車両の前部車体構造
【課題】モータとバッテリとが搭載される車両において、最適な重量バランスを実現しながら、前方から衝撃荷重を受けたときの車室への影響を抑制する。
【解決手段】車室内空間5と該車室内空間よりも下側の空間とを仕切るフロアパネルと、該フロアパネルの前部から立ち上がり車室内空間5と該車室内空間よりも前側の空間9とを仕切るダッシュパネル18と、該ダッシュパネル18の前方においてそれぞれ前後方向に延設された左右一対のフロントサイドフレーム27と、該左右のフロントサイドフレーム27間の空間に配設され且つ前輪2に駆動連結されたモータ11と、該モータ11に電力を供給するバッテリ12とを備えた車両において、バッテリ12を、少なくとも一部がモータ11に正面視で重複するように該モータ11の後方に配設し、モータ11を、前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けたときにバッテリ12の下方へ後退するように設ける。
【解決手段】車室内空間5と該車室内空間よりも下側の空間とを仕切るフロアパネルと、該フロアパネルの前部から立ち上がり車室内空間5と該車室内空間よりも前側の空間9とを仕切るダッシュパネル18と、該ダッシュパネル18の前方においてそれぞれ前後方向に延設された左右一対のフロントサイドフレーム27と、該左右のフロントサイドフレーム27間の空間に配設され且つ前輪2に駆動連結されたモータ11と、該モータ11に電力を供給するバッテリ12とを備えた車両において、バッテリ12を、少なくとも一部がモータ11に正面視で重複するように該モータ11の後方に配設し、モータ11を、前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けたときにバッテリ12の下方へ後退するように設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部車体構造、特に電気自動車の前部車体構造に関し、主として電気自動車の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
車両の前輪と後輪にかかる重量配分(前後重量配分)は、車両の加速時と減速時の慣性力等に大きな影響を与え、当該車両の走行性を左右する。そのため、車両に搭載される各種機器の配置は、適切な前後重量配分となるように設計される。例えば、FF式(フロントエンジン・フロントドライブ式)のガソリン自動車では、前後重量配分が約6:4となるようにエンジンや燃料タンク等の重量物が配置されることが多い。
【0003】
ところで、電気自動車では、エンジンや燃料タンクが搭載されない代わりに、車輪を駆動するモータと、該モータに電力を供給する大型のバッテリとが搭載される。そのため、電気自動車の重量配分は、モータ及びバッテリの配置によって大きく変わることになる。
【0004】
電気自動車において、モータ及びバッテリは、車両後部のトランクルーム又は車両前部のダッシュパネル前方の空間に搭載されることが多いが、それ以外にも様々なモータ及びバッテリの配置が考えられる。例えば、特許文献1には、フロアパネルにおいてダッシュパネルからリアシート近傍まで延びるように形成されたセンターコンソール、所謂トンネル部にバッテリが収容され、ダッシュパネル前方の空間にモータが配置される構成が開示されている。
【0005】
しかし、従来の電気自動車におけるモータ及びバッテリの配置は、FF式のガソリン自動車と同様の前後重量配分を実現し得るものではなかった。例えば、ダッシュパネルよりも後方にバッテリを配置した特許文献1の技術では、重量配分が後輪側に偏りすぎてしまう。
【0006】
電気自動車においても、FF式のガソリン自動車と同様の前後重量配分を実現するためには、ダッシュパネル前方の空間にモータを配置するとともに、その後方にバッテリを配置することが考えられる。また、左右の重量バランスを均等にするために、モータ及びバッテリは、いずれも車体の車幅方向中央部に配置することが好ましい。このようにモータとバッテリを配置することで、前後方向および左右方向の重量バランスを良好にすることができ、車両の走行性、特に操縦安定性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−39004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のようにダッシュパネル前方の空間においてモータとバッテリとを前後に並べて配置すると、前方からの衝撃荷重に対するダッシュパネル前方の空間の緩衝機能が低減することが考えられる。つまり、前方からの衝撃荷重により車体前部が変形して衝撃を吸収しようとするときに、モータの後退がバッテリとの干渉により妨げられるため、剛性の高いモータが車体前部の変形を妨げ、その結果、衝撃があまり吸収されずに車室側に伝達されるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、モータとバッテリとが搭載される車両において、最適な重量バランスを実現しながら、前方から衝撃荷重を受けたときの車室への影響を抑制することができる車両の前部車体構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両のバッテリ配設構造は、次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
車室内空間と該車室内空間よりも下側の空間とを仕切るフロアパネルと、該フロアパネルの前部から立ち上がり車室内空間と該車室内空間よりも前側の空間とを仕切るダッシュパネルと、該ダッシュパネルの前方においてそれぞれ前後方向に延設された左右一対のフロントサイドフレームと、該左右のフロントサイドフレーム間の空間に配設され且つ前輪に駆動連結されたモータと、該モータに電力を供給するバッテリとを備えた車両の前部車体構造であって、
前記バッテリは、少なくとも一部が前記モータに正面視で重複するように該モータの後方に配設され、
前記モータは、前方から所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記バッテリの下方へ後退するように設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記モータと前記バッテリとが、車体の車幅方向略中央に配設されていることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記バッテリが、後端部よりも前端部が高くなるように傾斜して配設されていることを特徴とする。
【0014】
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記ダッシュパネルの前方に、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに変形するサブフレームが配設され、前記モータは、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記サブフレームの変形に伴って前記バッテリの下方へ移動するように、該サブフレームに支持されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記モータと前記サブフレームとが連結部を介して連結され、該連結部に、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記モータと前記サブフレームとの連結を解除する解除手段が設けられていることを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記モータと前記バッテリとの間の空間に、前輪に連結されたドライブシャフトが車幅方向に延設され、前記モータは、シャフト連結部を介して前記ドライブシャフトに連結され、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記ドライブシャフトを中心として回動することで前記バッテリの下方に移動することを特徴とする。
【0017】
またさらに、請求項7に記載の発明は、前記請求項6に記載の発明において、前記ドライブシャフトが前記バッテリに干渉しないように前記ドライブシャフトの後退を規制する規制部が、前記ドライブシャフトの後方に配設されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明において、前記フロアパネルに、前後方向に延びるトンネル部が上方へ突設され、前記バッテリは、前記ダッシュパネルの前後両側に亘って配設され、該ダッシュパネルよりも後側において前記バッテリは前記トンネル部に収容されていることを特徴とする。
【0019】
さらに、請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載の発明において、前記車両は、前記フロアパネル上に配設されたフロントシートと、前記フロアパネル上において前記フロントシートよりも後側に配設されたリアシートと、を備え、前記トンネル部は、前記ダッシュパネルから後方に向かって前記フロントシートのシートバックの下端側方部まで延びるように配設され、前記バッテリは、前記トンネル部の前端から後端に亘って配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
まず、請求項1に記載の発明によれば、前方から衝撃荷重を受けたとき、ダッシュパネルの前方に配設されたモータが、該モータの後方に配設されたバッテリの下方へ後退するため、モータの後退がバッテリとの干渉により妨げられることを回避できる。そのため、前方から衝撃荷重を受けたときの車体前部の変形がモータにより阻害されることを抑制し、車体前部の衝撃吸収機能を良好に維持することができるため、乗員の安全性を確保することができる。
【0021】
また、請求項1に記載の発明によれば、モータの後退を可能にしつつ該モータの直後方にバッテリを配設することができるため、バッテリの少なくとも前端部をダッシュパネルよりも前側に配置することで、前後重量配分が後側に偏りすぎることを回避できる。よって、電気自動車においてもFF式のガソリン自動車と同様の前後重量配分を実現することが可能になる。
【0022】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、モータとバッテリとが車体の車幅方向略中央に配設されるため、左右の重量バランスを均等にすることができ、車両の走行性、特に操縦安定性を高めることができる。
【0023】
またさらに、請求項3に記載の発明によれば、後端部よりも前端部が高くなるようにバッテリが傾斜して配設されているため、バッテリ全体を高い位置に配置しなくても、前方から衝撃荷重を受けたときに後退するモータを、バッテリ前端部の下方の空間に収めることができる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明によれば、前方から衝撃荷重を受けたとき、モータは、サブフレームの変形に伴ってバッテリの下方へ移動するため、該モータの移動によりサブフレームの変形挙動が阻害されることを防止でき、該サブフレームが衝撃荷重を効率的に吸収することができる。
【0025】
さらに、請求項4に記載の発明に請求項5に記載の発明を適用すれば、前方から衝撃荷重を受けたとき、モータとサブフレームとの連結が解除されることで、モータがバッテリの下方へ簡単かつ確実に移動することができる。
【0026】
またさらに、請求項6に記載の発明によれば、前方から衝撃荷重を受けたとき、モータはドライブシャフトを中心として回動することでバッテリの下方へ後退するため、該モータの後退を、モータとドライブシャフトとの連結を維持しつつ実現することができる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明に請求項7に記載の発明を適用すれば、前方から衝撃荷重を受けたときでも、ドライブシャフトの後退が規制されて、該ドライブシャフトがその後方のバッテリに干渉することを回避できるため、上記のドライブシャフトを中心としたモータの回動を確実に行わせることができる。
【0028】
さらに、請求項8に記載の発明によれば、バッテリがダッシュパネルの前後両側に亘って配設されるため、前輪と後輪の重量配分の自由度が確保され、例えば6:4等の最適な前後重量配分を得ることができる。また、ダッシュパネルよりも後側においてはフロアパネルのトンネル部にバッテリが収容されるため、フロアパネルの上昇が抑えられ、車室内空間を狭めることなくバッテリ容量を十分に確保することができる。
【0029】
またさらに、請求項8に記載の発明に請求項9に記載の発明を適用すれば、トンネル部は、ダッシュパネルから後方に向かってフロントシートのシートバックの下端側方部まで延びるように配設されるため、トンネル部内におけるバッテリの収容スペースを可及的に確保しつつ、リアシートの足元空間がトンネル部により狭められることを回避でき、後席の快適性を良好に維持することができる。また、トンネル部の前端から後端に亘ってバッテリが配設されるため、バッテリの容量を十分に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る前部車体構造を備えた車両を側方から見た断面図である。
【図2】図1に示す車両の車体前部の拡大底面図である。
【図3】図1に示す車両の車体前部に搭載されたモータユニット及びその周辺部材を示す斜視図である。
【図4】図3に示すモータユニットの前部の取付け状態を示す斜視図である。
【図5】図3に示すモータユニットの側部の取付け状態を示す斜視図である。
【図6】図1に示す車両の車体前部を側方から見た拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0032】
図1は、本実施形態に係る前部車体構造を備えた車両1を側方から見た断面図であり、図2は、車両1の車体前部を拡大して示す底面図である。
【0033】
図1及び図2に示すように、車両1は、前輪2を駆動するモータ11と、該モータ11に電力を供給するバッテリ12とを備えた電気自動車である。
【0034】
車両1の車幅方向両端部には、左右一対のサイドシル28,30がそれぞれ前後方向に延設されている。また、これらのサイドシル28,30よりも車幅方向内側には、左右一対のサイドフレーム24,26がそれぞれ前後方向に延設されている。各サイドフレーム24,26の後述のダッシュパネル18よりも前方部分は、フロントサイドフレーム25,27となっている。
【0035】
左右のサイドフレーム24,26上にはフロアパネル20が支持されている。該フロアパネル20は、車室内空間5と該車室内空間5よりも下側の空間とを仕切るようにして左右のサイドシル28,30間に亘って設けられている。
【0036】
フロアパネル20上には、フロントシート6と、該フロントシート6よりも後側に配置されたリアシート8とが設けられている。
【0037】
また、フロアパネル20の前端部から立ち上がるようにして、車室内空間5と該車室内空間5よりも前側の空間とを仕切るダッシュパネル18が設けられている。さらに、フロアパネル20の車幅方向略中央には、前後方向に延びるトンネル部22が上方へ突設されている。該トンネル部22は、ダッシュパネル18から後方に向かってフロントシート6のシートバック6aの下端側方部まで延びるように配設されている。すなわち、トンネル部22は、フロントシート6よりも後側へ突出することなく設けられているため、リアシート8の足元空間が狭められることがなく、後席の快適性が良好に維持されるようになっている。また、トンネル部22は、後方に向かうに連れて低くなるように天井面が傾斜して設けられている。
【0038】
車両1におけるダッシュパネル18の前方の空間9には、左右の前輪2に連結されたドライブシャフト14が車幅方向に沿って配置されている。また、前記空間9において、ドライブシャフト14の後方には、左右の前輪2に連結されたステアリングシャフト16が車幅方向に沿って配置されている。
【0039】
また、ダッシュパネル18の前方の空間9には、前輪用のサスペンション(図示せず)を支持するサブフレーム34が設けられている。
【0040】
図2及び図3に示すように、サブフレーム34は、平面視において枠状の所謂ペリメータフレームであり、前後方向に延びる左右一対の縦メンバ35,36と、左右の縦メンバ35,36間に亘って車幅方向に延びる前後一対の横メンバ37,38とを有する。各縦メンバ35,36は中央部で屈曲しており、前端部から中央部にかけては後方へ真っ直ぐ延設され、中央部から後端部にかけては車幅方向中央側に傾いた斜め後方へ延設されている。
【0041】
また、サブフレーム34は、左右の縦メンバ35,36の前端部からそれぞれ立ち上がる左右一対の前部立ち上がり部39,40と、左右の縦メンバ35,36の中央やや後方部からそれぞれ立ち上がる左右一対の後部立ち上がり部41,42とを有する。
【0042】
サブフレーム34は、左右の前部立ち上がり部39,40の上端部と、左右の後部立ち上がり部41,42の上端部とにおいて、例えばボルトを用いてフロントサイドフレーム25,27の下面に固定され、後部横メンバ38の車幅方向両端部において、例えばボルトを用いてフロアパネル20の下面に固定されている。
【0043】
また、左右の後部立ち上がり部41,42は、ドライブシャフト14の後方において、ドライブシャフト14がバッテリ12に干渉しないようにドライブシャフト14の後退を規制可能な位置に配設されている。これにより、後部立ち上がり部41,42は、前方から衝撃荷重を受けたときのドライブシャフト14の後退を規制する規制部として機能するようになっている。
【0044】
このサブフレーム34は、前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けたとき、例えば図6の二点鎖線に示すように変形する。具体的には、サブフレーム34の前端部が真っ直ぐ後退し前後方向中央部が斜め下方へ後退するように左右の縦メンバ35,36が折れ曲がる。また、図6において図示を省略しているが、前方からの衝撃荷重によりサブフレーム34が変形するとき、フロントサイドフレーム25,27も、サブフレーム34との連結状態を維持しながら変形する。よって、前方からの衝撃荷重を車体前部で吸収することができ、車室への衝撃の伝達を抑制することができる。
【0045】
なお、本実施形態において、サブフレーム34は断面ロ字形の鋼材からなるが、サブフレーム34の断面形状はこれに限定されず、例えば断面コ字形であってもよい。
【0046】
図1及び図2に示すように、ダッシュパネル18の前方の空間9には更に、左右のフロントサイドフレーム25,27間においてモータユニット10が配設されている。該モータユニット10は、前記のモータ11と、該モータ11の駆動力をドライブシャフト14に伝達する減速機31と、モータ11をドライブシャフト14に支持させる支持部32とを有する。
【0047】
モータ11は、車体の車幅方向中央で且つドライブシャフト14の前方に配置されており、減速機31とドライブシャフト14とを介して左右の前輪2に駆動連結されている。
【0048】
減速機31は、モータ11の例えば左端部に連結されている。また、減速機31は、モータ11よりも後側においてドライブシャフト14に連結されており、モータ11の駆動力を減速してドライブシャフト14に伝達する。
【0049】
支持部32は、モータ11の例えば右端部から後方へ突設されている。また、支持部32は、モータ11よりも後側においてドライブシャフト14に回転自在に連結されており、これにより、モータ11は、支持部32を介してドライブシャフト14に確実に支持されている。
【0050】
このモータユニット10は、複数の連結部50〜52を介してサブフレーム34に連結されているが、モータユニット10とサブフレーム34との具体的な連結構造については後に説明する。
【0051】
モータ11の後方には、前記のバッテリ12が、その少なくとも一部がモータ11と正面視で重複するように配設されている。
【0052】
バッテリ12は細長い形状を有し、車両前後方向に沿って配設されている。また、バッテリ12は、ダッシュパネル18の前後両側に亘って配設されている。そのため、前輪2と後輪4の重量配分の自由度が確保され、例えば6:4等の最適な前後重量配分を得ることができる。よって、車両1の良好な走行性を得ることができる。
【0053】
さらに、バッテリ12は、ダッシュパネル18の前方の空間9においてステアリングシャフト16の上方で且つドライブシャフト14の直後方に配置されている。
【0054】
また、バッテリ12は、ダッシュパネル18よりも後側においてトンネル部22の前端から後端に亘って収容されている。そのため、ダッシュパネル18の前後に亘ってバッテリ12を配置しつつ、フロアパネル20の上昇が抑えられ、車室内空間5を狭めることなくバッテリ12の容量を拡大させることができる。
【0055】
さらに、バッテリ12は、後端部よりも前端部が高くなるようにバッテリが傾斜して配設されている。そのため、バッテリ12全体を高い位置に配置しなくても、後述するように前方から衝撃荷重を受けたときに後退するモータ11を、バッテリ12前端部の下方の空間に収めることができる。
【0056】
バッテリ12は、モータ11と同様、車体の車幅方向略中央に配設されている。そのため、車両1の左右の重量バランスを均等にすることができ、車両1の走行性、特に操縦安定性を高めることができる。
【0057】
車体にバッテリ12を固定する構成は特に限定されないが、例えば、図示しないバッテリ支持部をサブフレーム34と一体的に設け、該バッテリ支持部にバッテリ12を固定することが考えられる。
【0058】
以下、モータユニット10とサブフレーム34との連結構造について具体的に説明する。
【0059】
図3に示すように、モータユニット10は、前方連結部50を介してサブフレーム34の前部横メンバ37に連結され、左右一対の側方連結部51,52を介してサブフレーム34の左右の縦メンバ35,36に連結されている。
【0060】
図4に示すように、前方連結部50は、前部横メンバ37に取り付けられた左右一対の支持プレート71,72と、モータ11の前面から前方へ突設された突出部61とを有し、該突出部61の先端部62が前記支持プレート71,72に支持されている。突出部61は、車体の車幅方向略中央に配設されており、これに対応する位置に、左右の支持プレート71,72が配設されている。すなわち、車体の車幅方向略中央を挟んだ左右両側にそれぞれ支持プレート71,72が配設されている。
【0061】
各支持プレート71,72は、例えば溶接により前部横メンバ37の後面に固定されたベース部73,74と、該ベース部73,74の車幅方向中央側の端部から後方に延びる支持部75,76とを有する。左右の支持部75,76は、車幅方向において突出部61の先端部62と略同じ幅を有する。また、各支持部75,76には、その後端から前方に延びるようにスリット78が形成されている。
【0062】
一方、突出部61の先端部62の車幅方向両側の側面には、車幅方向に延びるボルト63が突設されている。突出部61の先端部62は、支持部75,76のスリット78にボルト63が挿通されるとともに該ボルト63の先端に螺合されたナット64が締め付けられることで、支持部75,76に固定されている。
【0063】
すなわち、かかる構成からなる前方連結部50を介して、サブフレーム34の前部横メンバ37にモータユニット10が連結されている。
【0064】
次に、図5を参照しながら、左右の側方連結部51,52のうち左側の側方連結部51の構成について説明する。なお、右側の側方連結部52については、左側の側方連結部51と同様の構成を有するため、その図示および説明を省略する。
【0065】
図5に示すように、側方連結部51は、サブフレーム34の縦メンバ35から車幅方向中央側へ延びるように該縦メンバ35に連結された支持アーム91と、モータユニット10の車幅方向外側の側面に突設された突出プレート81とを有し、該突出プレート81が緩衝部材85を介して支持アーム91に支持されている。
【0066】
支持アーム91は、その先端部において略水平な上面92を有し、この上面92には、その後端から前方に向かって中央部まで延びるように溝部92が形成されている。
【0067】
一方、突出プレート81は、略水平な水平部82と、該水平部82の前端部から立ち上がる前側立ち上がり部83と、水平部82の後端部から立ち上がる後側立ち上がり部84とを有する。突出プレート81の水平部82の下面には、例えばゴムからなる緩衝部材85が取り付けられている。具体的には、水平部82と緩衝部材85とを貫通するように下側からボルト86が差し込まれた状態で、該ボルト86の先端に螺合されたナット87が締め付けられることで、水平部82に緩衝部材85が固定されている。
【0068】
突出プレート81は、緩衝部材85よりも下側に突出したボルト86の頭部が支持アーム91の溝部94の前端部に嵌め込まれた状態で、緩衝部材85を介して支持アーム91の上面92に載置されている。これにより、突出プレート81は、後ろ方向を除く全ての方向への移動が規制された状態で支持アーム91に支持されている。
【0069】
すなわち、かかる構成からなる側方連結部51,52を介して、サブフレーム34の左右の縦メンバ35,36にモータユニット10が連結されている。
【0070】
以上のように、モータユニット10は、複数の連結部50〜52を介してサブフレーム34に連結されているが、前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けたときは、前方連結部50の支持プレート71,72と側方連結部51,52の溝部94とが解除手段として作用することで、モータユニット10とサブフレーム34との連結が解除される。
【0071】
図6を参照しながら具体的に説明する。前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けると、先ず、上述のようにサブフレーム34が変形し、この変形により後退するサブフレーム34の前部横メンバ37が、前方連結部50を介してモータユニット10の前端部を下側後方へ押し込む。これにより、モータユニット10は、ドライブシャフト14を中心とした図6の反時計回り方向の回動が開始され、このモータユニット10の回動に伴い、前方連結部50における前記ボルト63が前記支持プレート71,72のスリット78内で相対的に後退して最終的に該スリット78から脱落するか、又は、前記支持プレート71,72のベース部73,74と前部横メンバ37との溶接が破断することで、前方連結部50を介したモータユニット10とサブフレーム34との連結が解除される(図4参照)。
【0072】
また、サブフレーム34が変形する際に、上述のように前方連結部50を介したモータユニット10とサブフレーム34との連結が解除されると、上述のドライブシャフト14を中心としたモータユニット10の回動によりドライブシャフト14よりも前側のモータユニット10の各部は下側後方に移動し、これに伴って、側方連結部51,52の支持アーム91の溝部94に係合したボルト86の頭部も、下側後方へ移動する。これにより、ボルト86の頭部が溝部94から脱落することで、側方連結部51,52を介したモータユニット10とサブフレーム34との連結が解除される。
【0073】
このようにして、モータユニット10とサブフレーム34との連結が解除されると、ドライブシャフト14を中心としたモータ11の回動は、ドライブシャフト14の下方にモータ11が配置される状態になるまで支障なく継続され、これにより、モータ11は簡単かつ確実にバッテリ12の前端部の下方に移動する。
【0074】
このとき、ドライブシャフト14は僅かに後退するものの、このドライブシャフト14の後退は、バッテリ12と干渉しないようにサブフレーム34の後部立ち上がり部41,42により規制されるため、上記のモータ11の回動を確実に行わせることができる。
【0075】
以上のように、本実施形態によれば、モータ11が、前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けたときにバッテリ12の下方へ移動するため、モータ11の後退がバッテリ12との干渉により妨げられることを回避できる。そのため、前方から衝撃荷重を受けたときの車体前部の変形がモータ11により阻害されることを抑制し、車体前部の衝撃吸収機能を良好に維持することができるため、乗員の安全性を確保することができる。
【0076】
しかも、このとき、モータ11は、サブフレーム34の変形に伴ってバッテリ12の下方へ移動するため、該モータ11の移動によりサブフレーム34の変形挙動が阻害されることを防止でき、該サブフレーム34が衝撃荷重を効率的に吸収することができる。
【0077】
さらに、このとき、モータ11はドライブシャフト14を中心として回動することでバッテリ12の下方へ後退するため、該モータ11の後退を、モータ11とドライブシャフト14との連結を維持しつつ実現することができる。
【0078】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0079】
例えば、上述の実施形態では、ドライブシャフト14を中心としてモータ11を回動させることでバッテリ12の下方にモータ11を移動させる構成について説明したが、本発明において、バッテリ12の下方にモータ11を移動させるための構成はこれに限定されるものでない。例えば、前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けたときにモータ11とドライブシャフト14との連結を解除することで、モータ11を下側後方へ落下させてバッテリ12の下方へ移動させる構成も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明によれば、前輪駆動用のモータと、該モータに電力を供給するバッテリとを備えた車両において、最適な重量バランスを実現しながら、前方から衝撃荷重を受けたときの車室への影響を抑制することが可能となるから、この種の車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0081】
1 車両
2 前輪
4 後輪
5 車室内空間
6 フロントシート
8 リアシート
9 ダッシュパネルの前方の空間
10 モータユニット
11 モータ
12 バッテリ
14 ドライブシャフト
18 ダッシュパネル
20 フロアパネル
22 トンネル部
25,27 フロントサイドフレーム
31 減速機(シャフト連結部)
34 サブフレーム
50〜52 連結部
71,72 支持プレート(解除手段)
94 支持アームの溝部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部車体構造、特に電気自動車の前部車体構造に関し、主として電気自動車の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
車両の前輪と後輪にかかる重量配分(前後重量配分)は、車両の加速時と減速時の慣性力等に大きな影響を与え、当該車両の走行性を左右する。そのため、車両に搭載される各種機器の配置は、適切な前後重量配分となるように設計される。例えば、FF式(フロントエンジン・フロントドライブ式)のガソリン自動車では、前後重量配分が約6:4となるようにエンジンや燃料タンク等の重量物が配置されることが多い。
【0003】
ところで、電気自動車では、エンジンや燃料タンクが搭載されない代わりに、車輪を駆動するモータと、該モータに電力を供給する大型のバッテリとが搭載される。そのため、電気自動車の重量配分は、モータ及びバッテリの配置によって大きく変わることになる。
【0004】
電気自動車において、モータ及びバッテリは、車両後部のトランクルーム又は車両前部のダッシュパネル前方の空間に搭載されることが多いが、それ以外にも様々なモータ及びバッテリの配置が考えられる。例えば、特許文献1には、フロアパネルにおいてダッシュパネルからリアシート近傍まで延びるように形成されたセンターコンソール、所謂トンネル部にバッテリが収容され、ダッシュパネル前方の空間にモータが配置される構成が開示されている。
【0005】
しかし、従来の電気自動車におけるモータ及びバッテリの配置は、FF式のガソリン自動車と同様の前後重量配分を実現し得るものではなかった。例えば、ダッシュパネルよりも後方にバッテリを配置した特許文献1の技術では、重量配分が後輪側に偏りすぎてしまう。
【0006】
電気自動車においても、FF式のガソリン自動車と同様の前後重量配分を実現するためには、ダッシュパネル前方の空間にモータを配置するとともに、その後方にバッテリを配置することが考えられる。また、左右の重量バランスを均等にするために、モータ及びバッテリは、いずれも車体の車幅方向中央部に配置することが好ましい。このようにモータとバッテリを配置することで、前後方向および左右方向の重量バランスを良好にすることができ、車両の走行性、特に操縦安定性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−39004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のようにダッシュパネル前方の空間においてモータとバッテリとを前後に並べて配置すると、前方からの衝撃荷重に対するダッシュパネル前方の空間の緩衝機能が低減することが考えられる。つまり、前方からの衝撃荷重により車体前部が変形して衝撃を吸収しようとするときに、モータの後退がバッテリとの干渉により妨げられるため、剛性の高いモータが車体前部の変形を妨げ、その結果、衝撃があまり吸収されずに車室側に伝達されるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、モータとバッテリとが搭載される車両において、最適な重量バランスを実現しながら、前方から衝撃荷重を受けたときの車室への影響を抑制することができる車両の前部車体構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両のバッテリ配設構造は、次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
車室内空間と該車室内空間よりも下側の空間とを仕切るフロアパネルと、該フロアパネルの前部から立ち上がり車室内空間と該車室内空間よりも前側の空間とを仕切るダッシュパネルと、該ダッシュパネルの前方においてそれぞれ前後方向に延設された左右一対のフロントサイドフレームと、該左右のフロントサイドフレーム間の空間に配設され且つ前輪に駆動連結されたモータと、該モータに電力を供給するバッテリとを備えた車両の前部車体構造であって、
前記バッテリは、少なくとも一部が前記モータに正面視で重複するように該モータの後方に配設され、
前記モータは、前方から所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記バッテリの下方へ後退するように設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記モータと前記バッテリとが、車体の車幅方向略中央に配設されていることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記バッテリが、後端部よりも前端部が高くなるように傾斜して配設されていることを特徴とする。
【0014】
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記ダッシュパネルの前方に、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに変形するサブフレームが配設され、前記モータは、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記サブフレームの変形に伴って前記バッテリの下方へ移動するように、該サブフレームに支持されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記モータと前記サブフレームとが連結部を介して連結され、該連結部に、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記モータと前記サブフレームとの連結を解除する解除手段が設けられていることを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記モータと前記バッテリとの間の空間に、前輪に連結されたドライブシャフトが車幅方向に延設され、前記モータは、シャフト連結部を介して前記ドライブシャフトに連結され、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記ドライブシャフトを中心として回動することで前記バッテリの下方に移動することを特徴とする。
【0017】
またさらに、請求項7に記載の発明は、前記請求項6に記載の発明において、前記ドライブシャフトが前記バッテリに干渉しないように前記ドライブシャフトの後退を規制する規制部が、前記ドライブシャフトの後方に配設されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明において、前記フロアパネルに、前後方向に延びるトンネル部が上方へ突設され、前記バッテリは、前記ダッシュパネルの前後両側に亘って配設され、該ダッシュパネルよりも後側において前記バッテリは前記トンネル部に収容されていることを特徴とする。
【0019】
さらに、請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載の発明において、前記車両は、前記フロアパネル上に配設されたフロントシートと、前記フロアパネル上において前記フロントシートよりも後側に配設されたリアシートと、を備え、前記トンネル部は、前記ダッシュパネルから後方に向かって前記フロントシートのシートバックの下端側方部まで延びるように配設され、前記バッテリは、前記トンネル部の前端から後端に亘って配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
まず、請求項1に記載の発明によれば、前方から衝撃荷重を受けたとき、ダッシュパネルの前方に配設されたモータが、該モータの後方に配設されたバッテリの下方へ後退するため、モータの後退がバッテリとの干渉により妨げられることを回避できる。そのため、前方から衝撃荷重を受けたときの車体前部の変形がモータにより阻害されることを抑制し、車体前部の衝撃吸収機能を良好に維持することができるため、乗員の安全性を確保することができる。
【0021】
また、請求項1に記載の発明によれば、モータの後退を可能にしつつ該モータの直後方にバッテリを配設することができるため、バッテリの少なくとも前端部をダッシュパネルよりも前側に配置することで、前後重量配分が後側に偏りすぎることを回避できる。よって、電気自動車においてもFF式のガソリン自動車と同様の前後重量配分を実現することが可能になる。
【0022】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、モータとバッテリとが車体の車幅方向略中央に配設されるため、左右の重量バランスを均等にすることができ、車両の走行性、特に操縦安定性を高めることができる。
【0023】
またさらに、請求項3に記載の発明によれば、後端部よりも前端部が高くなるようにバッテリが傾斜して配設されているため、バッテリ全体を高い位置に配置しなくても、前方から衝撃荷重を受けたときに後退するモータを、バッテリ前端部の下方の空間に収めることができる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明によれば、前方から衝撃荷重を受けたとき、モータは、サブフレームの変形に伴ってバッテリの下方へ移動するため、該モータの移動によりサブフレームの変形挙動が阻害されることを防止でき、該サブフレームが衝撃荷重を効率的に吸収することができる。
【0025】
さらに、請求項4に記載の発明に請求項5に記載の発明を適用すれば、前方から衝撃荷重を受けたとき、モータとサブフレームとの連結が解除されることで、モータがバッテリの下方へ簡単かつ確実に移動することができる。
【0026】
またさらに、請求項6に記載の発明によれば、前方から衝撃荷重を受けたとき、モータはドライブシャフトを中心として回動することでバッテリの下方へ後退するため、該モータの後退を、モータとドライブシャフトとの連結を維持しつつ実現することができる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明に請求項7に記載の発明を適用すれば、前方から衝撃荷重を受けたときでも、ドライブシャフトの後退が規制されて、該ドライブシャフトがその後方のバッテリに干渉することを回避できるため、上記のドライブシャフトを中心としたモータの回動を確実に行わせることができる。
【0028】
さらに、請求項8に記載の発明によれば、バッテリがダッシュパネルの前後両側に亘って配設されるため、前輪と後輪の重量配分の自由度が確保され、例えば6:4等の最適な前後重量配分を得ることができる。また、ダッシュパネルよりも後側においてはフロアパネルのトンネル部にバッテリが収容されるため、フロアパネルの上昇が抑えられ、車室内空間を狭めることなくバッテリ容量を十分に確保することができる。
【0029】
またさらに、請求項8に記載の発明に請求項9に記載の発明を適用すれば、トンネル部は、ダッシュパネルから後方に向かってフロントシートのシートバックの下端側方部まで延びるように配設されるため、トンネル部内におけるバッテリの収容スペースを可及的に確保しつつ、リアシートの足元空間がトンネル部により狭められることを回避でき、後席の快適性を良好に維持することができる。また、トンネル部の前端から後端に亘ってバッテリが配設されるため、バッテリの容量を十分に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る前部車体構造を備えた車両を側方から見た断面図である。
【図2】図1に示す車両の車体前部の拡大底面図である。
【図3】図1に示す車両の車体前部に搭載されたモータユニット及びその周辺部材を示す斜視図である。
【図4】図3に示すモータユニットの前部の取付け状態を示す斜視図である。
【図5】図3に示すモータユニットの側部の取付け状態を示す斜視図である。
【図6】図1に示す車両の車体前部を側方から見た拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0032】
図1は、本実施形態に係る前部車体構造を備えた車両1を側方から見た断面図であり、図2は、車両1の車体前部を拡大して示す底面図である。
【0033】
図1及び図2に示すように、車両1は、前輪2を駆動するモータ11と、該モータ11に電力を供給するバッテリ12とを備えた電気自動車である。
【0034】
車両1の車幅方向両端部には、左右一対のサイドシル28,30がそれぞれ前後方向に延設されている。また、これらのサイドシル28,30よりも車幅方向内側には、左右一対のサイドフレーム24,26がそれぞれ前後方向に延設されている。各サイドフレーム24,26の後述のダッシュパネル18よりも前方部分は、フロントサイドフレーム25,27となっている。
【0035】
左右のサイドフレーム24,26上にはフロアパネル20が支持されている。該フロアパネル20は、車室内空間5と該車室内空間5よりも下側の空間とを仕切るようにして左右のサイドシル28,30間に亘って設けられている。
【0036】
フロアパネル20上には、フロントシート6と、該フロントシート6よりも後側に配置されたリアシート8とが設けられている。
【0037】
また、フロアパネル20の前端部から立ち上がるようにして、車室内空間5と該車室内空間5よりも前側の空間とを仕切るダッシュパネル18が設けられている。さらに、フロアパネル20の車幅方向略中央には、前後方向に延びるトンネル部22が上方へ突設されている。該トンネル部22は、ダッシュパネル18から後方に向かってフロントシート6のシートバック6aの下端側方部まで延びるように配設されている。すなわち、トンネル部22は、フロントシート6よりも後側へ突出することなく設けられているため、リアシート8の足元空間が狭められることがなく、後席の快適性が良好に維持されるようになっている。また、トンネル部22は、後方に向かうに連れて低くなるように天井面が傾斜して設けられている。
【0038】
車両1におけるダッシュパネル18の前方の空間9には、左右の前輪2に連結されたドライブシャフト14が車幅方向に沿って配置されている。また、前記空間9において、ドライブシャフト14の後方には、左右の前輪2に連結されたステアリングシャフト16が車幅方向に沿って配置されている。
【0039】
また、ダッシュパネル18の前方の空間9には、前輪用のサスペンション(図示せず)を支持するサブフレーム34が設けられている。
【0040】
図2及び図3に示すように、サブフレーム34は、平面視において枠状の所謂ペリメータフレームであり、前後方向に延びる左右一対の縦メンバ35,36と、左右の縦メンバ35,36間に亘って車幅方向に延びる前後一対の横メンバ37,38とを有する。各縦メンバ35,36は中央部で屈曲しており、前端部から中央部にかけては後方へ真っ直ぐ延設され、中央部から後端部にかけては車幅方向中央側に傾いた斜め後方へ延設されている。
【0041】
また、サブフレーム34は、左右の縦メンバ35,36の前端部からそれぞれ立ち上がる左右一対の前部立ち上がり部39,40と、左右の縦メンバ35,36の中央やや後方部からそれぞれ立ち上がる左右一対の後部立ち上がり部41,42とを有する。
【0042】
サブフレーム34は、左右の前部立ち上がり部39,40の上端部と、左右の後部立ち上がり部41,42の上端部とにおいて、例えばボルトを用いてフロントサイドフレーム25,27の下面に固定され、後部横メンバ38の車幅方向両端部において、例えばボルトを用いてフロアパネル20の下面に固定されている。
【0043】
また、左右の後部立ち上がり部41,42は、ドライブシャフト14の後方において、ドライブシャフト14がバッテリ12に干渉しないようにドライブシャフト14の後退を規制可能な位置に配設されている。これにより、後部立ち上がり部41,42は、前方から衝撃荷重を受けたときのドライブシャフト14の後退を規制する規制部として機能するようになっている。
【0044】
このサブフレーム34は、前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けたとき、例えば図6の二点鎖線に示すように変形する。具体的には、サブフレーム34の前端部が真っ直ぐ後退し前後方向中央部が斜め下方へ後退するように左右の縦メンバ35,36が折れ曲がる。また、図6において図示を省略しているが、前方からの衝撃荷重によりサブフレーム34が変形するとき、フロントサイドフレーム25,27も、サブフレーム34との連結状態を維持しながら変形する。よって、前方からの衝撃荷重を車体前部で吸収することができ、車室への衝撃の伝達を抑制することができる。
【0045】
なお、本実施形態において、サブフレーム34は断面ロ字形の鋼材からなるが、サブフレーム34の断面形状はこれに限定されず、例えば断面コ字形であってもよい。
【0046】
図1及び図2に示すように、ダッシュパネル18の前方の空間9には更に、左右のフロントサイドフレーム25,27間においてモータユニット10が配設されている。該モータユニット10は、前記のモータ11と、該モータ11の駆動力をドライブシャフト14に伝達する減速機31と、モータ11をドライブシャフト14に支持させる支持部32とを有する。
【0047】
モータ11は、車体の車幅方向中央で且つドライブシャフト14の前方に配置されており、減速機31とドライブシャフト14とを介して左右の前輪2に駆動連結されている。
【0048】
減速機31は、モータ11の例えば左端部に連結されている。また、減速機31は、モータ11よりも後側においてドライブシャフト14に連結されており、モータ11の駆動力を減速してドライブシャフト14に伝達する。
【0049】
支持部32は、モータ11の例えば右端部から後方へ突設されている。また、支持部32は、モータ11よりも後側においてドライブシャフト14に回転自在に連結されており、これにより、モータ11は、支持部32を介してドライブシャフト14に確実に支持されている。
【0050】
このモータユニット10は、複数の連結部50〜52を介してサブフレーム34に連結されているが、モータユニット10とサブフレーム34との具体的な連結構造については後に説明する。
【0051】
モータ11の後方には、前記のバッテリ12が、その少なくとも一部がモータ11と正面視で重複するように配設されている。
【0052】
バッテリ12は細長い形状を有し、車両前後方向に沿って配設されている。また、バッテリ12は、ダッシュパネル18の前後両側に亘って配設されている。そのため、前輪2と後輪4の重量配分の自由度が確保され、例えば6:4等の最適な前後重量配分を得ることができる。よって、車両1の良好な走行性を得ることができる。
【0053】
さらに、バッテリ12は、ダッシュパネル18の前方の空間9においてステアリングシャフト16の上方で且つドライブシャフト14の直後方に配置されている。
【0054】
また、バッテリ12は、ダッシュパネル18よりも後側においてトンネル部22の前端から後端に亘って収容されている。そのため、ダッシュパネル18の前後に亘ってバッテリ12を配置しつつ、フロアパネル20の上昇が抑えられ、車室内空間5を狭めることなくバッテリ12の容量を拡大させることができる。
【0055】
さらに、バッテリ12は、後端部よりも前端部が高くなるようにバッテリが傾斜して配設されている。そのため、バッテリ12全体を高い位置に配置しなくても、後述するように前方から衝撃荷重を受けたときに後退するモータ11を、バッテリ12前端部の下方の空間に収めることができる。
【0056】
バッテリ12は、モータ11と同様、車体の車幅方向略中央に配設されている。そのため、車両1の左右の重量バランスを均等にすることができ、車両1の走行性、特に操縦安定性を高めることができる。
【0057】
車体にバッテリ12を固定する構成は特に限定されないが、例えば、図示しないバッテリ支持部をサブフレーム34と一体的に設け、該バッテリ支持部にバッテリ12を固定することが考えられる。
【0058】
以下、モータユニット10とサブフレーム34との連結構造について具体的に説明する。
【0059】
図3に示すように、モータユニット10は、前方連結部50を介してサブフレーム34の前部横メンバ37に連結され、左右一対の側方連結部51,52を介してサブフレーム34の左右の縦メンバ35,36に連結されている。
【0060】
図4に示すように、前方連結部50は、前部横メンバ37に取り付けられた左右一対の支持プレート71,72と、モータ11の前面から前方へ突設された突出部61とを有し、該突出部61の先端部62が前記支持プレート71,72に支持されている。突出部61は、車体の車幅方向略中央に配設されており、これに対応する位置に、左右の支持プレート71,72が配設されている。すなわち、車体の車幅方向略中央を挟んだ左右両側にそれぞれ支持プレート71,72が配設されている。
【0061】
各支持プレート71,72は、例えば溶接により前部横メンバ37の後面に固定されたベース部73,74と、該ベース部73,74の車幅方向中央側の端部から後方に延びる支持部75,76とを有する。左右の支持部75,76は、車幅方向において突出部61の先端部62と略同じ幅を有する。また、各支持部75,76には、その後端から前方に延びるようにスリット78が形成されている。
【0062】
一方、突出部61の先端部62の車幅方向両側の側面には、車幅方向に延びるボルト63が突設されている。突出部61の先端部62は、支持部75,76のスリット78にボルト63が挿通されるとともに該ボルト63の先端に螺合されたナット64が締め付けられることで、支持部75,76に固定されている。
【0063】
すなわち、かかる構成からなる前方連結部50を介して、サブフレーム34の前部横メンバ37にモータユニット10が連結されている。
【0064】
次に、図5を参照しながら、左右の側方連結部51,52のうち左側の側方連結部51の構成について説明する。なお、右側の側方連結部52については、左側の側方連結部51と同様の構成を有するため、その図示および説明を省略する。
【0065】
図5に示すように、側方連結部51は、サブフレーム34の縦メンバ35から車幅方向中央側へ延びるように該縦メンバ35に連結された支持アーム91と、モータユニット10の車幅方向外側の側面に突設された突出プレート81とを有し、該突出プレート81が緩衝部材85を介して支持アーム91に支持されている。
【0066】
支持アーム91は、その先端部において略水平な上面92を有し、この上面92には、その後端から前方に向かって中央部まで延びるように溝部92が形成されている。
【0067】
一方、突出プレート81は、略水平な水平部82と、該水平部82の前端部から立ち上がる前側立ち上がり部83と、水平部82の後端部から立ち上がる後側立ち上がり部84とを有する。突出プレート81の水平部82の下面には、例えばゴムからなる緩衝部材85が取り付けられている。具体的には、水平部82と緩衝部材85とを貫通するように下側からボルト86が差し込まれた状態で、該ボルト86の先端に螺合されたナット87が締め付けられることで、水平部82に緩衝部材85が固定されている。
【0068】
突出プレート81は、緩衝部材85よりも下側に突出したボルト86の頭部が支持アーム91の溝部94の前端部に嵌め込まれた状態で、緩衝部材85を介して支持アーム91の上面92に載置されている。これにより、突出プレート81は、後ろ方向を除く全ての方向への移動が規制された状態で支持アーム91に支持されている。
【0069】
すなわち、かかる構成からなる側方連結部51,52を介して、サブフレーム34の左右の縦メンバ35,36にモータユニット10が連結されている。
【0070】
以上のように、モータユニット10は、複数の連結部50〜52を介してサブフレーム34に連結されているが、前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けたときは、前方連結部50の支持プレート71,72と側方連結部51,52の溝部94とが解除手段として作用することで、モータユニット10とサブフレーム34との連結が解除される。
【0071】
図6を参照しながら具体的に説明する。前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けると、先ず、上述のようにサブフレーム34が変形し、この変形により後退するサブフレーム34の前部横メンバ37が、前方連結部50を介してモータユニット10の前端部を下側後方へ押し込む。これにより、モータユニット10は、ドライブシャフト14を中心とした図6の反時計回り方向の回動が開始され、このモータユニット10の回動に伴い、前方連結部50における前記ボルト63が前記支持プレート71,72のスリット78内で相対的に後退して最終的に該スリット78から脱落するか、又は、前記支持プレート71,72のベース部73,74と前部横メンバ37との溶接が破断することで、前方連結部50を介したモータユニット10とサブフレーム34との連結が解除される(図4参照)。
【0072】
また、サブフレーム34が変形する際に、上述のように前方連結部50を介したモータユニット10とサブフレーム34との連結が解除されると、上述のドライブシャフト14を中心としたモータユニット10の回動によりドライブシャフト14よりも前側のモータユニット10の各部は下側後方に移動し、これに伴って、側方連結部51,52の支持アーム91の溝部94に係合したボルト86の頭部も、下側後方へ移動する。これにより、ボルト86の頭部が溝部94から脱落することで、側方連結部51,52を介したモータユニット10とサブフレーム34との連結が解除される。
【0073】
このようにして、モータユニット10とサブフレーム34との連結が解除されると、ドライブシャフト14を中心としたモータ11の回動は、ドライブシャフト14の下方にモータ11が配置される状態になるまで支障なく継続され、これにより、モータ11は簡単かつ確実にバッテリ12の前端部の下方に移動する。
【0074】
このとき、ドライブシャフト14は僅かに後退するものの、このドライブシャフト14の後退は、バッテリ12と干渉しないようにサブフレーム34の後部立ち上がり部41,42により規制されるため、上記のモータ11の回動を確実に行わせることができる。
【0075】
以上のように、本実施形態によれば、モータ11が、前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けたときにバッテリ12の下方へ移動するため、モータ11の後退がバッテリ12との干渉により妨げられることを回避できる。そのため、前方から衝撃荷重を受けたときの車体前部の変形がモータ11により阻害されることを抑制し、車体前部の衝撃吸収機能を良好に維持することができるため、乗員の安全性を確保することができる。
【0076】
しかも、このとき、モータ11は、サブフレーム34の変形に伴ってバッテリ12の下方へ移動するため、該モータ11の移動によりサブフレーム34の変形挙動が阻害されることを防止でき、該サブフレーム34が衝撃荷重を効率的に吸収することができる。
【0077】
さらに、このとき、モータ11はドライブシャフト14を中心として回動することでバッテリ12の下方へ後退するため、該モータ11の後退を、モータ11とドライブシャフト14との連結を維持しつつ実現することができる。
【0078】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0079】
例えば、上述の実施形態では、ドライブシャフト14を中心としてモータ11を回動させることでバッテリ12の下方にモータ11を移動させる構成について説明したが、本発明において、バッテリ12の下方にモータ11を移動させるための構成はこれに限定されるものでない。例えば、前方から所定の大きさF以上の衝撃荷重を受けたときにモータ11とドライブシャフト14との連結を解除することで、モータ11を下側後方へ落下させてバッテリ12の下方へ移動させる構成も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明によれば、前輪駆動用のモータと、該モータに電力を供給するバッテリとを備えた車両において、最適な重量バランスを実現しながら、前方から衝撃荷重を受けたときの車室への影響を抑制することが可能となるから、この種の車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0081】
1 車両
2 前輪
4 後輪
5 車室内空間
6 フロントシート
8 リアシート
9 ダッシュパネルの前方の空間
10 モータユニット
11 モータ
12 バッテリ
14 ドライブシャフト
18 ダッシュパネル
20 フロアパネル
22 トンネル部
25,27 フロントサイドフレーム
31 減速機(シャフト連結部)
34 サブフレーム
50〜52 連結部
71,72 支持プレート(解除手段)
94 支持アームの溝部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内空間と該車室内空間よりも下側の空間とを仕切るフロアパネルと、該フロアパネルの前部から立ち上がり車室内空間と該車室内空間よりも前側の空間とを仕切るダッシュパネルと、該ダッシュパネルの前方においてそれぞれ前後方向に延設された左右一対のフロントサイドフレームと、該左右のフロントサイドフレーム間の空間に配設され且つ前輪に駆動連結されたモータと、該モータに電力を供給するバッテリとを備えた車両の前部車体構造であって、
前記バッテリは、少なくとも一部が前記モータに正面視で重複するように該モータの後方に配設され、
前記モータは、前方から所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記バッテリの下方へ後退するように設けられていることを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項2】
前記モータと前記バッテリとは、車体の車幅方向略中央に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。
【請求項3】
前記バッテリは、後端部よりも前端部が高くなるように傾斜して配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の前部車体構造。
【請求項4】
前記ダッシュパネルの前方に、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに変形するサブフレームが配設され、
前記モータは、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記サブフレームの変形に伴って前記バッテリの下方へ移動するように、該サブフレームに支持されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項5】
前記モータと前記サブフレームとは連結部を介して連結され、
該連結部に、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記モータと前記サブフレームとの連結を解除する解除手段が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の車両の前部車体構造。
【請求項6】
前記モータと前記バッテリとの間の空間に、前輪に連結されたドライブシャフトが車幅方向に延設され、
前記モータは、シャフト連結部を介して前記ドライブシャフトに連結され、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記ドライブシャフトを中心として回動することで前記バッテリの下方に移動することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項7】
前記ドライブシャフトが前記バッテリに干渉しないように前記ドライブシャフトの後退を規制する規制部が、前記ドライブシャフトの後方に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の車両の前部車体構造。
【請求項8】
前記フロアパネルに、前後方向に延びるトンネル部が上方へ突設され、
前記バッテリは、前記ダッシュパネルの前後両側に亘って配設され、
該ダッシュパネルよりも後側において前記バッテリは前記トンネル部に収容されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項9】
前記車両は、前記フロアパネル上に配設されたフロントシートと、前記フロアパネル上において前記フロントシートよりも後側に配設されたリアシートと、を備え、
前記トンネル部は、前記ダッシュパネルから後方に向かって前記フロントシートのシートバックの下端側方部まで延びるように配設され、
前記バッテリは、前記トンネル部の前端から後端に亘って配設されていることを特徴とする請求項8に記載の車両の前部車体構造。
【請求項1】
車室内空間と該車室内空間よりも下側の空間とを仕切るフロアパネルと、該フロアパネルの前部から立ち上がり車室内空間と該車室内空間よりも前側の空間とを仕切るダッシュパネルと、該ダッシュパネルの前方においてそれぞれ前後方向に延設された左右一対のフロントサイドフレームと、該左右のフロントサイドフレーム間の空間に配設され且つ前輪に駆動連結されたモータと、該モータに電力を供給するバッテリとを備えた車両の前部車体構造であって、
前記バッテリは、少なくとも一部が前記モータに正面視で重複するように該モータの後方に配設され、
前記モータは、前方から所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記バッテリの下方へ後退するように設けられていることを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項2】
前記モータと前記バッテリとは、車体の車幅方向略中央に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。
【請求項3】
前記バッテリは、後端部よりも前端部が高くなるように傾斜して配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の前部車体構造。
【請求項4】
前記ダッシュパネルの前方に、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに変形するサブフレームが配設され、
前記モータは、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記サブフレームの変形に伴って前記バッテリの下方へ移動するように、該サブフレームに支持されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項5】
前記モータと前記サブフレームとは連結部を介して連結され、
該連結部に、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記モータと前記サブフレームとの連結を解除する解除手段が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の車両の前部車体構造。
【請求項6】
前記モータと前記バッテリとの間の空間に、前輪に連結されたドライブシャフトが車幅方向に延設され、
前記モータは、シャフト連結部を介して前記ドライブシャフトに連結され、前方から前記所定の大きさ以上の衝撃荷重を受けたときに前記ドライブシャフトを中心として回動することで前記バッテリの下方に移動することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項7】
前記ドライブシャフトが前記バッテリに干渉しないように前記ドライブシャフトの後退を規制する規制部が、前記ドライブシャフトの後方に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の車両の前部車体構造。
【請求項8】
前記フロアパネルに、前後方向に延びるトンネル部が上方へ突設され、
前記バッテリは、前記ダッシュパネルの前後両側に亘って配設され、
該ダッシュパネルよりも後側において前記バッテリは前記トンネル部に収容されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項9】
前記車両は、前記フロアパネル上に配設されたフロントシートと、前記フロアパネル上において前記フロントシートよりも後側に配設されたリアシートと、を備え、
前記トンネル部は、前記ダッシュパネルから後方に向かって前記フロントシートのシートバックの下端側方部まで延びるように配設され、
前記バッテリは、前記トンネル部の前端から後端に亘って配設されていることを特徴とする請求項8に記載の車両の前部車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−152841(P2011−152841A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14984(P2010−14984)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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