説明

議事録処理装置、方法及びプログラム

【課題】会議中に参加者が入力手段を共有できることにより操作性を向上させ、作成した議事録から検索したい項目を容易に見つけ出すことが可能な議事録処理装置を提供する。
【解決手段】ステップS302において付加情報、手書文字情報及び生体情報等を入力し、ステップS304において手書文字情報とその入力者を関連付けて、更に手書文字情報、所定の資料及び生体情報から議事録のエントリを生成すると共に、複数の議事録のエントリをまとめて議事録を作成する。これにより、会議中に参加者が入力手段を共有でき操作性が向上すると共に、作成した議事録から検索したい項目を容易に見つけ出すことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、議事録処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタイザ付きのPC、PDA、大画面ディスプレイ等、手書入力手段を備えた情報処理装置においては、キーボードやマウスを用いたGUI操作以外に、日頃慣れ親しんだペンによる手書入力手段を備えたGUIが用いられている。
【0003】
最近では、この手書入力手段を会議等に用いられる電子黒板に応用したものも提案されている。例えば特許文献1では、電子黒板のタッチ面に手書入力を行うと、入力された手書文字が文字認識されて活字化される。また、会議等において議題や議事録を電子黒板に記録する場合に、乱雑に手書した場合であっても、その手書文字が活字化されて整然とした議事録等を得ることができることを主張している。
【0004】
また、特許文献2では、入力者を事前に認証することで、個人別筆跡パターンに基づいて文字認識を行って、文字認識率を向上させ、新たな筆跡パターンを認識したとき、個人別筆跡パターンを更新することによって、さらなる文字認識率向上を目指している。
【0005】
【特許文献1】特開2000−043485号公報
【特許文献2】特開2003−99184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では手書文字情報の入力がなされた後、どのように議事録の作成をするかについて言及しておらず、全体的なシステムとして考慮されていなかった。
【0007】
また、特許文献2では手書文字入力手段に識別子が付いているため、参加者一人につき手書文字入力手段が一つ必要であり、操作性が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の議事録処理装置は、付加情報を入力する付加情報入力手段と、手書文字情報を入力する手書文字情報入力手段と前記手書文字情報入力手段に含まれ、生体情報を入力する生体情報入力手段と、前記生体情報の認証手段とを備え、前記生体情報の認証手段は、前記手書文字情報とその入力者を関連付ける手段と、前記手書文字情報、所定の資料及び前記生体情報に基づき議事録のエントリを生成する手段と、複数の前記議事録のエントリをまとめて議事録を作成する作成手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明の議事録処理方法は、付加情報、手書文字情報及び生体情報の入力工程と、前記手書文字情報とその入力者を関連付けて前記生体情報の認証を行う工程と、前記手書文字情報、所定の資料及び前記生体情報から議事録のエントリを生成する工程と、複数の前記議事録のエントリをまとめて議事録を作成する議事録作成工程とを有することを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、上記に記載の方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、会議中に参加者が入力手段を共有できることにより操作性が向上すると共に、作成した議事録から検索したい項目を容易に見つけ出すことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の議事録作成装置の好適な実施形態を説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施形態に係る構成を示すシステムブロック図である。同図に示すように、社内会議室X17と社外会議室Y18は、会議画面同期装置13を介して通信回路で接続されている。
【0012】
2つの会議画面同期装置13は同期していて、常に同じ情報が会議再生装置12を介して各出力装置11に表示される。また、入力装置15から入力される、紙データや電子データである電子文書や手書情報は、会議再生装置12を介して出力装置11で表示される。その他、入力装置15から入力される入力者の生体情報は認証装置14において登録情報と照合される。
【0013】
ここで上記生体情報とは、身体の特徴的部分の形状や行動のことである。具体的には指紋や静脈、音声や署名等で、予め生体情報をデータ化して登録しておくと、認証を受ける際に改めて生体情報を取得・データ化し、登録されているデータと比較照合することによって、個人認証を行うことができる。この処理から、入力者が誰であるか識別可能な情報、入力者識別情報が得られる。
【0014】
そしてこれら手書文字情報や生体情報から得られる入力者識別情報は、付加情報と関連付けられて、会議室X17の有する会議記録装置16に議事録のエントリとして記録される。上記付加情報とは時刻情報や場所情報等のことを示す。
【0015】
上記時刻情報とは、手書文字情報入力手段から手書文字情報の入力操作があったときの入力操作時刻のことであり、上記の場所情報とは、会議室の名前(会議室X17、会議室Y18)等で、会議参加者の所在地がわかる情報である。場所情報は予め登録しておくことができるとする。付加情報入力は入力装置15を用いて入力可能である。
【0016】
図2は本実施形態を用いたシステムイメージを示した図の一例である。同図が示すシステムは、ディスプレイ21と、ディスプレイ21に入力するための生体情報入力装置25付きの電子ペン24で構成されている。またディスプレイ21画面上には入力装置から入力された情報と会議参加者が電子ペン24を用いて手書入力した文字情報22、23が表示されている様子が示されている。
【0017】
図3は本実施形態における議事録記録手段の動作を説明するフローチャートである。なお、議事録記録手段は不図示のCPU、RAM、ROM等により実現される。同図におけるステップS301のユーザ認証処理により、会議参加者は生体情報を登録し、ユーザ認証を行う。登録済みの場合は、生体情報入力装置25から入力した生体情報と認証装置14に登録してある生体情報とを照合し、入力者が誰であるかという情報、入力者識別情報が得られる。
【0018】
続くステップS302の手書入力処理では、ユーザによる手書入力操作を受付ける。次のステップS303の手書文字認識処理では手書文字情報入力と判断された場合に手書文字認識処理を実行する。その際登録されているユーザであれば個人別筆跡パターン辞書を用いて手書文字認識を行う。ここで上記手書文字認識とは、入力された手書文字を認識し、文字コードに変換して表示・出力する処理である。
【0019】
最後のステップS304の議事録保存処理では、ユーザ認証処理S301から取得した入力者識別情報と、手書文字認識処理S303から得られた記述文字情報等を関連付けて議事録のエントリを生成する。
【0020】
図4は、本実施形態における図3のステップS301(ユーザ認証処理)を詳細に説明したフローチャートである。同図におけるステップS401では、ユーザの生体情報が登録済みであるかないかを判断する。登録済みの場合にはユーザ認証処理S301は終了する。一方、登録していない場合にはステップS402において未登録者のままでも会議に参加可能であるか判断される。これは会議主催者が任意に設定できるとする。会議主催者が許可しない場合には未登録者は、ステップS405のユーザ登録をしなければ上記手書文字情報入力手段を用いて会議に参加することができなくなる。また、未登録のまま許可された場合にはステップS403、S404で不明N等と名前付けして処理される。
【0021】
図5は図3のステップS304(議事録保存処理)において作成される議事録の一例を示す図である。入力装置15から入力操作のあった時刻72と場所73、入力者の名前74、手書文字入力のテーマ75と記述内容76について、上記入力操作時刻順に番号が付けられて並べられている。上記テーマ情報とは、会議中に任意に設定することも可能であるし、討議中の会議資料(所定の資料)のタイトルと関連付けて決めることのできる項目である。
【0022】
上記タイトルとは、会議中に使用される紙や電子データである情報に記載されている項目のことであり、上記タイトルが画面上の決まった位置に常に表示される場合には、どの部分を上記タイトルとして認識するか予め登録しておくことができる。そして上記タイトル部分を画像として切り出し、上記タイトル画像の文字認識処理を行った結果を上記テーマ情報とし、上記入力操作時刻情報、上記場所情報、上記入力者識別情報、上記記述文字情報と関連付けて議事録のエントリとして保存される。
【0023】
図6は本実施形態における前述した議事録を入力者情報ごとに並び替えた例を示す図である。これにより特定の人物の記述内容を確認するときに容易に見つけ出すことができる。
【0024】
図7は本実施形態における前述した議事録を上記テーマ情報ごとに並び替えた例を示す図である。これにより特定のテーマの記述内容を確認するときに容易に見つけ出すことができる。
【0025】
このように、本実施形態で示した本発明により、下記の効果が実現できる。即ち、会議参加者が上記手書文字情報の入力手段を共有することができるため、一つの上記手書文字情報の入力手段を複数人で使用できる。また、上記議事録を作成することで、いつどこで誰が何を記述したか簡単にまとめ、後日振り返ったときも容易に探し出すことができる。
【0026】
(第2の実施の形態)
図8は、第1の実施形態では会議室X17しか備えていなかった会議記録装置16を会議室Y18にも備えた例を示す図である。これにより会議室X17とY18の通信回路が遮断された場合にも、それぞれの拠点でデータを取得できるようになる。
【0027】
(第3の実施の形態)
図9は、第1の実施形態では通信回路で接続されていなかった認証装置14を通信回路で接続した例である。これにより会議参加者の生体情報を拠点ごとに管理できるようになる。なお、本発明は複合機やコンピュータのプログラムによっても実現できることは当然である。
【0028】
また、本発明を実現するために、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコード(コンピュータプログラム)を記録した記録媒体を用いても良い。この場合には記録媒体をシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって本発明の目的が達成される。
【0029】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0030】
プログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0031】
また、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行う場合も含まれることは言うまでもない。
【0032】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれてもよい。この場合には、書き込まれたプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る構成を示すシステムブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシステムのイメージを示した図である。
【図3】本発明の実施形態における議事録記録手段の動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態におけるユーザ認証処理を詳細に説明したフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態における議事録保存処理において作成される議事録の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態において作成された議事録を入力者情報ごとに並び替えた例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態において作成された議事録をテーマ情報ごとに並び替えた例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるシステムブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態におけるシステムブロック図である。
【符号の説明】
【0034】
11 出力装置
12 会議再生装置
13 会議画面同期装置
14 認証装置
15 入力装置
16 会議記録装置
21 ディスプレイ
24 電子ペン
25 生体情報入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
議事録処理装置であって、
付加情報を入力する付加情報入力手段と、
手書文字情報を入力する手書文字情報入力手段と
前記手書文字情報入力手段に含まれ、生体情報を入力するための生体情報入力手段と、
前記生体情報の認証手段とを備え、
前記生体情報の認証手段は、
前記手書文字情報とその入力者を関連付ける手段と、
前記手書文字情報、所定の資料及び前記生体情報に基づき議事録のエントリを生成する手段と、
複数の前記議事録のエントリをまとめて議事録を作成する作成手段とを備えることを特徴とする議事録処理装置。
【請求項2】
前記付加情報入力手段、前記手書文字情報入力手段および生体情報入力手段は、紙データや電子データの入力が可能な複合機として構成され、前記電子データは、前記手書文字情報、前記生体情報および電子文書であることを特徴とする請求項1に記載の議事録処理装置。
【請求項3】
付加情報、手書文字情報及び生体情報の入力工程と、
前記手書文字情報とその入力者を関連付けて前記生体情報の認証を行う工程と、
前記手書文字情報、所定の資料及び前記生体情報から議事録のエントリを生成する工程と、
複数の前記議事録のエントリをまとめて議事録を作成する議事録作成工程とを有することを特徴とする議事録処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−169833(P2009−169833A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9324(P2008−9324)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】