説明

車両用制動操作装置

【課題】車両用制動操作装置において、全長を短縮することで装置の小型化を可能とする。
【解決手段】マスタシリンダ31にて、シリンダ32内に入力ピストン33と加圧ピストン34を直列に移動自在に支持し、第1、第2付勢スプリング38,39により後退位置に付勢支持する一方、吸収ピストン37を移動自在に支持し、第3付勢スプリング40及びゴム部材41によりこの吸収ピストン37を初期位置に付勢してストローク吸収機構を構成し、加圧ピストン34の外周側に吸収ピストン37を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員が車両に制動力を付与するための車両用制動操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の制動装置として、ブレーキペダルから入力されたブレーキ操作力やブレーキ操作量などに対して、車両の制動力、つまり、制動力を発生させるホイールシリンダへ供給する油圧を電気的に制御する電子制御制動装置が知られている。この電子制御制動装置としては、ブレーキ操作量に応じて目標制動油圧を設定し、アキュムレータに蓄えられた油圧を調圧してから、ホイールシリンダへ供給することで、制動力を制御するECB(Electronically Controlled Brake)が知られている。
【0003】
このECBは、運転者によるブレーキペダル操作に応じて作動するマスタシリンダと、このマスタシリンダに連結されたストロークシミュレータと、マスタシリンダとブレーキホイールシリンダとを連結する油圧経路に設けられたマスタカット弁と、油圧を蓄えられるアキュムレータと、このアキュムレータに蓄えられた油圧を調圧する調圧機構とを有している。従って、運転者がブレーキペダルを踏み込むと、マスタシリンダがその操作量に応じた油圧を発生すると共に、作動油の一部がストロークシミュレータに流れ込み、ブレーキペダルストロークを吸収すると共に、ブレーキペダルにブレーキ反力を付与することで、ブレーキペダルの操作量が調整される。一方、ブレーキECUは、ブレーキ操作量に応じて車両の目標制動力、つまり、目標制動油圧を設定し、調圧機構によりアキュムレータの油圧を調圧して各ホイールシリンダに供給することで、乗員が所望する制動力が得られる。
【0004】
ところで、上述したストロークシミュレータは、運転者が操作したブレーキペダルの操作量を吸収すると共に、ブレーキペダルに対してブレーキ反力を付与することで、ブレーキ操作量を調整する。このストロークシミュレータとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【0005】
この特許文献1に記載されたストロークシミュレータは、シミュレータハウジング内に、ブレーキペダルに連動するシミュレータピストンと、このシミュレータピストンに対してブレーキ操作力に応じたストロークを付与する第1弾性部材及び第2弾性部材と、この第1弾性部材と第2弾性部材に配置される遊動ピストンと、所定の液圧を出力するマスタピストンとを直列に収容してブレーキ装置が構成されている。そして、第1弾性部材をゴムとし、第2弾性部材をスプリングとし、この第1弾性部材と第2弾性部材をシミュレータハウジング内に直列に配置し、第1弾性部材と第2弾性部材のそれぞれの初期荷重を実質的に等しい荷重に設定している。
【0006】
【特許文献1】特開2004−338492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のストロークシミュレータでは、シミュレータハウジング内にシミュレータピストンと弾性部材と遊動ピストンとマスタピストンを直列に配設してブレーキ装置を構成している。そのため、このブレーキ装置自体の全長が長くなってしまい、装置が大型化してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、全長を短縮することで装置の小型化を可能とする車両用制動操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の車両用制動操作装置は、シリンダと、該シリンダ内に移動自在に支持されて前進することで作動流体を加圧して所定の油圧を出力可能な駆動ピストンと、該駆動ピストンの外周側に配置されて前記シリンダ内に移動自在に支持されると共に前記駆動ピストンのストロークを吸収可能なストローク吸収機構と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の車両用制動操作装置では、前記ストローク吸収機構は、前記駆動ピストンの移動に伴って移動可能な吸収ピストンと、該吸収ピストンを初期位置に付勢する付勢部材とを有し、少なくとも前記吸収ピストンが前記駆動ピストンの外周側に配置されることを特徴としている。
【0011】
本発明の車両用制動操作装置では、前記駆動ピストンの前進方向と前記吸収ピストンのストローク吸収方向とが同方向に設定されることを特徴としている。
【0012】
本発明の車両用制動操作装置では、前記駆動ピストンの前進方向と前記吸収ピストンのストローク吸収方向とが逆方向に設定されることを特徴としている。
【0013】
本発明の車両用制動操作装置では、前記付勢部材はゴム部材により構成され、該ゴム部材は前記駆動ピストンの外周側に配置され、前記吸収ピストンの押圧により前記駆動ピストン側に弾性変形可能であることを特徴としている。
【0014】
本発明の車両用制動操作装置では、前記シリンダ内に前記駆動ピストンとしての入力ピストン及び加圧ピストンが直列をなして移動自在に支持されることで、前記加圧ピストンより前方に第1圧力室が区画されると共に、前記入力ピストンと前記加圧ピストンの間に第2圧力室が区画され、前記第1圧力室及び前記第2圧力室に制動装置が連結され、前記ストローク吸収機構は、前記加圧ピストンのストロークを吸収することを特徴としている。
【0015】
本発明の車両用制動操作装置では、前記シリンダ内に前記駆動ピストンとしての入力ピストン及び加圧ピストンが直列をなして移動自在に支持されることで、前記加圧ピストンより前方に第1圧力室が区画されると共に、前記入力ピストンと前記加圧ピストンの間に第2圧力室が区画され、前記第1圧力室及び前記第2圧力室に制動装置が連結され、前記ストローク吸収機構は、前記入力ピストンのストロークを吸収することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用制動操作装置によれば、シリンダ内に、前進することで作動流体を加圧して所定の油圧を出力可能な駆動ピストンを移動自在に支持すると共に、駆動ピストンのストロークを吸収可能なストローク吸収機構をこの駆動ピストンの外周側に移動自在に支持している。従って、シリンダと駆動ピストンとの間にストローク吸収機構を配置することで、全長を短縮して装置の小型化を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る車両用制動操作装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係る車両用制動操作装置を表す概略構成図である。
【0019】
実施例1の車両用制動操作装置は、図1に示すように、操作部材としてのブレーキペダル11と、ブレーキブースタ21と、マスタシリンダ31とが一体に連結されて構成されており、図示しない制動装置を作動可能となっている。
【0020】
ブレーキペダル11は、上端部が図示しない車体の取付ブラケットに支持軸12により回動自在に支持されており、下端部に運転者が踏み込み操作可能なペダル13が取付けられている。そして、ブレーキペダル11は、中間部に連結軸14によりクレビス15が取付けられ、このクレビス15には操作ロッド16の基端部が連結されている。
【0021】
ブレーキブースタ21は、エンジンの吸気負圧や圧縮空気、油圧などを利用してブレーキ力を増幅させるものであり、ブレーキペダル11を操作する軽い踏力で確実な制動力を発揮させることができる。図示しないが、内部がダイアフラムにより正圧室と負圧室に仕切られており、正圧室が連通孔を介して大気に連通し、負圧室が負圧管を介してエンジンの吸気マニホールドに連結されている。そして、乗員がブレーキペダル11を踏むと、正圧室の連通孔が開いてダイアフラムが負圧室側に移動することで操作力が倍力され、このダイアフラムがプッシュロッドを介してマスタシリンダ31の駆動ピストンに連結されていることから、倍力された作動力をマスタシリンダ31に伝達することができる。
【0022】
マスタシリンダ31は、シリンダ32内に駆動ピストンとしての入力ピストン33と加圧ピストン34が直列をなして配設され、軸方向に相対移動自在に支持されて構成されている。このシリンダ32は、基端部が開口して先端部が閉塞した円筒形状をなし、基端部に一体に形成されたフランジ部32aがブレーキブースタ21に固定されている。そして、シリンダ32は、基端部側から内部に円筒形状をなす支持部材35が圧入または螺合して固定されており、基端部側から支持部材35に形成された第1内周面32b、シリンダ32に形成されて第1内周面32bより大径の第2内周面32c、第1内周面32bより大径で第2内周面32cより小径の第3内周面32d、第3内周面32dより小径の第4内周面32eが形成されている。
【0023】
入力ピストン33は、外周面がシリンダ32(支持部材35)の第1内周面32bに移動自在に支持されている。この入力ピストン33は、基端部側にブレーキブースタ21のプッシュロッド(図示略)が連結される連結孔33aが形成される一方、先端部側に収容孔33bが形成されている。加圧ピストン34は、入力ピストン33の先端部側で、外周面がシリンダ32(支持部材35)の第1内周面32bに移動自在に支持されている。この加圧ピストン34は、先端部側に収容孔34aが形成されている。
【0024】
また、シリンダ32内には、加圧ピストン34の先端部側に吸収ピストン37が移動自在に支持されている。この吸収ピストン37は、基端部の外周側に形成されてシリンダ32の第2内周面32cに移動自在に嵌合するフランジ部37aと、先端部側に形成されてシリンダ32の第3内周面32dに移動自在に嵌合する第1支持部37bと、シリンダ32の第4内周面32eに移動自在に嵌合する第2支持部37cとから形成されると共に、基端部側に嵌合孔37dが形成されている。
【0025】
そして、加圧ピストン34は、先端部が吸収ピストン37の嵌合孔37dに移動自在に嵌合している。また、入力ピストン33の収容孔33bと加圧ピストン34との間には、第1付勢スプリング38が介装され、加圧ピストン34の収容孔34aと吸収ピストン37の嵌合孔37dとの間には、第2付勢スプリング39が介装されている。この場合、第1付勢スプリング38と第2付勢スプリング39の付勢力がほぼ同等となるように設定されると共に、一対のサポート61,62により各付勢スプリング38,39のセット荷重が設定されている。そして、入力ピストン33は、各付勢スプリング38,39の付勢力により図示しないストッパ(プッシュロッド)に当接する後退位置に位置決めされ、加圧ピストン34は、各付勢スプリング38,39の各付勢力が釣り合う後退位置に位置決めされている。
【0026】
また、吸収ピストン37のフランジ部37aとシリンダ32の段部32fとの間には、第3付勢スプリング40が介装されている。更に、吸収ピストン37の先端部とシリンダ32の底部との間には、ゴム部材41が介装されている。この場合、吸収ピストン37は、第3付勢スプリング40及びゴム部材41の付勢力により基端部が支持部材35に当接する後退位置に位置決めされている。なお、本実施例にて、第3付勢スプリング40とゴム部材41により吸収ピストン37を後退位置(初期位置)に付勢する付勢部材が構成され、吸収ピストン37と第3付勢スプリング40とゴム部材41によりストローク吸収機構が構成されている。そのため、加圧ピストン34の外周側に吸収ピストン37が配置され、入力ピストン33と加圧ピストン34の前進方向と吸収ピストン37によるストローク吸収方向とが同方向となる。
【0027】
従って、運転者がペダル13を踏み込むことでブレーキペダル11が回動すると、その操作力が操作ロッド16を介してブレーキブースタ21に伝達され、操作力が倍力されてマスタシリンダ31の入力ピストン33に伝達される。このマスタシリンダ31では、入力ピストン33に操作力が伝達されると、この入力ピストン33が第1付勢スプリング38の付勢力に抗して前進することができる。このとき、入力ピストン33と加圧ピストン34は、圧力バランスしながら前進する。そして、加圧ピストン34は、所定圧力を発生させると、吸収ピストン37が第3付勢スプリング40及びゴム部材41の付勢力に抗して一体となって前進することができる。
【0028】
このように、シリンダ32内に入力ピストン33と加圧ピストン34と吸収ピストン37が同軸上に移動自在に配置されることで、加圧ピストン34における前進方向(図1にて左方)、つまり、吸収ピストン37と加圧ピストン34との間に第1圧力室Rが区画され、加圧ピストン34における後退方向(図1にて右方)、つまり、入力ピストン33と加圧ピストン34との間に第2圧力室Rが区画され、吸収ピストン37の外側に第3圧力室Rが区画されている。
【0029】
そして、シリンダ32及び吸収ピストン37には、第1圧力室Rに連通する第1圧力ポート42,43が形成されると共に、シリンダ32及び支持部材35には、第2圧力室Rに連通する第2圧力ポート44,45が形成されている。本実施例では、第1圧力ポート42が第1油圧配管46を介して図示しない後輪側のホイールシリンダに連結され、第2圧力ポート44が第2油圧配管47を介して図示しない前輪側のホイールシリンダに連結されている。
【0030】
また、シリンダ32には、第3圧力室Rに連通するリリーフポート48が形成されると共に、吸収ピストン37には、第3圧力室Rと加圧ピストン34の外周面とを連通するリリーフポート49が形成されている。また、シリンダ32及び支持部材35には、互いに連通して入力ピストン33の外周面に連通するリリーフポート50,51が形成されている。そして、リリーフポート48がリリーフ配管52を介してリザーバタンク53に連結され、リリーフポート50がリリーフ配管54を介してリザーバタンク53に連結されている。
【0031】
なお、シリンダ32と吸収ピストン37との間には、第1圧力ポート43の両側に位置してシール部材55が装着され、吸収ピストン37及び支持部材35と加圧ピストン34との間には、第1リリーフポート49の両側に位置してワンウェイシール56が装着されている。また、シリンダ32と支持部材35との間には、第2圧力ポート45及び第2リリーフポート51の両側に位置してシール部材57が装着され、支持部材35と入力ピストン33との間には、第2リリーフポート51の両側に位置してワンウェイシール58が装着されている。
【0032】
本実施例の車両用制動操作装置による制動操作について、具体的に説明すると、乗員がブレーキペダル11を踏むと、その操作力(踏力)がブレーキブースタ21に伝達され、操作力が倍力されてマスタシリンダ31に伝達される。このマスタシリンダ31では、入力ピストン33が第1付勢スプリング38の付勢力に抗して前進すると、第2圧力室Rが加圧される。すると、第2圧力室Rの油圧が第2圧力ポート44,45から第2油圧配管47に吐出され、この第2油圧配管47を通して前輪のホイールシリンダに付与される。
【0033】
また、入力ピストン33が前進すると、入力ピストン33は、第2圧力室Rを介して加圧ピストン34を押圧し、加圧ピストン34が第2付勢スプリング39の付勢力に抗して前進する。すると、第1圧力室Rが加圧され、第1圧力室Rの油圧が第1圧力ポート42,43から第1油圧配管46に吐出され、この第1油圧配管46を通して後輪のホイールシリンダに付与される。
【0034】
従って、前輪及び後輪の各ホイールシリンダに適正な油圧が付与されることとなり、前輪及び後輪に対して乗員のブレーキペダル11の操作力に応じた所望の制動力を発生させることができる。
【0035】
そして、入力ピストン33及び加圧ピストン34が前進し、加圧ピストン34が吸収ピストン37に当接し、入力ピストン33が前進すると共に、加圧ピストン34が吸収ピストン37を押圧し、吸収ピストン37は第3付勢スプリング40及びゴム部材41の付勢力に抗して前進する。このとき、入力ピストン33と加圧ピストン34は、圧力バランスしながら前進し、発生した圧力に伴って所定のブレーキペダルストロークが吸収される。
【0036】
このように実施例1の車両用制動操作装置にあっては、マスタシリンダ31にて、シリンダ32内に入力ピストン33と加圧ピストン34を直列に移動自在に支持する一方、吸収ピストン37を移動自在に支持し、第3付勢スプリング40及びゴム部材41によりこの吸収ピストン37を初期位置に付勢してストローク吸収機構を構成し、加圧ピストン34の外周側に吸収ピストン37を配置している。
【0037】
従って、シリンダ32と加圧ピストン34との間にストローク吸収機構としての吸収ピストン37を移動自在に配置することで、マスタシリンダ31の全長を短縮して装置の小型化を可能とすることができる。
【0038】
この場合、加圧ピストン34の移動に伴って移動可能な吸収ピストン37と、この吸収ピストン37を初期位置に付勢する付勢部材としての第3付勢スプリング40及びゴム部材41によりストローク吸収機構を構成し、吸収ピストン37を加圧ピストン34の外周側に配置している。従って、吸収ピストン37のみを加圧ピストン34の外周側に配置することで、構成を複雑化することなく、容易にマスタシリンダ31の全長を短縮することができる。
【0039】
そして、実施例1の車両用制動操作装置では、加圧ピストン34の前進方向と吸収ピストン37のストローク吸収方向とを同方向に設定している。従って、構成を複雑化することなく、加圧ピストン34のストロークを適正に吸収することができる。
【0040】
また、実施例1の車両用制動操作装置では、シリンダ32及び吸収ピストン37に第3圧力室Rに連通する第1リリーフポート48,49を形成し、第1リリーフポート48を第1リリーフ配管52を介してリザーバタンク53に連結している。従って、加圧ピストン34と吸収ピストン37とのリリーフ経路を共用化することで、油路の削減による構造の簡素化を可能とすることができる。
【実施例2】
【0041】
図2は、本発明の実施例2に係る車両用制動操作装置を表す概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0042】
実施例2の車両用制動操作装置において、図2に示すように、マスタシリンダ131は、シリンダ132内に駆動ピストンとしての入力ピストン33と加圧ピストン34が直列をなして配設され、軸方向に相対移動自在に支持されて構成されている。このシリンダ132は、円筒形状をなすシリンダ本体133の先端部に蓋部材134が固定されて構成されている。そして、シリンダ132は、基端部にフランジ部132aが形成されると共に、基端部側から内部に支持部材35が固定されており、基端部側から支持部材35に形成された第1内周面132b、シリンダ132に形成されて第1内周面132bより大径の第2内周面132c、第2内周面132cより大径の第3内周面132dが形成されている。
【0043】
入力ピストン33は、外周面がシリンダ132(支持部材35)の第1内周面132bに移動自在に支持されている。加圧ピストン34は、入力ピストン33の先端部側で、外周面がシリンダ132(支持部材35)の第1内周面132bに移動自在に支持されている。また、シリンダ132内には、加圧ピストン34の外周側に吸収ピストン137が移動自在に支持されている。この吸収ピストン137は、基端部側に形成されてシリンダ132の第2内周面132cに移動自在に嵌合する支持部137aと、先端部の外周側に形成されてシリンダ132の第3内周面132dに移動自在に嵌合するフランジ部137bとから形成されると共に、軸方向に貫通する嵌合孔137cが形成されている。
【0044】
そして、加圧ピストン34は、先端部が吸収ピストン137の嵌合孔137cに移動自在に嵌合している。また、入力ピストン33と加圧ピストン34との間には、第1付勢スプリング38が介装され、加圧ピストン34とシリンダ132の蓋部材134との間には、第2付勢スプリング39が介装されている。また、吸収ピストン137の支持部137aと支持部材35との間には、第3付勢スプリング140が介装されている。更に、吸収ピストン137のフランジ部137bとシリンダ132の段部132eとの間には、ゴム部材141が介装されている。この場合、吸収ピストン137は、第3付勢スプリング140及びゴム部材141の付勢力により先端部が蓋部材134に当接する後退位置に位置決めされている。なお、本実施例にて、第3付勢スプリング140とゴム部材141により吸収ピストン137を後退位置(初期位置)に付勢する付勢部材が構成され、吸収ピストン137と第3付勢スプリング140とゴム部材141によりストローク吸収機構が構成されている。そのため、加圧ピストン34の外周側に吸収ピストン137と第3付勢スプリング140とゴム部材141が配置され、入力ピストン33と加圧ピストン34の前進方向と吸収ピストン37によるストローク吸収方向とが逆方向となる。
【0045】
このように、シリンダ132内に入力ピストン33と加圧ピストン34と吸収ピストン137が移動自在に配置されることで、加圧ピストン34における前進方向(図2にて左方)、つまり、吸収ピストン137と加圧ピストン34との間に第1圧力室Rが区画され、加圧ピストン34における後退方向(図2にて右方)、つまり、入力ピストン33と加圧ピストン34との間に第2圧力室Rが区画され、吸収ピストン137と支持部材35との間に第3圧力室Rが区画されている。
【0046】
従って、運転者がブレーキペダルを踏み込んで操作力がブレーキブースタを介してマスタシリンダ131の入力ピストン33に伝達される。このマスタシリンダ131では、入力ピストン33に操作力が伝達されると、この入力ピストン33が第1付勢スプリング38の付勢力に抗して前進することができる。このとき、第1付勢スプリング38の付勢力と第2付勢スプリング39の付勢力が同等であるため、入力ピストン33と加圧ピストン34はその距離を維持したままで、加圧ピストン34は第2付勢スプリング39の付勢力に抗して前進する。そして、入力ピストン33及び加圧ピストン34が所定ストロークだけ前進すると、第1圧力室R及び第2圧力室Rが加圧され、第1圧力室Rの圧力により吸収ピストン137が第3付勢スプリング140及びゴム部材141の付勢力に抗して入力ピストン33及び加圧ピストン34とは逆方向に前進することができる。
【0047】
そして、シリンダ132及び吸収ピストン137には、第1圧力室Rに連通する第1圧力ポート42,43が形成されると共に、シリンダ132及び支持部材35には、第2圧力室Rに連通する第2圧力ポート44,45が形成されている。
【0048】
また、シリンダ132には、第3圧力室Rに連通するリリーフポート48が形成されている。また、シリンダ132及び支持部材35には、互いに連通して入力ピストン33の外周面に連通するリリーフポート50,51が形成されている。そして、リリーフポート48がリリーフ配管52を介してリザーバタンク53に連結され、リリーフポート50がリリーフ配管54を介してリザーバタンク53に連結されている。
【0049】
本実施例の車両用制動操作装置による制動操作について、具体的に説明すると、乗員がブレーキペダルを踏むと、その操作力(踏力)がブレーキブースタに伝達され、操作力が倍力されてマスタシリンダ131に伝達される。このマスタシリンダ131では、入力ピストン33が第1付勢スプリング38の付勢力に抗して前進すると、第2圧力室Rが加圧される。すると、第2圧力室Rの油圧が第2圧力ポート44,45から第2油圧配管47に吐出され、この第2油圧配管47を通して前輪のホイールシリンダに付与される。
【0050】
また、入力ピストン33が前進すると、各付勢スプリング38,39の付勢力が同等であることから、入力ピストン33は、第2圧力室Rを介して加圧ピストン34を押圧し、加圧ピストン34が第2付勢スプリング39の付勢力に抗して前進する。すると、第1圧力室Rが加圧され、第1圧力室Rの油圧が第1圧力ポート42,43から第1油圧配管46に吐出され、この第1油圧配管46を通して後輪のホイールシリンダに付与される。
【0051】
従って、前輪及び後輪の各ホイールシリンダに適正な油圧が付与されることとなり、前輪及び後輪に対して乗員のブレーキペダルの操作力に応じた所望の制動力を発生させることができる。
【0052】
そして、入力ピストン33及び加圧ピストン34が前進すると、第1圧力室Rが加圧されることから、その圧力が吸収ピストン137に作用して押圧し、吸収ピストン137は第3付勢スプリング140及びゴム部材141の付勢力に抗して前進する。このとき、加圧ピストン34の前進に伴って吸収ピストン137が逆方向に前進することから、第1圧力室Rの加圧度合に応じて、定のブレーキペダルストロークが吸収される。
【0053】
このように実施例2の車両用制動操作装置にあっては、マスタシリンダ131にて、シリンダ132内に入力ピストン33と加圧ピストン34を直列に移動自在に支持する一方、吸収ピストン137を移動自在に支持し、第3付勢スプリング140及びゴム部材141によりこの吸収ピストン137を初期位置に付勢してストローク吸収機構を構成し、加圧ピストン34の外周側に吸収ピストン137と第3付勢スプリング140とゴム部材141を配置している。
【0054】
従って、シリンダ132と加圧ピストン34との間にストローク吸収機構としての吸収ピストン137を移動自在に配置することで、マスタシリンダ131の全長を短縮して装置の小型化を可能とすることができる。
【0055】
この場合、加圧ピストン34の移動に伴って移動可能な吸収ピストン137と、この吸収ピストン137を初期位置に付勢する付勢部材としての第3付勢スプリング140及びゴム部材141によりストローク吸収機構を構成し、吸収ピストン137と第3付勢スプリング140とゴム部材141を加圧ピストン34の外周側に配置している。従って、ストローク吸収機構を構成する全ての部材を加圧ピストン34の外周側に配置することで、構成を複雑化することなく、容易にマスタシリンダ131の全長を短縮することができる。
【0056】
そして、実施例2の車両用制動操作装置では、加圧ピストン34の前進方向と吸収ピストン137のストローク吸収方向とを逆方向に設定している。従って、加圧ピストン34と吸収ピストン137とのリリーフ経路を共用化することができると共に、吸収ピストン137におけるシール部材を減少することができ、構成を複雑化することなく、加圧ピストン34のストロークを適正に吸収することができる。また、吸収ピストン137の受圧面積を自由に設定することが可能となり、設計の自由度を向上することができる。
【実施例3】
【0057】
図3は、本発明の実施例3に係る車両用制動操作装置を表す概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0058】
実施例3の車両用制動操作装置において、図3に示すように、マスタシリンダ231は、シリンダ232内に駆動ピストンとしての入力ピストン33と加圧ピストン34が直列をなして配設され、軸方向に相対移動自在に支持されて構成されている。このシリンダ232は、基端部が開口して先端部が閉塞した円筒形状をなし、基端部にフランジ部232aが形成されると共に、基端部側から内部に支持部材235が固定されており、基端部側から支持部材235に形成された第1内周面232b、第1内周面232bより大径の第2内周面232c、シリンダ232に形成されて第2内周面232cより大径の第3内周面232d、第1内周面232bと同径の第4内周面232eが形成されている。
【0059】
入力ピストン33は、外周面がシリンダ232(支持部材235)の第1内周面232bに移動自在に支持されている。加圧ピストン34は、入力ピストン33の先端部側で、外周面がシリンダ232の第4内周面232eに移動自在に支持されている。また、シリンダ232内には、入力ピストン33及び加圧ピストン34の外周側に吸収ピストン237が移動自在に支持されている。この吸収ピストン237は、基端部側に形成されてシリンダ232(支持部材235)の第2内周面232cに移動自在に嵌合する支持部237aと、先端部の外周側に形成されてシリンダ232の第3内周面232dに移動自在に嵌合するフランジ部237bとから形成されると共に、軸方向に貫通する嵌合孔237cが形成されている。
【0060】
そして、入力ピストン33は、先端部が吸収ピストン237の嵌合孔237cに移動自在に嵌合し、加圧ピストン34は、基端部が吸収ピストン237の嵌合孔237cに移動自在に嵌合している。また、入力ピストン33と加圧ピストン34との間には、第1付勢スプリング38が介装され、加圧ピストン34とシリンダ232との間には、第2付勢スプリング39が介装されている。また、吸収ピストン237のフランジ部237bと支持部材235との間には、第3付勢スプリング240が介装されている。更に、吸収ピストン237の支持部237aと支持部材235との間には、ゴム部材241が介装されている。この場合、吸収ピストン237は、第3付勢スプリング240及びゴム部材241の付勢力により先端部がシリンダ232に当接する後退位置に位置決めされている。このゴム部材241は、リング形状をなし、内周面と入力ピストン33の外周面との間に所定のクリアランスが設定されている。そして、ゴム部材241は、吸収ピストン237の前進により押圧されるとき、内周側、つまり、入力ピストン33の外周面側に突出するように弾性変形することで、入力ピストン33の外周面に接触可能となっている。
【0061】
なお、本実施例にて、第3付勢スプリング240とゴム部材241により吸収ピストン237を後退位置(初期位置)に付勢する付勢部材が構成され、吸収ピストン237と第3付勢スプリング240とゴム部材241によりストローク吸収機構が構成されている。そのため、加圧ピストン34の外周側に吸収ピストン237と第3付勢スプリング240とゴム部材241が配置され、入力ピストン33と加圧ピストン34の前進方向と吸収ピストン37によるストローク吸収方向とが逆方向となる。
【0062】
このように、シリンダ232内に入力ピストン33と加圧ピストン34と吸収ピストン237が移動自在に配置されることで、加圧ピストン34における前進方向(図3にて左方)に第1圧力室Rが区画され、加圧ピストン34における後退方向(図3にて右方)、つまり、入力ピストン33と加圧ピストン34との間に第2圧力室Rが区画され、吸収ピストン237と支持部材235との間に第3圧力室Rが区画されている。
【0063】
従って、運転者がブレーキペダルを踏み込んで操作力がブレーキブースタを介してマスタシリンダ231の入力ピストン33に伝達される。このマスタシリンダ231では、入力ピストン33に操作力が伝達されると、この入力ピストン33が第1付勢スプリング38の付勢力に抗して前進することができる。このとき、第1付勢スプリング38の付勢力と第2付勢スプリング39の付勢力が同等であるため、入力ピストン33と加圧ピストン34はその距離を維持したままで、加圧ピストン34は第2付勢スプリング39の付勢力に抗して前進する。入力ピストン33及び加圧ピストン34が所定ストロークだけ前進すると、第1圧力室R及び第2圧力室Rが加圧され、第2圧力室Rの圧力により吸収ピストン237が第3付勢スプリング240及びゴム部材241の付勢力に抗して入力ピストン33及び加圧ピストン34とは逆方向に前進することができる。
【0064】
そして、シリンダ232には、第1圧力室Rに連通する第1圧力ポート42が形成されると共に、シリンダ232及び吸収ピストン237には、第2圧力室Rに連通する第2圧力ポート44,261が形成されている。
【0065】
また、シリンダ232には、加圧ピストン34の外周面に連通するリリーフポート48が形成され、このリリーフポート48がリリーフ配管52を介してリザーバタンク53に連結されている。また、シリンダ232、支持部材235、吸収ピストン237には、互いに連通して入力ピストン33の外周面に連通するリリーフポート50,262,263が形成されている。そして、リリーフポート50が第2リリーフ配管54を介してリザーバタンク53に連結されている。この場合、リリーフポート263は、支持部材235と吸収ピストン237との嵌合隙間を通して第3圧力室Rに連通すると共に、入力ピストン33と吸収ピストン237との嵌合隙間を通してゴム部材241の収納室に連通している。
【0066】
本実施例の車両用制動操作装置による制動操作について、具体的に説明すると、乗員がブレーキペダルを踏むと、その操作力(踏力)がブレーキブースタに伝達され、操作力が倍力されてマスタシリンダ231に伝達される。このマスタシリンダ231では、入力ピストン33が第1付勢スプリング38の付勢力に抗して前進すると、第2圧力室Rが加圧される。すると、第2圧力室Rの油圧が第2圧力ポート44,261から第2油圧配管47に吐出され、この第2油圧配管47を通して前輪のホイールシリンダに付与される。
【0067】
また、入力ピストン33が前進すると、入力ピストン33は、第2圧力室Rを介して加圧ピストン34を押圧し、加圧ピストン34が圧力バランスしながら前進する。すると、第1圧力室Rが加圧され、第1圧力室Rの油圧が第1圧力ポート42から第1油圧配管46に吐出され、この第1油圧配管46を通して後輪のホイールシリンダに付与される。
【0068】
従って、前輪及び後輪の各ホイールシリンダに適正な油圧が付与されることとなり、前輪及び後輪に対して乗員のブレーキペダルの操作力に応じた所望の制動力を発生させることができる。
【0069】
そして、入力ピストン33及び加圧ピストン34が前進すると、第2圧力室Rが加圧されることから、その圧力が吸収ピストン237に作用して押圧し、吸収ピストン237は第3付勢スプリング240及びゴム部材241の付勢力に抗して前進する。このとき、入力ピストン33の前進に伴って吸収ピストン237が逆方向に前進することから、第2圧力室Rの加圧度合に応じて所定のブレーキペダルストロークが吸収される。
【0070】
また、このとき、吸収ピストン237が前進することでゴム部材241が押圧され、このゴム部材241が内周側、つまり、入力ピストン33の外周面側に突出するように弾性変形する。そのため、ゴム部材241の内周面が入力ピストン33の外周面に接触し、入力ピストン33に摩擦抵抗が作用することから、入力ピストン33、つまり、ブレーキペダルに反力が付与されると共に、ヒステリシストルクが調整される。
【0071】
このように実施例3の車両用制動操作装置にあっては、マスタシリンダ231にて、シリンダ232内に入力ピストン33と加圧ピストン34を直列に移動自在に支持する一方、吸収ピストン237を移動自在に支持し、第3付勢スプリング240及びゴム部材241によりこの吸収ピストン237を初期位置に付勢してストローク吸収機構を構成し、入力ピストン33及び加圧ピストン34の外周側に吸収ピストン237と第3付勢スプリング240とゴム部材241を配置している。
【0072】
従って、シリンダ232と入力ピストン33及び加圧ピストン34との間にストローク吸収機構としての吸収ピストン237を移動自在に配置することで、マスタシリンダ231の全長を短縮して装置の小型化を可能とすることができる。
【0073】
この場合、加圧ピストン34の移動に伴って移動可能な吸収ピストン237と、この吸収ピストン237を初期位置に付勢する付勢部材としての第3付勢スプリング240及びゴム部材241によりストローク吸収機構を構成し、吸収ピストン237と第3付勢スプリング240とゴム部材241を加圧ピストン34の外周側に配置している。従って、ストローク吸収機構を構成する全ての部材を入力ピストン33及び加圧ピストン34の外周側に配置することで、構成を複雑化することなく、容易にマスタシリンダ231の全長を短縮することができる。
【0074】
そして、実施例3の車両用制動操作装置では、ゴム部材141を入力ピストン33の外周側に配置し、吸収ピストン237の押圧により入力ピストン33側に弾性変形可能としている。従って、吸収ピストン237が前進すると、ゴム部材241が押圧されて内周側に弾性変形し、入力ピストン33の外周面に接触する。そのため、入力ピストン33は、ゴム部材241から摩擦抵抗が付与されることとなり、入力ピストン33、つまり、ブレーキペダルを戻すときのヒステリシストルクが設定され、操作性を向上することができる。この場合、入力ピストン33は、第2圧力室Rの加圧量に応じてゴム部材241から受ける摩擦抵抗が変化することから、このヒステリシストルクを適正に調整することが可能となる。また、入力ピストン33が後退位置(初期位置)にあるとき、ゴム部材241と入力ピストン33との間にクリアランスが確保されていることから、入力ピストン33は、職作動時にスムーズに前進することができ、更なる操作性の向上が図れる。
【0075】
また、実施例3の車両用制動操作装置では、シリンダ231内に入力ピストン33及び加圧ピストン34を直列をなして移動自在に支持することで、加圧ピストン34より前方に第1圧力室Rを区画すると共に、入力ピストン33と加圧ピストン34の間に第2圧力室Rを区画し、第1圧力室R及び第2圧力室Rに制動装置を構成するホイールシリンダへの油圧配管46,47を連結し、ストローク吸収機構は、入力ピストン33のストロークを吸収するように構成している。従って、入力ピストン33のストロークを吸収することで、第2圧力室Rからホイールシリンダへの油圧に対してペダルストロークを調整することができ、ブレーキ特性を容易に調整することができる。また、ストローク吸収機構は、入力ピストン33のストロークを吸収するため、吸収ピストン237を加圧ピストン34側に配置する必要がなくなり、シリンダ232は先端部に孔加工が不要となり、成形性を向上して製造コストを低減することができる。
【0076】
なお、上述した各実施例では、ブレーキペダル11にブレーキブースタ21を介してマスタシリンダ31,131,231を連結したが、ブレーキペダル11に直接マスタシリンダ31,131,231を連結する構成としてもよい。駆動ピストンを入力ピストン33と加圧ピストン34から構成したが、1つのピストンまたは3つの以上のピストンから構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明に係る車両用制動操作装置は、駆動ピストンの外周側にストローク吸収機構を配置することで、全長を短縮して装置の小型化を可能とするものであり、いずれの種類の制動装置に用いても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1に係る車両用制動操作装置を表す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例2に係る車両用制動操作装置を表す概略構成図である。
【図3】本発明の実施例3に係る車両用制動操作装置を表す概略構成図である。
【符号の説明】
【0079】
11 ブレーキペダル(操作部材)
21 ブレーキブースタ
31,131,231 マスタシリンダ
32,132,232 シリンダ
33 入力ピストン(駆動ピストン)
34 加圧ピストン(駆動ピストン)
37,137,237 吸収ピストン(ストローク吸収機構)
38 第1付勢スプリング
39 第2付勢スプリング
40,140,240 第3付勢スプリング(ストローク吸収機構、付勢部材)
41,141,241 ゴム部材(ストローク吸収機構、付勢部材)
第1圧力室
第2圧力室
第3圧力室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
該シリンダ内に移動自在に支持されて前進することで作動流体を加圧して所定の油圧を出力可能な駆動ピストンと、
該駆動ピストンの外周側に配置されて前記シリンダ内に移動自在に支持されると共に前記駆動ピストンのストロークを吸収可能なストローク吸収機構と、
を備えることを特徴とする車両用制動操作装置。
【請求項2】
前記ストローク吸収機構は、前記駆動ピストンの移動に伴って移動可能な吸収ピストンと、該吸収ピストンを初期位置に付勢する付勢部材とを有し、少なくとも前記吸収ピストンが前記駆動ピストンの外周側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用制動操作装置。
【請求項3】
前記駆動ピストンの前進方向と前記吸収ピストンのストローク吸収方向とが同方向に設定されることを特徴とする請求項2に記載の車両用制動操作装置。
【請求項4】
前記駆動ピストンの前進方向と前記吸収ピストンのストローク吸収方向とが逆方向に設定されることを特徴とする請求項2に記載の車両用制動操作装置。
【請求項5】
前記付勢部材はゴム部材により構成され、該ゴム部材は前記駆動ピストンの外周側に配置され、前記吸収ピストンの押圧により前記駆動ピストン側に弾性変形可能であることを特徴とする請求項2に記載の車両用制動操作装置。
【請求項6】
前記シリンダ内に前記駆動ピストンとしての入力ピストン及び加圧ピストンが直列をなして移動自在に支持されることで、前記加圧ピストンより前方に第1圧力室が区画されると共に、前記入力ピストンと前記加圧ピストンの間に第2圧力室が区画され、前記第1圧力室及び前記第2圧力室に制動装置が連結され、前記ストローク吸収機構は、前記加圧ピストンのストロークを吸収することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の車両用制動操作装置。
【請求項7】
前記シリンダ内に前記駆動ピストンとしての入力ピストン及び加圧ピストンが直列をなして移動自在に支持されることで、前記加圧ピストンより前方に第1圧力室が区画されると共に、前記入力ピストンと前記加圧ピストンの間に第2圧力室が区画され、前記第1圧力室及び前記第2圧力室に制動装置が連結され、前記ストローク吸収機構は、前記入力ピストンのストロークを吸収することを特徴とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の車両用制動操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−987(P2010−987A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163449(P2008−163449)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】