説明

車両位置判定装置及び車両用駆動力制御装置

【課題】車両の位置ないしは車両と自動車専用道路の本線に対して接続される接続道路との位置関係を正確に判定することが可能な車両位置判定装置を提供する。
【解決手段】自動車専用道路の本線から分岐して前記自動車専用道路の本線に接続される接続道路を走行する車両に対して駆動力制御が行われる予め設定された制御領域と車両との位置関係を判定する車両位置判定装置であって、前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化するか否かを検出する手段(S5、S6)と、前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化する場合(S6−Y)であって、車両が前記自動車専用道路の本線の走行車線のうち前記接続道路側の走行車線における予め設定された範囲にいる場合には、車両は前記制御領域にいると判定する判定手段(S7)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両位置判定装置及び車両用駆動力制御装置に関し、特に、車両の位置ないしは車両と高速道路を含む自動車専用道路の本線に対して接続される接続道路との位置関係を判定する車両位置判定装置及びそれを用いて接続道路を走行するに際して車両の駆動力を制御する車両用駆動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10−141491号公報(特許文献1)には、ナビゲーションシステムに記憶されている道路情報に基づき、高速道路から分岐するランプウエイでシフトダウン制御を行い、減速を補助する車両制御装置が開示されている。同装置において、ナビゲーション処理部は、道路情報から道路属性の異なる高速道路と一般道を接続するランプウエイを検出し、ランプウエイを含む制御区間内に進入したことを確認した上、車速と、アクセルオフ、ブレーキオン等の運転操作に基づき、運転者の減速の意志を確認し、変速段の上限値を決定する。
【0003】
上記特許文献1の技術では、シフトダウン制御を行う制御区間を、本線上における、本線と退出路の分岐点より所定区間だけ手前位置から設定しており、ナビゲーションシステム装置の情報のみに基づいて車両の位置を特定し、その制御区間内で運転者の減速意図(アクセルOFFやブレーキON)が検出された場合には、ダウンシフトを実施している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−141491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、高速道路を含む自動車専用道路の本線(以下、専用道路本線)からの退出や専用道路本線への合流に際して、専用道路本線に対して接続される接続道路を走行するときに、車両の駆動力を制御してドライバビリティの向上を図ることが求められている。このような接続道路の走行に際して車両の駆動力制御が行われる場合には、車両の位置ないしは車両と接続道路との位置関係を正確に判定できることが必要である。特に、専用道路本線と接続道路との接続形態によっては、車両の位置ないしは車両と接続道路との位置関係を正確に判定することが困難な場合がある。
【0006】
本発明の目的は、車両の位置ないしは車両と自動車専用道路の本線に対して接続される接続道路との位置関係を正確に判定することが可能な車両位置判定装置及びそれを用いて接続道路を走行するに際して車両の駆動力を制御する車両用駆動力制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両位置判定装置は、自動車専用道路の本線から分岐して前記自動車専用道路の本線に接続される接続道路を走行する車両に対して駆動力制御が行われる予め設定された制御領域と車両との位置関係を判定する車両位置判定装置であって、前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化するか否かを検出する手段と、前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化する場合であって、車両が前記自動車専用道路の本線の走行車線のうち前記接続道路側の走行車線における予め設定された範囲にいる場合には、車両は前記制御領域にいると判定する判定手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】
本発明の車両位置判定装置は、自動車専用道路の本線から分岐して前記自動車専用道路の本線に接続される接続道路を走行する車両に対して駆動力制御が行われる予め設定された制御領域と車両との位置関係を判定する車両位置判定装置であって、前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化するか否かを検出する手段と、前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化する場合と前記車走行車線の数が変化しない場合とでは車両が前記制御領域内にいるか否かの判定を異なる方法で行う判定手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
本発明の車両位置判定装置において、前記判定手段は、前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化する場合には、車両が前記自動車専用道路の本線の走行車線のうち前記接続道路側の走行車線における予め設定された範囲にいる場合に、車両が前記制御領域にいると判定することを特徴としている。
【0010】
本発明の車両位置判定装置において、前記判定手段は、前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化しない場合には、車両に設けられた撮像手段によって道路を撮像した情報に基づいて、車両が前記自動車専用道路の本線と前記接続道路の境界線を超えたことを検出することによって、車両が前記制御領域にいると判定することを特徴としている。
【0011】
本発明の車両位置判定装置において、前記接続道路は、車両が前記自動車専用道路の本線に入るときに走行する道路であることを特徴としている。
【0012】
本発明の車両位置判定装置において、前記接続道路は、車両が前記自動車専用道路の本線から出るときに走行する道路であることを特徴としている。
【0013】
本発明の車両用駆動力制御装置は、本発明の車両位置判定装置と、車両が前記制御領域にいるときと前記制御領域にいないときとで異なる駆動力制御を行う駆動力制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
本発明の車両用駆動力制御装置において、前記接続道路は、車両が前記自動車専用道路の本線に入るときに走行する道路であり、前記駆動力制御手段は、車両が前記制御領域にいるときには、前記制御領域にいないときに比べて、車両の駆動力が発生し易いように前記駆動力制御を行うことを特徴としている。
【0015】
本発明の車両用駆動力制御装置において、前記接続道路は、車両が前記自動車専用道路の本線から出るときに走行する道路であり、前記駆動力制御手段は、車両が前記制御領域にいるときには、前記制御領域にいないときに比べて、運転者の減速意図が検出されたときに車両の減速度が増大するように前記駆動力制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自動車専用道路の本線に対して接続される接続道路を走行するに際して、車両の位置ないしは車両と接続道路との位置関係を正確に判定できることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の車両用駆動力制御装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
以下に述べる実施形態は、高速道路を含む自動車専用道路の本線(以下、専用道路本線)からの退出や専用道路本線への合流に際して、専用道路本線に対して接続される接続道路を走行するときに、車両の駆動力を制御する車両用駆動力制御装置に関する。
【0019】
ここで、接続道路とは、その一端側が専用道路本線に対して接続されるとともに、その他端側が[1]自動車専用道路以外の一般道路、[2]自動車専用道路に設けられた駐車エリア、又は、[3]他の専用道路本線に接続されている。自動車専用道路に設けられた駐車エリアに接続された接続道路は、自動車専用道路の一部ではあるが、自動車専用道路の本線ではなく支線である。同様に、他の専用道路本線に接続された接続道路は、自動車専用道路の支線を構成している。
【0020】
(第1実施形態)
図1から図4を参照して、第1実施形態について説明する。
【0021】
図3は、専用道路本線に接続された一般的な退出路(接続道路)を模式的に示す平面図である。高速道路(専用道路本線)101には、退出路103が接続されている。高速道路101と退出路103は、道路上に描かれた破線104によって区切られている。ナビゲーションシステム装置95(図2参照)には、地図情報として、ノード点201の情報が記憶されており、複数のノード点201をつないだものが道路であると認識される。高速道路101を示すノード点201と退出路103を示すノード点201が重なった点201aが高速道路101と退出路103の分岐点である。
【0022】
図3において、車両が破線104を跨いで退出路103に入ったとき、即ち、ハッチングで示される符号202の領域(退出路103と同じ領域)に車両がいるときにアクセルがOFFにされると、変速機の高速段が規制(ダウンシフト)されて減速制御(駆動力制御:退出制御)がなされる。これにより減速が補助されてドライバビリティが向上する。
【0023】
図3に示すような一般的な退出路103においては、次の二つの条件(1)、(2)が満たされたときに、車両が破線104を跨いで退出路103(領域202)に入ったと認められる。なお、ここで、一般的な退出路103とは、分岐点201aの前後において高速道路101の車線数の減少する方向の変化を生じさせない退出路である。
【0024】
(1)車両に搭載されたカメラを用いて車両が高速道路101を出たこと(例えば車両が破線104を跨いだこと、以下、本例を用いて説明する)が判定されたと共に、(2)ナビゲーションシステム装置95の情報に基づいて車両が分岐点201aの近傍にいることが判定されたときに、車両が破線104を跨いで退出路103(領域202)に入ったと認められる。
【0025】
従来において、車両が退出路に入ったか否かの判定は、ナビゲーションシステム装置の情報のみに基づいて行われていた。ところがナビゲーションシステム装置の情報に基づく位置検出精度が必ずしも十分ではないことから、破線(高速道路と退出路の境界線)を跨いだか否かの判定精度が不十分な場合があった。その結果、例えば、車両が高速道路にいるときにアクセルOFFされた場合に退出路のダウンシフト制御が誤作動したり、車両が退出路にいるときにアクセルOFFされた場合に退出路のダウンシフト制御が実行されないことがあった。以下、ナビゲーションシステム装置の情報のみに基づいて、車両が退出路に入ったか否かの判定を行った場合の問題を、図3の符号X1〜X6を用いて説明する。
【0026】
図3において、符号X1、X3及びX5は、実際の車両の位置(走行軌跡)を示している。実際にはX1の位置に車両がいる場合に、ナビゲーションシステム装置95では、その位置検出精度の限界から、X2の位置に車両がいると認識してしまう(X1とX2の位置の違いまではナビゲーションシステム装置95では認識できない)場合がある。同様の理由から、実際にはX3の位置に車両がいる場合に、ナビゲーションシステム装置95では、X4の位置に車両がいると認識してしまう場合がある。この場合、実際には車両は、退出路202を走行している又は走行しようとしているにもかかわらず、ナビゲーションシステム装置95では、車両は高速道路101を走行している(退出路202に入っていない)と認識してしまい、アクセルOFFがなされても退出路制御(ダウンシフト制御)が実行されないという問題があった。
【0027】
そこで、本実施形態では、上記のように、ナビゲーションシステム装置95の情報に基づいて、車両の位置検出を行うのみならず、車両に搭載されたカメラの画像情報に基づいて車両が破線104を跨いだことを判定することにより、車両が退出路103(領域202)に入ったか否かを高精度に判定することとしている。即ち、本実施形態によれば、車両がX3の位置に来た時点で、車両に搭載されたカメラの画像情報に基づいて、車両が破線104を跨いだことが判定されるため、ナビゲーションシステム装置95の情報のみに基づいて車両の位置判定を行っていた場合に比べて、車両が退出路103に入ったことを高精度に判定することができる。
【0028】
図4は、専用道路本線の車線がそのまま退出路(接続道路)となっている退出路を模式的に示す平面図である。高速道路102の一番左側の車線102aがそのまま退出路105になっている。高速道路102は、退出路105の手前までは3車線102a〜102cであるが、そのうちの1車線102aがそのまま退出路105となるために、その後は2車線102b、102cとなっている。
【0029】
このような高速道路102及び退出路105においても、ナビゲーションシステム装置95におけるノード点201の記述の仕方は、図3の高速道路101及び退出路103の場合と同様であり、複数のノード点201をつないだものが道路として認識される。即ち、ノード点201は、高速道路102の車線数まで考慮した形で記述されているわけではないため、ノード点201の情報に基づいて、車両が高速道路102のどの車線にいるかを判断することはできないようになっている。
【0030】
図4のように、高速道路102の車線102aがそのまま退出路105とされている場合には、高速道路102において車線102aと車線102bとの境界線部分に描かれている破線106を車両が跨ぐことなく、高速道路102から退出路105に入っていく場合がある。即ち、最初から車両が車線102aを走行している場合には、破線106を跨ぐことなく退出路105に入っていく。そのため、上記図3のような一般的な退出路での退出路判定に用いる「車両が破線を跨いだか」の判定条件を用いることができない。
【0031】
このように、車両が破線106を跨ぐことなく退出路105に入る場合には、「車両が破線を跨いだか」の判定条件を用いることができないため、ナビゲーションシステム装置95による車両の位置検出技術のみで、車両が退出路105にいるか否かを判定しようとすると、以下のような問題があった。
【0032】
図4において、符号X11、X13及びX15は、実際の車両の位置(走行軌跡)を示している。図3において符号X1〜X6を用いて説明したのと同様に、実際にはX11やX13の位置に車両がいる場合に、ナビゲーションシステム装置95では、その位置検出精度の限界から、X12やX14の位置に車両がいると認識してしまう場合がある。ナビゲーションシステム装置95の位置検出精度によれば、実際の車両位置X15と、ナビゲーションシステム装置95で想定していた車両位置X16との間ほど大きな違いが生じて初めて真の位置X15を検出することができる場合がある。
【0033】
ところが、X15の位置にまで来て初めて車両が退出路105にいることが検出されても、退出路制御における車両位置検出タイミングとしては遅く、効果的な退出路制御を実現することができない。ここで、上記図3のケースでは、「車両が破線を跨いだか」の判定を行うことで、車両の位置判定精度を高めることができたが、図4のケースでは、上記のように、「車両が破線を跨いだか」の判定条件を用いることができない。
【0034】
そこで、図4のようなケースでは、「車両が破線を跨いだか」の判定に代えて、「車両が一番左側の車線102aを走行しているか」の判定を行う。即ち、図4のケースでは、
ナビゲーションシステム装置95の情報に基づいて、車両の位置検出を行うのみならず、「車両が一番左側の車線102aを走行しているか」の判定を行うことにより、退出路105を走行する又は走行しようとしている車両の位置検出を高精度に行えるようにしている。
【0035】
ここで、「車両が一番左側の車線102aを走行しているか」の判定は、例えば、車両の後部に搭載され、車両後方の画像を撮像することが可能なバックガイドモニタを用いることにより可能である。ここで、バックガイドモニタは、車両のレーン逸脱を抑制するために設置されているものを適用することができる。バックガイドモニタにより撮像された画像において、右側に実線が写り左側に破線が写っていれば、その実線は一番左側の車線102aの左側の境界線102eであり、その破線は破線106であると特定することができることから、車両は、一番左側の車線102aを走行していると判定することができる。なお、バックガイドモニタにより撮像された画像において、右側と左側の両方に破線が写っていれば、車両は走行車線102bを走行しており、右側に破線が写り左側に実線が写っていれば、車両は追越し車線102cを走行していることになる。
【0036】
上記のように、本実施形態では、高速道路101、102と退出路103、105の分岐点201aの前後で本線(高速道路)の車線が減少するか否かに基づいて、車両位置検出方法を切り替えることとしている。
【0037】
本実施形態では、後述するように、退出・合流路の判定を専用道路本線の車線数の情報と、車両の現在位置の情報と、専用道路本線又は接続道路から車両が出たことを示す情報に基づいて行う。退出路と判定されれば、運転者の減速意図をトリガーに自動変速機のダウンシフト制御やブレーキシステムの自動ブレーキなどの被駆動特性を変更して車両の減速度を増加させる。また、合流路と判定されれば、電子スロットル特性を変更したり、自動変速機の高速側の変速段または変速比を規制することでより大きな駆動力が出易い側に変更する。これにより、専用道路本線と接続道路の接続形態がどのような形態であっても対応することができ、その結果、運転者に違和感を与えずに、退出路や合流路での走り易さが向上する。
【0038】
本実施形態の構成としては、以下に詳述するように、(1)〜(3)の3つの構成を備えていることが前提となる。
(1)車両の現在位置の情報と車両前方の道路形状及び走行している道路の車線数を検出又は推定できる手段(例えば、ナビゲーションシステム装置)
(2)車両がどの車線を走行しているかを判別できる手段(例えば車両の前後の少なくともいずれか一方に搭載されたカメラ(画像情報)による判定手段)
(3)上記2つの手段の検出、推定又は判別結果に基づいて、車両の駆動力や被駆動力を制御可能な手段(変速段又は変速比のダウンシフト制御、ブレーキ、回生ブレーキ、電子制御スロットル特性の変更など)
【0039】
図2において、符号10は6速の自動変速機、40はエンジンである。自動変速機10は、電磁弁121a、121b、121cへの通電/非通電により油圧が制御されて変速が可能である。図2では、3つの電磁弁121a、121b、121cが図示されるが、電磁弁の数は3に限定されない。電磁弁121a、121b、121cは、制御回路130からの信号によって駆動される。
【0040】
スロットル開度センサ114は、エンジン40の吸気通路41内に配置されたスロットルバルブ43の開度を検出する。エンジン回転数センサ116は、エンジン40の回転数を検出する。車速センサ122は、車速に比例する自動変速機10の出力軸120cの回転数を検出する。シフトポジションセンサ123は、シフトポジションを検出する。パターンセレクトスイッチ117は、変速パターンを指示する際に使用される。加速度センサ90は、車両の減速度(減速加速度)を検出する。カメラ118は、車両の前方及び後方の少なくともいずれか一方を撮像するように車両に搭載される。
【0041】
ナビゲーションシステム装置95は、自車両を所定の目的地に誘導することを基本的な機能としており、演算処理装置と、車両の走行に必要な情報(地図、直線路、カーブ、登降坂、高速道路など)が記憶された情報記憶媒体と、自立航法により自車両の現在位置や道路状況を検出し、地磁気センサやジャイロコンパス、ステアリングセンサを含む第1情報検出装置と、電波航法により自車両の現在位置、道路状況などを検出するためのもので、GPSアンテナやGPS受信機などを含む第2情報検出装置等を備えている。
【0042】
制御回路130は、スロットル開度センサ114、エンジン回転数センサ116、車速センサ122、シフトポジションセンサ123、加速度センサ90の各検出結果を示す信号を入力し、また、パターンセレクトスイッチ117のスイッチング状態を示す信号を入力し、また、ナビゲーションシステム装置95やカメラ118からの信号を入力する。
【0043】
制御回路130は、周知のマイクロコンピュータによって構成され、CPU131、RAM132、ROM133、入力ポート134、出力ポート135、及びコモンバス136を備えている。入力ポート134には、上述の各センサ114、116、122、123、90からの信号、上述のスイッチ117からの信号、ナビゲーションシステム装置95からの信号、カメラ118からの信号が入力される。出力ポート135には、電磁弁駆動部138a、138b、138cが接続されている。
【0044】
ROM133には、予め図1のフローチャートに示す動作(制御ステップ)が記述されたプログラムが格納されているとともに、自動変速機10の変速段を変速するための変速マップ及び変速制御の動作(図示せず)が記述されたプログラムが格納されている。制御回路130は、入力した各種制御条件に基づいて、自動変速機10の変速を行う。
【0045】
図1及び図2を参照して、本実施形態の動作を説明する。
ここでは、図3及び図4に示したように、車両が高速道路101,102から退出路(接続道路)103,105を走行する場合について説明する。
【0046】
[ステップS1]
ステップS1では、制御回路130により、自車両が高速道路101,102を走行しているか否かが判定される。制御回路130は、ナビゲーションシステム装置95から入力した自車両の現在の位置情報と地図情報に基づいて、このステップS1の判定を行う。ステップS1の判定の結果、自車両が高速道路101,102を走行していると判定された場合には、ステップS2に進み、そうでない場合には本制御フローはリターンされる。
【0047】
[ステップS2]
ステップS2では、制御回路130により、自車両が現在走行している車線がどの車線を走行しているかが判定される。制御回路130は、カメラ118から入力した車両の前方及び後方の少なくともいずれか一方を撮像した結果に基づいて、このステップS2の判定を行うことができる。例えば、カメラ118が車両の後方を撮像するバックガイドモニタである場合には、上記のように、右側に実線が写り左側に破線が写っていれば、図4の例では、その実線は一番左側の車線102aの左側の境界線102eであり、その破線は破線106であると特定することができることから、車両は、一番左側の車線102aを走行していると判定することができる。同様に、カメラ118の撮像結果に基づいて、自車両が現在走行している車線を判定することができる。
【0048】
また、インフラが整備されて道路に磁気チップが埋め込まれた場合には、車両がその磁気チップをセンシングすることにより、現在走行している車線がどの車線であるかを判定することができる。ステップS2の次に、ステップS3に進む。
【0049】
[ステップS3]
ステップS3では、制御回路130により、上記ステップS2の判定結果に基づいて、自車両が現在走行している車線が一番左側の車線(退出路が設けられている側の車線)を走行しているか否かが判定される。その判定の結果、自車両が走行している車線が一番左側の車線である場合には、ステップS4に進み、そうでない場合には本制御フローはリターンされる。
【0050】
[ステップS4]
ステップS4では、制御回路130により、自車両の前方に高速道路101,102と退出路(接続道路)103,105の分岐201aがあるか否かが判定される。制御回路130は、ナビゲーションシステム装置95から入力した自車両の現在の位置情報と地図情報に基づいて、このステップS4の判定を行う。その判定の結果、自車両の前方に分岐201aがある場合には、ステップS5に進み、そうでない場合には本制御フローはリターンされる。
【0051】
[ステップS5]
ステップS5では、制御回路130により、自車両の前方の分岐201aの前後の高速道路101,102の車線数を判定される。制御回路130は、ナビゲーションシステム装置95に予め記憶されている地図情報に基づいて、ステップS5の判定を行う。ステップS5の次に、ステップS6に進む。
【0052】
[ステップS6]
ステップS6では、制御回路130により、上記ステップS5の結果に基づいて、自車両の前方の分岐201aの前後で高速道路101,102の車線数が減少しているか否かが判定される。図3の例では、高速道路101の車線の数は、分岐201aの前後とも2であり、車線数は減少していない。一方、図4の例では、高速道路102の車線の数は、分岐201aの前では3であり、分岐201aの後では2となり、車線数が減少している。ステップS6の判定の結果、分岐201aの前後で車線数が減少している場合には、ステップS7に進み、そうでない場合にはステップS8に進む。
【0053】
[ステップS7]
ステップS7では、制御回路130により、車両が現在、予め設定された退出路の領域内であるか否かが判定される。制御回路130は、カメラ118による撮像結果(又は道路に埋め込んである磁気チップのセンシング)及びナビゲーションシステム装置95からの情報に基づいて、ステップS7の判定を行う。本例において、退出路の領域は、図4のハッチングに示すように、高速道路102の一番左側の車線102aかつ分岐点201aの手前予め設定された所定距離(例えば100m)の領域及び退出路105として定義されている。ステップS7の判定の結果、車両が現在、退出路の領域内であればステップS9に進み、そうでない場合には本制御フローはリターンされる。
【0054】
[ステップS8]
ステップS8では、制御回路130により、車両が高速道路101と退出路103の間の破線104を跨いだか否かが判定される。制御回路130は、カメラ118による撮像結果(又は道路に埋め込んである磁気チップのセンシング)に基づいて、ステップS8の判定を行う。その判定の結果、車両が破線104を跨いだと判定された場合には、ステップS9に進み、そうでない場合には本制御フローはリターンされる。
【0055】
[ステップS9]
ステップS9では、制御回路130により、スロットル開度センサ114からの信号に基づいて、アクセルがOFFの状態(全閉)か否かが判定される。ステップS9の結果、アクセルがOFFの状態であると判定されれば、ステップS10に進む。アクセルが全閉である場合(ステップS9−Y)に、運転者に減速の意図があると判断されて、本実施形態の減速制御が行われる。一方、アクセルがOFFの状態であると判定されなければ、本制御フローはリターンされる。なお、ステップS9では、アクセルOFFに代えて、ブレーキONを検出することにより、運転者の減速意図を検出してもよい。または、アクセル戻し速度に基づいて、運転者の減速意図を検出してもよい。
【0056】
[ステップS10]
ステップS10では、制御回路130により、変速段の高速段規制が行われる。ステップS10が行われる前までは、原則として、車速Vとスロットル開度から変速段マップに基づいて決定された変速段になっているが、ステップS10が実行されると、予め設定された高速段が規制される。
【0057】
例えば、予め設定された高速段が5速変速段であるケースでは、上記変速段マップに従って決定された変速段が5速以上である場合には、5速変速段が規制されて4速変速段にダウンシフト制御される。一方、上記変速段マップに従って決定された変速段が4速以下である場合には、5速変速段の規制(高速段規制)に影響されず、そのままの変速段とされる。
【0058】
ステップS10において、高速段規制が行われた後の変速段が決定されると、制御回路130のCPU131から電磁弁駆動部138a〜138cにその変速段へのダウンシフト指令(変速指令)が出力される。ダウンシフト指令に応答して、電磁弁駆動部138a〜138cは、電磁弁121a〜121cを通電又は非通電にする。これにより、自動変速機10では、ダウンシフト指令に指示される変速が実行される。
【0059】
なお、ステップS10では、上記変速段マップそのものを変更してもよい。即ち、ステップS10では、高速段規制がマップに反映された変速段マップに切り替えて使用し、車速Vとスロットル開度に基づいて、変速段を決定することができる。ここで、高速段規制がマップに反映された変速段マップとは、例えば、上記例と同様に、規制される高速段が5速変速段である場合、マップ内において、本来、車速とスロットル開度に従うと5速変速段以上であるべき領域の値が4速変速段になっているマップである。ステップS10の次には、本制御フローはリターンされる。
【0060】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0061】
上記特許文献1の技術では、シフトダウン制御を行う制御区間を、本線上における、本線と退出路の分岐点より所定区間だけ手前位置から設定しており、ナビゲーションシステム装置の情報のみに基づいて車両の位置を特定し、その制御区間内で運転者の減速意図(アクセルOFFやブレーキON)が検出された場合には、ダウンシフトを実施している。ところが、本線走行中に運転者に本線から退出する意思が無くても、その制御区間でアクセルOFFやブレーキONがなされる可能性は十分に高く、その場合には意図していないダウンシフトが実施されることになるため、運転者に違和感を与える可能性がある。
【0062】
専用道路本線に対して接続される接続道路の走行に際して車両の駆動力制御が行われる場合には、運転者に違和感を与えることを抑制するために、車両の位置ないしは車両と接続道路との位置関係を正確に判定できることが必要である。特に、専用道路本線と接続道路との接続形態によっては、車両の位置ないしは車両と接続道路との位置関係を正確に判定することが困難な場合がある。
【0063】
本実施形態では、高速道路101,102と退出路103,105との接続形態によって、高速道路101,102と退出路103,105の分岐201aの前後で高速道路101,102の本線数が減少するか否かに基づいて、車両の位置ないしは車両と退出路との位置関係の検出方法(退出路制御の実行条件)を変更している。
【0064】
分岐201aの前後で高速道路101の本線数が減少しない接続形態(図3)においては、ナビゲーションシステム装置95の情報に基づいて、車両の位置ないしは車両と退出路との位置関係の検出を行うのみならず、車両に搭載されたカメラの画像情報に基づいて、車両が破線104を跨いだことを判定することにより(ステップS8)、車両が退出路103(領域202)に入ったか(高速道路101を出たか)否かを高精度に判定することとしている。これにより、ナビゲーションシステム装置95の情報のみに基づいて車両の位置判定を行っていた場合に比べて、車両が退出路103に入ったことを高精度に判定することができ、退出路制御(ステップS10)の有無及び実行タイミングの判断がより的確に行われて、運転者の違和感が抑制される。
【0065】
分岐201aの前後で高速道路102の本線数が減少する接続形態(図4)においては、破線106を車両が跨ぐことなく、高速道路102から退出路105に入っていく場合が考えられるため、上記「車両が破線を跨いだか」の判定(ステップS8)に代えて、「車両が一番左側の車線102aを走行しているか」の判定(ステップS7)を行う。この判定を行うことにより、退出路105を走行する又は走行しようとしている車両の位置検出を高精度に行えるようにしている。これにより、退出路制御(ステップS10)の有無及び実行タイミングの判断がより的確に行われ、運転者の違和感が抑制される。
【0066】
上記のように、本実施形態では、高速道路101、102と退出路103、105の接続形態に応じて、それぞれ高精度に車両位置を検出できる方法に車両位置検出方法を切り替えることができる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、図5〜図8を参照して、第2実施形態について説明する。
第2実施形態において、上記第1実施形態と共通する部分についての説明は省略する。
【0068】
図5から図8は、一般道路から高速道路への合流路(接続道路)を走行する場合について説明するための図である。
【0069】
図6は、専用道路本線に接続された一般的な合流路(接続道路)を模式的に示す平面図である。高速道路(専用道路本線)301には、合流路303が接続されている。高速道路301と退出路303は、道路上に描かれた破線304によって区切られている。
【0070】
図6において、車両が合流路303に進入しているときには、より駆動力が出る特性に電子スロットル特性が変更されて駆動力制御(合流制御)がなされる。これにより駆動力のアクセルによるコントロール性が向上する。車両が破線304を跨いで高速道路301に入ったとき、即ち、ハッチングで示される符号402の領域(合流路303と同じ領域)から車両が出ているときにアクセルがOFFにされると、通常の電子スロットル特性に復帰し、駆動力制御(合流制御)が停止される。
【0071】
図6に示すような一般的な合流路303においては、次の二つの条件(1)、(2)が満たされたときに、車両が破線304を跨いで合流路303(領域402)を出たと認められる。なお、ここで、一般的な合流路303とは、分岐点201aの前後において高速道路301の車線数の増加する方向の変化を生じさせない退出路である。
【0072】
(1)車両に搭載されたカメラを用いて車両が高速道路301に入ったこと(例えば車両が破線304を跨いだこと、以下、本例を用いて説明する)が判定されたと共に、(2)ナビゲーションシステム装置95の情報に基づいて車両が分岐点201aの近傍にいることが判定されたときに、車両が破線304を跨いで合流路303(領域402)から出たと認められる。
【0073】
本実施形態では、従来のように、ナビゲーションシステム装置95の情報に基づいて、車両の位置検出を行うのみならず、車両に搭載されたカメラの画像情報に基づいて車両が破線304を跨いだことを判定することにより、車両が合流路303(領域402)から出たか否かを高精度に判定することとしている。
【0074】
図7は、合流路(接続道路)がそのまま専用道路本線の車線となっている合流路を模式的に示す平面図である。合流路305がそのまま高速道路302の一番左側の車線302aになっている。高速道路302は、合流路305の手前までは2車線302b、302cであるが、合流路305が合流した後はそのまま高速道路302の1車線302aを構成するために、その後は3車線302a〜302cとなっている。
【0075】
図7のように、合流路305がそのまま高速道路302の車線302aとされている場合には、高速道路302において車線302aと車線302bとの境界線部分に描かれている破線306を車両が跨ぐことなく、合流路305から高速道路302に入っていく場合がある。即ち、合流路305から合流路302に合流した後に、破線306を跨ぐことなく車線302aを走行する。そのため、上記図6のような一般的な合流路での合流路脱出判定に用いる「車両が破線を跨いだか」の判定条件を用いることができない。
【0076】
そこで、図7のようなケースでは、「車両が破線を跨いだか」の判定に代えて、「車両が一番左側の車線302aを走行しているか」の判定を行う。即ち、図7のケースでは、
ナビゲーションシステム装置95の情報に基づいて、車両の位置検出を行うのみならず、「車両が一番左側の車線302aを走行しているか」の判定を行うことにより、高速道路302を走行する又は走行しようとしている車両の位置検出を高精度に行えるようにしている。
【0077】
上記のように、本実施形態では、高速道路301、302と合流路303、305の分岐点201aの前後で本線(高速道路)の車線が増加するか否かに基づいて、車両位置検出方法を切り替えることとしている。
【0078】
図5を参照して、本実施形態の動作を説明する。
ここでは、図6及び図7に示したように、車両が合流路(接続道路)303,305から高速道路301,302を走行する場合について説明する。
【0079】
[ステップS101]
ステップS101では、制御回路130により、車両が高速道路301,302の合流路303,305に進入したか否かが判定される。ナビゲーションシステム装置95による車両の現在位置情報と予め記憶された地図情報に基づいて、ステップS101の判定を行う。例えば、高速道路301,302の料金所(図示せず)を通過した後は、合流路303,305に進入したと判定することができる。ステップS101の判定の結果、車両が高速道路301,302の合流路303,305に進入していれば、ステップS102に進み、そうでない場合には本制御フローはリターンされる。
【0080】
[ステップS102]
ステップS102では、制御回路130により、合流路制御が開始され、電子スロットルの非線形開度特性をより駆動力が出る特性に変更する。例えば、図8の通常特性から変更後特性に変更する。これにより、駆動力のアクセルによるコントロール性が向上する。ステップS102の次にステップS103が行われる。
【0081】
[ステップS103]
ステップS103では、制御回路130により、自動変速機10の高速段へのアップシフトが禁止される。例えば自動変速機10が5速ATであれば、5速へのアップシフトが禁止される。また、アクセル開度と車速に基づいて変速段が決定される変速線図(図示せず)のアップ線を高車速側に変更してもよい。これにより、通常時(合流路制御が行われていない時)に比べて、低速段が選択されて駆動力が増すとともに、アップシフトが禁止されることで、オフアップ(アクセル開度が低下することによるアップシフト)が実行されないことになり、合流路での駆動力のアクセルコントロール性が向上する。ステップS103の次にステップS104が行われる。
【0082】
[ステップS104]
ステップS104では、制御回路130により、高速道路301,302と合流路303,305の分岐201aの前後における高速道路301,302の車線数が判定される。制御回路130は、ナビゲーションシステム装置95に予め記憶されている地図情報に基づいて、ステップS104の判定を行う。ステップS104の次にステップS105が行われる。
【0083】
[ステップS105]
ステップS105において、制御回路130は、上記ステップS104の判定結果に基づいて、分岐201aの前後における高速道路301,302の車線数が増加したか否かを判定する。その判定の結果、車線数が増加している場合にはステップS106に進み、そうでない場合にはステップS107に進む。図6の例では、分岐201aの前後における高速道路301の車線数が増加しない(分岐201aの前後とも車線数は2)ためにステップS107に進み、図7の例では、分岐201aの前後における高速道路302の車線数が増加する(分岐201aの前から後で車線数は2から3に増加する)ためにステップS108に進む。
【0084】
[ステップS106]
ステップS106では、制御回路130により、車両が現在、予め設定された合流路の領域を出たか否かが判定される。制御回路130は、カメラ118による撮像結果(又は道路に埋め込んである磁気チップのセンシング)及びナビゲーションシステム装置95からの情報に基づいて、ステップS106の判定を行う。本例において、合流路領域は、図7のハッチングに示すように、合流路305と、高速道路302の一番左側の車線302aかつ分岐点201aの後予め設定された所定距離(例えば100m)の領域として定義されている。ステップS106の判定の結果、車両が現在、合流路の領域を出たのであればステップS108に進み、そうでない場合には再度ステップS106が実行される。
【0085】
[ステップS107]
ステップS107では、制御回路130により、車両が高速道路301と合流路303の間の破線304を跨いだか否かが判定される。制御回路130は、カメラ118による撮像結果(又は道路に埋め込んである磁気チップのセンシング)に基づいて、ステップS107の判定を行う。その判定の結果、車両が破線304を跨いだと判定された場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には再度ステップS107が実行される。
【0086】
[ステップS108]及び[ステップS109]
ステップS108では、制御回路130により、電子スロットル特性が通常時のものにに変更される。図8の例では、上記ステップS102で変更後特性に変更された電子スロットル特性から通常特性に復帰する。次にステップS109では、上記ステップS103にて行われたアップシフトの禁止が解除されて通常変速制御に復帰する。これにより、合流制御が停止する。その後、本制御フローはリターンされる。
【0087】
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態では、高速道路301,302と合流路303,305との接続形態によって、高速道路301,302と退出路303,305の分岐201aの前後で高速道路301,302の本線数が増加するか否かに基づいて、車両の位置ないしは車両と合流路との位置関係の検出方法(合流路制御の実行条件)を変更している。
【0088】
分岐201aの前後で高速道路301の本線数が増加しない接続形態(図6)においては、ナビゲーションシステム装置95の情報に基づいて、車両の位置ないしは車両と合流路との位置関係の検出を行うのみならず、車両に搭載されたカメラの画像情報に基づいて、車両が破線304を跨いだことを判定することにより(ステップS107)、車両が合流路303(領域304)を出たか(高速道路301に入ったか)否かを高精度に判定することとしている。これにより、ナビゲーションシステム装置95の情報のみに基づいて車両の位置判定を行っていた場合に比べて、車両が合流路303を出たことを高精度に判定することができ、合流路制御の停止条件(ステップS108、ステップS109)の判断がより的確に行われて、運転者の違和感が抑制される。
【0089】
分岐201aの前後で高速道路302の本線数が増加する接続形態(図7)においては、破線306を車両が跨ぐことなく、高速道路302に入っていく場合が考えられるため、上記「車両が破線を跨いだか」の判定(ステップS107)に代えて、「車両が合流路として予め設定された領域(図7のハッチング領域)に含まれる一番左側の車線302aを出たか」の判定(ステップS106)を行う。この判定を行うことにより、合流路305から出た車両の位置検出を高精度に行えるようにしている。これにより、合流路制御の停止条件(ステップS108、ステップS109)の判断がより的確に行われ、運転者の違和感が抑制される。
【0090】
上記のように、本実施形態では、高速道路301、302と合流路303、305の接続形態に応じて、それぞれ高精度に車両位置を検出できる方法に車両位置検出方法を切り替えることができる。
【0091】
上記実施形態では、専用道路本線が高速道路である場合について説明したが、一般道のバイパスや有料道路の退出・合流にも適用可能である。また、高速道路のインターチェンジの退出路・合流路だけではなく、専用道路本線から駐車エリア(パーキングエリア又はサービスエリア)への退出路・合流路にも適用することが可能である。また、上記実施形態は、接続道路が専用道路本線同士を接続する道路であるケース、例えば、接続道路が高速道路同士を接続するジャンクションである場合にも適用可能である。
【0092】
また、上記実施形態においては、変速機として、有段の自動変速機10を用いた例について説明したが、無段変速機(CVT)や、自動変速モード付きのマニュアルトランスミッションにも適用することが可能である。また、上記実施形態では、退出路制御の減速手段として、自動変速機10のダウンシフトを用いたが、これに代えて、またはこれと併せて、ブレーキ装置またはモータジェネレータ(MG)による回生ブレーキを用いることができる。また、上記実施形態では、合流路制御に際して、電子スロットルの特性の変更に代えて、またはこれと併せてMGによる力行(モータでの加速アシスト)を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図2】本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態の概略構成図である。
【図3】本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態において、専用道路本線に接続された接続道路を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態において、専用道路本線に接続された他の接続道路を模式的に示す平面図である。
【図5】本発明の車両用駆動力制御装置の第2実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の車両用駆動力制御装置の第2実施形態において、専用道路本線に接続された接続道路を模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の車両用駆動力制御装置の第2実施形態において、専用道路本線に接続された他の接続道路を模式的に示す平面図である。
【図8】本発明の車両用駆動力制御装置の第2実施形態の電子スロットル制御を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
【0094】
10 自動変速機
40 エンジン
95 ナビゲーションシステム装置
101 高速道路
102 高速道路
102a 車線
102b 車線
102c 車線
102e 車線の境界線
103 退出路
104 破線
105 退出路
106 破線
114 スロットル開度センサ
116 エンジン回転数センサ
117 パターンセレクトスイッチ
118 カメラ
122 車速センサ
123 シフトポジションセンサ
130 制御回路
131 CPU
133 ROM
201 ノード点
201a 分岐点
301 高速道路
302 高速道路
302a 車線
302b 車線
302c 車線
303 合流路
304 破線
305 合流路
306 破線
X1、X3、X5 車両位置
X11、X13、X15 車両位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車専用道路の本線から分岐して前記自動車専用道路の本線に接続される接続道路を走行する車両に対して駆動力制御が行われる予め設定された制御領域と車両との位置関係を判定する車両位置判定装置であって、
前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化するか否かを検出する手段と、
前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化する場合であって、車両が前記自動車専用道路の本線の走行車線のうち前記接続道路側の走行車線における予め設定された範囲にいる場合には、車両は前記制御領域にいると判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする車両位置判定装置。
【請求項2】
自動車専用道路の本線から分岐して前記自動車専用道路の本線に接続される接続道路を走行する車両に対して駆動力制御が行われる予め設定された制御領域と車両との位置関係を判定する車両位置判定装置であって、
前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化するか否かを検出する手段と、
前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化する場合と前記車走行車線の数が変化しない場合とでは車両が前記制御領域内にいるか否かの判定を異なる方法で行う判定手段と
を備えたことを特徴とする車両位置判定装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両位置判定装置において、
前記判定手段は、前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化する場合には、車両が前記自動車専用道路の本線の走行車線のうち前記接続道路側の走行車線における予め設定された範囲にいる場合に、車両が前記制御領域にいると判定する
ことを特徴とする車両位置判定装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の車両位置判定装置において、
前記判定手段は、前記分岐の場所の前後で前記自動車専用道路の本線の走行車線の数が変化しない場合には、車両に設けられた撮像手段によって道路を撮像した情報に基づいて、車両が前記自動車専用道路の本線と前記接続道路の境界線を超えたことを検出することによって、車両が前記制御領域にいると判定する
ことを特徴とする車両位置判定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両位置判定装置において、
前記接続道路は、車両が前記自動車専用道路の本線に入るときに走行する道路である
ことを特徴とする車両位置判定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の車両位置判定装置において、
前記接続道路は、車両が前記自動車専用道路の本線から出るときに走行する道路である
ことを特徴とする車両位置判定装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の車両位置判定装置と、
車両が前記制御領域にいるときと前記制御領域にいないときとで異なる駆動力制御を行う駆動力制御手段と
を備えたことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の車両用駆動力制御装置において、
前記接続道路は、車両が前記自動車専用道路の本線に入るときに走行する道路であり、
前記駆動力制御手段は、車両が前記制御領域にいるときには、前記制御領域にいないときに比べて、車両の駆動力が発生し易いように前記駆動力制御を行う
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
【請求項9】
請求項7記載の車両用駆動力制御装置において、
前記接続道路は、車両が前記自動車専用道路の本線から出るときに走行する道路であり、
前記駆動力制御手段は、車両が前記制御領域にいるときには、前記制御領域にいないときに比べて、運転者の減速意図が検出されたときに車両の減速度が増大するように前記駆動力制御を行う
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−196851(P2007−196851A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17807(P2006−17807)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】