説明

薄膜形成装置並びに薄膜形成方法

【課題】結晶欠陥の少ない化合物膜を形成することを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するため本発明は、対向する二つのターゲット9と、これらのターゲット9の対向方向とほぼ垂直方向からターゲット9の対向空間16に臨む高密度ラジカル源11と、この高密度ラジカル源11と異方向からターゲット9の対向空間16に臨む基材ホルダ13とを備え、各ターゲット9の背面にはそれぞれ磁石17が配置され、これらの磁石17によって、前記ターゲット9の対向方向に磁界を発生させるとともに、各ターゲット9に負電圧を印加して、基材ホルダ13に設置される基材15に化合物膜を形成するものとした。これにより本発明は、負イオンが化合物膜に衝突するのを抑制し、結晶欠陥の少ない化合物膜を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属酸化膜あるいは金属窒化膜などの化合物膜を形成する薄膜形成装置並びに薄膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Pb(Zr,Ti)O3等の金属酸化膜やその他金属窒化膜は、圧電体材料として、センサやアクチュエータ等に用いられており、微小なMEMSデバイス等にも応用するため、薄膜化が検討されている。
【0003】
これらの薄膜化を実現する手段としてPVD,CVD,CSD,MOD等の種々の成膜方式が提案されている。そして現在最も量産性に優れた手法として着目されているのが、PVD方式であり、その方式の一つにスパッタリングがある。
【0004】
これは、酸素ガスや窒素ガスなどの反応性ガスをラジカル化させ、このラジカル存在下で金属ターゲットをスパッタすることにより高精度に組成制御された化合物膜を形成する技術である。
【0005】
例えば図10に示すように従来の薄膜形成装置は、ECR(Electron Cyclotron Resonance)放電によって反応性ガスを高効率でラジカル化する高密度ラジカル源1と、この高密度ラジカル源1と近接して配置されたリング状のターゲット2と、このターゲット2を介して高密度ラジカル源1と対向する基材ホルダ3とを備え、ターゲット2近傍にはスパッタガス導入口4が配置されている。またターゲット2の背面側には磁石5が配置され、この磁石5によって、ターゲット2の中央(N極側)から上端部(S極側)及び下端部(S極側)へと弧を描く磁界6が形成される。
【0006】
そしてターゲット2に負電圧を印加して、スパッタガスを導入すると、このスパッタガスの陽イオンがターゲット2近傍の磁界6に引き寄せられ、効率よくターゲット2に衝突する。
【0007】
その後この衝突により飛散したターゲット粒子と高密度ラジカル源1から放出されたラジカルとが反応し、その反応化合物が基材7に付着して化合物膜8が形成される。
【0008】
なお、上記従来の薄膜形成装置と類似する例を開示するものとして下記の特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特開2005−226130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の薄膜形成装置では、形成した化合物膜8の結晶欠陥が多いという課題があった。
【0010】
その理由は、負イオンが化合物膜8に衝突し、ダメージを与えるからである。
【0011】
すなわち高密度ラジカル源1からは、ラジカルと共に負イオンも放出されている。そして従来の構成では、ターゲット2がリング状をしているため、その空洞部分中央では磁束密度が小さくなり、前述の負イオンが通過してしまうのである。そしてこの通過した負イオンが化合物膜8に衝突し、化合物膜8の結晶に欠陥が生じるのであった。
【0012】
そこで本発明は、化合物膜の結晶欠陥を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そしてこの目的を達成するため本発明は、対向する二つのターゲットと、これらのターゲットの対向方向とほぼ垂直方向からターゲットの対向空間に臨む高密度ラジカル源と、この高密度ラジカル源と異方向からターゲットの対向空間に臨む基材ホルダとを備え、各ターゲットの背面にはそれぞれ磁石が配置され、これらの磁石によって、ターゲットの対向方向に磁界を発生させるとともに、各ターゲットに負電圧を印加して、基材ホルダに設置される基材に化合物膜を形成するものとした。
【発明の効果】
【0014】
これにより本発明は、化合物膜の結晶欠陥を低減することができる。
【0015】
その理由は、負イオンが化合物膜に衝突するのを抑制できるからである。
【0016】
すなわち本発明の構成では、磁界がターゲットの対向空間にほぼ一様に形成され、この磁界の向きとほぼ垂直方向から負イオンが放出される。
【0017】
したがって、負イオンの進行を磁界によって抑え、化合物膜への衝突を抑制できる。そしてその結果、化合物膜の結晶欠陥を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施の形態1)
図1に示す本実施の形態の薄膜形成装置は、ターゲット9をラジカル存在下でスパッタし、基材(シリコン基板)に化合物膜(Pb(Zr,Ti)O3膜)を形成する薄膜形成装置である。
【0019】
この薄膜形成装置は、真空チャンバー10とこの真空チャンバー10に取り付けられたECR装置11(高密度ラジカル源)とを備えている。
【0020】
そして図2に示すように、真空チャンバー10内には、平行方向に対向する二枚のターゲット9と、このターゲット9近傍に配置されたガス導入ライン12と、ECR装置11と対向する基材ホルダ13とが配置されている。なお、ターゲット9として本実施の形態では、Zr/Ti=53/47のPb(ZrxTi1-x)O3とPbOとを8:2の割合で含有する焼結体を用い、陰極14に接続した。なお、PbOを添加したのは、蒸気圧の高いPb成分を補填するためである。
【0021】
また本実施の形態では、基材ホルダ13は、フローティング状態とするか、あるいはアースと接続させた。この基材ホルダ13は加熱機能が付いており、基材であるシリコン基板15を加熱できるようになっている。
【0022】
そして前述のガス導入ライン12からはスパッタガス(アルゴンガス、あるいはアルゴンガスおよび酸素ガスの混合ガス等)が導入される。
【0023】
また高密度ラジカル源として本実施の形態ではECR(Electron Cyclotron Resonance)装置11を用い、このECR装置11は、そのラジカル放出面11Aが、ターゲット9の対向方向(図1のXX方向)とほぼ垂直方向(図1のZZ方向)からターゲット9の対向空間16に臨むように配置した。すなわち本実施の形態では、各ターゲット9の対向面9Aと、ECR装置11のラジカル放出面11Aとがほぼ垂直な関係にある。
【0024】
そしてこのECR装置11によってプラズマ雰囲気を形成し、ターゲット9の対向方向に対して、ほぼ垂直方向からラジカル等を放出している。
【0025】
そして本実施の形態では、基材ホルダ13とECR装置11とは、対向空間16を介して対面している。
【0026】
また各ターゲット9の背面にはそれぞれ磁石17が配置されている。そして一方のターゲット9に配置された磁石17はN極を内側(対向空間16側)に、他方にはS極を内側(対向空間16側)に向くように配置されている。したがって、これらの磁石17によって、ターゲット9の対向方向、すなわち一方のターゲット9から他方のターゲット9へと磁力線が走り、ターゲット9の対向空間16にはほぼ一様の磁界が発生している。
【0027】
なお、本実施の形態で用いたECR装置11は、図2に示すように、プラズマ生成室18に導波管19を介してマイクロ波(2.45GHz)を送り込み、放電を起こすものである。
【0028】
プラズマ生成室18の外周には875Gの磁束密度を形成することができる磁気コイルあるいは永久磁石20が配置され、これによりプラズマ生成室18の軸方向に磁場が印加されている。そしてこの磁場における磁力線の回りを電界が回転し、この電界によって電子も回転して加速される。そしてこの電子の回転周波数とマイクロ波周波数とを一致させて共振させ、マイクロ波のエネルギーを効率よく電子に吸収させる。この現象をECR(電子サイクロトロン共鳴)という。そしてECRによって加熱された電子が、図2のガス導入ライン21から導入された反応性ガス(酸素ガス)に衝突すると、酸素ガスはラジカル(O・)や陽イオン(O+)、陰イオン(O-)が生成される。なお、本実施の形態では、導入する酸素ガスとスパッタガスとの比は1:9とし、これらのガス圧は約0.02Paとした。またプラズマ生成室18は冷却水流出入管22を介して水冷している。
【0029】
なお、本実施の形態では、陰極14内にも冷却水流入口23と冷却水流出口24とを設け、冷却水によってターゲット9を冷却できるようにした。これによりターゲット9への熱応力を低減している。
【0030】
また本実施の形態では、陰極14と真空チャンバー10との間に絶縁材25を介し、ショートを防いでいる。またターゲット9外周に設けたアースシールド26で、ターゲット9のみがスパッタされるようにした。
【0031】
次に、上記薄膜形成装置を用いた薄膜形成方法について説明する。
【0032】
まず、図2に示す基材ホルダ13に基材となるシリコン基板15を配置し、真空チャンバー10の内部を真空排気ポンプ(図示せず)によって10-4Pa程度にまで排気する。また、基材ホルダ13の加熱機能を用い、シリコン基板15を550℃〜650℃まで加熱する。
【0033】
次に、真空チャンバー10内において、ガス導入ライン12からスパッタガスであるアルゴンガスを導入し、ターゲット9に負電圧を印加すると、アルゴンガスがイオンと電子とに電離してプラズマとなり、イオン(Ar+)がターゲット9に衝突してターゲット9からターゲット9粒子が飛び出す。なお、本実施の形態では、電圧供給源として電力密度2.7W/cm2の高周波電源を用いた。
【0034】
またECR装置11から真空チャンバー10内に酸素ラジカルを導入すると、この酸素ラジカルと前述のターゲット9粒子とが反応する。このように、ECR装置11から酸素ラジカルを供給し、ターゲット9粒子と反応させることによって、酸素欠損の少ない化合物膜を形成することができる。
【0035】
そしてこの反応後のターゲット9粒子がシリコン基板15表面に付着して徐々に堆積し、化合物膜(Pb(Zr,Ti)O3膜)を形成することができる。
【0036】
本実施の形態における効果を以下に説明する。
【0037】
本実施の形態は、化合物膜の結晶欠陥を低減することができる。
【0038】
その理由は、負イオンの化合物膜への衝突を抑制できるからである。
【0039】
すなわちECR装置11からは、ラジカル(O・)と共に負イオン(O-)も放出されている。そして従来の構成では、図10に示すように、ターゲット2がリング状をしているため、その空洞部分中央に行くほど徐々に磁束密度が小さくなり、負イオンが通過してしまうのである。そしてこの負イオンはターゲット2の空洞部分を通過し、そのまま化合物膜8に衝突してその結晶中に混入したり、結晶中の原子が欠落したりすることによって、結果として結晶欠陥の多い化合物膜が形成されてしまうのであった。
【0040】
これに対し本実施の形態では、図2に示すように二つのターゲット9を対向させ、一方のターゲット9から他方のターゲット9へと向う磁界を発生させることによって、ターゲット9対向空間16にほぼ一様の磁界が形成される。そしてこの磁界の向きとほぼ垂直方向から負イオンが放出される。
【0041】
ここで負イオンは磁界中でサイクロトロン運動をするため、負イオンは磁界に捕捉された状態となり、これにより負イオンの進行は抑えられる。したがって本実施の形態では、負イオンの化合物膜への衝突を抑制することができ、結果として、結晶欠陥が少なく、結晶性の高い化合物膜を形成することができる。
【0042】
また負イオンの衝突を抑制することによって、化合物膜の表面荒れを抑制することができる。
【0043】
そして、この化合物膜を圧電素子として用いる場合は、化合物膜の結晶性を向上させることによって例えば圧電定数が大きくなり、高感度なセンサや低電圧駆動が可能なアクチュエータ等を実現できる。
【0044】
なお、ECR装置11を用いると、高効率でラジカルを発生させることができる一方で、負イオンの発生も多くなる。また高密度でラジカル、イオン等が発生すると、比較的磁束密度の低い真空チャンバー10側へと直進しやすくなる。
【0045】
したがって、本実施の形態のように、負イオンの衝突を抑制し、化合物膜へのダメージを低減することは、結晶性に優れた化合物膜の形成に顕著な効果を有する。
【0046】
また本実施の形態では、活性な酸素ラジカルを効率的に導入すると共に、酸素イオンの衝突を抑制することによって、化合物膜の結晶中の原子が欠落するのを抑制し、電気的絶縁性に対する信頼性の高い化合物膜を形成することができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、形成する化合物膜としてPb(ZrxTi1-x)O3膜を例に挙げたが、Ba(Ti1-xZrx)O3などの金属酸化膜にも応用が可能である。また本実施の形態では、反応性ガスとして酸素ガスを用いたが、窒素ガス、メタンガス等を用いてもよい。これにより、本実施の形態は、金属窒化物膜や有機金属化合物膜の形成にも応用が可能である。また基材としてはシリコン基板15を挙げたが、Al23基板やMgO基板などにも応用が可能である。
【0048】
また本実施の形態では、スパッタガスと反応性ガスとは異なるガスを用いたが、反応性ガスの陽イオンがスパッタガスとして機能する場合は、同じガスを用いてもよい。またECR装置11などの高密度ラジカル源はイオンも高密度に発生させることができるため、スパッタガスも反応性ガスと同様に、高密度ラジカル源から放出してもよい。
【0049】
(実施の形態2)
本実施の形態と実施の形態1との違いは、図3に示すように、基材ホルダ13とECR装置11(高密度ラジカル源)との位置関係にある。
【0050】
図4、図5に示すように、本実施の形態における基材ホルダ13は、ECR装置11のラジカル放出面11Aがターゲット9の対向空間に所定間隔をあけて臨む方向(図3のYY方向)とほぼ垂直方向(図3のXX方向)からターゲット9の対向空間に面している。
【0051】
すなわち本実施の形態では、図5に示す基材ホルダ13の基材設置面13Aとラジカルの放出方向(図3のYY方向)とが平行になっている。
【0052】
これにより本実施の形態では、形成された化合物膜の結晶性をさらに向上させることが出来る。
【0053】
すなわち、ECR装置11から放出され、磁界で進行を妨げられることなく磁界を直進した負イオンは、高いエネルギーを維持している。したがって、この直進してきた負イオンがシリコン基板15に衝突すると、シリコン基板15へのダメージが大きくなる。
【0054】
これに対し本実施の形態では、負イオンの進行方向と平行にシリコン基板15を配置することによって、高エネルギー状態の負イオンがシリコン基板15へ衝突するのを抑制することができ、結果として化合物膜の結晶性を向上させることができる。
【0055】
なお、上記のように基材ホルダ13は一つでもよいが、図6、7、8に示すように、基材ホルダ13を二つ設けてもよく、これにより生産性が向上する。
【0056】
その他、実施の形態1と同様の構成および効果は説明を省略する。
【0057】
(実施の形態3)
本実施の形態と実施の形態1との違いは、図9に示すように、基材ホルダ13が可動する点である。すなわち本実施の形態の薄膜形成装置は、基材ホルダ13が、その基材設置面とECR装置11のラジカル放出面11Aとが互いに対向する位置から垂直となる位置まで、ターゲット9の対向空間を軸に90°回転移動するものである。
【0058】
本実施の形態では、まず、ECR装置11のラジカル放出面11Aとシリコン基板(図示せず)とを対向させた状態でシリコン基板の表面を洗浄する。このときECR装置11にはアルゴンガスあるいは酸素ガスなどを導入すれば、プラズマ雰囲気中にラジカルあるいはイオンなどを発生させることができ、シリコン基板表面の有機物などを分解除去することができる。
【0059】
そして次に、基材ホルダ13を90°移動させてスパッタリングを行う。この工程では、シリコン基板とラジカルの放出方向(ZZ方向)とを平行にしておくことによって、負イオンがシリコン基板に衝突するのを抑制することができ、形成した化合物膜の結晶性を向上させることができる。
【0060】
以上のように本実施の形態では、一の装置で基材の洗浄と薄膜形成とを行うことが出来、生産効率を向上させることができる。
【0061】
なお、本実施の形態では基材ホルダ13を移動したが、ECR装置11(高密度ラジカル源)を移動させてもよい。
【0062】
その他実施の形態1と同様の構成および効果については説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、結晶欠陥が少なく、結晶性の高い化合物膜を形成することができるため、例えば化合物膜として圧電薄膜を形成する場合は、耐熱性、体電圧性、対応力性等の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1における薄膜形成装置の斜視図
【図2】同薄膜形成装置のXX軸を通る水平断面図
【図3】本発明の実施の形態2における薄膜形成装置の斜視図
【図4】同薄膜形成装置のXX軸を通る垂直断面図
【図5】同薄膜形成装置のXX軸を通る水平断面図
【図6】本発明の実施の形態2における薄膜形成装置の斜視図
【図7】同薄膜形成装置のXX軸を通る垂直断面図
【図8】同薄膜形成装置のXX軸を通る水平断面図
【図9】本発明の実施の形態3における薄膜形成装置の斜視図
【図10】従来の薄膜形成装置の摸式断面図
【符号の説明】
【0065】
9 ターゲット
9A 対向面
10 真空チャンバー
11 ECR装置(高密度ラジカル源)
11A ラジカル放出面
12 ガス導入ライン
13 基材ホルダ
13A 基材設置面
14 陰極
15 シリコン基板(基材)
16 対向空間
17 磁石
18 プラズマ生成室
19 導波管
20 永久磁石
21 ガス導入ライン
22 冷却水流出入管
23 冷却水流入口
24 冷却水流出口
25 絶縁材
26 アースシールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する二つのターゲットと、
これらのターゲットの対向方向とほぼ垂直方向から前記ターゲットの対向空間に臨む高密度ラジカル源と、
この高密度ラジカル源と異方向から前記ターゲットの対向空間に臨む基材ホルダとを備え、
前記各ターゲットの背面にはそれぞれ磁石が配置され、
これらの磁石によって、前記ターゲットの対向方向に磁界を発生させるとともに、
前記各ターゲットに負電圧を印加して、前記基材ホルダに設置される基材に化合物膜を形成する薄膜形成装置。
【請求項2】
前記基材ホルダは、
前記高密度ラジカル源が前記ターゲットの対向空間に臨む方向とほぼ垂直方向から前記対向空間に面している請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項3】
前記高密度ラジカル源は、
任意の位置から前記基材ホルダの基材設置面と対向する位置まで移動できる請求項1または2に記載の薄膜形成装置。
【請求項4】
前記基材ホルダは、
任意の位置からその基材設置面が前記高密度ラジカル源のラジカル放出面と対向する位置まで移動できる請求項1から3のいずれか一つに記載の薄膜形成装置。
【請求項5】
対向する二つのターゲットと、これらのターゲットの対向方向とほぼ垂直方向から前記ターゲットの対向空間に臨む高密度ラジカル源と、この高密度ラジカル源と異方向から前記ターゲットの対向空間に臨む基材ホルダとを備え、前記各ターゲットの対向方向に磁界を発生させる磁石が配置された薄膜形成装置を用い、
前記各ターゲットに負電圧を印加するとともに前記高密度ラジカル源から前記ターゲットの対向空間にほぼ垂直方向にラジカルを放出し、
このラジカル存在下で前記ターゲットをスパッタし、
前記基材ホルダに設置される基材に化合物膜を形成する薄膜形成方法。
【請求項6】
前記高密度ラジカル源から、
前記基材ホルダに設置された基材と平行方向にラジカルを放出する請求項5に記載の薄膜形成方法。
【請求項7】
前記高密度ラジカル源と前記基材ホルダに設置された基材とを対向させ、
前記高密度ラジカル源からプラズマを導入して前記基材をクリーニングし、
次に前記高密度ラジカル源または前記基材ホルダを所望位置に移動させ、
その後前記高密度ラジカル源からラジカルを放出して、このラジカル存在下で前記ターゲットをスパッタする請求項5または6に記載の薄膜形成方法。
【請求項8】
前記高密度ラジカル源と前記基材ホルダに設置された基材とを対向させ、
前記高密度ラジカル源からプラズマを導入して前記基材をクリーニングし、
次に前記高密度ラジカル源および前記基材ホルダと前記二つのターゲットの対向空間との対面方向がほぼ垂直となるように前記高密度ラジカル源または前記基材ホルダを移動し、
その後前記高密度ラジカル源からラジカルを放出して、このラジカル存在下で前記ターゲットをスパッタする請求項5または6に記載の薄膜形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−30133(P2009−30133A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197089(P2007−197089)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】