説明

車両の客室部品用の斑点模様を有する単層または複合物のスキンの製造用熱可塑性樹脂組成物と、その製造方法

【課題】斑点模様を有する車両の客室部品用の単層または複合物のスキン製造で使用される熱可塑性樹脂組成物と、その製造方法。
【解決手段】下記(1)〜(3)を含む組成物:(1)10〜99重量%の「マトリクス」としての熱可塑性ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、(2)0.5〜90重量%の「封入物」となる、少なくとも一種の着色顔料を含む少なくとも一種の熱可塑性樹脂、(3)0.5〜20重量%の、着色顔料、金属粒子または装飾フレーク、ガラスビーズまたはポリマー粒子の中から選択される斑点模様剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクス/封入物(matrice/inclusions)型の斑点模様(aspect mouchete)を有する単層または多層(複合構造物とよばれる)の「スキン、peaux」を製造するための熱可塑性樹脂をベースにした組成物に関するものである。
【0002】
多層または複合構造物のスキンは本発明で製造される外側層と、本発明の方法または従来の方法で製造される内側層とから成る。このスキンはマトリクスと封入物とから成る。本発明の単層または多層構造物のスキンは車両の客室部品、特に外から見えるエアバッグ(別体のカバーを有する)または一体型エアバッグ(見えないエアバッグともよばれ、乗客およびドライバーには見えない)を備えたダッシュボード、中央制御盤(コンソール)、内装材料またはドアパネルに用いられる。
【0003】
本発明の他の対象は、上記組成物の製造方法、特に混合によって得られる粉末組成物の製造方法にある。
【背景技術】
【0004】
車両のインストルメントパネルの製造分野ではインストルメントパネルにスキンが利用される。このスキンの一般的な製造方法は回転成形法、スラッシュ成形法、加熱した金型上に粉末を散布する粉末成形法および熱成形法である。
【0005】
インストルメントパネルは、一般にエキステリアの概観(特に色、模様、触感)を与えるための皮革の模様をした外側「スキン」を有している。この外側「スキン」に用いられる主たる材料はポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)および熱可塑性ポリオレフィン(TPO)の熱可塑性樹脂である。可撓性、断熱および遮音性を与えるバッキング(裏打材)としては一般に発泡ポリウレタンまたは発泡PVCから成る発泡体材料が用いられる。
【0006】
外側スキンは外部からの攻撃(引掻、紫外線、温度、溶媒等)に曝される。場合によっては、特定の外観、特に装飾、色彩、触感や耐老化性または耐摩耗性を与えるために「スキン」が用いられる。さらに、単層または多層構造物のスキンは車両製造仕様、特に、一体型エアバッグまたは非一体型エアバッグの開放要求(−40℃〜+80℃の温度で粒子を放出せずに、短時間で展開できなければならないという要求)に応えなければならない。
【0007】
複合スキンの製造方法の中で、スキン製造の前段階で金型表面上に少なくとも一層の被覆層を形成して改質された表面を得る方法がある。特に、下記特許文献に記載の本出願人の「インモールド ペインティング、金型内塗装(IMP)」として知られる方法は下記段階から成る:
(1)少なくとも一種の可塑剤を含む組成物A(任意成分として一種または複数の改質剤、例えば着色顔料または装飾フレークをさらに含むことができる)を金型表面に付着させ、
(2)(1)で全部または一部を被覆した金型上に熱可塑性樹脂組成物Bを供給し、
(3)金型を徐々に加熱して組成物Aを組成物Bの層によって吸収し、熱可塑性樹脂がゲル化するまで迅速に加熱する。
【特許文献1】欧州特許第0,912,312号公報
【0008】
しかし、この方法ではスキンの表面に十分な色調(coloration)いわゆる斑点模様(aspect mouchete)[または多色模様(chine)、砂模様(sable)]を得ることはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、制御された斑点模様を有する単層または多層構造物の着色スキンを製造、特にスラッシュ成形法で製造するための熱可塑性樹脂をベースにした新規な組成物と、その製造方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の対象は、下記(1)〜(3)の段階を含む斑点模様を有する熱可塑性樹脂をベースにした組成物の製造方法にある:
(1)「マトリクス」となるPVC樹脂をベースにした化合物を製造する第1段階、
(2)「封入物」となるPVC樹脂をベースにした一種または複数の化合物を製造するために、PVC樹脂に少なくとも一種の着色顔料を混合する第2段階、
(3)所定量の一種または複数の「マトリクス」化合物を、一種または複数の「封入物」化合物および顔料、金属粒子、ガラスビーズまたはポリマー粒子の中から選択される一種または複数の斑点模様剤と混合する「斑点模様付け」段階。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第2の対象は、下記(1)〜(3)の段階を含む斑点模様を有する組成物の製造方法にある:
(1)「マトリクス」となるPVC樹脂をベースにした化合物を製造する第1段階、
(2)「封入物」となる、PVC樹脂に少なくとも一種の着色顔料を混合したPVC樹脂をベースにした一種または複数の化合物を製造する第2段階、
(3)所定量の一種または複数の「マトリクス」化合物を、一種または複数の「封入物」化合物および顔料、金属粒子、ガラスビーズまたはポリマー粒子の中から選択される一種または複数の斑点模様剤と混合する「斑点模様付け」段階。
【0012】
本発明の第3の対象は、上記方法で得られる組成物にある。
本発明の第4の対象は、車両の客室部品用の斑点模様を有する単層または多層構造物のスキンの製造での上記組成物の使用にある。
本発明の第5の対象は、上記組成物を金型の表面に付着させ、金型で上記組成物を溶融して可撓性のある物品に加工し、金型から外す段階を含む、ダッシュボード用スキン層の製造方法にある。
【0013】
本発明の組成物
本発明の対象は、下記(1)〜(3)を含む、斑点効果を有する単層または多層構造物のスキンを製造、特にスラッシュ成型法で製造するための、熱可塑性樹脂をベースにした組成物にある:
(1)10〜99重量%の「マトリクス」となる熱可塑性ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、
(2)0.5〜90重量%の「封入物」となる、少なくとも一種の着色顔料を含む少なくとも一種の熱可塑性樹脂、
(3)0.5〜20重量%の着色顔料、金属粒子または装飾フレーク、ガラスビーズまたはポリマー粒子の中から選択される斑点模様剤。
封入物化合物および斑点模様剤の比率は例えば組成物の1〜50重量%の範囲内にすることができる。
【0014】
「マトリクス」化合物
本発明の「マトリクス」化合物は熱可塑性樹脂から成り、ポリ塩化ビニル(PVC)またはPVCとそれと相溶性のある下記の中から選択されるポリマーとの混合物の中から選択される:塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー(VC/VA)、塩化ビニルとアクリル誘導体のコポリマー(VC/AD)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエーテルエステル、エチレン/ビニルモノマー(EVA)コポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、溶融加工可能なアクリルエラストマー、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーまたはポリエーテル−ブロック−アミド、塩素化またはクロロスルホン化ポリエチレン、エチレン/アルキル(メタ)アクレートまたは(メタ)アクリル酸のポリマー(官能化または非官能化)、コアシェル型MBSポリマー、SBMブロックターポリマー、PVDFおよび粉末ポリアミド樹脂。
【0015】
本発明の一つの好ましい実施例では、上記熱可塑性樹脂としてK値が50〜80のポリ塩化ビニル(PVC)を用いる。
本発明の一つの実施例では、上記熱可塑性樹脂は懸濁重合またはマイクロ懸濁重合で得られるポリ塩化ビニル(PVC)である。しかし、乳化重合または塊重合で製造されたPVCを用いることもできる。
【0016】
VC/VAコポリマーの例としはアルケマ(Arkema)社のラコビル(Lacovyl、登録商標)、VC/ADコポリマーの例としはビノリット(Vinnolit)社のビノリット(Vinnolit)、TPUの例としはグドリッチ(Goodrich)社のエステイン(Estane、登録商標)、熱可塑性ポリエーテルエステルの例としてはデュポン(Dupont)社のハイトレル(Hytrel、登録商標)、ポリエーテルブロックアミドの例としてはアルケマ(Arkema)社のペバックス(Pebax、登録商標)、EVAの例としてはアルケマ(Arkema)社のエバテイン(Evatane、登録商標)、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマーの例としてはデュポン(Dupont)社のエルバロイ(Elvaloy、登録商標)、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸ポリマー(官能化または非官能化)の例としはアルケマ(Arkema)社のロトリル(Lotryl、登録商標)、ロタデル(Lotader、登録商標)およびオレバック(Orevac、登録商標)、塩素化ポリエチレンまたはクロロスルホン化ポリエチレンの例としてはデュポン(Dupont)社のディリン(Tyrin、登録商標)、溶融加工可能なアクリルエラストマーの例としてはAPA社のアルクリン(Alcryn、登録商標)、粉末ポリアミド樹脂の例としてはアルケマ(Arkema)社のオルガゾル(Orgasol、登録商標)がある。
【0017】
これらのポリマーはPVCと相溶性があり、PVCと「アロイ」化され、良好な低温特性を示し、得られた層に適切な脆性を与えることができる。
【0018】
本発明に適したPVC樹脂を含む熱可塑性樹脂の混合物は、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー(VC/VA)、塩化ビニルとアクリル誘導体のコポリマー(VC/AD)およびPVC樹脂と熱可塑性ポリウレタン(TPU)から成る。これらの樹脂は互いに広範囲の比率で混合することができる。
「マトリクス」化合物にはさらに、可塑剤、熱安定剤または紫外線安定剤、酸化防止剤、加工助剤、潤滑剤、充填剤および着色顔料(以下、マトリクス顔料)の中から選択される少なくとも一種の添加剤を加えることができる。
【0019】
本発明の一つの実施例で用いる一種または複数の可塑剤はモノマー性および/またはポリマー性を有し、特にアゼレート、トリメリテート、セバケート、アジペート、ポリアジペート、フタレート、ポリフタレート、シトレート、ベンゾエート、タレート、グルタレート、フマレート、マレエート、オレエート、パルミテートおよびアセテートからなる群の中から選択される。
【0020】
本発明の「マトリクス」化合物は上記のようなポリマー性の可塑剤とモノマー性の可塑剤の一種または複数の混合物にすることもできる。両者の比率は広範囲に変えることができる。本発明の1つの実施例では、可塑剤の樹脂に対する重量比は少なくとも60/100である。
【0021】
熱安定剤の例としては金属塩、特にカルシウム、亜鉛および錫の塩と、アルミニウム、カリウムまたはナトリウムをベースにした錯体とが挙げられる。
紫外線安定剤はベンゾトリアゾールおよびシアノアクリレートの中から選択することができる。
用いる着色顔料は有機または無機にすることができる。例としては、二酸化チタン、クロモフタル赤色BRN顔料(CIBA社)、青色GLSM顔料、IRGALITE黄色BRMおよび橙色チオゾルGLが挙げられる。
本発明の一つの好ましい実施例では、着色顔料、充填剤、潤滑剤、紫外線安定剤、熱安定剤、加工助剤および酸化防止剤の量を好ましくは熱可塑性樹脂の3〜10重量%にする。
【0022】
「封入物」化合物
本発明の「封入物」化合物は少なくとも下記(1)と(2)を含む:
(1)ポリ塩化ビニル(PVC)またはPVCとそれと相溶性のある下記の中から選択されるポリマーとの混合物の中から選択された熱可塑性樹脂:
塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー(VC/VA)、塩化ビニルとアクリル誘導体のコポリマー(VC/AD)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエーテルエステル、エチレン/ビニルモノマー(EVA)コポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、溶融加工可能なアクリルエラストマー、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーまたはポリエーテル−ブロック−アミド、塩素化またはクロロスルホン化ポリエチレン、エチレン/アルキル(メタ)アクレートまたは(メタ)アクリル酸のポリマー(官能化または非官能化)、コアシェル型MBSポリマー、SBMブロックターポリマー、PVDFおよび粉末ポリアミド樹脂、
(2)「マトリクス」化合物中に必要に応じて存在するマトリクス顔料とは異なる色の、封入物顔料とよばれる少なくとも一種の着色顔料
【0023】
「封入物」化合物と「マトリクス」化合物の熱可塑性樹脂は同じ種類でも、異なる種類でもよい。
「封入物」化合物はさらに、可塑剤、熱安定剤または紫外線安定剤、酸化防止剤、加工助剤、潤滑剤または充填剤の中から選択される少なくとも一種の添加剤を含むことができる。
【0024】
斑点模様剤
(1)本発明の斑点模様付け剤(agents de mouchetage)(または多色模様付け剤、de chinage)は、完成品に特殊な効果、例えば真珠状、金属化、燐光、蛍光、熱変色、干渉および花崗岩状の効果を与え、または、特殊な触感、例えば柔らかな触感を与えるように選択する。これらは寸法が40〜200μm、好ましくは50〜120μmの範囲にある。これらは着色顔料、金属粒子または装飾フレーク、ガラスビーズまたはポリマー粒子の中から選択される。
【0025】
本発明の別の対象は、車両の客室部品の「スキン」を製造するための、特に従来のスラッシュ成形法で成形加工できる、粉末状の組成物(特に可塑化PVCコンパウンド)を得るための、本発明組成物の製造方法にある。
【0026】
本発明組成物を製造する方法
本発明の斑点模様を有する組成物の製造方法は下記(1)〜(3)の段階を含む:
(1)「マトリクス」となるPVC樹脂をベースにした化合物を製造する第1段階、
(2)「封入物」となる、PVC樹脂に少なくとも一種の着色顔料を混合してPVC樹脂をベースにした一種または複数の化合物を製造する第2段階、
(3)一種または複数の「マトリクス」化合物を、好ましくはマトリクスを形成する材料の密度と等しい密度を有する一種または複数の「封入物」化合物および着色顔料、金属粒子、ガラスビーズまたはポリマー粒子の中から選択される一種または複数の斑点模様剤と、適切な量で混合する「斑点模様付け」段階。
【0027】
各段階は適切な設備を用い、適切な実施パラメータを用い、特定または従来の混合方法に従って実施する。「マトリクス」および「封入物」の化合物の製造方法は当業者に周知である。「マトリクス」および「封入物」の化合物は所定密度を有する粉末の形をしており、PVC樹脂化合物の平均密度は1.20g/cm3、平均粒径は100〜200μmで、スキンを得るのに用いるスラッシュ成形法に適した注型適性を有する。
斑点模様剤および一種または複数の封入物化合物はマトリクス化合物に等しい密度を有するのが好ましい。
【0028】
封入物化合物および斑点模様剤のパーセンテージは、所望の効果に応じて、例えば組成物の1〜50重量%の範囲内にすることができる。
本発明の別の対象は、車両の客室部品、例えばダッシュボード、セントラルコンソール、ドアの内装材料またはドアパネル用のスキン層または複合構造物層の製造での本発明組成物の使用にある。
【0029】
本発明のさらに他の対象は、上記組成物を金型の表面上に付着させ、金型上で上記組成物を溶融して可撓性のある物品に成形し、金型から外すことを含む製造方法、特にダッシュボード用の単層または多層(複合構造物)の一つの層のスキンの製造方法にある。この組成物は回転成形やスラッシュ成形のような通常の成形法を用いて金型に付着(deposer)させることができる。本発明の一つの好ましい実施例で用いる成型法はスラッシュ成形法である。
本発明で得られるスキン層または複合構造物は魅力的な斑点模様を有する。これらは制御された色むら、色調および外観を有する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
実施例1
(1)ガラスビーズで着色した本発明の斑点組成物の製造
「小斑点模様、Bordeaux Sable」として規定される色彩(色調、coloris)を有するスラッシュ成型用の約200kgの工業用粉末サンプルを調製した。
この色彩は、えんじ(Bordeaux)色のPVCマトリクスにベージュ色のPVC粉末によって斑点模様付け(多色模様または砂模様付け)をしたものから成る。
ステップ1
スラッシュ成型用のえんじ色のPVCマトリクス粉末(「マトリクス」化合物)を従来の配合法に従って製造する。
各成分の重量比率
PVC樹脂:50、
可塑剤(トリオクチルトリメリテート(TOTM)を含む):40、
着色顔料を含む添加剤:10(6種類の顔料)
この粉末の主要特性の試験結果は以下の通り:
かさ密度:約650g/l、
色:既存スケール、例えばCIELabスケールで特徴付け、
注型適性:ISO 6186規格(A法、開口10mm)で約40s、
熱安定性:コンゴ赤、220℃で約50分、
粒径:平均粒径が約170μmの正規分布。
【0031】
ステップ2
スラッシュ成型用のベージュ色のPVC封入物粉末(「封入物」化合物)を従来の配合方法に従って製造する。
各成分の重量比率はステップ1と同じにし、着色顔料の種類と量のみを変更した。
粉末の主要特性の試験結果は色を除いてステップ1の値とほぼ同じであった。
【0032】
ステップ3
5〜7phr(樹脂100部)のベージュ色粉末(すなわち組成物の7%)のえんじ色粉末と、2.5phrのガラスビーズ(ソビテック社(Sovitec)から製品番号AG215で市販の直径が90〜100μmのガラスビーズ)とを、顧客が望む効果を得るように、斑点模様付けした。
粉末の注型適性の試験では40秒の値が得られた。
得られた効果を目視評価した。得られた粉末およびスキンの概観は[図1][図2]に示してある。
色調の違いは金型表面上の粒度とスラッシュ成形法の金型の加熱度によるものである。
【0033】
実施例2
(2)着色顔料で着色した本発明の斑点組成物の製造
実施例1と同じ方法で新しいサンプルを調製した。しかし、混合段階では下記を用いた:
A:100phrの白色PVCマトリクス粉末(用いた顔料:TiO2
B:66.7phrのベージュ色PVC封入物粉末(4種類の顔料)
C:28.6phrの薄い灰色のPVC封入物粉末(4種類の顔料)
D:3.7phrの黒色着色顔料。
粉末A、B、Cは実施例1の粉末と同様じ組成を有する。マトリクスを形成する白色粉末(「マトリクス」化合物)に、ベージュ色および灰色の各封入物粉末(「封入物」化合物)と、黒色の着色顔料(斑点模様剤)と順次混合する。
最終粉末をスラッシュ成形して得られるスキンの着色度および斑点模様の結果は[図3]の写真で見ることができる。[図3]の垂直中心線で分けられた互いに異なる外観(右側がより滑らか)を有する2つの異なる領域:スキンを得るのに用いた金型の表面と、表面仕上げした(粒状表面加工)に対応する表面とを見ることができる。
【0034】
実施例3
(3)本発明の金属斑点模様の組成物の製造
実施例1と同じ方法に従って新しいサンプルを調製したが、混合段階では下記を用いた:
A:33phrの藍色PVCマトリクス粉末(5種類の顔料)
B:33phrのえんじ色PVC封入物粉末
C:33phrの薄い灰色のPVC封入物粉末
D:2.5phrの金属顔料(金属粒子)(製品番号Magna Pearl 5000で市販)。
粉末A、B、Cは実施例1の粉末と同様な組成を有する。マトリクスを形成する青色粉末(「マトリクス」化合物)に、えんじ色および灰色の封入物粉末(「封入物」化合物)と、金属粒子(斑点模様剤)とを順次混合した。
この粉末をスラッシュ成形して得られるスキンの着色結果および斑点模様は[図4]の写真に示してある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】得られた粉末の混合後、スラッシュ成形成形前の外観を示す図。
【図2】粉末を金型でスラッシュ成形した後に得られたスキンの斑点模様を示す図。
【図3】実施例2の最終粉末をスラッシュ成形して得られたスキンの着色度および斑点模様の結果を示す図。
【図4】実施例3の粉末をスラッシュ成形して得られたスキンの着色結果および斑点模様を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(3)の段階を含む斑点模様を有する組成物の製造方法:
(1)「マトリクス」となるPVC樹脂をベースにした化合物を製造する第1段階、
(2)「封入物」となるPVC樹脂をベースにした一種または複数の化合物を製造するために、PVC樹脂に少なくとも一種の着色顔料を混合する第2段階、
(3)所定量の一種または複数の「マトリクス」化合物を、一種または複数の「封入物」化合物および顔料、金属粒子、ガラスビーズまたはポリマー粒子の中から選択される一種または複数の斑点模様剤と混合する「斑点模様付け」段階。
【請求項2】
下記(1)〜(3)の段階を含む組成物を得る、請求項1に記載の方法:
(1)10〜99重量%の「マトリクス」としての熱可塑性ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、
(2)0.5〜90重量%の「封入物」となる、少なくとも一種の着色顔料を含む少なくとも一種の熱可塑性樹脂、
(3)0.5〜20重量%の、着色顔料、金属粒子または装飾フレーク、ガラスビーズまたはポリマー粒子の中から選択される斑点模様剤。
【請求項3】
封入物と斑点模様剤の比率が上記組成物の1〜50重量%である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
「マトリクス」および/または「封入物」の熱可塑性樹脂がK値が50〜80のポリ塩化ビニルである請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
「マトリクス」および/または「封入物」の熱可塑性樹脂が、ポリ塩化ビニル(PVC)と、それと相溶性のある下記の中から選択されるポリマーとの混合物から成る請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法:
塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー(VC/VA)、塩化ビニルとアクリル誘導体のコポリマー(VC/AD)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエーテルエステル、エチレン/ビニルモノマー(EVA)コポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、溶融加工可能なアクリルエラストマー、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーまたはポリエーテル−ブロック−アミド、塩素化またはクロロスルホン化ポリエチレン、官能化されていてもよいエチレン/アルキル(メタ)アクレートまたは(メタ)アクリル酸のポリマー、コアシェル型MBSポリマー、SBMブロックターポリマー、PVDFおよび粉末ポリアミド樹脂。
【請求項6】
斑点模様剤の寸法が50〜120μmの範囲にある請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法によって得られる組成物。
【請求項8】
下記(1)〜(3)から成ることを特徴とする、斑点模様を有する単層または多層構造物の一つの層を製造するための熱可塑性樹脂組成物:
(1)10〜99重量%の「マトリクス」化合物となる熱可塑性ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、
(2)0.5〜90重量%の「封入物」化合物となる、少なくとも一種の着色顔料を含む熱可塑性樹脂、
(3)0.5〜20重量%の着色顔料、金属粒子または装飾フレーク、ガラスビーズまたはポリマー粒子の中から選択される斑点模様剤。
【請求項9】
「マトリクス」および/または「封入物」の熱可塑性樹脂が、K値が50〜80のポリ塩化ビニルである請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
「マトリクス」および/または「封入物」の熱可塑性樹脂が、ポリ塩化ビニル(PVC)と、それと相溶性のある下記の中から選択されるポリマーとの混合物から成る請求項8または9に記載の組成物:
塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー(VC/VA)、塩化ビニルとアクリル誘導体のコポリマー(VC/AD)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエーテルエステル、エチレン/ビニルモノマー(EVA)コポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、溶融加工可能なアクリルエラストマー、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーまたはポリエーテル−ブロック−アミド、塩素化またはクロロスルホン化ポリエチレン、エチレン/アルキル(メタ)アクレートまたは(メタ)アクリル酸のポリマー(官能化または非官能化)、コアシェル型MBSポリマー、SBMブロックターポリマー、PVDFおよび粉末ポリアミド樹脂。
【請求項11】
斑点模様剤の寸法が50〜120μmの範囲にある請求項8〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか一項に記載の組成物の、車両の客室部品(例えばダッシュボード、セントラルコンソール、内装材料またはドアパネル)の単層または多層のスキンの一つの層の製造での使用。
【請求項13】
請求項7〜11のいずれか一項に記載の組成物を金型表面上に付着させ、金型中の上記組成物を溶融して可撓性のある物品に成形し、金型から外すことから成るダッシュボード用スキン層の製造方法。
【請求項14】
スラッシュ成型法を用いる請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−529083(P2009−529083A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557809(P2008−557809)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国際出願番号】PCT/FR2007/050890
【国際公開番号】WO2007/101968
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】