説明

車両用プロセス制御システム

【課題】運転者と同乗者とで操作プロセスの引き継ぎや分担を可能とし、利便性を向上する。
【解決手段】運転者席31と同乗者席32にそれぞれ専用の処理部21,22を設けるマルチユーザの構成において、操作プロセスを各処理部21,22間で互いに送受可能としていることにより、1つの操作プロセスに対して同乗者と運転者とで分担して操作を行う。法規によって車両停止中での操作のみに制限されている運転者にとって操作プロセス操作の負担が大きく軽減され、利便性及び車両運転の安全性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両に設けられた車両用プロセス制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けた1台のディスプレイにナビゲーション画像やテレビ画像などの複数の画像を切り替えて表示させるシステムが提供されている。現状、各種法規により、運転者が車両の運転に集中できるよう、車両走行中に限って運転者から視認できるディスプレイを非表示とするか、又は強制的にナビゲーションの地図画像のみ表示するよう、制限が行われている。
【0003】
上記に対応した従来技術として、車両走行中においても表示制限が課せられていない同乗者に対し、ナビゲーション画像以外の画像も表示できるよう、例えば下記の特許文献1に記載の技術が提案されている。この従来技術では、運転席側と助手席側との2つの視方向に対する個別の画像を同一画面上に表示可能なディスプレイを設け、運転席側の視方向に対する画像だけ車両走行中に適切に制限するように制御が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−317956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したナビゲーション画像やテレビ画像などの各種画像をディスプレイ上に表示させる機能は、操作時に長い操作時間が必要となるものが多くある。上記法規の規定により、車両走行中には運転者は一切操作ができない。このため、運転者が上記操作を行いたい場合には運転者が信号待ちなどの短い停止時間に急いで慌ただしく行うか、若しくは操作を行うためだけにわざわざ走行を停止させる必要があった。そして、その中で特に操作が複雑であったり運転者が判断に迷うような場面が一部分でもあると、運転者は当該操作を最後まで完遂することが困難となる。このような場合に、操作の続きを同乗者に一任できれば非常に便利である。あるいは、逆に、上記のような運転者側の事情に鑑み、運転者により最終的に操作してもらいたい部分を除き、それ以外は予め同乗者が操作しておき、操作の残りを運転者に引き継ぎ可能となっていれば非常に便利である。いずれの場合でも、運転者と同乗者とで操作を引き継いだり分担することができれば、非常に便利である。
【0006】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、車両に搭載された少なくとも1つの動作機器に対し所望の動作を行わせるために、運転者又は同乗者の操作に基づき実行されるプロセス(以下、操作プロセスと称する)の制御を行う車両用プロセス制御システムであって、運転者席の前方に配置され前記操作プロセスを表示する第1表示手段、及び、前記運転者席から前記操作プロセスに関する操作入力が可能な第1操作手段、を備えた第1処理部と、同乗者席の前方に配置され前記操作プロセスを表示する第2表示手段、及び、前記同乗者席から前記操作プロセスに関する操作入力が可能な第2操作手段、を備えた第2処理部と、前記車両の走行速度を検出する第1車速検出手段と、各処理部で個別に操作プロセスの処理を実行可能でかつ操作プロセスを各処理部同士で互いに送受可能とするとともに、前記第1車速検出手段が前記車両の走行を検出している間の前記第1操作手段からの操作入力を無効化するように、前記第1処理部及び前記第2処理部を制御する、第1制御手段と、を有する。
【0008】
上記課題を解決するために、請求項9記載の発明は、車両に搭載された少なくとも1つの動作機器に対し所望の動作を行わせるために、運転者又は同乗者の操作に基づき実行されるプロセス(以下、操作プロセスと称する)の制御を行う車両用プロセス制御システムであって、運転者用の前記操作プロセスを表示する第3表示手段、及び、前記運転者用の前記操作プロセスに関する操作入力が可能な第3操作手段、を備えた第3処理部と、同乗者用の前記操作プロセスを表示する第4表示手段、及び、前記同乗者用の前記操作プロセスに関する操作入力が可能な第4操作手段、を備えた第4処理部と、前記車両の走行速度を検出する第2車速検出手段と、各処理部で個別に操作プロセスの処理を実行可能でかつ操作プロセスを各処理部同士で互いに送受可能とするとともに、前記第2車速検出手段が前記車両の走行を検出している間は前記第3操作手段からの操作入力を無効化するとともに前記第3処理部からの指示に応じて前記第4処理部における当該第3処理部と同様の処理を可能とする、第2制御手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の車両用プロセス制御システムが備えられるインストゥルメントディスプレイを自動車の運転者席に設置した状態を示す図である。
【図2】車両用プロセス制御システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】運転者用画像と同乗者用画像の表示例と、各席からの各画像に対する視認の可否を説明する図である。
【図4】車両用プロセス制御システムの機能構成例を示すブロック図である。
【図5】各処理部において行われる手動モーション操作の動作例を示す図である。
【図6】CPUで実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図7】WEB検索の操作プロセスとナビゲーションの操作プロセスとをリンクさせる例を示す図である。
【図8】処理部間で操作プロセスの分担操作を行う例を示すシーケンスチャートである。
【図9】センター画面を表示する場合の各画像の表示例と、各席からの各画像に対する視認の可否を説明する図である。
【図10】センター画面を表示する場合の車両用プロセス制御システムの機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の車両用プロセス制御システムが備えられるインストゥルメントディスプレイを自動車(車両に相当)の運転者席に設置した状態を示す図である。なお、この図1においては、左側座席にハンドル4を配置したレイアウトの運転者席を示しているが、右側座席にハンドル4を配置したレイアウトの車両にも適用可能である。
【0011】
この図1において、本実施形態では、自動車の前側座席の前方で横幅一杯に延びた長尺型のインストゥルメントディスプレイ2が設置されている。このインストゥルメントディスプレイ2は、この例では全体が一つの液晶パネルで構成されており、全ての領域で任意の表示が可能となっている。図示する例では、当該インストゥルメントパネル2の表示画面全体の背景が黒色となっており、そのうち左側座席である運転者席の前方に各種計器画面101と運転者用画面102(第1、第3表示手段に相当)が表示され、右側座席である同乗者席の前方に同乗者用画面103(第2、第4表示手段に相当)が表示される。また、この例では運転者用画面101と同乗者用画面102のそれぞれの表示領域の近傍に、後述する手動モーション操作を撮像し対応する信号を出力可能な撮像カメラ3A,3Bが設置されている。
【0012】
図2は、車両用プロセス制御システム1のハードウェア構成例を示すブロック図である。なお、この図2には主に特徴的な構成部だけを示しているが、その他にも、図示を省略するが、動作機器として、CD・DVDプレーヤ、ラジオ、地上波デジタルテレビのチューナ、等の一般的なオーディオ・ビジュアル機器も装備されている。
【0013】
車両用プロセス制御システム1は、CPU11、記憶装置12、ナビゲーション装置13、車速センサ14、ネットワーク通信制御部15、撮像カメラ3A,3B、グラフィックコントローラ16、インストゥルメントディスプレイ2を有している。
【0014】
CPU11は第1、第2制御手段に相当し、所定のプログラムの動作によって各種の演算を行うとともに、他の各部(特に、後述する運転者用処理部21及び同乗者用処理部22)との間で情報の交換や各種の制御指示を出力することで、車両用プロセス制御システム1全体を制御する機能を有する。
【0015】
記憶装置12は、ROM12a、RAM12b、及び記憶媒体12cを有する。ROM12aは、後述する各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた情報記憶媒体である。RAM12bは、上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。記憶媒体12cは、例えばフラッシュメモリ、ハードディスクなどの不揮発性の情報記憶媒体である。
【0016】
ナビゲーション装置13は動作機器に相当し、GPSセンサ(特に図示せず)を利用して車両の現在地の測位を行うとともに、予め記憶している地図情報に基づいて所定の経路探索や経路誘導を行う機能を有する。
【0017】
車速センサ14は第1、第2車速検出手段に相当し、自車の走行速度を検出する機能(言い換えれば走行していることを検出する機能)を有する。CPU11は、この車速センサ14の検出信号に基づき、当該自動車が走行中の状態であるか、停止中の状態であるかを識別することができる。
【0018】
ネットワーク通信制御部15は動作機器に相当し、無線通信を介して適宜の通信ネットワークに接続し、情報の送受を制御する機能を有する。
【0019】
2つの撮像カメラ3A,3Bはそれぞれ第1、第3操作手段及び第2、第4操作手段に相当し、例えばCCD撮像素子などを利用して、運転者又は同乗者がそれぞれ運転者用画面102又は同乗者用画面103の手前で行った手の動作(手動モーション)を撮像し、対応する信号をCPU11へ出力する機能を有する。CPU11は、各撮像カメラ3A,3Bからの信号に基づき、撮像した手の動作を画像認識(手動モーション認識に相当)により解析して、運転者又は同乗者がどのような操作入力を行ったかを識別することができる(後の図5で詳しく説明する)。したがって、上記撮像カメラ3A,3BからCPU11に入力される信号が実質的に操作信号として機能し、撮像カメラ3A,3Bは実質的に遠隔操作手段として機能する。
【0020】
グラフィックコントローラ16は、CPU11の制御によってビデオRAM(図示せず)、上記ナビゲーション装置13、及び上述したビジュアル機器などから画像データを取得し、この画像データに基づく画像を上記インストゥルメントディスプレイ2上の所定の表示領域に表示させる機能を有する。
【0021】
図3は、インストゥルメントディスプレイ2における運転者用画面102及び同乗者用画面103の表示例と、運転者席31及び同乗者席32それぞれからの各画像に対する視認の可否を説明する図である。なお、この図3においては、図示の煩雑を避けるためにインストゥルメントディスプレイ2の背景を白色としてその表示領域中の各表示画像を黒色で示している(以下の各図で同様)。
【0022】
この図3に示す例において、インストゥルメントディスプレイ2の表示領域のうち、左側の運転者席31の前方には、速度計やタコメータなどの動作状態を表示する計器画面101が表示され、これと並んで、上記ナビゲーション装置13が出力する地図画像が運転者用画面102として表示されている。また、インストゥルメントディスプレイ2の表示領域のうち、右側の同乗者席32の前方には、上記ネットワーク通信制御部15を介して外部の通信ネットワークから取得した情報検索画面が同乗者用画面103として表示されている。
【0023】
本実施形態では、このように運転者用画面102と同乗者用画面103とをそれぞれ異なる内容で個別に表示できるように、CPU11による制御が行われる。そして、各画像において表示や操作を行う機能は、その表示画像の内容別に対応した操作プロセスとして処理される(後述の図4で詳しく説明する)。
【0024】
また、特にインストゥルメントディスプレイ2のうち同乗者用画面103を表示する領域部分においては、車両の走行状態にかかわらず常に運転者席31からの視線角度では視認できないようにする偏光処理が施されている。これにより、運転者は常に計器画面101と運転者用画面102とだけが視認可能であり、運転時の視点が同乗者用画面103に分散してしまうのを防ぐことができる。なお、同乗者席32からは、運転者用画面102と同乗者用画面103との両方が常に視認可能である。
【0025】
図4は、本実施形態の例における車両用プロセス制御システム1の機能構成例を示すブロック図である。
【0026】
この図4において、上記運転者用画面102とその近傍に設けられた撮像カメラ3Aとを組み合わせた機能部分、つまり主に運転者に対応して設けられたインターフェース部分が運転者用処理部21として機能している。また、同様に、上記同乗者用画面103とその近傍に設けられた撮像カメラ3Bとを組み合わせた機能部分、つまり主に同乗者に対応して設けられたインターフェース部分が同乗者用処理部22として機能している。これら運転者用処理部21及び同乗者用処理部22は、上記CPU11の制御により、以下に説明する機能を実行可能に構成されている。
【0027】
そして、本実施形態では、上記運転者用処理部21と上記同乗者用処理部22とのいずれに対しても情報を送受して一時的に記憶保持可能なプロセスサーバ23が設けられる。このプロセスサーバ23は、上記記憶装置12のRAM12bや記憶媒体12cの一部を利用して構成することができる。
【0028】
そして、車両用プロセス制御システム1において、上記の2つの処理部はそれぞれ所定のアプリケーションによる作業を実行するよう機能するものであり、本願明細書においては、そのようなアプリケーション作業の一つ一つの単位を「操作プロセス」と定義する。具体的に、各処理部21,22が実行可能な操作プロセスの種類としては、上記ナビゲーション装置13を利用した「地図画像の表示」作業(以下適宜、本文又は図示において「地図表示」と称する)や、車両の「走行経路の探索」作業(以下適宜、本文又は図示において単に「ルート探索」と称する)や、当該探索した「経路の表示」作業、(以下適宜、本文又は図示において「ルート表示」と称する)、あるいは、上記ネットワーク通信制御部15を介したWEBサイトなどの「閲覧表示」作業(以下適宜、本文又は図示において「閲覧」と称する)や、「情報検索」作業(以下適宜、本文又は図示において「情報検索」又は「WEBサイト検索」と称する)や、当該検索した結果を合成して所望の「情報を生成」する作業(以下適宜、本文又は図示において「情報合成」と称する)、あるいは、上記オーディオ・ビジュアル機器(特に図示せず)を利用した各種メディアの「視聴表示・発音」作業(以下適宜、本文又は図示において「視聴」と称する)などがある。なお、各図においては、図示の煩雑を避けるために操作プロセスではなく単に「プロセス」と表示している。
【0029】
また、各処理部21,22がCPU11の制御に基づき操作プロセスに対して行える処理としては、まず基本的に、操作プロセスの実行がある。ここで、各処理部21,22では、それぞれ任意に選択した複数の操作プロセスを開始して表示し、その時点で画像表示されている操作プロセスに対し所望の操作を行うことができ、その際、それら複数の操作プロセスを並行して実行することが可能である。また、このような処理を各処理部21,22ごとに独立して並行に処理することができる。すなわち本実施形態の車両用プロセス制御システム1全体としては、いわゆるマルチユーザ・マルチプロセス環境を実現するものである。
【0030】
また各処理部21,22がCPU11の制御に基づき操作プロセスに対して行える他の処理としては、その時点で実行されている複数の操作プロセスどうしをリンクさせる処理(後述の図7参照)や、それら複数の操作プロセスの画像表示を切り替える処理(後述の図5参照)がある。
【0031】
さらに各処理部21,22は、CPU11の制御に基づき、各処理部間で相互に操作プロセスを送受する処理が可能となっている。この場合、一方の処理部から送信された全ての操作プロセスは一旦プロセスサーバ23に記憶保持され、その後に他方の処理部がプロセスサーバ23から操作プロセスを受信する。このため、送受される操作プロセスには少なくとも送信先の処理部を示す情報が明記される必要があり、例えば図中の操作プロセス#1においては“Q to P”のうちの記号Pで示す運転者用処理部21が送信先に相当する(なお送信元の記号Qは同乗者用処理部22を示す)。若しくは、特に図示しないが、プロセスサーバ23内で各送信先の処理部別に記憶領域を区別するようにしてもよい。
【0032】
なお、本実施形態の車両用プロセス制御システム1においては、法規に準拠して運転者が車両の運転に集中できるよう、CPU11が運転者用処理部21の操作プロセスの処理に制限を課している。つまり上記車速センサ14が検出する走行速度から自車が走行中である(例えばしきい値としての5km/h未満の走行速度が検出されている)間においては、CPU11は、運転者用処理部21が実行可能な操作プロセスを、ナビゲーション装置13で用いられる地図画像を運転者用画面102として表示することのみに制限される。この際、運転者用処理部21では、他の操作プロセス処理は一切行えないので、運転者は運転者用画面102として表示された上記地図画像を見ることしかできなくなる。
【0033】
<手動モーションによる操作>
上述の制限の下、本実施形態の各処理部12,22においては、各操作プロセスに対する操作を、運転者又は同乗者が上記撮像カメラ3A,3Bの前で所定の手動モーションを行いCPU11に認識させることによって行うことができる。図5は、各処理部21,22において実行可能な手動モーションによる操作例を示す図である。
【0034】
図5は同乗者用処理部22での操作例を示している。図示する例では、当該同乗者用処理部22において操作プロセス#1〜#4の4つの操作プロセスが既に開始されており、そのうち適宜のWEBサイトでレストランの情報検索を行っている操作プロセス#1のみが、同乗者用画面103としてインストゥルメントディスプレイ2に表示されている。この状態の同乗者用処理部22では、当該同乗者用画面103として表示されている操作プロセス#1のみが操作対象の(操作可能な)操作プロセスとなる。
【0035】
そして同乗者(言い換えれば同乗者用処理部22の操作者)は、同乗者用画面103の近傍に設置されている撮像カメラ3Bの有効視野範囲内で上記手動モーション(手の動き)による所定の動作を行うことで、当該手動モーションを認識したCPU11の制御により、対応するプロセス処理を行うことができる。図示の例では、手の平全体で同乗者用画面103を上方向又は下方向へ払いのけるような動作を行うことにより、同乗者用画面103に表示させる操作プロセスを切り替えることができる(図示「プロセス切り替え」参照)。また、手の平全体で同乗者用画面103を運転者用画面102のある左方向へ払いのけるような動作を行うことにより、その時点で同乗者用画面103として表示されている操作プロセスを運転者用処理部21へ送信することができる(図示「プロセス送信」参照)。なおこの際には送信された操作プロセスが一旦プロセスサーバ23に保留される。また、逆に手の平全体で運転者用画面102のある左側から引き寄せるような動作を一度行うことにより、それまでプロセスサーバ23に保留されていた同乗者宛の操作プロセスを一つ受信することができる(図示「プロセス受信」参照)。
【0036】
また例えば、同乗者用画面103に向けて所定の位置を押す、なぞる、又は軽く叩くなどの動作を行うことにより、対象となる操作プロセスに対する各種操作入力を行うことができる(図示「プロセス操作」参照)。
【0037】
同乗者用処理部22では以上のようなプロセス操作やプロセス表示が常に可能である。また、運転者用処理部21では車両停止中においてのみ上記同乗者用処理部22と同様のプロセス操作及びプロセス表示が可能である(但し左右の操作方向が同乗者用処理部22とは逆になる)。車両走行中は上述したようにナビゲーション操作プロセスによる地図表示のみが可能である。
【0038】
図6は、上述した運転者用処理部21及び同乗者用処理部22での操作プロセスの操作及び表示に関し、CPU11が実行する制御内容を表すフローチャートである。
【0039】
図6において、CPU11は、まずステップS10において、撮像カメラ3A,3Bにより上記手動モーションの撮像が行われたかどうかを判定する。運転者又は同乗者が撮像カメラ3A,3Bの視野内で上記手動モーションを行うまでは判定が満たされずループ待機し、手動モーションが行われ撮像が行われたらステップS10の判定が満たされて、ステップS20へ移る。
【0040】
ステップS20では、CPU11は、ステップS10で撮像された手動モーションの内容を認識できたかどうかを判定する。具体的には、CPU11は、上述した例では、撮像された手動モーションが、手の平全体で上方向又は下方向又は左方向又は右方向へ払いのけるような動作・引き寄せるような動作等であることを認識できたかどうかを判定する。どのような手動モーションの内容であるかを認識できなかった場合はステップS20の判定が満たされず、ステップS10に戻り同様の手順を繰り返す。手動モーションの内容が認識できた場合にはステップS20の判定が満たされ、ステップS30に移る。
【0041】
ステップS30では、CPU11は、ステップS20で認識した手動モーションの内容に対応した操作内容を取得する。すなわち、適宜の箇所(例えば記憶装置12のROM12aやRAM12bや記憶媒体12c)に、手動モーションの内容と対応する処理との対応付けが予めテーブルとして記憶されている。このテーブルには、例えば前述の例に沿うと、「撮像カメラ3Bにおける手の平全体で左方向へ払いのけるような動作」が「同乗者用画面103の操作プロセスの運転者用処理部21への送信」に対応付けられ、「手の平全体で運転者用画面102のある左側から引き寄せるような動作を一度行う」ことが「プロセスサーバ23に保留されていた同乗者宛の操作プロセスを一つ受信」に対応付けられている(その他も同様)。ステップS30では、当該テーブルを参照することで、CPU11は、ステップS20で認識した手動モーションの内容に対応した操作内容を取得する。その後、ステップS40に移る。
【0042】
ステップS40では、CPU11は、ステップS10で手動モーションを撮像しステップS20で当該モーションを認識できたのが、運転者用処理部21であったかどうか(言い換えればステップS10で撮像したのが撮像カメラ3Aであったかどうか)を判定する。手動モーションを認識できたのが運転者用処理部21であった場合にはステップS40の判定が満たされ、後述のステップS60に移る。手動モーションを認識できたのが運転者用処理部21でなく同乗者用処理部22であった場合にはステップS40の判定が満たされず、ステップS50に移る。
【0043】
ステップS50では、CPU11は、ステップS30で取得した操作内容に対応する処理を、処理対象となる操作プロセスに対して実行する。これにより、前述のような操作プロセスの送信や操作プロセスの受信等の各種処理が実行される。その後、このフローを終了する。
【0044】
一方、ステップS40の判定が満たされた場合、CPU11は、ステップS60で、上記車速センサ14の検出結果に基づき、車両が走行中であるかどうかを判定する。走行中でなかった場合は判定が満たされず、上記ステップS50に移る。車両が走行中であった場合にはステップS60の判定が満たされ、ステップS70に移る。
【0045】
ステップS70では、CPU11は、ステップS30で取得した操作内容が、ナビゲーション装置13において地図表示(現在の車両の位置表示を含む)を行う操作であったかどうかを判定する。地図表示を行う操作であった場合には判定が満たされ、上記ステップS50へ移る。地図表示を行う操作ではなかった場合には、ステップS70の判定が満たされない。この場合は、CPU11は、操作プロセスに対する処理を行わずにそのままこのフローを終了する。このときのCPU11の機能は、実質的に、第1、第3操作手段としての運転者用処理部21の撮像カメラ3Aを介しての操作入力を無効化していることに相当している。
【0046】
なお、図5に示したように、CPU11の制御に基づき、同乗者用画面103の一部(図示する例では画面の下方部分)において、その時点でプロセスサーバ23に保留されている操作プロセスのうち当該同乗者用処理部22から送信したものと当該同乗者用処理部22宛てで未受信のものの数をリアルタイムに表示させることで、運転者と同乗者に送受信操作の必要性を示すこともできる。また、特に図示しないが、その時点でプロセスサーバ23に保留されている各操作プロセスの内容や、その時点で運転者用画面102に表示されている内容の一覧を、同乗者用画面103に表示する処理を、通常の操作プロセスの処理と別に行えるようにしてもよい。また、同乗者用画面103(又は運転者用画面102)において複数の画像を表示しておき、その中から運転者用画面102(又は同乗者用画面103)へ送信する画面を選択できるようにしてもよい。
【0047】
<複数種類の操作プロセス同士のリンク>
本実施形態の車両用プロセス制御システム1においては、CPU11の制御に基づき、複数種類の操作プロセスどうしをリンクさせる処理が可能となっている。図7はその操作プロセス間リンク処理の一例を示す図であり、この図7ではWEBサイト検索の操作プロセスとナビゲーションの操作プロセスとをリンクさせる例を示している。
【0048】
まず図7(a)に示す例では、各処理部21,22のいずれかによって4つのWEBサイト検索及び閲覧の操作プロセスが実行されている。具体的には、その日のドライブの立ち寄り先となる通過点の候補が検索され、表示されている。
【0049】
次に、図7(b)に示す例では、上記検索の結果に基づく合成情報を作成し表示する操作プロセスが実行されている。具体的には、上記表示した複数の通過点候補のリストを作成し、当該リストにより複数の通過点候補が一覧表示されている。これにより、各通過点候補の同時表示による比較検討が容易となり、円滑な選択決定が可能となる。
【0050】
そして、図7(c)に示す例では、ナビゲーションのルート探索及びルート表示の操作プロセスが実行されている。具体的には、上記図7(a)及び図7(b)に示したWEBサイト検索の操作プロセスによって選択された通過点を通過するルートをナビゲーション操作プロセスで探索するとともに、探索したルートを表示している。
【0051】
このようにして、本実施形態では、種類の異なる2つの操作プロセスをリンクさせて処理させることができる。なお、ここで例示したWEBサイト検索とナビゲーションの組み合わせのリンク処理以外にも、例えばWEBサイト検索とメディア視聴との組み合わせで再生プレイリストや視聴スケジュールを作成することや、メディア視聴とナビゲーションとの組み合わせで走行中の道路やエリアに対応したBGMの切り替え再生なども可能である。
【0052】
<操作プロセスの送受信の具体例>
【0053】
既に述べたように、法規により、運転者は、車両走行中には運転者用処理部21からのプロセス操作ができないよう制限されている。このため、運転者が所望の操作プロセスに対し何らかの操作を行いたい場合には、信号待ちなどの短い停止時間に慌ただしく操作を行うか、若しくは操作を行うためだけにわざわざ走行を停止させる必要がある。
【0054】
しかし、例えば上記のような複数種類の操作プロセスをリンクして処理する場合にはそれら一連の複数の操作プロセスの全てを操作して処理するには長い操作時間が必要である(場合によっては1種類の操作プロセスに対する操作だけでも長い操作時間を必要とするものもある)。その長い操作の中で特に操作が複雑であったり判断に迷うような場面が一部分でもあると、運転者は最後まで操作を完遂することが困難となる。このような場合に、操作の続きを同乗者用処理部22を用いて同乗者に一任できれば非常に便利である。また、上記のような運転者側の事情に鑑み、運転者により最終的に操作してもらいたい部分を除き、それ以外は予め同乗者が操作しておき、操作の残りを運転者に引き継ぎ可能となっていれば非常に便利である。いずれの場合でも、運転者と同乗者とで操作プロセスに対する操作を引き継いだり分担することができれば、非常に便利である。
【0055】
そこで、本実施形態においては、CPU11の制御により、操作プロセスを各処理部21,22の間で互いに送受可能としている。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0056】
図8は、上記のような処理部21,22間での操作プロセスの操作分担を行う場合の例を示すシーケンスチャートである。なお、この例では、上記図7を用いて説明したWEBサイト検索とナビゲーションの2種類の操作プロセスがリンクして行われる場合を例にとって説明する。
【0057】
図8において、この例では、車両が走行中であり、運転者用処理部21において前述の操作プロセスに関わる制限の結果、地図表示(自車位置を含む)の操作プロセスのみが許容されて実行され、この結果、運転者用画面102においてナビゲーション装置13による地図画像の表示が行われている。
【0058】
そして、この走行状態において、同乗者の操作により、同乗者用処理部22において、前述の図7(a)と同様、WEBサイト検索及び閲覧の操作プロセスが実行され、通過点の候補が表示されている。
【0059】
その後、同乗者の操作により、同乗者用処理部22において、前述の図7(b)と同様、上記検索の結果に基づく合成情報の作成・表示の操作プロセスが実行され、図示するように通過点候補リストが一覧表示されている。
【0060】
その後、同乗者の操作により、同乗者用処理部22において、上記のようにして完了した合成情報の作成・表示の操作プロセスが(詳細には当該操作プロセスが完了した通過点候補リストの表示状態で)運転者用処理部21へと送信される。なお、この送信された操作プロセス(通過点候補リストの表示)は、一旦、待機状態としてプロセスサーバ23に記憶される(図示の「通過点候補リスト待機」参照)。
【0061】
そして、車両が信号待ちで停止すると、前述した法規による制限が解除されるので、運転者用処理部21での操作プロセスに対する操作が可能となる。この結果、運転者の操作により、運転者用処理部21において上記通過点候補リストの表示状態である操作プロセスがプロセスサーバ23から受信される。
【0062】
その後、運転者の操作により、運転者用処理部21において、運転者の意向が反映された新たな合成情報の作成・表示の操作プロセスが実行される。すなわち、具体的には上記のようにして受信された通過点候補リストに含まれる通過点候補に基づき、運転者が確認し最終的に選択決定した通過点を含む通過点リストが新たに作成され、表示される。
【0063】
そして、運転者の操作により、運転者用処理部22において、上記のようにして完了した合成情報の作成・表示の操作プロセスが(詳細には当該操作プロセスが完了した通過点リストの表示状態で)同乗者用処理部22へと送信される。なお、この送信された操作プロセス(通過点リストの表示)も、上記同様、一旦、待機状態としてプロセスサーバ23に記憶される(図示の「通過点リスト待機」参照)。なお、その後に信号が切り替わって車両が走行を再開することで、前述したようにCPU11の制御により運転者用画面102がナビゲーションの通常表示に強制的に切り替わり、再び運転者用処理部21での操作は制限される。
【0064】
その後、同乗者の任意のタイミングで、当該同乗者の操作により、同乗者用処理部22において、上記通過点リストの表示状態である操作プロセスがプロセスサーバ23から受信される。
【0065】
そして、同乗者の操作により、同乗者用処理部22において、ナビゲーション装置13を用いたルート探索の操作プロセスが実行される。すなわち、具体的には、ナビゲーション装置13により、上記のようにして受信された通過点リストに含まれる通過点を通過する車両の走行ルートが探索され、表示される。
【0066】
そして、本実施形態においては、CPU11の制御により、上記のようなナビゲーション操作プロセスにおいて同乗者用処理部22においてルート探索の操作プロセスが行われた場合、その操作プロセスの内容(詳細には探索結果)が、運転者用処理部22の操作プロセス、すなわち運転者用画面102での地図表示において自動的に反映されるようになっている。これにより、運転者用画面102においては、上記探索されたルートが反映されたナビゲーションの地図画像が表示される。すなわち、運転者用画面102の地図画像に上記探索されたルートの誘導情報が自動的に表示される。この場合において、運転者用処理部21と同乗者用処理部22のそれぞれのナビゲーション操作プロセスが同期することになる。
【0067】
以上のようにして操作プロセスを引き継ぎ分担することで、同乗者がWEBサイト検索によって通過点の候補を選出した後、最終的に運転者に通過点を選択し決定させる協働作業を行うことができる。そして以上のような長い操作工程のうち、運転者は通過点候補リストの確認と選択決定を行うだけでよく、短い信号待ちの間でも十分に余裕を持って行うことができる。なお、渋滞などで車両の停止状態が長く続くことが予想される場合には、運転者がそれ以降の操作を全て行ってもよい。また、同乗者は通過点候補リストを送信してからその後に通過点リストを受信するまでの間には、他の操作プロセス操作を行うこともできる。なお、運転者が選択した通過点リストを同乗者用処理部22において受信した後でも、さらに同乗者が選択決定を修正できるようにしてもよい。
【0068】
以上のように、上記実施形態における車両用プロセス制御システム1は、車両に搭載された少なくとも1つの動作機器(ナビゲーション装置13に相当)に対し所望の動作を行わせるために、運転者又は同乗者の操作に基づき実行されるプロセス(以下、操作プロセスと称する)の制御を行う車両用プロセス制御システム1であって、運転者席31の前方に配置され前記操作プロセスを表示する運転者用画面102(第1表示手段に相当)、及び、運転者席31から操作プロセスに関する操作入力が可能な運転者側の撮像カメラ3A(第1操作手段に相当)、を備える運転者用処理部21(第1処理部に相当)と、同乗者席32の前方に配置され操作プロセスを表示する同乗者用画面103(第2表示手段に相当)、及び、同乗者席32から操作プロセスに関する操作入力が可能な同乗者側の撮像カメラ3B(第2操作手段に相当)、を備えた同乗者用処理部22(第2処理部に相当)と、車両の走行速度を検出する車速センサ14(第1車速検出手段に相当)と、各処理部21,22で個別に操作プロセスの処理を実行可能でかつ操作プロセスを各処理部21,22同士で互いに送受可能とするとともに、前記車速センサ14が車両の走行を検出している間の、前記運転者側の撮像カメラ3Aからの操作入力を無効化するように、各処理部21,22を制御する、CPU11(第1制御手段に相当)とを有する。
【0069】
この車両用プロセス制御システム1においては、運転者席31と同乗者席32にそれぞれ専用の処理部21,22を用いて、同乗者と運転者とで操作プロセスを引き継いだり、分担して操作することができる。したがって、ユーザにとっての利便性を大きく向上できる。なお、後部座席にも表示装置と操作部を設置することで複数の同乗者用処理部22を備える構成とすることもできる。
【0070】
上記実施形態における車両用プロセス制御システム1においては、上述した構成に加えてさらに、各処理部21,22のそれぞれから送信された操作プロセスを一時的に記憶保持するプロセスサーバ23を備えている。これにより、各処理部21,22における操作プロセスの送受信をそれぞれの都合に応じた任意のタイミングで行うことができ、操作自由度及び作業効率を向上できる。
【0071】
上記実施形態における車両用プロセス制御システム1においては、上述した構成に加えてさらに、CPU11は、前記動作機器としてのナビゲーション装置13が実行するナビゲーション操作プロセスに関し、前記車速センサ14が車両の走行を検出している間は、運転者用画面102がナビゲーション操作プロセスの地図表示のみを行うよう、運転者用処理部21を制御する。これにより、車両走行中における運転者は、運転に必要な地図画像以外の操作プロセス画像を見ることができなくなり、法規に準拠して運転者を車両の運転に集中させることができる。
【0072】
上記実施形態における車両用プロセス制御システム1においては、上述した構成に加えてさらに、CPU11は、同乗者用処理部22におけるナビゲーション操作プロセスの内容を、運転者用処理部21におけるナビゲーション操作プロセスにも反映させる。これにより、同乗者によってナビゲーションの操作プロセスが完了した場合に、その結果を反映させた地図画像を、最も必要とする運転者に対し自動的に表示して認識させることができる。
【0073】
上記実施形態における車両用プロセス制御システム1においては、上述した構成に加えてさらに、前記同乗者用画面103は、運転者席31からの視認が不可能な偏光処理が施されている。これにより、運転者は常に計器画面101と運転者用画面102だけ視認可能であり、運転時の視点が同乗者用画面103に分散してしまうのを防ぐことができるため、運転安全性を向上できる。
【0074】
上記実施形態における車両用プロセス制御システム1においては、上述した構成に加えてさらに、各処理部21,22の前記撮像カメラ3A,3Bは、遠隔からの手動モーションを認識するための操作信号を出力する遠隔操作手段である。これにより、操作者は手動モーションにより手軽な操作が可能となり、利便性が向上する。また、インストゥルメントディスプレイ2が各席31,32から離間して配置されている場合でも容易な遠隔操作が可能となる。
【0075】
なお、このようなカメラでの撮像を介した画像認識により手動モーション操作を行う以外にも、複数の赤外線を走査させてそれらの遮断検出による遠隔操作やいわゆる測拒センサを用いた遠隔操作を行ってもよく、若しくはインストゥルメントディスプレイ2の全体又は一部に適宜のボタンやタッチパネル等を第1及び第2操作手段として設けてもよい。又は、それら操作手段をインストゥルメントディスプレイ2から分離して各席31,32の近傍に配置する構成としてもよい。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0077】
(1)センター画面を表示する場合
上記実施形態では、インストゥルメントディスプレイ2に表示させる画像が、計器画面101と各処理部21,22に対応した2つの画面102,103だけであったが、本発明はこれに限られない。例えば、各処理部21,22の中間部(詳細には画面102,103の中間部)に、運転者と同乗者とが共有できる別のセンター画面を表示するようにしてもよい。
【0078】
図9は、本変形例におけるインストゥルメントディスプレイ2Aの表示例と、運転者席31及び同乗者席32それぞれからの各画像に対する視認の可否を説明する図であり、上記図3に対応する図である。
【0079】
この図9において、インストゥルメントディスプレイ2Aは運転者用画面102と同乗者用画面103の間の位置に、センター画面104(共用表示手段に相当)を表示している。このセンター画面104には、CPU11の制御に基づき、各処理部21,22の操作プロセスとは別に運転者と同乗者とが共用して利用できる操作プロセスが表示される。その際には、上記図4に対応する図10に示す(送信先・送信元に関わる記号Rはセンター画面104を示す)ように、例えば前述のような送信のための手動モーションにより運転者用画面102又は同乗者用画面103に表示された任意の操作プロセスが送信されることで、センター画面104での表示が実行される。ただし、このセンター画面104は、上記法規を遵守するために、車両走行時には運転者席31から視認が不可能な偏向状態となるようにCPU11による表示制御が行われ、車両停止時にだけ運転者席31からの視認が可能となる。
【0080】
上記変形例における車両用プロセス制御システム1Aは、上述した構成に加えてさらに、前記運転者用画面102と前記同乗者用画面103との中間部に設けられ、各席31,32から視認可能なセンター画面104(共用表示手段に相当)を有し、CPU11は、各処理部21,22がセンター画面104に任意の操作プロセスを送信して表示可能となるように、運転者用処理部21及び同乗者用処理部22を制御する。これにより、各処理部21,22にはそれぞれ専用の操作プロセス作業環境を確保していながら、例えば、BGMの再生やテレビの視聴などといった運転者と同乗者が共有できる操作プロセスの実行が可能となる。
【0081】
また、上記変形例における車両用プロセス制御システム1Aにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記CPU11は、車速センサ14が車両の走行を検出している間は、前記運転者席31からの視認が不可能な偏光状態となるように、センター画面104を制御する。これにより、上記法規に準拠して、車両走行中においては運転者を車両の運転に集中させることができる。
【0082】
(2)その他
以上において、例えば図7や図8に示す例では、操作が完了した状態の操作プロセスを、運転者用処理部21と同乗者用処理部22との相互間で送受して引き継ぎ可能としていたが、これに限られない。すなわち、当該プロセスでの操作がまだ完了していない状態の操作プロセスを、運転者用処理部21と同乗者用処理部22との相互間で送受可能としてもよい。具体的には、例えば信号待ちで車両が停止した状態で運転者の操作により運転者用処理部21においてナビゲーションのルート探索の操作プロセスが実行されていたが、その操作の途中で(例えばルート探索のための目的地設定までが終わり、立ち寄り地設定が終わっていない状態で)信号が青に変わってしまった場合(この場合走行開始と共に運転者用処理部21での操作自体が不可能となる)等が考えられる。この場合には、前述のようにして、当該操作途中状態の操作プロセス(ナビゲーションのルート探索)を同乗者用処理部22へと送信することで、その後の当該操作プロセスでの操作を、同乗者側で引き継ぎ分担することができる。この例でも、上記と同様の効果を得ることができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0083】
以上に示すこの変形例の車両用プロセス制御システム1は、車両に搭載された少なくとも1つの動作機器(ナビゲーション装置13に相当)に対し所望の動作を行わせるために、運転者又は同乗者の操作に基づき実行されるプロセス(以下、操作プロセスと称する)の制御を行う車両用プロセス制御システム1であって、運転者席31の前方に配置され前記操作プロセスを表示する運転者用画面102(第3表示手段に相当)、及び、運転者席31から操作プロセスに関する操作入力が可能な運転者側の撮像カメラ3A(第3操作手段に相当)、を備える運転者用処理部21(第3処理部に相当)と、同乗者席32の前方に配置され操作プロセスを表示する同乗者用画面103(第4表示手段に相当)、及び、同乗者席32から操作プロセスに関する操作入力が可能な同乗者側の撮像カメラ3B(第4操作手段に相当)、を備えた同乗者用処理部22(第4処理部に相当)と、車両の走行速度を検出する車速センサ14(第2車速検出手段に相当)と、各処理部21,22で個別に操作プロセスの処理を実行可能でかつ操作プロセスを各処理部21,22同士で互いに送受可能とするとともに、前記車速センサ14が車両の走行を検出している間の、前記運転者側の撮像カメラ3Aからの操作入力を無効化するとともに運転者用処理部21からの指示に応じて同乗者用処理部22における運転者用処理部21と同様の処理を可能とする、CPU11(第2制御手段に相当)とを有する。
【0084】
このように、車速センサ14が車両の走行を検出している間に、運転者用処理部21からの指示に応じて同乗者用処理部22における運転者用処理部21と同様の処理を可能にすることで、運転者操作の継続を走行中に助手席操作にて実現できるため、ユーザの利便性を向上することができる。
【0085】
また、インストゥルメントディスプレイ2は上述したような長尺型に限られるものではなく、例えば運転者席側と同乗者席側との2つの視方向に対する個別の画像を同一画面上に表示可能なディスプレイであればよい。
【0086】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【符号の説明】
【0087】
1,1A 車両用プロセス制御システム
2,2A インストゥルメントディスプレイ
3A,3B 撮像カメラ(第1、第3操作手段、第2、第4操作手段に相当)
11 CPU(第1、第2制御手段に相当)
13 ナビゲーション装置(動作機器に相当)
14 車速センサ(第1、第2車速検出手段に相当)
15 ネットワーク通信制御部(動作機器に相当)
21 運転者用処理部(第1、第3処理部に相当)
22 同乗者用処理部(第2、第4処理部に相当)
23 プロセスサーバ
31 運転者席
32 同乗者席
102 運転者用画面(第1、第3表示手段に相当)
103 同乗者用画面(第2、第4表示手段に相当)
104 センター画面(共用表示手段に相当)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された少なくとも1つの動作機器に対し所望の動作を行わせるために、運転者又は同乗者の操作に基づき実行されるプロセス(以下、操作プロセスと称する)の制御を行う車両用プロセス制御システムであって、
運転者席の前方に配置され前記操作プロセスを表示する第1表示手段、及び、前記運転者席から前記操作プロセスに関する操作入力が可能な第1操作手段、を備えた第1処理部と、
同乗者席の前方に配置され前記操作プロセスを表示する第2表示手段、及び、前記同乗者席から前記操作プロセスに関する操作入力が可能な第2操作手段、を備えた第2処理部と、
前記車両の走行速度を検出する第1車速検出手段と、
各処理部で個別に操作プロセスの処理を実行可能でかつ操作プロセスを各処理部同士で互いに送受可能とするとともに、前記車速検出手段が前記車両の走行を検出している間の前記第1操作手段からの操作入力を無効化するように、前記第1処理部及び前記第2処理部を制御する、第1制御手段と、
を有することを特徴とする車両用プロセス制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用プロセス制御システムにおいて、
各処理部のそれぞれから送信された操作プロセスを一時的に記憶保持するプロセスサーバを備えていることを特徴とする車両用プロセス制御システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用プロセス制御システムにおいて、
前記制御手段は、
前記動作機器としてのナビゲーション装置が実行するナビゲーション操作プロセスに関し、前記車速検出手段が前記車両の走行を検出している間は、前記第1表示手段が前記ナビゲーション操作プロセスによる地図表示のみを行うよう、前記第1処理部を制御する
ことを特徴とする車両用プロセス制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用プロセス制御システムにおいて、
前記制御手段は、
前記第2処理部における前記ナビゲーション操作プロセスの内容を、前記第1処理部におけるナビゲーション操作プロセスにも反映させることを特徴とする車両用プロセス制御システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用プロセス制御システムにおいて、
前記第2表示手段は、
前記運転者席からの視認が不可能な偏光処理が施されていることを特徴とする車両用プロセス制御システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用プロセス制御システムにおいて、
前記第1表示手段と前記第2表示手段との中間部に設けられ、各席から視認可能な共用表示手段を有し、
前記制御手段は、
各処理部が前記共用表示手段に任意の操作プロセスを送信して表示可能となるように、前記第1処理部及び前記第2処理部を制御する
ことを特徴とする車両用プロセス制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用プロセス制御システムにおいて、
前記制御手段は、
前記車速検出手段が前記車両の走行を検出している間は、前記運転者席からの視認が不可能な偏光状態となるように、前記共用表示手段を制御する
ことを特徴とする車両用プロセス制御システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両用プロセス制御システムにおいて、
前記第1操作手段及び前記第2操作手段は、
遠隔からの手動モーションを認識するための操作信号を出力する遠隔操作手段であることを特徴とする車両用プロセス制御システム。
【請求項9】
車両に搭載された少なくとも1つの動作機器に対し所望の動作を行わせるために、運転者又は同乗者の操作に基づき実行されるプロセス(以下、操作プロセスと称する)の制御を行う車両用プロセス制御システムであって、
運転者用の前記操作プロセスを表示する第3表示手段、及び、前記運転者用の前記操作プロセスに関する操作入力が可能な第3操作手段、を備えた第3処理部と、
同乗者用の前記操作プロセスを表示する第4表示手段、及び、前記同乗者用の前記操作プロセスに関する操作入力が可能な第4操作手段、を備えた第4処理部と、
前記車両の走行速度を検出する車速検出手段と、
各処理部で個別に操作プロセスの処理を実行可能でかつ操作プロセスを各処理部同士で互いに送受可能とするとともに、前記車速検出手段が前記車両の走行を検出している間は前記第3操作手段からの操作入力を無効化するとともに前記第3処理部からの指示に応じて前記第4処理部における当該第3処理部と同様の処理を可能とする、制御手段と、
を有することを特徴とする車両用プロセス制御システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−117846(P2012−117846A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265617(P2010−265617)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】