複合サービス施設における道案内情報の提供システム及び提供方法
【課題】初めて訪れた複合サービス施設や配置換えの多い複合サービス施設内の移動において、個人の興味のあるサービス施設への最も効率的な移動順序を提供する。
【解決手段】施設内の道案内情報を提供するシステムにおいて、個人を管理するデータベースと、その施設内でのその個人を特定する情報を発信する無線機と、その情報を受信する受信機と、その受信位置を個人毎に時系列に管理するデータベースと、その施設内のサービスをカテゴリに分類して配置情報を管理するデータベースと、配置情報と位置を突き合わせて施設内のサービス施設の付近に滞在した時刻から、個人の興味あるサービス施設を推測する手段と、その推測から個人の興味あるサービス施設への効率的なサービス施設間の移動順序を算出する手段と、その情報を配置情報と共に個人に提供する手段を有し、初めて行った施設において個人が利用したいであろうサービス施設間の移動順序を提供する。
【解決手段】施設内の道案内情報を提供するシステムにおいて、個人を管理するデータベースと、その施設内でのその個人を特定する情報を発信する無線機と、その情報を受信する受信機と、その受信位置を個人毎に時系列に管理するデータベースと、その施設内のサービスをカテゴリに分類して配置情報を管理するデータベースと、配置情報と位置を突き合わせて施設内のサービス施設の付近に滞在した時刻から、個人の興味あるサービス施設を推測する手段と、その推測から個人の興味あるサービス施設への効率的なサービス施設間の移動順序を算出する手段と、その情報を配置情報と共に個人に提供する手段を有し、初めて行った施設において個人が利用したいであろうサービス施設間の移動順序を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デパート、商店街、ショッピングモール(ショッピング用歩行者空間)などの施設内に多くのサービス施設を含む複合サービス施設を訪れた個人に対して、この複合サービス施設内においてその人にとって興味のあるサービス施設の道案内情報を提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
個人が、ある複合サービス施設内においてどのサービス施設へ行けばどのようなサービスを受けられるのかについて知る方法としては複合サービス施設の地図を参照する方法がある。しかしながら、初めて訪れた複合サービス施設、サービス施設の配置換えを良く行う複合サービス施設、特に広大なスペースのある複合サービス施設などにおいては、個人の興味のあるサービス施設を探すのに手間取ったり、移動効率が悪くなってしまうことが良くある。また、サービス施設間の移動順序をうまく計画することは非常に面倒である。
【0003】
従来、個人の興味あるサービス施設を推定してサービス施設の各種情報を収集する方法として、例えば、下記に示した特許文献1に記載の方法が知られている。特許文献1では、1つの複合サービス施設における各サービス施設に滞在した時間を記録することにより、個人の行動パターンを取得し、その個人の興味があるサービス施設がどのようなものかを推定している。尚、目的の場所を入力し、そこまでの道のりを検索する手段として、電車の乗り継ぎ検索や自動車のナビゲーションシステムのような最短経路を検索する方法が知られている。
【0004】
【特許文献1】特許公開2006−185293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、サービス施設における個人に関する情報収集が主目的であり、個人へのフィードバックに関しては、サービスや商品の情報提供を行うのみである。
【0006】
また、目的の場所までの道のりを検索する手段としての電車の乗り継ぎ検索や自動車のナビゲーションシステムのような最短経路を検索する方法では、目的地の入力が必要となり、施設を訪れた個人が目的地や利用目的を明確に認識していれば良いが、例えば、初めて訪れた複合サービス施設や配置換えの多い複合サービス施設内での移動、ウィンドウショッピングのような目的を明確にしていない移動などでは、どの場所でどのようなサービスをうけることができるかに関する情報収集を行っていないため、まず個人の頭の中で、目的を明確化し、複合サービス施設内における各サービス内容の確認を行い、それに基づいて検索のための入力を行う作業等が必要となり手間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、個人が特に意識することなく、複合サービス施設内における各サービス施設間の移動順序を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
施設内の道案内の情報を提供するシステムにおいて、個人を管理するデータベースと、その施設内でのその個人を特定する情報を発信する無線機と、その情報を受信する受信機と、その受信位置を個人毎に時系列に管理するデータベースと、その施設内のサービスをカテゴリに分類して配置情報を管理するデータベースと、配置情報と位置を突き合わせて施設内のサービス施設の付近に滞在した時刻から、個人の興味のあるサービス施設を推測する手段と、その推測からその個人が行ったことがない施設においても個人の興味あるサービス施設への効率的なサービス施設間の移動順序を算出する手段と、その情報を配置情報と共に個人に提供する手段を有し、初めて行った施設において個人が利用したいであろうサービス施設間の移動順序を提供することを特徴とする。
【0009】
すなわち、本発明の一観点によれば、それぞれサービス施設IDにより特定される複数のサービス施設が集合している複合サービス施設内の道案内情報を提供するシステムであって、個人を特定する個人IDを発信する無線機と、前記サービス施設に設置され前記個人IDを受信する受信機と、前記個人IDに対して、前記サービス施設ID毎の前記受信機による受信により得られる前記サービス施設ID毎の滞在回数又は滞在期間の少なくともいずれか一方に基づいて、前記個人ID毎の前記サービス施設の重要度を推測する手段と、該個人ID毎の前記サービス施設の重要度を管理する第1のデータベースと、前記複合サービス施設内のサービス施設をサービスのカテゴリにより分類しサービス施設間の距離を含む配置情報を管理する第2のデータベースと、前記第1のデータベースに基づいて、
他の複合サービス施設又は配置換えを行った複合サービス施設における前記重要度の高さに基づく複数のサービス施設を求め、求められた複数のサービス施設に関して前記第2のデータベースを参照し前記サービス施設の配置と移動距離の総和か少ないサービス施設間の移動順序を算出する手段と、該移動順序を配置情報とともに前記個人IDで関連付けされた道案内情報受信端末に対して提供する手段と、を有することを特徴とする情報提供システムが提供される。
【0010】
これにより、初めて行った施設において個人が利用したいであろうサービス施設間の移動順序を提供することができる。ユーザにとってのサービス施設の重要度を管理する第1のデータベースとサービス施設間の距離を含む配置情報を管理する第2のデータベースとを独立して管理することで、ユーザの情報と、サービス施設の配置に関する情報と、を別々に更新等することができ、一方の更新等の影響を他方に及ぼすことなく、移動順序を提供する仕組みを構築することができる。
【0011】
本発明の他の観点によれば、通信装置と情報処理装置とを用い、それぞれサービス施設IDにより特定される複数のサービス施設が集合している複合サービス施設内の道案内情報を提供する方法であって、個人を特定する個人IDを前記サービス施設において受信するステップと、前記個人IDに対して、前記サービス施設のID毎の滞在回数又は滞在期間の少なくともいずれか一方に基づいて、前記個人ID毎の前記サービス施設の重要度を推測するステップと、他の複合サービス施設又は配置換えを行った複合サービス施設における前記重要度の高さに基づく複数のサービス施設を求め、求められた複数のサービス施設に関して前記サービス施設の配置と移動距離の総和か少ないサービス施設間の移動順序を算出するステップと、該移動順序を配置情報とともに前記個人IDで関連付けされた道案内情報を提供するステップと、を有することを特徴とする情報提供方法が提供される。尚、明細書に方法、処理のステップを実行させるプログラムも本発明の範疇に入るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、初めて行った施設や配置換えの多い施設内の移動、ウィンドウショッピングのような目的を明確にしていない移動などにおいても、個人の興味のあるサービス施設への最も効率的な移動順序の情報を提供することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書において、異なるサービス施設が同じ場所に複数集合した施設を、複合サービス施設と称する。
【0014】
以下、本発明の一実施の形態による複合サービス施設における道案内情報の提供システム(以下、「施設内道案内情報の提供システム」と称する。)について図面を参照しながら説明を行う。
【0015】
図1は、本実施の形態による道案内情報の提供システムの一構成例を示す図である。本実施の形態による施設内道案内情報の提供システムは、複数のサービス施設120、121…から構成される複合サービス施設103と、この複合サービス施設103とは所在地が異なる複数の複合サービス施設118と、各複合サービス施設103、118間で情報を交換するための広域ネットワーク106と、合サービス施設ごとの情報を管理する施設サーバ108、113と、施設内を移動する各個人に所持してもらう例えば貸し出し方式の無線機101、102、これらの無線機101、102の送信情報を受信するためにサービス施設120、121毎に設置された受信機104、105と、各受信機104、105の情報を施設サーバ108、113に送信するための施設内ネットワーク119と、広域ネットワーク106を通じて施設間で情報を共有するための施設間共有サーバ114と、この広域ネットワーク106を通じて、適切な道案内情報をユーザに提供するための道案内情報提供端末107、…、とを有して構成されている。尚、広域ネットワーク106は、インターネットや電話回線網などを含み、道案内情報提供端末107としては、個人が所有しやすい携帯電話機などの携帯端末(パーソナルコンピュータ、PDAなどを含む)などを適用することができる。無線機101、102は、予め個人情報、例えば名前と電話番号又は住所などを登録しておき、これらにより特定される個人に対して個人IDを割り振り、その各個人に対して例えば貸与するものである。無線機101、102は、買い物かごに設けられていても良いし、チェーン店のポイントカードなどにICタグなどの形態で貼付されていても良い。すなわち、配布の形態、装置としての形態は限定されない。この無線機は、下記の各受信機104、105に近づくと、すなわち、通信圏内に入ると、受信機104、105からの個人IDの問合せを受け取ることができようになる。この問い合わせに対して、無線機101、102は、それぞれの個人IDを受信機104、105に送信する。これらの無線機101、102は各複合サービス施設間で共通に使用できるのが好ましい。
【0016】
受信機104、105は、サービス施設毎に設置されているのが好ましい。この受信機104、105には、設定されているサービス施設のカテゴリを例えば代表的に示すサービスIDが割り振られている。このサービスIDは、複合サービス施設内での固有のIDではなく、例えば複合サービス施設がチェーン店等であれば、全ての複合サービス施設間で共通に取り決められているIDであることが望ましい。各複合サービス施設103、118ごとにそれぞれ設けられている施設サーバ108、113は、施設内における個人毎の行動のログを管理する個人毎行動ログ管理部109と、各サービス施設の付近に滞在した回数又は期間の算出を行うサービス施設付近滞在回数(期間)算出部110と、各サービス施設の情報を管理するサービス施設情報管理部111と、サービス施設間を移動する際の最短経路の検索を行うサービス施設間移動最短経路検索部112と、を有して構成される。
【0017】
複合サービス施設間共有サーバ114は、顧客の個人情報を登録して管理する個人情報管理部115と、サービス施設の例えばサービスのカテゴリを管理するサービス施設カテゴリ管理部116と、各サービス施設の付近に滞在した回数(又は期間)情報の集計および管理を行うサービス施設付近滞在回数管理部117と、を含んで構成される。
【0018】
施設間共有サーバは、上述のように、チェーン店である場合の上部組織である管理部門が運営するような形態でも良いし、或いは、複数の別会社が加盟し、料金を取って運営するような形態でも良い。
【0019】
図2は、施設間共有サーバ114の個人情報管理部115で管理されている個人情報のデータベース201の一構成例を示す図である。この中で必須の個人ID202とともに、任意に、個人名203、性別204、住所205、メールアドレス206などを含んでいても良い。
【0020】
図3は、施設サーバ108の個人毎行動ログ管理部109において管理される個人毎の行動ログのデータベース301の一構成例を示す図である。受信機の付近を通過した時刻302と、個人ID303と、サービスID304と、を含んで構成されている。
【0021】
図4は、施設サーバ108のサービス施設情報管理部111において管理されるサービス施設の位置情報のデータベース401の一構成例を示す図である。サービスID402と、サービス施設名称403と、サービス施設の位置情報404と、を含んで構成されている。
【0022】
図5は、施設サーバ108のサービス施設情報管理部111において管理されるサービス施設間の距離データベース501の一構成例を示す図である。各複合サービス施設内におくるサービス施設間の距離がデータベース化されている。この距離は、施設が高層である場合には、各階毎に管理されるのが好ましい。或いは、エレベータやエスカレータの利用時間を距離に換算しても良い。
【0023】
図6は、施設間共有サーバ114のサービス施設付近滞在回数管理部117で管理するサービス施設の付近に滞在した回数に関するデータベース601である。回数の代わりに、または、回数とともに、滞在期間を用いても良い。このデータベース601には、個人ID602と、あるサービスIDに滞在した回数(サービスID数分だけ項目が存在する)と、を含んで構成されている。
【0024】
図7は、施設間共有サーバ114のサービス施設カテゴリ管理部116で管理するサービス施設のカテゴリのデータベース701の一構成例を示す図である。このデータベース701は、サービスID702と、サービス施設名称703と、を含んで構成されている。
【0025】
以下に、上記複合サービス施設における道案内情報の提供システムにおける処理について説明を行う。
【0026】
図8は、個人IDにより特定される個人毎の複合サービス施設内における行動ログを取得する再の処理の流れを示すフローチャート図である。
【0027】
まず、施設利用者が道案内サービスを受けるためには、予め、利用者が個人情報等を登録する必要がある。登録された情報は、個人ID202の他に、個人名203、性別204、住所205、メールアドレス206として、施設間共有サーバ114の個人情報管理部115で管理される個人情報のデータベース201に登録される。登録が完了した後に、無線機101、102がそれぞれに配布される。この無線機は、各受信機104、105の付近において受信機からの問合せに対してそれぞれ個人IDを受信機に送信するようになっている(ステップ801)。
【0028】
サービス施設1(120)で使用する場合を例にして説明すると、利用者が配布された無線機101を所持した状態で、サービス施設1(120)に設置されている受信機1(104)の近くを通過すると、無線機101から受信機1(104)に個人IDが送信され、受信機1(104)は受信した個人IDと受信機が設置されているサービス施設1(120)のサービス内容を示すサービIDと個人IDを受信した時刻の情報を施設サーバ108に送信する。滞在時間は、ある期間毎に送受信を繰り返して終了時刻から開始時刻を減算することで求めることができる。そこで個人毎行動ログ管理部109により、個人毎の行動ログを管理するデータベース301に各情報が保存される(ステップ802)。
【0029】
施設の利用時間外などのタイミングで、ステップ802で保存された個人毎に行動ログを管理するデータベース301から、個人別に各サービス施設の滞在回数(又は滞在期間、或いは、その累計)を算出する。この算出方法は、個人ID303毎にこのデータベース301に記録されている回数をカウントしていき、各サービスID304に対するログの出現回数を算出することにより個人の各サービス施設の滞在回数を算出し、その結果を施設間共有サーバ114へ送信する方法で実現可能である(ステップ803)。
【0030】
施設間共有サーバ114では、受信した情報をサービス施設の付近に滞在した回数のデータベース601の個人ID602毎にサービスID603、604の滞在回数に加算していく(ステップ804)。この滞在回数(又は滞在期間)の多いサービス施設が、その個人にとって興味があるサービス施設であると推定される。
【0031】
図9は、上記のようにして集計した情報に基づいて、サービス施設の道案内情報を利用者に提供する際の処理の流れを示すフローチャート図である。
【0032】
利用者がサービス施設の道案内情報の提供を受ける場合には、上記のように配布された無線機を所持して、いずれかの複合サービス施設を少なくとも1回は移動して行動ログの取得がなされている必要がある。但し、たとえば複合サービス施設1において、ある人の行動ログが取得されていれば、施設間共有サーバに接続されている他の複合サービス施設2では、複合サービス施設1で取得されたログに基づいて、その人が初めて複合サービス施設2へ行った場合でも、適切な道案内情報の提供を受けることができる。
【0033】
まず、道案内情報の提供を受ける場合に、利用者が道案内情報提供端末107から、個人IDを入力する(ステップ901)。
【0034】
道案内情報提供端末107が施設間共有サーバ114にアクセスすると、施設間共有サーバ114は、サービス施設の付近に滞在した回数又は期間のデータベース601から入力された個人ID602に対応した情報を取得する(ステップ902)。ステップ902で取得した個人ID602から、滞在回数の多い又は滞在期間の長い例えば上位n個(nは2以上の整数)のサービスIDを図6に示すデータベース601を参照して抽出する(ステップ903)。なお、上位n個というような抽出方法以外に、所定の滞在回数又は滞在期間以上のサービスIDを全て抽出するような抽出方法としても良い。
【0035】
施設サーバのサービス施設間の距離データベース501を参照して、ステップ903で取得した各サービスIDと同じサービスIDを有するサービス施設を通った場合の全てのルートについて、総移動距離(移動距離の合計)を計算する。この計算結果から、最も総移動距離が短いルートのサービス施設の移動順番(移動ルート)を取得する(ステップ904)。この際、「巡回セールスマン問題(TSP)」などの手法を用いて最短ルートを求めることができる。最短から順番に複数の候補ルートを表示してユーザに選択させるようにしても良い。
【0036】
ステップ904において取得したサービス施設の移動順序を、道案内情報提供端末107に表示させる。表示させる内容としては、サービス施設の位置情報を管理するデータベース401から取得したサービス施設の名称403と、サービス施設の位置情報404と、を利用して、移動する順番にサービス施設の名称を表示すると共に、複合サービス施設の全体マップ(又はフロア毎の全体マップ)を表示させ、移動目的となるサービス施設の場所を点滅させるなどして、視覚的に移動先が認識しやすいようにすることもできる(ステップ905)。
【0037】
図10は、上記処理の一例を、複合サービス施設の1フロアを例にして示す図である。図10(A)は、ある個人IDを持つ顧客が、5つのサービスIDを有する施設毎に何回訪れたかを示す図である。例えば、施設1001の1フロアにおいて、サービスID=1のサービス施設を7回訪れたことを示している。
【0038】
図10(B)は、施設1001とは異なる施設1003におけるサービス施設の配置と、システムから提示される適切な順路を示す図である。符号1005の位置にいるユーザは、図10(A)に示すデータに基づいてそのフロアにある4つのサービス施設を矢印1)〜3)の順番で訪れるのが最短距離であり適していることが示される。図10(B)は、そのフロアにある今までに訪れたことがあるサービスIDの施設の配置とその順路を示すものである。ここで、図10(A)の回数は図10(B)の演算対象として抽出するか否か(図9のステップ903参照)に関してのみ考慮され、一旦演算対象として抽出された施設間において順路を決める際には、図10(B)における各施設の配置及びユーザの初期位置のみが考慮され、滞在回数は考慮されない。
【0039】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、初めて行った施設や配置換えの多い施設などの複合サービス施設内の移動、ウィンドウショッピングのような目的を明確にしていない場合などにおいても、目的を明確にしたり地図からサービス内容を調べたり行き先を入力したりしなくても、複合サービス施設内における興味のあるサービス施設への最も効率的な移動順序に関する情報を提供することができる。
【0040】
例えば、デパートなどの施設で採用した場合、店舗などのサービス施設間の移動順序の情報を提供することができ、ある地域に住んでいる利用者が近くのデパートで収集された情報により、旅行先のデパートなどの遠方のデパートなどにおいて、どのように効率的に移動すれば良いかを知ることができる。一方、施設側にとっては、ユーザに効率的に移動してもらうことで、時間当たりの売り上げ額等を大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、複合サービス施設内における効率的な案内システムとして利用可能である。その他、テーマパークなどの順路提示にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施の形態による複合サービス施設内における案内システムの一構成例を示す図である。
【図2】個人を管理するデータベースの一構成例を示す図である。
【図3】個人毎に行動ログを管理するデータベースの一構成例を示す図である。
【図4】サービス施設の位置情報を管理するデータベースの一構成例を示す図である。
【図5】サービス施設間の距離データベースの一構成例を示す図である。
【図6】サービス施設の付近に滞在した回数のデータベースの一構成例を示す図である。
【図7】サービス施設のカテゴリのデータベースの一構成例を示す図である。
【図8】個人ごとの施設内の行動ログを取得する処理の流れを示すフローチャート図である。
【図9】道案内情報を利用者に提供する処理フローチャート図である。
【図10】本実施の形態によるシステムを用いた場合のデータ収集の様子を示す図(A)と、順路を示す図(B)である。
【符号の説明】
【0043】
101…無線機A、102…無線機B、103…複合サービス施設1、104…受信機1、105…受信機2、106…広域ネットワーク、107…道案内情報提供端末、108…施設サーバ1、109…個人毎行動ログ管理部、110…サービス施設付近滞在回数算出部、111…サービス施設情報管理部、112…サービス施設間移動最短経路検索部、113…施設サーバ2、114…施設間共有サーバ、115…個人情報管理部、116…サービス施設カテゴリ管理部、117…サービス施設付近滞在回数管理部、118…施設2、119…施設内ネットワーク、201…個人を管理するデータベース、202…個人ID、203…個人名、204…性別、205…住所、206…メールアドレス、301…個人毎に行動ログを管理するデータベース、302…時刻、303…個人ID、304…サービスID、401…サービス施設の位置情報を管理するデータベース、402…サービスID、403…サービス施設名称、404…サービス施設の位置情報、501…サービス施設間の距離データベース、502…サービス施設1からサービス施設2までの距離、503…サービス施設1からサービス施設3までの距離、504…サービス施設2からサービス施設3までの距離、601…サービス施設の付近に滞在した回数のデータベース、602…個人ID、603…サービスID1に滞在した回数、604…サービスID2に滞在した回数、701…サービス施設のカテゴリのデータベース、702…サービスID、703…サービス施設名称。
【技術分野】
【0001】
本発明は、デパート、商店街、ショッピングモール(ショッピング用歩行者空間)などの施設内に多くのサービス施設を含む複合サービス施設を訪れた個人に対して、この複合サービス施設内においてその人にとって興味のあるサービス施設の道案内情報を提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
個人が、ある複合サービス施設内においてどのサービス施設へ行けばどのようなサービスを受けられるのかについて知る方法としては複合サービス施設の地図を参照する方法がある。しかしながら、初めて訪れた複合サービス施設、サービス施設の配置換えを良く行う複合サービス施設、特に広大なスペースのある複合サービス施設などにおいては、個人の興味のあるサービス施設を探すのに手間取ったり、移動効率が悪くなってしまうことが良くある。また、サービス施設間の移動順序をうまく計画することは非常に面倒である。
【0003】
従来、個人の興味あるサービス施設を推定してサービス施設の各種情報を収集する方法として、例えば、下記に示した特許文献1に記載の方法が知られている。特許文献1では、1つの複合サービス施設における各サービス施設に滞在した時間を記録することにより、個人の行動パターンを取得し、その個人の興味があるサービス施設がどのようなものかを推定している。尚、目的の場所を入力し、そこまでの道のりを検索する手段として、電車の乗り継ぎ検索や自動車のナビゲーションシステムのような最短経路を検索する方法が知られている。
【0004】
【特許文献1】特許公開2006−185293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、サービス施設における個人に関する情報収集が主目的であり、個人へのフィードバックに関しては、サービスや商品の情報提供を行うのみである。
【0006】
また、目的の場所までの道のりを検索する手段としての電車の乗り継ぎ検索や自動車のナビゲーションシステムのような最短経路を検索する方法では、目的地の入力が必要となり、施設を訪れた個人が目的地や利用目的を明確に認識していれば良いが、例えば、初めて訪れた複合サービス施設や配置換えの多い複合サービス施設内での移動、ウィンドウショッピングのような目的を明確にしていない移動などでは、どの場所でどのようなサービスをうけることができるかに関する情報収集を行っていないため、まず個人の頭の中で、目的を明確化し、複合サービス施設内における各サービス内容の確認を行い、それに基づいて検索のための入力を行う作業等が必要となり手間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、個人が特に意識することなく、複合サービス施設内における各サービス施設間の移動順序を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
施設内の道案内の情報を提供するシステムにおいて、個人を管理するデータベースと、その施設内でのその個人を特定する情報を発信する無線機と、その情報を受信する受信機と、その受信位置を個人毎に時系列に管理するデータベースと、その施設内のサービスをカテゴリに分類して配置情報を管理するデータベースと、配置情報と位置を突き合わせて施設内のサービス施設の付近に滞在した時刻から、個人の興味のあるサービス施設を推測する手段と、その推測からその個人が行ったことがない施設においても個人の興味あるサービス施設への効率的なサービス施設間の移動順序を算出する手段と、その情報を配置情報と共に個人に提供する手段を有し、初めて行った施設において個人が利用したいであろうサービス施設間の移動順序を提供することを特徴とする。
【0009】
すなわち、本発明の一観点によれば、それぞれサービス施設IDにより特定される複数のサービス施設が集合している複合サービス施設内の道案内情報を提供するシステムであって、個人を特定する個人IDを発信する無線機と、前記サービス施設に設置され前記個人IDを受信する受信機と、前記個人IDに対して、前記サービス施設ID毎の前記受信機による受信により得られる前記サービス施設ID毎の滞在回数又は滞在期間の少なくともいずれか一方に基づいて、前記個人ID毎の前記サービス施設の重要度を推測する手段と、該個人ID毎の前記サービス施設の重要度を管理する第1のデータベースと、前記複合サービス施設内のサービス施設をサービスのカテゴリにより分類しサービス施設間の距離を含む配置情報を管理する第2のデータベースと、前記第1のデータベースに基づいて、
他の複合サービス施設又は配置換えを行った複合サービス施設における前記重要度の高さに基づく複数のサービス施設を求め、求められた複数のサービス施設に関して前記第2のデータベースを参照し前記サービス施設の配置と移動距離の総和か少ないサービス施設間の移動順序を算出する手段と、該移動順序を配置情報とともに前記個人IDで関連付けされた道案内情報受信端末に対して提供する手段と、を有することを特徴とする情報提供システムが提供される。
【0010】
これにより、初めて行った施設において個人が利用したいであろうサービス施設間の移動順序を提供することができる。ユーザにとってのサービス施設の重要度を管理する第1のデータベースとサービス施設間の距離を含む配置情報を管理する第2のデータベースとを独立して管理することで、ユーザの情報と、サービス施設の配置に関する情報と、を別々に更新等することができ、一方の更新等の影響を他方に及ぼすことなく、移動順序を提供する仕組みを構築することができる。
【0011】
本発明の他の観点によれば、通信装置と情報処理装置とを用い、それぞれサービス施設IDにより特定される複数のサービス施設が集合している複合サービス施設内の道案内情報を提供する方法であって、個人を特定する個人IDを前記サービス施設において受信するステップと、前記個人IDに対して、前記サービス施設のID毎の滞在回数又は滞在期間の少なくともいずれか一方に基づいて、前記個人ID毎の前記サービス施設の重要度を推測するステップと、他の複合サービス施設又は配置換えを行った複合サービス施設における前記重要度の高さに基づく複数のサービス施設を求め、求められた複数のサービス施設に関して前記サービス施設の配置と移動距離の総和か少ないサービス施設間の移動順序を算出するステップと、該移動順序を配置情報とともに前記個人IDで関連付けされた道案内情報を提供するステップと、を有することを特徴とする情報提供方法が提供される。尚、明細書に方法、処理のステップを実行させるプログラムも本発明の範疇に入るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、初めて行った施設や配置換えの多い施設内の移動、ウィンドウショッピングのような目的を明確にしていない移動などにおいても、個人の興味のあるサービス施設への最も効率的な移動順序の情報を提供することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書において、異なるサービス施設が同じ場所に複数集合した施設を、複合サービス施設と称する。
【0014】
以下、本発明の一実施の形態による複合サービス施設における道案内情報の提供システム(以下、「施設内道案内情報の提供システム」と称する。)について図面を参照しながら説明を行う。
【0015】
図1は、本実施の形態による道案内情報の提供システムの一構成例を示す図である。本実施の形態による施設内道案内情報の提供システムは、複数のサービス施設120、121…から構成される複合サービス施設103と、この複合サービス施設103とは所在地が異なる複数の複合サービス施設118と、各複合サービス施設103、118間で情報を交換するための広域ネットワーク106と、合サービス施設ごとの情報を管理する施設サーバ108、113と、施設内を移動する各個人に所持してもらう例えば貸し出し方式の無線機101、102、これらの無線機101、102の送信情報を受信するためにサービス施設120、121毎に設置された受信機104、105と、各受信機104、105の情報を施設サーバ108、113に送信するための施設内ネットワーク119と、広域ネットワーク106を通じて施設間で情報を共有するための施設間共有サーバ114と、この広域ネットワーク106を通じて、適切な道案内情報をユーザに提供するための道案内情報提供端末107、…、とを有して構成されている。尚、広域ネットワーク106は、インターネットや電話回線網などを含み、道案内情報提供端末107としては、個人が所有しやすい携帯電話機などの携帯端末(パーソナルコンピュータ、PDAなどを含む)などを適用することができる。無線機101、102は、予め個人情報、例えば名前と電話番号又は住所などを登録しておき、これらにより特定される個人に対して個人IDを割り振り、その各個人に対して例えば貸与するものである。無線機101、102は、買い物かごに設けられていても良いし、チェーン店のポイントカードなどにICタグなどの形態で貼付されていても良い。すなわち、配布の形態、装置としての形態は限定されない。この無線機は、下記の各受信機104、105に近づくと、すなわち、通信圏内に入ると、受信機104、105からの個人IDの問合せを受け取ることができようになる。この問い合わせに対して、無線機101、102は、それぞれの個人IDを受信機104、105に送信する。これらの無線機101、102は各複合サービス施設間で共通に使用できるのが好ましい。
【0016】
受信機104、105は、サービス施設毎に設置されているのが好ましい。この受信機104、105には、設定されているサービス施設のカテゴリを例えば代表的に示すサービスIDが割り振られている。このサービスIDは、複合サービス施設内での固有のIDではなく、例えば複合サービス施設がチェーン店等であれば、全ての複合サービス施設間で共通に取り決められているIDであることが望ましい。各複合サービス施設103、118ごとにそれぞれ設けられている施設サーバ108、113は、施設内における個人毎の行動のログを管理する個人毎行動ログ管理部109と、各サービス施設の付近に滞在した回数又は期間の算出を行うサービス施設付近滞在回数(期間)算出部110と、各サービス施設の情報を管理するサービス施設情報管理部111と、サービス施設間を移動する際の最短経路の検索を行うサービス施設間移動最短経路検索部112と、を有して構成される。
【0017】
複合サービス施設間共有サーバ114は、顧客の個人情報を登録して管理する個人情報管理部115と、サービス施設の例えばサービスのカテゴリを管理するサービス施設カテゴリ管理部116と、各サービス施設の付近に滞在した回数(又は期間)情報の集計および管理を行うサービス施設付近滞在回数管理部117と、を含んで構成される。
【0018】
施設間共有サーバは、上述のように、チェーン店である場合の上部組織である管理部門が運営するような形態でも良いし、或いは、複数の別会社が加盟し、料金を取って運営するような形態でも良い。
【0019】
図2は、施設間共有サーバ114の個人情報管理部115で管理されている個人情報のデータベース201の一構成例を示す図である。この中で必須の個人ID202とともに、任意に、個人名203、性別204、住所205、メールアドレス206などを含んでいても良い。
【0020】
図3は、施設サーバ108の個人毎行動ログ管理部109において管理される個人毎の行動ログのデータベース301の一構成例を示す図である。受信機の付近を通過した時刻302と、個人ID303と、サービスID304と、を含んで構成されている。
【0021】
図4は、施設サーバ108のサービス施設情報管理部111において管理されるサービス施設の位置情報のデータベース401の一構成例を示す図である。サービスID402と、サービス施設名称403と、サービス施設の位置情報404と、を含んで構成されている。
【0022】
図5は、施設サーバ108のサービス施設情報管理部111において管理されるサービス施設間の距離データベース501の一構成例を示す図である。各複合サービス施設内におくるサービス施設間の距離がデータベース化されている。この距離は、施設が高層である場合には、各階毎に管理されるのが好ましい。或いは、エレベータやエスカレータの利用時間を距離に換算しても良い。
【0023】
図6は、施設間共有サーバ114のサービス施設付近滞在回数管理部117で管理するサービス施設の付近に滞在した回数に関するデータベース601である。回数の代わりに、または、回数とともに、滞在期間を用いても良い。このデータベース601には、個人ID602と、あるサービスIDに滞在した回数(サービスID数分だけ項目が存在する)と、を含んで構成されている。
【0024】
図7は、施設間共有サーバ114のサービス施設カテゴリ管理部116で管理するサービス施設のカテゴリのデータベース701の一構成例を示す図である。このデータベース701は、サービスID702と、サービス施設名称703と、を含んで構成されている。
【0025】
以下に、上記複合サービス施設における道案内情報の提供システムにおける処理について説明を行う。
【0026】
図8は、個人IDにより特定される個人毎の複合サービス施設内における行動ログを取得する再の処理の流れを示すフローチャート図である。
【0027】
まず、施設利用者が道案内サービスを受けるためには、予め、利用者が個人情報等を登録する必要がある。登録された情報は、個人ID202の他に、個人名203、性別204、住所205、メールアドレス206として、施設間共有サーバ114の個人情報管理部115で管理される個人情報のデータベース201に登録される。登録が完了した後に、無線機101、102がそれぞれに配布される。この無線機は、各受信機104、105の付近において受信機からの問合せに対してそれぞれ個人IDを受信機に送信するようになっている(ステップ801)。
【0028】
サービス施設1(120)で使用する場合を例にして説明すると、利用者が配布された無線機101を所持した状態で、サービス施設1(120)に設置されている受信機1(104)の近くを通過すると、無線機101から受信機1(104)に個人IDが送信され、受信機1(104)は受信した個人IDと受信機が設置されているサービス施設1(120)のサービス内容を示すサービIDと個人IDを受信した時刻の情報を施設サーバ108に送信する。滞在時間は、ある期間毎に送受信を繰り返して終了時刻から開始時刻を減算することで求めることができる。そこで個人毎行動ログ管理部109により、個人毎の行動ログを管理するデータベース301に各情報が保存される(ステップ802)。
【0029】
施設の利用時間外などのタイミングで、ステップ802で保存された個人毎に行動ログを管理するデータベース301から、個人別に各サービス施設の滞在回数(又は滞在期間、或いは、その累計)を算出する。この算出方法は、個人ID303毎にこのデータベース301に記録されている回数をカウントしていき、各サービスID304に対するログの出現回数を算出することにより個人の各サービス施設の滞在回数を算出し、その結果を施設間共有サーバ114へ送信する方法で実現可能である(ステップ803)。
【0030】
施設間共有サーバ114では、受信した情報をサービス施設の付近に滞在した回数のデータベース601の個人ID602毎にサービスID603、604の滞在回数に加算していく(ステップ804)。この滞在回数(又は滞在期間)の多いサービス施設が、その個人にとって興味があるサービス施設であると推定される。
【0031】
図9は、上記のようにして集計した情報に基づいて、サービス施設の道案内情報を利用者に提供する際の処理の流れを示すフローチャート図である。
【0032】
利用者がサービス施設の道案内情報の提供を受ける場合には、上記のように配布された無線機を所持して、いずれかの複合サービス施設を少なくとも1回は移動して行動ログの取得がなされている必要がある。但し、たとえば複合サービス施設1において、ある人の行動ログが取得されていれば、施設間共有サーバに接続されている他の複合サービス施設2では、複合サービス施設1で取得されたログに基づいて、その人が初めて複合サービス施設2へ行った場合でも、適切な道案内情報の提供を受けることができる。
【0033】
まず、道案内情報の提供を受ける場合に、利用者が道案内情報提供端末107から、個人IDを入力する(ステップ901)。
【0034】
道案内情報提供端末107が施設間共有サーバ114にアクセスすると、施設間共有サーバ114は、サービス施設の付近に滞在した回数又は期間のデータベース601から入力された個人ID602に対応した情報を取得する(ステップ902)。ステップ902で取得した個人ID602から、滞在回数の多い又は滞在期間の長い例えば上位n個(nは2以上の整数)のサービスIDを図6に示すデータベース601を参照して抽出する(ステップ903)。なお、上位n個というような抽出方法以外に、所定の滞在回数又は滞在期間以上のサービスIDを全て抽出するような抽出方法としても良い。
【0035】
施設サーバのサービス施設間の距離データベース501を参照して、ステップ903で取得した各サービスIDと同じサービスIDを有するサービス施設を通った場合の全てのルートについて、総移動距離(移動距離の合計)を計算する。この計算結果から、最も総移動距離が短いルートのサービス施設の移動順番(移動ルート)を取得する(ステップ904)。この際、「巡回セールスマン問題(TSP)」などの手法を用いて最短ルートを求めることができる。最短から順番に複数の候補ルートを表示してユーザに選択させるようにしても良い。
【0036】
ステップ904において取得したサービス施設の移動順序を、道案内情報提供端末107に表示させる。表示させる内容としては、サービス施設の位置情報を管理するデータベース401から取得したサービス施設の名称403と、サービス施設の位置情報404と、を利用して、移動する順番にサービス施設の名称を表示すると共に、複合サービス施設の全体マップ(又はフロア毎の全体マップ)を表示させ、移動目的となるサービス施設の場所を点滅させるなどして、視覚的に移動先が認識しやすいようにすることもできる(ステップ905)。
【0037】
図10は、上記処理の一例を、複合サービス施設の1フロアを例にして示す図である。図10(A)は、ある個人IDを持つ顧客が、5つのサービスIDを有する施設毎に何回訪れたかを示す図である。例えば、施設1001の1フロアにおいて、サービスID=1のサービス施設を7回訪れたことを示している。
【0038】
図10(B)は、施設1001とは異なる施設1003におけるサービス施設の配置と、システムから提示される適切な順路を示す図である。符号1005の位置にいるユーザは、図10(A)に示すデータに基づいてそのフロアにある4つのサービス施設を矢印1)〜3)の順番で訪れるのが最短距離であり適していることが示される。図10(B)は、そのフロアにある今までに訪れたことがあるサービスIDの施設の配置とその順路を示すものである。ここで、図10(A)の回数は図10(B)の演算対象として抽出するか否か(図9のステップ903参照)に関してのみ考慮され、一旦演算対象として抽出された施設間において順路を決める際には、図10(B)における各施設の配置及びユーザの初期位置のみが考慮され、滞在回数は考慮されない。
【0039】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、初めて行った施設や配置換えの多い施設などの複合サービス施設内の移動、ウィンドウショッピングのような目的を明確にしていない場合などにおいても、目的を明確にしたり地図からサービス内容を調べたり行き先を入力したりしなくても、複合サービス施設内における興味のあるサービス施設への最も効率的な移動順序に関する情報を提供することができる。
【0040】
例えば、デパートなどの施設で採用した場合、店舗などのサービス施設間の移動順序の情報を提供することができ、ある地域に住んでいる利用者が近くのデパートで収集された情報により、旅行先のデパートなどの遠方のデパートなどにおいて、どのように効率的に移動すれば良いかを知ることができる。一方、施設側にとっては、ユーザに効率的に移動してもらうことで、時間当たりの売り上げ額等を大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、複合サービス施設内における効率的な案内システムとして利用可能である。その他、テーマパークなどの順路提示にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施の形態による複合サービス施設内における案内システムの一構成例を示す図である。
【図2】個人を管理するデータベースの一構成例を示す図である。
【図3】個人毎に行動ログを管理するデータベースの一構成例を示す図である。
【図4】サービス施設の位置情報を管理するデータベースの一構成例を示す図である。
【図5】サービス施設間の距離データベースの一構成例を示す図である。
【図6】サービス施設の付近に滞在した回数のデータベースの一構成例を示す図である。
【図7】サービス施設のカテゴリのデータベースの一構成例を示す図である。
【図8】個人ごとの施設内の行動ログを取得する処理の流れを示すフローチャート図である。
【図9】道案内情報を利用者に提供する処理フローチャート図である。
【図10】本実施の形態によるシステムを用いた場合のデータ収集の様子を示す図(A)と、順路を示す図(B)である。
【符号の説明】
【0043】
101…無線機A、102…無線機B、103…複合サービス施設1、104…受信機1、105…受信機2、106…広域ネットワーク、107…道案内情報提供端末、108…施設サーバ1、109…個人毎行動ログ管理部、110…サービス施設付近滞在回数算出部、111…サービス施設情報管理部、112…サービス施設間移動最短経路検索部、113…施設サーバ2、114…施設間共有サーバ、115…個人情報管理部、116…サービス施設カテゴリ管理部、117…サービス施設付近滞在回数管理部、118…施設2、119…施設内ネットワーク、201…個人を管理するデータベース、202…個人ID、203…個人名、204…性別、205…住所、206…メールアドレス、301…個人毎に行動ログを管理するデータベース、302…時刻、303…個人ID、304…サービスID、401…サービス施設の位置情報を管理するデータベース、402…サービスID、403…サービス施設名称、404…サービス施設の位置情報、501…サービス施設間の距離データベース、502…サービス施設1からサービス施設2までの距離、503…サービス施設1からサービス施設3までの距離、504…サービス施設2からサービス施設3までの距離、601…サービス施設の付近に滞在した回数のデータベース、602…個人ID、603…サービスID1に滞在した回数、604…サービスID2に滞在した回数、701…サービス施設のカテゴリのデータベース、702…サービスID、703…サービス施設名称。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれサービス施設IDにより特定される複数のサービス施設が集合している複合サービス施設内の道案内情報を提供するシステムであって、
個人を特定する個人IDを発信する無線機と、
前記サービス施設に設置され前記個人IDを受信する受信機と、
前記個人IDに対して、前記サービス施設ID毎の前記受信機による受信により得られる前記サービス施設ID毎の滞在回数又は滞在期間の少なくともいずれか一方に基づいて、前記個人ID毎の前記サービス施設の重要度を推測する手段と、
該個人ID毎の前記サービス施設の重要度を管理する第1のデータベースと、
前記複合サービス施設内のサービス施設をサービスのカテゴリにより分類しサービス施設間の距離を含む配置情報を管理する第2のデータベースと、
前記第1のデータベースに基づいて、
他の複合サービス施設又は配置換えを行った複合サービス施設における前記重要度の高さに基づく複数のサービス施設を求め、求められた複数のサービス施設に関して前記第2のデータベースを参照し前記サービス施設の配置と移動距離の総和が少ないサービス施設間の移動順序を算出する手段と、
該移動順序を配置情報とともに前記個人IDで関連付けされた道案内情報受信端末に対して提供する手段と
を有することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
通信装置と情報処理装置とを用い、それぞれサービス施設IDにより特定される複数のサービス施設が集合している複合サービス施設内の道案内情報を提供する方法であって、
個人を特定する個人IDを前記サービス施設において受信するステップと、
前記個人IDに対して、前記サービス施設のID毎の滞在回数又は滞在期間の少なくともいずれか一方に基づいて、前記個人ID毎の前記サービス施設の重要度を推測するステップと、
他の複合サービス施設又は配置換えを行った複合サービス施設における前記重要度の高さに基づく複数のサービス施設を求め、求められた複数のサービス施設に関して前記サービス施設の配置と移動距離の総和が少ないサービス施設間の移動順序を算出するステップと、
該移動順序を配置情報とともに前記個人IDで関連付けされた道案内情報を提供するステップと
を有することを特徴とする情報提供方法。
【請求項1】
それぞれサービス施設IDにより特定される複数のサービス施設が集合している複合サービス施設内の道案内情報を提供するシステムであって、
個人を特定する個人IDを発信する無線機と、
前記サービス施設に設置され前記個人IDを受信する受信機と、
前記個人IDに対して、前記サービス施設ID毎の前記受信機による受信により得られる前記サービス施設ID毎の滞在回数又は滞在期間の少なくともいずれか一方に基づいて、前記個人ID毎の前記サービス施設の重要度を推測する手段と、
該個人ID毎の前記サービス施設の重要度を管理する第1のデータベースと、
前記複合サービス施設内のサービス施設をサービスのカテゴリにより分類しサービス施設間の距離を含む配置情報を管理する第2のデータベースと、
前記第1のデータベースに基づいて、
他の複合サービス施設又は配置換えを行った複合サービス施設における前記重要度の高さに基づく複数のサービス施設を求め、求められた複数のサービス施設に関して前記第2のデータベースを参照し前記サービス施設の配置と移動距離の総和が少ないサービス施設間の移動順序を算出する手段と、
該移動順序を配置情報とともに前記個人IDで関連付けされた道案内情報受信端末に対して提供する手段と
を有することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
通信装置と情報処理装置とを用い、それぞれサービス施設IDにより特定される複数のサービス施設が集合している複合サービス施設内の道案内情報を提供する方法であって、
個人を特定する個人IDを前記サービス施設において受信するステップと、
前記個人IDに対して、前記サービス施設のID毎の滞在回数又は滞在期間の少なくともいずれか一方に基づいて、前記個人ID毎の前記サービス施設の重要度を推測するステップと、
他の複合サービス施設又は配置換えを行った複合サービス施設における前記重要度の高さに基づく複数のサービス施設を求め、求められた複数のサービス施設に関して前記サービス施設の配置と移動距離の総和が少ないサービス施設間の移動順序を算出するステップと、
該移動順序を配置情報とともに前記個人IDで関連付けされた道案内情報を提供するステップと
を有することを特徴とする情報提供方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−152620(P2008−152620A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341155(P2006−341155)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】
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