血管新生に作用する化合物およびその使用方法
血管新生は一群の細胞、組織、または生物体に化合物を投与することにより影響を受け得る。そのような影響は血管新生の阻害または刺激であり得る。該化合物を用いて不十分あるいは無秩序な血管新生に関する病状を治療することができよう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管新生を促進または阻害するのに有用な化合物、および多くの血管新生関連病状に有用な血管新生に作用する化合物を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、そのような血管新生に作用する化合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生は新たな血管を形成するための基本的プロセスである。該プロセスは、血管内皮細胞の組織への遊走、次いで該内皮細胞の血管内への集積を含む。血管新生は、血管新生物質により誘導されるか、自然状態の結果でありうる。血管新生またはその欠如は、種々の病的状態の維持に重要な役割を果たす。これら病状のいくつか、例えば、癌、糖尿病性網膜症、緑内障、および関連黄斑変性は、血管新生を特徴とする。他のもの、例えば、卒中、不妊症、心疾患、潰瘍、および強皮症は、血管新生機能不全の疾患である。
【0003】
血管新生には多くの段階がある(例えば、Zhu and Witte、Invest New Drugs 17:195-212、1999参照)。血管新生の初期段階には、内皮細胞プロテアーゼ産生、細胞遊走、および増殖が含まれる。該初期段階には、いくつかの増殖因子も必要なようである。血管新生の後期には、壁細胞を有する脈管の集合、基底膜生成、および血管床分化の誘導が含まれる。血管新生の最終段階はリモデリングを含み、ここで、形成血管は安定な成熟血管床になる。すなわち、該プロセスは高度に動的であり、しばしば遺伝子発現の協調的な空間的および時間的波を必要とする。
【0004】
複雑な血管新生プロセスは、1またはそれ以上の重要な工程との干渉により崩壊し、多くの病的状態はその崩壊から生じるか悪化する。無秩序な血管新生は疾患を生じるか悪化させることがあり、例えば、眼の血管新生は失明の最も一般的な原因であるとされ、約20の眼疾患の病因の基礎をなす。関節炎のようなある種の先に存在する病状において、新たに形成された毛細血管は関節に侵入し、軟骨を破壊する。糖尿病において、網膜に形成された新しい毛細血管は硝子体液に侵入し、出血と失明を引き起こす。
【0005】
無秩序な血管新生に関連した病因に加え、不十分な血管新生は望ましくない結果ももたらし得る。死滅または損傷した組織は多くの病因となり得、健康で正常な血管新生プロセスによる損傷組織の血管再生はさらなる合併症を防ぐのに必須である。
【0006】
すなわち、医療分野では、血管新生に作用する化合物は多くの病状の治療および研究手段としての可能性がある。天然血管新生作用分子の同定および利用に進歩がみられた。血管新生に作用するのに用いることができる化合物の同定にも進歩がみられている。血管新生に有望な効果があるそれら化合物は許容できない毒性プロフィールがあるか、製造がきわめて困難であるか費用がかかるか、またはその両方であることが多いことが分かっている。現在の知識および利用可能な治療のレベルにかかわらず、当該分野では依然として血管新生に作用するか、または血管新生関連病状を予防もしくは治療するのに利用できるさらなる医薬または化合物の要求がある。
【0007】
ペルヘキシリンは、最初、狭心症の管理に用いられた。ある程度効果があるが、ペルヘキシリン投与は肝臓および神経への副作用も伴う。冠拡張薬としての最初の分類は、カルシウムチャンネルアンタゴニストに訂正されたが、最近のデータは酵素カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1(CPT-1)の阻害を通して作用する心代謝薬であることが示唆されている。Killalea S. M.およびKrum H.は、Am. J. Cardiocasc. Drugs、2001; 1(3):193-204において重症の心筋虚血を管理するためのペルヘキシリンの評価について記載している。
【0008】
エリスロマイシンはStreptomyces erythraeusのある菌株により産生され、マクロライド群の抗生物質に属する。エリスロマイシンは塩基性で酸により容易に塩を形成するが、微生物学的に活性な塩基である。エリスロマイシンは主として細菌感染を治療するために局所または経口投与される。ヒトへのこの薬剤の使用に十分な歴史があることを考えると、それが候補となるあらゆるさらなる適用を解明することが望ましい。ある最近の研究では、エリスロマイシンの新しい適用が示唆された。例えば、Yatsunami J、et al.、Inhibitory effects of roxithromycin on tumor angiogenesis、growth and metastasis of mouse B16 melanoma cells、Clin Exp Metastasis. 1999 Mar;17(2): 119-24; Yatsunami J、et al.、Inhibition of tumor angiogenesis by roxithromycin、a 14-membered ring macrolide antibiotic、Cancer Lett. 1998 Sep 25;131(2):137-43; Yatsunami J、et al.、Clarithromycin is a potent inhibitor of tumor induced angiogenesis、Res Exp Med (Berl). 1997;197(4):189-97参照。
【0009】
ドーパミン調節因子が知られており、多くが患者に有効に使われている。例えば、ブロモクリプチンメシレート(ブロモクリプチン)は、強力なドーパミンレセプターアンタゴニスト活性を有する麦角誘導体である。ブロモクリプチンは、不妊症のような種々の他の適用に用いることができるが、その潜在的使用の全範囲はまだ解明されていない。同様に、エチクロプリドおよびリスリドは、そのドーパミン調節活性が関連文献に記載されている。ドーパミンおよびドーパミンレセプター2選択的アゴニスト、例えばブロモクリプチンは、Basu S et al.、The neurotransmitter dopamine inhibits angiogenesis induced by vascular permeability factor/vascular endothelial growth factor、Nat Med. 2001 May;7 (5):569-74に血管新生を妨げることが示されている。エチクロプリドは血管新生効果がないことが示された。
【0010】
抗真菌剤が存在することも当該分野で知られている。例えば、ミコナゾール、スルコナゾール、およびエコナゾールは、その抗真菌活性が種々の治療環境で利用されている既知物質である。ミコナゾールがおそらく最もよく知られているが、スルコナゾールも広い抗真菌活性スペクトルを有するイミダゾール誘導体の抗真菌剤である。他の微生物に対して作用するその活性は解明されつつある。エコナゾールは、他の抗真菌剤のように典型的には局所投与される。これを行うと非常に低用量の活性物質が吸収される。これは、他の用途の解明およびエコナゾールの予想される他の用途への利用の両方に有害となりうる。
【0011】
さらに、抗アンドロゲンが提供されており、その例にはフルタミドおよびダナゾールが含まれる。フルタミドはアンドロゲンの阻害に有効に使用されてきたが、その使用に伴って肝損傷の重度の多大なリスクがある。典型的にはフルタミド使用の最初の数カ月以内に肝不全と死亡が報告されている。これにも関わらず、フルタミドのあらゆる他の潜在的有効利用の検討は正当化される。エチステロンから誘導された合成ホルモンのダナゾールは、経口投与後の急速で広範な代謝により望ましい医薬になり得る。主として男性患者に用いられるフルタミドと違って、ダナゾールには男性および女性対象の両方で臨床データがあるという利点もある。
発明の要約
【0012】
したがって、本発明の目的は、血管新生に作用する化合物を提供することである。さらに本発明の目的は、血管新生に作用する化合物の使用方法を提供することである。さらに、本発明の別の目的は、既知の化合物の新たな用途を解明することである。
【0013】
最初の態様において、医薬的有効量のペルヘキシリン、またはエリスロマイシンおよび少なくとも1の抗VEGF処置の組み合わせ、もしくはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、または組み合わせを一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生を阻害する方法を提供する。該生物体は哺乳動物であり得、該哺乳動物は、癌、肉腫、網膜症、黄斑変性、角膜潰瘍、強皮症、Berger病、増殖性硝子網膜症、慢性炎症、炎症性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、および関節リウマチからなる群から選ばれる病状を有し得る。該化合物は局所投与することができる。
【0014】
さらなる態様によれば、ペルヘキシリン、またはエリスロマイシンおよび少なくとも1の抗VEGF処置の組み合わせ、もしくはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、またはその組み合わせを含む医薬的有効量の医薬組成物を一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生の阻害方法を提供する。該生物体は哺乳動物であり得、該哺乳動物は、癌、肉腫、網膜症、黄斑変性、角膜潰瘍、強皮症、Berger病、増殖性硝子網膜症、慢性炎症、炎症性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、および関節リウマチからなる群から選ばれる病状を有し得る。該化合物は局所投与することができる。該医薬組成物は、軟膏(salve)、ゲル、軟膏(ointment)、パッチ、注射剤、経口溶液剤、またはサスペンジョン剤として製剤化することができ、制御放出マトリックス中にあり得る。該医薬組成物は、さらに医薬的に許容される担体、希釈剤、ビークル、または賦形剤を含み得る。医薬組成物がペルヘキシリンを含む場合は、該方法はさらに少なくとも1の抗VEGF処置を1群の細胞、組織、もしくは生物体に投与することを含み得る。抗VEGF処置はAVASTINまたはMACUGENでありうる。
【0015】
さらなる態様によれば、医薬的有効量のブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物、もしくはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、または組み合わせを一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生を刺激する方法を提供する。該は哺乳動物でありうる。該哺乳動物は、卒中、虚血性心疾患、創傷治癒、虚血、心筋梗塞、心筋症、狭心症、不安定狭心症、冠動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症、および脳梗塞からなる群から選ばれる病状を有し得る。該化合物は局所投与してよい。
【0016】
さらなる態様によれば、ブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物、もしくはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、または組み合わせを含む医薬的有効量の医薬組成物を一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生を刺激する方法を提供する。該生物体は哺乳動物でありうる。該哺乳動物は、卒中、虚血性心疾患、創傷治癒、虚血、心筋梗塞、心筋症、狭心症、不安定狭心症、冠動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症、および脳梗塞からなる群から選ばれる病状を有しうる。
【0017】
さらなる態様によれば、ブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物を含む、血管新生を促すのに有効な量の医薬組成物を組織に投与することを含む組織の血流量を増加する方法を提供する。
【0018】
便宜上、明細書、実施例、および添付の請求の範囲で使用するある種の用語をここにまとめる。
【0019】
用語「患者」は、本明細書に開示した新規処置の対象を表す。
【0020】
用語「組織」は、一群の生細胞を表す。該用語は、適切な単一細胞および細胞群を含むと読むべきである。該用語は、臓器(器官)を含むと読むこともできる。該用語は、in situの生体(生)物質だけでなくin vitroで培養し、または生物体から抽出した生体物質も表す。
【0021】
用語「動物」または「生物体」は哺乳動物、好ましくはヒトを表す。
【0022】
用語「血管新生」は、生細胞、組織、または生物体が新生血管を形成するプロセスを意味する。
【0023】
用語「血管新生に作用する」は、処置組織または生物体における血管新生に作用する化合物またはプロセスを意味する。該効果は、例えば血管新生の阻害または促進であり得る。
【0024】
用語「血管新生関連病状」は、血管新生または血管新生の増加/減少、またはその欠如により影響を受けることが認識された、将来血管新生に関連するかもしれない病状を含むいずれかの医学的病状または疾患状態を表す。そのような病状の例には、癌、肉腫、網膜症、黄斑変性、角膜潰瘍、卒中、虚血性心疾患、不妊症、潰瘍、スクレラドーマ(scleradoma)、創傷治癒、虚血、虚血性心疾患、心筋梗塞、心筋症、狭心症、不安定狭心症、冠動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症、Berger病、動脈塞栓症、動脈血栓症、脳血管閉鎖、脳梗塞、脳血栓症、脳塞栓症、ルベオーシス、増殖性硝子網膜症、慢性炎症、炎症性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、および関節リウマチが含まれる。
【0025】
用語「刺激物質(刺激剤)」は、処置組織または患者における天然または典型的(すなわち、無影響の)血管新生を開始し、促進し、またはその速度、持続時間、または程度を増大させる分子または化合物を表す。
【0026】
用語「阻害剤(インヒビター)」は、処置組織または患者における天然または典型的(すなわち、無影響の)血管新生を止め、抑制し、減少させ、妨げ、または遅延させる分子または化合物を表す。
【0027】
本明細書で用いている用語「医薬」、「医薬化合物」または「薬物」は、生細胞、組織、ヒト、または他の動物に用いるあらゆる医薬物質を表す。化合物類似体、天然または合成の化合物がこの定義内に含まれる。
【0028】
用語「医薬的に許容される」は、患者に投与したときに生理学的に耐容性があり、典型的にはアレルギー性または同様の有害な反応を生じない分子的実体および組成物を表す。
【0029】
本明細書で使用する用語「医薬的有効量」は、所望の投与方法の部分として適用したときにいくらかの臨床的に有意な変化を生じる程度に血管新生に作用するに十分な量を意味する。血管新生阻害剤と組み合わせて用いるときは、該用語は処置した組織または患者における血管新生を、抑制し、または好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%、最も好ましくは少なくとも約90%減少させる量を意味する。「医薬的有効量」に対応する本明細書に記載のある化合物の量は、特定の化合物、病状、およびその重症度、それを必要とする哺乳動物の同一性のような因子に応じて変化するだろう。
【0030】
「処置(治療)する」または「処置(治療)」は、血管新生に作用することにより軽減するヒトのような哺乳動物における病状の少なくとも緩和を意味することを意図し、これには(a)特に哺乳動物が該病状に罹りやすいことがわかっているがまだそれと診断されていない哺乳動物の予防的処置、(b)該病状の阻害、および/または(c)全体的または部分的な病状の緩和が含まれる。
【0031】
「医薬的に許容されるプロドラッグ」は、本明細書に記載の式の一つの化合物に対する加溶媒分解によるかまたは生理学的条件下で変換することができる化合物を意味する。
【0032】
「医薬的に許容される活性代謝産物」は、本明細書に記載の一つの化合物の、患者の体内のような生理学的代謝を通して生成される医薬活性生成物を意味する。
【0033】
「医薬的に許容される溶媒和物」は、本明細書に記載の式の一つの生理学的活性化合物の生物学的有効性および特性を保持する溶媒和物を意味する。医薬的に許容される溶媒和物の例には、限定されるものではないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、またはエタノールアミンと組み合わせた本明細書に記載の1またはそれ以上の化合物が含まれる。
【0034】
「医薬的に許容される塩」は、本明細書に記載の化合物の遊離酸および塩基の生物学的有効性および特性を保持する、生物学的もしくはその他で望ましくないものでない塩を意味する。
【0035】
医薬的に許容される塩の例には、限定されるものではないが、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、クロリド、ブロミド、ヨード、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、蟻酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオレート、蓚酸塩、マロン酸塩、琥珀酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、安息香酸塩、クロロベンゾエート、安息香酸メチル、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエート、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホネート、酢酸フェニル、フェニルプロピオネート、フェニルブチレート、クエン酸塩、乳酸塩、ガンマ−ヒドロキシブチレート、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホネート、ナフタリン-1-スルホン酸塩、ナフタリン-2-スルホン酸塩およびマンデレートが含まれる。
【0036】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、または有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸;グルクロン酸およびガラクツロン酸のようなピラノシジル酸;クエン酸と酒石酸のようなアルファ−ヒドロキシ酸;アスパラギン酸とグルタミン酸のようなアミノ酸;安息香酸と桂皮酸のような芳香族酸;p-トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸のようなスルホン酸などによる遊離塩基の処理を含む当該分野で知られたあらゆる適切な方法により製造してよい。
【0037】
本発明の化合物が酸である場合、所望の塩は、遊離酸の、無機または有機塩基、例えばアミン(第一、第二、または第三);アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物などによる処理を含む当該分野で知られたあらゆる適切な方法により製造してよい。適切な塩の例には、グリシンとアルギニンのようなアミノ酸;アンモニア;第一、第二、第三アミン;およびピペリジン、モルホリン、およびピペラジンのような環状アミン;ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、またリチウム由来の無機塩が含まれる。
【0038】
固体である化合物、塩または溶媒和物の場合には、本発明の化合物、塩および溶媒和物は異なった結晶形で存在してよいことを当業者は理解する(それらのすべては本発明の範囲内にあることを意図する)。
【0039】
本発明の化合物は、単一の立体異性体、ラセメート、および/またはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物として存在し得る。そのような単一立体異性体、ラセメート、およびその混合物はすべて、本発明の範囲内にあることを意図する。好ましくは、本発明化合物は光学的に純粋な形で用いられる。
【0040】
一般的に当業者が理解するように、光学的に純粋な化合物はエナンチオマー的に純粋なものである。本明細書で用いているように、用語「光学的に純粋な」は、所望の医薬活性を有する化合物を生じるように少なくとも十分な量の単一のエナンチオマーを含む化合物を意味することを意図する。好ましくは、「光学的に純粋な」は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは97.5%、最も好ましくは99%の単一異性体を含む化合物を意味する。
【0041】
本発明は、血管新生に作用する方法、および血管新生関連病状を処置または予防する方法も指向し、該方法または処置は、本明細書に記載の化合物、または医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、活性代謝産物または溶媒和物の使用を含む。
【0042】
血管新生エフェクターとしての本発明化合物の活性は、in vivoおよびin vitroアッセイを含む、当業者が利用可能なあらゆる方法により測定することができよう。
【0043】
本明細書に記載の化合物、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、活性代謝産物および溶媒和物の投与は、当業者に利用可能なあらゆる許容される投与方法に従って行ってよい。適切な投与方法の典型的例には、限定されるものではないが、経口、経鼻、非経口、局所、および経皮が含まれる。
【0044】
本明細書に記載の化合物は、当業者が認識しうるあらゆる適切な医薬の形で医薬組成物として投与してよい。適切な医薬の形には、限定されるものではないが、固体、半固体、液体、または凍結乾燥製剤、例えば錠剤、粉末剤、カプセル剤、サスペンジョン剤、およびエアロゾル剤が含まれる。医薬組成物には、意図した用途に応じて、他の薬学的に活動的な薬剤と同様に適切な賦形剤、希釈剤、ビークル、および担体、および他の医薬活性物質を含んでいてもよい。
【0045】
医薬組成物の適切な医薬の形を調製するための許容される方法は当業者に知られている。例えば、医薬品は、例えば経口、非経口、局所、鼻内、気管支内、および/または眼内投与用の望ましい生成物を得るために、一般技術の薬化学者が関与する工程、例えば混合、顆粒化、および錠剤型に必要な場合は圧縮、および適切ならば成分の混合、充填、および溶解後に製造することができる。
【0046】
固体または液体の医薬的に許容される担体、希釈剤、ビークル、または賦形剤を、該医薬組成物に使用してよい。固体担体の具体例には、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水塩、石膏、蔗糖、タルク、ゼラチン、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体担体の具体例には、アルコール、オイル、生理食塩水、および水が含まれよう。担体または希釈剤には、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのような適切な徐放物質を単独またはワックスとともに含んでいてよい。液体担体を用いるときは、調製物はシロップ、エリキシル、エマルジョン、軟ゼラチンカプセル、無菌注射液(例えば溶液)、または非水性または水性液体サスペンジョンの形であってよい。
【0047】
医薬組成物の用量は、少なくとも医薬的有効量の活性化合物(すなわち、本明細書に記載の化合物、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、活性代謝産物、または溶媒和物)を含み、好ましくは1またはそれ以上の医薬的用量単位で構成される。選択した用量は、例えば軟膏やクリームとして局所的に、経口的に、注射により非経口的に、鼻内、気管支内、耳内もしくは眼内注入により連続的に、を含むあらゆる既知の用量の投与方法により血管新生が有効な処置が必要な哺乳動物、例えばヒト患者に投与することができよう。
(図面の簡単な説明)
【0048】
図1は、一次血管新生スクリーニングアッセイの典型的結果を示す。
【0049】
図2は、ペルヘキシリンマレエートの化学構造を示す。
【0050】
図3は、エリスロマイシンの化学構造を示す。
【0051】
図4A、4Bおよび4Cは、ペルヘキシリン用の細胞増殖データを示す。
【0052】
図5A、5Bおよび5Cは、エリスロマイシン用の細胞増殖データを示す。
【0053】
図6A、6Bおよび6Cは、ペルヘキシリンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【0054】
図7A、7Bおよび7Cは、エリスロマイシンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【0055】
図8は、ペルヘキシリンで処置したB16F10細胞の細胞生存性データを示す。
【0056】
図9は、エリスロマイシンで処置したB16F10細胞の細胞生存性データを示す。
【0057】
図10は、2つのVEGFR-1阻害剤のIC50値を示す。
【0058】
図11Aおよび11Bは、それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたペルヘキシリンのIC50値を示す。
【0059】
図12Aおよび12Bは、それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたエリスロマイシンのIC50値を示す。
【0060】
図13、リスリド(S)(-)の化学構造を示す。
【0061】
図14は、ミコナゾールの化学構造を示す。
【0062】
図15は、スルコナゾールの化学構造を示す。
【0063】
図16は、フルタミドの化学構造を示す。
【0064】
図17は、ダナゾールの化学構造を示す。
【0065】
図18は、リスリドの細胞増殖データを示す。
【0066】
図19は、ミコナゾールの細胞増殖データを示す。
【0067】
図20は、フルタミドの細胞増殖データを示す。
【0068】
図21は、ダナゾールの細胞増殖データを示す。
【0069】
図22は、選択した化合物で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
【0070】
図23は、VEGFと組み合わせた選択した化合物で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
【0071】
図24は、選択した化合物およびVEGFR-1阻害剤で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
(詳細な説明)
【0072】
以下の実施例は単に本発明の例示であって、本発明を制限するものではない。供給源が特に記載されていない場合は、物質は知られており、市販されている。
【0073】
本発明の化合物はその製造および使用中にある点で以下に記載のものと異なる化学および構造特性を有していてもよいと理解すべきである。例えば、使用中に該化合物は、あるパラメーターについて以下に記載した範囲外の特性を有する中間体を生じる一連の物質代謝を受けてもよい。しかしながら、それにもかかわらずかかる中間体および代謝終末産物は、投与前、投与中、または投与後に一度に以下に記載の必要条件値を有すればまだ本発明の範囲内である。
【0074】
上記のように、本発明の化合物は血管新生に作用するために用いることができる。
細胞または組織培養への適用および患者への投与にかかる用途を制限することができるかもしれない。本発明が当業者に完全に開示されることを保証するために、本発明化合物の同定に関する詳細は本明細書において序論として提供される。説明が特定の工程または物質の目的を提供する場合は、かかる目的は作用機序の現在の理解に基づく。かかる説明は完全な開示のために提供されるが、本発明は本明細書に記載の理論に拘束されない。
(一次血管新生スクリーニング)
HUVECスフェロイド評価
【0075】
被検物質を血管新生スクリーニングにおける評価用に選択した。被検物質を必要に応じて合成するかまたは得、DMSO中で-20℃で保存した。使用に先立って、被検物質を溶解し、5mMの物質を内皮細胞基礎培地で希釈し、10倍濃縮希釈標準液(100μM)とした。基礎培地分画にHUVEC発芽刺激のために25ngのVEGF/100μlを添加した。
【0076】
スクリーニング手順は、KorffおよびAugustin(J Cell Sci 112:3249-58、1999)に記載されたものを修正したものであった。要約すると、スフェロイドを、非接着性96ウェルプレートの各ウェルに400個のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をピペッティングにより調製した。使用に先立って、HUVECを取扱説明書に従って培養した(PromoCell、Heidelberg、Germany)。細胞を一夜凝集させてスフェロイドにした(KorffおよびAugustin:J Cell Biol 143:1341-52、1998)。凝集後、48個のHUVECスフェロイドを得た。得られた各スフェロイドをメトセルコラーゲン溶液900μlに播き、24ウェルプレートの個々のウェル中でピペッティングしコラーゲンゲル重合させた。
【0077】
播いた30分後に被検物質を加えた。希釈標準液(10倍濃縮物)を利用し、100μlを各ウェルの重合コラーゲンゲルの上部でピペッティングした。次いでプレートを37℃で24時間インキュベーションした。インキュベーション終了時に、各ウェルに1mlのパラホルムアルデヒド(10%)を加えてプレートを固定した。
【0078】
HUVECスフェロイドは、内皮細胞(EC)の発芽強度を顕微鏡的にアッセイした。ECの発芽度は、VEGFコントロール細胞で観察された発芽度との比較により、4グループのうちの1つに分類した。該グループは、強く発芽を阻害(被検化合物が強い血管新生阻害剤であることを示す)、発芽を基礎発芽まで阻害(被検化合物が血管新生阻害剤であることを示す)、VEGFコントロール発芽より過度に高い(被検化合物が血管新生刺激剤であることを示す)、VEGFコントロール発芽と区別不能(被検化合物は無効であるようである)であった。典型的な結果については図1参照。
NHDFスフェロイド評価
【0079】
被検化合物が阻害剤または刺激剤として分類された場合、二次スクリーニング法を実施した。二次スクリーニングでは、被検物質を溶解し、5mMの物質を内皮細胞基礎培地で希釈して10倍濃縮希釈標準液(100μM)とした。基礎培地に添加物を用いなかった。
【0080】
HUVECの代わりに、スフェロイドを非接着性96ウェルプレートの各ウェル中で400個のヒト皮膚繊維芽細胞(NHDF)をピペッティングして調製した。使用に先立って、NHDFを使用説明書に従って培養した(PromoCell、Heidelberg、Germany)。細胞を一夜凝集させてスフェロイドとした(KorffおよびAugustin:J Cell Biol 143:1341-52、1998)。凝集後、48個のNHDFスフェロイドを得た。得られた各スフェロイドをメトセルコラーゲン溶液900μlに播き、24ウェルプレートの個々のウェル中でピペッティングしコラーゲンゲル重合させた。
【0081】
播いた30分後に被検物質を加えた。希釈標準液(10倍濃縮物)を利用し、100μlを各ウェルの重合コラーゲンゲルの上部でピペッティングした。次いでプレートを37℃で24時間インキュベーションした。インキュベーション終了時に、各ウェルに1mlのパラホルムアルデヒド(10%)を加えてプレートを固定した。
【0082】
HUVECスフェロイドは、繊維芽細胞散乱強度を顕微鏡的にアッセイした。繊維芽細胞散乱強度の程度を以下の4グループのうちの1つに分類した。散乱の強い阻害(被検化合物が非特異的阻害剤であることを示す)、散乱を阻害または軽度にのみ阻害(被検化合物がEC特異的阻害剤であることを示す)、散乱に無影響(被検化合物がEC特異的刺激剤であることを示す)、散乱増加(被検化合物が非特異的刺激剤であることを示す)。典型的な結果については図1参照。
血管新生阻害剤
【0083】
被検化合物がHUVEC発芽を基礎発芽まで減少させるか、全く発芽がなかった場合、およびNHDF散乱が影響されないか、軽度に影響された場合、該化合物を血管新生阻害剤とみなした。
ペルヘキシリンマレエート
【0084】
ペルヘキシリンマレエートは1つのそのような阻害剤である。その化学構造を図2に示す。そのCAS番号は6724-53-4、式構造はC23H39NO4、分子量は393.6である。ペルヘキシリンマレエートは発芽阻害を示したが、繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生阻害剤にした。
エリスロマイシン
【0085】
エリスロマイシンは1つのそのような阻害剤である。その化学構造を図3に示す。そのCAS番号は114-07-8であり、式構造はC37H67NO13、分子量は733.9である。エリスロマイシンは発芽阻害を示したが繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生阻害剤にした。この知見は、エリスロマイシンの歴史的用途、および該化合物の代替適用のより最近の研究に照らしても驚くべきことである。
【0086】
上記化合物を血管新生阻害剤であると確認することにより、本発明者らは血管新生を阻害または抑制する新規化合物を利用可能にする。癌のようなある疾患状態の患者における血管新生を抑制、減少、または停止させることが望ましいかもしれない。あるいは、さらに血管新生のメカニズムを検討するために、他の点では健康な動物または細胞/組織培養モデルにおける血管新生を抑制することが望ましいかもしれない。
阻害を確認するin vitro試験
細胞増殖アッセイ
【0087】
上記驚くべき結果をさらに確認するため、該化合物を細胞増殖アッセイで試験した。クリスタルバイオレットを細胞増殖を測定するために用いた。この塩基性染料は細胞核を染色し、感度のよい迅速な評価をもたらす。無染色または脱色細胞層の光吸収はごくわずかであり、それによりウェル中の細胞数測定を行うことができた。
【0088】
6細胞種(HUVEC、HDMEC、SMC、繊維芽細胞、A375およびRENCA)をプレートに播き(プレートし)、72時間log2滴定で化合物を処理した。各細胞種の最適細胞数を決定し、濁度(OD)を595nmで測定した。各データポイントは四重に測定した。アッセイを72時間後に止め、次いで分析した。
【0089】
化合物添加前のプレートした細胞のOD値を処置後に得られたすべてのOD値から引いた。次に、コントロール増殖に対するパーセンテージを計算した。したがって、負の値は、プレートしたより少ない細胞数を表わす。IC50を下記表1に示す。結果は、コントロール増殖に対するパーセンテージで示す。IC50をGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software、Inc.)を用いて計算した。ペルヘキシリンの結果は図4A-4Cに、エリスロマイシンの結果は図5A-5Cにグラフで示す。
表1:増殖分析で得られたIC50の要約
【0090】
【表1】
細胞生存率アッセイ
【0091】
レサズリンの蛍光産物レゾルフィンへの細胞による還元にもとづく細胞生存率アッセイを行った。生細胞は色素を代謝し還元することができるが、死細胞はその能力を急速に失い、それにより蛍光の増加は生細胞数に正比例する。被検化合物をlog2滴定に加え、処理の24時間後に分析した。蛍光を560nmの励起波長および590nmの放射波長で測定した。非処理コントロール増殖に対する生細胞のパーセンテージを計算した。表2は、細胞生存率アッセイで得られたIC50値を示す。ペルヘキシリンの結果は図6A-6Cに、エリスロマイシンの結果は図7A-7Cにグラフで示す。
表2:細胞生存率アッセイで選択されたIC50結果の要約
【0092】
【表2】
【0093】
2つの前記アッセイから、該増殖アッセイおよび該生存率アッセイにおいてペルヘキシリンで処理するとRENCA細胞が他の細胞種より感度が高いことがわかった。したがって、その後はB16F10細胞で試験した。B16F10腫瘍モデルは、RENCAモデル同様、同所性腫瘍モデルである。ペルヘキシリンおよびエリスロマイシン処理B16F10細胞を24および48時間インキュベーション後のIC50は1.0x10-5Mで測定し、結果を図8および9に示す。
VEGF阻害剤と組み合わせた相乗効果の評価
【0094】
3D血管新生アッセイは、変動が狭くIC50決定に適している。したがって、該アッセイを被検化合物単独またはVEGFR-2阻害剤と組み合わせて適用し、IC50の変化に対処した。試験した阻害剤はSU5614およびPTK787/ZK222584であった。VEGFR-2阻害剤はIC50に近い濃度で適用した。
【0095】
SU5614はIC50=4.2x10-6Mを有し、特にSun L、et al.、Synthesis and biological evaluations of 3-substituted indolin-2-ones: a novel class of tyrosine kinase inhibitors that exhibit selectivity toward particular receptor tyrosine kinases. J Med Chem. 1998 Jul 2; 41(14): 2588-603に記載されており、例えばCalbiochemから利用可能である。PTK787/ZK222584(時々、図中でAG1と略した)は、IC50=1.0x10-7Mを有し、特に、Bold、G. et al.、New anilinophthalazines as potent and orally well absorbed inhibitors of the VEGF receptor tyrosine kinases useful as antagonists or tumor-driven angiogenesis、J. Med. Chem.2000、43、2310-2323に記載されている。
【0096】
VEGFR-2阻害剤のIC50値はスフェロイドに基づいた3D分析で決定した。図10参照。ペルヘキシリンまたはエリスロマイシンは、AGと組み合わせて試験するときはゲルの上部に、SU5614と組み合わせて試験するときはゲル中に直接、それぞれ図11AおよびBおよび12AおよびBに示す濃度で加えた。データを表3にまとめる。
表3:相乗的3D血管新生アッセイで得られたIC50のまとめ
【0097】
本発明化合物の有用な効果を証明するためにさらにアッセイを行うことができる。例えば、Spherogenex血管新生アッセイを用いて被検化合物の特定のエナンチオマーの効果を明らかにすることができる。血管新生は時々VEGFにより誘導されることが知られているので、該アッセイを用いてbFGF性血管新生を確認することにより非VEGF性血管新生に対する該化合物の効果を測定することができる。血管新生調節化合物を用いる処理および非処置コントロールと比較するSpherogenex血管新生のmRNA発現プロフィールを用いて、被検化合物によりどのシグナリング経路が影響を受けるかを決定することができよう。
【0098】
さらなる分析の一例はHepato-Cellular Carcinoma Model(HCC)in vivo試験である。かかる試験は、Alexander細胞のような皮下および高度血管新生腫瘍モデルにおけるペルヘキシリンとエリスロマイシンの抗血管新生効果を評価することができる。ペルヘキシリンは、繊維芽細胞散乱(IC50=1.9x10-5M)より強力にHUVECのin vitro 3D発芽(IC50=1.5x10-6M)に作用することが示された。ペルヘキシリンは、潜在的抗血管新生効果と干渉する約10μMのIC50で、細胞(内皮細胞、繊維芽細胞、Alexander細胞)の生存性に影響がある。HUVEC発芽に対するエリスロマイシンの影響はVEGFR-2阻害剤と組み合わせた時にのみ観察された。そのようなさらなる研究において、エリスロマイシン単独の抗血管新生効果を排除することができるかもしれない。
【0099】
Alexander細胞(PLC/PRF/5)は、例えばAmerican Type Culture Collection (Manassas、Virginia、USA)から利用可能である。Alexander細胞の単層培養は、85%Dulbecco変法Eagle培地(DMEM)、15%ウシ胎仔血清(FBS)、4mM L-グルタミン、100単位ペニシリンG/mlおよび100μg硫酸ストレプトマイシン/ml中で増殖させることができる。該細胞は、37℃、90%空気および10%二酸化炭素の加湿雰囲気下で培養することができる。培地は4日間毎に交換するのが好ましい。
【0100】
6〜8週齢の雌のNMRI-nu/nuマウスを利用してよい。Alexander細胞は、29G針注射器を用いて左脇腹の皮下腔間に0.2mlの部分標本中4x107細胞を注射することによりマウスの左脇腹領域に移植することができる。接種後、出現する皮下腫瘍は、すべての三次元の距離を測定し、掛けることにより測定することができる。
【0101】
腫瘍サイズが約100mm(試験第1日)に達した後に治療を開始し、約21日間継続することができる。下記表4に詳述するように4実験群を用いてよい。
表4:in vitro分析のための任意的投与計画
【0102】
示すように、第1群はコントロールとして用いられ、動物は、Alexander細胞注射後さらなる処理を受けないだろう。第2群は、経口胃管投与により40mg/kgを毎日投与することにより腫瘍に対するペルヘキシリンの効果を評価することができよう。第3群は、標準用量、例えば10mg/kg i.p.のエリスロマイシンを1日1回、好ましくは低用量のPTK787/ZK222584と共に投与してよい。第4群は、50mg/kgの用量でPTK787/ZK222584を1日2回経口投与することができよう。所望により第4群のサブグループまたは別個の第5群に、低用量のPTK787/ZK222584を投与することができよう。
【0103】
約21日間の処置後、マウスを屠殺し、腫瘍を回収し、所望により-80℃に保存することができよう。腫瘍血管の組織学的検査のために、組織(厚さ5-10μm)の凍結切片を得ることができる。血管の視覚化のために、CD31(PECAM-1)について免疫組織化学染色を行うことができ、血管を顕微鏡で所定倍率(x200)で数えた。所望により写真を含む全ての組織切片の検査は低倍率で行うことができる。腫瘍組織の増殖指数を凍結切片のBrdU標識により検討することができよう。その場合、BrdU(500mg/kg)を屠殺12時間前に動物に投与すべきである。アポトーシス指数を観察するため、凍結切片をTUNEL染色してよい。
【0104】
既に得られた有意な結果に基づいて、そのような試験は、コントロールの第1群と比較して第2-4群において腫瘍サイズの減少を示すと予想される。可変量(低および高用量)のPTK787/ZK222584を第4群に与えると、高用量を投与されたものが低用量のものより腫瘍がより小さいと予想される。ペルヘキシリンで処理した第2群の動物、および低用量のPTK787/ZK222584と組み合わせてエリスロマイシンを投与した第3群の動物の両方が、高用量PTK787/ZK222584の動物で見られた規模の腫瘍の減少があると予想されるだろう。ペルヘキシリンおよびエリスロマイシン/VEGFR2阻害剤の両方が驚くべき血管新生阻害活性を有することが示されたので、これら化合物を投与された動物の腫瘍はコントロール動物で観察されたものよりかなり小さいだろう。腫瘍のアポトーシスが増加するかもしれないし、第2および3群の動物において微小血管密度の減少が観察されるかもしれない。
血管新生刺激剤
【0105】
被検化合物がVEGFコントロールを超える過度のHUVEC発芽を刺激するか、またはNHDF散乱が影響を受けないかもしくは軽度にしか増加しなかった場合は、該化合物を血管新生刺激剤とみなした。
ドーパミン調整剤
【0106】
ブロモクリプチンは、分子式C32H40BrN5O5・CH4SO3および分子量750.70の血管新生刺激剤である。エチクロプリドは、リスリド(S)(-)のようにドーパミンレセプター遮断薬としても知られる。リスリドの化学構造を図13に示す。そのCAS番号は18016-80-3、式構造はC20H26N4O、分子量は338.5である。リスリド(S)(-)は、発芽刺激の増加を示したが、繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生刺激剤とした。これは、これらドーパミン調整剤のあるものは血管新生に対する効果がなく、実際に血管新生を抑制するように働くことを示唆した先に記載のおよび上記の研究と驚くべき対照をなす。
抗真菌剤
【0107】
ミコナゾールは1つのこのような刺激剤である。その化学構造を図14に示す。そのCAS番号は22916-47-8、式構造はC18H14C14N2O、分子量は416.1である。ミコナゾールは発芽刺激の増加を示したが、繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生刺激剤とした。スルコナゾール(その化学構造は図15に示す)は、(±)-1-[2.4-ジクロロ-b-[(p-クロロベンジル)-チオ]-フェネチル]イミダゾール一硝酸塩である。エコナゾールは、1-[2-{(4-クロロ-フェニル)メトキシ}-2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル]-1H-イミダゾール一硝酸塩であり、共に既知の抗真菌剤であり、驚くべきことに同様に血管新生刺激剤であることが示された。
抗アンドロゲン
【0108】
フルタミドは1つのそのような刺激剤である。その化学構造は図16に示される。そのCAS番号は13311-84-7、式構造はC11H11F3N2O3、分子量は276.2である。フルタミドは、発芽刺激の増加を示したが、繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生刺激剤とした。ダナゾールも驚くべきことに血管新生刺激剤であることが示された抗アンドロゲンである。その化学構造は図17に示される。そのCAS番号は17230-88-5、式構造はC22H27NO2、分子量は337.5である。ダナゾールは、発芽刺激の増加を示したが、繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生刺激剤とした。
【0109】
上記化合物を血管新生刺激剤であると確認することにより、本発明者らは、血管新生を刺激または開始する新規化合物の可能性をもたらす。虚血のようなある疾患状態の患者における血管新生を刺激することが望ましいかもしれない。あるいは、さらに血管新生のメカニズムを検討するために、動物または細胞/組織培養モデルにおける血管新生を刺激することが望ましいかもしれない。例えば、本発明化合物を投与することにより、腫瘍発現動物モデルにおける血管新生を刺激し、腫瘍増殖のさらなる研究機会と腫瘍の治療について研究するためのおそらく改良された動物モデルを提供するかもしれない。
刺激を確認するin vitro試験
細胞増殖アッセイ
【0110】
上記驚くべき結果をさらに確認するため、該化合物を細胞増殖アッセイで試験した。アッセイは上記のごとく行った。第0日のOD値を処置72時間後のOD値から引いた。したがって、負の値は、最初にプレートしたより細胞が少ない観察結果を表わし、さらにHUVECに対する該化合物の細胞傷害効果を示す。該化合物は増殖を阻害し、結果を図18-21に示す。
HUVECスフェロイドの結果
【0111】
血管新生阻害剤について上に記載したように、血管新生刺激剤であることが新たに分かった化合物も3D血管新生アッセイで評価した。それらはすべて常に独立してEC発芽を刺激し、さらにVEGF誘導発芽を増加させることがわかった。
【0112】
HUVEC単層培養を該化合物で6時間処理し、無処置HUVECと比較した該誘導転写変化を測定した。該化合物は、VEGFを添加しない、VEGFと組み合わせた、およびVEGFR-2阻害剤PTK787/ZK222584(1μM)と一緒の発芽誘発能を試験した。VEGFR-2阻害剤は、1μMの濃度のVEGF誘発発芽を完全に妨げる。
【0113】
図22は、HUVEC発芽に対する該化合物単独の効果を示し、処置の24時間後に基礎発芽を引き、得られた発芽をVEGF誘発発芽と比較した。ブロモクリプチンとエチクロプリドは共にVEGF誘発発芽以上に発芽を刺激した。
【0114】
VEGF(25ng/ml)と組み合わせて与えた化合物についても評価し、データを図23に示した。該化合物はVEGF誘導血管新生をさらに増強することができる。PTK787/ZK222584と共に投与した該化合物の評価の結果を図24に示し、無処置コントロールと比較したパーセンテージで示す。結果は、VEGFR阻害剤によって発芽を阻害することができないので発芽がVEGF依存でないことを示す。
さらに刺激を解明するためのin vivo試験
【0115】
上記in vitro法に加えて、in vivo試験も行い、さらに被検化合物の作用をさらに限定し、定量してよい。被検化合物は、Passaniti、A. et al Lab Invest. 1992 Oct;67 (4):519-28に記載のごとくマトリゲル血管新生アッセイにおいて血管新生刺激剤(例えばVEGFまたはbFGFのような成長因子)あり、またはなしで評価してよい。あるいはまたはさらに、Guedez、L.、et al.、American Journal of Pathology、2003、vol. 162、no. 5, 1431-39に記載の改良マトリゲル血管新生法を用いてもよい。
【0116】
心筋梗塞および組織虚血の疾患モデルにおける血管新生プロセスに対する被検化合物処置の効果の分析により情報を蓄積することができよう。かかるモデルは当業者に知られており、例えば、W003/000009(PCT/US02/19568)およびWitzenbichler B.、Am J Phathol. 1998 Aug; 153(2): 381-94に記載されている。
【0117】
実施しうるさらなるin vitro評価では、WO 05/008250に記載のような該化合物で処置したマウスの網膜血管化および血管密度が評価されよう。
使用する用量と指針
【0118】
本明細書に記載の化合物を用いて血管新生に作用することができる。化合物量、投与経路および他の関連因子は、化合物の最初の適応のために勧められた投薬計画に基づくことができよう。かかる情報は当業者に利用可能である。例えば、Goodman & Gilman、The Pharamacological Basis of Therapeutics参照。投薬および送達は患者の要求、および当該分野での発達とともに患者の要求および改善された投薬技術の有効性に基づいて修飾してよい。
【0119】
好ましい処置方法は、さらに処置後の影響を受けた組織または生物体の血管新生の検出工程を含んでいてもよい。血管新生の検出方法は当該分野で知られている。例えば米国特許番号6,689,807参照。
【0120】
本発明化合物は、血管新生に影響することができる代謝産物質を生成するためにヒトのような生物体の体内の酵素によって代謝され、血管新生に影響しうる代謝産物を生成しうると予期される。かかる代謝産物は本発明の範囲内である。酵素代謝のような処理を受けた後に本発明化合物を生じる前駆体化合物を投与してよいことも予期される。
【0121】
ある状況では、当業者は、1またはそれ以上の上記化合物を別の活性化合物と共に用いることを選択しうる。あるいは、本明細書に記載の2またはそれ以上の化合物を一緒に投与して種々の程度で血管新生に作用することができよう。該化合物は、同時にまたは連続的に投与してよい。化合物の特定の組み合わせが好ましく相互作用するか否かを決定する一つの方法は、線形アイソボログラム(isobologram)(Tallarida RJ. et al、Statistical analysis of drug-drug and site-site interactions with isobolograms、Life Sciences. 45 (11):947-61)を作製することによる。かかる図は、さらなる化合物が単に相加効果を有するのか、またはそれらが相乗効果を有するのかを解明するのを助ける。かかる評価では、少なくとも9つの実験群が評価され、3群が第一化合物の用量反応を定義し、3群が第二化合物の用量反応を定義し、3群がそれら2化合物の固定比率の組み合わせの用量反応を定義する。
【0122】
単一用量群の選択した用量反応値(ED50値)は、相加効果を推測する線としてプロットされる。この線は試験した化合物比に基づき、第一被検化合物と第二被検化合物の比率1:2が示される。混合化合物投与群について測定したデータを仮定相加線と重ね合わせるときは、該相加線の左(すなわち下)にある観察される用量反応は一緒に用いた化合物の相乗効果を示すが、該相加線の右(すなわち上)に観察される用量反応は組み合わせた化合物の拮抗効果を表す。
【0123】
本明細書に記載の化合物は、VEGF活性またはシグナリングをブロックする処置と組み合わせると特に有効かもしれない。そのような抗VEGF処置は、阻害抗VEGFレセプター抗体、可溶性レセプター構築物、アンチセンス戦略、VEGFに対するRNAアプタマー、および低分子量VEGFレセプターチロシンキナーゼ(RTK)阻害剤を含む。
【0124】
上記化合物と組み合わせて用いるのが好ましいかもしれない特定化合物の例には、VEGFに対する組み換えヒト抗体のAVASTIN(ベバシズマブ)、およびVEGFと選択的に結合し、中和するアプタマーであるMACUGEN(ペガプタミブナトリウム)がある。抗VEGF技術の研究は進行中であり、将来、1またはそれ以上の本発明化合物と組み合わせて用いると同様の好ましい効果を示す化合物が期待される。
【0125】
有効用量は、治療条件、治療する対象の年齢と健康状態、病状の重症度、治療の継続時間、同時治療(もしあれば)の性質、特定の投与経路、および医療関係者の知識および専門知識内にある要因により変化するであろう。例えば、閉鎖性または閉塞性血管障害に関して、有効量は、虚血領域の血流を増加させるのに十分な血管新生を生じさせる量である。
【0126】
先の開示は、単に本発明の例示であって、制限することを意図するものではない。本発明の精神および物質を組込む開示した態様の修飾を当業者が思い浮べるかもしれないので、本発明は特許請求の範囲内のすべておよびその等価物を含むと解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】一次血管新生スクリーニングアッセイの典型的結果を示す。
【図2】ペルヘキシリンマレエートの化学構造を示す。
【図3】エリスロマイシンの化学構造を示す。
【図4A】ペルヘキシリン用の細胞増殖データを示す。
【図4B】ペルヘキシリン用の細胞増殖データを示す。
【図4C】ペルヘキシリン用の細胞増殖データを示す。
【図5A】エリスロマイシン用の細胞増殖データを示す。
【図5B】エリスロマイシン用の細胞増殖データを示す。
【図5C】エリスロマイシン用の細胞増殖データを示す。
【図6A】ペルヘキシリンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図6B】ペルヘキシリンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図6C】ペルヘキシリンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図7A】エリスロマイシンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図7B】エリスロマイシンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図7C】エリスロマイシンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図8】ペルヘキシリンで処置したB16F10細胞の細胞生存性データを示す。
【図9】エリスロマイシンで処置したB16F10細胞の細胞生存性データを示す。
【図10】2つのVEGFR-1阻害剤のIC50値を示す。
【図11A】それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたペルヘキシリンのIC50値を示す。
【図11B】それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたペルヘキシリンのIC50値を示す。
【図12A】それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたエリスロマイシンのIC50値を示す。
【図12B】それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたエリスロマイシンのIC50値を示す。
【図13】リスリド(S)(-)の化学構造を示す。
【図14】ミコナゾールの化学構造を示す。
【図15】スルコナゾールの化学構造を示す。
【図16】フルタミドの化学構造を示す。
【図17】ダナゾールの化学構造を示す。
【図18】リスリドの細胞増殖データを示す。
【図19】ミコナゾールの細胞増殖データを示す。
【図20】フルタミドの細胞増殖データを示す。
【図21】ダナゾールの細胞増殖データを示す。
【図22】選択した化合物で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
【図23】VEGFと組み合わせた選択した化合物で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
【図24】選択した化合物およびVEGFR-1阻害剤で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管新生を促進または阻害するのに有用な化合物、および多くの血管新生関連病状に有用な血管新生に作用する化合物を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、そのような血管新生に作用する化合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生は新たな血管を形成するための基本的プロセスである。該プロセスは、血管内皮細胞の組織への遊走、次いで該内皮細胞の血管内への集積を含む。血管新生は、血管新生物質により誘導されるか、自然状態の結果でありうる。血管新生またはその欠如は、種々の病的状態の維持に重要な役割を果たす。これら病状のいくつか、例えば、癌、糖尿病性網膜症、緑内障、および関連黄斑変性は、血管新生を特徴とする。他のもの、例えば、卒中、不妊症、心疾患、潰瘍、および強皮症は、血管新生機能不全の疾患である。
【0003】
血管新生には多くの段階がある(例えば、Zhu and Witte、Invest New Drugs 17:195-212、1999参照)。血管新生の初期段階には、内皮細胞プロテアーゼ産生、細胞遊走、および増殖が含まれる。該初期段階には、いくつかの増殖因子も必要なようである。血管新生の後期には、壁細胞を有する脈管の集合、基底膜生成、および血管床分化の誘導が含まれる。血管新生の最終段階はリモデリングを含み、ここで、形成血管は安定な成熟血管床になる。すなわち、該プロセスは高度に動的であり、しばしば遺伝子発現の協調的な空間的および時間的波を必要とする。
【0004】
複雑な血管新生プロセスは、1またはそれ以上の重要な工程との干渉により崩壊し、多くの病的状態はその崩壊から生じるか悪化する。無秩序な血管新生は疾患を生じるか悪化させることがあり、例えば、眼の血管新生は失明の最も一般的な原因であるとされ、約20の眼疾患の病因の基礎をなす。関節炎のようなある種の先に存在する病状において、新たに形成された毛細血管は関節に侵入し、軟骨を破壊する。糖尿病において、網膜に形成された新しい毛細血管は硝子体液に侵入し、出血と失明を引き起こす。
【0005】
無秩序な血管新生に関連した病因に加え、不十分な血管新生は望ましくない結果ももたらし得る。死滅または損傷した組織は多くの病因となり得、健康で正常な血管新生プロセスによる損傷組織の血管再生はさらなる合併症を防ぐのに必須である。
【0006】
すなわち、医療分野では、血管新生に作用する化合物は多くの病状の治療および研究手段としての可能性がある。天然血管新生作用分子の同定および利用に進歩がみられた。血管新生に作用するのに用いることができる化合物の同定にも進歩がみられている。血管新生に有望な効果があるそれら化合物は許容できない毒性プロフィールがあるか、製造がきわめて困難であるか費用がかかるか、またはその両方であることが多いことが分かっている。現在の知識および利用可能な治療のレベルにかかわらず、当該分野では依然として血管新生に作用するか、または血管新生関連病状を予防もしくは治療するのに利用できるさらなる医薬または化合物の要求がある。
【0007】
ペルヘキシリンは、最初、狭心症の管理に用いられた。ある程度効果があるが、ペルヘキシリン投与は肝臓および神経への副作用も伴う。冠拡張薬としての最初の分類は、カルシウムチャンネルアンタゴニストに訂正されたが、最近のデータは酵素カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1(CPT-1)の阻害を通して作用する心代謝薬であることが示唆されている。Killalea S. M.およびKrum H.は、Am. J. Cardiocasc. Drugs、2001; 1(3):193-204において重症の心筋虚血を管理するためのペルヘキシリンの評価について記載している。
【0008】
エリスロマイシンはStreptomyces erythraeusのある菌株により産生され、マクロライド群の抗生物質に属する。エリスロマイシンは塩基性で酸により容易に塩を形成するが、微生物学的に活性な塩基である。エリスロマイシンは主として細菌感染を治療するために局所または経口投与される。ヒトへのこの薬剤の使用に十分な歴史があることを考えると、それが候補となるあらゆるさらなる適用を解明することが望ましい。ある最近の研究では、エリスロマイシンの新しい適用が示唆された。例えば、Yatsunami J、et al.、Inhibitory effects of roxithromycin on tumor angiogenesis、growth and metastasis of mouse B16 melanoma cells、Clin Exp Metastasis. 1999 Mar;17(2): 119-24; Yatsunami J、et al.、Inhibition of tumor angiogenesis by roxithromycin、a 14-membered ring macrolide antibiotic、Cancer Lett. 1998 Sep 25;131(2):137-43; Yatsunami J、et al.、Clarithromycin is a potent inhibitor of tumor induced angiogenesis、Res Exp Med (Berl). 1997;197(4):189-97参照。
【0009】
ドーパミン調節因子が知られており、多くが患者に有効に使われている。例えば、ブロモクリプチンメシレート(ブロモクリプチン)は、強力なドーパミンレセプターアンタゴニスト活性を有する麦角誘導体である。ブロモクリプチンは、不妊症のような種々の他の適用に用いることができるが、その潜在的使用の全範囲はまだ解明されていない。同様に、エチクロプリドおよびリスリドは、そのドーパミン調節活性が関連文献に記載されている。ドーパミンおよびドーパミンレセプター2選択的アゴニスト、例えばブロモクリプチンは、Basu S et al.、The neurotransmitter dopamine inhibits angiogenesis induced by vascular permeability factor/vascular endothelial growth factor、Nat Med. 2001 May;7 (5):569-74に血管新生を妨げることが示されている。エチクロプリドは血管新生効果がないことが示された。
【0010】
抗真菌剤が存在することも当該分野で知られている。例えば、ミコナゾール、スルコナゾール、およびエコナゾールは、その抗真菌活性が種々の治療環境で利用されている既知物質である。ミコナゾールがおそらく最もよく知られているが、スルコナゾールも広い抗真菌活性スペクトルを有するイミダゾール誘導体の抗真菌剤である。他の微生物に対して作用するその活性は解明されつつある。エコナゾールは、他の抗真菌剤のように典型的には局所投与される。これを行うと非常に低用量の活性物質が吸収される。これは、他の用途の解明およびエコナゾールの予想される他の用途への利用の両方に有害となりうる。
【0011】
さらに、抗アンドロゲンが提供されており、その例にはフルタミドおよびダナゾールが含まれる。フルタミドはアンドロゲンの阻害に有効に使用されてきたが、その使用に伴って肝損傷の重度の多大なリスクがある。典型的にはフルタミド使用の最初の数カ月以内に肝不全と死亡が報告されている。これにも関わらず、フルタミドのあらゆる他の潜在的有効利用の検討は正当化される。エチステロンから誘導された合成ホルモンのダナゾールは、経口投与後の急速で広範な代謝により望ましい医薬になり得る。主として男性患者に用いられるフルタミドと違って、ダナゾールには男性および女性対象の両方で臨床データがあるという利点もある。
発明の要約
【0012】
したがって、本発明の目的は、血管新生に作用する化合物を提供することである。さらに本発明の目的は、血管新生に作用する化合物の使用方法を提供することである。さらに、本発明の別の目的は、既知の化合物の新たな用途を解明することである。
【0013】
最初の態様において、医薬的有効量のペルヘキシリン、またはエリスロマイシンおよび少なくとも1の抗VEGF処置の組み合わせ、もしくはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、または組み合わせを一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生を阻害する方法を提供する。該生物体は哺乳動物であり得、該哺乳動物は、癌、肉腫、網膜症、黄斑変性、角膜潰瘍、強皮症、Berger病、増殖性硝子網膜症、慢性炎症、炎症性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、および関節リウマチからなる群から選ばれる病状を有し得る。該化合物は局所投与することができる。
【0014】
さらなる態様によれば、ペルヘキシリン、またはエリスロマイシンおよび少なくとも1の抗VEGF処置の組み合わせ、もしくはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、またはその組み合わせを含む医薬的有効量の医薬組成物を一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生の阻害方法を提供する。該生物体は哺乳動物であり得、該哺乳動物は、癌、肉腫、網膜症、黄斑変性、角膜潰瘍、強皮症、Berger病、増殖性硝子網膜症、慢性炎症、炎症性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、および関節リウマチからなる群から選ばれる病状を有し得る。該化合物は局所投与することができる。該医薬組成物は、軟膏(salve)、ゲル、軟膏(ointment)、パッチ、注射剤、経口溶液剤、またはサスペンジョン剤として製剤化することができ、制御放出マトリックス中にあり得る。該医薬組成物は、さらに医薬的に許容される担体、希釈剤、ビークル、または賦形剤を含み得る。医薬組成物がペルヘキシリンを含む場合は、該方法はさらに少なくとも1の抗VEGF処置を1群の細胞、組織、もしくは生物体に投与することを含み得る。抗VEGF処置はAVASTINまたはMACUGENでありうる。
【0015】
さらなる態様によれば、医薬的有効量のブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物、もしくはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、または組み合わせを一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生を刺激する方法を提供する。該は哺乳動物でありうる。該哺乳動物は、卒中、虚血性心疾患、創傷治癒、虚血、心筋梗塞、心筋症、狭心症、不安定狭心症、冠動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症、および脳梗塞からなる群から選ばれる病状を有し得る。該化合物は局所投与してよい。
【0016】
さらなる態様によれば、ブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物、もしくはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、または組み合わせを含む医薬的有効量の医薬組成物を一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生を刺激する方法を提供する。該生物体は哺乳動物でありうる。該哺乳動物は、卒中、虚血性心疾患、創傷治癒、虚血、心筋梗塞、心筋症、狭心症、不安定狭心症、冠動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症、および脳梗塞からなる群から選ばれる病状を有しうる。
【0017】
さらなる態様によれば、ブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物を含む、血管新生を促すのに有効な量の医薬組成物を組織に投与することを含む組織の血流量を増加する方法を提供する。
【0018】
便宜上、明細書、実施例、および添付の請求の範囲で使用するある種の用語をここにまとめる。
【0019】
用語「患者」は、本明細書に開示した新規処置の対象を表す。
【0020】
用語「組織」は、一群の生細胞を表す。該用語は、適切な単一細胞および細胞群を含むと読むべきである。該用語は、臓器(器官)を含むと読むこともできる。該用語は、in situの生体(生)物質だけでなくin vitroで培養し、または生物体から抽出した生体物質も表す。
【0021】
用語「動物」または「生物体」は哺乳動物、好ましくはヒトを表す。
【0022】
用語「血管新生」は、生細胞、組織、または生物体が新生血管を形成するプロセスを意味する。
【0023】
用語「血管新生に作用する」は、処置組織または生物体における血管新生に作用する化合物またはプロセスを意味する。該効果は、例えば血管新生の阻害または促進であり得る。
【0024】
用語「血管新生関連病状」は、血管新生または血管新生の増加/減少、またはその欠如により影響を受けることが認識された、将来血管新生に関連するかもしれない病状を含むいずれかの医学的病状または疾患状態を表す。そのような病状の例には、癌、肉腫、網膜症、黄斑変性、角膜潰瘍、卒中、虚血性心疾患、不妊症、潰瘍、スクレラドーマ(scleradoma)、創傷治癒、虚血、虚血性心疾患、心筋梗塞、心筋症、狭心症、不安定狭心症、冠動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症、Berger病、動脈塞栓症、動脈血栓症、脳血管閉鎖、脳梗塞、脳血栓症、脳塞栓症、ルベオーシス、増殖性硝子網膜症、慢性炎症、炎症性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、および関節リウマチが含まれる。
【0025】
用語「刺激物質(刺激剤)」は、処置組織または患者における天然または典型的(すなわち、無影響の)血管新生を開始し、促進し、またはその速度、持続時間、または程度を増大させる分子または化合物を表す。
【0026】
用語「阻害剤(インヒビター)」は、処置組織または患者における天然または典型的(すなわち、無影響の)血管新生を止め、抑制し、減少させ、妨げ、または遅延させる分子または化合物を表す。
【0027】
本明細書で用いている用語「医薬」、「医薬化合物」または「薬物」は、生細胞、組織、ヒト、または他の動物に用いるあらゆる医薬物質を表す。化合物類似体、天然または合成の化合物がこの定義内に含まれる。
【0028】
用語「医薬的に許容される」は、患者に投与したときに生理学的に耐容性があり、典型的にはアレルギー性または同様の有害な反応を生じない分子的実体および組成物を表す。
【0029】
本明細書で使用する用語「医薬的有効量」は、所望の投与方法の部分として適用したときにいくらかの臨床的に有意な変化を生じる程度に血管新生に作用するに十分な量を意味する。血管新生阻害剤と組み合わせて用いるときは、該用語は処置した組織または患者における血管新生を、抑制し、または好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%、最も好ましくは少なくとも約90%減少させる量を意味する。「医薬的有効量」に対応する本明細書に記載のある化合物の量は、特定の化合物、病状、およびその重症度、それを必要とする哺乳動物の同一性のような因子に応じて変化するだろう。
【0030】
「処置(治療)する」または「処置(治療)」は、血管新生に作用することにより軽減するヒトのような哺乳動物における病状の少なくとも緩和を意味することを意図し、これには(a)特に哺乳動物が該病状に罹りやすいことがわかっているがまだそれと診断されていない哺乳動物の予防的処置、(b)該病状の阻害、および/または(c)全体的または部分的な病状の緩和が含まれる。
【0031】
「医薬的に許容されるプロドラッグ」は、本明細書に記載の式の一つの化合物に対する加溶媒分解によるかまたは生理学的条件下で変換することができる化合物を意味する。
【0032】
「医薬的に許容される活性代謝産物」は、本明細書に記載の一つの化合物の、患者の体内のような生理学的代謝を通して生成される医薬活性生成物を意味する。
【0033】
「医薬的に許容される溶媒和物」は、本明細書に記載の式の一つの生理学的活性化合物の生物学的有効性および特性を保持する溶媒和物を意味する。医薬的に許容される溶媒和物の例には、限定されるものではないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、またはエタノールアミンと組み合わせた本明細書に記載の1またはそれ以上の化合物が含まれる。
【0034】
「医薬的に許容される塩」は、本明細書に記載の化合物の遊離酸および塩基の生物学的有効性および特性を保持する、生物学的もしくはその他で望ましくないものでない塩を意味する。
【0035】
医薬的に許容される塩の例には、限定されるものではないが、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、クロリド、ブロミド、ヨード、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、蟻酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオレート、蓚酸塩、マロン酸塩、琥珀酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、安息香酸塩、クロロベンゾエート、安息香酸メチル、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエート、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホネート、酢酸フェニル、フェニルプロピオネート、フェニルブチレート、クエン酸塩、乳酸塩、ガンマ−ヒドロキシブチレート、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホネート、ナフタリン-1-スルホン酸塩、ナフタリン-2-スルホン酸塩およびマンデレートが含まれる。
【0036】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、または有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸;グルクロン酸およびガラクツロン酸のようなピラノシジル酸;クエン酸と酒石酸のようなアルファ−ヒドロキシ酸;アスパラギン酸とグルタミン酸のようなアミノ酸;安息香酸と桂皮酸のような芳香族酸;p-トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸のようなスルホン酸などによる遊離塩基の処理を含む当該分野で知られたあらゆる適切な方法により製造してよい。
【0037】
本発明の化合物が酸である場合、所望の塩は、遊離酸の、無機または有機塩基、例えばアミン(第一、第二、または第三);アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物などによる処理を含む当該分野で知られたあらゆる適切な方法により製造してよい。適切な塩の例には、グリシンとアルギニンのようなアミノ酸;アンモニア;第一、第二、第三アミン;およびピペリジン、モルホリン、およびピペラジンのような環状アミン;ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、またリチウム由来の無機塩が含まれる。
【0038】
固体である化合物、塩または溶媒和物の場合には、本発明の化合物、塩および溶媒和物は異なった結晶形で存在してよいことを当業者は理解する(それらのすべては本発明の範囲内にあることを意図する)。
【0039】
本発明の化合物は、単一の立体異性体、ラセメート、および/またはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物として存在し得る。そのような単一立体異性体、ラセメート、およびその混合物はすべて、本発明の範囲内にあることを意図する。好ましくは、本発明化合物は光学的に純粋な形で用いられる。
【0040】
一般的に当業者が理解するように、光学的に純粋な化合物はエナンチオマー的に純粋なものである。本明細書で用いているように、用語「光学的に純粋な」は、所望の医薬活性を有する化合物を生じるように少なくとも十分な量の単一のエナンチオマーを含む化合物を意味することを意図する。好ましくは、「光学的に純粋な」は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは97.5%、最も好ましくは99%の単一異性体を含む化合物を意味する。
【0041】
本発明は、血管新生に作用する方法、および血管新生関連病状を処置または予防する方法も指向し、該方法または処置は、本明細書に記載の化合物、または医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、活性代謝産物または溶媒和物の使用を含む。
【0042】
血管新生エフェクターとしての本発明化合物の活性は、in vivoおよびin vitroアッセイを含む、当業者が利用可能なあらゆる方法により測定することができよう。
【0043】
本明細書に記載の化合物、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、活性代謝産物および溶媒和物の投与は、当業者に利用可能なあらゆる許容される投与方法に従って行ってよい。適切な投与方法の典型的例には、限定されるものではないが、経口、経鼻、非経口、局所、および経皮が含まれる。
【0044】
本明細書に記載の化合物は、当業者が認識しうるあらゆる適切な医薬の形で医薬組成物として投与してよい。適切な医薬の形には、限定されるものではないが、固体、半固体、液体、または凍結乾燥製剤、例えば錠剤、粉末剤、カプセル剤、サスペンジョン剤、およびエアロゾル剤が含まれる。医薬組成物には、意図した用途に応じて、他の薬学的に活動的な薬剤と同様に適切な賦形剤、希釈剤、ビークル、および担体、および他の医薬活性物質を含んでいてもよい。
【0045】
医薬組成物の適切な医薬の形を調製するための許容される方法は当業者に知られている。例えば、医薬品は、例えば経口、非経口、局所、鼻内、気管支内、および/または眼内投与用の望ましい生成物を得るために、一般技術の薬化学者が関与する工程、例えば混合、顆粒化、および錠剤型に必要な場合は圧縮、および適切ならば成分の混合、充填、および溶解後に製造することができる。
【0046】
固体または液体の医薬的に許容される担体、希釈剤、ビークル、または賦形剤を、該医薬組成物に使用してよい。固体担体の具体例には、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水塩、石膏、蔗糖、タルク、ゼラチン、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体担体の具体例には、アルコール、オイル、生理食塩水、および水が含まれよう。担体または希釈剤には、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのような適切な徐放物質を単独またはワックスとともに含んでいてよい。液体担体を用いるときは、調製物はシロップ、エリキシル、エマルジョン、軟ゼラチンカプセル、無菌注射液(例えば溶液)、または非水性または水性液体サスペンジョンの形であってよい。
【0047】
医薬組成物の用量は、少なくとも医薬的有効量の活性化合物(すなわち、本明細書に記載の化合物、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、活性代謝産物、または溶媒和物)を含み、好ましくは1またはそれ以上の医薬的用量単位で構成される。選択した用量は、例えば軟膏やクリームとして局所的に、経口的に、注射により非経口的に、鼻内、気管支内、耳内もしくは眼内注入により連続的に、を含むあらゆる既知の用量の投与方法により血管新生が有効な処置が必要な哺乳動物、例えばヒト患者に投与することができよう。
(図面の簡単な説明)
【0048】
図1は、一次血管新生スクリーニングアッセイの典型的結果を示す。
【0049】
図2は、ペルヘキシリンマレエートの化学構造を示す。
【0050】
図3は、エリスロマイシンの化学構造を示す。
【0051】
図4A、4Bおよび4Cは、ペルヘキシリン用の細胞増殖データを示す。
【0052】
図5A、5Bおよび5Cは、エリスロマイシン用の細胞増殖データを示す。
【0053】
図6A、6Bおよび6Cは、ペルヘキシリンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【0054】
図7A、7Bおよび7Cは、エリスロマイシンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【0055】
図8は、ペルヘキシリンで処置したB16F10細胞の細胞生存性データを示す。
【0056】
図9は、エリスロマイシンで処置したB16F10細胞の細胞生存性データを示す。
【0057】
図10は、2つのVEGFR-1阻害剤のIC50値を示す。
【0058】
図11Aおよび11Bは、それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたペルヘキシリンのIC50値を示す。
【0059】
図12Aおよび12Bは、それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたエリスロマイシンのIC50値を示す。
【0060】
図13、リスリド(S)(-)の化学構造を示す。
【0061】
図14は、ミコナゾールの化学構造を示す。
【0062】
図15は、スルコナゾールの化学構造を示す。
【0063】
図16は、フルタミドの化学構造を示す。
【0064】
図17は、ダナゾールの化学構造を示す。
【0065】
図18は、リスリドの細胞増殖データを示す。
【0066】
図19は、ミコナゾールの細胞増殖データを示す。
【0067】
図20は、フルタミドの細胞増殖データを示す。
【0068】
図21は、ダナゾールの細胞増殖データを示す。
【0069】
図22は、選択した化合物で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
【0070】
図23は、VEGFと組み合わせた選択した化合物で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
【0071】
図24は、選択した化合物およびVEGFR-1阻害剤で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
(詳細な説明)
【0072】
以下の実施例は単に本発明の例示であって、本発明を制限するものではない。供給源が特に記載されていない場合は、物質は知られており、市販されている。
【0073】
本発明の化合物はその製造および使用中にある点で以下に記載のものと異なる化学および構造特性を有していてもよいと理解すべきである。例えば、使用中に該化合物は、あるパラメーターについて以下に記載した範囲外の特性を有する中間体を生じる一連の物質代謝を受けてもよい。しかしながら、それにもかかわらずかかる中間体および代謝終末産物は、投与前、投与中、または投与後に一度に以下に記載の必要条件値を有すればまだ本発明の範囲内である。
【0074】
上記のように、本発明の化合物は血管新生に作用するために用いることができる。
細胞または組織培養への適用および患者への投与にかかる用途を制限することができるかもしれない。本発明が当業者に完全に開示されることを保証するために、本発明化合物の同定に関する詳細は本明細書において序論として提供される。説明が特定の工程または物質の目的を提供する場合は、かかる目的は作用機序の現在の理解に基づく。かかる説明は完全な開示のために提供されるが、本発明は本明細書に記載の理論に拘束されない。
(一次血管新生スクリーニング)
HUVECスフェロイド評価
【0075】
被検物質を血管新生スクリーニングにおける評価用に選択した。被検物質を必要に応じて合成するかまたは得、DMSO中で-20℃で保存した。使用に先立って、被検物質を溶解し、5mMの物質を内皮細胞基礎培地で希釈し、10倍濃縮希釈標準液(100μM)とした。基礎培地分画にHUVEC発芽刺激のために25ngのVEGF/100μlを添加した。
【0076】
スクリーニング手順は、KorffおよびAugustin(J Cell Sci 112:3249-58、1999)に記載されたものを修正したものであった。要約すると、スフェロイドを、非接着性96ウェルプレートの各ウェルに400個のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をピペッティングにより調製した。使用に先立って、HUVECを取扱説明書に従って培養した(PromoCell、Heidelberg、Germany)。細胞を一夜凝集させてスフェロイドにした(KorffおよびAugustin:J Cell Biol 143:1341-52、1998)。凝集後、48個のHUVECスフェロイドを得た。得られた各スフェロイドをメトセルコラーゲン溶液900μlに播き、24ウェルプレートの個々のウェル中でピペッティングしコラーゲンゲル重合させた。
【0077】
播いた30分後に被検物質を加えた。希釈標準液(10倍濃縮物)を利用し、100μlを各ウェルの重合コラーゲンゲルの上部でピペッティングした。次いでプレートを37℃で24時間インキュベーションした。インキュベーション終了時に、各ウェルに1mlのパラホルムアルデヒド(10%)を加えてプレートを固定した。
【0078】
HUVECスフェロイドは、内皮細胞(EC)の発芽強度を顕微鏡的にアッセイした。ECの発芽度は、VEGFコントロール細胞で観察された発芽度との比較により、4グループのうちの1つに分類した。該グループは、強く発芽を阻害(被検化合物が強い血管新生阻害剤であることを示す)、発芽を基礎発芽まで阻害(被検化合物が血管新生阻害剤であることを示す)、VEGFコントロール発芽より過度に高い(被検化合物が血管新生刺激剤であることを示す)、VEGFコントロール発芽と区別不能(被検化合物は無効であるようである)であった。典型的な結果については図1参照。
NHDFスフェロイド評価
【0079】
被検化合物が阻害剤または刺激剤として分類された場合、二次スクリーニング法を実施した。二次スクリーニングでは、被検物質を溶解し、5mMの物質を内皮細胞基礎培地で希釈して10倍濃縮希釈標準液(100μM)とした。基礎培地に添加物を用いなかった。
【0080】
HUVECの代わりに、スフェロイドを非接着性96ウェルプレートの各ウェル中で400個のヒト皮膚繊維芽細胞(NHDF)をピペッティングして調製した。使用に先立って、NHDFを使用説明書に従って培養した(PromoCell、Heidelberg、Germany)。細胞を一夜凝集させてスフェロイドとした(KorffおよびAugustin:J Cell Biol 143:1341-52、1998)。凝集後、48個のNHDFスフェロイドを得た。得られた各スフェロイドをメトセルコラーゲン溶液900μlに播き、24ウェルプレートの個々のウェル中でピペッティングしコラーゲンゲル重合させた。
【0081】
播いた30分後に被検物質を加えた。希釈標準液(10倍濃縮物)を利用し、100μlを各ウェルの重合コラーゲンゲルの上部でピペッティングした。次いでプレートを37℃で24時間インキュベーションした。インキュベーション終了時に、各ウェルに1mlのパラホルムアルデヒド(10%)を加えてプレートを固定した。
【0082】
HUVECスフェロイドは、繊維芽細胞散乱強度を顕微鏡的にアッセイした。繊維芽細胞散乱強度の程度を以下の4グループのうちの1つに分類した。散乱の強い阻害(被検化合物が非特異的阻害剤であることを示す)、散乱を阻害または軽度にのみ阻害(被検化合物がEC特異的阻害剤であることを示す)、散乱に無影響(被検化合物がEC特異的刺激剤であることを示す)、散乱増加(被検化合物が非特異的刺激剤であることを示す)。典型的な結果については図1参照。
血管新生阻害剤
【0083】
被検化合物がHUVEC発芽を基礎発芽まで減少させるか、全く発芽がなかった場合、およびNHDF散乱が影響されないか、軽度に影響された場合、該化合物を血管新生阻害剤とみなした。
ペルヘキシリンマレエート
【0084】
ペルヘキシリンマレエートは1つのそのような阻害剤である。その化学構造を図2に示す。そのCAS番号は6724-53-4、式構造はC23H39NO4、分子量は393.6である。ペルヘキシリンマレエートは発芽阻害を示したが、繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生阻害剤にした。
エリスロマイシン
【0085】
エリスロマイシンは1つのそのような阻害剤である。その化学構造を図3に示す。そのCAS番号は114-07-8であり、式構造はC37H67NO13、分子量は733.9である。エリスロマイシンは発芽阻害を示したが繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生阻害剤にした。この知見は、エリスロマイシンの歴史的用途、および該化合物の代替適用のより最近の研究に照らしても驚くべきことである。
【0086】
上記化合物を血管新生阻害剤であると確認することにより、本発明者らは血管新生を阻害または抑制する新規化合物を利用可能にする。癌のようなある疾患状態の患者における血管新生を抑制、減少、または停止させることが望ましいかもしれない。あるいは、さらに血管新生のメカニズムを検討するために、他の点では健康な動物または細胞/組織培養モデルにおける血管新生を抑制することが望ましいかもしれない。
阻害を確認するin vitro試験
細胞増殖アッセイ
【0087】
上記驚くべき結果をさらに確認するため、該化合物を細胞増殖アッセイで試験した。クリスタルバイオレットを細胞増殖を測定するために用いた。この塩基性染料は細胞核を染色し、感度のよい迅速な評価をもたらす。無染色または脱色細胞層の光吸収はごくわずかであり、それによりウェル中の細胞数測定を行うことができた。
【0088】
6細胞種(HUVEC、HDMEC、SMC、繊維芽細胞、A375およびRENCA)をプレートに播き(プレートし)、72時間log2滴定で化合物を処理した。各細胞種の最適細胞数を決定し、濁度(OD)を595nmで測定した。各データポイントは四重に測定した。アッセイを72時間後に止め、次いで分析した。
【0089】
化合物添加前のプレートした細胞のOD値を処置後に得られたすべてのOD値から引いた。次に、コントロール増殖に対するパーセンテージを計算した。したがって、負の値は、プレートしたより少ない細胞数を表わす。IC50を下記表1に示す。結果は、コントロール増殖に対するパーセンテージで示す。IC50をGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software、Inc.)を用いて計算した。ペルヘキシリンの結果は図4A-4Cに、エリスロマイシンの結果は図5A-5Cにグラフで示す。
表1:増殖分析で得られたIC50の要約
【0090】
【表1】
細胞生存率アッセイ
【0091】
レサズリンの蛍光産物レゾルフィンへの細胞による還元にもとづく細胞生存率アッセイを行った。生細胞は色素を代謝し還元することができるが、死細胞はその能力を急速に失い、それにより蛍光の増加は生細胞数に正比例する。被検化合物をlog2滴定に加え、処理の24時間後に分析した。蛍光を560nmの励起波長および590nmの放射波長で測定した。非処理コントロール増殖に対する生細胞のパーセンテージを計算した。表2は、細胞生存率アッセイで得られたIC50値を示す。ペルヘキシリンの結果は図6A-6Cに、エリスロマイシンの結果は図7A-7Cにグラフで示す。
表2:細胞生存率アッセイで選択されたIC50結果の要約
【0092】
【表2】
【0093】
2つの前記アッセイから、該増殖アッセイおよび該生存率アッセイにおいてペルヘキシリンで処理するとRENCA細胞が他の細胞種より感度が高いことがわかった。したがって、その後はB16F10細胞で試験した。B16F10腫瘍モデルは、RENCAモデル同様、同所性腫瘍モデルである。ペルヘキシリンおよびエリスロマイシン処理B16F10細胞を24および48時間インキュベーション後のIC50は1.0x10-5Mで測定し、結果を図8および9に示す。
VEGF阻害剤と組み合わせた相乗効果の評価
【0094】
3D血管新生アッセイは、変動が狭くIC50決定に適している。したがって、該アッセイを被検化合物単独またはVEGFR-2阻害剤と組み合わせて適用し、IC50の変化に対処した。試験した阻害剤はSU5614およびPTK787/ZK222584であった。VEGFR-2阻害剤はIC50に近い濃度で適用した。
【0095】
SU5614はIC50=4.2x10-6Mを有し、特にSun L、et al.、Synthesis and biological evaluations of 3-substituted indolin-2-ones: a novel class of tyrosine kinase inhibitors that exhibit selectivity toward particular receptor tyrosine kinases. J Med Chem. 1998 Jul 2; 41(14): 2588-603に記載されており、例えばCalbiochemから利用可能である。PTK787/ZK222584(時々、図中でAG1と略した)は、IC50=1.0x10-7Mを有し、特に、Bold、G. et al.、New anilinophthalazines as potent and orally well absorbed inhibitors of the VEGF receptor tyrosine kinases useful as antagonists or tumor-driven angiogenesis、J. Med. Chem.2000、43、2310-2323に記載されている。
【0096】
VEGFR-2阻害剤のIC50値はスフェロイドに基づいた3D分析で決定した。図10参照。ペルヘキシリンまたはエリスロマイシンは、AGと組み合わせて試験するときはゲルの上部に、SU5614と組み合わせて試験するときはゲル中に直接、それぞれ図11AおよびBおよび12AおよびBに示す濃度で加えた。データを表3にまとめる。
表3:相乗的3D血管新生アッセイで得られたIC50のまとめ
【0097】
本発明化合物の有用な効果を証明するためにさらにアッセイを行うことができる。例えば、Spherogenex血管新生アッセイを用いて被検化合物の特定のエナンチオマーの効果を明らかにすることができる。血管新生は時々VEGFにより誘導されることが知られているので、該アッセイを用いてbFGF性血管新生を確認することにより非VEGF性血管新生に対する該化合物の効果を測定することができる。血管新生調節化合物を用いる処理および非処置コントロールと比較するSpherogenex血管新生のmRNA発現プロフィールを用いて、被検化合物によりどのシグナリング経路が影響を受けるかを決定することができよう。
【0098】
さらなる分析の一例はHepato-Cellular Carcinoma Model(HCC)in vivo試験である。かかる試験は、Alexander細胞のような皮下および高度血管新生腫瘍モデルにおけるペルヘキシリンとエリスロマイシンの抗血管新生効果を評価することができる。ペルヘキシリンは、繊維芽細胞散乱(IC50=1.9x10-5M)より強力にHUVECのin vitro 3D発芽(IC50=1.5x10-6M)に作用することが示された。ペルヘキシリンは、潜在的抗血管新生効果と干渉する約10μMのIC50で、細胞(内皮細胞、繊維芽細胞、Alexander細胞)の生存性に影響がある。HUVEC発芽に対するエリスロマイシンの影響はVEGFR-2阻害剤と組み合わせた時にのみ観察された。そのようなさらなる研究において、エリスロマイシン単独の抗血管新生効果を排除することができるかもしれない。
【0099】
Alexander細胞(PLC/PRF/5)は、例えばAmerican Type Culture Collection (Manassas、Virginia、USA)から利用可能である。Alexander細胞の単層培養は、85%Dulbecco変法Eagle培地(DMEM)、15%ウシ胎仔血清(FBS)、4mM L-グルタミン、100単位ペニシリンG/mlおよび100μg硫酸ストレプトマイシン/ml中で増殖させることができる。該細胞は、37℃、90%空気および10%二酸化炭素の加湿雰囲気下で培養することができる。培地は4日間毎に交換するのが好ましい。
【0100】
6〜8週齢の雌のNMRI-nu/nuマウスを利用してよい。Alexander細胞は、29G針注射器を用いて左脇腹の皮下腔間に0.2mlの部分標本中4x107細胞を注射することによりマウスの左脇腹領域に移植することができる。接種後、出現する皮下腫瘍は、すべての三次元の距離を測定し、掛けることにより測定することができる。
【0101】
腫瘍サイズが約100mm(試験第1日)に達した後に治療を開始し、約21日間継続することができる。下記表4に詳述するように4実験群を用いてよい。
表4:in vitro分析のための任意的投与計画
【0102】
示すように、第1群はコントロールとして用いられ、動物は、Alexander細胞注射後さらなる処理を受けないだろう。第2群は、経口胃管投与により40mg/kgを毎日投与することにより腫瘍に対するペルヘキシリンの効果を評価することができよう。第3群は、標準用量、例えば10mg/kg i.p.のエリスロマイシンを1日1回、好ましくは低用量のPTK787/ZK222584と共に投与してよい。第4群は、50mg/kgの用量でPTK787/ZK222584を1日2回経口投与することができよう。所望により第4群のサブグループまたは別個の第5群に、低用量のPTK787/ZK222584を投与することができよう。
【0103】
約21日間の処置後、マウスを屠殺し、腫瘍を回収し、所望により-80℃に保存することができよう。腫瘍血管の組織学的検査のために、組織(厚さ5-10μm)の凍結切片を得ることができる。血管の視覚化のために、CD31(PECAM-1)について免疫組織化学染色を行うことができ、血管を顕微鏡で所定倍率(x200)で数えた。所望により写真を含む全ての組織切片の検査は低倍率で行うことができる。腫瘍組織の増殖指数を凍結切片のBrdU標識により検討することができよう。その場合、BrdU(500mg/kg)を屠殺12時間前に動物に投与すべきである。アポトーシス指数を観察するため、凍結切片をTUNEL染色してよい。
【0104】
既に得られた有意な結果に基づいて、そのような試験は、コントロールの第1群と比較して第2-4群において腫瘍サイズの減少を示すと予想される。可変量(低および高用量)のPTK787/ZK222584を第4群に与えると、高用量を投与されたものが低用量のものより腫瘍がより小さいと予想される。ペルヘキシリンで処理した第2群の動物、および低用量のPTK787/ZK222584と組み合わせてエリスロマイシンを投与した第3群の動物の両方が、高用量PTK787/ZK222584の動物で見られた規模の腫瘍の減少があると予想されるだろう。ペルヘキシリンおよびエリスロマイシン/VEGFR2阻害剤の両方が驚くべき血管新生阻害活性を有することが示されたので、これら化合物を投与された動物の腫瘍はコントロール動物で観察されたものよりかなり小さいだろう。腫瘍のアポトーシスが増加するかもしれないし、第2および3群の動物において微小血管密度の減少が観察されるかもしれない。
血管新生刺激剤
【0105】
被検化合物がVEGFコントロールを超える過度のHUVEC発芽を刺激するか、またはNHDF散乱が影響を受けないかもしくは軽度にしか増加しなかった場合は、該化合物を血管新生刺激剤とみなした。
ドーパミン調整剤
【0106】
ブロモクリプチンは、分子式C32H40BrN5O5・CH4SO3および分子量750.70の血管新生刺激剤である。エチクロプリドは、リスリド(S)(-)のようにドーパミンレセプター遮断薬としても知られる。リスリドの化学構造を図13に示す。そのCAS番号は18016-80-3、式構造はC20H26N4O、分子量は338.5である。リスリド(S)(-)は、発芽刺激の増加を示したが、繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生刺激剤とした。これは、これらドーパミン調整剤のあるものは血管新生に対する効果がなく、実際に血管新生を抑制するように働くことを示唆した先に記載のおよび上記の研究と驚くべき対照をなす。
抗真菌剤
【0107】
ミコナゾールは1つのこのような刺激剤である。その化学構造を図14に示す。そのCAS番号は22916-47-8、式構造はC18H14C14N2O、分子量は416.1である。ミコナゾールは発芽刺激の増加を示したが、繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生刺激剤とした。スルコナゾール(その化学構造は図15に示す)は、(±)-1-[2.4-ジクロロ-b-[(p-クロロベンジル)-チオ]-フェネチル]イミダゾール一硝酸塩である。エコナゾールは、1-[2-{(4-クロロ-フェニル)メトキシ}-2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル]-1H-イミダゾール一硝酸塩であり、共に既知の抗真菌剤であり、驚くべきことに同様に血管新生刺激剤であることが示された。
抗アンドロゲン
【0108】
フルタミドは1つのそのような刺激剤である。その化学構造は図16に示される。そのCAS番号は13311-84-7、式構造はC11H11F3N2O3、分子量は276.2である。フルタミドは、発芽刺激の増加を示したが、繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生刺激剤とした。ダナゾールも驚くべきことに血管新生刺激剤であることが示された抗アンドロゲンである。その化学構造は図17に示される。そのCAS番号は17230-88-5、式構造はC22H27NO2、分子量は337.5である。ダナゾールは、発芽刺激の増加を示したが、繊維芽細胞浸潤効果はなく、それを特異的血管新生刺激剤とした。
【0109】
上記化合物を血管新生刺激剤であると確認することにより、本発明者らは、血管新生を刺激または開始する新規化合物の可能性をもたらす。虚血のようなある疾患状態の患者における血管新生を刺激することが望ましいかもしれない。あるいは、さらに血管新生のメカニズムを検討するために、動物または細胞/組織培養モデルにおける血管新生を刺激することが望ましいかもしれない。例えば、本発明化合物を投与することにより、腫瘍発現動物モデルにおける血管新生を刺激し、腫瘍増殖のさらなる研究機会と腫瘍の治療について研究するためのおそらく改良された動物モデルを提供するかもしれない。
刺激を確認するin vitro試験
細胞増殖アッセイ
【0110】
上記驚くべき結果をさらに確認するため、該化合物を細胞増殖アッセイで試験した。アッセイは上記のごとく行った。第0日のOD値を処置72時間後のOD値から引いた。したがって、負の値は、最初にプレートしたより細胞が少ない観察結果を表わし、さらにHUVECに対する該化合物の細胞傷害効果を示す。該化合物は増殖を阻害し、結果を図18-21に示す。
HUVECスフェロイドの結果
【0111】
血管新生阻害剤について上に記載したように、血管新生刺激剤であることが新たに分かった化合物も3D血管新生アッセイで評価した。それらはすべて常に独立してEC発芽を刺激し、さらにVEGF誘導発芽を増加させることがわかった。
【0112】
HUVEC単層培養を該化合物で6時間処理し、無処置HUVECと比較した該誘導転写変化を測定した。該化合物は、VEGFを添加しない、VEGFと組み合わせた、およびVEGFR-2阻害剤PTK787/ZK222584(1μM)と一緒の発芽誘発能を試験した。VEGFR-2阻害剤は、1μMの濃度のVEGF誘発発芽を完全に妨げる。
【0113】
図22は、HUVEC発芽に対する該化合物単独の効果を示し、処置の24時間後に基礎発芽を引き、得られた発芽をVEGF誘発発芽と比較した。ブロモクリプチンとエチクロプリドは共にVEGF誘発発芽以上に発芽を刺激した。
【0114】
VEGF(25ng/ml)と組み合わせて与えた化合物についても評価し、データを図23に示した。該化合物はVEGF誘導血管新生をさらに増強することができる。PTK787/ZK222584と共に投与した該化合物の評価の結果を図24に示し、無処置コントロールと比較したパーセンテージで示す。結果は、VEGFR阻害剤によって発芽を阻害することができないので発芽がVEGF依存でないことを示す。
さらに刺激を解明するためのin vivo試験
【0115】
上記in vitro法に加えて、in vivo試験も行い、さらに被検化合物の作用をさらに限定し、定量してよい。被検化合物は、Passaniti、A. et al Lab Invest. 1992 Oct;67 (4):519-28に記載のごとくマトリゲル血管新生アッセイにおいて血管新生刺激剤(例えばVEGFまたはbFGFのような成長因子)あり、またはなしで評価してよい。あるいはまたはさらに、Guedez、L.、et al.、American Journal of Pathology、2003、vol. 162、no. 5, 1431-39に記載の改良マトリゲル血管新生法を用いてもよい。
【0116】
心筋梗塞および組織虚血の疾患モデルにおける血管新生プロセスに対する被検化合物処置の効果の分析により情報を蓄積することができよう。かかるモデルは当業者に知られており、例えば、W003/000009(PCT/US02/19568)およびWitzenbichler B.、Am J Phathol. 1998 Aug; 153(2): 381-94に記載されている。
【0117】
実施しうるさらなるin vitro評価では、WO 05/008250に記載のような該化合物で処置したマウスの網膜血管化および血管密度が評価されよう。
使用する用量と指針
【0118】
本明細書に記載の化合物を用いて血管新生に作用することができる。化合物量、投与経路および他の関連因子は、化合物の最初の適応のために勧められた投薬計画に基づくことができよう。かかる情報は当業者に利用可能である。例えば、Goodman & Gilman、The Pharamacological Basis of Therapeutics参照。投薬および送達は患者の要求、および当該分野での発達とともに患者の要求および改善された投薬技術の有効性に基づいて修飾してよい。
【0119】
好ましい処置方法は、さらに処置後の影響を受けた組織または生物体の血管新生の検出工程を含んでいてもよい。血管新生の検出方法は当該分野で知られている。例えば米国特許番号6,689,807参照。
【0120】
本発明化合物は、血管新生に影響することができる代謝産物質を生成するためにヒトのような生物体の体内の酵素によって代謝され、血管新生に影響しうる代謝産物を生成しうると予期される。かかる代謝産物は本発明の範囲内である。酵素代謝のような処理を受けた後に本発明化合物を生じる前駆体化合物を投与してよいことも予期される。
【0121】
ある状況では、当業者は、1またはそれ以上の上記化合物を別の活性化合物と共に用いることを選択しうる。あるいは、本明細書に記載の2またはそれ以上の化合物を一緒に投与して種々の程度で血管新生に作用することができよう。該化合物は、同時にまたは連続的に投与してよい。化合物の特定の組み合わせが好ましく相互作用するか否かを決定する一つの方法は、線形アイソボログラム(isobologram)(Tallarida RJ. et al、Statistical analysis of drug-drug and site-site interactions with isobolograms、Life Sciences. 45 (11):947-61)を作製することによる。かかる図は、さらなる化合物が単に相加効果を有するのか、またはそれらが相乗効果を有するのかを解明するのを助ける。かかる評価では、少なくとも9つの実験群が評価され、3群が第一化合物の用量反応を定義し、3群が第二化合物の用量反応を定義し、3群がそれら2化合物の固定比率の組み合わせの用量反応を定義する。
【0122】
単一用量群の選択した用量反応値(ED50値)は、相加効果を推測する線としてプロットされる。この線は試験した化合物比に基づき、第一被検化合物と第二被検化合物の比率1:2が示される。混合化合物投与群について測定したデータを仮定相加線と重ね合わせるときは、該相加線の左(すなわち下)にある観察される用量反応は一緒に用いた化合物の相乗効果を示すが、該相加線の右(すなわち上)に観察される用量反応は組み合わせた化合物の拮抗効果を表す。
【0123】
本明細書に記載の化合物は、VEGF活性またはシグナリングをブロックする処置と組み合わせると特に有効かもしれない。そのような抗VEGF処置は、阻害抗VEGFレセプター抗体、可溶性レセプター構築物、アンチセンス戦略、VEGFに対するRNAアプタマー、および低分子量VEGFレセプターチロシンキナーゼ(RTK)阻害剤を含む。
【0124】
上記化合物と組み合わせて用いるのが好ましいかもしれない特定化合物の例には、VEGFに対する組み換えヒト抗体のAVASTIN(ベバシズマブ)、およびVEGFと選択的に結合し、中和するアプタマーであるMACUGEN(ペガプタミブナトリウム)がある。抗VEGF技術の研究は進行中であり、将来、1またはそれ以上の本発明化合物と組み合わせて用いると同様の好ましい効果を示す化合物が期待される。
【0125】
有効用量は、治療条件、治療する対象の年齢と健康状態、病状の重症度、治療の継続時間、同時治療(もしあれば)の性質、特定の投与経路、および医療関係者の知識および専門知識内にある要因により変化するであろう。例えば、閉鎖性または閉塞性血管障害に関して、有効量は、虚血領域の血流を増加させるのに十分な血管新生を生じさせる量である。
【0126】
先の開示は、単に本発明の例示であって、制限することを意図するものではない。本発明の精神および物質を組込む開示した態様の修飾を当業者が思い浮べるかもしれないので、本発明は特許請求の範囲内のすべておよびその等価物を含むと解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】一次血管新生スクリーニングアッセイの典型的結果を示す。
【図2】ペルヘキシリンマレエートの化学構造を示す。
【図3】エリスロマイシンの化学構造を示す。
【図4A】ペルヘキシリン用の細胞増殖データを示す。
【図4B】ペルヘキシリン用の細胞増殖データを示す。
【図4C】ペルヘキシリン用の細胞増殖データを示す。
【図5A】エリスロマイシン用の細胞増殖データを示す。
【図5B】エリスロマイシン用の細胞増殖データを示す。
【図5C】エリスロマイシン用の細胞増殖データを示す。
【図6A】ペルヘキシリンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図6B】ペルヘキシリンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図6C】ペルヘキシリンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図7A】エリスロマイシンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図7B】エリスロマイシンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図7C】エリスロマイシンの細胞生存アッセイの結果を示す。
【図8】ペルヘキシリンで処置したB16F10細胞の細胞生存性データを示す。
【図9】エリスロマイシンで処置したB16F10細胞の細胞生存性データを示す。
【図10】2つのVEGFR-1阻害剤のIC50値を示す。
【図11A】それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたペルヘキシリンのIC50値を示す。
【図11B】それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたペルヘキシリンのIC50値を示す。
【図12A】それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたエリスロマイシンのIC50値を示す。
【図12B】それぞれ単独およびVEGFR-1阻害剤と組み合わせたエリスロマイシンのIC50値を示す。
【図13】リスリド(S)(-)の化学構造を示す。
【図14】ミコナゾールの化学構造を示す。
【図15】スルコナゾールの化学構造を示す。
【図16】フルタミドの化学構造を示す。
【図17】ダナゾールの化学構造を示す。
【図18】リスリドの細胞増殖データを示す。
【図19】ミコナゾールの細胞増殖データを示す。
【図20】フルタミドの細胞増殖データを示す。
【図21】ダナゾールの細胞増殖データを示す。
【図22】選択した化合物で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
【図23】VEGFと組み合わせた選択した化合物で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
【図24】選択した化合物およびVEGFR-1阻害剤で処置した後の測定HUVEC発芽を定量する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬的有効量のペルヘキシリンもしくはエリスロマイシンおよび少なくとも1の抗VEGF処置の組み合わせ、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、もしくは組み合わせを一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生の阻害方法。
【請求項2】
該生物体が哺乳動物である請求項1記載の方法。
【請求項3】
該哺乳動物が癌、肉腫、網膜症、黄斑変性、角膜潰瘍、強皮症、Berger病、増殖性硝子網膜症、慢性炎症、炎症性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、および関節リウマチからなる群から選ばれる病状を有する請求項2記載の方法。
【請求項4】
該化合物が局所投与される請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ペルヘキシリンもしくはエリスロマイシンおよび少なくとも1の抗VEGF処置の組み合わせ、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、もしくは組み合わせを含む医薬的有効量の医薬組成物を一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生の阻害方法。
【請求項6】
該生物体が哺乳動物である請求項5記載の方法。
【請求項7】
該哺乳動物が癌、肉腫、網膜症、黄斑変性、角膜潰瘍、強皮症、Berger病、増殖性硝子網膜症、慢性炎症、炎症性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、および関節リウマチからなる群から選ばれる病状を有する請求項6記載の方法。
【請求項8】
該化合物が局所投与される請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
該医薬組成物が軟膏(salve)、ゲル、軟膏(ointment)、パッチ、注射剤、経口溶液剤、またはサスペンジョン剤として製剤化される請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
該医薬組成物が制御放出マトリックス中にある請求項5〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
該医薬組成物がさらに医薬的に許容される担体、希釈剤、ビークル、または賦形剤を含む請求項5〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
さらに少なくとも1の抗VEGF処置を一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、該医薬組成物がペルヘキシリンを含む、請求項5〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
該少なくとも1の抗VEGF処置がAVASTINおよびMACUGENからなる群から選ばれる請求項1、5、または12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
医薬的有効量の、ブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、もしくは組み合わせを一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生を刺激する方法。
【請求項15】
該生物体が哺乳動物である請求項14記載の方法。
【請求項16】
該哺乳動物が、卒中、虚血性心疾患、創傷治癒、虚血、心筋梗塞、心筋症、狭心症、不安定狭心症、冠動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症、および脳梗塞からなる群から選ばれる病状を有する請求項14記載の方法。
【請求項17】
該化合物が局所投与される請求項14〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
ブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、またはその組み合わせを含む医薬的有効量の医薬組成物を一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む一群の細胞、組織、または生物体の血管新生を刺激する方法。
【請求項19】
該生物体が哺乳動物である請求項18記載の方法。
【請求項20】
該哺乳動物が、卒中、虚血性心疾患、創傷治癒、虚血、心筋梗塞、心筋症、狭心症、不安定狭心症、冠動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症、および脳梗塞からなる群から選ばれる病状を有する請求項18記載の方法。
【請求項21】
ブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物を含む、血管新生を促進するのに有効な量の医薬組成物を組織に投与することを含む組織への血流量を増加させる方法。
【請求項1】
医薬的有効量のペルヘキシリンもしくはエリスロマイシンおよび少なくとも1の抗VEGF処置の組み合わせ、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、もしくは組み合わせを一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生の阻害方法。
【請求項2】
該生物体が哺乳動物である請求項1記載の方法。
【請求項3】
該哺乳動物が癌、肉腫、網膜症、黄斑変性、角膜潰瘍、強皮症、Berger病、増殖性硝子網膜症、慢性炎症、炎症性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、および関節リウマチからなる群から選ばれる病状を有する請求項2記載の方法。
【請求項4】
該化合物が局所投与される請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ペルヘキシリンもしくはエリスロマイシンおよび少なくとも1の抗VEGF処置の組み合わせ、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、もしくは組み合わせを含む医薬的有効量の医薬組成物を一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生の阻害方法。
【請求項6】
該生物体が哺乳動物である請求項5記載の方法。
【請求項7】
該哺乳動物が癌、肉腫、網膜症、黄斑変性、角膜潰瘍、強皮症、Berger病、増殖性硝子網膜症、慢性炎症、炎症性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、および関節リウマチからなる群から選ばれる病状を有する請求項6記載の方法。
【請求項8】
該化合物が局所投与される請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
該医薬組成物が軟膏(salve)、ゲル、軟膏(ointment)、パッチ、注射剤、経口溶液剤、またはサスペンジョン剤として製剤化される請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
該医薬組成物が制御放出マトリックス中にある請求項5〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
該医薬組成物がさらに医薬的に許容される担体、希釈剤、ビークル、または賦形剤を含む請求項5〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
さらに少なくとも1の抗VEGF処置を一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、該医薬組成物がペルヘキシリンを含む、請求項5〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
該少なくとも1の抗VEGF処置がAVASTINおよびMACUGENからなる群から選ばれる請求項1、5、または12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
医薬的有効量の、ブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、もしくは組み合わせを一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む、一群の細胞、組織、または生物体における血管新生を刺激する方法。
【請求項15】
該生物体が哺乳動物である請求項14記載の方法。
【請求項16】
該哺乳動物が、卒中、虚血性心疾患、創傷治癒、虚血、心筋梗塞、心筋症、狭心症、不安定狭心症、冠動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症、および脳梗塞からなる群から選ばれる病状を有する請求項14記載の方法。
【請求項17】
該化合物が局所投与される請求項14〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
ブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物、またはその医薬的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、活性代謝産物、またはその組み合わせを含む医薬的有効量の医薬組成物を一群の細胞、組織、または生物体に投与することを含む一群の細胞、組織、または生物体の血管新生を刺激する方法。
【請求項19】
該生物体が哺乳動物である請求項18記載の方法。
【請求項20】
該哺乳動物が、卒中、虚血性心疾患、創傷治癒、虚血、心筋梗塞、心筋症、狭心症、不安定狭心症、冠動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症、および脳梗塞からなる群から選ばれる病状を有する請求項18記載の方法。
【請求項21】
ブロモクリプチン、エチクロプリド、リスリド(S)(-)、ミコナゾール、スルコナゾール、エコナゾール、フルタミド、およびダナゾールからなる群から選ばれる化合物を含む、血管新生を促進するのに有効な量の医薬組成物を組織に投与することを含む組織への血流量を増加させる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2007−532536(P2007−532536A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507279(P2007−507279)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000506
【国際公開番号】WO2005/097121
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506338559)アンジオジェネティクス・スウェーデン・アクチボラゲット (1)
【氏名又は名称原語表記】AngioGenetics Sweden AB
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000506
【国際公開番号】WO2005/097121
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506338559)アンジオジェネティクス・スウェーデン・アクチボラゲット (1)
【氏名又は名称原語表記】AngioGenetics Sweden AB
【Fターム(参考)】
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