説明

車両用ブレーキシステムの入力装置

【課題】従来の車両用ブレーキシステムと比較して小型化され、さらには汎用性を向上させた車両用ブレーキシステムの入力装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ操作子12の操作による入力によって液圧を発生するマスタシリンダ34と、マスタシリンダ34に並設され、ブレーキ操作子12の操作反力をブレーキ操作子12に擬似的に付与するストロークシミュレータ64と、を有し、マスタシリンダ34とストロークシミュレータ64とが、車両の車幅方向に一体に並設されている、車両用ブレーキシステムの入力装置14。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ブレーキシステムの入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両(自動車)用のブレーキシステムとしては、例えば、負圧式ブースタや油圧式ブースタ等の倍力装置を備えるものが知られている。また、近年では、電動モータを倍力源として利用する電動倍力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示された電動倍力装置は、ブレーキペダルの操作によって進退運動する主ピストンと、この主ピストンと相対変位可能に外嵌された筒状のブースタピストンと、電動モータの回転力をブースタピストンにブースタ推力として伝達する、例えばボールねじ等の回転−直動変換機構とを備えている。
【0004】
この電動倍力装置によれば、主ピストンとブースタピストンとをマスタシリンダのピストンとして利用し、それぞれの前端部をマスタシリンダの圧力室に臨ませることで、操作者によってブレーキペダルから主ピストンに入力される推力と、電動モータからブースタピストンに入力されるブースタ推力とによって、ブレーキ液圧をマスタシリンダ内に発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−23594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された電動倍力装置は、操作者のブレーキ操作が入力される入力装置や、ブレーキ操作に応じた電気信号に基づいてブレーキ液圧を発生させる電動ブレーキアクチュエータ等が一つにまとめて組み立てられて、ブレーキペダルの前方に配置されている。このため、上記電動倍力装置は、車両のエンジンや走行用モータ等の構造物が搭載される構造物搭載室内におけるレイアウトの自由度が小さく、しかも、例えば複数車種の車両に搭載する場合には流用が困難で汎用性に欠けることがある。特に、操作者のブレーキ操作が入力される入力装置については、その設置場所がとりわけ限定されることから、小型化が望まれている。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、従来の車両用ブレーキシステムと比較して小型化され、さらには汎用性を向上させた車両用ブレーキシステムの入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、マスタシリンダ及びストロークシミュレータを取り付けプレートに対して車幅方向に一体に並設することにより上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明の車両用ブレーキシステムの入力装置は、ブレーキ操作子の操作が入力される入力装置と、少なくとも前記ブレーキ操作子の操作に応じた電気信号に基づいてブレーキ液圧を発生する電動ブレーキアクチュエータと、を備える車両用ブレーキシステムにおいて、前記電動ブレーキアクチュエータとは別体として構成され、前記ブレーキ操作子を有して操作者により操作される入力装置であって、前記ブレーキ操作子の前記操作による入力によって液圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダに並設され、前記ブレーキ操作子の操作反力を前記ブレーキ操作子に擬似的に付与するストロークシミュレータと、を有し、前記マスタシリンダと前記ストロークシミュレータとが、車両の車幅方向に一体に並設されていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
請求項1に係る発明によれば、マスタシリンダとストロークシミュレータとの間の流路を特に短くすることが可能となり、さらにはマスタシリンダとストロークシミュレータとを備える入力装置を特に小型化することができる。また、このように小型化した車両用ブレーキシステムの入力装置は、構造物搭載室内の搭載スペースがガソリン自動車と比べて余裕の少ないハイブリッド自動車や電気自動車等にも好適に搭載することができる。その結果、ガソリン自動車やハイブリッド自動車、電気自動車等との間で部品を共通化することができ、部品の汎用性が高まるため製造コストの削減にもなる。
【0011】
また、本発明の車両用ブレーキシステムの入力装置は、前記マスタシリンダ及び前記ストロークシミュレータの上方において、前記マスタシリンダと前記ストロークシミュレータとの間にリザーバタンクが設けられていることを特徴とする(請求項2)。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、搭載スペースが限られているハイブリッド自動車等においてもリザーバタンクを確実に配置することができる。また、部品の汎用性を高めることもできる。さらには、構造物搭載室内の無駄な空間を削減することもでき、車両の小型化も図れる。
【0013】
また、本発明の車両用ブレーキシステムの入力装置は、前記マスタシリンダ及び前記ストロークシミュレータを前記車両のダッシュボードに取り付け可能な取り付けプレートを有し、該取り付けプレートの前記車幅方向の長さが、前記取り付けプレートにおける前記車両の上下方向の長さよりも長くなっていることを特徴とする(請求項3)。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、取り付けプレートの車幅方向の長さが長い方向に並設されるようにマスタシリンダ及びストロークシミュレータを配置することができるため、取り付けプレートの面積を最小限のものとすることができる。従って、ストロークシミュレータを備えないガソリン自動車に設けられているダッシュボードに対しても同様に上記取り付けプレートを用いることができる。即ち、既存のダッシュボードの固定点を利用することができるためダッシュボードの汎用性が高まり、製造コストの削減になる。
【0015】
また、本発明の車両用ブレーキシステムの入力装置は、センサバルブユニットが一体に設けられていることを特徴とする(請求項4)。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、マスタシリンダ、ストロークシミュレータ及びセンサバルブユニットを一体に形成することができるため、構造物搭載室内の無駄なスペースを削減することができる。従って、車両の小型化を図ることができる。
【0017】
また、本発明の車両用ブレーキシステムの入力装置は、前記取り付けプレートに肉抜き部が設けられていることを特徴とする(請求項5)。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、取り付けプレートを軽量化することができるので、車両を軽量化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マスタシリンダとストロークシミュレータとの間の流路を特に短くすることが可能となり、さらにはマスタシリンダとストロークシミュレータとを備える入力装置を特に小型化することができる。また、このように小型化した車両用ブレーキシステムの入力装置は、構造物搭載室内の搭載スペースがガソリン自動車と比べて余裕の少ないハイブリッド自動車や電気自動車等にも好適に搭載することができる。その結果、ガソリン自動車やハイブリッド自動車、電気自動車等との間で部品を共通化することができ、部品の汎用性が高まるため製造コストの削減にもなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る車両用ブレーキシステムにおける構成要素の配置を概略的に示す車両全部の部分拡大平面図である。
【図2】本実施形態に係る車両用ブレーキシステムの概略構成図である。
【図3】本実施形態に係る車両用ブレーキシステムの入力装置の概略拡大図であり、(a)は車両後方からの平面図、(b)は車両前方からの平面図である。
【図4】本実施形態に係る車両用ブレーキシステムの入力装置の上側面図である。
【図5】本実施形態に係る車両用ブレーキシステムの入力装置における、マスタシリンダとストロークシミュレータとの接続関係を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明における前後上下左右の方向は、車両の前後上下左右の方向に一致させた、図1に示す前後上下左右の方向を基準とする。
【0022】
(全体構成)
図1に示す車両用ブレーキシステム10は、通常時用として、電気信号を伝達してブレーキを作動させるバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、フェイルセイフ時用として、油圧を伝達してブレーキを作動させる旧来の油圧式のブレーキシステムの双方を備えて構成される。なお、本実施形態においては右ハンドルの車両を例に説明しているが、左ハンドルの車両であっても、本実施形態を同様に適用できる。また、車両用ブレーキシステム10は、前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動のいずれにも適用可能である。
【0023】
このため、車両用ブレーキシステム10は、操作者のブレーキ操作が入力される入力装置14と、少なくとも前記ブレーキ操作に応じた電気信号に基づいてブレーキ液圧を発生させる電動ブレーキアクチュエータとしてのモータシリンダ装置16と、モータシリンダ装置16で発生したブレーキ液圧に基づいて車両の挙動の安定化を支援する車両挙動安定化装置としてのビークルスタビリティアシスト装置18(以下、VSA装置18という、VSA;登録商標)とを備えて構成されている。
なお、VSA装置18に代えて、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS(アンチロック・ブレーキ・システム)機能のみを有するABS装置を接続してもよい。
【0024】
これらの入力装置14、モータシリンダ装置16、及び、VSA装置18は、車両Vのダッシュボード2の前方に設けられたエンジンや走行用モータ等の構造物3が搭載される構造物搭載室Rに、配管チューブ22a〜22fを介して互いに分離して配置されている。このように分離して構成されることで、各装置(入力装置14、モータシリンダ装置16、VSA装置18)の汎用性を向上して異なる車種に適用しやすくなる。また、バイ・ワイヤ式のブレーキシステムとして、入力装置14とモータシリンダ装置16とは、図示しないハーネスによって図示しない制御手段と電気的に接続されている。
【0025】
図2は、車両用ブレーキシステム10の概略構成図である。
液圧路について説明すると、図2中の連結点A1を基準として、入力装置14の接続ポート20aと連結点A1とが第1配管チューブ22aによって接続され、また、モータシリンダ装置16の出力ポート24aと連結点A1とが第2配管チューブ22bによって接続され、さらに、VSA装置18の導入ポート26aと連結点A1とが第3配管チューブ22cによって接続されている。
【0026】
図2中の他の連結点A2を基準として、入力装置14の他の接続ポート20bと連結点A2とが第4配管チューブ22dによって接続され、また、モータシリンダ装置16の他の出力ポート24bと連結点A2とが第5配管チューブ22eによって接続され、さらに、VSA装置18の他の導入ポート26bと連結点A2とが第6配管チューブ22fによって接続されている。
【0027】
VSA装置18には、複数の導出ポート28a〜28dが設けられる。第1導出ポート28aは、第7配管チューブ22gによって右側前輪に設けられたディスクブレーキ機構30aのホイールシリンダ32FRと接続される。第2導出ポート28bは、第8配管チューブ22hによって左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構30bのホイールシリンダ32RLと接続される。第3導出ポート28cは、第9配管チューブ22iによって右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構30cのホイールシリンダ32RRと接続される。第4導出ポート28dは、第10配管チューブ22jによって左側前輪に設けられたディスクブレーキ機構30dのホイールシリンダ32FLと接続される。
【0028】
この場合、各導出ポート28a〜28dに接続される配管チューブ22g〜22jによってブレーキ液がディスクブレーキ機構30a〜30dの各ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに対して供給され、各ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL内の液圧が上昇することにより、各ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動し、対応する車輪(右側前輪、左側後輪、右側後輪、左側前輪)に対して制動力が付与される。
【0029】
なお、車両用ブレーキシステム10は、例えば、エンジン(内燃機関)のみによって駆動される自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等を含む各種車両に対して搭載可能に設けられる。
【0030】
入力装置14は、運転者によるブレーキペダル12の操作によって液圧を発生可能なタンデム式のマスタシリンダ34と、前記マスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36とを有する。このマスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、前記シリンダチューブ38の軸方向に沿って所定間隔離間する2つのピストン40a、40bが摺動自在に配設される。一方のピストン40aは、ブレーキペダル12に近接して配置され、プッシュロッド42を介してブレーキペダル12と連結される。また、他方のピストン40bは、一方のピストン40aよりもブレーキペダル12から離間して配置される。
【0031】
この一方及び他方のピストン40a、40bの外周面には、環状段部を介して一対のピストンパッキン44a、44bがそれぞれ装着される。一対のピストンパッキン44a、44bの間には、それぞれ、後記するサプライポート46a、46bと連通する背室48a、48bが形成される。また、一方及び他方のピストン40a、40bとの間には、ばね部材50aが配設され、他方のピストン40bとシリンダチューブ38の側端部との間には、他のばね部材50bが配設される。
なお、ピストン40a、40bの外周面にピストンパッキン44a、44bを設ける代わりに、シリンダチューブ38の内周面にパッキンを配設してもよい。
【0032】
マスタシリンダ34のシリンダチューブ38には、2つのサプライポート46a、46bと、2つのリリーフポート52a、52bと、2つの出力ポート54a、54bとが設けられる。この場合、各サプライポート46a(46b)及び各リリーフポート52a(52b)は、それぞれ合流して第1リザーバ36内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
【0033】
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、運転者(操作者)がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応したブレーキ液圧を発生させる第1圧力室56a及び第2圧力室56bが設けられる。第1圧力室56aは、第1液圧路58aを介して接続ポート20aと連通するように設けられ、第2圧力室56bは、第2液圧路58bを介して他の接続ポート20bと連通するように設けられる。
【0034】
マスタシリンダ34と接続ポート20aとの間であって、第1液圧路58aの上流側には圧力センサPmが配設されると共に、第1液圧路58aの下流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第1遮断弁60aが設けられる。この圧力センサPmは、第1液圧路58a上において、第1遮断弁60aよりもマスタシリンダ34側の上流の液圧を検知するものである。
【0035】
マスタシリンダ34と他の接続ポート20bとの間であって、第2液圧路58bの上流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第2遮断弁60bが設けられると共に、第2液圧路58bの下流側には、圧力センサPpが設けられる。この圧力センサPpは、第2液圧路58b上において、第2遮断弁60bよりもホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL側の下流側の液圧を検知するものである。
【0036】
この第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bにおけるノーマルオープンとは、ノーマル位置(消磁(非通電)時の弁体の位置)が開位置の状態(常時開)となるように構成されたバルブをいう。なお、図2において、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bは励磁時の状態を示す(後記する第3遮断弁62も同様)。
【0037】
マスタシリンダ34と第2遮断弁60bとの間の第2液圧路58bには、前記第2液圧路58bから分岐する分岐液圧路58cが設けられ、前記分岐液圧路58cには、ノーマルクローズタイプ(常閉型)のソレノイドバルブからなる第3遮断弁62と、ストロークシミュレータ64とが直列に接続される。この第3遮断弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(消磁(非通電)時の弁体の位置)が閉位置の状態(常時閉)となるように構成されたバルブをいう。
【0038】
このストロークシミュレータ64は、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bの遮断時に、ブレーキペダル12の操作に応じた反力とストロークとを生じさせる装置である。ストロークシミュレータ64は、前記のように分岐液圧路58c及び第2液圧路58bを介してマスタシリンダ34に接続されている。さらに、ストロークシミュレータ64には、分岐液圧路58cに連通する液圧室65が設けられ、前記液圧室65を介して、マスタシリンダ34の第2圧力室56bから導出されるブレーキ液(ブレーキフルード)が収容可能に設けられる。
【0039】
また、ストロークシミュレータ64は、互いに直列に配置されたばね定数の高い第1リターンスプリング66aとばね定数の低い第2リターンスプリング66bと、前記第1及び第2リターンスプリング66a、66bによって付勢されるシミュレータピストン68とを備え、ブレーキペダル12の踏み込み前期時にペダル反力の増加勾配を低く設定し、踏み込み後期時にペダル反力を高く設定してブレーキペダル12のペダルフィーリングを既存のマスタシリンダと同等となるように設けられている。
【0040】
液圧路は、大別すると、マスタシリンダ34の第1圧力室56aと複数のホイールシリンダ32FR、32RLとを接続する第1液圧系統70aと、マスタシリンダ34の第2圧力室56bと複数のホイールシリンダ32RR、32FLとを接続する第2液圧系統70bとから構成される。
【0041】
第1液圧系統70aは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54aと接続ポート20aとを接続する第1液圧路58aと、入力装置14の接続ポート20aとモータシリンダ装置16の出力ポート24aとを接続する配管チューブ22a、22bと、モータシリンダ装置16の出力ポート24aとVSA装置18の導入ポート26aとを接続する配管チューブ22b、22cと、VSA装置18の導出ポート28a、28bと各ホイールシリンダ32FR、32RLとをそれぞれ接続する配管チューブ22g、22hとによって構成される。
【0042】
第2液圧系統70bは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54bと他の接続ポート20bとを接続する第2液圧路58bと、入力装置14の他の接続ポート20bとモータシリンダ装置16の出力ポート24bとを接続する配管チューブ22d、22eと、モータシリンダ装置16の出力ポート24bとVSA装置18の導入ポート26bとを接続する配管チューブ22e、22fと、VSA装置18の導出ポート28c、28dと各ホイールシリンダ32RR、32FLとをそれぞれ接続する配管チューブ22i、22jとを有する。
【0043】
この結果、液圧路が第1液圧系統70aと第2液圧系統70bとによって構成されることにより、各ホイールシリンダ32FR、32RLと各ホイールシリンダ32RR、32FLとをそれぞれ独立して作動させ、相互に独立した制動力を発生させることができる。
【0044】
モータシリンダ装置16は、電動モータ72及び駆動力伝達部73を備えたアクチュエータ機構74と、アクチュエータ機構74によって付勢されるシリンダ機構76とを有する。また、アクチュエータ機構74の駆動力伝達部73は、電動モータ72の回転駆動力を伝達するギヤ機構(減速機構)78と、この回転駆動力を直線方向駆動力に変換する、ボールねじ軸80a及びボール80bを含むボールねじ構造体80とを有している。
【0045】
シリンダ機構76は、略円筒状のシリンダ本体82と、前記シリンダ本体82に付設された第2リザーバ84とを有する。第2リザーバ84は、入力装置14のマスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36と配管チューブ86で接続され、第1リザーバ36内に貯留されたブレーキ液が配管チューブ86を介して第2リザーバ84内に供給されるように設けられる。
【0046】
シリンダ本体82内には、前記シリンダ本体82の軸方向に沿って所定間隔離間する第1スレーブピストン88a及び第2スレーブピストン88bが摺動自在に配設される。第1スレーブピストン88aは、ボールねじ構造体80側に近接して配置され、ボールねじ軸80aの一端部に当接して前記ボールねじ軸80aと一体的に矢印X1又はX2方向に変位する。また、第2スレーブピストン88bは、第1スレーブピストン88aよりもボールねじ構造体80側から離間して配置される。
【0047】
この第1及び第2スレーブピストン88a、88bの外周面には、環状段部を介して一対のスレーブピストンパッキン90a、90bがそれぞれ装着される。一対のスレーブピストンパッキン90a、90bの間には、それぞれ、後記するリザーバポート92a、92bとそれぞれ連通する第1背室94a及び第2背室94bが形成される。また、第1及び第2スレーブピストン88a、88bとの間には、第1リターンスプリング96aが配設され、第2スレーブピストン88bとシリンダ本体82の側端部と間には、第2リターンスプリング96bが配設される。
【0048】
シリンダ機構76のシリンダ本体82には、2つのリザーバポート92a、92bと、2つの出力ポート24a、24bとが設けられる。この場合、リザーバポート92a(92b)は、第2リザーバ84内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
【0049】
また、シリンダ本体82内には、出力ポート24aからホイールシリンダ32FR、32RL側へ出力されるブレーキ液圧を発生させる第1液圧室98aと、他の出力ポート24bからホイールシリンダ32RR、32FL側へ出力されるブレーキ液圧を発生させる第2液圧室98bが設けられる。
【0050】
なお、第1スレーブピストン88aと第2スレーブピストン88bとの間には、第1スレーブピストン88aと第2スレーブピストン88bの最大距離と最小距離とを規制する規制手段100が設けられ、さらに、第2スレーブピストン88bには、前記第2スレーブピストン88bの摺動範囲を規制して、第1スレーブピストン88a側へのオーバーリターンを阻止するストッパピン102が設けられ、これによって、特に、マスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧で制動するときのバックアップ時において、1系統の失陥時に他系統の失陥が防止される。
【0051】
VSA装置18は、周知のものからなり、右側前輪及び左側後輪のディスクブレーキ機構30a、30b(ホイールシリンダ32FR、ホイールシリンダ32RL)に接続された第1液圧系統70aを制御する第1ブレーキ系110aと、右側後輪及び左側前輪のディスクブレーキ機構30c、30d(ホイールシリンダ32RR、ホイールシリンダ32FL)に接続された第2液圧系統70bを制御する第2ブレーキ系110bとを有する。なお、第1ブレーキ系110aは、左側前輪及び右側前輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統で、第2ブレーキ系110bは、左側後輪及び右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。さらに、第1ブレーキ系110aは、車体片側の右側前輪及び右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第2ブレーキ系110bは、車体片側の左側前輪及び左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。
【0052】
この第1ブレーキ系110a及び第2ブレーキ系110bは、それぞれ同一構造からなるため、第1ブレーキ系110aと第2ブレーキ系110bで対応するものには同一の参照符号を付していると共に、第1ブレーキ系110aの説明を中心にして、第2ブレーキ系110bの説明を括弧書きで適宜付記する。
【0053】
第1ブレーキ系110a(第2ブレーキ系110b)は、ホイールシリンダ32FR、32RL(32RR、32FL)に対して、共通する第1共通液圧路112及び第2共通液圧路114を有する。VSA装置18は、導入ポート26aと第1共通液圧路112との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなるレギュレータバルブ116と、前記レギュレータバルブ116と並列に配置され導入ポート26a側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から導入ポート26a側へのブレーキ液の流通を阻止する)第1チェックバルブ118と、第1共通液圧路112と第1導出ポート28aとの間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第1インバルブ120と、前記第1インバルブ120と並列に配置され第1導出ポート28a側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第1導出ポート28a側へのブレーキ液の流通を阻止する)第2チェックバルブ122と、第1共通液圧路112と第2導出ポート28bとの間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2インバルブ124と、前記第2インバルブ124と並列に配置され第2導出ポート28b側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2導出ポート28b側へのブレーキ液の流通を阻止する)第3チェックバルブ126とを備える。
【0054】
さらに、VSA装置18は、第1導出ポート28aと第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第1アウトバルブ128と、第2導出ポート28bと第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第2アウトバルブ130と、第2共通液圧路114に接続されたリザーバ132と、第1共通液圧路112と第2共通液圧路114との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2共通液圧路114側へのブレーキ液の流通を阻止する)第4チェックバルブ134と、前記第4チェックバルブ134と第1共通液圧路112との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へブレーキ液を供給するポンプ136と、前記ポンプ136の前後に設けられる吸入弁138及び吐出弁140と、前記ポンプ136を駆動するモータMと、第2共通液圧路114と導入ポート26aとの間に配置されるサクションバルブ142とを備える。
【0055】
なお、第1ブレーキ系110aにおいて、導入ポート26aに近接する液圧路上には、モータシリンダ装置16の出力ポート24aから出力され、前記モータシリンダ装置16の第1液圧室98aで発生したブレーキ液圧を検知する圧力センサPhが設けられる。各圧力センサPm、Pp、Phで検出された検出信号は、図示しない制御手段に導入される。
本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0056】
車両用ブレーキシステム10が正常に機能する正常時には、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが励磁で弁閉状態となり、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第3遮断弁62が励磁で弁開状態となる(図2参照)。従って、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bによって第1液圧系統70a及び第2液圧系統70bが遮断されているため、入力装置14のマスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧がディスクブレーキ機構30a〜30dのホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達されることはない。
【0057】
このとき、マスタシリンダ34の第2圧力室56bで発生したブレーキ液圧は、分岐液圧路58c及び弁開状態にある第3遮断弁62を経由してストロークシミュレータ64の液圧室65に伝達される。この液圧室65に供給されたブレーキ液圧によってシミュレータピストン68がリターンスプリング66a、66bのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容されると共に、擬似的なペダル反力を発生させてブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィーリングが得られる。
【0058】
このようなシステム状態において、図示しない制御手段は、運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検出すると、モータシリンダ装置16の電動モータ72を駆動させてアクチュエータ機構74を付勢し、第1リターンスプリング96a及び第2リターンスプリング96bのばね力に抗して第1スレーブピストン88a及び第2スレーブピストン88bを図2中の矢印X1方向に向かって変位させる。この第1スレーブピストン88a及び第2スレーブピストン88bの変位によって第1液圧室98a及び第2液圧室98b内のブレーキ液圧がバランスするように加圧されて所望のブレーキ液圧が発生する。
【0059】
このモータシリンダ装置16における第1液圧室98a及び第2液圧室98bのブレーキ液圧は、VSA装置18の弁開状態にある第1、第2インバルブ120、124を介してディスクブレーキ機構30a〜30dのホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達され、前記ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動することにより各車輪に所望の制動力が付与される。
【0060】
換言すると、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10では、電動ブレーキアクチュエータ(動力液圧源)として機能するモータシリンダ装置16やバイ・ワイヤ制御する図示しないECU等の制御手段が作動可能な正常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むことでブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ34と各車輪を制動するディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)との連通を第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bで遮断した状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧でディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させるという、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ方式のブレーキシステムがアクティブになる。このため、本実施形態では、例えば、電気自動車等のように、旧来から用いられていた内燃機関による負圧が存在しない車両に好適に適用することができる。
【0061】
一方、モータシリンダ装置16等が作動不能となる異常時では、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bをそれぞれ弁開状態とし、且つ、第3遮断弁62を弁閉状態としてマスタシリンダ34で発生するブレーキ液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)に伝達して、前記ディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)を作動させるという、いわゆる旧来の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。
【0062】
(入力装置14)
次に、図3〜図5を参照しながら、入力装置14の構成をより具体的に説明する。図3は、本実施形態に係る車両用ブレーキシステムの入力装置の概略拡大図であり、(a)は車両後方からの平面図、(b)は車両前方からの平面図である。また、図4は、本実施形態に係る車両用ブレーキシステムの入力装置の上側面図である。さらに図5は、本実施形態に係る車両用ブレーキシステムの入力装置における、マスタシリンダとストロークシミュレータとの接続関係を概略的に示す図である。
なお、各図において、図2に示す部材と同じものについては、図3〜図5においても同じ符号で表すものとし、その詳細な説明は省略する。
【0063】
図3(a)に示すように、入力装置14は、マスタシリンダ34とストロークシミュレータ64とは取り付けプレート(スタッドプレート)304に固定され、車両の車幅方向に一体に並設されているようになっているものである。また、マスタシリンダ34を中心として、ストロースシミュレータ64の反対側には、取り付けプレート304の形状に沿うように取り付けプレート304が肉抜きされた肉抜き部305が設けられている。また、マスタシリンダ34等が固定された取り付けプレート304を例えばダッシュボード2に固定するための車両前方に延在する固定具(スタッドボルト)303が4個設けられている。そして、マスタシリンダ34からブレーキペダル(ブレーキ操作子)12側に伸びるプッシュロッドの先端には連結部34aが設けられ、連結部34aにはブレーキペダル12が連結されるようになっている。
【0064】
さらに、マスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64の上方において、マスタシリンダ34とストロークシミュレータ64との間には、前後方向に細長の外形を有する第1リザーバ36(配管チューブ86を接続するための接続口36aを備えている。)が設けられている。この位置に第1リザーバ36が設けられることにより、構造物搭載室内での省スペース化を図ることができる。そして、取り付けプレート304の車両前方側において、マスタシリンダ34のストロークシミュレータ64とは反対側に、センサバルブユニット300がマスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64と一体に設けられている。
なお、接続口36aと第2リザーバ84(図2参照)とは直接配管チューブ86で接続されてもよいが、車両の搭載レイアウトに応じて、接続口36aと第2リザーバ84との間に別体タンクを設けることもできる。別体タンクを設ける場合、接続口36aは当該別体タンクと接続されることとなる。
【0065】
また、図3(b)に示すように、入力装置14において、ストロークシミュレータ64の車両後方側には、少なくともマスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64のエアを抜くエア抜き用ブリーダ301が設けられている。
【0066】
また、入力装置14は、上記のように、マスタシリンダ34と第1液圧路58a(図2参照)を介して連通している接続ポート20a(第1接続ポート)と、マスタシリンダ34と第2液圧路58b(図2参照)を介して連通している接続ポート20b(第2接続ポート)と、を有している。さらに、図3においては図示していないが、第2液圧路58bから分岐した分岐液圧路58cも入力装置14は有している。
【0067】
そして、第1液圧路58a、第2液圧路58b及び分岐液圧路58cの途中には、図2に示すように第1遮断弁60a、第2遮断弁60b及び第3遮断弁62、並びに、圧力センサPm(第1液圧センサ)及び圧力センサPp(第2液圧センサ)が設けられている。
【0068】
センサバルブユニット300は、第1遮断弁60a、第2遮断弁60b及び第3遮断弁62、並びに、圧力センサPm及び圧力センサPpを制御するための電子回路が収納されたものである。センサバルブユニット300の筐体は樹脂製であり、センサバルブユニット300の筐体を例えば樹脂のように金属よりも脆弱な部材で構成することにより、入力装置14が衝撃を受けた際に、当該衝撃をセンサバルブユニット300の筐体が吸収することができる。また、センサバルブユニット300を樹脂製とすることで、入力装置14の軽量化を図ることができる。
また、センサバルブユニット300は車両下部方向へテーパ形状を有しており、入力装置14を車両から取り外すときの取り外しが容易な形状となっている。
【0069】
エア抜き用ブリーダ301は、少なくともマスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64内のエアを抜くためものである。エア抜き用ブリーダ301の位置は、入力装置14が車両の例えばダッシュボード2に固定された場合に最も高くなる部分に設けられている。このように、入力装置14を車両に固定した際に車両前方向の高さが高いように固定されることにより、マスタシリンダ34等内のエアをエア抜き用ブリーダ301から抜くことができる。なお、例えばマスタシリンダ34の前方の上方や下方等、マスタシリンダ34やストロークシミュレータ64等内のエアが集まる部位や液圧路構成上エアが溜まる部位にエア抜き用ブリーダ301が設けられてもよい。
【0070】
取り付けプレート304はマスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64が一体に並設されて固定されるものであり、車両の上下方向及び左右方向において縁部が弯曲するように形成されている。取り付けプレート304は、車両の車幅方向の長さが、車両の上下方向の長さよりも長くなっている。このような寸法にすることで、取り付けプレートの車幅方向の長さが長い方向に並設されるようにマスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64を配置することができる。さらに、ガソリン自動車等に備えられている既存のダッシュボードの固定点を用い、取り付けプレート304を固定することができる。
【0071】
また、取り付けプレート304には、上記のように肉抜き部305が設けられている。本実施形態においては、車両左側にある2個の固定具303の間であって、取り付け具304の縁部に沿うように形成されている。このように肉抜き部305を設けることにより、車両の軽量化を図ることができる。
【0072】
図4は入力装置14の上側面図であり、図5はマスタシリンダ34とストロークシミュレータ64との接続関係を概略的に示す図である。なお、図5においては、図示の簡略化のためにマスタシリンダ34とストロークシミュレータ64との間で液圧路が最短距離となるように接続し、当該液圧路の途中に第3遮断弁62が設けられるようにしている。また、図5に示す第3遮断弁は閉状態のものである。
【0073】
図4に示すように、本実施形態においては車両の左側から右側方向へ、センサバルブユニット300、マスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64がこの順番で並設されている。また、マスタシリンダ34に設けられたリリーフポート52a、52b(図2参照)を臨む接続口を介して、第1リザーバ36がマスタシリンダ34に接続されている。
【0074】
また、図5に示すように本実施形態においては、マスタシリンダ34が備えるポート位置とストロークシミュレータ64が備えるポート位置との前後方向の位置が一致するように設けている。マスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64をこのように配置することで、これらの間に設けられる流路を最短のものとすることができ、入力装置14をより小型化することができる。
【0075】
図3〜図5に示すように、入力装置14においては、マスタシリンダ34とストロークシミュレータ64とが、車両の車幅方向に一体に並設されている。入力装置14がこのような構成を有することで、少なくともマスタシリンダ34とストロークシミュレータ64との間の流路を最小限のものとすることができ、入力装置14を小型化することができる。その結果、ガソリン自動車に比べて構造物搭載室内の搭載スペースが限られる電気自動車やハイブリッド自動車等においても本実施形態に係る入力装置14を搭載することができるようになる。
【0076】
また、本実施形態に係る入力装置14によれば、ガソリン自動車等に用いられる既存のダッシュボードに入力装置14を設置することができるようになる。そのため、例えばガソリン自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車等で部品の共通化を図ることができ、以って、製造コストの削減を図ることができる。
【0077】
(まとめ)
以上、具体的な実施形態を挙げて本実施形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。
【0078】
例えば、本実施形態においては、マスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64を平行となるように並設して設けているが、これらが一体となっていれば必ずしも平行に設ける必要は無い。さらに、これらが必ずしも同一面内に設けられる必要も無い。
【0079】
また、マスタシリンダ34やストロークシミュレータ64、モータシリンダ装置16等の具体的な構成も特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限りに任意に決定できる。その他の構成についても、本発明の効果を著しく損なわない限り任意に変更することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0080】
1 サイドフレーム(車体)
2 ダッシュボード
10 車両用ブレーキシステム
14 入力装置
16 モータシリンダ装置(電動ブレーキアクチュエータ)
18 VSA装置
20a 第1接続ポート
20b 第2接続ポート
34 マスタシリンダ
36 第1リザーバ(リザーバタンク)
58a 第1液圧路
58b 第2液圧路
58c 分岐液圧路
60a 第1遮断弁
60b 第2遮断弁
62 第3遮断弁
64 ストロークシミュレータ
300 センサバルブユニット
301 エア抜き用ブリーダ
303 固定具
304 取り付けプレート
305 肉抜き部
Pm 第1液圧センサ(圧力センサ)
Pp 第2液圧センサ(圧力センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ操作子の操作が入力される入力装置と、
少なくとも前記ブレーキ操作子の操作に応じた電気信号に基づいてブレーキ液圧を発生する電動ブレーキアクチュエータと、を備える車両用ブレーキシステムにおいて、
前記電動ブレーキアクチュエータとは別体として構成され、前記ブレーキ操作子を有して操作者により操作される入力装置であって、
前記ブレーキ操作子の前記操作による入力によって液圧を発生するマスタシリンダと、
前記マスタシリンダに並設され、前記ブレーキ操作子の操作反力を前記ブレーキ操作子に擬似的に付与するストロークシミュレータと、
を有し、
前記マスタシリンダと前記ストロークシミュレータとが、車両の車幅方向に一体に並設されていることを特徴とする、車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項2】
前記マスタシリンダ及び前記ストロークシミュレータの上方において、
前記マスタシリンダと前記ストロークシミュレータとの間にリザーバタンクが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項3】
前記マスタシリンダ及び前記ストロークシミュレータを前記車両のダッシュボードに取り付け可能な取り付けプレートを有し、
該取り付けプレートの前記車幅方向の長さが、前記取り付けプレートにおける前記車両の上下方向の長さよりも長くなっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項4】
センサバルブユニットが一体に設けられていることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項5】
前記取り付けプレートに肉抜き部が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−106639(P2012−106639A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257352(P2010−257352)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】