説明

車両用スマートエンジンスタータシステム

【課題】車両用スマートエンジンスタータシステムにおいて、誤って、携帯用送受信機の持ち出し警報を行うことを抑制するとともに、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になってから、携帯用送受信機の持ち出し警報を行うまでの所要時間が長くなることを抑制する。
【解決手段】車両が停車した直後に、車載機の室内送信アンテナからリクエスト信号が通常モードで送信され、その送信されたリクエスト信号に対して、ID信号が返信されない、又はIDコードの認証が得られない場合には、車両が給油機の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、トランスミッタ持ち出し警報を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スマートエンジンスタータシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯機からのID信号を車載機で受信して、該ID信号に含まれるIDコードの認証が得られれば、車両のエンジンの始動等を許容するようにしたスマートキーレスシステムは知られている。
【0003】
詳しくは、上記スマートキーレスシステムは、例えば特許文献1に開示されるように、乗員のエンジン始動操作時において、車載機からリクエスト信号が車内に送信されると、それに対して携帯機からIDコードを含むID信号が送信され、該ID信号を受信した車載機のスマートキーレス制御ユニットによってIDの認証が行われる。そして、上記IDの認証が成立すれば、すなわちID信号中のIDコードがスマートキーレス制御ユニットに登録されているIDコードと一致すれば、該スマートキーレス制御ユニットがエンジンの始動を許可する信号を出力し、乗員の操作に応じてエンジンの始動が行われるようになっている。
【0004】
一方、上記リクエスト信号の送信後、所定時間内にIDの認証が得られない場合には、上記スマートキーレス制御ユニットはエンジンの始動を許可しないようになっている。
【0005】
ところが、上述のようなスマートキーレス装置では、エンジンが運転状態にあるときに、携帯機が車内から持ち出されると、その後、IDの認証を必要とする各種制御(エンジンの始動等)を行うことができなくなるため、車内に携帯機が存在しているかどうかを監視しておく必要がある。そのため、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になったときには、車内にリクエスト信号を送信して、それに対して携帯機から送信されるID信号を受信し、そのIDの認証を行うことで、車内に携帯機が存在しているかどうかを判定するとともに、携帯機が車内から車外に持ち出されたと判定された場合には、警報等を行って乗員に報知することが考えられている。
【0006】
また、従来より、自動課金用車載機からのクレジット信号を給油機で受信して、給油の代金を支払うようにした、LF磁界を用いた自動課金システムは知られている。
【0007】
詳しくは、上記自動課金システムは、給油機の送信アンテナから自動課金信号が送信されると、それに対して自動課金用車載機から車両のユーザのクレジットカードの情報を含むクレジット信号が送信され、該クレジット信号を給油機の自動課金制御ユニットによって受信する。そして、該自動課金制御ユニットが、ユーザのクレジットカードの情報、及び給油の代金の情報を含む信号を金融機関等に出力し、それにより、ユーザが現金やクレジットカードを取り出すことなく、給油の代金がそのクレジットカードで支払われるようになっている。
【特許文献1】特開2003−269019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記自動課金信号は、上記リクエスト信号のパルス長さよりも小さい所定間隔で常時送信され、かつ、自動課金信号とリクエスト信号の周波数はほぼ同じであるのが一般的である。そのため、車両が、例えば、オープンカーなどの、車室の上方に金属製のルーフがないもの等である場合において、その車両が上記給油機の近傍に位置するときには、リクエスト信号と自動課金信号とが互いに干渉してしまい、リクエスト信号が携帯機側で正常に受信されない可能性がある。この場合、車内に携帯機が存在しているにも拘わらず、誤警報等を行ってしまうおそれがある。
【0009】
また、上記自動課金システムとは別のシステムであっても、そのシステムが上記自動課金信号と同様の周波数帯の特定信号を、自動課金信号と同様の間隔で送信するものであるならば、このシステムの近傍に上記車両が位置するときにも、上記弊害が発生する。
【0010】
そこで、上記弊害を取り除くため、リクエスト信号の送信(以下、この送信様式を通常モードという)後、車両が上記自動課金システムの給油機等の近傍に位置するときであってもリクエスト信号と自動課金信号等とが互いに干渉しないよう、リクエスト信号を分割した上でそれらの各リクエスト信号を相隣り合う自動課金信号等の間に順次再送信させ(以下、この送信様式を分割モードという)、それらに対して携帯機から送信されるID信号を受信し、そのIDの認証を行うことで、車内に携帯機が存在しているかどうかを判定し、誤警報等を行うことを抑制することも考えられる。
【0011】
しかしながら、この場合、誤警報等を行うことを抑制できるものの、リクエスト信号が通常モードと分割モードとで送信されるため、車両が停車した後、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になってから、ID信号の受信及びIDコードの照合までに長時間を要してしまう。そのため、乗員は、携帯機が車外に持ち出された場合は、その旨をできる限り早く知りたいにも拘わらず、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になってから、警報等を行うまでに長時間(例えば、4秒)を要してしまい、スマートキーレスシステムの実用性を高レベルで維持できない。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、携帯用送受信機からのID信号を車載受信機で受信して、該ID信号に含まれるIDコードの認証が得られれば、車両のエンジンの始動を許容するようにした車両用スマートエンジンスタータシステムにおいて、誤って、携帯用送受信機の持ち出し警報を行うことを抑制するとともに、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になってから、携帯用送受信機の持ち出し警報を行うまでの所要時間が長くなることを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、リクエスト信号を無線送信する車載送信機と、上記リクエスト信号を受信したときに、ID信号を無線送信する携帯用送受信機と、上記ID信号を受信する車載受信機と、イグニッションスイッチがSTARTへ操作された場合に、上記車載送信機に上記リクエスト信号を車内に送信させて、該リクエスト信号に対して、ID信号を上記車載受信機で受信しかつそのIDの認証が成立したときに、エンジンの始動を許可する制御手段とを備えた車両用スマートエンジンスタータシステムであって、上記制御手段は、上記イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になった場合には、上記リクエスト信号を車内に送信させて、該リクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、上記携帯用送受信機の持ち出し警報を行うとともに、車両が停車状態になった場合には、上記リクエスト信号を車内に送信させて、該リクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、上記持ち出し警報を規制するように構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
尚、本発明の「携帯用送受信機の持ち出し警報を規制する」とは、携帯用送受信機の持ち出し警報を行わないことや、携帯用送受信機の持ち出し警報を、その程度を抑えて行うことを含む。
【0015】
本発明によれば、車両が停車状態になった場合には、制御手段により、リクエスト信号を車内に送信させる。そして、そのリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、車両は、自動課金システムの自動課金制御ユニット等の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、制御手段により、携帯用送受信機の持ち出し警報を規制する。以上のように、車両が停車状態になった場合には、リクエスト信号を車内に送信させることで、車両が、オープンカーなどの、車室の上方に金属製のルーフがないもの等であっても、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になった場合において、車両が、自動課金システムの自動課金制御ユニット等の近傍に位置することを原因として、誤って、携帯用送受信機の持ち出し警報を通常どおり行うことを未然に抑制できる。
【0016】
以下、車両が停車状態になった場合にリクエスト信号を車内に送信させることで、誤って、携帯用送受信機の持ち出し警報を通常どおり行うことを未然に抑制できることについて詳述する。すなわち、携帯用送受信機は、車両走行中には、当然車内に存在し、車両が停車状態になったときも、車内に存在する可能性が高い。ところが、車室の上方に金属製のルーフがない車両等が、特定信号、例えば自動課金信号に曝されていると、車内に送信されるリクエスト信号とその特定信号とが干渉してしまう。そのため、このリクエスト信号に対するIDの認証の成否を判定することで、携帯用送受信機の持ち出し警報の規制の可否を高精度でかつ早期に判定して、誤って、携帯用送受信機の持ち出し警報を通常どおり行うことを未然に抑制している。
【0017】
また、本発明によれば、車両が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しかつそのIDの認証が成立したときには、車両は、自動課金システムの自動課金制御ユニット等の近傍に位置しないとして、制御手段により、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になったときにおいてリクエスト信号を車内に送信させる。そして、そのリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、携帯用送受信機は車内に存在しないとして、制御手段により、携帯用送受信機の持ち出し警報を行う。以上のように、車両が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しかつそのIDの認証が成立したときにおいて、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になったときには、リクエスト信号を車内に送信させた後、リクエスト信号を車内に再送信させなくてもよいため、上述のように、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になった場合において、リクエスト信号の通常モードでの送信後、リクエスト信号を分割モードで再送信させるのと比較して、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になってから、携帯用送受信機の持ち出し警報を行うまでの所要時間が長くなることを抑制できる。
【0018】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記制御手段は、上記車両が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、上記持ち出し警報を規制するとともに、上記リクエスト信号を、該リクエスト信号を分割した上で送信させる分割モードで車内に再送信させて、該分割モードで再送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、上記持ち出し警報の規制を解除する、又は上記イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態で上記ドアが開状態になったときにおいて上記持ち出し警報を行うように構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
本発明によれば、車両が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、車両は、自動課金システムの自動課金制御ユニット等の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、制御手段により、携帯用送受信機の持ち出し警報を規制するとともに、リクエスト信号を分割モードで車内に再送信させる。そして、突発的に発生したノイズ等を原因として、その分割モードで再送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、携帯用送受信機は車内に存在しない、又は存在しないおそれがあるとして、制御手段により、携帯用送受信機の持ち出し警報の規制を解除する、又はイグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になったときにおいて携帯用送受信機の持ち出し警報を行う。以上のように、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になった場合において、携帯用送受信機が実際に車内に存在しないときに、携帯用送受信機の持ち出し警報を行わないことを抑制できる。
【0020】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記制御手段は、上記車両が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、上記持ち出し警報を規制するとともに、上記リクエスト信号を、該リクエスト信号を分割した上で送信させる分割モードで車内に再送信させて、該分割モードで再送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しかつそのIDの認証が成立したときには、上記持ち出し警報の規制を解除するとともに、上記イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態で上記ドアが開状態になったときにおいて上記リクエスト信号を上記分割モードで車内に送信させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明によれば、車両が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、車両は、自動課金システムの自動課金制御ユニット等の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、制御手段により、携帯用送受信機の持ち出し警報を規制するとともに、リクエスト信号を分割モードで車内に再送信させる。そして、その分割モードで再送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しかつそのIDの認証が成立したときには、車両は、自動課金システムの自動課金制御ユニット等の近傍に位置するとして、制御手段により、携帯用送受信機の持ち出し警報の規制を解除するとともに、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になったときにおいてリクエスト信号を分割モードで車内に送信させる。それから、その分割モードで送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、携帯用送受信機は車内に存在しないとして、制御手段により、携帯用送受信機の持ち出し警報を行う。以上のように、車両が、自動課金システムの自動課金制御ユニット等の近傍に位置する場合においても、携帯用送受信機の持ち出し警報を最低限行うことができる。
【0022】
また、本発明によれば、車両が、自動課金システムの自動課金制御ユニット等の近傍に位置する場合において、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になったときには、リクエスト信号を分割モードで送信させるのみで、リクエスト信号を通常モードで車内に送信させなくてもよいため、上述のように、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になった場合において、リクエスト信号の通常モードでの送信後、リクエスト信号を分割モードで再送信させるのと比較して、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になってから、携帯用送受信機の持ち出し警報を行うまでの所要時間が長くなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、車両が停車状態になった場合には、制御手段により、リクエスト信号を車内に送信させて、そのリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、車両は、自動課金システムの自動課金制御ユニット等の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、制御手段により、携帯用送受信機の持ち出し警報を規制する。以上のように、車両が停車状態になった場合には、リクエスト信号を車内に送信させることで、車両が、オープンカーなどの、車室の上方に金属製のルーフがないもの等であっても、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になった場合において、車両が、自動課金システムの自動課金制御ユニット等の近傍に位置することを原因として、誤って、携帯用送受信機の持ち出し警報を通常どおり行うことを未然に抑制できる。
【0024】
また、本発明によれば、車両が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しかつそのIDの認証が成立した場合には、制御手段により、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になったときにおいてリクエスト信号を車内に送信させて、そのリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、携帯用送受信機は車内に存在しないとして、制御手段により、携帯用送受信機の持ち出し警報を行う。以上のように、車両が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しかつそのIDの認証が成立した場合において、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になったときには、リクエスト信号を車内に送信させた後、リクエスト信号を車内に再送信させなくてもよいため、上述のように、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になった場合において、リクエスト信号の通常モードでの送信後、リクエスト信号を分割モードで再送信させるのと比較して、イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になってから、携帯用送受信機の持ち出し警報を行うまでの所要時間が長くなることを抑制できる。したがって、車両用スマートキーレスシステムの実用性を高レベルで維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1の上側は、本発明の実施形態に係る車両用スマートキーレスシステムの全体の構成を示す。このシステムは、乗員が携帯する携帯用送受信機としてのトランスミッタ2と、車両としてのオープンカー1に搭載された車載機3とで構成されている。図2は、車載機3を搭載したオープンカー1の概略図である。図2において、符号1は、車載機3を搭載したオープンカーであって、車両右側に運転席側ドア11aが設けられる一方、車両左側に助手席側ドア11bが設けられると共に、車室内前方に位置するインストゥルメントパネル12の運転席側上部にはメータユニット12aが設けられ、かつ、折り畳みのできる布製のルーフ(幌屋根。図示省略)を持っている。図2では、オープンカー1は、ルーフが折り畳まれた状態である。尚、ルーフが折り畳まれた状態のオープンカー1の車室内とは、ルーフが展開した状態のオープンカー1の車室内と同じ範囲をいう。
【0027】
上記トランスミッタ2は、CPUからなるトランスミッタ制御ユニット22を有する。このトランスミッタ制御ユニット22には、車載機3からのリクエスト信号rを受信する受信アンテナ23と、IDコードを含むID信号iを無線送信する送信アンテナ24と、が信号の授受可能に接続されている。この受信アンテナ23が、上記車載機3からのリクエスト信号rを受信すると、この受信信号を受けてトランスミッタ制御ユニット22がIDコードを含むID信号iを送信アンテナ24から送信させる。このID信号iの周波数は、315MHzである。
【0028】
車載機3は、制御手段としての、CPUを有するスマートキーレス制御ユニット4が設けられている。このスマートキーレス制御ユニット4には、車両内の運転席前方に位置するインストゥルメントパネル12の上部に設けられたメータユニット12aと、このメータユニット12aの下側に設けられた、車両1を運転状態にするイグニッションスイッチとしてのイグニッションスタータ13と、車両1の車速を検出する車速検出センサ14と、上記運転席側及び助手席側ドア11a,11bそれぞれのドアノブに設けられた車室外のドアリクエストスイッチ50,50と、各ドア11a,11bそれぞれに設けられ各ドア11a,11bをロック状態又はアンロック状態に切り換えるドアロックアクチュエータ51,51と、各ドア11a,11bが開き状態にあることを検出するドア開検出センサ52,52と、車両の各ドア11a,11bがロック又はアンロックされていることを検出するドアロック検出センサ53,53と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出センサ54と、上記トランスミッタ2にリクエスト信号rを無線送信するための車載送信機としての室外及び室内送信アンテナ61,62と、インストゥルメントパネル12の上側に設けられた車載受信機としての車載受信アンテナ63と、車外に警報を鳴らす車外ブザー7と、ECU(エンジン制御ユニット)8と、が信号の授受可能に接続されている。尚、上記車外ブザー7の音量は、所定の音量に初期設定されている。
【0029】
上記メータユニット12aには、車室内の乗員に警報を行う警報ランプ(図示省略)及び車内警報ブザー(図示省略)と、イグニッションスタータ13のキーノブ(図示省略)のロックが解除されたことを通知するキーノブロック解除表示ユニット(図示省略)とが設けられている。尚、上記車内警報ブザーの音量は、所定の音量に初期設定されている。
【0030】
上記イグニッションスタータ13は、そのキーノブが回転操作されることによって、アクセサリOFF、アクセサリON、イグニッションON、イグニッションSTARTの4つの操作を切り換えて行うべく、それぞれに対応した操作信号をスマートキーレス制御ユニット4に供給する。
【0031】
上記ドアリクエストスイッチ50は、車室外から押圧操作可能に車両の運転席側及び助手席側ドア11a,11bのドアノブに設けられ、ドアアンロックするとき又はドアロックするときに、その意思表示を行うために使用するものである。また、このドアリクエストスイッチ50は、押圧操作が行われることによってスマートキーレス制御ユニット4にオン信号を供給する。そして、スマートキーレス制御ユニット4は、このオン信号によって、ドアリクエストスイッチ50の操作者により車外からドアアンロック又はドアロック操作が行われたことを検出する。
【0032】
上記ドアロックアクチュエータ51は、スマートキーレス制御ユニット4からのドアロック信号又はドアアンロック信号を受けて、運転席側ドア11a及び/又は助手席側ドア11bをドアロック又はアンロックする。
【0033】
上記ドア開検出センサ52は、運転席側及び助手席側ドア11a,11bが開状態であるか閉状態であるかを識別するためのセンサであって、ドア11a,11bそれぞれに設けられていて、ドア11a(又は11b)が開状態にあるときに、ドア開信号をスマートキーレス制御ユニット4に供給する。
【0034】
上記室外送信アンテナ61は、運転席側及び助手席側ドア11a,11b、リヤエンドパネル11cの3箇所にそれぞれ設けられた、運転席側送信アンテナ61a、助手席側送信アンテナ61b及びリヤエンドパネル送信アンテナ61cからなる。尚、上記室外送信アンテナ61のうち、運転席側送信アンテナ61a及び助手席側送信アンテナ61bは、車室内にも電波が送信されるようになっている。上記室内送信アンテナ62は、助手席の車両前方に位置するインストゥルメントパネル12の車両前方側及び座席の車両後方側の2箇所にそれぞれ設けられたフロント送信アンテナ62a及びリヤ送信アンテナ62bからなる。
【0035】
上記送信アンテナ61a〜61c,62a,62bは、それぞれ、該送信アンテナ61a〜61c,62a,62bを中心に略球状の範囲内にリクエスト信号rを送信するとともに、それらの範囲がオーバーラップするように構成されている。そして、リクエスト信号rは、上記送信アンテナ61a〜61c,62a,62bから順に送信されるようになっている。
【0036】
上記車載受信アンテナ63は、上記トランスミッタ2からのID信号iを受信し、このID信号iをスマートキーレス制御ユニット4へ供給する。
【0037】
そして、上述のように送信アンテナ61a〜61c,62a,62bを配置することによって、トランスミッタ2が車室内外のどこに位置するかを把握できるようになっている。つまり、室外及び室内送信アンテナ61,62のリクエスト信号r,rのうち、室外送信アンテナ61のリクエスト信号rに対してのみ、トランスミッタ2が返信するID信号iが車載受信アンテナ63によって受信されたときは、トランスミッタ2は運転席側ドア11a近傍の車外、助手席側ドア11b近傍の車外又はリヤエンドパネル11c近傍の車外に存在すると判定することができ、室外及び室内送信アンテナ61,62の両方のリクエスト信号r,rに対してトランスミッタ2が返信するID信号i,iが車載受信アンテナ63によって受信されたときは、トランスミッタ2は車室内に存在すると判定することができる。
【0038】
図1の下側は、自動課金システムの全体の構成を示す。このシステムは、車両1に搭載された自動課金用車載機70と、ガソリンスタンドに設置された給油機80とで構成されている。図3は、この給油機80を設置したガソリンスタンドの概略図である。
【0039】
上記自動課金用車載機70は、CPUからなる車載機制御ユニット71を有する。この車載機制御ユニット71には、給油機80からの自動課金信号sを受信する受信アンテナ72と、車両1のユーザのクレジットカードの情報を含むクレジット信号jを無線送信する送信アンテナ73と、が信号の授受可能に接続されている。この受信アンテナ72が、上記給油機80からの自動課金信号sを受信すると、この受信信号を受けて車載機制御ユニット71が車両1のユーザのクレジットカードの情報を含むクレジット信号jを送信アンテナ73から送信させる。このクレジット信号jの周波数は、130kHzである。
【0040】
上記給油機80は、CPUを有する自動課金制御ユニット81が設けられている。この自動課金制御ユニット81には、給油を行うための給油ポンプ82、操作スイッチ83及びディスプレイ84と、上記自動課金用車載機70に自動課金信号sを送信しかつ自動課金用車載機70からのクレジット信号jを受信する送受信アンテナ85と、が信号の授受可能に接続されている。尚、自動課金信号sを送信する送信アンテナと、クレジット信号jを受信する受信アンテナとが別々に設けられても良い。
【0041】
上記送受信アンテナ85は、その高さ位置が車両1の展開状態のルーフの高さ位置よりも高くなるよう、給油機80の上面に設けられ、該送受信アンテナ85の下側の略球状の範囲内に自動課金信号sを所定間隔t(この所定間隔tの詳細については後述する)で常時送信する(図4の中段を参照)。また、送受信アンテナ85は、上記自動課金用車載機70からのクレジット信号jを受信し、このクレジット信号jを自動課金制御ユニット81へ供給する。
【0042】
そして、自動課金制御ユニット81が、車両1のユーザのクレジットカードの情報、及び給油の代金の情報を含む信号を金融機関等(図示せず)に出力し、それにより、車両1のユーザが現金やクレジットカードを取り出すことなく、給油の代金がそのクレジットカードで支払われるようになっている。
【0043】
以下、車載機3のスマートキーレス制御ユニット4で行われる信号処理の動作を説明する。
【0044】
まず、上記車両用スマートキーレスシステムによるドアロック制御について説明する。このドアロック制御とは、トランスミッタ2に内蔵されたキー部をドア11a(又は11b)のキーシリンダに差し込んで操作することなく、ドア11a(又は11b)のアンロック/ロック操作を行う制御である。
【0045】
車両1のエンジン停止時において、上記トランスミッタ2を所持した乗員が上記ドアリクエストスイッチ50を押圧操作すると、室外及び室内送信アンテナ61,62からリクエスト信号r,rがそれぞれ送信される。この両送信アンテナ61,62からのリクエスト信号r,rを受けたトランスミッタ2がID信号iを返信し、このID信号iを車載受信アンテナ63で受信し、さらに、ID信号i中のIDコードの照合を行う。ここで、室外送信アンテナ61のリクエスト信号rに対してのみ、ID信号iが返信され且つIDコードの認証が得られた場合には、トランスミッタ2を所持した乗員が運転席側又は助手席側ドア11a,11bの近傍にいるとして、ドア11a,11bのロック/アンロック状態に応じて、ドア11a,11bをアンロック/ロック制御する。このドア11a,11bのロック/アンロック状態は、上記各ドアロック検出センサ53によって検出する。また、ドア11a,11bのアンロック/ロック制御は、スマートキーレス制御ユニット4が、各ドアロックアクチュエータ51に、ドアアンロック信号/ドアロック信号を供給することによって行われる。一方、室外及び室内送信アンテナ61,62の両方のリクエスト信号r,rに対して、ID信号i,iが返信され且つIDコードの認証が得られた場合には、トランスミッタ2が車室内に存在するとして、置き忘れ警報が車外ブザー7から鳴らされる。この詳細については後述する。
【0046】
続いて、エンジン始動制御について説明する。このエンジン始動制御とは、イグニッションスタータ13をイグニッションSTARTへ操作して、エンジンの始動を開始させる制御をいう。この詳細については後述する。
【0047】
続いて、トランスミッタ持ち出し警報制御について説明する。このトランスミッタ持ち出し警報制御とは、車両を駐車させる状態でないにも拘わらず、トランスミッタ2が車外に持ち出されるときに乗員に警報を行う制御であって、そうすることによって、エンジンの再始動ができなくなる等の不都合を未然に防止するものである。
【0048】
トランスミッタ持ち出し確認タイミングの到来時において、室内送信アンテナ62からリクエスト信号rが送信される。この室内送信アンテナ62からのリクエスト信号rを受けたトランスミッタ2がID信号iを返信し、このID信号iを車載受信アンテナ63で受信し、さらに、ID信号i中のIDコードの照合を行う。ここで、室内送信アンテナ62のリクエスト信号rに対して、ID信号iが返信されない、又はIDコードの認証が得られない場合には、トランスミッタ2が車外に持ち出されたとして、トランスミッタ持ち出し警報を実行する。一方、室内送信アンテナ62のリクエスト信号rに対してID信号iが返信され且つIDコードの認証が得られた場合には、トランスミッタ2が車室内に存在するとして、トランスミッタ持ち出し警報を実行しない。この詳細については後述する。
【0049】
ところで、上記リクエスト信号rは、通常時(具体的には、オープンカー1が給油機80の近傍に位置しないとき)は、送信アンテナ61a〜61c,62a,62bから通常モードで送信される。ここで、通常モードとは、リクエスト信号rが通常の状態で送信される様式である。図4の上段に示す、通常モードで送信されるリクエスト信号r(以下、通常リクエスト信号r1という)の周波数は、133kHzである。通常リクエスト信号r1のパルス長さは、105msよりも大きいことが好ましい。一方、図4の中段に示すように、上記自動課金信号sは、通常リクエスト信号r1のパルス長さよりも小さい所定間隔tで常に送信され、周波数が130kHzである。この所定間隔tは、105〜200msの範囲内であることが好ましい。以上から分かるように、相隣り合う自動課金信号sの時間間隔tは通常リクエスト信号r1のパルス長さよりも小さく、かつ、自動課金信号sと通常リクエスト信号r1の周波数はほぼ同じであるため、オープンカー1が給油機80の近傍に位置するときには、それらの信号が互いに干渉してしまい(つまり、自動課金信号sが、トランスミッタ2が通常リクエスト信号r1を受信することを妨害してしまい)、通常リクエスト信号r1がトランスミッタ2側で正常に受信されない可能性がある(図1及び図4参照)。
【0050】
そこで、送信アンテナ61a〜61c,62a,62bからリクエスト信号rを通常モードで送信させることができるとともに、リクエスト信号rを分割モードでも送信させることができるようになっている。ここで、分割モードとは、通常リクエスト信号r1が複数に分割された上でそれらの各リクエスト信号rが送信される様式である。分割モードで送信される各リクエスト信号r(以下、分割リクエスト信号r2という)は、パルス長さが相隣り合う自動課金信号sの時間間隔tよりも小さい。各分割リクエスト信号r2は、相隣り合う自動課金リクエストsの間に順次送信され、送信された各分割リクエスト信号r2がすべてトランスミッタ2側で受信されたときに、リクエスト信号rがトランスミッタ2側で受信されたことになる。そして、オープンカー1が給油機80の近傍に位置するときには、リクエスト信号rを分割モードで送信することによって、自動課金信号sとリクエスト信号rとが互いに干渉してリクエスト信号rがトランスミッタ2側で正常に受信されないことを抑制するようになっている。この詳細については後述する。
【0051】
以下、リクエスト信号rを分割モードで送信させる場合の具体的な一例を示す。ここで、通常リクエスト信号r1のパルス長さを150ms、自動課金信号sのパルス長さを60ms、相隣り合う自動課金信号sの時間間隔tを60msとする。分割リクエスト信号r2は、通常リクエスト信号r1を5等分してなり、パルス長さが30msの第1〜第5分割リクエスト信号r21〜r25で構成される。2つの分割リクエスト信号r2のパルス長さは60msで、相隣り合う自動課金信号sの時間間隔tと同じである。そして、図4の下段に示すように、第1〜第5分割リクエスト信号r21〜r25は4つずつ順次送信される。ここで、上述のように、2つの分割リクエスト信号r2のパルス長さは相隣り合う自動課金信号sの時間間隔tと同じであるため、4つずつ送信された各分割リクエスト信号r21〜r25のうち少なくとも1つは、相隣り合う自動課金リクエストsの間に送信されることになり、それにより、各分割リクエスト信号r21〜r25はすべてトランスミッタ2側で受信されるようになっている。
【0052】
また、オープンカー1が給油機80の近傍に位置する場合において、上記ドアリクエストスイッチ50の操作から、ID信号iの受信及びID照合までの所要時間が長くなることを抑制すべく、図5に示すように、オープンカー1が停車した直後で、上記各制御を行う前に、室内送信アンテナ62からリクエスト信号rが通常モードと分割モードとで順次送信され、それらのリクエスト信号r1,r2のうち、分割モードで送信されたリクエスト信号r2に対してのみ、ID信号iが返信され且つIDコードの認証が得られたときには、オープンカー1は給油機80の近傍に位置するとして、自動課金モードに設定され、それ以外のときには、標準モードに設定されるようになっている。ここで、自動課金モードとは、ドアロック制御時、及びエンジン始動制御時に、送信アンテナ61,62からリクエスト信号rがまず分割モードで送信される様式であり、標準モードとは、ドアロック制御時、及びエンジン始動制御時に、送信アンテナ61,62からリクエスト信号rがまず通常モードで送信される様式である。この詳細については後述する。
【0053】
さらに、オープンカー1が給油機80の近傍に位置する場合において、誤って、トランスミッタ持ち出し警報を行うことを抑制すべく、オープンカー1が停車した直後において通常モードで送信されたリクエスト信号r1に対して、ID信号iが返信されない、又はIDコードの認証が得られない場合には、オープンカー1は給油機80の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、トランスミッタ持ち出し警報を実行しなかったり、トランスミッタ持ち出し確認タイミングの到来時における室内送信アンテナ62のリクエスト信号rに対して、ID信号iが返信されない、又はIDコードの認証が得られないときにおいて、トランスミッタ持ち出し警報を、その程度を抑えて実行したりすることで、トランスミッタ持ち出し警報を規制するようになっている。この詳細については後述する。
【0054】
<スマートキーレス制御>
以下、図6のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス制御ユニット4及びトランスミッタ制御ユニット22によるスマートキーレス制御について説明する。尚、以下の説明では、まず、図6の左側のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス制御ユニット4によるスマートキーレス制御について説明し、その後、図6の右側のフローチャートを参照しながら、トランスミッタ制御ユニット22によるスマートキーレス制御について説明する。また、図中の破線は、車載機3とトランスミッタ2との間の信号の流れを表す(以下同じ)。また、このスマートキーレス制御を行う前提条件として、事前に、トランスミッタ2が車室内に存在すると判定されていることが挙げられる。この条件を満たさない場合には、自動的に標準モードに設定される。
【0055】
(1)スマートキーレス制御ユニットによるスマートキーレス制御
ステップSA1では、車速検出センサ14の出力信号に基づき、車両1が停車した直後であるか否かを判定する。ステップSA1の判定結果がNOの場合はステップSA2に進み、YESの場合はステップSA3に進む。ステップSA2では、車両1が走行を開始した直後であるか否かを判定する。ステップSA2の判定結果がNOの場合はステップSA13に進み、YESの場合はステップSA11に進む。
【0056】
ステップSA3では、室内送信アンテナ62a,62bにリクエスト信号rを通常モードで車室内に向かって順次送信させる。ステップSA4では、通常リクエスト信号r1の送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSA4の判定結果がYESの場合はステップSA5に進み、NOの場合はステップSA7に進む。ステップSA5では、受信したID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSA6では、ID信号i中のIDコードと、スマートキーレス制御ユニット4に事前に登録されているIDコードとが一致するか否かを判定する。ステップSA6の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)は、車両1は給油機80の近傍に位置しないとして、ステップSA11に進み、NOの場合(つまり、認証が得られなかった場合。例えば、乗員が車載機からリクエスト信号を受けてID信号を返信することができるトランスミッタを所持しているが、そのトランスミッタが上記車両1以外の他の車両に対応するものである場合)はステップSA7に進む。
【0057】
ステップSA7では、室内送信アンテナ62a,62bにリクエスト信号rを分割モードで車室内に向かって順次再送信させる。ステップSA8では、分割リクエスト信号r2の送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSA8の判定結果がYESの場合はステップSA9に進み、NOの場合はステップSA11に進む。ステップSA9では、受信したID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSA10では、ID信号i中のIDコードと登録されているIDコードとが一致するか否かを判定する。ステップSA10の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)は、車両1は給油機80の近傍に位置するとして、ステップSA12に進み、NOの場合(つまり、認証が得られなかった場合)はステップSA11に進む。
【0058】
ステップSA11では、標準モードに設定する。ステップSA12では、自動課金モードに設定する。ステップSA13では、ドアロック制御を行う。ステップSA14では、エンジン始動制御を行う。ステップSA15では、トランスミッタ持ち出し警報制御を行う。その後、リターンに進む。
【0059】
尚、車両1が停車してから、ドアリクエストスイッチ50が押圧操作されるまでの時間は、比較的長いと考えられる。一方、車両1が停車してから、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態で(つまり、イグニッションスタータ13がアクセサリON状態、又はイグニッションON状態で。換言すれば、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態に戻っていない状態で。以下同じ)ドア11a,11bが開状態になるまでの時間は、比較的短いと思われる。そのため、車両1を停車させて、イグニッションスタータ13をアクセサリOFF状態以外の状態においてドア11a,11bを開く場合(つまり、トランスミッタ持ち出し確認タイミングが到来した場合)には、その間にステップSA7〜SA10を完了できないおそれがある。この場合は、ステップSA7〜SA10を省略して、ステップSA13に進む。
【0060】
(2)トランスミッタ制御ユニットによるスマートキーレス制御
ステップSA1´では、車載機3からの通常リクエスト信号r1を受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ここで、乗員が所持するトランスミッタ2が室内送信アンテナ62a,62bからのリクエスト信号r1の到達範囲(電界範囲)にあるときは、トランスミッタ2は受信アンテナ23で該リクエスト信号r1を受信する(以下同じ)。ステップSA1´の判定結果がYESの場合はステップSA2´に進み、NOの場合はステップSA3´に進む。ステップSA2´では、送信アンテナ24にID信号iを車載機3へ送信させる。ステップSA3´では、車載機3からの分割リクエスト信号r2を受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ここで、「分割リクエスト信号r2を受信した」とは、上述のように、各分割リクエスト信号r2をすべて受信したことをいう(以下同じ)。ステップSA3´の判定結果がYESの場合はステップSA4´に進み、NOの場合はステップSA5´に進む。ステップSA4´では、送信アンテナ24にID信号iを車載機3へ送信させる。ステップSA5´では、ドアロック制御を行う。ステップSA6´では、エンジン始動制御を行う。ステップSA7´では、トランスミッタ持ち出し警報制御を行う。その後、リターンに進む。
【0061】
尚、上述と同様に、車両1を停車させて、イグニッションスタータ13をアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bを開く場合には、その間にステップSA3´〜SA4´を完了できないおそれがある。この場合は、ステップSA3´〜SA4´を省略して、ステップSA5´に進む。
【0062】
<ドアロック制御>
以下、図7のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス制御ユニット4及びトランスミッタ制御ユニット22によるドアロック制御について説明する。尚、以下の説明では、まず、図7の左側のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス制御ユニット4によるドアロック制御について説明し、その後、図7の右側のフローチャートを参照しながら、トランスミッタ制御ユニット22によるドアロック制御について説明する。
【0063】
(1)スマートキーレス制御ユニットによるドアロック制御
ステップSB1では、エンジン回転数検出センサ54の出力信号に基づき、エンジンが回転しているか否かを判定する。尚、このステップSB1では、イグニッションスタータ13がアクセサリON状態、又はイグニッションON状態であるか否かを判定しても良い。ステップSB1の判定結果がYESの場合はエンドに進み、NOの場合はステップSB2に進む。ステップSB2では、ドアリクエストスイッチ50が押圧操作されたか否かを判定する。尚、このステップSB2では、ドアロック又はドアアンロックするよう、トランスミッタ2がマニュアル操作されたか否かを判定しても良い。ステップSB2の判定結果がYESの場合はステップSB3に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSB3では、設定されたモードが標準モードであるか、又は自動課金モードであるかを判定する(図6のステップSA11,SA12参照)。ステップSB3の判定結果が標準モードである場合はステップSB4に進み、自動課金モードである場合はステップSB8に進む。
【0064】
ステップSB4では、室外及び室内送信アンテナ61a〜61c,62a,62bに通常リクエスト信号r1を車室内外に向かって順次送信させる。ステップSB5では、通常リクエスト信号r1の送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSB5の判定結果がYESの場合はステップSB6に進み、NOの場合はステップSB8に進む。ステップSB6では、受信したID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSB7では、車室外向けの通常リクエスト信号r1に対するID信号i中のIDコードと、スマートキーレス制御ユニット4に事前に登録されているIDコードとが一致するか否かを判定する。ステップSB7の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)はステップSB12に進み、NOの場合(つまり、車室外向けの通常リクエスト信号r1に対するID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかった場合)はステップSB8に進む。
【0065】
ステップSB8では、室外及び室内送信アンテナ61a〜61c,62a,62bに分割リクエスト信号r2を車室内外に向かって順次送信(ステップSB7の判定結果がNOの場合は再送信)させる。ステップSB9では、分割リクエスト信号r2の送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSB9の判定結果がYESの場合はステップSB10に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSB10では、受信したID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSB11では、車室外向けの分割リクエスト信号r2に対するID信号i中のIDコードと登録されているIDコードとが一致するか否かを判定する。ステップSB11の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)はステップSB12に進み、NOの場合(つまり、車室外向けの分割リクエスト信号r2に対するID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかった場合)はエンドに進む。
【0066】
ステップSB12では、車室内向けの通常又は分割リクエスト信号r1,r2に対するID信号i中のIDコードと登録されているIDコードとが一致するか否かを判定する。ステップSB12の判定結果がNOの場合(つまり、車室内向けの通常又は分割リクエスト信号r1,r2に対するID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかった場合)は、トランスミッタ2は運転席側ドア11a近傍の車外又は助手席側ドア11b近傍の車外に存在するとして、ステップSB13に進み、YESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)は、トランスミッタ2は車室内に存在するとして、ステップSB14に進む。ステップSB13では、ドアロック検出センサ53の出力信号に基づき、ドア11a,11bがロック状態であるか、又はアンロック状態であるかを判定する。ステップSB13の判定結果がアンロック状態である場合はステップSB15に進み、ロック状態である場合はステップSB16に進む。
【0067】
ステップSB14では、置き忘れ警報を実行する。その後、エンドに進む。ステップSB15では、ドアロック制御を行う。その後、エンドに進む。ステップSB16では、ドアアンロック制御を行う。その後、エンドに進む。
【0068】
(2)トランスミッタ制御ユニットによるドアロック制御
ステップSB1´では、車載機3からの通常リクエスト信号r1を受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ステップSB1´の判定結果がYESの場合はステップSB2´に進み、NOの場合はステップSB3´に進む。ステップSB2´では、送信アンテナ24にID信号iを車載機3へ送信させる。ステップSB3´では、車載機3からの分割リクエスト信号r2を受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ステップSB3´の判定結果がYESの場合はステップSB4´に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSB4´では、送信アンテナ24にID信号iを車載機3へ送信させる。その後、エンドに進む。
【0069】
<エンジン始動制御>
以下、図8のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス制御ユニット4及びトランスミッタ制御ユニット22によるエンジン始動制御について説明する。尚、以下の説明では、まず、図8の左側のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス制御ユニット4によるエンジン始動制御について説明し、その後、図8の右側のフローチャートを参照しながら、トランスミッタ制御ユニット22によるエンジン始動制御について説明する。
【0070】
(1)スマートキーレス制御ユニットによるエンジン始動制御
ステップSC1では、イグニッションスタータ13がイグニッションSTARTへ回転操作されたか否かを判定する。ステップSC1の判定結果がYESの場合はステップSC2に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSC2では、室内送信アンテナ62a,62bにリクエスト信号rを設定されたモード(つまり、標準モード又は自動課金モード。図6のステップSA11,SA12参照)で車室内に向かって順次送信させる。ステップSC3では、リクエスト信号rの送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSC3の判定結果がYESの場合はステップSC4に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSC4では、受信したID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSC5では、ID信号i中のIDコードと、スマートキーレス制御ユニット4に事前に登録されているIDコードとが一致するか否かを判定する。ステップSC5の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)はステップSC6に進み、NOの場合(つまり、認証が得られなかった場合)はエンドに進む。ステップSC6では、ECU8にエンジン始動許可信号を供給して、セルモータを回転させてエンジンを始動させるイグニッションスタータ制御を行う。その後、エンドに進む。
【0071】
尚、ステップSC1においてイグニッションスタータ13がイグニッションSTARTへ操作されてはじめて、リクエスト信号rを送信してトランスミッタ2のIDコードの照合を行うのではなくて、以下の条件が成立したときに、予めステップSC2〜SC5を行ってトランスミッタ2のIDコードの照合を行っておいても良い。具体的には、(i)イグニッションスタータ13がアクセサリOFFからアクセサリONへ回転操作された、(ii)全てのドア11a,11bが閉の状態から、それらのうち少なくとも一つが開の状態になった、(iii)ドア11a,11bのうち少なくとも一つが開の状態から全てのドア11a,11bが閉の状態になった、という何れかの条件成立時には、その後、イグニッションスタータ13がイグニッションSTARTへ操作される可能性が高いため、これらの条件が成立したときに予めトランスミッタ2のIDコードの照合を行っておく。そして、IDコードの認証が得られれば、上記ステップSC2〜SC6を省略する。その結果、イグニッションスタータ13をイグニッションSTARTへ操作すると、IDコード照合のための時間を要さず、直ちにエンジンを始動させるイグニッションスタータ制御を行うことができる。
【0072】
(2)トランスミッタ制御ユニットによるエンジン始動制御
ステップSC1´では、車載機3からの通常又は分割リクエスト信号r1,r2を受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ステップSC1´の判定結果がYESの場合はステップSC2´に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSC2´では、送信アンテナ24にID信号iを車載機3へ送信させる。その後、エンドに進む。
【0073】
<トランスミッタ持ち出し警報制御>
以下、図9のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス制御ユニット4及びトランスミッタ制御ユニット22によるトランスミッタ持ち出し警報制御について説明する。尚、以下の説明では、まず、図9の左側のフローチャートを参照しながら、スマートキーレス制御ユニット4によるトランスミッタ持ち出し警報制御について説明し、その後、図9の右側のフローチャートを参照しながら、トランスミッタ制御ユニット22によるトランスミッタ持ち出し警報制御について説明する。
【0074】
(1)スマートキーレス制御ユニットによるトランスミッタ持ち出し警報制御
ステップSD1では、トランスミッタ持ち出し確認タイミングが到来したか否かを判定する。具体的には、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが閉状態から開状態になったか、又はイグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが開状態から閉状態になった(つまり、ドア11a,11bが閉状態になった直後)か否かを判定する。ステップSD1の判定結果がYESの場合はステップSD2に進み、NOの場合はエンドに進む。そして、ドア11a,11bが開状態であるときには、3〜6秒毎に以下のステップを繰り返す。
【0075】
ステップSD2では、図6のステップSA4及びSA6で、車両1が停車した直後において室内送信アンテナ62a,62bに送信させた通常リクエスト信号r1に対してID信号iを受信し、かつ、そのID信号i中のIDコードと、スマートキーレス制御ユニット4に事前に登録されているIDコードとが一致すると判定されたか否かを判定する。ステップSD2の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)はステップSD4に進み、NOの場合(つまり、ID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかった場合)は、車両1は給油機80の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、エンドに進む(つまり、トランスミッタ持ち出し警報を実行しない)、又はステップSD3に進む。
【0076】
ステップSD3では、車外ブザー7及びメータユニット12aの車内警報ブザーの音量を、上記初期設定音量よりも小さい音量に設定する。ステップSD4では、室内送信アンテナ62a,62bに通常リクエスト信号r1を車室内に向かって順次送信させる。尚、ステップSD3の後、ステップSD4に進むのではなく、ステップSD5に進んでも良い。このステップSD5の詳細については後述する。
【0077】
ステップSD6では、通常リクエスト信号r1の送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSD6の判定結果がYESの場合はステップSD8に進み、NOの場合は、トランスミッタ2は車外に持ち出されたとして、ステップSD12に進む。ステップSD8では、受信したID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSD10では、ID信号i中のIDコードと登録されているIDコードとが一致するか否かを判定する。ステップSD10の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)は、トランスミッタ2は車室内に存在するとして、エンドに進み、NOの場合(つまり、認証が得られなかった場合)は、トランスミッタ2は車外に持ち出されたとして、ステップSD12に進む。
【0078】
ステップSD12では、トランスミッタ持ち出し警報を実行する。このトランスミッタ持ち出し警報は、設定された音量で、車外ブザー7及びメータユニット12aの車内警報ブザーを鳴らすこと、並びにメータユニット12aの警報ランプを点灯させることによって、車室内外の人に対して車外にトランスミッタ2が持ち出されたことを警報する。また、このトランスミッタ持ち出し警報は、次のトランスミッタ持ち出し確認タイミングの到来の判定時まで、又は所定周期まで継続して行われる。
【0079】
尚、上述のように、ステップSD2の判定結果のみに基づき、トランスミッタ持ち出し警報を規制するのではなく、以下のように、トランスミッタ持ち出し警報を規制しても良い。具体的には、ステップSD2の判定結果がNOである場合(つまり、車両1が停車した直後において室内送信アンテナ62a,62bに送信させた通常リクエスト信号r1に対して、ID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかった場合)には、車両1は給油機80の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、トランスミッタ持ち出し警報を規制する。それから、図6のステップSA9及びSA10で、車両1が停車した直後において室内送信アンテナ62a,62bに送信させた分割リクエスト信号r2に対してID信号iを受信し、かつ、そのID信号i中のIDコードと登録されているIDコードとが一致すると判定されたときには、車両1は給油機80の近傍に位置するとして、トランスミッタ持ち出し警報の規制を解除せずステップSD3若しくはエンドに進み、又はトランスミッタ持ち出し警報の規制を解除してステップSD5に進み、それ以外のとき(つまり、車両1が停車した直後において室内送信アンテナ62a,62bに送信させた分割リクエスト信号r2に対して、ID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかったと判定されたとき)には、トランスミッタ持ち出し警報の規制を解除してステップSD4に進み、又はトランスミッタ持ち出し警報の規制を解除してトランスミッタ持ち出し警報を強制的に実行する。一方、ステップSD2の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)には、車両1が停車した直後において室内送信アンテナ62a,62bに送信させた分割リクエスト信号r2に対してID信号iを受信し、かつ、そのID信号i中のIDコードと登録されているIDコードとが一致すると判定されたとき、及びその分割リクエスト信号r2に対して、ID信号iを受信しなかった、又は認証が得られなかったと判定されたときのいずれの場合においても、ステップSD4に進む。
【0080】
ステップSD5では、室内送信アンテナ62a,62bに分割リクエスト信号r2を車室内に向かって順次送信させる。ステップSD7では、分割リクエスト信号r2の送信後所定時間以内にトランスミッタ2からのID信号iを車載受信アンテナ63で受信したか否かを判定する。ステップSD7の判定結果がYESの場合はステップSD9に進み、NOの場合は、トランスミッタ2は車外に持ち出されたとして、ステップSD12に進む。ステップSD9では、受信したID信号i中のIDコードの照合を行う。ステップSD11では、ID信号i中のIDコードと登録されているIDコードとが一致するか否かを判定する。ステップSD11の判定結果がYESの場合(つまり、IDコードが一致するとの認証が得られた場合)は、トランスミッタ2は車室内に存在するとして、エンドに進み、NOの場合(つまり、認証が得られなかった場合)は、トランスミッタ2は車外に持ち出されたとして、ステップSA12に進む。
【0081】
(2)トランスミッタ制御ユニットによるトランスミッタ持ち出し警報制御
ステップSD1´では、車載機3からの通常又は分割リクエスト信号r1,r2を受信アンテナ23で受信したか否かを判定する。ステップSD1´の判定結果がYESの場合はステップSD2´に進み、NOの場合はエンドに進む。ステップSD2´では、送信アンテナ24にID信号iを車載機3へ送信させる。その後、エンドに進む。
【0082】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、車両1が停車状態になった場合には、スマートキーレス制御ユニット4により、リクエスト信号r1を車内に送信させる。そして、そのリクエスト信号r1に対して、ID信号iを受信しないとき、又はID信号iを受信しかつそのIDの認証が成立しないとき(つまり、図9のステップSD2の判定結果がNOのとき)には、車両1は、自動課金システムの自動課金制御ユニット81(つまり、給油機80)の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、スマートキーレス制御ユニット4により、トランスミッタ2の持ち出し警報を規制する(つまり、図9のエンド又はステップSD3に進む)。以上のように、車両1が停車状態になった場合には、リクエスト信号rを車内に送信させることで、車両1が、オープンカーなどの、車室の上方に金属製のルーフがないもの等であっても、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが開状態になった場合において、車両1が、自動課金システムの自動課金制御ユニット81の近傍に位置することを原因として、誤って、トランスミッタ2の持ち出し警報を通常どおり行うことを未然に抑制できる。
【0083】
また、本実施形態によれば、車両1が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号r1に対して、ID信号iを受信しかつそのIDの認証が成立したとき(つまり、図9のSD2の判定結果がYESの場合)には、車両1は、自動課金システムの自動課金制御ユニット81の近傍に位置しないとして、スマートキーレス制御ユニット4により、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが開状態になったときにおいてリクエスト信号r1を車内に送信させる。そして、そのリクエスト信号r1に対して、ID信号iを受信しないとき、又はID信号iを受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、トランスミッタ2は車内に存在しないとして、スマートキーレス制御ユニット4により、トランスミッタ2の持ち出し警報を行う。以上のように、車両1が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号r1に対して、ID信号iを受信しかつそのIDの認証が成立したときにおいて、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが開状態になったときには、リクエスト信号r1を車内に送信させた後、リクエスト信号rを車内に再送信させなくてもよいため、上述のように、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが開状態になった場合において、リクエスト信号rの通常モードでの送信後、リクエスト信号rを分割モードで再送信させるのと比較して、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが開状態になってから、トランスミッタ2の持ち出し警報を行うまでの所要時間が長くなることを抑制できる。したがって、車両用スマートキーレスシステムの実用性を高レベルで維持できる。
【0084】
また、本実施形態によれば、車両1が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号r1に対して、ID信号iを受信しないとき、又はID信号iを受信しかつそのIDの認証が成立しないとき(つまり、図6のステップSA4又はSA6の判定結果がNOの場合)には、車両1は、自動課金システムの自動課金制御ユニット81の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、スマートキーレス制御ユニット4により、トランスミッタ2の持ち出し警報を規制するとともに、リクエスト信号rを分割モードで車内に再送信させる(図6のステップSA7参照)。そして、突発的に発生したノイズ等を原因として、その分割モードで送信させたリクエスト信号r2に対して、ID信号iを受信しないとき、又はID信号iを受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、トランスミッタ2は車内に存在しない、又は存在しないおそれがあるとして、スマートキーレス制御ユニット4により、トランスミッタ2の持ち出し警報の規制を解除する、又はトランスミッタ持ち出し確認タイミングの到来時においてトランスミッタ2の持ち出し警報を行う。以上のように、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが開状態になった場合において、トランスミッタ2が実際に車内に存在しないときに、トランスミッタ2の持ち出し警報を行わないことを抑制できる。
【0085】
また、本実施形態によれば、車両1が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号r1に対して、ID信号iを受信しないとき、又はID信号iを受信しかつそのIDの認証が成立しないとき(つまり、図6のステップSA4又はSA6の判定結果がNOの場合)には、車両1は、自動課金システムの自動課金制御ユニット81の近傍に位置する、又は位置するおそれがあるとして、スマートキーレス制御ユニット4により、トランスミッタ2の持ち出し警報を規制するとともに、リクエスト信号rを分割モードで車内に再送信させる(図6のステップSA7参照)。そして、その分割モードで送信させたリクエスト信号r2に対して、ID信号iを受信しかつそのIDの認証が成立したときには、車両1は、自動課金システムの自動課金制御ユニット81の近傍に位置するとして、スマートキーレス制御ユニット4により、トランスミッタ2の持ち出し警報の規制を解除するとともに、トランスミッタ持ち出し確認タイミングの到来時においてリクエスト信号rを分割モードで車内に送信させる(図9のステップSD5参照)。それから、その分割モードで送信させたリクエスト信号r2に対して、ID信号iを受信しないとき、又はID信号iを受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、トランスミッタ2は車内に存在しないとして、スマートキーレス制御ユニット4により、トランスミッタ2の持ち出し警報を行う。以上のように、車両1が、自動課金システムの自動課金制御ユニット81の近傍に位置する場合においても、トランスミッタ2の持ち出し警報を最低限行うことができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、車両1が、自動課金システムの自動課金制御ユニット81の近傍に位置する場合において、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが開状態になったときには、リクエスト信号rを分割モードで送信させるのみで、リクエスト信号rを通常モードで車内に送信させなくてもよいため、上述のように、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが開状態になった場合において、リクエスト信号rの通常モードでの送信後、リクエスト信号rを分割モードで再送信させるのと比較して、イグニッションスタータ13がアクセサリOFF状態以外の状態でドア11a,11bが開状態になってから、トランスミッタ2の持ち出し警報を行うまでの所要時間が長くなることを抑制できる。したがって、車両用スマートキーレスシステムの実用性を高レベルで維持できる。
【0087】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、車両用スマートキーレスシステムは、ドアロック制御、エンジン始動制御、及びトランスミッタ警報制御を行うが、少なくともエンジン始動制御及びトランスミッタ警報制御を行えば良い。
【0088】
また、上記実施形態では、車両用スマートキーレスシステムは、オープンカーに適用されているが、これに限らず、例えば、オープンカー以外の、車室の上方に金属製のルーフがない車両や、車高が高い車両等にも適用しても有用である。
【0089】
また、上記実施形態では、オープンカー1は、ルーフが折り畳まれた状態であるが、ルーフが展開した状態であっても良い。この場合も、オープンカー1が給油機80の近傍に位置するときには、通常リクエスト信号r1と自動課金信号sとが互いに干渉してしまい、通常リクエスト信号r1がトランスミッタ2側で正常に受信されない可能性があるため、上記実施形態と同じように上記各制御を行う必要がある。
【0090】
また、上記実施形態では、ステップSD2の判定結果がNOであってはじめて、トランスミッタ持ち出し警報を規制しているが、これに限らず、例えば、ステップSA4又はSA6の判定結果がNOのときに、トランスミッタ持ち出し警報を規制しても良い。
【0091】
また、上記実施形態では、室外送信アンテナ61は3つのアンテナ61a〜61cからなり、室内送信アンテナ62は2つのアンテナ62a,62bからなるが、これに限らず、室外送信アンテナ61は1つ、2つ又は4以上のアンテナからなっても良く、室内送信アンテナ62は1つ又は3以上のアンテナからなっても良い。
【0092】
また、上記実施形態では、室外送信アンテナ61のうち、運転席側送信アンテナ61a及び助手席側送信アンテナ61bは、車室内にも電波が送信されるようになっているが、運転席側送信アンテナ61a及び助手席側送信アンテナ61bは、車室外にのみ電波が送信されるようにしても良い。この場合、室外及び室内送信アンテナ61,62のリクエスト信号r,rのうち、室外送信アンテナ61のリクエスト信号rに対してのみ、トランスミッタ2が返信するID信号iが車載受信アンテナ63によって受信されたときは、トランスミッタ2は運転席側ドア11a近傍の車外、助手席側ドア11b近傍の車外又はリヤエンドパネル11c近傍の車外に存在すると判定する一方、室内送信アンテナ62のリクエスト信号rに対してのみ、トランスミッタ2が返信するID信号iが車載受信アンテナ63によって受信されたときは、トランスミッタ2は車室内に存在すると判定する。
【0093】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0094】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上説明したように、本発明は、携帯用送受信機からのID信号を車載受信機で受信して、該ID信号に含まれるIDコードの認証が得られれば、車両のエンジンの始動を許容するようにした車両用スマートエンジンスタータシステム等について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用スマートキーレスシステム及び自動課金システムのブロック図である。
【図2】車載機を搭載した車両を示す斜視図である。
【図3】給油機を設置したガソリンスタンドの概略図である。
【図4】車載機及び給油機の動作を示すタイムチャートである。
【図5】車両の停車直後における車載機の動作を示すタイムチャートである。
【図6】スマートキーレス制御ユニット及びトランスミッタ制御ユニットによるスマートキーレス制御のフローチャート図である。
【図7】スマートキーレス制御ユニット及びトランスミッタ制御ユニットによるドアロック制御のフローチャート図である。
【図8】スマートキーレス制御ユニット及びトランスミッタ制御ユニットによるエンジン始動制御のフローチャート図である。
【図9】スマートキーレス制御ユニット及びトランスミッタ制御ユニットによるトランスミッタ持ち出し警報制御のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0097】
1 車両
2 トランスミッタ(携帯用送受信機)
3 車載機
4 スマートキーレス制御ユニット(制御手段)
7 車外ブザー
13 イグニッションスタータ(イグニッションスイッチ)
50 ドアリクエストスイッチ
61 室外送信アンテナ(車載送信機)
62 室内送信アンテナ(車載送信機)
63 車載受信アンテナ(車載受信機)
70 自動課金用車載機
80 給油機
i ID信号
j クレジット信号
r リクエスト信号
r1 通常リクエスト信号
r2 分割リクエスト信号
s 自動課金信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクエスト信号を無線送信する車載送信機と、
上記リクエスト信号を受信したときに、ID信号を無線送信する携帯用送受信機と、
上記ID信号を受信する車載受信機と、
イグニッションスイッチがSTARTへ操作された場合に、上記車載送信機に上記リクエスト信号を車内に送信させて、該リクエスト信号に対して、ID信号を上記車載受信機で受信しかつそのIDの認証が成立したときに、エンジンの始動を許可する制御手段とを備えた車両用スマートエンジンスタータシステムであって、
上記制御手段は、
上記イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態でドアが開状態になった場合には、上記リクエスト信号を車内に送信させて、該リクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、上記携帯用送受信機の持ち出し警報を行うとともに、
車両が停車状態になった場合には、上記リクエスト信号を車内に送信させて、該リクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、上記持ち出し警報を規制するように構成されていることを特徴とする車両用スマートエンジンスタータシステム。
【請求項2】
請求項1記載の車両用スマートエンジンスタータシステムにおいて、
上記制御手段は、
上記車両が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、上記持ち出し警報を規制するとともに、上記リクエスト信号を、該リクエスト信号を分割した上で送信させる分割モードで車内に再送信させて、該分割モードで再送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、上記持ち出し警報の規制を解除する、又は上記イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態で上記ドアが開状態になったときにおいて上記持ち出し警報を行うように構成されていることを特徴とする車両用スマートエンジンスタータシステム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用スマートエンジンスタータシステムにおいて、
上記制御手段は、
上記車両が停車状態になった場合において送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しないとき、又はID信号を受信しかつそのIDの認証が成立しないときには、上記持ち出し警報を規制するとともに、上記リクエスト信号を、該リクエスト信号を分割した上で送信させる分割モードで車内に再送信させて、該分割モードで再送信させたリクエスト信号に対して、ID信号を受信しかつそのIDの認証が成立したときには、上記持ち出し警報の規制を解除するとともに、上記イグニッションスイッチがOFF状態以外の状態で上記ドアが開状態になったときにおいて上記リクエスト信号を上記分割モードで車内に送信させるように構成されていることを特徴とする車両用スマートエンジンスタータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−327403(P2006−327403A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153858(P2005−153858)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】