誘導負荷制御装置
【課題】本発明は、誘導負荷に流れる負荷電流を止めなくても、負荷電流の電流検出部のオフセットを検出して補正をすることができる、誘導負荷制御装置の提供を目的とする。
【解決手段】誘導負荷30に流れる負荷電流の電流検出値を出力する電流検出回路12と、電流検出値に電流検出回路12のオフセットを反映することにより電流検出値を補正した補正検出値を出力する補正回路13と、負荷電流の電流値がその指示値に一致するように、補正検出値に基づいて、誘導負荷30を駆動するためのPWM信号のデューティ比を制御する制御回路14とを備えており、制御回路14は、負荷電流の電流値が安定した状態での制御方式を、閉ループ制御からその閉ループ制御で制御されていたデューティ比を維持するように制御する開ループ制御に切り替え、開ループ制御に切り替えられた状態で電流検出回路12のオフセットが検出される、誘導負荷制御装置。
【解決手段】誘導負荷30に流れる負荷電流の電流検出値を出力する電流検出回路12と、電流検出値に電流検出回路12のオフセットを反映することにより電流検出値を補正した補正検出値を出力する補正回路13と、負荷電流の電流値がその指示値に一致するように、補正検出値に基づいて、誘導負荷30を駆動するためのPWM信号のデューティ比を制御する制御回路14とを備えており、制御回路14は、負荷電流の電流値が安定した状態での制御方式を、閉ループ制御からその閉ループ制御で制御されていたデューティ比を維持するように制御する開ループ制御に切り替え、開ループ制御に切り替えられた状態で電流検出回路12のオフセットが検出される、誘導負荷制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導負荷に流れる負荷電流の電流値がその目標値に一致するように誘導負荷に負荷電流を流すためのPWM信号のデューティ比を制御する制御手段を備える、誘導負荷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、ソレノイドに電流が流れていない場合にのみ、電流検出回路の入力端子を同電位にすることにより、電流検出回路のオフセットの検出と補正をする回路が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−87249号公報
【特許文献2】特開2003−31415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ソレノイド等の誘導負荷に流れる電流を止めることが制御上できない場合があるため、上述の従来技術では、そのような誘導負荷の場合には正確に電流検出回路のオフセットを検出して補正をすることができない。
【0005】
そこで、本発明は、誘導負荷に流れる負荷電流を止めなくても、負荷電流の電流検出部のオフセットを検出して補正をすることができる、誘導負荷制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る誘導負荷制御装置は、
誘導負荷に流れる負荷電流の電流値に応じた検出値を出力する電流検出手段と、
前記検出値に前記電流検出手段のオフセットを反映することにより前記検出値を補正した補正検出値を出力する補正手段と、
前記負荷電流の目標電流値に前記負荷電流の電流値が一致するように、前記補正検出値に基づいて、前記誘導負荷に前記負荷電流を流すためのPWM信号のデューティ比を制御する制御手段とを備える、誘導負荷制御装置であって、
前記制御手段は、前記負荷電流の電流値が所定範囲内に収束した安定状態での制御方式を、前記電流検出手段による前記負荷電流の電流値の検出が行われる閉ループ制御から前記電流検出手段による前記負荷電流の電流値の検出が停止する開ループ制御に切り替えて、前記閉ループ制御で制御されていたデューティ比を前記開ループ制御で維持するように制御するものであって、
前記開ループ制御に切り替えられた状態で前記オフセットが検出される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、誘導負荷に流れる負荷電流を止めなくても、負荷電流の電流検出部のオフセットを検出して補正をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施例である誘導負荷制御装置100の構成図である。
【図2】誘導負荷制御装置100の動作状態の変化を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の第2の実施例である誘導負荷制御装置200の構成図である。
【図4】誘導負荷制御装置200の動作状態の変化を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の第3の実施例である誘導負荷制御装置300の構成図である。
【図6】誘導負荷制御装置300の動作状態の変化を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の第4の実施例である誘導負荷制御装置400の構成図である。
【図8】誘導負荷制御装置400の動作状態の変化を示すタイムチャートである。
【図9】本発明の第5の実施例である誘導負荷制御装置500の構成図である。
【図10】誘導負荷制御装置500の動作状態の変化を示すタイムチャートである。
【図11】電流検出回路12のオフセットの検出方法を示したフローである。
【図12】本発明の第6の実施例である誘導負荷制御装置600の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の第1の実施例である誘導負荷制御装置100の構成図である。誘導負荷制御装置100は、主な構成として、リニアソレノイド30と、PWM信号生成回路11と、トランジスタ21,22と、電流検出回路12と、補正回路13と、制御回路14と、第1の切替部15と、第2の切替部16とを備える。例えば、PWM信号生成回路11と補正回路13と制御回路14と第2の切替部16は、マイクロコンピュータ等の演算装置に構成されるものである。また、PWM信号生成回路11と電流検出回路12と補正回路13と制御回路14と第1の切替部15と第2の切替部16とは、集積化されたものでもよい。以下、各構成について説明する。
【0011】
リニアソレノイド30は、誘導負荷であって、コイル(インダクタ)内に可動鉄心が設置され、コイルに電流(ソレノイド電流)を流すことによって発生する電磁力によって可動鉄心が直線運動するアクチュエータである。リニアソレノイド30は、車両用のアクチュエータであって、電子制御されるブレーキのアクチュエータとして使われる。なお、リニアソレノイド30は、車両の燃料噴射弁のアクチュエータとして使われてもよい。また、還流ダイオード31がリニアソレノイド30のコイルに並列接続されている。
【0012】
PWM信号生成回路11は、PWM信号生成手段として、リニアソレノイド30をPWM駆動するためのPWM信号を生成する。PWM信号は、詳細は後述するが、制御回路14によって決定されたデューティ比に従って生成される。PWM信号は、第1の駆動手段であるトランジスタ21を駆動するスイッチング信号に対応している。
【0013】
また、PWM信号生成回路11は、第2の駆動手段であるトランジスタ22を正常時にオン状態に維持させる駆動信号を出力する。一方、異常時には、PWM信号生成回路11は、トランジスタ22をオフにする駆動信号を出力するとよい。これにより、異常時にリニアソレノイド30に電流が流れないようにすることができる。
【0014】
トランジスタ21は、リニアソレノイド30を駆動する。トランジスタ21,22は、スイッチング素子であって、その具体例として、IGBT,MOSFET,バイポーラトランジスタ等の半導体素子が挙げられる。トランジスタ21は、PWM信号生成回路11によって生成されたPWM信号に従ってスイッチングをすることにより、リニアソレノイド30に電流を流す。リニアソレノイド30の上流はハイサイドのトランジスタ21を介して定電圧源につながり、リニアソレノイド30の下流はローサイドのトランジスタ22を介してグランドにつながる。この定電圧源は、例えば、車両に搭載されるバッテリや発電機である(いわゆる、+B電源)。また、トランジスタ22のオン状態での抵抗(すなわち、オン抵抗)が、リニアソレノイド30のソレノイド電流の電流値を検出するための検出抵抗に相当する。
【0015】
なお、図12に示されるような構成で、リニアソレノイド30をPWM駆動してもよい。ローサイドのトランジスタ22がPWM信号生成回路11によって生成されたPWM信号に従ってスイッチングをすることによって、ソレノイド電流が流れる。そして、PWM信号生成回路11によってオン状態に維持されたトランジスタ21のオン抵抗によって、ソレノイド電流の電流値が検出される。
【0016】
また、図1において、リニアソレノイド30をPWM駆動する場合、トランジスタ22を、リニアソレノイド30のソレノイド電流の電流値を検出するための検出抵抗に、置き換えてもよい。同様に、図12において、トランジスタ21を検出抵抗に置き換えてもよい。
【0017】
図1に戻り、電流検出回路12は、電流検出手段として、リニアソレノイド30に流れるソレノイド電流の電流値に応じた検出値を出力する。電流検出回路12は、例えば、差動入力の増幅器が内蔵される。ソレノイド電流の電流値に相当する入力電圧が差動入力端子に入力されることによって、ソレノイド電流の電流値に相当する出力電圧が補正回路13に出力される。電流検出回路12は、AD変換回路が内蔵されてもよい。この場合、例えば、ソレノイド電流の電流値に相当するデジタル出力値が補正回路13に出力される。
【0018】
補正回路13は、補正手段として、電流検出回路12による検出値に電流検出回路12のオフセットを反映することにより当該検出値を補正した補正検出値を出力する。電流検出回路12から出力される検出値には、電流検出回路12自身の電流検出誤差(すなわち、オフセット)が含まれる。そのオフセットをキャンセルするために、補正回路13は、電流検出回路12による検出値からそのオフセットを差し引いた補正検出値を制御回路14に出力する。電流検出回路12のオフセットの検出方法については、後述する。
【0019】
制御回路14は、制御手段として、ソレノイド電流の電流値がその目標値に一致するように、補正回路13から出力された補正検出値に基づいて、ソレノイド電流を流すためのPWM信号のデューティ比を制御する。つまり、制御回路14は、トランジスタ21を駆動するためのPWM信号の基本周波数を一定にしたままそのデューティ比を調整するPWM制御を実行する。制御回路14は、ソレノイド電流の電流値の目標値である電流指示値にソレノイド電流の実電流値が一致するように、補正回路13から出力された補正検出値に基づいて、トランジスタ21のオン時間の指令値を設定することによって、PWM信号のデューティ比を調整する。トランジスタ21がPチャンネルの場合、トランジスタ21は、PWM信号のハイレベルの時間にオフ状態になり、PWM信号のローレベルの時間にオン状態になる。制御回路14は、補正検出値に対応するソレノイド電流の電流値が電流指示値より大きい場合にはオン時間の指令値を短くすることによりデューティ比を大きく変更し、補正検出値に対応するソレノイド電流の電流値が電流指示値より小さい場合にはオン時間の指令値を長くすることによりデューティ比を小さく変更する。
【0020】
PWM信号生成回路11は、制御回路14で演算されたデューティ比に従って、所定の周波数のPWM信号(パルス信号)を生成する。PWM信号のハイレベルの時間とローレベルの時間は、デューティ比によって定まる。ソレノイド電流の実電流値は、トランジスタ21がオンすることにより増加し、トランジスタ21がオフすることにより減少する。なお、PWM信号生成回路11は、トランジスタ22を駆動するためのPWM信号を生成してもよい(図12参照)。
【0021】
また、PWM信号生成回路11は、例えば、電流検出回路12によってソレノイド電流を常時検出できるようにするため、100%のデューティ比のPWM信号をトランジスタ22に出力させる。これにより、トランジスタ22は常時オン状態になる。
【0022】
このように、補正回路13から出力された補正検出値に基づいて、トランジスタ21のオン時間の指令値を設定することによって、PWM信号のデューティ比を調整するフィードバック制御を行うことによって、ソレノイド電流の電流値の目標値である電流指示値にソレノイド電流の実電流値を一致させることができる。
【0023】
ところで、電流検出回路12のオフセットを検出するためには、電流検出回路12の2つの入力端子を同電位にする必要がある。しかしながら、それらの入力端子を同電位にすると、ソレノイド電流の電流値は「0」と検出される。したがって、電流指示値と実電流値との偏差が零になるようにフィードバック制御が上述のように行われている状態で電流検出回路12の2つの入力端子を単に同電位にした場合、デューティ比が小さく調整されてソレノイド電流の電流値が急増してしまうため、ソレノイド電流の電流値を正確に調整することができない。
【0024】
そこで、制御回路14は、ソレノイド電流の実電流値が所定範囲内に収束した安定状態での制御方式を、閉ループ制御から開ループ制御に切り替える。閉ループ制御では、電流検出回路12による電流値の検出が行われることにより、ソレノイド電流の検出値を補正回路13に出力するフィードバックは行われる。一方、開ループ制御では、電流検出回路12による電流値の検出が停止することにより、ソレノイド電流の検出値を補正回路13に出力するフィードバックは行われない。そして、制御回路14は、閉ループ制御から開ループ制御への切り替え前後において、切り替え直前の閉ループ制御で制御されていたデューティ比を切り替え直後の開ループ制御で維持するように制御する。この開ループ制御に切り替えられた状態で、補正回路13は、電流検出回路12のオフセットを検出する。
【0025】
このように、切り替え直前の閉ループ制御で制御されていたデューティ比を維持するように制御する開ループ制御に切り替えた状態で電流検出回路12のオフセットを検出することによって、ソレノイド電流が流れることを止めることなく、そのオフセットの検出とそのオフセットに起因する電流検出誤差の補正をすることができる。例えば、電源供給後に常時電流が流れ且つブレーキの作動状態以外の状態で電流変化がほとんど無いソレノイドに流れるソレノイド電流を制御する場合、閉ループ制御から開ループ制御に切り替えられた状態で切り替え前のデューティ比を維持したままオフセットを検出することにより、ソレノイド電流を止めなくてもオフセットを検出して補正をする機会を増やすことができる。その結果、電流検出の精度を向上させることができる。
【0026】
ここで、制御回路14は、閉ループ制御と開ループ制御との切り替えを、切替部15を切り替え動作させることによって行う。切替部15は、スイッチsw1,sw2がオン状態に且つスイッチsw3をオフ状態に切り替えることによって、閉ループ制御に切り替えることができる。逆に、切替部15は、スイッチsw1,sw2がオフ状態に且つスイッチsw3をオン状態に切り替えることによって、開ループ制御に切り替えることができる。スイッチsw3をオン状態にすることにより、電流検出回路12の2つの入力端子が同電位となる。
【0027】
また、制御回路14は、切り替え前の閉ループ制御で制御されていたデューティ比を切り替え後の開ループ制御で維持するように制御するため、切替部16を切り替え動作させる。切替部16は、ソフトウェア上のスイッチであればよい。切替部16は、閉ループ制御の場合には、スイッチsw4をオン状態に且つスイッチsw5をオフ状態に切り替えることによって、電流検出回路12によって検出された最新の電流値に基づき補正された補正検出値に従って演算されたデューティ比をPWM信号生成回路11に出力する。これにより、閉ループ制御であるフィードバック制御が実行される。逆に、切替部16は、開ループ制御の場合には、スイッチsw4をオフ状態に且つスイッチsw5をオン状態に切り替えることによって、切り替え前の閉ループ制御で制御されていたデューティ比をPWM信号生成回路11に出力する。これにより、開ループ制御である前周期デューティ制御が実行される。
【0028】
制御回路14は、電流指示値と補正検出値に対応するソレノイド電流の電流値との差が所定範囲内にある状態を、ソレノイド電流の実電流値が所定範囲内に収束した安定状態と判断する。安定状態であると判断した制御回路14は、オフセットの検出をするために、オフセット検出信号を出力する。切替部15,16は、オフセット検出信号に従って、上記の切り替え動作をする。
【0029】
図11は、電流検出回路12のオフセットの検出方法を示したフローである。電流検出回路12は、ソレノイド電流の電流値を検出する(ステップ10)。補正回路13は、電流検出回路12により検出された検出値を前回検出されたオフセットにより補正することによって、電流検出回路12により検出された検出値を補正した補正検出値を制御回路14に出力する(ステップ20)。制御回路14は、今回補正された補正検出値に基づいてデューティ比を制御する閉ループ制御を実行する(ステップ30)。制御回路14は、電流指示値と補正検出値に対応する電流値との差が所定範囲内にある状態を、ソレノイド電流の実電流値が所定範囲内に収束した安定状態と判断する。安定状態ではないと判断された場合には、ステップ10に戻る。安定状態であると判断されるまで、閉ループ制御の実行が繰り返される(ステップ10〜40)。制御回路14は、安定状態であると判断した場合、制御方式を、閉ループ制御から開ループ制御に切り替える(ステップ50)。制御回路14は、切り替え前の閉ループ制御で制御されていたデューティ比を切り替え後の開ループ制御で維持するように制御する。補正回路13は、開ループ制御に切り替えられている状態で、オフセットの検出を行う(ステップ60)。制御回路14は、オフセットの検出後に、開ループ制御から閉ループ制御に切り替える(ステップ70)。ステップ70の後、ステップ10に戻る。
【0030】
図2は、誘導負荷制御装置100の動作状態の変化を示すタイムチャートである。タイミングt0で電流指示値が変更された後、タイミングt1でソレノイド電流が安定し始める。タイミングt1から所定時間経過時のタイミングt3で閉ループ制御から開ループ制御に切り替える。これにより、ソレノイド電流が不安定な状態で制御方式が切り替わることを防止し、ソレノイド電流が確実に安定した状態でオフセットを検出することができる。開ループ制御では、その直前の閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比が維持されるとよい。一周期前のデューティ比とは、タイミングt2からt3までのPWM周期におけるデューティ比に相当する。直前の周期のデューティ比で制御することによって、開ループ制御に切り替えても、ソレノイド電流の電流値が急変することを最小限に抑えることができる。開ループ制御に切り替えられた状態で、オフセットが検出される。閉ループ制御から開ループ制御に一時的に切り替えられている期間は、PWM信号の1周期分である。オフセットの検出後に、タイミングt4で開ループ制御から閉ループ制御に切り替えられる。したがって、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを検出することができる。
【0031】
なお、電流指示値の変化時点t0から一定時間内の安定状態で、閉ループ制御から開ループ制御への制御方式の切り替えを行うとよい。変化時点t0後に安定状態がしばらく続いた後に制御方式の切り替えを行うと、オフセットの検出と補正がされない状態がしばらく続くことになるため、その状態での電流の検出精度が低下してしまうからである。
【実施例2】
【0032】
図3は、本発明の第2の実施例である誘導負荷制御装置200の構成図である。実施例1と同様の構成や効果については、その説明を省略する。誘導負荷制御装置200は、温度監視回路41と、温度ホールド回路42と、温度比較回路43と、検出可否判定回路44とを備える。
【0033】
温度監視回路41は、電流検出回路12の温度を検出する。温度ホールド回路42は、温度監視回路41によって検出された温度を記憶する。温度ホールド回路42は、電流検出回路12のオフセットの検出時点の温度を記憶する。温度比較回路43は、温度監視回路41によって検出された現在の温度と温度ホールド回路42によって保持されたオフセットの過去の検出時点の温度とを比較し、その比較結果を検出可否判定回路44に出力する。検出可否判定回路44は、電流検出回路12の温度がオフセットの前回の検出時点から所定の温度閾値以上変動し、且つソレノイド電流の電流値が安定状態であると判断した場合、オフセットの検出を行う。オフセットの検出可否を判定するための温度閾値は、電流検出回路12のオフセットの温度特性やリニアソレノイド30の駆動システムへの温度特性の影響度に応じて決定すればよい。
【0034】
これにより、電流検出回路12のオフセットの温度特性を考慮したオフセットの検出動作を行うことができる。電流検出回路12の現在の温度が前回のオフセットの検出時点に比べ大きく変動していなければ、オフセットに起因する電流検出誤差はほとんど無い。そのため、オフセットの温度特性によってオフセットの検出動作の回数に制限を加えることによって、不必要なオフセットの検出動作を排除できるとともに、ブレーキ制御動作とオフセットの検出動作とが重複することを防ぐことができる。
【0035】
図4は、誘導負荷制御装置200の動作状態の変化を示すタイムチャートである。タイミングt0で電流指示値が変更された後、タイミングt1でソレノイド電流が安定し始めたため、制御回路14は、安定状態であることを示す信号Aを検出可否判定回路44に出力する。タイミングt2において電流値が安定状態になっているものの、電流検出回路12の前回のオフセット検出時点の温度からの温度変動幅が小さいため、タイミングt2ではオフセットの検出が行われない。ソレノイド電流が安定状態且つ電流検出回路12の温度が所定値以上変動したタイミングt3で、検出可否判定回路44は、オフセット検出信号を出力する。オフセット検出信号に従って、閉ループ制御から開ループ制御に切り替えられる。閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比が維持される開ループ制御に切り替えられた状態で、オフセットが検出される。オフセットの検出後に、タイミングt4で開ループ制御から閉ループ制御に切り替えられる。したがって、実施例1と同様に、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを検出することができる。
【実施例3】
【0036】
図5は、本発明の第3の実施例である誘導負荷制御装置300の構成図である。実施例1,2と同様の構成については、その説明を省略する。誘導負荷制御装置300は、車速変換回路51と、検出可否判定回路52とを備える。
【0037】
車速変換回路51は、車両の走行速度に応じて変化する車輪速パルスに基づいて、現在の車速を検出する。検出可否判定回路52は、現車速が所定値以下、且つソレノイド電流の電流値が安定状態であると判断した場合、オフセットの検出を行う。
【0038】
オフセットの検出時にブレーキ制御が動作した場合、オフセットの検出時間分だけ、ソレノイドの電流変化に伴うブレーキ油圧の変化が遅延する可能性がある。車速が速い場合、停止距離や挙動などのブレーキ性能に及ぼす影響が大きい。そこで、オフセットの検出を所定の低速状態で行うことによって、停止距離や挙動などのブレーキ性能に及ぼす実質的な影響を抑えることができる。
【0039】
図6は、誘導負荷制御装置300の動作状態の変化を示すタイムチャートである。タイミングt0で電流指示値が変更された後、タイミングt1でソレノイド電流が安定し始めたため、制御回路14は、安定状態であることを示す信号Aを検出可否判定回路52に出力する。タイミングt2において電流値が安定状態になっているものの、車速が速いため、タイミングt2ではオフセットの検出が行われない。ソレノイド電流が安定状態且つ所定値以上の車速が検出されたタイミングt3で、検出可否判定回路52は、オフセット検出信号を出力する。オフセット検出信号に従って、閉ループ制御から開ループ制御に切り替えられる。閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比が維持される開ループ制御に切り替えられた状態で、オフセットが検出される。オフセットの検出後に、タイミングt4で開ループ制御から閉ループ制御に切り替えられる。したがって、実施例1,2と同様に、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを検出することができる。
【実施例4】
【0040】
図7は、本発明の第4の実施例である誘導負荷制御装置400の構成図である。実施例1,2,3と同様の構成については、その説明を省略する。誘導負荷制御装置400は、アクセルペダル信号が入力される検出可否判定回路61を備える。
【0041】
検出可否判定回路61は、アクセルペダル信号によってドライバーのアクセル操作が検出されて、且つソレノイド電流の電流値が安定状態であると判断した場合、オフセットの検出を行う。
【0042】
アクセル操作が行われている間は、ブレーキ操作が行われていないとみなして、アクセル操作が行われている期間であることをオフセットの検出をするための許可条件に加えることによって、ブレーキ性能に影響を及ぼすことなく、オフセットを補正することができる。ブレーキ操作が行われることに伴うソレノイド電流の変化がほとんどないため、ソレノイド電流が安定した期間にオフセットを精度良く検出することができる。特に、低速状態であってもオフセットの検出期間にブレーキ性能に影響を及ぼす場合があるので、低速状態であることとアクセル操作が行われていることとを、オフセットの検出をするための許可条件に加えることによって、ブレーキ性能に対する影響を一層抑えて、オフセットの補正を正確にすることができる。
【0043】
また、オフセットの検出・補正時間はドライバーがアクセルからブレーキに踏み替える時間に比べ十分に短いため、車両に対するアクセル操作の終了時点以後の所定時間以内であって且つ車両に対するブレーキ操作の開始時点までの時間(すなわち、アクセル操作の終了時点以後の空走時間)であることを、オフセットの検出をするための許可条件に加えることによって、ブレーキ性能に影響を及ぼすことなく、オフセットを補正することができる。特に、低速状態であってもオフセットの検出期間にブレーキ性能に影響を及ぼす場合があるので、低速状態であることと上記空走時間であることとを、オフセットの検出をするための許可条件に加えることによって、ブレーキ性能に対する影響を一層抑えて、オフセットの補正をすることができる。
【0044】
図8は、誘導負荷性制御装置400の動作状態の変化を示すタイムチャートである。図8は、上記空走時間でオフセットの検出をする場合のタイムチャートである。タイミングt0で電流指示値が変更された後、タイミングt1でソレノイド電流が安定し始めたため、制御回路14は、安定状態であることを示す信号Aを検出可否判定回路61に出力する。タイミングt2において電流値が安定状態になっているものの、アクセル操作がオフのため、タイミングt2ではオフセットの検出が行われない。ソレノイド電流が安定状態且つアクセル操作がオンしているタイミングt3で、検出可否判定回路61は、オフセット検出信号を出力する。オフセット検出信号に従って、閉ループ制御から開ループ制御に切り替えられる。閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比が維持される開ループ制御に切り替えられた状態で、オフセットが検出される。オフセットの検出後に、タイミングt4で開ループ制御から閉ループ制御に切り替えられる。したがって、実施例1,2,3と同様に、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを検出することができる。
【実施例5】
【0045】
図9は、本発明の第5の実施例である誘導負荷制御装置500の構成図である。実施例1〜4と同様の構成については、その説明を省略する。誘導負荷制御装置500は、+B電源監視回路71を備える。
【0046】
オフセット検出時に+B電源電圧が変動した場合、デューティ比が一定ではリニアソレノイド30に流れる電流が変動してしまう。すなわち、+B電源電圧が上昇すると、ソレノイド電流は増加し、+B電源電圧が低下すると、ソレノイド電流が減少する。
【0047】
そこで、+B電源監視回路71は、リニアソレノイド30の電源電圧でもある+B電源電圧を監視する。制御回路14は、+B電源監視回路71によって監視されたオフセット検出時の+B電源電圧に応じて、開ループ制御でのデューティ比を微調整する。制御回路14は、オフセット検出時の+B電源電圧の上昇に応じてデューティ比を大きくし、オフセット検出時の+B電源電圧の降下に応じてデューティ比を小さくする。これにより、オフセット検出時に+B電源電圧が変動しても、リニアソレノイド30の電流変動を抑えることができる。
【0048】
図10は、誘導負荷制御装置500の動作状態の変化を示すタイムチャートである。タイミングt0で電流指示値が変更された後、タイミングt1でソレノイド電流が安定し始める。タイミングt1から所定時間経過時のタイミングt3で閉ループ制御から開ループ制御に切り替える。閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比が維持される開ループ制御に切り替えられた状態で、オフセットが検出される。オフセットの検出中に+B電源電圧が低下しても、デューティ比は小さく調整されるので、ソレノイド電流が減少することを抑制することができる。オフセットの検出後に、タイミングt4で開ループ制御から閉ループ制御に切り替えられる。したがって、実施例1〜4と同様に、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを検出することができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0050】
例えば、上述の実施例を互いに組み合わせた実施例であっても、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを正確に検出することができる。
【0051】
また、例えば、リニアソレノイド30を誘導素子(インダクタンス素子)に置き換えて当該誘導素子をPWM信号に従って駆動する駆動手段を設けることによって、上述の実施例の誘導負荷制御装置をコンバータやスイッチング電源装置やモータ制御装置として適用することも可能である。
【符号の説明】
【0052】
11 PWM信号生成回路
12 電流検出回路
13 補正回路
14 制御回路
15,16 切替部
21,22 トランジスタ
30 リニアソレノイド
31 還流ダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導負荷に流れる負荷電流の電流値がその目標値に一致するように誘導負荷に負荷電流を流すためのPWM信号のデューティ比を制御する制御手段を備える、誘導負荷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、ソレノイドに電流が流れていない場合にのみ、電流検出回路の入力端子を同電位にすることにより、電流検出回路のオフセットの検出と補正をする回路が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−87249号公報
【特許文献2】特開2003−31415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ソレノイド等の誘導負荷に流れる電流を止めることが制御上できない場合があるため、上述の従来技術では、そのような誘導負荷の場合には正確に電流検出回路のオフセットを検出して補正をすることができない。
【0005】
そこで、本発明は、誘導負荷に流れる負荷電流を止めなくても、負荷電流の電流検出部のオフセットを検出して補正をすることができる、誘導負荷制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る誘導負荷制御装置は、
誘導負荷に流れる負荷電流の電流値に応じた検出値を出力する電流検出手段と、
前記検出値に前記電流検出手段のオフセットを反映することにより前記検出値を補正した補正検出値を出力する補正手段と、
前記負荷電流の目標電流値に前記負荷電流の電流値が一致するように、前記補正検出値に基づいて、前記誘導負荷に前記負荷電流を流すためのPWM信号のデューティ比を制御する制御手段とを備える、誘導負荷制御装置であって、
前記制御手段は、前記負荷電流の電流値が所定範囲内に収束した安定状態での制御方式を、前記電流検出手段による前記負荷電流の電流値の検出が行われる閉ループ制御から前記電流検出手段による前記負荷電流の電流値の検出が停止する開ループ制御に切り替えて、前記閉ループ制御で制御されていたデューティ比を前記開ループ制御で維持するように制御するものであって、
前記開ループ制御に切り替えられた状態で前記オフセットが検出される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、誘導負荷に流れる負荷電流を止めなくても、負荷電流の電流検出部のオフセットを検出して補正をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施例である誘導負荷制御装置100の構成図である。
【図2】誘導負荷制御装置100の動作状態の変化を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の第2の実施例である誘導負荷制御装置200の構成図である。
【図4】誘導負荷制御装置200の動作状態の変化を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の第3の実施例である誘導負荷制御装置300の構成図である。
【図6】誘導負荷制御装置300の動作状態の変化を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の第4の実施例である誘導負荷制御装置400の構成図である。
【図8】誘導負荷制御装置400の動作状態の変化を示すタイムチャートである。
【図9】本発明の第5の実施例である誘導負荷制御装置500の構成図である。
【図10】誘導負荷制御装置500の動作状態の変化を示すタイムチャートである。
【図11】電流検出回路12のオフセットの検出方法を示したフローである。
【図12】本発明の第6の実施例である誘導負荷制御装置600の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の第1の実施例である誘導負荷制御装置100の構成図である。誘導負荷制御装置100は、主な構成として、リニアソレノイド30と、PWM信号生成回路11と、トランジスタ21,22と、電流検出回路12と、補正回路13と、制御回路14と、第1の切替部15と、第2の切替部16とを備える。例えば、PWM信号生成回路11と補正回路13と制御回路14と第2の切替部16は、マイクロコンピュータ等の演算装置に構成されるものである。また、PWM信号生成回路11と電流検出回路12と補正回路13と制御回路14と第1の切替部15と第2の切替部16とは、集積化されたものでもよい。以下、各構成について説明する。
【0011】
リニアソレノイド30は、誘導負荷であって、コイル(インダクタ)内に可動鉄心が設置され、コイルに電流(ソレノイド電流)を流すことによって発生する電磁力によって可動鉄心が直線運動するアクチュエータである。リニアソレノイド30は、車両用のアクチュエータであって、電子制御されるブレーキのアクチュエータとして使われる。なお、リニアソレノイド30は、車両の燃料噴射弁のアクチュエータとして使われてもよい。また、還流ダイオード31がリニアソレノイド30のコイルに並列接続されている。
【0012】
PWM信号生成回路11は、PWM信号生成手段として、リニアソレノイド30をPWM駆動するためのPWM信号を生成する。PWM信号は、詳細は後述するが、制御回路14によって決定されたデューティ比に従って生成される。PWM信号は、第1の駆動手段であるトランジスタ21を駆動するスイッチング信号に対応している。
【0013】
また、PWM信号生成回路11は、第2の駆動手段であるトランジスタ22を正常時にオン状態に維持させる駆動信号を出力する。一方、異常時には、PWM信号生成回路11は、トランジスタ22をオフにする駆動信号を出力するとよい。これにより、異常時にリニアソレノイド30に電流が流れないようにすることができる。
【0014】
トランジスタ21は、リニアソレノイド30を駆動する。トランジスタ21,22は、スイッチング素子であって、その具体例として、IGBT,MOSFET,バイポーラトランジスタ等の半導体素子が挙げられる。トランジスタ21は、PWM信号生成回路11によって生成されたPWM信号に従ってスイッチングをすることにより、リニアソレノイド30に電流を流す。リニアソレノイド30の上流はハイサイドのトランジスタ21を介して定電圧源につながり、リニアソレノイド30の下流はローサイドのトランジスタ22を介してグランドにつながる。この定電圧源は、例えば、車両に搭載されるバッテリや発電機である(いわゆる、+B電源)。また、トランジスタ22のオン状態での抵抗(すなわち、オン抵抗)が、リニアソレノイド30のソレノイド電流の電流値を検出するための検出抵抗に相当する。
【0015】
なお、図12に示されるような構成で、リニアソレノイド30をPWM駆動してもよい。ローサイドのトランジスタ22がPWM信号生成回路11によって生成されたPWM信号に従ってスイッチングをすることによって、ソレノイド電流が流れる。そして、PWM信号生成回路11によってオン状態に維持されたトランジスタ21のオン抵抗によって、ソレノイド電流の電流値が検出される。
【0016】
また、図1において、リニアソレノイド30をPWM駆動する場合、トランジスタ22を、リニアソレノイド30のソレノイド電流の電流値を検出するための検出抵抗に、置き換えてもよい。同様に、図12において、トランジスタ21を検出抵抗に置き換えてもよい。
【0017】
図1に戻り、電流検出回路12は、電流検出手段として、リニアソレノイド30に流れるソレノイド電流の電流値に応じた検出値を出力する。電流検出回路12は、例えば、差動入力の増幅器が内蔵される。ソレノイド電流の電流値に相当する入力電圧が差動入力端子に入力されることによって、ソレノイド電流の電流値に相当する出力電圧が補正回路13に出力される。電流検出回路12は、AD変換回路が内蔵されてもよい。この場合、例えば、ソレノイド電流の電流値に相当するデジタル出力値が補正回路13に出力される。
【0018】
補正回路13は、補正手段として、電流検出回路12による検出値に電流検出回路12のオフセットを反映することにより当該検出値を補正した補正検出値を出力する。電流検出回路12から出力される検出値には、電流検出回路12自身の電流検出誤差(すなわち、オフセット)が含まれる。そのオフセットをキャンセルするために、補正回路13は、電流検出回路12による検出値からそのオフセットを差し引いた補正検出値を制御回路14に出力する。電流検出回路12のオフセットの検出方法については、後述する。
【0019】
制御回路14は、制御手段として、ソレノイド電流の電流値がその目標値に一致するように、補正回路13から出力された補正検出値に基づいて、ソレノイド電流を流すためのPWM信号のデューティ比を制御する。つまり、制御回路14は、トランジスタ21を駆動するためのPWM信号の基本周波数を一定にしたままそのデューティ比を調整するPWM制御を実行する。制御回路14は、ソレノイド電流の電流値の目標値である電流指示値にソレノイド電流の実電流値が一致するように、補正回路13から出力された補正検出値に基づいて、トランジスタ21のオン時間の指令値を設定することによって、PWM信号のデューティ比を調整する。トランジスタ21がPチャンネルの場合、トランジスタ21は、PWM信号のハイレベルの時間にオフ状態になり、PWM信号のローレベルの時間にオン状態になる。制御回路14は、補正検出値に対応するソレノイド電流の電流値が電流指示値より大きい場合にはオン時間の指令値を短くすることによりデューティ比を大きく変更し、補正検出値に対応するソレノイド電流の電流値が電流指示値より小さい場合にはオン時間の指令値を長くすることによりデューティ比を小さく変更する。
【0020】
PWM信号生成回路11は、制御回路14で演算されたデューティ比に従って、所定の周波数のPWM信号(パルス信号)を生成する。PWM信号のハイレベルの時間とローレベルの時間は、デューティ比によって定まる。ソレノイド電流の実電流値は、トランジスタ21がオンすることにより増加し、トランジスタ21がオフすることにより減少する。なお、PWM信号生成回路11は、トランジスタ22を駆動するためのPWM信号を生成してもよい(図12参照)。
【0021】
また、PWM信号生成回路11は、例えば、電流検出回路12によってソレノイド電流を常時検出できるようにするため、100%のデューティ比のPWM信号をトランジスタ22に出力させる。これにより、トランジスタ22は常時オン状態になる。
【0022】
このように、補正回路13から出力された補正検出値に基づいて、トランジスタ21のオン時間の指令値を設定することによって、PWM信号のデューティ比を調整するフィードバック制御を行うことによって、ソレノイド電流の電流値の目標値である電流指示値にソレノイド電流の実電流値を一致させることができる。
【0023】
ところで、電流検出回路12のオフセットを検出するためには、電流検出回路12の2つの入力端子を同電位にする必要がある。しかしながら、それらの入力端子を同電位にすると、ソレノイド電流の電流値は「0」と検出される。したがって、電流指示値と実電流値との偏差が零になるようにフィードバック制御が上述のように行われている状態で電流検出回路12の2つの入力端子を単に同電位にした場合、デューティ比が小さく調整されてソレノイド電流の電流値が急増してしまうため、ソレノイド電流の電流値を正確に調整することができない。
【0024】
そこで、制御回路14は、ソレノイド電流の実電流値が所定範囲内に収束した安定状態での制御方式を、閉ループ制御から開ループ制御に切り替える。閉ループ制御では、電流検出回路12による電流値の検出が行われることにより、ソレノイド電流の検出値を補正回路13に出力するフィードバックは行われる。一方、開ループ制御では、電流検出回路12による電流値の検出が停止することにより、ソレノイド電流の検出値を補正回路13に出力するフィードバックは行われない。そして、制御回路14は、閉ループ制御から開ループ制御への切り替え前後において、切り替え直前の閉ループ制御で制御されていたデューティ比を切り替え直後の開ループ制御で維持するように制御する。この開ループ制御に切り替えられた状態で、補正回路13は、電流検出回路12のオフセットを検出する。
【0025】
このように、切り替え直前の閉ループ制御で制御されていたデューティ比を維持するように制御する開ループ制御に切り替えた状態で電流検出回路12のオフセットを検出することによって、ソレノイド電流が流れることを止めることなく、そのオフセットの検出とそのオフセットに起因する電流検出誤差の補正をすることができる。例えば、電源供給後に常時電流が流れ且つブレーキの作動状態以外の状態で電流変化がほとんど無いソレノイドに流れるソレノイド電流を制御する場合、閉ループ制御から開ループ制御に切り替えられた状態で切り替え前のデューティ比を維持したままオフセットを検出することにより、ソレノイド電流を止めなくてもオフセットを検出して補正をする機会を増やすことができる。その結果、電流検出の精度を向上させることができる。
【0026】
ここで、制御回路14は、閉ループ制御と開ループ制御との切り替えを、切替部15を切り替え動作させることによって行う。切替部15は、スイッチsw1,sw2がオン状態に且つスイッチsw3をオフ状態に切り替えることによって、閉ループ制御に切り替えることができる。逆に、切替部15は、スイッチsw1,sw2がオフ状態に且つスイッチsw3をオン状態に切り替えることによって、開ループ制御に切り替えることができる。スイッチsw3をオン状態にすることにより、電流検出回路12の2つの入力端子が同電位となる。
【0027】
また、制御回路14は、切り替え前の閉ループ制御で制御されていたデューティ比を切り替え後の開ループ制御で維持するように制御するため、切替部16を切り替え動作させる。切替部16は、ソフトウェア上のスイッチであればよい。切替部16は、閉ループ制御の場合には、スイッチsw4をオン状態に且つスイッチsw5をオフ状態に切り替えることによって、電流検出回路12によって検出された最新の電流値に基づき補正された補正検出値に従って演算されたデューティ比をPWM信号生成回路11に出力する。これにより、閉ループ制御であるフィードバック制御が実行される。逆に、切替部16は、開ループ制御の場合には、スイッチsw4をオフ状態に且つスイッチsw5をオン状態に切り替えることによって、切り替え前の閉ループ制御で制御されていたデューティ比をPWM信号生成回路11に出力する。これにより、開ループ制御である前周期デューティ制御が実行される。
【0028】
制御回路14は、電流指示値と補正検出値に対応するソレノイド電流の電流値との差が所定範囲内にある状態を、ソレノイド電流の実電流値が所定範囲内に収束した安定状態と判断する。安定状態であると判断した制御回路14は、オフセットの検出をするために、オフセット検出信号を出力する。切替部15,16は、オフセット検出信号に従って、上記の切り替え動作をする。
【0029】
図11は、電流検出回路12のオフセットの検出方法を示したフローである。電流検出回路12は、ソレノイド電流の電流値を検出する(ステップ10)。補正回路13は、電流検出回路12により検出された検出値を前回検出されたオフセットにより補正することによって、電流検出回路12により検出された検出値を補正した補正検出値を制御回路14に出力する(ステップ20)。制御回路14は、今回補正された補正検出値に基づいてデューティ比を制御する閉ループ制御を実行する(ステップ30)。制御回路14は、電流指示値と補正検出値に対応する電流値との差が所定範囲内にある状態を、ソレノイド電流の実電流値が所定範囲内に収束した安定状態と判断する。安定状態ではないと判断された場合には、ステップ10に戻る。安定状態であると判断されるまで、閉ループ制御の実行が繰り返される(ステップ10〜40)。制御回路14は、安定状態であると判断した場合、制御方式を、閉ループ制御から開ループ制御に切り替える(ステップ50)。制御回路14は、切り替え前の閉ループ制御で制御されていたデューティ比を切り替え後の開ループ制御で維持するように制御する。補正回路13は、開ループ制御に切り替えられている状態で、オフセットの検出を行う(ステップ60)。制御回路14は、オフセットの検出後に、開ループ制御から閉ループ制御に切り替える(ステップ70)。ステップ70の後、ステップ10に戻る。
【0030】
図2は、誘導負荷制御装置100の動作状態の変化を示すタイムチャートである。タイミングt0で電流指示値が変更された後、タイミングt1でソレノイド電流が安定し始める。タイミングt1から所定時間経過時のタイミングt3で閉ループ制御から開ループ制御に切り替える。これにより、ソレノイド電流が不安定な状態で制御方式が切り替わることを防止し、ソレノイド電流が確実に安定した状態でオフセットを検出することができる。開ループ制御では、その直前の閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比が維持されるとよい。一周期前のデューティ比とは、タイミングt2からt3までのPWM周期におけるデューティ比に相当する。直前の周期のデューティ比で制御することによって、開ループ制御に切り替えても、ソレノイド電流の電流値が急変することを最小限に抑えることができる。開ループ制御に切り替えられた状態で、オフセットが検出される。閉ループ制御から開ループ制御に一時的に切り替えられている期間は、PWM信号の1周期分である。オフセットの検出後に、タイミングt4で開ループ制御から閉ループ制御に切り替えられる。したがって、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを検出することができる。
【0031】
なお、電流指示値の変化時点t0から一定時間内の安定状態で、閉ループ制御から開ループ制御への制御方式の切り替えを行うとよい。変化時点t0後に安定状態がしばらく続いた後に制御方式の切り替えを行うと、オフセットの検出と補正がされない状態がしばらく続くことになるため、その状態での電流の検出精度が低下してしまうからである。
【実施例2】
【0032】
図3は、本発明の第2の実施例である誘導負荷制御装置200の構成図である。実施例1と同様の構成や効果については、その説明を省略する。誘導負荷制御装置200は、温度監視回路41と、温度ホールド回路42と、温度比較回路43と、検出可否判定回路44とを備える。
【0033】
温度監視回路41は、電流検出回路12の温度を検出する。温度ホールド回路42は、温度監視回路41によって検出された温度を記憶する。温度ホールド回路42は、電流検出回路12のオフセットの検出時点の温度を記憶する。温度比較回路43は、温度監視回路41によって検出された現在の温度と温度ホールド回路42によって保持されたオフセットの過去の検出時点の温度とを比較し、その比較結果を検出可否判定回路44に出力する。検出可否判定回路44は、電流検出回路12の温度がオフセットの前回の検出時点から所定の温度閾値以上変動し、且つソレノイド電流の電流値が安定状態であると判断した場合、オフセットの検出を行う。オフセットの検出可否を判定するための温度閾値は、電流検出回路12のオフセットの温度特性やリニアソレノイド30の駆動システムへの温度特性の影響度に応じて決定すればよい。
【0034】
これにより、電流検出回路12のオフセットの温度特性を考慮したオフセットの検出動作を行うことができる。電流検出回路12の現在の温度が前回のオフセットの検出時点に比べ大きく変動していなければ、オフセットに起因する電流検出誤差はほとんど無い。そのため、オフセットの温度特性によってオフセットの検出動作の回数に制限を加えることによって、不必要なオフセットの検出動作を排除できるとともに、ブレーキ制御動作とオフセットの検出動作とが重複することを防ぐことができる。
【0035】
図4は、誘導負荷制御装置200の動作状態の変化を示すタイムチャートである。タイミングt0で電流指示値が変更された後、タイミングt1でソレノイド電流が安定し始めたため、制御回路14は、安定状態であることを示す信号Aを検出可否判定回路44に出力する。タイミングt2において電流値が安定状態になっているものの、電流検出回路12の前回のオフセット検出時点の温度からの温度変動幅が小さいため、タイミングt2ではオフセットの検出が行われない。ソレノイド電流が安定状態且つ電流検出回路12の温度が所定値以上変動したタイミングt3で、検出可否判定回路44は、オフセット検出信号を出力する。オフセット検出信号に従って、閉ループ制御から開ループ制御に切り替えられる。閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比が維持される開ループ制御に切り替えられた状態で、オフセットが検出される。オフセットの検出後に、タイミングt4で開ループ制御から閉ループ制御に切り替えられる。したがって、実施例1と同様に、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを検出することができる。
【実施例3】
【0036】
図5は、本発明の第3の実施例である誘導負荷制御装置300の構成図である。実施例1,2と同様の構成については、その説明を省略する。誘導負荷制御装置300は、車速変換回路51と、検出可否判定回路52とを備える。
【0037】
車速変換回路51は、車両の走行速度に応じて変化する車輪速パルスに基づいて、現在の車速を検出する。検出可否判定回路52は、現車速が所定値以下、且つソレノイド電流の電流値が安定状態であると判断した場合、オフセットの検出を行う。
【0038】
オフセットの検出時にブレーキ制御が動作した場合、オフセットの検出時間分だけ、ソレノイドの電流変化に伴うブレーキ油圧の変化が遅延する可能性がある。車速が速い場合、停止距離や挙動などのブレーキ性能に及ぼす影響が大きい。そこで、オフセットの検出を所定の低速状態で行うことによって、停止距離や挙動などのブレーキ性能に及ぼす実質的な影響を抑えることができる。
【0039】
図6は、誘導負荷制御装置300の動作状態の変化を示すタイムチャートである。タイミングt0で電流指示値が変更された後、タイミングt1でソレノイド電流が安定し始めたため、制御回路14は、安定状態であることを示す信号Aを検出可否判定回路52に出力する。タイミングt2において電流値が安定状態になっているものの、車速が速いため、タイミングt2ではオフセットの検出が行われない。ソレノイド電流が安定状態且つ所定値以上の車速が検出されたタイミングt3で、検出可否判定回路52は、オフセット検出信号を出力する。オフセット検出信号に従って、閉ループ制御から開ループ制御に切り替えられる。閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比が維持される開ループ制御に切り替えられた状態で、オフセットが検出される。オフセットの検出後に、タイミングt4で開ループ制御から閉ループ制御に切り替えられる。したがって、実施例1,2と同様に、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを検出することができる。
【実施例4】
【0040】
図7は、本発明の第4の実施例である誘導負荷制御装置400の構成図である。実施例1,2,3と同様の構成については、その説明を省略する。誘導負荷制御装置400は、アクセルペダル信号が入力される検出可否判定回路61を備える。
【0041】
検出可否判定回路61は、アクセルペダル信号によってドライバーのアクセル操作が検出されて、且つソレノイド電流の電流値が安定状態であると判断した場合、オフセットの検出を行う。
【0042】
アクセル操作が行われている間は、ブレーキ操作が行われていないとみなして、アクセル操作が行われている期間であることをオフセットの検出をするための許可条件に加えることによって、ブレーキ性能に影響を及ぼすことなく、オフセットを補正することができる。ブレーキ操作が行われることに伴うソレノイド電流の変化がほとんどないため、ソレノイド電流が安定した期間にオフセットを精度良く検出することができる。特に、低速状態であってもオフセットの検出期間にブレーキ性能に影響を及ぼす場合があるので、低速状態であることとアクセル操作が行われていることとを、オフセットの検出をするための許可条件に加えることによって、ブレーキ性能に対する影響を一層抑えて、オフセットの補正を正確にすることができる。
【0043】
また、オフセットの検出・補正時間はドライバーがアクセルからブレーキに踏み替える時間に比べ十分に短いため、車両に対するアクセル操作の終了時点以後の所定時間以内であって且つ車両に対するブレーキ操作の開始時点までの時間(すなわち、アクセル操作の終了時点以後の空走時間)であることを、オフセットの検出をするための許可条件に加えることによって、ブレーキ性能に影響を及ぼすことなく、オフセットを補正することができる。特に、低速状態であってもオフセットの検出期間にブレーキ性能に影響を及ぼす場合があるので、低速状態であることと上記空走時間であることとを、オフセットの検出をするための許可条件に加えることによって、ブレーキ性能に対する影響を一層抑えて、オフセットの補正をすることができる。
【0044】
図8は、誘導負荷性制御装置400の動作状態の変化を示すタイムチャートである。図8は、上記空走時間でオフセットの検出をする場合のタイムチャートである。タイミングt0で電流指示値が変更された後、タイミングt1でソレノイド電流が安定し始めたため、制御回路14は、安定状態であることを示す信号Aを検出可否判定回路61に出力する。タイミングt2において電流値が安定状態になっているものの、アクセル操作がオフのため、タイミングt2ではオフセットの検出が行われない。ソレノイド電流が安定状態且つアクセル操作がオンしているタイミングt3で、検出可否判定回路61は、オフセット検出信号を出力する。オフセット検出信号に従って、閉ループ制御から開ループ制御に切り替えられる。閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比が維持される開ループ制御に切り替えられた状態で、オフセットが検出される。オフセットの検出後に、タイミングt4で開ループ制御から閉ループ制御に切り替えられる。したがって、実施例1,2,3と同様に、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを検出することができる。
【実施例5】
【0045】
図9は、本発明の第5の実施例である誘導負荷制御装置500の構成図である。実施例1〜4と同様の構成については、その説明を省略する。誘導負荷制御装置500は、+B電源監視回路71を備える。
【0046】
オフセット検出時に+B電源電圧が変動した場合、デューティ比が一定ではリニアソレノイド30に流れる電流が変動してしまう。すなわち、+B電源電圧が上昇すると、ソレノイド電流は増加し、+B電源電圧が低下すると、ソレノイド電流が減少する。
【0047】
そこで、+B電源監視回路71は、リニアソレノイド30の電源電圧でもある+B電源電圧を監視する。制御回路14は、+B電源監視回路71によって監視されたオフセット検出時の+B電源電圧に応じて、開ループ制御でのデューティ比を微調整する。制御回路14は、オフセット検出時の+B電源電圧の上昇に応じてデューティ比を大きくし、オフセット検出時の+B電源電圧の降下に応じてデューティ比を小さくする。これにより、オフセット検出時に+B電源電圧が変動しても、リニアソレノイド30の電流変動を抑えることができる。
【0048】
図10は、誘導負荷制御装置500の動作状態の変化を示すタイムチャートである。タイミングt0で電流指示値が変更された後、タイミングt1でソレノイド電流が安定し始める。タイミングt1から所定時間経過時のタイミングt3で閉ループ制御から開ループ制御に切り替える。閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比が維持される開ループ制御に切り替えられた状態で、オフセットが検出される。オフセットの検出中に+B電源電圧が低下しても、デューティ比は小さく調整されるので、ソレノイド電流が減少することを抑制することができる。オフセットの検出後に、タイミングt4で開ループ制御から閉ループ制御に切り替えられる。したがって、実施例1〜4と同様に、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを検出することができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0050】
例えば、上述の実施例を互いに組み合わせた実施例であっても、ソレノイド電流を止めることなく、オフセットを正確に検出することができる。
【0051】
また、例えば、リニアソレノイド30を誘導素子(インダクタンス素子)に置き換えて当該誘導素子をPWM信号に従って駆動する駆動手段を設けることによって、上述の実施例の誘導負荷制御装置をコンバータやスイッチング電源装置やモータ制御装置として適用することも可能である。
【符号の説明】
【0052】
11 PWM信号生成回路
12 電流検出回路
13 補正回路
14 制御回路
15,16 切替部
21,22 トランジスタ
30 リニアソレノイド
31 還流ダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導負荷に流れる負荷電流の電流値に応じた検出値を出力する電流検出手段と、
前記検出値に前記電流検出手段のオフセットを反映することにより前記検出値を補正した補正検出値を出力する補正手段と、
前記負荷電流の目標電流値に前記負荷電流の電流値が一致するように、前記補正検出値に基づいて、前記誘導負荷に前記負荷電流を流すためのPWM信号のデューティ比を制御する制御手段とを備える、誘導負荷制御装置であって、
前記制御手段は、前記負荷電流の電流値が所定範囲内に収束した安定状態での制御方式を、前記電流検出手段による前記負荷電流の電流値の検出が行われる閉ループ制御から前記電流検出手段による前記負荷電流の電流値の検出が停止する開ループ制御に切り替えて、前記閉ループ制御で制御されていたデューティ比を前記開ループ制御で維持するように制御するものであって、
前記開ループ制御に切り替えられた状態で前記オフセットが検出される、ことを特徴とする、誘導負荷制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比を前記開ループ制御で維持する、請求項1に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記目標電流値の変化から一定時間内の前記安定状態で、前記閉ループ制御から前記開ループ制御に切り替える、請求項1又は2に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記安定状態が所定時間経過した時に、前記閉ループ制御から前記開ループ制御に切り替える、請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記オフセットの検出後に、前記開ループ制御から前記閉ループ制御に切り替える、請求項1から4のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項6】
前記電流検出手段の温度を検出する温度検出手段を備え、
前記オフセットは、前記温度が前記オフセットの過去の検出時点から所定値以上変動した場合に検出される、請求項1から5のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項7】
前記誘導負荷の電源電圧を検出する電圧検出手段を備え、
前記制御手段は、前記オフセットの検出時の前記電源電圧に応じて、前記開ループ制御でのデューティ比を調整する、請求項1から6のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項8】
前記誘導負荷は、車両のブレーキ用のソレノイドであって、
前記オフセットは、前記車両の速度が所定値以下の場合に検出される、請求項1から7のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項9】
前記誘導負荷は、車両のブレーキ用のソレノイドであって、
前記オフセットは、前記車両に対するアクセル操作の終了時点以後の所定時間以内であって且つ前記車両に対するブレーキ操作の開始時点までの時間に検出される、請求項1から8のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項10】
前記誘導負荷は、車両のブレーキ用のソレノイドであって、
前記オフセットは、前記車両に対するアクセル操作中に検出される、請求項1から8のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項1】
誘導負荷に流れる負荷電流の電流値に応じた検出値を出力する電流検出手段と、
前記検出値に前記電流検出手段のオフセットを反映することにより前記検出値を補正した補正検出値を出力する補正手段と、
前記負荷電流の目標電流値に前記負荷電流の電流値が一致するように、前記補正検出値に基づいて、前記誘導負荷に前記負荷電流を流すためのPWM信号のデューティ比を制御する制御手段とを備える、誘導負荷制御装置であって、
前記制御手段は、前記負荷電流の電流値が所定範囲内に収束した安定状態での制御方式を、前記電流検出手段による前記負荷電流の電流値の検出が行われる閉ループ制御から前記電流検出手段による前記負荷電流の電流値の検出が停止する開ループ制御に切り替えて、前記閉ループ制御で制御されていたデューティ比を前記開ループ制御で維持するように制御するものであって、
前記開ループ制御に切り替えられた状態で前記オフセットが検出される、ことを特徴とする、誘導負荷制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記閉ループ制御で制御されていた一周期前のデューティ比を前記開ループ制御で維持する、請求項1に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記目標電流値の変化から一定時間内の前記安定状態で、前記閉ループ制御から前記開ループ制御に切り替える、請求項1又は2に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記安定状態が所定時間経過した時に、前記閉ループ制御から前記開ループ制御に切り替える、請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記オフセットの検出後に、前記開ループ制御から前記閉ループ制御に切り替える、請求項1から4のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項6】
前記電流検出手段の温度を検出する温度検出手段を備え、
前記オフセットは、前記温度が前記オフセットの過去の検出時点から所定値以上変動した場合に検出される、請求項1から5のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項7】
前記誘導負荷の電源電圧を検出する電圧検出手段を備え、
前記制御手段は、前記オフセットの検出時の前記電源電圧に応じて、前記開ループ制御でのデューティ比を調整する、請求項1から6のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項8】
前記誘導負荷は、車両のブレーキ用のソレノイドであって、
前記オフセットは、前記車両の速度が所定値以下の場合に検出される、請求項1から7のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項9】
前記誘導負荷は、車両のブレーキ用のソレノイドであって、
前記オフセットは、前記車両に対するアクセル操作の終了時点以後の所定時間以内であって且つ前記車両に対するブレーキ操作の開始時点までの時間に検出される、請求項1から8のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【請求項10】
前記誘導負荷は、車両のブレーキ用のソレノイドであって、
前記オフセットは、前記車両に対するアクセル操作中に検出される、請求項1から8のいずれか一項に記載の誘導負荷制御装置。
【図1】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図2】
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図2】
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【公開番号】特開2010−206247(P2010−206247A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46300(P2009−46300)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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