説明

被災管理装置、通信端末装置及びプログラム

【課題】被災情報を自動通知する技術を採用したとしても被災の可能性があるか否かに応じてその被災情報を誤報とみなして適切に処理できるようにする。
【解決手段】通信端末装置1は、災害(地震、火災)の発生を検出した際に、被災管理装置2に対して被災を知らせる被災情報を送信する。被災管理装置2は、通信端末装置1から被災情報を受信してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別し、被災条件を満たさない場合には、受信した被災情報を誤報とみなして所定の処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害が発生した場合にその被災状況を管理する被災管理装置、災害の発生を検出した場合に被災情報を通知する通信端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの通信端末装置は、常時携帯するという特質上、災害(地震や大規模火災など)が発生した場合に、その旨を家族や公的機関などに通知(緊急連絡)する手段として利用することができる。このような通知を自動的に行う技術としては、従来、通信端末装置に衝撃や熱が加わったことをセンサによって検知した場合に、所定の通知先に対して異常通知を現在の位置情報と共に送出するようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−198592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように自動的に異常通知を行う技術にあっては、例えば、ユーザ(被災者)が瓦礫の下敷きになったり、最寄りの基地局が破壊されたり、通信のアクセスが集中したり、ユーザが意識を失って発信不可能な状況になったとしても、被災していることを家族や公的機関に知らせることが可能であるが、衝撃や熱を検知すると、異常発生として認識して所定の通知先に対して自動通知してしまうため、不注意によって衝撃や熱を加えてしまったような場合でも異常通知が行われるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、被災情報を自動的に通知する技術を採用したとしても、被災の可能性があるか否かに応じてその被災情報を誤報とみなして適切に処理できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、災害の発生を検出した場合に被災を知らせる被災情報を通知する通信端末装置に通信ネットワークを介して接続され、当該通信端末装置からの被災情報に基づいてその被災状況を管理する被災管理装置であって、前記通信端末装置から被災情報を受信する受信手段と、この受信手段によって前記被災情報を受信してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別する判別手段と、この判別手段によって被災条件を満たさないと判別された場合に、前記受信手段によって受信した被災情報を誤報とみなして所定の処理を実行する処理手段と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に従属する発明として、前記被災情報は、災害に遭遇して被災したことを示すと共に、現在位置、現在時刻、ユーザ関連情報のうち少なくとも現在位置を含む情報であり、前記処理手段は、前記判別手段によって被災条件を満たすと判別された場合に、前記受信手段によって受信した被災情報を出力可能とする処理を行う、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、前記判別手段は、前記受信手段によって前記被災情報の送信元の地域内に存在している通信手段との間で正常に通信が可能であれば、被災条件を満たさないと判別する、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1に従属する発明として、前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、前記判別手段は、前記受信手段によって前記被災情報の送信元の地域内に存在している地震計で有意なデータが検出されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1に従属する発明として、前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、前記判別手段は、前記受信手段によって前記被災情報の送信元の地域内に存在している他の所定台数以上の前記通信端末装置から同様の被災情報が通知されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1に従属する発明として、前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、前記判別手段は、前記受信手段によって前記被災情報の送信元の地域内に存在している前記通信端末装置に対して公的機関側からの緊急災害情報が通知されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、前記判別手段は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を連続して検出されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項1に従属する発明として、前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な高熱を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、前記判別手段は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な高熱を連続して検出されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項1に従属する発明として、前記判別手段は、前記受信手段によって前記被災情報の送信元である前記通信端末装置から当該被災情報が誤報である旨が通知されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、ようにしたことを特徴とする請求項9記載の発明であってもよい。
【0015】
請求項1に従属する発明として、前記処理手段は、前記受信手段によって受信した被災情報が誤報であるとみなした場合の所定の処理として、被災情報の記憶消去、被災情報の出力抑制、被災情報の読み出し抑制のいずれかの処理を行う、ようにしたことを特徴とする請求項10記載の発明であってもよい。
【0016】
請求項1に従属する発明として、前記処理手段は、前記受信手段によって受信した被災情報が誤報であるとみなした場合の所定の処理として、前記被災情報の送信元である通信端末装置から当該被災情報を受信する他の通信端末装置に対して、当該被災情報が誤報である旨を通知する、ようにしたことを特徴とする請求項11記載の発明であってもよい。
【0017】
また、上述した課題を解決するために請求項12記載の発明は、災害が発生した場合にその被災状況を管理する被災管理装置に通信ネットワークを介して接続される通信端末装置であって、災害が発生した場合に被災を知らせる被災情報を前記被災管理装置に通知する第1通知手段と、この通知手段によって被災情報を通知してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別する判別手段と、この判別手段によって被災条件を満たさないと判別された場合に、前記第1の通知手段によって通知した被災情報を誤報とみなして前記被災管理装置に対して誤報通知を行う第2通知手段と、を具備したことを特徴とする。
【0018】
請求項12に従属する発明として、前記判別手段は、前記第1通知手段によって前記被災情報を通知してから所定時間内に公的機関側から緊急災害情報を受信しなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、ようにしたことを特徴とする請求項13記載の発明であってもよい。
【0019】
また、上述した課題を解決するために請求項14記載の発明は、災害が発生した場合にその被災状況を管理する被災管理装置に通信ネットワークを介して接続されている通信端末装置であって、災害の発生を検出した場合に被災を知らせる被災情報を通知する被災者側の通信端末装置から当該被災情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって被災情報を受信してから前記被災者側の通信端末装置から誤報通知を受信したか否かを判別する判別手段と、この判別手段によって誤報通知を受信したと判別された場合に、前記受信手段によって受信した被災情報を無効とする処理手段と、を具備したことを特徴とする。
【0020】
請求項14に従属する発明として、前記被災情報は、災害発生で被災したことを示すと共に、現在位置、現在時刻、ユーザ関連情報のうち少なくとも現在位置を含む情報であり、前記処理手段は、前記判別手段によって誤報通知を受信しないと判別された場合に、前記受信手段によって受信した被災情報を出力可能とする処理を行う、ようにしたことを特徴とする請求項15記載の発明であってもよい。
【0021】
請求項14に従属する発明として、前記処理手段は、前記受信手段によって受信した被災情報を無効とする場合に、被災情報の記憶消去、被災情報の出力抑制、被災情報の読み出し抑制のいずれかの処理を行う、ようにしたことを特徴とする請求項16記載の発明であってもよい。
【0022】
また、上述した課題を解決するために請求項17記載の発明は、コンピュータに対して、災害の発生を検出した場合に被災を知らせる被災情報を通知する通信端末装置から通信ネットワークを介して被災情報を受信する機能と、前記被災情報を受信してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別する機能と、前記被災条件を満たさないと判別された場合は、前記受信した被災情報を誤報とみなして所定の処理を実行する機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【0023】
また、上述した課題を解決するために請求項18記載の発明は、コンピュータに対して、災害が発生した場合にその被災状況を管理する被災管理装置に通信ネットワークを介して被災を知らせる被災情報を通知する機能と、前記被災情報を通知してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別する機能と、前記被災条件を満たさないと判別された場合は、前記受信した被災情報を誤報とみなして前記被災管理装置に対して誤報通知を行う機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【0024】
また、上述した課題を解決するために請求項19記載の発明は、コンピュータに対して、災害が発生した場合にその被災状況を管理する被災管理装置に通信ネットワークを介して接続されている被災者側の通信端末装置から被災を知らせる被災情報を受信する機能と、前記被災情報を受信してから所定時間内に前記被災者側の通信端末装置から誤報通知を受信したか否かを判別する機能と、前記被災条件を満たさないと判別された場合に、前記受信した被災情報を無効とする機能と、を実現させるためのプログラム特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、被災情報の自動的に通知する技術を採用したとしても、被災の可能性があるか否かに応じてその被災情報を誤報とみなして適切に処理することができ、実用効果を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】災害の発生を検出した場合に被災を知らせる被災情報を通知する通信端末装置1と、この通信端末装置1からの被災情報に基づいてその被災状況を管理する被災管理装置2とが通信ネットワークを介して接続されている通信システム(被災管理システム)を示したブロック図。
【図2】(1)は、通信端末装置1の基本的な構成要素を示したブロック図、(2)は、被災管理装置2の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】被災管理装置2側において、通信端末装置1から被災情報を受信してから所定時間内に被災の可能性があるか否かを判別するための被災条件A及び被災条件Bを説明するための図。
【図4】被災管理装置2側で被災情報が閲覧可能となっている状態において、緊急連絡先(被災者関係者)側の通信端末装置6が被災管理装置2をアクセスして被災情報を閲覧表示させた場合の表示例を示した図で、(1)は、地震発生時の被災情報を示した図、(2)は、火災発生時の被災情報を示した図。
【図5】電源投入に応じて実行開始される通信端末装置1側の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図6】図5に続く動作を示したフローチャート。
【図7】被災管理装置2の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図8】他の通信端末装置(被災者関係者側の通信端末装置)6における全体動作の概要を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態1)
以下、図1〜図7を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、災害の発生を検出した場合に被災を知らせる被災情報を通知する通信端末装置1と、この通信端末装置1からの被災情報に基づいてその被災状況を管理する被災管理装置2とが通信ネットワークを介して接続されている通信システム(被災管理システム)を示したブロック図である。
この通信システム(被災管理システム)は、通信端末装置1、被災管理装置2、メール管理装置3などを有する通信システムで、これらは無線通信網(移動体通信網)4を介してそれぞれ接続されている。この被災管理システムにおいては、災害(地震)の発生時に、国、地方公共団体などの公的機関側から緊急災害情報が通信端末装置1に対して通知する緊急災害サービスが実施されている。
【0028】
この被災管理システムは、通信端末装置1を所持しているユーザが災害に遭遇してしまい、例えば、瓦礫の下敷きになったり、最寄りの基地局が破壊されたり、通信のアクセスが集中したり、ユーザ(被災者)が意識を失って発信不可能な状況となったとしても、その被災者(ユーザ)の通信端末装置1から被災していることを示す被災情報を、無線通信網4を介して被災管理装置2に送信したり、予め登録されている家族などの緊急連絡先(被災者関係者)宛に被災メールを送信したりすることができるようにしたものである。そして、この実施形態の通信端末装置1は、携帯電話機であり、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)のほか、災害(地震、火災)の発生を検出する災害検出機能と、被災を知らせる被災通知機能など、各種の機能を備えている。
【0029】
被災管理装置2は、通信端末装置1からの被災情報に基づいてその被災状況を管理する通信事業者側のサーバ装置であり、被災者側の通信端末装置1から発信された被災情報を受信すると、この被災情報を受信してから所定時間内に被災条件を満たすか否かの判別を行い、被災条件を満たすと判別した際には、その被災情報を閲覧可能とする処理を行うが、被災条件を満たさないと判別した際には、この被災情報を誤報とみなして当該被災情報を無効とする処理(破棄する処理)を行うようにしている。
【0030】
メール管理装置3は、電子メールの送受信を管理する通信事業者側のサーバ装置であり、被災者側の通信端末装置1から発信された被災メールを受信すると、被災管理装置2側で上述した被災条件の判別処理が終了するまで当該被災メールを保持しておき、被災管理装置2側で被災条件を満たすと判別された際には、この被災メールをその緊急連絡先(被災者関係者)宛に送信するようにしている。つまり、メール管理装置3は、被災管理装置2の管理の下、被災メールをその緊急連絡先(被災者関係者)宛に送信するようにしているが、被災管理装置2側で被災条件を満たさないと判別された際に、メール管理装置3は、この被災メールを破棄(消去)するようにしている。
【0031】
通信端末装置1は、最寄りの基地局4A、交換機4Bから無線通信網4に接続されると、この無線通信網4を介して他の通信端末装置6(携帯電話機)1との間で通話可能な状態となると共に、電子メールの送受信が可能となり、また、インターネット5に接続されると、Webサイトをアクセスして閲覧可能な状態となる。通信端末装置1は、災害(地震、火災)の発生を検出した際に、被災管理装置2に対して被災を知らせる被災情報を送信したり、予め登録されている緊急連絡先(家族など)である他の通信端末装置6に対して被災メールを送信したり、また、公的機関側から緊急災害情報を、無線通信網4を介して受信したりする。また、この被災メールを受信する他の通信端末装置6は、緊急連絡先として予め登録されたもので、携帯電話機に限らず、無線通信網4、インターネット5を介して接続されているパーソナルコンピュータなどであってもよい。なお、無線通信網4を構成する各基地局4Aには、地震計7がそれぞれ配置されている。
【0032】
図2は、通信端末装置1及び被災管理装置2の基本的な構成要素を示したブロック図である。
通信端末装置1は、図2(1)に示す構成となっている。すなわち、制御部101は、二次電池を備えた電源部102からの電力供給によって動作し、記憶部103内の各種のプログラムに応じて通信端末装置1の全体動作を制御するもので、この制御部101には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部103は、ROM、RAMなどの内部メモリで、図示しないプログラム領域とデータ領域とを有している。
【0033】
記憶部103のプログラム領域には、後述する図5及び図6に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納され、また、記憶部103のデータ領域には、被災管理装置2をアクセスするサーバ識別情報や緊急連絡先である他の携帯端末装置6のメールアドレスなどを記憶する通知先情報記憶部UMと、ユーザの名前、年齢、住所、電話番号、血液型、持病、病歴などのプロフィール情報(ユーザ関連情報)を記憶するプロフィール情報記憶PMが設けられている。なお、記憶部103としては、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成、あるいは図示しない所定の外部サーバ上にあってもよい。
【0034】
操作部104は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、制御部101は、操作部104からの操作信号に応じた処理として、例えば、電話発信処理、電子メール作成処理など、各種の処理を行う。通信部105は、図示しない無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局4Aとの間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、電話部106を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを電話部106から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナAT1から発信出力させる。
【0035】
表示部107は、例えば、高精細液晶を使用し、アイコン、文字データ、待受画像などを表示する。位置検出部108は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS情報(位置情報)を受信して現在位置を、アンテナAT2を介して取得する。時計部109は、現在日時を計時するほか、タイマによる時間計測動作を行う。温度検出部110は、災害(火災)の発生を検出する温度センサ(熱センサ)を有し、所定状態を超える特徴的な高熱(一定温度以上、例えば、50℃以上の高熱)を所定時間(例えば、5秒)以上継続して検知した際に、火災発生による特徴的な高熱を検知したものとして火災検知信号を出力する構成となっている。なお、火災発生として検知する温度や継続時間は、50℃以上、5秒以上に限らず、任意であり、また、ユーザ操作によって温度や継続時間を任意に設定するようにしてもよい。
【0036】
振動検出部111は、3軸タイプの加速度センサ(3軸方向振動センサ)によって構成され、通信端末装置1に加わる衝撃の状態に基づいて災害(地震)の発生を検出するもので、加速度(振動)の大きさとして互いに直交する3軸方向(X・Y・Z方向)の加速度成分の状態に基づいて所定状態を超える特徴的な衝撃(一定強さ以上、例えば、震度4強以上に相当する衝撃)を所定時間(例えば、5秒)以上継続して検知した際に、地震発生による特徴的な衝撃を検知したものとして地震検知信号を出力する構成となっている。なお、地震発生として検知する振動の強さや継続時間は、震度4強以上、5秒以上に限らず、任意であり、また、ユーザ操作によって振動の強さや継続時間を任意に設定するようにしてもよい。
【0037】
このように温度検出部110からの火災検知信号、振動検出部111からの地震検知信号に応じて制御部101は、災害(地震、火災)の発生を検出すると、被災管理装置2に対して被災を知らせる被災情報を送信したり、予め登録されている緊急連絡先(家族など)である通信端末装置6に対して被災メールを送信したりするが、この被災情報や被災メールを送信してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別し、この被災条件を満たさない場合には、送信した被災情報を誤報とみなして被災管理装置2に対して誤報通知を行うようにしている。被災条件は、“公的機関側から緊急災害情報を受信したか”を示す条件と、“温度検出部110から火災検知信号が連続的に出力されたり、振動検出部111から地震検知信号が連続的に出力されたりしたか”を示す条件であり、制御部101は、地震検知時において公的機関側から緊急災害情報を受信しなかった場合には、被災条件を満たさないと判断して誤報通知を行い、また、火災検知信号や地震検知信号が連続的に出力されたかった場合にも被災条件を満たさないと判断して誤報通知を行うようにしている。
【0038】
被災管理装置2は、図2(2)に示す構成となっている。すなわち、制御部201は、AC電源(商用電源)に接続された電源部202からの電力供給によって動作し、記憶部203内の各種のプログラムに応じて被災管理装置2の全体動作を制御するもので、この制御部201には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部203は、ROM、RAMなどの内部メモリで、図示しないプログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図7に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納されている。時計部204は、現在日時を計時するほか、タイマによる時間計測動作を行う。通信部205は、アンテナAT3、無線通信網4を介して通信端末装置1との間でデータの送受信を行う。
【0039】
図3は、被災管理装置2側において、通信端末装置1から被災情報を受信してから所定時間内に被災の可能性があるか否かを判別するための被災条件A及び被災条件Bを説明するための図である。
被災条件Aは「A−1」、「A−2」、「A−3」を有し、制御部201は、少なくても被災条件のいずれか1つに該当する場合には、被災の可能性があると判別し、また、被災条件A、被災条件Bのいずれの条件にも該当しない場合にも被災の可能性があると判別し、また、被災条件Aのいずれの条件に該当しないが被災条件Bには該当する場合には、被災の可能性がないと判別するようにしている。
【0040】
「A−1」は、“被災情報の送信元の基地局4Aに位置登録されている他の所定台数(2台)以上の通信端末装置1から同様の被災情報が通知されている”ことを示す被災条件であり、制御部201は、被災情報の送信元の地域内に存在している他の所定台数以上の通信端末装置1から同様の被災情報が通知されなかった場合には被災条件を満たさないと判別する。「A−2」は、“被災情報の送信元の基地局4Aに設置されている地震計7で有意なデータが検出されている”ことを示す被災条件であり、制御部201は、被災情報の送信元の地域内に存在している地震計7で有意なデータが検出されなかった場合には被災条件を満たさないと判別する。
【0041】
「A−3」は、“被災情報の送信元の基地局4Aが通信不可能となっている”ことを示す被災条件であり、制御部201は、被災情報の送信元の地域内に存在している通信手段(基地局4A)との間で正常に通信が可能である場合には被災条件を満たさないと判別する。被災条件Bは、“被災情報の送信元の通信端末装置1から誤報情報を受信した”ことを示す被災条件であり、制御部201は、被災情報の送信元の通信端末装置1から誤報情報を受信した場合には被災条件を満たさないと判別する。
【0042】
図4は、被災管理装置2側で被災情報が閲覧可能となっている状態において、緊急連絡先(被災者関係者側)の通信端末装置6が被災管理装置2をアクセスして被災情報を閲覧表示させた場合の表示例を示した図で、(1)は、地震発生時の被災情報、(2)は、火災発生時の被災情報を示している。
この被災情報は、災害に遭遇して被災したことを示すメッセージと共に、現在位置、現在時刻、プロフィール情報(ユーザ関連情報)を含む内容となっている。なお、図4は、被災者関係者側の通信端末装置6が被災管理装置2をアクセスして被災情報を閲覧表示させた場合を示したが、被災情報と被災メールの内容が同一であれば、メール管理装置3から受信した被災メールを表示させると、その表示内容は図4(1)、(2)となる。このように被災情報と被災メールとを同一内容としてもよいが、被災メールよりも被災情報の内容の方をより詳細にしてもよく、逆に、被災情報よりも被災メールの内容の方をより詳細にしてもよい。
【0043】
次に、この第1実施形態における通信端末装置1、被災管理装置2の動作概念を図5〜図7に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなど伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0044】
図5及び図6は、電源投入に応じて実行開始される通信端末装置1側の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、通信端末装置1の制御部101は、電源オン操作が行われると、所定のメモリをクリアするなどの初期設定を行う(図5のステップA1)そして、着信などの待ち受け状態において(ステップA2)、電話着信を検出したときには(ステップA3でYES)、回線接続させるオフフック操作に応じて(ステップA4でYES)、通話可能状態とする通話処理を開始する(ステップA5)。また、その後のオンフック操作に応じて(ステップA6でYES)、回線切断処理を実行したのち(ステップA7)、上述の待ち受け状態に戻る(ステップA3)。
【0045】
この待ち受け状態において、振動検出部111から地震検知信号が出力されたかを調べたり(ステップA8)、温度検出部110から火災検知信号が出力されたかを調べたり(図6のステップA22)、何らかの操作が行われたかを調べたりする(図6のステップA32)。いま、何らかの操作が行われたときには(ステップA32でYES)、操作に応じた処理として、例えば、通信先情報記憶部UM、プロフィール情報記憶PMに対して任意の情報を設定する処理を行ったり、電話発信処理、メール送信処理などを行ったりする(ステップA33)。
【0046】
いま、振動検出部111によって所定の衝撃として一定以上の強さの衝撃(震度4強以上)が所定時間以上(5秒以上)継続していることが検出されることによって振動検出部111から地震検知信号が出力されると(図5のステップA8でYES)、振動検出部111から地震の強さを取得すると共に(ステップA9)、地震で被災したことを示すメッセージを含む被災情報を生成する(ステップA10)。そして、時計部109から現在日時(ステップA11)、位置検出部108から現在位置を取得すると共に(ステップA12)、更に、プロフィール情報記憶PMからユーザの名前、年齢、住所、電話番号、血液型、持病、病歴などのユーザ関連情報を取得したのち(ステップA13)、通信先情報記憶部UMから被災管理装置2をアクセスするサーバ識別情報や緊急連絡先のメールアドレスなどを読み出し(ステップA14)、生成した被災情報に現在日時、現在位置、プロフィール情報を含めて被災管理装置2に送信したり、生成した被災情報を含む被災メールを緊急連絡先(被災者関係者側)の携帯端末装置6に送信したりする(ステップA15)。
【0047】
このように被災情報を送信してから所定時間内(例えば、5分以内)に公的機関側からの緊急災害情報の受信有無をチェックするためにタイマTM1(図示省略)の計測動作を開始させたのち(ステップA16)、振動検出部111から地震検知信号が連続的に出力されたかを調べる(ステップA17)。すなわち、前回に続いて、振動検出部111によって一定以上の強さの衝撃(震度4強以上)が所定時間以上(5秒以上)、更に継続していることが検出されることによって再度、地震検知信号が出力されたかを調べる。いま、地震検知信号が単発的に出力されただけであって連続的に出力されなかったときには(ステップA17でNO)、例えば、落下による衝撃、不注意による衝撃などの場合であるから、被災条件を満たさないと判断して、前回送信した被災情報は誤報であることを示すために誤報情報を被災管理装置2に送信する(ステップA18)。そして、上述のタイマTM1の計測動作を停止させてその内容をリセットしたのち(ステップA19)、上述のステップA3に戻る。
【0048】
また、前回に続いて、振動検出部111から地震検知信号が出力されたときには(ステップA17でYES)、公的機関側から緊急災害情報を受信したかを調べ(ステップA20)、緊急災害情報を受信しなければ(ステップA20でNO)、タイマTM1がタイムアウトになったか、つまり、被災情報を送信してから所定時間(例えば、5分)を経過したかを調べ(ステップA21)、タイムアウトにならなければ(ステップA21でNO)、上述のステップA20に戻って緊急災害情報の受信待ち状態となる。
【0049】
いま、タイムアウトになる前に緊急災害情報を受信したときには(ステップA20でYES)、被災条件を満たすと判断して、上述のステップA3に戻るが、タイムアウトになっても緊急災害情報を受信しなかったときには(ステップA21でYES)、被災条件を満たさないと判断し、前回送信した被災情報は誤報であることを示すために誤報情報を被災管理装置2に対して送信する(ステップA18)。そして、上述のタイマTM1の計測動作を停止させてその内容をリセットしたのち(ステップA19)、上述のステップA3に戻る。
【0050】
一方、温度検出部110によって一定温度以上(例えば、50℃以上)の高熱を所定時間(例えば、5秒)以上継続していることが検出されることによって温度検出部110から火災検知信号が出力されると(図6のステップA22でYES)、温度検出部110から温度を取得すると共に(ステップA23)、火災で被災したことを示すメッセージを含む被災情報を生成する(ステップA24)。そして、時計部109から現在日時(ステップA25)、位置検出部108から現在位置を取得すると共に(ステップA26)、更に、プロフィール情報記憶PMからユーザの名前、住所、連絡先、血液型、持病、病歴などのユーザ関連情報を取得したのち(ステップA27)、通信先情報記憶部UMから被災管理装置2をアクセスするサーバ識別情報や緊急連絡先のメールアドレスなどを読み出し(ステップA28)、生成した被災情報に現在日時、現在位置、プロフィール情報を含めて被災管理装置2に送信したり、生成した被災情報を含む被災メールを緊急連絡先の携帯端末装置6に送信したりする(ステップA29)。
【0051】
そして、温度検出部110から火災検知信号が連続的に出力されたかを調べる(ステップA30)。すなわち、前回に続いて、温度検出部110によって一定温度以上(例えば、50℃以上)の高熱を所定時間以上(例えば、5秒以上)、更に継続していることが検出されることによって再度、火災検知信号が出力されたかを調べるが、火災検知信号が単発的に出力されただけであって連続的に出力されなかったときには(ステップA30でNO)、例えば、不注意による加熱などの場合であり、被災条件を満たさないと判断して、前回送信した被災情報は誤報であることを示すために誤報情報を被災管理装置2に対して送信する(ステップA31)。その後、図5のステップA3に戻る。また、前回に続いて、温度検出部110から火災検知信号が出力されたときには(ステップA30でYES)、図5のステップA3に戻る。
【0052】
図7は、被災管理装置2の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、制御部201は、無線通信網4を介して通信端末装置1から被災情報を受信したかを調べ(ステップB1)、被災情報を受信したときには(ステップB1でYES)、この被災情報を記憶保存させたのち(ステップB2)、この被災情報を受信してから所定時間内(例えば、5分以内)にその送信元の通信端末装置1から誤報情報を受信したかをチェックするためにタイマTM2(図示省略)の計測動作を開始させて(ステップB3)、被災条件チェック処理に移る(ステップB4、B5)。
【0053】
この被災条件チェック処理は、上述した被災条件Aの1以上に合致しているかを調べたり(ステップB4)、被災条件Bに合致しているかを調べたりする処理である(ステップB5)。すなわち、制御部201は、記憶保存されている被災情報を参照し、被災条件Aとしての「A−1」〜「A−3」のうち、少なくともそのいずれかの条件を満たすか、つまり、被災情報の送信元の基地局4Aを特定して、この基地局4Aに位置登録されている他の所定台数(2台)以上の通信端末装置1から同様の被災情報が通知されてきたかを調べたり、特定した基地局4Aに設置されている地震計7が有意なデータを検出したかを調べたり、特定した基地局4Aが通信不可能になっているかを調べたりする。
【0054】
ここで、被災条件Aの1以上に合致していれば(ステップB4でYES)、被災条件を満たすと判別してステップB7に移り、当該被災情報を出力可能(閲覧可能)な状態とする。この場合、被災情報を第三者が自由に閲覧可能としてもよいが、予め登録されている被災者関係者(家族など)に限って閲覧可能としてもよい。そして、上述のタイマTM2の計測動作を停止させてその内容をリセットしたのち(ステップB10)、上述のステップB1に戻る。また、いずれの被災条件Aに合致しなければ(ステップB4でNO)、被災条件Bに合致しているか、つまり、被災情報の送信元の通信端末装置1から誤報情報を受信したかを調べ(ステップB5)、この被災条件Bにも合致していなければ(ステップB5でNO)、タイマTM3がタイムアウトになったか、つまり、被災情報を受信してから所定時間(例えば、5分)を経過したかを調べる(ステップB6)。
【0055】
いま、タイムアウトにならなければ(ステップB6でNO)、上述のステップB4に戻るが、タイムアウトになっても誤報情報を受信しなかったときには(ステップB6でYES)、被災条件を満たすと判別してステップB7に移り、当該被災情報を出力可能(閲覧可能)な状態とする。また、タイムアウトになる前に誤報情報を受信したときには、被災条件Bに合致するため(ステップB5でYES)、被災条件を満たさないと判別してステップB8に移り、この被災情報を無効とするために破棄(消去)するほか、この誤報情報をメール管理装置3に対して送信する(ステップB9)。そして、上述のタイマTM3の計測動作を停止させてその内容をリセットしたのち(ステップB9)、上述のステップB1に戻る。なお、メール管理装置3側では、被災管理装置2側で被災条件を満たさないと判別された際に(誤報情報を受信した際に)、被災者側の通信端末装置1からの被災メールを破棄(消去)する。
【0056】
以上のように、第1実施形態において被災管理装置2は、通信端末装置1から被災情報を受信してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別し、被災条件を満たさない場合には、受信した被災情報を誤報とみなして所定の処理を実行するようにしたので、被災情報を自動通知する技術を採用したとしても被災の可能性があるか否かに応じてその被災情報を誤報とみなして適切に処理することができ、実用効果を高めることが可能となる。
【0057】
被災情報は、災害に遭遇して被災したことを示すと共に、現在位置、現在時刻、プロフィール情報(ユーザ関連情報)を含む情報であり、被災条件を満たす場合に、この被災情報を出力可能(閲覧可能)な状態とするようにしたので、被災管理装置2をアクセスすることによって、例えば、被災者関係者にあっては、被災情報を自由に閲覧することができる。
【0058】
被災管理装置2は、被災情報の送信元の地域内に存在している通信手段(基地局4A)との間で正常に通信が可能である場合には被災条件を満たさないと判別するようにしたので、被災情報の送信元の基地局4Aとの通信が不可能な場合には、地震で基地局4Aが破壊されているか否かに基づいて被災情報が誤報であるか否かをより適切に判別することが可能となる。
【0059】
被災管理装置2は、被災情報の送信元の地域内に存在している地震計7で有意なデータが検出されなかった場合には被災条件を満たさないと判別するようにしたので、被災情報の送信元の基地局4Aに設置されている地震計7での計測結果に基づいて被災情報が誤報であるか否かをより適切に判別することが可能となる。
【0060】
被災管理装置2は、被災情報の送信元の地域内に存在している他の所定台数以上の通信端末装置1から同様の被災情報が通知されなかった場合には被災条件を満たさないと判別するようにしたので、被災情報の送信元の基地局4Aに位置登録されている他の所定台数(2台)以上の通信端末装置1から同様の被災情報が通知されているか否かの地震の可能性に基づいて被災情報が誤報であるか否かをより適切に判別することが可能となる。
【0061】
通信端末装置1は、公的機関側からの緊急災害情報が通知されなかった場合に、被災条件を満たさないと判別して誤報通知を被災管理装置2に送信し、この誤報通知を受信した被災管理装置2側では、被災条件を満たさないと判別するようにしたので、実際に災害が起きたのか否かに基づいて被災情報が誤報であるか否かをより適切に判別することが可能となる。
【0062】
通信端末装置1は、振動検出部111から地震検知信号が連続的に出力されなかった場合に、被災条件を満たさないと判別して誤報通知を被災管理装置2に送信し、この誤報通知を受信した被災管理装置2側では、被災条件を満たさないと判別するようにしたので、例えば、落下による衝撃、不注意による衝撃などと区別することができ、被災情報が誤報であるか否かをより適切に判別することが可能となる。
【0063】
通信端末装置1は、温度検出部110から火災検知信号が連続的に出力されなかった場合に、被災条件を満たさないと判別して誤報通知を被災管理装置2に送信し、この誤報通知を受信した被災管理装置2側では、被災条件を満たさないと判別するようにしたので、例えば、不注意による加熱など、と区別することができ、被災情報が誤報であるか否かをより適切に判別することが可能となる。
【0064】
被災管理装置2は、被災情報の送信元である通信端末装置1から当該被災情報が誤報である旨が通知されなかった場合に被災条件を満たさないと判別するようにしたので、被災情報が誤報であるか否かをより適切に判別することが可能となる。
【0065】
被災管理装置2は、受信した被災情報が誤報であるとみなした場合の所定の処理として、被災情報を破棄(消去)するようにしたので、誤報の流布を防止することができる。
【0066】
被災管理装置2は、災害(地震、火災)の発生を検出した際に、予め登録されている緊急連絡先(被災者関係者側)の通信端末装置6に対して、被災条件を満たすか否かの判別結果に応じて誤報情報を送信したりするようにしたので、被災情報を自動通知する技術を採用したとしても被災の可能性があるか否かに応じてその被災情報を誤報とすることができる。
【0067】
被災者側の通信端末装置1は、被災を知らせる被災情報を被災管理装置2に通知してから所定時間内に被災条件を満たさないと判別した場合には被災管理装置2に対して誤報通知を行うようにしたので、誤報対応を迅速に行うことができ、誤報の流布を防止することができる。
【0068】
被災者側の通信端末装置1は、公的機関側による緊急災害情報を受信している場合に所定の条件を満たすと判別するようにしたことで、被災情報が誤報であるか否かをより適切に判別することができる。
【0069】
なお、上述した第1実施形態において被災管理装置2は、受信した被災情報が誤報であるとみなした場合の所定の処理として、被災情報を破棄(消去)するようにしたが、被災情報の記憶消去に限らず、被災情報の出力抑制、被災情報の読み出し抑制のいずれかの処理を行うようにしてもよい。
【0070】
また、上述した第1実施形態において被災者側の通信端末装置1は、被災情報を送信してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別するが、この被災条件としては、ユーザによる所定の操作であってもよく、所定の操作が行われた際に、誤報情報を送信するようにしてもよい。
【0071】
上述した第1実施形態においてメール管理装置3は、被災管理装置2の管理の下、被災メールをその緊急連絡先(被災者関係者)宛に送信するほか、被災管理装置2側で被災条件を満たさないと判別された際に、メール管理装置3側でこの被災メールを破棄(消去)するようにしたが、被災管理装置2とは別個に被災条件を満たすか否かを判別するようにしてもよい。
【0072】
上述した第1実施形態においては、被災者側の通信端末装置1から被災メールを、メール管理装置3を介して他の通信端末装置(被災者関係者側の通信端末装置)6に送信するようにしたが、被災管理装置2側に予めユーザ(被災者)に対応付けてその関係者を登録しておくようにすれば、被災情報を受信してから所定時間内に誤報情報を受信しなかった場合に、被災管理装置2が被災メールを送信するようにしてもよい。
【0073】
(実施形態2)
以下、本発明の第2実施形態について図8を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、被災者側の通信端末装置1と被災管理装置2との関係について適用した場合を示したが、この第2実施形態においては、上述の被災管理装置2を採用せず、被災者側の通信端末装置1と他の通信端末装置(被災者関係者側の通信端末装置)6との関係について適用した場合である。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0074】
被災者側の通信端末装置1は、災害(地震、火災)の発生を検出した際に、予め登録されている緊急連絡先(家族など)である他の通信端末装置(被災者関係者側の通信端末装置)6に対して、無線通信網4を介して被災情報(被災メール)を送信したり、この被災情報を送信してから所定時間内に被災条件を満たすか否かの判別結果に応じて誤報情報を送信したりする。一方、被災者関係者側の通信端末装置6は、災害の発生を検出した場合に被災を知らせる被災情報(被災メール)を通知する被災者側の通信端末装置1から当該被災情報(被災メール)を、メール管理装置3を介して受信してから被災者側の通信端末装置1から誤報通知を受信したか否かを判別し、誤報通知を受信したときには、受信した被災情報(被災メール)を無効とする(破棄する)処理を行うが、誤報通知を受信しなければ、受信した被災情報を表示可能(閲覧可能)な状態とするようにしたものである。
【0075】
図8は、他の通信端末装置(被災者関係者側の通信端末装置)6側における全体動作の概要を示したフローチャートである。なお、被災者側の通信端末装置1の全体動作は、上述した図5及び図6のフローチャートと基本的に同様であるので、その説明は省略するものとする。
先ず、被災者関係者側の通信端末装置6においてその制御部101は、電源オン操作が行われると、所定のメモリをクリアするなどの初期設定を行う(図8のステップC1)そして、着信などの待ち受け状態において(ステップC2)、電話着信を検出したときには(ステップC3でYES)、回線接続させるオフフック操作に応じて(ステップC4でYES)、通話可能状態とする通話処理を開始する(ステップC5)。また、その後のオンフック操作に応じて(ステップC6でYES)、回線切断処理を実行したのち(ステップC7)、上述の待ち受け状態に戻る(ステップC3)。
【0076】
この状態において、被災者側の通信端末装置1からメール管理装置3を介して被災情報(被災メール)を受信すると(ステップC8でYES)、この被災情報を記憶保存する(ステップC9)。そして、この被災情報を受信してから所定時間内(例えば、5分以内)にその被災情報の送信元から誤報情報を受信したかをチェックするためにタイマTM3(図示省略)の計測動作を開始させたのち(ステップC10)、誤報情報の受信有無をチェックし(ステップC11)、誤報情報を受信しなければ(ステップC11でNO)、タイマTM3がタイムアウトになったか、つまり、被災情報を送信してから所定時間(例えば、5分)を経過したかを調べる(ステップC12)。
【0077】
いま、タイムアウトにならなければ(ステップC12でNO)、上述のステップC11に戻るが、タイムアウトになる前に誤報情報を受信したときには(ステップC11でYES)、受信した被災情報を破棄(消去)する(ステップC13)。そして、上述のタイマTM3の計測動作を停止させてその内容をリセットしたのち(ステップC15)、上述のステップC3に戻る。また、タイムアウトになっても誤報情報を受信しなかったときには(ステップC12でYES)、受信した被災情報を表示可能な状態とする処理を行う(ステップC14)。そして、上述のタイマTM3の計測動作を停止させてその内容をリセットしたのち(ステップC15)、上述のステップC3に戻る。なお、何らかの操作が行われたときには(ステップC16でYES)、操作に応じた処理として、例えば、電話発信処理、メール送信処理などを行ったりする(ステップC17)。
【0078】
以上のように、この第2実施形態においては、被災者関係者側の通信端末装置6は、被災情報(被災メール)を通知する被災者側の通信端末装置1から当該被災情報を受信してからその被災者側の通信端末装置1から誤報通知を受信したか否かを判別し、誤報通知を受信したときには、受信した被災情報(被災メール)を無効とする(破棄する)処理を行うようにしたので、被災情報を自動通知する技術を採用したとしても被災の可能性があるか否かに応じてその被災情報を誤報とみなして適切に処理することができ、実用効果を高めることが可能となる。
【0079】
また、被災者関係者側の通信端末装置6は、誤報通知を受信しない場合には、被災情報を表示可能な状態とするようにしたので、被災者関係者にあっては、被災情報を自由に閲覧することができる。
【0080】
被災者関係者側の通信端末装置6は、受信した被災情報が誤報であるとみなした場合の所定の処理として、被災情報を破棄(消去)するようにしたので、誤報の流布を防止することができる。
【0081】
なお、上述した第2実施形態において被災者関係者側の通信端末装置6は、誤報情報を受信した場合の所定の処理として、被災情報を破棄(消去)するようにしたが、被災情報の記憶消去に限らず、被災情報の出力抑制、被災情報の読み出し抑制のいずれかの処理を行うようにしてもよい。
【0082】
上述した各実施形態においては、災害として地震、火災の発生を検出するようにしたが、洪水などの災害であってもよい。また、上述した各実施形態においては、通信端末装置1、6として携帯電話機に適用した場合を示したが、例えば、パーソナルコンピュータ、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、それらの複合機など、通信機能を備える任意の端末装置であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 被災者の通信端末装置
2 被災管理装置
3 メール管理装置
4 無線通信網
5 インターネット
6 被災者関係者の通信端末装置
7 地震計
101、201 制御部
103、203 記憶部
104 操作部
105、205 通信部
106 表示部
108 位置検出部
109、204 時計部
110 温度検出部
111 振動検出部
PM プロフィール情報記憶
UM 通信先情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害の発生を検出した場合に被災を知らせる被災情報を通知する通信端末装置に通信ネットワークを介して接続され、当該通信端末装置からの被災情報に基づいてその被災状況を管理する被災管理装置であって、
前記通信端末装置から被災情報を受信する受信手段と、
この受信手段によって前記被災情報を受信してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別する判別手段と、
この判別手段によって被災条件を満たさないと判別された場合に、前記受信手段によって受信した被災情報を誤報とみなして所定の処理を実行する処理手段と、
を具備したことを特徴とする被災管理装置。
【請求項2】
前記被災情報は、災害に遭遇して被災したことを示すと共に、現在位置、現在時刻、ユーザ関連情報のうち少なくとも現在位置を含む情報であり、
前記処理手段は、前記判別手段によって被災条件を満たすと判別された場合に、前記受信手段によって受信した被災情報を出力可能とする処理を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の被災管理装置。
【請求項3】
前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、
前記判別手段は、前記受信手段によって前記被災情報の送信元の地域内に存在している通信手段との間で正常に通信が可能であれば、被災条件を満たさないと判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の被災管理装置。
【請求項4】
前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、
前記判別手段は、前記受信手段によって前記被災情報の送信元の地域内に存在している地震計で有意なデータが検出されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の被災管理装置。
【請求項5】
前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、
前記判別手段は、前記受信手段によって前記被災情報の送信元の地域内に存在している他の所定台数以上の前記通信端末装置から同様の被災情報が通知されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の被災管理装置。
【請求項6】
前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、
前記判別手段は、前記受信手段によって前記被災情報の送信元の地域内に存在している前記通信端末装置に対して公的機関側からの緊急災害情報が通知されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の被災管理装置。
【請求項7】
前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、
前記判別手段は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な衝撃を連続して検出されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の被災管理装置。
【請求項8】
前記被災情報は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な高熱を検出した際に、当該通信端末装置から前記通信ネットワークを介して通知される情報であり、
前記判別手段は、前記通信端末装置側で所定状態を超える特徴的な高熱を連続して検出されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の被災管理装置。
【請求項9】
前記判別手段は、前記受信手段によって前記被災情報の送信元である前記通信端末装置から当該被災情報が誤報である旨が通知されなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の被災管理装置。
【請求項10】
前記処理手段は、前記受信手段によって受信した被災情報が誤報であるとみなした場合の所定の処理として、被災情報の記憶消去、被災情報の出力抑制、被災情報の読み出し抑制のいずれかの処理を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の被災管理装置。
【請求項11】
前記処理手段は、前記受信手段によって受信した被災情報が誤報であるとみなした場合の所定の処理として、前記被災情報の送信元である通信端末装置から当該被災情報を受信する他の通信端末装置に対して、当該被災情報が誤報である旨を通知する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の被災管理装置。
【請求項12】
災害が発生した場合にその被災状況を管理する被災管理装置に通信ネットワークを介して接続される通信端末装置であって、
災害が発生した場合に被災を知らせる被災情報を前記被災管理装置に通知する第1通知手段と、
この通知手段によって被災情報を通知してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別する判別手段と、
この判別手段によって被災条件を満たさないと判別された場合に、前記第1の通知手段によって通知した被災情報を誤報とみなして前記被災管理装置に対して誤報通知を行う第2通知手段と、
を具備したことを特徴とする通信端末装置。
【請求項13】
前記判別手段は、前記第1通知手段によって前記被災情報を通知してから所定時間内に公的機関側から緊急災害情報を受信しなかった場合に被災条件を満たさないと判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項12記載の通信端末装置。
【請求項14】
災害が発生した場合にその被災状況を管理する被災管理装置に通信ネットワークを介して接続されている通信端末装置であって、
災害の発生を検出した場合に被災を知らせる被災情報を通知する被災者側の通信端末装置から当該被災情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって被災情報を受信してから前記被災者側の通信端末装置から誤報通知を受信したか否かを判別する判別手段と、
この判別手段によって誤報通知を受信したと判別された場合に、前記受信手段によって受信した被災情報を無効とする処理手段と、
を具備したことを特徴とする通信端末装置。
【請求項15】
前記被災情報は、災害発生で被災したことを示すと共に、現在位置、現在時刻、ユーザ関連情報のうち少なくとも現在位置を含む情報であり、
前記処理手段は、前記判別手段によって誤報通知を受信しないと判別された場合に、前記受信手段によって受信した被災情報を出力可能とする処理を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項14記載の通信端末装置。
【請求項16】
前記処理手段は、前記受信手段によって受信した被災情報を無効とする場合に、被災情報の記憶消去、被災情報の出力抑制、被災情報の読み出し抑制のいずれかの処理を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項14記載の通信端末装置。
【請求項17】
コンピュータに対して、
災害の発生を検出した場合に被災を知らせる被災情報を通知する通信端末装置から通信ネットワークを介して被災情報を受信する機能と、
前記被災情報を受信してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別する機能と、
前記被災条件を満たさないと判別された場合は、前記受信した被災情報を誤報とみなして所定の処理を実行する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項18】
コンピュータに対して、
災害が発生した場合にその被災状況を管理する被災管理装置に通信ネットワークを介して被災を知らせる被災情報を通知する機能と、
前記被災情報を通知してから所定時間内に被災条件を満たすか否かを判別する機能と、
前記被災条件を満たさないと判別された場合は、前記受信した被災情報を誤報とみなして前記被災管理装置に対して誤報通知を行う機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項19】
コンピュータに対して、
災害が発生した場合にその被災状況を管理する被災管理装置に通信ネットワークを介して接続されている被災者側の通信端末装置から被災を知らせる被災情報を受信する機能と、
前記被災情報を受信してから所定時間内に前記被災者側の通信端末装置から誤報通知を受信したか否かを判別する機能と、
前記被災条件を満たさないと判別された場合に、前記受信した被災情報を無効とする機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−252149(P2010−252149A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100801(P2009−100801)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】