説明

車両データ取得装置及び車両データ取得方法

【課題】車載情報処理装置に要求される機能を維持しつつも、必要とされる車両データを最大限に取得することのできる車両データ取得装置及び車両データ取得方法を提供する。
【解決手段】車両データには、同車両データの種類の別に取得すべき優先度が規定されるとともに、この規定された優先度には、それら優先度の高さに対する複数段階の閾値が規定されている。この閾値は、システム負荷予測部230にて予測された車両の状態と車載システムの負荷状態とに応じて可変設定される。そして、車載情報処理装置330は、可変設定された閾値以上の優先度に規定されている車両データを取得するとともに、この取得した車両データを車両データ保存領域350に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された情報処理装置の動作を利用することによって車両データを取得する車両データ取得装置及び車両データ取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に搭載されているナビゲーションシステムや各種制御装置等の車載情報処理装置の動作試験等に際しては、同情報処理装置にて実行されたプログラムを通じて取得される車両データに基づき車両状態の解析が行われる。そのため車載情報処理装置には、こうして取得される車両データを時系列で記憶する機能、いわゆるデータロギング機能が設けられている。ただし、車載情報処理装置を通じて取得したいデータは、対象とする不具合の内容等、解析の対象に応じて異なるため、こうしたロギング機能としても、取得するデータの種類や数などを解析の対象に応じて変更する必要がある。そして通常、そのようなロギング機能の変更は、データロギングを行うプログラムのソースコード自体を変更することによって行われる。しかし、このようなソースコードの変更は、当該プログラムに習熟している技術者だけが行うことのできる作業であるとともに、たとえ習熟している技術者であれ、こうしたプログラムを正確に変更することは難しい作業である。
【0003】
そこで従来、データロギング機能の変更を容易に行うことのできる技術が提案されており、その一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載のシステムは、基本的に、車両を制御する制御プログラムと、当該車両各部の診断を行いつつその診断データを含む車両データを記憶していくデータロギング機能を含む診断プログラムとを有している。そしてこれらのうち、診断プログラムは、車載情報処理装置に接続されたメンテナンス用の端末装置から、故障情報に対応して送出された機能変更情報に基づき、記憶すべき車両データやその記憶条件が変更される。これによって、診断プログラムに対する知識がない技術者であれ、故障情報に対応する機能変更情報を端末装置から車載情報処理装置へ送出することによって、故障箇所を特定するための車両データを簡単に収集することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−84998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こうした車両データの収集は、上記車載情報処理装置等によって構成される車載システムによるデータログの収集処理の実行を通じて行われるものであり、こうしたデータログの収集処理に際しては、車載情報処理装置に対する処理負荷が少なからず発生する。このため、たとえ記憶すべき車両データやその記憶条件を変更したとしても、収集しようとするデータログが増加するほど、これに伴って車載情報処理装置に対するロギング処理にかかる負荷、ひいては車載情報処理装置にかかる処理負荷は増大する。そしてこの結果、車載情報処理装置によって本来実行すべき車両制御にまでこうした負荷が及ぶこととなり、こうした負荷による影響が無視できないものとなっている。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載情報処理装置に要求される機能を維持しつつも、必要とされる車両データを最大限に取得することのできる車両データ取得装置及び車両データ取得方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、車両に搭載された車載システムを構成する車載情報処理装置を通じて1乃至複数種類の車両データを取得し、該取得した車両データを車両データ保存領域に保存する車両データ取得装置であって、前記車両データには、車両データの種類の別に取得すべき優先度が規定されてなり、該規定された優先度には、それら優先度の高さに対する複数段階の閾値が規定されてなるとともに、それら閾値は前記車両の状態と前記車載システムの負荷状態とに応じて可変設定され、前記車載情報処理装置は、前記可変設定された閾値以上の優先度に規定されている車両データを取得するとともに、該取得した車両データを前記車両データ保存領域に出力可能とされてなることを要旨とする。
【0008】
請求項8に記載の発明は、車両に搭載された車載システムを構成する車載情報処理装置を通じて1乃至複数種類の車両データを取得し、該取得した車両データを車両データ保存領域に保存する車両データ取得方法であって、前記車両データには、車両データの種類の別に取得すべき優先度を規定し、該規定した優先度には、それら優先度の高さに対する複数段階の閾値を規定するとともに、それら閾値は前記車両の状態と前記車載システムの負荷状態とに応じて可変設定するようにし、前記車載情報処理装置には、前記可変設定された閾値以上の優先度に規定されている車両データを取得させるとともに、該取得した車両データを前記車両データ保存領域に出力させることを要旨とする。
【0009】
車載システムの負荷が増加したときには、これに伴って、車両データの出力処理や保存処理といった車両データの収集処理に対する許容量も低下する。また、こうした車載システムとは本来、車両に搭載された各種システムや制御装置の動作を統括して実行、管理するものであることから、こうした車載システムの負荷は車両の状態に大きく依存する。すなわち、車載システムとしての機能を十分に発揮させようとすると、処理可能な車両データのデータ量が車載システムや車両の状態によって変化する。そこで、上記構成あるいは方法によるように、車両データの別に優先度を規定し、この規定された優先度をもとに車両データの出力を規定する閾値を可変設定することとすれば、車載システムや車載情報処理装置によって処理すべき車両データを、車載システムや車両の状態に応じて制限することが可能となる。これにより、車載システムや車載情報処理装置に要求される機能を十分に維持しつつ、優先度に見合った最大限の車両データを収集することが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両データ取得装置において、前記車両の状態に基づき前記車載システムの負荷の増減を予測するシステム負荷予測部を備え、前記システム負荷予測部によって前記車両の状態変化に起因する前記車載システムの負荷の増減が予測されるとき、該予測される前記車載システムの負荷に応じて前記閾値が可変設定されることを要旨とする。
【0011】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の車両データ取得方法において、前記車両の状態に基づき前記車載システムの負荷の増減を予測し、該車両の状態変化に起因する前記車載システムの負荷の増減が予測されるとき、該予測される前記車載システムの負荷に応じて前記閾値を可変設定することを要旨とする。
【0012】
車載システムの負荷は、車両の状態によって大きく変化するものであり、こうした車両の状態に基づけば、車両の状態が車載システムに与える影響、換言すれば車載システムの負荷の増減を予測することが可能となる。そこで、上記構成あるいは方法によるように、上記システム負荷予測部によって車両の状態変化に起因する車載システムの負荷を予測するとともに、この予測した負荷に応じて上記閾値を可変設定することとすれば、車両の状態変化に伴い予測される車載システムの負荷に応じて、最大限の車両データを取得することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両データ取得装置において、前記システム負荷予測部は、前記車両の走行速度を検出する車速センサ、及び前記車両の加速度を検出する加速度センサ、及び前記車両のステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ、及び前記車両の位置情報を検出する位置検出手段、及び前記車両の運転支援を実行する運転支援システムの少なくとも1つの出力結果に基づいて前記車両の状態を判定し、該判定結果に基づき前記車載システムの負荷の増減を予測することを要旨とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の車両データ取得方法において、前記車両の走行速度を検出する車速センサ、及び前記車両の加速度を検出する加速度センサ、及び前記車両のステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ、及び前記車両の位置情報を検出する位置検出手段、及び前記車両の運転支援を実行する運転支援システムの少なくとも1つの出力結果に基づいて前記車両の状態を判定し、該判定結果に基づき前記車載システムの負荷の増減を予測することを要旨とする。
【0015】
上記車載システムに対する負荷は、車両の速度や加速度、交差点等の交通要素への接近等、車両の内的な状態の変化や外的環境の変化等をはじめとする車両の状態に起因して変化する。そして、このように車載システムに負荷を及ぼす車両の状態は、各種センサや例えばGPS等によって構成される上記位置検出手段等によって検出することが可能である。このため、上記構成あるいは方法によれば、こうした各種センサや位置検出センサ等の出力結果に基づき、上記車載システムに負荷を発生させる車両の状態を判定することが可能になるとともに、この判定した車両の状態から車載システムの負荷の増減を予測することが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両データ取得装置において、前記システム負荷予測部によって前記車載システムの負荷が増大すると予測される車両の状態が、前記車両の高速走行状態、及び前記車両の急加速状態もしくは急減速状態、及び前記車両の位置が特定の交通要素に接近した状態の少なくとも1つの状態であることを要旨とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の車両データ取得方法において、前記車載システムの負荷が増大すると予測される車両の状態が、前記車両の高速走行状態、及び前記車両の急加速状態もしくは急減速状態、及び前記車両の位置が特定の交通要素に接近した状態の少なくとも1つの状態であることを要旨とする。
【0018】
車両の高速走行時や急加速、急減速時には、例えば車両に搭載されたカーナビゲーションシステムに表示すべき情報量の変化が著しく、これに伴い上記車載システムの負荷も増大する。また、車両が交差点やカーブ等の所定の交通要素に接近するときにも、例えばカーナビゲーションシステムでの案内画面の拡大表示や縮小表示に伴う処理負荷や、ドライバに案内すべき情報量が増大するために、車載システムの負荷が増大する。そこで、上記構成あるいは方法によるように、こうした規定した状態に車両の状態が変化したことをもってシステム負荷が増大すると予測することとすれば、車載システムにかかる負荷の予測をより容易かつ的確に行うことが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両データ取得装置において、前記閾値は、前記車載システムの負荷に比例する態様で動的に変更されることを要旨とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項8〜11のいずれか一項に記載の車両データ取得装置において、前記閾値を、前記車載システムの負荷に比例する態様で動的に変更することを要旨とする。
【0021】
車載システムの負荷とは、同車載システムや車両の状態に応じて逐次変化するものであり、車載情報処理装置による車両制御を円滑に維持しようとすれば、こうした負荷の変化に伴い、許容され得る車両データの出力量も変化する。そこで、上記構成あるいは方法によるように、出力可能な車両データを決定する上記閾値を車載システムの負荷に比例する態様で動的に変更することとすれば、逐次変化する車両の状態やシステムの負荷に応じて出力すべき車両データを柔軟に変更することが可能となる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両データ取得装置において、前記車載システムの使用率が高くなるほど車載システムの負荷が高くなるとして同車載システムの負荷を段階評価するとともに、前記車両の走行速度もしくは該走行速度の変化率もしくは前記車両のステアリングの操舵角の変化率が上昇するとき、もしくは前記車両と特定の交通要素との距離が縮まるとき、それら車両の状態が前記車載システムに与える負荷が増大するとして前記車両の状態を段階評価し、各々段階評価した前記車載システムの負荷と前記車両の状態との加算値もしくは乗算値に基づいて前記可変設定すべき閾値を決定することを要旨とする。
【0023】
請求項13に記載の発明は、請求項8〜12のいずれか一項に記載の車両データ取得方法において、前記車載システムの使用率が高くなるほど車載システムの負荷が高くなるとして同車載システムの負荷を段階評価するとともに、前記車両の走行速度もしくは該走行速度の変化率もしくは前記車両のステアリングの操舵角の変化率が上昇するとき、もしくは前記車両と特定の交通要素との距離が縮まるとき、それら車両の状態が前記車載システムに与える負荷が増大するとして前記車両の状態を段階評価し、各々段階評価した前記車載システムの負荷と前記車両の状態との加算値もしくは乗算値に基づいて前記可変設定すべき閾値を決定することを要旨とする。
【0024】
例えば、車載システムの使用率を20%単位でレベル0〜レベル4に段階評価するとともに、車両の状態が車載システムに与える負荷を、上昇する車両の速度に応じて20km/h単位で段階評価する。そして、こうして各々段階評価された数値を加算もしくは乗算することにより、車両データを出力する車載システムの総合的な処理負荷を推測することが可能となる。したがって、こうして求められた加算値や乗算値を上記閾値として決定すれば、車載システムの総合的な処理負荷に基づいた車両データの出力、収集が可能となる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両データ取得装置において、前記車載情報処理装置は、前記車両データを出力するモードとして、前記閾値に基づく車両データの出力規制が適用される閾値対応モードと、前記車両データの収集を優先するセーフティーモードとを備え、前記閾値対応モードと前記セーフティーモードとを選択的に切り替え実行するとともに、前記閾値対応モードから前記セーフティーモードに移行したとき、当該車載情報処理装置にて取得可能な車両データの全てを前記車両データ保存領域に出力可能とすることを要旨とする。
【0026】
請求項14に記載の発明は、請求項8〜13のいずれか一項に記載の車両データ取得方法において、前記車載情報処理装置には、前記車両データを出力するモードとして、前記閾値に基づく車両データの出力規制が適用される閾値対応モードと、前記車両データの収集を優先するセーフティーモードとを設け、前記閾値対応モードと前記セーフティーモードとを選択的に切り替え実行させるとともに、前記閾値対応モードから前記セーフティーモードに移行したとき、当該車載情報処理装置にて取得可能な車両データの全てを前記車両データ保存領域に出力させることを要旨とする。
【0027】
例えば、車両に各種異常が発生したときなど、車両制御の円滑さよりも車両データの収集を優先すべき状況も存在する。そこで、上記構成あるいは方法によるように、車両データを出力するモードとして、車両の異常発生等に応じて上記閾値対応モードとセーフティーモードとを選択的に切り替え実行することとすれば、出力可能な車両データを上記優先度及び閾値に基づき規制する上で、車載情報処理装置による車両データの保存機能を担保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかる車両データ取得装置及び車両データ取得方法の一実施形態について、その概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態のシステム負荷評価テーブルに登録された、CPU使用率とバス使用率とに基づく車載システムの負荷の評価例を示す図。
【図3】同実施の形態のシステム負荷対応テーブルに登録された、車両の状態の評価例を示す図。
【図4】同実施の形態の閾値対応テーブルに登録された、車載システムの負荷及び車両の状態に対応する閾値の一例を示す図。
【図5】同実施の形態の優先度対応テーブルに登録された、車両データに規定された優先度と閾値との対応関係の一例を示す図。
【図6】同実施の形態の閾値変更処理の一例を示すフローチャート。
【図7】同実施の形態の車両データ出力処理の一例を示すフローチャート。
【図8】同実施の形態のモード切替処理の一例を示すフローチャート。
【図9】(a)は、段階評価された車両状態の推移例を示すタイムチャート。(b)は、CPU使用率及びバス使用率に基づき段階評価された車載システムの負荷の推移例を示すタイムチャート。(c)は、車載システムの負荷及び車両の状態に基づき算出される閾値の推移例を示すタイムチャート。
【図10】同実施の形態の車両データ取得装置及び車両データ取得方法によって取得された車両データの推移例を、従来の車両データ取得装置及び車両データ取得方法によって取得された車両データの比較例との対比のもとに示すタイムチャート。
【図11】(a)は、優先度が「A」であると規定された車両データ量の推移例を示すタイムチャート。(b)は、優先度が「D」であると規定された車両データ量の推移例を示すタイムチャート。(c)は、優先度が「H」であると規定された車両データ量の推移例を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明にかかる車両データ取得装置及び車両データ取得方法を具体化した一実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。なお、本実施の形態の車両データ取得装置及び車両データ取得方法は、アプリケーション等の動作に関連して取得、記憶されたデータが時系列的に生成されたログデータや診断データ等を含む車両データを取得するものである。また、本実施の形態の車両データ取得装置は、車両データの取得対象とする車両に搭載された装置として構成されている。
【0030】
図1に示すように、本車両データ取得装置は、車両を構成する各種制御装置を制御、統括する車載システムの状態を管理するシステム状態管理部100を備えている。このシステム状態管理部100は、車載システムを構成する中央演算処理装置(図示省略)の使用率であるCPU使用率を算出するCPU使用率算出部110を備えている。また、システム状態管理部100は、例えば、車両のエンジンの動作状態を制御するエンジン制御装置やブレーキの動作状態を制御するブレーキ制御装置等の各制御装置間のデータ転送に供されるCAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)等によって構成される車両バスの使用率を算出するバス使用率算出部120を備えている。
【0031】
CPU使用率算出部110は、車両の状態、換言すれば、車両を制御する車載システムの稼働状態によって変化する上記中央演算処理装置の使用率を適宜算出し、この算出したCPU使用率に関する情報を、車載システムの状態を判定するシステム状態判定部130に出力する。
【0032】
また、バス使用率算出部120は、上記車両バスを介して各制御装置間で転送されるデータ量に応じて変化する車両バスの使用率を適宜算出し、この算出した車両バスの使用率に関する情報を、車載システムの状態を判定するシステム状態判定部130に出力する。
【0033】
システム状態判定部130は、CPU使用率算出部110及びバス使用率算出部120から入力されたCPU使用率及び車両バスの使用率を示す情報に基づき、車載システムの負荷の状態を判定する。このシステム状態判定部130は、例えば、上記中央演算処理装置によって演算すべき情報量の増大に起因して上記CPU使用率が上昇したときには、このCPU使用率の上昇傾向に基づいて、車載システムにかかる負荷が増大したと判定する。同様に、システム状態判定部130は、例えば、各制御装置間で転送されるデータ量の増加に伴い上記車両バスの使用率が上昇したときには、この車両バスの使用率の上昇傾向に基づいて、車載システムにかかる負荷が増大したと判定する。一方、システム状態判定部130は、上記演算処理装置によって演算すべき情報量が減少したことにより上記CPU使用率が低下したときや、各制御装置間で転送されるデータ量の減少に伴い上記車両バスの使用率が低下したときには、こうしたCPU使用率や車両バスの使用率の低下傾向に基づいて、車載システムにかかる負荷が減少したと判定する。
【0034】
なお、本実施の形態のシステム状態判定部130は、車載システムの負荷が予め段階的に評価された内容が登録されているシステム負荷評価テーブル131を備えており、このシステム負荷評価テーブル131の参照を通じて車載システムの負荷を数値評価する。
【0035】
すなわち、システム負荷評価テーブル131には、図2に例示するように、CPU使用率及びバス使用率が、「0%」〜「20%」、「21%」〜「40%」、「41%」〜「60%」、「61%」〜「80%」、「81%」〜「100%」となったときの車載システムの負荷が、それぞれ「0」、「1」、「2」、「3」、「4」として段階的に評価されている。また、このシステム負荷評価テーブル131には、それらCPU使用率の負荷とバス使用率の負荷との加算値が、CPU使用率及びバス使用率の双方の負荷が反映された車載システムの負荷として登録されている。そして、本実施の形態では、こうしたシステム負荷評価テーブル131の参照を通じて、車載システムにかかる負荷が数値評価される。
【0036】
こうして、システム状態判定部130は、CPU使用率及び車両バスの使用率に基づき、車載システムの負荷状態を適宜判定する。また、システム状態判定部130は、図1に示すように、この判定した車載システムの負荷状態に関する情報を、上記車両データの取得処理を実行する車両データ取得部300に出力する。
【0037】
また、本車両データ取得装置は、車両の走行状態を検出する手段として、車両状態検出部210を備えている。この車両状態検出部210は、例えば、車両の走行速度を検出する車速センサ211、車両の加速度や減速度を検出する加速度センサ212、及び車両のステアリングの操舵角の変化量を検出する操舵角センサ213を備えて構成されている。また、車両状態検出部210は、ドライバによるアクセルペダルの踏込み量を検出するアクセルセンサ214、ドライバによるブレーキペダルの踏込み量を検出するブレーキセンサ215、及び車両の位置情報を検出するGPS等によって構成される位置検出センサ(位置検出手段)216、及び運転支援システム217を備えて構成されている。それら各センサ211〜216や運転支援システム217は、その検出結果に基づき車両の状態を判定する車両状態判定部220に電気的に接続されている。
【0038】
このうち、車速センサ211は、車輪の回転速度を検出するとともに、この検出した回転速度に応じた信号を車両状態判定部220に出力する。加速度センサ212は、車両の走行速度の変化率である加速度や減速度を検出するとともに、この検出した加速度や減速度に応じた信号を車両状態判定部220に出力する。操舵角センサ213は、ステアリングの操舵角の変化量を算出するとともに、この算出した操舵角の変化量に応じた信号を車両状態判定部220に出力する。アクセルセンサ214は、ドライバによるアクセルペダルの操作によって変化するアクセルの開度を検出するとともに、この検出したアクセルの開度に応じた信号を車両状態判定部220に出力する。ブレーキセンサ215は、ドライバによるブレーキペダルの操作の有無を検出するとともに、この検出した操作の有無に応じた信号を車両状態判定部220に出力する。また、位置検出センサ216は、車両の絶対位置を検出するためのGPS衛星信号を受信するとともに、受信したGPS衛星信号に基づき車両の位置を検出する。こうして、各々検出された車両の位置情報が上記車両状態判定部220に出力される。そして、運転支援システム217は、例えばカーナビゲーションシステム等によって構成され、車両のドライバに運転支援として実行する減速支援を行う。また、運転支援システム217は、自車両の位置情報や周辺に存在する交差点、一時停止位置、踏切、合流地点、及びカーブ等の特定の交通要素を道路地図情報とともに液晶ディスプレイ等の表示装置に可視表示することにより、ドライバにより設定された目的地までの推奨経路を同ドライバに案内する。さらに、この運転支援システム217は、自車両と特定の交通要素との距離に応じて、上記表示装置に表示する道路地図情報の拡大表示及び縮小表示を行う。そして、運転支援システム217は、当該運転支援システム217が実行する運転支援に関する情報を、上記車両状態判定部220に出力する。なお、こうした各センサ211〜216及び運転支援システム217も、上記車載システムに包含される。
【0039】
車両状態判定部220は、各センサ211〜216及び運転支援システム217から入力された各種情報や信号に基づいて、自車両の状態を判定する。すなわち、車両状態判定部220は、例えば、上記車速センサ211の検出結果に基づいて、自車両が「80km/h以上」の高速走行状態にあると判定する。また、車両状態判定部220は、例えば、上記加速度センサ212の検出結果に基づいて、自車両が急加速状態もしくは急減速状態にあると判定する。同様に、車両状態判定部220は、上記操舵角センサ213、アクセルセンサ214、ブレーキセンサ215等の検出結果に基づいて、自車両が、急なハンドル操作が行われた状態や急な加速操作及び減速操作が行われた状態にあると判定する。また同様に、車両状態判定部220は、上記位置検出センサ216や上記運転支援システム217から入力された情報に基づいて、自車両が、特定の交通要素に接近している状態にあり、こうした交通要素の存在や同交通要素に対して推奨する車両操作の案内、及び各種運転支援が行われている状態にあると判定する。そして、車両状態判定部220は、この判定した車両状態に関する情報を、同車両状態が上記車載システムに与える負荷を予測するシステム負荷予測部230に出力する。
【0040】
システム負荷予測部230は、車両状態判定部220から車両状態に関する情報を取得すると、この取得した情報に基づいて、上記車載システムに車両の状態が与える負荷を予測する。例えば、自車両が高速走行状態にあるときには、これに伴い、上記表示装置に表示される道路地図情報の更新頻度や上記運転支援システム217にて実行すべき運転支援の頻度が増加する。よって、システム負荷予測部230は、自車両が高速走行状態にあるときには、上記車載システムによる道路地図情報の更新処理や運転支援処理の増大に伴って車載システムに対する負荷が増大すると予測する。また、例えば、自車両が急加速や急減速、急なハンドル操作等、通常よりも急な操作が行われた状態にあるときには、こうした操作に応じた車両制御を実行するための処理が上記各種制御装置間で行われる。よってこの場合にも、システム負荷予測部230は、各制御装置で処理すべき制御量の増大や各制御装置間で授受されるデータ量の増大に伴い車載システムに対する負荷が増大すると予測する。
【0041】
なお、本実施の形態のシステム負荷予測部230は、車両状態が上記車載システムに与える負荷に関する情報が予め登録されたシステム負荷対応テーブル231を備えており、このシステム負荷対応テーブル231の参照を通じて、車両の状態が車載システムに与える負荷を数値評価する。
【0042】
すなわち、システム負荷対応テーブル231には、図3に例示するように、車両の走行速度、同走行速度の変化率である加速度及び減速度、急ハンドル等の急な車両操作、及び車両と特定の交通要素との距離の変化に応じて、車両が該当する状態になったときの車載システムに対する負荷が段階的に規定されている。
【0043】
そして、こうしたシステム負荷対応テーブル231の参照を通じて、例えば、車両の速度が「高」であり、車両が交差点に接近しているときには、状態「3」と状態「1」との合計値である「4」が、そのときの段階的な車両状態を示す値であるとして数値評価することができる。また、本実施の形態では、こうして数値評価した車両状態を、同車両状態が車載システムに及ぼす負荷であるとして用いる。このように、本実施の形態のシステム負荷予測部230は、こうしたシステム負荷対応テーブル231の参照を通じて、車両状態が車載システムに及ぼす負荷を数値評価する。
【0044】
こうして、システム負荷予測部230は、上記検出され、判定された車両の状態に基づき、こうした車両の状態が車載システムに及ぼす負荷を適宜判定する。また、システム負荷予測部230は、図1に示すように、この判定した負荷に関する情報を上記車両データ取得部300に出力する。
【0045】
車両データ取得部300は、システム状態判定部130にて数値評価された車載システムの負荷とシステム負荷予測部230にて数値評価された車両状態が車載システムに及ぼす負荷とに基づいて、上記車両データの収集に用いる閾値を算出する閾値算出部310を備えている。この閾値算出部310は、各々数値評価された負荷と上記閾値とが対応付けされた閾値対応テーブル311を備えており、この閾値対応テーブル311の参照を通じて上記車両データの取得に用いる閾値を算出する。
【0046】
すなわち、閾値対応テーブル311には、図4に例示するように、上記システム状態判定部130にて各々数値評価された車載システムの負荷と、上記システム負荷予測部230にて各々数値評価された負荷(車両状態)との加算値が、車載システムの総合的な負荷であるとして規定されている。すなわち、図4から明かなように、上記閾値は、車載システムの総合的な負荷に比例することとなる。そして、本実施の形態では、こうした閾値対応テーブル311の参照を通じて、上記車両データの取得に用いられる閾値が適宜算出される。
【0047】
こうして、閾値算出部310は、各々数値評価された車載システムの負荷と車両状態が車載システムに及ぼすとされる負荷とに基づいて上記閾値を適宜算出する。また、閾値算出部310は、図1に示すように、この算出した閾値を示す情報を、同閾値に基づき取得すべき車両データの優先度を決定する優先度決定部320に出力する。
【0048】
優先度決定部320は、自車両のログデータ等を含む車両データのロギング機能を有する車載情報処理装置330にて取得可能な車両データの種類の別に規定された優先度と上記閾値算出部310にて算出された閾値とが対応付けられた優先度対応テーブル321を備えている。
【0049】
優先度対応テーブル321には、図5に例示するように、上記閾値算出部310にて算出された閾値「0」、「1〜3」、「4〜6」、「7〜9」、「10〜12」、「13〜15」、「16〜18」、「19〜22」のそれぞれに、車両データの優先度A〜Hが対応付けられている。ここでは、例えば、上記算出された閾値が「19〜22」の範囲内であるときには、各種車両データのうちで優先度が最も高いとして規定された優先度Aの車両データが、そのときの車載システムの総合的な負荷を考慮した上で取得すべき車両データとして規定されている。すなわち、このときには、車載システムかかる負荷が極めて高い状態にあるために、優先度Aとして規定された車両データのみの出力処理を実行し、優先度Aよりも優先度が低い優先度B〜優先度Hとして規定された各種車両データの出力処理は実行しないことを示している。また、上記算出された閾値が「7〜9」の範囲内であるときには、この閾値に対応する優先度Eが規定された車両データと、同優先度Eよりも優先度が高い優先度A〜Dが規定された各種車両データとが、そのときの車載システムの機能を維持しながら取得可能な車両データであることを示している。
【0050】
そして、本実施の形態の優先度決定部320は、閾値算出部310から入力される閾値が変化する都度、その閾値に対応する優先度を決定し、そのときの車載システムの負荷に応じた優先度、換言すれば、こうした優先度をもとに出力処理が実行される車両データを動的に変化させる。よって、上記CPU使用率やバス使用率の変化、車両の状態の変化等に起因して車載システムの総合的な負荷が増減したときには、これに応じて取得すべき車両データが、その優先度に応じて動的に変更されることとなる。
【0051】
一方、車載情報処理装置330は、上記車両データを生成する装置として構成されており、複数種の車両データのロギング機能を有している。すなわち、車載情報処理装置330は、図1に示すように、上記優先度決定部320にて決定された優先度をもとに、車載システム内で実行される各種処理の内容をログ化し、このログ化したログデータ(車両データ)を車両データ保存領域350に出力する出力処理部331を備えている。この出力処理部331は、各種車両データをその優先度に応じて出力する第1出力処理部331a〜第n出力処理部331nを備えて構成されている。このうち、第2出力処理部331bは、上記閾値が「18」以下、すなわち上記優先度決定部320にて決定された優先度が「B」以下であるとき、例えば優先度がBであると規定されたエンジンやブレーキの制御内容を示すログデータの出力処理を実行する。また、第3出力処理部331cは、上記閾値が「15」以下、すなわち上記優先度決定部320にて決定された優先度が「C」以下であるとき、例えば優先度Cであると規定されたメータの制御内容を示すログデータの出力処理を実行する。こうして、本実施の形態では、第1出力処理部331a〜第n出力処理部331nによって、上記優先度決定部320にて決定された優先度に応じたログデータの出力処理が実行される。これにより、車載システムの総合的な負荷として算出された上記閾値を上限として、そのときに最大限出力可能な車両データが車両データ保存領域350に出力されることとなる。
【0052】
なお、こうした優先度決定部320によって決定された閾値に基づく車両データの出力を行うモードが、上記閾値対応モードに該当する。
また、本実施の形態の車両データ取得部300は、図1に示すように、車両データの取得を優先するセーフティーモードを上記車載情報処理装置330に案内するセーフティーモード案内部340を備えている。このセーフティーモード案内部340は、車両に搭載された各種制御装置やシステムの異常状態を検出する異常状態検出部341を備えて構成されており、この異常状態検出部341により異常状態が検出されたとき、異常発生フラグ342をオン状態とする。また、セーフティーモード案内部340は、異常状態検出部341により検出された各種制御装置やシステムの異常状態が正常状態に遷移したとき、上記オン状態とした異常発生フラグ342をオフ状態とする。
【0053】
また、上記車載情報処理装置330は、車両データの出力処理を実行する際、異常発生フラグ342がオン状態となっていたとき、上記車両データの出力モードを上記閾値対応モードからセーフティーモードに切り替える。この結果、車載情報処理装置330には、車両データの出力モードとして、セーフティーモードが設定される。そして、車載情報処理装置330は、この設定されるセーフティーモードにおいて、同車載情報処理装置330にて出力可能な車両データの全てを上記車両データ保存領域350に出力する。すなわち、このセーフティーモードにおいては、各種制御装置やシステムの異常発生に鑑み上記優先度決定部320にて決定された優先度が適用されず、全車両データの取得が優先されることとなる。これにより、上記優先度決定部320と車載情報処理装置330との協働により取得対象とする車両データを規制しつつも、各種制御装置やシステムに異常が発生したときにはその解析等に用いるための車両データが十分に取得されることとなる。
【0054】
以下、本実施の形態の車両データ取得装置及び車両データ取得方法による閾値の変更処理について、図6を参照して説明する。
図6に示すように、本処理ではまず、ステップS100において、上記車両状態検出部210の検出結果に基づき車両の状態変化の有無が判定される。そして、こうした判定を通じて、所定時間Tが経過しても車両の状態が変化しないと判定されたときには、上記システム状態判定部130により車載システムの負荷状態が検出、判定される(S101:YES、S102)。その後、システム状態管理部100で管理する車載システムの状態が、この判定された状態に更新され、この更新された車載システムの負荷状態をもとに、上記閾値算出部310による閾値の算出、及び上記優先度決定部320による優先度の決定が行われる(ステップS103、S104)。
【0055】
一方、上記車両状態検出部210によって所定時間Tが経過するまでの間に車両の状態が変化したことが検出されると、この変化した車両の状態が上記車載システムに及ぼす負荷の予測が行われる(ステップS100:NO、S105)。そして、この予測した負荷と上記車載システムの負荷とをもとに、上記閾値算出部310による閾値の算出、及び上記優先度決定部320による優先度の決定が行われる(ステップS106)。
【0056】
こうして、閾値が算出されると、車両状態の変化、及び車載システムの変化が適宜検出され、それらの検出結果から、車載システムの総合的な負荷の予測、閾値の更新が繰り返し実行される。これにより、車両操作や走行環境に応じて逐次変化する車載システムの総合的な負荷に見合った閾値が適宜設定されることとなり、その都度の車載システムの機能を維持しつつ取得可能な最大限の車両データが上記車両データ保存領域350に保存されるようになる。
【0057】
次に、上記車載情報処理装置330による車両データの出力処理を、図7を参照して説明する。
図7に示すように、本処理ではまず、ステップS200において、車載情報処理装置330にセーフティーモードが設定されているか否かが判定される。この結果、車載情報処理装置330にセーフティーモードが設定されていないと判定されると、車両データの出力モードが上記閾値対応モードであると判定され、上記優先度決定部320によって決定された優先度に関する情報が取得される(ステップS200:NO、S201)。そして、こうして取得された優先度に関する情報をもとに、上記第1出力処理部331a〜第n出力処理部331nは、それら第1出力処理部331a〜第n出力処理部331nが出力対象とする車両データに規定されている優先度が、上記優先度決定部320にて決定された優先度以上であるか否かを判定する(ステップS202)。その後、第1出力処理部331a〜第n出力処理部331nは、出力対象とする車両データに規定されている優先度が上記決定された優先度以上であると判定すると、この車両データの出力処理を実行する。こうして、上記優先度決定部320にて決定された優先度以上の車両データが、上記車両データ保存領域350に保存されるようになる(ステップS202:YES、S203)。
【0058】
一方、ステップS200において、車載情報処理装置330にセーフティーモードが設定されていると判定されたとき、第1出力処理部331a〜第n出力処理部331nは、出力対象とする全ての車両データの出力処理を実行する。こうして、第1出力処理部331a〜第n出力処理部331nにて出力可能な全ての車両データが、上記車両データ保存領域350に保存されるようになる(ステップS200:YES、S203)。
【0059】
次に、車両データの出力モードの切替処理を、図8を参照して説明する。
図8に示すように、本処理ではまず、ステップS300において、上記異常発生フラグ342の参照を通じて、車両データの出力モードの設定が行われる。この結果、異常発生フラグ342がオン状態となっていたとき、車両データの出力モードとしてセーフティーモードが設定される(ステップS300:YES、S301)。
【0060】
一方、ステップS300において、上記異常発生フラグ342がオフ状態となっていたとき、車両データの出力モードとして、上記閾値対応モードが設定される(ステップS300:NO、S302)。
【0061】
そして、こうした処理が繰り返し実行されることにより、上記異常発生フラグ342のオン/オフ状態、換言すれば、車両の異常の発生の有無に応じて、セーフティーモードと閾値対応モードとが選択的に切り替え実行されるようになる。これにより、車両が正常状態にあるときには上記優先度をもとにその都度の車載システムの総合的な負荷に応じた車両データの取得が行われる。また、車両が異常状態にあるときには、その解析等を優先した車両データの取得が行われるようになる。
【0062】
以下、本実施の形態の車両データ取得装置の動作例について、図9を参照して説明する。
図9(a)及び(b)に示すように、例えば、期間T1において車両状態に基づき予測された負荷が「0」でありCPU使用率及びバス使用率に基づく車載システムの負荷が「0」であるときには、図9(c)に示すように、それら各負荷が反映される上記閾値も「0」となる。
【0063】
一方、図9(a)及び(b)に示すように、例えば、期間T2において車両状態に基づき予測された負荷が「2」でありCPU使用率及びバス使用率に基づく車載システムの負荷が「4」であるときには、図9(c)に示すように、こうした負荷の合計値「6」が上記閾値であるとして更新される。
【0064】
本実施の形態では、このように、車両操作や車載システムによって実現される車両の各種動作に起因して変化する車載システムのCPU使用率及びバス使用率と、車載システムに負荷を及ぼす車両状態とに基づいて、上記優先度を決定する閾値が時系列的に変更される。この結果、こうした閾値をもとに、出力対象とする車両データの種類を動的に変更することが可能となる。
【0065】
次に、本実施の形態の車両データ取得装置及び車両データ取得方法によって取得された車両データの推移を図10及び図11を参照して説明する。
なお、図10及び図11において実線で示すL2は、上記閾値に応じて決定された優先度をもとに上記車載情報処理装置330による出力処理の対象とされた車両データの量の推移例を示している。また図10及び図11において破線で示すL1は、比較例として、従来の車両データ取得装置による出力処理の対象とされた車両データの量の推移例を示している。一方、図10及び図11において、一点鎖線で示すL3は、車両の状態が加味された車載システムの総合的な負荷の推移例を示している。
【0066】
図10に推移例(比較例)L1として示すように、車両データのデータ量とは、車載システム内で発生する各種イベントの発生量に応じて変化するものである。そして、例えば、推移例L3として示すように、タイミングt1以降、例えば走行中の車両が高速走行状態となったために上記運転支援システム217の負荷が増大し、これに伴い車載システムにかかる負荷が増大したとする。このため、タイミングt1以降においては、推移例L1として示すように、取得すべき車両データの増加も相まって、車載システムにかかる負荷が増大し、車載システムがオーバーフローすることとなってしまう。
【0067】
一方、本実施の形態では、推移例L2として示すように、車載システムの総合的な負荷が増加し始めたタイミングt1以降においては、上記閾値に対応する優先度をもとに、取得すべき車両データが次第に規制されるようになる。この結果、車載システムの負荷に反比例する態様で出力対象とされる車両データの量が減少し、こうした車両データの出力処理に伴う車載システムへの影響が最小限に抑制されるようになる。
【0068】
なお、本実施の形態では、こうした車載システムの負荷に応じて出力される車両データは、図11(a)〜(c)に示すように、車両データの種類に応じて規定された優先度に応じて相違する。
【0069】
例えば、図11(a)に推移例Laとして示すように、優先度が「A」であると規定された車両データは、車載システムの負荷が増大したとしても、その優先度に鑑み上記車両データ保存領域350への出力処理が継続して実行される。この結果、例えば、上記閾値が「19〜22」に達するタイミングt2以降においては、優先度「A」と規定された車両データのみの出力処理が実行されることとなる。
【0070】
また、図11(b)に推移例Ldとして示すように、優先度が「D」であると規定された車両データは、上記閾値が「10〜12」に達するタイミングt3までは出力処理が実行されるものの、タイミングt3以降は同車両データの出力処理は実行されないこととなる。一方、図11(c)に推移例Lhとして示すように、優先度が「H」であると規定された車両データは、上記車載システムの負荷の増加に伴い上記閾値が「1」に達したタイミングt1以降においては、同車両データの出力処理は実行されないこととなる。
【0071】
このように、本実施の形態では、車載システムの負荷を考慮した車両データの出力処理が、その優先度に応じて選択的に実行される。よって、上記車両データ保存領域350に出力する車両データを限定しつつも、出力すべき車両データを優先度に応じて的確に取得することが可能となる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態にかかる車両データ取得装置及び車両データ取得方法によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)上記車両データの種類の別に取得すべき優先度を規定するとともに、この規定した優先度に、同優先度の高さに対する複数段階の閾値を規定することとした。そして、こうした閾値を車両の状態と車載システムの負荷状態とに応じて可変設定し、この閾値以上の優先度に規定されている車両データの出力処理を実行することとした。このため、上記車載情報処理装置330によって処理すべき車両データを、車載システムや車両の状態に応じて制限することが可能となる。これにより、車載システムや車両データ取得部300に要求される機能を十分に維持しつつ、優先度に見合った最大限の車両データを収集することが可能となる。また、これにより、車載情報処理装置330にて出力可能とする車両データ、換言すれば、車両データを取得するためのプログラム等を、同車載情報処理装置330が搭載される車両の市場出荷時に予め埋め込むことが可能となる。したがって、車両データを取得するためのプログラム等を、車載情報処理装置330に事後的に埋め込む必要もなく車両データの取得をより容易に行うことが可能ともなる。
【0073】
(2)上記システム負荷予測部230によって、車両の状態が上記車載システムに及ぼす負荷の増減を予測し、この車両の状態変化に起因する車載システムの負荷の増減が予測されるとき、同予測される車載システムの負荷に応じて上記閾値を可変設定した。これにより、車両の状態変化に伴い予測される車載システムの負荷に応じて、最大限の車両データを取得することが可能となる。
【0074】
(3)上記車両の状態を、上記車両状態検出部210を構成する車速センサ211、加速度センサ212、操舵角センサ213、アクセルセンサ214、ブレーキセンサ215、位置検出センサ216、及び運転支援システム217の出力結果に基づいて検出し、この検出結果に基づいて車両の状態を判定することとした。これにより、車両の状態を複数の要素に基づいて判定することが可能となり、ひいては、こうした複数の要素に基づく車両の状態の判定、上記車載システムの負荷の予測を的確に行うことが可能となる。
【0075】
(3)上記車載システムの負荷が増大すると予測される車両の状態として、車両の高速走行状態、及び車両の急加速状態もしくは急減速状態、及び車両の位置が特定の交通要素に接近した状態を規定した。これにより、車両の状態がこうした各状態に遷移したことをもって、上記車載システムの負荷が増減することを容易かつ画一的に予測することが可能となる。
【0076】
(4)上記閾値を、車載システムの負荷に比例する態様で動的に変更することとした。これにより、逐次変化する車両の状態や車載システムの負荷に応じて出力すべき車両データを柔軟に変更することが可能となり、車両の状態や車載システムの負荷が動的に変化したとしても、車載システムの機能を維持可能な範囲内で各種車両データの出力処理を実行することが可能となる。
【0077】
(5)上記車載システムの負荷を、CPU使用率及びバス使用率が高くなるにつれて高くなるとして段階評価した。また、上記車両の状態を、車両の走行速度、加速度及び減速度、ステアリングの操舵角の変化率、及び車両と特定の交通要素との距離をもとに段階評価した。そして、各々段階評価した車載システムの負荷と車両の状態との加算値に基づいて、出力可能とする車両データを変更する上記閾値を算出することとした。これにより、CPU使用率やバス使用率に基づく車載システムの負荷と車両の状態とが勘案された総合的な負荷に基づいて、車両データの出力処理を実行することが可能となる。
【0078】
(6)上記車両データを出力するモードとして、上記閾値に基づく車両データの出力規制が適用される閾値対応モードと、車両データの収集を優先するセーフティーモードとを、上記車載情報処理装置330に設けた。そして、閾値対応モードとセーフティーモードとを上記異常発生フラグ342の状態に応じて選択的に切り替え実行させるとともに、セーフティーモードにおいて、車載情報処理装置330にて取得可能な車両データの全てを車両データ保存領域350に出力させることとした。これにより、出力可能な車両データを上記優先度及び閾値に基づき規制する上で、車両の異常発生時においては、その解析等に用いる車両データを確実に取得することが可能となり、ひいては、上記優先度を通じて出力可能とする車両データを規定する上で車載情報処理装置330による車両データの保存機能を担保することが可能となる。
【0079】
なお、上記実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・上記セーフティーモードの起動条件として、上記異常発生フラグ342がオン状態となったこと、すなわち車両に異常が発生したことを条件とした。これに限らず、セーフティーモードの起動条件としては、例えば、特定の時間帯や予め規定した特定のイベントが発生したとき等を条件とすることも可能であり、セーフティーモードの起動条件としては任意の条件を設定することが可能である。また、車載情報処理装置330にセーフティーモードを設けない構成とすることも可能であり、上記車両データを出力するモードとして上記閾値対応モードのみを備える構成とすることも可能である。
【0080】
・上記車載システムの負荷を、CPU使用率及びバス使用率に比例して高くなるとして、それらの加算値に基づき段階評価することとした。これに限らず、車載システムの負荷を、CPU使用率及びバス使用率の乗算値に基づき段階評価することも可能である。また、それらCPU使用率及びバス使用率を20%単位で段階評価することとしたが、例えば10%単位や50%単位等、任意の単位で段階評価することもできる。また、車載システムの負荷を評価する要素としては、CPU使用率のみ、もしくはバス使用率のみであってもよく、この他、車載システムの負荷を評価する要素であればよい。
【0081】
・上記車両の状態を、車両の走行速度、加速度及び減速度、ステアリングの操舵角の変化率、及び車両と特定の交通要素との距離の別に段階評価するとともに、それら要素の合計値を車両の状態が車載システムに及ぼす負荷として上記閾値の算出に用いることとした。これに限らず、車両の状態を示す各要素の乗算値を上記閾値の算出に用いることも可能である。また、図3に示した態様で、車両の走行速度並びに加速度及び減速度を「0」〜「3」の4段階で評価し、ステアリングの操舵角の変化率及び車両と特定の交通要素との距離を、「0」及び「1」の2段階で評価することとした。これに限らず、例えば、各要素を、「0.5」単位で評価することや、3段階以上で評価することも可能である。要は、車両の状態の評価手法とは、車両の状態を上記閾値の算出に利用可能な態様で評価するものであればよい。
【0082】
・上記閾値として、上記評価した車載システムの負荷と上記評価した車両の状態との加算値を採用することとしたが、これに限らず、例えば、上記車載システムの負荷と上記評価した車両の状態との乗算値を上記閾値として採用することも可能である。なおこの場合には、車載システムの負荷や車両の状態がより顕著に上記閾値に反映されることとなり、車載システムの総合的な負荷が増加したときの車両データの規制をより効果的に行うことが可能となる。
【0083】
・上記閾値を、車載システムの負荷に比例する態様で動的に変更することとした。これに限らず、上記閾値は、車載システムの負荷と車両の状態が車載システムに及ぼすと予測される負荷とに基づいて変更されるものであればよく、車載システムの負荷に比例するか否かは問わない。
【0084】
・上記車載システムの負荷が増大すると予測される車両の状態として、車両の高速走行状態、及び車両の急加速状態もしくは急減速状態、及び車両の位置が特定の交通要素に接近した状態を規定した。これに限らず、例えば、車両が郊外及び市街地を走行する状態になったときや天候が晴天から雨天に変化したときのように車両の外部環境に変化が生じたことを、上記車載システムの負荷が増大すると予測される車両の状態として規定するようにしてもよい。
【0085】
・上記車両の状態を、上記車両状態検出部210を構成する車速センサ211、加速度センサ212、操舵角センサ213、アクセルセンサ214、ブレーキセンサ215、位置検出センサ216、及び運転支援システム217の全ての出力結果に基づいて検出した。これに限らず、それら各センサ211〜216及び運転支援システム217の少なくとも1つの手段によって上記車両の状態を検出するようにしてもよい。またこの他、例えば車両のヨーレートを検出するヨーレート検出センサや、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、及びワイパーの動作状態等を用いて車両の状態を検出することもできる。要は、車両状態検出部210とは、車両の走行環境や走行状態等、車両の各種状態を検出することが可能な手段であればよい。
【0086】
・上記システム負荷予測部230によって、車両の状態が上記車載システムに及ぼす負荷の増減を予測し、この車両の状態変化に起因する車載システムの負荷の増減が予測されるとき、同予測される車載システムの負荷に応じて上記閾値を可変設定した。これに限らず、上記閾値とは、車載システムの負荷の状態と車両の状態とに基づき可変設定するものであればよく、上記システム負荷予測部230を割愛し、上記検出される車両の状態を上記閾値の算出に直接用いることも可能である。
【0087】
・上記実施の形態では、上記車両データに予め規定された優先度に基づいて、各種車両データの取得を行うこととした。これに限らず、例えば、車両データの出力プログラムに予め書き込まれたプログラム等の改変を通じて車両データに規定された優先度を変更可能な場合には、取得すべき車両データに応じてその優先度を動的に変更することも可能である。この場合には、車両データの取得をより柔軟に行うことが可能となる。
【0088】
・上記優先度を規定する車両データとして、複数種の車両データを対象としたが、車両データが一種類の場合であれ、本発明の適用は可能である。
【符号の説明】
【0089】
100…システム状態管理部、110…CPU使用率算出部、120…バス使用率算出部、130…システム状態判定部、131…システム負荷評価テーブル、210…車両状態検出部、211…車速センサ、212…加速度センサ、213…操舵角センサ、214…アクセルセンサ、215…ブレーキセンサ、216…位置検出センサ、217…運転支援システム、220…車両状態判定部、230…システム負荷予測部、231…システム負荷対応テーブル、300…車両データ取得部、310…閾値算出部、311…閾値対応テーブル、320…優先度決定部、321…優先度対応テーブル、330…車載情報処理装置、331…出力処理部、331a…第1出力処理部、331b…第2出力処理部、331c…第3出力処理部、331n…第n出力処理部、340…セーフティーモード案内部、341…異常状態検出部、342…異常発生フラグ、350…車両データ保存領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載システムを構成する車載情報処理装置を通じて1乃至複数種類の車両データを取得し、該取得した車両データを車両データ保存領域に保存する車両データ取得装置であって、
前記車両データには、車両データの種類の別に取得すべき優先度が規定されてなり、該規定された優先度には、それら優先度の高さに対する複数段階の閾値が規定されてなるとともに、それら閾値は前記車両の状態と前記車載システムの負荷状態とに応じて可変設定され、前記車載情報処理装置は、前記可変設定された閾値以上の優先度に規定されている車両データを取得するとともに、該取得した車両データを前記車両データ保存領域に出力可能とされてなる
ことを特徴とする車両データ取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両データ取得装置において、
前記車両の状態に基づき前記車載システムの負荷の増減を予測するシステム負荷予測部を備え、
前記システム負荷予測部によって前記車両の状態変化に起因する前記車載システムの負荷の増減が予測されるとき、該予測される前記車載システムの負荷に応じて前記閾値が可変設定される
ことを特徴とする車両データ取得装置。
【請求項3】
前記システム負荷予測部は、前記車両の走行速度を検出する車速センサ、及び前記車両の加速度を検出する加速度センサ、及び前記車両のステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ、及び前記車両の位置情報を検出する位置検出手段、及び前記車両の運転支援を実行する運転支援システムの少なくとも1つの出力結果に基づいて前記車両の状態を判定し、該判定結果に基づき前記車載システムの負荷の増減を予測する
請求項2に記載の車両データ取得装置。
【請求項4】
前記システム負荷予測部によって前記車載システムの負荷が増大すると予測される車両の状態が、前記車両の高速走行状態、及び前記車両の急加速状態もしくは急減速状態、及び前記車両の位置が特定の交通要素に接近した状態の少なくとも1つの状態である
請求項3に記載の車両データ取得装置。
【請求項5】
前記閾値は、前記車載システムの負荷に比例する態様で動的に変更される
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両データ取得装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両データ取得装置において、
前記車載システムの使用率が高くなるほど車載システムの負荷が高くなるとして同車載システムの負荷を段階評価するとともに、前記車両の走行速度もしくは該走行速度の変化率もしくは前記車両のステアリングの操舵角の変化率が上昇するとき、もしくは前記車両と特定の交通要素との距離が縮まるとき、それら車両の状態が前記車載システムに与える負荷が増大するとして前記車両の状態を段階評価し、各々段階評価した前記車載システムの負荷と前記車両の状態との加算値もしくは乗算値に基づいて前記可変設定すべき閾値を決定する
ことを特徴とする車両データ取得装置。
【請求項7】
前記車載情報処理装置は、前記車両データを出力するモードとして、前記閾値に基づく車両データの出力規制が適用される閾値対応モードと、前記車両データの収集を優先するセーフティーモードとを備え、前記閾値対応モードと前記セーフティーモードとを選択的に切り替え実行するとともに、前記閾値対応モードから前記セーフティーモードに移行したとき、当該車載情報処理装置にて取得可能な車両データの全てを前記車両データ保存領域に出力可能とする
請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両データ取得装置。
【請求項8】
車両に搭載された車載システムを構成する車載情報処理装置を通じて1乃至複数種類の車両データを取得し、該取得した車両データを車両データ保存領域に保存する車両データ取得方法であって、
前記車両データには、車両データの種類の別に取得すべき優先度を規定し、該規定した優先度には、それら優先度の高さに対する複数段階の閾値を規定するとともに、それら閾値は前記車両の状態と前記車載システムの負荷状態とに応じて可変設定するようにし、前記車載情報処理装置には、前記可変設定された閾値以上の優先度に規定されている車両データを取得させるとともに、該取得した車両データを前記車両データ保存領域に出力させる
ことを特徴とする車両データ取得方法。
【請求項9】
請求項8に記載の車両データ取得方法において、
前記車両の状態に基づき前記車載システムの負荷の増減を予測し、該車両の状態変化に起因する前記車載システムの負荷の増減が予測されるとき、該予測される前記車載システムの負荷に応じて前記閾値を可変設定する
ことを特徴とする車両データ取得方法。
【請求項10】
前記車両の走行速度を検出する車速センサ、及び前記車両の加速度を検出する加速度センサ、及び前記車両のステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ、及び前記車両の位置情報を検出する位置検出手段、及び前記車両の運転支援を実行する運転支援システムの少なくとも1つの出力結果に基づいて前記車両の状態を判定し、該判定結果に基づき前記車載システムの負荷の増減を予測する
請求項9に記載の車両データ取得方法。
【請求項11】
前記車載システムの負荷が増大すると予測される車両の状態が、前記車両の高速走行状態、及び前記車両の急加速状態もしくは急減速状態、及び前記車両の位置が特定の交通要素に接近した状態の少なくとも1つの状態である
請求項10に記載の車両データ取得方法。
【請求項12】
前記閾値を、前記車載システムの負荷に比例する態様で動的に変更する
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車両データ取得方法。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一項に記載の車両データ取得方法において、
前記車載システムの使用率が高くなるほど車載システムの負荷が高くなるとして同車載システムの負荷を段階評価するとともに、前記車両の走行速度もしくは該走行速度の変化率もしくは前記車両のステアリングの操舵角の変化率が上昇するとき、もしくは前記車両と特定の交通要素との距離が縮まるとき、それら車両の状態が前記車載システムに与える負荷が増大するとして前記車両の状態を段階評価し、各々段階評価した前記車載システムの負荷と前記車両の状態との加算値もしくは乗算値に基づいて前記可変設定すべき閾値を決定する
ことを特徴とする車両データ取得方法。
【請求項14】
前記車載情報処理装置には、前記車両データを出力するモードとして、前記閾値に基づく車両データの出力規制が適用される閾値対応モードと、前記車両データの収集を優先するセーフティーモードとを設け、前記閾値対応モードと前記セーフティーモードとを選択的に切り替え実行させるとともに、前記閾値対応モードから前記セーフティーモードに移行したとき、当該車載情報処理装置にて取得可能な車両データの全てを前記車両データ保存領域に出力させる
請求項8〜13のいずれか一項に記載の車両データ取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−221031(P2012−221031A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83586(P2011−83586)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】