表示装置、および、プログラム
【課題】2画面を用いる3D表示での適切な表示を図る。
【解決手段】移動体通信端末1は、筐体11と筐体12を備え、それぞれに表示部160Aと表示部160Bを備えている。表示部160Aと表示部160Bはそれぞれ3D表示機能を有している。移動体通信端末1の制御部は、移動体通信端末1が上下開きであるか左右開きであるかを検出するとともに、筐体11と筐体12とのなす開角度を検出する。左右開きで3D表示をおこなう場合、開角度が変化すると3D表示の視認状態が変化する。よって、移動体通信端末1の制御部は、検出された開角度に応じて視角を算出し、3D表示に用いるパラメータを変更することで、開角度が変化しても、良好な視認状態を維持させる。
【解決手段】移動体通信端末1は、筐体11と筐体12を備え、それぞれに表示部160Aと表示部160Bを備えている。表示部160Aと表示部160Bはそれぞれ3D表示機能を有している。移動体通信端末1の制御部は、移動体通信端末1が上下開きであるか左右開きであるかを検出するとともに、筐体11と筐体12とのなす開角度を検出する。左右開きで3D表示をおこなう場合、開角度が変化すると3D表示の視認状態が変化する。よって、移動体通信端末1の制御部は、検出された開角度に応じて視角を算出し、3D表示に用いるパラメータを変更することで、開角度が変化しても、良好な視認状態を維持させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、および、プログラムに関し、特に、2以上の画面による立体画像表示に好適な表示装置、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの移動体通信端末の多くは、いわゆる、折り畳み式やスライド式などのような複数の可動筐体で構成された形態とすることで、携帯性と操作性の両立を図っている。
【0003】
移動体通信端末に用いられる表示装置は、液晶表示パネルを用いたものが主流であるが、このような表示装置にはタッチパネル機能を備えたものもあり、入力操作に用いるテンキーや各種ボタン群などを、いわゆるソフトウェアキーとして実現しているものもある。
【0004】
よって、折り畳み式やスライド式などの形態において、物理的なボタンをソフトウェアキーに置き換えた形態とすることも考えられる。この場合、2画面以上の表示部が連結された構成になり、より多様な表示形態を実現することができる。
【0005】
さらに、液晶表示技術を利用した立体画像表示技術も確立しており(例えば、特許文献1)、このような立体画像表示技術において、良好な3次元表示を維持させるために、ユーザの視点位置(頭部位置)を検出し、検出した視点位置に追従するよう3次元画像を形成する技術が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2857429号公報
【特許文献2】特開平10−333091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、2画面以上の表示部を連結させた構成に3次元表示技術を適用すれば、従来の1画面表示での立体画像表示よりも多様な視覚効果を実現することができる。
【0008】
しかしながら、立体画像は、鑑賞時の視認条件(例えば、視距離や角度、鑑賞者の眼間距離、など)に合った表示制御をおこなわないと視認しづらくなるという欠点がある。折り畳み式やスライド式などの構成の場合では、2画面間の連結状態が変化すると視認条件がずれてしまい、良好な3次元表示を維持することができない場合がある。
【0009】
このような不都合を解消するために、特許文献2に記載されるような技術を用いることも考えられるが、視点位置(頭部位置)を検出して追従させるためには、位置検出用センサが必要になる上、追従のために必要となるパラメータなども多様となるため、ハードウェア構成やソフトウェア処理が複雑になってしまい、移動体通信端末などのような小型の装置に適用することは困難である。その上、2画面以上で表示させるには、さらに処理が複雑になるため、適用することは一層困難となる。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、2以上の画面を用いた立体画像表示に好適な表示装置、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる表示装置は、
第1の表示画面を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体に可動連結され、第2の表示画面を有する第2の筐体と、
を含む表示装置であって、
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面の双方で3次元画像表示をおこなう表示手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との間の連結状態を検出する連結状態検出手段と、
前記連結状態検出手段によって検出された連結状態に基づいて、前記表示手段による3次元画像表示に対する視角を算出する視角算出手段と、
前記連結状態検出手段によって検出された連結状態と、前記視角算出手段によって算出された視角とに基づいて、前記表示手段が前記3次元画像表示に用いるパラメータを選択する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
上記表示装置において、
前記表示手段は、前記表示制御手段が選択したパラメータから、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を連動的に制御して、前記3次元画像表示をおこなうことが望ましい。
【0013】
上記表示装置は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが開閉可能に連結された折り畳み型の表示装置であり、この場合、
前記連結状態検出手段は、少なくとも、前記第1の筐体と前記第2の筐体とのなす角度を検出し、
前記視角算出手段は、前記連結状態検出手段が検出した角度に基づいて視角を算出することが望ましい。
【0014】
また、上記折り畳み型の表示装置は、
前記連結状態検出手段が検出した角度に基づいて、前記折り畳み型の表示装置による表示の視認状態が良好であるか否かを判別する視認良否判別手段をさらに備えていてもよく、
この場合、
前記表示手段は、前記視認良否判別手段によって視認状態が良好でないと判別された場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわないことが望ましい。
【0015】
前記表示装置は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが摺動可能に連結されたスライド型の表示装置であり、この場合、
前記連結状態検出手段は、少なくとも、前記第1の筐体と前記第2の筐体との間のスライド量を検出し、
前記視角算出手段は、前記連結状態検出手段が検出したスライド量に基づいて視角を算出する、
ことが望ましい。
【0016】
また、上記スライド型の表示装置は、
前記連結状態検出手段が検出したスライド量に基づいて、前記第1または第2の表示画面による表示の視認状態が良好であるか否かを判別する視認良否判別手段をさらに備えていてもよく、
この場合、
前記表示手段は、前記視認良否判別手段によって視認状態が良好でないと判別された場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわないことが望ましい。
【0017】
上記表示装置は、
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面による展開方向を検出する展開方向検出手段をさらに備えていることが望ましく、この場合、
前記表示制御手段は、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面とが左右方向に展開していることが検出された場合に、前記パラメータの選択をおこなうことが望ましい。
【0018】
上記表示装置は、
少なくとも、前記連結状態検出手段が検出する事項についてのパラメータを条件パラメータとして記憶するパラメータ記憶手段をさらに備えていることが望ましい。
【0019】
この場合、
前記パラメータ記憶手段は、前記条件パラメータに対応づけられた、前記表示手段が表示動作に用いる制御パラメータを記憶していてもよい。
【0020】
ここで、
前記パラメータ記憶手段は、左右方向に展開している前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を用いた3次元画像表示に用いられるパラメータのみを記憶するものであってもよく、この場合、
前記表示制御手段は、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面とが上下方向に展開していることが検出された場合、前記パラメータ記憶手段が記憶している、左右方向に展開している前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を用いた3次元画像表示に用いられるパラメータから、前記第1または第2の表示画面の正面から前記3次元画像表示が視認される場合のパラメータを選択することが望ましい。
【0021】
上記表示装置において、
前記表示制御手段は、前記連結状態検出手段によって検出された連結状態と、前記視角算出手段によって算出された視角とに基づいて条件パラメータを特定し、該特定した条件パラメータから特定される制御パラメータを選択することが望ましい。
【0022】
上記表示装置において、
前記表示手段は、前記展開方向検出手段が検出した展開方向が、左右方向および上下方向のいずれでもない場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわないことが望ましい。
【0023】
上記表示装置において、
前記パラメータには、前記3次元画像表示における飛び出し量を規定するパラメータを含んでいてもよい。
【0024】
この場合、
前記表示制御手段は、前記飛び出し量を規定するパラメータを、前記第1の表示画面および前記第2の表示画面における表示位置に応じて異ならせて選択してもよい。
【0025】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかるプログラムは、
第1の表示画面を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体に可動連結され、第2の表示画面を有する第2の筐体と、
を含む表示装置を制御するコンピュータに、
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面の双方で3次元画像表示をおこなう機能と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との間の連結状態を検出する機能と、
検出された連結状態に基づいて、前記3次元画像表示に対する視角を算出する機能と、
前記検出された連結状態と、前記算出された視角とに基づいて、前記3次元画像表示に用いるパラメータを選択する機能と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、2画面以上を用いた立体画像表示に好適な表示装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態1にかかる折り畳み型の移動体通信端末の例を示す図であり、(a)は、閉状態の例を示し、(b)は、上下開きの例を示し、(c)は、左右開きの例を示す。
【図2】図1に示した移動体通信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した表示部の構成を説明するための図であり、(a)は、表示部の構成を模式的に示し、(b)は、表示部で表示される左目用画像の例を示し、(c)は、表示部で表示される右目用画像の例を示し、(d)は、3次元画像の画素配列の例を示す。
【図4】図3(a)に示す視差バリアパネルを説明するための図であり、(a)は、バリアパターンの例を示し、(b)は、バリアパターンによる画像透過の仕組みを模式的に示す。
【図5】図1に示す折り畳み型の移動体通信端末における視角を説明するための図であり、(a)は、左右開きでの利用形態を模式的に示し、(b)は、(a)に示した利用形態における、開角度の変化と視角の変化を模式的に示す。
【図6】図2に示す記憶部に格納される「パラメータテーブル」の例を示す図である。
【図7】図2に示す制御部によって実現される機能構成の例を示す図である。
【図8】図2に示す記憶部に格納される「動作設定テーブル」の例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態にかかる「表示制御処理」を説明するためのフローチャートである。
【図10】図9に示す「表示制御処理」で実行される「3D表示処理」を説明するためのフローチャートである。
【図11】図9に示す「表示制御処理」で実行される「状態変化時3D表示処理」を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態1にかかる、折り畳み型の移動体通信端末の他の例を示す図であり、(a)は、閉状態の例を示し、(b)は、縦方向の上下開きの例を示し、(c)は、横方向の左右開きの例を示し、(d)は、横方向の上下開きの例を示し、(e)は、縦方向の左右開きの例を示す。
【図13】本発明の実施形態1にかかる、スライド型の移動体通信端末の例を示す図であり、(a)は、閉状態の例を示し、(b)は、上下開きの例を示し、(c)は、左右開きの例を示す。
【図14】図13に示すスライド型の移動体通信端末における視角を説明するための図であり、(a)は、左右開きでの利用形態を模式的に示し、(b)は、(a)に示した利用形態における、スライド量の変化と視角の変化を模式的に示し、(c)は、ユーザまでの距離とスライド量から視角の変化を求める原理を模式的に示す。
【図15】本発明の実施形態2にかかる動作を説明するための図であり、(a)は、移動体通信端末の開角度に応じた3D表示の飛び出し量の変化を模式的に示し、(b)は、この場合の開角度と飛び出し量の関係を示すグラフである。
【図16】本発明の実施形態2にかかる動作の他の例を説明するための図であり、(a)は、画面位置によって3D表示の飛び出し量を異ならせた場合を模式的に示し、(b)は、この場合の画面位置と飛び出し量の関係を示したグラフであり、(c)は、画面位置と飛び出し量の関係の他の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明にかかる実施形態を、図面を参照して以下に説明する。
【0029】
(実施形態1)
本実施形態では、本発明にかかる表示装置を、例えば、携帯電話などの移動体通信端末として実現した場合を例に説明する。本実施形態では、図1に示すような、いわゆる「折り畳み型」の移動体通信端末を想定する。
【0030】
本実施形態にかかる移動体通信端末1は、図1に示すように、筐体11と筐体12とがヒンジなどによって可動連結された構成を有する。ここで、図1(a)は、折り畳み型の移動体通信端末1が閉じられた状態(閉状態)を示している。
【0031】
本実施形態にかかる移動体通信端末1は、図1(a)に示した閉状態から、筐体の長手方向に開閉する構造であるものとする。図1(b)は、図1(a)に示した閉状態から、略矩形の形状である筐体の短辺を回転軸として縦方向に開いた状態(開状態)を示している。図1(b)に示すように、筐体11に第1の表示部160Aが構成され、筐体12に第2の表示部160Bが構成されている。
【0032】
この場合、上下に開いた表示部160Aと表示部160Bのいずれもが縦方向で視認される状態である。この開閉方向は、折り畳み型の移動体通信端末における一般的な開閉方向であり、移動体通信端末1の音声通話機能を使用するときや、電子メールの作成・閲覧時などに用いられる形態である。
【0033】
図1において、表示部160Aおよび表示部160Bが示す「123」および「ABC」は、画面の表示方向を表している。図1(b)に示した開状態においては、ユーザの視野において、表示部160Aと表示部160Bが上下に視認されることになる(以下、このような状態を「上下開き」とする)。
【0034】
図1(c)は、図1(b)のような縦方向の開状態から、移動体通信端末1全体を左右いずれかの方向に90°回転させた状態を示している。すなわち、左右に開いた表示部160Aと表示部160Bのいずれもが横方向で視認される状態である。この開閉方向は、例えば、写真や動画、テレビ放送などの閲覧時などに用いられる形態である。この場合、ユーザの視野において、表示部160Aと表示部160Bが左右に視認されることになる(以下、このような状態を「左右開き」とする)。
【0035】
上述したように、本実施形態にかかる移動体通信端末1には、筐体11と筐体12の双方に表示部160(表示部160A、表示部160B)が構成されている。筐体12側の表示部160Bは、一般的な移動体通信端末と同様の画面表示に用いられる。筐体11側の表示部160Aは、タッチパッド機能を有することで、一般的な移動体通信端末におけるテンキーなどに代わる入力機能を供する。なお、表示部160Aは、このような入力装置として機能するだけでなく、表示部160Bとともに画像表示をおこなうことで、2以上の画面表示がおこなえるものとする。
【0036】
このような筐体構造の移動体通信端末1の内部構成を、図2を参照して説明する。図2は、移動体通信端末1の内部構成を示すブロック図である。
【0037】
図示するように、移動体通信端末1は、制御部110、通信部120、音声処理部130、記憶部140、操作部150、表示部160(表示部160Aおよび表示部160B)、状態検出部170、などから構成されている。
【0038】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)やワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)などから構成され、所定の動作プログラムを実行することで移動体通信端末1の各部を制御する。すなわち、移動体通信端末1の各構成は制御部110によって制御されるとともに、各構成間の情報伝達などは制御部110を介しておこなわれる。
【0039】
通信部120は、移動体通信端末1が通信をおこなう際の無線アクセスにかかる構成であり、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)方式やGSM(Global Systems for Mobile communications)方式などの通信方式を用いた通信装置などで構成され、当該通信方式に対応したアンテナ121による無線送受信をおこなうことで、近傍の基地局と無線通信をおこなう。
【0040】
音声処理部130は、例えば、音声データ用のコーデック回路などから構成され、移動体通信端末1の音声入出力にかかる処理をおこなう。すなわち、通信部120で受信したデジタル音声データをアナログ音声信号に変換してスピーカ131から出力する受話動作や、マイクロフォン132から入力されたユーザの発話音声をデジタル音声データに変換して通信部120に送出する送話動作などをおこなう。
【0041】
記憶部140は、例えば、フラシュメモリなどの記憶装置から構成され、制御部110が実行する動作プログラムを格納する他、本発明を実現するために必要な種々のデータを格納する。
【0042】
操作部150は、例えば、筐体11の外面上に構成されたボタンやキーなどから構成され、移動体通信端末1のユーザによって操作される。操作部150は、各ボタンやキーなどと接続された入力回路などを備え、ユーザの操作に応じた入力信号を生成して制御部110に入力する。
【0043】
表示部160は、例えば、液晶表示装置などから構成された表示出力装置であり、制御部110の制御によって画像などを表示出力する。本実施形態にかかる表示部160は、立体画像表示(以下、「3D表示」とする)可能な表示装置であるとする。このような3D表示可能な表示部160の構成を、図3を参照して説明する。
【0044】
本実施形態にかかる表示部160は、図3(a)に示すように、表示パネル161と、視差バリアパネル162、などから構成されることで、3D表示を実現している。
【0045】
表示パネル161は、液晶表示パネルなどから構成され、表示画像を表示する。
【0046】
視差バリアパネル162は、液晶表示パネルと同様の構成を有し、表示パネル161における画像表示によって発生した光の透過方向を制御する。このため、視差バリアパネル162は、表示パネル161と、表示パネル161の表示画面を見る者(「鑑賞者」:移動体通信端末1の使用者など)との間に位置するよう、表示部160内に構成されている。
【0047】
このような構成の表示部160で3D表示をおこなう動作原理を、図3(b)〜図3(d)、および、図4を参照して説明する。
【0048】
視差バリアパネル162を用いて3D表示をおこなう場合、左目と右目の視差を利用する。このため、表示部160で3D表示をおこなう場合には、図3(b)に示すような左目用画像と、図3(c)に示すような右目用画像が用意される。左目用画像と右目用画像(以下、「左右画像」とする)はいずれも同じ表示対象を示しているが、視差に応じて左右方向にずらしてある。
【0049】
表示部160の表示パネル161は、左目用画像を構成する画素と、右目用画像を構成する画素の表示位置を、左右方向に異ならせて交互に表示する。つまり、図3(d)に示すように、右目用画像を構成している画素を奇数列に、左目用画像を構成している画素を偶数列に配列した画像として表示させる。
【0050】
換言すると、左目用画像と右目用画像のそれぞれを、1列(ライン)おきとなるよう画素配列させ、左目用画像と右目用画像とでラインが互い違いとなるよう表示させる。なお、画素配列のパターンは1列単位でなくてもよく、例えば、複数画素分でラインを構成してもよい。また、画素単位が整数値でなくてもよい。
【0051】
そして、表示パネル161は、このように左目用画像と右目用画像がストライプ状に配列された画像(以下、「3D画像」とする)を表示する。ここで、左目用画像の画素で構成されているラインが鑑賞者の左目に到達するようにし、右目用画像の画素で構成されているラインが鑑賞者の右目に到達するように表示することで、図3(b)および図3(c)で示したような視差のある2つの画像がそれぞれに対応する目で認識されることになる。この結果、各画像が鑑賞者の脳内で合成され、立体的な画像として視認される。
【0052】
ここで、視差バリアパネル162は、3D画像内の各ラインをそれぞれに対応した目の方向に表示させる動作をおこなう。上述したように、視差バリアパネル162は、液晶表示パネルと同様の構造であるため、各画素に対応する電極への電圧印加を制御することで、表示パネル161の画像表示によって発生した光を透過させたり、遮光したりすることができる。
【0053】
つまり、図4(a)に示すような、ストライプ上のバリアパターンを、表示パネル161に表示されている3D画像のラインに対応するよう形成する。そして、図4(b)に示すように、表示パネル161に表示された左右それぞれの画素は、視差バリアパネル162に形成したバリアパターンの透過列を透過して、鑑賞者の左右の目に到達する。
【0054】
ここで、透過列を透過した光が対応する目に届くようにするためには、透過列のそれぞれで透過方向を制御する必要がある。この場合、透過列毎に印加電圧を制御することで、液晶分子の配向方向を変えればよい。ここで、対応する目に届くような透過方向は、鑑賞者の目から表示部160までの距離(以下、「視距離」とする)と、鑑賞者の右目と左目の間隔(以下、「眼間距離」とする)によって変化する。
【0055】
本実施形態では、上述したように、折り畳み型の移動体通信端末1を構成している筐体11と筐体12の双方に表示部160(表示部160Aおよび表示部160B)が構成されており、それぞれが3D表示可能な構成とする。この場合、図1(b)で示したような左右開きの状態で3D表示をおこなうことで、例えば、ワイド画面に対応した画像を、より大きな表示画面で3D表示することができる。
【0056】
このときの移動体通信端末1と鑑賞者(ユーザ)とは、図5(a)に示すような位置関係となる。ここで、本実施形態にかかる移動体通信端末1は折り畳み型であるため、筐体11と筐体12とのなす角度、すなわち、表示部160Aの表示画面と表示部160Bの表示画面とのなす角度(以下、「開角度」とする)が可変である。本実施形態で採用している3D表示方式は、左右の視差を利用したものであるため、開角度の違いが3D表示の視認に大きく影響する。
【0057】
例えば、図5(b)に示すように、表示部160Aの画面と表示部160Bの画面との中心位置から一定の距離(視距離)で鑑賞者(ユーザ)が3D表示を鑑賞する場合、移動体通信端末1の開角度が変化すると、ユーザの視角が変化する。
【0058】
この視角の変化は、演算によって求めることができる。図5(b)に例示するように、開角度がβであるときの視角が約±αであった場合、開角度がΔβ分大きく(β+Δβ)なったときの視角は、約±(α−1/2Δβ)と求めることができる。このとき、視角の変化量Δαは、約−1/2Δβと求めることができる。
【0059】
このように、折り畳み型の移動体通信端末1を左右開きにした状態で3D表示をおこなった場合、開角度に応じて視角が変化する。この視角の変化は3D表示の視認に大きく影響するため、視距離や眼間距離などといった一般的な条件の他に、移動体通信端末1の開角度に応じた視角も視認条件として重要となる。
【0060】
よって、本実施形態では、これらの条件をパラメータ化した「条件パラメータ」を予め複数用意することで、3D表示が適切に視認されるようにする。この「条件パラメータ」は、記憶部140に格納されている。また、本実施形態では、用意された条件パラメータのそれぞれについて、適切な透過方向のバリアパターンを形成させるための「制御パラメータ」を設定し、記憶部140に格納されている条件パラメータと対応づけて格納する。本実施形態では、図6に示すような「パラメータテーブル」が、記憶部140に格納されているものとする。
【0061】
図示するように、「パラメータテーブル」には、移動体通信端末1の開角度に応じて、条件パラメータと制御パラメータが対応づけられている。ここでは、開角度毎に眼間距離と視距離の組み合わせが複数設定されている。また、各組み合わせに応じた視角αも設定されている。そして、各組み合わせにおいて適切な透過方向とするための制御パラメータが記録されている。この制御パラメータは、例えば、表示画面方向によって適切に3D画像を表示するために設定された表示パネル161の制御値と、その表示の際に適切な透過方向となる視差バリアパネル162のライン毎の制御値(例えば、印加電圧など)である。
【0062】
つまり、図3(d)に示したような3D画像を表示パネル161に表示し、視差バリアパネル162に形成したバリアパターンを用いることで3D表示させる場合、特定の条件下となったときに3D表示として視認されることになるので、移動体通信端末1の開角度が変わると、3D画像における左右画像の配列を変更する必要があり、左右画像の配列が変更されれば、それに合わせたバリアパターンに変更する必要がある。このため、開角度に対応して設定された条件パラメータの組み合わせ毎に、最適な左右画像の配列とさせるための表示パネル161の制御値と、その場合に最適となるバリアパターンを形成させるための視差バリアパネル162の制御値が、制御パラメータとして設定されている。
【0063】
なお、表示パネル161についての制御パラメータは、例えば、左右画像の画素配列の周期や順序などについて、表示パネル161の分解能に応じて設定されるものとする。よって、表示パネル161についての制御パラメータは、制御できる範囲の分解能において設定されるので、ある程度離散的なものになる。また、縦長方向での画面表示と横長方向での画面表示で縦横の画素ピッチが異なる場合、表示パネル161の制御パラメータは、表示画面方向に応じて異なる制御値となる。
【0064】
ここで、条件パラメータの眼間距離は、同一の鑑賞者については固定値となるため、デフォルト値を設定しておくことで、効率的な処理をおこなうことができる。例えば、移動体通信端末1での3D表示が初回となるときには、一般的な眼間距離と視距離の組み合わせがデフォルト値として指定され、2回目以降においては、前回の3D表示で用いられたパラメータがデフォルト値として指定されるようにする。このため、図6においてハッチングで示しているように、デフォルト値がいずれであるかが識別できるようにしておく。
【0065】
本実施形態では、図1(c)で示したような、左右開きの移動体通信端末1の表示部160Aと表示部160Bを使った3D表示において参照されるパラメータテーブルのみが記憶部140に用意されているものとするが、上下開き(図1(b))での3D表示において参照されるパラメータテーブルが別途用意されていてもよい。
【0066】
図2に戻り、移動体通信端末1の構成の説明を続ける。
【0067】
状態検出部170は、移動体通信端末1の状態を検出するためのセンサ群などから構成される。本実施形態では、移動体通信端末1の方向を検出するためのセンサ(例えば、地磁気センサや角速度センサ、加速度センサなど)や、移動体通信端末1の開角度を検出するためのセンサ(例えば、ロータリ・エンコーダなど)などから構成され、検出結果を示す信号を制御部110に入力する。
【0068】
以上が本実施形態にかかる移動体通信端末1の主要な構成であるが、これらは本発明を実現するために必要な構成であり、移動体通信端末の主要機能や付加機能を実現するために必要となるその他の構成については適宜備えられているものとする。
【0069】
以上のような構成の移動体通信端末1の動作を説明する。ここで、本実施形態にかかる移動体通信端末1は、図1(a)〜図1(c)で例示したような、移動体通信端末1の姿勢が上下開きである場合と左右開きである場合のそれぞれにおいて、表示部160の表示制御をおこなうことで、開閉方向に応じた画像表示がなされるものとする。ここで、本実施形態にかかる表示部160は、3D表示可能なものであるので、開閉方向に応じて画像表示を制御する際に、3D表示が適切に視認されるよう視差バリアパネル162を制御する。
【0070】
このような動作をおこなうため、記憶部140に格納されている動作プログラムを制御部110が実行することで、図7に示すような機能が実現される。図示するように、制御部110は、動作モード処理部111、画像取得部112、視認状態判別部113、表示制御部114、などとして機能する。
【0071】
動作モード処理部111は、移動体通信端末1の使用者が操作部150を操作することで入力された信号などに基づいて、移動体通信端末1の動作モードを指定する他、指定した動作モードに応じた各機能への指示などをおこなう。
【0072】
画像取得部112は、移動体通信端末1の表示部160で画面表示をおこなう際の表示画面を構成する画像データなどを取得する。本実施形態では、3D表示用に作成された画像の画像データや、通常の表示(以下、「2D表示」とする)に用いられる画像データなどを取得する。これらの画像データは、例えば、記憶部140などに格納されているものとし、この場合画像取得部112は、画面表示に必要となる画像データなどを適宜記憶部140から取得する。
【0073】
視認状態判別部113は、状態検出部170からの入力信号に基づいて、移動体通信端末1が左右開きであるか上下開きであるかを判別する。つまり、重力方向に対する移動体通信端末1の方向を示す状態検出部170からの検出信号に基づいて、移動体通信端末1が図1(b)に示すような上下開きとなっているのか、図1(c)に示すような左右開きになっているのかが判別される。また、視認状態判別部113は、状態検出部170からの検出信号に基づいて、移動体通信端末1の開角度を随時算出する。
【0074】
表示制御部114は、動作モード処理部111で指定された動作モード、画像取得部112が取得した画像データの属性、および、視認状態判別部113が判別した表示部160の開閉方向や開角度に基づいて、記憶部140に格納されているパラメータを選択し、選択したパラメータで表示部160の表示動作を制御する。この場合、表示制御部114は、3D表示の表示動作についての動作設定にしたがって表示制御をおこなうものとする。この動作設定は、例えば、図8に示すような「動作設定テーブル」として記憶部140に格納されているものとする。
【0075】
ここで、図8に示すように、動作設定の項目として、例えば、「表示モード」、「閉状態時の表示」、「縦横変更時の表示」、「連結状態変化時の表示」、などが用意されているものとする。
【0076】
「表示モード」は、表示部160で3D表示をおこなうか否かを指定する設定であり、デフォルトで3D表示をおこなわせたい場合は、選択肢「3D」が有効となるよう設定され、3D表示モードがオンとなる。一方、3D表示をおこなわせない場合は、選択肢「2D」が有効となるよう設定され、3D表示モードがオフとなる。
【0077】
「閉状態時の表示」は、移動体通信端末1が閉状態の時に表示部160で画面表示をおこなうか否かを指定する設定であり、移動体通信端末1のような折り畳み型の場合では、通常、表示をおこなわないことを指定する「しない」が有効となるよう設定される。
【0078】
「縦横変更時の表示」は、移動体通信端末1が上下開きから左右開き、あるいは、左右開きから上下開きに変更している途中(縦横変更時)に、表示部160における画面表示をおこなうか否かを指定する設定である。
【0079】
ここで、縦横変更時は、移動体通信端末1の使用者が移動体通信端末1を90°回転させる状態であり、表示画面方向が縦長から横長もしくは横長から縦長に変わる途中である。この場合、表示画面方向が斜めになる。上述したように、表示部160で3D表示をおこなう場合には、視差バリアパネル162によってバリアパターンが形成されるが、表示画面方向が斜めのときには、表示パネル161で表示している画像の方向も斜めになるので、これに合わせたバリアパターンとする必要がある。
【0080】
この場合において、表示画面方向が縦長や横長のときには、単純なストライプ状のバリアパターンでよいが、縦横変更時は、表示画面方向の角度が随時変化する。この場合、処理が複雑となり、表示制御が角度変化に追従できず、3D表示の表示品質が低下することがある。また、斜め方向のバリアパターン自体をきれいに形成させることが困難となることもある。よって、「縦横変更時の表示」では、表示画面方向が斜めとなる縦横変更時では、3D表示をおこなわずに2D表示とさせる設定(「2D」)と、表示をおこなわせない設定(「しない」)が選択肢として用意される。
【0081】
「連結状態変化時の表示」は、移動体通信端末1の筐体の連結状態が変化しているとき、すなわち開角度が変化しているときにどのように表示させるかを指定する設定である。ここでは、連結状態(開角度)変化時でも表示をさせる場合には「する」が有効となるよう設定され、連結状態(開角度)の変化時は表示させない場合は「しない」が有効となるよう設定される。また、「する」が有効となっている場合、表示を「2D」とするか「3D」とするかが設定される。
【0082】
これらの各項目は、例えば、移動体通信端末1の使用者が操作部150を操作することなどによって設定される。
【0083】
図7に示した機能構成によって実行される処理を説明する。ここでは、上述したような構成の移動体通信端末1で画面表示をおこなう際に実行される「表示制御処理」を、図9に示すフローチャートを参照して説明する。この「表示制御処理」は、表示部160での表示動作がおこなわれる場合(例えば、移動体通信端末1の電源オン、スリープモードからの復帰、など)に開始される。
【0084】
処理が開始されると、視認状態判別部113が状態検出部170を制御することで、移動体通信端末1の開角度を検出し(ステップS101)、検出された開角度に基づいて、移動体通信端末1が「開状態」であるか否かを判別する(ステップS102)。
【0085】
ここで、移動体通信端末1が「閉状態」である場合(ステップS102:No)、視認状態判別部113はその旨を表示制御部114に通知する。この場合、表示制御部114は、記憶部140の動作設定テーブルを参照し、閉状態時の表示動作設定に応じた表示(2Dまたは表示オフ)となるよう表示部160を制御する(ステップS103)。ここで、「閉状態」と判別する開角度は0°に限られるものではなく、表示部160の表示画面を視認しにくい開角度以下であることが検出された場合に、「閉状態」であると判別してもよい。
【0086】
すなわち、開角度に基づいて、表示部160による表示が視認できない、もしくは、視認しにくいと判別される場合には、3D表示をおこなわずに、2D表示または表示オフとする。この場合、記憶部140の動作設定テーブル(図8)における「閉状態時の表示」にかかる設定項目を細分化してもよい。例えば、視認しにくい(視認状態が良好でない)開角度(例えば、30°以下)では2D表示をおこなうようにし、視認できない(視認不可)開角度(例えば、15°以下)では表示オフとなるよう設定してもよい。
【0087】
一方、移動体通信端末1が「開状態」である場合(ステップS102:Yes)、視認状態判別部113はその旨を動作モード処理部111に通知する。この場合、動作モード処理部111は、動作モード処理部111が記憶部140の動作設定テーブルを参照することで、表示モードが「3D」であるか否かを判別する(ステップS104)。ここで、表示モードが「2D」であれば(ステップS104:No)、表示制御部114により、2D表示にかかる制御がおこなわれる(ステップS103)。
【0088】
一方、表示モードが「3D」であれば(ステップS104:Yes)、動作モード処理部111は、その旨を、画像取得部112、視認状態判別部113、表示制御部114に通知し、「3D表示処理」を実行する(ステップS200)。この「3D表示処理」を、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0089】
処理が開始されると、視認状態判別部113は、状態検出部170を制御し、装置方向を検出する(ステップS201)。視認状態判別部113は、状態検出部170が検出した装置方向に基づき、移動体通信端末1が左右開きであるか上下開きであるかを判別する(ステップS202)。
【0090】
移動体通信端末1が左右開きである場合(ステップS202:Yes)、視認状態判別部113が状態検出部170を制御することで、そのときの開角度を検出し(ステップS203)、表示制御部114に通知する。
【0091】
表示制御部114は、記憶部140のパラメータテーブル(図6)にアクセスし、検出された開角度に対応する条件パラメータを特定する(ステップS204)。ここでは、前回の3D表示時と同じユーザであると仮定する。同じユーザであれば、眼間距離や視距離の変化はないので、これらのデフォルト値の組み合わせが特定される。
【0092】
一方、移動体通信端末1が上下開きである場合(ステップS202:No)、視差を利用した3D表示において、上下方向の開角度は視認に影響しない。この場合、表示制御部114は、ユーザが画面の正面から視認しているものとして、左右開き用に用意されているパラメータテーブルのパラメータを流用する。この場合、例えば、開角度180°に対応する条件パラメータ(デフォルト値の組み合わせ)を特定する(ステップS205)。なお、画面の横方向の長さに対して視距離が短い場合は、左右開き用のテーブルのパラメータとの差異が生じるが、その影響を考慮した補正を演算によっておこなってもよい。
【0093】
条件パラメータを特定すると、表示制御部114は、特定した条件パラメータの組み合わせに対応づけられている制御パラメータを読み出し(ステップS206)、読み出した制御パラメータに基づいて、左右画像の生成(ステップS207)と視差バリアパネル162の制御(ステップS208)をおこなうことで、3D表示をおこなう。この場合、表示制御部114は、表示部160Aと表示部160Bの双方における視差バリアパネル162の制御をおこなう。すなわち、読み出した制御パラメータによる表示制御を、表示部160Aと表示部160Bの双方に対しておこなうことで、表示部160Aと表示部160Bが連動して3D表示するよう制御される。
【0094】
ここで、表示制御部114は、3D表示の視認状態をユーザに確認するための「視認状態確認画面」を表示部160に表示する(ステップS209)。この「視認状態確認画面」には、3D表示の視認状態が良好であるか否かをユーザに問い合わせるメッセージとともに、良好であるか不良であるかを入力するための選択肢が選択可能に表示される。
【0095】
ユーザは、操作部150を操作することで、3D表示の視認状態が良好であるか不良であるかを入力する。このようなユーザ操作に応じた入力信号は、操作部150から制御部110に入力される。この場合、動作モード処理部111を介して表示制御部114に入力内容が通知され、現在のパラメータによる3D表示の視認状態が良好であるか否かが判別される(ステップS210)。
【0096】
視認状態が良好ではない場合(ステップS210:No)、表示制御部114は、視認状態が良好となるまで条件パラメータを変更する(ステップS211)。
【0097】
そして、視認状態が良好とされた場合(ステップS210:Yes)、ステップS211で条件パラメータのデフォルト値が変更されていれば(ステップS212:Yes)、パラメータテーブルにおけるデフォルト値を変更して(ステップS213)、「表示制御処理」(図9)のフローに戻る。
【0098】
このように、表示開始時においては、左右開きであるか上下開きであるかによって3D表示のパラメータが選択され、実際の表示に対するユーザの評価に基づいて、使用するパラメータが調整される。
【0099】
こうして3D表示が開始されると、視認状態判別部113は、状態検出部170からの検出信号を随時取得することで、所定の終了イベントにより処理を終了するまで、移動体通信端末1に状態変化が発生したか否かを判別する(ステップS105、ステップS108:No)。
【0100】
この場合の状態変化とは、移動体通信端末1が左右開きから上下開き、もしくは、上下開きから左右開きに変化することや、開角度が変化することをいう。よって、状態検出部170によって検出される移動体通信端末1の方向や開角度に変化があると、視認状態判別部113は状態変化が発生したと判別する。
【0101】
状態変化が発生したと判別した場合(ステップS105:Yes)、視認状態判別部113は、検出された状態変化の内容などを表示制御部114に通知する。この場合、表示制御部114は、記憶部140の動作設定テーブル(図8)を参照し、状態変化時、すなわち、縦横変更時及び/又は連結状態の変化時に3D表示をおこなう設定となっているか否かを判別する(ステップS106)。
【0102】
ここで、検出された状態変化の際に3D表示をおこなわない設定となっていれば(ステップS106:No)、表示制御部114は、その設定に応じた表示制御(2D表示や表示オフ)をおこなう(ステップS103)。
【0103】
一方、検出された状態変化の際に3D表示をおこなう設定となっている場合(ステップS106:Yes)、「状態変化時3D表示処理」が実行される(ステップS300)。この「状態変化時3D表示処理」を、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
【0104】
処理が開始されると、表示制御部114は、視認状態判別部113からの通知に基づき、検出された変化が、開角度であるか縦横変更であるかを判別する(ステップS301)。
【0105】
検出された変化が縦横変更である場合(ステップS301:No)、表示制御部114は、記憶部140の動作設定テーブル(図8)における「縦横変更時の表示」の設定に応じた表示制御(2Dまたは表示オフ)をおこなう(ステップS302)。
【0106】
一方、検出された変化が開角度の変化である場合(ステップS301:Yes)、視認状態判別部113は、検出された開角度から、移動体通信端末1が「開状態」であるか否かを判別する(ステップS303)。移動体通信端末1が「閉状態」である場合(ステップS303:No)、視認状態判別部113はその旨を表示制御部114に通知する。この場合、表示制御部114は、記憶部140の動作設定テーブルを参照し、閉状態時の表示動作設定に応じた表示(2Dまたは表示オフ)となるよう表示部160を制御する(ステップS302)。
【0107】
「開状態」である場合(ステップS303:Yes)、表示制御部114は、状態検出部170が検出する移動体通信端末1の方向に基づいて、現在の移動体通信端末1の状態が左右開きであるか上下開きであるかを判別する(ステップS304)。
【0108】
左右開きである場合(ステップS304:Yes)、視認状態判別部113は、状態検出部170からの検出信号に基づいて、開角度の変化量(「Δβ」とする)を検出し(ステップS305)、検出した開角度の変化量Δβに基づいて、視角の変化量(「Δα」とする)を算出する(ステップS306)。
【0109】
すなわち、図5(b)に示したように、変化前の開角度をβとし、そのときの視角を約±αとした場合、変化後の開角度であるβ+Δβに対応する視角は約±(α−1/2Δβ)となる。この場合の視角の変化量Δαは、約−1/2Δβとなる。このように、開角度の変化量から、視角の変化量が演算によって求められる。
【0110】
視認状態判別部113は、算出した視角の変化量Δαを表示制御部114に通知する。表示制御部114は、記憶部140のパラメータテーブル(図6)を参照し、視認状態判別部113からの通知に基づいて、現在の視角に対応する制御パラメータを読み出す(ステップS307)。
【0111】
図6に示すように、パラメータテーブルには、条件パラメータとして視角が含まれている。ここでは、眼間距離や視距離と開角度によって予め求められる視角が、複数の定数(「αn」(nは整数))として記録されている。表示制御部114は、このようなパラメータテーブルを参照することで、視認状態判別部113が算出した視角の変化量Δαなどに基づく現在の視角に近い定数αnを特定し、対応する制御パラメータを読み出す。
【0112】
一方、上下開きにおいて開角度の変化が検出された場合(ステップS304:No)は、視差を利用した3D表示においては影響しないので、上述した「3D表示処理」(図10)の場合と同様に、開角度180°に対応する制御パラメータが読み出される(ステップS308)。
【0113】
表示制御部114は、読み出した制御パラメータに基づいた左右画像の生成(ステップS309)と視差バリアパネル162の制御をおこなうことで、開角度の変化に応じた視角で適正となる3D表示をおこなう。
【0114】
このような、移動体通信端末1の状態変化に応じた表示制御が、当該状態変化が終了するまで繰り返しおこなわれる(ステップS311:No)。すなわち、左右開きで開角度が変化した場合は、変化した開角度に応じた異なる制御パラメータによって3D表示が制御される。
【0115】
そして、当該状態変化が終了すると(ステップS311:Yes)、「表示制御処理」(図9)のフローに戻る。
【0116】
「表示制御処理」では、「状態変化時3D表示処理」(図11)における状態変化が「縦横変更」であった場合には(ステップS107:Yes)、「3D表示処理」(図10)を実行することで、変更後の状態(左右開きか上下開き)に応じた3D表示がおこなわれる(ステップS200)。
【0117】
そして、以上の処理が、終了イベント(例えば、移動体通信端末1の電源オフやスリープモードへの移行など)が発生するまで繰り返しおこなわれ(ステップS108:No)、終了イベントの発生によって(ステップS108:Yes)、処理が終了する。
【0118】
以上説明したように、本実施形態によれば、折り畳み型の移動体通信端末において、筐体の双方に3D表示可能な表示部を備えている場合、左右開きの状態で3D表示をおこなっている際に開角度に変化が生じると、その開角度の変化に応じた視角の変化に基づいて3D表示制御がおこなわれるので、開角度の変化が生じても、良好な視認性を維持することができる。
【0119】
ここで、折り畳み型の移動体通信端末には2方向に開閉するものもあり、本実施形態にかかる移動体通信端末1が、このような2方向開閉方式を採用していてもよい。すなわち、図12(a)に示した閉状態から、図12(d)に示すように、筐体の長辺を回転軸として横方向に開閉してもよい。この場合、上下に開いた表示部160Aと表示部160Bのいずれもが横方向で視認される状態であり、ユーザの視野において、表示部160Aと表示部160Bが上下に視認されることになる(上下開き(横))。この形態は、例えば、ウェブ画面の閲覧やゲーム画面などに用いられる。
【0120】
図12(e)は、図12(d)に示した横方向の開状態から、移動体通信端末1全体を左右いずれかの方向に90°回転させた状態を示している。すなわち、左右に開いた表示部160Aと表示部160Bのいずれもが縦方向で視認される状態であり、ユーザの視野において、表示部160Aと表示部160Bが左右に視認されることになる(左右開き(縦))。この形態は、例えば、文書などの表示画面に用いられる。
【0121】
このような2方向に開閉する移動体通信端末1の場合、左右開きについて、図12(c)に示すような横方向の左右開き(左右開き(横))と、図12(e)に示すような縦方向の左右開き(左右開き(縦))があるため、それぞれについての開角度に応じたパラメータテーブルを用意することで、左右開き時における開角度の変化に応じた3D表示制御をおこなうことができる。また、画面の縦横比に基づいて、一方の左右開きについてのパラメータから他方の左右開きについてのパラメータを演算によって求めることができるのであれば、いずれかの左右開きについてのパラメータテーブルのみでもよい。
【0122】
本実施形態で説明した3D表示制御は、2画面が左右方向に展開する場合において、2画面間の位置関係が変化した場合の3D表示の視認性を維持するためのものであり、例示した折り畳み型だけでなく、スライド型の移動体通信端末にも応用可能である。
【0123】
本発明を適用することのできるスライド型の移動体通信端末の例を、図13を参照して説明する。この場合の移動体通信端末1’は、図13(a)に示すように、筐体11と、筐体11に対して平行に摺動する筐体12から構成され、筐体12には表示部160Bが構成されている。ここで、図13(a)では、筐体11と筐体12とが重なっている状態(閉状態)を示しており、筐体12をスライド(摺動)させることで、図13(b)に示すように、筐体11の主面が露出する。
【0124】
折り畳み型の移動体通信端末1と同様、移動体通信端末1’の筐体11にも表示部160Aが構成されており、タッチパッド機能による入力装置として機能する他、移動体通信端末1と同様、表示部160Bとともに画面表示をおこなう。
【0125】
この場合の表示部160Aと表示部160Bは、移動体通信端末1の場合と同様、いずれも3D表示をおこなえるものである。そして、スライド型の場合、図13(c)に示したような、表示部160Aと表示部160Bが左右に展開される状態が「左右開き」となり、左右開きで使用される際の移動体通信端末1’と鑑賞者(ユーザ)は、図14(a)に示すような位置関係となる。
【0126】
折り畳み型の場合、左右開きにおいて開角度が変化すると3D表示の視認性に影響がでたが、スライド型の場合は、左右開きにおけるスライド量の変化が3D表示の視認性に影響する。すなわち、図14(b)に示すように、筐体11と筐体12との間のスライド量により、表示部160Aと表示部160Bの位置関係が左右方向で変化するためである。
【0127】
この場合の視角の変化は、図14(b)に示すように、スライド量に応じた表示部160Aと表示部160Bの両端間距離L(画面間距離L)によって変化する。この視角の変化は、ユーザと移動体通信端末1’との距離dがわかれば演算によって求めることができる。したがって、スライド型の移動体通信端末1’の場合、状態検出部170は、筐体のスライド量(直線移動量)を検出するセンサ(例えば、リニア・エンコーダ)などによって構成される。
【0128】
なお、ユーザと移動体通信端末1’との距離dは、図6で例示したようなパラメータテーブルで条件パラメータとして設定されている視距離を用いることができる他、状態検出部170に距離を検出するセンサ(例えば、フォトセンサや超音波センサなど)を構成することで距離dを検出するようにしてもよい。
【0129】
そして、視認状態判別部113は、このような状態検出部170からの検出信号に基づいて画面間距離Lを算出すると、パラメータテーブルから特定される条件パラメータの視距離から距離dを認識し、これらに基づいて視角を算出する。
【0130】
視角の算出は、図14(c)に示すように、画面間距離をL、ユーザまでの距離をdとした場合、およその視角±αは、tan−1(L/2d)を演算することで求められる。この場合に、筐体がΔLスライドすると、画面間距離はL+ΔLとなり、この場合のおよその視角±α’は、tan−1((L+ΔL)/2dを演算することで求められる。そして、視角の変化量であるΔαは、tan−1((L+ΔL)/2d−tan−1(L/2d)の演算によって求められる。
【0131】
このように、視角の変化量を演算によって求められるので、折り畳み型の場合と同様、予め求められる視角をパラメータテーブルの条件パラメータに設定しておき、「表示制御処理」(図9)や「3D表示処理」(図10)、「状態変化時3D表示処理」(図11)における開角度の検出に代えて、画面間距離Lの検出をおこなえば、左右開き時に筐体をスライドさせた場合でも、スライド量に応じた適切な3D表示となるよう表示制御することができる。
【0132】
なお、スライド型の移動体通信端末1’の場合、スライド量に基づいて「開状態」であるか「閉状態」であるかを判別することができる。図13(a)に示したような「閉状態」、あるいは、「開状態」でもスライド量が小さい場合、表示部160Bの表示は視認することができるが、表示部160Aの表示は視認することができない、もしくは、視認しにくい状態となる。よって、「閉状態」、あるいは、「開状態」でもスライド量が小さいと判別された場合、表示制御部114は、記憶部140の動作設定テーブルを参照し、閉状態時の表示動作設定に応じた表示(2Dまたは表示オフ)となるよう表示部160を制御する。すなわち、スライド量に基づいて、表示部160Aまたは表示部160Bによる表示が視認されない、もしくは、視認しにくい状態と判別される場合には、表示部160(表示部160A、及び/又は、表示部160B)では3D表示をおこなわずに、2D表示または表示オフとする。
【0133】
(実施形態2)
上記実施形態1で説明したように、本発明を適用することにより、折り畳み型の移動体通信端末1において、開角度の変化に応じて3D表示の表示制御をおこなうことができる。本実施形態では、このような開角度の変化に応じた表示制御の応用例を示す。
【0134】
3D表示は、表示画像がいかにも立体的に表示されているように視認させるものであるが、このような3D表示のパラメータとして「飛び出し量」がある。このパラメータにより、画像が画面からどのくらい飛び出しているように視認させるかを制御することができる。
【0135】
折り畳み型の移動体通信端末1において、開角度に応じて飛び出し量パラメータを変えるように制御することができる。一例として、図15(a)に示すように、開角度が小さいときには飛び出し量を少なくし、開角度が大きくなるにつれ飛び出し量が多くなるよう制御することができる。図15(a)における点線は、3D表示された画像が立体的に視認されたときに感じられる飛び出し量を模式的に示している。このような制御をおこなうことで、筐体の開閉動作によってポップアップ絵本のような表示効果をもたらすことができる。
【0136】
この場合、例えば、図15(b)に示すような開角度と飛び出し量の関係となるようなパラメータ設定をしておき、状態検出部170によって検出された開角度に応じた飛び出し量で表示制御すればよい。
【0137】
その他の応用例として、例えば、図16(a)に示すように、2画面で1つの3次元画像を表示する場合などにおいて、画面の位置によって飛び出し量を異ならせるようにしてもよい。図16(a)における点線は、3D表示された画像が立体的に視認されたときに感じられる飛び出し量を模式的に示している。この例では、開角度が大きくなるにつれて全体の飛び出し量が大きくするとともに、図16(b)に示すように、視角の中心付近(画面の内側)と視角の外縁付近(画面の外側)で飛び出し量の増減率を異ならせる。この場合、例えば、画面の内側での飛び出し量を画面の外側より大きくするよう、パラメータの変化を各画面で連動するよう制御することで、ポップアップ絵本のように内側がより飛び出しているように視認させることができる。
【0138】
また、図16(c)に示すような、マイナス方向への飛び出し量パラメータを含ませるような設定をおこなうことで、開角度の変化によって3D表示の立体感をより強調するような表示効果をおこなうこともできる。
【0139】
実施形態1の場合と同様、スライド型の移動体通信端末1’においても、飛び出し量のパラメータをスライド量に応じて変化させることで、多様な表示効果を実現することができる。
【0140】
以上説明したように、本発明を上記実施形態の如く適用することにより、2画面を用いた3D表示において適切に視認させることができる。
【0141】
すなわち、折り畳み型やスライド型などのような、可動連結された筐体を有する移動体通信端末などの表示装置において、筐体の連結状態を検出し、検出した連結状態から視角を算出してパラメータを選択することで、連結状態が変化しても適切な3D表示をおこなうことができる。この場合に、選択したパラメータを用いて各画面を連動して制御するので、個別に制御する必要がない。
【0142】
折り畳み型の場合、開閉による筐体間の角度に基づいて視角を算出するので、開角度が変化しても適切な3D表示をおこなうことができる。この場合、筐体間の角度に基づいて視認状態の良否を判別し、視認状態が良好とはならない角度であれば、3D表示をおこなわずに2D表示や表示オフとなるよう制御するので、3D表示が視認しにくい場合には2D表示で見やすくし、表示が視認できない場合には表示をおこなわずに省電力化を図ることができる。
【0143】
また、スライド型の場合は、筐体間のスライド量や鑑賞者との距離に基づいて視角を算出するので、スライド量が変化しても適切な3D表示をおこなうことができる。この場合、スライド量に基づいて、2画面のうちのいずれかが視認不可と判別される場合には、当該画面では3D表示をおこなわずに2D表示や表示オフとなるよう制御するので、省電力化を図ることができる。
【0144】
また、左右開きから上下開きへの変更途中などでは、表示画面が斜めとなり3D表示制御が困難となるので、このような場合には、3D表示をおこなわずに、2D表示や表示オフとすることで、視認しやすくしたり、省電力化を図ったりすることができる。
【0145】
これらの場合において、2画面が左右方向に展開している場合にパラメータを変更する制御をおこなうので、視差を利用する3D表示の場合において、適切な表示制御をおこなうことができる。また、開角度やスライド量の変化が3D表示の視認に影響しない上下開きなどの場合には、制御動作をおこなわないので、消費電力の低減を図ることができる。
【0146】
連結状態の変化に対応した条件パラメータなどを記憶手段に記憶させておくことで、高速に処理することができる。また、視差を利用した3D表示の場合、左右開きの場合に視認性への影響が大きいので、左右開きの場合に用いられるパラメータのみを記憶手段に記憶させ、上下開き時には左右開き用のパラメータを流用することで、記憶手段の容量を節約することができる。
【0147】
また、パラメータに、3次元画像表示における飛び出し量を規定するパラメータを含めることで、多様な表示を実現することができる。
【0148】
上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0149】
例えば、上記実施形態では、本発明にかかる表示装置を移動体通信端末によって実現した場合を例示したが、画像を立体的に視認させる表示手段を備えたものであれば、移動体通信端末に限られず、種々の表示装置に本発明を適用することができる。
【0150】
また、本発明にかかる構成を予め備えた表示装置だけでなく、既存の表示装置にプログラムを適用することで、本発明にかかる表示装置として機能させることができる。
【0151】
このようなプログラムの適用方法は任意であり、例えば、CD−ROMやメモリカードなどの記憶媒体に格納して適用できる他、例えば、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。
【符号の説明】
【0152】
1…移動体通信端末、1’…移動体通信端末、11…筐体、12…筐体、110…制御部、111…動作モード処理部、112…画像取得部、113…視認状態判別部、114…表示制御部、120…通信部、121…アンテナ、130…音声処理部、131…スピーカ、132…マイクロフォン、140…記憶部、150…操作部、160(160A、160B)…表示部、161…表示パネル、162…視差バリアパネル、170…状態検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、および、プログラムに関し、特に、2以上の画面による立体画像表示に好適な表示装置、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの移動体通信端末の多くは、いわゆる、折り畳み式やスライド式などのような複数の可動筐体で構成された形態とすることで、携帯性と操作性の両立を図っている。
【0003】
移動体通信端末に用いられる表示装置は、液晶表示パネルを用いたものが主流であるが、このような表示装置にはタッチパネル機能を備えたものもあり、入力操作に用いるテンキーや各種ボタン群などを、いわゆるソフトウェアキーとして実現しているものもある。
【0004】
よって、折り畳み式やスライド式などの形態において、物理的なボタンをソフトウェアキーに置き換えた形態とすることも考えられる。この場合、2画面以上の表示部が連結された構成になり、より多様な表示形態を実現することができる。
【0005】
さらに、液晶表示技術を利用した立体画像表示技術も確立しており(例えば、特許文献1)、このような立体画像表示技術において、良好な3次元表示を維持させるために、ユーザの視点位置(頭部位置)を検出し、検出した視点位置に追従するよう3次元画像を形成する技術が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2857429号公報
【特許文献2】特開平10−333091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、2画面以上の表示部を連結させた構成に3次元表示技術を適用すれば、従来の1画面表示での立体画像表示よりも多様な視覚効果を実現することができる。
【0008】
しかしながら、立体画像は、鑑賞時の視認条件(例えば、視距離や角度、鑑賞者の眼間距離、など)に合った表示制御をおこなわないと視認しづらくなるという欠点がある。折り畳み式やスライド式などの構成の場合では、2画面間の連結状態が変化すると視認条件がずれてしまい、良好な3次元表示を維持することができない場合がある。
【0009】
このような不都合を解消するために、特許文献2に記載されるような技術を用いることも考えられるが、視点位置(頭部位置)を検出して追従させるためには、位置検出用センサが必要になる上、追従のために必要となるパラメータなども多様となるため、ハードウェア構成やソフトウェア処理が複雑になってしまい、移動体通信端末などのような小型の装置に適用することは困難である。その上、2画面以上で表示させるには、さらに処理が複雑になるため、適用することは一層困難となる。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、2以上の画面を用いた立体画像表示に好適な表示装置、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる表示装置は、
第1の表示画面を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体に可動連結され、第2の表示画面を有する第2の筐体と、
を含む表示装置であって、
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面の双方で3次元画像表示をおこなう表示手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との間の連結状態を検出する連結状態検出手段と、
前記連結状態検出手段によって検出された連結状態に基づいて、前記表示手段による3次元画像表示に対する視角を算出する視角算出手段と、
前記連結状態検出手段によって検出された連結状態と、前記視角算出手段によって算出された視角とに基づいて、前記表示手段が前記3次元画像表示に用いるパラメータを選択する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
上記表示装置において、
前記表示手段は、前記表示制御手段が選択したパラメータから、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を連動的に制御して、前記3次元画像表示をおこなうことが望ましい。
【0013】
上記表示装置は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが開閉可能に連結された折り畳み型の表示装置であり、この場合、
前記連結状態検出手段は、少なくとも、前記第1の筐体と前記第2の筐体とのなす角度を検出し、
前記視角算出手段は、前記連結状態検出手段が検出した角度に基づいて視角を算出することが望ましい。
【0014】
また、上記折り畳み型の表示装置は、
前記連結状態検出手段が検出した角度に基づいて、前記折り畳み型の表示装置による表示の視認状態が良好であるか否かを判別する視認良否判別手段をさらに備えていてもよく、
この場合、
前記表示手段は、前記視認良否判別手段によって視認状態が良好でないと判別された場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわないことが望ましい。
【0015】
前記表示装置は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが摺動可能に連結されたスライド型の表示装置であり、この場合、
前記連結状態検出手段は、少なくとも、前記第1の筐体と前記第2の筐体との間のスライド量を検出し、
前記視角算出手段は、前記連結状態検出手段が検出したスライド量に基づいて視角を算出する、
ことが望ましい。
【0016】
また、上記スライド型の表示装置は、
前記連結状態検出手段が検出したスライド量に基づいて、前記第1または第2の表示画面による表示の視認状態が良好であるか否かを判別する視認良否判別手段をさらに備えていてもよく、
この場合、
前記表示手段は、前記視認良否判別手段によって視認状態が良好でないと判別された場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわないことが望ましい。
【0017】
上記表示装置は、
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面による展開方向を検出する展開方向検出手段をさらに備えていることが望ましく、この場合、
前記表示制御手段は、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面とが左右方向に展開していることが検出された場合に、前記パラメータの選択をおこなうことが望ましい。
【0018】
上記表示装置は、
少なくとも、前記連結状態検出手段が検出する事項についてのパラメータを条件パラメータとして記憶するパラメータ記憶手段をさらに備えていることが望ましい。
【0019】
この場合、
前記パラメータ記憶手段は、前記条件パラメータに対応づけられた、前記表示手段が表示動作に用いる制御パラメータを記憶していてもよい。
【0020】
ここで、
前記パラメータ記憶手段は、左右方向に展開している前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を用いた3次元画像表示に用いられるパラメータのみを記憶するものであってもよく、この場合、
前記表示制御手段は、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面とが上下方向に展開していることが検出された場合、前記パラメータ記憶手段が記憶している、左右方向に展開している前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を用いた3次元画像表示に用いられるパラメータから、前記第1または第2の表示画面の正面から前記3次元画像表示が視認される場合のパラメータを選択することが望ましい。
【0021】
上記表示装置において、
前記表示制御手段は、前記連結状態検出手段によって検出された連結状態と、前記視角算出手段によって算出された視角とに基づいて条件パラメータを特定し、該特定した条件パラメータから特定される制御パラメータを選択することが望ましい。
【0022】
上記表示装置において、
前記表示手段は、前記展開方向検出手段が検出した展開方向が、左右方向および上下方向のいずれでもない場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわないことが望ましい。
【0023】
上記表示装置において、
前記パラメータには、前記3次元画像表示における飛び出し量を規定するパラメータを含んでいてもよい。
【0024】
この場合、
前記表示制御手段は、前記飛び出し量を規定するパラメータを、前記第1の表示画面および前記第2の表示画面における表示位置に応じて異ならせて選択してもよい。
【0025】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかるプログラムは、
第1の表示画面を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体に可動連結され、第2の表示画面を有する第2の筐体と、
を含む表示装置を制御するコンピュータに、
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面の双方で3次元画像表示をおこなう機能と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との間の連結状態を検出する機能と、
検出された連結状態に基づいて、前記3次元画像表示に対する視角を算出する機能と、
前記検出された連結状態と、前記算出された視角とに基づいて、前記3次元画像表示に用いるパラメータを選択する機能と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、2画面以上を用いた立体画像表示に好適な表示装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態1にかかる折り畳み型の移動体通信端末の例を示す図であり、(a)は、閉状態の例を示し、(b)は、上下開きの例を示し、(c)は、左右開きの例を示す。
【図2】図1に示した移動体通信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した表示部の構成を説明するための図であり、(a)は、表示部の構成を模式的に示し、(b)は、表示部で表示される左目用画像の例を示し、(c)は、表示部で表示される右目用画像の例を示し、(d)は、3次元画像の画素配列の例を示す。
【図4】図3(a)に示す視差バリアパネルを説明するための図であり、(a)は、バリアパターンの例を示し、(b)は、バリアパターンによる画像透過の仕組みを模式的に示す。
【図5】図1に示す折り畳み型の移動体通信端末における視角を説明するための図であり、(a)は、左右開きでの利用形態を模式的に示し、(b)は、(a)に示した利用形態における、開角度の変化と視角の変化を模式的に示す。
【図6】図2に示す記憶部に格納される「パラメータテーブル」の例を示す図である。
【図7】図2に示す制御部によって実現される機能構成の例を示す図である。
【図8】図2に示す記憶部に格納される「動作設定テーブル」の例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態にかかる「表示制御処理」を説明するためのフローチャートである。
【図10】図9に示す「表示制御処理」で実行される「3D表示処理」を説明するためのフローチャートである。
【図11】図9に示す「表示制御処理」で実行される「状態変化時3D表示処理」を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態1にかかる、折り畳み型の移動体通信端末の他の例を示す図であり、(a)は、閉状態の例を示し、(b)は、縦方向の上下開きの例を示し、(c)は、横方向の左右開きの例を示し、(d)は、横方向の上下開きの例を示し、(e)は、縦方向の左右開きの例を示す。
【図13】本発明の実施形態1にかかる、スライド型の移動体通信端末の例を示す図であり、(a)は、閉状態の例を示し、(b)は、上下開きの例を示し、(c)は、左右開きの例を示す。
【図14】図13に示すスライド型の移動体通信端末における視角を説明するための図であり、(a)は、左右開きでの利用形態を模式的に示し、(b)は、(a)に示した利用形態における、スライド量の変化と視角の変化を模式的に示し、(c)は、ユーザまでの距離とスライド量から視角の変化を求める原理を模式的に示す。
【図15】本発明の実施形態2にかかる動作を説明するための図であり、(a)は、移動体通信端末の開角度に応じた3D表示の飛び出し量の変化を模式的に示し、(b)は、この場合の開角度と飛び出し量の関係を示すグラフである。
【図16】本発明の実施形態2にかかる動作の他の例を説明するための図であり、(a)は、画面位置によって3D表示の飛び出し量を異ならせた場合を模式的に示し、(b)は、この場合の画面位置と飛び出し量の関係を示したグラフであり、(c)は、画面位置と飛び出し量の関係の他の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明にかかる実施形態を、図面を参照して以下に説明する。
【0029】
(実施形態1)
本実施形態では、本発明にかかる表示装置を、例えば、携帯電話などの移動体通信端末として実現した場合を例に説明する。本実施形態では、図1に示すような、いわゆる「折り畳み型」の移動体通信端末を想定する。
【0030】
本実施形態にかかる移動体通信端末1は、図1に示すように、筐体11と筐体12とがヒンジなどによって可動連結された構成を有する。ここで、図1(a)は、折り畳み型の移動体通信端末1が閉じられた状態(閉状態)を示している。
【0031】
本実施形態にかかる移動体通信端末1は、図1(a)に示した閉状態から、筐体の長手方向に開閉する構造であるものとする。図1(b)は、図1(a)に示した閉状態から、略矩形の形状である筐体の短辺を回転軸として縦方向に開いた状態(開状態)を示している。図1(b)に示すように、筐体11に第1の表示部160Aが構成され、筐体12に第2の表示部160Bが構成されている。
【0032】
この場合、上下に開いた表示部160Aと表示部160Bのいずれもが縦方向で視認される状態である。この開閉方向は、折り畳み型の移動体通信端末における一般的な開閉方向であり、移動体通信端末1の音声通話機能を使用するときや、電子メールの作成・閲覧時などに用いられる形態である。
【0033】
図1において、表示部160Aおよび表示部160Bが示す「123」および「ABC」は、画面の表示方向を表している。図1(b)に示した開状態においては、ユーザの視野において、表示部160Aと表示部160Bが上下に視認されることになる(以下、このような状態を「上下開き」とする)。
【0034】
図1(c)は、図1(b)のような縦方向の開状態から、移動体通信端末1全体を左右いずれかの方向に90°回転させた状態を示している。すなわち、左右に開いた表示部160Aと表示部160Bのいずれもが横方向で視認される状態である。この開閉方向は、例えば、写真や動画、テレビ放送などの閲覧時などに用いられる形態である。この場合、ユーザの視野において、表示部160Aと表示部160Bが左右に視認されることになる(以下、このような状態を「左右開き」とする)。
【0035】
上述したように、本実施形態にかかる移動体通信端末1には、筐体11と筐体12の双方に表示部160(表示部160A、表示部160B)が構成されている。筐体12側の表示部160Bは、一般的な移動体通信端末と同様の画面表示に用いられる。筐体11側の表示部160Aは、タッチパッド機能を有することで、一般的な移動体通信端末におけるテンキーなどに代わる入力機能を供する。なお、表示部160Aは、このような入力装置として機能するだけでなく、表示部160Bとともに画像表示をおこなうことで、2以上の画面表示がおこなえるものとする。
【0036】
このような筐体構造の移動体通信端末1の内部構成を、図2を参照して説明する。図2は、移動体通信端末1の内部構成を示すブロック図である。
【0037】
図示するように、移動体通信端末1は、制御部110、通信部120、音声処理部130、記憶部140、操作部150、表示部160(表示部160Aおよび表示部160B)、状態検出部170、などから構成されている。
【0038】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)やワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)などから構成され、所定の動作プログラムを実行することで移動体通信端末1の各部を制御する。すなわち、移動体通信端末1の各構成は制御部110によって制御されるとともに、各構成間の情報伝達などは制御部110を介しておこなわれる。
【0039】
通信部120は、移動体通信端末1が通信をおこなう際の無線アクセスにかかる構成であり、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)方式やGSM(Global Systems for Mobile communications)方式などの通信方式を用いた通信装置などで構成され、当該通信方式に対応したアンテナ121による無線送受信をおこなうことで、近傍の基地局と無線通信をおこなう。
【0040】
音声処理部130は、例えば、音声データ用のコーデック回路などから構成され、移動体通信端末1の音声入出力にかかる処理をおこなう。すなわち、通信部120で受信したデジタル音声データをアナログ音声信号に変換してスピーカ131から出力する受話動作や、マイクロフォン132から入力されたユーザの発話音声をデジタル音声データに変換して通信部120に送出する送話動作などをおこなう。
【0041】
記憶部140は、例えば、フラシュメモリなどの記憶装置から構成され、制御部110が実行する動作プログラムを格納する他、本発明を実現するために必要な種々のデータを格納する。
【0042】
操作部150は、例えば、筐体11の外面上に構成されたボタンやキーなどから構成され、移動体通信端末1のユーザによって操作される。操作部150は、各ボタンやキーなどと接続された入力回路などを備え、ユーザの操作に応じた入力信号を生成して制御部110に入力する。
【0043】
表示部160は、例えば、液晶表示装置などから構成された表示出力装置であり、制御部110の制御によって画像などを表示出力する。本実施形態にかかる表示部160は、立体画像表示(以下、「3D表示」とする)可能な表示装置であるとする。このような3D表示可能な表示部160の構成を、図3を参照して説明する。
【0044】
本実施形態にかかる表示部160は、図3(a)に示すように、表示パネル161と、視差バリアパネル162、などから構成されることで、3D表示を実現している。
【0045】
表示パネル161は、液晶表示パネルなどから構成され、表示画像を表示する。
【0046】
視差バリアパネル162は、液晶表示パネルと同様の構成を有し、表示パネル161における画像表示によって発生した光の透過方向を制御する。このため、視差バリアパネル162は、表示パネル161と、表示パネル161の表示画面を見る者(「鑑賞者」:移動体通信端末1の使用者など)との間に位置するよう、表示部160内に構成されている。
【0047】
このような構成の表示部160で3D表示をおこなう動作原理を、図3(b)〜図3(d)、および、図4を参照して説明する。
【0048】
視差バリアパネル162を用いて3D表示をおこなう場合、左目と右目の視差を利用する。このため、表示部160で3D表示をおこなう場合には、図3(b)に示すような左目用画像と、図3(c)に示すような右目用画像が用意される。左目用画像と右目用画像(以下、「左右画像」とする)はいずれも同じ表示対象を示しているが、視差に応じて左右方向にずらしてある。
【0049】
表示部160の表示パネル161は、左目用画像を構成する画素と、右目用画像を構成する画素の表示位置を、左右方向に異ならせて交互に表示する。つまり、図3(d)に示すように、右目用画像を構成している画素を奇数列に、左目用画像を構成している画素を偶数列に配列した画像として表示させる。
【0050】
換言すると、左目用画像と右目用画像のそれぞれを、1列(ライン)おきとなるよう画素配列させ、左目用画像と右目用画像とでラインが互い違いとなるよう表示させる。なお、画素配列のパターンは1列単位でなくてもよく、例えば、複数画素分でラインを構成してもよい。また、画素単位が整数値でなくてもよい。
【0051】
そして、表示パネル161は、このように左目用画像と右目用画像がストライプ状に配列された画像(以下、「3D画像」とする)を表示する。ここで、左目用画像の画素で構成されているラインが鑑賞者の左目に到達するようにし、右目用画像の画素で構成されているラインが鑑賞者の右目に到達するように表示することで、図3(b)および図3(c)で示したような視差のある2つの画像がそれぞれに対応する目で認識されることになる。この結果、各画像が鑑賞者の脳内で合成され、立体的な画像として視認される。
【0052】
ここで、視差バリアパネル162は、3D画像内の各ラインをそれぞれに対応した目の方向に表示させる動作をおこなう。上述したように、視差バリアパネル162は、液晶表示パネルと同様の構造であるため、各画素に対応する電極への電圧印加を制御することで、表示パネル161の画像表示によって発生した光を透過させたり、遮光したりすることができる。
【0053】
つまり、図4(a)に示すような、ストライプ上のバリアパターンを、表示パネル161に表示されている3D画像のラインに対応するよう形成する。そして、図4(b)に示すように、表示パネル161に表示された左右それぞれの画素は、視差バリアパネル162に形成したバリアパターンの透過列を透過して、鑑賞者の左右の目に到達する。
【0054】
ここで、透過列を透過した光が対応する目に届くようにするためには、透過列のそれぞれで透過方向を制御する必要がある。この場合、透過列毎に印加電圧を制御することで、液晶分子の配向方向を変えればよい。ここで、対応する目に届くような透過方向は、鑑賞者の目から表示部160までの距離(以下、「視距離」とする)と、鑑賞者の右目と左目の間隔(以下、「眼間距離」とする)によって変化する。
【0055】
本実施形態では、上述したように、折り畳み型の移動体通信端末1を構成している筐体11と筐体12の双方に表示部160(表示部160Aおよび表示部160B)が構成されており、それぞれが3D表示可能な構成とする。この場合、図1(b)で示したような左右開きの状態で3D表示をおこなうことで、例えば、ワイド画面に対応した画像を、より大きな表示画面で3D表示することができる。
【0056】
このときの移動体通信端末1と鑑賞者(ユーザ)とは、図5(a)に示すような位置関係となる。ここで、本実施形態にかかる移動体通信端末1は折り畳み型であるため、筐体11と筐体12とのなす角度、すなわち、表示部160Aの表示画面と表示部160Bの表示画面とのなす角度(以下、「開角度」とする)が可変である。本実施形態で採用している3D表示方式は、左右の視差を利用したものであるため、開角度の違いが3D表示の視認に大きく影響する。
【0057】
例えば、図5(b)に示すように、表示部160Aの画面と表示部160Bの画面との中心位置から一定の距離(視距離)で鑑賞者(ユーザ)が3D表示を鑑賞する場合、移動体通信端末1の開角度が変化すると、ユーザの視角が変化する。
【0058】
この視角の変化は、演算によって求めることができる。図5(b)に例示するように、開角度がβであるときの視角が約±αであった場合、開角度がΔβ分大きく(β+Δβ)なったときの視角は、約±(α−1/2Δβ)と求めることができる。このとき、視角の変化量Δαは、約−1/2Δβと求めることができる。
【0059】
このように、折り畳み型の移動体通信端末1を左右開きにした状態で3D表示をおこなった場合、開角度に応じて視角が変化する。この視角の変化は3D表示の視認に大きく影響するため、視距離や眼間距離などといった一般的な条件の他に、移動体通信端末1の開角度に応じた視角も視認条件として重要となる。
【0060】
よって、本実施形態では、これらの条件をパラメータ化した「条件パラメータ」を予め複数用意することで、3D表示が適切に視認されるようにする。この「条件パラメータ」は、記憶部140に格納されている。また、本実施形態では、用意された条件パラメータのそれぞれについて、適切な透過方向のバリアパターンを形成させるための「制御パラメータ」を設定し、記憶部140に格納されている条件パラメータと対応づけて格納する。本実施形態では、図6に示すような「パラメータテーブル」が、記憶部140に格納されているものとする。
【0061】
図示するように、「パラメータテーブル」には、移動体通信端末1の開角度に応じて、条件パラメータと制御パラメータが対応づけられている。ここでは、開角度毎に眼間距離と視距離の組み合わせが複数設定されている。また、各組み合わせに応じた視角αも設定されている。そして、各組み合わせにおいて適切な透過方向とするための制御パラメータが記録されている。この制御パラメータは、例えば、表示画面方向によって適切に3D画像を表示するために設定された表示パネル161の制御値と、その表示の際に適切な透過方向となる視差バリアパネル162のライン毎の制御値(例えば、印加電圧など)である。
【0062】
つまり、図3(d)に示したような3D画像を表示パネル161に表示し、視差バリアパネル162に形成したバリアパターンを用いることで3D表示させる場合、特定の条件下となったときに3D表示として視認されることになるので、移動体通信端末1の開角度が変わると、3D画像における左右画像の配列を変更する必要があり、左右画像の配列が変更されれば、それに合わせたバリアパターンに変更する必要がある。このため、開角度に対応して設定された条件パラメータの組み合わせ毎に、最適な左右画像の配列とさせるための表示パネル161の制御値と、その場合に最適となるバリアパターンを形成させるための視差バリアパネル162の制御値が、制御パラメータとして設定されている。
【0063】
なお、表示パネル161についての制御パラメータは、例えば、左右画像の画素配列の周期や順序などについて、表示パネル161の分解能に応じて設定されるものとする。よって、表示パネル161についての制御パラメータは、制御できる範囲の分解能において設定されるので、ある程度離散的なものになる。また、縦長方向での画面表示と横長方向での画面表示で縦横の画素ピッチが異なる場合、表示パネル161の制御パラメータは、表示画面方向に応じて異なる制御値となる。
【0064】
ここで、条件パラメータの眼間距離は、同一の鑑賞者については固定値となるため、デフォルト値を設定しておくことで、効率的な処理をおこなうことができる。例えば、移動体通信端末1での3D表示が初回となるときには、一般的な眼間距離と視距離の組み合わせがデフォルト値として指定され、2回目以降においては、前回の3D表示で用いられたパラメータがデフォルト値として指定されるようにする。このため、図6においてハッチングで示しているように、デフォルト値がいずれであるかが識別できるようにしておく。
【0065】
本実施形態では、図1(c)で示したような、左右開きの移動体通信端末1の表示部160Aと表示部160Bを使った3D表示において参照されるパラメータテーブルのみが記憶部140に用意されているものとするが、上下開き(図1(b))での3D表示において参照されるパラメータテーブルが別途用意されていてもよい。
【0066】
図2に戻り、移動体通信端末1の構成の説明を続ける。
【0067】
状態検出部170は、移動体通信端末1の状態を検出するためのセンサ群などから構成される。本実施形態では、移動体通信端末1の方向を検出するためのセンサ(例えば、地磁気センサや角速度センサ、加速度センサなど)や、移動体通信端末1の開角度を検出するためのセンサ(例えば、ロータリ・エンコーダなど)などから構成され、検出結果を示す信号を制御部110に入力する。
【0068】
以上が本実施形態にかかる移動体通信端末1の主要な構成であるが、これらは本発明を実現するために必要な構成であり、移動体通信端末の主要機能や付加機能を実現するために必要となるその他の構成については適宜備えられているものとする。
【0069】
以上のような構成の移動体通信端末1の動作を説明する。ここで、本実施形態にかかる移動体通信端末1は、図1(a)〜図1(c)で例示したような、移動体通信端末1の姿勢が上下開きである場合と左右開きである場合のそれぞれにおいて、表示部160の表示制御をおこなうことで、開閉方向に応じた画像表示がなされるものとする。ここで、本実施形態にかかる表示部160は、3D表示可能なものであるので、開閉方向に応じて画像表示を制御する際に、3D表示が適切に視認されるよう視差バリアパネル162を制御する。
【0070】
このような動作をおこなうため、記憶部140に格納されている動作プログラムを制御部110が実行することで、図7に示すような機能が実現される。図示するように、制御部110は、動作モード処理部111、画像取得部112、視認状態判別部113、表示制御部114、などとして機能する。
【0071】
動作モード処理部111は、移動体通信端末1の使用者が操作部150を操作することで入力された信号などに基づいて、移動体通信端末1の動作モードを指定する他、指定した動作モードに応じた各機能への指示などをおこなう。
【0072】
画像取得部112は、移動体通信端末1の表示部160で画面表示をおこなう際の表示画面を構成する画像データなどを取得する。本実施形態では、3D表示用に作成された画像の画像データや、通常の表示(以下、「2D表示」とする)に用いられる画像データなどを取得する。これらの画像データは、例えば、記憶部140などに格納されているものとし、この場合画像取得部112は、画面表示に必要となる画像データなどを適宜記憶部140から取得する。
【0073】
視認状態判別部113は、状態検出部170からの入力信号に基づいて、移動体通信端末1が左右開きであるか上下開きであるかを判別する。つまり、重力方向に対する移動体通信端末1の方向を示す状態検出部170からの検出信号に基づいて、移動体通信端末1が図1(b)に示すような上下開きとなっているのか、図1(c)に示すような左右開きになっているのかが判別される。また、視認状態判別部113は、状態検出部170からの検出信号に基づいて、移動体通信端末1の開角度を随時算出する。
【0074】
表示制御部114は、動作モード処理部111で指定された動作モード、画像取得部112が取得した画像データの属性、および、視認状態判別部113が判別した表示部160の開閉方向や開角度に基づいて、記憶部140に格納されているパラメータを選択し、選択したパラメータで表示部160の表示動作を制御する。この場合、表示制御部114は、3D表示の表示動作についての動作設定にしたがって表示制御をおこなうものとする。この動作設定は、例えば、図8に示すような「動作設定テーブル」として記憶部140に格納されているものとする。
【0075】
ここで、図8に示すように、動作設定の項目として、例えば、「表示モード」、「閉状態時の表示」、「縦横変更時の表示」、「連結状態変化時の表示」、などが用意されているものとする。
【0076】
「表示モード」は、表示部160で3D表示をおこなうか否かを指定する設定であり、デフォルトで3D表示をおこなわせたい場合は、選択肢「3D」が有効となるよう設定され、3D表示モードがオンとなる。一方、3D表示をおこなわせない場合は、選択肢「2D」が有効となるよう設定され、3D表示モードがオフとなる。
【0077】
「閉状態時の表示」は、移動体通信端末1が閉状態の時に表示部160で画面表示をおこなうか否かを指定する設定であり、移動体通信端末1のような折り畳み型の場合では、通常、表示をおこなわないことを指定する「しない」が有効となるよう設定される。
【0078】
「縦横変更時の表示」は、移動体通信端末1が上下開きから左右開き、あるいは、左右開きから上下開きに変更している途中(縦横変更時)に、表示部160における画面表示をおこなうか否かを指定する設定である。
【0079】
ここで、縦横変更時は、移動体通信端末1の使用者が移動体通信端末1を90°回転させる状態であり、表示画面方向が縦長から横長もしくは横長から縦長に変わる途中である。この場合、表示画面方向が斜めになる。上述したように、表示部160で3D表示をおこなう場合には、視差バリアパネル162によってバリアパターンが形成されるが、表示画面方向が斜めのときには、表示パネル161で表示している画像の方向も斜めになるので、これに合わせたバリアパターンとする必要がある。
【0080】
この場合において、表示画面方向が縦長や横長のときには、単純なストライプ状のバリアパターンでよいが、縦横変更時は、表示画面方向の角度が随時変化する。この場合、処理が複雑となり、表示制御が角度変化に追従できず、3D表示の表示品質が低下することがある。また、斜め方向のバリアパターン自体をきれいに形成させることが困難となることもある。よって、「縦横変更時の表示」では、表示画面方向が斜めとなる縦横変更時では、3D表示をおこなわずに2D表示とさせる設定(「2D」)と、表示をおこなわせない設定(「しない」)が選択肢として用意される。
【0081】
「連結状態変化時の表示」は、移動体通信端末1の筐体の連結状態が変化しているとき、すなわち開角度が変化しているときにどのように表示させるかを指定する設定である。ここでは、連結状態(開角度)変化時でも表示をさせる場合には「する」が有効となるよう設定され、連結状態(開角度)の変化時は表示させない場合は「しない」が有効となるよう設定される。また、「する」が有効となっている場合、表示を「2D」とするか「3D」とするかが設定される。
【0082】
これらの各項目は、例えば、移動体通信端末1の使用者が操作部150を操作することなどによって設定される。
【0083】
図7に示した機能構成によって実行される処理を説明する。ここでは、上述したような構成の移動体通信端末1で画面表示をおこなう際に実行される「表示制御処理」を、図9に示すフローチャートを参照して説明する。この「表示制御処理」は、表示部160での表示動作がおこなわれる場合(例えば、移動体通信端末1の電源オン、スリープモードからの復帰、など)に開始される。
【0084】
処理が開始されると、視認状態判別部113が状態検出部170を制御することで、移動体通信端末1の開角度を検出し(ステップS101)、検出された開角度に基づいて、移動体通信端末1が「開状態」であるか否かを判別する(ステップS102)。
【0085】
ここで、移動体通信端末1が「閉状態」である場合(ステップS102:No)、視認状態判別部113はその旨を表示制御部114に通知する。この場合、表示制御部114は、記憶部140の動作設定テーブルを参照し、閉状態時の表示動作設定に応じた表示(2Dまたは表示オフ)となるよう表示部160を制御する(ステップS103)。ここで、「閉状態」と判別する開角度は0°に限られるものではなく、表示部160の表示画面を視認しにくい開角度以下であることが検出された場合に、「閉状態」であると判別してもよい。
【0086】
すなわち、開角度に基づいて、表示部160による表示が視認できない、もしくは、視認しにくいと判別される場合には、3D表示をおこなわずに、2D表示または表示オフとする。この場合、記憶部140の動作設定テーブル(図8)における「閉状態時の表示」にかかる設定項目を細分化してもよい。例えば、視認しにくい(視認状態が良好でない)開角度(例えば、30°以下)では2D表示をおこなうようにし、視認できない(視認不可)開角度(例えば、15°以下)では表示オフとなるよう設定してもよい。
【0087】
一方、移動体通信端末1が「開状態」である場合(ステップS102:Yes)、視認状態判別部113はその旨を動作モード処理部111に通知する。この場合、動作モード処理部111は、動作モード処理部111が記憶部140の動作設定テーブルを参照することで、表示モードが「3D」であるか否かを判別する(ステップS104)。ここで、表示モードが「2D」であれば(ステップS104:No)、表示制御部114により、2D表示にかかる制御がおこなわれる(ステップS103)。
【0088】
一方、表示モードが「3D」であれば(ステップS104:Yes)、動作モード処理部111は、その旨を、画像取得部112、視認状態判別部113、表示制御部114に通知し、「3D表示処理」を実行する(ステップS200)。この「3D表示処理」を、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0089】
処理が開始されると、視認状態判別部113は、状態検出部170を制御し、装置方向を検出する(ステップS201)。視認状態判別部113は、状態検出部170が検出した装置方向に基づき、移動体通信端末1が左右開きであるか上下開きであるかを判別する(ステップS202)。
【0090】
移動体通信端末1が左右開きである場合(ステップS202:Yes)、視認状態判別部113が状態検出部170を制御することで、そのときの開角度を検出し(ステップS203)、表示制御部114に通知する。
【0091】
表示制御部114は、記憶部140のパラメータテーブル(図6)にアクセスし、検出された開角度に対応する条件パラメータを特定する(ステップS204)。ここでは、前回の3D表示時と同じユーザであると仮定する。同じユーザであれば、眼間距離や視距離の変化はないので、これらのデフォルト値の組み合わせが特定される。
【0092】
一方、移動体通信端末1が上下開きである場合(ステップS202:No)、視差を利用した3D表示において、上下方向の開角度は視認に影響しない。この場合、表示制御部114は、ユーザが画面の正面から視認しているものとして、左右開き用に用意されているパラメータテーブルのパラメータを流用する。この場合、例えば、開角度180°に対応する条件パラメータ(デフォルト値の組み合わせ)を特定する(ステップS205)。なお、画面の横方向の長さに対して視距離が短い場合は、左右開き用のテーブルのパラメータとの差異が生じるが、その影響を考慮した補正を演算によっておこなってもよい。
【0093】
条件パラメータを特定すると、表示制御部114は、特定した条件パラメータの組み合わせに対応づけられている制御パラメータを読み出し(ステップS206)、読み出した制御パラメータに基づいて、左右画像の生成(ステップS207)と視差バリアパネル162の制御(ステップS208)をおこなうことで、3D表示をおこなう。この場合、表示制御部114は、表示部160Aと表示部160Bの双方における視差バリアパネル162の制御をおこなう。すなわち、読み出した制御パラメータによる表示制御を、表示部160Aと表示部160Bの双方に対しておこなうことで、表示部160Aと表示部160Bが連動して3D表示するよう制御される。
【0094】
ここで、表示制御部114は、3D表示の視認状態をユーザに確認するための「視認状態確認画面」を表示部160に表示する(ステップS209)。この「視認状態確認画面」には、3D表示の視認状態が良好であるか否かをユーザに問い合わせるメッセージとともに、良好であるか不良であるかを入力するための選択肢が選択可能に表示される。
【0095】
ユーザは、操作部150を操作することで、3D表示の視認状態が良好であるか不良であるかを入力する。このようなユーザ操作に応じた入力信号は、操作部150から制御部110に入力される。この場合、動作モード処理部111を介して表示制御部114に入力内容が通知され、現在のパラメータによる3D表示の視認状態が良好であるか否かが判別される(ステップS210)。
【0096】
視認状態が良好ではない場合(ステップS210:No)、表示制御部114は、視認状態が良好となるまで条件パラメータを変更する(ステップS211)。
【0097】
そして、視認状態が良好とされた場合(ステップS210:Yes)、ステップS211で条件パラメータのデフォルト値が変更されていれば(ステップS212:Yes)、パラメータテーブルにおけるデフォルト値を変更して(ステップS213)、「表示制御処理」(図9)のフローに戻る。
【0098】
このように、表示開始時においては、左右開きであるか上下開きであるかによって3D表示のパラメータが選択され、実際の表示に対するユーザの評価に基づいて、使用するパラメータが調整される。
【0099】
こうして3D表示が開始されると、視認状態判別部113は、状態検出部170からの検出信号を随時取得することで、所定の終了イベントにより処理を終了するまで、移動体通信端末1に状態変化が発生したか否かを判別する(ステップS105、ステップS108:No)。
【0100】
この場合の状態変化とは、移動体通信端末1が左右開きから上下開き、もしくは、上下開きから左右開きに変化することや、開角度が変化することをいう。よって、状態検出部170によって検出される移動体通信端末1の方向や開角度に変化があると、視認状態判別部113は状態変化が発生したと判別する。
【0101】
状態変化が発生したと判別した場合(ステップS105:Yes)、視認状態判別部113は、検出された状態変化の内容などを表示制御部114に通知する。この場合、表示制御部114は、記憶部140の動作設定テーブル(図8)を参照し、状態変化時、すなわち、縦横変更時及び/又は連結状態の変化時に3D表示をおこなう設定となっているか否かを判別する(ステップS106)。
【0102】
ここで、検出された状態変化の際に3D表示をおこなわない設定となっていれば(ステップS106:No)、表示制御部114は、その設定に応じた表示制御(2D表示や表示オフ)をおこなう(ステップS103)。
【0103】
一方、検出された状態変化の際に3D表示をおこなう設定となっている場合(ステップS106:Yes)、「状態変化時3D表示処理」が実行される(ステップS300)。この「状態変化時3D表示処理」を、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
【0104】
処理が開始されると、表示制御部114は、視認状態判別部113からの通知に基づき、検出された変化が、開角度であるか縦横変更であるかを判別する(ステップS301)。
【0105】
検出された変化が縦横変更である場合(ステップS301:No)、表示制御部114は、記憶部140の動作設定テーブル(図8)における「縦横変更時の表示」の設定に応じた表示制御(2Dまたは表示オフ)をおこなう(ステップS302)。
【0106】
一方、検出された変化が開角度の変化である場合(ステップS301:Yes)、視認状態判別部113は、検出された開角度から、移動体通信端末1が「開状態」であるか否かを判別する(ステップS303)。移動体通信端末1が「閉状態」である場合(ステップS303:No)、視認状態判別部113はその旨を表示制御部114に通知する。この場合、表示制御部114は、記憶部140の動作設定テーブルを参照し、閉状態時の表示動作設定に応じた表示(2Dまたは表示オフ)となるよう表示部160を制御する(ステップS302)。
【0107】
「開状態」である場合(ステップS303:Yes)、表示制御部114は、状態検出部170が検出する移動体通信端末1の方向に基づいて、現在の移動体通信端末1の状態が左右開きであるか上下開きであるかを判別する(ステップS304)。
【0108】
左右開きである場合(ステップS304:Yes)、視認状態判別部113は、状態検出部170からの検出信号に基づいて、開角度の変化量(「Δβ」とする)を検出し(ステップS305)、検出した開角度の変化量Δβに基づいて、視角の変化量(「Δα」とする)を算出する(ステップS306)。
【0109】
すなわち、図5(b)に示したように、変化前の開角度をβとし、そのときの視角を約±αとした場合、変化後の開角度であるβ+Δβに対応する視角は約±(α−1/2Δβ)となる。この場合の視角の変化量Δαは、約−1/2Δβとなる。このように、開角度の変化量から、視角の変化量が演算によって求められる。
【0110】
視認状態判別部113は、算出した視角の変化量Δαを表示制御部114に通知する。表示制御部114は、記憶部140のパラメータテーブル(図6)を参照し、視認状態判別部113からの通知に基づいて、現在の視角に対応する制御パラメータを読み出す(ステップS307)。
【0111】
図6に示すように、パラメータテーブルには、条件パラメータとして視角が含まれている。ここでは、眼間距離や視距離と開角度によって予め求められる視角が、複数の定数(「αn」(nは整数))として記録されている。表示制御部114は、このようなパラメータテーブルを参照することで、視認状態判別部113が算出した視角の変化量Δαなどに基づく現在の視角に近い定数αnを特定し、対応する制御パラメータを読み出す。
【0112】
一方、上下開きにおいて開角度の変化が検出された場合(ステップS304:No)は、視差を利用した3D表示においては影響しないので、上述した「3D表示処理」(図10)の場合と同様に、開角度180°に対応する制御パラメータが読み出される(ステップS308)。
【0113】
表示制御部114は、読み出した制御パラメータに基づいた左右画像の生成(ステップS309)と視差バリアパネル162の制御をおこなうことで、開角度の変化に応じた視角で適正となる3D表示をおこなう。
【0114】
このような、移動体通信端末1の状態変化に応じた表示制御が、当該状態変化が終了するまで繰り返しおこなわれる(ステップS311:No)。すなわち、左右開きで開角度が変化した場合は、変化した開角度に応じた異なる制御パラメータによって3D表示が制御される。
【0115】
そして、当該状態変化が終了すると(ステップS311:Yes)、「表示制御処理」(図9)のフローに戻る。
【0116】
「表示制御処理」では、「状態変化時3D表示処理」(図11)における状態変化が「縦横変更」であった場合には(ステップS107:Yes)、「3D表示処理」(図10)を実行することで、変更後の状態(左右開きか上下開き)に応じた3D表示がおこなわれる(ステップS200)。
【0117】
そして、以上の処理が、終了イベント(例えば、移動体通信端末1の電源オフやスリープモードへの移行など)が発生するまで繰り返しおこなわれ(ステップS108:No)、終了イベントの発生によって(ステップS108:Yes)、処理が終了する。
【0118】
以上説明したように、本実施形態によれば、折り畳み型の移動体通信端末において、筐体の双方に3D表示可能な表示部を備えている場合、左右開きの状態で3D表示をおこなっている際に開角度に変化が生じると、その開角度の変化に応じた視角の変化に基づいて3D表示制御がおこなわれるので、開角度の変化が生じても、良好な視認性を維持することができる。
【0119】
ここで、折り畳み型の移動体通信端末には2方向に開閉するものもあり、本実施形態にかかる移動体通信端末1が、このような2方向開閉方式を採用していてもよい。すなわち、図12(a)に示した閉状態から、図12(d)に示すように、筐体の長辺を回転軸として横方向に開閉してもよい。この場合、上下に開いた表示部160Aと表示部160Bのいずれもが横方向で視認される状態であり、ユーザの視野において、表示部160Aと表示部160Bが上下に視認されることになる(上下開き(横))。この形態は、例えば、ウェブ画面の閲覧やゲーム画面などに用いられる。
【0120】
図12(e)は、図12(d)に示した横方向の開状態から、移動体通信端末1全体を左右いずれかの方向に90°回転させた状態を示している。すなわち、左右に開いた表示部160Aと表示部160Bのいずれもが縦方向で視認される状態であり、ユーザの視野において、表示部160Aと表示部160Bが左右に視認されることになる(左右開き(縦))。この形態は、例えば、文書などの表示画面に用いられる。
【0121】
このような2方向に開閉する移動体通信端末1の場合、左右開きについて、図12(c)に示すような横方向の左右開き(左右開き(横))と、図12(e)に示すような縦方向の左右開き(左右開き(縦))があるため、それぞれについての開角度に応じたパラメータテーブルを用意することで、左右開き時における開角度の変化に応じた3D表示制御をおこなうことができる。また、画面の縦横比に基づいて、一方の左右開きについてのパラメータから他方の左右開きについてのパラメータを演算によって求めることができるのであれば、いずれかの左右開きについてのパラメータテーブルのみでもよい。
【0122】
本実施形態で説明した3D表示制御は、2画面が左右方向に展開する場合において、2画面間の位置関係が変化した場合の3D表示の視認性を維持するためのものであり、例示した折り畳み型だけでなく、スライド型の移動体通信端末にも応用可能である。
【0123】
本発明を適用することのできるスライド型の移動体通信端末の例を、図13を参照して説明する。この場合の移動体通信端末1’は、図13(a)に示すように、筐体11と、筐体11に対して平行に摺動する筐体12から構成され、筐体12には表示部160Bが構成されている。ここで、図13(a)では、筐体11と筐体12とが重なっている状態(閉状態)を示しており、筐体12をスライド(摺動)させることで、図13(b)に示すように、筐体11の主面が露出する。
【0124】
折り畳み型の移動体通信端末1と同様、移動体通信端末1’の筐体11にも表示部160Aが構成されており、タッチパッド機能による入力装置として機能する他、移動体通信端末1と同様、表示部160Bとともに画面表示をおこなう。
【0125】
この場合の表示部160Aと表示部160Bは、移動体通信端末1の場合と同様、いずれも3D表示をおこなえるものである。そして、スライド型の場合、図13(c)に示したような、表示部160Aと表示部160Bが左右に展開される状態が「左右開き」となり、左右開きで使用される際の移動体通信端末1’と鑑賞者(ユーザ)は、図14(a)に示すような位置関係となる。
【0126】
折り畳み型の場合、左右開きにおいて開角度が変化すると3D表示の視認性に影響がでたが、スライド型の場合は、左右開きにおけるスライド量の変化が3D表示の視認性に影響する。すなわち、図14(b)に示すように、筐体11と筐体12との間のスライド量により、表示部160Aと表示部160Bの位置関係が左右方向で変化するためである。
【0127】
この場合の視角の変化は、図14(b)に示すように、スライド量に応じた表示部160Aと表示部160Bの両端間距離L(画面間距離L)によって変化する。この視角の変化は、ユーザと移動体通信端末1’との距離dがわかれば演算によって求めることができる。したがって、スライド型の移動体通信端末1’の場合、状態検出部170は、筐体のスライド量(直線移動量)を検出するセンサ(例えば、リニア・エンコーダ)などによって構成される。
【0128】
なお、ユーザと移動体通信端末1’との距離dは、図6で例示したようなパラメータテーブルで条件パラメータとして設定されている視距離を用いることができる他、状態検出部170に距離を検出するセンサ(例えば、フォトセンサや超音波センサなど)を構成することで距離dを検出するようにしてもよい。
【0129】
そして、視認状態判別部113は、このような状態検出部170からの検出信号に基づいて画面間距離Lを算出すると、パラメータテーブルから特定される条件パラメータの視距離から距離dを認識し、これらに基づいて視角を算出する。
【0130】
視角の算出は、図14(c)に示すように、画面間距離をL、ユーザまでの距離をdとした場合、およその視角±αは、tan−1(L/2d)を演算することで求められる。この場合に、筐体がΔLスライドすると、画面間距離はL+ΔLとなり、この場合のおよその視角±α’は、tan−1((L+ΔL)/2dを演算することで求められる。そして、視角の変化量であるΔαは、tan−1((L+ΔL)/2d−tan−1(L/2d)の演算によって求められる。
【0131】
このように、視角の変化量を演算によって求められるので、折り畳み型の場合と同様、予め求められる視角をパラメータテーブルの条件パラメータに設定しておき、「表示制御処理」(図9)や「3D表示処理」(図10)、「状態変化時3D表示処理」(図11)における開角度の検出に代えて、画面間距離Lの検出をおこなえば、左右開き時に筐体をスライドさせた場合でも、スライド量に応じた適切な3D表示となるよう表示制御することができる。
【0132】
なお、スライド型の移動体通信端末1’の場合、スライド量に基づいて「開状態」であるか「閉状態」であるかを判別することができる。図13(a)に示したような「閉状態」、あるいは、「開状態」でもスライド量が小さい場合、表示部160Bの表示は視認することができるが、表示部160Aの表示は視認することができない、もしくは、視認しにくい状態となる。よって、「閉状態」、あるいは、「開状態」でもスライド量が小さいと判別された場合、表示制御部114は、記憶部140の動作設定テーブルを参照し、閉状態時の表示動作設定に応じた表示(2Dまたは表示オフ)となるよう表示部160を制御する。すなわち、スライド量に基づいて、表示部160Aまたは表示部160Bによる表示が視認されない、もしくは、視認しにくい状態と判別される場合には、表示部160(表示部160A、及び/又は、表示部160B)では3D表示をおこなわずに、2D表示または表示オフとする。
【0133】
(実施形態2)
上記実施形態1で説明したように、本発明を適用することにより、折り畳み型の移動体通信端末1において、開角度の変化に応じて3D表示の表示制御をおこなうことができる。本実施形態では、このような開角度の変化に応じた表示制御の応用例を示す。
【0134】
3D表示は、表示画像がいかにも立体的に表示されているように視認させるものであるが、このような3D表示のパラメータとして「飛び出し量」がある。このパラメータにより、画像が画面からどのくらい飛び出しているように視認させるかを制御することができる。
【0135】
折り畳み型の移動体通信端末1において、開角度に応じて飛び出し量パラメータを変えるように制御することができる。一例として、図15(a)に示すように、開角度が小さいときには飛び出し量を少なくし、開角度が大きくなるにつれ飛び出し量が多くなるよう制御することができる。図15(a)における点線は、3D表示された画像が立体的に視認されたときに感じられる飛び出し量を模式的に示している。このような制御をおこなうことで、筐体の開閉動作によってポップアップ絵本のような表示効果をもたらすことができる。
【0136】
この場合、例えば、図15(b)に示すような開角度と飛び出し量の関係となるようなパラメータ設定をしておき、状態検出部170によって検出された開角度に応じた飛び出し量で表示制御すればよい。
【0137】
その他の応用例として、例えば、図16(a)に示すように、2画面で1つの3次元画像を表示する場合などにおいて、画面の位置によって飛び出し量を異ならせるようにしてもよい。図16(a)における点線は、3D表示された画像が立体的に視認されたときに感じられる飛び出し量を模式的に示している。この例では、開角度が大きくなるにつれて全体の飛び出し量が大きくするとともに、図16(b)に示すように、視角の中心付近(画面の内側)と視角の外縁付近(画面の外側)で飛び出し量の増減率を異ならせる。この場合、例えば、画面の内側での飛び出し量を画面の外側より大きくするよう、パラメータの変化を各画面で連動するよう制御することで、ポップアップ絵本のように内側がより飛び出しているように視認させることができる。
【0138】
また、図16(c)に示すような、マイナス方向への飛び出し量パラメータを含ませるような設定をおこなうことで、開角度の変化によって3D表示の立体感をより強調するような表示効果をおこなうこともできる。
【0139】
実施形態1の場合と同様、スライド型の移動体通信端末1’においても、飛び出し量のパラメータをスライド量に応じて変化させることで、多様な表示効果を実現することができる。
【0140】
以上説明したように、本発明を上記実施形態の如く適用することにより、2画面を用いた3D表示において適切に視認させることができる。
【0141】
すなわち、折り畳み型やスライド型などのような、可動連結された筐体を有する移動体通信端末などの表示装置において、筐体の連結状態を検出し、検出した連結状態から視角を算出してパラメータを選択することで、連結状態が変化しても適切な3D表示をおこなうことができる。この場合に、選択したパラメータを用いて各画面を連動して制御するので、個別に制御する必要がない。
【0142】
折り畳み型の場合、開閉による筐体間の角度に基づいて視角を算出するので、開角度が変化しても適切な3D表示をおこなうことができる。この場合、筐体間の角度に基づいて視認状態の良否を判別し、視認状態が良好とはならない角度であれば、3D表示をおこなわずに2D表示や表示オフとなるよう制御するので、3D表示が視認しにくい場合には2D表示で見やすくし、表示が視認できない場合には表示をおこなわずに省電力化を図ることができる。
【0143】
また、スライド型の場合は、筐体間のスライド量や鑑賞者との距離に基づいて視角を算出するので、スライド量が変化しても適切な3D表示をおこなうことができる。この場合、スライド量に基づいて、2画面のうちのいずれかが視認不可と判別される場合には、当該画面では3D表示をおこなわずに2D表示や表示オフとなるよう制御するので、省電力化を図ることができる。
【0144】
また、左右開きから上下開きへの変更途中などでは、表示画面が斜めとなり3D表示制御が困難となるので、このような場合には、3D表示をおこなわずに、2D表示や表示オフとすることで、視認しやすくしたり、省電力化を図ったりすることができる。
【0145】
これらの場合において、2画面が左右方向に展開している場合にパラメータを変更する制御をおこなうので、視差を利用する3D表示の場合において、適切な表示制御をおこなうことができる。また、開角度やスライド量の変化が3D表示の視認に影響しない上下開きなどの場合には、制御動作をおこなわないので、消費電力の低減を図ることができる。
【0146】
連結状態の変化に対応した条件パラメータなどを記憶手段に記憶させておくことで、高速に処理することができる。また、視差を利用した3D表示の場合、左右開きの場合に視認性への影響が大きいので、左右開きの場合に用いられるパラメータのみを記憶手段に記憶させ、上下開き時には左右開き用のパラメータを流用することで、記憶手段の容量を節約することができる。
【0147】
また、パラメータに、3次元画像表示における飛び出し量を規定するパラメータを含めることで、多様な表示を実現することができる。
【0148】
上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0149】
例えば、上記実施形態では、本発明にかかる表示装置を移動体通信端末によって実現した場合を例示したが、画像を立体的に視認させる表示手段を備えたものであれば、移動体通信端末に限られず、種々の表示装置に本発明を適用することができる。
【0150】
また、本発明にかかる構成を予め備えた表示装置だけでなく、既存の表示装置にプログラムを適用することで、本発明にかかる表示装置として機能させることができる。
【0151】
このようなプログラムの適用方法は任意であり、例えば、CD−ROMやメモリカードなどの記憶媒体に格納して適用できる他、例えば、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。
【符号の説明】
【0152】
1…移動体通信端末、1’…移動体通信端末、11…筐体、12…筐体、110…制御部、111…動作モード処理部、112…画像取得部、113…視認状態判別部、114…表示制御部、120…通信部、121…アンテナ、130…音声処理部、131…スピーカ、132…マイクロフォン、140…記憶部、150…操作部、160(160A、160B)…表示部、161…表示パネル、162…視差バリアパネル、170…状態検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表示画面を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体に可動連結され、第2の表示画面を有する第2の筐体と、
を含む表示装置であって、
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面の双方で3次元画像表示をおこなう表示手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との間の連結状態を検出する連結状態検出手段と、
前記連結状態検出手段によって検出された連結状態に基づいて、前記表示手段による3次元画像表示に対する視角を算出する視角算出手段と、
前記連結状態検出手段によって検出された連結状態と、前記視角算出手段によって算出された視角とに基づいて、前記表示手段が前記3次元画像表示に用いるパラメータを選択する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記表示制御手段が選択したパラメータから、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を連動的に制御して、前記3次元画像表示をおこなう、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示装置は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが開閉可能に連結された折り畳み型の表示装置であり、
前記連結状態検出手段は、少なくとも、前記第1の筐体と前記第2の筐体とのなす角度を検出し、
前記視角算出手段は、前記連結状態検出手段が検出した角度に基づいて視角を算出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記連結状態検出手段が検出した角度に基づいて、前記折り畳み型の表示装置による表示の視認状態が良好であるか否かを判別する視認良否判別手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記視認良否判別手段によって視認状態が良好でないと判別された場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわない、
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示装置は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが摺動可能に連結されたスライド型の表示装置であり、
前記連結状態検出手段は、少なくとも、前記第1の筐体と前記第2の筐体との間のスライド量を検出し、
前記視角算出手段は、前記連結状態検出手段が検出したスライド量に基づいて視角を算出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記連結状態検出手段が検出したスライド量に基づいて、前記第1または第2の表示画面による表示の視認状態が良好であるか否かを判別する視認良否判別手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記視認良否判別手段によって視認状態が良好でないと判別された場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわない、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面による展開方向を検出する展開方向検出手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面とが左右方向に展開していることが検出された場合に、前記パラメータの選択をおこなう、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
少なくとも、前記連結状態検出手段が検出する事項についてのパラメータを条件パラメータとして記憶するパラメータ記憶手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記パラメータ記憶手段は、前記条件パラメータに対応づけられた、前記表示手段が表示動作に用いる制御パラメータを記憶する、
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記パラメータ記憶手段は、左右方向に展開している前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を用いた3次元画像表示に用いられるパラメータのみを記憶し、
前記表示制御手段は、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面とが上下方向に展開していることが検出された場合、前記パラメータ記憶手段が記憶している、左右方向に展開している前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を用いた3次元画像表示に用いられるパラメータから、前記第1または第2の表示画面の正面から前記3次元画像表示が視認される場合のパラメータを選択する、
ことを特徴とする請求項8乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記連結状態検出手段によって検出された連結状態と、前記視角算出手段によって算出された視角とに基づいて条件パラメータを特定し、該特定した条件パラメータから特定される制御パラメータを選択する、
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示手段は、前記展開方向検出手段が検出した展開方向が、左右方向および上下方向のいずれでもない場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわない、
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記パラメータには、前記3次元画像表示における飛び出し量を規定するパラメータを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示制御手段は、前記飛び出し量を規定するパラメータを、前記第1の表示画面および前記第2の表示画面における表示位置に応じて異ならせて選択する、
ことを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
第1の表示画面を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体に可動連結され、第2の表示画面を有する第2の筐体と、
を含む表示装置を制御するコンピュータに、
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面の双方で3次元画像表示をおこなう機能と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との間の連結状態を検出する機能と、
検出された連結状態に基づいて、前記3次元画像表示に対する視角を算出する機能と、
前記検出された連結状態と、前記算出された視角とに基づいて、前記3次元画像表示に用いるパラメータを選択する機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
第1の表示画面を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体に可動連結され、第2の表示画面を有する第2の筐体と、
を含む表示装置であって、
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面の双方で3次元画像表示をおこなう表示手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との間の連結状態を検出する連結状態検出手段と、
前記連結状態検出手段によって検出された連結状態に基づいて、前記表示手段による3次元画像表示に対する視角を算出する視角算出手段と、
前記連結状態検出手段によって検出された連結状態と、前記視角算出手段によって算出された視角とに基づいて、前記表示手段が前記3次元画像表示に用いるパラメータを選択する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記表示制御手段が選択したパラメータから、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を連動的に制御して、前記3次元画像表示をおこなう、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示装置は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが開閉可能に連結された折り畳み型の表示装置であり、
前記連結状態検出手段は、少なくとも、前記第1の筐体と前記第2の筐体とのなす角度を検出し、
前記視角算出手段は、前記連結状態検出手段が検出した角度に基づいて視角を算出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記連結状態検出手段が検出した角度に基づいて、前記折り畳み型の表示装置による表示の視認状態が良好であるか否かを判別する視認良否判別手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記視認良否判別手段によって視認状態が良好でないと判別された場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわない、
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示装置は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが摺動可能に連結されたスライド型の表示装置であり、
前記連結状態検出手段は、少なくとも、前記第1の筐体と前記第2の筐体との間のスライド量を検出し、
前記視角算出手段は、前記連結状態検出手段が検出したスライド量に基づいて視角を算出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記連結状態検出手段が検出したスライド量に基づいて、前記第1または第2の表示画面による表示の視認状態が良好であるか否かを判別する視認良否判別手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記視認良否判別手段によって視認状態が良好でないと判別された場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわない、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面による展開方向を検出する展開方向検出手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面とが左右方向に展開していることが検出された場合に、前記パラメータの選択をおこなう、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
少なくとも、前記連結状態検出手段が検出する事項についてのパラメータを条件パラメータとして記憶するパラメータ記憶手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記パラメータ記憶手段は、前記条件パラメータに対応づけられた、前記表示手段が表示動作に用いる制御パラメータを記憶する、
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記パラメータ記憶手段は、左右方向に展開している前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を用いた3次元画像表示に用いられるパラメータのみを記憶し、
前記表示制御手段は、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面とが上下方向に展開していることが検出された場合、前記パラメータ記憶手段が記憶している、左右方向に展開している前記第1の表示画面と前記第2の表示画面を用いた3次元画像表示に用いられるパラメータから、前記第1または第2の表示画面の正面から前記3次元画像表示が視認される場合のパラメータを選択する、
ことを特徴とする請求項8乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記連結状態検出手段によって検出された連結状態と、前記視角算出手段によって算出された視角とに基づいて条件パラメータを特定し、該特定した条件パラメータから特定される制御パラメータを選択する、
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示手段は、前記展開方向検出手段が検出した展開方向が、左右方向および上下方向のいずれでもない場合、前記第1の表示画面、及び/又は、前記第2の表示画面を用いた前記3次元画像表示をおこなわない、
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記パラメータには、前記3次元画像表示における飛び出し量を規定するパラメータを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示制御手段は、前記飛び出し量を規定するパラメータを、前記第1の表示画面および前記第2の表示画面における表示位置に応じて異ならせて選択する、
ことを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
第1の表示画面を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体に可動連結され、第2の表示画面を有する第2の筐体と、
を含む表示装置を制御するコンピュータに、
前記第1の表示画面と前記第2の表示画面の双方で3次元画像表示をおこなう機能と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との間の連結状態を検出する機能と、
検出された連結状態に基づいて、前記3次元画像表示に対する視角を算出する機能と、
前記検出された連結状態と、前記算出された視角とに基づいて、前記3次元画像表示に用いるパラメータを選択する機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−237619(P2010−237619A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88369(P2009−88369)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]