説明

起動制御回路付き水晶発振回路および位相同期回路

【課題】 水晶発振回路が定常発振に達するまでの起動時間を短くすることができる起動制御回路付き水晶発振回路、水晶発振回路の起動時間を短くすることで間欠動作の比率を大きくし、低消費電力化に寄与する位相同期回路を実現する。
る。
【解決手段】 水晶振動子と負性抵抗回路を備えた水晶発振回路の起動制御を行う起動制御回路を含み、一定の発振周波数の信号を出力させる起動制御回路付き水晶発振回路であって、水晶発振回路は、水晶振動子を励振する励振信号を外部から入力するための信号入力端子を備え、起動制御回路は、発振周波数またはそれに近い周波数を有する励振信号を生成し、水晶発振回路の起動時に励振信号を励振信号入力端子に入力し、水晶発振回路の発振周波数が安定する前に励振信号の入力を停止する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶発振回路の起動制御を行う起動制御回路を含み、一定の発振周波数の信号を出力する起動制御回路付き水晶発振回路、および水晶発振回路の発振周波数と同等な安定度を有する任意の周波数の信号を出力する位相同期回路に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶発振回路は、その発振周波数の安定性から種々の電子機器の周波数、時間などの基準として使用されている。携帯電話や無線LANなどの無線通信端末では、その搬送波周波数の基準信号発振回路として使用されている。
【0003】
また、移動体通信に使用される無線通信端末では、その小型化、低消費電力化が強く要望されており、回路の動作電流の低減に配慮した回路設計が行われている。さらに、低消費電力化のために待ち受け状態の間は間欠的に電源をオンして基地局との通信を行い、自端末への着信の有無を確認し、着信がなければ再び電源をオフし、着信があれば連続的に受信を開始する間欠動作を行うことにより消費電力の低減を図っている。
【0004】
ところで、水晶発振回路は、安定な発振周波数を得ることができるが発振周波数を切り替えることができないため、無線通信端末の局部発振器は水晶発振回路と位相同期回路を組み合わせて任意の周波数の信号を生成する構成をとっている。
【0005】
位相同期回路は、図6に示すように、水晶発振回路(XOSC)51の出力信号を基準分周器52を介して分周した信号と、電圧制御発振器(VCO)53の出力信号を可変分周器54を介して分周した信号とを位相比較器55に入力し、その位相誤差信号をループフィルタ56を介して電圧制御発振器53に制御電圧としてフィードバックし、電圧制御発振器53から水晶発振回路51で得られる周波数安定度と同等な安定度をもつ任意の周波数の信号を出力する構成である。
【0006】
なお、位相同期回路が同期状態にあるとき、水晶発振回路51の出力周波数をf1、基準分周器52の分周数をN1、可変分周器54の分周数をN2、電圧制御発振器51の発振周波数をf2、水晶発振回路51の発振周波数をf1とすると、
f1/N1=f2/N2
f2=f1*(N2/N1)
の関係があり、電圧制御発振器51の発振周波数f2は可変分周器54の分周数N2に応じた値に設定される。
【0007】
図7は、水晶発振回路の構成例を示す。図7(1),(2) に示す例は一般的なものであり、いずれも水晶振動子61による共振器とインバータ62またはトランジスタ63を用いた負性抵抗回路を組み合わせて構成される。水晶発振回路の安定性は、水晶振動子61の高いQ値により得られるものであるが、そのQ値が高いほど過渡現象が長く発振周波数が安定するまでに時間(通常は数ミリ秒程度)がかかる。そのため、間欠動作を行う無線通信端末では、余裕をもって電源をオンする必要があり、低消費電力化の効果を低減する要因になっている。
【0008】
この課題に対して、特許文献1では、負性抵抗回路の負性抵抗値を一時的に大きくすることにより高速化をはかる方法を提案しているが、その高速化の効果は限定的であった。
【0009】
なお、水晶発振回路の起動特性は、電源投入直後の初期振幅から指数関数的に振幅が増加して定常発振に達することが知られている。非特許文献1では、コルピッツ型トランジスタ水晶発振回路において、発振のきっかけとなる励振源(雑音源)がなくても、電源投入によって発生するステップ電圧を励振源として直ちに発振が始動することを解析しているが、定常発振に達するまでの時間については言及していない。
【特許文献1】特開平11−186847号公報
【非特許文献1】盧、都築、「水晶発振回路の起動特性の解析」、電子情報通信学会論文誌C−II、Vol.J74-C-II、No.3、pp.115-120、1991年3月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
間欠動作によって低消費電力化を図る装置では、従来の水晶発振回路の起動時間(数ミリ秒)を考慮して早めに起動しなければならず、間欠動作の動作時と停止時の比率を大きくできない課題があった。
【0011】
本発明は、水晶発振回路が定常発振に達するまでの起動時間を短くすることができる起動制御回路付き水晶発振回路、水晶発振回路の起動時間を短くすることで間欠動作の比率を大きくし、低消費電力化に寄与することができる位相同期回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、水晶振動子と負性抵抗回路を備えた水晶発振回路の起動制御を行う起動制御回路を含み、一定の発振周波数の信号を出力させる起動制御回路付き水晶発振回路であって、水晶発振回路は、水晶振動子を励振する励振信号を外部から入力するための信号入力端子を備え、起動制御回路は、発振周波数またはそれに近い周波数を有する励振信号を生成し、水晶発振回路の起動時に励振信号を励振信号入力端子に入力し、水晶発振回路の発振周波数が安定する前に励振信号の入力を停止する構成である。
【0013】
第1の発明における起動制御回路は、電圧制御発振器を備え、電圧制御発振器の制御電圧を制御して発振周波数またはそれに近い周波数の励振信号を生成する構成である。
【0014】
第1の発明における起動制御回路は、電圧制御発振器およびその出力信号を分周する分周器を備え、電圧制御発振器の制御電圧および分周器の分周数を制御して発振周波数またはそれに近い周波数の励振信号を生成する構成である。
【0015】
第2の発明は、水晶発振回路から出力される一定の発振周波数の出力信号を基準分周器(分周数N1)を介して分周した信号と、電圧制御発振器の出力信号を可変分周器(分周数N2)を介して分周した信号とを位相比較器に入力し、その位相誤差信号をループフィルタを介して当該電圧制御発振器に制御電圧としてフィードバックし、電圧制御発振器から水晶発振回路で得られる周波数安定度と同等な安定度をもつ任意の周波数の信号を出力する位相同期回路において、水晶発振回路は、水晶振動子を励振する励振信号を外部から入力するための信号入力端子を備え、可変分周器の出力信号を分岐して水晶発振回路の信号入力端子に入力する経路に挿入され、可変分周器の出力信号を水晶発振回路に励振信号として入力するか否かを切り替えるスイッチと、位相同期回路の起動時にスイッチを閉じ、励振信号の周波数が水晶発振回路の発振周波数またはそれに近い周波数になるように、電圧制御発振器の制御電圧と可変分周器の分周数N2′を設定して生成した励振信号を励振信号入力端子に入力し、水晶発振回路の発振周波数が安定する前にスイッチを開いて励振信号の入力を停止し、電圧制御発振器の制御電圧の印加を停止し、可変分周器の分周数N2に設定する制御手段とを備える。
【0016】
第2の発明における位相同期回路は、電圧制御発振器の制御電圧をモニタする制御電圧モニタを備え、制御手段は、制御電圧モニタから間欠動作する位相同期回路の動作安定時における電圧制御発振器の制御電圧v1、基準分周器の分周数N1および可変分周器の分周数N2を保持し、間欠動作する位相同期回路の起動時に当該制御電圧v1を電圧制御発振器に設定し、分周数N2′=N1/N2を可変分周器に設定する構成である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の起動制御回路付き水晶発振回路は、起動時に水晶発振回路の発振周波数またはそれに近い周波数を有する励振信号を水晶発振回路に入力することにより、発振の始動から安定した発振周波数になるまでの起動時間を短縮することができる。
【0018】
本発明の位相同期回路は、起動時に水晶発振回路の発振周波数またはそれに近い周波数を有する励振信号を水晶発振回路に入力することにより、水晶発振回路の高速起動が可能となり、それによって間欠動作する際の動作時と停止時の比率を大きくし、効果的に低消費電力化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(起動制御回路付き水晶発振回路の実施形態)
図1は、本発明の起動制御回路付き水晶発振回路の実施形態を示す。
図において、本実施形態の起動制御回路付き水晶発振回路は、水晶発振回路(XOSC)11、スイッチ(SW)12、可変分周器13、電圧制御発振器(VCO)14および制御部15から構成される。水晶発振回路11は、図7(1),(2) に示す水晶振動子61とインバータ62またはトランジスタ63を用いた標準的な構成に対して、図2(1),(2) に示すように、インバータ62またはトランジスタ63の入力端に容量素子16を介して信号入力端子17を接続した構成である。この信号入力端子17から水晶振動子61を励振する励振信号が入力される。なお、励振信号は水晶振動子61を励振するためのものであるので、例えばインバータ62またはトランジスタ63の出力端に容量素子16を介して信号入力端子17を接続する構成でもよい。さらに、図2(2) はトランジスタ63にMOSトランジスタを使用したコルピッツ型トランジスタ水晶発振回路の例であるが、バイポーラトランジスタを使用した構成であってもよい。
【0020】
電圧制御発振器(VCO)14の出力信号は可変分周器13で分周され、励振信号としてスイッチ12を介して水晶発振回路11の信号入力端子17に入力される。制御部15は、電圧制御発振器14の制御電圧および可変分周器13の分周数を制御して励振信号の周波数を設定し、またスイッチ12を開閉して励振信号の入力タイミングを制御する。
【0021】
ここで、本実施形態の起動制御回路付き水晶発振回路の起動時、すなわち電源投入後の動作について説明する。電源投入と同時に、水晶発振回路11および電圧制御発振器14は発振を開始する。このとき、電圧制御発振器14の制御電圧および可変分周器13の分周数は、励振信号の周波数が水晶発振回路11の発振周波数またはそれに近い周波数になるように制御され、スイッチ12は閉じられる。水晶発振回路11の発振の立ち上がりは電圧制御発振器14に比べて非常に遅いため(例えば前者は数ミリ秒、後者は数マイクロ秒)、電圧制御発振器14から可変分周器13、スイッチ12を介して出力される励振信号が水晶発振回路11の信号入力端子17に入力すると、水晶発振回路11の出力は励振信号と同じ周波数になるとともに、水晶振動子61に励振電流が流れ、水晶発振回路11の発振の始動が早まる。なお、可変分周器13を用いず、電圧制御発振器14から直接所要の周波数に制御した励振信号を出力するようにしてもよい。
【0022】
次に、水晶発振回路11の出力周波数が安定する前、例えば電源投入から15マイクロ秒後に、スイッチ12を開いて水晶発振回路11の信号入力端子17に対する励振信号の入力を停止する。すると、水晶発振回路11は、負性抵抗と水晶振動子61の共振周波数で発振動作を継続する。このとき、すでに水晶振動子61はある程度励振されているので、水晶発振回路11は速やかに一定の発振周波数まで立ち上がることができる。
【0023】
図3は、従来構成および本発明構成の水晶発振回路の立ち上がりシミュレーション結果を示す。
図3(1) は、図7(1) に示す従来の水晶発振回路において、時刻0に電源電圧を入力したときの出力信号を示す。図3(2) は、図1に示す本発明の起動制御回路付き水晶発振回路において、時刻0に電源電圧を入力してから15マイクロ秒だけ外部から励振信号を入力したときの出力信号を示す。なお、水晶振動子のモデル、インバータのトランジスタサイズなどのパラメータは両者とも同じである。従来の水晶発振回路では、発振周波数が安定するまでの起動時間は約 2.9ミリ秒であった。本発明の起動制御回路付き水晶発振回路では、発振周波数が安定するまでの起動時間は約 0.9ミリ秒であり、従来構成に比べて1/3程度に短縮されていることがわかる。
【0024】
なお、本シミュレーションにおいて、水晶発振回路に入力する励振信号の周波数は、水晶発振回路の最終的な出力信号の周波数と完全に一致している必要はなく、例えば 0.5%程度の誤差があっても十分に高速化の効果が確認された。すなわち、水晶発振回路の起動時に、その発振周波数またはそれに近い周波数を有する励振信号をごく短時間だけ入力することにより、水晶発振回路の起動の高速化が可能なことが確認された。
【0025】
(位相同期回路の第1の実施形態)
図4は、本発明の位相同期回路の第1の実施形態を示す。
図において、本実施形態の位相同期回路は、図6に示す従来の位相同期回路の水晶発振回路(XOSC)51、電圧制御発振器(VCO)53、可変分周器54として、図1および図2に示す信号入力端子17を備える水晶発振回路11、電圧制御発振器(VCO)14、可変分周器13を用いた構成としたものである。
【0026】
すなわち、水晶発振回路11の出力信号を基準分周器(分周数N1)52を介して分周した信号と、電圧制御発振器14の出力信号を可変分周器(分周数N2)13を介して分周した信号とを位相比較器55に入力し、その位相誤差信号をループフィルタ56を介して電圧制御発振器14に制御電圧としてフィードバックし、電圧制御発振器14から水晶発振回路11で得られる周波数安定度と同等な安定度をもつ任意の周波数の信号を出力する構成において、可変分周器13の出力信号を分岐して水晶発振回路11の信号入力端子に入力する経路にスイッチ(SW)12を挿入し、制御部15は、電圧制御発振器14の制御電圧および可変分周器13の分周数を制御して水晶発振回路11に入力する励振信号の周波数を設定し、またスイッチ12を開閉して励振信号の入力タイミングを制御する。
【0027】
ここで、本実施形態の位相同期回路の起動時、すなわち電源投入後の動作について説明する。電源投入と同時に、水晶発振回路11および電圧制御発振器14は発振を開始する。このとき、電圧制御発振器14の制御電圧および可変分周器13の分周数N2′は、励振信号の周波数が水晶発振回路11の発振周波数f1またはそれに近い周波数になるように制御され、スイッチ12は閉じられる。これにより、電圧制御発振器14から可変分周器13、スイッチ12を介して出力される励振信号は水晶発振回路11の信号入力端子17に入力し、水晶発振回路11の発振の始動が早まる。次に、水晶発振回路11の出力周波数が安定する前にスイッチ12を開き、水晶発振回路11の信号入力端子17に対する励振信号の入力を停止するが、水晶発振回路11の水晶振動子はすでにある程度励振されているので、水晶発振回路11は速やかに一定の発振周波数まで立ち上がる。また、そのとき可変分周器13を本来の分周数N2に設定すると、それ以降の位相同期回路の動作は従来の構成と同様になる。
【0028】
なお、スイッチ12を閉じて水晶発振回路11に励振信号を入力している期間は、位相同期回路の起動時から水晶発振回路11の出力周波数が安定する前のごく短時間であるので、位相同期回路自体の動作には影響を与えないが、その期間に制御部15の制御によって位相比較器55から電圧制御発振器14までの区間を遮断するスイッチを設けてもよい。
【0029】
このように、図1に示す本発明の起動制御回路付き水晶発振回路の主な構成要素である電圧制御発振器14および可変分周器13は、すでに位相同期回路の要素回路として用意されているため、大きな構成要素の追加なしに水晶発振回路11の立ち上がり時間の高速化は実現することができる。すなわち、コストアップを伴うことなく、水晶発振回路を含む位相同期回路の高速起動を実現することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、位相同期回路の周波数基準となる水晶発振回路に電圧制御発振器から励振信号を与えて高速起動制御を行っているが、他に備える水晶発振回路にも電圧制御発振器から励振信号を与える構成としてもよい。
【0031】
(位相同期回路の第2の実施形態)
図5は、本発明の位相同期回路の第2の実施形態を示す。
本実施形態の位相同期回路は、図4に示す第1の実施形態における電圧制御発振器14の制御電圧をモニタする制御電圧モニタ18を追加し、制御部15でモニタした制御電圧、基準分周器52の分周数N1、可変分周器13の分周数N2の関係に基づく制御を行う構成を特徴とする。
【0032】
位相同期回路が同期状態にあるとき、基準分周器52の分周数をN1、可変分周器13の分周数をN2、電圧制御発振器14の発振周波数をf2、水晶発振回路11の発振周波数をf1とすると、
f1/N1=f2/N2
f1=f2*(N1/N2)
で示される。このときの電圧制御発振器14の制御電圧がv1であれば、反対に電圧制御発振器14に制御電圧v1を与え、可変分周器13の分周数を(N1/N2)とすれば、可変分周器13の出力周波数は水晶発振回路11の出力周波数f1と一致する。
【0033】
この原理に基づき、制御部15は、制御電圧モニタ18から間欠動作する位相同期回路の動作安定時、例えば直前の動作時の間欠動作の動作終了直前における電圧制御発振器14の制御電圧v1をモニタし、基準分周器52の分周器N1、可変分周器13の分周数N2を保持しておき、次の位相同期回路の起動時に電圧制御発振器14に制御電圧v1を設定し、可変分周器13に分周数(N1/N2)を設定する。これにより、位相同期回路の起動時に、電圧制御発振器14および可変分周器13を用いて水晶発振回路11の発振周波数f1と同じ周波数の励振信号を生成し、水晶発振回路11に入力することができる。
【0034】
なお、基準分周器52の分周数N1および可変分周器13の分周数N2は、位相同期回路の出力周波数f2に応じて決められるが、本発明では位相同期回路の起動時の短時間だけ電圧制御発振器14の制御電圧v1と、可変分周器13の分周数(N1/N2)を設定するところがポイントである。その短時間の経過後にはスイッチ12を開き、可変分周器13の分周数をN2に戻す。
【0035】
本実施形態では、電圧制御発振器14の特性ばらつきや経年変化や周辺環境の変化による発振周波数の誤差に対して追従することが可能となり、常に小さい誤差で励振信号を水晶発振回路11に入力することができるので、位相同期回路の第1の実施形態の高速性をより効果的に発揮させることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、電圧制御発振器14の制御電圧を制御電圧モニタ18でモニタしているが、制御部15に制御電圧のモニタ機能を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の起動制御回路付き水晶発振回路の実施形態を示す図。
【図2】水晶発振回路11の構成例を示す図。
【図3】従来構成および本発明構成の水晶発振回路の立ち上がりシミュレーション結果を示す図。
【図4】本発明の位相同期回路の第1の実施形態を示す図。
【図5】本発明の位相同期回路の第2の実施形態を示す図。
【図6】従来の位相同期回路の構成例を示す図。
【図7】従来の水晶発振回路の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0038】
11 水晶発振回路(XOSC)
12 スイッチ(SW)
13 可変分周器
14 電圧制御発振器(VCO)
15 制御部
16 容量素子
17 信号入力端子
18 制御電圧モニタ
51 水晶発振回路(XOSC)
52 基準分周器
53 電圧制御発振器(VCO)
54 可変分周器
55 位相比較器
56 ループフィルタ
61 水晶振動子
62 インバータ
63 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動子と負性抵抗回路を備えた水晶発振回路の起動制御を行う起動制御回路を含み、一定の発振周波数の信号を出力させる起動制御回路付き水晶発振回路であって、
前記水晶発振回路は、前記水晶振動子を励振する励振信号を外部から入力するための信号入力端子を備え、
前記起動制御回路は、前記発振周波数またはそれに近い周波数を有する前記励振信号を生成し、前記水晶発振回路の起動時に前記励振信号を前記励振信号入力端子に入力し、前記水晶発振回路の発振周波数が安定する前に前記励振信号の入力を停止する構成である
ことを特徴とする起動制御回路付き水晶発振回路。
【請求項2】
請求項1に記載の起動制御回路付き水晶発振回路において、
前記起動制御回路は、電圧制御発振器を備え、電圧制御発振器の制御電圧を制御して前記発振周波数またはそれに近い周波数の励振信号を生成する構成である
ことを特徴とする起動制御回路付き水晶発振回路。
【請求項3】
請求項1に記載の起動制御回路付き水晶発振回路において、
前記起動制御回路は、電圧制御発振器およびその出力信号を分周する分周器を備え、電圧制御発振器の制御電圧および分周器の分周数を制御して前記発振周波数またはそれに近い周波数の励振信号を生成する構成である
ことを特徴とする起動制御回路付き水晶発振回路。
【請求項4】
水晶発振回路から出力される一定の発振周波数の出力信号を基準分周器(分周数N1)を介して分周した信号と、電圧制御発振器の出力信号を可変分周器(分周数N2)を介して分周した信号とを位相比較器に入力し、その位相誤差信号をループフィルタを介して当該電圧制御発振器に制御電圧としてフィードバックし、前記電圧制御発振器から水晶発振回路で得られる周波数安定度と同等な安定度をもつ任意の周波数の信号を出力する位相同期回路において、
前記水晶発振回路は、水晶振動子を励振する励振信号を外部から入力するための信号入力端子を備え、
前記可変分周器の出力信号を分岐して前記水晶発振回路の信号入力端子に入力する経路に挿入され、前記可変分周器の出力信号を前記水晶発振回路に前記励振信号として入力するか否かを切り替えるスイッチと、
前記位相同期回路の起動時に前記スイッチを閉じ、前記励振信号の周波数が前記水晶発振回路の発振周波数またはそれに近い周波数になるように、前記電圧制御発振器の制御電圧と前記可変分周器の分周数N2′を設定して生成した励振信号を前記励振信号入力端子に入力し、前記水晶発振回路の発振周波数が安定する前に前記スイッチを開いて前記励振信号の入力を停止し、前記電圧制御発振器の制御電圧の印加を停止し、前記可変分周器の分周数N2に設定する制御手段と
を備えたことを特徴とする位相同期回路。
【請求項5】
請求項4に記載の位相同期回路において、
前記電圧制御発振器の制御電圧をモニタする制御電圧モニタを備え、
前記制御手段は、前記制御電圧モニタから間欠動作する位相同期回路の動作安定時における前記電圧制御発振器の制御電圧v1、前記基準分周器の分周数N1および前記可変分周器の分周数N2を保持し、間欠動作する位相同期回路の起動時に当該制御電圧v1を前記電圧制御発振器に設定し、分周数N2′=N1/N2を前記可変分周器に設定する構成である
ことを特徴とする位相同期回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−188738(P2009−188738A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26634(P2008−26634)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】