説明

超臨界流体を用いる基板乾燥装置及びこれを備える基板処理設備並びに基板処理方法

【課題】ウォーターマークなしに効果的に基板を乾燥処理することができ、安定的で生産効率及び歩留まりの向上を図ることができる基板乾燥装置及びこれを有する基盤処理設備並びに基板処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によって、チャンバーと、前記チャンバーの一部を構成し、基板に超臨界流体を供給して前記基板を乾燥させる処理室と、前記チャンバーの他の一部を構成し、前記処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上に加圧する高圧室と、を含むことを特徴とする基板乾燥装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板乾燥装置及びこれを備える基板処理設備並びに基板処理方法に関し、さらに詳細には、超臨界流体を用いて基板を乾燥させる基板乾燥装置及び基板処理設備並びに基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基板乾燥方法においては、薬液と超純水によりウェット処理された基板にイソプロピルアルコール(IPA)と窒素(N)の混合ガスを提供して基板を乾燥させていた。しかし、基板乾燥の際、基板に形成された微細パターンに入った超純水、例えば凹状のトレンチに入った超純水、を除去するのが難しかった。また、微細パターンを形成するそれぞれの膜質の種類による乾燥条件への対応も困難であった。そこで、特許文献1に示されるように、ウェット処理された微細パターンに対して効果的に乾燥処理するために、超臨界流体を用いる乾燥処理技術が提案されている。前記の特許文献1に開示された技術によれば、基板を超臨界処理装置である高圧容器内に搬入し、一連のウェット処理を行う。その後、液体二酸化炭素を装置内に注入して基板表面のアルコールを置換し、温度を上昇させて二酸化炭素を超臨界状態にして超臨界乾燥処理を行ってから減圧する。しかしながら、前記の技術においては、高圧容器内に処理液を注入しなければならないので、処理液による腐食のような、安定性の面での問題点がある。また、処理装置は高い圧力に耐える必要があるため、配管の口径を大きくすることが難く、処理液の出入に所要される時間が長すぎるという生産性の面での問題点もある。さらに、高圧を必要としないウェット処理さえも高圧容器で行うのは、コスト面でも好ましくない。
【0003】
【特許文献1】特開平8−250464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ウォーターマークなしに効果的に基板を乾燥処理することができ、安定的で生産効率及び歩留まりの向上を図ることができる基板乾燥装置及びこれを有する基盤処理設備並びに基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る基板乾燥装置は、チャンバーと、前記チャンバーの一部を構成し、基板に超臨界流体を供給して前記基板を乾燥させる処理室と、前記チャンバーの他の一部を構成し、前記処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上に加圧する高圧室と、を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る基板乾燥装置は、前記処理室は、前記基板が積載及び搬送される基板搬送処理室と、前記基板搬送室とは隔離可能で、前記超臨界流体が供給及び排出される基板乾燥処理室と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板乾燥装置としたものである。
【0007】
本発明の請求項3に係る基板乾燥装置は、前記処理室は、前記基板搬送処理室と前記基板乾燥処理室とを空間的に区分して、前記基板乾燥処理室を前記基板搬送処理室と隔離する昇降可能なゲートを含むことを特徴とする請求項2に記載の基板乾燥装置としたものである。
【0008】
本発明の請求項4に係る基板乾燥装置は、前記ゲートは、前記基板をローディングする基板支持部と連結されることを特徴とする請求項3に記載の基板乾燥装置としたものである。
【0009】
本発明の請求項5に係る基板乾燥装置は、前記ゲートは、前記ゲートを昇降させる昇降部とロッドを介して連結されることを特徴とする請求項3に記載の基板乾燥装置としたものである。
【0010】
本発明の請求項6に係る基板乾燥装置は、前記昇降部は、前記ゲートと連結された昇降機と、前記ゲートの最下降位置を決定するストッパーと、前記ゲートを固定する安全ピンと、前記ゲートの昇降を案内するレールと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の基板乾燥装置としたものである。
【0011】
本発明の請求項7に係る基板乾燥装置は、前記基板乾燥処理室と前記高圧室との間に配置され、前記高圧室と前記基板乾燥処理室とを空間的に開放して、前記基板乾燥処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上に加圧して超臨界状態に変化させる第1バルブをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の基板乾燥装置としたものである。
【0012】
本発明の請求項8に係る基板乾燥装置は、前記基板乾燥処理室に配置され、前記基板乾燥処理室を前記超臨界状態から大気圧状態に減圧する第2バルブをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の基板乾燥装置としたものである。
【0013】
本発明の請求項9に係る基板処理設備は、基板を搬入及び搬出するローディング・アンローディング部と、基板を洗浄処理する洗浄処理部と、前記基板に超臨界流体を供給して前記基板を乾燥処理する処理室と該処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上に急速加圧する高圧室とを含む乾燥処理部と、前記基板を前記ローディング・アンローディング部と前記洗浄処理部と前記乾燥処理部との間で搬送する搬送ロボットと、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に係る基板処理設備は、前記乾燥処理部は、前記処理室と前記高圧室とを備えるチャンバーと、前記処理室を、基板が積載及び搬送される基板搬送処理室と超臨界流体が供給されて前記基板を乾燥処理する基板乾燥処理室とに区分するゲートと、前記基板乾燥処理室と前記高圧室との間に配置されて、前記基板乾燥処理室と前記高圧室とを空間的に開放して前記基板乾燥処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上に急速に加圧する第1バルブと、前記超臨界流体の臨界圧力以上に加圧された前記基板乾燥処理室を大気圧に減圧して維持する第2バルブと、を含むことを特徴とする請求項9に記載の基板処理設備としたものである。
【0015】
本発明の請求項11に係る基板処置設備は、前記乾燥処理部は、前記ゲートを前記処理室内で昇降させる昇降部と、前記基板が積載され、前記ゲートと連結されて前記基板搬送処理室と前記基板乾燥処理室との間で昇降する基板支持部と、をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の基板処理設備としたものである。
【0016】
本発明の請求項12に係る基板処理方法は、乾燥処理室と高圧室とに区分されるチャンバーの前記乾燥処理室に基板を積載するステップと、前記乾燥処理室を超臨界流体の臨界圧力以上に加圧するステップと、前記超臨界流体を前記乾燥処理室に供給して前記基板を乾燥処理するステップと、前記乾燥処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上の状態から大気圧状態に減圧するステップと、前記基板を前記乾燥処理室から搬出するステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項13に係る基板処理方法は、前記乾燥処理室を超臨界流体の臨界圧力以上に加圧するステップは、前記高圧室と前記乾燥処理室とを空間的に開放して前記乾燥処理室を加圧するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の基板処理方法としたものである。
【0018】
本発明の請求項14に係る基板処理方法は、前記高圧室と前記乾燥処理室とを空間的に開放して、前記乾燥処理室を加圧するステップは、前記高圧室と前記乾燥処理室とを区分する隔壁に配置された第1バルブを開放するステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の基板処理方法としたものである。
【0019】
本発明の請求項15に係る基板処理方法は、前記乾燥処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上の状態から大気圧状態に減圧するステップは、前記乾燥処理室に配置された第2バルブを開放して前記乾燥処理室を減圧するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の基板処理方法としたものである。
【0020】
本発明の請求項16に係る基板処理方法は、前記乾燥処理室を超臨界流体の臨界圧力以上に加圧するステップの前に、前記チャンバー内で昇降可能なゲートを下降させて前記乾燥処理室を密閉するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の基板処理方法としたものである。
【0021】
本発明の請求項17に係る基板処理方法は、前記チャンバー内で昇降可能なゲートを下降させて前記乾燥処理室を密閉するステップは、前記ゲートが最下降位置まで下降した状態で前記ゲートを安全ピンで固定するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の基板処理方法としたものである。
【0022】
本発明の請求項18に係る基板処理方法は、前記基板を前記乾燥処理室から搬出するステップは、前記安全ピンを解除して前記ゲートを固定解除し前記固定解除されたゲートを上昇させるステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の基板処理方法としたものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施の形態によって、ウォーターマークなしに効果的に基板を乾燥処理することができ、安定的で生産効率及び歩留まりの向上を図ることができる基板乾燥装置及びこれを有する基盤処理設備並びに基板処理方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[第1の実施の形態]
以下、本発明に係る基板乾燥装置、及びこれを有する基板処理設備並びに基板処理方法を、添付図面に基づき詳細に説明する。以下の説明及び図面においては、同じ構成要素には同じ符号を付し、重複する部分については説明を省略する。また、実施の形態においては、本発明の一実施の形態を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
(基板乾燥装置の構成)
本発明の一実施の形態に係る基板処置設備は、処理液の影響を受けないように、洗浄部と基板乾燥装置とを別個に設け、かつ、乾燥処理において超臨界流体を用いて基板乾燥処理を行うことを特徴する。洗浄部については一般的な洗浄装置を用いることができるので、以下において、特徴的な基板乾燥装置及びこれを有する基板処理設備並びに基板処理方法について説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理設備における基板乾燥装置を示す断面図である。図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る乾燥装置100は、チャンバー102を含む。前記チャンバー102は、その内部で横方向に延長された隔壁134により、上部の処理室104と下部の高圧室108に区分される。
【0026】
チャンバー102の上部102cには、昇降機114が配置され、前記昇降機114はロッド112を介してゲート110の上面110Aと連結される。ゲート110は、昇降機114によって発生される動力により上下移動する。そして、ゲート110の昇降は、左右両側のレール116A、116Bにより誘導される。また、ゲート110は、チャンバー102の側壁(図面1に向かって左側の側壁102A、及び右側の側壁102B。以下同じ。)のそれぞれに配設されたストッパー133A及びストッパー133Bにより、上下移動する場合の最下降位置が決定される。そして、前記最下降位置に位置したゲート110は、処理室104を上部の基板搬送処理室105と下部の基板乾燥処理室106とに区分する。
【0027】
チャンバー102の側壁102A及び102Bには、それぞれ安全ピン132A及び132Bが配設されている。ゲート110が最下降位置にあるとき、安全ピン132A及び132Bがチャンバー102の内側に移動して、ゲート110を固定する。ゲート110が固定されることによって、基板乾燥室106が密閉される。
【0028】
ゲート110の下面110Bには、乾燥処理対象物である1枚または複数枚の基板120を支持する基板支持部118が連結される。
【0029】
基板乾燥処理室106には、乾燥用流体を供給するための供給ノズル122と、乾燥用流体を排出するための排出口124が配設される。そして、供給ノズル122及び排出口124は、それぞれバルブ122A及び124Aを有する。乾燥用流体は、バルブ122Aが開放されることによって、供給ノズル122を通して基板乾燥処理室106に供給されて基板120の乾燥処理に用いられ、バルブ124Aが開放されることによって、排出口124を通して乾燥処理室106から排出される。乾燥用流体としては超臨界流体を採用して使用する。
【0030】
ここで、本実施の形態における超臨界流体について説明する。図2は、本発明の一実施の形態に係る基板処理設備における純粋な流体のPT(圧力−温度)曲線を示すグラフである。図2に示すように、純粋な流体の温度を三重点2まで上げながら固体の蒸気圧を測定し、三重点2以上では純粋液体の蒸気圧を測定すると、昇華曲線(1−2線)及び気化曲線(2−C線)のような圧力−温度(PT)曲線が描ける。ここで、溶融曲線(2−3線)は、固体−液体の平衡関係を示す。超臨界流体は、臨界温度Tc及び臨界圧力Pc以上の領域にある流体であって、気体と液体の区別が曖昧になって、臨界圧力以上の圧力を与えても液化しない非凝縮性の特性を有する。すなわち、超臨界流体の物性は、液体の性質と気体の性質の両方を有しているので、気体のような拡散度と粘性、液体のような溶解能力を有している。本実施の形態においては、乾燥用流体として超臨界二酸化炭素(Supercritical CO)を採用する。従って、以下の説明においても二酸化炭素を用いた例について説明する。なお、参考として、超臨界二酸化炭素は、臨界温度が31℃、臨界圧力が72.8気圧(atm)程度であって、臨界領域(35℃、75atm)での粘性は0.03cP、表面張力は0dynes/cm、密度は300kg/mの物性を有する。
【0031】
以上説明したように、本発明の一実施の形態においては乾燥用流体として超臨界二酸化炭素を用いるため、図1に示すように、高圧室108は、ゲート110によって密閉された乾燥処理室106を、二酸化炭素の臨界領域に相当する状態に急速に変化させることができるように設けられる。高圧室108の圧力は、該高圧室108に配設された急速加圧バルブ126(以下、第1バルブということがある。)が開放されたときに、乾燥処理室106が高圧状態、少なくとも二酸化炭素の臨界圧力以上に維持されるように設定される。急速加圧バルブ126が開放されると、乾燥処理室106は二酸化炭素の臨界圧力以上に加圧される。そして、乾燥処理室106が加圧された状態で、超臨界二酸化炭素が乾燥処理室106に供給されて、基板120に対する乾燥処理が行われる。
【0032】
乾燥処理室106での乾燥処理が完了すると、基板支持部118から基板120を取り外すために、乾燥処理室106を高圧状態から大気圧状態に変化させる必要がある。よって、本発明の一実施の形態に係る基板乾燥装置には、乾燥処理室106を大気圧に減圧して維持するために、大気圧維持バルブ130(以下、第2バルブということがある。)が配設される。大気圧維持バルブ130は、チャンバー102の側壁、例えば、側壁102Bに設けられる。乾燥処理室106で基板120に対する乾燥処理が完了すると、大気圧維持バルブ130が開放されて、乾燥処理室106は、高圧状態から大気圧状態に減圧される。以上説明した構成によって、本発明の一実施の形態に係る基板乾燥装置が構成される。
【0033】
上述したように、本発明の一実施の形態に係る基板乾燥装置は、乾燥に、液体の洗浄効果を有しながら気体の粘性を有する超臨界流体を用いるので、微細パターンに入った超純水の除去が容易である。また、微細パターンを形成するそれぞれの膜質の種類による乾燥条件への対応も容易である。従って、ウォーターマークなしに効果的に基板を乾燥処理することができる。
【0034】
また、本発明の一実施の形態に係る基板乾燥装置は、洗浄部と別個に設けることができるため、洗浄液による腐食等の安定性の問題が生じない。また、この結果、洗浄を高圧下で行う必要がないため、洗浄部の配管の口径を大きくして、処理液の出入の時間を短縮することができ、生産効率の向上を図ることができる。また、洗浄処理を高圧下で行わないため、コスト面でも好ましい。
【0035】
(基板乾燥方法)
次に、本発明の一実施の形態に係る基板乾燥方法について説明する。図3乃至図6は、本発明の一実施の形態に係る基板処理設備における基板乾燥装置での基板乾燥処理工程を示す断面図である。図3に示すように、まず、乾燥処理の対象となる基板120を乾燥装置100に積載する。そのために、ゲート110が上昇した状態で、1枚または複数枚の基板120が基板支持部118に積載されて支持される。このとき、処理室104は、大気圧状態に維持される。一方、高圧室108は、後述されるように、急速加圧バルブ126が開放されたときに、乾燥処理室106が少なくとも二酸化炭素の臨界圧力(72.8気圧)以上になるように高圧状態に維持される。
【0036】
次に、図4に示すように、基板120が基板支持部118に支持された状態でゲート110を最下降位置まで下降させて、乾燥処理室106を密閉する。ゲート110が最下降位置まで下降した状態で安全ピン132A、132Bを乾燥処理室106の内側にスライドさせ、ゲート110の上面110Aの両側部を押さえて、ゲート110を固定する。そして、ゲート110が固定された状態で、急速加圧バルブ126を開放して、乾燥処理室106を二酸化炭素の臨界圧力以上に急速に加圧する。
【0037】
乾燥処理室106が二酸化炭素の臨界圧力(Pc)以上に加圧されると、図2に示すように、気化線(2−C線)に沿って、温度も臨界温度(Tc)以上に上昇する。乾燥処理室106は、超臨界状態、たとえば、35℃及び75気圧(atm)に維持する。
【0038】
図5に示すように、乾燥処理室106が二酸化炭素の臨界圧力(Pc)以上の超臨界状態に維持されると、第1バルブ126を閉鎖し、バルブ122Aを開放して供給ノズル122を通して超臨界二酸化炭素を乾燥処理室106に供給する。それによって、乾燥処理室106では、基板120に対する乾燥処理が高圧状態で行われる。そして、乾燥処理室106を一定時間の間超臨界状態に維持して、基板120に対する乾燥処理を行った後、バルブ124Aを開放して排出口124を通して超臨界二酸化炭素を排出する。或いは、乾燥処理室106を超臨界状態に維持しながら、超臨界二酸化炭素を供給及び排出して基板120を乾燥処理しても良い。
【0039】
乾燥処理が終了した後、図6に示すように、第2バルブ130を開放して、乾燥処理室106を大気圧状態に減圧する。次に、乾燥処理室106が臨界圧力から大気圧に減圧された後、安全ピン132A、132Bを解除してゲート110を上昇させる。その後、基板120を基板支持部118から取り外して、基板搬送室105から外部に搬送する。以上が、本発明の一実施の形態に係る基板乾燥方法である。
【0040】
上述した本発明の一実施の形態に係る基板乾燥方法によれば、乾燥に、液体の洗浄効果を有しながら気体の粘性を有する超臨界流体を用いるので、微細パターンに入った超純水の除去が容易である。また、微細パターンを形成するそれぞれの膜質の種類による乾燥条件への対応も容易である。従って、ウォーターマークなしに効果的に基板を乾燥処理することができる。
【0041】
(基板処理設備の構成)
次に、本発明の一実施の形態に係る基板処理設備について説明する。図7は、本発明の一実施の形態に係る基板処理設備を示す平面図である。上述した基板乾燥装置100は、図7に示すように、枚葉式基板処理設備1000の一部として組み込むこともできる。
【0042】
図7に示すように、本発明の一実施の形態に係る基板処理設備1000においては、基板ローディング/アンローディング部500によって基板120が装置1000に積載され、基板搬送ロボット600によりバッファ部700に搬送される。さらに基板120は、該バッファ部700で一時的に待機させたうえで、基板搬送ロボット650により各処理部100、200、300、400に搬送されて処理される。処理部200〜400のうち少なくとも何れか一つは、基板120の洗浄処理を行う洗浄部200を構成する。洗浄部200で洗浄処理された基板120は、乾燥装置100に搬送されて、超臨界流体により乾燥される。乾燥された基板120は、基板搬送ロボット650によりバッファ部700に搬送され、さらに基板搬送ロボット600によってバッファ部700から基板ローディング/アンローディング部500に搬送されて、取り外される。以上が、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置1000の構成である。なお、本実施の形態の乾燥装置100は、前記の枚葉式基板処理設備1000の他に、配置式基板処理設備に適用することもできる。
【0043】
上述したように、本発明の一実施の形態に係る基板処理設備は、乾燥に、液体の洗浄効果を有しながら気体の粘性を有する超臨界流体を用いるので、微細パターンに入った超純水の除去が容易である。また、微細パターンを形成するそれぞれの膜質の種類による乾燥条件への対応も容易である。従って、ウォーターマークなしに効果的に基板を乾燥処理することができる。
【0044】
また、本発明の一実施の形態に係る基板処理設備は、洗浄部と乾燥装置を別個に設けているため、乾燥装置が洗浄液によって腐食される等の安定性の問題が生じない。また、この結果、洗浄を高圧下で行う必要がないため、洗浄部の配管の口径を大きくして、処理液の出入の時間を短縮することができ、生産効率の向上を図ることができる。また、洗浄処理を高圧下で行わないため、コスト面でも好ましい。
【0045】
上述した本発明の好ましい実施の形態は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形、及び変更が可能であり、このような置換、変更などは、特許請求の範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理設備における基板乾燥装置を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る基板処理設備における純粋な流体のPT(圧力−温度)曲線を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施の形態に係る基板処理設備における基板乾燥装置での基板乾燥処理過程を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る基板処理設備における基板乾燥装置での基板乾燥処理過程を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る基板処理設備における基板乾燥装置での基板乾燥処理過程を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る基板処理設備における基板乾燥装置での基板乾燥処理過程を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る基板処理設備を示す平面図である。
【符号の説明】
【0047】
100:乾燥装置、
102:チャンバー、
104:処理室、
105:基板搬送室、
106:基板乾燥処理室、
108:高圧室、
110:ゲート、
112:ロッド、
114:昇降機、
118:基板支持部、
120:基板、
122:超臨界流体供給ノズル、
124:超臨界流体排出口、
126:急速加圧バルブ(第1のバルブ)、
130:大気圧維持バルブ(第2のバルブ)、
132A、132B:安全ピン、
133A、133B:ストッパー、
134:隔壁、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
前記チャンバーの一部を構成し、基板に超臨界流体を供給して前記基板を乾燥させる処理室と、
前記チャンバーの他の一部を構成し、前記処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上に加圧する高圧室と、を含むことを特徴とする基板乾燥装置。
【請求項2】
前記処理室は、
前記基板が積載及び搬送される基板搬送処理室と、
前記基板搬送室とは隔離可能で、前記超臨界流体が供給及び排出される基板乾燥処理室と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板乾燥装置。
【請求項3】
前記処理室は、前記基板搬送処理室と前記基板乾燥処理室とを空間的に区分して、前記基板乾燥処理室を前記基板搬送処理室と隔離する昇降可能なゲートを含むことを特徴とする請求項2に記載の基板乾燥装置。
【請求項4】
前記ゲートは、前記基板をローディングする基板支持部と連結されることを特徴とする請求項3に記載の基板乾燥装置。
【請求項5】
前記ゲートは、前記ゲートを昇降させる昇降部とロッドを介して連結されることを特徴とする請求項3に記載の基板乾燥装置。
【請求項6】
前記昇降部は、
前記ゲートと連結された昇降機と、
前記ゲートの最下降位置を決定するストッパーと、
前記ゲートを固定する安全ピンと、
前記ゲートの昇降を案内するレールと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の基板乾燥装置。
【請求項7】
前記基板乾燥処理室と前記高圧室との間に配置され、前記高圧室と前記基板乾燥処理室とを空間的に開放して、前記基板乾燥処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上に加圧して超臨界状態に変化させる第1バルブをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の基板乾燥装置。
【請求項8】
前記基板乾燥処理室に配置され、前記基板乾燥処理室を前記超臨界状態から大気圧状態に減圧する第2バルブをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の基板乾燥装置。
【請求項9】
基板を搬入及び搬出するローディング・アンローディング部と、
基板を洗浄処理する洗浄処理部と、
前記基板に超臨界流体を供給して前記基板を乾燥処理する処理室と該処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上に急速加圧する高圧室とを含む乾燥処理部と、
前記基板を前記ローディング・アンローディング部と前記洗浄処理部と前記乾燥処理部との間で搬送する搬送ロボットと、を含むことを特徴とする基板処理設備。
【請求項10】
前記乾燥処理部は、
前記処理室と前記高圧室とを備えるチャンバーと、
前記処理室を、基板が積載及び搬送される基板搬送処理室と超臨界流体が供給されて前記基板を乾燥処理する基板乾燥処理室とに区分するゲートと、
前記基板乾燥処理室と前記高圧室との間に配置されて、前記基板乾燥処理室と前記高圧室とを空間的に開放して前記基板乾燥処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上に急速に加圧する第1バルブと、
前記超臨界流体の臨界圧力以上に加圧された前記基板乾燥処理室を大気圧に減圧して維持する第2バルブと、を含むことを特徴とする請求項9に記載の基板処理設備。
【請求項11】
前記乾燥処理部は、
前記ゲートを前記処理室内で昇降させる昇降部と、
前記基板が積載され、前記ゲートと連結されて前記基板搬送処理室と前記基板乾燥処理室との間で昇降する基板支持部と、をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の基板処理設備。
【請求項12】
乾燥処理室と高圧室とに区分されるチャンバーの前記乾燥処理室に基板を積載するステップと、
前記乾燥処理室を超臨界流体の臨界圧力以上に加圧するステップと、
前記超臨界流体を前記乾燥処理室に供給して前記基板を乾燥処理するステップと、
前記乾燥処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上の状態から大気圧状態に減圧するステップと、
前記基板を前記乾燥処理室から搬出するステップと、を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項13】
前記乾燥処理室を超臨界流体の臨界圧力以上に加圧するステップは、
前記高圧室と前記乾燥処理室とを空間的に開放して前記乾燥処理室を加圧するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記高圧室と前記乾燥処理室とを空間的に開放して、前記乾燥処理室を加圧するステップは、
前記高圧室と前記乾燥処理室とを区分する隔壁に配置された第1バルブを開放するステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記乾燥処理室を前記超臨界流体の臨界圧力以上の状態から大気圧状態に減圧するステップは、
前記乾燥処理室に配置された第2バルブを開放して前記乾燥処理室を減圧するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記乾燥処理室を超臨界流体の臨界圧力以上に加圧するステップの前に、前記チャンバー内で昇降可能なゲートを下降させて前記乾燥処理室を密閉するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記チャンバー内で昇降可能なゲートを下降させて前記乾燥処理室を密閉するステップは、
前記ゲートが最下降位置まで下降した状態で前記ゲートを安全ピンで固定するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記基板を前記乾燥処理室から搬出するステップは、
前記安全ピンを解除して前記ゲートを固定解除し前記固定解除されたゲートを上昇させるステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の基板処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−72118(P2008−72118A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236255(P2007−236255)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(598123150)セメス株式会社 (76)
【Fターム(参考)】