検出、もしくは分離に有用である。反応物質の例としては、アミノ酸、オリゴヌクレオチドおよびcDNAを含む核酸、炭水化物、ならびに、酵素および抗体等のタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
「反応チャンバ」は、基板上にある底部および側壁から成る局所的なウェルまたはチャンバ(すなわち、幅および深さを有する空洞空間)を意味する。
【0056】
「RCAクリーナー」は、水酸化アンモニウムおよび過酸化水素の溶液を意味する。
【0057】
「RER清浄プロセス」は、RCAクリーナー、EDTA、およびRCAクリーナーを使用して、エッチングされたFOFを清浄するためのプロセスをいう。
【0058】
「サンドイッチ」は、2つのFOFと当該2つのFOF間に位置付けられたガスケットとの組み合わせをいい、各FOFのコーナーノッチは、各FOFの研磨面がガスケットの方を向き、非研磨面が露出されるように、適切なガスケットインデックス機能と適正に整列される。
【0059】
「走査電子顕微鏡法(Scanning Electron Microscopy)」または「SEM」は、高解像度撮像のための方法をいう。
【0060】
「半不透明」は、薄膜コーティングを通過する光が10%未満となるように光の通路が殆どブロックされることを意味する。
【0061】
「光沢不透明」は、1000の光子のうち薄膜コーティングを通過するのは2未満となるように光の通路がブロックされ、光が光沢不透明な表面で反射されることを意味する。
【0062】
「スパッタリング」は、薄膜コーティングをアレイ基板に蒸着するために使用される気相蒸着の方法を意味する。
【0063】
「基板」は、離れた個々の反応チャンバを含有するように変更されることができ、少なくとも1つの検出方法に適応する、固体支持部または任意の材料をいう。
【0064】
「薄膜」または「薄膜コーティング」は、基板の表面上に蒸着された材料のコーティングをいう。
【0065】
「透明」は、物体が明瞭に見えるような感知できる散乱なしに、光が薄膜コーティングを通過することが可能であることを意味する。
【0066】
「透明薄膜コーティング」または「透明コーティング」は、基板の表面上に蒸着された材料のコーティングをいい、当該コーティングは厚さ5.0ミクロン未満、光学的に透明で、防水性である。
【0067】
「半透明」は、薄膜コーティングを光が通過することは可能であるが、当該光は物体が明瞭に見えないような拡散性のものであることを意味する。
【0068】
「気相蒸着」は、薄膜コーティングをアレイに蒸着するための方法をいう。
【0069】
本発明は、個々の反応チャンバを有し1枚以上の薄膜コーティングで被覆された基板を含むアレイ組成物を提供する。本発明は、被覆されたアレイを製造し使用するプロセスを含む。本明細書において、「アレイ」によって意味されるのは複数の反応チャンバであり、これらは基板の表面上にある任意のアレイフォーマットの局所的なウェルおよびチャンバである。各反応チャンバは、底部および側壁を含む。アレイおよびその反応チャンバのサイズは、アレイの組成および最終用途によって決まることになる。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面を含むアレイは、アレイおよびその反応チャンバの特性および機能を強化するために、1枚以上の薄膜コーティングで被覆される。薄膜コーティングは、アレイの製造の有用性または容易性を損なうことなく、反応チャンバ内の溶液の内容物をアレイ基板の有害な影響から保護するものである。薄膜コーティングはまた、(例えば、単分子層によって)反応チャンバ表面の均一な改質を可能にする均一な表面組成も提供する。一実施形態において、薄膜コーティングは、クラッディング材料を通過した光の、隣接する反応チャンバへの光散乱を排除するために、光学的障害物を産出する。
【0070】
本明細書に記載の発明は、より大きいシステムおよび方法の構成要素であってよい。そのようなシステムおよび方法は、多数の手法で核酸を処理するために使用され得る。例えば、核酸配列の識別を決定するため、または、核酸断片における一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism;SNP)検出のため、核酸発現プロファイリング(2つ以上の状態間での核酸発現プロファイルを比較、例えば、病変組織と正常組織とを比較する、または、未処理組織と薬物、酵素、放射線、もしくは化学的処理で処理した組織とを比較する)のため、ハプロタイプ決定(被験者に存在する2つの対立遺伝子のそれぞれにおける、遺伝子または遺伝子の変異を比較する)のため、染色体分析(一般に、胚または胎児の検査組織中における1つ以上の遺伝子を、先天的欠損症を検出するために、受胎前の「正常」核型の被験者の同じ遺伝子と診断比較する)のため、および、遺伝子型決定(ある種の第1の個体における1つ以上の遺伝子を、同じ種の別の個体における同じ遺伝子と比較する)のための方法が実行される。
【0071】
一般的な分析システムは、多数の構成要素を有する。これらは、例えば、(1)処理される核酸テンプレートと、(2)送出チャンバであって、本発明の被覆されたアレイ、核酸テンプレートを含有するための装置を備える送出チャンバと、(3)核酸が処理される際に、アッセイ試薬が例えば光等の検出可能な信号を生成する核酸テンプレートへの核酸処理試薬の流出を可能にする流出チャンバおよび試薬送出手段と、(4)核酸が処理される際に放出される信号を検出し捉えられた光をデータに変換する試薬送出チャンバと連通している撮像システムと、(5)処理された核酸に関する有意義な情報を産生するためにデータを処理する撮像システムと連通しているデータ収集システムと、を含む。
【0072】
1.薄膜で被覆されたアレイ
本発明は、その上面に複数の反応チャンバを持つ基板を含むアレイ組成物を含む。アレイ上の反応チャンバのそれぞれは、底部および側壁で作られ、アレイの少なくとも一部、底部、側壁、または上面は、1枚以上の薄膜コーティングで被覆されている。一実施形態において、アレイ基板は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁上または上面上に非透明薄膜コーティングを有し、当該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明である。別の実施形態において、基板は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁上またはアレイの上面上に非透明コーティングを有し、当該基板は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁上またはアレイの上面上に透明コーティングを有し、当該透明コーティングは厚さ0.1〜5.0ミクロンで、防水性である。
【0073】
A.アレイ基板
アレイ基板は、個々の反応チャンバを含有するように変更されることができる固体支持部である。あらゆる材料が基板として使用される。基板材料は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ塩化ビニルを含むビニルポリマー、ならびに共重合体およびブレンドを含むTeflon(登録商標)等の有機高分子およびプラスチック、さらには、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、およびエポキシ、ならびに共重合体およびブレンドを含むシリコーンを含む縮合重合体を含むが、これらに限定されない。基板材料は、セラミック、ガラス、改質ガラスまたは機能性ガラス、シリカまたはシリカ系材料、シリコンおよび変性シリコンを含む無機材料を含んでもよい。基板材料は、光ファイバ束を含んでもよい。概して、これらの種類の材料はすべて、反応チャンバを持つアレイへ容易に形成される。しかしながら、そのような材料から作られたアレイは、多くの有機溶媒と適合しない場合が多く、したがって、そのようなアレイ基板に薄膜コーティングを塗布することにより、アレイの溶媒親和性が強化される。アレイは、近接する反応チャンバ間での物理的干渉および光流出等の問題にも遭遇する。これらの種類の問題は、透明なクラッディング材料を通って光子が隣接する反応チャンバへ移動するのを防止するために、不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明の、1枚以上の薄膜コーティングを塗布することによって解決され得る。
【0074】
概して、基板は平面(フラット)であるが、基板のその他の構成も使用され、例えば、基板は、凹面、凸面、球状等の3次元、折り目加工されたもの、または、例えば、光ファイバ繊維の空洞が作られた終端において、またはエッチングされた、成形された、もしくは、微小電気機械システムの構築において一般に使用される技術を使用して平面にマイクロマシン加工されたマイクロウェルにおいて、空洞を作られたものである。例えば、Rai‐Choudhury、HANDBOOK OF MICROLITHOGRAPHY,MICROMACHINING,AND MICROFABRICATION、VOLUME I:MICROLITHOGRAPHY、Volume PM39、SPIE Press(1997年);Madou、CRC Press(1997年)、Aoki、Biotech.Histochem.67:98−9(1992年);Kaneら、Biomaterials.20:2363−76(1999年);Dengら、Anal Chem.72:3176−80(2000年);Zhuら、Nat.Genet.26:283−9(2000年)を参照されたい。一実施形態において、基板は平面である。基板は、例えば球孔、シリンダウェル、カラム、柱、および傾斜シリンダ等の特徴を含有してもよい。基板の表面上にあるそのような特徴は、エッチング、プレーティング、インプリンティング、スタンピング、成形、機械加工等によって形成される。
【0075】
概して、基板は光検出を可能にするものであり、それ自体は感知できるほどに蛍光を発しない。基板は、化学反応事象またはアッセイ結果の検出を容易にする材料で作られている。例えば、一般的な核酸シーケンス反応において、配列決定される試料核酸へのdNTPの結合は、シーケンス反応において遊離されたリン酸塩に対する酵素作用によって生成された光子の検出によって監視され得る。したがって、基板を透明または光伝導性材料で作ることは、光子の検出を容易にする。いくつかの実施形態において、基板は光学的に透明である。別の実施形態において、基板の表面は光学的に調べられる。
【0076】
1.光ファイバフェイスプレート(「FOF」)
一実施形態において、アレイの基板は、「スライスされた」光ファイバ束または光ファイバフェイスプレート(Fiber Optic Faceplate;「FOF」)から作られる。FOFは、多くの光ファイバを共に融合して、個々のファイバの光透過特性を維持するモノリシック構造(例えば、束)にすることによって製造される。ファイバ束は、「ウエハ」つまりFOFを形成するために「スライス」される。結果として生じたFOFは、ガラスまたは顕微鏡用スライドの平面のそれと同様の取り扱い特性を所有する。FOFは、反応チャンバのアレイを作成するために、その上でウェルまたはチャンバがエッチングされる基板である。
【0077】
FOFを作っている個々の光ファイバ繊維ストランドは、内部「コア」材料および外層「クラッディング」材料という2つの材料から成る(図2)。光ファイバコアは、透明であり高屈折率を有する材料を含む。コア材料の例としては、鉛、バリウム、ランタン、およびニオブ酸化物等の重金属酸化物が挙げられる。光ファイバクラッディングは、透明であり低屈折率を有する材料を含む。1つの典型的なクラッディング材料は、ドープした二酸化ケイ素である。ドープ剤は、ホウ素およびアルミニウム等の金属酸化物を含む。
【0078】
FOFを作っている個々の繊維ストランドは、それぞれ直径を有する。個々の繊維ストランドは、任意の直径のサイズ(例えば、3μm乃至100μm)であってよい。一実施形態において、個々のファイバは、直径6μm乃至12μmである。モノリシック構造を形成するために光ファイバ束が融合されると、繊維ストランドは個々では操作されない、すなわち、1つの繊維ストランドは概して、その長さに沿ったいかなる点においても、別の繊維ストランドから物理的に分離されることができない。融合された光ファイバ束とフェイスプレートは、メーカーから市販されている。
【0079】
ファイバ束は、「ウエハ」つまりFOFを形成するために「スライス」される。一実施形態において、光ファイバ束は、融合された光ファイバに対して垂直にスライスされる。別の実施形態において、光ファイバ束は、融合された光ファイバに対して垂直でない角度でスライスされる(例えば、図20a〜c参照)。融合された光ファイバに対して90度ではない角度(「スライス角度」)で光ファイバ束がスライスされた場合、産出されたFOFは、FOFの底部に対して垂直でない繊維ストランドを含有する。当該FOFがエッチングされた場合、形成される反応チャンバはFOFの底部に対してやはり90度ではない。形成される反応チャンバは、傾いた側壁を有する(「傾斜した反応チャンバ」)。
【0080】
FOFの片面(すなわち、反応チャンバの無い側)は、一般に、検出デバイスに対する光連結を可能にするように(例えば光浸漬またはその他の光連結流体によって)高度に研磨されている(図2)。一実施形態において、光連結は、第2の融合されたファイバ束によって容易になる。この第2の融合されたファイバ束は、一般に、反応チャンバを含有する第1のFOFよりもかなり小さいファイバサイズを有し、CCD撮像システムまたはカメラ等の付着された検出デバイスへの、光産物の透過のための導管として作用する役割を果たす。
【0081】
一実施形態において、アレイ基板はFOFである。FOFの全体形状は長方形であるが、当業者には、FOFは特定の形状に限定されるものでなく、適切なFOFはその他各種の形状および全体寸法を含むことが理解されている。FOFは、少なくとも向かい合った上面および底面を有し、当該上面と底面との間には距離がある。一実施形態において、FOF内の繊維ストランドは、当該FOFの上面および底面に対して実質的に垂直に配向されている。別の実施形態において、FOF内の繊維ストランドは、当該FOFの上面および底面に対して垂直に配向されていない。一実施形態において、FOFは、自動機器および手動プロセスの両方についてFOFの適正な配向を確実にするための物理的基礎を提供するために、少なくとも1つのインデックス機能をさらに含む。例えば、インデックス機能は、分析用の器具内においてFOFを適正に位置付けるために使用される。
【0082】
図8a〜8cは、本発明と共に使用するためのFOF1を図示している。一実施形態において、FOF1は、第1の平面2と第2の平面3とを有し、それらは向かい合っている。FOF1は、反応チャンバからの光信号が第1の平面3を通って検出されるような光学的伝導性のものであり、第1の面と第2の面との間には距離D1がある。距離D1は任意の距離である。一実施形態において、一般に、第1の面2と第2の面3との間の距離D1は、10cmを超えない。別の実施形態において、距離D1は、5mmを超えない。別の実施形態において、D1は、0.5mm乃至5mmである。さらなる実施形態において、D1は、2mmである。FOF1の第1の面2および第2の面3は、研磨されていることもあるし、研磨されていないこともある。一実施形態において、片面は研磨されており、反対面は研磨されていない。本発明の一態様において、第1の面2は研磨されており、第2の面3は研磨されていない。さらなる実施形態において、第1の面2は研磨されており、第2の面3は反応チャンバを有する。別の実施形態において、第1の面2は反応チャンバを有し、第2の面3は研磨されている。
【0083】
FOF1は、少なくとも第1および第2の側面と、少なくとも第1および第2の端面を有する。一実施形態において、FOF1は、距離によって隔てられた第1の端面4および第2の端面5と、距離によって隔てられた第1の側面6および第2の側面7と、端面と側面との間に伸長する1つのコーナー側面8とを有する。図8aに示す一実施形態において、コーナーエッジ8は、第2の側面7と第2の端面5との間に伸長する。端面と側面が接続され、FOF1の外周辺を形成する。例えば、第1の側面6および第2の側面7はいずれも、第1および第2の端面4、5の間に垂直に伸長する。
【0084】
FOFの側面および/または端面は、FOFが器具に取り付けられるのを可能にするために、ある角度で斜角をつけられていてよい。任意の組み合わせの側面および端面が斜角をつけられていることもあるし、側面も端面も斜角をつけられていないこともある。一実施形態において、すべての側面および端面がある角度で斜角をつけられている。斜角をつけられた側縁は、傾斜部分およびフラット部分を形成するためにある角度で斜角をつけられているか、または当該斜角をつけられた側面はフラット部分を有さない。一実施形態において、第1の側面6は、角度A1で斜角をつけられ、角度のある第1の側縁17を形成する(図8b)。角度のある第1の側縁17は、傾斜部分15およびフラット部分12によって形成される。角度のある第1の側縁17のフラット部分12は、L8の高さを有する。同様に、第2の側面7は、角度のある第2の側縁16を形成するためにある角度で斜角をつけられる。第1および第2の側縁6および7は、任意の角度に斜角をつけられる。一実施形態において、側縁は、10乃至80度の角度に斜角をつけられる。別の実施形態において、当該角度は実質的に45度であり、実質的にとは、当該角度が45度をわずかに超える、または45度にわずかに満たないことを意味する。本発明の一態様において、向かい合う側縁は、FOFが分析器具内に位置する適切な維持構造(例えば、カートリッジ)へ摺動し、当該分析器具がFOFを捉え、流体反応チャンバおよびカメラに対して適正に位置させ、取り付けることを可能にするために、斜角をつけられる。
【0085】
一実施形態において、第1および第2の側面6および7は、45度の角度を形成するためにそれぞれ斜角をつけられ、結果として生じるフラット部分の長さL8は0.20mm〜0.45mmである。斜角をつけられた側面6および7は、光学的に伝導性の平面2に沿って位置する。
【0086】
当業者であれば、FOFの第1の面および第2の面は任意の長さおよび任意の幅であることを十分に理解するであろう。一実施形態において、当該長さと幅は同じである。側面のうち少なくとも1つが斜角をつけられた実施形態において、第1の面の幅は、角度のある側縁により、第2の面の幅よりもわずかに小さい。例えば、一実施形態において、第1の面2の幅W2は約38mmであり、第2の面3の幅W3は約40mmである(図8b)。端面のうち少なくとも1つが斜角をつけられた同様の実施形態において、第1の面の長さは第2の面の長さよりもわずかに小さい。
【0087】
第1の実施形態において、第2の面3は約75mmの長さL3を有し、第2の面3の幅W3は約40mmである。第1の面2は第2の面3と同じ長さL3を有し、第1の面2の幅W2は約38mmである。
【0088】
第2の実施形態において、第2の面3は約75mmの長さL3を有し、第1の面2の幅W3は約25mmである。第1の面2は第2の面3と同じ長さL3を有し、第1の面2の幅W2は約22mmである。
【0089】
適切なFOFは、例えば、1つ以上のインデックス機能を含んでよい。インデックス機能はFOF上の何処にでも位置し、特定のいかなる形状およびサイズにも限定されない。一実施形態において、インデックス機能はFOFの周辺上に位置する。さらなる実施形態において、インデックス機能はコーナーに位置する。インデックス機能の目的は、その適正な配向を確実にするために、FOFの係合を可能にする物理的基礎を提供することである。図8aに示すように、適切なFOF1は、FOFのコーナーの一部を除去することによって形成されたコーナーノッチ13であるインデックス機能を含み、ここで当該FOFの側面と端面は垂直に接続している。FOF1は、1つ以上のコーナーノッチを有する。一実施形態において、FOF1は1つのコーナーノッチ13を有する。別の実施形態において、1つのコーナーノッチ13はコーナーを除去することによって形成され、ここで第2の側面7は第2の端面5と接続している。コーナーノッチ13を形成するために、コーナー部分は角度A2で切断される。角度A2は、特定の度数に限定されず、その他の角度および形状を含む。一実施形態において、角度A2は、FOF1のコーナー部分から除去され、ここで第2の側面7は第2の端面5に接続し、角度A2は約45度である。結果として生じるコーナー側面8は、任意の長さである、長さL11を有する。一実施形態において、L11は約6mmである。コーナーノッチ13は、FOF1が嵌合する構成要素内に設計された補完機能、例えば、分析システムのFOF取り付け金具内に設計された機能、または、エッチング装置のガスケット内に設計された機能と一致する。
FOF1は、1つ以上の識別コードでラベル表示されてよい。FOFは、各種目的のための識別コードでマークされる。例えば、識別コードは、FOFの追跡および/または認証が可能である。識別コードは、分析システムに取り付けられている場合、FOF1の視覚配向も可能にする(すなわち、分析システムが識別コードを適正に読むことができない限り、システムはFOF1を分析するための動作をしない)。識別コードは、例えば、バーコード、DataMatrixコード等の二次元バーコード等、いかなる種類のコードであってもよい。一実施形態において、FOF1は、バーコードで符号化される。別の実施形態において、FOF1は、DataMatrixコードで符号化される。一実施形態において、FOF1はバーコードとDataMatrixコードの両方を有する。人間が読むことのできる英数字のコードも組み込まれ得る。識別コードは、例えばCCDカメラ、またはバーコードリーダ等の器具によって読み出される。
【0090】
一実施形態において、識別コードは、レーザーで直接FOF表面にエッチングされることができる。代替の実施形態において、識別コードは、FOFの表面に印刷される。
【0091】
B.アレイ表面
1枚以上の薄膜コーティングで被覆する前に、基板の少なくとも1つの表面は、分析結果の検出だけでなく、画定された空間内にある各反応混合物またはアッセイ溶液の離散局所化も可能にするように配置された、1つ以上の個々の反応チャンバを含有するように変更される。上面もしくは底面、または両方の面は、個々の反応チャンバを含有するように変更され得る。したがって、本明細書において使用する場合、「反応チャンバ」という用語は、例えば核酸シーケンス反応において反応物質の相互作用を容易にする基板上の局所的な「ウェル」または「チャンバ」をいう。一般に、反応物質は、化学反応またはバイオアッセイを容易にし、反応チャンバを通って流れる媒体に入れてアレイの反応チャンバ内に分配される。例えば、DNAシーケンス決定では、核酸テンプレートが、反応液を通って流れる溶液中で1つ以上の固体支持部、ビーズ、または粒子上の各反応チャンバ内に分配される。
【0092】
反応チャンバは、アレイ基板の上面もしくは底面、または両方の面上に形成され得る。反応チャンバは、幅、深さ、および開口部を有する空洞空間である。反応チャンバの開口部は、例えば、実質的に円形、正方形、楕円形、長方形、六角形、三日月形、または星形等、任意の形状であってよい。反応チャンバは、例えば、実質的に円形、正方形、楕円形、長方形、六角形、三日月形、または星形等、任意の形状であってよい。一実施形態において、反応チャンバは環状または円筒形である。別の実施形態において、反応チャンバは正方形または長方形箱の形状に近似するように多面である。図6を参照すると、一実施形態における反応チャンバの形状は、実質的に六角形である。一実施形態において、反応チャンバは均一の形状である。
【0093】
アレイ上の各反応チャンバは、反応チャンバの境界を画定する底部および側壁を含む。反応チャンバの底部は、例えば、実質的に円形、正方形、楕円形、長方形、六角形、三日月形、または星形等、任意の形状であってよい。反応チャンバの底部は、平面(すなわち、フラット)、凹面、または凸面であってよい。反応チャンバの底部は、反応チャンバの開口部と向かい合っている。反応チャンバの側壁は、いかなる形状であってもよい。例えば側壁は、円筒形の形状で、円形の底部に接続されていてよい。反応チャンバの側壁は複数の側面を有してよく、例えば、六角形形状の底部を持つ反応チャンバ側壁は、反応チャンバの側壁を作る6つの側面を有する。側壁を作る反応チャンバの側面が連続している場合もあれば、当該側面が不連続である場合もある。例えば、六角形形状の反応チャンバにおいて、反応チャンバが閉じており、側面が連続して互いに接続しているような状態であってもよいし、反応チャンバが開いており、側面が連続せず互いに接続していない状態であってもよい。側壁は、平滑面または凹凸面を有し得る。
【0094】
底部および側壁が接続して、当該底部と側壁とが継合される接合部に、反応チャンバの底部コーナーを形成する。側壁と底部が接続される角度は、底部の周辺の周囲において実質的に90度であってもよいし、あるいは当該角度は、底部の周辺の周囲において90度未満から90度超までの間で変動してもよい。底部と側壁との間の接続は、底部の周辺の周囲において連続していてよい。あるいは、いくつかの実施形態において、底部と側壁との間の接続は、底部の周辺の周囲において連続していなくてもよい。
【0095】
一実施形態において、反応チャンバの内部面は、幅および深さを有し、反応混合物またはアッセイ溶液がその中に蒸着される、基板内のウェルまたはチャンバの形をとる(図2)。一実施形態において、反応チャンバは、(i)当該チャンバへの必要な反応物質の導入、(ii)当該チャンバ内で化学反応またはアッセイを行うこと、および(iii)チャンバ間での反応物質および/または検体の混合の抑制を可能にするのに十分な寸法および順序である。
【0096】
別の実施形態において、反応チャンバの側壁は連続していない、すなわち、当該側壁は、反応物質が1つの反応チャンバから別の反応チャンバへ流れることができないように、隣接する反応チャンバ間の開口部によって中断されている。
【0097】
反応チャンバ間の開口部は、任意のサイズおよび形状であってよい。例えば、開口部は、1つ以上の穴、チャネル、管、またはスリットであってよい。側壁におけるそのような開口部は、試薬の高速交換を容易にする。例えば、側壁内の開口部に嵌合するのに十分小さいビーズの表面に固定化された試薬(「試薬ビーズ」)は、アレイの隣接する反応チャンバ間を自由に流れることができ、一方、側壁内の開口部を介して嵌合することができない、より大きなビーズ上に固定化された試薬基質は、個々の反応チャンバ、例えばビーズに結合された反応基質(「基質ビーズ」)内に維持されるか、あるいは、反応基質ビーズは、反応チャンバの底部に結合され得る。側壁に開口部を持つ反応チャンバ間における試薬交換の効率は概して向上し、化学反応またはバイオアッセイの時間は短縮される。また、反応チャンバの側壁内の開口部により、より速くより完全に反応チャンバから反応産物および副産物を除去することが可能になる。一実施形態において、開口部は、FOF上にある2つの隣接する反応チャンバ間のクラッディング材料におけるスリットである(図26a〜b)。
【0098】
別の実施形態において、側壁は連続しておらず、反応チャンバのジオメトリを画定する1本以上の境界柱を含有する。境界柱は、任意の形状(例えば、円筒形、半球、三日月形状等)を有する。一実施形態において、アレイ上の反応チャンバは、「柱アレイ」を形成するために基板(例えば、ガラス、非光ファイバフェイスプレート等)から上方に伸長する、一連の円筒形の境界柱によって形成される。一実施形態において、各チャンバは4本の境界柱によって画定され、当該柱は柱アレイ上に各反応チャンバの不連続な側壁を形成する。一実施形態において、柱アレイは、反応基質ビーズを「捕捉する」ために使用される(図21a〜b)。境界柱の数およびサイズは、基板上の境界柱のパターンと同様、変動し得る。この「開放」型の反応チャンバは、アレイの反応チャンバ、および、個々の反応チャンバ内に維持されている反応基質、例えば、境界柱間において捕捉されるビーズまたは粒子に付着されている反応基質を通って流れることができる試薬間の高速交換を容易にする。さらなる例は、例えば、米国特許第10/260,704号、Pengguang Yu、Kevin Kornelsen、米国特許出願番号第20030091475号(2003年5月5日)を参照されたい。
【0099】
一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバは、基板の底部に対して垂直な角度で接続された側壁を有し、反応チャンバの開口部と底部は、底部の中心点と開口部が整列するように向かい合っている。あるいは、別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバは基板の底部に対して垂直な角度で接続されていない側壁を有し、反応チャンバの開口部と底部は、底部の中心点と開口部がオフセットである、すなわち整列しないように向かい合っている(例えば、図20b参照)。角度が垂直でなく、且つ中心点が整列していない場合に形成された反応チャンバを、「傾斜した反応チャンバ」と称する。傾斜した反応チャンバの側壁は傾いており、底部と側壁とが接続する角度は、反応チャンバの底部コーナーの周辺の周囲において、90度未満から90度超の間で変動する。一実施形態において、反応チャンバの底部コーナーエリアに形成される角度は、約60乃至120度で変動する。別の実施形態において、反応チャンバの底部コーナーエリアに形成される角度は、80乃至100度で変動する。別の実施形態において、反応チャンバの底部コーナーエリアに形成される角度は、85乃至95度で変動する。別の実施形態において、反応チャンバの底部コーナーエリアに形成される角度は、88乃至92度で変動する。別の実施形態において、反応チャンバの底部コーナーエリアに形成される角度は、89から91度で変動する。
【0100】
一実施形態において、傾斜した反応チャンバを持つアレイは、垂直でない角度でFOFがスライスされた場合に形成され、結果として生じるFOFは、当該フェイスプレートの底部に対して垂直でない光ファイバストランドを有する(図20a〜b)。この垂直でないファイバを持つFOFを化学的にエッチングすると、形成された反応チャンバはそれぞれ傾いた側壁を有する、すなわち、傾斜した反応チャンバとなる。傾斜した反応チャンバを使用して、傾斜した反応チャンバ内の特定の位置にビーズを「固定」または「保持」することができる(図20b)。一実施形態において、傾斜した反応チャンバ内にビーズの位置を固定するために、遠心力が使用される。別の実施形態において、ビーズは、傾斜した反応チャンバの1つのコーナーに固定または保持される。別の実施形態において、遠心力は、第1のビーズ(例えば、基質ビーズ)をアレイの各反応チャンバ内に蒸着するために使用される。別の実施形態において、遠心力は、第1のビーズよりも小さい第2のビーズ(例えば、試薬ビーズ)を各チャンバ内に蒸着するために使用される。さらなる実施形態において、遠心力は、第1のビーズよりも小さい、1つを超える第2のビーズを各チャンバに蒸着するために使用される。
【0101】
反応チャンバの「コーナーエリア」は、反応チャンバの底部および側壁の内部面であり、ここで反応チャンバの底部および側壁が接続して、底部コーナーに「接合部」を形成する(図16a〜b)。コーナーエリアは、「底部コーナーエリア」と「側壁コーナーエリア」の両方を含む。コーナーエリアは、接合部から側壁の長さに沿ってアレイの上面へ、および底部に沿って反応チャンバの中心へ伸長する。コーナーエリアは、側壁の長さ全体にも底部の長さ全体にも伸長しない。一実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも90%の長さまで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも60%の長さまで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも40%の長さまで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも20%の長さまで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも10%まで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも5%まで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、側壁の全長の5%未満、伸長する(例えば、図16aおよび16bを参照)。
【0102】
別の実施形態において、底部コーナーエリアは、接合部から、底部の全長の少なくとも40%の長さまで伸長する。別の実施形態において、底部コーナーエリアは、接合部から、底部の全長の少なくとも20%の長さまで伸長する。別の実施形態において、底部コーナーエリアは、接合部から、底部の全長の少なくとも10%の長さまで伸長する。別の実施形態において、底部コーナーエリアは、接合部から、底部の全長の少なくとも5%の長さまで伸長する。別の実施形態において、底部コーナーエリアは、接合部から、底部の全長の5%未満の長さまで伸長する。本発明の別の態様において、コーナーエリアは反応チャンバの底部にリングの形状を形成し、ここでコーナーエリアは反応チャンバの底部の中心付近を含まない。さらなる実施形態において、反応チャンバの底部に部分的に塗布されたコーティングによって、反応チャンバの底部の中心付近に開口部が形成される。一実施形態において、アレイの反応チャンバは、パターン、すなわち規則的な設計もしくは構成になっているか、または、当該チャンバは、アレイ表面に無作為に分配されていてよい。一実施形態において、反応チャンバがXY座標面内でアドレス指定され得るような、アレイ上における当該チャンバの規則的なパターンがある。この意味での「パターン」は、繰り返し単位を含む。別の実施形態において、アレイは、あるパターンで基板上に配置された高密度の反応チャンバを含有する。一実施形態において、図6に示すように、アレイ基板の表面上には、反応チャンバの六方へ不規則に詰め込まれたアレイがある。
【0103】
反応チャンバは、任意の適切な距離だけ間隔をあけられていてよい。間隔は、2つの隣接する反応チャンバの中心点間の距離を測定することによって決定される(図2)。反応チャンバは、概して5μm乃至200μmの間隔があけられている。一実施形態において、反応チャンバは10μm乃至150μmの間隔があけられている。一実施形態において、反応チャンバは20μm乃至100μmの間隔があけられている。別の実施形態において、反応チャンバは40乃至60μmの間隔があけられている。別の実施形態において、反応チャンバは、2つの隣接する反応チャンバの中心点間に、約43μmから50μmの間隔を有する。反応チャンバのサイズは、任意の容積を収容するようになっている。一実施形態において、反応チャンバ容積は、10乃至150pLである。別の実施形態において、反応チャンバ容積は、20乃至90pLである。さらなる実施形態において、反応チャンバ容積は、40乃至85pLである。別の実施形態において、反応チャンバ容積は、約75pLである。
【0104】
反応チャンバは、任意の適切な幅を有してよい。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバは、3μm乃至100μmの一寸法における直径(幅)を有する。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバは、20μm乃至70μmの直径を有する。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバは、約30μm乃至50μmの直径を有する。さらなる実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバは、38μm乃至44μmの直径を有する。
【0105】
反応チャンバは、任意の適切な深さを有してよい。実質的にすべての反応チャンバの深さは、概して10μm乃至100μmである。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの深さは、20μm乃至60μmである。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの深さは、50m乃至55μmである。あるいは、実質的にすべての反応チャンバは、反応チャンバの一寸法における幅の0.25乃至5倍、または、別の実施形態において、反応チャンバの一寸法における幅の0.3乃至1倍である深さを有する。本発明の目的のために、実質的にすべての反応チャンバは、反応チャンバの少なくとも90%を意味する。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバは、少なくとも95%を意味する。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバは、少なくとも97%を意味する。さらなる実施形態において、実質的にすべての反応チャンバは、少なくとも99%を意味する。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバは、反応チャンバの100%を意味する。一実施形態において、反応チャンバのFOF上での深さは、個々の光ファイバの直径の約1/2から、当該ファイバの直径の最大2から3倍の範囲をとる。反応チャンバの深さは、例えばMicroXam 3D干渉式表面形状測定装置(ADE Phase shift社、カリフォルニア州サンノゼ)を使用して測定される。当該器具のエリア差異プロット機能を使用して、定期反応チャンバ深さ測定が行われる。当該器具は、8つのチャンバの深さをFOFクラッディング上の基準点と比較して、平均チャンバ深さを提供する。
【0106】
アレイは、そのような多数の個々のアッセイを実行するのに十分な数の反応チャンバを備える。アレイは、任意の数の反応チャンバを含有する。アレイの最終用途に応じて、基板は、超高密度(例えば、200,000超)、高密度(例えば、少なくとも100,000)、中密度(例えば、少なくとも50,000)、低密度(例えば、少なくとも10,000)、および超低密度(例えば、10,000未満)の反応チャンバを含有するようになっている。低密度アレイは、少数の反応チャンバを有する。一実施形態において、10,000未満の反応チャンバがある。例えば、アレイは1乃至96の反応チャンバを含有する。一実施形態において、アレイは96乃至384の反応チャンバを含有する。別の実施形態において、アレイは384乃至1536の反応チャンバを含有する。さらなる実施形態において、アレイは1536を超える反応チャンバを含有する。
【0107】
本発明の一態様において、FOFは、極めて多数の反応チャンバを含有するようになっている。一実施形態において、少なくとも10,000の反応チャンバがある。別の実施形態において、少なくとも50,000の反応チャンバがある。さらなる実施形態において、100,000を超える反応チャンバがある。別の実施形態において、基板の表面上に200,000を超える反応チャンバがある。同時分析測定の数は反応チャンバの数によって限定されるため、アレイを使用して実行される分析測定のスループットは、密度を増加した反応チャンバを含有するアレイ基板を製造することによって増加し得る。表1は、25×75mmおよび40×75mmのFOFから生じた14×43mmおよび30×60mmのアクティブエリアについて、この経過をそれぞれ示すものである。例えば、参照することにより本書に組み込まれる、同時係属の米国特許出願番号第10/767,779号を参照されたい。ピッチは、「中心から中心」を測定したファイバ間の距離である(表1)ピッチとファイバサイズは、概して同等である。
【0108】
【表1】
上記に示すように、本発明の1つの特別な利点は、特に光ファイバ技術の使用によって、改良された極めて高密度のアレイが作られ得ることである。したがって、例えば、0.5cm2につき250,000を超える個々のファイバの密度が得られる1mm2の光ファイバ束内に、50,000もの異なるファイバおよびセルを有することが可能である。
【0109】
例えば、ワイドチャネル反応チャンバは、約14mm×43mmの寸法を有することができる。したがって、この概算寸法および約4.82×10−4チャンバ/μm2の密度では、アレイは約290,000の反応チャンバを有することができる。
【0110】
反応チャンバは、当該技術分野においては概して既知であるように、化学エッチング、フォトリソグラフィ、スタンピング技術、加圧成形、鋳造、成形、マイクロエッチング、電解析出、マスクまたはテンプレートを用いる化学的または物理的気相蒸着、電解加工、レーザー加工または切断、電子ビーム加工または切断、および従来の機械加工を含むがこれらに限定されない様々な技術を使用して、基板の表面に形成される。技術は、基板の組成および形状によって決まることになる。一実施形態において、反応チャンバは、化学エッチングを使用して形成される。反応チャンバは一般に、任意の薄膜コーティングでアレイを被覆する前に、基板内に形成される。
【0111】
C.薄膜コーティング
本発明は、アレイ基板に対して1枚以上の薄膜コーティング塗布を提供する。薄膜コーティングは、透明または非透明コーティングである。そのような透明および非透明薄膜コーティングは、反応混合物またはアッセイ溶液のアレイ基板との適合性を向上させること、および、近接する反応チャンバ間での光流出および物理的干渉等の問題を削減することを含み、アレイの特性および機能を向上させるように設計される。透明薄膜コーティングは、反応チャンバ内に含有される溶液と基板との間にバリアを提供し、溶液への基板材料の浸出、および、反応チャンバ内に含有される内容物と基板との間の接触の両方を防止する。非透明薄膜コーティングは、1つの反応チャンバから別の隣接する反応チャンバへ光子が漏れること(すなわち、クロストーク)を防止する光子バリアを提供する。非透明コーティングは、近接する反応チャンバ間で光を通過させないバリアを作成し、それによって光子を抑止し、光を反応チャンバ内に保って光散乱を排除する。非透明コーティングを使用して、反応チャンバ内におけるビーズまたは粒子(例えば、化学反応を実行するための固体支持ビーズ)の保持率を向上させることができる。
【0112】
本発明の薄膜コーティングは、一般に、反応チャンバの底部もしくは側壁またはアレイの上面を被覆するために塗布される。本発明の目的のために、反応チャンバの底部もしくは側壁またはアレイの上面が薄膜コーティングで被覆される場合、当該コーティングは、部分的に、または実質的に完全に、底部、側壁、または上面の表面を覆う。一実施形態において、底部、側壁、または上面の表面が薄膜コーティングで100%覆われている場合、底部、側壁、または上面は、完全に覆われている。別の実施形態において、底部、側壁、または上面の表面が薄膜コーティングで97〜100%覆われている場合、底部、側壁、または上面は実質的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の表面が薄膜コーティングで97%未満覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の少なくとも80%が薄膜コーティングで覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の少なくとも60%が薄膜コーティングで覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の少なくとも40%が薄膜コーティングで覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の少なくとも20%が薄膜コーティングで覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の少なくとも10%が薄膜コーティングで覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。
【0113】
本発明の一態様において、非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。別の実施形態において、非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着され、非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に透明コーティングが蒸着される前に、アレイに蒸着される。別の実施形態において、透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着され、透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に非透明コーティングが蒸着される前に、アレイに蒸着される。
【0114】
透明薄膜コーティング
一実施形態において、アレイの基板は、透明薄膜コーティングと組み合わせた非透明薄膜コーティングで被覆され、当該透明薄膜コーティングは、一般にアッセイ溶液および化学反応混合物において見られる成分と適合することが知られている材料から成る。透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に非透明コーティングが蒸着される前に、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着されてよい。あるいは、透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に非透明コーティングが蒸着された後に塗布されてもよい。
【0115】
一実施形態において、透明コーティングは防水性である。別の実施形態において、透明コーティングは均一な表面組成を提供する。一実施形態において、透明コーティングは光学的に透明である。透明コーティングのその他の望ましい特性としては、耐久性、基板材料との適合性、汎用的な蒸着パラメータ、および高温への耐性が挙げられる。一実施形態において、透明コーティングは、ガラス状物質に対して接着性である。一般に、透明コーティングは、巨大分子の非特異的吸収を最小限に抑える。アレイ基板は、透明薄膜コーティングによって完全に被覆されてよい。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの各底部および側壁ならびにアレイの上面を含むアレイ基板全体が、透明コーティングを有する。あるいは、アレイ基板は、透明コーティングで完全に被覆されていなくてもよい。例えば、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面が、透明コーティングで被覆されている(図2)。あるいは、透明コーティングは無い。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部は、透明コーティングを有する。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部は透明コーティングを有し、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は透明コーティングを有さない。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁は透明コーティングを有する。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁は透明コーティングを有し、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部およびアレイの上面は透明コーティングを有さない。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は、透明コーティングを有する。さらなる実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は透明コーティングを有し、実質的にすべての反応チャンバの底部は透明コーティングを有さない。
【0116】
別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面が、部分的に被覆されている。一実施形態において、透明コーティングが、当該底部と側壁との間の接合部に形成されたコーナーエリアに塗布され、透明コーティングの不在によって底部の中心付近に開口(すなわち、開口部)を形成するような底部の中心には無いように、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部および側壁が透明コーティングで部分的に被覆されている(例えば、図16aおよび16b参照)。開口のサイズは、反応チャンバの底部を通過できる光の量を調節し集中させることができるよう、コーティングプロセス中に調整され得る。
【0117】
本発明の一態様において、透明コーティングは基板上に位置する特徴に塗布される。被覆され得るそのような基板上の特徴の例としては、球孔、シリンダウェル、カラム、柱、傾斜シリンダ等が挙げられる。別の実施形態において、基板と反応チャンバを形成するために基板の上に築かれた境界柱とで作られたアレイ、すなわち「柱アレイ」は、透明コーティングで被覆されている(図21a〜b)。基板上の境界柱のサイズ、数、およびパターンは、変動し得る。境界柱は、任意の数の形状(例えば、環状、長方形、六角形等)をとることができる。一実施形態において、第1の透明コーティングは、柱アレイに塗布される。別の実施形態において、第1の透明コーティングが塗布された後、第1と第2の透明コーティングが異なるような第2の透明コーティングが柱アレイに塗布される(例えば、図21b参照)。別の実施形態において、柱アレイアレイへの第1および第2の透明コーティングの蒸着により、コーティングが塗布されていない「影エリア」を作成し、例えば、図21bを参照されたい。
【0118】
本発明の別の態様において、透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバが連続していない側壁を有するアレイ、すなわち、隣接する反応チャンバ間の開口部によって側壁が中断されているアレイに塗布される。開口部は、任意のサイズおよび形状であってよい。一実施形態において、開口部は、図26aに示すようなスリットである。反応チャンバの側壁における開口部は、コーティングを反応チャンバの底部に特定のパターンで蒸着するための手段を提供する(例えば、図26b)。一実施形態において、反応チャンバの底部におけるパターンは円錐形である。別の実施形態において、透明コーティングは、コーティングの厚さが変動するような勾配で蒸着される。一実施形態において、透明コーティングは反応チャンバの底部の中心線付近では厚くなり、当該コーティングは中心線から離れて縁に向かうにつれて薄くなる。
【0119】
本発明の別の態様において、透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布され、ここで当該反応チャンバは基板の底部に対して垂直でない側壁を有する、すなわち、傾斜した反応チャンバとなる。一実施形態において、透明コーティングは、フェイスプレートの底部に対して垂直でない光ファイバストランドを持つ光ファイバフェイスプレートに塗布され、反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または当該光ファイバフェイスプレートの上面は、透明コーティングで被覆されている。
【0120】
「透明薄膜」という用語は、アレイのその他の特性寸法よりも実質的に小さい厚さを持つ透明コーティングをいう。一実施形態において、透明コーティングの厚さは、0.1〜5.0ミクロンである。透明コーティングの厚さは、反応チャンバの内部面を含むアレイの表面上で不均一であってよい。例えば、一実施形態において、存在する場合、アレイの実質的にすべての反応チャンバの透明コーティングの厚さは、アレイの上面において約200〜400nmである。別の実施形態において、存在する場合、アレイの実質的にすべての反応チャンバの透明コーティングの厚さは、反応チャンバの側壁において約50〜100nmである。別の実施形態において、存在する場合、アレイの実質的にすべての反応チャンバの透明コーティングの厚さは、反応チャンバの底部において約100〜300nmである。
【0121】
多くの異なる種類の材料が透明コーティングとして使用され得る。透明薄膜コーティングの組成は、アレイ基板、用途、および薄膜蒸着の方法によって決まることになる。一実施形態において、透明コーティングは高分子である。一実施形態において、高分子は無機高分子である。別の実施形態において、透明コーティングは非金属酸化物(例えば、二酸化ケイ素(SiO2))である。その他の透明コーティングは、例えば、金属合金、金属もしくは半導体酸化物、窒化物、炭化物、またはホウ化物である。多くの透明コーティングが市販されている。
【0122】
透明コーティング材料は、アンカープライマーを基板に付着させるために使用されるそれらの材料も含む。アミノ基、スルフヒドリル基、またはカルボキシル基を介してタンパク質の直接共有結合を可能にするオルガノシラン試薬も、アレイ基板を被覆するための透明コーティングとして使用され得る。さらなる透明コーティングは、光反応性リンカー、例えばフォトビオチン(Amosら、「Biomaterial Surface Modification Using Photochemical Coupling Technology」、Encyclopedic Handbook of Biomaterials and Bioengineering、Part A:Materials、Wiseら(編)、New York、Marcel Dekker、895〜926ページ、1995年)を含む。
【0123】
その他の透明コーティング材料は、ポリアクリルアミドおよび多糖類等の親水性高分子ゲル等、高分子材料を含み、当該材料は、プルロニック高分子(トリブロック共重合体、例えば、F‐108としても知られているPPO‐PEO‐PPO)だけでなく、基板の表面または当該基板に共有結合で直接付着された高分子鎖に直接重合され(Hjerten,J.Chromatogr.347,191(1985年);Novotny、Anal.Chem.62,2478(1990年))、特に、ビオチン結合タンパク質の層に受動的に吸着されるだけでなく、ポリスチレンまたはシラン化処理したガラス表面のいずれかに吸着される(Hoら、Langmuir 14:3889−94、1998年)。アミン結合を介して試薬の連結を可能にするエポキシドを含む透明コーティングで表面が被覆されていてもよい。一実施形態において、透明薄膜コーティングはSiO2である。
【0124】
任意の薄膜コーティングを塗布する前に、例えば5%Contrad(登録商標)溶液等の水性塩基性溶液中での超音波照射によってFOFを清浄する。Contrad(登録商標)溶液は、アルカリ塩基水溶液中に界面活性剤を入れてできた清浄液である。5%Contrad(登録商標)溶液は、実質的に5パーセントのContrad(登録商標)を含有する。実質的に5%とは、溶液が5%Contrad(登録商標)よりもわずかに多い、またはわずかに少なくてもよいことを意味する。
【0125】
一実施形態において、清浄後、一般に、エッチングされたFOFをSiO2の透明コーティングで被覆するためにイオンプレーティングプロセスが使用され、ここで透明コーティングの厚さは0.1〜5.0ミクロンである。一実施形態において、存在する場合、透明コーティングの厚さはアレイの上面において200〜400nmである。別の実施形態において、存在する場合、透明コーティングの厚さは側壁において50〜100nmであり、存在する場合、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部において100〜300nmである。SiO2は、透明であり、10nmに至る極めて効率的な水バリアの厚さを有し、ガラス状物質に接着し、厳しい清浄法や高温に耐える。さらに、SiO2の表面特性は、これらの特性を変更するための方法と同様に、既知である。さらに、SiO2は、微小規模ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction;「PCR」)条件と適合することも示している。
【0126】
非透明薄膜コーティング
別の実施形態において、アレイの基板は、隣接する反応チャンバへの光子の光流出および近接する反応チャンバ間での物理的干渉を防止、抑制、または削減するために、そこを通る光の通路を調節する、例えば、光をブロックする、実質的にブロックする、または拡散させる材料で作られた非透明薄膜コーティングで被覆されている。
【0127】
非透明コーティングの厚さは、不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明のコーティングが得られるように、変動および制御され得る。一実施形態において、非透明コーティングは不透明である。別の実施形態において、非透明コーティングは半不透明である。別の実施形態において、非透明コーティングは光沢不透明である。さらなる実施形態において、非透明コーティングは半透明である。非透明コーティングのその他の望ましい特性としては、耐久性、基板材料との適合性、汎用的な蒸着パラメータ、および高温への耐性が挙げられる。一実施形態において、非透明コーティングは、ガラス状物質に対して接着性である。非透明コーティングは、巨大分子の非特異的吸収を最小限に抑える。アレイ基板は、非透明薄膜コーティングでその全体を被覆されてよい。あるいは、アレイ基板は、非透明コーティングでその全体を被覆されていなくてもよい。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部もしくは側壁またはアレイの上面の少なくとも1つは、非透明コーティングを有する(図2)。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの各底部および側壁ならびにアレイの上面を含むアレイ基板全体は、非透明コーティングを有する。別の実施形態において、アレイの上面ならびに実質的にすべての反応チャンバの側壁および底部は、非透明コーティングで被覆されている。
【0128】
別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部は、非透明コーティングを有する。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部は非透明コーティングを有し、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は非透明コーティングを有さない。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁は非透明コーティングを有する。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁は非透明コーティングを有し、実質的にすべての反応チャンバの底部および上面は非透明コーティングを有さない。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は非透明コーティングを有する。さらなる実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は非透明コーティングを有し、実質的にすべての反応チャンバの底部は非透明コーティングを有さない。
【0129】
別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面は、非透明コーティングで部分的に被覆されている。一実施形態において、非透明コーティングが、当該底部と側壁との間の接合部に形成されたコーナーエリアに塗布され、非透明コーティングの不在によって底部の中心付近に開口(すなわち、開口部)を形成するような底部の中心には無いように、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部および側壁が非透明コーティングで部分的に被覆されている(例えば、図16aおよび16b参照)。開口のサイズは、反応チャンバの底部を通過できる光の量を調節し集中させることができるように調整され得る。
【0130】
非透明コーティングは、基板上に位置する特徴を被覆する、すなわち覆うために使用され得る。被覆され得る基板上のそのような特徴の例としては、球孔、シリンダウェル、カラム、柱、傾斜シリンダ等が挙げられる。別の実施形態において、反応チャンバを形成するために基板の上に築かれた境界柱を持つ基板を備えるアレイ(「柱アレイ」)は、非透明コーティングで被覆されている。基板上の境界柱のサイズ、数、およびパターンは、変動し得る。一実施形態において、第1の非透明コーティングは、柱アレイに塗布される。別の実施形態において、第1の非透明コーティングが塗布された後に第2の非透明コーティングが塗布され、第1と第2の非透明コーティングは異なる(図21b)。別の実施形態において、柱アレイアレイへの第1および第2の非透明コーティングの蒸着により、コーティングが塗布されていない「影エリア」を作成し、例えば、図21bを参照されたい。
【0131】
本発明の別の態様において、非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバが連続していない側壁を有するアレイ、すなわち、隣接する反応チャンバ間の開口部によって側壁が中断されているアレイに塗布される。開口部は、任意のサイズおよび形状であってよい。一実施形態において、開口部は、図26aに示すようなスリットである。反応チャンバの側壁における開口部は、非透明コーティングを反応チャンバの底部に特定のパターンで蒸着するための手段を提供する(例えば、図26b)。一実施形態において、当該パターンは円錐形である。別の実施形態において、非透明コーティングは、コーティングの厚さが変動するような勾配で蒸着され、非透明コーティングは反応チャンバの底部の中心線付近では厚くなり、非透明コーティングは中心線から離れて縁に向かうにつれて薄くなる。
【0132】
本発明の別の態様において、非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布され、当該アレイは、基板の底部に対して垂直でない側壁を持つ反応チャンバ、すなわち、傾斜した反応チャンバを有する。一実施形態において、非透明コーティングは、フェイスプレートの底部に対して垂直でない光ファイバストランドを持つ光ファイバフェイスプレートに塗布され、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または当該光ファイバフェイスプレートの上面は、非透明コーティングで被覆されている。
【0133】
「非透明薄膜」という用語は、アレイのその他の特性寸法よりも実質的に小さい厚さを持つ非透明コーティングをいう(図14)。一実施形態において、非透明コーティングの厚さは、当該コーティングが不透明であるか、半不透明であるか、半透明であるか、または光沢不透明であるかを決定する。
【0134】
多くの異なる種類の材料が非透明薄膜コーティングとして使用され得る。非透明薄膜コーティングの組成は、アレイ基板、用途、および薄膜蒸着の方法によって決まることになる。非透明薄膜コーティングは、有機化合物、無機化合物、および非金属酸化物から選択され得る。一実施形態において、非透明コーティングは高分子である。別の実施形態において、非透明コーティングは有機または無機化合物である。一実施形態において、無機化合物は金属である。非透明薄膜コーティングとして使用される金属は、クロム、金、銀、アルミニウム、チタン、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、カドミウム、錫、鉛、アンチモン、コバルト、プラチナ、およびそれらの任意の合金、例えばチタン/鉛から選択される。一実施形態において、非透明コーティングは、クロム、金、銀、アルミニウム、チタン、およびプラチナから選択される。一実施形態において、非透明コーティングはクロムである。別の実施形態において、非透明コーティングは銀である。
【0135】
一実施形態において、第1の非透明コーティングがアレイに塗布され、第1の非透明コーティングが塗布された後に、第2の非透明コーティングがアレイに塗布される。一実施形態において、第1と第2の非透明コーティングは同じである。あるいは、第1と第2の非透明コーティングは異なる。一実施形態において、第1の非透明コーティングはクロムであり、第2の非透明コーティングは金である。別の実施形態において、第1の非透明コーティングは金であり、第2の非透明コーティングはクロムである。別の実施形態において、第1の非透明コーティングはチタンであり、第2の非透明コーティングはプラチナである。別の実施形態において、第1の非透明コーティングはプラチナであり、第2の非透明コーティングはチタンである。第1および第2の非透明コーティングは、別々のプロセスで塗布され得る。あるいは、異なる金属ターゲットに切り替えることにより、第1および第2の非透明コーティングは同じプロセスで塗布され得る。
【0136】
別の実施形態において、コーティングは誘電性である。誘電体コーティングは非透明であってもよいし、透明であってもよい。一実施形態において、誘電体コーティングは非透明である。別の実施形態において、誘電体コーティングは透明である。誘電性であるコーティングは、高い電気抵抗を有する、例えばSiO2である。一実施形態において、非透明コーティングの上に透明誘電体コーティングが塗布され、非透明コーティングを腐食から保護するために使用される。例えば、SiO2コーティングは、SiO2コーティングが透明なままで金属コーティングを腐食から保護するために、金属コーティングがアレイに塗布された後に塗布される。
【0137】
その他の実施形態において、コーティングは伝導性である。伝導性であるコーティングは、導電性の、例えば金薄膜である。伝導性コーティングは、電気メッキ用の第1のコーティングとして使用、または、溶液中の電極表面として使用され得る。一実施形態において、伝導性である非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布される。別の実施形態において、伝導性である非透明コーティングが実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布され、非透明コーティングが塗布された後に、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に透明コーティングが塗布される。一実施形態において、アレイは、反応チャンバ内において実行される化学反応またはバイオアッセイを電気化学的に強化することを可能にする伝導性コーティングで被覆されている。例えば、金属被覆されたエッチング加工済みのFOFは、照度化学と連動して電気化学的方法を使用する分析用の陽極または陰極として使用され得る。別の実施形態において、SiO2コーティングは伝導性金属コーティングの上に塗布され、アレイのSiO2コーティングは分極され、それによって溶液中における表面付近のイオンの動きを強化する。多くの非透明コーティングが市販されている。
【0138】
本発明の別の態様において、アレイ基板は透明および非透明コーティングの両方で被覆される。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は透明コーティングで被覆され、底部は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁および底部は透明コーティングで被覆され、アレイの上面は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部およびアレイの上面は透明コーティングで被覆され、実質的にすべての反応チャンバの側壁は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部は透明コーティングで被覆され、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、アレイの上面は透明コーティングで被覆され、実質的にすべての反応チャンバの側壁および底部は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁は透明コーティングで被覆され、実質的にすべての反応チャンバの底部およびアレイの上面は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部は透明コーティングで被覆され、実質的にすべての反応チャンバの側壁は非透明コーティングで被覆され、アレイの上面は被覆されていない。
【0139】
多層の透明および非透明コーティングをアレイ基板上に蒸着することができる。一実施形態において、透明コーティングは、少なくとも第1の透明コーティングを含む。別の実施形態において、非透明コーティングは、少なくとも第1の非透明コーティングを含む。透明および/または非透明コーティングの2枚以上のコーティングを、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着することができる。一実施形態において、第1の非透明コーティング、例えばクロムが、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の片側に蒸着され、第2の非透明コーティング、例えば金が、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の反対側に蒸着される。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部もしくは側壁またはアレイの上面の少なくとも1つは、第1および第2の非透明コーティングで被覆されている。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部は第1の透明コーティングで被覆され、アレイの実質的にすべての底部および側壁は第2の透明コーティングで部分的に被覆され、さらに、第2の透明コーティングは、反応チャンバの底部と側壁との間の接合部に形成されたコーナーエリアに塗布され、反応チャンバの底部における当該第2の透明コーティングの不在によって、当該底部の中心付近に開口を形成するように、当該第2の透明コーティングは底部の中心には無い。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部および側壁は部分的な非透明コーティングで被覆され、さらに、反応チャンバの底部と側壁との間の接合部に形成されたコーナーエリアに透明コーティングが塗布され、反応チャンバの底部における非透明コーティングの不在によって当該底部の中心付近に開口を形成するように、底部の中心には非透明コーティングが無い。
【0140】
透明および非透明薄膜コーティングの機能化
透明および非透明薄膜コーティングは、いずれも反応物質(例えば、タンパク質、酵素、および核酸)の容易な付着を可能にし、固定化された反応物質の活性に悪影響を及ぼすことはない。ある場合において、薄膜コーティングは、反応物質の安定性を向上させることができる。
【0141】
透明および非透明コーティングは、化学反応を促進するため、または、隣接する反応チャンバ間におけるクロストーク等の望ましくない効果を削除するための、さらなる機能を提供することができる表面改質を可能にする。
【0142】
一般に、反応物質と検体は、反応チャンバ内において非共有結合で関連付けられている。しかしながら、薄膜で被覆されたチャンバは、生物学的または化学的に機能化され得る。例えば、これまでに論じた透明または非透明薄膜コーティングはいずれも、当該技術分野において酵素およびヌクレオチドの固定化のためのものとして知られている1つ以上の官能基、例えば金属キレート基(例えば、ニトリロ、三酢酸、イミノ二酢酸、ペンタデンテートキレート剤等)によって、誘導体化することができる。一実施形態において、透明または非透明コーティングで被覆された薄膜被覆アレイの実質的にすべての反応チャンバは、反応物質または検体を側壁または底部に共有結合または非共有結合で付着させる、または捉えるために使用される官能基を含有するように変更される。この文脈における「化学修飾された反応チャンバ」は、反応チャンバの薄膜で被覆された表面に付着され、反応物質または検体を同じ表面に付着させるまたは捉えるために使用される、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、およびチオール基を含む官能基の追加を含むがこれらに限定されない。また、「生物学的に修飾された反応チャンバ」は、抗原/抗体対、酵素/基質または阻害物質対、受容体‐リガンド対、炭水化物とその結合パートナー(レクチン等)を含むがこれらに限定されない、結合リガンドまたは結合パートナー対の付着を含む。
【0143】
一実施形態において、透明コーティングは、化学的または生物学的修飾のための表面を生成する。別の実施形態において、非透明コーティングは、化学的または生物学的修飾のための表面を生成する。さらなる実施形態において、透明コーティングは、酵素固定化のための表面を提供する。一実施形態において、固定化のための酵素は、スルフリラーゼ、ルシフェラーゼ、ポリメラーゼ、ヒポキサンチン、ホスホリボシルトランスフェラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ウリカーゼ、アピラーゼ、およびペルオキシダーゼから選択される。別の実施形態において、非透明コーティングは、酵素固定化のための表面を提供する。別の実施形態において、第1のコーティングは、反応チャンバにおいて反応物質または検体を捕捉するための手段を提供する。別の実施形態において、非透明コーティングは、反応チャンバにおいて反応物質または検体を捕捉するための手段を提供する。
【0144】
2.光ファイバフェイスプレートの片面化学エッチングのためのプロセス
本発明は、さらに、アレイ基板上に反応チャンバを産出するためのプロセスおよびそのようなプロセスを実行するための装置を対象としている。一実施形態において、反応チャンバは、FOF基板上に形成される。一実施形態において、反応チャンバは、コア材料とクラッディング材料との間のエッチング速度の差異を利用する、選択的化学エッチングプロセスを使用して形成される。例えば、Pantanoら、Chem.Mater.8:2832(1996年)、および、Waltら、米国特許第20020015146号公報を参照されたい。反応チャンバは、FOFの片側に形成されてもよいし、両側に形成されてもよい。基板の両側に反応チャンバを形成するための方法では、エッチング槽以外に特殊なハードウェアまたは装置を必要としない。しかしながら、一実施形態において、FOFの側面の片方においてエッチングされた反応チャンバは、カメラシステムとの光連結のために表面が十分平滑となるよう、実質的に除去される必要がある。この除去プロセスは、高価で時間のかかる研磨ステップを伴う。反応チャンバが単側にしか形成されていない場合、FOFは、殆ど直ちに清浄および表面コーティングの準備が整う。本発明は、FOFの片側にのみ反応チャンバを産出するように設計された装置および化学エッチングプロセスの両方を提供する。
【0145】
A.エッチング装置:クランプおよびガスケット
一般に、単側のFOFをエッチングするために使用される装置は、以下のハードウェアを含む:少なくとも1つのクランプおよびガスケットである(図12および13)。「サンドイッチ」という用語は、2つのFOFの間にガスケットが位置付けられた2つのFOFをいう。クランプ39は、2つのFOF1をガスケット75と共に加圧成形またはしっかりと保持して、エッチングプロセス中に使用される「固定サンドイッチ」を形成するために使用されるデバイスである。ガスケット75は、固定サンドイッチ内に流体密封シール、例えば、酸への曝露から各FOFの片側を保護するために2つのFOF間に置かれたガスケットを作成するように設計されている。FOFおよびガスケットのいずれも、各FOFの片側のみが酸処理に供されるようなFOFを取り付けるための物理的基礎を提供するインデックス機能をそれぞれ含有する。
【0146】
1.クランプ
本発明は、2つの継合された構成要素、つまり基部と突起物を含むクランプを備える。両構成要素が単一の適切な材料から構成されているか、または、各構成要素が適切な材料から別々に構成され、当該技術分野において知られている多種多様な統合技術を使用して統合される(例えば、接着的に付着される、機械的に統合される等)。基部は、概して、少なくとも向かい合う上面および底面を有する長方形箱の形状であり、当該上面と底面の間には距離がある。底面は、基部の外周辺を形成するために、取り外せないように継合された側面および端面によって、取り外せないように上面に継合されている。基部は、少なくとも第1および第2の側面と少なくとも第1および第2の端面を有する。基部の表面は、略平面である。
【0147】
基部の表面上には、少なくとも2つの突起物が整列されている。本発明のこの変形においては、少なくとも2つの突起物が基部の上面に整列され、半径方向にある距離だけ外側へ伸長している。任意の数の突起物が上面に整列される。適切な突起物は、任意の形状およびサイズである。例えば、突起物は、外縁および内縁ならびに第1および第2の縁を含む少なくとも4つの縁を有する先細長方形である。外縁と内縁は向かい合っており、第1と第2の縁は向かい合っている。突起物の縁が接続されて、先細長方形形状の突起物を形成する。突起物の内縁はフラットであり、基部の上面に対して垂直に付着している。突起物は、上端および高さを有する。突起物の対は上面に沿って位置付けられ、基部の上面の中央下にスロットを形成するために、1つの突起物の内縁はもう1つの突起物の内縁に向かい合っている。幅W11を持つスロットは、FOFおよびガスケットがクランプの突起物によって安全に保持される場所である。当業者には、クランプは特殊な形状に限定されるものでなく、その他の形状および全体寸法を含むことが理解される。
【0148】
図7a〜dを参照すると、本発明の一実施形態は、長方形形状の基部40および少なくとも2つの突起物43、44から成る単一クランプ39を含む。基部は、上面41および底面42を有し、これらは向かい合っている。底面42は、基部40の外側境界を形成するために接続された、任意の数の側面および端面によって取り外せないように上面41に継合されている。上面41と底面42との間に伸長するD2は、任意の距離である。一実施形態において、上面と側面41、42の間の距離は、10cmを超えない。別の実施形態において、D2は、0.5mmから5mmである。さらなる実施形態において、距離D2は約4mmである。
【0149】
一実施形態において、長方形の基部40は、距離W12によって隔てられた第1の側面35および第2の側面36と、距離L10によって隔てられた第1の端面37および第2の端面38とを有する。より好ましい実施形態において、基部40は、扁平なコーナーを持つ長方形形状である。例えば、基部40は、距離W12によって隔てられた第1の側面35および第2の側面36と、距離L10によって隔てられた第1の端面37および第2の端面38と、第1のコーナー端面45、第2のコーナー端面46、第3のコーナー端面47、および第4のコーナー端面48を含む4つのコーナー端面とを有する。
【0150】
当業者であれば、基部40の側面、端面、およびコーナー端面は、任意の長さであることを十分に理解するであろう。一実施形態において、第1および第2の側面35、36は同じ長さであり、第1および第2の端面37、38は同じ長さであり、4つのコーナー端面45、46、47、48は同じ長さである。一実施形態において、長さと幅は同じである。別の実施形態において、側面の長さは端面よりも長い。例えば、第1の側面35および第2の側面36はそれぞれ約58mmの長さL9を有する。第1の端面37および第2の端面38はそれぞれ約12mmである長さL11を有する。45、46、47、および48を含む4つのコーナー端面はそれぞれ約2mmである幅L13を有する。
【0151】
突起物は、任意の形状、および、高さを含む任意の寸法を有する。本発明のこの変形において、突起物の一般的な形状は先細長方形である。突起物は、複数の縁と、突起物上端と、高さとを備える。一実施形態において、突起物43は、向かい合った内縁49および外縁52と、向かい合った第1の縁50および第2の縁51とを含む、4つの縁を有する。一実施形態において、内縁49の表面はフラットであり、上面41に対して垂直である。外縁52の表面はフラットであり、上面41と共に角度A4を形成する。一実施形態において、角度A4は45度である。第1の縁50は凹面である表面を有し、第2の縁51は凹面である表面を有する。突起物先端は、いかなる形状であってもよいし、いかなる寸法を有してもよい。一実施形態において、突起物先端55は尖っている。あるいは、突起物先端は丸い、またはフラットである。本発明の一態様において、突起物先端55はフラットであり長方形形状である。さらなる実施形態において、突起物先端55の長方形エリアは、約1mm×2mmである。突起物(例えば、44)はいかなる高さであってもよい。一実施形態において、突起物の高さH6は約5〜6mmである。
【0152】
一発明において、クランプ39は、少なくとも2つの突起物のセットを使用して、エッチングプロセスのためにFOFとガスケットを共に圧縮する。基部40の表面は、任意の数の突起物を有する。概して、突起物は上面41に沿って整列される。一実施形態において、突起物43は、第1の側面35に沿ってその外側面52を持つ上面41上に整列され、別の突起物44は、第2の側面36に沿ってその外側面を持つ上面41上に向かい合って整列される。クランプ39は、1対以上の突起物を有してよい。一発明において、クランプ39は、複数対の突起物を有する。本発明の一態様において、クランプ39は、その上面41上に整列された1から6対の突起物を有する。当業者には、突起物の対の数はFOFのサイズに応じて変動し得ることが理解される。
【0153】
少なくとも2つの突起物43、44の対および基部40は、単一の適切な材料から、または、一体的に形成された、もしくは統合された別々の適切な材料から成る単一クランプ39を形成する。この変形において、クランプ39は、上面41の中心下に位置するスロット56を有する。スロット56は、FOFおよびガスケットがクランプ39によって保持される場所である。スロット56は、第1および第2の側面35、36に沿った上面41上における突起物43および44の整列によって作成される。スロット56の長さL10は、第1の端面37から第2の端面38へ伸長する。スロット56の幅W11は、突起物44の内縁と突起物43の内縁との間の距離である。スロットは、任意の幅および任意の幅を有し得る。スロット56の幅W11は、共に挟まれた2つのFOFおよびガスケットの幅と略同等である。一実施形態において、スロットの幅W11は約6mmである。一実施形態において、スロット56の長さL10は約62mmである。
【0154】
クランプは、任意の適切な材料から成る。一実施形態において、クランプは、任意の耐酸材料から製造される。さらなる実施形態において、クランプは、プラスチック材料から製造される。最も好ましい実施形態において、クランプは、ポリエーテルエーテルケトンから製造される(「PEEK製クランプ」)。
【0155】
2.ガスケット
本発明は、エッチング装置を構成するハードウェアの1つとして、ガスケットを含む。ガスケットの一般的な目的は、ガスケットと一方のFOF表面との間にシールを形成して、FOFの他方の表面を液体(例えば、酸)への曝露から保護することである。ガスケットは、化学エッチングプロセスの条件と適合する特性を持つ適切な材料から製造される。ガスケットは、概して、耐酸材料から成る。一実施形態において、ガスケットを構成する材料は柔軟である。当業者であれば、ガスケットは、シールされたエリアがFOF上に正確に位置し、目的とするエリアをエッチングから保護するようなシールをFOFと共に形成するのに適切に形作られた任意の形状またはサイズであることを十分に理解するであろう。ガスケットは、少なくとも2つの表面、例えば上面および側面を有する。ガスケット表面は、エッチングプロセスから保護されるエリア周囲のFOFの周辺に沿ってFOFに接触するフラットな隆起面である、隆線を有する。一実施形態において、ガスケットは、保護されるエリア周辺のFOFの周辺に沿ってFOFに接触するフラットな隆起面である、少なくとも2つの向かい合う隆線を有する。一実施形態において、ガスケットは、2つのフラットな向かい合う表面であって、その間には距離がある表面を有する長方形の形状であり、各表面は隆線を含有する。ガスケットは、その上面および底面の両方に、ガスケットにFOFが取り付けられた際、それを適正な位置に位置付ける役割を果たす、突出した外枠機能を有する。ガスケットの外枠は、上面および底面に取り外せないように継合された壁から成る。ガスケットは、任意の数の壁を有する。一実施形態において、ガスケットは、第1の壁、第2の壁、第3の壁、および第4の壁を含む4つの壁を有する。ガスケット壁は高さを有する。ガスケット壁は、長方形の底枠を形成するために、垂直な角度で接続されている。FOFの外枠を構成するガスケット壁は、エッチングプロセス中に各FOFが置かれるトレイ状構造を形成するために、上面の上および底面の下に伸長する。本発明の一態様において、ガスケットは、FOFと同じ一般的形状である。
【0156】
ガスケットの少なくとも上面または底面、あるいは両表面は、当該表面上に上昇した隆線を形成する隆起部分を含み、そのような隆線がある理由は、FOFとガスケット表面との間における密封シールの形成を容易にし、各FOFの片側が液体に曝露されるのを防止することである。隆線は、断面が平滑且つ均一であり、FOFの周辺の周囲に連続的なバリアを形成する。一実施形態において、隆線は、ガスケット表面を超える高さ、および幅を有する長方形形状の境界線である。隆線は、ガスケット壁のある距離だけ内側に位置する。
【0157】
ガスケットは、エッチングプロセス中にFOFを適正に配向する物理的基礎を提供するための少なくとも1つのインデックス機能をさらに含むため、1回の配向のみでガスケットに取り付けることができるのはFOFだけである。FOFの適正な位置決めにより、FOFの同じ側がエッチングされるという一貫性を確実にすることができる。インデックス機能は、任意の形状または形態である。一実施形態において、ガスケットインデックス機能を形成するために、ガスケットの1つのコーナーにバンドがある角度で位置付けられ、当該バンドは、FOFがどのようにしてガスケットに取り付けられるかを制限するコーナーバリアを形成する(すなわち、FOFのコーナーノッチはガスケットインデックス機能と一致しなくてはならない)。
【0158】
図11a〜eを参照すると、本発明のこの変形は、上面76および底面77を含むガスケット75を含む。上面および底面76、77は直接向かい合っており、上面76と底面77との間には距離がある。2つの表面の間の距離は、任意の距離である。一実施形態において、上面76と底面77との間の距離H10は、約1mmである。ガスケットの表面は任意の形状である。一実施形態において、ガスケットの上面と底面は同じである。好ましい実施形態において、ガスケットの上面および底面は長方形の形状である。
【0159】
当業者には、ガスケットは任意の数の壁を有することが理解される。一実施形態において、ガスケット75は、第1の壁78、第2の壁79、第3の壁80、および第4の壁81を含む4つの壁を有する。一実施形態において、ガスケット75のすべての壁は、取り外せないように接続されている。壁は、向かい合う上面および底面76、77に取り外せないように継合された外枠を形成するために接続されている。一実施形態において、ガスケットの壁78、79、80、81は、向かい合う上面および底面76、77の周囲に長方形形状の枠を形成する。例えば、図11aにおいて、第1の壁78および第3の壁80は、第2の壁79と第4の壁81との間に垂直に伸長している。
【0160】
ガスケット75の壁は、任意の長さである長さを有する。一実施形態において、壁78、79、80、81は、同じ長さである場合もあるし、異なる長さである場合もある。適切なガスケットは、異なる長さの壁を有する。一実施形態において、第1の壁78の長さL4は約78mmであり、第3の壁80の長さは第1の壁78の長さL4と同じである。第2の壁79の長さL6は約42mmであり、第4の壁81の長さは第2の壁79の長さL6と同じである。
【0161】
一実施形態において、ガスケット75の1つ以上の壁は、上面76を超える高さまで伸長している。一実施形態において、壁78、79、80、81のすべては、表面76、77の上および下の高さまで伸長している。より好ましい実施形態において、第4の壁81は上面76を超えて高さH8まで伸長し、第2の壁79は上面76を超えて高さH12まで伸長し、第3の壁80は上面76を超えて高さH14まで伸長し、第1の壁78は上面76を超えて高さH17まで伸長する。より好ましい実施形態において、上面を超えた側面のそれぞれの高さH8、H12、H14、およびH17は同じである。最も好ましい実施形態において、上面76を超えて伸長する壁81、79、80、78のそれぞれの高さH8、H12、H14、およびH17は同じであり、約2mmである。
【0162】
別の実施形態において、ガスケット75の1つ以上の壁は、底面77より下に伸長する高さを有する。一実施形態において、第4の壁81は底面77より下の高さH9まで伸長し、第2の壁79は底面77より下の高さH13まで伸長し、第3の壁80は底面76より下の高さH15まで伸長し、第1の壁78は底面77より下の高さH16まで伸長する。より好ましい実施形態において、底面77より下に伸長する壁81、79、80、78のそれぞれの高さH9、H13、H15、およびH16は同じであり、約2mmである。
【0163】
ガスケットの表面76および77はいずれも、当該表面上に上昇した隆線である隆起部分を含有する。一実施形態において、上面76および底面77はいずれも隆起した隆線を含む。例えば、適切な隆線85は上面76上に高さH7だけ隆起し、底部77上にも同じ隆線が見られる。一実施形態において、隆線85の高さH7は約0.5mmである。隆線85は連続的であり、長方形の形状である。隆線85は、ガスケットの壁の内側に境界線を形成し、ガスケットの壁から距離D3である。一実施形態において、隆線85のガスケットの壁からの距離D3は約1mmである。隆線85は任意の幅を有する。一実施形態において、隆線の幅W15は約2mmである。いくつかの適切なガスケットにおいては、FOFとガスケットとの間のインデックス機能付近に効果的なシールが形成されることを確実にする、隆線の少なくとも1つの追加機能がある。例えば、隆線85は追加のクロスバー84を有する。クロスバー84は、隆線85の残りの部分と同じ高さおよび幅を有する。ガスケットは、任意の数のクロスバーを有する。
【0164】
本発明において、ガスケットは少なくとも1つのインデックス機能を有する。ガスケットのインデックス機能は、1回だけの配向でFOFがガスケット内に取り付けられるようにFOFを配向するための物理的基礎を提供する。ガスケット内におけるFOFの一貫性のある配向は、FOFの同じ単側が液体への曝露から保護されることを確実にする。インデックス機能は、ガスケットの上面76もしくは底面77、または両方の面76、77に位置する。一実施形態において、ガスケットは、FOFがガスケット内に取り付けられた際にFOFを配向するための物理的基礎を提供する、角度A5で置かれたバンド83を備える、コーナーバリア82である少なくとも1つのインデックス機能を含む。一実施形態において、角度A5は45度である。FOF上に適切なインデックス機能(例えば、コーナーノッチ)およびガスケット上に補完インデックス機能(例えば、コーナーバリア)を有した結果として、FOFのコーナーノッチ13とガスケットのコーナーバリア82が適切に整列されている場合に、FOF1のガスケットへの適正な取り付けが発生する。FOFおよびガスケットが適正に組み立てられている場合、FOF1の研磨面2は常にガスケット75に寄せて置かれ、それにより、研磨面2は酸に曝露されず、エッチングされない。
ガスケットは適切な材料から製造され、当該材料はエッチングプロセスの条件と適合する。一実施形態において、ガスケットは耐酸材料から製造される。ガスケットの製造に適切な材料は、柔軟である。一実施形態において、ガスケットは、柔軟な材料から成る。一実施形態において、ガスケットはシリコーンから成る。
【0165】
B.化学エッチングプロセス
本発明は、FOFの単一表面または側面に反応チャンバを産出するプロセスを提供する。1つの適切なプロセスは化学エッチングであり、化学物質を使用して反応チャンバがFOFにエッチングされる。一実施形態において、酸は、FOFに反応チャンバをエッチングするために使用される化学物質である。さらなる実施形態において、FOFの単一表面をエッチングするためのプロセスでは、保護された表面が化学物質に曝露されず、その結果エッチングされないように、FOFの片面を保護することが必要である。FOFの単一表面をエッチングするための適切なプロセスでは、FOFの片面を化学物質曝露から保護するための装置(例えば、クランプのセットおよびガスケットから成る、上述の装置)を使用する。一実施形態において、図10に概要を示したプロセスを使用して、片面に反応チャンバがエッチングされたFOFが産出される。化学物質曝露の前に、クランプのセットおよびガスケットから成るエッチング装置を使用して、エッチングされていないFOFが組み立てられる。
【0166】
図13は、エッチングされていない2つのFOF1の間に置かれるガスケット75を含む、エッチングプロセスにおいて利用される様々な構成要素の関係を説明する分解図を示す。FOF1の第1の面2はガスケット75の上面76に向かい合うように取り付けられ、FOF1のコーナーノッチ13は、ガスケット75の補完コーナーバリア82と一致する。2つのPEEK製クランプ39は、FOF1とガスケット75とを共にしっかりと保持するため、および、FOFの第1の面2を酸に曝露されることから保護するために、サンドイッチ100の長い方の2つの向かい合った側面に沿って重着される。図12に示すアセンブリ全体を「固定サンドイッチ」と称する。固定サンドイッチ101は、酸浴へ移される。一実施形態において、酸浴は、20%硝酸(w/v水溶液)から成る。化学エッチング反応の時間および条件は、結果として生じる反応チャンバのサイズおよび容積の制御を実現するように調整される。固定サンドイッチは、望ましい深さの反応チャンバを形成できるのに十分な時間、酸浴中に置いたままにする。一実施形態において、55μmの反応チャンバ深さを持つ反応チャンバを産出するためのエッチング時間は、3時間30分である。反応チャンバを製造するプロセスは、広範な適切なサイズのチャンバを提供するように任意のファイバサイズに合わせられる。一般に、チャンバは、酸浴中にFOFを可変量の時間置くことによってファイバの終端に導入される。時間の量は、望ましい反応チャンバの全深に応じて変動する(例えば、Waltら、1996.Anal.Chem.70:1888を参照)。
【0167】
3.RER清浄のプロセス
薄膜コーティングを塗布する前に、アレイ基板から全体的な微粒子状汚染物質をなくし、指紋等の油性汚染物質を比較的なくすために、1枚以上の薄膜コーティングを塗布する前にすべての基板(例えば、エッチングされたFOF)は十分に洗浄される。一実施形態において、FOFは、実施例1で記載するように、反応チャンバを形成するエッチングのプロセスが完了した後、十分に清浄される(図9)。一実施形態において、清浄後、実質的にすべての反応チャンバの底部、上端、または側壁の少なくとも1つは透明薄膜コーティングで被覆され、当該透明薄膜コーティングは、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、光学的に透明で、防水性であるSiO2を含み、当該透明コーティングは非透明コーティングを塗布する前に塗布される。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部、上端、または側壁の少なくとも1つは、非透明薄膜コーティングで被覆され、当該非透明コーティングはクロムまたは銀である。
【0168】
4.アレイを被覆するためのプロセス
アレイ基板の表面に1枚以上の薄膜コーティングを蒸着するために、いくつかの方法が使用される。これらの方法は、熱蒸発、電子ビーム蒸発、スパッタリング、スプレー、および静電プレーティング等の気相および液体蒸着プロセスを含み、透明および非透明薄膜コーティングの両方を蒸着するために使用され得る。一般に、透明および非透明コーティングは別々のステップで塗布される。これらの方法については、以下でさらに詳細に説明する。
【0169】
A.気相蒸着
気相蒸着は、半導体および光学部品産業において広く使用されている方法であり、当該方法用に制御されたプロセスが市販されている。気相蒸着は、透明および非透明コーティングを蒸着するために使用され得る。一実施形態において、存在する場合、透明および/または非透明薄膜コーティングは、気相から、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面へ蒸着される。気相蒸着プロセスは一般に、蒸着された膜材料がその前駆体から化学的に変質する程度に応じて、事実上物理的または化学的であるとして説明される。一実施形態において、存在する場合、透明および/または非透明薄膜コーティングは、スパッタリングまたは蒸発として知られている物理的気相蒸着プロセスを使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着され、薄膜の前駆体である化学試薬は、真空チャンバ内において熱的蒸発される。「成膜前」気相は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部または側面またはアレイの上面を被覆し、薄膜コーティングを形成する。例えば、Plummerら、Silicon VLSI Technology、第9章(Prentice Hall、2000年)を参照されたい。一実施形態において、非金属酸化物は、気相蒸着のスパッタリングまたは蒸発法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。さらなる実施形態において、非金属酸化物SiO2は、スパッタリングまたは蒸発法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される(図1a、1b、および2b)。別の実施形態において、金属は、気相蒸着のスパッタリングまたは蒸発法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。さらなる実施形態において、金属クロムは、気相蒸着のスパッタリングまたは蒸発法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。別の実施形態において、金属銀は、気相蒸着のスパッタリングまたは蒸発法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。
【0170】
化学気相蒸着は、透明および/または非透明コーティングを蒸着するために使用され得る。一実施形態において、存在する場合、透明および/または非透明薄膜コーティングは、2つの化学物質が反応して加熱基板のほうに薄膜コーティングを産出する、プラズマ化学気相成長法(Plasma−Enhanced Chemical Vapor Deposition;PECVD)として知られている化学気相蒸着プロセスを使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面へ蒸着される。PECVDは反応チャンバ内で実行され、当該チャンバ内へガスが注入される。化学反応は一般に摂氏400度で発生し、その結果、薄膜コーティングがアレイに蒸着される。チャンバ内においてプラズマが生成され、所与の温度で化学反応に利用可能なエネルギーを増加させる。PECVDプロセスは、一般に、一度に基板の片側において実行される。例えば、Plummerら、Silicon VLSI Technology、第9章(Prentice Hall、2000年)を参照されたい。別の実施形態において、非金属酸化物は、気相蒸着のPECVD法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。一実施形態において、非金属酸化物SiO2は、PECVD法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される(図1c、1d、および2c)。別の実施形態において、金属は、気相蒸着のPECVD法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。さらなる実施形態において、金属クロムは、気相蒸着のPECVD法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。別の実施形態において、金属銀は、PECVD法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。
【0171】
イオンプレーティング気相蒸着は、透明および/または非透明コーティングを蒸着するために使用され得る。イオンプレーティングプロセスは、一般に、その他の2つの技術、スパッタエッチングおよびイオンビームミキシングの性質を組み込んだものである。イオンプレーティングプロセスにおいて、被覆される基板およびコーティング材料のソースは、低圧ガス環境内の真空チャンバ中に保持される。薄膜コーティングで被覆される前に、基板は「スパッタ清浄」される。エネルギーイオン(帯電した原子)および活性化された不活性ガスの中性原子が基板に衝突して汚染物質を除去する。スパッタ清浄は、極めて反応性の高い、原子的に清浄な表面を産出するため、イオンプレーティングプロセスにとって重要なものである。薄膜コーティング材料は、蒸発され、エネルギー不活性ガス(または反応ガス)原子およびイオンとの相互作用によって強化され、物品の表面に蒸着される。一実施形態において、存在する場合、存在する場合、透明および/または非透明薄膜コーティングは、化学物理混合型プロセスであるイオンプレーティング気相蒸着法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。図3は、イオンプレーティング気相蒸着法の概略図を示す。一実施形態において、非金属酸化物は、気相蒸着のイオンプレーティング法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。一実施形態において、非金属酸化物SiO2は、気相蒸着のイオンプレーティング法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはFOFの上面に蒸着される(図1e、1f、および2d)。別の実施形態において、金属は、気相蒸着のイオンプレーティング法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。さらなる実施形態において、金属クロムは、気相蒸着のイオンプレーティング法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。別の実施形態において、金属銀は、気相蒸着のイオンプレーティング法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される(図23)。
【0172】
B.液体蒸着
透明または非透明薄膜コーティングを塗布するために、多くの液相プロセスが使用される。一実施形態において、存在する場合、透明および非透明薄膜コーティングまたはそれらの前駆体材料は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも底部もしくは側壁またはアレイの上面に液体形態で塗布され、その後当該材料は凝固する。液相プロセスは、物理的もしくは化学的、または何らかの組み合わせである。一実施形態において、存在する場合、透明および非透明薄膜材料は揮発性溶剤中で溶解され、結果として生じた溶液は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布され、当該溶剤を蒸発させ、物理的液相プロセスによって薄膜コーティングを産生する。別の実施形態において、存在する場合、透明および非透明薄膜コーティングは、無機ケイ酸塩または有機シロキサンが適切な溶剤中に溶解されるゾルゲルプロセスによって形成され、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布されることができる。乾燥時または加熱時に、低分子量ケイ酸塩/シロキサンは化学縮合反応を受けて、化学物理混合型液相プロセスにより、ガラス状膜に重合する。
【0173】
液相蒸着によって蒸着された透明および非透明薄膜コーティングは、様々な手法で実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布される。一実施形態において、アレイ基板は、コーティング溶液中に浸され、基板の引き揚げの速度および角度によって制御された厚さで液体コーティングを残す、制御された方式で引き揚げられる。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの上端または側壁またはアレイの上面に薄膜溶液が塗布され、次いで液体を均等に広げてあらゆる過剰分を除去するためにスピンされる、スピンコーティングによって液体が塗布される。別の実施形態において、薄膜溶液は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの上端もしくは側面またはアレイの上面にスプレーされ、液滴の合体により、透明または非透明薄膜コーティングが産出される。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面を透明または非透明薄膜で被覆するために、キャピラリーコーティングとして知られている技術が使用される。キャピラリーコーティングは、薄膜溶液に部分的に浸漬された回転シリンダの使用を包含する。基板は、シリンダにメニスカスが形成されるようにシリンダ近くへ移動され、当該シリンダは、基板が平行移動するのと同じ速度で回転する。
【0174】
本発明は、上面と底部とを有するアレイの表面に、透明または非透明薄膜コーティングを蒸着するためのプロセスを提供する。一実施形態において、本発明は、実質的にすべての底部および側壁ならびにアレイの上面に、透明または非透明薄膜コーティングを蒸着するためのプロセスを提供する。本発明は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの側壁もしくは底部またはアレイの上面に、透明または非透明薄膜コーティングを蒸着するためのプロセスも提供する。例えば、本発明は、反応チャンバの側壁に透明または非透明薄膜コーティングを蒸着し、反応チャンバの底部には同じ薄膜コーティングを蒸着しない方法を提供する。一実施形態において、反応チャンバの底部が影エリアにあることにより、反応チャンバの底部はコーティングプロセス中保護され、被覆されない(すなわち、反応チャンバの側壁によってコーティングがブロックされ、そのため、反応チャンバの底部に蒸着されない)。例えば、図15aは、側壁が影を作成し、それによって、反応チャンバの底部にある影エリアに金属が蒸着されないように、反応チャンバの底部にある影エリアを保護している反応チャンバを図示している。一実施形態において、本発明の方法は、透明または非透明薄膜コーティングが蒸着される場所を制御するために、反応チャンバの側壁によって作成された影と、傾斜角度でのアレイの回転とを利用する。別の実施形態において、透明または非透明薄膜コーティングを蒸着するプロセス中、アレイ基板はスピンしている。アレイ基板をスピンさせることにより、薄膜コーティングを均一に蒸着させることが可能になる。
【0175】
実質的にすべての反応チャンバの側壁およびコーナーエリアならびにアレイの上面に金属を蒸着するプロセスのための設定を、図15aに図示する。当該プロセスは、キャリアに取り付けられたアレイ基板を傾斜させること、またはある角度に曲げること、ならびに、基板をモーターで回転させることを伴う。アレイ基板が回転すると、薄膜コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびコーナーエリアならびにアレイの上面に蒸着され、コーティングの不在によって反応チャンバの底部の中心付近に開口を作成するような底部の中心には、薄膜コーティングは無い。回転している基板の傾斜角度を変化させることにより、薄膜コーティングは、例えば異なる形状、厚さの勾配、または2つのコーティングの重複等、異なるパターンでアレイ基板上に蒸着されることになる(図15a)。
【0176】
一実施形態において、本発明のプロセスは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面の表面全体上に透明または非透明薄膜コーティングを蒸着し、例えば、実質的にすべての反応チャンバの底面は、薄膜で完全に被覆される。
【0177】
別の実施形態において、透明または非透明薄膜コーティングは、底部と側壁との間の接合部にコーナーエリアが形成されるような、反応チャンバのコーナーエリアに蒸着される。実質的にすべての反応チャンバの底部の中心にはコーティングが無く、開口を形成するように、薄膜コーティングは底部に部分的に蒸着され、反応チャンバの側壁に部分的に蒸着されている(図16)。一実施形態において、基板が保持される角度(すなわち、傾斜角度)は、開口のサイズを制御するために調整され得る(図15a)。反応チャンバの底部にコーティングの無い部分があるようなコーナーエリアにおける非透明薄膜コーティングの部分的蒸着は、例えばアレイが分析(例えば、DNAシーケンス決定)に使用される場合に、隣接する反応チャンバ間の光流出をさらに排除し、繊維ストランドへ方向付けられたあらゆる光ビームを抑止する。
【0178】
一実施形態において、本発明のプロセスは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面の表面の一部に、不透明な非透明薄膜コーティングを部分的に蒸着するため(すなわち、被覆するため)に使用され、例えば、実質的にすべての反応チャンバの底部は、薄膜で部分的に被覆されている。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部の少なくとも80%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部の少なくとも60%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部の少なくとも40%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部の少なくとも20%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部の少なくとも10%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。
【0179】
別の実施形態において、不透明な非透明薄膜コーティングは、光ファイバフェイスプレート上にある実質的にすべての反応チャンバの側壁に塗布される。非透明コーティングは側壁の表面全体を完全に覆う場合もあるし、非透明コーティングは側壁の表面を部分的に覆う場合もある。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の少なくとも80%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の少なくとも60%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の少なくとも40%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の少なくとも20%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の少なくとも10%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。
【0180】
別の実施形態において、底部コーナーエリアおよび側壁コーナーエリアの不透明な非透明部分的コーティングは、光学的障害物を産出し、クラッディング材料を介した光散乱を排除し、不透明な第2のコーティングで覆われていない底部を光が通り抜けることを可能にする。
【0181】
透明または非透明薄膜を蒸着するための方法は、基板上に見られる特徴、例えば境界柱またはカラム構造に薄膜コーティングを塗布するためにも使用され得る。当該方法は、反応チャンバの底部上の、境界柱またはカラム構造の間の空間を被覆するためにも使用される。柱のパターンは、底部において異なる影パターンを産出する。
【0182】
図18に示すように、ソース(例えば、金属イオン源)のサイズがコーティング用の基板の表面と比較してかなり小さい場合、蒸着プロセス中に角度効果が発生し得る。角度効果とは、透明または非透明薄膜コーティングプロファイルが、アレイ基板上の異なる場所においては可変である(すなわち、均一でない)ことを意味する。角度効果は、均一に被覆されていない反応チャンバを持つアレイを産出する。図18Aは、基板の一端に位置する3つの反応チャンバのコーナーエリアに蒸着されているコーティングを示し、図18bは、同じアレイ基板の他端に位置する3つの反応チャンバの底部に蒸着されているコーティングを示す。角度効果を排除するための方策としては、ソースと被覆される基板との間の距離を増加させること、蒸着中に基板全体をシフトさせ走査するためにシャドウマスクを基板の正面に置くこと、ソースと基板との間にシャッターを導入すること、または、シャッター(開口)のサイズを縮小することが挙げられる。図19aは、基板の選択されたエリア(例えば、「金属被覆ゾーン」)にコーティングを方向付けるのを支援し、角度効果を排除するための、蒸着プロセス中におけるシャドウマスクの使用を示す。シャドウマスクは、イオン源と基板との間に置かれ、基板から任意の距離に位置付けられ得る。図19bは、基板の選択されたエリア、つまり金属被覆ゾーンに金属コーティングを方向付けるのを支援するための、蒸着プロセス中におけるシャッターの使用を示す。
【0183】
本発明の一実施形態は、複数の反応チャンバを含有する上面を持つ基板に、非透明薄膜コーティングを蒸着するためのプロセスであって、各反応チャンバは底部および側壁から成り、非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明であり、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着されるプロセスを含む。当該プロセスは、(a)基板をある角度で基板キャリアに取り付けるステップと、(b)取り付けられた基板を真空チャンバ内でスピンさせるステップと、(c)実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または基板の上面に、非透明コーティングを蒸着するステップと、(d)基板を真空チャンバから除去するステップと、(e)非透明基板で被覆された基板を、基板キャリアから取り外すステップと、を伴う。一実施形態において、当該プロセスは、光ファイバフェイスプレートである基板に非透明コーティングを蒸着するために使用される。別の実施形態において、当該プロセスは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁に、または、非透明コーティングが塗布される前に実質的にすべての反応チャンバの1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面を透明コーティングで既に被覆されたアレイの上面に、非透明コーティングを蒸着するために使用される。別の実施形態において、当該プロセスは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁に、または、その実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面を、光学的に透明で、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、防水性である透明薄膜で被覆されたアレイの上面に、非透明コーティングを蒸着するために使用される。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に透明コーティングが塗布される前に、非透明コーティングで被覆される。
【0184】
一実施形態において、角度のある金属蒸着のプロセスでは、角度のある治具および治具キャリアアセンブリを使用する。図15aは、治具の基板キャリアに取り付けられた反応チャンバを含有する、光ファイバフェイスプレートの側面図を示す。回転および角度のある治具アセンブリを図15bに示す。光ファイバフェイスプレートは、ある角度(「傾斜角度」)で保持され、非透明コーティング、例えば金属がソースから蒸発されて、各反応チャンバの側壁およびコーナーエリアならびにアレイの上面に蒸着される間、回転される。金属蒸着チャンバにおいてプロセス全体が実行され、回転ディスクは、10rpm未満で回転できる真空適合モーターによって駆動され得る。
【0185】
C.品質管理
コーティングプロセスが完了した後、多数の異なる技術を使用して、結果として生じた薄膜コーティングが評価される。無傷の薄膜コーティングの存在を検出し、被覆されたアレイの性能を評価するために、直接的方法および機能的方法の両方が使用される。本発明の一態様において、アレイ上のコーティングは均一である。最初に、全体的なあらゆる欠陥を検出するために、顕微鏡を使用して、膜で被覆された各アレイを視覚的に検査することで構成される、視覚的な品質管理検査が実行される。コーティング中の小さい穴(「針穴」)は、当該コーティングが質の悪いものである事を示している。いくつかの実施形態において、底部が部分的に被覆されている場合、強度を減少させることなく光がチャンバの中心を通過できることを確実にするために、反応チャンバ底部の中心からはいかなる非透明コーティングも取り除かなくてはならない。部分的に被覆された底部の上に形成された開口の直径は、蒸着プロセスにおいて使用された傾斜角度が正しいか否かを判定するために測定され得る。一実施形態において、反応チャンバの底部上の部分的なコーティングによって形成された開口の直径は、約28ミクロンである。別の実施形態において、コーティングがコーナーエリアに塗布された際に形成されたリングの幅は、約8.5ミクロンである(図16b)。いくつかの実施形態において、隣接するチャンバに光が漏れないように、反応チャンバのコーナーエリアが非透明コーティングで均一に被覆されていることが重大である。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバのコーナーエリアにおける非透明コーティングの厚さは、少なくとも500オングストロームである(図16a)。
【0186】
第2に、薄膜で被覆されたアレイについて、走査電子顕微鏡法(Scanning Electron Microscopy)つまり「SEM」分析が実行される。SEM分析は、透明および非透明コーティング両方の品質を判定するために使用される主要分析方法である。一般に、薄膜で被覆された表面および調製された断面の両方のSEM画像が収集され分析される。表面画像は、薄膜で被覆された表面の全体的な形態のみならず、欠陥およびコーティングの損傷についても分析され、一方、断面は厚さを測定される。選択したアレイも、化学反応またはバイオアッセイにおいて使用される、および反応チャンバに含有される成分により、あらゆる潜在的効果について評価される(例えば、薄膜コーティングは、「偽」PCR条件の前後に調査される。実施例3参照)。薄膜コーティングの厚さが測定され得る。一実施形態において、SEMは、薄膜コーティングの厚さを決定するために使用される。別の実施形態において、薄膜コーティングの厚さは、サファイア切り取り試片(Corion Division社、マサチューセッツ州フランクリン)をバッチに追加することによって測定され、その光線透過率における波長依存性を測定することによってコーティングプロセスが完了した後に、薄膜(例えば、SiO2)厚さを決定する。コーティングの厚さの次には、アレイ上に追加機能を産出するために、より厚い薄膜蒸着のための電気メッキも行われる。
【0187】
薄膜で被覆されたアレイは、PCR誘導シーケンスバックグラウンドに対する薄膜コーティングの効果およびシーケンス結果の全体的品質を判定するために、特定の用途、例えばDNAシーケンス決定用のそれらの性能に関して「機能的」にも評価される。そのような機能性テストにより、アレイ基板全体にわたる単一のチャンバの解像度という利点を提供することができる。実施例4および図4を参照されたい。同じアレイ上の被覆された反応チャンバと被覆されていない反応チャンバからの、2つの隣接する反応チャンバにおけるDNAシーケンス決定反応中に生成された光強度を比較すると、非透明コーティングが2つの隣接するチャンバ間における光流出を削減するのを支援できることを示した(実施例6および図24a〜bを参照)。
【0188】
5.アレイの使用方法
薄膜で被覆されたアレイは、それらの反応チャンバ内に、多数の異なる反応物質および検体を含有する。一実施形態において、薄膜で被覆されたアレイの各反応チャンバは、核酸またはタンパク質を分析するための試薬を含有する。一般に、(アレイ内のすべての反応チャンバが必要とするわけではない)核酸を含有するそれらの反応チャンバは、単一種の核酸(すなわち、所望の単一の配列)のみを含有する。任意の特定反応チャンバ内には、この種の核酸の単一の複製物があってもよいし、複数の複製物があってもよい。一実施形態において、反応チャンバは、核酸テンプレート配列の少なくとも100,000の複製物を含有する。別の実施形態において、反応チャンバは、少なくとも1,000,000の複製物を含有する。さらなる実施形態において、反応チャンバは、2,000,000乃至20,000,000の複製物を含有する。別の実施形態において、反応チャンバは、核酸の5,000,000乃至15,000,000の複製物を含有する。例えば、本発明の装置がパイロシーケンス反応に使用されるものである場合、当業者であれば、任意の1つの反応チャンバにおける核酸種の複製物の数の変化は、パイロシーケンス反応において生成される光子の数に影響を及ぼし、大体要求されるとおりの光子信号を提供するよう日常的に調整されることを十分に理解するであろう。一実施形態において、核酸種は、PCR、RCA、リガーゼ連鎖反応、その他の等温増幅、または、その他従来の核酸増幅の手段を使用して、望ましい数の複製物を提供するために増幅される。一実施形態において、核酸は一本鎖である。
【0189】
薄膜コーティングは、強化された適合性および機能性をアレイに提供する。アレイ不適合による問題に遭遇した1つの特定のアッセイは、核酸分子の解析、特に、PCR増幅された核酸のピロリン酸塩シーケンス(PyrophosPhate Sequencing;PPS)である。一実施形態において、薄膜で被覆されたアレイは、PCR増幅された核酸のPPSにおいて遭遇した困難を克服するために使用される。PPS法は、米国特許出願番号第10/767,779号の方法に従って使用される。米国特許第4,863,849号および米国特許第4,971,903号も参照されたい。増幅が実行され、同じ反応チャンバ内において続けてシーケンス決定が行われた場合、「バックグラウンド」信号が観察される。このバックグラウンドのソースは、広範囲にわたる洗浄後であっても持続するような、FOFの反応チャンバに強く結合したままの遊離ピロリン酸塩(PPi)である。したがって、溶液相PCRを実行すること、FOFを洗浄すること、FOFにDynal社製スルフリラーゼ(S)およびルシフェラーゼ(L)ビーズ(Fisher Scientific社、ペンシルバニア州ピッツバーグ)を装填すること、ならびに、(初期のピロリン酸塩流動に正規化された)信号を測定することを伴う「バックグラウンド」アッセイが開発された。PPSにおけるバックグラウンドノイズの削減は、所与の信号レベルにおいて、より優れたシーケンス結果をもたらすか、または、より低い信号レベルで同等のシーケンス結果を得ることを可能にするであろう(実施例5)。
【0190】
マイクロウェルアレイの反応チャンバにおける薄膜コーティングは、図4に示すように、PCR誘導シーケンスバックグラウンドを大幅に削減することができる。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つもしくは側壁またはFOFの上面上の、0.1〜5.0ミクロンの厚さを持つSiO2の薄膜コーティングは、PCR誘導シーケンスバックグラウンドを大幅に削減し、図5に示すように、被覆されていないアレイにおいて得られるのと同じシーケンス結果を提供する。
【0191】
本発明は、アレイを使用して核酸の配列を決定するための方法であって、本明細書に記載された実施形態いずれか1つのアレイ上にある複数の反応チャンバ内に蒸着された複数の一本鎖核酸テンプレートを提供するステップと、効果的な量のシーケンスプライマーを核酸テンプレートにアニールし、所定のヌクレオチド三リン酸が前記シーケンスプライマーの3’末端に組み込まれた場合にシーケンス反応副産物が産出されるようなシーケンス産物を産生するために、ポリメラーゼおよび所定のヌクレオチド三リン酸でシーケンスプライマーを伸長させることにより、実質的にすべての反応チャンバにおいてピロリン酸塩シーケンス反応を同時に実行するステップと、シーケンス反応副産物を識別し、それによって各反応チャンバ内の核酸の配列を決定するステップと、を含む方法を含む。
【0192】
本発明の別の態様は、核酸配列を解析するための装置である。当該装置は、送出チャンバであって、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つのアレイを備えるチャンバと、試薬送出チャンバと連通している試薬送出デバイスと、試薬送出チャンバと連通している撮像システムと、撮像システムと連通しているデータ収集システムと、を備える。
【0193】
実施例
以下の実施例は、本発明の特徴、利点、およびその他の詳細をさらに説明するために選択されたに過ぎない。しかし、実施例はこの目的を果たすものであるが、特定の条件および詳細が、本発明の範囲を過度に制限するものとして解釈されるべきでないことを明確に理解すべきである。
【0194】
実施例1:一般的なエッチングプロセスおよびRER清浄手順
本実施例は、シリコンエッチングガスケットおよびPEEK(Poly Ether Ether Ketone;ポリエーテルエーテルケトン)プラスチッククランプを使用する、サイズ25×75mmまたは40×75のFOF(Incom Corporation、マサチューセッツ州チャールトン)の、一般的な片側エッチングプロセスを説明するものである(図11aおよび11b)。PicoPure(商標)浄水ユニット(「PicoPure水」)からのBranson社製超音波浴用の蒸留水(Fischer Scientific社、ニューハンプシャー州ハンプトン)から、10分間ガスを抜いた。NesLab再循環器(ニューハンプシャー州ポーツマス)を57.2℃に設定した(この設定時、超音波浴内の水は55℃の一定温度に維持した)。4つのステンレス鋼容器に蓋をし、超音波浴内に置いた。各容器に1000mL(25×75mmのFOF)および1200mL(40×75mmのFOF)の20%HNO3を充填し、55℃まで温めた。4つのエッチングトレイの96箇所のそれぞれに、96個のエッチングされていないFOFを装填した。指定のFOFを選択し、秤量した。反応チャンバ深さによる重量損失を相互に関連付けるために、エッチング前後におけるFOF重量の差異をプロットした。
【0195】
シリコンガスケット(図13)を2つのFOFの間に位置付け、各FOFの研磨面がガスケットの方を向き、ガスケットの縁内にあるよう、それぞれを適正に整列させることによって、エッチングされていないFOFの対を組み合わせた。FOFのコーナーノッチを、ガスケット上のコーナーバリアと整列させた。2つのFOFおよびガスケットを共に垂直に保持し、共にプレートを圧迫するために、第1のPEEK製クランプを重着した。最底部クリップから開始して、FOFの長端面の中心まで、クランプを留めた。第2のPEEK製クランプを適用した。完成した「固定サンドイッチ」を図12に示す。エッチングされていない残りのFOFを組み合わせ、上述のようにして固定した。次に、4つのステンレス鋼ラックのそれぞれに、12の固定サンドイッチを位置付けた。HNO3の温度が55℃に到達すると、超音波浴をオンにし、その他3つのステンレス鋼容器の蓋を除去した。FOFを保持している4つのステンレス鋼ラックのそれぞれを、55℃の酸の中へ移した。FOFを55℃酸浴中に保った。FOFのエッチング速度は、約0.245μm/分であった。FOFを浴中にとどめておく時間の長さは、望ましい反応チャンバ深さによって決まる。例えば、エッチング時間が3時間44分のとき、反応チャンバの深さは55μmとなった。
【0196】
エッチングされたFOF(すなわち、FOF)を酸浴から除去し、1.0LのPicoPure水で満たしたステンレス鋼容器内に直接置いて、5分間超音波照射した。水を廃棄し、容器を1.0LのPicoPure水で満たし、さらに5分間超音波照射した。すすぎ水からFOFを除去し、PEEK製クランプおよびシリコンガスケットをFOFの各対から係脱した。
【0197】
エッチング後検査を完了するために、指定のFOFを再度秤量し、エッチングによる重量の変化を記録した。顕微鏡を使用して、光透過が低下した個々のファイバの数の計数(「ダークファイバ計数」)を実行した。
【0198】
エッチングされたFOFに、RCAクリーナーおよびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を使用する5ステップのRER清浄手順(「RER清浄手順」)を行った。「RCA」は、水酸化アンモニウム(NH4OH)と過酸化水素(H2O2)の溶液の略語である。RCAクリーナーを調製するために、1.0LのNH4OHおよび1.0LのH2O2をドラフト中で組み合わせ、磁気攪拌棒を使用して溶液を混合した。同じロットからの96個のFOFを、ガラススライドラックに入れた。
【0199】
ステップ1―第1のRCA洗浄
NH4OHとH2O2の1:1溶液を組み合わせてRCAクリーナーを調製した。25×75mmFOFについては、200mLのRCAクリーナーをガラス染色皿(Fisher Scientific社、ペンシルバニア州ピッツバーグ)のそれぞれに添加した。40×75mmFOFについては、200mLのRCAクリーナーをポリプロピレン染色皿に添加した。6つの染色皿をOcelot Rotator(Boekel Scientific社、ペンシルバニア州フィースタービル)の1つの回転炉の容器に入れ、その他の皿をその他の回転炉に置いた。振動速度をCに設定した。30分後、RCAクリーナーを処分した。10個のFOFの各セットを、200mLのPicoPure水で5回すすいだ。
【0200】
ステップ2―第1のEDTA洗浄
各染色皿にEDTA(200mL)を添加した。6つの皿を回転炉の1つにある容器に入れ、他4つの皿をその他の回転炉にある容器に入れた。振動速度をCに設定した。30分後、EDTAを処分した。10個のFOFの各セットを、200mLのPicoPure水で5回すすいだ。
【0201】
ステップ3―第2のRCA洗浄
RCAクリーナー(1:1のNH4OHとH2O2)の新しい溶液を調製し、染色皿のそれぞれに200mLのRCAクリーナーを添加した。6つの皿を回転炉の1つにある容器に入れ、他4つの皿をその他の回転炉にある容器に入れた。振動速度をCに設定した。30分後、RCAクリーナーを処分した。10個のFOFの各セットを、200mLのPicoPure水で5回すすいだ。
【0202】
ステップ4―第2のEDTA洗浄
各染色皿にEDTA(200mL)を添加した。6つの皿を回転炉の1つにある容器に入れ、他4つの皿をその他の回転炉にある容器に入れた。振動速度をCに設定した。30分後、EDTAを処分した。10個のFOFの各セットを、200mLのPicoPure水で5回すすいだ。
【0203】
ステップ5―FOFを超音波照射する
NesLab再循環器に適切な量の水を充填し、温度点を40℃に設定し、低温アラームを5℃、高温アラームを100℃とした。清浄溶液の良好な流動を可能にするため、ステンレス鋼ラック(Fisher Scientific社、ペンシルバニア州ピッツバーグ)にFOFを入れ、1つおきのスロットにFOFを装填した。満たしたラックを、5%Contrad(登録商標)溶液で満たしたポリプロピレン鍋に入れ、溶液でFOFを完全に覆った。5%Contrad(登録商標)溶液は、1000mLの脱イオン水を50mLのContrad(登録商標;Fisher Scientific社)と組み合わせて調製した。次いで、当該鍋をHDPE(High Density PolyEthylene;高密度ポリエチレン)カバーで覆った。再循環器の温度が40℃に到達すると、FOFを含有する2つのポリプロピレン鍋を水中に浸した。FOFに90分間超音波照射し、その後、超音波照射器から除去した。鍋からラックを除去し、Contrad(登録商標)溶液を排出した。ポリプロピレン鍋をPicoPure水で満たした。ステンレス鋼ラックを鍋に戻し、FOFを2回すすいだ。鍋にPicoPure水の3回目の補充を行い、Ocelot Rotatorに取り込んで速度Cで回転させた。5分後、FOFを水で2回すすいだ。FOFを錫箔で覆い、ステンレス鋼ラック内で乾燥させた。
【0204】
実施例2:イオンプレーティング蒸着法を使用したFOFコーティング
薄膜コーティング直前にFOFを清浄した。使用した洗浄剤は、Contrad(登録商標)であった。Branson社製超音波照射器を40℃に設定した。2つのFOFをFalconチューブに戻し、40〜45mLの5%Contrad(登録商標)溶液をチューブ内に添加して、キャップを閉めた。当該チューブを超音波照射器に装填し、90分間超音波照射した。FOFをチューブから除去し、新しい脱イオン水で十分にすすぎ、新たなFalconチューブに移して脱イオン水で満たした。洗浄溶液をシンク内で処分し、FOFを4℃の脱イオン水中に保った。
【0205】
清浄後、化学的にエッチングされたFOFを薄膜SiO2コーティングで被覆するためのイオンプレーティングプロセスを実行した。被覆するFOFを、電気的に絶縁された加熱シリコンターゲット、アルゴンプラズマ源、および酸素源と共に、真空チャンバ内の電気的に絶縁された保持器に置いた。アルゴンプラズマ源に点火し、それによってFOF上に全体的な負電荷を生成した。加熱ターゲットの蒸発によってシリコン蒸気を産出させ、アルゴンプラズマと反応させ、正に帯電したSiO2種を形成するために酸素とも反応させた。これらのSiO2種は、負に帯電したFOFを引き付けるものであり、エネルギー的に凝結してガラス状の非構造化SiO2膜を形成する。膜形態および均質性は多くのプロセス変数の複合関数であるが、チャンバ内における曝露時間によって膜厚を正確に制御した。図1および2を参照されたい。
【0206】
実施例3:透明薄膜で被覆されたFOFの「偽」PCR条件への曝露
SiO2で被覆されたエッチング加工済みのFOFを(PCR熱曝露に近似させる)温度で脱イオン水に曝露させ、以下の手順に従って表面および断面両方のSEM画像のコーティングの損傷の兆候を調査することにより、透明薄膜で被覆されたエッチング加工済みのFOFの環境ロバスト性をテストした。1ミリリットルの1×HiFi PCR緩衝液(Invitrogen社、カリフォルニア州カールズバッド)を調製した。薄膜エッチングされたFOFを組織の上に置き、セルスクレーパーを使用して過剰な水を除去した。FOF表面の上に400μLの緩衝液をすばやく添加し、セルスクレーパーで溶液を均等に広げた。1分後、過剰な溶液を除去した。400μLの緩衝液を添加した後に溶液を除去する手順を繰り返した。FOFを直ちに自家増幅デバイス(「AMP治具」)(454 Life Sciences社、コネチカット州ブランフォード)内に置き、シリコンゴム版および泡で覆い、Leamonら、Electrophoresis 24:3769−3777(2003年)に記載されているように、AMP治具ねじを堅く締めた。AMP治具をThermocycler MJ PTC 225 Tetrad(MJ Research社、マサチューセッツ州ウォルサム)に装填し、サーモサイクリングプログラムを実行した。温度プロファイルの詳細は、以下の通りであった:総実行時間は4.5時間、1)40のショートサイクル:94oC:15秒;58oC:15秒;68oC:15秒、2)さらに10のロングサイクル:95oC:30秒;58oC:10分。全部で80サイクル、手順を繰り返した。サーモサイクリングの後、FOF表面を新しい水ですすいだ。窒素フローで表面を乾燥させ、光学顕微鏡法およびSEM分析によってSiO2コーティングを測定した。SEM分析は破壊的技術であるため、同じ薄膜エッチングされたFOFの「前」および「後」分析は実行できない。しかしながら、上記の「偽PCR」手順の後にSEMによって調査された、すべての薄膜エッチングされたFOFは、FOF上のSiO2コーティングへの明らかな損傷を示さなかった。
【0207】
実施例4:PCR誘導シーケンスバックグラウンドの評価
1mLのLuerLock(登録商標)注射器(20Gl)(Becton Dickinson社、ニュージャージー州フランクリンレイクス)に525μLのPCR溶液(1×プラチナHiFi緩衝液(Invitrogen社、カリフォルニア州カールズバッド))、2.5mMのMgSO4、0.5%BSA、1mMのdNTP(MBI Fermentas社、メリーランド州ハノーバー)を充填し、注射針を自家装填デバイス(「装填治具」)(454 Life Sciences社、コネチカット州ブランフォード)に接続した。dNTPとは、4つのデオキシヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)をいう。SiO2で被覆したエッチング加工済みのFOFを、脱イオン水浴から除去し、実験台に置き、セルスクレーパーを使用して、FOF表面から過剰な水を除去した。4つのプラスチッククリップで、装填治具上にすばやくFOFを組み立てた。注射器を前方へ押すことにより、流体チャンバを上までPCR溶液で満たした。3分後、反応チャンバ内に溶液を拡散させた。プランジャを後方へ引き、装填治具を分解した。FOFを直ちにAMP治具内に置き、シリコンゴム版および泡で覆った。治具ねじを適所に置き、堅く締めた。治具アセンブリをThermocyclerに装填し、サーモサイクリングプログラムを実行した。温度プロファイルの詳細は、以下の通りであった:総実行時間は4.5時間、1)40のショートサイクル:94oC:15秒;58oC:15秒;68oC:15秒、2)さらに10のロングサイクル:95oC:30秒;58oC:10分。
【0208】
サーモサイクリングの後、AMP治具を開き、FOFを除去して、50mLの脱イオン水を含有する50mL Falconチューブ(Becton Dickinson社、ニュージャージー州フランクリンレイクス)内に置いた。次いで、当該チューブをClay Adams(登録商標)Nutator Mixer上に位置付け、PCR産物を溶解するために20分間章動させた。章動とは、発泡させずに均一な混合を確実にすることができる、穏やかな軌道運動である。BSA(Bovine Serum Albumin;ウシ血清アルブミン)を用いた50mLのAssay Buffer(「AB」)内にFOFを移した。ABは、トリシンおよび酢酸マグネシウムを含有する緩衝溶液である。以下の例(実施例5)に記載するPCRシーケンス解析のために、結果として生じた溶液を収集した。
【0209】
ビーズ混合物(Bangs社製ビーズ175μL+Dynal社製ビーズ175μL)を調製し、700μLの脱イオン水で希釈した。Bangs社製ビーズは固定化したスルフリラーゼおよびルシフェラーゼ酵素を担持するミクロスフィアであり、Dynal社製ビーズはルシフェラーゼおよびスルフリラーゼの結合酵素を担持する磁気ビーズである。13.2μLのビーズ混合物を含有する19の接着パッド(3M VHS社、ミネソタ州セントポール)をそれぞれ使用して、入口穴をシールした。次いで、Allegra 6R Centrifuge(Beckman Coulter社、カリフォルニア州フラートン)を使用して2000rpmで8分間、FOFをスピンさせた。バックグラウンド実行をし、1)洗浄5分;2)PPi2分;3)洗浄10分;4)PPi2分;および5)洗浄5分で、総時間は24分であった。実行後、Kangarooソフトウェア(454 Life Sciences社、コネチカット州ブランフォード)を使用して、痕跡分析を実行した。生の計数から500を減じて、調整された計数を得た。被覆されていないFOFおよびSiO2で被覆したFOFの両方について手順全体を繰り返し、バックグラウンド比較を行った。
【0210】
実施例5:PCRシーケンス結果
PCR結果の妥当性については、被覆されていないFOFとSiO2で被覆したFOFとを一組とし、実施例5における分析のために収集された溶液を使用して同時にテストした。各溶液(SiO2で被覆したアレイおよび被覆されていないアレイの両方について)を、脱イオン水で希釈することによって2倍にした。次いで、iCycler(登録商標)RealTime PCRユニット(Bio‐Rad社、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して、それぞれの中のPCR産物を定量した。蛍光測定を使用し、増幅産物の量を決定した。最後に、PCR後における反応チャンバごとの分子の数を算出した。当該数の正常範囲は、103〜109次数である。結果を以下の表2に示すが、これらの結果は106〜108の範囲内であり、許容可能である。SiO2で被覆されたFOFはすべて、被覆されていないFOFと比較して同等レベルのPCR産物を産出した。
【0211】
【表2】
実施例6:隣接する反応チャンバにおける光強度のプロファイルの比較
FOFアレイ(40×75mm)を調製し、当該アレイの第1の半分を2つのコーティング、つまり非透明コーティングと透明コーティングで被覆し、当該アレイの第2の半分を透明コーティングのみで被覆した。アレイの両半分の反応チャンバ内でDNAシーケンス反応を行い、生成された光強度を比較した。
【0212】
アレイの第1の半分に非透明なアルミニウム金属コーティングを塗布し、次いで、アレイの第1の半分へのアルミニウムコーティングの上に、透明なSiO2コーティングを塗布した。アレイの上面および反応チャンバの側壁にアルミニウムコーティングを塗布し、底部の中心付近に金属コーティングによって形成された直径が28.77ミクロンとなるように、反応チャンバのコーナーエリアには部分的に塗布した。アレイの上面上で測定したアルミニウムコーティングの厚さは、200nmであった。金属コーティングを塗布している間、アレイの第2の半分をシャドウマスクによって保護した。金属コーティングを塗布した後、アレイの上面、ならびに、アレイの第1および第2の半分両方の反応チャンバの底部および側壁に、透明なSiO2コーティングを塗布した。
【0213】
米国特許出願番号第10/767,779号に記載されているようなPCR増幅核酸のピロリン酸塩シーケンス反応を、アレイの両半分に位置する反応チャンバ内で行った。図24aおよび24bは、これらの実験の結果を示す。
【0214】
図24aにおいて、2つの矢印は、アレイの第2の半分に位置する2つの隣接する反応チャンバの中心点を示している。これら2つの隣接する反応チャンバの中心点は、それぞれ画素番号5および画素番号2である。一方の反応チャンバ(画素番号5)にテストフラグメント10DNA(「TF10」)を含有させ、他方のチャンバ(画素番号2)にはテストフラグメント12DNA(「TF12」)を含有させた。ヌクレオチド流出順序43でシーケンスプロセスを行った。ヌクレオチド流出順序は、DNAシーケンスマシン(例えば、454 Sequencer 1.0)を通過する溶液の流れへの特定のヌクレオチドの注入として定義される。DNAシーケンス決定プロセス中、一連の特定ヌクレオチド溶液が溶液の流れの中に注入され、各注入にはフロー番号が与えられる。ヌクレオチド流出順序43では、TF10DNAは5つの多重DNA組み込みを受け、反応チャンバ内において高い強度の光を産出した。同じヌクレオチド流出順序において、TF12DNAはDNAの組み込みを受けず、高い強度の光は産出されなかった。
【0215】
曲線1は、2つの隣接する、SiO2で被覆されたチャンバの中心点と交差する6つの画素(番号1〜6)のプロファイルを示す。例えば、画素番号1は、TF12チャンバの中心から上流方向にオフセット1画素である第1の画素であり、画素番号2は、画素番号1から下流方向に右へ1画素である。画素番号1から6にかけて、2つのチャンバ(TF10およびTF2)の中心を下流方向に通過させる走査経路を引くことができる。画素番号3は、TF12チャンバ内に位置し、当該チャンバ内においてはDNA組み込みがないため、理論上、TF12チャンバは何の信号も出さないはずである。しかしながら、TF12チャンバ内の画素番号3において、TF12チャンバへ光子を流出させた隣接するTF10チャンバからの光による、光の強度の増大が観察された。
【0216】
比較のために、金属で被覆されたアレイの第1の半分について、同じTF10およびTF12DNAフラグメントを各チャンバに1つ含有する、金属で被覆された隣接する2つのチャンバにおいてシーケンス反応を行い、同じヌクレオチド流出順序43でシーケンス決定プロセスを行った。曲線3で示されるような金属で被覆されたチャンバ内で画素番号3において観察された信号は、非線形で、アレイの第1の半分上のSiO2で被覆されたチャンバにおいて測定された信号よりも小さく、したがって、金属で被覆された不透明の側壁が、金属で被覆された2つの隣接するチャンバ間における光子の光流出を削減することを示す。
【0217】
図24bは同じ実験の結果を示すものであるが、シーケンス反応はヌクレオチド流出順序35で行った。このヌクレオチド流出順序では、TF10は4つのDNA組み込みを受け、ここでも画素番号3において、金属で被覆されたアレイの第1の半分において光流出が削減されたことにより、信号は、アレイの第2の半分と比較して少ない。
【0218】
実施例7:SiC2薄膜で被覆されたマイクロウェルアレイ
一実施形態において、アレイは、個々の反応チャンバを産生するために酸で単側を化学的にエッチングされた市販のFOF(Incom社、マサチューセッツ州チャールトン)から形成される。エッチングによって形成された各反応チャンバは、約75pLの容積を有する。FOFは、薄膜で被覆する前に清浄される。好ましい薄膜コーティングは、厚さ0.1〜5.0ミクロンの非金属酸化物SiO2である。SiO2コーティングは、光学的に透明で、防水性である。薄膜コーティングは、イオンプレーティング気相蒸着法を使用して塗布される。FOF表面において薄膜で被覆された反応チャンバを使用することにより、いくつかの目的を果たす:i)アレイの異なる領域における放出光からの発光の遅延拡散、ii)アレイ基板材料のあらゆる有害な影響から保護されたアッセイ溶液または反応混合物の成分を含有する反応チャンバの単離、iii)基板材料がチャンバ溶液内へ漏れることの防止、および、iv)CCDへの極めて効率的な、高開口数光連結。最後に、反応混合物またはアッセイ溶液内の反応物質(例えば、固定化シーケンステンプレート)または検体の量が大きくなるほど、実現できる光信号も増える。
【0219】
実施例8:金属薄膜で被覆されたマイクロウェルアレイ
アレイは、個々の反応チャンバを産生するために酸で単側を化学的にエッチングされた市販のFOF(Incom社、マサチューセッツ州チャールトン)から形成される。エッチングプロセスによって形成された実質的にすべての反応チャンバは、約75pLの容積と50乃至55μmの深さを有する。FOFは、非薄膜コーティングで被覆する前に清浄される。非薄膜コーティングは、アレイの上面において約200〜300nm、実質的にすべての反応チャンバの側壁において60〜120nmおよびコーナーエリアにおいて50nm以上の厚さを持つクロムである。当該コーティングは不透明である。薄膜コーティングは、イオン蒸着法を使用して塗布される。FOF表面上の不透明な薄膜で被覆された反応チャンバは、アレイにいくつかの利点を提供する。近接する反応チャンバ間における光流出、光散乱、および干渉等の光学的問題が排除され、光が集中する。ビーズ装填効率は、100%近くまで最大化される。
【0220】
実施例9:金属およびSiO2の薄膜で被覆されたマイクロウェルアレイ
核酸シーケンス決定のためのアレイ装置は、個々の反応チャンバを産生するために酸で単側を化学的にエッチングされた市販のFOF(Incom社、マサチューセッツ州チャールトン)から形成される。FOFをエッチングするために使用される装置は、2つのPEEK製クランプおよびシリコーンエッチングガスケットを含む。エッチングプロセスによって形成された実質的にすべての反応チャンバは、約75pLの容積と50乃至55μmの深さを有する。FOFは、非薄膜コーティングで被覆する前に清浄される。非薄膜コーティングは、アレイの上面において約200〜300nm、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁において60〜120nmおよびコーナーエリアにおいて50nm以上の厚さを持つクロムである。当該コーティングは不透明である。薄膜コーティングは、イオン蒸着法を使用して塗布される。非透明薄膜コーティングが塗布された後、透明薄膜コーティングが塗布される。透明薄膜コーティングは、アレイの上面において約200〜400nm、実質的にすべての反応チャンバの側壁において50〜100nmおよびコーナーエリアにおいて50nm以上の厚さを持つSiO2である。第1の非透明膜コーティングおよび第2の透明薄膜コーティングで被覆された反応チャンバを持つアレイは、アレイにいくつかの利点を提供する。近接する反応チャンバ間における光流出、光散乱、および干渉等の光学的問題が排除され、非透明コーティングの上に塗布された透明SiO2コーティングは、クロムコーティングを腐食から保護することも行う。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】図1は、スパッタリング(図1aおよび1b)、PECVD(図1cおよび1d)、およびイオンプレーティング(図1eおよび1f)気相蒸着法を使用してSiO2で被覆された、エッチング加工済みの光ファイバフェイスプレートの5000倍および10000倍拡大における一連のSEM画像である。
【図2】図2は、3つの気相蒸着コーティング法のコーティング厚さおよび質を示す、SiO2で被覆された反応チャンバを有する光ファイバフェイスプレートの一連の断面SEM画像である。図2aは、反応チャンバ内の蒸着エリアの概略図である。図2bは、スパッタリングによって塗布されたコーティングの画像である。図2cは、PECVDによって塗布されたコーティングの画像である。図2dは、イオンプレーティングによって塗布されたコーティングの画像である。
【図3】図3は、イオンプレーティングプロセスの概略図である。
【図4】図4は、反応チャンバを備える、SiO2被覆された、および被覆されていない、光ファイバフェイスプレートのPCR誘導シーケンスバックグラウンドを示す棒グラフである。
【図5】図5は、精度を表す反応チャンバ(図5a)、「正規化した」キーパスフラクション(図5b)、およびピロリン酸塩(PPi)信号(図5c)を備える、SiO2で被覆された、および被覆されていない、光ファイバフェイスプレートのシーケンス性能測定基準を示す、一連のグラフである。
【図6】図6は、反応チャンバを備える(被覆されていない)光ファイバフェイスプレートの一部を表す一連の走査電子顕微鏡写真である。
【図7a】図7aは、PEEK製クランプの図面(上面図)である。
【図7b】図7bは、PEEK製クランプの図面(側面図)である。
【図7c】図7cは、PEEK製クランプの図面(前端面図)である。
【図7d】図7dは、PEEK製クランプの図面(後端面図)である。
【図8a】図8aは、25×75mm光ファイバフェイスプレートの図面(上面図)である。
【図8b】図8bは、25×75mm光ファイバフェイスプレートの図面(前縁図)である。
【図8c】図8cは、25×75mm光ファイバフェイスプレートの図面(後縁図)である。
【図9】図9は、RER清浄手順を説明するプロセスフロー図である。
【図10】図10は、片側エッチングプロセスを説明するプロセスフロー図である。
【図11a】図11aは、エッチングガスケットの図面(上面図)である。
【図11b】図11bは、エッチングガスケットの図面(後端面図)である。
【図11c】図11cは、エッチングガスケットの図面(前端面図)である。
【図11d】図11dは、エッチングガスケットの図面(第1側面図)である。
【図11e】図11eは、エッチングガスケットの図面(第2側面図)である。
【図12】図12は、2つのクランプと共に保持され、エッチングプロセスの準備が整った、組み立て光ファイバフェイスプレート「固定サンドイッチ」の図面(上面図)である。
【図13】図13は、光ファイバフェイスプレート「固定サンドイッチ」の分解図である。
【図14】図14は、反応チャンバの側壁およびアレイの上面が非透明薄膜で被覆された反応チャンバを含有する光ファイバフェイスプレートの側面図である。
【図15a】図15aは、角度のある治具を使用する角度のある金属蒸着のプロセスに使用される設定を図示している。示されているのは、治具の基板キャリアに取り付けられた反応チャンバを含有する光ファイバフェイスプレートの側面図である。
【図15b】図15bは、回転および角度のある治具アセンブリを図示している。
【図16a】図16aは、1つのチャンバは空、残り2つのチャンバは試薬基質ビーズ(大きい方)および試薬ビーズ(小さい方)が充填された、3つの反応チャンバを含有する光ファイバフェイスプレートの側面図である。これらの反応チャンバは、反応チャンバの側壁およびアレイの上面にコーティングを有し、反応チャンバの底部は部分的に被覆されている。「側壁コーナーエリア」および「底部コーナーエリア」にコーティングが塗布され、反応チャンバの底部にコーティングが無い箇所があるように、示されているコーティングは反応チャンバのコーナーエリアに塗布されている。
【図16b】図16bは、反応チャンバの底部にコーティングが無い箇所があり、それが底部の中心付近に開口を形成するように、反応チャンバの底部コーナーエリアに塗布されたコーティングを有する3つの反応チャンバの上面図である。開口の直径およびコーナーエリアのリングの幅を示す。
【図17】図17は、基質ビーズ(大きい方)および試薬ビーズ(小さい方)が充填され、各チャンバの側壁がコーティングで被覆された3つの反応チャンバを含有する光ファイバフェイスプレートの側面図である。コーティングは、その表面上に酵素(例えば、アピラーゼ)を含有するように変更されている。
【図18】図18は、コーティングの気相蒸着中に、イオン源が基板よりもかなり小さい場合に生じ得る「角度効果」を図示している。角度効果は、均一に被覆されていない反応チャンバを持つアレイを産出する。例えば、Aは基板の一端に位置する3つの反応チャンバのコーナーエリアに蒸着されているコーティングを示し、Bは基板の他端に位置する3つの反応チャンバの底部に蒸着されているコーティングを示す。
【図19a】図19aは、光ファイバフェイスプレートの選択されたエリア(例えば、「金属被覆ゾーン」)にコーティングを方向付け、角度効果を排除するための、蒸着プロセス中におけるシャドウマスクの使用を図示している。
【図19b】図19bは、光ファイバフェイスプレートの選択されたエリア(例えば、「金属被覆ゾーン」)にコーティングを方向付け、角度を排除するための、蒸着プロセス中におけるシャッターの使用を図示している。
【図20a】図20aは、繊維ストランドを有する光ファイバフェイスプレートを示し、当該繊維ストランドは、光ファイバフェイスプレートの底面に対して90度未満の鋭角(「鋭角(#1)」)で配向されている(すなわち、繊維ストランドは垂直ではない)。
【図20b】図20bは、反応チャンバの底部に対して鋭角(#2)に傾けられた側壁を有する反応チャンバの1コーナーにビーズが位置する、傾斜した反応チャンバを示す。遠心力を使用して、このコーナー位置にビーズを固定することができる。
【図20c】図20cは、垂直でない切断をするために光ファイバ束を切断する場所の例を示す2本の線でマークされた、光ファイバ束を表す見取り図である。
【図21a】図21aは、アレイの反応チャンバがそれぞれ基板の上に築かれた4本の境界柱によって形成され、そのような境界柱が、4本の境界柱のセットによって画定された空間内の各ビーズまたは粒子を「捕捉する」、アレイの見取り図である。ビーズを保持している反応チャンバの底部および側壁を示す。
【図21b】図21bは、基板の上にある一連の境界柱によって反応チャンバが形成される、アレイの金属蒸着プロセスを図示している。図21bは、異なる角度での複数の薄膜コーティングの蒸着中における重複する影を示す。境界柱によって作成された影は、重複エリアにおいて独特のパターンおよび形状を産出する。
【図22】図22は、エッチング加工済みの半分被覆された光ファイバフェイスプレートの2つのエリアを撮影した光画像を示す。エリアAは金属(銀)被覆されており、エリアBは被覆されていない。銀は、熱蒸発プロセスを使用してアレイに塗布されたものである。
【図23】図23は、非透明銀コーティングで被覆された、同じエッチング加工済みの光ファイバフェイスプレートの2枚の顕微鏡写真を示す。アレイの上面エリア、各反応チャンバの側壁およびコーナーエリアは、底部の中心にはコーティングが無く、それによって底部の中心付近に開口を作成するように、銀で被覆されている。写真Aはチャンバの底部に焦点を置いたもの、写真Bはクラッディングに焦点を置いたものである。
【図24】図24AおよびBは、アレイの反応チャンバの側壁に塗布された非透明金属コーティングが、アレイ上の2つの隣接するチャンバ間における光流出をどのようにして削減することができるかを説明するグラフである。2つのグラフは、2つの異なるヌクレオチド流出順序を表している。
【図25a】図25aは、光ファイバフェイスプレートの反応チャンバのコーナー上における銀コーティングであって、当該チャンバの底部コーナーを覆う銀コーティングの、3つのビューを示す。コーティングの厚さは、光をブロックし、光子が隣接するチャンバへ漏れるのを遮断する程度のものである。ビュー1は、反応チャンバ全体を示す。ビュー2は当該チャンバのコーナーの接写であり、ビュー3はこのコーナーの拡大図である。
【図25b】図25bは、反応チャンバの上方コーナーおよび光ファイバフェイスプレートの上面上における銀コーティングの3つのビューを示し、ここで側壁におけるコーティングの厚さはクラッディングの上面における厚さと異なる。この厚さの差異は、金属蒸着プロセス中の基板のスピンによるものである。ビュー1は、反応チャンバ全体を示す。ビュー2は反応チャンバの上方コーナーおよび上端の接写であり、ビュー3はこの上方コーナーの拡大図である。
【図26a】図26aは、反応チャンバが不連続な側壁を有する、すなわち、2つの隣接する反応チャンバ間の側壁内のスリットで側壁が中断されているアレイを示す。
【図26b】図26bは、反応チャンバの側壁にあるスリット開口部を介してコーティングが蒸着される際に、(不連続な側壁を持つ)反応チャンバの底部に形成されるパターンを図示している。コーティングは、反応チャンバの底部の中心線付近ではコーティングが厚くなり、中心線から離れて縁に向かうにつれてコーティングが薄くなるような勾配で蒸着されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚以上の薄膜コーティングで被覆された基板から成るマイクロウェルアレイ組成物に関する。本発明は、薄膜で被覆されたマイクロウェルアレイを製造し使用するプロセスを含む。
【背景技術】
【0002】
微量の試料に対して平行微量分析を実行するための能力は、化学、生物学、創薬、および医学の進歩にとって重要なものである。現在、時間効率および費用効率を最大化することに集中した取り組みにより、はるかに多数の反応チャンバを有し、使用する試薬の量が少ないマイクロウェルアレイが、従来の1536ウェルマイクロタイタープレートを上回っている。利用可能なマイクロウェルアレイは何種類かあるが、多くのマイクロウェル材料はバイオアッセイおよび化学反応の成分と適合せず、その結果、低感受性、高バックグラウンド信号、および再現性の欠如等の問題を引き起こすことが判明している。したがって、改良されたマイクロウェルアレイの開発が依然として必要である。
【0003】
適合しない材料の問題に対する1つの解決策は、マイクロウェルアレイに対して適合する材料の薄膜コーティングを施して、その表面特性および機能を強化することである。Patilらの特許文献1は、高密度マイクロアレイアプリケーションにおいて使用するために金属および金属酸化物から成るマスク層で高分子基板を被覆するための方法を開示している。Yon‐Hinらの特許文献2は、マイクロウェルまたはチャネルを形成するために高分子基板上で感光作画性薄膜を使用するためのプロセスについて記載している。Hellerらの特許文献3は、マイクロ電極アレイを形成するため、および、個々のマイクロ電極上にマイクロウェルを形成するための、基板の金属、絶縁体、およびパッシベーションコーティングの蒸着について記載している。Waltらの特許文献4は、光ファイバアレイ上のマイクロウェルの内面を生物学的に適合する材料の薄膜または層で被覆することを開示している。
【0004】
アレイを作成するために、ある種の光ファイバ束が使用されてきた。当該技術分野においては、光ファイバ束の端面にエッチングされた反応チャンバに官能基を付着させるための(および、付着した官能基を検出するための)いくつかの方法が既知である。例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3を参照されたい。反応性官能基のパターンは、平面支持部上における反応パッドのパターンの生成において使用されるものと同様のフォトリソグラフィ技術を使用して、反応チャンバ内でも作成され得る。非特許文献4、非特許文献5、ならびに非特許文献6を参照されたい。
【0005】
基板上の官能基のアレイは、例えば、特許文献5;特許文献6;特許文献7;および特許文献8において記載されている付着のための技術;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;ならびに非特許文献13において記載されているような、電子集積回路の構築において一般に使用されるフォトリソグラフィ技術を使用して構成され得る。フォトリソグラフィおよび電子ビームリソグラフィは、反応物質(例えば、タンパク質または核酸)の付着を可能にする官能基によって基板を感光性にするものである。例えば、非特許文献14;非特許文献15を参照されたい。あるいは、非特許文献16に記載されているような薄膜技術を使用して、官能基のアレイを生成することもできる。
【特許文献1】米国特許第6,395,483号明細書
【特許文献2】米国特許第6,440,645号明細書
【特許文献3】米国特許第5,632,957号明細書
【特許文献4】米国特許第6,377,721号明細書
【特許文献5】米国特許第5,143,854号明細書
【特許文献6】米国特許第5,445,934号明細書
【特許文献7】米国特許第5,744,305号明細書
【特許文献8】米国特許第5,800,992号明細書
【非特許文献1】Michaelら、Anal.Chem.70:1242−1248(1998年)
【非特許文献2】Fergusonら、Nature Biotechnology 14:1681−1684(1996年)
【非特許文献3】HealeyおよびWalt、Anal.Chem.69:2213−2216(1997年)
【非特許文献4】Healeyら、Science 269:1078−1080(1995年)
【非特許文献5】MunkholmおよびWalt、Anal.Chem.58:1427−1430(1986年)
【非特許文献6】Bronkら、Anal.Chem.67:2750−2757(1995年)
【非特許文献7】Cheeら、Science 274:610−614(1996年)
【非特許文献8】Fodorら、Nature 364:555−556(1993年)
【非特許文献9】Fodorら、Science 251:767−773(1991年)
【非特許文献10】Gushinら、Anal.Biochem.250:203−211(1997年)
【非特許文献11】Kinositaら、Cell 93:21−24(1998年)
【非特許文献12】Kato‐Yamadaら、J.Biol.Chem.273:19375−19377(1998年)
【非特許文献13】Yasudaら、Cell 93:1117−1124(1998年)
【非特許文献14】Service、Science 283:27−28(1999年)
【非特許文献15】Rai‐Choudhury、HANDBOOK OF MlCROLITHOGRAPHY,MlCROMACHINING,AND MlCROFABRICATlON、VOLUME I:MlCROLITHOGRAPHY、Volume PM39、SPIE Press(1997年)
【非特許文献16】Zasadzinskiら、Science 263:1726−1733(1994年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の光ファイバアレイにおける1つの主な不利点は、光ファイバ束を含む材料の制約である。高効率導波管として作用するために、各ファイバ要素は、低屈折率クラッディングで取り囲まれた高屈折率コアを含まなくてはならない。これらの光ファイバ材料は、多くの反応条件、特に、多くの場合水溶液中で行われ、高感度酵素試薬を含有するバイオアッセイと、適合しない場合が多い。不適合の2つの主な原因は、反応チャンバに含有される溶液への光ファイバ基板の溶解、および、当該チャンバに含有される成分との光ファイバ基板の実際の化学反応である。例えば、バリウム酸化物およびランタン酸化物等のコア成分は、特に高温において水溶性の水酸化物を形成することができる。バリウムおよびランタン等の多価重金属は、酵素、特に金属イオン補因子を持つ酵素と、好ましくない相互作用を生じ得る。重金属酸化物表面は、溶液界面において正に帯電する傾向があり、核酸等の負に帯電した種を非特異的に結合する傾向がある。これらの効果はすべて、光ファイバ反応チャンバにおいて行われるアッセイおよび反応の性能を低下させる傾向がある。より一層小型化されたことも、これらの好ましくない効果を悪化させる傾向がある。
【0007】
光ファイバ基板が2つの材料(コアおよびクラッディング)から成るという事実も、単分子層(例えば、官能基)による反応チャンバのあらゆる表面改質の有効性を制限し得る。例えば、一価の表面は、反対の電荷を含有する機能性高分子電解質の荷電表面と結合することによって改質される。光ファイバ基板のコアおよびクラッディング材料は、それぞれ異なる種類の電荷を有する。このように、基板は単一の一様な電荷を含有するものではないため、単一の高分子電解質による光ファイバ基板のいかなる改質も不可能である。
【0008】
光ファイバ基板の光学特性も制限されている。光ファイバフェイスプレートの反応チャンバ内において光化学反応が実行されている間に、光子が生成され、ファイバコアを通過して最終的には当該ファイバの他端面まで到達する。同時に、光子は、クラッディング材料を貫通し、隣接する反応チャンバの別のファイバによって捕捉されるまで移動することもできる。透明なクラッディングを通って移動するこれらの光子は、多くの場合、光散乱と称され、近接する反応チャンバ間での光流出および物理的干渉(例えば、クロストーク)等の問題を引き起こす。
【0009】
いかなるバイオアッセイおよび反応条件とも適合し、優れた光学特性を有するマイクロウェルアレイの明確な必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
化学反応およびバイオアッセイに光ファイバフェイスプレートを使用することに関連する問題を緩和するための1つの手法は、本明細書において記載されている方法を使用して、アレイ基板を1枚以上の薄膜コーティングで被覆することである。概して、本明細書における考察は光ファイバ基板に焦点を置いたものであるが、以下に記載するようなその他の基板を、本明細書に記載されているいかなる実施形態において使用してもよい。
【0011】
本発明は、1枚以上の薄膜コーティングで被覆され、当該コーティングのうち少なくとも1枚は非透明である基板を含むアレイ組成物に関する。本発明の一態様は、複数の反応チャンバを持つ上面と、底部とを有する光ファイバフェイスプレートである基板を含むアレイである。アレイの各反応チャンバは、底部および側壁を有する。実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの該上面の少なくとも1つは非透明薄膜コーティングで被覆されており、該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明であり、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの該上面の少なくとも1つは透明薄膜コーティングで被覆されている。該透明コーティングは、該非透明コーティングと異なり、該透明コーティングは、光学的に透明で、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、防水性である。
【0012】
一実施形態において、該透明コーティングは二酸化ケイ素である。さらなる実施形態において、存在する場合、該透明コーティングの厚さは、該アレイの該上面において約200〜400nm、該側壁において50〜100nm、および該底部において100〜300nmである。
【0013】
別の実施形態において、該非透明コーティングは不透明である。別の実施形態において、該非透明コーティングは半不透明である。別の実施形態において、該非透明コーティングは光沢不透明である。別の実施形態において、非透明コーティングは半透明である。一実施形態において、存在する場合、該非透明コーティングの厚さは、該アレイの該上面において約200〜300nm、該側壁において60〜120nm、コーナーエリアにおいて50nm以上であり、該コーナーエリアは該反応チャンバの該底部と側壁との間に形成された接合部から成る。
【0014】
該非透明コーティングは、有機化合物、無機化合物、および非金属酸化物から選択される。一実施形態において、該無機化合物は金属である。別の実施形態において、該非透明コーティングは、クロム、金、銀、チタン、プラチナ、およびアルミニウムから選択される。一実施形態において、該非透明コーティングは伝導性である。別の実施形態において該非透明コーティングは誘電性である。
【0015】
別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は、該透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、該アレイの該上面は該透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部は、該透明コーティングで被覆されている。一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部ならびに該アレイの該上面のそれぞれは、該透明コーティングで被覆されている。
【0016】
一実施形態において、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに透明コーティングが塗布され、該反応チャンバの該底部の中心には該コーティングが無く、該底部の該中心付近に開口を形成するように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該透明コーティングで部分的に被覆されている。一実施形態において、該開口の直径は約28ミクロンである。別の実施形態において、該コーティングが該コーナーエリアに塗布された際に該反応チャンバの該底部にある該開口の周囲にコーティングのリングが形成され、該リングは8.5ミクロンの幅を有する。
【0017】
別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は、該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、該アレイの該上面は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部は、該非透明コーティングで被覆されている。一実施形態において、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに非透明コーティングが塗布され、該反応チャンバの該底部の中心には該透明コーティングが無く、該底部の該中心付近に開口を形成するように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該非透明コーティングで部分的に被覆されている。さらなる実施形態において、該非透明コーティングで既に部分的に被覆されたアレイに該透明コーティングが塗布され、該透明コーティングは、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの上面の少なくとも1つに塗布される。
【0018】
一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および該アレイの該上面は該透明コーティングで被覆され、該底部は該非透明コーティングで被覆されている。一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部は該透明コーティングで被覆され、該アレイの該上面は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、該アレイの該上面および実質的にすべての該反応チャンバの底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および該アレイの該上面は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、該アレイの該上面は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および該アレイの該上面は該非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は該非透明コーティングで被覆され、該アレイの該上面は被覆されていない。別の実施形態において、該透明コーティングは、少なくとも第1の透明コーティングを含む。別の実施形態において、該非透明コーティングは、少なくとも第1の非透明コーティングを含む。
【0019】
別の実施形態において、該非透明コーティングは、いかなる透明コーティングが塗布されるよりも前に該アレイに塗布される。一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該アレイの上面は、いかなる透明コーティングが塗布されるよりも前に、該非透明コーティングで被覆される。別の実施形態において、該透明コーティングは、いかなる非透明コーティングが塗布されるよりも前に、該アレイに塗布される。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該アレイの上面は、いかなる非透明コーティングが塗布されるよりも前に、該透明コーティングで被覆される。
【0020】
一実施形態において、該非透明コーティング上に酵素が固定化されている。別の実施形態において、該透明コーティング上に酵素が固定化されている。一実施形態において、該アレイの該反応チャンバは規則的なパターンで配置されている。別の実施形態において、該アレイの該反応チャンバは不規則なパターンで配置されている。別の実施形態において、該アレイ上の隣接する2つの反応チャンバの中心点間の間隔は5μm乃至200μmであり、各反応チャンバは4μm乃至190μmの少なくとも1つの寸法の幅を有する。一実施形態において、反応チャンバの数は10,000以下である。別の実施形態において、反応チャンバの数は10,000を超える。一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの深さは10乃至100μmである。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの深さは50乃至55μmである。
【0021】
別の実施形態において、該アレイは、複数の反応チャンバを備える上面と、反応チャンバを持たない反対側の平面的な研磨面とから成り、該研磨面は、該反応チャンバからの光信号が該研磨面を通って検出されるような光透過性であり、該反応チャンバを備える該上面と該研磨面との間の距離は、厚さ5mmを超えない。
【0022】
一実施形態において、該アレイはインデックス機能を備える。別の実施形態において、該アレイ基板は、ある角度で斜角をつけられた1つ以上の側縁を備える。別の実施形態において、該角度は45度である。別の実施形態において、該基板は1つ以上の識別コードでマークされている。
【0023】
本発明の別の態様は、複数の反応チャンバを含む上面と、底部とを有する光ファイバフェイスプレートである基板を含むアレイである。該アレイの各反応チャンバは、底部および側壁を有する。実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの該上面の少なくとも1つは、非透明薄膜コーティングで被覆されている。該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明である。
【0024】
一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの上面の少なくとも1つは、被覆されていない。一実施形態において、該非透明コーティングは不透明である。別の実施形態において、該非透明コーティングは半不透明である。別の実施形態において、該非透明コーティングは光沢不透明である。別の実施形態において、該非透明コーティングは半透明である。
【0025】
一実施形態において、存在する場合、該非透明コーティングの厚さは、該アレイの該上面において約200〜300nm、該側壁において60〜120nm、コーナーエリアにおいて50nm以上であり、該コーナーエリアは該反応チャンバの該底部と側壁との間の接合部から成る。別の実施形態において、該非透明コーティングは、有機化合物、無機化合物、および非金属酸化物から選択される。一実施形態において、該無機化合物は金属である。別の実施形態において、該非透明コーティングは、クロム、金、銀、チタン、プラチナ、およびアルミニウムから選択される。一実施形態において、該非透明コーティングは伝導性である。別の実施形態において、該非透明コーティングは誘電性である。
【0026】
別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は被覆されている。別の実施形態において、該アレイの該上面は被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部は被覆されている。別の実施形態において、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに非透明コーティングが塗布され、該反応チャンバの該底部の中心には該非透明コーティングが無く、該底部の該中心付近に開口を形成するように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該非透明コーティングで部分的に被覆されている。別の実施形態において、該開口の直径は28ミクロンである。別の実施形態において、該コーティングが該コーナーエリアに塗布された際に該開口の周囲にコーティングのリングが形成され、該コーティングのリングは8.5ミクロンの幅を有する。
【0027】
一実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および該アレイの該上面は、被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部は、被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および該アレイの該上面は、被覆されている。
【0028】
一実施形態において、該非透明コーティングは、少なくとも第1の非透明コーティングを含む。別の実施形態において、該非透明コーティングは少なくとも第1の非透明コーティングと第2の非透明コーティングとを含み、さらに該第1および第2のコーティングは同じでない。別の実施形態において、該非透明コーティング上に酵素が固定化されている。一実施形態において、該アレイの該反応チャンバは規則的なパターンで配置されている。別の実施形態において、該アレイの該反応チャンバは不規則なパターンで配置されている。別の実施形態において、該アレイの隣接する2つの反応チャンバの中心点間の間隔は5μm乃至200μmであり、各反応チャンバは4μm乃至190μmの少なくとも1つの寸法の幅を有する。
【0029】
一実施形態において、該アレイの反応チャンバの数は10,000以下である。別の実施形態において、該アレイの反応チャンバの数は10,000を超える。一実施形態において、該アレイの実質的にすべての該反応チャンバの深さは10乃至100μmである。別の実施形態において、該アレイの実質的にすべての該反応チャンバの深さは50乃至55μmである。別の実施形態において、該アレイは、複数の反応チャンバを含有する上面と、反応チャンバを持たない反対側の平面的な研磨底面とを含み、該研磨底面は、該反応チャンバからの光信号が該研磨底面を通って検出されるような光透過性であり、該反応チャンバを備える該上面と該研磨底面との間の距離は、厚さ5mmを超えない。
【0030】
一実施形態において、該アレイはインデックス機能を備える。別の実施形態において、該アレイ基板は、ある角度で斜角をつけられた1つ以上の側縁を含む。別の実施形態において、該斜角をつけられた側縁の角度は45度である。
【0031】
本発明の別の態様は、複数の反応チャンバを含有する基板の上面に、非透明薄膜コーティングを蒸着するプロセスであって、各反応チャンバは底部および側壁を有するプロセスである。該非透明コーティングは、不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明であり、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該アレイの上面に蒸着される。該プロセスのステップは、(a)基板をある角度で基板キャリアに取り付けるステップと、(b)該取り付けられた基板を真空チャンバ内でスピンさせるステップと、(c)実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該アレイの上面に、該非透明コーティングを蒸着するステップと、(d)該基板を該真空チャンバから除去するステップと、(e)該非透明コーティングで被覆された該基板を、該基板キャリアから取り外すステップと、を含む。一実施形態において、該基板は光ファイバフェイスプレートである。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該アレイの上面は、該非透明コーティングが塗布される前に、透明コーティングで被覆される。別の実施形態において、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該基板の上面は、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該基板の上面への透明コーティングの塗布前に、非透明コーティングで被覆される。別の実施形態において、該透明コーティングは、光学的に透明で、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、防水性である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
定義:
別段の定義がなされていない限り、本明細書において使用されているすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。本明細書において記載されているものと同様または同等の方法および材料を本発明の実践において使用することができ、例となる適切な方法および材料を以下に記載する。例えば、2つを超えるステップを含む方法が記載され得る。そのような方法においては、定義された目標を実現するために必ずしもすべてのステップが必要とされない場合があり、本発明は、単独のステップの使用によってこれらの別個の目標を実現することを想定している。すべての出版物、特許出願、特許、およびその他の参考文献の開示は、参照することによりその全体が本書に組み込まれる。また、材料、方法、および例は例示的なものにすぎず、限定を意図するものではない。
【0033】
「検体」は、所望の試料において検出もしくは測定される、または当該試料から分離される、自然発生的な、または合成された、分子、化合物、組成物、または複合体を意味する。検体は、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、核酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、化合物、脂質、ビタミン、バクテリア、ウイルス、薬剤、および代謝産物を含むが、これらに限定されない。
【0034】
「固定サンドイッチ」は、2つのFOFと当該2つのFOF間に位置付けられたガスケットとの組み合わせをいい、各FOFの研磨面がガスケットの方を向くように各FOFのコーナーノッチは適切なガスケットコーナーバリアと適正に整列され、当該FOFの研磨面とガスケットとの間には、防液性のシールが形成される。
【0035】
「コア材料」は、光ファイバ繊維の内部成分をいう。当該材料は透明であり、高屈折率を有する。
【0036】
「クラッディング材料」は、光ファイバ繊維の外部成分をいう。当該材料は透明であり、低屈折率を有する。
【0037】
「コーナーエリア」は、反応チャンバの側壁と底部との間に接合部が形成された、反応チャンバの内部面をいう(図16a参照)。
【0038】
「コーナーバリア」はガスケットにおける機能をいい、当該機能はガスケットのコーナーにある角度で置かれたバンドを含み、FOFがガスケットに取り付けられた際にFOFを配向するための物理的基礎を提供する。
【0039】
「コーナーノッチ」は、光ファイバフェイスプレートを配向するための物理的基礎を提供するために、角度をなして切断され、且つ除去された光ファイバフェイスプレートの1コーナーをいい、例えば、光ファイバフェイスプレートが分析用のシステム上またはエッチングプロセス用のガスケット内に取り付けられた際に、光ファイバフェイスプレートのコーナーノッチは分析システムまたはガスケットに位置する補完機能と一致する。
【0040】
「エッチングプロセス」は、酸を使用してアレイ基板内に反応チャンバを作成する化学プロセスをいう。
【0041】
「光ファイバフェイスプレート(Fiber Optic Faceplate)」または「FOF」は、モノリシック構造を形成するために融合され、その後、必要な厚さの「ウエハ」を形成するために「スライス」される、光ファイバケーブルの束をいう。
【0042】
「官能基」は、反応物質、反応基質、または検体を反応チャンバの内側面に重着することができる、任意の化学的または生物学的種を意味する。
【0043】
「ガスケット」は、エッチングプロセス用の装置の一構成要素をいう。ガスケットは、2つのFOFの間に整列され、流体密封シールを形成することによって、各FOFの片側(例えば、研磨側)が酸に曝露されないように保護する。
【0044】
「ガスケットインデックス機能」は、FOFのコーナーノッチを補完するノッチを作成し、FOFを配向するための物理的基礎を提供する、ガスケットの1コーナーに位置付けられたバンドをいう。
【0045】
「インデックス機能」は、FOFを配向するための物理的基礎を提供する構造をいう。
【0046】
「FOFインデックス機能」は、FOFを適正に配向するための物理的基礎を提供する、FOF上のコーナーノッチをいう。
【0047】
「イオンプレーティング」は、薄膜コーティングをアレイ基板に蒸着するために使用される気相蒸着の方法を意味し、当該方法においては、第一に、帯電した原子および中性原子を使用して基板から汚染物質が除去され、第二に、コーティング材料が蒸発され、エネルギー不活性ガスまたは反応ガス原子およびイオンとの相互作用によって強化され、基板に蒸着される。
【0048】
「防水性」は、反応チャンバ内に含有される水溶液に対するバリアを提供し、チャンバ溶液が反応チャンバの側壁構成要素へ浸出するのを防止するための、薄膜コーティングの能力をいう。
【0049】
「非透明薄膜コーティング」または「非透明コーティング」は、そこを通る光の通路を調節する、例えば、ブロックする、実質的にブロックする、または拡散させる、材料のコーティングをいう。例えば、非透明薄膜コーティングまたは非透明コーティングは、不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明である。
【0050】
「不透明」は、1000の光子のうち薄膜材料を通過するのは2未満となるように、光の通路がブロックされることを意味する。
【0051】
「光学的に透明」は、薄膜コーティングを透過する光の能力をいう。「PEEK製クランプ」は、エッチングプロセス中、2つのFOFおよびガスケットを共にしっかりと保持するために使用される、ポリエーテルエーテルケトン(Poly Ether Ether Ketone)で作られたクランプをいう。
【0052】
「部分的なコーティング」は、表面全体に満たない部分が被覆されている、例えば、反応チャンバの底部または側壁の表面全体に満たない部分が被覆されていることを意味する。「Pico Titer Plate(商標)」または「PTP」は、エッチングされたFOFを含むアレイ基板を意味する。
【0053】
「プラズマ化学気相成長法(Plasma−Enhanced Chemical Vapor Deposition)」または「PECVD」は、薄膜コーティングをアレイ基板に蒸着するために使用される気相蒸着の方法を意味し、当該方法において、薄膜コーティングはガスの化学反応から産出される。
【0054】
「反応物質」は、単独で、または別の反応物質と連動して、所望の試料内の検体を結合、形成、またはそれと反応することができる、自然発生的な、または合成された、任意の化学的または生物学的な分子、化合物、組成物、または複合体を意味する。本発明の反応物質は、化学反応または生物学的測定、検出、もしくは分離に有用である。反応物質の例としては、アミノ酸、オリゴヌクレオチドおよびcDNAを含む核酸、炭水化物、ならびに、酵素および抗体等のタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
「反応チャンバ」は、基板上にある底部および側壁から成る局所的なウェルまたはチャンバ(すなわち、幅および深さを有する空洞空間)を意味する。
【0056】
「RCAクリーナー」は、水酸化アンモニウムおよび過酸化水素の溶液を意味する。
【0057】
「RER清浄プロセス」は、RCAクリーナー、EDTA、およびRCAクリーナーを使用して、エッチングされたFOFを清浄するためのプロセスをいう。
【0058】
「サンドイッチ」は、2つのFOFと当該2つのFOF間に位置付けられたガスケットとの組み合わせをいい、各FOFのコーナーノッチは、各FOFの研磨面がガスケットの方を向き、非研磨面が露出されるように、適切なガスケットインデックス機能と適正に整列される。
【0059】
「走査電子顕微鏡法(Scanning Electron Microscopy)」または「SEM」は、高解像度撮像のための方法をいう。
【0060】
「半不透明」は、薄膜コーティングを通過する光が10%未満となるように光の通路が殆どブロックされることを意味する。
【0061】
「光沢不透明」は、1000の光子のうち薄膜コーティングを通過するのは2未満となるように光の通路がブロックされ、光が光沢不透明な表面で反射されることを意味する。
【0062】
「スパッタリング」は、薄膜コーティングをアレイ基板に蒸着するために使用される気相蒸着の方法を意味する。
【0063】
「基板」は、離れた個々の反応チャンバを含有するように変更されることができ、少なくとも1つの検出方法に適応する、固体支持部または任意の材料をいう。
【0064】
「薄膜」または「薄膜コーティング」は、基板の表面上に蒸着された材料のコーティングをいう。
【0065】
「透明」は、物体が明瞭に見えるような感知できる散乱なしに、光が薄膜コーティングを通過することが可能であることを意味する。
【0066】
「透明薄膜コーティング」または「透明コーティング」は、基板の表面上に蒸着された材料のコーティングをいい、当該コーティングは厚さ5.0ミクロン未満、光学的に透明で、防水性である。
【0067】
「半透明」は、薄膜コーティングを光が通過することは可能であるが、当該光は物体が明瞭に見えないような拡散性のものであることを意味する。
【0068】
「気相蒸着」は、薄膜コーティングをアレイに蒸着するための方法をいう。
【0069】
本発明は、個々の反応チャンバを有し1枚以上の薄膜コーティングで被覆された基板を含むアレイ組成物を提供する。本発明は、被覆されたアレイを製造し使用するプロセスを含む。本明細書において、「アレイ」によって意味されるのは複数の反応チャンバであり、これらは基板の表面上にある任意のアレイフォーマットの局所的なウェルおよびチャンバである。各反応チャンバは、底部および側壁を含む。アレイおよびその反応チャンバのサイズは、アレイの組成および最終用途によって決まることになる。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面を含むアレイは、アレイおよびその反応チャンバの特性および機能を強化するために、1枚以上の薄膜コーティングで被覆される。薄膜コーティングは、アレイの製造の有用性または容易性を損なうことなく、反応チャンバ内の溶液の内容物をアレイ基板の有害な影響から保護するものである。薄膜コーティングはまた、(例えば、単分子層によって)反応チャンバ表面の均一な改質を可能にする均一な表面組成も提供する。一実施形態において、薄膜コーティングは、クラッディング材料を通過した光の、隣接する反応チャンバへの光散乱を排除するために、光学的障害物を産出する。
【0070】
本明細書に記載の発明は、より大きいシステムおよび方法の構成要素であってよい。そのようなシステムおよび方法は、多数の手法で核酸を処理するために使用され得る。例えば、核酸配列の識別を決定するため、または、核酸断片における一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism;SNP)検出のため、核酸発現プロファイリング(2つ以上の状態間での核酸発現プロファイルを比較、例えば、病変組織と正常組織とを比較する、または、未処理組織と薬物、酵素、放射線、もしくは化学的処理で処理した組織とを比較する)のため、ハプロタイプ決定(被験者に存在する2つの対立遺伝子のそれぞれにおける、遺伝子または遺伝子の変異を比較する)のため、染色体分析(一般に、胚または胎児の検査組織中における1つ以上の遺伝子を、先天的欠損症を検出するために、受胎前の「正常」核型の被験者の同じ遺伝子と診断比較する)のため、および、遺伝子型決定(ある種の第1の個体における1つ以上の遺伝子を、同じ種の別の個体における同じ遺伝子と比較する)のための方法が実行される。
【0071】
一般的な分析システムは、多数の構成要素を有する。これらは、例えば、(1)処理される核酸テンプレートと、(2)送出チャンバであって、本発明の被覆されたアレイ、核酸テンプレートを含有するための装置を備える送出チャンバと、(3)核酸が処理される際に、アッセイ試薬が例えば光等の検出可能な信号を生成する核酸テンプレートへの核酸処理試薬の流出を可能にする流出チャンバおよび試薬送出手段と、(4)核酸が処理される際に放出される信号を検出し捉えられた光をデータに変換する試薬送出チャンバと連通している撮像システムと、(5)処理された核酸に関する有意義な情報を産生するためにデータを処理する撮像システムと連通しているデータ収集システムと、を含む。
【0072】
1.薄膜で被覆されたアレイ
本発明は、その上面に複数の反応チャンバを持つ基板を含むアレイ組成物を含む。アレイ上の反応チャンバのそれぞれは、底部および側壁で作られ、アレイの少なくとも一部、底部、側壁、または上面は、1枚以上の薄膜コーティングで被覆されている。一実施形態において、アレイ基板は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁上または上面上に非透明薄膜コーティングを有し、当該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明である。別の実施形態において、基板は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁上またはアレイの上面上に非透明コーティングを有し、当該基板は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁上またはアレイの上面上に透明コーティングを有し、当該透明コーティングは厚さ0.1〜5.0ミクロンで、防水性である。
【0073】
A.アレイ基板
アレイ基板は、個々の反応チャンバを含有するように変更されることができる固体支持部である。あらゆる材料が基板として使用される。基板材料は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ塩化ビニルを含むビニルポリマー、ならびに共重合体およびブレンドを含むTeflon(登録商標)等の有機高分子およびプラスチック、さらには、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、およびエポキシ、ならびに共重合体およびブレンドを含むシリコーンを含む縮合重合体を含むが、これらに限定されない。基板材料は、セラミック、ガラス、改質ガラスまたは機能性ガラス、シリカまたはシリカ系材料、シリコンおよび変性シリコンを含む無機材料を含んでもよい。基板材料は、光ファイバ束を含んでもよい。概して、これらの種類の材料はすべて、反応チャンバを持つアレイへ容易に形成される。しかしながら、そのような材料から作られたアレイは、多くの有機溶媒と適合しない場合が多く、したがって、そのようなアレイ基板に薄膜コーティングを塗布することにより、アレイの溶媒親和性が強化される。アレイは、近接する反応チャンバ間での物理的干渉および光流出等の問題にも遭遇する。これらの種類の問題は、透明なクラッディング材料を通って光子が隣接する反応チャンバへ移動するのを防止するために、不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明の、1枚以上の薄膜コーティングを塗布することによって解決され得る。
【0074】
概して、基板は平面(フラット)であるが、基板のその他の構成も使用され、例えば、基板は、凹面、凸面、球状等の3次元、折り目加工されたもの、または、例えば、光ファイバ繊維の空洞が作られた終端において、またはエッチングされた、成形された、もしくは、微小電気機械システムの構築において一般に使用される技術を使用して平面にマイクロマシン加工されたマイクロウェルにおいて、空洞を作られたものである。例えば、Rai‐Choudhury、HANDBOOK OF MICROLITHOGRAPHY,MICROMACHINING,AND MICROFABRICATION、VOLUME I:MICROLITHOGRAPHY、Volume PM39、SPIE Press(1997年);Madou、CRC Press(1997年)、Aoki、Biotech.Histochem.67:98−9(1992年);Kaneら、Biomaterials.20:2363−76(1999年);Dengら、Anal Chem.72:3176−80(2000年);Zhuら、Nat.Genet.26:283−9(2000年)を参照されたい。一実施形態において、基板は平面である。基板は、例えば球孔、シリンダウェル、カラム、柱、および傾斜シリンダ等の特徴を含有してもよい。基板の表面上にあるそのような特徴は、エッチング、プレーティング、インプリンティング、スタンピング、成形、機械加工等によって形成される。
【0075】
概して、基板は光検出を可能にするものであり、それ自体は感知できるほどに蛍光を発しない。基板は、化学反応事象またはアッセイ結果の検出を容易にする材料で作られている。例えば、一般的な核酸シーケンス反応において、配列決定される試料核酸へのdNTPの結合は、シーケンス反応において遊離されたリン酸塩に対する酵素作用によって生成された光子の検出によって監視され得る。したがって、基板を透明または光伝導性材料で作ることは、光子の検出を容易にする。いくつかの実施形態において、基板は光学的に透明である。別の実施形態において、基板の表面は光学的に調べられる。
【0076】
1.光ファイバフェイスプレート(「FOF」)
一実施形態において、アレイの基板は、「スライスされた」光ファイバ束または光ファイバフェイスプレート(Fiber Optic Faceplate;「FOF」)から作られる。FOFは、多くの光ファイバを共に融合して、個々のファイバの光透過特性を維持するモノリシック構造(例えば、束)にすることによって製造される。ファイバ束は、「ウエハ」つまりFOFを形成するために「スライス」される。結果として生じたFOFは、ガラスまたは顕微鏡用スライドの平面のそれと同様の取り扱い特性を所有する。FOFは、反応チャンバのアレイを作成するために、その上でウェルまたはチャンバがエッチングされる基板である。
【0077】
FOFを作っている個々の光ファイバ繊維ストランドは、内部「コア」材料および外層「クラッディング」材料という2つの材料から成る(図2)。光ファイバコアは、透明であり高屈折率を有する材料を含む。コア材料の例としては、鉛、バリウム、ランタン、およびニオブ酸化物等の重金属酸化物が挙げられる。光ファイバクラッディングは、透明であり低屈折率を有する材料を含む。1つの典型的なクラッディング材料は、ドープした二酸化ケイ素である。ドープ剤は、ホウ素およびアルミニウム等の金属酸化物を含む。
【0078】
FOFを作っている個々の繊維ストランドは、それぞれ直径を有する。個々の繊維ストランドは、任意の直径のサイズ(例えば、3μm乃至100μm)であってよい。一実施形態において、個々のファイバは、直径6μm乃至12μmである。モノリシック構造を形成するために光ファイバ束が融合されると、繊維ストランドは個々では操作されない、すなわち、1つの繊維ストランドは概して、その長さに沿ったいかなる点においても、別の繊維ストランドから物理的に分離されることができない。融合された光ファイバ束とフェイスプレートは、メーカーから市販されている。
【0079】
ファイバ束は、「ウエハ」つまりFOFを形成するために「スライス」される。一実施形態において、光ファイバ束は、融合された光ファイバに対して垂直にスライスされる。別の実施形態において、光ファイバ束は、融合された光ファイバに対して垂直でない角度でスライスされる(例えば、図20a〜c参照)。融合された光ファイバに対して90度ではない角度(「スライス角度」)で光ファイバ束がスライスされた場合、産出されたFOFは、FOFの底部に対して垂直でない繊維ストランドを含有する。当該FOFがエッチングされた場合、形成される反応チャンバはFOFの底部に対してやはり90度ではない。形成される反応チャンバは、傾いた側壁を有する(「傾斜した反応チャンバ」)。
【0080】
FOFの片面(すなわち、反応チャンバの無い側)は、一般に、検出デバイスに対する光連結を可能にするように(例えば光浸漬またはその他の光連結流体によって)高度に研磨されている(図2)。一実施形態において、光連結は、第2の融合されたファイバ束によって容易になる。この第2の融合されたファイバ束は、一般に、反応チャンバを含有する第1のFOFよりもかなり小さいファイバサイズを有し、CCD撮像システムまたはカメラ等の付着された検出デバイスへの、光産物の透過のための導管として作用する役割を果たす。
【0081】
一実施形態において、アレイ基板はFOFである。FOFの全体形状は長方形であるが、当業者には、FOFは特定の形状に限定されるものでなく、適切なFOFはその他各種の形状および全体寸法を含むことが理解されている。FOFは、少なくとも向かい合った上面および底面を有し、当該上面と底面との間には距離がある。一実施形態において、FOF内の繊維ストランドは、当該FOFの上面および底面に対して実質的に垂直に配向されている。別の実施形態において、FOF内の繊維ストランドは、当該FOFの上面および底面に対して垂直に配向されていない。一実施形態において、FOFは、自動機器および手動プロセスの両方についてFOFの適正な配向を確実にするための物理的基礎を提供するために、少なくとも1つのインデックス機能をさらに含む。例えば、インデックス機能は、分析用の器具内においてFOFを適正に位置付けるために使用される。
【0082】
図8a〜8cは、本発明と共に使用するためのFOF1を図示している。一実施形態において、FOF1は、第1の平面2と第2の平面3とを有し、それらは向かい合っている。FOF1は、反応チャンバからの光信号が第1の平面3を通って検出されるような光学的伝導性のものであり、第1の面と第2の面との間には距離D1がある。距離D1は任意の距離である。一実施形態において、一般に、第1の面2と第2の面3との間の距離D1は、10cmを超えない。別の実施形態において、距離D1は、5mmを超えない。別の実施形態において、D1は、0.5mm乃至5mmである。さらなる実施形態において、D1は、2mmである。FOF1の第1の面2および第2の面3は、研磨されていることもあるし、研磨されていないこともある。一実施形態において、片面は研磨されており、反対面は研磨されていない。本発明の一態様において、第1の面2は研磨されており、第2の面3は研磨されていない。さらなる実施形態において、第1の面2は研磨されており、第2の面3は反応チャンバを有する。別の実施形態において、第1の面2は反応チャンバを有し、第2の面3は研磨されている。
【0083】
FOF1は、少なくとも第1および第2の側面と、少なくとも第1および第2の端面を有する。一実施形態において、FOF1は、距離によって隔てられた第1の端面4および第2の端面5と、距離によって隔てられた第1の側面6および第2の側面7と、端面と側面との間に伸長する1つのコーナー側面8とを有する。図8aに示す一実施形態において、コーナーエッジ8は、第2の側面7と第2の端面5との間に伸長する。端面と側面が接続され、FOF1の外周辺を形成する。例えば、第1の側面6および第2の側面7はいずれも、第1および第2の端面4、5の間に垂直に伸長する。
【0084】
FOFの側面および/または端面は、FOFが器具に取り付けられるのを可能にするために、ある角度で斜角をつけられていてよい。任意の組み合わせの側面および端面が斜角をつけられていることもあるし、側面も端面も斜角をつけられていないこともある。一実施形態において、すべての側面および端面がある角度で斜角をつけられている。斜角をつけられた側縁は、傾斜部分およびフラット部分を形成するためにある角度で斜角をつけられているか、または当該斜角をつけられた側面はフラット部分を有さない。一実施形態において、第1の側面6は、角度A1で斜角をつけられ、角度のある第1の側縁17を形成する(図8b)。角度のある第1の側縁17は、傾斜部分15およびフラット部分12によって形成される。角度のある第1の側縁17のフラット部分12は、L8の高さを有する。同様に、第2の側面7は、角度のある第2の側縁16を形成するためにある角度で斜角をつけられる。第1および第2の側縁6および7は、任意の角度に斜角をつけられる。一実施形態において、側縁は、10乃至80度の角度に斜角をつけられる。別の実施形態において、当該角度は実質的に45度であり、実質的にとは、当該角度が45度をわずかに超える、または45度にわずかに満たないことを意味する。本発明の一態様において、向かい合う側縁は、FOFが分析器具内に位置する適切な維持構造(例えば、カートリッジ)へ摺動し、当該分析器具がFOFを捉え、流体反応チャンバおよびカメラに対して適正に位置させ、取り付けることを可能にするために、斜角をつけられる。
【0085】
一実施形態において、第1および第2の側面6および7は、45度の角度を形成するためにそれぞれ斜角をつけられ、結果として生じるフラット部分の長さL8は0.20mm〜0.45mmである。斜角をつけられた側面6および7は、光学的に伝導性の平面2に沿って位置する。
【0086】
当業者であれば、FOFの第1の面および第2の面は任意の長さおよび任意の幅であることを十分に理解するであろう。一実施形態において、当該長さと幅は同じである。側面のうち少なくとも1つが斜角をつけられた実施形態において、第1の面の幅は、角度のある側縁により、第2の面の幅よりもわずかに小さい。例えば、一実施形態において、第1の面2の幅W2は約38mmであり、第2の面3の幅W3は約40mmである(図8b)。端面のうち少なくとも1つが斜角をつけられた同様の実施形態において、第1の面の長さは第2の面の長さよりもわずかに小さい。
【0087】
第1の実施形態において、第2の面3は約75mmの長さL3を有し、第2の面3の幅W3は約40mmである。第1の面2は第2の面3と同じ長さL3を有し、第1の面2の幅W2は約38mmである。
【0088】
第2の実施形態において、第2の面3は約75mmの長さL3を有し、第1の面2の幅W3は約25mmである。第1の面2は第2の面3と同じ長さL3を有し、第1の面2の幅W2は約22mmである。
【0089】
適切なFOFは、例えば、1つ以上のインデックス機能を含んでよい。インデックス機能はFOF上の何処にでも位置し、特定のいかなる形状およびサイズにも限定されない。一実施形態において、インデックス機能はFOFの周辺上に位置する。さらなる実施形態において、インデックス機能はコーナーに位置する。インデックス機能の目的は、その適正な配向を確実にするために、FOFの係合を可能にする物理的基礎を提供することである。図8aに示すように、適切なFOF1は、FOFのコーナーの一部を除去することによって形成されたコーナーノッチ13であるインデックス機能を含み、ここで当該FOFの側面と端面は垂直に接続している。FOF1は、1つ以上のコーナーノッチを有する。一実施形態において、FOF1は1つのコーナーノッチ13を有する。別の実施形態において、1つのコーナーノッチ13はコーナーを除去することによって形成され、ここで第2の側面7は第2の端面5と接続している。コーナーノッチ13を形成するために、コーナー部分は角度A2で切断される。角度A2は、特定の度数に限定されず、その他の角度および形状を含む。一実施形態において、角度A2は、FOF1のコーナー部分から除去され、ここで第2の側面7は第2の端面5に接続し、角度A2は約45度である。結果として生じるコーナー側面8は、任意の長さである、長さL11を有する。一実施形態において、L11は約6mmである。コーナーノッチ13は、FOF1が嵌合する構成要素内に設計された補完機能、例えば、分析システムのFOF取り付け金具内に設計された機能、または、エッチング装置のガスケット内に設計された機能と一致する。
FOF1は、1つ以上の識別コードでラベル表示されてよい。FOFは、各種目的のための識別コードでマークされる。例えば、識別コードは、FOFの追跡および/または認証が可能である。識別コードは、分析システムに取り付けられている場合、FOF1の視覚配向も可能にする(すなわち、分析システムが識別コードを適正に読むことができない限り、システムはFOF1を分析するための動作をしない)。識別コードは、例えば、バーコード、DataMatrixコード等の二次元バーコード等、いかなる種類のコードであってもよい。一実施形態において、FOF1は、バーコードで符号化される。別の実施形態において、FOF1は、DataMatrixコードで符号化される。一実施形態において、FOF1はバーコードとDataMatrixコードの両方を有する。人間が読むことのできる英数字のコードも組み込まれ得る。識別コードは、例えばCCDカメラ、またはバーコードリーダ等の器具によって読み出される。
【0090】
一実施形態において、識別コードは、レーザーで直接FOF表面にエッチングされることができる。代替の実施形態において、識別コードは、FOFの表面に印刷される。
【0091】
B.アレイ表面
1枚以上の薄膜コーティングで被覆する前に、基板の少なくとも1つの表面は、分析結果の検出だけでなく、画定された空間内にある各反応混合物またはアッセイ溶液の離散局所化も可能にするように配置された、1つ以上の個々の反応チャンバを含有するように変更される。上面もしくは底面、または両方の面は、個々の反応チャンバを含有するように変更され得る。したがって、本明細書において使用する場合、「反応チャンバ」という用語は、例えば核酸シーケンス反応において反応物質の相互作用を容易にする基板上の局所的な「ウェル」または「チャンバ」をいう。一般に、反応物質は、化学反応またはバイオアッセイを容易にし、反応チャンバを通って流れる媒体に入れてアレイの反応チャンバ内に分配される。例えば、DNAシーケンス決定では、核酸テンプレートが、反応液を通って流れる溶液中で1つ以上の固体支持部、ビーズ、または粒子上の各反応チャンバ内に分配される。
【0092】
反応チャンバは、アレイ基板の上面もしくは底面、または両方の面上に形成され得る。反応チャンバは、幅、深さ、および開口部を有する空洞空間である。反応チャンバの開口部は、例えば、実質的に円形、正方形、楕円形、長方形、六角形、三日月形、または星形等、任意の形状であってよい。反応チャンバは、例えば、実質的に円形、正方形、楕円形、長方形、六角形、三日月形、または星形等、任意の形状であってよい。一実施形態において、反応チャンバは環状または円筒形である。別の実施形態において、反応チャンバは正方形または長方形箱の形状に近似するように多面である。図6を参照すると、一実施形態における反応チャンバの形状は、実質的に六角形である。一実施形態において、反応チャンバは均一の形状である。
【0093】
アレイ上の各反応チャンバは、反応チャンバの境界を画定する底部および側壁を含む。反応チャンバの底部は、例えば、実質的に円形、正方形、楕円形、長方形、六角形、三日月形、または星形等、任意の形状であってよい。反応チャンバの底部は、平面(すなわち、フラット)、凹面、または凸面であってよい。反応チャンバの底部は、反応チャンバの開口部と向かい合っている。反応チャンバの側壁は、いかなる形状であってもよい。例えば側壁は、円筒形の形状で、円形の底部に接続されていてよい。反応チャンバの側壁は複数の側面を有してよく、例えば、六角形形状の底部を持つ反応チャンバ側壁は、反応チャンバの側壁を作る6つの側面を有する。側壁を作る反応チャンバの側面が連続している場合もあれば、当該側面が不連続である場合もある。例えば、六角形形状の反応チャンバにおいて、反応チャンバが閉じており、側面が連続して互いに接続しているような状態であってもよいし、反応チャンバが開いており、側面が連続せず互いに接続していない状態であってもよい。側壁は、平滑面または凹凸面を有し得る。
【0094】
底部および側壁が接続して、当該底部と側壁とが継合される接合部に、反応チャンバの底部コーナーを形成する。側壁と底部が接続される角度は、底部の周辺の周囲において実質的に90度であってもよいし、あるいは当該角度は、底部の周辺の周囲において90度未満から90度超までの間で変動してもよい。底部と側壁との間の接続は、底部の周辺の周囲において連続していてよい。あるいは、いくつかの実施形態において、底部と側壁との間の接続は、底部の周辺の周囲において連続していなくてもよい。
【0095】
一実施形態において、反応チャンバの内部面は、幅および深さを有し、反応混合物またはアッセイ溶液がその中に蒸着される、基板内のウェルまたはチャンバの形をとる(図2)。一実施形態において、反応チャンバは、(i)当該チャンバへの必要な反応物質の導入、(ii)当該チャンバ内で化学反応またはアッセイを行うこと、および(iii)チャンバ間での反応物質および/または検体の混合の抑制を可能にするのに十分な寸法および順序である。
【0096】
別の実施形態において、反応チャンバの側壁は連続していない、すなわち、当該側壁は、反応物質が1つの反応チャンバから別の反応チャンバへ流れることができないように、隣接する反応チャンバ間の開口部によって中断されている。
【0097】
反応チャンバ間の開口部は、任意のサイズおよび形状であってよい。例えば、開口部は、1つ以上の穴、チャネル、管、またはスリットであってよい。側壁におけるそのような開口部は、試薬の高速交換を容易にする。例えば、側壁内の開口部に嵌合するのに十分小さいビーズの表面に固定化された試薬(「試薬ビーズ」)は、アレイの隣接する反応チャンバ間を自由に流れることができ、一方、側壁内の開口部を介して嵌合することができない、より大きなビーズ上に固定化された試薬基質は、個々の反応チャンバ、例えばビーズに結合された反応基質(「基質ビーズ」)内に維持されるか、あるいは、反応基質ビーズは、反応チャンバの底部に結合され得る。側壁に開口部を持つ反応チャンバ間における試薬交換の効率は概して向上し、化学反応またはバイオアッセイの時間は短縮される。また、反応チャンバの側壁内の開口部により、より速くより完全に反応チャンバから反応産物および副産物を除去することが可能になる。一実施形態において、開口部は、FOF上にある2つの隣接する反応チャンバ間のクラッディング材料におけるスリットである(図26a〜b)。
【0098】
別の実施形態において、側壁は連続しておらず、反応チャンバのジオメトリを画定する1本以上の境界柱を含有する。境界柱は、任意の形状(例えば、円筒形、半球、三日月形状等)を有する。一実施形態において、アレイ上の反応チャンバは、「柱アレイ」を形成するために基板(例えば、ガラス、非光ファイバフェイスプレート等)から上方に伸長する、一連の円筒形の境界柱によって形成される。一実施形態において、各チャンバは4本の境界柱によって画定され、当該柱は柱アレイ上に各反応チャンバの不連続な側壁を形成する。一実施形態において、柱アレイは、反応基質ビーズを「捕捉する」ために使用される(図21a〜b)。境界柱の数およびサイズは、基板上の境界柱のパターンと同様、変動し得る。この「開放」型の反応チャンバは、アレイの反応チャンバ、および、個々の反応チャンバ内に維持されている反応基質、例えば、境界柱間において捕捉されるビーズまたは粒子に付着されている反応基質を通って流れることができる試薬間の高速交換を容易にする。さらなる例は、例えば、米国特許第10/260,704号、Pengguang Yu、Kevin Kornelsen、米国特許出願番号第20030091475号(2003年5月5日)を参照されたい。
【0099】
一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバは、基板の底部に対して垂直な角度で接続された側壁を有し、反応チャンバの開口部と底部は、底部の中心点と開口部が整列するように向かい合っている。あるいは、別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバは基板の底部に対して垂直な角度で接続されていない側壁を有し、反応チャンバの開口部と底部は、底部の中心点と開口部がオフセットである、すなわち整列しないように向かい合っている(例えば、図20b参照)。角度が垂直でなく、且つ中心点が整列していない場合に形成された反応チャンバを、「傾斜した反応チャンバ」と称する。傾斜した反応チャンバの側壁は傾いており、底部と側壁とが接続する角度は、反応チャンバの底部コーナーの周辺の周囲において、90度未満から90度超の間で変動する。一実施形態において、反応チャンバの底部コーナーエリアに形成される角度は、約60乃至120度で変動する。別の実施形態において、反応チャンバの底部コーナーエリアに形成される角度は、80乃至100度で変動する。別の実施形態において、反応チャンバの底部コーナーエリアに形成される角度は、85乃至95度で変動する。別の実施形態において、反応チャンバの底部コーナーエリアに形成される角度は、88乃至92度で変動する。別の実施形態において、反応チャンバの底部コーナーエリアに形成される角度は、89から91度で変動する。
【0100】
一実施形態において、傾斜した反応チャンバを持つアレイは、垂直でない角度でFOFがスライスされた場合に形成され、結果として生じるFOFは、当該フェイスプレートの底部に対して垂直でない光ファイバストランドを有する(図20a〜b)。この垂直でないファイバを持つFOFを化学的にエッチングすると、形成された反応チャンバはそれぞれ傾いた側壁を有する、すなわち、傾斜した反応チャンバとなる。傾斜した反応チャンバを使用して、傾斜した反応チャンバ内の特定の位置にビーズを「固定」または「保持」することができる(図20b)。一実施形態において、傾斜した反応チャンバ内にビーズの位置を固定するために、遠心力が使用される。別の実施形態において、ビーズは、傾斜した反応チャンバの1つのコーナーに固定または保持される。別の実施形態において、遠心力は、第1のビーズ(例えば、基質ビーズ)をアレイの各反応チャンバ内に蒸着するために使用される。別の実施形態において、遠心力は、第1のビーズよりも小さい第2のビーズ(例えば、試薬ビーズ)を各チャンバ内に蒸着するために使用される。さらなる実施形態において、遠心力は、第1のビーズよりも小さい、1つを超える第2のビーズを各チャンバに蒸着するために使用される。
【0101】
反応チャンバの「コーナーエリア」は、反応チャンバの底部および側壁の内部面であり、ここで反応チャンバの底部および側壁が接続して、底部コーナーに「接合部」を形成する(図16a〜b)。コーナーエリアは、「底部コーナーエリア」と「側壁コーナーエリア」の両方を含む。コーナーエリアは、接合部から側壁の長さに沿ってアレイの上面へ、および底部に沿って反応チャンバの中心へ伸長する。コーナーエリアは、側壁の長さ全体にも底部の長さ全体にも伸長しない。一実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも90%の長さまで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも60%の長さまで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも40%の長さまで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも20%の長さまで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも10%まで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、接合部から、側壁の全長の少なくとも5%まで伸長する。別の実施形態において、側壁コーナーエリアは、側壁の全長の5%未満、伸長する(例えば、図16aおよび16bを参照)。
【0102】
別の実施形態において、底部コーナーエリアは、接合部から、底部の全長の少なくとも40%の長さまで伸長する。別の実施形態において、底部コーナーエリアは、接合部から、底部の全長の少なくとも20%の長さまで伸長する。別の実施形態において、底部コーナーエリアは、接合部から、底部の全長の少なくとも10%の長さまで伸長する。別の実施形態において、底部コーナーエリアは、接合部から、底部の全長の少なくとも5%の長さまで伸長する。別の実施形態において、底部コーナーエリアは、接合部から、底部の全長の5%未満の長さまで伸長する。本発明の別の態様において、コーナーエリアは反応チャンバの底部にリングの形状を形成し、ここでコーナーエリアは反応チャンバの底部の中心付近を含まない。さらなる実施形態において、反応チャンバの底部に部分的に塗布されたコーティングによって、反応チャンバの底部の中心付近に開口部が形成される。一実施形態において、アレイの反応チャンバは、パターン、すなわち規則的な設計もしくは構成になっているか、または、当該チャンバは、アレイ表面に無作為に分配されていてよい。一実施形態において、反応チャンバがXY座標面内でアドレス指定され得るような、アレイ上における当該チャンバの規則的なパターンがある。この意味での「パターン」は、繰り返し単位を含む。別の実施形態において、アレイは、あるパターンで基板上に配置された高密度の反応チャンバを含有する。一実施形態において、図6に示すように、アレイ基板の表面上には、反応チャンバの六方へ不規則に詰め込まれたアレイがある。
【0103】
反応チャンバは、任意の適切な距離だけ間隔をあけられていてよい。間隔は、2つの隣接する反応チャンバの中心点間の距離を測定することによって決定される(図2)。反応チャンバは、概して5μm乃至200μmの間隔があけられている。一実施形態において、反応チャンバは10μm乃至150μmの間隔があけられている。一実施形態において、反応チャンバは20μm乃至100μmの間隔があけられている。別の実施形態において、反応チャンバは40乃至60μmの間隔があけられている。別の実施形態において、反応チャンバは、2つの隣接する反応チャンバの中心点間に、約43μmから50μmの間隔を有する。反応チャンバのサイズは、任意の容積を収容するようになっている。一実施形態において、反応チャンバ容積は、10乃至150pLである。別の実施形態において、反応チャンバ容積は、20乃至90pLである。さらなる実施形態において、反応チャンバ容積は、40乃至85pLである。別の実施形態において、反応チャンバ容積は、約75pLである。
【0104】
反応チャンバは、任意の適切な幅を有してよい。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバは、3μm乃至100μmの一寸法における直径(幅)を有する。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバは、20μm乃至70μmの直径を有する。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバは、約30μm乃至50μmの直径を有する。さらなる実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバは、38μm乃至44μmの直径を有する。
【0105】
反応チャンバは、任意の適切な深さを有してよい。実質的にすべての反応チャンバの深さは、概して10μm乃至100μmである。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの深さは、20μm乃至60μmである。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの深さは、50m乃至55μmである。あるいは、実質的にすべての反応チャンバは、反応チャンバの一寸法における幅の0.25乃至5倍、または、別の実施形態において、反応チャンバの一寸法における幅の0.3乃至1倍である深さを有する。本発明の目的のために、実質的にすべての反応チャンバは、反応チャンバの少なくとも90%を意味する。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバは、少なくとも95%を意味する。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバは、少なくとも97%を意味する。さらなる実施形態において、実質的にすべての反応チャンバは、少なくとも99%を意味する。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバは、反応チャンバの100%を意味する。一実施形態において、反応チャンバのFOF上での深さは、個々の光ファイバの直径の約1/2から、当該ファイバの直径の最大2から3倍の範囲をとる。反応チャンバの深さは、例えばMicroXam 3D干渉式表面形状測定装置(ADE Phase shift社、カリフォルニア州サンノゼ)を使用して測定される。当該器具のエリア差異プロット機能を使用して、定期反応チャンバ深さ測定が行われる。当該器具は、8つのチャンバの深さをFOFクラッディング上の基準点と比較して、平均チャンバ深さを提供する。
【0106】
アレイは、そのような多数の個々のアッセイを実行するのに十分な数の反応チャンバを備える。アレイは、任意の数の反応チャンバを含有する。アレイの最終用途に応じて、基板は、超高密度(例えば、200,000超)、高密度(例えば、少なくとも100,000)、中密度(例えば、少なくとも50,000)、低密度(例えば、少なくとも10,000)、および超低密度(例えば、10,000未満)の反応チャンバを含有するようになっている。低密度アレイは、少数の反応チャンバを有する。一実施形態において、10,000未満の反応チャンバがある。例えば、アレイは1乃至96の反応チャンバを含有する。一実施形態において、アレイは96乃至384の反応チャンバを含有する。別の実施形態において、アレイは384乃至1536の反応チャンバを含有する。さらなる実施形態において、アレイは1536を超える反応チャンバを含有する。
【0107】
本発明の一態様において、FOFは、極めて多数の反応チャンバを含有するようになっている。一実施形態において、少なくとも10,000の反応チャンバがある。別の実施形態において、少なくとも50,000の反応チャンバがある。さらなる実施形態において、100,000を超える反応チャンバがある。別の実施形態において、基板の表面上に200,000を超える反応チャンバがある。同時分析測定の数は反応チャンバの数によって限定されるため、アレイを使用して実行される分析測定のスループットは、密度を増加した反応チャンバを含有するアレイ基板を製造することによって増加し得る。表1は、25×75mmおよび40×75mmのFOFから生じた14×43mmおよび30×60mmのアクティブエリアについて、この経過をそれぞれ示すものである。例えば、参照することにより本書に組み込まれる、同時係属の米国特許出願番号第10/767,779号を参照されたい。ピッチは、「中心から中心」を測定したファイバ間の距離である(表1)ピッチとファイバサイズは、概して同等である。
【0108】
【表1】
上記に示すように、本発明の1つの特別な利点は、特に光ファイバ技術の使用によって、改良された極めて高密度のアレイが作られ得ることである。したがって、例えば、0.5cm2につき250,000を超える個々のファイバの密度が得られる1mm2の光ファイバ束内に、50,000もの異なるファイバおよびセルを有することが可能である。
【0109】
例えば、ワイドチャネル反応チャンバは、約14mm×43mmの寸法を有することができる。したがって、この概算寸法および約4.82×10−4チャンバ/μm2の密度では、アレイは約290,000の反応チャンバを有することができる。
【0110】
反応チャンバは、当該技術分野においては概して既知であるように、化学エッチング、フォトリソグラフィ、スタンピング技術、加圧成形、鋳造、成形、マイクロエッチング、電解析出、マスクまたはテンプレートを用いる化学的または物理的気相蒸着、電解加工、レーザー加工または切断、電子ビーム加工または切断、および従来の機械加工を含むがこれらに限定されない様々な技術を使用して、基板の表面に形成される。技術は、基板の組成および形状によって決まることになる。一実施形態において、反応チャンバは、化学エッチングを使用して形成される。反応チャンバは一般に、任意の薄膜コーティングでアレイを被覆する前に、基板内に形成される。
【0111】
C.薄膜コーティング
本発明は、アレイ基板に対して1枚以上の薄膜コーティング塗布を提供する。薄膜コーティングは、透明または非透明コーティングである。そのような透明および非透明薄膜コーティングは、反応混合物またはアッセイ溶液のアレイ基板との適合性を向上させること、および、近接する反応チャンバ間での光流出および物理的干渉等の問題を削減することを含み、アレイの特性および機能を向上させるように設計される。透明薄膜コーティングは、反応チャンバ内に含有される溶液と基板との間にバリアを提供し、溶液への基板材料の浸出、および、反応チャンバ内に含有される内容物と基板との間の接触の両方を防止する。非透明薄膜コーティングは、1つの反応チャンバから別の隣接する反応チャンバへ光子が漏れること(すなわち、クロストーク)を防止する光子バリアを提供する。非透明コーティングは、近接する反応チャンバ間で光を通過させないバリアを作成し、それによって光子を抑止し、光を反応チャンバ内に保って光散乱を排除する。非透明コーティングを使用して、反応チャンバ内におけるビーズまたは粒子(例えば、化学反応を実行するための固体支持ビーズ)の保持率を向上させることができる。
【0112】
本発明の薄膜コーティングは、一般に、反応チャンバの底部もしくは側壁またはアレイの上面を被覆するために塗布される。本発明の目的のために、反応チャンバの底部もしくは側壁またはアレイの上面が薄膜コーティングで被覆される場合、当該コーティングは、部分的に、または実質的に完全に、底部、側壁、または上面の表面を覆う。一実施形態において、底部、側壁、または上面の表面が薄膜コーティングで100%覆われている場合、底部、側壁、または上面は、完全に覆われている。別の実施形態において、底部、側壁、または上面の表面が薄膜コーティングで97〜100%覆われている場合、底部、側壁、または上面は実質的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の表面が薄膜コーティングで97%未満覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の少なくとも80%が薄膜コーティングで覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の少なくとも60%が薄膜コーティングで覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の少なくとも40%が薄膜コーティングで覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の少なくとも20%が薄膜コーティングで覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。別の実施形態において、底部、側壁、または上端の少なくとも10%が薄膜コーティングで覆われている場合、底部、側壁、または上面は部分的に被覆されている。
【0113】
本発明の一態様において、非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。別の実施形態において、非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着され、非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に透明コーティングが蒸着される前に、アレイに蒸着される。別の実施形態において、透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着され、透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に非透明コーティングが蒸着される前に、アレイに蒸着される。
【0114】
透明薄膜コーティング
一実施形態において、アレイの基板は、透明薄膜コーティングと組み合わせた非透明薄膜コーティングで被覆され、当該透明薄膜コーティングは、一般にアッセイ溶液および化学反応混合物において見られる成分と適合することが知られている材料から成る。透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に非透明コーティングが蒸着される前に、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着されてよい。あるいは、透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に非透明コーティングが蒸着された後に塗布されてもよい。
【0115】
一実施形態において、透明コーティングは防水性である。別の実施形態において、透明コーティングは均一な表面組成を提供する。一実施形態において、透明コーティングは光学的に透明である。透明コーティングのその他の望ましい特性としては、耐久性、基板材料との適合性、汎用的な蒸着パラメータ、および高温への耐性が挙げられる。一実施形態において、透明コーティングは、ガラス状物質に対して接着性である。一般に、透明コーティングは、巨大分子の非特異的吸収を最小限に抑える。アレイ基板は、透明薄膜コーティングによって完全に被覆されてよい。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの各底部および側壁ならびにアレイの上面を含むアレイ基板全体が、透明コーティングを有する。あるいは、アレイ基板は、透明コーティングで完全に被覆されていなくてもよい。例えば、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面が、透明コーティングで被覆されている(図2)。あるいは、透明コーティングは無い。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部は、透明コーティングを有する。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部は透明コーティングを有し、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は透明コーティングを有さない。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁は透明コーティングを有する。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁は透明コーティングを有し、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部およびアレイの上面は透明コーティングを有さない。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は、透明コーティングを有する。さらなる実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は透明コーティングを有し、実質的にすべての反応チャンバの底部は透明コーティングを有さない。
【0116】
別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面が、部分的に被覆されている。一実施形態において、透明コーティングが、当該底部と側壁との間の接合部に形成されたコーナーエリアに塗布され、透明コーティングの不在によって底部の中心付近に開口(すなわち、開口部)を形成するような底部の中心には無いように、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部および側壁が透明コーティングで部分的に被覆されている(例えば、図16aおよび16b参照)。開口のサイズは、反応チャンバの底部を通過できる光の量を調節し集中させることができるよう、コーティングプロセス中に調整され得る。
【0117】
本発明の一態様において、透明コーティングは基板上に位置する特徴に塗布される。被覆され得るそのような基板上の特徴の例としては、球孔、シリンダウェル、カラム、柱、傾斜シリンダ等が挙げられる。別の実施形態において、基板と反応チャンバを形成するために基板の上に築かれた境界柱とで作られたアレイ、すなわち「柱アレイ」は、透明コーティングで被覆されている(図21a〜b)。基板上の境界柱のサイズ、数、およびパターンは、変動し得る。境界柱は、任意の数の形状(例えば、環状、長方形、六角形等)をとることができる。一実施形態において、第1の透明コーティングは、柱アレイに塗布される。別の実施形態において、第1の透明コーティングが塗布された後、第1と第2の透明コーティングが異なるような第2の透明コーティングが柱アレイに塗布される(例えば、図21b参照)。別の実施形態において、柱アレイアレイへの第1および第2の透明コーティングの蒸着により、コーティングが塗布されていない「影エリア」を作成し、例えば、図21bを参照されたい。
【0118】
本発明の別の態様において、透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバが連続していない側壁を有するアレイ、すなわち、隣接する反応チャンバ間の開口部によって側壁が中断されているアレイに塗布される。開口部は、任意のサイズおよび形状であってよい。一実施形態において、開口部は、図26aに示すようなスリットである。反応チャンバの側壁における開口部は、コーティングを反応チャンバの底部に特定のパターンで蒸着するための手段を提供する(例えば、図26b)。一実施形態において、反応チャンバの底部におけるパターンは円錐形である。別の実施形態において、透明コーティングは、コーティングの厚さが変動するような勾配で蒸着される。一実施形態において、透明コーティングは反応チャンバの底部の中心線付近では厚くなり、当該コーティングは中心線から離れて縁に向かうにつれて薄くなる。
【0119】
本発明の別の態様において、透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布され、ここで当該反応チャンバは基板の底部に対して垂直でない側壁を有する、すなわち、傾斜した反応チャンバとなる。一実施形態において、透明コーティングは、フェイスプレートの底部に対して垂直でない光ファイバストランドを持つ光ファイバフェイスプレートに塗布され、反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または当該光ファイバフェイスプレートの上面は、透明コーティングで被覆されている。
【0120】
「透明薄膜」という用語は、アレイのその他の特性寸法よりも実質的に小さい厚さを持つ透明コーティングをいう。一実施形態において、透明コーティングの厚さは、0.1〜5.0ミクロンである。透明コーティングの厚さは、反応チャンバの内部面を含むアレイの表面上で不均一であってよい。例えば、一実施形態において、存在する場合、アレイの実質的にすべての反応チャンバの透明コーティングの厚さは、アレイの上面において約200〜400nmである。別の実施形態において、存在する場合、アレイの実質的にすべての反応チャンバの透明コーティングの厚さは、反応チャンバの側壁において約50〜100nmである。別の実施形態において、存在する場合、アレイの実質的にすべての反応チャンバの透明コーティングの厚さは、反応チャンバの底部において約100〜300nmである。
【0121】
多くの異なる種類の材料が透明コーティングとして使用され得る。透明薄膜コーティングの組成は、アレイ基板、用途、および薄膜蒸着の方法によって決まることになる。一実施形態において、透明コーティングは高分子である。一実施形態において、高分子は無機高分子である。別の実施形態において、透明コーティングは非金属酸化物(例えば、二酸化ケイ素(SiO2))である。その他の透明コーティングは、例えば、金属合金、金属もしくは半導体酸化物、窒化物、炭化物、またはホウ化物である。多くの透明コーティングが市販されている。
【0122】
透明コーティング材料は、アンカープライマーを基板に付着させるために使用されるそれらの材料も含む。アミノ基、スルフヒドリル基、またはカルボキシル基を介してタンパク質の直接共有結合を可能にするオルガノシラン試薬も、アレイ基板を被覆するための透明コーティングとして使用され得る。さらなる透明コーティングは、光反応性リンカー、例えばフォトビオチン(Amosら、「Biomaterial Surface Modification Using Photochemical Coupling Technology」、Encyclopedic Handbook of Biomaterials and Bioengineering、Part A:Materials、Wiseら(編)、New York、Marcel Dekker、895〜926ページ、1995年)を含む。
【0123】
その他の透明コーティング材料は、ポリアクリルアミドおよび多糖類等の親水性高分子ゲル等、高分子材料を含み、当該材料は、プルロニック高分子(トリブロック共重合体、例えば、F‐108としても知られているPPO‐PEO‐PPO)だけでなく、基板の表面または当該基板に共有結合で直接付着された高分子鎖に直接重合され(Hjerten,J.Chromatogr.347,191(1985年);Novotny、Anal.Chem.62,2478(1990年))、特に、ビオチン結合タンパク質の層に受動的に吸着されるだけでなく、ポリスチレンまたはシラン化処理したガラス表面のいずれかに吸着される(Hoら、Langmuir 14:3889−94、1998年)。アミン結合を介して試薬の連結を可能にするエポキシドを含む透明コーティングで表面が被覆されていてもよい。一実施形態において、透明薄膜コーティングはSiO2である。
【0124】
任意の薄膜コーティングを塗布する前に、例えば5%Contrad(登録商標)溶液等の水性塩基性溶液中での超音波照射によってFOFを清浄する。Contrad(登録商標)溶液は、アルカリ塩基水溶液中に界面活性剤を入れてできた清浄液である。5%Contrad(登録商標)溶液は、実質的に5パーセントのContrad(登録商標)を含有する。実質的に5%とは、溶液が5%Contrad(登録商標)よりもわずかに多い、またはわずかに少なくてもよいことを意味する。
【0125】
一実施形態において、清浄後、一般に、エッチングされたFOFをSiO2の透明コーティングで被覆するためにイオンプレーティングプロセスが使用され、ここで透明コーティングの厚さは0.1〜5.0ミクロンである。一実施形態において、存在する場合、透明コーティングの厚さはアレイの上面において200〜400nmである。別の実施形態において、存在する場合、透明コーティングの厚さは側壁において50〜100nmであり、存在する場合、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部において100〜300nmである。SiO2は、透明であり、10nmに至る極めて効率的な水バリアの厚さを有し、ガラス状物質に接着し、厳しい清浄法や高温に耐える。さらに、SiO2の表面特性は、これらの特性を変更するための方法と同様に、既知である。さらに、SiO2は、微小規模ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction;「PCR」)条件と適合することも示している。
【0126】
非透明薄膜コーティング
別の実施形態において、アレイの基板は、隣接する反応チャンバへの光子の光流出および近接する反応チャンバ間での物理的干渉を防止、抑制、または削減するために、そこを通る光の通路を調節する、例えば、光をブロックする、実質的にブロックする、または拡散させる材料で作られた非透明薄膜コーティングで被覆されている。
【0127】
非透明コーティングの厚さは、不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明のコーティングが得られるように、変動および制御され得る。一実施形態において、非透明コーティングは不透明である。別の実施形態において、非透明コーティングは半不透明である。別の実施形態において、非透明コーティングは光沢不透明である。さらなる実施形態において、非透明コーティングは半透明である。非透明コーティングのその他の望ましい特性としては、耐久性、基板材料との適合性、汎用的な蒸着パラメータ、および高温への耐性が挙げられる。一実施形態において、非透明コーティングは、ガラス状物質に対して接着性である。非透明コーティングは、巨大分子の非特異的吸収を最小限に抑える。アレイ基板は、非透明薄膜コーティングでその全体を被覆されてよい。あるいは、アレイ基板は、非透明コーティングでその全体を被覆されていなくてもよい。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部もしくは側壁またはアレイの上面の少なくとも1つは、非透明コーティングを有する(図2)。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの各底部および側壁ならびにアレイの上面を含むアレイ基板全体は、非透明コーティングを有する。別の実施形態において、アレイの上面ならびに実質的にすべての反応チャンバの側壁および底部は、非透明コーティングで被覆されている。
【0128】
別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部は、非透明コーティングを有する。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部は非透明コーティングを有し、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は非透明コーティングを有さない。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁は非透明コーティングを有する。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁は非透明コーティングを有し、実質的にすべての反応チャンバの底部および上面は非透明コーティングを有さない。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は非透明コーティングを有する。さらなる実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は非透明コーティングを有し、実質的にすべての反応チャンバの底部は非透明コーティングを有さない。
【0129】
別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面は、非透明コーティングで部分的に被覆されている。一実施形態において、非透明コーティングが、当該底部と側壁との間の接合部に形成されたコーナーエリアに塗布され、非透明コーティングの不在によって底部の中心付近に開口(すなわち、開口部)を形成するような底部の中心には無いように、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部および側壁が非透明コーティングで部分的に被覆されている(例えば、図16aおよび16b参照)。開口のサイズは、反応チャンバの底部を通過できる光の量を調節し集中させることができるように調整され得る。
【0130】
非透明コーティングは、基板上に位置する特徴を被覆する、すなわち覆うために使用され得る。被覆され得る基板上のそのような特徴の例としては、球孔、シリンダウェル、カラム、柱、傾斜シリンダ等が挙げられる。別の実施形態において、反応チャンバを形成するために基板の上に築かれた境界柱を持つ基板を備えるアレイ(「柱アレイ」)は、非透明コーティングで被覆されている。基板上の境界柱のサイズ、数、およびパターンは、変動し得る。一実施形態において、第1の非透明コーティングは、柱アレイに塗布される。別の実施形態において、第1の非透明コーティングが塗布された後に第2の非透明コーティングが塗布され、第1と第2の非透明コーティングは異なる(図21b)。別の実施形態において、柱アレイアレイへの第1および第2の非透明コーティングの蒸着により、コーティングが塗布されていない「影エリア」を作成し、例えば、図21bを参照されたい。
【0131】
本発明の別の態様において、非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバが連続していない側壁を有するアレイ、すなわち、隣接する反応チャンバ間の開口部によって側壁が中断されているアレイに塗布される。開口部は、任意のサイズおよび形状であってよい。一実施形態において、開口部は、図26aに示すようなスリットである。反応チャンバの側壁における開口部は、非透明コーティングを反応チャンバの底部に特定のパターンで蒸着するための手段を提供する(例えば、図26b)。一実施形態において、当該パターンは円錐形である。別の実施形態において、非透明コーティングは、コーティングの厚さが変動するような勾配で蒸着され、非透明コーティングは反応チャンバの底部の中心線付近では厚くなり、非透明コーティングは中心線から離れて縁に向かうにつれて薄くなる。
【0132】
本発明の別の態様において、非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布され、当該アレイは、基板の底部に対して垂直でない側壁を持つ反応チャンバ、すなわち、傾斜した反応チャンバを有する。一実施形態において、非透明コーティングは、フェイスプレートの底部に対して垂直でない光ファイバストランドを持つ光ファイバフェイスプレートに塗布され、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または当該光ファイバフェイスプレートの上面は、非透明コーティングで被覆されている。
【0133】
「非透明薄膜」という用語は、アレイのその他の特性寸法よりも実質的に小さい厚さを持つ非透明コーティングをいう(図14)。一実施形態において、非透明コーティングの厚さは、当該コーティングが不透明であるか、半不透明であるか、半透明であるか、または光沢不透明であるかを決定する。
【0134】
多くの異なる種類の材料が非透明薄膜コーティングとして使用され得る。非透明薄膜コーティングの組成は、アレイ基板、用途、および薄膜蒸着の方法によって決まることになる。非透明薄膜コーティングは、有機化合物、無機化合物、および非金属酸化物から選択され得る。一実施形態において、非透明コーティングは高分子である。別の実施形態において、非透明コーティングは有機または無機化合物である。一実施形態において、無機化合物は金属である。非透明薄膜コーティングとして使用される金属は、クロム、金、銀、アルミニウム、チタン、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、カドミウム、錫、鉛、アンチモン、コバルト、プラチナ、およびそれらの任意の合金、例えばチタン/鉛から選択される。一実施形態において、非透明コーティングは、クロム、金、銀、アルミニウム、チタン、およびプラチナから選択される。一実施形態において、非透明コーティングはクロムである。別の実施形態において、非透明コーティングは銀である。
【0135】
一実施形態において、第1の非透明コーティングがアレイに塗布され、第1の非透明コーティングが塗布された後に、第2の非透明コーティングがアレイに塗布される。一実施形態において、第1と第2の非透明コーティングは同じである。あるいは、第1と第2の非透明コーティングは異なる。一実施形態において、第1の非透明コーティングはクロムであり、第2の非透明コーティングは金である。別の実施形態において、第1の非透明コーティングは金であり、第2の非透明コーティングはクロムである。別の実施形態において、第1の非透明コーティングはチタンであり、第2の非透明コーティングはプラチナである。別の実施形態において、第1の非透明コーティングはプラチナであり、第2の非透明コーティングはチタンである。第1および第2の非透明コーティングは、別々のプロセスで塗布され得る。あるいは、異なる金属ターゲットに切り替えることにより、第1および第2の非透明コーティングは同じプロセスで塗布され得る。
【0136】
別の実施形態において、コーティングは誘電性である。誘電体コーティングは非透明であってもよいし、透明であってもよい。一実施形態において、誘電体コーティングは非透明である。別の実施形態において、誘電体コーティングは透明である。誘電性であるコーティングは、高い電気抵抗を有する、例えばSiO2である。一実施形態において、非透明コーティングの上に透明誘電体コーティングが塗布され、非透明コーティングを腐食から保護するために使用される。例えば、SiO2コーティングは、SiO2コーティングが透明なままで金属コーティングを腐食から保護するために、金属コーティングがアレイに塗布された後に塗布される。
【0137】
その他の実施形態において、コーティングは伝導性である。伝導性であるコーティングは、導電性の、例えば金薄膜である。伝導性コーティングは、電気メッキ用の第1のコーティングとして使用、または、溶液中の電極表面として使用され得る。一実施形態において、伝導性である非透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布される。別の実施形態において、伝導性である非透明コーティングが実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布され、非透明コーティングが塗布された後に、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に透明コーティングが塗布される。一実施形態において、アレイは、反応チャンバ内において実行される化学反応またはバイオアッセイを電気化学的に強化することを可能にする伝導性コーティングで被覆されている。例えば、金属被覆されたエッチング加工済みのFOFは、照度化学と連動して電気化学的方法を使用する分析用の陽極または陰極として使用され得る。別の実施形態において、SiO2コーティングは伝導性金属コーティングの上に塗布され、アレイのSiO2コーティングは分極され、それによって溶液中における表面付近のイオンの動きを強化する。多くの非透明コーティングが市販されている。
【0138】
本発明の別の態様において、アレイ基板は透明および非透明コーティングの両方で被覆される。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は透明コーティングで被覆され、底部は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁および底部は透明コーティングで被覆され、アレイの上面は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部およびアレイの上面は透明コーティングで被覆され、実質的にすべての反応チャンバの側壁は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部は透明コーティングで被覆され、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびアレイの上面は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、アレイの上面は透明コーティングで被覆され、実質的にすべての反応チャンバの側壁および底部は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの側壁は透明コーティングで被覆され、実質的にすべての反応チャンバの底部およびアレイの上面は非透明コーティングで被覆されている。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部は透明コーティングで被覆され、実質的にすべての反応チャンバの側壁は非透明コーティングで被覆され、アレイの上面は被覆されていない。
【0139】
多層の透明および非透明コーティングをアレイ基板上に蒸着することができる。一実施形態において、透明コーティングは、少なくとも第1の透明コーティングを含む。別の実施形態において、非透明コーティングは、少なくとも第1の非透明コーティングを含む。透明および/または非透明コーティングの2枚以上のコーティングを、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着することができる。一実施形態において、第1の非透明コーティング、例えばクロムが、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の片側に蒸着され、第2の非透明コーティング、例えば金が、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の反対側に蒸着される。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部もしくは側壁またはアレイの上面の少なくとも1つは、第1および第2の非透明コーティングで被覆されている。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部は第1の透明コーティングで被覆され、アレイの実質的にすべての底部および側壁は第2の透明コーティングで部分的に被覆され、さらに、第2の透明コーティングは、反応チャンバの底部と側壁との間の接合部に形成されたコーナーエリアに塗布され、反応チャンバの底部における当該第2の透明コーティングの不在によって、当該底部の中心付近に開口を形成するように、当該第2の透明コーティングは底部の中心には無い。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部および側壁は部分的な非透明コーティングで被覆され、さらに、反応チャンバの底部と側壁との間の接合部に形成されたコーナーエリアに透明コーティングが塗布され、反応チャンバの底部における非透明コーティングの不在によって当該底部の中心付近に開口を形成するように、底部の中心には非透明コーティングが無い。
【0140】
透明および非透明薄膜コーティングの機能化
透明および非透明薄膜コーティングは、いずれも反応物質(例えば、タンパク質、酵素、および核酸)の容易な付着を可能にし、固定化された反応物質の活性に悪影響を及ぼすことはない。ある場合において、薄膜コーティングは、反応物質の安定性を向上させることができる。
【0141】
透明および非透明コーティングは、化学反応を促進するため、または、隣接する反応チャンバ間におけるクロストーク等の望ましくない効果を削除するための、さらなる機能を提供することができる表面改質を可能にする。
【0142】
一般に、反応物質と検体は、反応チャンバ内において非共有結合で関連付けられている。しかしながら、薄膜で被覆されたチャンバは、生物学的または化学的に機能化され得る。例えば、これまでに論じた透明または非透明薄膜コーティングはいずれも、当該技術分野において酵素およびヌクレオチドの固定化のためのものとして知られている1つ以上の官能基、例えば金属キレート基(例えば、ニトリロ、三酢酸、イミノ二酢酸、ペンタデンテートキレート剤等)によって、誘導体化することができる。一実施形態において、透明または非透明コーティングで被覆された薄膜被覆アレイの実質的にすべての反応チャンバは、反応物質または検体を側壁または底部に共有結合または非共有結合で付着させる、または捉えるために使用される官能基を含有するように変更される。この文脈における「化学修飾された反応チャンバ」は、反応チャンバの薄膜で被覆された表面に付着され、反応物質または検体を同じ表面に付着させるまたは捉えるために使用される、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、およびチオール基を含む官能基の追加を含むがこれらに限定されない。また、「生物学的に修飾された反応チャンバ」は、抗原/抗体対、酵素/基質または阻害物質対、受容体‐リガンド対、炭水化物とその結合パートナー(レクチン等)を含むがこれらに限定されない、結合リガンドまたは結合パートナー対の付着を含む。
【0143】
一実施形態において、透明コーティングは、化学的または生物学的修飾のための表面を生成する。別の実施形態において、非透明コーティングは、化学的または生物学的修飾のための表面を生成する。さらなる実施形態において、透明コーティングは、酵素固定化のための表面を提供する。一実施形態において、固定化のための酵素は、スルフリラーゼ、ルシフェラーゼ、ポリメラーゼ、ヒポキサンチン、ホスホリボシルトランスフェラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ウリカーゼ、アピラーゼ、およびペルオキシダーゼから選択される。別の実施形態において、非透明コーティングは、酵素固定化のための表面を提供する。別の実施形態において、第1のコーティングは、反応チャンバにおいて反応物質または検体を捕捉するための手段を提供する。別の実施形態において、非透明コーティングは、反応チャンバにおいて反応物質または検体を捕捉するための手段を提供する。
【0144】
2.光ファイバフェイスプレートの片面化学エッチングのためのプロセス
本発明は、さらに、アレイ基板上に反応チャンバを産出するためのプロセスおよびそのようなプロセスを実行するための装置を対象としている。一実施形態において、反応チャンバは、FOF基板上に形成される。一実施形態において、反応チャンバは、コア材料とクラッディング材料との間のエッチング速度の差異を利用する、選択的化学エッチングプロセスを使用して形成される。例えば、Pantanoら、Chem.Mater.8:2832(1996年)、および、Waltら、米国特許第20020015146号公報を参照されたい。反応チャンバは、FOFの片側に形成されてもよいし、両側に形成されてもよい。基板の両側に反応チャンバを形成するための方法では、エッチング槽以外に特殊なハードウェアまたは装置を必要としない。しかしながら、一実施形態において、FOFの側面の片方においてエッチングされた反応チャンバは、カメラシステムとの光連結のために表面が十分平滑となるよう、実質的に除去される必要がある。この除去プロセスは、高価で時間のかかる研磨ステップを伴う。反応チャンバが単側にしか形成されていない場合、FOFは、殆ど直ちに清浄および表面コーティングの準備が整う。本発明は、FOFの片側にのみ反応チャンバを産出するように設計された装置および化学エッチングプロセスの両方を提供する。
【0145】
A.エッチング装置:クランプおよびガスケット
一般に、単側のFOFをエッチングするために使用される装置は、以下のハードウェアを含む:少なくとも1つのクランプおよびガスケットである(図12および13)。「サンドイッチ」という用語は、2つのFOFの間にガスケットが位置付けられた2つのFOFをいう。クランプ39は、2つのFOF1をガスケット75と共に加圧成形またはしっかりと保持して、エッチングプロセス中に使用される「固定サンドイッチ」を形成するために使用されるデバイスである。ガスケット75は、固定サンドイッチ内に流体密封シール、例えば、酸への曝露から各FOFの片側を保護するために2つのFOF間に置かれたガスケットを作成するように設計されている。FOFおよびガスケットのいずれも、各FOFの片側のみが酸処理に供されるようなFOFを取り付けるための物理的基礎を提供するインデックス機能をそれぞれ含有する。
【0146】
1.クランプ
本発明は、2つの継合された構成要素、つまり基部と突起物を含むクランプを備える。両構成要素が単一の適切な材料から構成されているか、または、各構成要素が適切な材料から別々に構成され、当該技術分野において知られている多種多様な統合技術を使用して統合される(例えば、接着的に付着される、機械的に統合される等)。基部は、概して、少なくとも向かい合う上面および底面を有する長方形箱の形状であり、当該上面と底面の間には距離がある。底面は、基部の外周辺を形成するために、取り外せないように継合された側面および端面によって、取り外せないように上面に継合されている。基部は、少なくとも第1および第2の側面と少なくとも第1および第2の端面を有する。基部の表面は、略平面である。
【0147】
基部の表面上には、少なくとも2つの突起物が整列されている。本発明のこの変形においては、少なくとも2つの突起物が基部の上面に整列され、半径方向にある距離だけ外側へ伸長している。任意の数の突起物が上面に整列される。適切な突起物は、任意の形状およびサイズである。例えば、突起物は、外縁および内縁ならびに第1および第2の縁を含む少なくとも4つの縁を有する先細長方形である。外縁と内縁は向かい合っており、第1と第2の縁は向かい合っている。突起物の縁が接続されて、先細長方形形状の突起物を形成する。突起物の内縁はフラットであり、基部の上面に対して垂直に付着している。突起物は、上端および高さを有する。突起物の対は上面に沿って位置付けられ、基部の上面の中央下にスロットを形成するために、1つの突起物の内縁はもう1つの突起物の内縁に向かい合っている。幅W11を持つスロットは、FOFおよびガスケットがクランプの突起物によって安全に保持される場所である。当業者には、クランプは特殊な形状に限定されるものでなく、その他の形状および全体寸法を含むことが理解される。
【0148】
図7a〜dを参照すると、本発明の一実施形態は、長方形形状の基部40および少なくとも2つの突起物43、44から成る単一クランプ39を含む。基部は、上面41および底面42を有し、これらは向かい合っている。底面42は、基部40の外側境界を形成するために接続された、任意の数の側面および端面によって取り外せないように上面41に継合されている。上面41と底面42との間に伸長するD2は、任意の距離である。一実施形態において、上面と側面41、42の間の距離は、10cmを超えない。別の実施形態において、D2は、0.5mmから5mmである。さらなる実施形態において、距離D2は約4mmである。
【0149】
一実施形態において、長方形の基部40は、距離W12によって隔てられた第1の側面35および第2の側面36と、距離L10によって隔てられた第1の端面37および第2の端面38とを有する。より好ましい実施形態において、基部40は、扁平なコーナーを持つ長方形形状である。例えば、基部40は、距離W12によって隔てられた第1の側面35および第2の側面36と、距離L10によって隔てられた第1の端面37および第2の端面38と、第1のコーナー端面45、第2のコーナー端面46、第3のコーナー端面47、および第4のコーナー端面48を含む4つのコーナー端面とを有する。
【0150】
当業者であれば、基部40の側面、端面、およびコーナー端面は、任意の長さであることを十分に理解するであろう。一実施形態において、第1および第2の側面35、36は同じ長さであり、第1および第2の端面37、38は同じ長さであり、4つのコーナー端面45、46、47、48は同じ長さである。一実施形態において、長さと幅は同じである。別の実施形態において、側面の長さは端面よりも長い。例えば、第1の側面35および第2の側面36はそれぞれ約58mmの長さL9を有する。第1の端面37および第2の端面38はそれぞれ約12mmである長さL11を有する。45、46、47、および48を含む4つのコーナー端面はそれぞれ約2mmである幅L13を有する。
【0151】
突起物は、任意の形状、および、高さを含む任意の寸法を有する。本発明のこの変形において、突起物の一般的な形状は先細長方形である。突起物は、複数の縁と、突起物上端と、高さとを備える。一実施形態において、突起物43は、向かい合った内縁49および外縁52と、向かい合った第1の縁50および第2の縁51とを含む、4つの縁を有する。一実施形態において、内縁49の表面はフラットであり、上面41に対して垂直である。外縁52の表面はフラットであり、上面41と共に角度A4を形成する。一実施形態において、角度A4は45度である。第1の縁50は凹面である表面を有し、第2の縁51は凹面である表面を有する。突起物先端は、いかなる形状であってもよいし、いかなる寸法を有してもよい。一実施形態において、突起物先端55は尖っている。あるいは、突起物先端は丸い、またはフラットである。本発明の一態様において、突起物先端55はフラットであり長方形形状である。さらなる実施形態において、突起物先端55の長方形エリアは、約1mm×2mmである。突起物(例えば、44)はいかなる高さであってもよい。一実施形態において、突起物の高さH6は約5〜6mmである。
【0152】
一発明において、クランプ39は、少なくとも2つの突起物のセットを使用して、エッチングプロセスのためにFOFとガスケットを共に圧縮する。基部40の表面は、任意の数の突起物を有する。概して、突起物は上面41に沿って整列される。一実施形態において、突起物43は、第1の側面35に沿ってその外側面52を持つ上面41上に整列され、別の突起物44は、第2の側面36に沿ってその外側面を持つ上面41上に向かい合って整列される。クランプ39は、1対以上の突起物を有してよい。一発明において、クランプ39は、複数対の突起物を有する。本発明の一態様において、クランプ39は、その上面41上に整列された1から6対の突起物を有する。当業者には、突起物の対の数はFOFのサイズに応じて変動し得ることが理解される。
【0153】
少なくとも2つの突起物43、44の対および基部40は、単一の適切な材料から、または、一体的に形成された、もしくは統合された別々の適切な材料から成る単一クランプ39を形成する。この変形において、クランプ39は、上面41の中心下に位置するスロット56を有する。スロット56は、FOFおよびガスケットがクランプ39によって保持される場所である。スロット56は、第1および第2の側面35、36に沿った上面41上における突起物43および44の整列によって作成される。スロット56の長さL10は、第1の端面37から第2の端面38へ伸長する。スロット56の幅W11は、突起物44の内縁と突起物43の内縁との間の距離である。スロットは、任意の幅および任意の幅を有し得る。スロット56の幅W11は、共に挟まれた2つのFOFおよびガスケットの幅と略同等である。一実施形態において、スロットの幅W11は約6mmである。一実施形態において、スロット56の長さL10は約62mmである。
【0154】
クランプは、任意の適切な材料から成る。一実施形態において、クランプは、任意の耐酸材料から製造される。さらなる実施形態において、クランプは、プラスチック材料から製造される。最も好ましい実施形態において、クランプは、ポリエーテルエーテルケトンから製造される(「PEEK製クランプ」)。
【0155】
2.ガスケット
本発明は、エッチング装置を構成するハードウェアの1つとして、ガスケットを含む。ガスケットの一般的な目的は、ガスケットと一方のFOF表面との間にシールを形成して、FOFの他方の表面を液体(例えば、酸)への曝露から保護することである。ガスケットは、化学エッチングプロセスの条件と適合する特性を持つ適切な材料から製造される。ガスケットは、概して、耐酸材料から成る。一実施形態において、ガスケットを構成する材料は柔軟である。当業者であれば、ガスケットは、シールされたエリアがFOF上に正確に位置し、目的とするエリアをエッチングから保護するようなシールをFOFと共に形成するのに適切に形作られた任意の形状またはサイズであることを十分に理解するであろう。ガスケットは、少なくとも2つの表面、例えば上面および側面を有する。ガスケット表面は、エッチングプロセスから保護されるエリア周囲のFOFの周辺に沿ってFOFに接触するフラットな隆起面である、隆線を有する。一実施形態において、ガスケットは、保護されるエリア周辺のFOFの周辺に沿ってFOFに接触するフラットな隆起面である、少なくとも2つの向かい合う隆線を有する。一実施形態において、ガスケットは、2つのフラットな向かい合う表面であって、その間には距離がある表面を有する長方形の形状であり、各表面は隆線を含有する。ガスケットは、その上面および底面の両方に、ガスケットにFOFが取り付けられた際、それを適正な位置に位置付ける役割を果たす、突出した外枠機能を有する。ガスケットの外枠は、上面および底面に取り外せないように継合された壁から成る。ガスケットは、任意の数の壁を有する。一実施形態において、ガスケットは、第1の壁、第2の壁、第3の壁、および第4の壁を含む4つの壁を有する。ガスケット壁は高さを有する。ガスケット壁は、長方形の底枠を形成するために、垂直な角度で接続されている。FOFの外枠を構成するガスケット壁は、エッチングプロセス中に各FOFが置かれるトレイ状構造を形成するために、上面の上および底面の下に伸長する。本発明の一態様において、ガスケットは、FOFと同じ一般的形状である。
【0156】
ガスケットの少なくとも上面または底面、あるいは両表面は、当該表面上に上昇した隆線を形成する隆起部分を含み、そのような隆線がある理由は、FOFとガスケット表面との間における密封シールの形成を容易にし、各FOFの片側が液体に曝露されるのを防止することである。隆線は、断面が平滑且つ均一であり、FOFの周辺の周囲に連続的なバリアを形成する。一実施形態において、隆線は、ガスケット表面を超える高さ、および幅を有する長方形形状の境界線である。隆線は、ガスケット壁のある距離だけ内側に位置する。
【0157】
ガスケットは、エッチングプロセス中にFOFを適正に配向する物理的基礎を提供するための少なくとも1つのインデックス機能をさらに含むため、1回の配向のみでガスケットに取り付けることができるのはFOFだけである。FOFの適正な位置決めにより、FOFの同じ側がエッチングされるという一貫性を確実にすることができる。インデックス機能は、任意の形状または形態である。一実施形態において、ガスケットインデックス機能を形成するために、ガスケットの1つのコーナーにバンドがある角度で位置付けられ、当該バンドは、FOFがどのようにしてガスケットに取り付けられるかを制限するコーナーバリアを形成する(すなわち、FOFのコーナーノッチはガスケットインデックス機能と一致しなくてはならない)。
【0158】
図11a〜eを参照すると、本発明のこの変形は、上面76および底面77を含むガスケット75を含む。上面および底面76、77は直接向かい合っており、上面76と底面77との間には距離がある。2つの表面の間の距離は、任意の距離である。一実施形態において、上面76と底面77との間の距離H10は、約1mmである。ガスケットの表面は任意の形状である。一実施形態において、ガスケットの上面と底面は同じである。好ましい実施形態において、ガスケットの上面および底面は長方形の形状である。
【0159】
当業者には、ガスケットは任意の数の壁を有することが理解される。一実施形態において、ガスケット75は、第1の壁78、第2の壁79、第3の壁80、および第4の壁81を含む4つの壁を有する。一実施形態において、ガスケット75のすべての壁は、取り外せないように接続されている。壁は、向かい合う上面および底面76、77に取り外せないように継合された外枠を形成するために接続されている。一実施形態において、ガスケットの壁78、79、80、81は、向かい合う上面および底面76、77の周囲に長方形形状の枠を形成する。例えば、図11aにおいて、第1の壁78および第3の壁80は、第2の壁79と第4の壁81との間に垂直に伸長している。
【0160】
ガスケット75の壁は、任意の長さである長さを有する。一実施形態において、壁78、79、80、81は、同じ長さである場合もあるし、異なる長さである場合もある。適切なガスケットは、異なる長さの壁を有する。一実施形態において、第1の壁78の長さL4は約78mmであり、第3の壁80の長さは第1の壁78の長さL4と同じである。第2の壁79の長さL6は約42mmであり、第4の壁81の長さは第2の壁79の長さL6と同じである。
【0161】
一実施形態において、ガスケット75の1つ以上の壁は、上面76を超える高さまで伸長している。一実施形態において、壁78、79、80、81のすべては、表面76、77の上および下の高さまで伸長している。より好ましい実施形態において、第4の壁81は上面76を超えて高さH8まで伸長し、第2の壁79は上面76を超えて高さH12まで伸長し、第3の壁80は上面76を超えて高さH14まで伸長し、第1の壁78は上面76を超えて高さH17まで伸長する。より好ましい実施形態において、上面を超えた側面のそれぞれの高さH8、H12、H14、およびH17は同じである。最も好ましい実施形態において、上面76を超えて伸長する壁81、79、80、78のそれぞれの高さH8、H12、H14、およびH17は同じであり、約2mmである。
【0162】
別の実施形態において、ガスケット75の1つ以上の壁は、底面77より下に伸長する高さを有する。一実施形態において、第4の壁81は底面77より下の高さH9まで伸長し、第2の壁79は底面77より下の高さH13まで伸長し、第3の壁80は底面76より下の高さH15まで伸長し、第1の壁78は底面77より下の高さH16まで伸長する。より好ましい実施形態において、底面77より下に伸長する壁81、79、80、78のそれぞれの高さH9、H13、H15、およびH16は同じであり、約2mmである。
【0163】
ガスケットの表面76および77はいずれも、当該表面上に上昇した隆線である隆起部分を含有する。一実施形態において、上面76および底面77はいずれも隆起した隆線を含む。例えば、適切な隆線85は上面76上に高さH7だけ隆起し、底部77上にも同じ隆線が見られる。一実施形態において、隆線85の高さH7は約0.5mmである。隆線85は連続的であり、長方形の形状である。隆線85は、ガスケットの壁の内側に境界線を形成し、ガスケットの壁から距離D3である。一実施形態において、隆線85のガスケットの壁からの距離D3は約1mmである。隆線85は任意の幅を有する。一実施形態において、隆線の幅W15は約2mmである。いくつかの適切なガスケットにおいては、FOFとガスケットとの間のインデックス機能付近に効果的なシールが形成されることを確実にする、隆線の少なくとも1つの追加機能がある。例えば、隆線85は追加のクロスバー84を有する。クロスバー84は、隆線85の残りの部分と同じ高さおよび幅を有する。ガスケットは、任意の数のクロスバーを有する。
【0164】
本発明において、ガスケットは少なくとも1つのインデックス機能を有する。ガスケットのインデックス機能は、1回だけの配向でFOFがガスケット内に取り付けられるようにFOFを配向するための物理的基礎を提供する。ガスケット内におけるFOFの一貫性のある配向は、FOFの同じ単側が液体への曝露から保護されることを確実にする。インデックス機能は、ガスケットの上面76もしくは底面77、または両方の面76、77に位置する。一実施形態において、ガスケットは、FOFがガスケット内に取り付けられた際にFOFを配向するための物理的基礎を提供する、角度A5で置かれたバンド83を備える、コーナーバリア82である少なくとも1つのインデックス機能を含む。一実施形態において、角度A5は45度である。FOF上に適切なインデックス機能(例えば、コーナーノッチ)およびガスケット上に補完インデックス機能(例えば、コーナーバリア)を有した結果として、FOFのコーナーノッチ13とガスケットのコーナーバリア82が適切に整列されている場合に、FOF1のガスケットへの適正な取り付けが発生する。FOFおよびガスケットが適正に組み立てられている場合、FOF1の研磨面2は常にガスケット75に寄せて置かれ、それにより、研磨面2は酸に曝露されず、エッチングされない。
ガスケットは適切な材料から製造され、当該材料はエッチングプロセスの条件と適合する。一実施形態において、ガスケットは耐酸材料から製造される。ガスケットの製造に適切な材料は、柔軟である。一実施形態において、ガスケットは、柔軟な材料から成る。一実施形態において、ガスケットはシリコーンから成る。
【0165】
B.化学エッチングプロセス
本発明は、FOFの単一表面または側面に反応チャンバを産出するプロセスを提供する。1つの適切なプロセスは化学エッチングであり、化学物質を使用して反応チャンバがFOFにエッチングされる。一実施形態において、酸は、FOFに反応チャンバをエッチングするために使用される化学物質である。さらなる実施形態において、FOFの単一表面をエッチングするためのプロセスでは、保護された表面が化学物質に曝露されず、その結果エッチングされないように、FOFの片面を保護することが必要である。FOFの単一表面をエッチングするための適切なプロセスでは、FOFの片面を化学物質曝露から保護するための装置(例えば、クランプのセットおよびガスケットから成る、上述の装置)を使用する。一実施形態において、図10に概要を示したプロセスを使用して、片面に反応チャンバがエッチングされたFOFが産出される。化学物質曝露の前に、クランプのセットおよびガスケットから成るエッチング装置を使用して、エッチングされていないFOFが組み立てられる。
【0166】
図13は、エッチングされていない2つのFOF1の間に置かれるガスケット75を含む、エッチングプロセスにおいて利用される様々な構成要素の関係を説明する分解図を示す。FOF1の第1の面2はガスケット75の上面76に向かい合うように取り付けられ、FOF1のコーナーノッチ13は、ガスケット75の補完コーナーバリア82と一致する。2つのPEEK製クランプ39は、FOF1とガスケット75とを共にしっかりと保持するため、および、FOFの第1の面2を酸に曝露されることから保護するために、サンドイッチ100の長い方の2つの向かい合った側面に沿って重着される。図12に示すアセンブリ全体を「固定サンドイッチ」と称する。固定サンドイッチ101は、酸浴へ移される。一実施形態において、酸浴は、20%硝酸(w/v水溶液)から成る。化学エッチング反応の時間および条件は、結果として生じる反応チャンバのサイズおよび容積の制御を実現するように調整される。固定サンドイッチは、望ましい深さの反応チャンバを形成できるのに十分な時間、酸浴中に置いたままにする。一実施形態において、55μmの反応チャンバ深さを持つ反応チャンバを産出するためのエッチング時間は、3時間30分である。反応チャンバを製造するプロセスは、広範な適切なサイズのチャンバを提供するように任意のファイバサイズに合わせられる。一般に、チャンバは、酸浴中にFOFを可変量の時間置くことによってファイバの終端に導入される。時間の量は、望ましい反応チャンバの全深に応じて変動する(例えば、Waltら、1996.Anal.Chem.70:1888を参照)。
【0167】
3.RER清浄のプロセス
薄膜コーティングを塗布する前に、アレイ基板から全体的な微粒子状汚染物質をなくし、指紋等の油性汚染物質を比較的なくすために、1枚以上の薄膜コーティングを塗布する前にすべての基板(例えば、エッチングされたFOF)は十分に洗浄される。一実施形態において、FOFは、実施例1で記載するように、反応チャンバを形成するエッチングのプロセスが完了した後、十分に清浄される(図9)。一実施形態において、清浄後、実質的にすべての反応チャンバの底部、上端、または側壁の少なくとも1つは透明薄膜コーティングで被覆され、当該透明薄膜コーティングは、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、光学的に透明で、防水性であるSiO2を含み、当該透明コーティングは非透明コーティングを塗布する前に塗布される。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの底部、上端、または側壁の少なくとも1つは、非透明薄膜コーティングで被覆され、当該非透明コーティングはクロムまたは銀である。
【0168】
4.アレイを被覆するためのプロセス
アレイ基板の表面に1枚以上の薄膜コーティングを蒸着するために、いくつかの方法が使用される。これらの方法は、熱蒸発、電子ビーム蒸発、スパッタリング、スプレー、および静電プレーティング等の気相および液体蒸着プロセスを含み、透明および非透明薄膜コーティングの両方を蒸着するために使用され得る。一般に、透明および非透明コーティングは別々のステップで塗布される。これらの方法については、以下でさらに詳細に説明する。
【0169】
A.気相蒸着
気相蒸着は、半導体および光学部品産業において広く使用されている方法であり、当該方法用に制御されたプロセスが市販されている。気相蒸着は、透明および非透明コーティングを蒸着するために使用され得る。一実施形態において、存在する場合、透明および/または非透明薄膜コーティングは、気相から、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面へ蒸着される。気相蒸着プロセスは一般に、蒸着された膜材料がその前駆体から化学的に変質する程度に応じて、事実上物理的または化学的であるとして説明される。一実施形態において、存在する場合、透明および/または非透明薄膜コーティングは、スパッタリングまたは蒸発として知られている物理的気相蒸着プロセスを使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着され、薄膜の前駆体である化学試薬は、真空チャンバ内において熱的蒸発される。「成膜前」気相は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部または側面またはアレイの上面を被覆し、薄膜コーティングを形成する。例えば、Plummerら、Silicon VLSI Technology、第9章(Prentice Hall、2000年)を参照されたい。一実施形態において、非金属酸化物は、気相蒸着のスパッタリングまたは蒸発法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。さらなる実施形態において、非金属酸化物SiO2は、スパッタリングまたは蒸発法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される(図1a、1b、および2b)。別の実施形態において、金属は、気相蒸着のスパッタリングまたは蒸発法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。さらなる実施形態において、金属クロムは、気相蒸着のスパッタリングまたは蒸発法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。別の実施形態において、金属銀は、気相蒸着のスパッタリングまたは蒸発法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。
【0170】
化学気相蒸着は、透明および/または非透明コーティングを蒸着するために使用され得る。一実施形態において、存在する場合、透明および/または非透明薄膜コーティングは、2つの化学物質が反応して加熱基板のほうに薄膜コーティングを産出する、プラズマ化学気相成長法(Plasma−Enhanced Chemical Vapor Deposition;PECVD)として知られている化学気相蒸着プロセスを使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面へ蒸着される。PECVDは反応チャンバ内で実行され、当該チャンバ内へガスが注入される。化学反応は一般に摂氏400度で発生し、その結果、薄膜コーティングがアレイに蒸着される。チャンバ内においてプラズマが生成され、所与の温度で化学反応に利用可能なエネルギーを増加させる。PECVDプロセスは、一般に、一度に基板の片側において実行される。例えば、Plummerら、Silicon VLSI Technology、第9章(Prentice Hall、2000年)を参照されたい。別の実施形態において、非金属酸化物は、気相蒸着のPECVD法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。一実施形態において、非金属酸化物SiO2は、PECVD法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される(図1c、1d、および2c)。別の実施形態において、金属は、気相蒸着のPECVD法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。さらなる実施形態において、金属クロムは、気相蒸着のPECVD法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。別の実施形態において、金属銀は、PECVD法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。
【0171】
イオンプレーティング気相蒸着は、透明および/または非透明コーティングを蒸着するために使用され得る。イオンプレーティングプロセスは、一般に、その他の2つの技術、スパッタエッチングおよびイオンビームミキシングの性質を組み込んだものである。イオンプレーティングプロセスにおいて、被覆される基板およびコーティング材料のソースは、低圧ガス環境内の真空チャンバ中に保持される。薄膜コーティングで被覆される前に、基板は「スパッタ清浄」される。エネルギーイオン(帯電した原子)および活性化された不活性ガスの中性原子が基板に衝突して汚染物質を除去する。スパッタ清浄は、極めて反応性の高い、原子的に清浄な表面を産出するため、イオンプレーティングプロセスにとって重要なものである。薄膜コーティング材料は、蒸発され、エネルギー不活性ガス(または反応ガス)原子およびイオンとの相互作用によって強化され、物品の表面に蒸着される。一実施形態において、存在する場合、存在する場合、透明および/または非透明薄膜コーティングは、化学物理混合型プロセスであるイオンプレーティング気相蒸着法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。図3は、イオンプレーティング気相蒸着法の概略図を示す。一実施形態において、非金属酸化物は、気相蒸着のイオンプレーティング法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。一実施形態において、非金属酸化物SiO2は、気相蒸着のイオンプレーティング法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはFOFの上面に蒸着される(図1e、1f、および2d)。別の実施形態において、金属は、気相蒸着のイオンプレーティング法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。さらなる実施形態において、金属クロムは、気相蒸着のイオンプレーティング法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される。別の実施形態において、金属銀は、気相蒸着のイオンプレーティング法を使用して、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着される(図23)。
【0172】
B.液体蒸着
透明または非透明薄膜コーティングを塗布するために、多くの液相プロセスが使用される。一実施形態において、存在する場合、透明および非透明薄膜コーティングまたはそれらの前駆体材料は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも底部もしくは側壁またはアレイの上面に液体形態で塗布され、その後当該材料は凝固する。液相プロセスは、物理的もしくは化学的、または何らかの組み合わせである。一実施形態において、存在する場合、透明および非透明薄膜材料は揮発性溶剤中で溶解され、結果として生じた溶液は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布され、当該溶剤を蒸発させ、物理的液相プロセスによって薄膜コーティングを産生する。別の実施形態において、存在する場合、透明および非透明薄膜コーティングは、無機ケイ酸塩または有機シロキサンが適切な溶剤中に溶解されるゾルゲルプロセスによって形成され、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布されることができる。乾燥時または加熱時に、低分子量ケイ酸塩/シロキサンは化学縮合反応を受けて、化学物理混合型液相プロセスにより、ガラス状膜に重合する。
【0173】
液相蒸着によって蒸着された透明および非透明薄膜コーティングは、様々な手法で実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に塗布される。一実施形態において、アレイ基板は、コーティング溶液中に浸され、基板の引き揚げの速度および角度によって制御された厚さで液体コーティングを残す、制御された方式で引き揚げられる。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの上端または側壁またはアレイの上面に薄膜溶液が塗布され、次いで液体を均等に広げてあらゆる過剰分を除去するためにスピンされる、スピンコーティングによって液体が塗布される。別の実施形態において、薄膜溶液は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの上端もしくは側面またはアレイの上面にスプレーされ、液滴の合体により、透明または非透明薄膜コーティングが産出される。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面を透明または非透明薄膜で被覆するために、キャピラリーコーティングとして知られている技術が使用される。キャピラリーコーティングは、薄膜溶液に部分的に浸漬された回転シリンダの使用を包含する。基板は、シリンダにメニスカスが形成されるようにシリンダ近くへ移動され、当該シリンダは、基板が平行移動するのと同じ速度で回転する。
【0174】
本発明は、上面と底部とを有するアレイの表面に、透明または非透明薄膜コーティングを蒸着するためのプロセスを提供する。一実施形態において、本発明は、実質的にすべての底部および側壁ならびにアレイの上面に、透明または非透明薄膜コーティングを蒸着するためのプロセスを提供する。本発明は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの側壁もしくは底部またはアレイの上面に、透明または非透明薄膜コーティングを蒸着するためのプロセスも提供する。例えば、本発明は、反応チャンバの側壁に透明または非透明薄膜コーティングを蒸着し、反応チャンバの底部には同じ薄膜コーティングを蒸着しない方法を提供する。一実施形態において、反応チャンバの底部が影エリアにあることにより、反応チャンバの底部はコーティングプロセス中保護され、被覆されない(すなわち、反応チャンバの側壁によってコーティングがブロックされ、そのため、反応チャンバの底部に蒸着されない)。例えば、図15aは、側壁が影を作成し、それによって、反応チャンバの底部にある影エリアに金属が蒸着されないように、反応チャンバの底部にある影エリアを保護している反応チャンバを図示している。一実施形態において、本発明の方法は、透明または非透明薄膜コーティングが蒸着される場所を制御するために、反応チャンバの側壁によって作成された影と、傾斜角度でのアレイの回転とを利用する。別の実施形態において、透明または非透明薄膜コーティングを蒸着するプロセス中、アレイ基板はスピンしている。アレイ基板をスピンさせることにより、薄膜コーティングを均一に蒸着させることが可能になる。
【0175】
実質的にすべての反応チャンバの側壁およびコーナーエリアならびにアレイの上面に金属を蒸着するプロセスのための設定を、図15aに図示する。当該プロセスは、キャリアに取り付けられたアレイ基板を傾斜させること、またはある角度に曲げること、ならびに、基板をモーターで回転させることを伴う。アレイ基板が回転すると、薄膜コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの側壁およびコーナーエリアならびにアレイの上面に蒸着され、コーティングの不在によって反応チャンバの底部の中心付近に開口を作成するような底部の中心には、薄膜コーティングは無い。回転している基板の傾斜角度を変化させることにより、薄膜コーティングは、例えば異なる形状、厚さの勾配、または2つのコーティングの重複等、異なるパターンでアレイ基板上に蒸着されることになる(図15a)。
【0176】
一実施形態において、本発明のプロセスは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面の表面全体上に透明または非透明薄膜コーティングを蒸着し、例えば、実質的にすべての反応チャンバの底面は、薄膜で完全に被覆される。
【0177】
別の実施形態において、透明または非透明薄膜コーティングは、底部と側壁との間の接合部にコーナーエリアが形成されるような、反応チャンバのコーナーエリアに蒸着される。実質的にすべての反応チャンバの底部の中心にはコーティングが無く、開口を形成するように、薄膜コーティングは底部に部分的に蒸着され、反応チャンバの側壁に部分的に蒸着されている(図16)。一実施形態において、基板が保持される角度(すなわち、傾斜角度)は、開口のサイズを制御するために調整され得る(図15a)。反応チャンバの底部にコーティングの無い部分があるようなコーナーエリアにおける非透明薄膜コーティングの部分的蒸着は、例えばアレイが分析(例えば、DNAシーケンス決定)に使用される場合に、隣接する反応チャンバ間の光流出をさらに排除し、繊維ストランドへ方向付けられたあらゆる光ビームを抑止する。
【0178】
一実施形態において、本発明のプロセスは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面の表面の一部に、不透明な非透明薄膜コーティングを部分的に蒸着するため(すなわち、被覆するため)に使用され、例えば、実質的にすべての反応チャンバの底部は、薄膜で部分的に被覆されている。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部の少なくとも80%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部の少なくとも60%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部の少なくとも40%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部の少なくとも20%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの底部の少なくとも10%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。
【0179】
別の実施形態において、不透明な非透明薄膜コーティングは、光ファイバフェイスプレート上にある実質的にすべての反応チャンバの側壁に塗布される。非透明コーティングは側壁の表面全体を完全に覆う場合もあるし、非透明コーティングは側壁の表面を部分的に覆う場合もある。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の少なくとも80%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の少なくとも60%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の少なくとも40%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の少なくとも20%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。別の実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁の少なくとも10%は、透明または非透明薄膜で被覆されている。
【0180】
別の実施形態において、底部コーナーエリアおよび側壁コーナーエリアの不透明な非透明部分的コーティングは、光学的障害物を産出し、クラッディング材料を介した光散乱を排除し、不透明な第2のコーティングで覆われていない底部を光が通り抜けることを可能にする。
【0181】
透明または非透明薄膜を蒸着するための方法は、基板上に見られる特徴、例えば境界柱またはカラム構造に薄膜コーティングを塗布するためにも使用され得る。当該方法は、反応チャンバの底部上の、境界柱またはカラム構造の間の空間を被覆するためにも使用される。柱のパターンは、底部において異なる影パターンを産出する。
【0182】
図18に示すように、ソース(例えば、金属イオン源)のサイズがコーティング用の基板の表面と比較してかなり小さい場合、蒸着プロセス中に角度効果が発生し得る。角度効果とは、透明または非透明薄膜コーティングプロファイルが、アレイ基板上の異なる場所においては可変である(すなわち、均一でない)ことを意味する。角度効果は、均一に被覆されていない反応チャンバを持つアレイを産出する。図18Aは、基板の一端に位置する3つの反応チャンバのコーナーエリアに蒸着されているコーティングを示し、図18bは、同じアレイ基板の他端に位置する3つの反応チャンバの底部に蒸着されているコーティングを示す。角度効果を排除するための方策としては、ソースと被覆される基板との間の距離を増加させること、蒸着中に基板全体をシフトさせ走査するためにシャドウマスクを基板の正面に置くこと、ソースと基板との間にシャッターを導入すること、または、シャッター(開口)のサイズを縮小することが挙げられる。図19aは、基板の選択されたエリア(例えば、「金属被覆ゾーン」)にコーティングを方向付けるのを支援し、角度効果を排除するための、蒸着プロセス中におけるシャドウマスクの使用を示す。シャドウマスクは、イオン源と基板との間に置かれ、基板から任意の距離に位置付けられ得る。図19bは、基板の選択されたエリア、つまり金属被覆ゾーンに金属コーティングを方向付けるのを支援するための、蒸着プロセス中におけるシャッターの使用を示す。
【0183】
本発明の一実施形態は、複数の反応チャンバを含有する上面を持つ基板に、非透明薄膜コーティングを蒸着するためのプロセスであって、各反応チャンバは底部および側壁から成り、非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明であり、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に蒸着されるプロセスを含む。当該プロセスは、(a)基板をある角度で基板キャリアに取り付けるステップと、(b)取り付けられた基板を真空チャンバ内でスピンさせるステップと、(c)実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または基板の上面に、非透明コーティングを蒸着するステップと、(d)基板を真空チャンバから除去するステップと、(e)非透明基板で被覆された基板を、基板キャリアから取り外すステップと、を伴う。一実施形態において、当該プロセスは、光ファイバフェイスプレートである基板に非透明コーティングを蒸着するために使用される。別の実施形態において、当該プロセスは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁に、または、非透明コーティングが塗布される前に実質的にすべての反応チャンバの1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面を透明コーティングで既に被覆されたアレイの上面に、非透明コーティングを蒸着するために使用される。別の実施形態において、当該プロセスは、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁に、または、その実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面を、光学的に透明で、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、防水性である透明薄膜で被覆されたアレイの上面に、非透明コーティングを蒸着するために使用される。別の実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面は、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁またはアレイの上面に透明コーティングが塗布される前に、非透明コーティングで被覆される。
【0184】
一実施形態において、角度のある金属蒸着のプロセスでは、角度のある治具および治具キャリアアセンブリを使用する。図15aは、治具の基板キャリアに取り付けられた反応チャンバを含有する、光ファイバフェイスプレートの側面図を示す。回転および角度のある治具アセンブリを図15bに示す。光ファイバフェイスプレートは、ある角度(「傾斜角度」)で保持され、非透明コーティング、例えば金属がソースから蒸発されて、各反応チャンバの側壁およびコーナーエリアならびにアレイの上面に蒸着される間、回転される。金属蒸着チャンバにおいてプロセス全体が実行され、回転ディスクは、10rpm未満で回転できる真空適合モーターによって駆動され得る。
【0185】
C.品質管理
コーティングプロセスが完了した後、多数の異なる技術を使用して、結果として生じた薄膜コーティングが評価される。無傷の薄膜コーティングの存在を検出し、被覆されたアレイの性能を評価するために、直接的方法および機能的方法の両方が使用される。本発明の一態様において、アレイ上のコーティングは均一である。最初に、全体的なあらゆる欠陥を検出するために、顕微鏡を使用して、膜で被覆された各アレイを視覚的に検査することで構成される、視覚的な品質管理検査が実行される。コーティング中の小さい穴(「針穴」)は、当該コーティングが質の悪いものである事を示している。いくつかの実施形態において、底部が部分的に被覆されている場合、強度を減少させることなく光がチャンバの中心を通過できることを確実にするために、反応チャンバ底部の中心からはいかなる非透明コーティングも取り除かなくてはならない。部分的に被覆された底部の上に形成された開口の直径は、蒸着プロセスにおいて使用された傾斜角度が正しいか否かを判定するために測定され得る。一実施形態において、反応チャンバの底部上の部分的なコーティングによって形成された開口の直径は、約28ミクロンである。別の実施形態において、コーティングがコーナーエリアに塗布された際に形成されたリングの幅は、約8.5ミクロンである(図16b)。いくつかの実施形態において、隣接するチャンバに光が漏れないように、反応チャンバのコーナーエリアが非透明コーティングで均一に被覆されていることが重大である。一実施形態において、アレイの実質的にすべての反応チャンバのコーナーエリアにおける非透明コーティングの厚さは、少なくとも500オングストロームである(図16a)。
【0186】
第2に、薄膜で被覆されたアレイについて、走査電子顕微鏡法(Scanning Electron Microscopy)つまり「SEM」分析が実行される。SEM分析は、透明および非透明コーティング両方の品質を判定するために使用される主要分析方法である。一般に、薄膜で被覆された表面および調製された断面の両方のSEM画像が収集され分析される。表面画像は、薄膜で被覆された表面の全体的な形態のみならず、欠陥およびコーティングの損傷についても分析され、一方、断面は厚さを測定される。選択したアレイも、化学反応またはバイオアッセイにおいて使用される、および反応チャンバに含有される成分により、あらゆる潜在的効果について評価される(例えば、薄膜コーティングは、「偽」PCR条件の前後に調査される。実施例3参照)。薄膜コーティングの厚さが測定され得る。一実施形態において、SEMは、薄膜コーティングの厚さを決定するために使用される。別の実施形態において、薄膜コーティングの厚さは、サファイア切り取り試片(Corion Division社、マサチューセッツ州フランクリン)をバッチに追加することによって測定され、その光線透過率における波長依存性を測定することによってコーティングプロセスが完了した後に、薄膜(例えば、SiO2)厚さを決定する。コーティングの厚さの次には、アレイ上に追加機能を産出するために、より厚い薄膜蒸着のための電気メッキも行われる。
【0187】
薄膜で被覆されたアレイは、PCR誘導シーケンスバックグラウンドに対する薄膜コーティングの効果およびシーケンス結果の全体的品質を判定するために、特定の用途、例えばDNAシーケンス決定用のそれらの性能に関して「機能的」にも評価される。そのような機能性テストにより、アレイ基板全体にわたる単一のチャンバの解像度という利点を提供することができる。実施例4および図4を参照されたい。同じアレイ上の被覆された反応チャンバと被覆されていない反応チャンバからの、2つの隣接する反応チャンバにおけるDNAシーケンス決定反応中に生成された光強度を比較すると、非透明コーティングが2つの隣接するチャンバ間における光流出を削減するのを支援できることを示した(実施例6および図24a〜bを参照)。
【0188】
5.アレイの使用方法
薄膜で被覆されたアレイは、それらの反応チャンバ内に、多数の異なる反応物質および検体を含有する。一実施形態において、薄膜で被覆されたアレイの各反応チャンバは、核酸またはタンパク質を分析するための試薬を含有する。一般に、(アレイ内のすべての反応チャンバが必要とするわけではない)核酸を含有するそれらの反応チャンバは、単一種の核酸(すなわち、所望の単一の配列)のみを含有する。任意の特定反応チャンバ内には、この種の核酸の単一の複製物があってもよいし、複数の複製物があってもよい。一実施形態において、反応チャンバは、核酸テンプレート配列の少なくとも100,000の複製物を含有する。別の実施形態において、反応チャンバは、少なくとも1,000,000の複製物を含有する。さらなる実施形態において、反応チャンバは、2,000,000乃至20,000,000の複製物を含有する。別の実施形態において、反応チャンバは、核酸の5,000,000乃至15,000,000の複製物を含有する。例えば、本発明の装置がパイロシーケンス反応に使用されるものである場合、当業者であれば、任意の1つの反応チャンバにおける核酸種の複製物の数の変化は、パイロシーケンス反応において生成される光子の数に影響を及ぼし、大体要求されるとおりの光子信号を提供するよう日常的に調整されることを十分に理解するであろう。一実施形態において、核酸種は、PCR、RCA、リガーゼ連鎖反応、その他の等温増幅、または、その他従来の核酸増幅の手段を使用して、望ましい数の複製物を提供するために増幅される。一実施形態において、核酸は一本鎖である。
【0189】
薄膜コーティングは、強化された適合性および機能性をアレイに提供する。アレイ不適合による問題に遭遇した1つの特定のアッセイは、核酸分子の解析、特に、PCR増幅された核酸のピロリン酸塩シーケンス(PyrophosPhate Sequencing;PPS)である。一実施形態において、薄膜で被覆されたアレイは、PCR増幅された核酸のPPSにおいて遭遇した困難を克服するために使用される。PPS法は、米国特許出願番号第10/767,779号の方法に従って使用される。米国特許第4,863,849号および米国特許第4,971,903号も参照されたい。増幅が実行され、同じ反応チャンバ内において続けてシーケンス決定が行われた場合、「バックグラウンド」信号が観察される。このバックグラウンドのソースは、広範囲にわたる洗浄後であっても持続するような、FOFの反応チャンバに強く結合したままの遊離ピロリン酸塩(PPi)である。したがって、溶液相PCRを実行すること、FOFを洗浄すること、FOFにDynal社製スルフリラーゼ(S)およびルシフェラーゼ(L)ビーズ(Fisher Scientific社、ペンシルバニア州ピッツバーグ)を装填すること、ならびに、(初期のピロリン酸塩流動に正規化された)信号を測定することを伴う「バックグラウンド」アッセイが開発された。PPSにおけるバックグラウンドノイズの削減は、所与の信号レベルにおいて、より優れたシーケンス結果をもたらすか、または、より低い信号レベルで同等のシーケンス結果を得ることを可能にするであろう(実施例5)。
【0190】
マイクロウェルアレイの反応チャンバにおける薄膜コーティングは、図4に示すように、PCR誘導シーケンスバックグラウンドを大幅に削減することができる。一実施形態において、実質的にすべての反応チャンバの少なくとも1つもしくは側壁またはFOFの上面上の、0.1〜5.0ミクロンの厚さを持つSiO2の薄膜コーティングは、PCR誘導シーケンスバックグラウンドを大幅に削減し、図5に示すように、被覆されていないアレイにおいて得られるのと同じシーケンス結果を提供する。
【0191】
本発明は、アレイを使用して核酸の配列を決定するための方法であって、本明細書に記載された実施形態いずれか1つのアレイ上にある複数の反応チャンバ内に蒸着された複数の一本鎖核酸テンプレートを提供するステップと、効果的な量のシーケンスプライマーを核酸テンプレートにアニールし、所定のヌクレオチド三リン酸が前記シーケンスプライマーの3’末端に組み込まれた場合にシーケンス反応副産物が産出されるようなシーケンス産物を産生するために、ポリメラーゼおよび所定のヌクレオチド三リン酸でシーケンスプライマーを伸長させることにより、実質的にすべての反応チャンバにおいてピロリン酸塩シーケンス反応を同時に実行するステップと、シーケンス反応副産物を識別し、それによって各反応チャンバ内の核酸の配列を決定するステップと、を含む方法を含む。
【0192】
本発明の別の態様は、核酸配列を解析するための装置である。当該装置は、送出チャンバであって、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つのアレイを備えるチャンバと、試薬送出チャンバと連通している試薬送出デバイスと、試薬送出チャンバと連通している撮像システムと、撮像システムと連通しているデータ収集システムと、を備える。
【0193】
実施例
以下の実施例は、本発明の特徴、利点、およびその他の詳細をさらに説明するために選択されたに過ぎない。しかし、実施例はこの目的を果たすものであるが、特定の条件および詳細が、本発明の範囲を過度に制限するものとして解釈されるべきでないことを明確に理解すべきである。
【0194】
実施例1:一般的なエッチングプロセスおよびRER清浄手順
本実施例は、シリコンエッチングガスケットおよびPEEK(Poly Ether Ether Ketone;ポリエーテルエーテルケトン)プラスチッククランプを使用する、サイズ25×75mmまたは40×75のFOF(Incom Corporation、マサチューセッツ州チャールトン)の、一般的な片側エッチングプロセスを説明するものである(図11aおよび11b)。PicoPure(商標)浄水ユニット(「PicoPure水」)からのBranson社製超音波浴用の蒸留水(Fischer Scientific社、ニューハンプシャー州ハンプトン)から、10分間ガスを抜いた。NesLab再循環器(ニューハンプシャー州ポーツマス)を57.2℃に設定した(この設定時、超音波浴内の水は55℃の一定温度に維持した)。4つのステンレス鋼容器に蓋をし、超音波浴内に置いた。各容器に1000mL(25×75mmのFOF)および1200mL(40×75mmのFOF)の20%HNO3を充填し、55℃まで温めた。4つのエッチングトレイの96箇所のそれぞれに、96個のエッチングされていないFOFを装填した。指定のFOFを選択し、秤量した。反応チャンバ深さによる重量損失を相互に関連付けるために、エッチング前後におけるFOF重量の差異をプロットした。
【0195】
シリコンガスケット(図13)を2つのFOFの間に位置付け、各FOFの研磨面がガスケットの方を向き、ガスケットの縁内にあるよう、それぞれを適正に整列させることによって、エッチングされていないFOFの対を組み合わせた。FOFのコーナーノッチを、ガスケット上のコーナーバリアと整列させた。2つのFOFおよびガスケットを共に垂直に保持し、共にプレートを圧迫するために、第1のPEEK製クランプを重着した。最底部クリップから開始して、FOFの長端面の中心まで、クランプを留めた。第2のPEEK製クランプを適用した。完成した「固定サンドイッチ」を図12に示す。エッチングされていない残りのFOFを組み合わせ、上述のようにして固定した。次に、4つのステンレス鋼ラックのそれぞれに、12の固定サンドイッチを位置付けた。HNO3の温度が55℃に到達すると、超音波浴をオンにし、その他3つのステンレス鋼容器の蓋を除去した。FOFを保持している4つのステンレス鋼ラックのそれぞれを、55℃の酸の中へ移した。FOFを55℃酸浴中に保った。FOFのエッチング速度は、約0.245μm/分であった。FOFを浴中にとどめておく時間の長さは、望ましい反応チャンバ深さによって決まる。例えば、エッチング時間が3時間44分のとき、反応チャンバの深さは55μmとなった。
【0196】
エッチングされたFOF(すなわち、FOF)を酸浴から除去し、1.0LのPicoPure水で満たしたステンレス鋼容器内に直接置いて、5分間超音波照射した。水を廃棄し、容器を1.0LのPicoPure水で満たし、さらに5分間超音波照射した。すすぎ水からFOFを除去し、PEEK製クランプおよびシリコンガスケットをFOFの各対から係脱した。
【0197】
エッチング後検査を完了するために、指定のFOFを再度秤量し、エッチングによる重量の変化を記録した。顕微鏡を使用して、光透過が低下した個々のファイバの数の計数(「ダークファイバ計数」)を実行した。
【0198】
エッチングされたFOFに、RCAクリーナーおよびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を使用する5ステップのRER清浄手順(「RER清浄手順」)を行った。「RCA」は、水酸化アンモニウム(NH4OH)と過酸化水素(H2O2)の溶液の略語である。RCAクリーナーを調製するために、1.0LのNH4OHおよび1.0LのH2O2をドラフト中で組み合わせ、磁気攪拌棒を使用して溶液を混合した。同じロットからの96個のFOFを、ガラススライドラックに入れた。
【0199】
ステップ1―第1のRCA洗浄
NH4OHとH2O2の1:1溶液を組み合わせてRCAクリーナーを調製した。25×75mmFOFについては、200mLのRCAクリーナーをガラス染色皿(Fisher Scientific社、ペンシルバニア州ピッツバーグ)のそれぞれに添加した。40×75mmFOFについては、200mLのRCAクリーナーをポリプロピレン染色皿に添加した。6つの染色皿をOcelot Rotator(Boekel Scientific社、ペンシルバニア州フィースタービル)の1つの回転炉の容器に入れ、その他の皿をその他の回転炉に置いた。振動速度をCに設定した。30分後、RCAクリーナーを処分した。10個のFOFの各セットを、200mLのPicoPure水で5回すすいだ。
【0200】
ステップ2―第1のEDTA洗浄
各染色皿にEDTA(200mL)を添加した。6つの皿を回転炉の1つにある容器に入れ、他4つの皿をその他の回転炉にある容器に入れた。振動速度をCに設定した。30分後、EDTAを処分した。10個のFOFの各セットを、200mLのPicoPure水で5回すすいだ。
【0201】
ステップ3―第2のRCA洗浄
RCAクリーナー(1:1のNH4OHとH2O2)の新しい溶液を調製し、染色皿のそれぞれに200mLのRCAクリーナーを添加した。6つの皿を回転炉の1つにある容器に入れ、他4つの皿をその他の回転炉にある容器に入れた。振動速度をCに設定した。30分後、RCAクリーナーを処分した。10個のFOFの各セットを、200mLのPicoPure水で5回すすいだ。
【0202】
ステップ4―第2のEDTA洗浄
各染色皿にEDTA(200mL)を添加した。6つの皿を回転炉の1つにある容器に入れ、他4つの皿をその他の回転炉にある容器に入れた。振動速度をCに設定した。30分後、EDTAを処分した。10個のFOFの各セットを、200mLのPicoPure水で5回すすいだ。
【0203】
ステップ5―FOFを超音波照射する
NesLab再循環器に適切な量の水を充填し、温度点を40℃に設定し、低温アラームを5℃、高温アラームを100℃とした。清浄溶液の良好な流動を可能にするため、ステンレス鋼ラック(Fisher Scientific社、ペンシルバニア州ピッツバーグ)にFOFを入れ、1つおきのスロットにFOFを装填した。満たしたラックを、5%Contrad(登録商標)溶液で満たしたポリプロピレン鍋に入れ、溶液でFOFを完全に覆った。5%Contrad(登録商標)溶液は、1000mLの脱イオン水を50mLのContrad(登録商標;Fisher Scientific社)と組み合わせて調製した。次いで、当該鍋をHDPE(High Density PolyEthylene;高密度ポリエチレン)カバーで覆った。再循環器の温度が40℃に到達すると、FOFを含有する2つのポリプロピレン鍋を水中に浸した。FOFに90分間超音波照射し、その後、超音波照射器から除去した。鍋からラックを除去し、Contrad(登録商標)溶液を排出した。ポリプロピレン鍋をPicoPure水で満たした。ステンレス鋼ラックを鍋に戻し、FOFを2回すすいだ。鍋にPicoPure水の3回目の補充を行い、Ocelot Rotatorに取り込んで速度Cで回転させた。5分後、FOFを水で2回すすいだ。FOFを錫箔で覆い、ステンレス鋼ラック内で乾燥させた。
【0204】
実施例2:イオンプレーティング蒸着法を使用したFOFコーティング
薄膜コーティング直前にFOFを清浄した。使用した洗浄剤は、Contrad(登録商標)であった。Branson社製超音波照射器を40℃に設定した。2つのFOFをFalconチューブに戻し、40〜45mLの5%Contrad(登録商標)溶液をチューブ内に添加して、キャップを閉めた。当該チューブを超音波照射器に装填し、90分間超音波照射した。FOFをチューブから除去し、新しい脱イオン水で十分にすすぎ、新たなFalconチューブに移して脱イオン水で満たした。洗浄溶液をシンク内で処分し、FOFを4℃の脱イオン水中に保った。
【0205】
清浄後、化学的にエッチングされたFOFを薄膜SiO2コーティングで被覆するためのイオンプレーティングプロセスを実行した。被覆するFOFを、電気的に絶縁された加熱シリコンターゲット、アルゴンプラズマ源、および酸素源と共に、真空チャンバ内の電気的に絶縁された保持器に置いた。アルゴンプラズマ源に点火し、それによってFOF上に全体的な負電荷を生成した。加熱ターゲットの蒸発によってシリコン蒸気を産出させ、アルゴンプラズマと反応させ、正に帯電したSiO2種を形成するために酸素とも反応させた。これらのSiO2種は、負に帯電したFOFを引き付けるものであり、エネルギー的に凝結してガラス状の非構造化SiO2膜を形成する。膜形態および均質性は多くのプロセス変数の複合関数であるが、チャンバ内における曝露時間によって膜厚を正確に制御した。図1および2を参照されたい。
【0206】
実施例3:透明薄膜で被覆されたFOFの「偽」PCR条件への曝露
SiO2で被覆されたエッチング加工済みのFOFを(PCR熱曝露に近似させる)温度で脱イオン水に曝露させ、以下の手順に従って表面および断面両方のSEM画像のコーティングの損傷の兆候を調査することにより、透明薄膜で被覆されたエッチング加工済みのFOFの環境ロバスト性をテストした。1ミリリットルの1×HiFi PCR緩衝液(Invitrogen社、カリフォルニア州カールズバッド)を調製した。薄膜エッチングされたFOFを組織の上に置き、セルスクレーパーを使用して過剰な水を除去した。FOF表面の上に400μLの緩衝液をすばやく添加し、セルスクレーパーで溶液を均等に広げた。1分後、過剰な溶液を除去した。400μLの緩衝液を添加した後に溶液を除去する手順を繰り返した。FOFを直ちに自家増幅デバイス(「AMP治具」)(454 Life Sciences社、コネチカット州ブランフォード)内に置き、シリコンゴム版および泡で覆い、Leamonら、Electrophoresis 24:3769−3777(2003年)に記載されているように、AMP治具ねじを堅く締めた。AMP治具をThermocycler MJ PTC 225 Tetrad(MJ Research社、マサチューセッツ州ウォルサム)に装填し、サーモサイクリングプログラムを実行した。温度プロファイルの詳細は、以下の通りであった:総実行時間は4.5時間、1)40のショートサイクル:94oC:15秒;58oC:15秒;68oC:15秒、2)さらに10のロングサイクル:95oC:30秒;58oC:10分。全部で80サイクル、手順を繰り返した。サーモサイクリングの後、FOF表面を新しい水ですすいだ。窒素フローで表面を乾燥させ、光学顕微鏡法およびSEM分析によってSiO2コーティングを測定した。SEM分析は破壊的技術であるため、同じ薄膜エッチングされたFOFの「前」および「後」分析は実行できない。しかしながら、上記の「偽PCR」手順の後にSEMによって調査された、すべての薄膜エッチングされたFOFは、FOF上のSiO2コーティングへの明らかな損傷を示さなかった。
【0207】
実施例4:PCR誘導シーケンスバックグラウンドの評価
1mLのLuerLock(登録商標)注射器(20Gl)(Becton Dickinson社、ニュージャージー州フランクリンレイクス)に525μLのPCR溶液(1×プラチナHiFi緩衝液(Invitrogen社、カリフォルニア州カールズバッド))、2.5mMのMgSO4、0.5%BSA、1mMのdNTP(MBI Fermentas社、メリーランド州ハノーバー)を充填し、注射針を自家装填デバイス(「装填治具」)(454 Life Sciences社、コネチカット州ブランフォード)に接続した。dNTPとは、4つのデオキシヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)をいう。SiO2で被覆したエッチング加工済みのFOFを、脱イオン水浴から除去し、実験台に置き、セルスクレーパーを使用して、FOF表面から過剰な水を除去した。4つのプラスチッククリップで、装填治具上にすばやくFOFを組み立てた。注射器を前方へ押すことにより、流体チャンバを上までPCR溶液で満たした。3分後、反応チャンバ内に溶液を拡散させた。プランジャを後方へ引き、装填治具を分解した。FOFを直ちにAMP治具内に置き、シリコンゴム版および泡で覆った。治具ねじを適所に置き、堅く締めた。治具アセンブリをThermocyclerに装填し、サーモサイクリングプログラムを実行した。温度プロファイルの詳細は、以下の通りであった:総実行時間は4.5時間、1)40のショートサイクル:94oC:15秒;58oC:15秒;68oC:15秒、2)さらに10のロングサイクル:95oC:30秒;58oC:10分。
【0208】
サーモサイクリングの後、AMP治具を開き、FOFを除去して、50mLの脱イオン水を含有する50mL Falconチューブ(Becton Dickinson社、ニュージャージー州フランクリンレイクス)内に置いた。次いで、当該チューブをClay Adams(登録商標)Nutator Mixer上に位置付け、PCR産物を溶解するために20分間章動させた。章動とは、発泡させずに均一な混合を確実にすることができる、穏やかな軌道運動である。BSA(Bovine Serum Albumin;ウシ血清アルブミン)を用いた50mLのAssay Buffer(「AB」)内にFOFを移した。ABは、トリシンおよび酢酸マグネシウムを含有する緩衝溶液である。以下の例(実施例5)に記載するPCRシーケンス解析のために、結果として生じた溶液を収集した。
【0209】
ビーズ混合物(Bangs社製ビーズ175μL+Dynal社製ビーズ175μL)を調製し、700μLの脱イオン水で希釈した。Bangs社製ビーズは固定化したスルフリラーゼおよびルシフェラーゼ酵素を担持するミクロスフィアであり、Dynal社製ビーズはルシフェラーゼおよびスルフリラーゼの結合酵素を担持する磁気ビーズである。13.2μLのビーズ混合物を含有する19の接着パッド(3M VHS社、ミネソタ州セントポール)をそれぞれ使用して、入口穴をシールした。次いで、Allegra 6R Centrifuge(Beckman Coulter社、カリフォルニア州フラートン)を使用して2000rpmで8分間、FOFをスピンさせた。バックグラウンド実行をし、1)洗浄5分;2)PPi2分;3)洗浄10分;4)PPi2分;および5)洗浄5分で、総時間は24分であった。実行後、Kangarooソフトウェア(454 Life Sciences社、コネチカット州ブランフォード)を使用して、痕跡分析を実行した。生の計数から500を減じて、調整された計数を得た。被覆されていないFOFおよびSiO2で被覆したFOFの両方について手順全体を繰り返し、バックグラウンド比較を行った。
【0210】
実施例5:PCRシーケンス結果
PCR結果の妥当性については、被覆されていないFOFとSiO2で被覆したFOFとを一組とし、実施例5における分析のために収集された溶液を使用して同時にテストした。各溶液(SiO2で被覆したアレイおよび被覆されていないアレイの両方について)を、脱イオン水で希釈することによって2倍にした。次いで、iCycler(登録商標)RealTime PCRユニット(Bio‐Rad社、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して、それぞれの中のPCR産物を定量した。蛍光測定を使用し、増幅産物の量を決定した。最後に、PCR後における反応チャンバごとの分子の数を算出した。当該数の正常範囲は、103〜109次数である。結果を以下の表2に示すが、これらの結果は106〜108の範囲内であり、許容可能である。SiO2で被覆されたFOFはすべて、被覆されていないFOFと比較して同等レベルのPCR産物を産出した。
【0211】
【表2】
実施例6:隣接する反応チャンバにおける光強度のプロファイルの比較
FOFアレイ(40×75mm)を調製し、当該アレイの第1の半分を2つのコーティング、つまり非透明コーティングと透明コーティングで被覆し、当該アレイの第2の半分を透明コーティングのみで被覆した。アレイの両半分の反応チャンバ内でDNAシーケンス反応を行い、生成された光強度を比較した。
【0212】
アレイの第1の半分に非透明なアルミニウム金属コーティングを塗布し、次いで、アレイの第1の半分へのアルミニウムコーティングの上に、透明なSiO2コーティングを塗布した。アレイの上面および反応チャンバの側壁にアルミニウムコーティングを塗布し、底部の中心付近に金属コーティングによって形成された直径が28.77ミクロンとなるように、反応チャンバのコーナーエリアには部分的に塗布した。アレイの上面上で測定したアルミニウムコーティングの厚さは、200nmであった。金属コーティングを塗布している間、アレイの第2の半分をシャドウマスクによって保護した。金属コーティングを塗布した後、アレイの上面、ならびに、アレイの第1および第2の半分両方の反応チャンバの底部および側壁に、透明なSiO2コーティングを塗布した。
【0213】
米国特許出願番号第10/767,779号に記載されているようなPCR増幅核酸のピロリン酸塩シーケンス反応を、アレイの両半分に位置する反応チャンバ内で行った。図24aおよび24bは、これらの実験の結果を示す。
【0214】
図24aにおいて、2つの矢印は、アレイの第2の半分に位置する2つの隣接する反応チャンバの中心点を示している。これら2つの隣接する反応チャンバの中心点は、それぞれ画素番号5および画素番号2である。一方の反応チャンバ(画素番号5)にテストフラグメント10DNA(「TF10」)を含有させ、他方のチャンバ(画素番号2)にはテストフラグメント12DNA(「TF12」)を含有させた。ヌクレオチド流出順序43でシーケンスプロセスを行った。ヌクレオチド流出順序は、DNAシーケンスマシン(例えば、454 Sequencer 1.0)を通過する溶液の流れへの特定のヌクレオチドの注入として定義される。DNAシーケンス決定プロセス中、一連の特定ヌクレオチド溶液が溶液の流れの中に注入され、各注入にはフロー番号が与えられる。ヌクレオチド流出順序43では、TF10DNAは5つの多重DNA組み込みを受け、反応チャンバ内において高い強度の光を産出した。同じヌクレオチド流出順序において、TF12DNAはDNAの組み込みを受けず、高い強度の光は産出されなかった。
【0215】
曲線1は、2つの隣接する、SiO2で被覆されたチャンバの中心点と交差する6つの画素(番号1〜6)のプロファイルを示す。例えば、画素番号1は、TF12チャンバの中心から上流方向にオフセット1画素である第1の画素であり、画素番号2は、画素番号1から下流方向に右へ1画素である。画素番号1から6にかけて、2つのチャンバ(TF10およびTF2)の中心を下流方向に通過させる走査経路を引くことができる。画素番号3は、TF12チャンバ内に位置し、当該チャンバ内においてはDNA組み込みがないため、理論上、TF12チャンバは何の信号も出さないはずである。しかしながら、TF12チャンバ内の画素番号3において、TF12チャンバへ光子を流出させた隣接するTF10チャンバからの光による、光の強度の増大が観察された。
【0216】
比較のために、金属で被覆されたアレイの第1の半分について、同じTF10およびTF12DNAフラグメントを各チャンバに1つ含有する、金属で被覆された隣接する2つのチャンバにおいてシーケンス反応を行い、同じヌクレオチド流出順序43でシーケンス決定プロセスを行った。曲線3で示されるような金属で被覆されたチャンバ内で画素番号3において観察された信号は、非線形で、アレイの第1の半分上のSiO2で被覆されたチャンバにおいて測定された信号よりも小さく、したがって、金属で被覆された不透明の側壁が、金属で被覆された2つの隣接するチャンバ間における光子の光流出を削減することを示す。
【0217】
図24bは同じ実験の結果を示すものであるが、シーケンス反応はヌクレオチド流出順序35で行った。このヌクレオチド流出順序では、TF10は4つのDNA組み込みを受け、ここでも画素番号3において、金属で被覆されたアレイの第1の半分において光流出が削減されたことにより、信号は、アレイの第2の半分と比較して少ない。
【0218】
実施例7:SiC2薄膜で被覆されたマイクロウェルアレイ
一実施形態において、アレイは、個々の反応チャンバを産生するために酸で単側を化学的にエッチングされた市販のFOF(Incom社、マサチューセッツ州チャールトン)から形成される。エッチングによって形成された各反応チャンバは、約75pLの容積を有する。FOFは、薄膜で被覆する前に清浄される。好ましい薄膜コーティングは、厚さ0.1〜5.0ミクロンの非金属酸化物SiO2である。SiO2コーティングは、光学的に透明で、防水性である。薄膜コーティングは、イオンプレーティング気相蒸着法を使用して塗布される。FOF表面において薄膜で被覆された反応チャンバを使用することにより、いくつかの目的を果たす:i)アレイの異なる領域における放出光からの発光の遅延拡散、ii)アレイ基板材料のあらゆる有害な影響から保護されたアッセイ溶液または反応混合物の成分を含有する反応チャンバの単離、iii)基板材料がチャンバ溶液内へ漏れることの防止、および、iv)CCDへの極めて効率的な、高開口数光連結。最後に、反応混合物またはアッセイ溶液内の反応物質(例えば、固定化シーケンステンプレート)または検体の量が大きくなるほど、実現できる光信号も増える。
【0219】
実施例8:金属薄膜で被覆されたマイクロウェルアレイ
アレイは、個々の反応チャンバを産生するために酸で単側を化学的にエッチングされた市販のFOF(Incom社、マサチューセッツ州チャールトン)から形成される。エッチングプロセスによって形成された実質的にすべての反応チャンバは、約75pLの容積と50乃至55μmの深さを有する。FOFは、非薄膜コーティングで被覆する前に清浄される。非薄膜コーティングは、アレイの上面において約200〜300nm、実質的にすべての反応チャンバの側壁において60〜120nmおよびコーナーエリアにおいて50nm以上の厚さを持つクロムである。当該コーティングは不透明である。薄膜コーティングは、イオン蒸着法を使用して塗布される。FOF表面上の不透明な薄膜で被覆された反応チャンバは、アレイにいくつかの利点を提供する。近接する反応チャンバ間における光流出、光散乱、および干渉等の光学的問題が排除され、光が集中する。ビーズ装填効率は、100%近くまで最大化される。
【0220】
実施例9:金属およびSiO2の薄膜で被覆されたマイクロウェルアレイ
核酸シーケンス決定のためのアレイ装置は、個々の反応チャンバを産生するために酸で単側を化学的にエッチングされた市販のFOF(Incom社、マサチューセッツ州チャールトン)から形成される。FOFをエッチングするために使用される装置は、2つのPEEK製クランプおよびシリコーンエッチングガスケットを含む。エッチングプロセスによって形成された実質的にすべての反応チャンバは、約75pLの容積と50乃至55μmの深さを有する。FOFは、非薄膜コーティングで被覆する前に清浄される。非薄膜コーティングは、アレイの上面において約200〜300nm、アレイの実質的にすべての反応チャンバの側壁において60〜120nmおよびコーナーエリアにおいて50nm以上の厚さを持つクロムである。当該コーティングは不透明である。薄膜コーティングは、イオン蒸着法を使用して塗布される。非透明薄膜コーティングが塗布された後、透明薄膜コーティングが塗布される。透明薄膜コーティングは、アレイの上面において約200〜400nm、実質的にすべての反応チャンバの側壁において50〜100nmおよびコーナーエリアにおいて50nm以上の厚さを持つSiO2である。第1の非透明膜コーティングおよび第2の透明薄膜コーティングで被覆された反応チャンバを持つアレイは、アレイにいくつかの利点を提供する。近接する反応チャンバ間における光流出、光散乱、および干渉等の光学的問題が排除され、非透明コーティングの上に塗布された透明SiO2コーティングは、クロムコーティングを腐食から保護することも行う。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】図1は、スパッタリング(図1aおよび1b)、PECVD(図1cおよび1d)、およびイオンプレーティング(図1eおよび1f)気相蒸着法を使用してSiO2で被覆された、エッチング加工済みの光ファイバフェイスプレートの5000倍および10000倍拡大における一連のSEM画像である。
【図2】図2は、3つの気相蒸着コーティング法のコーティング厚さおよび質を示す、SiO2で被覆された反応チャンバを有する光ファイバフェイスプレートの一連の断面SEM画像である。図2aは、反応チャンバ内の蒸着エリアの概略図である。図2bは、スパッタリングによって塗布されたコーティングの画像である。図2cは、PECVDによって塗布されたコーティングの画像である。図2dは、イオンプレーティングによって塗布されたコーティングの画像である。
【図3】図3は、イオンプレーティングプロセスの概略図である。
【図4】図4は、反応チャンバを備える、SiO2被覆された、および被覆されていない、光ファイバフェイスプレートのPCR誘導シーケンスバックグラウンドを示す棒グラフである。
【図5】図5は、精度を表す反応チャンバ(図5a)、「正規化した」キーパスフラクション(図5b)、およびピロリン酸塩(PPi)信号(図5c)を備える、SiO2で被覆された、および被覆されていない、光ファイバフェイスプレートのシーケンス性能測定基準を示す、一連のグラフである。
【図6】図6は、反応チャンバを備える(被覆されていない)光ファイバフェイスプレートの一部を表す一連の走査電子顕微鏡写真である。
【図7a】図7aは、PEEK製クランプの図面(上面図)である。
【図7b】図7bは、PEEK製クランプの図面(側面図)である。
【図7c】図7cは、PEEK製クランプの図面(前端面図)である。
【図7d】図7dは、PEEK製クランプの図面(後端面図)である。
【図8a】図8aは、25×75mm光ファイバフェイスプレートの図面(上面図)である。
【図8b】図8bは、25×75mm光ファイバフェイスプレートの図面(前縁図)である。
【図8c】図8cは、25×75mm光ファイバフェイスプレートの図面(後縁図)である。
【図9】図9は、RER清浄手順を説明するプロセスフロー図である。
【図10】図10は、片側エッチングプロセスを説明するプロセスフロー図である。
【図11a】図11aは、エッチングガスケットの図面(上面図)である。
【図11b】図11bは、エッチングガスケットの図面(後端面図)である。
【図11c】図11cは、エッチングガスケットの図面(前端面図)である。
【図11d】図11dは、エッチングガスケットの図面(第1側面図)である。
【図11e】図11eは、エッチングガスケットの図面(第2側面図)である。
【図12】図12は、2つのクランプと共に保持され、エッチングプロセスの準備が整った、組み立て光ファイバフェイスプレート「固定サンドイッチ」の図面(上面図)である。
【図13】図13は、光ファイバフェイスプレート「固定サンドイッチ」の分解図である。
【図14】図14は、反応チャンバの側壁およびアレイの上面が非透明薄膜で被覆された反応チャンバを含有する光ファイバフェイスプレートの側面図である。
【図15a】図15aは、角度のある治具を使用する角度のある金属蒸着のプロセスに使用される設定を図示している。示されているのは、治具の基板キャリアに取り付けられた反応チャンバを含有する光ファイバフェイスプレートの側面図である。
【図15b】図15bは、回転および角度のある治具アセンブリを図示している。
【図16a】図16aは、1つのチャンバは空、残り2つのチャンバは試薬基質ビーズ(大きい方)および試薬ビーズ(小さい方)が充填された、3つの反応チャンバを含有する光ファイバフェイスプレートの側面図である。これらの反応チャンバは、反応チャンバの側壁およびアレイの上面にコーティングを有し、反応チャンバの底部は部分的に被覆されている。「側壁コーナーエリア」および「底部コーナーエリア」にコーティングが塗布され、反応チャンバの底部にコーティングが無い箇所があるように、示されているコーティングは反応チャンバのコーナーエリアに塗布されている。
【図16b】図16bは、反応チャンバの底部にコーティングが無い箇所があり、それが底部の中心付近に開口を形成するように、反応チャンバの底部コーナーエリアに塗布されたコーティングを有する3つの反応チャンバの上面図である。開口の直径およびコーナーエリアのリングの幅を示す。
【図17】図17は、基質ビーズ(大きい方)および試薬ビーズ(小さい方)が充填され、各チャンバの側壁がコーティングで被覆された3つの反応チャンバを含有する光ファイバフェイスプレートの側面図である。コーティングは、その表面上に酵素(例えば、アピラーゼ)を含有するように変更されている。
【図18】図18は、コーティングの気相蒸着中に、イオン源が基板よりもかなり小さい場合に生じ得る「角度効果」を図示している。角度効果は、均一に被覆されていない反応チャンバを持つアレイを産出する。例えば、Aは基板の一端に位置する3つの反応チャンバのコーナーエリアに蒸着されているコーティングを示し、Bは基板の他端に位置する3つの反応チャンバの底部に蒸着されているコーティングを示す。
【図19a】図19aは、光ファイバフェイスプレートの選択されたエリア(例えば、「金属被覆ゾーン」)にコーティングを方向付け、角度効果を排除するための、蒸着プロセス中におけるシャドウマスクの使用を図示している。
【図19b】図19bは、光ファイバフェイスプレートの選択されたエリア(例えば、「金属被覆ゾーン」)にコーティングを方向付け、角度を排除するための、蒸着プロセス中におけるシャッターの使用を図示している。
【図20a】図20aは、繊維ストランドを有する光ファイバフェイスプレートを示し、当該繊維ストランドは、光ファイバフェイスプレートの底面に対して90度未満の鋭角(「鋭角(#1)」)で配向されている(すなわち、繊維ストランドは垂直ではない)。
【図20b】図20bは、反応チャンバの底部に対して鋭角(#2)に傾けられた側壁を有する反応チャンバの1コーナーにビーズが位置する、傾斜した反応チャンバを示す。遠心力を使用して、このコーナー位置にビーズを固定することができる。
【図20c】図20cは、垂直でない切断をするために光ファイバ束を切断する場所の例を示す2本の線でマークされた、光ファイバ束を表す見取り図である。
【図21a】図21aは、アレイの反応チャンバがそれぞれ基板の上に築かれた4本の境界柱によって形成され、そのような境界柱が、4本の境界柱のセットによって画定された空間内の各ビーズまたは粒子を「捕捉する」、アレイの見取り図である。ビーズを保持している反応チャンバの底部および側壁を示す。
【図21b】図21bは、基板の上にある一連の境界柱によって反応チャンバが形成される、アレイの金属蒸着プロセスを図示している。図21bは、異なる角度での複数の薄膜コーティングの蒸着中における重複する影を示す。境界柱によって作成された影は、重複エリアにおいて独特のパターンおよび形状を産出する。
【図22】図22は、エッチング加工済みの半分被覆された光ファイバフェイスプレートの2つのエリアを撮影した光画像を示す。エリアAは金属(銀)被覆されており、エリアBは被覆されていない。銀は、熱蒸発プロセスを使用してアレイに塗布されたものである。
【図23】図23は、非透明銀コーティングで被覆された、同じエッチング加工済みの光ファイバフェイスプレートの2枚の顕微鏡写真を示す。アレイの上面エリア、各反応チャンバの側壁およびコーナーエリアは、底部の中心にはコーティングが無く、それによって底部の中心付近に開口を作成するように、銀で被覆されている。写真Aはチャンバの底部に焦点を置いたもの、写真Bはクラッディングに焦点を置いたものである。
【図24】図24AおよびBは、アレイの反応チャンバの側壁に塗布された非透明金属コーティングが、アレイ上の2つの隣接するチャンバ間における光流出をどのようにして削減することができるかを説明するグラフである。2つのグラフは、2つの異なるヌクレオチド流出順序を表している。
【図25a】図25aは、光ファイバフェイスプレートの反応チャンバのコーナー上における銀コーティングであって、当該チャンバの底部コーナーを覆う銀コーティングの、3つのビューを示す。コーティングの厚さは、光をブロックし、光子が隣接するチャンバへ漏れるのを遮断する程度のものである。ビュー1は、反応チャンバ全体を示す。ビュー2は当該チャンバのコーナーの接写であり、ビュー3はこのコーナーの拡大図である。
【図25b】図25bは、反応チャンバの上方コーナーおよび光ファイバフェイスプレートの上面上における銀コーティングの3つのビューを示し、ここで側壁におけるコーティングの厚さはクラッディングの上面における厚さと異なる。この厚さの差異は、金属蒸着プロセス中の基板のスピンによるものである。ビュー1は、反応チャンバ全体を示す。ビュー2は反応チャンバの上方コーナーおよび上端の接写であり、ビュー3はこの上方コーナーの拡大図である。
【図26a】図26aは、反応チャンバが不連続な側壁を有する、すなわち、2つの隣接する反応チャンバ間の側壁内のスリットで側壁が中断されているアレイを示す。
【図26b】図26bは、反応チャンバの側壁にあるスリット開口部を介してコーティングが蒸着される際に、(不連続な側壁を持つ)反応チャンバの底部に形成されるパターンを図示している。コーティングは、反応チャンバの底部の中心線付近ではコーティングが厚くなり、中心線から離れて縁に向かうにつれてコーティングが薄くなるような勾配で蒸着されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を備えるアレイであって、前記基板は、複数の反応チャンバを備える表面と前記表面上の薄膜コーティングとを有する光ファイバフェイスプレートであり、該薄膜は厚さ0.1〜5.0ミクロンで水に対して不浸透性である、アレイ。
【請求項2】
該薄膜コーティングは光学的に透明である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項3】
該薄膜コーティングは二酸化ケイ素である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項4】
隣接する2つの反応チャンバの中心点間の間隔は5μm乃至200μmであり、各反応チャンバは4μm乃至190μmの少なくとも1つの寸法の幅を有する、請求項1に記載のアレイ。
【請求項5】
反応チャンバの数は10,000未満である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項6】
反応チャンバの数は10,000を超える、請求項1に記載のアレイ。
【請求項7】
実質的にすべての該反応チャンバの深さが10乃至100μmである、請求項1に記載のアレイ。
【請求項8】
実質的にすべての該反応チャンバの深さが50乃至55μmである、請求項1に記載のアレイ。
【請求項9】
該反応チャンバは、該光ファイバフェイスプレートの片側に形成される、請求項1に記載のアレイ。
【請求項10】
該アレイは、複数の反応チャンバを備える表面と、反応チャンバを持たない反対側の平面的な研磨面とから成り、該研磨面は、該反応チャンバからの光信号が該研磨面を通って検出されるような光透過性であり、該反応チャンバを備える該表面と該研磨面との間の距離は、厚さ5mm以下である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項11】
複数の反応チャンバを備える表面と、前記表面上の薄膜コーティングを有する基板を備えるアレイであって、該薄膜コーティングは厚さ0.1〜5.0ミクロンで水に対して不浸透性である、アレイ。
【請求項12】
該薄膜コーティングは光学的に透明である、請求項11に記載のアレイ。
【請求項13】
該薄膜コーティングは、該基板の該表面において厚さ200〜400nmである、請求項11に記載のアレイ。
【請求項14】
該薄膜コーティングは、該反応チャンバの該側壁において厚さ50〜100nmであり、該反応チャンバの該底部において厚さ100〜300nmである、請求項11に記載のアレイ。
【請求項15】
該薄膜コーティングは無機高分子である、請求項11に記載のアレイ。
【請求項16】
該薄膜コーティングは二酸化ケイ素である、請求項11に記載のアレイ。
【請求項17】
(a)複数の反応チャンバを持つ表面を有する基板であって、光ファイバフェイスプレートである前記基板と、
(b)インデックス機能と、
を備える、アレイ。
【請求項18】
該アレイ基板は、ある角度で斜角をつけられた1つ以上の側縁を備える、請求項17に記載のアレイ。
【請求項19】
該角度は実質的に45度である、請求項17に記載のアレイ。
【請求項20】
該インデックス機能はコーナーノッチを備える、請求項17に記載のアレイ。
【請求項21】
該基板は、1つ以上の識別コードでマークされる、請求項17に記載のアレイ。
【請求項22】
隣接する2つの反応チャンバの中心点間の間隔は5μm乃至200μmであり、各反応チャンバは4μm乃至190μmの少なくとも1つの寸法の幅を有する、請求項17に記載のアレイ。
【請求項23】
反応チャンバの数は10,000未満である、請求項17に記載のアレイ。
【請求項24】
反応チャンバの数は10,000を超える、請求項17に記載のアレイ。
【請求項25】
実質的にすべての該反応チャンバの深さが10〜100μmである、請求項17に記載のアレイ。
【請求項26】
実質的にすべての該反応チャンバの深さが50〜55μmである、請求項17に記載のアレイ。
【請求項27】
該反応チャンバは、該光ファイバフェイスプレートの1つの面に形成される、請求項17に記載のアレイ。
【請求項28】
該アレイは、複数の反応チャンバを備える表面と、反応チャンバを持たない反対側の平面的な研磨面とから成り、該研磨面は、該反応チャンバからの光信号が該研磨面を通って検出されるような光透過性であり、該反応チャンバを備える該表面と該研磨面との間の距離は、厚さ5mm以下である、請求項17に記載のアレイ。
【請求項29】
基板を備えるアレイであって、該基板は、複数の反応チャンバを備える上面と、底面とを有する光ファイバフェイスプレートであり、各反応チャンバは底部および側壁から成り、
さらに、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは該側壁または該上面の少なくとも1つは非透明薄膜コーティングで被覆されており、該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明であり、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または上面の少なくとも1つは該非透明コーティングと異なる透明薄膜コーティングで被覆されており、該透明コーティングは、光学的に透明で、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、水に対して不浸透性である、アレイ。
【請求項30】
該透明コーティングは二酸化ケイ素である、請求項29に記載のアレイ。
【請求項31】
存在する場合、該透明コーティングの厚さは、該上面において約200〜400nm、該側壁において50〜100nm、および該底部において100〜300nmである、請求項29に記載のアレイ。
【請求項32】
該非透明コーティングは不透明である、請求項29に記載のアレイ。
【請求項33】
該非透明コーティングは半不透明である、請求項29に記載のアレイ。
【請求項34】
該非透明コーティングは光沢不透明である、請求項29に記載のアレイ。
【請求項35】
該非透明コーティングは半透明である、請求項29に記載のアレイ。
【請求項36】
存在する場合、該非透明コーティングの厚さは、該上面において約200〜300nm、該側壁において60〜120nm、コーナーエリアにおいて50nm以上であり、該コーナーエリアは該反応チャンバの該底部と側壁の接合部から成る、請求項29に記載のアレイ。
【請求項37】
該非透明コーティングは、有機化合物、無機化合物、および非金属酸化物から選択される、請求項29に記載のアレイ。
【請求項38】
該無機化合物は金属である、請求項37に記載のアレイ。
【請求項39】
該金属は、クロム、金、銀、チタン、プラチナ、およびアルミニウムから選択される、請求項38に記載のアレイ。
【請求項40】
実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は、該透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項41】
該上面は該透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項42】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部は、該透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項43】
実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部ならびに上面のそれぞれは、該透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項44】
透明コーティングが、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに塗布され、該底部の中心付近に開口を形成する該反応チャンバの該底部の該中心には無いように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該透明コーティングで部分的に被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項45】
該開口の直径は28ミクロンであり、該コーティングが該コーナーエリアに塗布された際に該開口の周囲に形成されたリングは、8.5ミクロンの幅を有する、請求項44に記載のアレイ。
【請求項46】
実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は、該非透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項47】
該上面は該非透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項48】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部は、該非透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項49】
非透明コーティングが、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに塗布され、該底部の中心付近に開口を形成する該反応チャンバの該底部の該中心には無いように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該非透明コーティングで部分的に被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項50】
該透明コーティングは、該非透明コーティングが塗布された後に塗布され、該透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの上面の少なくとも1つに塗布される、請求項49に記載のアレイ。
【請求項51】
実質的にすべての該反応チャンバの該上面および底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は該非透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項52】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および該上面は該非透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項53】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は該非透明コーティングで被覆され、該上面は被覆されていない、請求項29に記載のアレイ。
【請求項54】
該透明コーティングは、少なくとも第1の透明コーティングを含む、請求項29に記載のアレイ。
【請求項55】
該非透明コーティングは少なくとも第1の非透明コーティングを含む、請求項29に記載のアレイ。
【請求項56】
該非透明コーティングは、いかなる透明コーティングが塗布されるよりも前に塗布される、請求項29に記載のアレイ。
【請求項57】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または上面は、いかなる透明コーティングが塗布されるよりも前に、該非透明コーティングで被覆される、請求項29に記載のアレイ。
【請求項58】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または上面は、いかなる非透明コーティングが塗布されるよりも前に、該透明コーティングで被覆される、請求項29に記載のアレイ。
【請求項59】
該非透明コーティング上に酵素が固定化されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項60】
該透明コーティング上に酵素が固定化されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項61】
反応チャンバの数は10,000を超える、請求項29に記載のアレイ。
【請求項62】
基板を備えるアレイであって、該基板は、複数の反応チャンバを備える上面と、底面とを有する光ファイバフェイスプレートであり、各反応チャンバは底部および側壁から成り、
さらに、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または上面の少なくとも1つは非透明薄膜コーティングで被覆されており、該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明である、アレイ。
【請求項63】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該上面の少なくとも1つは被覆されていない、請求項62に記載のアレイ。
【請求項64】
該非透明コーティングは不透明である、請求項62に記載のアレイ。
【請求項65】
該非透明コーティングは半不透明である、請求項62に記載のアレイ。
【請求項66】
該非透明コーティングは光沢不透明である、請求項62に記載のアレイ。
【請求項67】
該非透明コーティングは半透明である、請求項62に記載のアレイ。
【請求項68】
存在する場合、該非透明コーティングの厚さは、該上面において約200〜300nm、該側壁において60〜120nm、および該コーナーエリアにおいて50nm以上であり、該コーナーエリアは該反応チャンバの該底部と側壁の接合部から成る、請求項62に記載のアレイ。
【請求項69】
該非透明コーティングは、有機化合物、無機化合物、および非金属酸化物から選択される、請求項62に記載のアレイ。
【請求項70】
該無機化合物は金属である、請求項69に記載のアレイ。
【請求項71】
該金属は、クロム、金、銀、チタン、プラチナ、およびアルミニウムから選択される、請求項70に記載のアレイ。
【請求項72】
実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は被覆されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項73】
上面は被覆されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項74】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部は被覆されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項75】
非透明コーティングが、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに塗布され、該底部の中心付近に開口を形成する該反応チャンバの該底部の該中心には無いように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該非透明コーティングで部分的に被覆されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項76】
該開口の直径は28ミクロンであり、該コーティングが該コーナーエリアに塗布された際に該開口の付近に形成されたリングは、8.5ミクロンの幅を有する、請求項75に記載のアレイ。
【請求項77】
実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部は被覆されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項78】
該非透明コーティングは、少なくとも第1の非透明コーティングを含む、請求項62に記載のアレイ。
【請求項79】
該非透明コーティングは少なくとも第1の非透明コーティングと第2の非透明コーティングとを含み、さらに該第1および第2のコーティングは同じでない、請求項62に記載のアレイ。
【請求項80】
該非透明コーティング上に酵素が固定化されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項81】
反応チャンバの数は10,000を超える、請求項62に記載のアレイ。
【請求項82】
複数の反応チャンバを含有する基板を被覆するためのプロセスであって、前記コーティングは気相および液体から選択された蒸着の方法を使用して該基板の表面に蒸着され、前記コーティングは、0.1〜5.0ミクロンの厚さを有する薄膜であり、光学的に透明で、水に対して不浸透性である、プロセス。
【請求項83】
該基板は光ファイバフェイスプレートである、請求項82に記載のプロセス。
【請求項84】
少なくとも10,000の反応チャンバがある、請求項82に記載のプロセス。
【請求項85】
実質的にすべての該反応チャンバの深さが10〜100μmである、請求項82に記載のプロセス。
【請求項86】
該反応チャンバは、該光ファイバフェイスプレートの1つの側に形成される、請求項82に記載のプロセス。
【請求項87】
該薄膜コーティングは二酸化ケイ素である、請求項82に記載のプロセス。
【請求項88】
該薄膜コーティングは、気相蒸着法を使用して蒸着される、請求項82に記載のプロセス。
【請求項89】
複数の反応チャンバを備える上面と、底面とを有する基板に、非透明薄膜コーティングを蒸着するためのプロセスであって、各反応チャンバは底部および側壁から成り、該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明であり、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該基板の上面に蒸着され、
(a)該基板をある角度で基板キャリアに取り付けることと、
(b)該取り付けられた基板を真空チャンバ内でスピンさせることと、
(c)実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該基板の上面に、該非透明コーティングを蒸着することと、
(d)該基板を該真空チャンバから除去することと、
(e)該非透明コーティングで被覆された該基板を、該基板キャリアから取り外すことと、
を含む、プロセス。
【請求項90】
該基板は光ファイバフェイスプレートである、請求項89に記載のプロセス。
【請求項91】
実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該基板の上面は、透明コーティングの塗布より前に、非透明コーティングで被覆される、請求項89に記載のプロセス。
【請求項92】
該透明コーティングは、光学的に透明で、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、水に対して不浸透性である、請求項89に記載のプロセス。
【請求項93】
核酸配列を解析するための装置であって、
(a)送出チャンバであって、請求項1〜81のいずれか一項のアレイを備える該チャンバと、
(b)該試薬送出チャンバと連通している試薬送出デバイスと、
(c)試薬送出チャンバと連通している撮像システムと、
(d)該撮像システムと連通しているデータ収集システムと、
を備える、装置。
【請求項94】
核酸の配列を決定するための方法であって、
(a)請求項1〜81のいずれか一項に記載のアレイ上にある複数の反応チャンバ内に蒸着された複数の一本鎖核酸テンプレートを提供することと、
(b)効果的な量のシーケンスプライマーを該核酸テンプレートにアニールし、所定のヌクレオチド三リン酸が前記シーケンスプライマーの3’末端に組み込まれた場合にシーケンス反応副産物が産出されるようなシーケンス産物を産生するために、ポリメラーゼおよび該所定のヌクレオチド三リン酸で該シーケンスプライマーを伸長させることにより、実質的にすべての反応チャンバにおいてピロリン酸塩シーケンス反応を同時に実行することと、
(c)該シーケンス反応副産物を識別し、それによって各反応チャンバ内の該核酸の該配列を決定することと、
を含む方法。
【請求項95】
(a)第1の耐酸材料から製造された少なくとも1つのクランプであって、向かい合っている上面、底面、および側面および端面を有する基部、ならびに突起物を含み、前記突起物は前記上面と一体になっているクランプと、
(b)第2の耐酸材料から製造されたガスケットであって、インデックス特徴、上面、および底面を含み、前記表面は向かい合っているガスケットと、
を備える、装置。
【請求項96】
前記第1の耐酸材料はポリエーテルエーテルケトンである、請求項95に記載の装置。
【請求項97】
前記第2の耐酸材料はシリコーンである、請求項95に記載の装置。
【請求項98】
該ガスケットの該インデックス特徴はコーナーバリアを含む、請求項95に記載の装置。
【請求項99】
光ファイバフェイスプレートの1つの側をエッチングする方法であって、
(a)2つの光ファイバフェイスプレートを、第2の耐酸材料から製造されたガスケットと組み合わせるステップであって、前記ガスケットは該光ファイバプレートの間に位置付けられてサンドイッチを形成するステップと、
(b)第1の耐酸材料から製造されたクランプを重着して該光ファイバフェイスプレートとガスケットとを共に保持し、それによって液体に対して不浸透性であるシールを有する固定サンドイッチを形成するステップと、
(c)該固定サンドイッチを、望ましい深さの反応チャンバを形成するのに十分な時間、酸浴へ移すステップと、
(d)該酸浴から該固定サンドイッチを除去するステップと、
(e)該固定サンドイッチを第1の水浴へ移すステップと、
(f)該固定サンドイッチを約5分間、超音波照射するステップと、
(g)前記第1の水浴を第2の水浴と置換するステップと、
(h)該固定サンドイッチを約5分間、超音波照射するステップと、
(i)該第2の水浴から該固定サンドイッチを除去するステップと、
(j)該クランプおよびガスケットを係脱するステップと、
を含む方法。
【請求項100】
該酸浴は硝酸である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記第1の耐酸材料はポリエーテルエーテルケトンである、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記第2の耐酸材料はシリコーンである、請求項99に記載の装置。
【請求項103】
複数の反応チャンバを備える光ファイバフェイスプレートを清浄する方法であって、
(a)水酸化アンモニウムおよび過酸化水素を含む溶液中で該光ファイバフェイスプレートを洗浄するステップと、
(b)エチレンジアミン四酢酸中で該光ファイバフェイスプレートを洗浄するステップと、
(c)水中で該光ファイバフェイスプレートをすすぐステップと、
(d)水酸化アンモニウムおよび過酸化水素を含む溶液中で該光ファイバフェイスプレートを洗浄するステップと、
(e)水中で該光ファイバフェイスプレートをすすぐステップと、
(f)エチレンジアミン四酢酸中で該光ファイバフェイスプレートを洗浄するステップと、
(g)水中で該光ファイバフェイスプレートをすすぐステップと、
(h)塩基性溶液中で該光ファイバフェイスプレートを超音波照射するステップと、
(i)水中で該光ファイバフェイスプレートをすすぐステップと、
(j)ステップgおよびhを繰り返すステップと、
を含む方法。
【請求項104】
前記塩基性溶液は実質的に5%Contrad(登録商標)である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
ステップiは一度繰り返される、請求項103に記載の方法。
【請求項1】
基板を備えるアレイであって、前記基板は、複数の反応チャンバを備える表面と前記表面上の薄膜コーティングとを有する光ファイバフェイスプレートであり、該薄膜は厚さ0.1〜5.0ミクロンで水に対して不浸透性である、アレイ。
【請求項2】
該薄膜コーティングは光学的に透明である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項3】
該薄膜コーティングは二酸化ケイ素である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項4】
隣接する2つの反応チャンバの中心点間の間隔は5μm乃至200μmであり、各反応チャンバは4μm乃至190μmの少なくとも1つの寸法の幅を有する、請求項1に記載のアレイ。
【請求項5】
反応チャンバの数は10,000未満である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項6】
反応チャンバの数は10,000を超える、請求項1に記載のアレイ。
【請求項7】
実質的にすべての該反応チャンバの深さが10乃至100μmである、請求項1に記載のアレイ。
【請求項8】
実質的にすべての該反応チャンバの深さが50乃至55μmである、請求項1に記載のアレイ。
【請求項9】
該反応チャンバは、該光ファイバフェイスプレートの片側に形成される、請求項1に記載のアレイ。
【請求項10】
該アレイは、複数の反応チャンバを備える表面と、反応チャンバを持たない反対側の平面的な研磨面とから成り、該研磨面は、該反応チャンバからの光信号が該研磨面を通って検出されるような光透過性であり、該反応チャンバを備える該表面と該研磨面との間の距離は、厚さ5mm以下である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項11】
複数の反応チャンバを備える表面と、前記表面上の薄膜コーティングを有する基板を備えるアレイであって、該薄膜コーティングは厚さ0.1〜5.0ミクロンで水に対して不浸透性である、アレイ。
【請求項12】
該薄膜コーティングは光学的に透明である、請求項11に記載のアレイ。
【請求項13】
該薄膜コーティングは、該基板の該表面において厚さ200〜400nmである、請求項11に記載のアレイ。
【請求項14】
該薄膜コーティングは、該反応チャンバの該側壁において厚さ50〜100nmであり、該反応チャンバの該底部において厚さ100〜300nmである、請求項11に記載のアレイ。
【請求項15】
該薄膜コーティングは無機高分子である、請求項11に記載のアレイ。
【請求項16】
該薄膜コーティングは二酸化ケイ素である、請求項11に記載のアレイ。
【請求項17】
(a)複数の反応チャンバを持つ表面を有する基板であって、光ファイバフェイスプレートである前記基板と、
(b)インデックス機能と、
を備える、アレイ。
【請求項18】
該アレイ基板は、ある角度で斜角をつけられた1つ以上の側縁を備える、請求項17に記載のアレイ。
【請求項19】
該角度は実質的に45度である、請求項17に記載のアレイ。
【請求項20】
該インデックス機能はコーナーノッチを備える、請求項17に記載のアレイ。
【請求項21】
該基板は、1つ以上の識別コードでマークされる、請求項17に記載のアレイ。
【請求項22】
隣接する2つの反応チャンバの中心点間の間隔は5μm乃至200μmであり、各反応チャンバは4μm乃至190μmの少なくとも1つの寸法の幅を有する、請求項17に記載のアレイ。
【請求項23】
反応チャンバの数は10,000未満である、請求項17に記載のアレイ。
【請求項24】
反応チャンバの数は10,000を超える、請求項17に記載のアレイ。
【請求項25】
実質的にすべての該反応チャンバの深さが10〜100μmである、請求項17に記載のアレイ。
【請求項26】
実質的にすべての該反応チャンバの深さが50〜55μmである、請求項17に記載のアレイ。
【請求項27】
該反応チャンバは、該光ファイバフェイスプレートの1つの面に形成される、請求項17に記載のアレイ。
【請求項28】
該アレイは、複数の反応チャンバを備える表面と、反応チャンバを持たない反対側の平面的な研磨面とから成り、該研磨面は、該反応チャンバからの光信号が該研磨面を通って検出されるような光透過性であり、該反応チャンバを備える該表面と該研磨面との間の距離は、厚さ5mm以下である、請求項17に記載のアレイ。
【請求項29】
基板を備えるアレイであって、該基板は、複数の反応チャンバを備える上面と、底面とを有する光ファイバフェイスプレートであり、各反応チャンバは底部および側壁から成り、
さらに、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは該側壁または該上面の少なくとも1つは非透明薄膜コーティングで被覆されており、該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明であり、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または上面の少なくとも1つは該非透明コーティングと異なる透明薄膜コーティングで被覆されており、該透明コーティングは、光学的に透明で、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、水に対して不浸透性である、アレイ。
【請求項30】
該透明コーティングは二酸化ケイ素である、請求項29に記載のアレイ。
【請求項31】
存在する場合、該透明コーティングの厚さは、該上面において約200〜400nm、該側壁において50〜100nm、および該底部において100〜300nmである、請求項29に記載のアレイ。
【請求項32】
該非透明コーティングは不透明である、請求項29に記載のアレイ。
【請求項33】
該非透明コーティングは半不透明である、請求項29に記載のアレイ。
【請求項34】
該非透明コーティングは光沢不透明である、請求項29に記載のアレイ。
【請求項35】
該非透明コーティングは半透明である、請求項29に記載のアレイ。
【請求項36】
存在する場合、該非透明コーティングの厚さは、該上面において約200〜300nm、該側壁において60〜120nm、コーナーエリアにおいて50nm以上であり、該コーナーエリアは該反応チャンバの該底部と側壁の接合部から成る、請求項29に記載のアレイ。
【請求項37】
該非透明コーティングは、有機化合物、無機化合物、および非金属酸化物から選択される、請求項29に記載のアレイ。
【請求項38】
該無機化合物は金属である、請求項37に記載のアレイ。
【請求項39】
該金属は、クロム、金、銀、チタン、プラチナ、およびアルミニウムから選択される、請求項38に記載のアレイ。
【請求項40】
実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は、該透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項41】
該上面は該透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項42】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部は、該透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項43】
実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部ならびに上面のそれぞれは、該透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項44】
透明コーティングが、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに塗布され、該底部の中心付近に開口を形成する該反応チャンバの該底部の該中心には無いように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該透明コーティングで部分的に被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項45】
該開口の直径は28ミクロンであり、該コーティングが該コーナーエリアに塗布された際に該開口の周囲に形成されたリングは、8.5ミクロンの幅を有する、請求項44に記載のアレイ。
【請求項46】
実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は、該非透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項47】
該上面は該非透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項48】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部は、該非透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項49】
非透明コーティングが、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに塗布され、該底部の中心付近に開口を形成する該反応チャンバの該底部の該中心には無いように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該非透明コーティングで部分的に被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項50】
該透明コーティングは、該非透明コーティングが塗布された後に塗布され、該透明コーティングは、実質的にすべての反応チャンバの該底部もしくは側壁または該アレイの上面の少なくとも1つに塗布される、請求項49に記載のアレイ。
【請求項51】
実質的にすべての該反応チャンバの該上面および底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は該非透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項52】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および該上面は該非透明コーティングで被覆されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項53】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部は該透明コーティングで被覆され、実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は該非透明コーティングで被覆され、該上面は被覆されていない、請求項29に記載のアレイ。
【請求項54】
該透明コーティングは、少なくとも第1の透明コーティングを含む、請求項29に記載のアレイ。
【請求項55】
該非透明コーティングは少なくとも第1の非透明コーティングを含む、請求項29に記載のアレイ。
【請求項56】
該非透明コーティングは、いかなる透明コーティングが塗布されるよりも前に塗布される、請求項29に記載のアレイ。
【請求項57】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または上面は、いかなる透明コーティングが塗布されるよりも前に、該非透明コーティングで被覆される、請求項29に記載のアレイ。
【請求項58】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または上面は、いかなる非透明コーティングが塗布されるよりも前に、該透明コーティングで被覆される、請求項29に記載のアレイ。
【請求項59】
該非透明コーティング上に酵素が固定化されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項60】
該透明コーティング上に酵素が固定化されている、請求項29に記載のアレイ。
【請求項61】
反応チャンバの数は10,000を超える、請求項29に記載のアレイ。
【請求項62】
基板を備えるアレイであって、該基板は、複数の反応チャンバを備える上面と、底面とを有する光ファイバフェイスプレートであり、各反応チャンバは底部および側壁から成り、
さらに、実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または上面の少なくとも1つは非透明薄膜コーティングで被覆されており、該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明である、アレイ。
【請求項63】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部もしくは側壁または該上面の少なくとも1つは被覆されていない、請求項62に記載のアレイ。
【請求項64】
該非透明コーティングは不透明である、請求項62に記載のアレイ。
【請求項65】
該非透明コーティングは半不透明である、請求項62に記載のアレイ。
【請求項66】
該非透明コーティングは光沢不透明である、請求項62に記載のアレイ。
【請求項67】
該非透明コーティングは半透明である、請求項62に記載のアレイ。
【請求項68】
存在する場合、該非透明コーティングの厚さは、該上面において約200〜300nm、該側壁において60〜120nm、および該コーナーエリアにおいて50nm以上であり、該コーナーエリアは該反応チャンバの該底部と側壁の接合部から成る、請求項62に記載のアレイ。
【請求項69】
該非透明コーティングは、有機化合物、無機化合物、および非金属酸化物から選択される、請求項62に記載のアレイ。
【請求項70】
該無機化合物は金属である、請求項69に記載のアレイ。
【請求項71】
該金属は、クロム、金、銀、チタン、プラチナ、およびアルミニウムから選択される、請求項70に記載のアレイ。
【請求項72】
実質的にすべての該反応チャンバの該側壁は被覆されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項73】
上面は被覆されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項74】
実質的にすべての該反応チャンバの該底部は被覆されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項75】
非透明コーティングが、該反応チャンバの該底部と側壁との間の該接合部に形成された該コーナーエリアに塗布され、該底部の中心付近に開口を形成する該反応チャンバの該底部の該中心には無いように、実質的にすべての該反応チャンバの該底部および側壁が該非透明コーティングで部分的に被覆されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項76】
該開口の直径は28ミクロンであり、該コーティングが該コーナーエリアに塗布された際に該開口の付近に形成されたリングは、8.5ミクロンの幅を有する、請求項75に記載のアレイ。
【請求項77】
実質的にすべての該反応チャンバの該側壁および底部は被覆されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項78】
該非透明コーティングは、少なくとも第1の非透明コーティングを含む、請求項62に記載のアレイ。
【請求項79】
該非透明コーティングは少なくとも第1の非透明コーティングと第2の非透明コーティングとを含み、さらに該第1および第2のコーティングは同じでない、請求項62に記載のアレイ。
【請求項80】
該非透明コーティング上に酵素が固定化されている、請求項62に記載のアレイ。
【請求項81】
反応チャンバの数は10,000を超える、請求項62に記載のアレイ。
【請求項82】
複数の反応チャンバを含有する基板を被覆するためのプロセスであって、前記コーティングは気相および液体から選択された蒸着の方法を使用して該基板の表面に蒸着され、前記コーティングは、0.1〜5.0ミクロンの厚さを有する薄膜であり、光学的に透明で、水に対して不浸透性である、プロセス。
【請求項83】
該基板は光ファイバフェイスプレートである、請求項82に記載のプロセス。
【請求項84】
少なくとも10,000の反応チャンバがある、請求項82に記載のプロセス。
【請求項85】
実質的にすべての該反応チャンバの深さが10〜100μmである、請求項82に記載のプロセス。
【請求項86】
該反応チャンバは、該光ファイバフェイスプレートの1つの側に形成される、請求項82に記載のプロセス。
【請求項87】
該薄膜コーティングは二酸化ケイ素である、請求項82に記載のプロセス。
【請求項88】
該薄膜コーティングは、気相蒸着法を使用して蒸着される、請求項82に記載のプロセス。
【請求項89】
複数の反応チャンバを備える上面と、底面とを有する基板に、非透明薄膜コーティングを蒸着するためのプロセスであって、各反応チャンバは底部および側壁から成り、該非透明コーティングは不透明、半不透明、光沢不透明、または半透明であり、実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該基板の上面に蒸着され、
(a)該基板をある角度で基板キャリアに取り付けることと、
(b)該取り付けられた基板を真空チャンバ内でスピンさせることと、
(c)実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該基板の上面に、該非透明コーティングを蒸着することと、
(d)該基板を該真空チャンバから除去することと、
(e)該非透明コーティングで被覆された該基板を、該基板キャリアから取り外すことと、
を含む、プロセス。
【請求項90】
該基板は光ファイバフェイスプレートである、請求項89に記載のプロセス。
【請求項91】
実質的にすべての該反応チャンバの少なくとも1つの底部もしくは側壁または該基板の上面は、透明コーティングの塗布より前に、非透明コーティングで被覆される、請求項89に記載のプロセス。
【請求項92】
該透明コーティングは、光学的に透明で、厚さ0.1〜5.0ミクロンで、水に対して不浸透性である、請求項89に記載のプロセス。
【請求項93】
核酸配列を解析するための装置であって、
(a)送出チャンバであって、請求項1〜81のいずれか一項のアレイを備える該チャンバと、
(b)該試薬送出チャンバと連通している試薬送出デバイスと、
(c)試薬送出チャンバと連通している撮像システムと、
(d)該撮像システムと連通しているデータ収集システムと、
を備える、装置。
【請求項94】
核酸の配列を決定するための方法であって、
(a)請求項1〜81のいずれか一項に記載のアレイ上にある複数の反応チャンバ内に蒸着された複数の一本鎖核酸テンプレートを提供することと、
(b)効果的な量のシーケンスプライマーを該核酸テンプレートにアニールし、所定のヌクレオチド三リン酸が前記シーケンスプライマーの3’末端に組み込まれた場合にシーケンス反応副産物が産出されるようなシーケンス産物を産生するために、ポリメラーゼおよび該所定のヌクレオチド三リン酸で該シーケンスプライマーを伸長させることにより、実質的にすべての反応チャンバにおいてピロリン酸塩シーケンス反応を同時に実行することと、
(c)該シーケンス反応副産物を識別し、それによって各反応チャンバ内の該核酸の該配列を決定することと、
を含む方法。
【請求項95】
(a)第1の耐酸材料から製造された少なくとも1つのクランプであって、向かい合っている上面、底面、および側面および端面を有する基部、ならびに突起物を含み、前記突起物は前記上面と一体になっているクランプと、
(b)第2の耐酸材料から製造されたガスケットであって、インデックス特徴、上面、および底面を含み、前記表面は向かい合っているガスケットと、
を備える、装置。
【請求項96】
前記第1の耐酸材料はポリエーテルエーテルケトンである、請求項95に記載の装置。
【請求項97】
前記第2の耐酸材料はシリコーンである、請求項95に記載の装置。
【請求項98】
該ガスケットの該インデックス特徴はコーナーバリアを含む、請求項95に記載の装置。
【請求項99】
光ファイバフェイスプレートの1つの側をエッチングする方法であって、
(a)2つの光ファイバフェイスプレートを、第2の耐酸材料から製造されたガスケットと組み合わせるステップであって、前記ガスケットは該光ファイバプレートの間に位置付けられてサンドイッチを形成するステップと、
(b)第1の耐酸材料から製造されたクランプを重着して該光ファイバフェイスプレートとガスケットとを共に保持し、それによって液体に対して不浸透性であるシールを有する固定サンドイッチを形成するステップと、
(c)該固定サンドイッチを、望ましい深さの反応チャンバを形成するのに十分な時間、酸浴へ移すステップと、
(d)該酸浴から該固定サンドイッチを除去するステップと、
(e)該固定サンドイッチを第1の水浴へ移すステップと、
(f)該固定サンドイッチを約5分間、超音波照射するステップと、
(g)前記第1の水浴を第2の水浴と置換するステップと、
(h)該固定サンドイッチを約5分間、超音波照射するステップと、
(i)該第2の水浴から該固定サンドイッチを除去するステップと、
(j)該クランプおよびガスケットを係脱するステップと、
を含む方法。
【請求項100】
該酸浴は硝酸である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記第1の耐酸材料はポリエーテルエーテルケトンである、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記第2の耐酸材料はシリコーンである、請求項99に記載の装置。
【請求項103】
複数の反応チャンバを備える光ファイバフェイスプレートを清浄する方法であって、
(a)水酸化アンモニウムおよび過酸化水素を含む溶液中で該光ファイバフェイスプレートを洗浄するステップと、
(b)エチレンジアミン四酢酸中で該光ファイバフェイスプレートを洗浄するステップと、
(c)水中で該光ファイバフェイスプレートをすすぐステップと、
(d)水酸化アンモニウムおよび過酸化水素を含む溶液中で該光ファイバフェイスプレートを洗浄するステップと、
(e)水中で該光ファイバフェイスプレートをすすぐステップと、
(f)エチレンジアミン四酢酸中で該光ファイバフェイスプレートを洗浄するステップと、
(g)水中で該光ファイバフェイスプレートをすすぐステップと、
(h)塩基性溶液中で該光ファイバフェイスプレートを超音波照射するステップと、
(i)水中で該光ファイバフェイスプレートをすすぐステップと、
(j)ステップgおよびhを繰り返すステップと、
を含む方法。
【請求項104】
前記塩基性溶液は実質的に5%Contrad(登録商標)である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
ステップiは一度繰り返される、請求項103に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18】
【図19a】
【図19b】
【図20a】
【図20b】
【図20c】
【図21a】
【図21b】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25a】
【図25b】
【図26a】
【図26b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18】
【図19a】
【図19b】
【図20a】
【図20b】
【図20c】
【図21a】
【図21b】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25a】
【図25b】
【図26a】
【図26b】
【公表番号】特表2008−537679(P2008−537679A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505654(P2008−505654)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/013494
【国際公開番号】WO2006/108180
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507331232)454 ライフ サイエンシーズ コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/013494
【国際公開番号】WO2006/108180
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507331232)454 ライフ サイエンシーズ コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】
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