説明

融解装置

【課題】シリコンなどの半導体の結晶体を製造する結晶製造装置の主坩堝に、融液原料を継続的に安定して供給可能な固体原料融解装置を提供する。
【解決手段】固体原料供給手段10と、検出手段14と、制御手段15と、副坩堝21と、加熱手段23と、融液導入手段25とを含んで構成される融解装置1において、検出手段14が、副坩堝21に貯留される融液原料3の表面に未融解状態の固体原料2が浮遊していることを検出する。そして、制御手段15が検出手段14から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していることを判断すると、固体原料供給手段10の副坩堝21に対する固体原料2の供給動作を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された固体原料を加熱して融解するのに用いられる融解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンなどの半導体の結晶体は、IC,LSIなどの半導体デバイス材料として広く用いられる。
【0003】
結晶製造装置において、結晶体を継続的に製造するために、結晶体が製造される坩堝に、固体原料または融液原料を随時供給する装置が種々提案されている。大径かつ長大な結晶体を連続的に製造するために、坩堝から引上げられる結晶体の成長容量に応じて、坩堝に貯留される融液原料に向けて、固体原料である顆粒状のシリコンが供給される装置が、たとえば特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示される装置では、坩堝内に融液原料の液面を液面下で連通した状態で内、外の領域に区分する隔壁が配置される。さらに前記隔壁に、前記坩堝の外側領域からの融液原料の飛散を防止する飛散防止板が設けられる。また、固体原料を坩堝に案内する原料供給管および原料導入治具が、坩堝の上方に配置される。ここで、特許文献1に開示される装置においては、坩堝に供給される固体原料は、粒状シリコン種をシランガスなどに暴露することによって成長させて製造される顆粒状シリコンである。
【0005】
特許文献1に開示される装置で結晶体を製造する場合、坩堝および種結晶を回転させた状態で、前記隔壁によって区分された坩堝内の内側領域の融液に種結晶を浸して、引上げを行う。このとき、坩堝から引上げられる結晶体の成長容量に応じて、固体原料である顆粒状のシリコンが、原料供給管およびロートに管部を接続した原料導入治具を通して、前記隔壁によって区分された坩堝内の外側領域に供給される。供給された顆粒状のシリコン固体原料は、坩堝内で融解されて融液となり、結晶体を製造するための融液原料となる。このような特許文献1に開示される装置では、坩堝に貯留される融液原料に、顆粒状のシリコン固体原料を随時供給して融解させることで、結晶体を継続的に製造することが可能である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される装置では、融液原料に向けて供給される固体原料が、粒状シリコン種をシランガスなどに暴露することによって成長させて製造される顆粒状シリコンである。顆粒状シリコンは、シーメンス法によって製造される多結晶シリコン棒と比較してコストが高い。シーメンス法によって製造される多結晶シリコン棒は、劈開して、塊状のシリコン原料とし、融液原料に向けて供給する固体原料として使用される。多結晶シリコン棒は、劈開する回数を増やすことによって顆粒形状にすることができるが、劈開作業および得られた固体原料を洗浄する工数が増えて、コストが高くなる。そのためコスト低減のためには、最小限の劈開回数で作成された、大サイズの塊状シリコンを固体原料として使用する必要がある。
【0007】
特許文献1に開示される装置において、固体原料として大サイズの塊状シリコンを使用する場合、塊状シリコンは、原料供給管および原料導入治具を通して、融液原料に向けて供給される。そのため、塊状シリコンが原料供給管に向けて供給される供給位置は、原料供給管を用いない場合に比べて、塊状シリコンが供給される融液原料の融液表面に対して高い位置となる。前記供給位置における塊状シリコンの位置エネルギーは、原料供給管を用いない場合に比べて大きくなるので、塊状シリコンが融液原料の融液表面に落下したとき、多量かつ激しいスプラッシュが発生する場合がある。この多量のスプラッシュが坩堝内の隔壁に設けられる飛散防止板に付着すると、スプラッシュの構成であるシリコンと飛散防止板の熱膨張率の差によって、飛散防止板が割れたり、欠けたりする場合がある。
【0008】
さらに原料供給管の下端に多量のスプラッシュが付着して、原料供給管の開口部を塞ぐと、塊状シリコンを融液表面に向けて供給できなくなる場合がある。
【0009】
また、大サイズの塊状シリコンが原料供給管に向けて供給される場合、塊状シリコンが原料供給管の管内部で、ブリッジを形成して詰まることがないように、原料供給管の管内径を、1つの塊状シリコンの大きさの3倍程度に設計する必要がある。このように管内径が設計された原料供給管においては、原料供給管の設置面積が大きくなるとともに、コストが高くなる。さらに原料供給管には、前述のように多量のスプラッシュが付着するので、原料供給管を頻繁に交換する必要があり、ランニングコストも増大する。
【0010】
特許文献2に開示される装置では、融液表面に向けて固体原料を供給するための供給管の内部に、たとえば一定間隔毎に互い違いに、それぞれ下方に傾斜した状態で邪魔板が固定されている。このような特許文献2に開示される装置において、固体原料を融液表面に向けて供給する場合、供給管内を通過する固体原料は、供給管内に配置される邪魔板によって落下速度が低下される。そのため、大サイズの塊状の固体原料が融液表面に向けて供給された場合においても、スプラッシュの発生を抑制することができる。
【0011】
また、大サイズの塊状の固体原料は、顆粒状の固体原料に比べて単位重量当たりの表面積が小さいので融解し難い。そのため、融液表面に向けて供給された固体原料が、未融解状態で融液表面に浮遊する場合がある。未融解状態の固体原料が融液表面に所定量より多く浮遊した状態で、融解能力を超えた過剰の固体原料が追加供給されると、固体原料の融解の進行が停止する場合がある。
【0012】
特許文献3に開示される装置は、融液原料を採取するサンプリング室が設けられて、融液原料の状態を観察できるようになっている。また、特許文献4に開示される装置は、坩堝内における融液原料の融解状態を観察できる覗き窓が配置されている。
【0013】
【特許文献1】特開平2−9790号公報
【特許文献2】特開平1−119594号公報
【特許文献3】特開平7−180968号公報
【特許文献4】実開平7−22397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献3、特許文献4に開示される装置では、作業者が融液原料の状態を目視観察して、固体原料が融液表面に浮遊しているか否かを判断する。そして、作業者は、未融解状態の固体原料が融液表面に所定量より多く浮遊していると判断した場合に、固体原料の供給を停止する。このように、特許文献3、特許文献4に開示される装置では、作業者に煩わしい操作を強いることになる。また、たとえば、覗き窓を配置する場合、装置の形態によっては、融液表面の状態を全体にわたって観察できるような位置に、覗き窓を配置することが困難な場合もあり、融液表面状態を観察するには不充分である。そのため、未融解状態の固体原料が融液表面に所定量以上浮遊した状態で、融解能力を超えた過剰の固体原料が追加供給されることが発生して、固体原料の融解の進行が停止する。このように、固体原料の融解の進行が停止した場合、固体原料を随時供給することができなくなり、結晶体を継続的に製造することができなくなる。
【0015】
したがって本発明の目的は、供給された固体原料を融解する融解装置において、作業者に煩わしい操作を強いることなく、固体原料が融液表面に浮遊しているか否かを判断することが可能な融解装置を提供することである。また、融解能力を超えた過剰の固体原料が供給されるのを防止して、固体原料の融解の進行が停止するのを防止し、固体原料を随時供給して継続的に固体原料の融解を実行可能な融解装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、供給された固体原料を加熱して融解するのに用いられる融解装置であって、
固体原料が融解された融液を貯留する坩堝と、
前記坩堝を加熱する加熱手段と、
前記坩堝の開口に対して鉛直方向上方に配置されて、鉛直方向下端部に排出口が形成され、前記排出口とは水平方向にずれた位置で鉛直方向上端部に投入口が形成され、前記投入口から鉛直方向下方に進むにつれて水平方向に進んで前記排出口に連なる傾斜面が形成される案内部を有して、前記坩堝に固体原料を供給する固体原料供給手段と、
前記坩堝に貯留される融液の表面に、未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出する検出手段とを備えることを特徴とする融解装置である。
【0017】
また本発明は、前記検出手段は、前記坩堝に貯留される融液の表面から放射される熱を検出して、融液表面に未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出するように構成されることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記検出手段は、前記坩堝に貯留された融液の表面よりも上方かつ前記投入口の下方である位置のうち、少なくとも1つの位置の温度を計測して、坩堝に貯留された融液の表面から放射される熱を検出し、融液表面に未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出するように構成されることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記検出手段は、前記坩堝に貯留された融液の表面の明度を検出して、融液表面に未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出するように構成されることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、前記検出手段から出力される検出結果と、所定の出力値とを比較して、検出手段から出力される検出結果が、前記所定の出力値に基づいて設定される範囲内ではない場合に、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していることを判断し、前記固体原料供給手段の坩堝に対する固体原料の供給動作を停止させる制御手段を有することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、前記制御手段は、所定の検出開始時間が経過した後に前記検出手段から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していると判断すると、前記固体原料供給手段の前記坩堝に対する固体原料の供給動作を停止させることを特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記検出開始時間は、前記固体原料供給手段が一度に坩堝に固体原料を供給する供給量と、前記加熱手段の加熱能力とから算出される融解能力算出時間以上に設定されることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記制御手段は、前記検出手段から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していることを判断すると、警告表示するとともに、前記固体原料供給手段の坩堝に対する固体原料の供給動作を停止させることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、前記制御手段は、前記検出手段から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していないことを判断すると、前記固体原料供給手段の坩堝に対する固体原料の供給動作を再開させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、検出手段は、坩堝内に貯留される融液の表面に、未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出する。そのため、作業者に煩わしい操作を強いることなく、固体原料が融液表面に浮遊しているか否かを判断することができる。
【0026】
また本発明によれば、検出手段は、坩堝に貯留された融液の表面から放射される熱を検出する。融液表面に未融解状態の固体原料が浮遊していると、固体原料が融液表面から放射される熱を遮る。そのため、検出手段が融液表面から放射される熱を検出することによって、融液表面に未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出することができる。
【0027】
また本発明によれば、検出手段は、坩堝に貯留された融液の表面よりも上方かつ投入口の下方である位置のうち、少なくとも1つの位置の温度を計測する。そのため、検出手段は、坩堝に貯留された融液の表面から放射される熱を検出することができる。したがって、検出手段は、融液表面に未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出することができる。
【0028】
また本発明によれば、検出手段は、坩堝に貯留される融液の表面の明度を検出する。融液と固体原料とは明度が異なるので、検出手段が融液表面の明度を検出することによって、融液表面に未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出することができる。
【0029】
また本発明によれば、制御手段は、検出手段から出力される検出結果と、所定の出力値とを比較して、検出手段から出力される検出結果が、所定の出力値に基づいて設定される範囲内ではない場合に、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していることを判断すると、固体原料供給手段の坩堝に対する固体原料の供給動作を停止させる。そのため、所定量より多い固体原料が融液表面に浮遊した状態で固体原料が供給されるのを防止して、固体原料の融解の進行が停止するのを防止することができる。したがって、固体原料を坩堝に随時供給し継続的に固体原料の融解が実行可能となる。
【0030】
また本発明によれば、制御手段は、所定の検出開始時間が経過した後に検出手段から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していると判断すると、固体原料供給手段の坩堝に対する固体原料の供給動作を停止させる。したがって、坩堝内に固体原料が供給された直後の過渡状態の影響による制御手段の誤作動を防止することができる。
【0031】
また本発明によれば、前記検出開始時間は、固体原料供給手段が一度に坩堝に固体原料を供給する供給量と、加熱手段の加熱能力とから算出される融解能力算出時間以上に設定される。したがって、検出開始時間後においては通常状態では坩堝に供給された固体材料は融解済みとなるため、前記制御手段は確実に異常な状態を検出し、坩堝に対する固体原料の供給動作を停止させるので、所定量より多い固体原料が融液表面に浮遊した状態で固体原料が供給されるのを防止することができる。
【0032】
また本発明によれば、制御手段は、検出手段から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していることを判断すると、警告表示するとともに、固体原料供給手段の坩堝に対する固体原料の供給動作を停止させる。このように、警告表示することによって、作業者は、その警告表示に基づいて、融液表面に浮遊する固体原料を強制的に除去する等の処置を行うことができる。
【0033】
また本発明によれば、制御手段は、検出手段から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していないことを判断すると、固体原料供給手段の坩堝に対する固体原料の供給動作を再開させる。そのため、固体原料の融解の進行が停止するのを防止した状態で、固体原料を坩堝に随時供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明の実施の一形態である融解装置1の構成を示す断面図である。本実施例においての融解装置1は、シリコンなどの半導体の結晶体を製造する結晶製造装置の主坩堝に、融液原料を供給する装置である。本実施の形態では、融解装置1は、シリコン結晶体を製造する原料となる、シリコンから成る融液原料を供給する。融解装置1は、固体原料供給手段10と、検出手段14と、制御手段15と、副坩堝21と、加熱手段23と、融液導入手段25とを含んで構成される。
【0035】
固体原料供給手段10は、粒状、もしくは塊状の固体原料を副坩堝21に供給する手段である。固体原料供給手段10は、案内部11と、飛散防止部12と、固体原料投入部13とを含んで構成され、副坩堝21の開口に対して鉛直方向上方に配置される。
【0036】
固体原料投入部13は、固体原料2を収容して、収容された固体原料2を、後述する案内部11の投入口11cに落下させて投入する部材である。固体原料投入部13は、固体原料収容容器13aと、シャフトと、回転手段と、直動手段とを含んで構成される。固体原料収容容器13aは、固体原料2を収容する凹所が形成され、開口部が正方形である。シャフトは、固体原料収容容器13aの側面に固定される棒状部材である。シャフトは、固体原料収容容器13aの正方形状の開口部の一方の対角線が、シャフトの軸と平行となり、他方の対角線が垂直となるように、固体原料収容容器13aの側面に固定される。回転手段は、シャフトを介して固体原料収容容器13aを、水平方向に延びる回転軸線まわりの方向に回転させる。シャフトの軸方向の一方に案内部11が配置され、軸方向の他方に計量した固体原料2を固体原料収容容器13a内に添加する固体原料添加部が配置される。直動手段は、シャフトを介して固体原料収容容器13aを、シャフトの軸方向の両側に配置される案内部11と固体原料添加部との間を直線移動させる。
【0037】
以上のような固体原料投入部13を用いて、固体原料2を固体原料収容容器13aから案内部11の投入口11cに供給する場合、まず直動手段が、固体原料収容容器13aを固体原料添加部に移動させる。次に固体原料添加部で、計量された固体原料2が、固体原料収容容器13aに添加される。そのあと直動手段が、固体原料収容容器13aを案内部11の投入口11cの鉛直方向上方に移動させる。そのあと回転手段が、シャフトを介して固体原料収容容器13aを、水平方向に延びる回転軸線まわりの方向に回転させ、固体原料2を案内部11の投入口11cに投入する。また、固体原料収容容器13aから案内部11の投入口11cに固体原料2を投入する場合、固体原料収容容器13aの開口部から案内部11の投入口11cまでの鉛直方向の長さL3は、固体原料収容容器13aと案内部11とが接触しないように設定される。
【0038】
案内部11は、固体原料投入部13から投入された固体原料2を副坩堝21に導く部材であって、大略的に漏斗形状に形成される。案内部11は、副坩堝21の開口に対して鉛直方向上方に配置される。案内部11は、鉛直方向両側に開口が形成される略筒状に形成され、鉛直方向両側に開放される連通空間が形成される。連通空間は、下方に進むにつれて先細に形成される四角錐台形状に形成される。四角錐台形状は、四角錐のうち先端部が除去された残余の形状である。本実施形態では、連通空間は、四角錐の下底と四角錐の上底の中心とを結ぶ直線が、鉛直方向下方に進むにつれて水平方向一方に傾斜する形状に形成される。
【0039】
案内部11には、鉛直方向下端部に排出口11bが形成される。排出口11bは、連通空間のうち下方に形成される開口となる。また案内部11は、鉛直方向上端部に上方側開口が形成される。上方側開口のうちで一部の領域には、前記排出口11bとは水平方向にずれた位置に投入口11cが形成される。また案内部11は、連通空間に対して、鉛直方向下方から臨む傾斜面11aが形成される。傾斜面11aは、投入口11cから鉛直方向下方に進むにつれて水平方向に進んで排出口11bに連なる。また、案内部11は、連通空間に対して、傾斜面11aの傾斜方向に垂直で水平な方向にそれぞれ臨む側壁面を含んで構成される。側壁面は、傾斜面11aから屈曲して、鉛直方向および傾斜方向を含む平面に平行に延びる。また案内部11は、連通空間に対して、傾斜面11aと反対側から臨む対向面を含んで形成される。このように傾斜面と、2つの側壁面と、対向面とによって、連通空間が規定される。
【0040】
傾斜面11aと水平面とが成す鋭角θは、固体原料が傾斜面11aを滑落可能となるように設定される。また、案内部11のうち、投入口11cから排出口11bまでの鉛直方向の長さL1、融液導入手段25の導入口25aから排出口11bまでの水平方向の長さL2および排出口11bから副坩堝21内で貯留される融液原料3の融液面までの鉛直方向の長さL4は、固体原料2を投入口11cに投入するためのスペース、投入される固体原料2の大きさおよび固体原料2の投入量などを考慮して設定される。
【0041】
ここで、固体原料2が副坩堝21内に貯留された融液原料3内に進入すると、融液面に対して融液原料3の一部が鉛直方向上方に飛散するいわゆるスプラッシュが発生する。本実施形態では、案内部11には傾斜面11aが形成されるので、案内部11は、固体原料投入部13から投入された固体原料2を案内するとともに、鉛直方向の落下速度を減速させて、副坩堝21に導く。そのため、固体原料2が融液表面に落下する衝撃によって発生するスプラッシュを抑制することができる。
【0042】
飛散防止部12は、固体原料2が副坩堝21に供給されたときに発生するスプラッシュが連通空間よりも上方へ飛散することを抑制する部材である。本実施の形態では、飛散防止部12は、案内部11の上端部に載置される。具体的には、飛散防止部12は、排出口11bの上方で、かつ傾斜面11aの上方に配置される。飛散防止部12は、断面形状が略L字状となる形状に形成される。飛散防止部12は、排出口被覆部12bと、排出口被覆部12bから上方に屈曲する屈曲部12aとを含んで構成される。排出口被覆部12bは、板状に形成されて、連通空間のうちで投入口11cを除く上方側開口を塞ぎ、案内部11出口11bの鉛直方向上方に配置される。また屈曲部12aは、板状に形成されて、排出口被覆部12bのうち、案内部11の投入口11c寄りの部分から上方に屈曲する。
【0043】
副坩堝21は、固体原料供給手段10から供給された固体原料2および固体原料2が融解された融液原料3を、貯留する部材である。本実施の形態では、副坩堝21は円筒状に形成され、上面から鉛直方向下方に向けて円柱状の凹所が形成される。副坩堝21の側面および下面には、断熱部材22が被覆される。断熱部材22は、副坩堝21からの放熱を抑制して、副坩堝21が加熱手段23によって効率よく加熱されるための部材である。
【0044】
加熱手段23は、副坩堝21を加熱する手段である。加熱手段23は、副坩堝21の側面を被覆する断熱部材22の周囲を囲むように設けられる。加熱手段23としては、誘導加熱手段によって実現される。前記誘導加熱手段では、副坩堝21の側面を被覆する断熱部材22の周囲を囲むように設けられた誘導加熱コイルに電流を流すことによって、副坩堝21を加熱することができる。加熱手段としては、前記誘導加熱手段の他に、カーボンなどで形成された発熱部材に電流を流すことによって副坩堝21を加熱する、抵抗加熱手段でもよい。加熱手段23を副坩堝21の外周に配置することによって、副坩堝21に供給された固体原料2を融解させ、かつ副坩堝21内で貯留される融液原料3を常時融解した状態に維持することができる。
【0045】
融液導入手段25は、副坩堝21内に貯留される融液原料3を結晶製造装置の主坩堝に導く手段である。融液導入手段25は、副坩堝21の側面に配置され、副坩堝21の側壁に形成される導入口25aから鉛直方向下方に向けて傾斜する流路形成部25bを有する。流路形成部25bは、内部が中空の円筒形状の部材である。導入口25aから溢れ出た融液原料3は、流路形成部25bの内部を流過して、主坩堝に導かれる。融液導入手段25を用いて、副坩堝21に貯留される融液原料3を主坩堝に供給する場合、副坩堝21内の融液原料3の融液面が、副坩堝21の側壁に形成される融液導入手段25の導入口25aより下側になるように、融液原料3が副坩堝21内に貯留される。この状態で副坩堝21に固体原料2が供給されると、固体原料2の投入量に応じた融液原料3が、導入口25aから溢れ出る。導入口25aから溢れ出た融液原料3は、融液導入手段25の流路形成部25b内を流過して、主坩堝に供給される。
【0046】
また、副坩堝21の中心軸線に垂直な断面で見た場合、融液導入手段25の導入口25aと、案内部11の排出口11bとが、中心に関して略点対称となる位置にそれぞれ配置される。案内部11の排出口11bから副坩堝21に供給された固体原料2が、融液導入手段25の導入口25aに到達しないように、図示しない邪魔板が副坩堝21内部に設けてある。
【0047】
検出手段14は、副坩堝21に貯留される融液原料3の表面に、未融解状態の固体原料2が浮遊していることを検出する。本実施形態では、固体原料2および融液原料3は、シリコンから成る。シリコンにおいては、固体状態の比重が融液状態の比重よりも小さく、そのため未融解状態の固体原料2は、融液原料3の表面に浮遊する。
【0048】
検出手段14は、融液原料3の表面に浮遊する固体原料2を検出することができればどのような形態であってもよいが、たとえば、融液原料3の表面から放射される熱を検出する熱検出手段や、融液原料3の表面の明度を検出する明度検出手段を挙げることができる。本実施形態では、検出手段14は熱検出手段である。融液原料3の表面から放射される熱を検出する熱検出手段は、熱電対14aと熱電対保護管14bとを含んで構成される。熱電対保護管14bは、有底筒状に形成され、融液原料3の表面の上方であり、かつ飛散防止部12の下方である排出口11bの周辺部に配設される。熱電対保護管14bは、融液原料3の表面から放射される熱を吸収する。
【0049】
熱電対14aは、熱電対保護管14b内に挿入されて配置され、熱電対保護管14bの温度を電気信号に変換して、検出手段14における検出結果を示す出力値として、後述の制御手段15に出力する。また、熱電対14aは、汚染などの問題がなければ、必ずしも熱電対保護管14b内に挿入される必要はない。また、熱電対14aは、副坩堝21の開口の上面側を覆うように配設されている案内部11または飛散防止部12の温度を電気信号に変換して、検出手段14における検出結果を示す出力値として出力するように構成されてもよい。
【0050】
図2は、副坩堝21に貯留される融液原料3に固体原料2を供給したときの出力値の変化を示すグラフである。グラフの横軸は、融液原料3に固体原料2を供給した時の経過時間を示し、グラフの縦軸は、検出手段14から出力される出力値であり、熱電対保護管14bの温度を示す。融液原料3に固体原料2が供給されて、融液表面に固体原料2が浮遊すると、固体原料2が融液表面から放射される熱を遮り、熱電対保護管14bの温度が低下することになる。したがって、図2に示すように、熱電対14aから出力される出力値は、固体原料2が供給されると同時に小さくなる。その後、供給された固体原料2が融解して、融液表面に浮遊する固体原料2が少なくなるにつれて熱電対14aから出力される出力値が上昇していき、未融解状態の固体原料2がなくなった時点で、出力値は完全融解状態を示す出力値である完全融解出力値で一定となる。
【0051】
以上のように、融液原料3の表面に固体原料2が浮遊していると、固体原料2が融液表面から放射される熱を遮り、熱電対保護管14bの温度が低下することになるので、熱電対保護管14bの温度を計測することによって、融液原料3の表面に固体原料2が浮遊していることを検出することができる。
【0052】
また、融液原料3の表面の明度を検出する明度検出手段としては、CCD(Charge
Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)カメラ、サーモビューワ、パイロメータ、照度センサなどを挙げることができる。明度検出手段は、副坩堝21に貯留される融液原料3の表面もしくは融液原料3の表面の明度を反射する周辺部材に臨んで付設されて、直接あるいは間接的に融液表面の明度を検出する。このとき、融液原料3の表面に浮遊している固体原料2は明度が低く、そのため、融液表面の明度を計測することによって、融液原料3の表面に固体原料2が浮遊していることを検出することができる。明度検出手段によって計測された明度のデータは、検出手段14における検出結果を示す出力値として、後述の制御手段15に出力される。
【0053】
制御手段15は、プログラマブルコントローラなどによって実現され、固体原料供給手段10を制御する。図3は、副坩堝21に貯留される融液原料3に固体原料2を供給したときの出力値の変化を示し、固体原料2の融解の進行が停止する様子を示すグラフである。図3に示すように、未融解状態の固体原料2がなくなる前であり、検出手段14から出力される出力値が完全融解出力値で一定となる前に、固体原料2を融液原料3に供給すると、出力値は、固体原料2を供給するごとに小さくなりつづけ、最終的には固体原料2の融解の進行が停止して一定となる。このように、固体原料2の融解の進行が停止する現象は、加熱手段23による融解能力を超えた過剰の固体原料2が副坩堝21に供給されることによって、案内部11の排出口11cなどにおいて固体原料2が詰まってしまい、固体原料2が副坩堝21に貯留される融液原料3内に到達できなくなり、副坩堝21から固体原料2が溢れることによって発生する。
【0054】
このように、固体原料2の融解の進行が停止した場合、継続的に固体原料2を副坩堝21に供給することができなくなり、融液原料3を結晶製造装置の主坩堝に向けて随時供給することができなくなる。したがって、継続的に固体原料2を副坩堝21に供給するためには、所定量より多い固体原料2が融液表面に浮遊している場合に、固体原料2の供給動作を停止させることが重要となる。
【0055】
そこで、本発明において、制御手段15は、検出手段14から出力される出力値に基づいて、融液原料3の表面に所定量より多い固体原料2が浮遊していることを判断すると、固体原料供給手段10の副坩堝21に対する固体原料2の供給動作を停止させる。具体的には、制御手段15は、融液表面に所定量より多い固体原料2が浮遊していることを判断すると、固体原料供給手段10が有する固体原料投入部13の回転手段および直動手段を制御して、固体原料収容容器13a内に収容される固体原料2が、案内部11の投入口11cに向けて投入されるのを停止させる。これによって、所定量より多い固体原料2が融液表面に浮遊した状態で固体原料2が供給されるのを防止して、固体原料2の融解の進行が停止するのを防止することができる。したがって、固体原料2を副坩堝21に向けて随時供給することができ、融液原料3を結晶製造装置の主坩堝に継続的に供給することができる。
【0056】
また、本実施形態では、副坩堝21の開口の上面側は、案内部11および飛散防止部12によって覆われている。そのため、融液表面全体の状態を観察することが可能な副坩堝21の開口の上面側に、融液表面状態を観察する覗き窓を配置することが困難である。このような場合においても、制御手段15は、検出手段14から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料2が浮遊していることを判断すると、固体原料供給手段10の副坩堝21に対する固体原料2の供給動作を停止させる。したがって、所定量より多い固体原料2が融液表面に浮遊した状態で固体原料2が供給されるのを防止することができる。
【0057】
図4は、検出手段14による出力値が完全融解出力値となる場合に融液原料3に対して固体原料2を供給したときの出力値の変化を示すグラフである。グラフの横軸は、融液原料3に固体原料2を供給した時の経過時間を示し、グラフの縦軸は、検出手段14から出力される出力値であり、熱電対保護管14bの温度を示す。本実施形態では、制御手段15は、検出手段14から出力される出力値と、所定の完全融解出力値とを比較して、所定量より多い固体原料2が融液表面に浮遊しているか否かを判断する。ここで、前記完全融解出力値は、前述のように、未融解状態の固体原料2が融液表面に浮遊していないことを示す出力値である。したがって、本実施形態では、前記所定量はゼロであり、制御手段15は、検出手段14から出力される出力値と、完全融解出力値とを比較して、固体原料2が融液表面に浮遊しているか否かを判断する。このとき、検出手段14から出力される出力値は、検出手段14と融液表面との離反距離などによる外的要因によって変化する場合がある。
【0058】
そのため、完全融解出力値に基づいた所定の範囲である管理幅を設定し、制御手段15は、検出手段14から出力される出力値が前記管理幅の範囲内である場合に、融液表面に固体原料2が浮遊していないと判断して、固体原料供給手段10の副坩堝21に対する固体原料2の供給動作を継続させ、管理幅の範囲外である場合に、融液表面に固体原料2が浮遊していると判断して、固体原料2の供給動作を停止させる。これによって、固体原料2が融液表面に浮遊した状態で固体原料2が供給されるのを防止して、固体原料2の融解の進行が停止するのを防止することができる。したがって、固体原料2を副坩堝21に随時供給することができ、融液原料3を継続的に主坩堝に向けて供給することができる。
【0059】
ここで、検出手段14から出力される出力値が外的要因によって変化するのは、固体原料2が融液表面に浮遊することによって出力値が低下するのに比べれば、はるかに小さい。したがって、本実施形態における前記管理幅の範囲は、完全融解出力値に対して5〜10%小さい値から完全融解出力値までの範囲に設定される。また、固体原料供給手段10が融液原料3に対して固体原料2を1回に供給する供給量は、固体原料収容容器13aに収容できる収容量によって決定される。
【0060】
また、固体原料2が副坩堝21内に供給された後、所定時間経過しても、検出手段14から出力される出力値が、管理幅の範囲内にまで回復しない場合、制御手段15は、融液表面に固体原料2が浮遊していると判断し、表示パネルなどの表示手段に、「異常あり」などの警告を表示させるように構成されてもよい。このように、警告表示することによって、作業者は、その警告表示に基づいて、融液表面に浮遊する固体原料2を強制的に除去したり、結晶製造装置の主坩堝への融液原料3の供給を停止させるなどの処置を行うことができる。
【0061】
図5は、所定の検出開始時間が経過した場合に融液原料3に対して固体原料2を供給したときの出力値の変化を示すグラフである。グラフの横軸は、融液原料3に固体原料2を供給した時の経過時間を示し、グラフの縦軸は、検出手段14から出力される出力値であり、熱電対保護管14bの温度を示す。本実施形態では、検出手段14は、固体原料供給手段10が副坩堝21に固体原料2を供給してから、所定の検出開始時間が経過した後に、融液表面に浮遊する固体原料2を検出する。ここで、所定の検出開始時間は、固体原料供給手段10が副坩堝21に固体原料2を供給する供給量と、加熱手段23の加熱能力とから予め算出される融解能力算出時間以上に設定される。
【0062】
そして、制御手段15は、前記検出開始時間経過後に検出手段14から出力される出力値と、所定の融解可能許容値とを比較する。
【0063】
ここで、融解可能許容値は、次のようにして設定される。前述のように、副坩堝21の中心軸線に垂直な断面で見た場合、固体原料2が副坩堝21に向けて供給される開口である案内部11の排出口11bと、融液原料3が副坩堝21から結晶製造装置の主坩堝に向けて流れる開口である融液導入手段25の導入口25aとが、中心に関して略点対称となる位置にそれぞれ配置される。そのため、排出口11bから副坩堝21に供給されて融液表面に浮遊する固体原料2は、導入口25aに到達するまでの流動時においても、融解される。この流動時において融解可能な固体原料2の量である流動融解可能量を予め算出しておく。前記流動融解可能量の固体原料2が融液表面に浮遊した場合の出力値が、融解可能許容値として設定される。本実施形態では、融解可能許容値は、前述した完全融解出力値に対して設定される管理幅の最小値よりも10〜20%小さい値に設定される。
【0064】
そして、制御手段15は、出力値が前記融解可能許容値以上である場合に、所定量である流動融解可能量より多い固体原料2が融液表面に浮遊していないと判断して、固体原料供給手段10の副坩堝21に対する固体原料2の供給動作を継続させ、出力値が融解可能許容値未満である場合に、所定量である流動融解可能量より多い固体原料2が融液表面に浮遊していると判断して、固体原料2の供給動作を停止させる。これによって、所定量である流動融解可能量より多い固体原料2が融液表面に浮遊した状態で固体原料2が供給されるのを防止して、固体原料2の融解の進行が停止するのを防止することができる。したがって、固体原料2を副坩堝21に随時供給することができ、融液原料3を継続的に主坩堝に向けて供給することができる。また、制御手段15が、完全融解出力値よりも小さい値である融解可能許容値に基づいて、固体原料供給手段10を制御するので、完全融解出力値に基づいて制御するのに比べて、固体原料2の供給量を大きくすることができる。したがって、固体原料2の供給量の増加に伴って、融液原料3を結晶製造装置の主坩堝に向けて供給する融液供給量を大きくすることができる。
【0065】
また、検出開始時間経過後に検出手段14から出力される出力値が融解可能許容値未満となって、制御手段15が固体原料2の供給動作を停止させた場合、出力値が完全融解出力値にまで回復した時点で、制御手段15は、固体原料供給手段10を制御して、固体原料2の供給動作を再開させる。
【0066】
また、出力値が融解可能許容値未満となった時点で、制御手段15は、融液表面に所定量より多い固体原料2が浮遊していると判断し、表示パネルなどの表示手段に、「異常あり」などの警告を表示させるように構成されてもよい。また、出力値が融解可能許容値未満になった後、所定時間経過しても、出力値が完全融解出力値にまで回復しない場合にも、警告を表示させるように構成されてもよい。このように、警告表示することによって、作業者は、その警告表示に基づいて、融液表面に浮遊する固体原料2を強制的に除去したり、結晶製造装置の主坩堝への融液原料3の供給を停止させるなどの処置を行うことができる。さらに、検出手段14から出力される出力値が完全融解出力値よりも10〜20%以上高くなる場合も、固体原料2の供給動作を停止したり、表示パネルなどの表示手段に「異常あり」などの警告を表示させるように構成されてもよい。この場合、何らかの原因によって副坩堝21内の融液原料3の表面高さが高くなり、熱電対保護管14bと接触したと考えられ、固体原料2の供給動作を停止することで副坩堝21の融液原料3収容能力を超え、副坩堝21外部にあふれ出す事故を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の一形態である融解装置1の構成を示す断面図である。
【図2】副坩堝21に貯留される融液原料3に固体原料2を供給したときの出力値の変化を示すグラフである。
【図3】副坩堝21に貯留される融液原料3に固体原料2を供給したときの出力値の変化を示し、固体原料2の融解の進行が停止する様子を示すグラフである。
【図4】検出手段14による出力値が完全融解出力値となる場合に融液原料3に対して固体原料2を供給したときの出力値の変化を示すグラフである。
【図5】所定の検出開始時間が経過した場合に融液原料3に対して固体原料2を供給したときの出力値の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0068】
1 融解装置
2 固体原料
3 融液原料
10 固体原料供給手段
11 案内部
11a 傾斜面
11b 排出口
11c 投入口
12 飛散防止部
12a 屈曲部
12b 排出口被覆部
13 固体原料投入部
13a 固体原料収容容器
14 検出手段
14a 熱電対
14b 熱電対保護管
15 制御手段
21 副坩堝
22 断熱部材
23 加熱手段
25 融液導入手段
25a 導入口
25b 流路形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された固体原料を加熱して融解するのに用いられる融解装置であって、
固体原料が融解された融液を貯留する坩堝と、
前記坩堝を加熱する加熱手段と、
前記坩堝の開口に対して鉛直方向上方に配置されて、鉛直方向下端部に排出口が形成され、前記排出口とは水平方向にずれた位置で鉛直方向上端部に投入口が形成され、前記投入口から鉛直方向下方に進むにつれて水平方向に進んで前記排出口に連なる傾斜面が形成される案内部を有して、前記坩堝に固体原料を供給する固体原料供給手段と、
前記坩堝に貯留される融液の表面に、未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出する検出手段とを備えることを特徴とする融解装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記坩堝に貯留される融液の表面から放射される熱を検出して、融液表面に未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の融解装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記坩堝に貯留された融液の表面よりも上方かつ前記投入口の下方である位置のうち、少なくとも1つの位置の温度を計測して、坩堝に貯留された融液の表面から放射される熱を検出し、融液表面に未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の融解装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記坩堝に貯留された融液の表面の明度を検出して、融液表面に未融解状態の固体原料が浮遊していることを検出するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の融解装置。
【請求項5】
前記検出手段から出力される検出結果と、所定の出力値とを比較して、検出手段から出力される検出結果が、前記所定の出力値に基づいて設定される範囲内ではない場合に、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していることを判断し、前記固体原料供給手段の坩堝に対する固体原料の供給動作を停止させる制御手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の融解装置。
【請求項6】
前記制御手段は、所定の検出開始時間が経過した後に前記検出手段から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していると判断すると、前記固体原料供給手段の前記坩堝に対する固体原料の供給動作を停止させることを特徴とする請求項5に記載の融解装置。
【請求項7】
前記検出開始時間は、前記固体原料供給手段が一度に坩堝に固体原料を供給する供給量と、前記加熱手段の加熱能力とから算出される融解能力算出時間以上に設定されることを特徴とする請求項6に記載の融解装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記検出手段から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していることを判断すると、警告表示するとともに、前記固体原料供給手段の坩堝に対する固体原料の供給動作を停止させることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の融解装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記検出手段から出力される検出結果に基づいて、融液表面に所定量より多い固体原料が浮遊していないことを判断すると、前記固体原料供給手段の坩堝に対する固体原料の供給動作を再開させることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1つに記載の融解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−155162(P2009−155162A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335361(P2007−335361)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】