説明

超臨界乾燥方法及び超臨界乾燥システム

【課題】二酸化炭素を回収、再生、再利用し、かつ、半導体基板上に生じるパーティクルを低減する。
【解決手段】超臨界乾燥方法は、表面が超臨界置換溶媒で濡れた半導体基板をチャンバ内に導入する工程と、チャンバ内に第1の二酸化炭素に基づく第1の超臨界流体を供給する工程と、前記第1の超臨界流体の供給後に、前記チャンバ内に、第2の二酸化炭素に基づく第2の超臨界流体を供給する工程と、前記チャンバ内の圧力を下げ、前記第2の超臨界流体を気化させて、前記チャンバから排出する工程と、を備える。第1の二酸化炭素は、チャンバから排出される二酸化炭素を回収し再生したものである。第2の二酸化炭素は、超臨界置換溶媒を含まないか又は第1の二酸化炭素よりも超臨界置換溶媒の含有濃度が低いものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超臨界乾燥方法及び超臨界乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程には、リソグラフィ工程、エッチング工程、イオン注入工程などの様々な工程が含まれている。各工程の終了後、次の工程に移る前に、半導体基板表面に残存した不純物や残渣を除去して半導体基板表面を清浄にするための洗浄及び乾燥が実施されている。
【0003】
半導体基板を乾燥する方法の1つとして、炭酸超臨界乾燥が知られている。これは、例えば、チャンバ内において、表面がイソプロピルアルコール(IPA)で濡れている半導体基板に、超臨界状態とした二酸化炭素(超臨界CO)を供給することで、半導体基板上のIPAを超臨界COに溶解させて半導体基板から除去し、その後、チャンバ内の圧力を大気圧に戻して、前記超臨界COをガス化して、半導体基板を乾燥させるものである。
【0004】
しかし、上述のようにチャンバ内の圧力を下げて二酸化炭素を超臨界状態からガス(気体)へ相転換する際に、チャンバ内に残留していたIPAミストが半導体基板上に凝集再吸着し、パーティクルが生じるという問題があった。
【0005】
炭酸超臨界は二酸化炭素を大量に使用するため、コストや環境を考慮して、二酸化炭素は回収、再生、再利用することが求められる。しかし、従来の二酸化炭素回収再生システムの性能では、超臨界COに溶解したIPAを十分に除去して二酸化炭素を再生することが出来ない。上述のパーティクルは、IPAミストが原因であり、IPAが残存している再生二酸化炭素を使用した場合、パーティクル低減の妨げになるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−326429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、二酸化炭素を回収、再生、再利用し、かつ、半導体基板上に生じるパーティクルを低減する超臨界乾燥方法及び超臨界乾燥システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態によれば、超臨界乾燥方法は、表面が超臨界置換溶媒で濡れた半導体基板をチャンバ内に導入する工程と、前記チャンバ内に第1の二酸化炭素に基づく第1の超臨界流体を供給する工程と、前記第1の超臨界流体の供給後に、前記チャンバ内に、第2の二酸化炭素に基づく第2の超臨界流体を供給する工程と、前記チャンバ内の圧力を下げ、前記第2の超臨界流体を気化させて、前記チャンバから排出する工程と、を備える。前記第1の二酸化炭素は、前記チャンバから排出される二酸化炭素を回収し再生したものである。前記第2の二酸化炭素は、前記超臨界置換溶媒を含まない新品の二酸化炭素又は前記第1の二酸化炭素よりも前記超臨界置換溶媒の含有濃度が低く、溶媒ミストによる半導体基板上のパーティクルが問題なくなるレベルまで再生したものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】圧力と温度と物質の相状態との関係を示す状態図である。
【図2】超臨界乾燥工程とパーティクル数の関係を示すグラフである。
【図3】二酸化炭素のIPA濃度とパーティクル分布の関係を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成図である。
【図5】同第1の実施形態に係る超臨界乾燥方法を説明するフローチャートである。
【図6】チャンバ内の圧力変化を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成図である。
【図8】同第2の実施形態に係る超臨界乾燥方法を説明するフローチャートである。
【図9】チャンバ内の圧力変化を示すグラフである。
【図10】超臨界分光セルの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1の実施形態)まず、超臨界乾燥について説明する。図1は、圧力と温度と物質の相状態との関係を示す状態図である。超臨界乾燥に用いられる超臨界流体の機能物質には、三態と称される気相(気体)、液相(液体)、固相(固体)の3つの存在状態がある。
【0012】
図1に示すように、上記3つの相は、気相と液相との境界を示す蒸気圧曲線(気相平衡線)、気相と固相との境界を示す昇華曲線、固相と液相との境界を示す溶解曲線で区切られる。これら3つの相が重なったところが三重点である。この三重点から蒸気圧曲線が高温側に延びると、気相と液相が共存する限界である臨界点に達する。この臨界点では、気相と液相の密度が等しくなり、気液共存状態の界面が消失する。
【0013】
そして、臨界点より高温、高圧の状態では、気相、液相の区別がなくなり、物質は超臨界流体となる。超臨界流体とは、臨界温度以上で高密度に圧縮された流体である。超臨界流体は、溶媒分子の拡散力が支配的である点においては気体と類似している。一方、超臨界流体は、分子の凝集力の影響が無視できない点においては液体と類似しているため、種々の物質を溶解する性質を有している。
【0014】
また、超臨界流体は、液体に比べ非常に高い浸潤性を有し、微細な構造にも容易に浸透する特徴がある。
【0015】
また、超臨界流体は、超臨界状態から直接気相に転移するように乾燥させることで、気体と液体の界面が存在しないように、すなわち毛管力(表面張力)が働かないようにして、微細構造を破壊することなく乾燥することができる。超臨界乾燥とは、このような超臨界流体の超臨界状態を利用して基板を乾燥することである。
【0016】
この超臨界乾燥に用いられる超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、メタン、エタン、プロパン、水、アンモニア、エチレン、フルオロメタン等が選択される。
【0017】
特に、二酸化炭素は、臨界温度が31.1℃、臨界圧力が約7.4MPaと比較的低温・低圧であるので、容易に処理が可能である。本実施形態では、二酸化炭素を用いた炭酸超臨界乾燥について説明する。
【0018】
炭酸超臨界乾燥では、まず、半導体基板は洗浄チャンバ内で薬液洗浄、純水リンス、超臨界置換溶媒リンスが行われ、その後、炭酸超臨界チャンバに導入される。この時、半導体基板の表面は超臨界置換溶媒で濡れている(浸漬している)状態のまま移動される。超臨界置換溶媒は、超臨界状態とした二酸化炭素(超臨界CO)に置換しやすいアルコール類が使用され、本実施形態ではイソプロピルアルコール(IPA)を使用する。なお、超臨界置換溶媒には、アルコール類(低級アルコール、高級アルコール)、フッ化アルコール、クロロフロオロカーボン(CFC)、ハイドロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、又はパーフルオロカーボン(PFC)を使用することができる。また、超臨界置換溶媒には、ハロゲン化アルデヒド類、ハロゲン化ケトン類、ハロゲン化ジケトン類、ハロゲン化エステル類、又はハロゲン化シラン類からなる物質を使用することもできる。
【0019】
ここで、以下の4つの条件で半導体基板の乾燥を行い、乾燥後の半導体基板上の、200nm以上のサイズのパーティクル数と、40nm以上のサイズのパーティクル数について調べた。
【表1】

【0020】
各条件での、乾燥後の半導体基板上のパーティクル数は図2に示すようになった。条件1におけるパーティクル数と条件2におけるパーティクル数が同程度であることから、パーティクルの発生要因は、チャンバ内汚染や、炭酸超臨界乾燥自体でないことがわかる。つまり、液化炭酸ガス中のパーティクル、液化炭酸ガスを超臨界乾燥状態に加圧するためのポンプ、バルブ等からの発塵は同サイズのパーティクルにおいては条件1の未処理基板と同等であったことから問題ないレベルと言える。
【0021】
条件1、2と比較して、条件3は、パーティクル数(特にサイズが100nm以下の微小パーティクルの数)が大幅に増加している。また、条件3と比較して、条件4は微小パーティクルの数が1/3程度に減少している。これらのことから、IPAをリンス液に用い、IPAを炭酸超臨界状態下まで導入した場合、パーティクルが大幅に増加することが分かる。また、炭酸超臨界状態を維持する時間が長い条件4では、チャンバ中のIPAを十分に超臨界COでパージ(purge:追放、浄化)することでパーティクル数を低減可能であることがわかる。
【0022】
つまり、炭酸超臨界乾燥後の半導体基板上のパーティクルは、超臨界置換溶媒として用いたIPAが超臨界乾燥チャンバ内にて炭酸超臨界流体中に液体のミストとなって残留し、炭酸超臨界チャンバ内から十分に排出されず、その後、炭酸超臨界状態から炭酸ガス状態に変化する臨界圧以下まで降圧したときに、チャンバ残留IPAが基板上に結露することによって発生することが、我々の検討結果から明らかとなった。従って、パーティクルを減少させるためには、IPAで濡れた基板を炭酸超臨界状態に保持させ、炭酸超臨界流体中に溶解したIPAを、基板及びチャンバ内に残留させずに、炭酸超臨界状態のチャンバから排出させ、チャンバ内の炭酸超臨界流体中のIPA濃度を減らすことが求められる。
【0023】
上記チャンバ残留IPAが基板上に結露することによって、基板上にパーティクルとなって検出されるという我々のモデルを検証するために、図3に、IPA含有量の異なるCOを用いて炭酸超臨界乾燥を行った場合の、半導体基板上における40nm以上のサイズのパーティクルの分布を示す。図3(a)は含有IPAがほぼゼロの高純度COを使用した場合を示し、図3(b)は含有IPAが10ppmであるCOを用いた場合を示し、図3(c)は含有IPAが100ppmであるCOを用いた場合を示す。
【0024】
高純度COを使用した場合(図3(a))、基板上のパーティクル数は930個であった。含有IPAが10ppmであるCOを使用した場合(図3(b))、パーティクル数は8425個であった。含有IPAが100ppmであるCOを使用した場合(図3(c))、パーティクル数は72806個であった。
【0025】
この結果から、パーティクル数を、高純度COを使用した場合と同程度とするためには、チャンバ内(チャンバに供給されるCO)のIPA濃度を最低でも1ppm以下にする必要があると考えられる。ただし、上記の結果は計測したパーティクルサイズが40nm以上の場合であり、さらに微小なサイズの欠陥を対象にする場合、例えば30nm以上の場合では、IPA濃度は1ppmよりさらに低い濃度にまで低減する必要があることはいうまでもない。
【0026】
超臨界置換溶媒にIPAを使用した場合、チャンバから排出されるCOのIPA濃度は数万ppmとなる。このようなCOを従来の回収再生システムで回収、再生した場合、再生COのIPA濃度を10ppm以下にすることは、技術的、コスト的に困難である。IPA濃度が10ppm以上の再生COを用いる炭酸超臨界乾燥では、パーティクルが多数生じる。そのため、本実施形態では、再生COと高純度COとを切り替えて使用することで、高純度COの使用量を抑えてコストを削減すると共に、半導体基板上に生じるパーティクルを低減させる。
【0027】
図4に、本発明の第1の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成を示す。超臨界乾燥システムは、チャンバ100と、チャンバ100に高純度COを供給する供給ライン110と、チャンバ100から排出されたCOを回収、再生して、再びチャンバ100へ供給する循環ライン130とを備える。
【0028】
チャンバ100は、高圧容器である。また、チャンバ100は、ステージ101を有する。ステージ101は、被処理基板Wを保持するリング状の平板である。
【0029】
供給ライン110は、ボンベ111、昇圧ポンプ112、ヒータ115、バルブ117及び118を有する。
【0030】
ボンベ111は、液体状態の高純度(新品)の二酸化炭素を貯留する。この二酸化炭素は、IPA濃度が1ppm以下である。
【0031】
昇圧ポンプ112は、配管113を介して、ボンベ111から二酸化炭素を吸い出し、昇圧して排出する。昇圧ポンプ112は、二酸化炭素をその臨界圧力以上に昇圧する。昇圧ポンプ112から排出された二酸化炭素は、配管114を介してヒータ115に供給される。
【0032】
ヒータ115は、二酸化炭素を臨界温度以上に昇温(加熱)する。これにより、二酸化炭素は超臨界状態となる。
【0033】
ヒータ115から排出された超臨界状態の二酸化炭素(超臨界CO)は、配管116を介してチャンバ100に供給される。この超臨界COは、ボンベ111内の高純度(新品)二酸化炭素に基づくため、純度が高く、IPA濃度が1ppm以下である。以下では、ボンベ111内の高純度(新品)二酸化炭素に基づくCOの超臨界流体を超臨界高純度COと称する。
【0034】
配管116にはバルブ117、118が設けられている。バルブ117の開度によって、チャンバ100への超臨界高純度COの供給量を調整することができる。バルブ118は、チャンバ100へ超臨界高純度COを供給する場合に開けられ、供給しない(後述の循環ライン130によりチャンバ100に超臨界再生COを供給する)場合に閉じられる。
【0035】
なお、配管113、114、116にはそれぞれパーティクルを除去するフィルタ121〜123が設けられている。
【0036】
循環ライン130は、バルブ132、145、146、気液分離器133、熱交換器135、吸着塔136、冷却器138、タンク139、昇圧ポンプ141、及びヒータ143を有する。
【0037】
チャンバ100内の気体や超臨界流体は、配管131を介して排出される。配管131には圧力制御バルブ132が設けられているため、配管131のバルブ132より下流側では、超臨界流体は気体となる。
【0038】
気液分離器133は、気体と液体とを分離する。例えば、チャンバ100から、IPAが溶解したCO超臨界流体が排出された場合、気液分離器133は、液体のIPAと気体の二酸化炭素とを分離する。分離されたIPAは、溶け込んだCOや水分を除去し、再利用することができる。
【0039】
気液分離器133から排出された気体状態の二酸化炭素は、配管134を介して吸着塔136に供給される。配管134には熱交換器135が設けられており、二酸化炭素がドライアイスとなるのを防いでいる。IPAを微量に含んだ二酸化炭素は、吸着塔136でIPAが吸着除去される。
【0040】
吸着塔136は、二酸化炭素内に残存しているIPAを除去する。吸着塔136は、例えばゼオライトを有する。
【0041】
吸着塔136を通過した二酸化炭素は、配管137を介してタンク139に供給される。配管137には、二酸化炭素を冷却する冷却器138が設けられている。タンク139は冷却された(液体状態の)二酸化炭素を貯留する。従って、チャンバ100から排出された二酸化炭素が、気液分離器133、熱交換器135、吸着塔136、冷却器138等からなる再生部により再生され、タンク139に貯留される。
【0042】
気液分離器133や吸着塔136により、二酸化炭素から、ある程度の量のIPAは除去されるものの、完全には除去されず、タンク139が貯留する再生二酸化炭素のIPA濃度は、10〜100ppm程度となる。
【0043】
昇圧ポンプ141は、配管140を介して、タンク139から再生二酸化炭素を吸い出し、昇圧して排出する。昇圧ポンプ141は、二酸化炭素をその臨界圧力以上に昇圧する。昇圧ポンプ141から排出された再生二酸化炭素は、配管142を介してヒータ143に供給される。
【0044】
ヒータ143は、再生二酸化炭素を臨界温度以上に昇温(加熱)する。これにより、再生二酸化炭素は超臨界状態となる。以下では、タンク139内の再生二酸化炭素に基づくCOの超臨界流体を超臨界再生COと称する。
【0045】
ヒータ143から排出された超臨界再生COは、配管144を介してチャンバ100に供給される。この超臨界再生COは、タンク139内の再生二酸化炭素に基づくため、供給ライン110がチャンバ100に供給する超臨界高純度COより純度が低く、IPA濃度が10〜100ppm程度となっている。
【0046】
配管144にはバルブ145、146が設けられている。バルブ145の開度によって、チャンバ100への超臨界再生COの供給量を調整することができる。バルブ146は、チャンバ100へ超臨界再生COを供給する場合は開けられ、供給しない(供給ライン110によりチャンバ100に超臨界高純度COを供給する)場合は閉じられる。
【0047】
なお、配管140、142、144にはそれぞれパーティクルを除去するフィルタ151〜153が設けられている。また、各バルブは図示しない制御部により開閉制御できるようにしてもよい。
【0048】
このような超臨界乾燥システムにより、チャンバ100へ超臨界高純度COを供給するか、又は超臨界再生COを供給するかを切り替えることができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る半導体基板の洗浄・超臨界乾燥方法について、図5に示すフローチャート及び図6に示すグラフを用いて説明する。超臨界乾燥は、図4に示す超臨界乾燥システムを利用する。
【0050】
(ステップS101)処理対象の半導体基板が図示しない洗浄チャンバに搬入される。そして、半導体基板の表面に薬液が供給され、洗浄処理が行われる。薬液には、例えば、硫酸、フッ酸、塩酸、過酸化水素等を用いることができる。
【0051】
ここで、洗浄処理とは、レジストを半導体基板から剥離するような処理や、パーティクルや金属不純物を除去する処理や、基板上に形成された膜をエッチング除去する処理等を含むものである。
【0052】
(ステップS102)洗浄処理後、半導体基板の表面に純水が供給され、半導体基板の表面に残留していた薬液を純水によって洗い流す純水リンス処理が行われる。
【0053】
(ステップS103)純水リンス処理後、半導体基板の表面にアルコールが供給され、半導体基板の表面に残留していた純水をアルコールに置換するアルコールリンス処理が行われる。アルコールは、純水と超臨界COの両方に溶解する(置換しやすい)ものが用いられる。本実施形態ではイソプロピルアルコール(IPA)を用いる。
【0054】
(ステップS104)アルコールリンス処理後、表面がIPAで濡れた状態のまま、自然乾燥しないように、半導体基板が洗浄チャンバから搬出され、図4に示す超臨界乾燥システムのチャンバ100に導入され、ステージ101に固定される。
【0055】
(ステップS105)タンク139内の再生二酸化炭素を昇圧ポンプ141及びヒータ143により昇圧・昇温して超臨界流体にし、配管144を介して、チャンバ100内に供給する。この時、バルブ118は閉じており、バルブ146が開いている。
【0056】
この時、配管144を介してチャンバ100内に超臨界再生COを供給しつつ、バルブ132を開き、配管131を介してチャンバ100内から、IPAが溶解した超臨界流体が徐々に排出されるようにする。チャンバ100から排出されたIPAが溶解した二酸化炭素は、循環ライン130で回収、再生、再利用される。
【0057】
なお、超臨界乾燥システムの運転開始時など、タンク139に再生二酸化炭素が貯留されていない場合は、ボンベ111内の二酸化炭素を用いてチャンバ100に超臨界流体を供給する。その後、タンク139にある程度の再生二酸化炭素が貯留されたら、再生二酸化炭素を超臨界再生COにして、チャンバ100に供給する。
【0058】
(ステップS106)チャンバ100内の圧力が7.4MPa(臨界圧力)以上になったらステップS107へ進む。
【0059】
(ステップS107)バルブ118を開けて、バルブ146を閉じる(図6の時刻T1)。ボンベ111内の高純度二酸化炭素を昇圧ポンプ112及びヒータ115により昇圧・昇温して超臨界流体にし、配管116を介して、チャンバ100内に供給する。これにより、チャンバ100に供給される超臨界流体が、超臨界再生COから超臨界高純度COに切り替わる。
【0060】
(ステップS108)半導体基板を、超臨界高純度COに所定時間、例えば20分程度、浸漬させる。これにより、半導体基板上のIPAが超臨界流体に溶解し、半導体基板からIPAが除去され、半導体基板が乾燥する。
【0061】
この時、配管116を介してチャンバ100内に超臨界高純度COを供給しつつ、バルブ132を開き、配管131を介してチャンバ100内から、IPAが溶解した超臨界流体が徐々に排出されるようにする。
【0062】
(ステップS109)バルブ117を閉じて超臨界高純度COの供給を停止し、バルブ132を開いて、チャンバ100内の圧力を降圧し、大気圧へ戻す(図6の時刻T2〜T3)。これにより、チャンバ100内の二酸化炭素は気体状態に変化する。チャンバ100内の二酸化炭素は気体状態でチャンバ100から排出(排気)される。これにより、基板の乾燥処理が完了する。しかし、超臨界流体に溶解したIPAは液相のため、超臨界状態の間はクラスター(ミスト)状態を維持するが、炭酸超臨界の臨界圧以下まで降圧した際に、チャンバ100内の残留IPAは凝集し、基板に降りかかり、IPA起因のパーティクルとなって基板上に残る。従って、このIPA起因のパーティクルを減らすためには、炭酸超臨界状態下にてIPAミストを効果的にチャンバ100から排出させ、チャンバ100内のIPA濃度を制御し、低減させなくてはならない。
【0063】
本実施形態では、チャンバ100内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力未満の状態(図6の時刻T1以前)では、再生二酸化炭素に基づく超臨界流体を用いてチャンバ100内をパージするため、最初からボンベ111内の(新品の)二酸化炭素を使用する場合と比較して、コストを削減することができる。
【0064】
また、チャンバ100内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力以上となった時に、チャンバ100に供給する超臨界流体を、超臨界再生COから超臨界高純度COに切り替え、その後は超臨界高純度COを用いてチャンバ100内をパージする。そのため、ステップS109のチャンバ100内の降圧の際、図3(a)の状態と同様に、チャンバ100内のIPA濃度は極めて小さくなっており、半導体基板上のIPA起因のパーティクル数を低く抑えることができる。
【0065】
また、循環ライン130は、二酸化炭素のIPA濃度を10〜100ppm程度にする性能があればよく、高いIPA除去性能が求められないため、装置コストを抑制できる。
【0066】
このように、本実施形態によれば、二酸化炭素を回収、再生、再利用し、かつ、半導体基板上に生じるパーティクルを低減することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、チャンバ100内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力に達した時に、チャンバ100に供給する超臨界流体を、超臨界再生COから超臨界高純度COに切り替えていたが、切り替えのタイミングは多少前後してもよい。切り替えのタイミングが早くなる場合は、ボンベ111内の(新品の)二酸化炭素の使用量が多少増えるが、チャンバ100内のIPA濃度をさらに低くでき、半導体基板上のIPA起因のパーティクル数をさらに低く抑えることができる。一方、切り替えのタイミングが遅くなる場合は、半導体基板上のIPA起因のパーティクル数が多少増加し得るが、ボンベ111内の(新品の)二酸化炭素の使用量をさらに少なくし、コストを削減することができる。
【0068】
(第2の実施形態)図7に、本発明の第1の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成を示す。本実施形態では、回収再生ライン160が設けられ、配管131が、バルブ132の下流側で、循環ライン130となる配管148と、回収再生ライン160となる配管162とに分岐し、配管148にバルブ149が設けられる点以外は、図4に示す第1の実施形態と同様となっている。図7において、図4に示す第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
回収再生ライン160は、チャンバ100から排出されたCOを回収、再生して、供給ライン110へ流す。回収再生ライン160は、バルブ161、吸着塔163、冷却器165、及びタンク166を有する。
【0070】
吸着塔163は、配管131及び配管162を介して、チャンバ100から排出されたCOが供給される。配管162にはバルブ161が設けられている。バルブ161は、バルブ149が閉じている時に開き、バルブ149が開いている時に閉じる。従って、チャンバ100から排出されたCOは循環ライン130又は回収再生ライン160のいずれか一方に流される。
【0071】
具体的には、チャンバ100から排出されたCO中のIPA濃度が高い(例えば100ppm以上)と考えられる場合に、排出COを循環ライン130へ流し、IPA濃度が低い(例えば100ppm未満)と考えられる場合に、排出COを回収再生ライン160へ流す。
【0072】
吸着塔163は、二酸化炭素内に残存しているIPAを除去する。吸着塔163は、例えばゼオライトを有する。
【0073】
吸着塔163を通過した二酸化炭素は、配管164を介してタンク166に供給される。配管164には、二酸化炭素を冷却する冷却器165が設けられている。タンク166は冷却された(液体状態の)二酸化炭素を貯留する。従って、チャンバ100から排出された二酸化炭素が、吸着塔163、冷却器165等からなる再生部により再生され、タンク166に貯留される。
【0074】
回収再生ライン160には、IPA濃度が低い二酸化炭素が供給されるため、吸着塔163におけるIPA除去により大部分のIPAが除去され、タンク166が貯留する再生二酸化炭素のIPA濃度は、1ppm以下となる。
【0075】
回収再生ライン160の配管167は、供給ライン110の配管113に連結されている。昇圧ポンプ112は、配管167を介して、タンク166から高純度再生二酸化炭素を吸い出し、昇圧して排出する。昇圧ポンプ112がボンベ111内の二酸化炭素とタンク166内の二酸化炭素のどちらを吸い出すかは、図示しないバルブ等によって制御することができる。以下では、タンク166内の高純度再生二酸化炭素に基づく超臨界流体を超臨界高純度再生COと称する。
【0076】
次に、このような超臨界乾燥システムを用いた半導体基板の洗浄・超臨界乾燥方法について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS201〜S206は、図5におけるステップS101〜S106と同様であるため説明を省略する。
【0077】
(ステップS207)タンク166に高純度再生二酸化炭素がある場合はステップS208へ進み、無い場合はステップS209へ進む。
【0078】
(ステップS208)バルブ118を開けて、バルブ146を閉じる。タンク166内の高純度再生二酸化炭素を昇圧ポンプ112及びヒータ115により昇圧・昇温して超臨界流体にし、配管116を介して、チャンバ100内に供給する。これにより、チャンバ100に供給される超臨界流体が、超臨界再生COから超臨界高純度再生COに切り替わる。
【0079】
この時、配管116を介してチャンバ100内に超臨界高純度再生COを供給しつつ、バルブ132を開き、配管131を介してチャンバ100内から、IPAが溶解した超臨界流体が徐々に排出されるようにする。
【0080】
(ステップS209)バルブ118を開けて、バルブ146を閉じる。ボンベ111内の高純度二酸化炭素を昇圧ポンプ112及びヒータ115により昇圧・昇温して超臨界流体にし、配管116を介して、チャンバ100内に供給する。これにより、チャンバ100に供給される超臨界流体が、超臨界再生COから超臨界高純度COに切り替わる。
【0081】
この時、配管116を介してチャンバ100内に超臨界高純度COを供給しつつ、バルブ132を開き、配管131を介してチャンバ100内から、IPAが溶解した超臨界流体が徐々に排出されるようにする。
【0082】
なお、ステップS206までは、チャンバ100内の二酸化炭素の排出先は循環ライン130であるが、ステップS207以降は、排出先が回収再生ライン160となる。バルブ149を閉じて、バルブ161を開けることで、チャンバ100から排出される二酸化炭素が回収再生ライン160へ供給される。
【0083】
チャンバ100内の二酸化炭素の排出先の切り替えは、チャンバ100に供給する超臨界流体を、超臨界再生COから超臨界高純度CO又は超臨界高純度再生COに切り替える時点と同時でも良いし、超臨界流体の切り替えから一定時間経過した後でもよい。
【0084】
(ステップS210)半導体基板を、超臨界高純度再生CO又は超臨界高純度COに浸漬させてから所定時間、例えば20分程度、経過した場合はステップS211へ進み、経過していない場合はステップS207に戻る。
【0085】
半導体基板を、超臨界高純度再生CO又は超臨界高純度COに所定時間浸漬させることで、半導体基板上のIPAが超臨界流体に溶解し、半導体基板からIPAが除去され、半導体基板が乾燥する。
【0086】
(ステップS211)バルブ117を閉じて超臨界高純度再生CO又は超臨界高純度COの供給を停止し、バルブ132を開いて、チャンバ100内の圧力を降圧し、大気圧へ戻す。これにより、チャンバ100内の二酸化炭素及びIPAは気体状態に変化する。チャンバ100内の二酸化炭素及びIPAは気体状態でチャンバ100から排出(排気)される。これにより、基板の乾燥処理が完了する。
【0087】
このように、本実施形態では、チャンバ100内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力未満の状態では、再生二酸化炭素に基づく超臨界流体を用いてチャンバ100内をパージするため、最初からボンベ111内の(新品の)二酸化炭素を使用する場合と比較して、コストを削減することができる。
【0088】
また、回収再生ライン160が、チャンバ100から排出されるIPA濃度の低い二酸化炭素を回収、再生して、高純度再生二酸化炭素を生成する。この高純度再生二酸化炭素に基づく超臨界高純度再生COを使用することで、ボンベ111内の(新品の)二酸化炭素の使用量をさらに減らし、コストを削減することができる。
【0089】
また、チャンバ100内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力以上となった時に、チャンバ100に供給する超臨界流体を、超臨界再生COから超臨界高純度再生CO又は超臨界高純度COに切り替え、その後は超臨界高純度再生CO又は超臨界高純度COを用いてチャンバ100内をパージする。そのため、ステップS213のチャンバ100内の降圧の際、図3(a)の状態と同様に、チャンバ100内のIPA濃度は極めて小さくなっており、半導体基板上のIPA起因のパーティクル数を低く抑えることができる。
【0090】
このように、本実施形態によれば、二酸化炭素を回収、再生、再利用し、かつ、半導体基板上に生じるパーティクルを低減することができる。
【0091】
上記第2の実施形態では、回収再生ライン160を供給ライン110に連結していたが、供給ライン110に連結させず、回収再生ライン160に昇圧ポンプやヒータを設けて、チャンバ100に高純度再生二酸化炭素に基づく超臨界流体を供給するようにしてもよい。
【0092】
(第1及び第2の実施形態の第1の変形例)上記第1及び第2の実施形態では、チャンバ100内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力に達した際に、チャンバ100に供給する超臨界流体を、再生超臨界COから超臨界高純度CO(又は超臨界高純度再生CO)に切り替えていたが、チャンバ100に持ち込まれるIPAの量、すなわち、ウェーハ(被処理基板W)に盛られたIPAの量に基づいて、切り替えタイミングを決定してもよい。
【0093】
例えば、ウェーハ上のIPAが超臨界流体に溶け込み、ウェーハ表面にIPAがなくなった状態で、超臨界高純度CO(又は超臨界高純度再生CO)に切り替える。
【0094】
実験から、300mmウェーハの表面積で、40℃、8MPaの場合、1分間に約50ccのIPAが超臨界流体に溶け込むことが分かっている。例えば、ウェーハに盛られたIPAの液面の高さが1mmであったとすると、約70ccのIPAをチャンバ100に持ち込むことになり、超臨界流体に溶け込むのに1分30秒程度かかる。
【0095】
従って、図9に示すように、チャンバ100内の圧力が8MPaになってから1分30秒経過し、ウェーハ表面にIPAが無くなった時に、超臨界高純度CO(又は超臨界高純度再生CO)に切り替えるようにする。
【0096】
このように、実験により、IPAが超臨界流体へ溶け込む速度を予め求めておき、チャンバ100に持ち込むIPAの量から切り替えタイミングを決定してもよい。
【0097】
(第1及び第2の実施形態の第2の変形例)上記第1及び第2の実施形態では、チャンバ100内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力に達した際に、チャンバ100に供給する超臨界流体を、超臨界再生COから超臨界高純度CO(又は超臨界高純度再生CO)に切り替えていたが、気液分離器133で分離された液体IPAの回収量に基づいて、切り替えタイミングを決定してもよい。
【0098】
例えば、気液分離器133で分離された液体IPAの液面を検出する液面センサ、又は液体IPAの重量を検出する重量センサを設ける。そして、液面センサ又は重量センサの検出結果をモニタリングし、検出結果の変化がなくなった時に、切り替える。
【0099】
このように、液体IPAの回収量の変化に基づいて切り替えタイミングを決定してもよい。
【0100】
(第1及び第2の実施形態の第3の変形例)上記第1及び第2の実施形態では、チャンバ100内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力に達した際に、チャンバ100に供給する超臨界流体を、超臨界再生COから超臨界高純度CO(又は超臨界高純度再生CO)に切り替えていたが、超臨界分光セルを用いてチャンバ100内の分光特性を検出し、分光特性の変化に基づいて、切り替えタイミングを決定してもよい。
【0101】
図10に示すように、超臨界分光セルは、例えば、光源191、受光部192、演算部193を有する。また、チャンバ100には一対の窓102、103が設けられる。光源191は、放射光を波長に応じて分散させて放射する。光源191から発せられた光は窓102を介してチャンバ100内に進入し、窓103を介して受光部192で波長毎に受光される。受光部192は、光電変換を行い、電気信号を演算部193へ出力する。演算部193は、電気信号に基づいて、分光特性を求める。
【0102】
演算部193により求められる分光特性をモニタリングし、分光特性の変化から、チャンバ100内のIPAの排出を確認したら、超臨界流体を切り替える。
【0103】
このように、チャンバ100内の分光特性の変化に基づいて、切り替えタイミングを決定してもよい。
【0104】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0105】
100 チャンバ
110 供給ライン
111 ボンベ
112 昇圧ポンプ
115 ヒータ
117、118 バルブ
130 循環ライン
132、145、146 バルブ
133 気液分離器
135 熱交換器
136 吸着塔
138 冷却器
139 タンク
141 昇圧ポンプ
143 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が超臨界置換溶媒で濡れた状態で、半導体基板をチャンバ内に導入する工程と、
前記チャンバ内に第1の二酸化炭素に基づく第1の超臨界流体を供給する工程と、
前記第1の超臨界流体の供給後に、前記チャンバ内に、前記超臨界置換溶媒を含まないか又は前記第1の二酸化炭素よりも前記超臨界置換溶媒の含有濃度が低い第2の二酸化炭素に基づく第2の超臨界流体を供給する工程と、
前記チャンバ内の圧力を下げ、前記第2の超臨界流体を気化させて、前記チャンバから排出する工程と、
前記チャンバから排出される二酸化炭素を回収・再生する工程と、
を備える超臨界乾燥方法。
【請求項2】
前記チャンバに前記第1の超臨界流体を供給している間は、前記チャンバから排出される二酸化炭素を回収して前記第1の二酸化炭素として再生し、
前記チャンバに前記第2の超臨界流体を供給している間は、前記チャンバから排出される二酸化炭素を回収して前記第2の二酸化炭素として再生することを特徴とする請求項1に記載の超臨界乾燥方法。
【請求項3】
前記チャンバ内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力未満のときは、前記チャンバに前記第1の超臨界流体を供給し、
前記チャンバ内の圧力が前記臨界圧力以上のときは、前記チャンバに前記第2の超臨界流体を供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の超臨界乾燥方法。
【請求項4】
前記チャンバ内の圧力が所定値に達してから、前記半導体基板上の前記超臨界置換溶媒の量に基づく時間の経過前は、前記チャンバに前記第1の超臨界流体を供給し、経過後は、前記チャンバに前記第2の超臨界流体を供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の超臨界乾燥方法。
【請求項5】
前記チャンバから排出される二酸化炭素を前記第1の二酸化炭素として再生する工程は、気液分離により二酸化炭素から前記超臨界置換溶媒を分離して回収する工程を含み、
前記超臨界置換溶媒の回収量の変化に基づいて、前記チャンバへ供給する超臨界流体を前記第1の超臨界流体から前記第2の超臨界流体に切り替えるタイミングを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の超臨界乾燥方法。
【請求項6】
前記チャンバ内の分光特性を求める工程をさらに備え、
前記分光特性の変化に基づいて、前記チャンバへ供給する超臨界流体を前記第1の超臨界流体から前記第2の超臨界流体に切り替えるタイミングを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の超臨界乾燥方法。
【請求項7】
前記超臨界置換溶媒は、アルコール類(低級アルコール、高級アルコール)、フッ化アルコール、クロロフロオロカーボン(CFC)、ハイドロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、若しくはパーフルオロカーボン(PFC)、又はハロゲン化アルデヒド類、ハロゲン化ケトン類、ハロゲン化ジケトン類、ハロゲン化エステル類、若しくはハロゲン化シラン類からなる物質であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の超臨界乾燥方法。
【請求項8】
超臨界置換溶媒で濡れた半導体基板を超臨界乾燥するためのチャンバと、
第1の二酸化炭素を貯留する第1の貯留部と、
前記第1の貯留部から前記第1の二酸化炭素を吸い出し、昇圧して出力する第1のポンプと、
前記第1のポンプから出力された前記第1の二酸化炭素を加熱して第1の超臨界流体にする第1のヒータと、
前記第1の超臨界流体を前記チャンバへ導く第1の配管と、
前記第1の配管に設けられ、前記チャンバへの前記第1の超臨界流体の供給量を調整する第1のバルブと、
前記チャンバから排出される二酸化炭素を再生して、前記第1の貯留部に供給する再生部と、
前記超臨界置換溶媒を含まないか又は前記第1の二酸化炭素よりも前記超臨界置換溶媒の含有濃度が低い第2の二酸化炭素を貯留する第2の貯留部と、
前記第2の貯留部から前記第2の二酸化炭素を吸い出し、昇圧して出力する第2のポンプと、
前記第2のポンプから出力された前記第2の二酸化炭素を加熱して第2の超臨界流体にする第2のヒータと、
前記第2の超臨界流体を前記チャンバへ導く第2の配管と、
前記第2の配管に設けられ、前記チャンバへの前記第2の超臨界流体の供給量を調整する第2のバルブと、
を備える超臨界乾燥システム。
【請求項9】
前記超臨界置換溶媒の含有濃度が前記第1の二酸化炭素より低く、前記第2の二酸化炭素より高い第3の二酸化炭素を貯留する第3の貯留部と、
前記チャンバから排出される二酸化炭素を再生して、前記第3の貯留部に供給する第2の再生部と、
をさらに備え、
前記第2のポンプは、前記第3の貯留部から前記第3の二酸化炭素を吸い出し、昇圧して出力することができ、第2のヒータは、前記第2のポンプから出力された前記第3の二酸化炭素を加熱して第3の超臨界流体にし、前記第2の配管は前記第3の超臨界流体を前記チャンバへ導き、
前記第1のバルブが開き、前記第2のバルブが閉じているときは、前記第1の再生部が前記チャンバから排出される二酸化炭素を再生し、前記第2のバルブが開き、前記第1のバルブが閉じているときは、前記第2の再生部が前記チャンバから排出される二酸化炭素を再生することを特徴とする請求項8に記載の超臨界乾燥システム。
【請求項10】
前記超臨界置換溶媒は、アルコール類(低級アルコール、高級アルコール)、フッ化アルコール、クロロフロオロカーボン(CFC)、ハイドロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、若しくはパーフルオロカーボン(PFC)、又はハロゲン化アルデヒド類、ハロゲン化ケトン類、ハロゲン化ジケトン類、ハロゲン化エステル類、若しくはハロゲン化シラン類からなる物質であることを特徴とする請求項8又は9に記載の超臨界乾燥システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−49446(P2012−49446A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192272(P2010−192272)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】