説明

車両用ユーザー操作補助装置

【課題】制御システムの起動に適した環境で、運転者が当該制御システムを起動するように誘導することが可能な車両用ユーザー操作補助装置を提供すること。
【解決手段】車両環境を取得する車両環境取得手段と、前記車両環境取得手段により取得された車両環境が、ユーザーの操作により起動される所定の制御システムを起動するのに適した環境であるか否かを判定する判定手段と、前記所定の制御システムを起動するための起動手段と、前記判定手段により前記車両環境が前記所定の制御システムを起動するのに適した環境であると判定されたときに、前記起動手段を起動させる制御手段と、を備える車両用ユーザー操作補助装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、種々の制御システムに対するユーザーの操作を補助する車両用ユーザー操作補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には、定速走行制御(ACC;Adaptive Cruise Control)や車間距離制御、車線維持制御、EV(Electric Vehicle)走行制御、クリアランスソナー等、種々の制御を行なう制御システムが搭載されている。
【0003】
これに関連し、エンジンと走行用モータを備える車両の制御装置についての発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この制御装置では、エンジンを停止して走行用モータにより走行すること(モータ走行)のみを運転者が選択しているときには、予め定められたモータ走行条件が成立している場合にモータ走行を実行し、定速走行制御や車間距離制御の起動のみを運転者が選択しているときにはこれらを実行し、モータ走行、及び定速走行制御又は車間距離制御の双方を運転者が選択しているときには、モータ走行よりも定速走行制御や車間距離制御を優先して実行するように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−213727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置を含めた従来の制御システムにおいては、当該制御システムの機能・効果、どのような環境で用いるのが適切なのかが判りにくいという課題が存在する。また、制御システムを起動するスイッチの位置も、運転回数が少ない車両ユーザー(運転者)にとっては判りにくいものである。全ての車両ユーザーが車両のマニュアルを熟読する訳ではないからである。これにより、適切な環境で制御システムが起動されなかったり、適切でない環境で制御システムが起動されたりする場面も生じうる。
【0006】
具体的には、例えばハイブリッド車両に装備されているEVスイッチ(前述のモータ走行を優先的に行なう走行モードに移行するためのスイッチである)を操作する場合、(1)エンジン始動スイッチと同時に押すとエンジンが始動しないモードになる、(2)一定以上の車速ではモータ走行に移行できない、(3)走行用モータに電力供給するバッテリーの充電率が低い場合にはモータ走行に移行できない、等の予備知識が必要であるが、こうした知識は容易に習得可能なものではない。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、制御システムの起動に適した環境で、運転者が当該制御システムを起動するように誘導することが可能な車両用ユーザー操作補助装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
車両に搭載される車両用ユーザー操作補助装置であって、
車両環境を取得する車両環境取得手段と、
前記車両環境取得手段により取得された車両環境が、ユーザーの操作により起動される所定の制御システムを起動するのに適した環境であるか否かを判定する判定手段と、
前記所定の制御システムを起動するための起動手段と、
前記判定手段により前記車両環境が前記所定の制御システムを起動するのに適した環境であると判定されたときに、前記起動手段を起動させる制御手段と、
を備える車両用ユーザー操作補助装置である。
【0009】
この本発明の一態様によれば、制御システムの起動に適した環境で、運転者が当該制御システムを起動するように誘導することができる。
【0010】
本発明の一態様において、
前記起動手段は、前記所定の制御システムを起動するためのスイッチとして一時的に機能する汎用スイッチを含むものとしてよい。こうすれば、専用スイッチを設けることによる車両スペースの使用増を抑制することができる。
【0011】
この場合、前記汎用スイッチは、ステアリングボス部の端部に設置されるものとしてよい。こうすれば、運転者が右手親指等で操作可能となり、運転者が余りスイッチ操作に集中することなく所定の制御システムを起動することができる。この結果、交通安全に寄与することができる。
【0012】
また、本発明の一態様において、
前記起動手段は、タッチパネル上に設定されたソフトウエアスイッチを含むものとしてよい。
【0013】
この場合、前記ソフトウエアスイッチは、地図画面に重畳して表示されるものとしてよい。
【0014】
また、本発明の一態様において、
前記起動手段は、前記所定の制御システムを起動するための音声入力を受け付ける手段であるものとしてよい。
【0015】
また、本発明の一態様において、
前記所定の制御システムと前記起動手段の態様との組み合わせを、ユーザーの編集操作により変更可能であることを特徴とするものとしてよい。
【0016】
また、本発明の一態様において、
前記車両環境取得手段は、車両位置を取得可能な手段を含み、
前記判定手段は、前記車両環境取得手段により取得された車両位置が所定位置に至った場合に、前記車両環境が前記所定の制御システムを起動するのに適した環境であると判定する手段であるものとしてよい。
【0017】
また、本発明の一態様において、
特定の車両環境において起動される起動手段を、ユーザーの編集操作により変更可能であることを特徴とするものとしてよい。こうすれば、よりユーザーのニーズに合致した制御を行なうことができる。
【0018】
また、本発明の一態様において、
前記判定手段は、自車両における前記所定の制御システムの起動状況に基づき、前記車両環境が前記所定の制御システムを起動するのに適した環境であるか否かを学習することを特徴とするものとしてよい。こうすれば、よりユーザーのニーズに合致した制御を行なうことができる。
【0019】
また、本発明の一態様において、
車外から情報を受信する受信手段を備え、
前記判定手段は、前記受信手段により取得された他車両における前記制御システムの起動状況に基づいて、前記車両環境が前記所定の制御システムを起動するのに適した環境であるか否かを判定する手段であるものとしてよい。
【0020】
この場合、車外に情報を送信する送信手段を備え、
自車両における前記所定の制御システムの起動状況を、前記送信手段により車外に送信する手段であるものとしてよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、制御システムの起動に適した環境で、運転者が当該制御システムを起動するように誘導することが可能な車両用ユーザー操作補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施例に係る車両用ユーザー操作補助装置1のシステム構成例である。
【図2】ドットマトリクスディスプレイ20、及び汎用スイッチ22の外観構成例である。
【図3】第1実施例に係るHMI制御装置10が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】ユーザーの編集操作がユーザーの自宅PCやPDA上で行なわれる様子を概念的に示す図である。
【図5】編集操作を行なう手順を、各ステップにおける表示画面と共に示した図である。
【図6】フルTFTディスプレイ24等を用いて特定の車両環境と制御システムの関係をユーザーが編集する様子を示す図である。
【図7】本発明の第2実施例に係る車両用ユーザー操作補助装置2のシステム構成例である。
【図8】第2実施例に係るHMI制御装置10が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施例に係る車両用ユーザー操作補助装置3のシステム構成例である。
【図10】第3実施例に係るHMI制御装置10が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】センター70において実行される情報蓄積処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】センター70において実行される情報提供処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0024】
<第1実施例>
以下、図面を参照し、本発明の第1実施例に係る車両用ユーザー操作補助装置1について説明する。車両用ユーザー操作補助装置1は、車両に搭載され、ユーザーの操作により起動される所定の制御システムを起動するための、ユーザー操作を補助する装置である。所定の制御システムは、例えば、定速走行制御システム(ACC;Adaptive Cruise Control)や車間距離制御システム、車線維持制御システム、EV(Electric Vehicle)走行制御システム、クリアランスソナー等である。なお、所定の制御システムの個数に特段の制限はなく、単独であってもよい。
【0025】
[構成]
図1は、本発明の第1実施例に係る車両用ユーザー操作補助装置1のシステム構成例である。車両用ユーザー操作補助装置1は、HMI制御装置10を中心として構成される。
【0026】
HMI制御装置10は、例えば、CPUを中心としてROMやRAM等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピュータであり、その他、HDD(Hard Disc Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD−R(Compact Disc-Recordable)ドライブ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の記憶装置やI/Oポート、タイマー、カウンター等を備える。ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0027】
HMI制御装置10は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより機能する主要な機能ブロックとして、判定部12と、起動制御部14と、を備える。なお、判定部12は、ナビゲーション制御装置50の一機能であってもよい。
【0028】
HMI制御装置10では、判定部12が、車両環境が所定の制御システムを起動するのに適した環境であると判定したときに、起動制御部14が、所定の制御システムを起動するための起動手段を起動させて、所定の制御システムの起動をユーザーに提案する。
【0029】
本発明における車両環境とは、以下の構成により取得される車両の位置(緯度、経度)、進行方向、速度、気候、その他の情報をいう。
【0030】
HMI制御装置10には、ドットマトリクスディスプレイ20、汎用スイッチ22、フルTFT(Thin Film Transistor)ディスプレイ24、ディスプレイ用操作スイッチ26が接続されている。また、HMI制御装置10には、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)に代表される低速なボデー系通信プロトコル、MOST(Media Oriented Systems Transport)に代表されるマルチメディア系通信プロトコル、FlexRay等の適切な通信プロトコルを用いた車載ネットワークを介して、走行・制動系制御装置40、シャシー系制御装置42、視界支援系制御装置44、ナビゲーション制御装置50、ボデー制御装置60、無線通信装置62、車両センサ64等が接続されている。これらのうち、走行・制御系制御装置40、シャシー系制御装置42、視界支援系制御装置44、ボデー制御装置60が、前述した所定の制御システムを実現している。
【0031】
図2は、ドットマトリクスディスプレイ20、及び汎用スイッチ22の外観構成例である。ドットマトリクスディスプレイ20は、例えばコンビネーションメータ内に設置され、任意のパターン表示が可能なドットディスプレイである。
【0032】
汎用スイッチ22は、例えばステアリングボス部の右端部(左端部でもよい)に設けられ、運転者が右手親指等で操作可能となっている。汎用スイッチ22は、ドットマトリクスディスプレイ20上に表示された選択画面において、摘みを上方向に傾けることによりカーソル等を上方向に移動させる操作(送り操作)、摘みを下方向に傾けることにより下方向に移動させる操作(戻し操作)、及び摘みを押下することによる決定操作等が可能に構成される。汎用スイッチ22は、特定の制御システム専用のものではなく、所定の制御システム間で共用され、また他の用途にも用いられてよい性質のものである。
【0033】
フルTFTディスプレイ24は、インストルメントパネル中央部に設けられ、主にナビゲーション表示に用いられる。フルTFTディスプレイ24は、トランジスタを構成する半導体層やゲート絶縁膜、電極、保護絶縁膜などが薄膜状にガラスあるいは石英製の基板に形成されたディスプレイ装置であり、タッチパネルとしての機能を有する。ディスプレイ用操作スイッチ26は、フルTFTディスプレイ24の周辺部に設けられ、主にナビゲーションシステムにおけるモード切換えや目的地入力等に用いられる。
【0034】
走行・制動系制御装置40は、エンジン制御やハイブリッド制御(HV制御)、ブレーキ制御、更には応用的な走行制御としてクルーズ制御、パワー走行制御、ECO(Ecology)走行制御、滑り回避制御、坂道アシスト制御、レーンキープアシスト制御、EV走行制御等を行なっている。シャシー系制御装置42は、エアサス制御や乗り心地制御(スポーツ制御やコンフォート制御、段差学習制御等を含む)等を行なっている。視界支援系制御装置44は、灯火系制御やカメラ制御、ソナー制御、視界支援制御(AFS(Adaptive Front-Lighting System)制御、オートハイビーム制御、近接警告制御、歩行者検出制御等を含む)等を行なっている。ボデー制御装置60は、シート制御、ワイパー制御、ミラー制御、空調制御等を行なっている。
【0035】
ナビゲーション制御装置50は、GPS(Global Positioning System)やINS(Inertial Navigation System)により車両の位置を特定する位置特定制御、地図DB(データベース)への書き込み等を行なう地図DB制御、ナビ制御(目的地に誘導する経路案内や施設の位置を案内する位置提供制御等を含む)等を行なっており、地図DB(データベース)52や特定環境情報54を格納する記憶装置を内蔵する。
【0036】
地図DB52は、例えば、交差点等を表し、座標(緯度、経度)を有するノード点と、ノード点を接続し、道路幅や道路曲率、道路種別等が付随して記憶されたリンクと、により道路形状を表現している。また、地図DB52は、ナビゲーション案内における目的地の候補となる主要な施設、交差点、地名等、及び急カーブ、橋梁等の座標ないし領域を含む情報を地点情報として有している。地図DB52は、無線通信装置62によってアップデータされたり、CD−ROM等の固定メディアによってアップデータされたりする。
【0037】
特定環境情報54は、特定の車両環境情報と、起動されるべき所定の制御システムとの関係を規定したものである。
【0038】
無線通信装置62は、携帯電話等の無線回線網を介してセンター70との通信を行なう。センター70は、例えば自動車メーカーの情報サービス設備であり、インターネット網等を介してユーザーの自宅PCやPDA(Personal Digital Assistant)等と接続されている。
【0039】
車両センサ64は、勾配センサ、車速センサ、ヨーレートセンサ、ETC(Electronic Toll Collection System)車載機等を含む。
【0040】
[主要な処理の流れ]
図3は、第1実施例に係るHMI制御装置10が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
まず、ナビゲーション制御装置50や車両センサ64等から車両環境情報(例えば、走行中の道路種別、接近中の施設名称、進行方向、カーブ接近情報、車速等を含む)が入力されるまで待機する(S100)。
【0042】
ナビゲーション制御装置50や車両センサ64等から車両環境情報が入力されると、特定環境情報54を参照し、入力された車両環境情報が所定の制御システムを起動するのに適した環境であるか否かを判定する(S102)。簡易な例としては、例えば渋滞していない高速道路を走行している場合に、クルーズ制御やレーンキープアシスト制御を行なうのに適した環境であると判定する。なお、本判定で起動するのに適していると判定される制御システムは単独である必要はなく、同時に複数の制御システムが、起動するのに適していると判定されてよい。逆に、制御システム毎に本フローが実行されるものとしてもよい。
【0043】
入力された車両環境情報が、所定の制御システムを起動するのに適した環境であると判定した場合は、当該所定の制御システムを起動するための起動手段が起動中であるか否かを判定する(S104)。
【0044】
当該所定の制御システムを起動するための起動手段が起動中でないと判定した場合は、当該所定の制御システムを起動するための起動手段を起動して、当該所定の制御システムの起動をユーザーに提案する。(S106)。
【0045】
具体的には、図2で示したように、ドットマトリクスディスプレイ20に「EVモードで起動する(Yes/No)」等の内容を表示すると共に、カーソル移動や決定の入力が可能となるように、汎用スイッチ22を一時的に機能させる。ここで、音声案内を併せて行なうと、運転者がドットマトリクスディスプレイ20を直視する時間を短くすることができる。なお、EVモードで起動するのに適した環境とは、例えば市街地から車両を発進させるような環境である。この場合、車載バッテリーの充電率等を更に勘案して、EVモードで起動するのが適切か否かを判定すると好適である。
【0046】
そして、前回このフローが実行されてから今回までの間に、運転者による起動操作がなされたか否かを判定する(S108)。運転者による起動操作がなされた場合は、当該所定の制御システムを起動すると共に、起動手段を停止する(S110)。
【0047】
ここで、「起動手段を停止する」とは、例えば、ドットマトリクスディスプレイ20の表示を通常時の背景画像等に切換え、汎用スイッチ22をオフの状態とする(或いは通常の機能に戻す)ことをいう。
【0048】
一方、車両環境情報が、所定の制御システムを起動するのに適した環境でないと判定した場合は、所定の制御システムを起動するための起動手段が起動中であるか否かを判定する(S112)。起動手段が起動中であると判定した場合は、当該起動手段を停止する(S114)。
【0049】
なお、本フローは、ナビゲーション制御装置50等から車両環境情報が入力される度に1ルーチンを実行するものとして説明したが、ナビゲーション制御装置50等から入力される車両環境情報は本フローとは独立して周期的に入力され、本フローは単に所定周期で実行されるものとしてもよい。
【0050】
[編集処理]
なお、本実施例の車両用ユーザー操作補助装置1では、特定の車両環境において起動される起動手段を、ユーザーの編集操作により変更可能である。ユーザーの編集操作は、例えばフルTFTディスプレイ24上で行なわれる。
【0051】
また、これに限らず、ユーザーの自宅PCやPDA上で行なわれてもよい。この場合、図4に概念的に示すように、ユーザーの自宅PCで編集された内容は、センターを介してインターネット及び無線通信網で車両に送信されてもよいし、記録メディアによって運搬されて車両にインストールされてもよい。ユーザーの自宅PCやPDA上で行なわれる場合のアプリケーションは、フルTFTディスプレイ24上で行なわれる場合のアプリケーションと同じであることが望ましい。
【0052】
図5は、係る編集操作を行なう手順を、各ステップにおける表示画面と共に示した図である。まず、場所入力画面をフルTFTディスプレイ24等に表示し、ユーザーに、ディスプレイ用操作スイッチ26を用いて所定の制御システムの起動を提案する場所(起動手段を起動する場所)を設定させる(S200)。場所入力画面としては、例えばユーザーによってスクロール可能なスクロール地図を表示すると好適である。
【0053】
次に、機能入力画面を表示し、設定された場所で起動を提案する制御システムを選択させる(S202)。図では、EV走行制御、ECO走行制御、AVS制御(セミアクティブサスペンションの制御であり、フロント及びリアの減衰力を走行条件に応じて自動的に変更する制御をいう)を選択肢として表示している。この際に、複数の制御システムを同時に提案するようにしてもよい。この場合、同時に起動させるスイッチとして汎用スイッチ22等を機能させてよい。
【0054】
そして、確認画面を表示して、提案場所の設定を確定させる(S204)。
【0055】
続いて、再度、場所入力画面を表示し、ユーザーに提案終了場所(起動手段を停止する場所)を設定させる(S206)。
【0056】
次に、提案範囲入力画面を表示し、提案範囲をユーザーに指定させる(S208)。ここで、提案範囲の指定は、道路で指定してもよいし、地図上の範囲で指定してもよい。
【0057】
そして、確認画面を表示し、以上の設定を確定させる(S210)。
【0058】
なお、図5の手順に限らず、「高速道路を走行中で車速が所定車速以上となればクルーズ制御の起動を提案する」等、特定の車両環境と制御システムの関係をユーザーが自由に編集できるようにしてよい。図6は、フルTFTディスプレイ24等を用いて特定の車両環境と制御システムの関係をユーザーが編集する様子を示す図である。図示するように、始動時にはEVモードに移行する制御の起動を提案し、後者時には汎用スイッチ22を用いた戸締まり確認を促し、高速道路ではクルーズ制御の起動を提案する等してよい。ユーザーは、例えばチェックボックスにタッチ操作することにより、これらの車両環境において起動手段を起動させるか否かを決定することができる。
【0059】
[その他]
上記では、起動手段として、「ドットマトリクスディスプレイ20に表示し、汎用スイッチ22で選択・決定させる」態様のものを示したが、他の手段を用いてもよい。
【0060】
例えば、フルTFTディスプレイ24に表示し、ディスプレイ用操作スイッチ26で選択・決定させるものとしてもよいし、フルTFTディスプレイ24にソフトウエアスイッチを設定してもよい。この場合、地図画面上にソフトウエアスイッチを重畳表示してよく、更に所定の制御システムを駆動させる場所(高速道路、市街地、山)等のアイコンを表示してもよい。
【0061】
また、HUD(Head Up Display)に表示し、汎用スイッチ22で選択・決定させるものとしてもよい。
【0062】
また、音声により所定の制御システムの起動を提案し、音声入力で所定の制御システムの起動を受け付けるものとしてもよい。
【0063】
また、起動手段として、所定の制御システム毎に異なるものを採用する場合、起動させる制御システムと起動手段の組み合わせをユーザーが編集できるようにすると好適である。
【0064】
以上説明した本実施例の車両用ユーザー操作補助装置1によれば、所定の制御システムの起動に適した環境で、運転者が当該所定の制御システムを起動するように誘導することができる。
【0065】
また、特定の制御システム専用のものではない汎用スイッチ22を用いて所定の制御システムを起動させるため、専用スイッチを設けることによる車両スペースの使用増を抑制することができる。
【0066】
また、汎用スイッチ22は、ステアリングボス部の右端部に設けられ、運転者が右手親指等で操作可能となっているため、運転者が余りスイッチ操作に集中することなく所定の制御システムを起動することができる。この結果、交通安全に寄与することができる。
【0067】
また、特定の車両環境において起動される起動手段をユーザーの編集操作により変更可能であるため、よりユーザーのニーズに合致した制御を行なうことができる。
【0068】
<第2実施例>
以下、図面を参照し、本発明の第2実施例に係る車両用ユーザー操作補助装置2について説明する。車両用ユーザー操作補助装置2は、第1実施例の車両用ユーザー操作補助装置1が有する構成、機能に加え、特定の車両環境情報と、起動されるべき所定の制御装置との関係を学習する機能を有する。すなわち、特定環境情報54は、車両納入時に予めナビゲーション制御装置50の記憶装置に記憶されていてもよいが、これに代えて(又は加えて)、本実施例のように学習されたものが新規に又は追加・更新情報として用いられてよい。
【0069】
[構成]
図7は、本発明の第2実施例に係る車両用ユーザー操作補助装置2のシステム構成例である。車両用ユーザー操作補助装置2が有するHMI制御装置10は、学習部16を備える。
【0070】
学習部16は、所定の制御システムがユーザーの操作により起動されたときに、その時点における車両環境(季節、時間帯、速度、位置(絶対位置のみならず、例えば自宅から何[m]といった位置範囲であってもよい)等を含む)をRAM等に記憶させる。そして、過去に同じ制御システムが起動されたときの車両環境として同一のものが多数記憶されていた場合に、当該車両環境と所定の制御システムの関係を学習データとして特定環境情報54に追加する。
【0071】
以下は、学習部16の学習ルールの一例である。
(1)数値化可能なパラメータについて正規分布における1σないし2σ程度に収まるものは、同一のパラメータを有するとみなす。
(2)同一パラメータを有する環境を、同一の環境とみなす。
(3)同一の環境で所定回数以上、同一の制御システムが操作された場合、特定環境情報54に追加するに追加する。
(4)但し、同一の環境で同一の制御システムが100%操作された訳ではない場合は、パターン性を発見できれば、特定環境情報54に例外情報として追加する。例えば、特定の曜日、搭乗者人数等に起因して当該所定の制御システムが起動されない場合は、当該特定の曜日、搭乗者人数に該当する場合は、当該所定の制御システムを起動しないようにする。
【0072】
[主要な処理の流れ]
図8は、第2実施例に係るHMI制御装置10が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローは第1実施例における図3のフローと共通する処理が多いため、当該共通処理については簡略に説明する。
【0073】
まず、ナビゲーション制御装置50や車両センサ64等から車両環境情報が入力されるまで待機する(S300)。
【0074】
ナビゲーション制御装置50や車両センサ64等から車両環境情報が入力されると、特定環境情報54を参照し、入力された車両環境情報が所定の制御システムを起動するのに適した環境であるか否かを判定する(S302)。
【0075】
入力された車両環境情報が、所定の制御システムを起動するのに適した環境であると判定した場合は、当該所定の制御システムを起動するための起動手段が起動中であるか否かを判定する(S304)。
【0076】
当該所定の制御システムを起動するための起動手段が起動中でないと判定した場合は、当該所定の制御システムを起動するための起動手段を起動して、当該所定の制御システムの起動をユーザーに提案する。(S306)。
【0077】
そして、前回このフローが実行されてから今回までの間に、運転者による起動操作がなされたか否かを判定する(S308)。運転者による起動操作がなされた場合は、当該所定の制御システムを起動すると共に、起動手段を停止する(S310)。
【0078】
更に、直近に入力された車両環境情報と、今回起動された所定の制御システムを対応付けてRAM等に記憶する(S311)。
【0079】
一方、車両環境情報が、所定の制御システムを起動するのに適した環境でないと判定した場合は、所定の制御システムを起動するための起動手段が起動中であるか否かを判定する(S312)。起動手段が起動中であると判定した場合は、当該起動手段を停止する(S314)。
【0080】
S311において記憶された車両環境情報と所定の制御システムの組み合わせは、例えばエンジン停止等のタイミングで上記説明した学習ルールに従って取捨選択され、特定環境情報54に追加される。また、特定環境情報54においても新規に学習された学習データと相関しなくなったデータは、適宜削除されることになる。
【0081】
以上説明した本実施例の車両用ユーザー操作補助装置2によれば、第1実施例の車両用ユーザー操作補助装置1が奏する効果に加え、ユーザーによる所定の制御システムの起動傾向を学習し、学習結果に応じて所定の制御システムの起動をユーザーに提案するため、よりユーザーのニーズに合致した制御を行なうことができる。
【0082】
<第3実施例>
以下、図面を参照し、本発明の第3実施例に係る車両用ユーザー操作補助装置3について説明する。車両用ユーザー操作補助装置3は、第2実施例の車両用ユーザー操作補助装置2が有する構成、機能に加え、学習データが不十分な場合に、無線通信装置62によりセンター70に接続し、他車両における学習データを取得する機能を有する。
【0083】
[構成]
図9は、本発明の第3実施例に係る車両用ユーザー操作補助装置3のシステム構成例である。車両用ユーザー操作補助装置3が有するHMI制御装置10は、通信制御部18を備える。
【0084】
通信制御部18は、ナビゲーション制御装置50や車両センサ64等から車両環境情報が入力されたときに、特定環境情報54に記憶された学習データのうち当該入力された車両環境情報に相当するものが存在するか否か、及び適切であるか否かを判定する。そして、入力された車両環境情報に相当するものが存在しない、或いは適切でない場合に、無線通信装置62によりセンター70に接続し、他車両における学習データを取得する。
【0085】
ここで、「適切でない場合」とは、学習データの個数が十分でないため信頼性が低い場合や、最終更新日が古いため信頼性が低い場合等が相当する。
【0086】
更に、無線通信装置62によりセンター70から取得した学習データについても同様の判定を行ない、センター70から取得した学習データに入力された車両環境情報に相当するものが存在しない、或いは適切でない場合には、起動手段の起動を行なわない。
【0087】
[主要な処理の流れ]
図10は、第3実施例に係るHMI制御装置10が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローは第2実施例における図8のフローと共通する処理が多いため、当該共通処理については簡略に説明する。
【0088】
まず、ナビゲーション制御装置50や車両センサ64等から車両環境情報が入力されるまで待機する(S400)。
【0089】
ナビゲーション制御装置50や車両センサ64等から車両環境情報が入力されると、当該入力された車両環境情報に相当するものが存在するか否か、及び適切であるか否かを判定する(S401)。
【0090】
当該入力された車両環境情報に相当するものが存在し、且つ適切である場合は、入力された車両環境情報が所定の制御システムを起動するのに適した環境であるか否かを判定する(S402)。
【0091】
入力された車両環境情報が、所定の制御システムを起動するのに適した環境であると判定した場合は、当該所定の制御システムを起動するための起動手段が起動中であるか否かを判定する(S404)。
【0092】
当該所定の制御システムを起動するための起動手段が起動中でないと判定した場合は、当該所定の制御システムを起動するための起動手段を起動して、当該所定の制御システムの起動をユーザーに提案する。(S406)。
【0093】
そして、前回このフローが実行されてから今回までの間に、運転者による起動操作がなされたか否かを判定する(S408)。運転者による起動操作がなされた場合は、当該所定の制御システムを起動すると共に、起動手段を停止する(S410)。
【0094】
更に、直近に入力された車両環境情報と、今回起動された所定の制御システムを対応付けてRAM等に記憶する(S411)。
【0095】
S401において否定的な判定を得た場合は、無線通信装置62によりセンター70に接続し、他車両における学習データを取得する(S430)。
【0096】
そして、取得した学習データのうち、入力された車両環境情報に相当するものが存在するか否か、及び適切であるか否かを判定する(S432)。
【0097】
入力された車両環境情報に相当するものが存在し、且つ適切である場合は、S402に進む。入力された車両環境情報に相当するものが存在しない、或いは適切でない場合は、S412に進む。
【0098】
S402又はS432において否定的な判定を得た場合は、所定の制御システムを起動するための起動手段が起動中であるか否かを判定する(S412)。起動手段が起動中であると判定した場合は、当該起動手段を停止する(S414)。
【0099】
なお、他車両も同様にセンター70に接続して学習データを取得するため、自車両において得られた学習データを、所定のタイミングで無線通信装置62によりセンター70にアップロードする。
【0100】
以上説明した本実施例の車両用ユーザー操作補助装置3によれば、第1実施例の車両用ユーザー操作補助装置1や第2実施例の車両用ユーザー操作補助装置2が奏する効果に加え、自車両において適切な学習データが存在しない場合でも、センター70から他車両の学習データを取得するため、より積極的に所定の制御システムの起動提案を行なうことができる。
【0101】
なお、図10のフローチャートでは、車両環境情報が入力されて該当する適切な学習データがない場合に、センター70に接続して学習データを取得するものとしたが、これに限らず、定期的に学習データを取得する動作を行なってもよい。
【0102】
<センターの処理>
ここで、センター70における処理について説明する。図11は、センター70において実行される情報蓄積処理の流れを示すフローチャートである。本フローは、繰り返し実行される。
【0103】
まず、各車両から所定の制御システムの起動情報(又は学習データ)を受信するまで待機する(S500)。
【0104】
所定の制御システムの起動情報(又は学習データ)を受信すると、受信した情報が有効であるか否かを判定する(S502)。係る有効性の判定は、季節、時間帯、車速等から判断される。
【0105】
受信した情報が有効でないと判定した場合は、何も処理を行なわずに本フローの1ルーチンを終了する。一方、受信した情報が有効であると判定した場合は、自己が保有するデータベースの情報を更新して(S504)、本フローの1ルーチンを終了する。データベースの情報更新は、車両から送信された起動情報に基づいて学習データを編集してもよいし、学習データを受信した場合は単にこれを追加してもよい。
【0106】
図12は、センター70において実行される情報提供処理の流れを示すフローチャートである。本フローは、繰り返し実行される。
【0107】
まず、各車両から学習データの取得を要求するリクエスト信号を受信するまで待機する(S600)。リクエスト信号には、送信元の車両における車両環境情報が含まれる。
【0108】
リクエスト信号を受信すると、当該送信元の車両における車両環境情報に合致した有効な学習データがデータベースに存在するか否かを判定する(S602)。
【0109】
有効な学習データがデータベースに存在する場合は、当該学習データをリクエスト信号の送信元の車両に送信する(S604)。一方、有効な学習データがデータベースに存在しない場合は、有効な学習データが存在しない旨を送信元の車両に送信する(S606)。
【0110】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、自動車製造業や自動車部品製造業等に利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
1、2、3 車両用ユーザー操作補助装置
10 HMI制御装置
12 判定部
14 起動制御部
16 学習部
18 通信制御部
20 ドットマトリクスディスプレイ
22 汎用スイッチ
24 フルTFTディスプレイ
26 ディスプレイ用操作スイッチ
40 走行・制動系制御装置
42 シャシー系制御装置
44 視界支援系制御装置
50 ナビゲーション制御装置
60 ボデー制御装置
62 無線通信装置
64 車両センサ
70 センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両用ユーザー操作補助装置であって、
車両環境を取得する車両環境取得手段と、
前記車両環境取得手段により取得された車両環境が、ユーザーの操作により起動される所定の制御システムを起動するのに適した環境であるか否かを判定する判定手段と、
前記所定の制御システムを起動するための起動手段と、
前記判定手段により前記車両環境が前記所定の制御システムを起動するのに適した環境であると判定されたときに、前記起動手段を起動させる制御手段と、
を備える車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項2】
前記起動手段は、前記所定の制御システムを起動するためのスイッチとして一時的に機能する汎用スイッチを含む、
請求項1に記載の車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項3】
前記汎用スイッチは、ステアリングボス部の端部に設置される、
請求項2に記載の車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項4】
前記起動手段は、タッチパネル上に設定されたソフトウエアスイッチを含む、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項5】
前記ソフトウエアスイッチは、地図画面に重畳して表示される、
請求項4に記載の車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項6】
前記起動手段は、前記所定の制御システムを起動するための音声入力を受け付ける手段である、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項7】
前記所定の制御システムと前記起動手段の態様との組み合わせを、ユーザーの編集操作により変更可能であることを特徴とする、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項8】
前記車両環境取得手段は、車両位置を取得可能な手段を含み、
前記判定手段は、前記車両環境取得手段により取得された車両位置が所定位置に至った場合に、前記車両環境が前記所定の制御システムを起動するのに適した環境であると判定する手段である、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項9】
特定の車両環境において起動される起動手段を、ユーザーの編集操作により変更可能であることを特徴とする、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項10】
前記判定手段は、自車両における前記所定の制御システムの起動状況に基づき、前記車両環境が前記所定の制御システムを起動するのに適した環境であるか否かを学習することを特徴とする、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項11】
車外から情報を受信する受信手段を備え、
前記判定手段は、前記受信手段により取得された他車両における前記制御システムの起動状況に基づいて、前記車両環境が前記所定の制御システムを起動するのに適した環境であるか否かを判定する手段である、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の車両用ユーザー操作補助装置。
【請求項12】
車外に情報を送信する送信手段を備え、
自車両における前記所定の制御システムの起動状況を、前記送信手段により車外に送信する手段である、
請求項11に記載の車両用ユーザー操作補助装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−221930(P2010−221930A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73575(P2009−73575)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】