説明

走行制御装置

【課題】自車両の前方に加速や減速が必要となる走行環境がある場合におけるドライバの操作負担を軽減することができる走行制御装置を提供する。
【解決手段】走行制御装置は、まず自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるかどうかを判断し、加速が必要となる走行環境がないときは、アクセルをOFF操作した時点における自車両の速度に応じて定速走行を行うように制御し、加速が必要となる走行環境があるときは、自車両を所定の加速度で加速させるように制御する。そして、走行制御装置は、ブレーキがON操作されると、自車両の加速動作を解除するように制御し、その後ブレーキをOFF操作した時点における自車両の速度に応じて定速走行を行うように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両を定速走行させるように制御する走行制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の走行制御装置としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の走行制御装置は、車両走行に伴って移動する現在位置に関する情報を取得し、地図情報をもとに現在走行中の道路を確定し、これから走行する予定の道路におけるカーブ情報又は登降坂情報を地図情報をもとに演算し、そのカーブ情報又は登降坂情報に応じた目標車速を算出し、車両の車速が目標車速となるように定速走行制御を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−306200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のような走行制御装置では、アクセルやブレーキをOFF操作することで、定速走行速度を設定するものがある。このような定速走行制御においては、自車両の前方に加速が必要となるような走行環境(合流路等)がある場合には、自車両を所望の定速走行速度まで加速させるためにアクセルペダルを踏み続ける必要がある。また、自車両の前方に減速が必要となるような走行環境(急カーブ等)がある場合には、自車両を所望の定速走行速度まで減速させるためにブレーキペダルを踏み続ける必要がある。従って、ドライバの操作負担が大きくなる。
【0005】
本発明の目的は、自車両の前方に加速や減速が必要となる走行環境がある場合におけるドライバの操作負担を軽減することができる走行制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の走行制御装置は、自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるかどうかを検知する走行環境検知手段と、走行環境検知手段により加速が必要となる走行環境がないことが検知されたときに、自車両のアクセルがOFF操作された時の速度で自車両の定速走行制御を行う第1定速走行制御手段と、走行環境検知手段により加速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、アクセルがOFF操作されても、自車両の加速制御を行う加速制御手段と、加速制御手段による自車両の加速制御が終了した後に、自車両の定速走行制御を行う第2定速走行制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明の走行制御装置においては、自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるときは、アクセルがOFF操作されても、自車両の定速走行制御を行わずに、自車両の加速制御を行うことにより、自車両の速度が所望の定速走行速度に到達するまでドライバがアクセルを踏み続けなくて済む。これにより、ドライバの操作負担を軽減することができる。
【0008】
好ましくは、加速制御手段は、自車両のブレーキがON操作されたときに、自車両の加速制御を終了させる。この場合には、自車両の速度が上がり過ぎたとドライバが感じたときは、ドライバがブレーキをON操作することで、自車両の加速制御を直ちに終了させることができる。
【0009】
このとき、好ましくは、第2定速走行制御手段は、加速制御手段による自車両の加速制御が終了した後に、ブレーキがOFF操作された時の速度で自車両の定速走行制御を行う。この場合には、ドライバがブレーキをOFF操作することで、自車両の速度をドライバの感覚に合った定速走行速度に設定することができる。
【0010】
また、好ましくは、加速制御手段は、走行環境に応じた目標速度を求め、自車両の速度が目標速度になるように自車両の加速制御を行う。この場合には、特にドライバがブレーキをON/OFF操作しなくても、自車両の速度を走行環境に応じた定速走行速度に自動的に設定することができる。
【0011】
また、本発明の走行制御装置は、自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるかどうかを検知する走行環境検知手段と、走行環境検知手段により加速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、自車両のアクセルのON操作量に応じた加速度よりも大きい加速度で自車両の加速制御を行う加速制御手段と、加速制御手段による自車両の加速制御が終了した後に、アクセルがOFF操作された時の速度で自車両の定速走行制御を行う走行制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
このように本発明の走行制御装置においては、自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるときは、アクセルのON操作量に応じた加速度よりも大きい加速度で自車両の加速制御を行うことにより、自車両の速度が所望の定速走行速度に到達するまでドライバがアクセルを軽く踏み続ければ良い。また、自車両の加速制御が終了した後は、アクセルがOFF操作された時の速度で自車両の定速走行を行うことにより、定速走行を行うためにドライバがブレーキをON/OFF操作する必要は無い。以上により、ドライバの操作負担を軽減することができる。
【0013】
さらに、本発明の走行制御装置は、自車両の前方に減速が必要となる走行環境があるかどうかを検知する走行環境検知手段と、走行環境検知手段により減速が必要となる走行環境がないことが検知されたときに、自車両のブレーキがOFF操作された時の速度で自車両の定速走行制御を行う第1定速走行制御手段と、走行環境検知手段により減速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、ブレーキがOFF操作されても、自車両の減速制御を行う減速制御手段と、減速制御手段による自車両の減速制御が終了した後に、自車両の定速走行制御を行う第2定速走行制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
このように本発明の走行制御装置においては、自車両の前方に減速が必要となる走行環境があるときは、ブレーキがOFF操作されても、自車両の定速走行制御を行わずに、自車両の減速制御を行うことにより、自車両の速度が所望の定速走行速度に到達するまでドライバがブレーキを踏み続けなくて済む。これにより、ドライバの操作負担を軽減することができる。
【0015】
好ましくは、減速制御手段は、自車両のアクセルがON操作されたときに、自車両の減速制御を終了させる。この場合には、自車両の速度が下がり過ぎたとドライバが感じたときは、ドライバがアクセルをON操作することで、自車両の減速制御を直ちに終了させることができる。
【0016】
このとき、好ましくは、第2定速走行制御手段は、減速制御手段による自車両の減速制御が終了した後に、アクセルがOFF操作された時の速度で自車両の定速走行制御を行う。この場合には、ドライバがアクセルをOFF操作することで、自車両の速度をドライバの感覚に合った定速走行速度に設定することができる。
【0017】
また、好ましくは、減速制御手段は、走行環境に応じた目標速度を求め、自車両の速度が目標速度になるように自車両の減速制御を行う。この場合には、特にドライバがアクセルをON/OFF操作しなくても、自車両の速度を走行環境に応じた定速走行速度に自動的に設定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自車両の前方に加速や減速が必要となる走行環境がある場合におけるドライバの操作負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係わる走行制御装置の第1実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した主制御部により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】加速が必要となる走行環境の一例として合流路を示す図である。
【図4】図2に示したフローチャートにより実行される動作の一例を示すグラフである。
【図5】本発明に係わる走行制御装置の第2実施形態において、主制御部により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図5に示したフローチャートにより実行される動作の一例を示すグラフである。
【図7】本発明に係わる走行制御装置の第3実施形態において、主制御部により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図7に示したフローチャートにより実行される動作の一例を示すグラフである。
【図9】本発明に係わる走行制御装置の第4実施形態において、主制御部により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】減速が必要となる走行環境(リスク)の一例として急カーブを示す図である。
【図11】図10に示したフローチャートにより実行される動作の一例を示すグラフである。
【図12】本発明に係わる走行制御装置の第5実施形態において、主制御部により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】図12に示したフローチャートにより実行される動作の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係わる走行制御装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明に係わる走行制御装置の第1実施形態の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施形態の走行制御装置1は、自車両を定速走行させるように制御する装置である。
【0022】
走行制御装置1は、自車両と前方車両や前方障害物との距離及び相対速度を検出する前方レーダ2と、前方道路形状等の情報を取得するナビゲーション3と、自車両の走行速度を検出する車速センサ4と、アクセルペダルの操作量(踏込量)を検出するアクセルペダル操作センサ5と、ブレーキペダルの操作量(踏込量)を検出するブレーキペダル操作センサ6と、ECU(Electronic Control Unit)7と、エンジンを制御するエンジン制御部8と、ブレーキを制御するブレーキ制御部9とを備えている。
【0023】
ECU7は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入出力回路等により構成されている。ECU7は、前方走行環境認識部10と、主制御部11とを有している。
【0024】
前方走行環境認識部10は、前方レーダ2の検出データとナビゲーション3の取得情報とに基づいて、自車両の前方に減速が必要となるような走行環境(以下リスクという)及び加速が必要となるような走行環境があるかどうかを認識する。減速が必要となるリスクとしては、障害物等が挙げられる。加速が必要となる走行環境としては、合流路(図3参照)等が挙げられる。
【0025】
このとき、前方走行環境認識部10は、認識精度が低いときは、加速が必要となる走行環境の有無や減速が必要となるリスクの有無のみを判定し、認識精度が高いときは、それらに加え、加速が必要な距離やリスク到達時の適正速度等を認識するようにしても良い。
【0026】
主制御部11は、前方走行環境認識部10による認識結果と車速センサ4、アクセルペダル操作センサ5及びブレーキペダル操作センサ6の検出信号とを入力し、所定の処理を実行し、エンジン制御部8及びブレーキ制御部9を制御する。このとき、主制御部11は、必要に応じて、前方レーダ2の検出データ及びナビゲーション3の取得情報も入力して処理を実行しても良い。
【0027】
図2は、主制御部11により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。同図において、まずアクセルペダル操作センサ5の検出信号に基づいて、アクセルがOFF操作されたか、つまりアクセルペダルが放されたかどうかを判断する(手順S51)。
【0028】
アクセルがOFF操作されたと判断されたときは、前方走行環境認識部10による認識結果に基づいて、自車両の前方に減速が必要となるリスクが無いかどうかを判断する(手順S52)。自車両の前方に減速が必要となるリスクが無いと判断されたときは、更に前方走行環境認識部10による認識結果に基づいて、自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるかどうかを判断する(手順S53)。
【0029】
加速が必要となる走行環境としては、例えば図3に示すような合流路がある。合流路では、合流地点Sまでに自車両Aを加速させて自車両Aの速度を十分に上げる必要がある。
【0030】
手順S52で自車両の前方に減速が必要となるリスクがあると判断されたとき、手順S53で自車両の前方に加速が必要となる走行環境が無いと判断されたときは、アクセルをOFF操作した時点における自車両の速度を定速走行速度に設定し、その定速走行速度に応じて定速走行を行うようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S54)。
【0031】
手順S53で自車両の前方に加速が必要となる走行環境があると判断されたときは、図4に示すように、自車両を所定の加速度で加速させるようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S55)。
【0032】
続いて、ブレーキペダル操作センサ6の検出信号に基づいて、ブレーキがON操作されたか、つまりブレーキペダルが踏まれたかどうかを判断する(手順S56)。ブレーキがON操作されていないと判断されたときは、手順S55に戻り、自車両の加速制御を継続する。ブレーキがON操作されたと判断されたときは、図4に示すように、自車両の加速動作を解除するようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S57)。
【0033】
続いて、ブレーキペダル操作センサ6の検出信号に基づいて、ブレーキがOFF操作されたか、つまりブレーキペダルが放されたかどうかを判断する(手順S58)。ブレーキがOFF操作されていないと判断されたときは、手順S57に戻る。ブレーキがOFF操作されたと判断されたときは、図4に示すように、ブレーキをOFF操作した時点における自車両の速度を定速走行速度に設定し、その定速走行速度に応じて定速走行を行うようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S59)。
【0034】
以上において、前方レーダ2、ナビゲーション3、前方走行環境認識部10及び主制御部11の上記手順S53は、自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるかどうかを検知する走行環境検知手段を構成する。主制御部11の上記手順S51,S54及びエンジン制御部8は、走行環境検知手段により加速が必要となる走行環境がないことが検知されたときに、自車両のアクセルがOFF操作された時の速度で自車両の定速走行制御を行う第1定速走行制御手段を構成する。主制御部11の上記手順S51,S55〜S57及びエンジン制御部8は、走行環境検知手段により加速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、アクセルがOFF操作されても、自車両の加速制御を行う加速制御手段を構成する。主制御部11の上記手順S58,S59及びエンジン制御部8は、加速制御手段による自車両の加速制御が終了した後に、自車両の定速走行制御を行う第2定速走行制御手段を構成する。
【0035】
ところで、単純にアクセルペダルを放した時点における自車両の速度を定速走行速度に設定して定速走行を行う場合は、以下の不具合が生じる。即ち、自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるときには、ドライバは、自車両の速度が所望速度に到達するまでアクセルペダルを踏み続ける必要がある(図4中のP参照)。このため、ドライバにかかるペダル操作の負担が増大してしまう。
【0036】
これに対し本実施形態では、自車両の前方に加速が必要となる走行環境があり且つ自車両の前方に減速が必要となるリスクが無い場合には、アクセルペダルを放した状態でも、自車両の加速動作を継続させるようにしたので、ドライバはアクセルペダルを踏み続ける必要が無くなる。これにより、ドライバにかかるペダル操作の負担を軽減することができる。
【0037】
また、ドライバがブレーキペダルを踏むと、自車両の加速動作が終了し、その後ドライバがブレーキペダルを放すと、その時の自車両の速度を維持するように定速走行が行われるので、ドライバ自身の感覚に適合した定速走行速度を設定することができる。従って、定速走行速度に対してドライバが違和感を感じることを防止できる。
【0038】
図5は、本発明に係わる走行制御装置の第2実施形態において、上記の主制御部11により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0039】
同図において、アクセルペダル操作センサ5の検出信号に基づいて、アクセルがON操作されたか、つまりアクセルペダルが踏まれたかどうかを判断する(手順S61)。アクセルがON操作されたと判断されたときは、上記の前方走行環境認識部10による認識結果に基づいて、自車両の前方に減速が必要となるリスクが無いかどうかを判断する(手順S62)。自車両の前方に減速が必要となるリスクが無いと判断されたときは、更に前方走行環境認識部10による認識結果に基づいて、自車両の前方に加速が必要となる走行環境(図3参照)があるかどうかを判断する(手順S63)。
【0040】
自車両の前方に加速が必要となる走行環境があると判断されたときは、図6に示すように、実際のアクセルペダルの踏込量(ON操作量)に応じた加速度よりも大きい加速度で自車両を加速させるようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S64)。
【0041】
続いて、アクセルペダル操作センサ5の検出信号に基づいて、アクセルがOFF操作されたか、つまりアクセルペダルが放されたかどうかを判断する(手順S65)。アクセルがOFF操作されていないと判断されたときは、手順S64に戻り、自車両の加速制御を継続する。アクセルがOFF操作されたと判断されたときは、図6に示すように、アクセルをOFF操作した時点における自車両の速度を定速走行速度に設定し、その定速走行速度に応じて定速走行を行うようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S66)。
【0042】
以上において、上記の前方レーダ2、ナビゲーション3、前方走行環境認識部10及び主制御部11の上記手順S63は、自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるかどうかを検知する走行環境検知手段を構成する。主制御部11の上記手順S64及びエンジン制御部8は、走行環境検知手段により加速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、自車両のアクセルのON操作量に応じた加速度よりも大きい加速度で自車両の加速制御を行う加速制御手段を構成する。主制御部11の上記手順S65,S66及びエンジン制御部8は、加速制御手段による自車両の加速制御が終了した後に、アクセルがOFF操作された時の速度で自車両の定速走行制御を行う走行制御手段を構成する。
【0043】
このように本実施形態においては、自車両の前方に加速が必要となる走行環境がある場合に、アクセルペダルが踏まれたときは、実際のアクセルペダルの踏込量に応じた加速度よりも大きい加速度で自車両を加速させるようにしたので、図6に示すようにドライバがアクセルペダルを本来の踏込量(図中の破線X参照)よりも軽く踏むだけで、必要な加速が得られるようになる。従って、ドライバはアクセルペダルを強く踏み続けなくて済む。また、アクセルペダルを放した時の速度を維持するように自車両の定速走行が行われるので、定速走行を実施するためにドライバがブレーキペダルを踏む必要が無い。以上により、ドライバにかかるペダル操作の負担を軽減することができる。
【0044】
図7は、本発明に係わる走行制御装置の第3実施形態において、上記の主制御部11により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。なお、手順S51〜S54については、図2に示すフローチャートと同様である。
【0045】
図7において、手順S53で自車両の前方に加速が必要となる走行環境があると判断されたときは、前方走行環境認識部10による認識結果に基づいて、前方の走行環境に応じた目標速度を算出する(手順S71)。このとき、目標速度は、ナビゲーション3に登録されている道路種別(高速道路等)や合流路の距離等の情報から算出可能である。
【0046】
続いて、図8に示すように、アクセルの操作をトリガとして自車両の加速動作を開始させて必要な区間(時間)で目標速度に到達するようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S72)。そして、自車両の速度が目標速度に到達した後は、その目標速度(定速走行速度)に応じて定速走行を行うようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S73)。
【0047】
以上において、主制御部11の上記手順S51,S71,S72及びエンジン制御部8は、走行環境検知手段により加速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、アクセルがOFF操作されても、自車両の加速制御を行う加速制御手段を構成する。主制御部11の上記手順S73及びエンジン制御部8は、加速制御手段による自車両の加速制御が終了した後に、自車両の定速走行制御を行う第2定速走行制御手段を構成する。
【0048】
このような本実施形態においては、自車両の前方に加速が必要となる走行環境があり且つ自車両の前方に減速が必要となるリスクが無い場合には、第1実施形態と同様に、アクセルペダルを放した状態でも、自車両を加速させるようにしたので、ドライバはアクセルペダルを踏み続ける必要が無くなる。また、前方の走行環境に応じた目標速度を算出し、その目標速度を維持するように自車両の定速走行が行われるので、定速走行を実施するためにドライバがブレーキペダルを踏む必要が無い。さらに、ドライバはアクセルペダルの踏込量を調整する必要も無い。以上により、ドライバにかかるペダル操作の負担を軽減することができる。
【0049】
図9は、本発明に係わる走行制御装置の第4実施形態において、上記の主制御部11により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0050】
同図において、まずブレーキペダル操作センサ6の検出信号に基づいて、ブレーキがOFF操作されたか、つまりブレーキペダルが放されたかどうかを判断する(手順S81)。ブレーキがOFF操作されたと判断されたときは、上記の前方走行環境認識部10による認識結果に基づいて、自車両の前方に減速が必要となる走行環境(リスク)があるかどうかを判断する(手順S82)。
【0051】
減速が必要となるリスクとしては、例えば図10に示すような急カーブがある。急カーブでは、カーブ手前地点Sまでに自車両Aを減速させて自車両Aの速度を十分に落とす必要がある。
【0052】
自車両の前方に減速が必要となるリスクが無いと判断されたときは、ブレーキをOFFした時点における自車両の速度を定速走行速度に設定し、その定速走行速度に応じて定速走行を行うようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S83)。
【0053】
一方、自車両の前方に減速が必要となるリスクがあると判断されたときは、図11に示すように、自車両を所定の減速度で減速させるようにブレーキ制御部9に指令信号を送出する(手順S84)。
【0054】
続いて、アクセルペダル操作センサ5の検出信号に基づいて、アクセルがON操作されたか、つまりアクセルペダルが踏まれたかどうかを判断する(手順S85)。アクセルがON操作されていないと判断されたときは、手順S84に戻り、自車両の減速制御を継続する。アクセルがON操作されたと判断されたときは、図11に示すように、自車両の減速動作を解除するようにブレーキ制御部9に指令信号を送出する(手順S86)。
【0055】
続いて、アクセルペダル操作センサ5の検出信号に基づいて、アクセルがOFF操作されたか、つまりアクセルペダルが放されたかどうかを判断する(手順S87)。アクセルがOFF操作されていないと判断されたときは、手順S86に戻る。アクセルがOFF操作されたと判断されたときは、図11に示すように、アクセルをOFF操作した時点における自車両の速度を定速走行速度に設定し、その定速走行速度に応じて定速走行を行うようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S88)。
【0056】
以上において、上記の前方レーダ2、ナビゲーション3、前方走行環境認識部10及び主制御部11の上記手順S82は、自車両の前方に減速が必要となる走行環境があるかどうかを検知する走行環境検知手段を構成する。主制御部11の上記手順S81,S83及びエンジン制御部8は、走行環境検知手段により減速が必要となる走行環境がないことが検知されたときに、自車両のブレーキがOFF操作された時の速度で自車両の定速走行制御を行う第1定速走行制御手段を構成する。主制御部11の上記手順S81,S84〜S86及びブレーキ制御部9は、走行環境検知手段により減速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、ブレーキがOFF操作されても、自車両の減速制御を行う減速制御手段を構成する。主制御部11の上記手順S87,S88及びエンジン制御部8は、減速制御手段による自車両の減速制御が終了した後に、自車両の定速走行制御を行う第2定速走行制御手段を構成する。
【0057】
ところで、単純にブレーキペダルを放した時点における自車両の速度を定速走行速度に設定して定速走行を行う場合は、以下の不具合が生じる。即ち、自車両の前方に減速が必要となる走行環境があるときには、ドライバは、自車両の速度が所望速度に到達するまでブレーキペダルを踏み続ける必要がある(図11中のQ参照)。このため、ドライバにかかるペダル操作の負担が増大してしまう。
【0058】
これに対し本実施形態では、自車両の前方に減速が必要となるリスクがある場合には、ブレーキペダルを放した状態でも、自車両の減速動作を継続させるようにしたので、ドライバはブレーキペダルを踏み続ける必要が無くなる。これにより、ドライバにかかるペダル操作の負担を軽減することができる。
【0059】
また、ドライバがアクセルペダルを踏むと、自車両の減速動作が終了し、その後ドライバがアクセルペダルを放すと、その時の自車両の速度を維持するように定速走行が行われるので、ドライバ自身の感覚に適合した定速走行速度を設定することができる。従って、定速走行速度に対してドライバが違和感を感じることを防止できる。
【0060】
図12は、本発明に係わる走行制御装置の第5実施形態において、上記の主制御部11により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。なお、手順S81〜83については、図9に示すフローチャートと同様である。
【0061】
図12において、手順S82で自車両の前方に減速が必要となるリスクがあると判断されたときは、上記の前方走行環境認識部10による認識結果に基づいて、前方のリスクに応じた目標速度を算出する(手順S91)。このとき、ナビゲーション3の地図情報から取得された前方道路形状に応じて適切な目標速度を算出することができる。また、ナビゲーション3の地図そのものに適切な目標速度を記憶させておき、その目標速度情報を取得しても良い。
【0062】
続いて、図13に示すように、ブレーキの操作をトリガとして自車両の減速を開始させてリスク手前で目標速度に到達するようにブレーキ制御部9に指令信号を送出する(手順S92)。そして、自車両の速度が目標速度に到達した後は、その目標速度(定速走行速度)に応じて定速走行を行うようにエンジン制御部8に指令信号を送出する(手順S93)。
【0063】
以上において、主制御部11の上記手順S81,S91,S92及びブレーキ制御部9は、走行環境検知手段により減速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、ブレーキがOFF操作されても、自車両の減速制御を行う減速制御手段を構成する。主制御部11の上記手順S93及びエンジン制御部8は、減速制御手段による自車両の減速制御が終了した後に、自車両の定速走行制御を行う第2定速走行制御手段を構成する。
【0064】
このような本実施形態においては、自車両の前方に減速が必要となるリスクがある場合には、第4実施形態と同様に、ブレーキペダルを放した状態でも、自車両を減速させるようにしたので、ドライバはブレーキペダルを踏み続ける必要が無くなる。また、前方のリスクに応じた目標速度を算出し、その目標速度を維持するように自車両の定速走行が行われるので、定速走行を実施するためにドライバがアクセルペダルを踏む必要が無い。以上により、ドライバにかかるペダル操作の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…走行制御装置、2…前方レーダ(走行環境検知手段)、3…ナビゲーション(走行環境検知手段)、7…ECU、8…エンジン制御部(第1定速走行制御手段、加速制御手段、第2定速走行制御手段、走行制御手段)、9…ブレーキ制御部(減速制御手段)、10…前方走行環境認識部(走行環境検知手段)、11…主制御部(走行環境検知手段、第1定速走行制御手段、加速制御手段、第2定速走行制御手段、走行制御手段、減速制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるかどうかを検知する走行環境検知手段と、
前記走行環境検知手段により前記加速が必要となる走行環境がないことが検知されたときに、前記自車両のアクセルがOFF操作された時の速度で前記自車両の定速走行制御を行う第1定速走行制御手段と、
前記走行環境検知手段により前記加速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、前記アクセルがOFF操作されても、前記自車両の加速制御を行う加速制御手段と、
前記加速制御手段による前記自車両の加速制御が終了した後に、前記自車両の定速走行制御を行う第2定速走行制御手段とを備えることを特徴とする走行制御装置。
【請求項2】
前記加速制御手段は、前記自車両のブレーキがON操作されたときに、前記自車両の加速制御を終了させることを特徴とする請求項1記載の走行制御装置。
【請求項3】
前記第2定速走行制御手段は、前記加速制御手段による前記自車両の加速制御が終了した後に、前記ブレーキがOFF操作された時の速度で前記自車両の定速走行制御を行うことを特徴とする請求項2記載の走行制御装置。
【請求項4】
前記加速制御手段は、前記走行環境に応じた目標速度を求め、前記自車両の速度が前記目標速度になるように前記自車両の加速制御を行うことを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記自車両の前方に加速が必要となる走行環境があるかどうかを検知する走行環境検知手段と、
前記走行環境検知手段により前記加速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、前記自車両のアクセルのON操作量に応じた加速度よりも大きい加速度で前記自車両の加速制御を行う加速制御手段と、
前記加速制御手段による前記自車両の加速制御が終了した後に、前記アクセルがOFF操作された時の速度で前記自車両の定速走行制御を行う走行制御手段とを備えることを特徴とする走行制御装置。
【請求項6】
前記自車両の前方に減速が必要となる走行環境があるかどうかを検知する走行環境検知手段と、
前記走行環境検知手段により前記減速が必要となる走行環境がないことが検知されたときに、前記自車両のブレーキがOFF操作された時の速度で前記自車両の定速走行制御を行う第1定速走行制御手段と、
前記走行環境検知手段により前記減速が必要となる走行環境があることが検知されたときは、前記ブレーキがOFF操作されても、前記自車両の減速制御を行う減速制御手段と、
前記減速制御手段による前記自車両の減速制御が終了した後に、前記自車両の定速走行制御を行う第2定速走行制御手段とを備えることを特徴とする走行制御装置。
【請求項7】
前記減速制御手段は、前記自車両のアクセルがON操作されたときに、前記自車両の減速制御を終了させることを特徴とする請求項6記載の走行制御装置。
【請求項8】
前記第2定速走行制御手段は、前記減速制御手段による前記自車両の減速制御が終了した後に、前記アクセルがOFF操作された時の速度で前記自車両の定速走行制御を行うことを特徴とする請求項7記載の走行制御装置。
【請求項9】
前記減速制御手段は、前記走行環境に応じた目標速度を求め、前記自車両の速度が前記目標速度になるように前記自車両の減速制御を行うことを特徴とする請求項6記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−194930(P2011−194930A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61116(P2010−61116)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】