説明

複合構造の物品および複合構造の物品の製造方法

モールドで製造された物品であって、複数のプラスチック層の構造用複合材でできており、内部空間を規定し、この空間中に中身を保持するための壁を具備し、この壁は、プラスチック材料の少なくとも2つの層により形成されており、これら層の第1の層は、熱可塑性プラスチック材料でできており、また、少なくとも第2の層は、熱硬化性樹脂と繊維層とでできている物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合プラスチックからの物品の製造に、特に、複合構造の貯蔵容器に関する。とりわけ、しかし限定的にではないが、本発明は、積層プラスチック複合材から製造される、液体の貯蔵並びに輸送のための貯蔵容器の製造方法に関する。本発明は、さらに、貯蔵容器を含む物品の容器の製造に使用する複合構造体を形成するためのプラスチック材の接合方法に関する。さらに、本発明は、航空機のタンクに限定されないがこれを含む、流体の輸送のためのタンクおよび燃料タンクの複合構造の容器への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
大きな貯蔵容器が、例えば液体の輸送に広く利用されている。道路での輸送の場合、様々な設計のタンクが、自家動力の輸送用乗物の堅いシャシや、原動機や牽引車によって引っ張られるセミトレーラに適するように製造されている。
【0003】
輸送用乗物のための貯蔵容器の知られている設計は、代表的には、輸送用乗物やトレーラのシャシに装着される単一のタンクである。多くのタンクは、一体的な長手方向のサブシャシ(sub−chassis)により形成されており、このようなタンクは、輸送用乗物やトレーラのシャシに取着される。このようなサブシャシは、シャシに、特に長さ方向への屈曲性を与えて、基準レベル(ground level)の変動を合わせることを意図している。このようなタンクが、輸送用乗物の堅いシャシに取着されるとき、通常の手法では、長さ方向に沿った複数の位置で、シャシとタンクのサブシャシとを接続するナットとボルトとを使用して固着される。ゴムまたはフェルトの薄い層が、金属−金属接続による摩擦を防ぐために、夫々のシャシ部材の間に配置され得る。
【0004】
タンクが、固定されるように装着された結果、このような組立品は、シャシ自身よりも相当堅い。既知の金属タンクの多くは、とりわけ石油製品の輸送に使用される場合、夫々流入口と流出口とを有する1連の分離された区画室の各々に、さらに区割りされている。このような構成により、異なる液体の輸送も可能となる。燃料や潤滑剤の場合には、異なるグレードの燃料や潤滑剤が、1つの輸送用乗物の異なる区画室で運搬されることができる。
【0005】
このような複数の区画室のタンクは、少なくとも1つの内部の分割壁やタンクの外壁が割れ易いことが知られている。このような割れは、1つの区画室の中身への他の区画室の中身による汚染や、中身の漏れによって生じる可能性がある。このような事態を避けるために、タンクは、各々の区画室の密封性を確実にするように、定期的に点検されなければならない。
【0006】
このような割れは、使用の際の輸送用乗物の動きによるタンクの繰返応力(repeated stressing)により生じると考えられる。輸送用乗物のシャシやトレーラのシャシは、タンクよりも堅くないので、シャシの捩れの原因となるいかなる力も、タンクに伝えられるであろう。しかし、金属タンクは、時々、内部の分割壁や外殻の割れを生じさせてしまうような、捩れの繰返応力に耐えることができない。
【0007】
輸送用乗物の堅いタンクの場合でのこのような問題に着手して解決しようとする1つの試みは、シャシの後部の所で、輸送用乗物のシャシにタンクのサブシャシを固定させるように装着することである。輸送用乗物のシャシまたはトレーラへの屈曲は、代表的なシャシの長さ全体に渡って、150mm以上とすることができる。このような範囲の動きを許容することは、タンクの設計にとって非常に重要である。
【0008】
既知のタンカの構成の1つは、ホイールを有するシャシと、一方のタンクの後方に他方のタンクが配置された複数のタンクとを有するタンク車や貨車を提供する。このような複数のタンクは、複数の可撓性の装着部を使用して、夫々シャシに装着されている。可撓性の装着部は、このような動きを可能にするように容易に構成されることができ、また、タンカに適切な支持を与える。夫々のタンカは、シャシの捻れおよび歪みのような、各々のタンクの動きの許容範囲に合わせて必要とされる長さだけ、長手方向に離れて配置されている。
【0009】
各々のタンクには、少なくとも4つの装着部を与えることが好ましい。この数は、比較的重い重さに耐えるように増加させることができるか、もしくは、夫々の装着部が、比較的強度を強くされることができる。スチールにより形成されている現在のタンクは、加えられた捻れと歪みとの応力により耐えるように、アルミニウムのような軽量合金により形成され得る。軽量にすることにより、比較的大きなタンクにすることができるので、輸送用乗物やトレーラ本体の総重量を増加させることなく、運搬する液体の量を増加させることができる。これは、運転者(operator)にとって経済的に効果的であり、比較的多くの積載量を可能にする。
【0010】
貯蔵タンクの技術は、基本的な重い金属(heavy duty metal)の層の貯蔵タンクに様々な設計の変更を与えるように、改良され続けている。このような重い金属の輸送タンクは、慣例的には、スチールやアルミニウムのような金属により構成されている。いくつかのタンクは、鉄道の貨物列車本体の内面に弾性のある絶縁構造体を開示している米国特許第3,687,087号に開示されているような、絶縁性の裏打ち(liner)により形成されている。このような弾性のある絶縁構造体は、ポリウレタン発泡体材料の層を有し、この層は、金属の車体本体の内面に取着された外面と、ポリウレタン発泡体材料の内面に取着された弾性の内面の裏打ちとを有する。このポリウレタン発泡体の材料は、弾性の内面の裏打ちのための中間の緩衝層を形成し、少なくとも1インチ(2.54センチメートル)付近の厚さであり、8インチ(20.32センチメートル)付近の厚さであっても良い。この弾性の内面の裏打ちは、1/2インチ(1.27センチメートル)付近の厚さ以下であり、発泡体材料の硬さよりも硬い硬さを有する。弾性のある絶縁構造体に荷積みされることにより働く力によって発生されるエネルギは、絶縁体構造により鉄道の車体本体に伝えられるエネルギの残りによる絶縁構造体の変形によって散逸される。工具からや車内での使用者からのように、通常は高い局所圧力が加えられた下で、このような中間の発泡層が絶え間なく変形されることができ、また、荷積みと弾性の内面の裏打ちとを接触させることで、ダメージを受けていない状態を維持する。
【0011】
慣例的に知られているタンク車は、代表的には、矩形の形態のベッドフレームに弾性的に支持され、かつこのベッドフレームの水平面内に部分的に配置されたタンクを備えたこのタンク車のメインフレームの上に配置された円筒体のタンクを有する。また、このタンク車は、メインフレームに弾性的に支持されたベッドフレームを有する。この円筒体のタンクの外側の形状に一致するサドル形状の1対のプレートが、各々のタンクの端部の近くで、この円筒体に接続され、また、ブラケットを保持している1対の上側タンクが、各々のサドルプレートに取着され、続いて、ベッドフレームに固定して取着されたブラケットを保持している対応する下側タンクに弾性的にボルトで固定される。ベッドフレームに取着されているこれらブラケットは、トラックのメインフレームに対応するブラケットをボトルで固定される。
【0012】
このような構成の一例が、米国特許第4,283,066号に開示されている。ここでは、比較的軽量な材料のような金属に代わる材料によりタンクを製造するいくつかの試みがなされている。このような一例は、米国特許第4,292,898号に開示されている。ここでは、細長の、荷重耐性の本体を含むフィラメント巻複合材の貨車が開示されており、この貨車は、ガラス強化フィラメントの繊維強化プラスチック樹脂複合体により形成されている壁と、特定の特性を有する構造オルガノポリマ(organopolymeric)樹脂とを有する。
【0013】
軽量のトレーラタンクを与えようとする他の試みが、米国特許第4,729,570号に開示されている。ここでは、約45°の角度で傾斜したガラス繊維のフィラメントを有するガラス繊維強化イソチオリック(isotholic)樹脂により形成されたタンクの外殻を含む、シャシのない繊維ガラスのタンクトレーラが開示されている。このようなタンクの外殻は、流体を運搬するコンテナを形成するために、前方ヘッドと後方ヘッドとを有する。前方のクレドールが、第5のホイール部材を装着するための装着部分を有するタンクの外殻に取着されており、後方のクレドールが、後方のホイールの荷台を装着するために使用される装着部分を有するタンクの外殻に取着されている。複数の補強リブが、各々の装着部分に配置されており、他の所望の位置の所では、タンクの外殻に対して長手方向に配置されている。このようなリブは、ガラス繊維の補強樹脂で成形されている。これらクレドールとリブとにガラス繊維樹脂を与える前に、円周形のバンドが、付加的な強度を与えるためにこれらの上に配置される。トレーラの開口部が、流出に対する保護を含む。バッフルが、トレーラが好ましくない流体運動をするのを防ぐために与えられても良い。
【0014】
従来技術は、通例は金属により形成されている貯蔵タンクを収容し、輸送用乗物のシャシに固定されているか、ホイールに装着され自身を支持するのに十分な構造的な強度を有する、貨車や道路の輸送用乗物のような様々な輸送用乗物を完備している。道路用のタンク車では、Geyerらにより示されている米国特許第3,712,250号のように、タンクが、トラックに装着されているクレドール構造の両端近くに支持されている。また、Andersonらにより示されている米国特許第3,158,383号により示されているように、このようなタンクは、繊維ガラス強化プラスチックにより形成される。このようなタンクは、前述の米国特許第3,712,250号により示されている種のフレームの下の金属の荷重耐性の貨車に装着されている。従来技術の貨車は、支持構造体や重い構造部材が含まれており、これらは、車自身の重さのために積載車の総重量の実質的な分け前分を必要とする。このような重い構造部材は、使用の間、車に働く実質的に長手方向の力を伝達し、かつ耐える長手方向の金属の構造部材を含む。貨車の総重量が規制により制限されているので、この車自身の軽量化し、かつ構造的な完全性を維持することが好ましい。なぜならば、このような軽量化は、比較的大きな搭載量を可能にし、それ故、経済的な動作を可能にするからである。
【0015】
移動式のコンクリートミキサのドラムのようなタンク構成体での非金属材料の使用が知られているが、使用者(applicant)の知識に最も適するような、従来技術は、熱可塑性プラスチックまたは熱硬化性樹脂のようなプラスチックにより製造される貯蔵タンクを有する、道路、線路、空路用のタンクを教示しない。このような使用者は、積層プラスチックにより製造されるタンクの壁に気付くことなく、タンクは、金属の使用で通例満たしている完全性の基準に課される荷重に耐えることができる。
【0016】
このようなプラスチックは、意図に適した所望の軽量の材料であるが、使用の際の荷重への応答に関して、特にスチールとプラスチックとの間の特性の大きな違いとプラスチック製品の製造の困難性とが、難題である。このような問題は、第1に克服されなければならない。非常に多くの構造体に適用可能であることと、スチールからプラスチックへの転換部分の製造を改良する製造とは困難であるが、このようなタンクが受ける通常の動作での高い静的な荷重や動的な荷重に耐えることができるタンクが製造されることが好ましい。また、石油製品のような流体の運搬および貯蔵の場合、タンクの内面層は、化学的に不活性で反応性を有さないことが望ましい。従って、既知のスチールの貯蔵および輸送タンクに代わる製品を製造するという未だ解決されていない難題に、化学的に不活性で反応性を有さないプラスチックのタンクを組み合わせることが必要であろう。このようなプラスチックのタンクは、中身と外部からの加えられる荷重に耐えるように、高い耐久性と内容量とを有することが好ましい。他の技術の問題は、積層された構造体の場合に、使用されるプラスチックが、このような層の満足な結合を果すようにすることである。いくつかのプラスチックは、自然には結合しない。
【0017】
熱可塑性プラスチックは、周囲温度で固体である既知の分類の材料であり、成形工程の物品に適した高い温度で軟化して溶解し、周囲温度で元の特性を回復する。熱硬化性樹脂は、既知の液体であり、適切な硬化剤や触媒ゲルを混合すると、適切な時間の後、硬化する。これらは、繊維を強化する積層構造体を形成するために使用される。
【0018】
熱可塑性プラスチックは、熱硬化性樹脂よりも優れた化学的な耐性を有するので、これら材料の組合せの2重構造体は、化学的な耐性および構造的な内容量(capability)を組み合わせる。これら2つの材料の形態は、積層された構造体との適合性がない。とりわけ、熱硬化性樹脂は、熱可塑性プラスチックと結合しないであろう。熱可塑性プラスチックシートの1つの面に押圧された織布を有する熱可塑性プラスチックシートを形成することが、従来技術の一部として知られており、このプラスチックは、繊維に部分的に埋封されるように、なおも軟らかい。かくして、このような熱硬化性樹脂と繊維とは、このような布の繊維に積層されて、結合性のない2つの材料の間に、機械的な接合を形成する。このような処理の欠点は、強度の強い埋封を形成することが困難であり、使用の際、布が熱可塑性プラスチックから抜け易いことである。このようなシート材料は、平坦であり、切断および溶接による製造の工程によって、コンテナ内にのみ形成されることができる。
【発明の開示】
【0019】
本発明は、従来技術の貯蔵タンクの構造に代わるものを、特に、移動可能な複合構造の貯蔵容器を提供する。とりわけ、しかし限定的にではないが、本発明は、積層プラスチック複合材から製造される、液体の貯蔵並びに輸送のための貯蔵容器の製造方法を提供する。さらに、本発明は、航空機のタンクと航空機の翼のタンクとに限定されないがこれらを含む、道路および線路での輸送のための流体のタンクおよび燃料タンクへの複合構造の容器の適用に関する。
【0020】
本発明の1つの目的は、熱可塑性プラスチックと熱硬化性樹脂との2重の母材により製造される、道路、線路、空路への適用装置のための、軽量で移動可能な貯蔵タンクを提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、材料の1つを、繊維層を部分的に通って流れるようにし、第2の層を有する残りの繊維を湿らせることによって、結合を自然に形成しない異なる2つのプラスチック材料を接合する方法を提供することである。これら材料は、2つの材料間の界面に対して横方向に交錯した繊維によって、好ましくは機械的に一緒に接合される。本発明の他の目的は、このような接合された材料から物品を製造することである。
【0022】
さらに、本発明は、貯蔵タンクのような物品を構成させるための構造的な母材を提供する。この母材は、液体であり融点を超えた温度で流動可能な第1の熱可塑性プラスチック材料と、この熱可塑性プラスチック層を冷却した後、前記繊維層に配置される、繊維層と第2の熱硬化性樹脂層とを有する。
【0023】
熱可塑性プラスチックは、広い範囲のpH、酸化および溶液条件、ダメージなく大きく引き伸ばすことに対して、優れた化学的な耐性を有する。構造繊維によって強化された熱硬化性樹脂は、高い強度と剛性とを有する。これら熱可塑性プラスチックも熱硬化性樹脂も低密度であるので、この組合せは、活発な化学環境中で、軽量構造からの効果をこのような状況に最も良く適させる。
【0024】
本発明は、輸送用乗物、危険物の輸送のためのコンテナ、輸送用乗物のための貨物タンクの構造での使用で特に効果的である。本発明の母材の方法の具体的な適用装置は、以下のものを含む。
【0025】
1.海路、道路、空路および宇宙の輸送用乗物、乗物のための燃料タンク。
【0026】
2.様々な輸送手段による危険化学物質、燃料、ミルクおよび飲料(ワイン、ビール、フルーツジュース)の運搬のための貨物タンク。
【0027】
3.ホイールを有するシステムに装着されるタンクのあらゆる適用装置のための貨物タンク。
【0028】
4.標準化されたISOの一貫輸送コンテナフレームに装着される貨物タンク。
【0029】
最も広い形態では、本発明は、モールドにより製造された移動可能な貯蔵タンクであって、内部空間を規定し、タンクの中身を保持するための壁を具備し、この壁は、プラスチック材料の少なくとも2つの層と、これら層の各々に係合している強化層とにより形成されており、これら層の第1の層は、熱可塑性プラスチック材料でできており、また、第2の層は樹脂でできており、前記強化層は、プラスチック構造材を形成するように、前記2つの層の間に介在されているタンクを含む。
【0030】
本発明の態様の方法では、モールドで製造される中空の容器の構成で使用するためのプラスチック複合材の製造方法であって、
a)少なくとも1つの繊維材料の層を、熱可塑性プラスチック材料の面に対向させるように、モールドの内面に並置するようにこのモールド中に配置する工程と、
b)熱可塑性プラスチック材料を入れる工程と、
c)固相から流動可能な状態へと変えるのに十分なように、前記熱可塑性プラスチック材料を加熱する工程と、
d)第1の層を、前記少なくとも1つの繊維層の厚さ方向に少なくとも部分的な流路で流させる工程と、
e)前記少なくとも1つの繊維層の少なくともいくつかの繊維が、前記第1の層中に埋封されるように、この第1の層を冷却する工程と、
f)第2の層が、前記第1の層と結合を形成するように、この第1の層中に埋封されていない前記繊維層の繊維に、熱硬化性樹脂を加える工程とを具備するプラスチック複合材の製造方法を含む。
【0031】
本発明の一実施の形態では、本発明の方法は、前記第2の層に、少なくとも1つの付加的な繊維層と熱硬化性樹脂とを加える工程をさらに具備する。
【0032】
好ましい実施の形態では、前記繊維層は、前記熱可塑性層を加熱する前に、所定の必要な形状に予め形成される。前記熱可塑性プラスチック層は、前記繊維層の厚さ方向に少なくとも部分的な流路で流れるように、この繊維層の周りで溶解される。熱可塑性樹脂は、前記熱可塑性プラスチックに組み込まれない繊維に配置される。繊維と熱硬化性樹脂とのさらなる層が、母材の複合材により形成される必要な物品または構造の構造特性に依存して適用されることができる。
【0033】
一実施の形態では、前記タンクは、輸送用乗物に装着されている。他の実施の形態では、このタンクは、航空機の翼中に装着されている。
【0034】
本発明の態様の代わりの形態では、本発明は、
a)所定の内形を有するモールド内に、繊維層の材料を入れて、この材料を配置する工程と、
b)前記繊維層を前記モールドに対応した形状内に形成する工程と、
c)熱可塑性プラスチック材料を前記モールド内に入れて、この材料を加熱する工程と、
d)前記熱可塑性プラスチックを前記繊維層に少なくとも部分的に浸透させる工程と、
e)固相から流動可能な状態へと変えるのに十分なように、第1の層を加熱する工程と、
f)前記モールド中に形成される物品の壁を形成するように、前記第1の層が、少なくとも1つの繊維層の厚さ方向に少なくとも部分的な流路で流れさせる工程と、
g)前記少なくとも1つの繊維層の少なくともいくつかの繊維が、前記第1の層中に埋封されるように、前記第1の層を冷却する工程と、
h)前記モールドから前記物品を取り出す工程とを具備する、中空の複合容器の製造方法を含む。
【0035】
一実施の形態では、本発明は、前記繊維層を入れる前に、前記繊維層に下塗剤を塗布するさらなる工程を具備する。この下塗剤は、前記モールドの回転の間、前記熱可塑性プラスチック材料の浸透度を増加させる。この下塗剤は、好ましくは、前記繊維層に噴霧され、一実施の形態では、スチレン中に溶解されたポリスチレンを含む。この下塗剤は、熱融解された流動可能な前記熱可塑性プラスチックに係合するために、所定の位置で、前記下塗剤を前記繊維層の繊維に固定させるように、熱可塑性プラスチックの粉末が浮遊した状態で予め混合されている。この方法は、前記第2の層に、少なくとも1つの付加的な繊維層と熱硬化性樹脂とを加える工程をさらに含む。前記繊維層は、前記熱可塑性層を加熱する前に、所定の必要な形状に予め形成され、前記熱可塑性プラスチックは、前記繊維層の厚さ方向に少なくとも部分的な流路で流させるように、この繊維層の周りで溶解される。
【0036】
本発明の好ましい実施の形態では、本発明の方法は、
i)第2の層を、前記第1の層が第2の層と結合するようにして形成するように、この第1の層中に埋封されていない前記繊維層の繊維に、熱硬化性樹脂を加える工程をさらに具備する。
【0037】
本発明の方法は、前記繊維層を入れる前に、前記モールドに離型剤を塗布するさらなる前工程を含む。好ましくは、物品が前記モールドから取り出されると、この物品は滑らかな内面を有する。
【0038】
代わりの実施の形態では、完成した物品に加えられる構造的な荷重に耐えるのに十分な耐久性を有する繊維材料が、この繊維材料を通って熱可塑性プラスチックを流させて物品に滑らかな内面と外面とを形成させることを可能にする時間温度サイクルの下で、特定の形状に成形される。十分な熱可塑性プラスチックが与えられれば、物品の内部は繊維を含まないであろう。このようにして、物品は、熱可塑性プラスチックの内面により形成され、この内面は、使用時に、物品の中身による周囲の影響からこの構造繊維を保護するであろう。
【0039】
本発明は、好ましい実施の形態と添付図面を参照して、以下に詳細に説明される。
【0040】
一般的に広い意味での本発明は、第1の材料が、繊維材料を部分的に通って流れるようにし、第2の材料を有する残りの繊維を湿らせることによって、結合を自然に形成しない異なる2つのプラスチック材料を接合する方法を提供する。これら材料は、2つの材料間の界面に対して横方向に交錯した繊維によって、機械的に一緒に接合される。多くの構造的な並びに非構造的な物品が、形成された複合材により構成され得る。
【0041】
本発明は、移動可能なタンクの貯蔵容器の適用装置、また、航空機の翼の燃料タンクの適用装置を参照して主に説明されるであろう。しかし、本発明は、他の装置の適用でも理解されるであろう。このような容器は、2重構造を特徴とする。
【0042】
この発明は、第1の材料が、熱可塑性プラスチックであり、融点を超えた温度で繊維層に流れ込み、また、第2の材料が、熱硬化性樹脂であり、この熱可塑性プラスチックが冷却された後に、残りの繊維に適用される。
【0043】
本発明は、繊維材料層を埋封された第1の熱可塑性プラスチック層を有する、積層複合材を提供する技術に基づいている。この熱可塑性プラスチック層は、繊維層を少なくとも部分的に覆うように融解される。この複合材は、前記繊維層の上側に配置された、少なくとも第2の熱硬化性樹脂層を有する。
【0044】
本発明の具体的な方法は、割りモールドで中空のプラスチック物品の製造をするために通常使用される、回転成形を使用する。代表的には、熱可塑性プラスチックの粉末が、電気炉で加熱されるモールドに載せられ、加熱中は、2つの軸線を中心に同時に回転される。そして、この粉末が融解して、モールドの内側を一様に覆う。このモールドが回転するのに従って、流動可能な熱可塑性プラスチック材料が、このモールドの内部の形状に合わせられる。冷却後、成形された部分は、割りモールドから取り出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図1を参照すると、熱可塑性プラスチック層内に、第1の浸透度の繊維層を有する熱可塑性プラスチック層を形成するためのモールド成形工程の概略図が示されている。モールド1は、内面2と外面3とを有する。使用の際、繊維層4が、離型剤の塗布に続いてこの内面2の上に置かれる。このモールドの内面が、繊維層4で覆われると、層で示されている熱可塑性プラスチック5の粉末が、このモールド内に入れられる。所定の温度−時間関係の適用に基づいて、この熱可塑性プラスチック5が、前記繊維層4に向かって流れ、この繊維層の織目に少なくとも部分的に浸透する。この熱可塑性プラスチック層による繊維層への浸透は、通例は部分的であるが、完全に覆われても良い。代表的には、成形された物品がモールドから取り出されると、内面6は、滑らかに融解した熱可塑性プラスチックの面であり、外面は、熱可塑性プラスチックが部分的に浸漬された繊維材料層4である。成形の間、ガス圧が、モールドの壁に接して複合材を保持するために使用される。
【0046】
図2は、熱可塑性プラスチック層内に、第2の浸透度の繊維層を有する熱可塑性プラスチック層を形成するためのモールド成形工程の概略図を、対応する参照符号を付して示している。図1の構成と図2の構成との主な違いは、繊維層4への熱可塑性プラスチックの浸透の程度の少なさである。
【0047】
物品がモールドから取り出されると、前記繊維層の外面部分が、硬化する液体触媒添加樹脂で濡らされて、繊維層と熱可塑性プラスチック層との間の界面を連結させる繊維によって、熱可塑性プラスチックの内面に接合される。繊維と樹脂とのさらなる層が、中身と動作(service )とによって与えられる構造的な荷重に耐えるように、前記外面部分の上に積層されることができる。ガラス繊維と炭素繊維とが、繊維層4を形成して熱可塑性層と熱硬化性層との両方を強化するための好ましい材料である。好ましい形態での繊維層は、縦糸と横糸との交互のストランドが布の厚さ方向に対して横方向に交錯したような、織布である。他の形態での繊維層は、この層の厚さ方向に対して横方向に交錯した、実質的な繊維部分が設けられているマットかフェルトであっても良い。前記繊維層4は、モールドの開口部内に置かれており、この開口部は、開口部内に置かれている熱可塑性プラスチックの粉末の装填で閉じられる。回転成形は、加熱と冷却との熱サイクルの間、2つの軸線を中心にモールドを回転することによって果される。代わりの方法として、前記繊維層は、結合溶液(binder)で所定の形状に保たれた繊維の予備成形物として形成されても良い。かくして、この予備成形物は、モールドに挿入される。前記繊維層は、結合溶液でこの繊維を濡らして、このモールドを閉じる前にこの溶剤を蒸発させることによって、このモールド中の所定の位置に形成されることができる。この結合溶液は、溶剤として、夫々スチレンのモノマー並びにメタクリル酸エステル中に融解しているポリスチレンまたはポリメタクリル酸メチルであり得る。これらは、熱可塑性プラスチックの粉末を含むコポリマを融解して形成した熱可塑性プラスチックであり、また、熱硬化性樹脂のスチレンのモノマー中に溶解可能であり、従って、2重構造の至る所での完全な適合性を確実にする。結合溶液と溶剤との他の組合せが使用されても良い。前述の工程は、満足な結合を確実にするためには十分な浸透でないような、高粘度の材料の問題に向けられている。満足のいかない結合は、層割れを生じさせてしまい、それ故、この方法を使用して成形された物品の不良を生じさせてしまう。回転成形に基づき、結合溶液は、繊維層の繊維に浸透して、融解した熱可塑性プラスチック層と繊維層の繊維との結合を強くする。この結合溶液が蒸発すると、この繊維は所定の位置に保持され、かくして、これら層の間の結合を非常に強くする。
【0048】
前記繊維層は、この繊維層全体に渡る圧力降下が前記モールドに対して力を加えるように、モールドの内部にガス流を供給することによって、モールドの内面に接して所定の位置に保持されることができる。回転成形の動作では、繊維材料が所定の位置に配置された後、熱可塑性プラスチックの粉末がモールド内に入れられる。このモールドが、2つの軸線を中心に同時に回転するのに従って、熱可塑性プラスチックの粉末が一様に分配され、このモールドが外側から加熱されるのに従って、融解し始める。温度、時間並びに熱可塑性プラスチックの粉末の量の条件は、物品が、図1に示されているような滑らかな熱可塑性プラスチックの内面と、外面に隣接する繊維を含む外面とを有するように、もしくは、図2に示されているような滑らかな熱可塑性プラスチックの内面と、熱硬化性層に結合させるために形成されている繊維の外面とを有するように、この成形工程から製造され得るように調整されることができる。この熱可塑性プラスチックの粉末が、融解して繊維材料に流れるのに従って、モールドの内面に供給されるガスの流れ抵抗は、全ての気孔が封止されるまで増加し、ガス圧は、滑らかに融解した熱可塑性プラスチックの内面に作用する。この圧力は、冷却状態の間に、異なる熱収縮によるどんな動きをも防ぐように維持される。これら動作は、図1並びに図2に概略的に示されている。
【0049】
適した熱可塑性プラスチックは、以下に限定されることはないが、ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)である。適した熱硬化性樹脂は、以下に限定されることはないが、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ樹脂およびポリウレタンである。
【0050】
前記モールドの構成から製造される上述の構造の好ましい適用では、特に、各々の特性が効果的に使用される。熱可塑性プラスチックは、広い範囲のpH、酸化および溶液条件並びにダメージなく大きく引き伸ばすことに対して、優れた化学的な耐性を有する。構造繊維によって強化された熱硬化性樹脂は、高い強度と剛性とを有する。両方とも低密度であるので、この組合せは、活発な化学環境中での軽量構造からの効果を、このような状況に最も良く適させる。
【0051】
本発明の態様の方法と装置との適用例は、輸送用乗物のための貯蔵タンク、危険物の輸送のためのコンテナ並びに輸送用乗物のための燃料タンクおよび貨物タンクの構造体を含む。他の実用的な適用の制限のない例では、海路、道路、線路、空路および宇宙の輸送用乗物のための燃料タンク、様々な輸送手段による危険化学物質、燃料、ミルクおよび飲料(ワイン、ビール、フルーツジュース)の運搬のための貨物タンク、ホイールを有するシステムに装着されるタンクのあらゆる適用装置のための貨物タンク、標準化されたISOの一貫輸送コンテナフレームに装着される貨物タンクを含む。
【0052】
実施例
1) 静水力学(hydrostatic)的な等張力面(iso−tensoid)タンク
2) 静水圧に加えて積載圧力を有する等張力面タンク
3) 歪み易い輸送用タンク
1) 等張力面タンク
液体または気体が含まれる可撓性の引張タンクを形成しているメンブレンが、曲げ応力なしで一様な張力を加えられている形状を仮定しよう。このような特性の形状の例は、葉先から垂れ下がる水滴、葉の上に溜まる水および平坦な面の上の水銀のような表面張力を含む液体である。可撓性の帆布のウォーターバッグが、ウォーターバッグ自身で、タンクの壁に対して一様な張力を有する矩形タンクを形成する。この等張力面形状は、壁に対する曲げ応力なしで、中身による荷重に耐えるので、荷重に耐えるために必要な複合壁の厚さは最小になる。
【0053】
図3は、等張力面曲線の一例であり、この曲線は、一様な張力を有する閉じたメンブレンを形成するようにして、この曲線の鏡像を結ばせることができる。
【0054】
静水荷重のための水平な矩形タンクのような等張力面形状は、以下の計算によって規定される。
【数1】

【0055】
静水圧と一定の積載圧力との両方を有する、変化可能な深さdの深さの増加δd全体に渡ってメンブレンに働く水平方向の力は、以下の式で表される。
【数2】

【0056】
従って、この計算は、底部でA1=0で始まり、dはメンブレンの上面から測定され、各々の増加量に対してδdが加えられ、δdは負であることに注意する。
【数3】

【0057】
鏡像の曲線の対応する点に、この曲線の上側並びに下側の終端を水平な線で結ぶことによって、閉曲線が、等張力面タンクの断面に形成される。
【0058】
2)静水圧に加えて積載圧力を有する等張力面タンク
この組合せ形状の適用装置は、静水荷重と付加的に加えられた圧力とを有する閉じたタンクである。限定的ではないが、以下に例を挙げる。
【0059】
i)静止している水平なタンク。
【0060】
ii)道路、線路、空路および海路の輸送用乗物内に装着された水平な燃料タンク。
【0061】
iii)道路、線路、空路および海路の輸送用乗物内に、または上に装着された水平な貨物タンク。
【0062】
iv)前縁に装着された回転台、並びに後縁の所でホイール、シャフトおよびサスペンションを有する道路タンクトレーラとして構成されている水平な貨物タンク。
【0063】
3)歪み易い輸送タンクおよび貨物タンク
このようなタンクの構成のための一般的な方法の工程が、以下に概略的に示される。
【0064】
1.外殻が、中心線に沿って接合される2つのモールドにより構成される。このモールドは、このモールドにより製造される物品の形状に合わせて形成されている。
【0065】
2.このモールドは、上側コーミングと下側レールとを形成するように、垂直な凹所を含む。
【0066】
3.このモールドが、着色樹脂のゲルコートに続いて、離型剤により準備される。
【0067】
4.続いて、輸送動作によって発生される剪断力に耐え得るであろう構造繊維の層を配置させる。
【0068】
5.樹脂で飽和された連続的な構造繊維が、道路での動作によって発生される全ての荷重に耐える構造的な矩形フレームを形成するように、前記凹所に置かれる。
【0069】
6.タンカのエンドキャップを形成するように構成されたさらなる2つのモールドが、長手方向の2つのモールド間の構造的な連結を果す。
【0070】
7.熱可塑性プラスチックの内面と、引張荷重に耐えるように厚くされた繊維補強プラスチックの外面ゾーンとを有する2重構造の複数の区画室が、完成されたタンカの長さの、積層された2つのモールド間のスペースに組み合わせられる。
【0071】
8.内部の前記複数の区画室が、一様なギャップを維持するスペーサを用いて、外側のモールド間に配置される。
【0072】
9.このギャップが、前記スペースに注入される構造発泡体で満たされる。
【0073】
図4を参照すると、本発明の方法に従って形成され、ホイールベース24に装着されたタンク20の部分断面図が、概略的に示されている。このタンク20は、複合壁21を有し、この複合壁21は、外面層22と等張力面形状のボイド29を形成している内面23とを有する。前記壁21は、さらに好ましくは、加えられた張力と圧縮荷重とに耐える4つのバーとして配置された炭素繊維のコーミング25ないし28を有する。これらコーミングは、タンクが製造されるモールド中に適切なキャビティを入れることにより形成される。これらコーミングは、荷重に耐えるための前記バーのために必要な領域が最小にされるように、最大に離れた距離に設定され、また、慣性モーメントが非常に大きいので、結果として強い剛体構造、最小の壁、本体全体の撓みを生じる。この高効率の構造(この構造での材料の最大値が、これら材料の許容される限界値近くに力を加えられる)は、最小の大きさおよびコストを生じる最小の材料の使用を可能にする。このような下側コーミング27、28は、走行ギア、着陸用の脚、スペアホイール、キングピンプレートに装着させるように、一体成形される。図4のタンク20は、危険物の輸送および輸送用乗物のための燃料タンク、貨物タンクとして使用され得る。
【0074】
上述のように、この適用装置は、海路、道路、線路、空路および宇宙の輸送用乗物および乗物のための燃料タンク、様々な輸送手段による危険化学物質、燃料、ミルクおよび飲料(ワイン、ビール、フルーツジュース)の運搬のための貨物タンク、ホイールを有するシステムに装着されるあらゆる適用装置のための貨物タンク、標準化されたISOの一貫輸送コンテナフレームに装着される貨物タンクに限定されない。
【0075】
前記タンク20に適用された等張力面形状は、壁に加えられる曲げ応力に耐性があり、中身の荷重に耐えるために必要な最小の厚さに設計されている。静水荷重と一様な積載圧力とのための水平な矩形タンクのような等張力面形状は、前述の解析的な計算によって規定される。
【0076】
図5は、壁構造体22と端部構成体30とを明確にするために、本発明の方法に従って形成されたタンク20の端面図を、部分的に省略して、対応する参照符号を付して示している。図6は、後部の所に、内部の複数の区画室31、32、33を付加的に長手方向に配置されている本発明のタンク20の方法に従って製造されたトレーラの側面図である。
【0077】
前記複数の区画室31、32、33は、熱可塑性プラスチックの区画室の内面を有し、燃料、食料並びに化学物質のような物品の輸送に適している。滑らかな外面のゲルコート面を有する成形された構造的な外殻は、その利便的な外見により掃除が簡単である。
【0078】
構造的な気泡断熱材が、ダメージを浸透させたり、剪断変形を生じさせたり、他の好ましくない衝撃荷重を生じさせたりすることから前記複数の区画室を保護するように、隣接する区画室31、32、33間の空間34、35、36、37に配置されている。この気泡断熱材によって、腐りやすい食料の運搬が可能となる。
【0079】
図7は、本発明の方法に従って製造された、外面構造層41を有するトレーラ40の側面図と、内部の区画室42、43の部分図である。これら隣接する区画室42、43には、気泡で満たされた構造的な隙間44が設けられている。
【0080】
外面層の連続的な構造繊維は、転覆(roll−over)に対する保護を与える。50%よりも多いブレークの所で熱可塑性プラスチックを引き伸ばすことによって、事故の場合の破損に対する保護を与える。一様な張力に対する条件により発生される前記内部の区画室の形状は、円または楕円と比較して小さな重力の中心部であり、また、このような構造層の設計は、タンクの内側が、サスペンションに対してできる限り小さく設定されることを可能にする。このような比較的小さな重力の中心部は、輸送用乗物を改良し、転覆の危険を減少させる。この等張力面の区画室の形状と構造繊維とを使用した設計の効率の良さの結果、タンク車の大きさは、既存の金属のタンク車および複合材のタンク車の大きさよりも実質的に小さくなる。
【0081】
タンク車での使用に適した繊維の裏地に熱可塑性シートを組み込んだタンクを回転成形するための処理は、成形が完了した後に分割できる2つのピース部分のモールドを利用する。この部分は、モールドの内面に接触している繊維層を有する中空のモールドへの、熱可塑性プラスチックの粉末の回転成形によって製造される。このモールドは、円筒体であり、ドーム形状の面を有する非円形の断面である。この円筒体の部分は、回転によって形成されることができる。非円形の前記ドーム形状の半面は、好ましくは、雄型異形押出材を製造するCAD処理並びにCAM処理によって形成される成形型で製造される。適したゲージと孔との金網の形状を発達させたCADが、フランジと補強リブとで安定化させる。このフランジの端部は、第1の半モールドを形成する前記円筒体部分の上に、好ましくはボルトで固着されている。この第1の半モールドは、金網メッシュ補強部分でできており、フランジとリブとを安定化させる。この第1の半モールドは、前記金網メッシュを通る空気を引き寄せる排出ファンを有するプレナムチャンバに配置される。それから、好ましくは織布の形態である繊維層が、前記第1の半モールドを覆い、前記ファンの空気流によって生じる圧力降下によって、所定の位置に保持される。前記繊維層が所定の位置にあるとき、溶剤中に与えられる熱可塑性プラスチックの結合溶液が、この溶剤が蒸発したときに前記繊維層を所定の位置に保持するように、この層に塗布される。第2の半モールドが、同様にして処理され、これら第1並びに第2の半モールドは、回転成形処理に一緒に用意されるようにボルトで固着されている。回転成形処理では、空気の供給は、モールドの近くに接触させて繊維層を維持するように、前記繊維層とメッシュモールドを通過するように構成されている。モールド中の温度が上昇するのに従って、粉末と結合溶液とが溶解してこの繊維層に流れ込んで、この繊維層に部分的に浸透して、モールドの内面に滑らかに溶解した面を形成する。モールドとこのモールドの中身とは、冷却されることができ、それから、このモールドは分割されて、形成された部分が取り出される。
【0082】
本発明の複合材は、例えば翼の燃料タンクとして適用されることができる。積層プラスチック複合材が、一体的な燃料タンクを完備した航空機の翼のための複合的な区画室の構造部材のような等張力面タンクとして使用され得る。この形状は、等張力面形状で近似することができる。翼構造体61の前縁並びに後縁の所でのこのような等張力面形状からのずれは、下げ翼(flap)のような領域62中に、前縁並びに後縁の高いリフト装置を収容するように構成されることができる(図10参照)。
【0083】
代表的な航空機の翼の部分は、実質的に比較的小さな曲率を有する湾曲した上面と下面とを有するエーロフォイルである。図8は、モールドの組立品50と、このモールドから製造されるエーロフォイル形状の容器を示している。モールド50は、エーロフォイル形状の開口部53を規定する2つの部分51、52を有する。図9は、このモールド50から取り出されたエーロフォイル形状の容器54を示している。この容器54は、一体的な構造外面層55と内面セル56とを有する。図10は、翼構造体61に組み込まれたエーロフォイル形状の容器60の部分断面図である。この容器60は、特に、タンクが翼に一体的に取着されたとき、圧力のかかる位置に金属のバッフルを挿入して補強されることができる。
【0084】
図11は、本発明に従い製造された容器を組み込んだ航空機の翼70の斜視図である。この翼70は、前縁の容器71、72、73と、後縁の区画室74、75、76とにより構成されている。この翼70は、さらにウェブ77、78を有する。撓みおよび捩れを受け易い翼の構造部材として使用されるこの形状のために、前記ウェブの2つの面は、荷重により発生される剪断圧力と剥離圧力とに耐えるように接続されなければならない。このようにして、前記構造部材は、等張力面の断面の各々の2重構造区画室と、図11に示されているような翼形に合わせた直線的な壁との組合せとによって構成され得る。
【0085】
このような2重構造の区画室は、構造部材としても、燃料システム中で化学物質に完全に耐性のある熱可塑性プラスチックの内面を有する燃料タンクとしても機能する。この内面は、接合部または溶接部を有さない完全な表面として成形される。メンテナンスは必要としない。前記区画室の外面層は、張力による荷重に耐えるのに十分な繊維強化プラスチックでできている。
【0086】
前記区画室が燃料タンクとして機能するために、各々の区画室は、エンジンへの充填および供給の機能を可能にする、一体的に成形された接続部と、タンク中の圧力を制御するための排気ベントとに、好ましくは適合されている。このような接続部は、前記構造部材の形成のために、所定の位置への前記区画室の組合せに使用され得る。これら区画室中の燃料による荷重は、燃料レベルがこれら区画室間の接続部を通る流れによって均等に分配されるのに従って、曲線の等張力面での張力に耐えて、前記垂直なウェブの壁全体に渡って釣合いを保たれる。短い前記垂直なウェブの壁は、不均衡な燃料の荷重に耐えるように設計されている。前記区画室は、燃料の供給システムと排気システムとを形成している前記接続部を封止する中空のファスナで、所定の位置に前記区画室を引き込むことによって、前記翼の構造部材の中心部になるように組み合わせられることができる。
【0087】
図11に示されているような外部モールドは、前記翼の外部形状と外面とを形成するように与えられる。強化プラスチック構造の樹脂と前記構造繊維とに対する既知の技術を使用して、これら樹脂と構造繊維とが、区画室の組合せの周りで閉じられた前記モールド中に配置される。それから、互いに連結されたこれら区画室の内部の空間が、このモールド中の前記樹脂と構造繊維とに対して、これら区画室の壁を押圧するように膨張される。この膨張圧力は、触媒作用と熱との少なくとも一方によって、樹脂が硬化されるまで保持される。金属の挿入部が、集中荷重のための取着点として、これら区画室の壁間に配置されても良い。
【0088】
本発明の全体の意図および範囲から逸脱することなく、一般的にここに記載されている本発明に対する多くの変更、修正がなされても良いことが、当業者により理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、滑らかな内面の層並びに外面の層を与える熱可塑性プラスチック層内に第1の浸透度の繊維層を有する熱可塑性プラスチック層を形成するためのモールド成形工程の概略図である。
【図2】図2は、熱可塑性プラスチック層内に、第2の浸透度の繊維層を有する熱可塑性プラスチック層を形成するためのモールド成形工程の概略図である。
【図3】図3は、等張力面の曲線の一例であり、一様な張力を有する閉じたメンブレンを形成することによって、この曲線の鏡像に接合されることができる。
【図4】図4は、本発明の方法に従って形成されたタンクの部分断面図である。
【図5】図5は、壁構造体を明確にするための部分的な省略形で、本発明の方法に従って形成されたタンクの端面図である。
【図6】図6は、本発明の方法に従って製造された、内部の区画室を有するトレーラの側面図である。
【図7】図7は、本発明の方法に従って製造された、外面構造層を有するトレーラの側面図と、内部の区画室の部分図とである。
【図8】図8は、モールドの組立品と、モールドで製造されたエーロフォイル形状の容器との部分断面図である。
【図9】図9は、モールドから取り出されたエーロフォイル形状の容器を示している。
【図10】図10は、エーロフォイル容器の部分断面図を示している。
【図11】図11は、本発明の方法に従って製造された容器を組み込んだ航空機の翼の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールドで製造された物品であって、複数のプラスチック層の構造用複合材でできており、
内部空間を規定し、この空間中に中身を保持するための壁を具備し、
この壁は、プラスチック材料の少なくとも2つの層により形成されており、
これら層の第1の層は、熱可塑性プラスチック材料でできており、また、少なくとも第2の層は、熱硬化性樹脂と繊維層とでできている物品。
【請求項2】
前記繊維層は、前記複合材に補強を与えている請求項1の物品。
【請求項3】
前記繊維層は、前記熱可塑性プラスチック層中に少なくとも部分的に埋封されている請求項2の物品。
【請求項4】
前記繊維層は、前記熱可塑性プラスチック層の熱溶解によって、この熱可塑性プラスチック層中に部分的に埋封されている請求項3の物品。
【請求項5】
前記熱可塑性プラスチック層は、露出した滑らかな第1の面と、この熱可塑性プラスチック層中に埋封された前記繊維層を含む第2の面とを有する請求項4の物品。
【請求項6】
前記熱可塑性プラスチック層の材料は、ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)から選択される請求項5の物品。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂は、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ樹脂およびポリウレタンからなるグループから選択される請求項6の物品。
【請求項8】
前記繊維層は、織布、マットおよびフェルトからなるグループから選択される請求項7の物品。
【請求項9】
前記繊維層は、織布であり、この織布の厚さに対して横方向に交錯した縦糸と横糸との交互のストランドを有する請求項8の物品。
【請求項10】
前記熱可塑性プラスチック層の材料は、粉末の形態で前記モールド中に入れられる請求項9の物品。
【請求項11】
前記熱可塑性プラスチック層は、前記繊維層中に熱溶解される請求項10の物品。
【請求項12】
前記モールドは、回転モールドである請求項11の物品。
【請求項13】
中空の貯蔵容器である請求項12の物品。
【請求項14】
タンク車のための中空の貯蔵容器である請求項13の物品。
【請求項15】
航空機の翼のための中空の貯蔵容器である請求項13の物品。
【請求項16】
貨車のための中空の貯蔵容器である請求項13の物品。
【請求項17】
モールドで製造される物品の形成に使用するための複合プラスチック部材の製造方法であって、
この複合プラスチック部材は、プラスチック材料の少なくとも2つの層を有し、
これら層の第1の層は、熱可塑性プラスチック材料でできており、また、少なくとも第2の層は、熱硬化性樹脂と繊維層とでできており、
この繊維層は、前記熱可塑性プラスチック層中に少なくとも部分的に埋封されている、複合プラスチック部材の製造方法。
【請求項18】
前記熱可塑性プラスチック層中への前記繊維層の少なくとも部分的な埋封は、前記熱可塑性プラスチック層に前記熱硬化性樹脂を接合して、構造部材を形成し、
前記繊維層は、前記熱可塑性プラスチック層中と前記熱硬化性樹脂層中とに少なくとも部分的に埋封されている請求項17の方法。
【請求項19】
前記複合プラスチック部材は、回転モールドで製造される請求項18の方法。
【請求項20】
前記構造部材は、前記モールドの内部形状に合わせて形成される請求項19の方法。
【請求項21】
前記構造部材により形成された物品は、中空の貯蔵容器である請求項20の方法。
【請求項22】
前記構造部材により形成された物品は、航空機の燃料タンクである請求項21の方法。
【請求項23】
前記燃料タンクは、航空機の翼のタンクである請求項22の方法。
【請求項24】
前記燃料タンクの壁が、滑らかな熱可塑性プラスチックの内面と、前記熱可塑性プラスチック層と前記熱硬化性樹脂層とに浸透した前記繊維層の繊維によって、この熱可塑性プラスチック層に接合された強化プラスチックの外面層とを有する請求項23の方法。
【請求項25】
前記燃料タンクは、前記翼の外断面形状に対応した等張力面形状の複数の区画室を有する請求項24の方法。
【請求項26】
前記タンクは、前記翼に構造的なウェブを与える内壁により形成された複数の区画室を有する請求項25の方法。
【請求項27】
前記複数の区画室の各々は、燃料を充填する接続部と、蒸発ガス抜きのための排気ベントとを有する請求項26の方法。
【請求項28】
前記複数の区画室は、前記燃料の接続部と前記ベントとを通る中空のファスナで互いに接続されており、これらファスナは、互いに接続されている全てのタンクに、各々の区画室を封止する請求項27の方法。
【請求項29】
前記タンクの製造は、互いに隣接する区画室の対向壁間に、構造繊維と樹脂とを配置する工程を具備する請求項28の方法。
【請求項30】
前記複数の区画室は、集中荷重のための取着点として、これら区画室間に配置された荷重耐性部材で補強されている請求項29の方法。
【請求項31】
前記複数の区画室は、前記構造繊維と前記樹脂とを含む前記モールド内に装填される請求項30の方法。
【請求項32】
前記複数の区画室を圧力で膨張させる工程と、
所定の時間、触媒と熱との少なくとも一方で前記樹脂を硬化させる工程とを含む請求項31の方法。
【請求項33】
完成した前記翼のタンクを、前記モールドから取り出す工程をさらに含む請求項32の方法。
【請求項34】
前記翼のタンクを航空機に組み合わせる工程をさらに含む請求項33の方法。
【請求項35】
前記構造部材により形成された物品は、貨車の貯蔵容器である請求項21の方法。
前記構造部材により形成された物品は、道路の輸送用乗物のための貯蔵容器である請求項21の方法。
【請求項36】
モールドで製造される中空の容器の構成で使用するためのプラスチック複合材の製造方法であって、
a)少なくとも1つの繊維材料の層を、熱可塑性プラスチック材料の面に対向させるように、モールドの内面に並置するようにこのモールド中に配置する工程と、
b)熱可塑性プラスチック材料を入れる工程と、
c)固相から流動可能な状態へと変えるのに十分なように、前記熱可塑性プラスチック材料を加熱する工程と、
d)第1の層を、前記少なくとも1つの繊維層の厚さ方向に少なくとも部分的な流路で流させる工程と、
e)前記少なくとも1つの繊維層の少なくともいくつかの繊維が、前記第1の層中に埋封されるように、この第1の層を冷却する工程と、
f)第2の層を、前記第1の層が第2の層と結合するようにして形成するように、この第1の層中に埋封されていない前記繊維層の繊維に、熱硬化性樹脂を加える工程と具備するプラスチック複合材の製造方法。
【請求項37】
前記モールド内に前記繊維層を配置する前に、この繊維層に下塗剤を塗布する工程をさらに具備する請求項36のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項38】
前記下塗剤は、前記モールドの回転の間、前記繊維中への前記熱可塑性プラスチック材料の浸透度を増加させる請求項37のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項39】
前記下塗剤は、前記繊維層に噴霧される請求項38のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項40】
前記下塗剤は、スチレン中に溶解されたポリスチレンを含む請求項39のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項41】
前記下塗剤は、ペースト状である請求項40のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項42】
前記下塗剤には、熱可塑性プラスチックの粉末が、浮遊した状態で混合されている請求項41のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項43】
熱溶解された流動可能な前記熱可塑性プラスチックに係合するために、所定の位置で、前記下塗剤を前記繊維層の繊維に固定させる工程を含む請求項42のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項44】
前記第2の層に、少なくとも1つの付加的な繊維層と熱硬化性樹脂とを加える工程をさらに含む請求項43の方法。
【請求項45】
前記繊維層は、前記熱可塑性層を加熱する前に、所定の必要な形状に予め形成される請求項44の方法。
【請求項46】
前記熱可塑性プラスチック層は、前記繊維層の厚さ方向に少なくとも部分的な流路で流れるように、この繊維層の周りで溶解される請求項45のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項47】
前記熱可塑性プラスチック層を冷却させて、周囲温度の特性に戻す工程をさらに含む請求項46のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項48】
前記プラスチック複合材は、流体貯蔵タンクの前記モールドから製造されて使用される請求項47のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項49】
前記プラスチック複合材は、航空機の翼のための流体貯蔵タンクの前記モールドから製造されて使用される請求項48のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項50】
前記プラスチック複合材は、道路の輸送用乗物のための流体貯蔵タンクの前記モールドから製造されて使用される請求項48のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項51】
前記プラスチック複合材は、貨車のための流体貯蔵タンクの前記モールドから製造されて使用される請求項48のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項52】
前記下塗剤は、前記繊維層に塗布される濡れ性の結合溶液であり、前記モールドを閉じる前に蒸発する溶剤を含む請求項37のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項53】
前記結合溶液は、前記溶剤として夫々モノマーのスチレンとメチルメタクリレート中に溶解されているポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートである請求項52のプラスチック複合材の製造方法。
【請求項54】
a)所定の内形を有するモールド内に、繊維層の材料を入れて、この材料を配置する工程と、
b)前記繊維層を前記モールドに対応した形状に形成する工程と、
c)熱可塑性プラスチック材料を前記モールド内に入れて、この材料を加熱する工程と、
d)前記熱可塑性プラスチックを前記繊維層に少なくとも部分的に浸透させる工程と、
e)固相から流動可能な状態へと変えるのに十分なように、第1の層を加熱する工程と、
f)前記モールド中に形成される物品の壁を形成するように、前記第1の層を、少なくとも1つの前記繊維層の厚さ方向に少なくとも部分的な流路で流させる工程と、
g)前記少なくとも1つの繊維層の少なくともいくつかの繊維が、前記第1の層中に埋封されるように、この第1の層を冷却する工程と、
h)前記モールドから前記物品を取り出す工程とを具備する、中空の複合容器の製造方法。
【請求項55】
第2の層を、前記第1の層が第2の層と結合するようにして形成するように、この第1の層中に埋封されていない前記繊維層の繊維に、熱硬化性樹脂を加える工程をさらに具備する請求項54の中空の複合容器の製造方法。
【請求項56】
前記繊維層を入れる前に、前記モールドに離型剤を塗布するさらなる前工程を具備する中空の複合容器の製造方法。
【請求項57】
モールドにより製造された移動可能な貯蔵タンクであって、
内部空間を規定し、タンクの中身を保持するための壁を具備し、
この壁は、プラスチック材料の少なくとも2つの層と、これら層の各々に係合している強化層とにより形成されており、
これら層の第1の層は、熱可塑性プラスチック材料でできており、また、第2の層は樹脂でできており、
前記強化層は、プラスチック複合材を形成するように、前記2つの層の間に介在されており、
繊維層は、下塗剤によって前処理され、この下塗剤は、前記繊維層に塗布された濡れ性の結合溶液の溶剤であり、前記モールドを閉じる前に蒸発する溶剤を含む、移動可能な貯蔵タンク。
【請求項58】
前記結合溶液は、前記溶剤として夫々モノマーのスチレンとメチルメタクリレート中に溶解されているポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートである請求項57の移動可能な貯蔵タンク。
【請求項59】
プラスチック層の構造用複合材でできており、モールドで製造された中空の貯蔵容器であって、
内部空間を規定し、この空間中に中身を保持するための壁を具備し、
この壁は、プラスチック材料の少なくとも2つの層により形成されており、
これら層の第1の層は、熱可塑性プラスチック材料でできており、また、少なくとも第2の層は、熱硬化性樹脂と繊維層とでできている容器。
【請求項60】
前記繊維層は、前記複合材に補強を与えている請求項59の容器。
【請求項61】
前記繊維層は、前記熱可塑性プラスチック層中に少なくとも部分的に埋封されている請求項60の容器。
【請求項62】
前記繊維層は、前記熱可塑性プラスチック層の熱溶解によって、この熱可塑性プラスチック中に部分的に埋封されている請求項61の容器。
【請求項63】
前記熱可塑性プラスチック層は、露出した滑らかな第1の面と、この熱可塑性プラスチック層中に埋封された前記繊維層を有する第2の面を有する請求項62の容器。
【請求項64】
前記熱可塑性プラスチック層材料は、ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)から選択される請求項63の容器。
【請求項65】
前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ樹脂およびポリウレタンからなるグループから選択される請求項64の容器。
【請求項66】
前記繊維層材料は、織布、マットおよびフェルトからなるグループから選択される請求項65の容器。
【請求項67】
前記容器は、流体貯蔵タンクの少なくとも一部を形成している請求項66の容器。
【請求項68】
前記貯蔵タンクは、道路の輸送用乗物に組み込まれている請求項67の容器。
【請求項69】
前記貯蔵タンクは、線路の輸送用乗物に組み込まれている請求項67の容器。
【請求項70】
前記貯蔵タンクは、航空機の翼の道路の輸送用乗物に組み込まれている請求項67の容器。
【請求項71】
前記繊維層が、下塗剤により前処理された前記モールドに取り込まれる前に、前記下塗剤が、濡れ性の結合溶液であり、前記モールドを閉じる前に蒸発する溶剤を含む請求項59の容器。
【請求項72】
前記結合溶液は、前記溶剤として夫々モノマーのスチレンとメチルメタクリレート中に溶解されているポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートである請求項71の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−533238(P2009−533238A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554566(P2008−554566)
【出願日】平成19年2月17日(2007.2.17)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000165
【国際公開番号】WO2007/093006
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508250040)
【Fターム(参考)】