説明

車両のブレーキ制御装置

【課題】モータ位置とパッド押付力の関係を示すグラフの変動やばらつきに起因する左右輪の制動力差によって車両挙動が不安定になるのを防止すること。
【解決手段】ブレーキ手段におけるパッド押付力を車輪毎に独立に制御するブレーキ制御手段と、パッド押付力制御で必要とされる駆動データを記憶する記憶手段と、車両の走行状態検出手段と、車輪毎のブレーキ制御手段を介して車両走行状態を制御する車両制御手段とを備えたブレーキ制御装置であって、制動中にブレーキ装置を操作して車両の走行状態を安定化することにより得られるブレーキアクチュエータの状態を利用して、モータ位置とパッド押付力の関係を示すメモリデータを更新することとした。これにより、この関係を取得する際に使用する電流センサ値のばらつきや、ブレーキアクチュエータの経年変化によるアクチュエータ剛性の変化によらず、左右輪において同等の押付力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータなどの電動手段によってピストンの変位を制御することができ、ピストンの変位によってブレーキ摩擦材を被制動部材に接触させることにより、制動力を発生するブレーキ装置の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、モータなどの電動手段によりブレーキ摩擦材の押付力を自在に変化させることができるブレーキ装置が種々提案されている。このようなブレーキ装置を装備した車両では、運転者からの制動指令に拘束されずにブレーキ制御が可能であるため、車両走行の安全性と快適性を向上させることが可能である。例えば、特許文献1では、あるブレーキ装置のブレーキパッドとディスクロータの接触開始を検知したときに接触開始位置の制動力を保持させ、未接触のブレーキ装置があれば、これに対してはその接触を早める動作をさせることにより、各車輪の制動タイミングを揃えることができる電動ブレーキ装置が提案されている。
【0003】
このような電動アクチュエータを備えたブレーキ装置では、モータ位置とパッドの押付力の関係を表すグラフをあらかじめブレーキの制御装置に記憶しておき、運転者が要求した押付力に対応するモータ位置となるようにモータを制御する。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、モータ電流とモータ位置の情報を用いて、押付力がゼロとなるパッドとディスクの接触点におけるモータ位置を検出する方法が記載されている。これによると、パッドとディスクの接触点におけるピストン変位を高精度に検出できれば、パッドの押付力をモータ変位量からより高精度に推定することができる。
【特許文献1】特開2003−175816号公報
【特許文献2】特開2002−81475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1,2に記載されているブレーキ装置は車輪に装着されて厳しい環境で使用されるため、アクチュエータ制御に用いられるセンサからの信号にはノイズが乗る。したがって、上記特許文献2に示すように、モータ電流とモータ位置の関係からモータ位置とパッド押付力の関係を表すグラフを求める場合、このグラフはばらつきを持つことになる。さらに、アクチュエータの経年変化や温度環境などによっても、上記グラフは変動するため、制御装置で認識しているパッド押付力と実際のパッド押付力の間には大きな差が生じる可能性がある。
【0006】
このような場合、左右輪では制動力に差が生じることになり、制動によって車両の進行方向が傾く可能性があるので、非常に危険である。したがって、安全に制動を行うためには、モータ位置とパッド押付力の関係を適宜補正する必要がある。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、モータ位置とパッド押付力の関係を表すグラフの作成ばらつきや、経時変化、温度環境などによるグラフの変動に起因して、車両の左右輪で制動力に大きな差が生じることのないブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
車輪に制動力を発生するブレーキ手段におけるブレーキ摩擦材の移動量を車輪毎に独立に制御するブレーキ制御手段と、前記移動量の制御において必要とされる駆動データを記憶する記憶手段と、車両の走行状態を表す物理量を検出する車両走行状態検出手段と、前記物理量に基づいて車輪毎のブレーキ制御手段を介して車両走行状態を制御する車両制御手段と、を備えた車両のブレーキ制御装置であって、
前記車両制御手段は、前記ブレーキ手段によって車両の走行状態を制御した結果の制御データを取得し、前記取得した制御データを用いて前記記憶手段に記憶されていた駆動データを補正し更新する構成とする。
【0009】
また、車輪に制動力を発生するブレーキ手段におけるブレーキ摩擦材の移動量を車輪毎に独立に制御するブレーキ制御手段と、前記移動量の制御において必要とされる駆動データを記憶する記憶手段と、車両の走行状態を表す物理量を検出する車両走行状態検出手段と、前記物理量に基づいて車輪毎のブレーキ制御手段を介して車両走行状態を制御する車両制御手段と、を備えた車両のブレーキ制御装置であって、
前記車両制御手段は、車両の停止状態で前記ブレーキ手段に所定動作を実施させた結果の制御データを取得し、前記取得した制御データを用いて前記記憶手段に記憶されていた駆動データを補正し更新する構成とする。
【0010】
また、前記ブレーキ制御装置において、前記車両制御手段は、制動指令でブレーキ制御を行ったときのヨー角速度が規定値以上である場合、車両の安定化制御を実施して得られた各車輪への押付力を基に前記制御データを取得する構成とする。
【0011】
また、前記車両のブレーキ制御装置において、前記車両制御手段は、前記駆動データを補正する補正指令信号を受け取り、車両停止を確認して、各車輪への押付力の増力と減力の動作を実施し、前記増力減力動作により得られたモータ電流を基に前記制御データを取得する構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、あらかじめ記憶されているモータ位置とパッド押付力の関係による剛性グラフを参照して押付力を推定するブレーキ制御装置において、制動中に、ブレーキ装置を操作して車両の走行状態を安定化することにより得られるブレーキアクチュエータの状態値を利用して剛性グラフを補正することができるので、剛性グラフを作成するときに使用する電流センサ値のばらつきや、経年変化によるアクチュエータ剛性の変化によらず、左右輪において同等の押付力を発生させることが可能であり、したがって、制動中の車両の走行安定性を確保することができ、安全性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明を車両検査時などに実施することにより、定期的に確実に剛性グラフを補正することができるため、ブレーキ装置の経年変化に起因する車両走行の安全性低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置について、図1〜図14を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置を適用した車両のシステム全体構成を示す図であり、車両の4輪にそれぞれのブレーキ力を独立に制御可能なブレーキ装置として電動ブレーキ装置を装着した車両(例えば、自動車)のブレーキ制御システムを示している。
【0015】
図1において、車両は、車輪8a〜8dと、車輪8a〜8dとともに回転するディスクロータ7a〜7dと、ディスクロータ7a〜7dを押圧し摺動する電動ブレーキアクチュエータ6a〜6dと、ブレーキペダル1と、ブレーキペダル1の変位量を電気信号に変換するためのストロークセンサ2と、ストロークセンサ2からの電気信号に基づいて4輪の各制動力を統括的に制御するメインコントローラ3と、メインコントローラ3から出力される電気信号に基づいて各輪の電動ブレーキを制御する電動ブレーキコントローラ4a〜4dと、電動ブレーキコントローラ4a〜4dから出力される電気信号に基づいて各輪の電動ブレーキアクチュエータ6a〜6dのモータに電流を入力しモータを動作させるモータドライバ5a〜5dと、車体のヨー角速度を測定するためのヨー角速度センサ20と、ブレーキアクチュエータ6a〜6dの動作を開始するためのスイッチ35と、車両の走行距離をカウントする走行距離メータ36と、ユーザに警告を出すための警告灯37と、から構成される。
【0016】
図2は本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置に接続される電動ブレーキアクチュエータの構成を示す図である。図2を用いて、本実施形態に関連する電動ブレーキアクチュエータ6の構成および動作メカニズムを説明する。
【0017】
電動ブレーキアクチュエータ6は、モータドライバ5により電流が入力されるモータコイル11と、モータコイル11の磁界変化に伴って回転するモータロータ10と、モータロータ10に固定されている磁石12と、モータロータ10の回転速度を減速するとともにトルクを増幅する減速機13と、減速機13の減速された回転運動を直動運動に変換する回転−直動変換機構であるボールねじ14と、ボールねじロッド15により直動運動させられるピストン16と、ピストン16に固定されディスクロータ7を押圧するブレーキパッド17a,17bと、モータロータ10の回転変位を検出するためのレゾルバ18と、モータコイル11に流れる電流を測定するモータ電流センサ23と、モータドライバ5と電動ブレーキコントローラ4とモータドライバ5および電動ブレーキコントローラ4に電圧を与えるためのバッテリ24と、ブレーキパッド17a,17bの押付力を測定する押付力センサ38と、から構成される。回転−直動変換機構であるボールねじ14の代わりに、ボールランプなどの他の機構を使用してもよい。なお、後輪の電動ブレーキアクチュエータ6cおよび6dは押付力センサ38を有しなくてもよい。
【0018】
上述した電動ブレーキ装置の駆動源であるモータは、モータコイル11と、モータロータ10と、モータロータ10に固定されている磁石12および軸受けと、から構成されるブラシレスモータである。ブラシレスモータは、モータロータ10の回転変位(回動変位)を検出するためのレゾルバ18の測定値とモータコイル11に流れる電流の値を測定するモータ電流センサ23の測定値を使用して制御される。
【0019】
ここで、モータロータ10がトルクを発生すると、モータロータ10とともに減速機13が回転してトルクを増幅し、ボールねじ14を動作させる。ボールねじ14の動作によりピストン16が直動運動を行い、ブレーキパッド17をディスクロータ7に押し付けたり、ディスクロータ7から離したりする。ブレーキパッド17がディスクロータ7に押し付けられた場合にブレーキパッド17が変形し、押付力が発生する。
【0020】
図3は本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置が4輪車両のブレーキ装置を制御する制御信号形態を示すブロック図であり、4輪の車両におけるブレーキ制御系の主な構成要素と、各構成要素によるデータの受け渡し形態を示している。4輪の車輪8はそれぞれブレーキアクチュエータ6を備えており、各ブレーキアクチュエータ6はブレーキコントローラ4およびモータドライバ5により制御される。ブレーキコントローラ4はメインコントローラ3からパッドの押付力指令を受け取り、ブレーキアクチュエータ6によるパッド押付力を制御するための制御信号を作成する。モータドライバ5はブレーキコントローラ4から制御信号を受け取り、ブレーキアクチュエータ6のモータコイルに流す電流を生成する。この電流によりブレーキアクチュエータ6はパッドの押付力を発生し、車両運動を制御する。メインコントローラ3は、車輪速(不図示)やヨー角速度(図1の符号20)などの車両運動状態を示す量を取得し、これらの情報に基づいて押付力指令を作成する。
【0021】
図4は本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置におけるブレーキコントローラの内部構成と信号形態を示す図である。図4において、ブレーキコントローラ4は、モータ位置と押付力の対応関係によりモータ位置から押付力を推定する押付力推定部26と、制御信号作成部27とにより構成される。押付力推定部26はデータを記憶するためのメモリを備えており(内部又は外部に)、メモリには規定された一定間隔ごとのモータ位置に対する押付力のグラフデータが格納されている。モータ位置に対する押付力のグラフを剛性グラフと呼ぶ。押付力推定部26はブレーキアクチュエータ6に装備されているレゾルバ18からのモータ位置(ロータの回転変位)を取得し、剛性グラフのモータ位置と照らし合わせてメモリに格納されているグラフデータを補間し、適切な押付力推定値を出力する。制御信号作成部27は剛性グラフによる押付力推定部26が出力した押付力推定値とメインコントローラ3からの押付力指令値を取得し、これらの偏差をPID制御によって制御信号に変換し出力する。
【0022】
次に、本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置における動作態様について、図5〜図14を参照しながら以下説明する。図5は本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置における基本的な動作手順を示すフローチャートである。
【0023】
図5において、図1の構成を備えた車両で図3に示すシステムを起動した後に、メインコントローラ3からの制動指令のありなし(具体例で云えば、ブレーキペダル1でブレーキを掛けたか否か)を判断する(S1)。制動指令のありなしはメインコントローラ3からの押付力指令値がゼロでない値であるか、ゼロであるかにより判断する。ここで制動指令なしと判断した場合には引き続きS1にて制動指令のありなし判断を実施する。制動指令ありと判断した場合にはブレーキコントローラが押付力指令に従い、ブレーキ制御を実施する(S2)。
【0024】
次に、ヨー角速度センサ20より取得した車体のヨー角速度絶対値が規定値Δ以上の値であるかどうかを判断する(S3)。ここで、ヨー角速度絶対値が規定値Δ未満の場合には車両の走行状態は安定であると判断し、引き続きS2のブレーキ制御を行う。ヨー角速度絶対値が規定値Δ以上の場合には(車両の振れる速度が規定値以上の大きい場合)、車両の走行状態が不安定になっていると判断し、車両安定化制御を実施する(安定化制御の具体例については図6の説明で述べる)(S4)。その後、制動が終了したか(具体的には、ブレーキペダルを離したとき、又は車が停止したときなど)どうかの判断を行い(S5)、制動が終了していない場合には車両安定化制御(S4)を続行する(換言すると、制動が終了するまで車両安定化制御を実施する)。一方、制動が終了した場合には、剛性グラフデータの補正制御を実施する(補正制御の概念については図8と図9の説明で、補正制御の条件と手順については図10の説明でそれぞれ述べる)(S6)。
【0025】
図6は本実施形態に係るブレーキ制御装置における車両安定化制御の具体例を示すフローチャートである。車両安定化制御においては、最初に車両に発生しているヨー角速度が正であるか負であるかを判断する(S11)。ただし、ヨー角速度の正負は、車両を上から見て反時計回りのヨー角速度を正、時計回りのヨー角速度を負とする。S11において、ヨー角速度が正であると判断した場合には左輪ブレーキへの押付力指令を減少させ、右輪ブレーキへの押付力指令を増加させる(S12)。逆に、ヨー角速度が負であると判断した場合には左輪ブレーキへの押付力指令を増加させ、右輪ブレーキへの押付力指令を減少させる(S13)。すなわち、車両の振れを補正する(打ち消す)ようにブレーキを掛ける。なお、本実施形態においてはそれぞれのブレーキへの押付力指令変化量絶対値は等しいものとし、その絶対値はヨー角速度絶対値の大きさにゲインを乗じて算出している。
【0026】
図7は本実施形態に係るブレーキ制御装置における車両安定化制御の効果と車両安定化制御実施時のパッド押し付け力を示すグラフである。図7(a)は、走行中の車両において、後輪の左右ブレーキコントローラにそれぞれ異なる初期押付力指令を与えて制動を開始するとともに、車両安定化制御を実施した場合および実施しなかった場合の車両の初期位置からの横変位量を比較したものである。車両安定化制御を実施しなかった場合に比べ、車両安定化制御を実施した場合は横変位量が小さくなっている。
【0027】
図7(b)は車両安定化制御を実施した場合、後輪左右ブレーキにおける押付力の時系列グラフを示したものである。図7(b)によれば、車両安定化制御実施後の左右輪ブレーキの押付力がそれぞれほぼ一致している。本発明は車両安定化制御実施後の左右輪ブレーキの押付力が一致すること(図示の例では2秒後)を利用してブレーキコントローラのメモリに記憶している剛性グラフデータを補正することにより、補正後の制動においては図5に示す規定値Δ以上のヨー角速度が発生しないようにすることを目的としている。
【0028】
図8は本実施形態に関する、モータ位置とパッド押し付け力との関係を表す剛性グラフを補正するに必要な補正点を得るための説明図である。図9は本実施形態に関する、モータ位置とパッド押し付け力との関係を表す剛性グラフを補正したことによる効果を説明する図である。図8と図9を用いて剛性グラフデータの補正方法の例を説明する。以下の説明では、後輪の左右ブレーキについて説明するが、4輪の車両においては4輪に適用してもよい。
【0029】
図8はモータ位置と押付力によるブレーキアクチュエータの剛性グラフを示しており、曲線28は現在ブレーキコントローラのメモリに記憶されている左後輪ブレーキアクチュエータの剛性グラフ(初期値であってもよいし、初期値からの補正値であってもよい)、曲線29は同じくメモリに記憶されている右後輪ブレーキアクチュエータの剛性グラフ、曲線30は左後輪の真の剛性グラフ(モータ位置とパッド押し付け力との関係表が、ブレーキコントローラ内のメモリに記憶されたものでなくて、実際上のもの)、曲線31は右後輪の真の剛性グラフである。ここで、車両安定化制御を実施した後に、左後輪ブレーキアクチュエータのモータ位置がPL1に、右後輪アクチュエータのモータ位置がPR1になった場合、左右アクチュエータが出力する押付力(実際上の押付力)はいずれもF1でありほぼ一致する。このとき、左後輪のブレーキコントローラ4で認識している左後輪ブレーキアクチュエータの押付力(メモリされた剛性グラフによる押付力)はFL1(図8の曲線28を参照)、右後輪のブレーキコントローラで認識している右後輪ブレーキアクチュエータの押付力はFR1である(図8の曲線29を参照)。
【0030】
ここで、車両安定化制御の後に、右輪のモータ位置がPR1、押付力がFL1である点A1を得る(PR1は図2のレゾルバ18により、FL1は図2の押し付け力センサ38によりそれぞれ取得できる)。同様に、別の機会に車両安定化制御を実施して上記手順により、モータ位置がPR2、押付力がFL2である点A2を得る。
【0031】
次に、右後輪のブレーキコントローラのメモリに記憶されている右後輪ブレーキアクチュエータの剛性グラフである曲線29を点A1と点A2を通るグラフに補正する(右後輪の剛性グラフを補正することによって、次回の制動指令でブレーキ制御がなされてもヨー角速度が規定値Δ以上にならないように左後輪の剛性グラフの特性に合わせるようにする)。補正する際にはまず、モータ位置がPR1、PR2である曲線29上の2点(G,H)を結ぶ直線が点A1と点A2を結ぶ直線と平行になるように、曲線29を構成するすべての押付力データに定数cを乗じたグラフを作成する。続いて、このグラフが点A1および点A2を通るように横軸方向に平行移動する。
【0032】
図9は図8に示す曲線29を補正し、曲線32とした場合の剛性グラフである。剛性グラフの補正後にブレーキ制御を実施する場合、ブレーキコントローラ4は左右各ブレーキアクチュエータ(6c,6d)で押付力Fを発生するようにモータ位置をそれぞれPLとPRに制御する。このときの実際上の左右輪ブレーキアクチュエータにおける押付力をそれぞれFL,FRとすると、FLとFRの差の絶対値は補正前の例えば実際上のFLとFR(図8におけるPL1とPR1における曲線31と30によるパッド押付力)の差の絶対値よりも小さくなり、左右輪における制動力の差を小さくすることができる。これにより、制動を実施するときの車両走行を安定に保つことができ、車両走行の安全性を向上することができる。なお、図9で縦軸のFはブレーキコントローラが認識している押し付け力であり、FLとFRは実際上の押し付け力を表す。図8では、剛性グラフとして、モータ位置とパッド押付力との特性を示したが、これに限らず、ピストン16の変位データとブレーキ摩擦材17と回転部材7の間に生じる押付力データとの関係を示す特性データであってもよい(モータ位置よりもピストン位置を検出した方がブレーキ制御にとってより正確である)。
【0033】
図10は図5中の剛性グラフ補正制御(S6)の詳細を示すフローチャートである。剛性グラフ補正制御が開始された場合、最初に車両安定化制御開始後の経過時間が規定値T以上であることを確認する(S21)。この判定を実施することにより、左右輪ブレーキアクチュエータ押付力が静定していない状態で補正を実施することを防止することができる。S21において、車両安定化制御開始後の経過時間がT以上であると判定した場合には、起動後の制動回数が規定回数Nに達しているかどうかを判定する(S22)。この判定を実施することにより、長期間使用していない車両でディスクロータ表面が酸化していてパッドとディスクロータ間の摩擦力のばらつきが大きくなっている状態で補正制御を実施することを防止することができる。
【0034】
S22において、起動後の制動回数が規定回数Nに達していると判断した場合には、剛性グラフ補正制御を開始するまでの制動中に操舵角が規定値δ未満であったかどうかを判定する(S23)。この判定を実施することにより、旋回しながら制動を行った場合のデータを使って補正することを防止することができる。S23において制動中の操舵角が規定値δ未満であったと判断した場合には、車両安定化制御中のヨー角速度変化幅が規定値Δ未満であったかどうかを判定する(S24)。この判定を実施することにより、左右で路面摩擦係数が異なっている場合や、制動中に車輪がロックした場合に補正を実施することを防止することができる。
【0035】
S24において、車両安定化制御中のヨー角速度変化幅が規定値Δ未満であったと判断した場合には、車両安定化制御中のヨー角速度が常に規定値r未満であったかどうかを判定する(S25)。この判定を実施することにより、車両安定化制御が正常に実施されていない場合に補正を実施することを防止することができる。S25において、車両安定化制御が正常に実施されたということを確認できた場合には今回の車両安定化制御が2回目以降であるかどうかを判定する(S26)。この判定は剛性グラフを、2点を用いて補正するために実施される。S26において、今回の車両安定化制御が2回目以降であると判断した場合、剛性グラフデータの補正を実施する(S27)。
【0036】
本実施形態では2回の車両安定化制御を実施した後に(図8と図9に示すA1点とA2点を得た後)、剛性グラフの補正を行うようにしているが、1回の車両安定化制御後に得られる補正点を通るように剛性グラフを補正してもよい。この場合は、剛性グラフの立ち上がり点は元のままとし、補正点を通るように立ち上がり点を中心として剛性グラフ全体を回転させるとよい。逆に3回以上の車両安定化制御を実施すれば、図8の点A1、点A2に相当する点を3点以上得ることができる。この場合は各点を通るような多項式を設定し、これを剛性グラフとすることにより、精度の高い剛性グラフを得ることができる。
【0037】
また、図8および図9では、左後輪アクチュエータの剛性グラフにおける押付力の方が右後輪アクチュエータの剛性グラフにおける押付力よりも大きい場合について、左後輪の剛性グラフを基準として右後輪の剛性グラフを補正する例について説明したが、最初のそれぞれの剛性グラフにおける押付力の大きさは逆であってもよいし、また、右後輪の剛性グラフを基準として左後輪の剛性グラフを補正してもよい。
【0038】
図11は図9の曲線28と曲線32を加工した場合の剛性グラフである。図11中の曲線33と曲線34はそれぞれ図9の曲線28と曲線32の押付力のデータに係数eを乗じて得られたものである。係数eは0 < e < 1であり、値はeを乗じて得られる曲線34がすべてのモータ位置に関して図8の曲線29よりもグラフにおいて上になる値とした。この操作により、メモリに記憶する剛性グラフを真の剛性グラフ(メモリされたものでなくて実際上のもの)に近づけることができ、押付力の絶対値の制御精度も向上することができる。またこの場合、曲線28と曲線32の押付力のデータに係数を乗じるのではなく、グラフの立ち上がり点を基準として各グラフを最初の曲線29の方向に等量だけ回転させることによっても同様の効果が得られる。
【0039】
また、本実施形態では車両安定化制御として、ヨー角速度による制御を実施したが、車輪速を用いて制御してもよいし、あるいは、衝突防止システムのためのカメラを備えた車両であれば、カメラ画像により車両が安定に走行しているかどうかを判断して制御してもよい。
【0040】
以上の説明は、4輪各輪に電動ブレーキを装備した車両において、後左右輪について、それぞれのブレーキ装置の剛性グラフデータを補正するものであるが、ブレーキ装置は各輪のブレーキ力を独立に制御できるものであればよく、例えば、ポンプにより加圧されたブレーキ液圧を電気式制御弁により調節してパッドの押付力を制御するブレーキ液圧を利用する電動式ブレーキでもよい。また、液圧を利用するブレーキシステムは通常、ブレーキ液配管やブレーキアクチュエータ故障時にも安全性を確保できるように、X配管構成による2系統システムとするのが一般的である。X配管構成のブレーキシステムにおいて、1系統に故障が生じた場合には、例えば、左前輪ブレーキと右後輪ブレーキを使用することになる。この場合、本発明の剛性グラフデータ補正では、左前輪あるいは右後輪の剛性グラフデータのいずれかを基準として前輪ブレーキと後輪ブレーキの制動力配分の比と同じ比率になるように押付力データを補正するものとする。
【0041】
図12は剛性グラフの補正を促す補正指令信号を受け取った場合の補正処理を示すフローチャートである。補正指令信号は車両に取り付けられたスイッチ35(ブレーキアクチュエータの動作開始用スイッチであり、図1を参照)により発生し、メインコントローラ3を通してブレーキコントローラ4に伝えられる。補正指令信号を受け取った場合の補正処理においては、補正指令信号を検出した場合(S31)、車両が停車しているかどうかの判断を実施する(S32)。S32において、車両の停車が確認された場合には、押付力の増力減力動作を実施し(S33)、この動作により得られたモータ位置に対するモータ電流の値を押付力に変換して剛性グラフデータを得る(S34)。その後、ブレーキコントローラ内のメモリに格納された剛性グラフデータを更新記録する(S35)。
【0042】
図13は図12のS33における押付力の増力減力動作を示す模式図である。モータ位置を増加させて減少させると、押付力も同様に増加して減少する。一方、モータ電流は、モータ位置を増加させる場合にはモータ位置に従って増加するが、モータ位置を減少させる場合にはアクチュエータの非線形性により、モータ位置に従って減少するとは限らない。したがって、モータ位置を増加させた場合の電流データのみを剛性グラフ作成に使用することとする。図12に示す剛性データの更新制御は、停車して実施するので、法律により定められた車両検査時に実施するのが効果的であり、定期的に確実に補正を実行することができるため、ブレーキ装置の経年変化に起因する車両走行の安全性低下を防止できる。
【0043】
図12と図13に示す剛性データの補正と更新は、車両が停止状態のときに実施することを前提とし、図5に示す剛性データの補正制御は運転状態のときに実施することを前提としており、これらの実施は、それぞれ単独で行っても良く、また、運転状態のときと停止状態のときとを随時に併せて実施しても良い。
【0044】
図14は車両の走行距離に応じて、剛性グラフの補正制御を実施するように車両ユーザに対して警告を行う場合の制御のフローチャートである。この制御においては、補正動作後にその時点における走行距離を記録している。前回に実施された補正のときの走行距離と現在の走行距離を比較し(S41)、その差が規定値S以上となった場合にユーザに警告することとした(S42)。この制御を実施することにより、ブレーキ装置の使用頻度に対応した剛性グラフの補正を確実に実施できる可能性が高くなり、車両走行の安全性を向上させることができる。
【0045】
以上説明したように、本発明の主たる特徴は、モータ位置とパッド押付力の関係を示すグラフの変動やばらつきに起因する左右輪の制動力差によって車両挙動が不安定になるのを防止することを解決課題として、制動中にブレーキ装置を操作して車両の走行状態を安定化することにより得られるブレーキアクチュエータの状態を利用して、モータ位置とパッド押付力の関係を示すメモリデータを更新することにあり、これにより、この関係を取得する際に使用する電流センサ値のばらつきや、ブレーキアクチュエータの経年変化によるアクチュエータ剛性の変化によらず、左右輪において同等の押付力を発生させることが可能となるものである。
【0046】
そして、本発明の実施形態に係る車両のブレーキ制御装置は、次のような構成を有して機能乃至作用を奏するものを含むものである。すなわち、各輪のブレーキ力をそれぞれ独立に制御できるブレーキ制御装置を有する車両において、車両の走行状態を表す物理量を検出するセンサにより得られるヨー角速度や車輪速などに基づいてブレーキ装置を駆動することにより、車両走行状態を安定化した後に得られる各輪ブレーキ装置のピストン位置(又はモータ位置)を用いて、制御情報の記憶装置に記録しているピストン位置とパッド押付力との関係を補正するものである。この実施形態によれば、ブレーキアクチュエータの経時変化や温度環境によりモータ位置とパッド押付力との関係が変動した場合にも、これらの関係を補正することができるため、左右輪で制動力に大きな差が生じて、車両挙動が不安定になるのを防止することができる。
【0047】
また、車両が停止している状態でブレーキ装置に規定の動作を実施させることによりブレーキ装置の駆動データを取得し、この駆動データを用いて、制御情報の記憶装置に記録しているピストン位置(又はモータ位置)とパッド押付力との関係を補正するものである。この実施形態によれば、車両停止時にブレーキ装置に規定動作を実施させることによって、アクチュエータ内部部材の慣性の影響を受けないブレーキ装置の駆動データを取得することができ、ピストン位置とパッド押付力との関係を確実に補正することができる。
【0048】
また、制御情報の記憶装置に記憶しているピストン位置(又はモータ位置)とパッド押付力の関係を補正するための動作を開始させるための信号を取得する外部インターフェースを備え、この信号が入力された場合にピストン位置とパッド押付力の関係を補正することとした。この実施形態によれば、車両のユーザまたはメンテナンスを実施する者が、車両停止の安全を確保した上で上記補正のためのブレーキ装置動作を実施することができる。
【0049】
また、ピストン位置とパッド押付力の関係を補正するための動作を法律により定められた車両検査時に、定期的に実施するものである。この実施形態によれば、車両運転のときの制動指令時おける補正が実施されずに、アクチュエータの経時変化が進行する場合においても、定期的に確実に補正が実施され、車両走行の安全性を向上させることができる。また、車両の走行距離を検出する手段を備え、これにより得られる走行距離が規定値に達した場合に、車両のユーザに対して、制御情報の記憶装置に記録しているピストン位置とパッド押付力との関係の補正が必要であることを警告することとした。この実施形態によれば、走行距離から判断した適切なタイミングに補正動作を実施することができ、車両走行の安全性を向上させることができる。
【0050】
また、モータの駆動によってピストン変位を生じる電気式のブレーキアクチュエータにおいて、ブレーキ装置の駆動データとして、ピストン位置の代わりにモータ位置を使用することとした。この実施形態によれば、アクチュエータ内部のがたつきなどによるモータ位置とピストン位置のずれの影響を除外することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置を適用した車両のシステム全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置に接続される電動ブレーキアクチュエータの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置が4輪車両のブレーキ装置を制御する制御信号形態を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置におけるブレーキコントローラの内部構成と信号形態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置における基本的な動作手順を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係るブレーキ制御装置における車両安定化制御の具体例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係るブレーキ制御装置における車両安定化制御の効果および車両安定化制御実施時のパッド押付力を示すグラフである。
【図8】本実施形態に関する、モータ位置とパッド押し付け力との関係を表す剛性グラフを補正するに必要な補正点を得るための説明図である。
【図9】本実施形態に関する、モータ位置とパッド押し付け力との関係を表す剛性グラフを補正したことによる効果を説明する図である。
【図10】本実施形態に係るブレーキ制御装置における剛性グラフ補正制御の具体例を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に関する、剛性グラフの推定押付力値を真の押付力値に近づけるための方法を示す説明図である。
【図12】本実施形態に関する、剛性グラフの補正を補正信号に基づいて実施する場合のフローチャートである。
【図13】本実施形態に関する、剛性グラフの補正を補正信号に基づいて実施する場合の押し付け力の増力減力態様を示す説明図である。
【図14】本実施形態に関する、剛性グラフの補正を規定の走行距離に応じてユーザに促す制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 ブレーキペダル
2 ストロークセンサ
3 メインコントローラ
4a,4b,4c,4d 電動ブレーキコントローラ
5a,5b,5c,5d モータドライバ
6a,6b,6c,6d 電動ブレーキアクチュエータ
7a,7b,7c,7d ディスクロータ
8a,8b,8c,8d 車輪
10 モータロータ
11 モータコイル
12 磁石
13 減速機
14 ボールねじ
15 ロッド
16 ピストン
17 ブレーキパッド
18 レゾルバ
23 モータ電流センサ
24 バッテリ
25 車両
26 剛性グラフによる押付力推定部
27 制御信号作成部
28 左後輪ブレーキアクチュエータの剛性グラフ
29 右後輪ブレーキアクチュエータの剛性グラフ
30 左後輪ブレーキアクチュエータの真の剛性グラフ
31 右後輪ブレーキアクチュエータの真の剛性グラフ
32 補正した右後輪ブレーキアクチュエータの剛性グラフ
33 係数を乗じることにより得られた左後輪ブレーキアクチュエータの剛性グラフ
34 係数を乗じることにより得られた右後輪ブレーキアクチュエータの剛性グラフ
35 スイッチ
36 走行距離メータ
37 警告ランプ
38 押付力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に制動力を発生するブレーキ手段におけるブレーキ摩擦材の移動量を車輪毎に独立に制御するブレーキ制御手段と、前記移動量の制御において必要とされる駆動データを記憶する記憶手段と、車両の走行状態を表す物理量を検出する車両走行状態検出手段と、前記物理量に基づいて車輪毎のブレーキ制御手段を介して車両走行状態を制御する車両制御手段と、を備えた車両のブレーキ制御装置であって、
前記車両制御手段は、前記ブレーキ手段によって車両の走行状態を制御した結果の制御データを取得し、前記取得した制御データを用いて前記記憶手段に記憶されていた駆動データを補正し更新する
ことを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
【請求項2】
車輪に制動力を発生するブレーキ手段におけるブレーキ摩擦材の移動量を車輪毎に独立に制御するブレーキ制御手段と、前記移動量の制御において必要とされる駆動データを記憶する記憶手段と、車両の走行状態を表す物理量を検出する車両走行状態検出手段と、前記物理量に基づいて車輪毎のブレーキ制御手段を介して車両走行状態を制御する車両制御手段と、を備えた車両のブレーキ制御装置であって、
前記車両制御手段は、車両の停止状態で前記ブレーキ手段に所定動作を実施させた結果の制御データを取得し、前記取得した制御データを用いて前記記憶手段に記憶されていた駆動データを補正し更新する
ことを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
【請求項3】
車輪に制動力を発生するブレーキ手段におけるブレーキ摩擦材の移動量を車輪毎に独立に制御するブレーキ制御手段と、前記移動量の制御において必要とされる駆動データを記憶する記憶手段と、車両の走行状態を表す物理量を検出する車両走行状態検出手段と、前記物理量に基づいて車輪毎のブレーキ制御手段を介して車両走行状態を制御する車両制御手段と、を備えた車両のブレーキ制御装置であって、
前記車両制御手段は、前記ブレーキ手段によって車両の走行状態を制御した結果の制御データを取得するとともに、車両の停止状態で前記ブレーキ手段に所定動作を実施させた結果の制御データを取得し、
前記取得した制御データを用いて前記記憶手段に記憶されていた駆動データを補正し更新する
ことを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記車両制御手段は、制動指令でブレーキ制御を行ったときのヨー角速度が規定値以上である場合、車両の安定化制御を実施して得られた各車輪への押付力を基に前記制御データを取得する
ことを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記車両制御手段は、前記駆動データを補正する補正指令信号を受け取り、車両停止を確認して、各車輪への押付力の増力と減力の動作を実施し、前記増力減力動作により得られたモータ電流を基に前記制御データを取得する
ことを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
【請求項6】
請求項1、2または3において、
前記駆動データを補正し更新するのは、法律により定められた車両検査時に実行することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
【請求項7】
請求項1,2または3において、
前記車両制御手段は、走行距離検出手段より車両の走行距離を取得し、前記総距離が規定値に達したときに警告を発し、前記駆動データの補正および更新を促す
ことを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つの請求項において、
前記駆動データは、モータ位置とブレーキパッド押付力との関係を示す特性データであることを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
【請求項9】
請求項4において、
前記駆動データの補正は、前記車両安定化制御の開始後所定の時間が経過し、前記ブレーキ手段による制動中の操舵角が規定値未満であり、前記車両安定化制御中のヨー角速度変化幅が所定値未満であった場合に実施する
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか1つの請求項において、
前記ブレーキ手段は、モータと、前記モータの駆動力によって変位を生じるピストンを有し、前記ピストンの変位によって前記ブレーキ摩擦材を前記車輪とともに回転する回転部材に接触させて制動力を発生させ、
前記駆動データは、前記ピストンの変位データと前記ブレーキ摩擦材と前記回転部材の間に生じる押付力データとの関係を示す特性データである
ことを特徴とする車両のブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−161154(P2007−161154A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361916(P2005−361916)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】