説明

設備位置情報管理システム

【課題】設備の巡回を効率的に行なうことができる設備位置情報管理システムを提供する。
【解決手段】設備位置情報管理システム1は、管理GISサーバ2と、管理GISサーバとインターネット10を介して通信可能なウルトラモバイルPC3とを有する。管理GISサーバ2は、通信ケーブル位置情報データベース4と、地図情報データベース5と、通信ケーブルの緯度経度情報及び地図情報を重ね合わせてウルトラモバイルPCに送信する通信ケーブル位置情報送信手段6と、通信ケーブル画像受信手段13とを備える。ウルトラモバイルPC3は、通信ケーブルの緯度経度情報及び地図情報を重ね合わせて受信する通信ケーブル位置情報受信手段7と、GPS衛星9によって自身の位置情報を取得する位置情報取得手段8と、通信ケーブルを撮像する撮像手段11と、通信ケーブル画像送信手段12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は設備位置情報管理システムに関する。詳しくは、通信ケーブル等の設備の埋設位置を管理する設備位置情報管理システムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電力供給配線、ガス供給配管及び通信ケーブル配線といった設備を敷設した後、これらが敷設された位置を記録する媒体として一般的に紙が用いられており、これら設備のルート情報は重要な企業機密事項となっているにも関わらず、設備の保守作業時においては設備ルートの図面をプリントアウトして現場に携行していた。
【0003】
しかし、このようにプリントアウトした資料を持ち出すと、紛失や盗難の可能性が高くなり、特に企業コンプライアンスを掲げるインフラ設備提供会社にとってセキュリティは大きな課題となっている。
また、カーナビゲーションシステムを利用して設備のルート情報を表示しようとしても、カーナビゲーションシステムは道路上での情報を前提としたシステムであるため、道路から外れた地点における設備の表示、例えば通信ケーブルが河川を横断している様子をカーナビゲーションシステムによって表示することは困難であった。
【0004】
そこで、埋設された設備の位置等を検知する方法として、例えば特許文献1には、磁界を測定するケーブル位置測定器により、地下に埋設されたケーブルを発生源とする微弱な交流磁界を地表上から測定し、次に、この磁界の計測結果に基づき、測定地点からケーブルの位置までの距離を算出し、この測定地点の近辺で複数回距離の測定を行ない、算出された距離が最も短い測定地点の直下にケーブルが埋設されていると判定する方法が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−356177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ケーブルの位置測定を効率的に行なうためには、次に測定を行なうべき測定地点をある程度予測して次の測定を行なう必要があり、こういった予測を測定箇所において行なうためには人間が経験的に判断しなくてはならない。また、ケーブル位置情報に基づいて、ケーブルの埋設されているルートを地図に関連付けて表示する場合、ケーブル位置の直上と判定された測定地点の緯度経度情報を地図等でおおまかに知ることはできても、正確な緯度経度情報を入手できないため、位置情報を正確に地図上に反映させて表示することができなかった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、設備の巡回を効率的に行なうことができる設備位置情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の設備位置情報管理システムは、携帯情報端末と、該携帯情報端末と通信可能な管理サーバとによって、設備の位置情報を管理する設備位置情報管理システムであって、前記管理サーバが、設備の位置情報を記録する設備位置情報記録手段と、該設備位置情報記録手段に記録された設備の位置情報を前記携帯情報端末に通信回線を介して送信する設備位置情報送信手段とを備え、前記携帯情報端末が、前記設備位置情報送信手段から設備の位置情報を受信する設備位置情報受信手段と、前記携帯情報端末の位置情報を取得する位置情報取得手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、設備位置情報記録手段に記録された設備の位置情報を携帯情報端末に通信回線を介して送信する設備位置情報送信手段によって、紙媒体に記録された設備配置図面を携帯する必要がなく、電子化された設備配置図面を見ながら現場作業を行なうことができる。また、携帯情報端末の位置情報を取得する位置情報取得手段によって、携帯情報端末を携帯した保守点検者が自分の現在位置を認識しつつ現場作業を行なうことができ、設備ルートを知らない保守点検者でも設備の巡回作業等が可能となる。
【0010】
また、本発明の設備位置情報管理システムにおいて、管理サーバが、地図情報を記録する地図情報記録手段を備え、設備位置情報記録手段に記録された設備の位置情報が緯度経度情報であり、設備位置情報送信手段が、地図情報記録手段に記録された地図情報と、緯度経度情報とを重ね合わせて送信する場合、設備の位置が地図上に表示されて視覚的に把握できる。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本発明の設備位置情報管理システムは、自身の位置情報を取得する位置情報取得手段を備えた携帯情報端末と通信可能な管理サーバを有する、設備の位置情報を管理する設備位置情報管理システムであって、前記管理サーバが、設備の位置情報を記録する設備位置情報記録手段と、該設備位置情報記録手段に記録された設備の位置情報を前記携帯情報端末に通信回線を介して送信する設備位置情報送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、設備位置情報記録手段に記録された設備の位置情報を携帯情報端末に通信回線を介して送信する設備位置情報送信手段によって、紙媒体に記録された設備配置図面を携帯する必要がなく、電子化された設備配置図面を見ながら現場作業を行なうことができる。
【0013】
また、本発明の設備位置情報管理システムにおいて、管理サーバが、前記携帯情報端末によって撮像された設備の画像を通信回線を介して前記携帯情報端末から受信する設備画像受信手段を備えた場合、現場の情報を何時でも何処からでも関係者が共有でき、迅速な対応が可能となる。ここで「画像」には静止画及び動画が含まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る設備位置情報管理システムは、設備の巡回を効率的に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した設備位置情報管理システムの構成の一例を説明する概略図である。図1において、本発明の設備位置情報管理システム1は、管理GIS(地理情報システム)サーバ(管理サーバの一例である。)2と、管理GISサーバとインターネット(通信回線の一例である。)10を介して通信可能なウルトラモバイルPC(携帯情報端末の一例である。)3とを有している。
【0016】
ここで、管理GISサーバ2は、通信ケーブルの位置情報として緯度経度情報を記録する通信ケーブル位置情報データベース(設備位置情報記録手段の一例である。)4と、地図情報を記録する地図情報データベース(地図情報記録手段の一例である。)5と、通信ケーブル位置情報データベースに記録された通信ケーブルの緯度経度情報及び地図情報データベースに記録された地図情報を重ね合わせてウルトラモバイルPCにインターネットを介して送信する通信ケーブル位置情報送信手段(設備位置情報送信手段の一例である。)6と、ウルトラモバイルPCによって撮像された通信ケーブルの画像をインターネットを介してウルトラモバイルPCから受信する通信ケーブル画像受信手段(設備画像受信手段の一例である。)13とを備えている。
【0017】
また、ウルトラモバイルPC3とは、タッチスクリーンやマイクロソフト社のオペレーションシステム機能を装備した携帯可能なマイクロソフト社の超小型端末であり、通信ケーブル位置情報送信手段から通信ケーブルの緯度経度情報及び地図情報を重ね合わせて受信する通信ケーブル位置情報受信手段(設備位置情報受信手段の一例である。)7と、GPS(全地球測位システム)衛星9によってウルトラモバイルPCの位置情報を取得する位置情報取得手段8と、通信ケーブルを撮像する撮像手段11と、撮像手段によって撮像された通信ケーブルの画像をインターネットを介して管理GISサーバに送信する通信ケーブル画像送信手段(設備画像送信手段の一例である。)12とを備えている。
【0018】
また、設備の例として通信ケーブルを挙げて説明しているが、必ずしも通信ケーブルでなくてもよく、例えば電力供給線、ガス供給管、水道管、電柱であってもよい。また、設備の位置が判るのであれば、必ずしも地図情報と緯度経度情報とを重ねて送信しなくてもよい。
【0019】
次に、本発明の設備位置情報管理システムを用いて、通信ケーブルの管理地域内を巡回する例を説明する。
管理地域内を自動車に乗って通信ケーブルの保守点検のため巡回する場合、自動車に乗った保守点検者は、ウルトラモバイルPC3を用いて、管理GISサーバ2の通信ケーブル位置情報送信手段6からインターネット10を介して通信ケーブルの緯度経度情報と地図情報とを重なった状態で受信する。図2は、通信ケーブルの緯度経度情報と地図情報を受信したウルトラモバイルPCの表示画面の一例を示す概略図である。図2において、ウルトラモバイルPCの表示画面15には、川を横切る通信ケーブル14が点の集合体として表示されている。
【0020】
また、表示画面15とは別のウルトラモバイルPC3の画面(図示せず。)には、位置情報取得手段8によって取得したウルトラモバイルPC3の位置情報が表示され、ウルトラモバイルPC3の位置すなわち保守点検者の位置が判る。
【0021】
また、保守点検者は、ウルトラモバイルPC3の撮像手段11によって通信ケーブルが敷設された現場の画像を撮像し、通信ケーブル画像送信手段12によって管理GISサーバ2へ画像データを送信する。
【0022】
ここで、携帯情報端末が、管理サーバから設備位置情報を受信できると共に携帯情報端末の位置情報を取得できるのであれば、必ずしも撮像手段や設備画像送信手段を備えていなくてもよく、また、必ずしもウルトラモバイルPCでなくてもよく携帯電話等を用いてもよい。また、携帯情報端末が自身の位置情報を取得できるのであれば、必ずしもGPS衛星を利用しなくてもよく、例えばPHS基地局からの位置情報サービスを利用して位置情報を取得してもよい。
【0023】
このように、本発明の設備位置情報管理システムは、管理サーバが通信ケーブル等の設備の位置情報を記録し、インターネットを介して携帯情報端末に送信するので、紙媒体に記録された設備配置図面を携帯する必要がなく、電子化された設備配置図面を見ながら現場作業を行なうことができ、また、携帯情報端末の位置情報を取得する位置情報取得手段によって、携帯情報端末を携帯した保守点検者が自分の現在位置を認識しつつ現場作業を行なうことができ、設備ルートを知らない保守点検者でも設備の巡回作業等が可能となり、設備の巡回を効率的に行なうことができる。
【0024】
また、保守点検者が携帯する端末は、撮像手段を備え、撮像手段によって撮像された画像は管理サーバへ送られるので、現場の情報を何時でも何処からでも関係者が共有でき、迅速な対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用した設備位置情報管理システムの構成の一例を説明する概略図である。
【図2】通信ケーブルの緯度経度情報と地図情報を受信したウルトラモバイルPCの表示画面の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0026】
1 設備位置情報管理システム
2 管理GISサーバ
3 ウルトラモバイルPC
4 通信ケーブル位置情報データベース
5 地図情報データベース
6 通信ケーブル位置情報送信手段
7 通信ケーブル位置情報受信手段
8 位置情報取得手段
9 GPS衛星
10 インターネット
11 撮像手段
12 通信ケーブル画像送信手段
13 通信ケーブル画像受信手段
14 通信ケーブル
15 表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯情報端末と、該携帯情報端末と通信可能な管理サーバとによって、設備の位置情報を管理する設備位置情報管理システムであって、
前記管理サーバが、設備の位置情報を記録する設備位置情報記録手段と、
該設備位置情報記録手段に記録された設備の位置情報を前記携帯情報端末に通信回線を介して送信する設備位置情報送信手段とを備え、
前記携帯情報端末が、前記設備位置情報送信手段から設備の位置情報を受信する設備位置情報受信手段と、
前記携帯情報端末の位置情報を取得する位置情報取得手段とを備えた
ことを特徴とする設備位置情報管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバが、地図情報を記録する地図情報記録手段を備え、
前記設備位置情報記録手段に記録された設備の位置情報が緯度経度情報であり、
前記設備位置情報送信手段が、前記地図情報記録手段に記録された地図情報と、緯度経度情報とを重ね合わせて送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の設備位置情報管理システム。
【請求項3】
前記携帯情報端末が、設備を撮像する撮像手段と、
該撮像手段によって撮像された設備の画像を通信回線を介して前記管理サーバに送信する設備画像送信手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の設備位置情報管理システム。
【請求項4】
自身の位置情報を取得する位置情報取得手段を備えた携帯情報端末と通信可能な管理サーバを有する、設備の位置情報を管理する設備位置情報管理システムであって、
前記管理サーバが、設備の位置情報を記録する設備位置情報記録手段と、
該設備位置情報記録手段に記録された設備の位置情報を前記携帯情報端末に通信回線を介して送信する設備位置情報送信手段とを備えた
ことを特徴とする設備位置情報管理システム。
【請求項5】
前記管理サーバが、地図情報を記録する地図情報記録手段を備え、
前記設備位置情報記録手段に記録された設備の位置情報が緯度経度情報であり、
前記設備位置情報送信手段が、前記地図情報記録手段に記録された地図情報と、緯度経度情報とを重ね合わせて送信する
ことを特徴とする請求項4に記載の設備位置情報管理システム。
【請求項6】
前記管理サーバが、前記携帯情報端末によって撮像された設備の画像を通信回線を介して前記携帯情報端末から受信する設備画像受信手段を備えた
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の設備位置情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−58462(P2008−58462A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233391(P2006−233391)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(506294668)有限会社電調社 (1)
【Fターム(参考)】