説明

複数試料の高速スクリーニングのためのガス収着テスタ

【課題】多数の物質試料のガス収着特性を同時に決定する装置を提供する。
【解決手段】本装置は、低容積導管の切換可能なマニホールド、およびセンサのアレイを含み、ここでそれぞれの低容積導管はガス収着物質の単一の試料を専用の検出器に流体的に結合する。切換可能なマニホールドは、試料を真空源または注入ガス源に流体的に結合するようにも構成される。導管の非常に小さい内部容積のために、特定の試料から放出される実質的に全てのガスは、放出されたガスの収着を通して、圧力を測定することによって、または他の手段によって、対応する検出器によって正確に検出される。このようにして試料によって放出されたガスの量が非常に正確に測定される。ある実施形態においては、センサのアレイは、水素化物ベースのセンサを含み、このセンサは、水素を含むガスに曝露されると光学的および/または電気的に応答性を有する水素化物を生成する物質を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、「METHODS AND APPARATUS FOR COMBINATORIAL DETERMINATION OF SORPTION PROPERTIES」と題された2007年9月18日に出願され、シリアル番号60/973,248を持つ米国仮特許出願優先権の利益を主張する。この関連した出願の主題は、ここで参照により援用される。
【0002】
本発明の実施形態は、広くは、少量の気体または液体に対して計測をおこなう装置に関し、具体的にはガス収着物質の複数の試料にガス収着計測をおこなう装置に関する。
【背景技術】
【0003】
コンビナトリアル化学を用いた物質の合成は、組成物における小さな変化形および/またはいちどに10番台、100番台、1000番台の構造番号(structure numbering)を有する新しい物質を作るのに効果的に用いられてきた。そのような物質処理方法は、新しく改良された化学物質、医薬品、半導体材料およびデバイスの発見につながった。しかし関係する多くの異なる物質のために、コンビナトリアル方法は、それによって作られた多くの種類の新しい物質の物理特性の高速スクリーニングが利用可能である場合だけ、適時の物質発見につながりえる。
【0004】
ガス収着物質の場合、それぞれの新しい物質のガス収着特性がテストされなければならない。すなわち、吸収、吸着、脱着、物理収着、および/または化学吸着特性であり、単一の試料のためのそのようなテストでさえ、長く、労働集約的なプロセスである。そのようなテストは、物質について圧力−組成−温度(PCT)曲線を確立すること、および等温反応動態および容量測定、熱力学的測定(ファントホッフ曲線)および温度プログラム脱着(TPD)計測をおこなうことを含む。
【0005】
それぞれのPCT曲線を確立する収着テストは、時間がかかり、高精度圧力トランスデューサのような非常に好感度の機械を必要とする。加えて、ガス収着物質の動態収着特性および熱力学的安定性に関する情報を集めることは、さらに時間のかかるテストをそれぞれの試料について典型的には要求する。よって、新しい物質の収着特性を特徴付けることは、比較的、費用がかかり、長いプロセスであり、特に現在のテスト手法では、複数の試料にわたって高速スクリーニングまたはテストをおこなうことはできなかった。多くの新しい物質を特徴付ける要求がますます高まっていることを鑑みれば、現在の手法は、効率的に、またはコスト効率よく、多くの異なる物質がテストされるように分析できず、特にコンビナトリアル手法を用いて開発された物質はそうである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、複数のガス収着試料の高速なスクリーニングのための装置および手法に対する要求がこの技術にはある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある実施形態は、多数の物質試料のガス収着特性を同時に決定する装置を提供する。本装置は、センサのアレイおよび試料のアレイを、真空源、注入ガス源、およびそれら互いに流体的に結合するよう構成される切換可能なマニホールドを含む。センサのアレイは、圧力トランスデューサ、従来のガス検出器、抵抗センサ、および水素化物ベースのセンサを含む水素誘起相転移物質を含みえる。
【発明の効果】
【0008】
開示された装置のある優位性は、多数の物質試料のガス収着特性を同時に効率よく正確に決定するのに用いられえることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の上述の特徴が詳細に理解されるように、上に簡単に要約された本発明のより具体的な記載が、実施形態を参照して与えられ、そのうちいくつかは添付の図面に示される。しかし添付の図面は、本発明の典型的な実施形態だけを示すのであって、本発明の範囲を限定するものとは考えられず、本発明は、他の同様に効果的な実施形態をも含みえる。
【0010】
明瞭さのために、あてはまる場合には、同一の参照番号は、図のあいだで共通である同一の要素を指すために用いられている。ある実施形態の特徴は、さらなる参照なしに他の実施形態へ援用されえると考えられる。
【0011】
本発明の実施形態は、大量の物質試料のガス収着特性を同時に決定する装置を想定する。本装置は、低容量導管の切換可能なマニホールドおよびセンサのアレイを含み、ここでそれぞれの低容量導管は、ガス収着物質の単一の試料を専用の検出器に流体的に結合する。切換可能なマニホールドは、試料および/またはセンサを真空源および注入ガス源(dosing gas source)に流体的に結合するようにも構成される。導管の非常に小さい内部容積のために、特定の試料から放出された実質的に全ての気体は、放出されたガスの収着を通して、圧力を測定することによって、または他の手段によって、対応する検出器により正確に検出される。このようにして、試料によって放出された気体の量の非常に正確な測定がなされる。代替として、導管の非常に小さい内部容積中の気体の実質的に全てが、試料によって吸収されえ、吸着または吸収された気体の量は、放出された気体の収着を通して、圧力を測定することによって、または他の手段によって、対応する検出器によって測定される。ある実施形態において、センサのアレイは、水素化物ベースのセンサを含み、これらは水素を含む気体に曝されると、光学的におよび/または電気的に応答する水素化物を生成する物質を含む。
【0012】
図1は、本発明のある実施形態による、複数の試料に同時にテストを実行するよう構成されたガス収着装置100の概略図である。ガス収着装置100の主要な要素は、切換可能なマニホールド101、センサ102A〜Dのアレイ102、複数の試料103A〜D、注入ガス源104および真空源105を含む。改良されたパフォーマンスのために、ガス収着装置100は、バルブコントローラ111に結合されたコントローラ110、圧力コントローラ112、温度コントローラ113、ヒータアセンブリ115、およびデータ収集システム114を含む。コントローラ110は、マイクロプロセッサのような電子コントローラであり、ガス収着装置100の動作、例えばバルブ操作、圧力制御、真空制御、電子的データ収集、温度制御および/または注入(dosing)の量および頻度、を制御するよう構成される。
【0013】
切換可能なマニホールド101は、低容積流路によって試料103A〜Dを検出器102A〜Dに流体的に結合するよう構成される。この目的のために、切換可能なマニホールド101は、低容積導管106を含む。ガス収着装置100によって実行されるガス収着テストの改善された正確さのために、低容積導管106の内部容積は、有利には最小化される。ある実施形態において、低容積導管106は、2mm以下の内部直径を有する、小さい直径の電解研磨されたステンレス合金を備える。代替の実施形態においては、低容積導管106は、例えば、レーザードリル、化学成長(chemical growth)、化学エッチング、または他の技術によって、切換可能なマニホールド101のボディを通して形成された小さい直径の穴でありえる。そのような実施形態において、低容量導管106は、1ミクロン程度に小さい外側直径を持ちえる。よって与えられた試料および対応するセンサの間の全自由容積は、0.1ml以下でありえる。
【0014】
低容積導管106が形成される材料は、好ましくは、低気体透過性およびガス放出によって特徴付けられ、例えばステンレス合金、ガラス、セラミック材料、アルミナ、Macor(商標)、および他の超高真空(UHV)対応の材料である。ある実施形態において、低容積導管106は、センサ102A〜Dを試料103A〜Dから熱的に絶縁することによって、それぞれのセンサがその対応する試料とは実質的に異なる温度において維持されるよう構成されえる。例えば、低容積導管106は、非常に少ししか熱を伝えない小さい直径の管材から形成されえる。代替として、低容積導管は、熱的に絶縁性がある材料、例えばアルミナの中身の詰まったブロックを通してドリルで穴を開けられるか、または形成されえる。このようにして、試料およびセンサは、熱的に結合しないようにされ、ガス収着装置100によって実行される収着テストの種類においてより大きな融通性が可能になる。
【0015】
切換可能なマニホールド101は、センサ102A〜Dを注入ガス源104または真空源105に流体的に結合すると共に、センサ102A〜Dを試料103A〜Dにそれぞれ流体的に結合したり、隔離したりする、回転バルブおよび/またはスライドバルブのような1つ以上の非常に小さい押しのけ量のバルブを含む。非常に小さい押しのけ量のバルブは、この技術で知られており、中の詰まった材料を通して形成される導管が封止されなければならない応用例についてはよく適している。例えば、非常に小さい押しのけ量のバルブまたはバルブ群は、封止ガスケット間に流体結合穴および溝を持つ回転式またはスライド式プレートのシステムとして、切換可能なマニホールド101のボディ中に一体化されえる。加えて、非常に小さい押しのけ量のバルブの使用は、PCT測定のような、圧力および容積依存の測定において誤差を大幅に少なくしえる。スライドバルブ406の機械的構造および動作の例は、図4Aを参照して以下に説明される。
【0016】
アレイ102は、複数のセンサ102A〜Dを含み、それらのそれぞれは、単一の低容積導管106に流体的に結合される。センサ102A〜Dは、図1に示されるように、個々に低容積導管106と流体的に接触するように配置されえる。代替として、センサ102A〜Dは、図5〜7を参照して以下に説明されるように、単一のアセンブリまたはセンサアレイとして構成されえる。センサ102A〜Dは、使用される特定の注入ガスおよび実行される具体的なテストに依存して、広い範囲の可能なセンサタイプから選択されえると想定される。アレイ102中で用いられえるセンサは、圧力トランスデューサおよび従来のガス検出器を含む。ある実施形態において、注入ガスが水素を含む気体であるとき、アレイ102は、水素化物ベースのセンサを含みえ、これらセンサは、水素を含む気体に曝されると光学的および/または電気的に応答する水素化物を生成する物質を含む。簡明さのために、ガス収着装置100は、図1においては4つのセンサ102A〜Dだけを持つように示され、かつアレイ102はリニアアレイとして描かれている。しかし、本発明の実施形態は、例えば10個または100個単位のセンサのような、多くのセンサを含むアレイ102を想定する。さらに、アレイ102を構成するセンサは、図8に示されるように、2次元アレイで構成されえ、この2次元アレイは、それぞれの検出器を互いに流体的に隔離する手段を有する。センサまたはセンサアレイは、実験条件に依存してセンサタイプが変更できるよう交換可能であり、または汚染されたり、または動作しなくなったりしたときに容易に交換されえる。
【0017】
上述のように、アレイ102のセンサA〜Dは、圧力トランスデューサでありえ、これらは、ガス収着テストを実行するのに必要な程度に、低容積導管106のそれぞれにおける相対的または絶対的圧力における変化を検出することができる高精度圧力測定デバイスである。例えば、アレイ102において使用するのに適する圧力トランスデューサのタイプは、ひずみゲージ圧力トランスデューサ、圧電圧力トランスデューサ、またはModel 870B Micro-Baratron(登録商標)またはチップベースのマイクロ圧力センサのような容量マノメータを含む。ある実施形態において、アレイ102中のそれぞれのセンサは、複数の圧力トランスデューサのアレイを含みえ、それぞれは、異なる動作圧力範囲を有する。
【0018】
アレイ102が圧力トランスデューサを含むとき、ガス収着装置100は、特定の気体が試料103A〜Dのそれぞれに吸着またはそれぞれから脱着するときに特定の気体のPCT測定またはTPD測定を実行するためのシーベルト(Sievert)のデバイスとして用いられえる。この実施形態においては、センサ102A〜Dのそれぞれは、温度センサも含みえる。このようにして、テストされている注入ガスの温度および圧力の両方が知られる。上述のように、テストのあいだ、センサ102A〜Dは、低容積導管106を介してそれぞれ試料103A〜Dに流体的に結合される。低容積導管106の内部容積は小さく、正確に知られた容積なので、注入ガスの収着または脱着によるセンサ102A〜Dおよび試料103の間の容積で起こる圧力変化は、複合されている。したがって、それぞれの物質試料へ、またはそれから流れる注入ガスの質量は、非常に正確に決定されえる。
【0019】
アレイ102は、可燃性ガス検出器または他のガスセンサのような、この技術分野で知られる従来のガスセンサを含みえる。この実施形態においては、センサ102A〜Dは、抵抗変化のような、センサに含まれる応答性物質の特性変化に基づいて、試料103A〜Dから放出された、またはそれらによって吸着された注入ガスの量を定量化するのに用いられえる。応答性物質の抵抗は、どのくらい注入ガスが存在するかの関数でありえるので、脱着された注入ガスの量は容易に測定される。代替として、アレイ102は、燃料電池ベースのセンサを含みえ、これらは注入ガス、特に水素を含むガスと反応し、電圧を発生するよう設計される。さらに他の代替の実施形態においては、アレイ102は、低容積導管106内のガスの密度を測定する熱伝導度またはガス抵抗センサを含みえる。注入ガスとのセンサ反応に基づく測定の正確さは、ガス収着装置100の構成によって向上されえるが、これは低容積導管106の内部容積が小さく、既知であるからである。電気的に応答する物質を用いたセンサの例示的実施形態は、図5を参照して以下に説明される。
【0020】
ある実施形態において、アレイ102は、水素化物ベースのセンサを含みえ、これらは、水素を含む気体に曝されると、光学的および/または電気的に応答する水素化物を生成する物質を含む。ここで定義されるように水素化物を生成する物質は、水素と接触して物理的特性を変化させる任意の物質を含み、化学量論的水素化物化合物の生成を必ずしも意味しないと意図される。水素化物ベースのセンサにおいて用いられえる水素化物生成物質は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、マグネシウム−チタン(Mg−Ti)合金、マグネシウム−ニッケル(Mg−Ni)合金、およびさまざまなパラジウム(Pd)合金を含む。実際、たいていの水素化物は、非水素化物物質からの生成のあいだ、なんらかの光学的変換および/または電気的特性変化を経る。したがって、多くの他の可能性のある水素化物生成物質もそのようなセンサにおいてある程度、用いられえる。再び、低容積導管106の小さい内部容積は、測定の正確さを改善するのに有益である。光学的に応答する水素化物ベースのセンサの例示的実現例は、図6および7を参照して以下に説明される。
【0021】
イットリウムは、本発明のある実施形態によれば、水素化物ベースのセンサにおいて用いられえる光学的に応答する物質の一例である。イットリウムは、可視光波長において非常に反射率が高く、それぞれ異なる反射率を有する水素化物(YHおよびYH)を生成する。YHは、イットリウムよりわずかに反射率が小さく、YHは、ほとんど透明である。したがって、水素ガスがイットリウムに接触するとき、イットリウムによって吸収される水素が多いほど、光学的検出器はイットリウムの表面から反射される光をより少なく受け取る。吸収された水素ガスの量と光学的検出器によって受け取られる光の強度との間の相関性が成り立ちえ、よってセンサの反射率は、検出器によって吸収されたガスの量を表し、したがって試料によって放出されたガスの量を表す。このようなプロセスは、検出器物質が典型的な動作条件下では可逆であるときに最も優位性をもつが、1回限りの使用の検出器も用いられえる。イットリウムのようないくつかの物質は、イットリウムの酸化を防ぎ、おそらくは水素のような活性ガスの解離のための触媒として働くために、パラジウムキャップのような活性の(active)ガス透過性コーティングを必要としえる。
【0022】
それぞれの試料103A〜Dは、収着試験のために準備された物質試料を含む。ゆえに、それぞれの物質試料は、気密性をもって周囲環境から隔離され、低容積のチャンバ内に保持される。それぞれの物質試料は、基板上に堆積された薄膜物質、バルク試料、または粉砕されたバルク試料のような、収着試験に適する任意の他の形態でありえる。ある実施形態においては、試料物質による低容積導管106の汚染および汚れを防ぐために、フィルタが、それぞれの試料と、それに流体的に結合された低容積導管106との間に配置されえる。センサ102A〜Dについて上述したように、試料103A〜Dのそれぞれは、図1に示されるように、低容積導管106と流体的に接触するよう別個に配置されえる。代替として、試料103A〜Dは、試料ライブラリのような単一のアセンブリとして構成されえる。本発明の実施形態による試料ライブラリは、図3を参照して以下に説明される。
【0023】
バルブコントローラ111は、圧力コントローラ112および切換可能なマニホールド101中に含まれる非常に小さい押しのけ量のバルブを操作することによって、注入ガス源104、真空源105、試料103A〜D、およびセンサ102A〜Dの間の接続を確立する。圧力コントローラ112は、注入ガス源104から切換可能なマニホールド101へ導入されるガスの圧力を制御するが、これはある種の収着測定には有益である。制御バルブは、手動の、またはソフトウェア制御された圧力レギュレータ、フロー制御デバイス、またはニードルバルブを含みえる。温度コントローラ113は、ヒータアセンブリ115を構成する個別ヒータ116を制御することによって、試料103A〜Dおよびセンサ102A〜Dのそれぞれを所定の温度または制御された温度変化率のような温度履歴に維持する。図1に示されるように、個別ヒータ116は、試料103A〜Dおよび/またはセンサ102A〜Dのそれぞれの近傍に配置されえる。試料および検出器の温度を制御することは、ある種の収着測定をおこなうのに役立つ。データ収集システム114は、センサ102A〜Dのそれぞれから情報を得るよう構成される。この情報は、例えば電気的接続によって、光学的接続によって、またはセンサを画像化する光学システムを通して、獲得されえる。
【0024】
動作時には、ガス収着装置100は、複数の試料に対して1つ以上の収着試験を同時に実行するよう構成される。アレイ102中のセンサのタイプに依存して、ガス収着装置100は、試料103A〜Dに対してPCTおよびTPD試験を実行しえ、試料についての動力学的および熱力学的安定性の情報を生成する。そのような試験の過程で、切換可能なマニホールド101は、試料103A〜Dおよび/またはセンサ102A〜Dを互いに流体的に結合すると共に、注入ガス源104に、および真空源105に流体的に結合する。図2A〜Gは、本発明の異なる実施形態によってそのような試験の過程でガス収着装置100によって実行されるさまざまな操作を概略的に示す。
【0025】
図2Aは、試料103A〜Dおよびセンサ102A〜Dを真空源105に流体的に結合することによって、それらの中に含まれる気体を排気するよう位置付けられた切換可能なマニホールド101を有するガス収着装置100を概略的に示す。排気は、試料103A〜Dの試験の準備プロセスの一部として実行されえる。図2Bは、脱着PCT注入測定(desorption PCT dosing measurements)に備えて、試料103A〜Dおよびセンサ102A〜Dに完全に給気するために、試料103A〜Dを注入ガス源104に流体的に結合するよう位置付けられた切換可能なマニホールド101を有するガス収着装置100を概略的に示す。図2Cは、試料103A〜Dのそれぞれを対応するセンサ102A、102B、102C、または102Dに流体的に結合するよう位置付けられた切換可能なマニホールド101を有するガス収着装置100を概略的に示す。この構成においては、センサ102A〜Dのそれぞれは、もしあるにしても非常に小さな自由体積しか有しない流体路、すなわち低容積導管106によって、対応する試料に直接「ガス接触(gas contact)」している。図2Dは、センサ102A〜Dのそれぞれを真空源105に流体的に結合することによって、センサ102A〜Dを排気するよう位置付けられた切換可能なマニホールド101を有するガス収着装置100を概略的に示す。図2Eは、試料103A〜Dのそれぞれを真空源105に流体的に結合することによって、試料103A〜Dを排気するように位置付けられた切換可能なマニホールド101を有するガス収着装置100を概略的に示す。図2Fは、センサ102A〜Dのそれぞれを注入ガス源104に流体的に結合することによって、センサ102A〜Dを注入ガスで給気するように位置付けられた切換可能なマニホールド101を有するガス収着装置100を概略的に示す。図2Gは、試料103A〜Dのそれぞれを注入ガス源104に流体的に結合することによって、試料103A〜Dを注入ガスで給気するように位置付けられた切換可能なマニホールド101を有するガス収着装置100を概略的に示す。
【0026】
図2A〜Gにおいて、センサ102A〜Dおよび試料103A〜Dの互いに対しての流体的結合および隔離と共に、注入ガス源104、真空源105への流体的結合および隔離は概略的に示されている。当業者であれば、ここに説明されるように、低容積導管106およびスライディングおよび/または回転バルブをどのように構成してそのような流体的結合を実現するかは容易に理解できるだろう。さらに、試料103A〜Dまたはセンサ102A〜Dを注入ガス源104に、真空源105に、および/またはそれらを互いに同時に流体的に結合することは有利でありえるが、切換可能なマニホールド101によって試料103A〜Dおよび/またはセンサ102A〜Dのそれぞれの流体的結合を個別に制御することも本発明の範囲に入る。より複雑にはなるが、必要に応じて試料103A〜Dまたはセンサ102A〜Dのそのような個別の接続を可能とするスライディングおよび/または回転バルブのシステムをどのように構成するかは当業者なら容易に理解できるだろう。
【0027】
例として、図2A〜Gに示されるガス収着装置100の異なる構成について吸収PCT測定プロシージャが説明される。まず図2Aに示されるように、センサ102A〜Dおよび試料103A〜Dが排気される。次に図2Fに示されるように、試料103A〜Dが隔離され、注入ガスがセンサ102A〜Dに導入される。それから図2Cに示されるように、センサ102A〜Dが試料103A〜Dに流体的に結合され、試料103A〜Dのそれぞれが注入ガスを吸収するときに、センサ102A〜Dおよび対応する低容積導管106のそれぞれにおけるガス濃度の変化が測定される。センサ102A〜Dおよび低容積導管106のそれぞれにおけるガス変化の量は、試料103A〜Dのそれぞれによって吸収されたガスの量を計算するのに用いられ、それぞれの試料についてのPCT曲線上の点がプロットされる。それからこのプロシージャは、さらなる点を生成するためにより高い圧力において繰り返されることによって、試料103A〜DのそれぞれについてPCT曲線の全体を構築する。脱着PCT曲線は、試料103A〜Dおよびセンサ102A〜Dの両方をガス源に最も高い圧力で曝すことによって、最も高い圧力において試料および検出器を完全に給気することから始め、それから上述のステップにおいてセンサおよび導管内の圧力を減らすことによって、それぞれの試料から注入ガスを抜くことを除けば、同じやり方で実行されえる。
【0028】
真の平衡PCT曲線を構築するためには、センサ102A〜Dのそれぞれは、濃度センサではなく圧力センサであることが必要であるが、これは最終的な平衡圧力がそれぞれの注入(dose)においてわからなければならず、また濃度は、体積、ガス温度および圧力変化を知ることによって古典的なシーベルト法で決定されえるからであることに注意されたい。高度に正確で、別個の圧力センサのアレイを作ることは難しいので、ある実施形態においてガス収着装置100は、正確さに劣るが、より容易な方法でそのような測定を実行しえる。すなわち、図6および7を参照して以下に説明されるような金属水素化物光学センサのような濃度センサは、それぞれの注入について濃度変化だけを測定する。この濃度変化は、印加された注入圧力に対してプロットされえ、これは注入ガス供給ラインにおける単一の圧力センサから導かれえる。このようにして、試料102A〜Dのそれぞれの格納体積が定量化され、概略のPCTプロットが構築される。注入ガス圧力を非常に規則的なステップで変えることによって、または少なくともステップ間のソース圧力における差を知り、濃度変化を測定することによって、真のPCT曲線を構築するために、それぞれの試料についての平衡圧力を逆算することが可能である。
【0029】
動態(kinetics)およびTPD測定は、ガス収着装置100を図2A〜Gに示されるように構成することによってもガス収着装置100によって実行されえる。このような測定は、濃度対時間および濃度対温度であるので、これら測定についてのそれぞれの試料のために個別の圧力センサを有する必要はない。
【0030】
ある実施形態において、試料103A〜Dは、試料ライブラリ中に配置され、これは収着試験の前に低容積導管106と流体的に接触するよう配置される。図3は、本発明のある実施形態による試料ライブラリ300の概略図である。試料ライブラリは、複数の試料領域sを含み、それぞれは境界bによって囲まれる。試料領域sは、ガラス基板、金属基板、またはシリコンウェハのような基板の表面上の離散化された領域である。試料領域sのそれぞれは、異なる物質組成を含みえる。試料ライブラリ300中に含まれる複数の物質組成は、任意の既知のコンビナトリアルな手法または離散または連続堆積技術を含む他の技術的に可能なアプローチによって形成されえる。例えば、連続的に変わる混合物の物質組成の連続的なスペクトラムは、基板上に異なる物質の共同堆積(co-deposition)を用いて、試料ライブラリ300の基板上に形成されえる。それから試料領域sは、ほぼ一定の組成である小さな領域に基板を分割することで、基板上の連続的に変化する混合物を離散化する。このようにして、ガス収着装置100を用いて、異なる組成の多くの試料が速く用意され、同時に測定されえる。ある実施形態においては、試料ライブラリ300中の1つ以上の試料領域sは、レファレンスまたは較正の目的で使用されるべき、既知の収着特性の物質組成を含む。
【0031】
それぞれの試料領域sのサイズは、例えば数10または数100のような、多くの異なる物質組成が単一の試料ライブラリ中に含まれ、ガス収着装置100によって同時に試験されえるように、比較的小さくありえる。それぞれの試料領域sの最小面積は、境界bの最小幅の実際的な限界および与えられた収着試験のために要求される正確さによってのみ制限される。試料領域sが小さければ小さいほど、より少ない総量のガスを吸着または脱着できるので、任意の収着試験の正確さは、それぞれの試料領域sの面積が小さくされ、それぞれの試料領域sの厚さが小さくされるに従って悪影響を受けえる。
【0032】
境界bの物質は、試料の間に気体または液体バリアを形成することによって、収着試験のあいだ、それぞれの試料領域sが隣接する試料領域から完全に隔離されるよう選択される。ある実施形態において境界bは、単純に、試料物質が堆積されていない試料ライブラリ300の領域である。他の実施形態においては、境界bは、隔離部材を含む。隔離部材は、低容積導管106と気密性の封止を確立するために用いられる、突出した封止材料でありえる。この実施形態において、切換可能なマニホールド101の表面は、滑らかで、磨かれた表面であり、この表面に対して隔離部材が押し付けられることによって、それぞれの試料領域sを隣接する試料領域から隔離する一方で、それぞれの試料領域sを対応する低容積導管106に流体的に結合する。
【0033】
薄膜試料から収着および脱着されるガスの量は非常に小さいため、隔離部材から漏れるガスの量が小さくても、収着試験の正確さに悪影響を及ぼしえる。その結果、隔離部材は、収着試験に関連付けられる温度および圧力の広い範囲にわたって、ガスの漏れまたはガス透過性が実質的にない材料から形成されえる。OリングまたはUHV高温エポキシのような、多くのUHV対応材料は、この目的のために用いられえ、よく知られている。他の例では、隔離部材は、境界sにおいて堆積されたグリッドでありえ、このグリッドは、ニッケルまたは銅のような比較的柔らかい金属で形成される。他の実施形態においては、隔離部材は、図4A、4Bを参照して以下に説明されるように、切換可能なマニホールド101の表面に一体化される。
【0034】
図4A、4Bは、試料ライブラリ300のそれぞれの試料領域sの、隣接する試料領域からの隔離のある実施形態の概略側面図を示す。図4Aにおいて、試料ライブラリ300は、試料受器の上に取り付けられるよう用意され、試料受器402の近傍に配置される。図4Bにおいて、試料ライブラリ300は、試料受器402上にマウントされたかたちで示され、ガス収着装置100による収着試験の準備が整っている。この実施形態においては、試料ライブラリ300が試料受器402上に取り付けられているとき、それぞれの試料領域sは、専用の低容積導管106に流体的に結合され、隣接する試料領域sから流体的に隔離されている。試料受器402は、隔離部材405とアラインされるナイフエッジ401のアレイと共に構成され、隔離部材405は試料ライブラリ300上に配置される。この実施形態において、隔離部材405は、銅、ニッケル、またはUHV対応ポリマーのような比較的軟らかい材料から形成されえ、ナイフエッジ401は、ステンレス鋼のような比較的硬い材料から形成されえる。よって試料ライブラリ300が試料受器402上に取り付けられるとき、ナイフエッジ401は、隔離部材405と係合することによって試料領域sのそれぞれを流体的に隔離する。代替として、試料受器402は、ナイフエッジ401と共に構成されなくてもよく、その代わりに隔離部材405と実質的に平坦で磨かれた表面で係合することによって、気密性封止を形成する。他の代替の実施形態においては、切換可能なマニホールド101の表面は、隔離部材405に押し付けられることによって、それぞれの試料領域sを隣接する試料領域から隔離しつつ、それぞれの試料領域sを対応する低容積導管106に流体的に結合する、ナイフエッジ状の突出された材料の隔離するリング、または四角形のアレイを含みえる。さらに他の実施形態において、試料ライブラリ300の基板全体は、ナイフエッジ材料401よりも軟らかい材料で構成されることによって、ナイフエッジ材料が離散化された試料領域sの間の基板に、または非離散化連続試料sを通して押し付けられることによって、それぞれの試料領域sを隣接する試料領域から隔離する一方で、それぞれの試料領域sを対応する低容積導管106に流体的に結合する。試料受器402は、ナイフエッジ401の間に配置される低容積導管106も含み、スライディングバルブ406によって、切換可能なマニホールド101に流体的に結合またはそれから分離される。スライディングバルブ406は、矢印407によって示されるように、水平方向に平行移動することによって、試料受器402およびその上にマウントされた任意の試料ライブラリを流体的に結合および分離する。
【0035】
ある実施形態において図1のアレイ102は、収着試験のあいだ試料物質から放出されたガスの量を定量化するために、電気的に応答性をもつ物質を備えるセンサを含む。上述のように、そのようなセンサは、水素化物ベースのセンサまたはより従来のガス検出器を含みえる。いずれの場合も、注入ガスへの曝露および注入ガスとの反応は、センサに含まれる電気的に応答性を有する物質に、抵抗または電気化学ポテンシャルのような1つ以上の電気的特性における変化を生じさせる。電気的特性におけるこの変化は、電気的応答性物質と反応した注入ガスの量、または電気的応答性物質と流体的に接触する注入ガスの濃度のいずれかを定量化するためにそれから用いられえる。いずれの場合も、試料によって放出されたガスの量は容易に計算されえる。
【0036】
図5は、本発明のある実施形態による、電気的に応答性を有する物質501を含むセンサアレイ500の概略側面図である。センサアレイ500は、アレイ102のある実施形態であり、複数のセンサdを含み、これらは低容積導管106およびスライディングバルブ406を介して対応する試料(不図示)にそれぞれ流体的に結合される。それぞれのセンサdは、データ収集システム114に信号を与える導体を有する。
【0037】
ある実施形態において、図1のアレイ102は、収着試験のあいだ、試料物質から放出されたガスの量を定量化するために、光学的に応答性を有する物質を持つセンサを含む。上述のように、そのようなセンサは、水素化物ベースのセンサを含みえ、水素ガスへの曝露および水素ガスとの反応は、センサに含まれる光学的に応答性を有する物質に、可視光の反射率および/または透過率のような1つ以上の光学的特性における変化を生じさせる。
【0038】
図6は、本発明のある実施形態による、光学的に応答性を有する物質601を含むセンサアレイ600の概略側面図である。センサアレイ600は、アレイ102のある実施形態であり、複数のセンサ602を含み、これらは低容積導管106およびスライディングバルブ406を介して対応する試料(不図示)にそれぞれ流体的に結合される。動作において、光源からの照射605はセンサ602上に導かれ、センサ602から反射された光606は、光学検出器608によって集められる。光学検出器608は、複数のセンサ602の状態を1つ以上の画像としてキャプチャするデジタルカメラでありえる。この画像は、図1中のデータ収集システム114にそれから記憶され、および/またはそれによって処理される。代替として、光学検出器608は、光電セルのような複数の光センサを含みえ、それによりそれぞれのセンサ602は対応する、専用の光センサを有する。よって、それぞれのセンサからの光学的応答は、同時にまたは個別に集められえる。上述のように、注入ガスへの曝露は、光学的応答性物質の反射率および/または透過率の変化を生じ、これは光学的検出器608またはここで説明されている検出器によって測定される。
【0039】
図7は、本発明の代替の実施形態による、光学的応答性物質701を含むセンサの概略側面図であり、アレイ102に含まれえる。センサ602と同様に、注入ガスのセンサ700への曝露は、光学的検出器によって検出および/または記録されえる光学的応答を、光学的に応答性を有する物質701に生じさせる。しかしセンサ700においては、光学的応答性物質701は、注入ガスが吸着されるにつれ反射率および/または透過率が徐々に変化するのではなく、注入ガスが吸着されると、色、透明性および/または反射率のはっきりした変化を生じる。このようにして、光学的応答性物質701のはっきりと規定された領域は、センサ700が適切な化学物質の注入ガスに曝露されるとき、色を変える。例えば、センサ700によって測定されている注入ガスが水素であるとき、光学的応答性物質701は、イットリウムベースまたはランタンベースの化合物である。この技術分野で知られるように、そのような化合物は、ここで想定されるようにセンサ700が機能するために必要な、はっきりした反射率の変化を作りえる。
【0040】
不要な光学的変化または不動態化を生じえる周囲の水素および他の汚染から光学的応答性物質701を隔離するために、センサ700は、光学的応答性物質701を隔離する保護レイヤ705を含む。レイヤ705は、元々ある酸化イットリウムまたは二次的に堆積された酸化金属または不透過性金属またはポリマーレイヤでありえ、これはそれを通って水素の拡散を防ぐものとして知られる。センサ700は、示されるように、保護レイヤ705の開口707に堆積され、開口707を封止するパラジウムオリフィスまたはウィンドウ702も含む。よって、パラジウムオリフィス702は、低容積導管106および光学的応答性物質701に存在するガスの間の流体的接触を防ぎ、封止開口707中の応答性物質701の酸化または不動態化を防ぐ。しかし、水素はパラジウム中を容易に拡散するので、光学的応答性物質701は、低容積導管106およびパラジウムオリフィス702を介して導入される水素にだけ曝露されなければならない。センサ700は、開口707上に中心をおく、異なる色、透明性、または反射率の円形の反応が起こされた領域を形成することによって水素への曝露に応答し、ここで反応が起こされた領域の直径は、センサ700によって吸着された水素ガスの量に容易に相関付けられる。センサ700中の反応が起こされた領域の直径および同じ試料ライブラリ中の他の全てのセンサにおける反応が起こされた領域の直径は、デジタルカメラのような光学的検出器によってそれから同時に記録されえる。
【0041】
図8は、収着試験の後の複数のセンサ700を含むセンサアレイ800の概略上面図である。示されるように、円形領域801は目に見え、その直径は容易に測定される。よって、それぞれの試料の脱着されたガス濃度は、単一の測定または一連の測定におけるそれぞれの試料の、圧力および温度に対するガスとして相関付けられえる。代替の実施形態において、センサアレイ800は、ガスが予め満たされて完全に吸着された状態にされ、それからガス源として振る舞うそれぞれのセンサを持つ試料アレイに曝露される。それぞれの試料によって吸着されたガスの濃度は、センサアレイ800の脱着された円形領域801の直径によって定量的に測定されえる。加えて、時間と共に起こる円形領域801の直径の測定された増加(試料の脱着)または減少(試料の吸着)は、与えられた温度または制御された温度変化による試料のアレイのガス脱着または収着の個別の動態の測定を提供しえる。
【0042】
ある実施形態において、図5のセンサd、図6のセンサ602、および/または図7のセンサ702を含むセンサアレイは、シリコン基板、またはガラスのような光学的に透明な基板上に形成されえる。堆積およびエッチング処理技術は、単一の基板上に非常に小さい多数のセンサを効率よく製造することによって、多くの異なる物質組成のスクリーニングを促進するのにとても適する。電気的および/または光学的に応答性を有する物質のいずれかを含むセンサがこのようにして形成されえる。
【0043】
ある実施形態において、センサアレイ102のようなセンサアレイは、試料ライブラリ300について上述された同じ技術を用いて図1の切換可能なマニホールド101に取り付けられえ、その結果、それぞれのセンサは、それぞれの隣接するセンサから流体的に隔離されながらも、対応する試料物質に流体的に結合される。
【0044】
ある実施形態において、水素ガスの小さな貯蔵器として水素化物ベースのセンサが用いられえ、したがって「ミニ・ドーサー」として用いられえる。例えば、センサアレイ800は、水素で注入されることによって、それぞれのセンサ700が既知の量の水素ガスを含む。試料ライブラリ中の試料物質はそれから図1の真空源105に流体的に結合されえ、および/または必要に応じてそれぞれの試料物質中に含まれる水素または汚染物質を放出するために加熱されえる。センサ700は、試料ライブラリに流体的に結合されえ、必要に応じて水素をそこから放出するために加熱されえる。それぞれの試料への水素の収着は、それぞれのセンサ700によって実際に放出された水素の量を比較することによってそれから容易に定量化されえる。それぞれのセンサ700の水素含有量は、光学的に測定されえ、これは速く正確になされえるので、センサ700の水素含有量の測定は、与えられた試験の期間を通して複数回実行されえる。このアプローチは、多数の物質試料についての動態および熱力学的安定性の情報を同時に収集することを可能にする。ある実施形態においては、そのように試験される1つ以上の試料は、水素を吸着しないと知られている物質を備える制御試料でありえる。そのような制御試料は、特定の圧力および温度において、および収着試験のあいだの任意の時刻において、低容積導管106中にどのくらいの量の水素が存在するかを定量化することによって、収着試験の較正を助けるのに用いられえる。
【0045】
上述のことは、本発明の実施形態についてなされたものであるが、本発明の他のさらなる実施形態は、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく考えられえ、その範囲は特許請求の範囲によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のある実施形態による、複数の試料に同時に試験をおこなうよう構成されたガス収着装置の概略図である。
【図2A】本発明の実施形態による、収着試験の過程におけるガス収着装置によって実行される操作を概略的に示す図である。
【図2B】本発明の実施形態による、収着試験の過程におけるガス収着装置によって実行される操作を概略的に示す図である。
【図2C】本発明の実施形態による、収着試験の過程におけるガス収着装置によって実行される操作を概略的に示す図である。
【図2D】本発明の実施形態による、収着試験の過程におけるガス収着装置によって実行される操作を概略的に示す図である。
【図2E】本発明の実施形態による、収着試験の過程におけるガス収着装置によって実行される操作を概略的に示す図である。
【図2F】本発明の実施形態による、収着試験の過程におけるガス収着装置によって実行される操作を概略的に示す図である。
【図2G】本発明の実施形態による、収着試験の過程におけるガス収着装置によって実行される操作を概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態による、試料ライブラリの概略図である。
【図4A】試料ライブラリのそれぞれの試料領域を隣接する試料領域から隔離するある実施形態の概略側面図である。
【図4B】試料ライブラリのそれぞれの試料領域を隣接する試料領域から隔離するある実施形態の概略側面図である。
【図5】本発明の実施形態による、電気的応答性物質を含むセンサアレイの概略側面図である。
【図6】本発明の実施形態による、光学的応答性物質を含むセンサアレイの概略側面図である。
【図7】光学的応答性物質を含み、センサアレイ中に含まれえるセンサの他の実施形態の概略図である。
【図8】収着試験の後の複数のセンサを含むセンサアレイの概略上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガス収着測定を実行する装置であって、
切換可能なマニホールド、
前記切換可能なマニホールドに流体的に結合され、第1センサおよび第2センサを含むセンサのアレイ、
前記切換可能なマニホールドに流体的に結合され、第1試料および第2試料を含む試料のアレイ、
前記第1センサを前記第1試料に流体的に結合するよう構成された第1低容積導管、および
前記第2センサを前記第2試料に流体的に結合するよう構成された第2低容積導管
を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記第1および第2低容積導管のそれぞれの一部は、前記切換可能なマニホールドの本体部に形成された穴を備える装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記切換可能なマニホールドの一部は、熱的に絶縁する物質を備える装置。
【請求項4】
前記第1試料と熱的に接触する第1ヒータ、および前記第1センサと熱的に接触する第2ヒータをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記切換可能なマニホールドは、前記第1および第2試料を注入ガス源に、または真空源に流体的に結合するよう構成される装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記第1センサは、注入ガスの存在下で電気的または光学的に応答性を有する物質を備える装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記物質は、水素化物生成物質を備える装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記第1センサおよび前記第2センサは、単一の基板上に配置される装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記第1および第2低容積導管は、約0.1ml以下の自由体積を有する装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記第1試料および前記第2試料は、単一の基板を備える試料ライブラリ内に配置される装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記第1試料は既知の収着特性を有する物質を備える装置。
【請求項12】
水素化物生成物質、
前記水素化物生成物質に向けられた光学センサ、
前記水素化物生成物質に試験ガスを運ぶよう構成される流体導管、および
前記水素化物生成物質を前記流体導管から流体的に隔離するよう構成されるパラジウムオリフィス
を備え、
前記光学センサは、前記試験ガスに曝露されると前記水素化物生成物質中の変化を検出するよう構成される
ガス検出システム。
【請求項13】
請求項12に記載のガス検出システムであって、前記水素化物生成物質は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、マグネシウム−チタン(Mg−Ti)、マグネシウム−ニッケル(Mg−Ni)、およびパラジウム(Pd)からなるグループから選択される物質を備える装置。
【請求項14】
前記試験ガスを前記水素化物生成物質に運ぶよう構成される第2流体導管、および
前記水素化物生成物質を前記第2流体導管から流体的に隔離するよう構成される第2パラジウムオリフィス
をさらに備える請求項12に記載のガス検出システム。
【請求項15】
請求項12に記載のガス検出システムであって、前記水素化物生成物質は、水素の存在下で光学的応答性を有する物質を備えるガス検出システム。
【請求項16】
少なくとも1つのセンサを形成するよう構成される水素化物生成物質であって、前記水素化物生成物質は、注入ガスの存在下で光学的または電気的に応答性を有する、水素化物生成物質、
前記水素化物生成物質を第1試料に流体的に結合するよう構成される第1流体導管、および
前記水素化物生成物質を第2試料に流体的に結合するよう構成される第2流体導管
を備え、
前記第1および第2流体導管は2mm以下の内径を有する
ガス検出システム。
【請求項17】
前記第1および第2流体導管を前記水素化物生成物質に流体的に結合するよう構成される切換可能なマニホールドをさらに備える請求項16に記載のガス検出システム。
【請求項18】
前記第1および第2流体導管を注入ガス源に流体的に結合するよう構成される切換可能なマニホールドをさらに備える請求項16に記載のガス検出システム。
【請求項19】
前記第1および第2流体導管を真空源に流体的に結合するよう構成される切換可能なマニホールドをさらに備える請求項16に記載のガス検出システム。
【請求項20】
請求項16に記載のガス検出システムであって、前記水素化物生成物質は、少なくとも2つのセンサを形成し、第1センサは、前記第1流体導管を介して前記第1試料に流体的に結合され、第2センサは、前記第2流体導管を介して前記第2試料に流体的に結合されるガス検出システム。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図2F】
image rotate

【図2G】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−75105(P2009−75105A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238956(P2008−238956)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508108604)ハイ−エナジー エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】HY−ENERGY LLC
【住所又は居所原語表記】8440 Central Avenue,Suite 2B Newark,CA 94560 USA
【Fターム(参考)】