説明

薬液温調装置および薬液温調方法

【課題】ヒータレスにて薬液の温調を行うことができる薬液温調装置および薬液温調方法を提供する。
【解決手段】温調槽20に硫酸を含む薬液を貯留する。温調槽20の薬液に添加液投入部30から添加液として水を投入すると、硫酸の水和熱によって薬液の温度が上昇する。調合槽10には硫酸の新液を貯留する。熱交換部40を用いて調合槽10の硫酸の新液と温調槽20の薬液との間で熱交換を行い、新液を目標温度にまで昇温する。また、必要に応じて調合槽10の新液を冷却部50によって冷却する。調合槽10の新液が予め設定された目標温度に到達した後に、その目標温度の新液を洗浄処理部8に送給する。硫酸と水とが反応することによって発生する反応熱を用いて調合槽10の新たな薬液を目標温度にまで昇温しているため、ヒータレスにて薬液の温調を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等の薄板状の精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に洗浄処理などの液処理を行う基板処理部に供給する薬液の温調を行う薬液温調装置および薬液温調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、基板の洗浄処理は非常に重要な工程であり、基板表面に薬液を供給してパーティクルや金属汚染を除去する洗浄方式としては、アンモニア過酸化水素洗浄(SC−1洗浄)、塩酸過酸化水素洗浄(SC−2洗浄)、硫酸過酸化水素洗浄(SPM洗浄)などが広く用いられている。これらのうち硫酸過酸化水素(以降、「硫酸過水」という略称も併用する)を使用した洗浄処理では、硫酸過水を高温(100℃以上)に加熱して使用する場合がある。
【0003】
従来の硫酸過水洗浄においては、ヒータを備えた温調器によって常温の硫酸を所定の目標温度にまで加熱し、その加熱した硫酸に過酸化水素を加えて洗浄処理部に供給していた。そして、洗浄処理に使用された硫酸過水を洗浄処理部から冷却タンクに回収して冷却水との熱交換によって冷却し、廃棄可能な温度以下にまで降温した後に外部の廃棄ドレンに排出するようにしていた。
【0004】
かかる従来方式の場合、処理後の高温の硫酸過水が廃棄されることによってその熱エネルギーも廃棄される一方、処理前の硫酸過水をヒータによって目標温度にまで加熱するのに多大な電気エネルギーを必要としていた。このようなエネルギーロスを低減するために、廃液との混合によって発熱する補助液体を加えた廃液と新液との熱交換によって新液を昇温するとともに廃液を冷却する技術が特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−66727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術によれば、廃液と新液との熱交換によって新液をある程度昇温できるものの、実際の処理に使用する温度にまでは到達しないため、熱交換後の新液をヒータによってさらに昇温する必要があった。すなわち、熱交換後になおもヒータによる加熱が必要であり、相応の電気エネルギーを消費することとなっていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ヒータレスにて薬液の温調を行うことができる薬液温調装置および薬液温調方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に液処理を行う基板処理部に供給する薬液の温調を行う薬液温調装置において、前記基板処理部に供給すべき新たな薬液を貯留する調合槽と、前記基板処理部にて液処理に使用された薬液を回収して貯留する温調槽と、前記温調槽に貯留された薬液に該薬液と反応して反応熱を発生する添加液を投入する添加液投入部と、前記温調槽に貯留されて前記添加液の投入によって発熱した薬液と前記調合槽に貯留された新たな薬液との間で熱交換を行って新たな薬液を昇温する熱交換部と、前記調合槽に貯留された新たな薬液が予め設定された目標温度にまで昇温されるように前記熱交換部を制御する制御部と、前記調合槽にて前記目標温度にまで昇温された薬液を前記基板処理部に送給する新液送給部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る薬液温調装置において、前記調合槽にて前記目標温度を超えて昇温された薬液を冷却する冷却部をさらに備え、前記制御部は、前記調合槽に貯留された新たな薬液が予め設定された目標温度に温調されるように前記熱交換部および前記冷却部を制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る薬液温調装置において、前記制御部は、前記温調槽に貯留された薬液の温度が所定の温度範囲内となる温度制御をさらに行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る薬液温調装置において、前記調合槽の一部が前記温調槽に貯留された薬液に浸漬するように前記調合槽を前記温調槽内に設けることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る薬液温調装置において、前記薬液は硫酸を含む液体であり、前記添加液は水であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、基板に液処理を行う基板処理部に供給する薬液の温調を行う薬液温調方法において、前記基板処理部に供給すべき新たな薬液を調合槽に貯留する新液貯留工程と、温調槽に薬液および該薬液と反応して反応熱を発生する添加液を投入する発熱工程と、前記温調槽に貯留されて前記添加液の投入によって発熱した薬液と前記調合槽に貯留された新たな薬液との間で熱交換を行って新たな薬液を予め設定された目標温度にまで昇温する昇温工程と、前記調合槽にて前記目標温度にまで昇温された薬液を前記基板処理部に送給する送給工程と、前記基板処理部にて液処理に使用された薬液を前記温調槽に回収する回収工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る薬液温調方法において、前記調合槽にて前記目標温度を超えて昇温された薬液を冷却する冷却工程をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項6または請求項7の発明に係る薬液温調方法において、前記温調槽に貯留された薬液の温度を所定の温度範囲内に制御する温度制御工程をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項6から請求項8のいずれかの発明に係る薬液温調方法において、前記調合槽の一部を前記温調槽に貯留された薬液に浸漬させて当該薬液と前記調合槽との間で直接に熱交換を行うことを特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項6から請求項9のいずれかの発明に係る薬液温調方法において、前記薬液は硫酸を含む液体であり、前記添加液は水であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1から請求項5の発明によれば、温調槽に貯留されて添加液の投入によって発熱した薬液と調合槽に貯留された新たな薬液との間で熱交換を行って新たな薬液を予め設定された目標温度にまで昇温し、その目標温度にまで昇温された薬液を基板処理部に送給するため、ヒータによる薬液の加熱は全く不要であり、ヒータレスにて薬液の温調を行うことができる。
【0019】
特に、請求項3の発明によれば、温調槽に貯留された薬液の温度が所定の温度範囲内となる温度制御を行うため、調合槽に貯留された新たな薬液の温調をより容易なものとすることができる。
【0020】
特に、請求項4の発明によれば、調合槽の一部が温調槽に貯留された薬液に浸漬するように調合槽を温調槽内に設けるため、温調槽に貯留された薬液と調合槽に貯留された新たな薬液との熱交換と保温効果をさらに促進することができる。
【0021】
請求項6から請求項10の発明によれば、温調槽に貯留されて添加液の投入によって発熱した薬液と調合槽に貯留された新たな薬液との間で熱交換を行って新たな薬液を予め設定された目標温度にまで昇温し、その目標温度にまで昇温された薬液を基板処理部に送給するため、ヒータによる薬液の加熱は全く不要であり、ヒータレスにて薬液の温調を行うことができる。
【0022】
特に、請求項8の発明によれば、温調槽に貯留された薬液の温度を所定の温度範囲内に制御するため、調合槽に貯留された新たな薬液の温調をより容易なものとすることができる。
【0023】
特に、請求項9の発明によれば、調合槽の一部を温調槽に貯留された薬液に浸漬させて当該薬液と調合槽との間で直接に熱交換を行うため、温調槽に貯留された薬液と調合槽に貯留された新たな薬液との熱交換をさらに促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る薬液温調装置を含む基板洗浄システムの全体構成を示す図である。
【図2】制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】基板洗浄システムにおける処理動作の手順を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態の基板洗浄システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
<1.第1実施形態>
図1は、本発明に係る薬液温調装置を含む基板洗浄システムの全体構成を示す図である。この基板洗浄システム100は、硫酸(H2SO4)を温調し、その硫酸に過酸化水素(H22)を加えた硫酸過水を用いて基板Wの洗浄処理を行うとともに、処理後の硫酸過水を廃棄する処理システムである。基板洗浄システム100は、硫酸過水を用いて基板Wの洗浄処理を行う洗浄処理部8と、洗浄処理部8に供給する硫酸の温調を行う薬液温調部1と、薬液温調部1での温調に用いられた処理後の薬液に対する廃液処理を行う廃液処理部7と、を備える。また、基板洗浄システム100は、薬液温調部1、洗浄処理部8および廃液処理部7の各機構を制御する制御部9を備える。なお、本発明における「薬液」とは、単体の薬液に限定されるものではなく、特定種の薬液を含む液体である。本実施形態の「薬液」は、硫酸を含む液体であり、「硫酸」および「硫酸過水」の双方を含む。
【0027】
洗浄処理部8は、硫酸過水を用いて基板Wの液処理(本実施形態では洗浄処理)を行う枚葉式の基板洗浄装置であり、処理チャンバー81の内部に吐出ノズル82、スピンチャック83およびカップ84などを備える。スピンチャック83は、基板Wを水平姿勢(法線が鉛直方向に沿う姿勢)にて吸着保持し、図示省略の回転モータの駆動を受けて基板Wを水平面内にて回転させる。吐出ノズル82は、スピンチャック83に保持された基板Wの上面に薬液(洗浄処理部8では硫酸過水)を吐出する。カップ84は、スピンチャック83に保持された基板Wの周囲を囲繞し、回転する基板Wから遠心力によって飛散した薬液を受け止めて回収する。
【0028】
薬液温調部1は、洗浄処理部8に対して温調済みの硫酸を供給するとともに、洗浄処理部8にて使用された硫酸過水を回収する。薬液温調部1は、調合槽10、温調槽20、添加液投入部30、熱交換部40、冷却部50および新液送給部60を備える。
【0029】
調合槽10は、洗浄処理部8に供給すべき新たな硫酸を貯留する槽である。調合槽10は、薬液に対する耐性を備えた材質、例えばフッ素樹脂にて形成される。調合槽10にはバルブ11を介して硫酸供給源12が接続されている。バルブ11を開放することによって、硫酸供給源12から調合槽10に硫酸が供給される。硫酸供給源12から調合槽10に供給される硫酸は、濃度が約98%の濃硫酸である。調合槽10には、貯留している硫酸の温度を測定する温度センサ13が設けられている。
【0030】
温調槽20は、基板処理部8にて液処理に使用された硫酸過水を回収して貯留するとともに、調合槽10に貯留されている硫酸に対する加温を行う槽である。温調槽20も調合槽10と同じく薬液に対する耐性を備えた材質(例えばフッ素樹脂)にて形成される。温調槽20にはバルブ21を介して硫酸供給源22が接続されている。バルブ21を開放することによって、硫酸供給源22から温調槽20に硫酸が供給される。なお、温調槽20の硫酸供給源22は、調合槽10の硫酸供給源12と共通であっても良い。温調槽20には、貯留している薬液の温度を測定する温度センサ23が設けられている。
【0031】
添加液投入部30は、温調槽20に貯留された薬液に硫酸と反応して反応熱を発生する添加液を投入する。本実施形態では、添加液として水(H2O)を用いている。周知のように、硫酸は水との親和力が非常に強く、水と反応することによって大きな反応熱(水和熱)を発生する。添加液投入部30は、バルブ32を介挿した投入管31の基端を水供給源33に接続して構成される。投入管31の先端は温調槽20に連通接続される。バルブ32を開放することによって、水供給源33から温調槽20に水が供給される。
【0032】
熱交換部40は、温調槽20に貯留されて添加液の投入によって発熱した薬液と調合槽10に貯留された新たな薬液(新液)との間で熱交換を行って硫酸の新液を昇温する。熱交換部40は、加温配管41の一部を渦巻き状の流路としたものである。渦巻き管とされた熱交換部40が温調槽20に貯留された薬液中に浸漬されることにより、加温配管41を流れる新液と温調槽20に貯留された薬液との間で熱交換が行われる。温調槽20に貯留された薬液に添加液を投入して発熱させておけば、熱交換によって加温配管41を流れる新液を昇温することができる。なお、熱交換部40は、加温配管41の一部を渦巻き管としたものに限定されず、液体と液体との間で熱交換を行う公知の種々の熱交換器構造を採用することができる。例えば、熱交換部40は、加温配管41の一部を蛇行状の流路としたものでも良いし、加温配管41の一部を多数の伝熱管に分岐させたものであっても良く、温調槽20に貯留された薬液との接触面積が大きくなる構造のものであれば良い。
【0033】
冷却部50は、調合槽10に貯留された硫酸の新液を冷却する。冷却部50も熱交換器であり、冷却配管51に水冷管52を組み合わせて構成される。本実施形態では、冷却配管51の周囲に水冷管52を蛇行状に設け、双方の管の間で熱交換を行わせる。すなわち、冷却配管51に硫酸の新液を流しつつ、水冷管52に所定温度の冷却水を流すと、双方の間で熱交換が行われて冷却配管51を流れる新液を冷却することができる。なお、冷却部50についても、液体と液体との間で熱交換を行う公知の種々の熱交換器構造を採用することができる。
【0034】
新液送給部60は、調合槽10にて後述する目標温度にまで昇温された薬液を洗浄処理部8に送給する。新液送給部60は、送給配管61にポンプ62およびバルブ63を介挿して構成される。送給配管61の基端は調合槽10に連通接続されるとともに、先端は洗浄処理部8の吐出ノズル82に接続されている。バルブ63はポンプ62よりも下流側(先端側)に設けられている。送給配管61の経路途中であって、ポンプ62とバルブ63との間の位置からは、別配管が分岐しており、その別配管がさらに加温配管41と冷却配管51とに分岐する。送給配管61から分岐した別配管にはバルブ64が設けられる。また、加温配管41にはバルブ42が設けられ、冷却配管51にはバルブ53が設けられている。
【0035】
ポンプ62を作動させつつ、バルブ64を閉止してバルブ63を開放することにより、調合槽10に貯留されている温調済みの薬液が洗浄処理部8に送給される。また、調合槽10に貯留されている薬液の温調を行うときには、ポンプ62を作動させつつ、バルブ63を閉止してバルブ64を開放する。バルブ64およびバルブ42を開放すると、調合槽10に貯留されている薬液が加温配管41を流れて昇温される。一方、バルブ64およびバルブ53を開放すると、調合槽10に貯留されている薬液が冷却配管51を流れて冷却される。
【0036】
また、送給配管61の経路途中であって、バルブ63よりも下流側には過水配管65が接続されている。過水配管65は過水供給源66と接続され、その経路途中にはバルブ67が介挿されている。バルブ67を開放することによって、過水供給源66から送給配管61に過酸化水素水が供給される。調合槽10から送給配管61を経由して温調済みの硫酸を送給しつつ、過水供給源66から過酸化水素水を供給することにより、送給配管61内にて両液が混合して硫酸過水が生成されて洗浄処理部8に供給されることとなる。
【0037】
また、洗浄処理部8には排出配管85が接続されている。排出配管85の先端は温調槽20に連通接続される。排出配管85にはバルブ86が介挿されている。バルブ86を開放することによって、洗浄処理部8にて基板Wの洗浄処理に使用された硫酸過水が温調槽20に排出される。
【0038】
廃液処理部7は、温調槽20に貯留されて調合槽10の新液の温調に使用された薬液に対する廃液処理を行うユニットである。廃液処理部7は、廃液槽70および廃熱部71を備える。廃液槽70は、温調槽20に貯留されて新液の温調に使用された薬液を受け入れて貯留する。廃液槽70と温調槽20とは廃液配管72によって接続されており、その廃液配管72にはバルブ73が介挿されている。バルブ73を開放することによって、温調槽20に貯留されていた薬液が廃液槽70に流入する。
【0039】
廃熱部71は、廃液槽70に貯留された薬液を外部へ廃棄可能な温度にまで冷却する。廃熱部71は、熱交換部40と同様の熱交換器であり、冷却水の配管の一部を渦巻き状の流路としたものである。渦巻き管とされた廃熱部71が廃液槽70に貯留された廃液中に浸漬されることにより、その渦巻き管を流れる冷却水と廃液槽70に貯留された廃液との間で熱交換が行われ、廃液が冷却される。なお、廃熱部71についても、液体と液体との間で熱交換を行う公知の種々の熱交換器構造を採用することができる。
【0040】
廃液槽70には廃液ドレン74が接続されている。廃液ドレン74にはバルブ75が設けられている。バルブ75が開放されると、廃液槽70に貯留されている廃液が外部に排出される。
【0041】
制御部9は、基板洗浄システム100に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。図2は、制御部9の構成を示すブロック図である。制御部9のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部9は、各種演算処理を行うCPU91、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM92、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM93および制御用プログラムやデータなどを記憶しておく磁気ディスク94をバスライン99に接続して構成されている。
【0042】
また、バスライン99には、基板洗浄システム100に設けられた上記の複数のバルブ、新液送給部60のポンプ62、および、温度センサ13,23等が電気的に接続されている。制御部9のCPU91は、磁気ディスク94に格納された制御用プログラムを実行することにより、これらの各動作機構を制御して基板洗浄システム100における洗浄処理および新液温調処理を行わせる。
【0043】
さらに、バスライン99には、表示部95および入力部96が電気的に接続されている。表示部95は、例えば液晶ディスプレイ等を用いて構成されており、処理結果やレシピ内容等の種々の情報を表示する。入力部96は、例えばキーボードやマウス等を用いて構成されており、コマンドやパラメータ等の入力を受け付ける。装置のオペレータは、表示部95に表示された内容を確認しつつ入力部96からコマンドやパラメータ等の入力を行うことができる。なお、表示部95と入力部96とを一体化してタッチパネルとして構成するようにしても良い。
【0044】
次に、上記の構成を有する基板洗浄システム100における処理動作について説明する。図3は、基板洗浄システム100における処理動作の手順を示すフローチャートである。以下に示す処理手順は、制御部9が基板洗浄システム100の各動作機構を制御することによって進行される。
【0045】
まず、調合槽10に薬液の新液が貯留される(ステップS1)。具体的には、制御部9の制御によってバルブ11が開放され、硫酸供給源12から調合槽10に硫酸の新液が供給される。このときに調合槽10に供給される新液は濃度約98%の濃硫酸である。調合槽10に所定量(調合槽10の容量未満)の硫酸が貯留された時点でバルブ11が閉止される。調合槽10に新液が投入されるときには、ポンプ62は停止しており、バルブ63も閉止されている。なお、調合槽10に供給される硫酸の新液の温度は常温である。
【0046】
次に、温調槽20に薬液が投入される(ステップS2)。処理開始の初期段階では、温調槽20にも薬液の新液が投入される。具体的には、制御部9の制御によってバルブ21が開放され、硫酸供給源22から温調槽20に硫酸の新液が供給される。温調槽20に所定量の硫酸が貯留された時点でバルブ21が閉止される。
【0047】
続いて、温調槽20に貯留された硫酸に添加液としての水が投入される(ステップS3)。すなわち、バルブ32が開放されて水供給源33から温調槽20に水が投入される。そして、温調槽20に投入された水が硫酸と反応することによって大きな反応熱が発生し、その反応熱によって温調槽20内の薬液の温度が上昇する。添加液として投入する水の量は、反応熱によって温調槽20内の薬液が適当な温度にまで昇温する程度とする。投入する水の量が少なすぎると十分な水和熱が発生せず、逆に多すぎると希硫酸となって却って薬液温度が低下する。
【0048】
温調槽20内の薬液の温度は温度センサ23によって測定され、その測定結果は制御部9に伝達される。制御部9は、温度センサ23の測定結果に基づいて、温調槽20内の薬液の温度を監視し、その薬液温度が所定値以上にまで上昇した時点でバルブ32を閉止し、添加液としての水の投入を停止する。
【0049】
その後、調合槽10に貯留された硫酸の新液と温調槽20内の薬液との熱交換によって当該新液が昇温される(ステップS4)。このときには、制御部9の制御によってポンプ62が作動するとともに、バルブ64およびバルブ42が開放される。なお、バルブ63は継続して閉止されている。バルブ64およびバルブ42が開放されることにより、調合槽10から送給配管61の一部を通って加温配管41に繋がり、熱交換部40を通って再び調合槽10に帰還するという加温ラインが形成される。調合槽10に貯留されていた硫酸の新液は、ポンプ62によってこの加温ラインに送り出され、熱交換部40を通過して再び調合槽10に還流される。
【0050】
加温配管41の一部が渦巻き管とされた熱交換部40は、温調槽20にて昇温した薬液(ステップS2で投入された硫酸とステップS3で投入された水との混合液)中に浸漬されている。調合槽10に貯留されていた硫酸の新液が熱交換部40を通過するときに、温調槽20内の昇温した薬液との間で熱交換が行われる。その結果、硫酸の新液は熱交換部40で昇温されて調合槽10に還流されることとなる。
【0051】
調合槽10内に貯留されている薬液の新液の温度は温度センサ13によって測定され、その測定結果は制御部9に伝達される。制御部9は、温度センサ13の測定結果に基づいて、調合槽10内の新液の温度を監視し、かつ、該新液の温調を行っている(ステップS5)。調合槽10に貯留された薬液の新液には、洗浄処理部8に供給すべき目標温度が予め設定されている。本実施形態においては、調合槽10に貯留された硫酸の新液の目標温度は80℃に設定されている。
【0052】
温度センサ13によって測定された調合槽10内の新液の温度が目標温度よりも低いときには、制御部9はポンプ62の作動およびバルブ64,42の開放を継続し、加温ラインに新液を送り出して熱交換部40で昇温させる。熱交換部40で昇温された硫酸の新液が調合槽10に還流されることによって、調合槽10内の新液の温度も上昇する。
【0053】
一方、温度センサ13によって測定された調合槽10内の新液の温度が目標温度を超えて高くなったときには、制御部9はポンプ62の作動を継続しつつバルブ64およびバルブ53を開放する。また、制御部9は加温配管41のバルブ42を閉止する。バルブ64およびバルブ53が開放されることにより、調合槽10から送給配管61の一部を通って冷却配管51に繋がり、冷却部50を通って再び調合槽10に帰還するという冷却ラインが形成される。調合槽10に貯留されている硫酸の新液は、ポンプ62によってこの冷却ラインに送り出され、冷却部50を通過して再び調合槽10に還流される。冷却部50で冷却された硫酸の新液が調合槽10に還流されることによって、調合槽10内の新液の温度も下降する。
【0054】
このように、制御部9は、温度センサ13の測定結果に基づいて、調合槽10内に貯留されている硫酸の新液の温度をフィードバック制御している。すなわち、制御部9は、温度センサ23の測定結果が目標温度よりも高いときにはバルブ53を開放して冷却ラインを選択し、冷却部50によって新液を冷却している。逆に、温度センサ23の測定結果が目標温度よりも低いときには、制御部9はバルブ42を開放して加温ラインを選択し、熱交換部40によって新液を加温している。
【0055】
加温ラインおよび/または冷却ラインを用いての調合槽10内の新液の温調は、新液の温度が目標温度に到達するまで行われる(ステップS6)。そして、調合槽10内に貯留された硫酸の新液が目標温度に到達した後に、その新液が洗浄処理部8に送給される(ステップS7)。このときには、制御部9の制御によって、バルブ64が閉止される一方、バルブ63が開放される。ポンプ62の作動は継続されている。これにより、目標温度に温調された硫酸の新液は送給配管61を通って洗浄処理部8に向けて送給される。
【0056】
送給配管61を送給されている硫酸の新液には、その経路途中において過水供給源66から過酸化水素水が供給される。目標温度に温調された硫酸の新液に過酸化水素水が添加されることによって、硫酸過水が生成される。このときに、硫酸に水を加えたのと同様に、硫酸新液に過酸化水素水を添加したときにも反応熱(水和熱)が発生し、その結果生成された硫酸過水の温度は上述の新液の目標温度よりも高くなる。本実施形態においては、目標温度である80℃に温調された硫酸新液に過酸化水素水が添加されることによって発生した反応熱により硫酸過水が昇温され、約120℃の硫酸過水が洗浄処理部8の吐出ノズル82に送給されることとなる。
【0057】
洗浄処理部8では、約120℃の硫酸過水を用いて基板Wの洗浄処理を行う。具体的には、基板Wを水平姿勢にて吸着保持したスピンチャック83によって、その基板Wを水平面内で回転させつつ、吐出ノズル82から基板Wの上面の回転中心近傍に硫酸過水を吐出する。これにより、硫酸過水を用いた基板Wの洗浄処理が進行する。基板Wの洗浄処理に使用された硫酸過水は、カップ84などによって回収され、排出配管85から温調槽20に排出される。
【0058】
このようにして使用後の硫酸過水は温調槽20に回収される(ステップS8)。吐出ノズル82から吐出された約120℃の硫酸過水は、基板Wの洗浄処理に使用されて排出配管85から温調槽20に排出される時点で約100℃程度の温度となっている。そして、使用後の硫酸過水に水供給源33から水を添加することによってさらなる反応熱が発生し、その反応熱によって温調槽20内の薬液の温度が上昇する。こうして昇温した温調槽20内の薬液が新たな熱源となって熱交換部40を介して調合槽10の新液を加温する。以降、洗浄処理部8にて使用されて温調槽20に排出された薬液に水を添加して反応熱を発生させ、その発熱した温調槽20の薬液と調合槽10の新液との間で熱交換を行って新液を昇温し、目標温度に到達した新液を洗浄処理部8に供給するというプロセスが繰り返される。
【0059】
上述のプロセスが進行するにつれて温調槽20内の薬液量は増加し、やがてその薬液量が所定値を超えた時点で制御部9によってバルブ73が開放され、温調槽20内の薬液が廃液槽70に廃液として移送される。廃液槽70に移送された廃液は、廃熱部71を流れる冷却水によってシステム外部に排出可能な温度にまで冷却される。冷却後の廃液は廃液ドレン74から外部に排出される。
【0060】
第1実施形態においては、温調槽20に貯留された薬液に添加液を投入して反応熱を発生させて薬液を昇温し、その昇温した薬液と調合槽10の新たな薬液との熱交換によって新液を目標温度にまで昇温している。そして、調合槽10の新液が予め設定された目標温度に到達した後に、その目標温度の新液を洗浄処理部8に送給している。すなわち、薬液に添加液を投入したときに発生する反応熱によって調合槽10の新たな薬液を目標温度にまで昇温しているため、ヒータによる薬液の加熱は全く不要であり、ヒータレスにて薬液の温調を行うことができる。その結果、ヒータの設置が不要になるとともに、電気エネルギーの消費を皆無とすることができる。
【0061】
また、洗浄処理部8にて使用された後に温調槽20に排出された薬液に添加液を投入し、その使用後の薬液が潜在的に有するエネルギー(化学エネルギー)を引き出して新液の温調に積極的に利用しているため、基板洗浄システム100全体としてのエネルギー利用効率を向上させることができる。
【0062】
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態の基板洗浄システム200の全体構成を示す図である。図4において、第1実施形態の基板洗浄システム100と同一の要素については同一の符号を付している。第1実施形態においては、調合槽10と温調槽20とを別個に設けていたが、第2実施形態においては、調合槽10を温調槽20内に設けるようにしている。
【0063】
第2実施形態の基板洗浄システム200においては、調合槽10の少なくとも一部が温調槽20に貯留された薬液に浸漬するように調合槽10が温調槽20内に設けられている。調合槽10の少なくとも一部を温調槽20に貯留された薬液に浸漬させることによって、調合槽10の槽壁を介して温調槽20に貯留された薬液と調合槽10に貯留された新液との間で直接に熱交換が行われる。
【0064】
また、第2実施形態においては、第1実施形態と同様の熱交換部40も設けている。すなわち、加温配管41の一部を渦巻き管として温調槽20に貯留された薬液中に浸漬させた熱交換部40を設けている。よって、第2実施形態の基板洗浄システム200は、温調槽20に貯留された薬液と調合槽10に貯留された新液との間の熱交換を行う2つの機構を備えることとなる。なお、図4では、熱交換部40を第1実施形態と同様の渦巻き管としているが、これを調合槽10の外周を螺旋状に取り囲むような配管しても良い。このようにすれば、熱交換部40の設置スペースを少なくすることができ、薬液温調部1全体のフットプリント(専有面積)を小さくすることができる。
【0065】
調合槽10が温調槽20内に設けられている点を除く第2実施形態の基板洗浄システム200の残余の構成は第1実施形態と同様である。また、第2実施形態の基板洗浄システム200における処理動作の手順も第1実施形態(図3)と概ね同様である。但し、第2実施形態においては、添加液の投入によって昇温した温調槽20の薬液を用いて調合槽10の新液を昇温する際に(ステップS4,S5)、熱交換部40に加えて調合槽10の槽壁を介して温調槽20内の薬液と調合槽10に貯留された硫酸の新液との熱交換を行っている。このため、調合槽10に貯留されている硫酸の新液の昇温効率を高めるとともに、昇温した新液の保温効果も得ることができる。
【0066】
また、第2実施形態においては、温調槽20内に調合槽10を設けているため、調合槽10のみのフットプリントはゼロとなり、薬液温調部1および基板洗浄システム200全体のフットプリントも小さくすることができる。
【0067】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態においては、温度センサ13の測定結果に基づいて調合槽10内の新液の温調を行うようにしていたが、これに加えて制御部9が温度センサ23の測定結果に基づいて温調槽20に貯留された薬液の温調を行うようにしても良い。上述したように、温調槽20には洗浄処理部8にて使用された後の硫酸過水が流入する。また、温調槽20には添加液投入部30から水が適宜投入される。洗浄処理部8から温調槽20に排出される硫酸過水中の硫酸濃度は必ずしも一定ではなく、添加液投入部30から一定量の水を投入したとしても、十分な発熱量が得られなかったり、逆に過剰に反応熱が発生することもある。
【0068】
このため、温調槽20に貯留された薬液自体の温調も行うのが好ましい。具体的には、制御部9が、温度センサ23の測定結果に基づいて、温調槽20に貯留された薬液の温度が適正とされる所定の温度範囲内(例えば、100℃〜120℃)となる温度制御を行う。温度センサ23によって測定された温調槽20内の薬液の温度が所定の温度範囲よりも低いときには、例えば制御部9はバルブ21を開放して温調槽20に硫酸の新液を供給するとともに、バルブ32を開放して温調槽20に水を投入する。硫酸の新液と水とが反応することによって新たな反応熱が発生し、温調槽20に貯留されている薬液の温度が上昇する。
【0069】
一方、温度センサ23によって測定された温調槽20内の薬液の温度が所定の温度範囲よりも高くなったときには、例えば制御部9はバルブ32を長時間開放して温調槽20に水を大量に投入する。これによって、温調槽20内に貯留されている薬液中の硫酸濃度が薄くなれば当該薬液の温度が下降する。このような温調槽20に貯留された薬液の温調を行うことによって、調合槽10内の新液の温調を容易なものとすることができる。
【0070】
特に、第2実施形態のように、調合槽10の少なくとも一部が温調槽20に貯留された薬液に浸漬するように調合槽10が温調槽20内に設けられている場合には、熱交換部40を含む加温ラインを閉止したとしても、調合槽10の新液と温調槽20の薬液との熱交換が行われるため、温調槽20に貯留された薬液の温調を行う方が好ましい。むしろ、第2実施形態の基板洗浄システム200では、温調槽20に貯留された薬液の温調を行うことのみによっても、調合槽10内の新液の温調をある程度行うことができる。すなわち、温調槽20に貯留された薬液の温度を上昇させれば、それに浸漬されている調合槽10の新液も昇温することができる。逆に、温調槽20に貯留された薬液の温度を下降させれば、調合槽10内の新液も降温することができる。この場合、調合槽10内の新液の温度が目標温度を超えて高くなったときには、温調槽20内の薬液を廃液槽70に排出して液面レベルを低下させることによって調合槽10内の新液を冷却するようにしても良い。
【0071】
また、温調槽20内の薬液と調合槽10に貯留された新液との熱交換のみによって、新液を目標温度に温調できるならば、冷却部50は必ずしも必須の要素ではない。
【0072】
また、上記各実施形態においては、温調槽20内の硫酸を含む薬液に添加液投入部30から投入する添加液を水としていたが、これに限定されるものではなく、硫酸と反応して反応熱を発生する添加液を投入するようにしても良い。例えば、添加液投入部30から温調槽20内の硫酸を含む薬液にアルカリ液を投入するようにしても良い。
【0073】
また、上記各実施形態においては、洗浄処理部8を回転する基板Wに硫酸過水を吐出して洗浄処理を行う枚葉式の基板洗浄装置としていたが、これに限定されるものではなく、洗浄処理部8を基板Wに所定の液処理を行う他の基板処理部に置き換えることができる。例えば、洗浄処理部8を基板Wにエッチング液を供給してエッチング処理を行う基板処理部としても良いし、複数の基板Wを薬液中に浸漬して洗浄処理などを行うバッチ式の基板処理部としても良い。
【0074】
また、薬液は硫酸を含む液体に限定されるものではなく、他の特定の液種を含むものであっても良い。例えば、塩酸(HCl)やアンモニア水(NH4OH)を含む液体であっても良く、洗浄処理部8での処理内容および洗浄処理部8の構成に応じて適宜の薬液を選択することができる。薬液の種類が異なれば、その薬液と反応して反応熱を発生する添加液の種類も異なるものを用いる。
【0075】
また、温調槽20内の薬液と調合槽10に貯留される薬液とは別種のものであっても良い。例えば、温調槽20内に硫酸を貯留して添加液として水を投入し、発生した反応熱によって調合槽10に貯留された塩酸を加熱して洗浄処理部8に送給するようにしても良い。この場合、洗浄処理部8では塩酸過酸化水素を用いた基板Wの洗浄処理を行う。
【0076】
また、基板洗浄システム100(または200)に設けられているバルブの一部または全部を流量調整機能を有する流量調整弁としても良い。特に、加温ラインのバルブ42および冷却ラインのバルブ53を流量調整弁とすれば、加温ラインおよび/または冷却ラインを流れる新液の流量を調整することができ、より精度の高い新液の温調を行うことができる。なお、流量調整弁は、上記各実施形態のバルブに置き換えて設けるようにしても良いし、付加的に設けるようにしても良い。
【0077】
また、温調槽20に硫酸供給源22から硫酸の新液を供給するのに代えて、調合槽10と温調槽20とを連通する別配管を設け、その別配管によって調合槽10の新液を温調槽20に供給するようにしても良い。
【0078】
また、基板洗浄装置1によって処理対象となる基板は半導体基板に限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板であっても良い。
【符号の説明】
【0079】
1 薬液温調部
7 廃液処理部
8 洗浄処理部
9 制御部
10 調合槽
13,23 温度センサ
20 温調槽
30 添加液投入部
40 熱交換部
41 加温配管
50 冷却部
51 冷却配管
60 新液送給部
62 ポンプ
70 廃液槽
71 廃熱部
81 処理チャンバー
82 吐出ノズル
100,200 基板洗浄システム
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に液処理を行う基板処理部に供給する薬液の温調を行う薬液温調装置であって、
前記基板処理部に供給すべき新たな薬液を貯留する調合槽と、
前記基板処理部にて液処理に使用された薬液を回収して貯留する温調槽と、
前記温調槽に貯留された薬液に該薬液と反応して反応熱を発生する添加液を投入する添加液投入部と、
前記温調槽に貯留されて前記添加液の投入によって発熱した薬液と前記調合槽に貯留された新たな薬液との間で熱交換を行って新たな薬液を昇温する熱交換部と、
前記調合槽に貯留された新たな薬液が予め設定された目標温度にまで昇温されるように前記熱交換部を制御する制御部と、
前記調合槽にて前記目標温度にまで昇温された薬液を前記基板処理部に送給する新液送給部と、
を備えることを特徴とする薬液温調装置。
【請求項2】
請求項1記載の薬液温調装置において、
前記調合槽にて前記目標温度を超えて昇温された薬液を冷却する冷却部をさらに備え、
前記制御部は、前記調合槽に貯留された新たな薬液が予め設定された目標温度に温調されるように前記熱交換部および前記冷却部を制御することを特徴とする薬液温調装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の薬液温調装置において、
前記制御部は、前記温調槽に貯留された薬液の温度が所定の温度範囲内となる温度制御をさらに行うことを特徴とする薬液温調装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の薬液温調装置において、
前記調合槽の一部が前記温調槽に貯留された薬液に浸漬するように前記調合槽を前記温調槽内に設けることを特徴とする薬液温調装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の薬液温調装置において、
前記薬液は硫酸を含む液体であり、
前記添加液は水であることを特徴とする薬液温調装置。
【請求項6】
基板に液処理を行う基板処理部に供給する薬液の温調を行う薬液温調方法であって、
前記基板処理部に供給すべき新たな薬液を調合槽に貯留する新液貯留工程と、
温調槽に薬液および該薬液と反応して反応熱を発生する添加液を投入する発熱工程と、
前記温調槽に貯留されて前記添加液の投入によって発熱した薬液と前記調合槽に貯留された新たな薬液との間で熱交換を行って新たな薬液を予め設定された目標温度にまで昇温する昇温工程と、
前記調合槽にて前記目標温度にまで昇温された薬液を前記基板処理部に送給する送給工程と、
前記基板処理部にて液処理に使用された薬液を前記温調槽に回収する回収工程と、
を備えることを特徴とする薬液温調方法。
【請求項7】
請求項6記載の薬液温調方法において、
前記調合槽にて前記目標温度を超えて昇温された薬液を冷却する冷却工程をさらに備えることを特徴とする薬液温調方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の薬液温調方法において、
前記温調槽に貯留された薬液の温度を所定の温度範囲内に制御する温度制御工程をさらに備えることを特徴とする薬液温調方法。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれかに記載の薬液温調方法において、
前記調合槽の一部を前記温調槽に貯留された薬液に浸漬させて当該薬液と前記調合槽との間で直接に熱交換を行うことを特徴とする薬液温調方法。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれかに記載の薬液温調方法において、
前記薬液は硫酸を含む液体であり、
前記添加液は水であることを特徴とする薬液温調方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−21198(P2013−21198A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154423(P2011−154423)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】