説明

表面改質装置、接合システム、表面改質方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】基板同士を接合する前に、当該基板の表面を適切に改質する。
【解決手段】表面改質装置30は、ウェハW、Wを収容する処理容器100と、ウェハW、Wを載置する載置台110と、プラズマ生成用のマイクロ波を供給するラジアルラインスロットアンテナ120と、処理領域110内に処理ガスを供給するガス供給管130と、処理容器100内をプラズマ生成領域R1と処理領域R2に区画するように設けられたイオン通過構造体140と、を有している。イオン通過構造体140は、所定の電圧が印加される一対の電極141、142を備え、当該イオン通過構造体140には、プラズマ生成領域R1から処理領域R2に処理ガスのイオンが通過する開口部144が複数形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板同士を接合する前に、当該基板の接合される表面を改質する表面改質装置、接合システム、表面改質方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積化が進んでいる。高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置し、これら半導体デバイスを配線で接続して製品化する場合、配線長が増大し、それにより配線の抵抗が大きくなること、また配線遅延が大きくなることが懸念される。
【0003】
そこで、半導体デバイスを3次元に積層する3次元集積技術を用いることが提案されている。この3次元集積技術においては、例えば接合装置を用いて、2枚の半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)の接合が行われる。例えば接合装置は、不活性ガスをプラズマ状態にしてウェハの表面に照射するビーム照射手段と、2枚のウェハを重ね合わせた状態で当該2枚のウェハを押圧する一組のワークローラとを有している。そして、この接合装置では、ビーム照射手段によってウェハの表面(接合面)を改質し、2枚のウェハを重ね合わせた状態で当該2枚のウェハの表面間にファンデルワールス力を発生させて仮接合する。その後、2枚のウェハを押圧することでウェハ同士を接合している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−337928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の接合装置を用いた場合、ビーム照射手段によってウェハの表面に向けて照射されたプラズマ状態の不活性ガスは、大きい衝突力でウェハの表面に衝突する。このため、ウェハの表面が物理的なダメージを受けるおそれがある。したがって、ウェハの表面の平坦性が損なわれ、その後ウェハ同士を適切に接合できない懸念があった。
【0006】
また、ウェハの表面を改質させるため、上下平行に対向する電極を備え、これらの電極の間で生成されたプラズマによって処理を行う、いわゆる平行平板型のプラズマ処理装置を用いることも考えられる。しかしながら、かかる平行平板型のプラズマ処理装置を用いた場合でも、上述と同様に、ウェハは物理的なダメージを被るおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板同士を接合する前に、当該基板の表面を適切に改質することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板同士を接合する前に、当該基板の接合される表面を改質する表面改質装置であって、基板を収容する処理容器と、前記処理容器内に配置され、基板を載置する載置部と、前記処理容器内に処理ガスを供給するガス供給機構と、前記処理容器内で前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成機構と、前記処理容器内を、前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成領域と、前記プラズマ生成領域で生成された処理ガスのイオンを用いて前記載置部上の基板の表面を改質する処理領域とに区画するように設けられたイオン通過構造体と、を有し、前記イオン通過構造体は、所定の電圧が印加される一対の電極を備え、前記イオン通過構造体には、前記プラズマ生成領域から前記処理領域に前記処理ガスのイオンが通過する開口部が形成されていることを特徴としている。なお、基板の表面とは、基板が接合される接合面をいう。
【0009】
本発明によれば、イオン通過構造体の一対の電極に所定の電圧を印加することによって、プラズマ生成領域で生成された処理ガスのイオンに所定のエネルギーを付与し、当該処理ガスのイオンのみをプラズマ処理領域から処理領域に導入することができる。そして、処理領域において、処理ガスのイオンを用いて載置部上の基板の表面を改質することができる。かかる場合、処理ガスのイオンに所定のエネルギーを付与しているので、従来のようにプラズマを用いた場合に比べて、処理ガスのイオンが基板の表面に到達する際の衝突力は極めて小さい。このため、基板の表面が物理的なダメージを受けることなく、基板の表面の平坦性が損なわれることもない。このように本発明によれば、基板がダメージを受けることなく、当該基板の表面を適切に改質することができる。したがって、その後基板同士を適切に接合することができる。
【0010】
前記一対の電極間には、当該一対の電極を電気的に絶縁する絶縁材が設けられていてもよい。
【0011】
前記表面改質装置は、前記一対の電極に印加される所定の電圧を制御して、前記イオン通過構造体を通過する際に前記処理ガスのイオンに付与されるエネルギーを制御する制御部を有していてもよい。
【0012】
前記表面改質装置は、前記一対の電極間の電流を測定する電流計と、前記電流計で測定された電流値に基づいて、前記イオン通過構造体を通過する前記処理ガスのイオンの通過量を制御する制御部と、を有していてもよい。
【0013】
前記表面改質装置は、前記載置部上の基板に照射される前記処理ガスのイオンによって生じる電流を測定する他の電流計と、前記他の電流計で測定された電流値に基づいて、前記載置部上の基板に照射される前記処理ガスのイオンの照射量を制御する制御部と、を有していてもよい。
【0014】
前記プラズマ生成機構は、マイクロ波によって前記処理ガスを励起してプラズマ化してもよい。
【0015】
前記処理ガスは、酸素ガスを有していてもよい。
【0016】
別な観点による本発明は、前記表面改質装置を備えた接合システムであって、前記表面改質装置で改質された基板の表面を親水化する表面親水化装置と、前記表面親水化装置で表面が親水化された基板同士を接合する接合装置と、を有することを特徴としている。
【0017】
また別な観点による本発明は、基板同士を接合する前に、表面改質装置において基板の接合される表面を改質する表面改質方法であって、前記表面改質装置は、基板を収容する処理容器と、前記処理容器内に配置され、基板を載置する載置部と、前記処理容器内に処理ガスを供給するガス供給機構と、前記処理容器内で前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成機構と、前記処理容器内を、前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成領域と、前記プラズマ生成領域で生成された処理ガスのイオンを用いて前記載置部上の基板の表面を改質する処理領域とに区画するように設けられ、所定の電圧が印加される一対の電極を備え、前記プラズマ生成領域から前記処理領域に前記処理ガスのイオンが通過する開口部が形成されているイオン通過構造体と、を有し、前記表面改質方法では、前記プラズマ生成領域において、前記ガス供給機構から供給された前記処理ガスを前記プラズマ生成機構によりプラズマ化し、前記一対の電極に所定の電圧を印加し、前記プラズマ生成領域で生成された処理ガスのイオンを前記イオン通過構造体を介して前記処理領域に導入し、前記処理領域において、前記処理ガスのイオンを用いて前記載置部上の基板の表面を改質することを特徴としている。
【0018】
前記一対の電極間には、当該一対の電極を電気的に絶縁する絶縁材が設けられていてもよい。
【0019】
前記一対の電極に印加される所定の電圧を制御して、前記イオン通過構造体を通過する際に前記処理ガスのイオンに付与されるエネルギーを制御してもよい。
【0020】
前記表面処理装置は、前記一対の電極間の電流を測定する電流計を有し、前記電流計で測定された電流値に基づいて、前記イオン通過構造体を通過する前記処理ガスのイオンの通過量を制御してもよい。
【0021】
前記表面処理装置は、前記載置部上の基板に照射される前記処理ガスのイオンによって生じる電流を測定する他の電流計を有し、前記他の電流計で測定された電流値に基づいて、前記載置部上の基板に照射される前記処理ガスのイオンの照射量を制御してもよい。
【0022】
前記プラズマ生成機構は、マイクロ波によって前記処理ガスを励起してプラズマ化してもよい。
【0023】
前記処理ガスは、酸素ガスを有していてもよい。
【0024】
また別な観点による本発明によれば、前記表面改質方法を表面改質装置によって実行させるために、当該表面改質装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0025】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、基板同士を接合する前に、当該基板の表面を適切に改質することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態にかかる接合システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかる接合システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図3】上ウェハと下ウェハの構成の概略を示す側面図である。
【図4】表面改質装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】イオン通過構造体の平面図である。
【図6】表面親水化装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図7】表面親水化装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図8】接合装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図9】接合装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図10】位置調節機構の構成の概略を示す側面図である。
【図11】反転機構の構成の概略を示す側面図である。
【図12】上部チャックと下部チャックの構成の概略を示す縦断面図である。
【図13】上部チャックを下方から見た平面図である。
【図14】下部チャックを上方から見た平面図である。
【図15】ウェハ接合処理の主な工程を示すフローチャートである。
【図16】上ウェハと下ウェハの水平方向の位置を調節する様子を示す説明図である。
【図17】上ウェハと下ウェハの鉛直方向の位置を調節する様子を示す説明図である。
【図18】上ウェハの中心部と下ウェハの中心部を当接させて押圧する様子を示す説明図である。
【図19】上ウェハを下ウェハに順次当接させる様子を示す説明図である。
【図20】上ウェハの表面と下ウェハの表面を当接させた様子を示す説明図である。
【図21】上ウェハと下ウェハが接合された様子を示す説明図である。
【図22】他の実施の形態にかかる表面改質装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる接合システム1の構成の概略を示す平面図である。図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
【0029】
接合システム1では、図3に示すように例えば2枚の基板としてのウェハW、Wを接合する。以下、上側に配置されるウェハを「上ウェハW」といい、下側に配置されるウェハを「下ウェハW」という場合がある。また、上ウェハWが接合される接合面を「表面WU1」といい、当該表面WU1と反対側の面を「裏面WU2」という。同様に、下ウェハWが接合される接合面を「表面WL1」といい、当該表面WL1と反対側の面を「裏面WL2」という。そして、接合システム1では、上ウェハWと下ウェハWを接合して重合ウェハWを形成する。なお、本実施の形態においては、ウェハW、Wの表面WU1、WL1には、SiO膜が形成されている。
【0030】
接合システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数のウェハW、W、複数の重合ウェハWをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される搬入出ステーション2と、ウェハW、W、重合ウェハWに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0031】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、水平方向のX方向(図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。このように、搬入出ステーション2は、複数の上ウェハW、複数の下ウェハW、複数の重合ウェハWを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、カセットの1つを異常ウェハの回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で上ウェハWと下ウェハWとの接合に異常が生じたウェハを、他の正常な重合ウェハWと分離することができるカセットである。本実施の形態においては、複数のカセットCのうち、1つのカセットCを異常ウェハの回収用として用い、他のカセットCを正常な重合ウェハWの収容用として用いている。
【0032】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、X方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットC、C、Cと、後述する処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間でウェハW、W、重合ウェハWを搬送できる。
【0033】
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1のY方向負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
【0034】
例えば第1の処理ブロックG1には、ウェハW、Wの表面WU1、WL1を改質する表面改質装置30が配置されている。本実施の形態では、表面改質装置30において、ウェハW、Wの表面WU1、WL1におけるSiOの二重結合を切断して単結合のSiOとすることで、当該表面WU1、WL1を改質する。
【0035】
例えば第2の処理ブロックG2には、例えば純水によってウェハW、Wの表面WU1、WL1を親水化すると共に当該表面WU1、WL1を洗浄する表面親水化装置40、ウェハW、Wを接合する接合装置41が、搬入出ステーション2側からこの順で水平方向のY方向に並べて配置されている。
【0036】
例えば第3の処理ブロックG3には、図2に示すようにウェハW、W、重合ウェハWのトランジション装置50、51が下から順に2段に設けられている。
【0037】
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域60が形成されている。ウェハ搬送領域60には、例えばウェハ搬送装置61が配置されている。
【0038】
ウェハ搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置61は、ウェハ搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置にウェハW、W、重合ウェハWを搬送できる。
【0039】
次に、上述した表面改質装置30の構成について説明する。表面改質装置30は、図4に示すように処理容器100を有している。処理容器100の上面は開口し、当該上面開口部に後述するラジアルラインスロットアンテナ120が配置されて、処理容器100は内部を密閉可能に構成されている。
【0040】
処理容器100のウェハ搬送領域60側の側面には、ウェハW、Wの搬入出口101が形成され、当該搬入出口101にはゲートバルブ102が設けられている。
【0041】
処理容器100の底面には、吸気口103が形成されている。吸気口103には、処理容器100の内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧する吸気装置104に連通する吸気管105が接続されている。
【0042】
また、処理容器100の底面には、ウェハW、Wを載置する載置部としての載置台110が設けられている。載置台110は、例えば静電吸着や真空吸着によってウェハW、Wを載置することができる。載置台110には、後述するように載置台110上のウェハW、Wに照射される処理ガスのイオン(酸素イオン)によって生じるイオン電流を測定する他の電流計としてのイオン電流計111が設けられている。
【0043】
載置台110には、例えば冷却媒体を流通させる温度調節機構112が内蔵されている。温度調節機構112は、冷却媒体の温度を調整する液温調節部113に接続されている。そして、液温調節部113によって冷媒媒体の温度が調節され、載置台110の温度を制御できる。この結果、載置台110上に載置されたウェハWを所定の温度に維持できる。
【0044】
なお、載置台110の下方には、ウェハW、Wを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは、載置台110に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し載置台110の上面から突出可能になっている。
【0045】
処理容器100の上面開口部には、プラズマ生成用のマイクロ波を供給するラジアルラインスロットアンテナ120(RLSA:Radial Line Slot Antenna)が設けられている。ラジアルラインスロットアンテナ120は、下面が開口したアンテナ本体121を備えている。アンテナ本体121の内部には、例えば冷却媒体を流通させる流通路(図示せず)が設けられている。
【0046】
アンテナ本体121の下面の開口部には、複数のスロットが形成され、アンテナとして機能するスロット板122が設けられている。スロット板122の材料には、導電性を有する材料、たとえば銅、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。アンテナ本体121内のスロット板122の上部には、遅相板123が設けられている。遅相板123の材料には、低損失誘電体材料、例えば石英、アルミナ、窒化アルミニウム等が用いられる。
【0047】
アンテナ本体121及びスロット板122の下方には、マイクロ波透過板124が設けられている。マイクロ波透過板124は、例えばOリング等のシール材(図示せず)を介して、処理容器100の内部を塞ぐように配置されている。マイクロ波透過板124の材料には、誘電体、例えば石英やAl等が用いられる。
【0048】
アンテナ本体121の上部には、マイクロ波発振装置125に通じる同軸導波管126が接続されている。マイクロ波発振装置125は、処理容器100の外部に設置されており、ラジアルラインスロットアンテナ120に対し、所定周波数、例えば2.45GHzのマイクロ波を発振できる。
【0049】
かかる構成により、マイクロ波発振装置125から発振されたマイクロ波は、ラジアルラインスロットアンテナ120内に伝搬され、遅相板123で圧縮され短波長化され、スロット板122で円偏波を発生させた後、マイクロ波透過板124を透過して処理容器100内に向けて放射される。なお、本実施の形態では、ラジアルラインスロットアンテナ120、マイクロ波発振装置125、同軸導波管126が、本発明におけるプラズマ生成機構を構成している。
【0050】
処理容器100の側面には、当該処理容器100内に処理ガスとしての酸素ガスを供給するガス供給管130が接続されている。ガス供給管130は、後述するイオン通過構造体140の上方に配置され、処理容器100内のプラズマ生成領域R1に酸素ガスを供給する。また、ガス供給管130には、内部に酸素ガスを貯留するガス供給源131に連通している。ガス供給管130には、酸素ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群132が設けられている。なお、本実施の形態では、ガス供給管130、ガス供給源131、供給機器群132が、本発明におけるガス供給機構を構成している。
【0051】
処理容器100内の載置台110とラジアルラインスロットアンテナ120との間には、イオン通過構造体140が設けられている。すなわち、イオン通過構造体140は、処理容器100の内部を、ガス供給管130から供給された酸素ガスをラジアルラインスロットアンテナ120から放射されたマイクロ波によってプラズマ化するプラズマ生成領域R1と、プラズマ生成領域R1で生成された酸素イオンを用いて載置台110上のウェハW、Wの表面WU1、WL1を改質する処理領域R2に区画するように設けられている。
【0052】
イオン通過構造体140は、一対の電極141、142を有している。以下、上部に配置された電極を「上部電極141」といい、下部に配置された電極を「下部電極142」という場合がある。一対の電極141、142間には、当該一対の電極141、142を電気的に絶縁する絶縁材143が設けられている。
【0053】
各電極141、142は、図4及び図5に示すように平面視においてウェハW、Wの径よりも大きい円形状を有している。また、各電極141、142には、プラズマ生成領域R1から処理領域R2に酸素イオンが通過する開口部144が複数形成されている。これら複数の開口部144は、例えば格子状に配置されている。なお、複数の開口部144の形状や配置は、本実施の形態に限定されず、任意に設定することができる。
【0054】
ここで、各開口部144の寸法は、例えばラジアルラインスロットアンテナ120から放射されるマイクロ波の波長よりも短く設定されるのが好ましい。こうすることによって、ラジアルラインスロットアンテナ120から供給されたマイクロ波がイオン通過構造体140で反射され、マイクロ波の処理領域R2への進入を抑制できる。この結果、載置台110上のウェハW、Wがマイクロ波に直接曝されることがなく、マイクロ波によるウェハW、Wの損傷を防止できる。
【0055】
イオン通過構造体140には、一対の電極141、142間に所定の電圧を印加する電源145が接続されている。この電源145によって印加される所定の電圧は、後述する制御部300によって制御され、最大電圧は例えば1KeVである。また、イオン通過構造体140には、一対の電極141、142間を流れる電流を測定する電流計146が接続されている。
【0056】
次に、上述した表面親水化装置40の構成について説明する。表面親水化装置40は、図6に示すように内部を密閉可能な処理容器150を有している。処理容器150のウェハ搬送領域60側の側面には、図7に示すようにウェハW、Wの搬入出口151が形成され、当該搬入出口151には開閉シャッタ152が設けられている。
【0057】
処理容器150内の中央部には、図6に示すようにウェハW、Wを保持して回転させるスピンチャック160が設けられている。スピンチャック160は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハW、Wを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハW、Wをスピンチャック160上に吸着保持できる。
【0058】
スピンチャック160は、例えばモータなどを備えたチャック駆動部161を有し、そのチャック駆動部161により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部161には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック160は昇降自在になっている。
【0059】
スピンチャック160の周囲には、ウェハW、Wから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ162が設けられている。カップ162の下面には、回収した液体を排出する排出管163と、カップ162内の雰囲気を真空引きして排気する排気管164が接続されている。
【0060】
図7に示すようにカップ162のX方向負方向(図7の下方向)側には、Y方向(図7の左右方向)に沿って延伸するレール170が形成されている。レール170は、例えばカップ162のY方向負方向(図7の左方向)側の外方からY方向正方向(図7の右方向)側の外方まで形成されている。レール170には、例えばノズルアーム171とスクラブアーム172が取り付けられている。
【0061】
ノズルアーム171には、図6及び図7に示すようにウェハW、Wに純水を供給する純水ノズル173が支持されている。ノズルアーム171は、図7に示すノズル駆動部174により、レール170上を移動自在である。これにより、純水ノズル173は、カップ162のY方向正方向側の外方に設置された待機部175からカップ162内のウェハW、Wの中心部上方まで移動でき、さらに当該ウェハW、W上をウェハW、Wの径方向に移動できる。また、ノズルアーム171は、ノズル駆動部174によって昇降自在であり、純水ノズル173の高さを調節できる。
【0062】
純水ノズル173には、図6に示すように当該純水ノズル173に純水を供給する供給管176が接続されている。供給管176は、内部に純水を貯留する純水供給源177に連通している。また、供給管176には、純水の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群178が設けられている。
【0063】
スクラブアーム172には、スクラブ洗浄具180が支持されている。スクラブ洗浄具180の先端部には、例えば複数の糸状やスポンジ状のブラシ180aが設けられている。スクラブアーム172は、図7に示す洗浄具駆動部181によってレール170上を移動自在であり、スクラブ洗浄具180を、カップ162のY方向負方向側の外方からカップ162内のウェハW、Wの中心部上方まで移動させることができる。また、洗浄具駆動部181によって、スクラブアーム172は昇降自在であり、スクラブ洗浄具180の高さを調節できる。
【0064】
なお、以上の構成では、純水ノズル173とスクラブ洗浄具180が別々のアームに支持されていたが、同じアームに支持されていてもよい。また、純水ノズル173を省略して、スクラブ洗浄具180から純水を供給するようにしてもよい。さらに、カップ162を省略して、処理容器150の底面に液体を排出する排出管と、処理容器150内の雰囲気を排気する排気管を接続してもよい。また、以上の構成の表面親水化装置40において、帯電防止用のイオナイザ(図示せず)を設けてもよい。
【0065】
次に、上述した接合装置41の構成について説明する。接合装置41は、図8に示すように内部を密閉可能な処理容器190を有している。処理容器190のウェハ搬送領域60側の側面には、ウェハW、W、重合ウェハWの搬入出口191が形成され、当該搬入出口191には開閉シャッタ192が設けられている。
【0066】
処理容器190の内部は、内壁193によって、搬送領域T1と処理領域T2に区画されている。上述した搬入出口191は、搬送領域T1における処理容器190の側面に形成されている。また、内壁193にも、ウェハW、W、重合ウェハWの搬入出口194が形成されている。
【0067】
搬送領域T1のX方向正方向側には、ウェハW、W、重合ウェハWを一時的に載置するためのトランジション200が設けられている。トランジション200は、例えば2段に形成され、ウェハW、W、重合ウェハWのいずれか2つを同時に載置することができる。
【0068】
搬送領域T1には、X方向に延伸する搬送路201上を移動自在なウェハ搬送体202が設けられている。ウェハ搬送体202は、図8及び図9に示すように鉛直方向及び鉛直軸周りにも移動自在であり、搬送領域T1内、又は搬送領域T1と処理領域T2との間でウェハW、W、重合ウェハWを搬送できる。なお、本実施の形態では、搬送路201及びウェハ搬送体202が搬送機構を構成している。
【0069】
搬送領域T1のX方向負方向側には、ウェハW、Wの水平方向の向きを調節する位置調節機構210が設けられている。位置調節機構210は、図10に示すように基台211と、ウェハW、Wを吸着保持して回転させる保持部212と、ウェハW、Wのノッチ部の位置を検出する検出部213と、を有している。そして、位置調節機構210では、保持部212に吸着保持されたウェハW、Wを回転させながら検出部213でウェハW、Wのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節してウェハW、Wの水平方向の向きを調節している。
【0070】
また、搬送領域T1には、当該搬送領域T1と処理領域T2との間を移動し、且つ上ウェハWの表裏面を反転させる反転機構220が設けられている。反転機構220は、図11に示すように上ウェハWを保持する保持アーム221を有している。保持アーム221上には、上ウェハWを吸着して水平に保持する吸着パッド222が設けられている。保持アーム221は、第1の駆動部223に支持されている。この第1の駆動部223により、保持アーム221は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部223の下方には、第2の駆動部224が設けられている。この第2の駆動部224により、第1の駆動部223は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。さらに、第2の駆動部224は、図8及び図9に示すY方向に延伸するレール225に取り付けられている。レール225は、処理領域T2から搬送領域T1まで延伸している。この第2の駆動部224により、反転機構220は、レール225に沿って位置調節機構210と後述する上部チャック230との間を移動可能になっている。そして、反転機構220は、ウェハW、W、重合ウェハWを搬送する搬送機構としての機能も有している。なお、反転機構220の構成は、上記実施の形態の構成に限定されず、上ウェハWの表裏面を反転させることができればよい。また、反転機構220は、処理領域T2に設けられていてもよい。さらに、ウェハ搬送体202に反転機構を付与し、反転機構220の位置に別の搬送手段を設けてもよい。また、位置調節機構210に反転機構を付与し、反転機構220の位置に別の搬送手段を設けてもよい。
【0071】
処理領域T2には、図8及び図9に示すように上ウェハWを下面で吸着保持する上部チャック230と、下ウェハWを上面で載置して吸着保持する下部チャック231とが設けられている。下部チャック231は、上部チャック230の下方に設けられ、上部チャック230と対向配置可能に構成されている。すなわち、上部チャック230に保持された上ウェハWと下部チャック231に保持された下ウェハWは対向して配置可能となっている。
【0072】
上部チャック230は、図9に示すように処理容器190の天井面に設けられた支持部材232に支持されている。支持部材232は、上部チャック230の上面外周部を支持している。下部チャック231の下方には、シャフト233を介してチャック駆動部234が設けられている。このチャック駆動部234により、下部チャック231は鉛直方向に昇降自在、且つ水平方向に移動自在になっている。また、チャック駆動部234によって、下部チャック231は鉛直軸周りに回転自在になっている。また、下部チャック231の下方には、下ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは、下部チャック231に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、下部チャック231の上面から突出可能になっている。なお、本実施の形態では、シャフト233及びチャック駆動部234が昇降機構及び移動機構を構成している。
【0073】
上部チャック230は、図12に示すように複数、例えば3つの領域230a、230b、230cに区画されている。これら領域230a、230b、230cは、図13に示すように上部チャック230の中心部から外周部に向けてこの順で設けられている。そして、領域230aは平面視において円形状を有し、領域230b、230cは平面視において環状形状を有している。各領域230a、230b、230cには、図12に示すように上ウェハWを吸着保持するための吸引管240a、240b、240cがそれぞれ独立して設けられている。各吸引管240a、240b、240cには、異なる真空ポンプ241a、241b、241cがそれぞれ接続されている。したがって、上部チャック230は、各領域230a、230b、230c毎に上ウェハWの真空引きを設定可能に構成されている。
【0074】
なお、以下において、上述した3つの領域230a、230b、230cを、それぞれ第1の領域230a、第2の領域230b、第3の領域230cという場合がある。また、吸引管240a、240b、240cを、それぞれ第1の吸引管240a、第2の吸引管240b、第3の吸引管240cという場合がある。さらに、真空ポンプ241a、241b、241cを、それぞれ第1の真空ポンプ241a、第2の真空ポンプ241b、第3の真空ポンプ241cという場合がある。
【0075】
上部チャック230の中心部には、当該上部チャック230を厚み方向に貫通する貫通孔242が形成されている。この上部チャック230の中心部は、当該上部チャック230に吸着保持される上ウェハWの中心部に対応している。そして、貫通孔242には、後述する押動部材250の押動ピン251が挿通するようになっている。
【0076】
上部チャック230の上面には、上ウェハWの中心部を押圧する押動部材250が設けられている。押動部材250は、シリンダ構造を有し、押動ピン251と当該押動ピン251が昇降する際のガイドとなる外筒252とを有している。押動ピン251は、例えばモータを内蔵した駆動部(図示せず)によって、貫通孔242を挿通して鉛直方向に昇降自在になっている。そして、押動部材250は、後述するウェハW、Wの接合時に、上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部とを当接させて押圧することができる。
【0077】
上部チャック230には、下ウェハWの表面WL1を撮像する第2の撮像部材としての上部撮像部材253が設けられている。上部撮像部材253には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。なお、上部撮像部材253は、上部チャック230上に設けられていてもよい。
【0078】
下部チャック231は、図14に示すように複数、例えば2つの領域231a、231bに区画されている。これら領域231a、231bは、下部チャック231の中心部から外周部に向けてこの順で設けられている。そして、領域231aは平面視において円形状を有し、領域231bは平面視において環状形状を有している。各領域231a、231bには、図12に示すように上ウェハWを吸着保持するための吸引管260a、260bがそれぞれ独立して設けられている。各吸引管260a、260bには、異なる真空ポンプ261a、261bがそれぞれ接続されている。したがって、下部チャック231は、各領域231a、231b毎に下ウェハWの真空引きを設定可能に構成されている。
【0079】
下部チャック231の外周部には、ウェハW、W、重合ウェハWが当該下部チャック231から飛び出したり、滑落するのを防止するストッパ部材262が設けられている。ストッパ部材262は、その頂部が少なくとも下部チャック231上の重合ウェハWよりも上方に位置するように鉛直方向に延伸している。また、ストッパ部材262は、図14に示すように下部チャック231の外周部に複数個所、例えば5箇所に設けられている。
【0080】
下部チャック231には、図12に示すように上ウェハWの表面WU1を撮像する第1の撮像部材としての下部撮像部材263が設けられている。下部撮像部材263には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。なお、下部撮像部材263は、下部チャック231上に設けられていてもよい。
【0081】
以上の接合システム1には、図1に示すように制御部300が設けられている。制御部300は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1におけるウェハW、W、重合ウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述のウェハ接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部300にインストールされたものであってもよい。
【0082】
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われるウェハW、Wの接合処理方法について説明する。図15は、かかるウェハ接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0083】
先ず、複数枚の上ウェハWを収容したカセットC、複数枚の下ウェハWを収容したカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットC内の上ウェハWが取り出され、処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。
【0084】
次に上ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって第1の処理ブロックG1の表面改質装置30に搬送される。表面改質装置30に搬入された上ウェハWは、ウェハ搬送装置61から載置台110の上面に受け渡され載置される。その後、ウェハ搬送装置61が表面改質装置30から退出し、ゲートバルブ102が閉じられる。なお、載置台110に載置された上ウェハWは、温度調節機構112によって所定の温度、例えば25℃〜30℃に維持される。
【0085】
その後、吸気装置104を作動させ、吸気口103を介して処理容器100の内部の雰囲気が所定の真空度、例えば67Pa〜333Pa(0.5Torr〜2.5Torr)まで減圧される。そして、後述するように上ウェハWを処理中、処理容器100内の雰囲気は上記所定の真空度に維持される。
【0086】
その後、ガス供給管130から処理容器100内のプラズマ生成領域R1に向けて、酸素ガスが供給される。また、ラジアルラインスロットアンテナ120からプラズマ生成領域R1に向けて、例えば2.45GHzのマイクロ波が放射される。このマイクロ波の放射によって、プラズマ生成領域R1内において酸素ガスが励起されてプラズマ化され、例えば酸素ガスがイオン化する。このとき、下方に進行するマイクロ波は、イオン通過構造体140で反射し、プラズマ生成領域R1内に留まる。この結果、プラズマ生成領域R1内には、高密度のプラズマが生成される。
【0087】
続いて、イオン通過構造体140において、電源145により一対の電極141、142に所定の電圧を印加する。そうすると、この一対の電極141、142によって、プラズマ生成領域R1で生成された酸素イオンのみが、イオン通過構造体140の開口部144を通過して処理領域R2に流入する。
【0088】
このとき、制御部300によって、一対の電極141、142間に印加され電圧を制御することで、当該一対の電極141、142を通過する酸素イオンに付与されるエネルギーが制御される。この酸素イオンに付与されるエネルギーは、上ウェハWの表面WU1のSiOの二重結合を切断して単結合のSiOとするのに十分なエネルギーであって、当該表面WU1が損傷しないエネルギーに設定される。
【0089】
また、このとき、電流計146によって一対の電極141、142間を流れる電流の電流値を測定する。この測定された電流値に基づいて、イオン通過構造体140を通過する酸素イオンの通過量が把握される。そして、制御部300では、把握された酸素イオンの通過量に基づいて、当該通過量が所定の値になるように、ガス供給管130からの酸素ガスの供給量や、一対の電極141、142間の電圧等、種々のパラメータを制御する。
【0090】
その後、処理領域R2に導入された酸素イオンは、載置台110上の上ウェハWの表面WU1に照射されて注入される。そして、照射された酸素イオンによって、表面WU1におけるSiOの二重結合が切断されて単結合のSiOとなる。また、この表面WU1の改質には酸素イオンが用いられているため、上ウェハWの表面WU1に照射された酸素イオン自体がSiOの結合に寄与する。こうして、上ウェハWの表面WU1が改質される(図15の工程S1)。
【0091】
このとき、イオン電流計111によって、上ウェハWの表面WU1に照射された酸素イオンによって生じるイオン電流の電流値を測定する。この測定された電流値に基づいて、上ウェハWの表面WU1に照射される酸素イオンの照射量が把握される。そして、制御部300では、把握された酸素イオンの照射量に基づいて、当該照射量が所定の値になるように、ガス供給管130からの酸素ガスの供給量や、一対の電極141、142間の電圧等、種々のパラメータを制御する。
【0092】
次に上ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって第2の処理ブロックG2の表面親水化装置40に搬送される。表面親水化装置40に搬入された上ウェハWは、ウェハ搬送装置61からスピンチャック160に受け渡され吸着保持される。
【0093】
続いて、ノズルアーム171によって待機部175の純水ノズル173を上ウェハWの中心部の上方まで移動させると共に、スクラブアーム172によってスクラブ洗浄具180を上ウェハW上に移動させる。その後、スピンチャック160によって上ウェハWを回転させながら、純水ノズル173から上ウェハW上に純水を供給する。そうすると、表面改質装置30において改質された上ウェハWの表面WU1に水酸基(シラノール基)が付着して当該表面WU1が親水化される。また、純水ノズル173からの純水とスクラブ洗浄具180によって、上ウェハWの表面WU1が洗浄される(図15の工程S2)。
【0094】
次に上ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって第2の処理ブロックG2の接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された上ウェハWは、トランジション200を介してウェハ搬送体202により位置調節機構210に搬送される。そして位置調節機構210によって、上ウェハWの水平方向の向きが調節される(図15の工程S3)。
【0095】
その後、位置調節機構210から反転機構220の保持アーム221に上ウェハWが受け渡される。続いて搬送領域T1において、保持アーム221を反転させることにより、上ウェハWの表裏面が反転される(図15の工程S4)。すなわち、上ウェハWの表面WU1が下方に向けられる。なお、上ウェハWの表裏面の反転は、後述する反転機構220の移動中に行われてもよい。
【0096】
その後、反転機構220が上部チャック230側に移動し、反転機構220から上部チャック230に上ウェハWが受け渡される。上ウェハWは、上部チャック230にその裏面WU2が吸着保持される(図15の工程S5)。このとき、すべての真空ポンプ241a、241b、241cを作動させ、上部チャック230のすべての領域230a、230b、230cにおいて、上ウェハWを真空引きしている。上ウェハWは、後述する下ウェハWが接合装置41に搬送されるまで上部チャック230で待機する。
【0097】
上ウェハWに上述した工程S1〜S5の処理が行われている間、当該上ウェハWに続いて下ウェハWの処理が行われる。先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットC内の下ウェハWが取り出され、処理ステーション3のトランジション装置50に搬送される。
【0098】
次に下ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって表面改質装置30に搬送され、下ウェハWの表面WL1が改質される(図15の工程S6)。なお、工程S6における下ウェハWの表面WL1の改質は、上述した工程S1と同様である。
【0099】
その後、下ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって表面親水化装置40に搬送され、下ウェハWの表面WL1が親水化される共に当該表面WL1が洗浄される(図15の工程S7)。なお、工程S7における下ウェハWの表面WL1の親水化及び洗浄は、上述した工程S2と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0100】
その後、下ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された下ウェハWは、トランジション200を介してウェハ搬送体202により位置調節機構210に搬送される。そして位置調節機構210によって、下ウェハWの水平方向の向きが調節される(図15の工程S8)。
【0101】
その後、下ウェハWは、ウェハ搬送体202によって下部チャック231に搬送され、下部チャック231に吸着保持される(図15の工程S9)。このとき、すべての真空ポンプ261a、261bを作動させ、下部チャック231のすべての領域231a、231bにおいて、下ウェハWを真空引きしている。そして、下ウェハWの表面WL1が上方を向くように、当該下ウェハWの裏面WL2が下部チャック231に吸着保持される。
【0102】
次に、上部チャック230に保持された上ウェハWと下部チャック231に保持された下ウェハWとの水平方向の位置調節を行う。図16に示すように下ウェハWの表面WL1には予め定められた複数、例えば4点以上の基準点Aが形成され、同様に上ウェハWの表面WU1には予め定められた複数、例えば4点以上の基準点Bが形成されている。これら基準点A、Bとしては、例えばウェハW、W上に形成された所定のパターンがそれぞれ用いられる。そして、上部撮像部材253を水平方向に移動させ、下ウェハWの表面WL1が撮像される。また、下部撮像部材263を水平方向に移動させ、上ウェハWの表面WU1が撮像される。その後、上部撮像部材253が撮像した画像に表示される下ウェハWの基準点Aの位置と、下部撮像部材263が撮像した画像に表示される上ウェハWの基準点Bの位置とが合致するように、下部チャック231によって下ウェハWの水平方向の位置(水平方向の向きを含む)が調節される。すなわち、チャック駆動部234によって、下部チャック231を水平方向に移動させて、下ウェハWの水平方向の位置が調節される。こうして上ウェハWと下ウェハWとの水平方向の位置が調節される(図15の工程S10)。
【0103】
なお、ウェハW、Wの水平方向きは、工程S3、S8において位置調節機構210によって調節されているが、工程S10において微調節が行われる。また、本実施の形態の工程S10では、基準点A、Bとして、ウェハW、W上に形成された所定のパターンを用いていたが、その他の基準点を用いることもできる。例えばウェハW、Wの外周部とノッチ部を基準点として用いることができる。
【0104】
その後、チャック駆動部234によって、図17に示すように下部チャック231を上昇させ、下ウェハWを所定の位置に配置する。このとき、下ウェハWの表面WL1と上ウェハWの表面WU1との間の間隔が所定の距離、例えば50μmになるように下ウェハWを配置する。こうして上ウェハWと下ウェハWとの鉛直方向の位置が調節される(図15の工程S11)。なお、工程S5〜工程S11において、上部チャック230のすべての領域230a、230b、230cにおいて、上ウェハWを真空引きしている。同様に工程S9〜工程S11において、下部チャック231のすべての領域231a、231bにおいて、下ウェハWを真空引きしている。
【0105】
その後、第1の真空ポンプ241aの作動を停止して、図18に示すように第1の領域230aにおける第1の吸引管240aからの上ウェハWの真空引きを停止する。このとき、第2の領域230bと第3の領域230cでは、上ウェハWが真空引きされて吸着保持されている。その後、押動部材250の押動ピン251を下降させることによって、上ウェハWの中心部を押圧しながら当該上ウェハWを下降させる。このとき、押動ピン251には、上ウェハWがない状態で当該押動ピン251が70μm移動するような荷重、例えば200gがかけられる。そして、押動部材250によって、上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部を当接させて押圧する(図15の工程S12)。
【0106】
そうすると、押圧された上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部との間で接合が開始する(図18中の太線部)。すなわち、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1はそれぞれ工程S1、S6において改質されているため、先ず、表面WU1、WL1間にファンデルワールス力が生じ、当該表面WU1、WL1同士が接合される。さらに、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1はそれぞれ工程S2、S7において親水化されているため、表面WU1、WL1間の親水基が水素結合し、表面WU1、WL1同士が強固に接合される。
【0107】
その後、図19に示すように押動部材250によって上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部を押圧した状態で、第2の真空ポンプ241bの作動を停止して、第2の領域230bにおける第2の吸引管240bからの上ウェハWの真空引きを停止する。そうすると、第2の領域230bに保持されていた上ウェハWが下ウェハW上に落下する。さらにその後、第3の真空ポンプ241cの作動を停止して、第3の領域230cにおける第3の吸引管240cからの上ウェハWの真空引きを停止する。このように上ウェハWの中心部から外周部に向けて、上ウェハWの真空引きを停止し、上ウェハWが下ウェハW上に順次落下して当接する。そして、上述した表面WU1、WL1間のファンデルワールス力と水素結合による接合が、上述した結合が順次拡がる。こうして、図20に示すように上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1が全面で当接し、上ウェハWと下ウェハWが接合される(図15の工程S13)。
【0108】
その後、図21に示すように押動部材250を上部チャック230まで上昇させる。また、下部チャック231において吸引管260a、260bからの下ウェハWの真空引きを停止して、下部チャック231による下ウェハWの吸着保持を停止する。
【0109】
上ウェハWと下ウェハWが接合された重合ウェハWは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCに搬送される。こうして、一連のウェハW、Wの接合処理が終了する。
【0110】
以上の実施の形態によれば、表面改質装置30において、イオン通過構造体140の一対の電極141、142間に所定の電圧を印加することによって、プラズマ生成領域R1で生成された酸素イオンに所定のエネルギーを付与し、当該酸素イオンのみをプラズマ処理領域R1から処理領域R2に導入することができる。そして、処理領域R2において、酸素イオンを用いて載置台110上のウェハW、Wの表面WU1、WL1を改質することができる。かかる場合、酸素イオンに所定のエネルギーを付与しているので、従来のようにプラズマを用いた場合に比べて、当該酸素イオンがウェハW、Wの表面WU1、WL1に到達する際の衝突力は極めて小さい。このため、ウェハW、Wの表面WU1、WL1が物理的なダメージを受けることなく、ウェハW、Wの表面WU1、WL1の平坦性が損なわれることもない。このように本実施の形態によれば、ウェハW、Wがダメージを受けることなく、表面WU1、WL1を適切に改質することができる。したがって、その後ウェハW、W同士を適切に接合することができる。
【0111】
また、本実施の形態の表面改質装置30を用いた場合、制御部300によって種々のパラメータを適切に制御し、ウェハW、Wの表面WU1、WL1を適切に改質することができる。
【0112】
すなわち、制御部300によって、一対の電極141、142間に印加され電圧を制御することで、当該一対の電極141、142を通過する酸素イオンに付与されるエネルギーを適切に制御できる。
【0113】
また、制御部300によって、電流計146で測定される一対の電極141、142間の電流値に基づき、イオン通過構造体140を通過する酸素イオンの通過量を制御できる。
【0114】
さらに、制御部300によって、イオン電流計111で測定されるイオン電流の電流値に基づき、ウェハW、Wの表面WU1、WL1に照射される酸素イオンの照射量を制御できる。
【0115】
このように、一対の電極141、142間の電圧、イオン通過構造体140を通過する酸素イオンの通過量、ウェハW、Wの表面WU1、WL1に照射される酸素イオンの照射量を制御することで、ウェハW、Wの表面WU1、WL1に酸素イオンを適切に照射することができる。したがって、表面WU1、WL1を損傷することなく、SiOの二重結合のみを切断して単結合のSiOとして表面WU1、WL1を適切に改質することができる。
【0116】
また、イオン通過構造体140には一対の電極141、142を電気的に絶縁する絶縁材143が設けられているので、当該一対の電極141、142間に所定の電圧を適切に印加することができる。
【0117】
また、ウェハW、Wの表面WU1、WL1を改質する処理ガスとして酸素ガスを用いているので、表面WU1、WL1に照射された酸素イオン自体を、SiOの二重結合を切断し単結合のSiOにする改質に寄与させることができる。したがって、表面WU1、WL1の改質を効率よく行うことができる。
【0118】
また、表面改質装置30のプラズマ生成機構は、マイクロ波によって酸素ガスをプラズマ化しているので、プラズマ生成領域R1に供給される酸素ガスの供給量が少ない場合でも当該酸素ガスを励起させてプラズマ化することができる。したがって、効率よく酸素ガスのプラズマを生成することができる。また、このように酸素ガスの供給量が少ない場合、プラズマ生成領域R1の真空度を低く維持できる。このため、プラズマ生成領域R1と処理領域R2の排気を分ける必要がなく、表面改質装置30の装置構成を簡略化することができる。
【0119】
さらに、接合システム1は、表面改質装置30に加えて、ウェハW、Wの表面WU1、WL1を親水化すると共に当該表面WU1、WL1を洗浄する表面親水化装置40と、ウェハW、Wを接合する接合装置41も備えているので、一のシステム内でウェハW、Wの接合を効率よく行うことができる。したがって、ウェハ接合処理のスループットをより向上させることができる。
【0120】
以上の実施の形態では、プラズマ生成機構はマイクロ波によって処理ガス(酸素ガス)をプラズマ化していたが、プラズマを生成する方法はこれに限定されず、種々の方法を取り得る。
【0121】
例えば13.56MHzの高周波を用いて酸素ガスをプラズマ化してもよい。かかる場合、図22に示すように表面改質装置30において、処理容器100の上面には、ラジアルラインスロットアンテナ120(マイクロ波発振装置125、同軸導波管126)に代えて、電極400が設けられる。電極400には、高周波電源401が接続されている。この高周波電源401は、イオン通過構造体140における上部電極141にも接続されている。なお、表面改質装置30のその他の構成は、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0122】
そして、工程S1においてプラズマ生成領域R1で酸素ガスをプラズマ化する際には、先ず、ガス供給管130からプラズマ生成領域R1に酸素ガスが供給される。また、高周波電源401から電極400と上部電極141に例えば13.56MHzの高周波電圧が印加される。そうすると、電極400と上部電極141との間に電界が形成され、この電界によってプラズマ生成領域R1内に供給された酸素ガスがプラズマ化される。そして、イオン通過構造体140を介してプラズマ生成領域R1から処理領域R2に酸素イオンが導入され、当該酸素イオンによってウェハW、Wの表面WU1、WL1が改質される。なお、その他の工程S2〜S13は、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0123】
本実施の形態においても、イオン通過構造体140を用いて酸素イオンをウェハW、Wの表面WU1、WL1を適切に照射できるので、当該表面WU1、WL1を適切に改質することができる。
【0124】
以上の実施の形態の表面改質装置30では、処理ガス(酸素ガス)は処理容器100の側面に接続されたガス供給管130からプラズマ生成領域R1に供給されていたが、処理ガスの供給方法はこれに限定されない。例えばプラズマ生成領域R1の上方から処理ガスを供給してもよい。かかる場合、例えば表面改質装置30のラジアルラインスロットアンテナ120の下面側に、処理ガスを供給するシャワーヘッドを設けてもよい。シャワーヘッドの下面には、例えば処理ガスを供給する複数の供給口が形成されている。そして、当該シャワーヘッドからプラズマ生成領域R1内に均一に処理ガスが供給される。
【0125】
以上の実施の形態では、処理ガスとして酸素ガスを用いていたが、他のガス、例えばアルゴンガスや窒素ガス等を用いてもよい。また、処理ガスとして酸素ガスとこれらその他のガスを混合した混合ガスを用いてもよい。いずれの場合でも、処理ガスのイオンによってウェハW、Wの表面WU1、WL1を改質することができる。
【0126】
以上の実施の形態では、SiO膜が形成されたウェハW、Wの表面WU1、WL1を改質する場合について説明したが、他の膜、例えばSiN膜が形成されたウェハW、Wの表面WU1、WL1を改質する場合にも本発明を適用することができる。また、膜が形成されていないベアウェハW、Wの表面WU1、WL1を改質する場合にも本発明を適用することができる。
【0127】
以上の実施の形態の接合システム1において、接合装置41でウェハW、Wを接合した後、さらに接合された重合ウェハWを所定の温度、例えば400℃で加熱してもよい。重合ウェハWにかかる加熱処理を行うことで、接合界面をより強固に結合させることができる。
【0128】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0129】
1 接合システム
30 表面改質装置
40 表面親水化装置
41 接合装置
100 処理容器
110 載置台
111 イオン電流計
120 ラジアルラインスロットアンテナ
125 マイクロ波発振装置
126 同軸導波管
130 ガス供給管
131 ガス供給源
132 供給機器群
140 イオン通過構造体
141 上部電極
142 下部電極
143 絶縁材
144 開口部
145 電源
146 電流計
300 制御部
400 電極
401 高周波電源
R1 プラズマ生成領域
R2 処理領域
上ウェハ
U1 表面
下ウェハ
L1 表面
重合ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板同士を接合する前に、当該基板の接合される表面を改質する表面改質装置であって、
基板を収容する処理容器と、
前記処理容器内に配置され、基板を載置する載置部と、
前記処理容器内に処理ガスを供給するガス供給機構と、
前記処理容器内で前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成機構と、
前記処理容器内を、前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成領域と、前記プラズマ生成領域で生成された処理ガスのイオンを用いて前記載置部上の基板の表面を改質する処理領域とに区画するように設けられたイオン通過構造体と、を有し、
前記イオン通過構造体は、所定の電圧が印加される一対の電極を備え、
前記イオン通過構造体には、前記プラズマ生成領域から前記処理領域に前記処理ガスのイオンが通過する開口部が形成されていることを特徴とする、表面改質装置。
【請求項2】
前記一対の電極間には、当該一対の電極を電気的に絶縁する絶縁材が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の表面改質装置。
【請求項3】
前記一対の電極に印加される所定の電圧を制御して、前記イオン通過構造体を通過する際に前記処理ガスのイオンに付与されるエネルギーを制御する制御部を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の表面改質装置。
【請求項4】
前記一対の電極間の電流を測定する電流計と、
前記電流計で測定された電流値に基づいて、前記イオン通過構造体を通過する前記処理ガスのイオンの通過量を制御する制御部と、を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の表面改質装置。
【請求項5】
前記載置部上の基板に照射される前記処理ガスのイオンによって生じる電流を測定する他の電流計と、
前記他の電流計で測定された電流値に基づいて、前記載置部上の基板に照射される前記処理ガスのイオンの照射量を制御する制御部と、を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の表面改質装置。
【請求項6】
前記プラズマ生成機構は、マイクロ波によって前記処理ガスを励起してプラズマ化することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の表面改質装置。
【請求項7】
前記処理ガスは、酸素ガスを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の表面改質装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の表面改質装置を備えた接合システムであって、
前記表面改質装置で改質された基板の表面を親水化する表面親水化装置と、
前記表面親水化装置で表面が親水化された基板同士を接合する接合装置と、を有することを特徴とする、接合システム。
【請求項9】
基板同士を接合する前に、表面改質装置において基板の接合される表面を改質する表面改質方法であって、
前記表面改質装置は、
基板を収容する処理容器と、
前記処理容器内に配置され、基板を載置する載置部と、
前記処理容器内に処理ガスを供給するガス供給機構と、
前記処理容器内で前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成機構と、
前記処理容器内を、前記処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成領域と、前記プラズマ生成領域で生成された処理ガスのイオンを用いて前記載置部上の基板の表面を改質する処理領域とに区画するように設けられ、所定の電圧が印加される一対の電極を備え、前記プラズマ生成領域から前記処理領域に前記処理ガスのイオンが通過する開口部が形成されているイオン通過構造体と、を有し、
前記表面改質方法では、
前記プラズマ生成領域において、前記ガス供給機構から供給された前記処理ガスを前記プラズマ生成機構によりプラズマ化し、
前記一対の電極に所定の電圧を印加し、前記プラズマ生成領域で生成された処理ガスのイオンを前記イオン通過構造体を介して前記処理領域に導入し、
前記処理領域において、前記処理ガスのイオンを用いて前記載置部上の基板の表面を改質することを特徴とする、表面改質方法。
【請求項10】
前記一対の電極間には、当該一対の電極を電気的に絶縁する絶縁材が設けられていることを特徴とする、請求項9に記載の表面改質方法。
【請求項11】
前記一対の電極に印加される所定の電圧を制御して、前記イオン通過構造体を通過する際に前記処理ガスのイオンに付与されるエネルギーを制御することを特徴とする、請求項9又は10に記載の表面改質方法。
【請求項12】
前記表面処理装置は、前記一対の電極間の電流を測定する電流計を有し、
前記電流計で測定された電流値に基づいて、前記イオン通過構造体を通過する前記処理ガスのイオンの通過量を制御することを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の表面改質方法。
【請求項13】
前記表面処理装置は、前記載置部上の基板に照射される前記処理ガスのイオンによって生じる電流を測定する他の電流計を有し、
前記他の電流計で測定された電流値に基づいて、前記載置部上の基板に照射される前記処理ガスのイオンの照射量を制御することを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の表面改質方法。
【請求項14】
前記プラズマ生成機構は、マイクロ波によって前記処理ガスを励起してプラズマ化することを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の表面改質方法。
【請求項15】
前記処理ガスは、酸素ガスを有することを特徴とする、請求項9〜14のいずれかに記載の表面改質方法。
【請求項16】
請求項9〜15のいずかに記載の表面改質方法を表面改質装置によって実行させるために、当該表面改質装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−12564(P2013−12564A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143836(P2011−143836)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】