車両用情報表示システム
【課題】 運転者が所望する適切な施設を運転者に直感的に知らしめることが可能な車両用情報表示システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 車両用情報表示システム100は、車両に取り付けられ、HMI(Human Machine Interface)コントローラ7及びディスプレイコントローラ1,ネットワークハードディスク装置3,スピーカコントローラ52を備えており、主に、運転者に経路案内を行うナビゲーション機能や運転者が所望する施設の案内を行う施設案内機能を実現する。
【解決手段】 車両用情報表示システム100は、車両に取り付けられ、HMI(Human Machine Interface)コントローラ7及びディスプレイコントローラ1,ネットワークハードディスク装置3,スピーカコントローラ52を備えており、主に、運転者に経路案内を行うナビゲーション機能や運転者が所望する施設の案内を行う施設案内機能を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定条件を具備する施設を運転者に認識させる車両用情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用のナビゲーション装置は、運転者の所望する施設(レストラン等)の検索を行い、走行中に画像表示や音声等によって施設の接近を運転者に案内する機能を有する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−217188号公報
【特許文献2】特開平7−257228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、施設(レストラン等)が運転者にとって不慣れな土地にあると、正確な位置を掴めずに通り過ぎてしまうことがある。また、いざ施設に到着してみたら、既に営業時間が終了していたり、自分の持っているカードが使えなかったりという事態に直面し、施設を探し直す羽目になることが少なくない。
【0005】
本発明は、上記問題を鑑みて為されたものであり、運転者が所望する適切な施設を運転者に直感的に知らしめることが可能な車両用情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の車両用情報表示システムは、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、地図データに含まれる施設に関する施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、運転者の所望する施設条件が入力される入力手段と、該施設条件を検索条件として、それに適合する施設を施設情報記憶手段から検索して対象施設とする対象施設検索部と、対象施設の地図データ上での位置を特定する施設位置特定部と、画像を表示する表示手段と、施設条件を表す施設条件表示を対象施設の位置と対応付けて表示手段に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。これによると、運転者から入力された施設条件に適合する施設を検索し、施設条件表示を対象施設の位置と対応付けて表示させることで、運転者に所望する対象施設を直感的に知らしめることができる。
【0007】
請求項2の車両用情報表示システムでは、入力手段は音声入力手段により構成され、該音声入力手段から入力された運転者の音声を認識する音声認識部を備えるように構成できる。これによると、運転者は音声により施設条件を入力できるので、運転者にとって実際の対話により近い形式で検索条件を調整することができる。
【0008】
請求項3の車両用情報表示システムでは、運転者に対して施設条件の特定または絞込みを促す通知を行うための通知手段と、入力手段及び通知手段により運転者との対話形式で検索条件を調整する検索条件調整部とを備えるように構成できる。これによると、運転者に対して施設条件の特定または絞込みを促す通知を行い、運転者との対話形式で検索条件を調整することにより、運転者が所望する適切な施設を検索することができる。
【0009】
請求項4の車両用情報表示システムでは、検索条件調整部は、対象施設検索部により検索された対象施設の数が所定範囲から外れている場合に、運転者に対して施設条件の再入力を促す通知を通知手段に行わせるように構成できる。これによると、対象施設の数が過度に少ない場合や多い場合に施設条件の再入力を促す通知を行うことで、より適切な施設を運転者に提供できる。
【0010】
請求項5の車両用情報表示システムでは、通知手段は音声通知手段により構成されるようにできる。これによると、運転者は音声により通知が行われるので、運転者にとって実際の対話により近い形式で検索条件を調整することができる。
【0011】
請求項6の車両用情報表示システムでは、表示手段は、車両のウインドシールドに画像を表示するウインドシールド表示手段により構成できる。これによると、施設条件表示が車両のウインドシールドに表示されるので、運転者は施設の位置を直感的に把握することができる。
【0012】
請求項7の車両用情報表示システムでは、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、地図データに基づいて車両と対象施設との位置関係から該対象施設が運転者から視認されるか否かを判定する視認可否判定部とを備え、表示制御部は、視認可否判定部により対象施設が運転者から視認されると判定された場合に、施設条件を表す施設条件表示を対象施設の位置と対応付けて表示手段に表示させるように構成できる。これによると、運転者が対象施設を視認できると判定した場合に施設条件表示の表示を行うので、運転者は車外の情景から対象施設を直感的に把握することができる。
【0013】
請求項8の車両用情報表示システムでは、運転者を撮影する運転者撮像手段と、運転者撮像手段により得られる運転者の目の画像から運転者の視線方向を検出する視線方向検出部とを備え、地図データは3次元地図データであり、視認可否判定部は、車両の現在位置及び運転者の視線方向に基づいて運転者が見ていると想定される模擬情景画像を3次元地図データから算出し、当該模擬情景画像から対象施設が運転者から視認されるか否かを判定し、表示手段は、車両のウインドシールドに画像を表示するウインドシールド表示手段であり、表示制御部は、視認可否判定部により対象施設が運転者から視認されると判定された場合に、運転者から見て対象施設の近傍となるウインドシールドの領域に施設条件表示をウインドシールド表示手段に表示させるように構成できる。これによると、運転者の視線方向を検出するとともに、3次元地図データから運転者が見ていると想定される模擬的な情景の画像(以下、模擬情景画像という)を算出し、それに基づいて、施設条件表示を運転者から見て対象施設の近傍となるウインドシールドの領域に表示することで、運転者は運転中に注視すべき方向から視線を大きく外すことなく、施設の位置を直感的に把握することができる。
【0014】
請求項9の車両用情報表示システムでは、車外を撮影する車外撮像手段と、視線方向検出部により得られる運転者の視線方向及び車外撮像手段により得られる画像から運転者が見ている実情景画像を特定する実情景画像特定部と、模擬情景画像と実情景画像とを照合して該模擬情景画像の位置補正を行う情景画像照合部とを備え、表示制御部は、該情景画像照合部により位置補正された模擬情景画像に基づいて表示制御を行うように構成できる。運転者が実際に見ている情景の画像(以下、実情景画像という)は車外を撮影する車外撮像手段によって得られることから、運転者が実際に見ている情景により近いものであり、これに模擬情景画像を照合させて位置補正を行うことで、施設条件表示の表示位置を精度良く設定できる。
【0015】
請求項10の車両用情報表示システムでは、表示制御部は、運転者から見て空となるウインドシールドの領域に施設条件表示を表示させるように構成できる。これによると、施設条件表示が運転者から見て空となる領域に表示されるので、表示が運転者にとって運転の邪魔になることを防ぐことができる。
【0016】
請求項11の車両用情報表示システムでは、表示制御部は、対象施設の手前に建物が存在する場合に、運転者から見て施設条件表示の一部が該手前の建物に隠れて見えるように該施設条件表示を表示させるように構成できる。これによると、施設条件表示の一部が手前の建物に隠れて見えるので、運転者はより直感的に施設の位置を把握することができる。
【0017】
請求項12の車両用情報表示システムでは、表示制御部は、視認可否判定部により対象施設が運転者から視認されないと判定された場合に、対象施設の方向を表す方向表示を表示させるように構成できる。これによると、対象施設が運転者から視認できない場合であっても、対象施設の方向を表す方向表示が表示されるので、運転者はより直感的に施設の位置を把握することができる。
【0018】
請求項13の車両用情報表示システムでは、視認可否判定部は、車両の現在位置から対象施設までの距離を特定し、当該距離が所定範囲内にある場合に、該対象施設が運転者から視認されるか否かを判定するように構成できる。これによると、対象施設が運転者から視認されるか否かの判定を、車両の現在位置から対象施設までの距離が所定範囲内にある場合にのみ行うので、例えば視認できないことが明らかなほど遠くの対象施設の判定を行うような無駄を省略できる。
【0019】
請求項14の車両用情報表示システムでは、視認可否判定部は、車両の現在位置から対象施設までの距離を特定し、表示制御部は、当該距離が所定範囲内にある場合に、対象施設の駐車場の入口を表す駐車場表示を表示させるように構成できる。これによると、駐車場表示が表示されるので、運転者は迷わず安全に駐車場に辿り付くことができる
【0020】
請求項15の車両用情報表示システムでは、視認可否判定部は、車両の現在位置から対象施設までの距離を特定し、表示制御部は、表示される施設条件表示の大きさ,明るさ,色,透明度等を当該距離に応じて変化させるように構成できる。これによると、距離に応じて施設条件表示の大きさ,明るさ,色,透明度等が変化することから、運転者はより直感的に施設の位置を把握することができる。
【0021】
請求項16の車両用情報表示システムでは、入力手段は運転者を撮影する運転者撮像手段により構成され、該運転者撮像手段により得られる運転者の画像から運転者が行う所定の動作を入力の合図として認識するジェスチャー認識部とを備えるように構成できる。これによると、運転者はジェスチャーによって容易に入力操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(1)車両用情報表示システム
以下、本発明の車両用情報表示システムの実施形態を、図面を参照しながら説明する。車両用情報表示システム100は、車両Cに取り付けられ(図1参照)、図2に示すようにHMI(Human Machine Interface)コントローラ7及びディスプレイコントローラ1,ネットワークハードディスク装置3(以下、単にHDD3という),スピーカコントローラ52(以下、単にスピーカ52という)を備えており、主に、運転者に経路案内を行うナビゲーション機能や運転者が所望する施設の案内を行う施設案内機能を実現する。具体的には、HMIコントローラ7は、エージェント機能と呼ばれる運転者との対話機能を持ち、運転者DRの音声リクエストに回答を返すことができるようなっている。このような機能により、HMIコントローラ7は、運転者DRが所望するレストラン等の施設の条件(施設条件:営業時間や使用可能なカードの種類等)を対話形式で特定または絞込んだ後、該当する施設の検索を行う。そして、HMIコントローラ7は検索された施設(対象施設BL)に関する情報をディスプレイコントローラ1に渡し、ディスプレイコントローラ1は、対象施設BLの情報に基づいて、車両Cが対象施設BLに近付くと車両CのウインドシールドWSに施設条件を表す施設条件表示DI(図9参照)を表示させることで、運転者DRに対象施設BLの位置を直感的に把握させる。以下、車両用情報表示システム100の詳細な構成及び作動について説明する。
【0023】
(2)HMIコントローラ
HMIコントローラ7の構成について説明する。図3は、HMIコントローラ7の電気的ブロック図を示すものである。HMIコントローラ7は、マイクロホン53,操作スイッチ41,運転者カメラ62,通信I/F(インターフェース)76及びこれらが接続された制御回路70を備えている。
【0024】
マイクロホン53は、本発明の音声入力手段(入力手段)として機能するものであり、運転者の声(空気の振動)を電気信号に変換する周知のマイクロホン(集音装置)で構成される。マイクロホン53は、ハンドル部分に設置されており(図1参照)、運転者DRから所望の施設条件が入力されると、これを電気信号にして制御部70に入力する。
【0025】
操作スイッチ41は、メカニカルスイッチとして構成されており、ハンドル部分に設けられている(図1及び図9参照)。操作スイッチ41は、後述する施設検索ルーチン(図7参照)の起動スイッチとして機能し、押下されるとHMIコントローラ7が応答し、運転者DRとの対話が開始される。
【0026】
運転者カメラ62は、本発明の運転者撮像手段として機能するものであり、CCDカメラで構成され、運転者DRを撮影して、撮影した映像をビデオ信号として制御回路70に入力する。この画像を基に運転者DRの視線方向が検出される。
【0027】
通信I/F(インターフェース)76は、車内LANとの間のインターフェース機能を有しており、これによってディスプレイコントローラ1やHDD3,スピーカ52等の車内の他の機器との通信が可能となっている。
【0028】
制御回路70は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU71,ROM72,RAM73,入出力インターフェース(I/O)74及びこれらの構成を接続するバスライン75が備えられている。CPU71は、ROM72及びRAM73に記憶されたプログラム及びデータにより制御を行う。ROM72は、プログラム格納領域72aとデータ記憶領域72bとを有している。プログラム格納領域72aには、HMIプログラム72pが格納されている。このHMIプログラム72pは、RAM73上にてHMIプログラム用ワークメモリ73wを作業領域とする形で作動する。他方、データ記憶領域72bには、HMIプログラム72pの動作に必要な種々のデータが格納されている。なお、これらのプログラム及びデータは、外部メモリを設けてそれに記憶させてもよい。以上の構成によって、制御回路70は、CPU71によりHMIプログラム72pが起動されると、本発明の検索条件調整部,対象施設検索部,音声認識部,視線方向検出部として機能する。
【0029】
(3)ディスプレイコントローラ
ディスプレイコントローラ1の構成について説明する。図4は、ディスプレイコントローラ1の電気的ブロック図を示すものである。ディスプレイコントローラ1は、位置検出器2,表示装置51,ウインドシールド表示装置8,車外カメラ61,通信I/F(インターフェース)16及びこれらが接続された制御回路10を備えている。
【0030】
位置検出器2は、GPS衛星から送信されたGPS電波を受信し、その受信したGPS電波に格納されているパラメータを演算して位置データを取得するGPS受信機21、地磁気に基づいて方位を検出し、その検出した方位を表す方位データを取得する地磁気センサ22、角速度を検出することに基づいて方位を算出し、その算出した方位を示す方位データを取得するジャイロスコープ23、走行距離を検出し、その検出した距離を示す距離データを取得する距離センサ24を備えて構成され、各センサが取得した各データを相互補完することによって、自車の現在位置の検出(特定)と正確な走行距離の計測を行う。以上の構成によって、位置検出器2は、本発明の位置検出手段として機能する。
【0031】
表示装置51は、カラー液晶表示器により構成されており、その画面には位置検出器2から入力された車両現在位置マークと、HDD3から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示するとともに、本画面に経路案内の設定及び経路誘導中の案内が表示される。表示装置51は、本発明の表示手段として利用できる。
【0032】
ウインドシールド表示装置8は、本発明のウインドシールド表示手段(表示手段)として機能するものであり、車両CのウインドシールドWSに映像を表示する(図9及び図14参照)。ウインドシールド表示装置8は、制御回路10から出力された表示命令に基づいてディスプレイ駆動回路81が液晶パネル82及びバックライト83を駆動する。具体的には、液晶パネル82及びバックライト83は、図14に示すように、ウインドシールドWSの下側から車両Cの内側へ延出するインストルメントパネルIPに配設されている。液晶パネル82は、インストルメントパネルIPの開口部分に支持されており、ディスプレイ駆動回路81により駆動するとともにバックライト83からの光を受けることで表示画像を表示する。そして、この表示画像は、表示光としてウインドシールドWSに入射され、運転席に着座した運転者DRの目に向けて反射されることで、虚像として運転者DRに捕らえられる。
【0033】
車外カメラ61は、本発明の車外撮像手段として機能するものであり、CCDカメラで構成され、車外を撮影して、撮影した映像をビデオ信号として制御回路10に入力する。
【0034】
通信I/F(インターフェース)16は、車内LANとの間のインターフェース機能を有しており、これによってHMIコントローラ7やHDD3,スピーカ52等の車内の他の機器との通信が可能となっている。
【0035】
制御回路10は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU11,ROM12,RAM13,入出力インターフェース(I/O)14及びこれらの構成を接続するバスライン15が備えられている。CPU11は、ROM12及びRAM13に記憶されたプログラム及びデータにより制御を行う。ROM12は、プログラム格納領域12aとデータ記憶領域12bとを有している。プログラム格納領域12aには、表示プログラム12pが格納されている。この表示プログラム12pは、RAM13上にて表示プログラム用ワークメモリ13wを作業領域とする形で作動する。他方、データ記憶領域12bには、表示プログラム12pの動作に必要な種々のデータが格納されている。なお、これらのプログラム及びデータは、外部メモリを設けてそれに記憶させてもよい。以上の構成によって、制御回路10は、CPU11により表示プログラム12pが起動されると、本発明の表示制御部,施設位置特定部,視認可否判定部,実情景画像特定部,情景画像照合部として機能する。
【0036】
(4)ハードディスク装置
ネットワークハードディスク装置3(HDD3)は、通常のハードディスク装置の構成に加えて、通常のコンピュータとして構成された制御回路及び車内LANとの間のインターフェース機能を有する通信I/Fを有している(図示せず)。制御回路は、データの読み書きを制御するものであり、要求に応じてHMIコントローラ7やディスプレイコントローラ1にデータを送信する。HDD3は、地図描画のための地図データ(地図データベース32d),位置検出精度向上のためのマップマッチング用データ,施設情報データ(施設情報データベース33d)等を記憶している。なお、これらのデータは、例えばCD−ROM,DVD−ROM,メモリカードなどの情報記録媒体に記憶させ、データ入力器からHMIコントローラ7やディスプレイコントローラ1に入力するようにしてもよい。以上の構成により、HDD3は、本発明の地図データ記憶手段及び施設情報記憶手段として機能する。
【0037】
HDD3に構築された地図データベース32d(地図データ記憶手段)は、経路案内時等に表示装置51の画面に表示される2次元地図データ(2D地図データ)36や3次元地図データ(3D地図データ)37を記憶している。3次元地図データ37は、通常の地図情報に加えて、施設の形状データと高さ情報を有している。図13(b)に3次元地図データ37のイメージ図を示す。また、3次元地図データ37は、後述する模擬情景画像SVS(図13(a)参照)の計算に用いられる。
【0038】
HDD3に構築された施設情報データベース33d(施設情報記憶手段)は、地図データ36,37に含まれる施設に関する施設情報を記憶している。施設情報データベース33dには、施設情報として、「レストラン」等のジャンル毎に分類された各施設についての詳細情報(例えば「営業時間」,「駐車場の位置情報」,「使用可能なクレジットカードの種類」等)などが地図データ36,37上における位置情報と関連付けて記憶されている。
【0039】
(5)スピーカコントローラ
スピーカコントローラ52は、スピーカ,アンプ,D/A変換器を含んで構成されるとともに通信I/Fも有しており(図示せず)、車内LANを経由して入力されるHMIコントローラ7やディスプレイコントローラ1からの入力信号に基づき合成音声を発する。スピーカコントローラ52は、本発明の音声通知手段(通知手段)として機能し、運転者に対して施設条件の特定または絞込みを促すための合成音声を出力する。また、目的地までの経路案内の実行時には案内のための合成音声を出力する。
【0040】
(6)HMIコントローラ及びディスプレイコントローラの作動
HMIコントローラ7及びディスプレイコントローラ1の作動について、図5ないし図8を参照して説明する。ここで、図5は、HMIコントローラ7のCPU71が実行するHMIプログラム72pの施設検索ルーチンを機能ブロック図で示すものであり、図7は同処理をフローチャートで示すものである。図6は、ディスプレイコントローラ1のCPU11が実行する表示プログラム12pの施設情報表示ルーチンを機能ブロック図で示すものであり、図8は同処理をフローチャートで示すものである。
【0041】
(6−1)ナビゲーション処理
HMIコントローラ7及びディスプレイコントローラ1は、メインの処理としてナビゲーション処理を共同して行う。以下、簡略に説明を行う。ナビゲーション処理においてHMIコントローラ7のCPU71は、エージェント機能による対話の中で運転者DRから目的地の入力を受けると、それを認識してディスプレイコントローラ1へと送信する。ディスプレイコントローラ1のCPU11は、HMIコントローラ7から目的地を受信すると、位置検出器2から車両Cの現在位置を求め、該現在位置から目的地までの最適な経路を地図データ36から探索する(経路探索処理)。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。次に、経路探索処理で求めた経路を表示装置51の画面上の道路地図に重ねて表示し、運転者DRに適切な経路を案内する(経路案内処理)。また、表示装置51やスピーカ52によって操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0042】
(6−2)施設検索ルーチン
HMIコントローラ7が行う施設検索ルーチンについて、図5及び図7を参照して説明する。施設検索ルーチンは、上記ナビゲーション処理中などにおいて、CPU71が操作スイッチ41の操作を検知することで開始される。具体的には、運転者DRが道路走行中に食事をしたくなった場合等にハンドル部分に設けられた操作スイッチ41を操作すると、CPU71がそれを検知して施設検索ルーチンを開始する。
【0043】
なお、HMIコントローラ7の施設検索ルーチンの開始は、操作スイッチ41の操作に限らず、例えば、運転者DRが所定の音声をマイクロホン53に向かって発した場合に、CPU71が、その音声を入力の合図として認識することによって開始するように構成することもできる(音声認識部91)。また、運転者DRが所定の動作(ジェスチャー)を行った場合に、CPU71が、運転者カメラ62により得られる運転者DRの画像からそのジェスチャーを入力の合図として認識することによって開始するように構成することもできる(すなわち、CPU71内にジェスチャー認識部を構成する)。この場合、ROM72にはジェスチャーのパターンデータが記憶され、CPU71はこれとの照合を図ることによって、運転者DRのジェスチャーを認識する。
【0044】
施設検索ルーチンが開始されると、まずCPU71は、「リクエストをどうぞ」等の音声をスピーカ52から出力(応答)して、運転者DRに対して施設条件の入力を促す(ステップS1)。このような音声のデータは、ROM72のデータ記憶領域72bに記憶されている。
【0045】
次に、運転者DRが所望の施設条件をマイクロホン53に施設条件(リクエスト)を発すると(ステップS2:Yes)、CPU71は、入力された運転者DRの音声を認識する処理を行う(音声認識部91)。具体的には、入力された音声の信号パターンと認識辞書に蓄えられている信号パターンとを照合して認識する。このようなパターン認識の方法には、隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model)等がある。認識辞書はROM72に記憶されている。例えば、運転者が、食事をしたいが財布には現金が少なくクレジットカードを使おうと考えて「カードが使えて、今営業しているレストランを教えてくれ」とマイクロホン53に向かってリクエストしたとすると、CPU71は、そこから名詞,助詞,動詞等を判断して、“カード”,“使える”,“今”,“営業”,“レストラン”,“教える”といった単語を抽出する。
【0046】
次に、CPU71は、音声認識結果を解析することで施設条件(リクエスト)を認識し、それを復唱する音声をスピーカ52から出力する(ステップS3,検索条件調整部92)。音声認識結果の解析では、音声認識した単語のうち“カード”はクレジットカード、“レストラン”は食物店のジャンルにあるレストラン、“教える”は検索依頼である等の判断を行う。これは、例えば、ROM72に記憶された単語対応例リストと照合するなどの方法によって実現できる。そして、CPU71は、「クレジットカードの使える、今営業中のレストランを教えればよいですね」等の運転者DRのリクエストを復唱する内容の音声をスピーカ52から出力して運転者DRに確認する。
【0047】
次に、CPU71は、認識した施設条件を検索条件として採用するか否かの判断を行う(ステップS4,検索条件調整部92)。これは例えば、ステップS3で反復した内容に対して運転者DRが「はい」や「そう」などと肯定する声を発した場合に、認識した施設条件を検索条件として施設の検索処理(ステップS7)に移る(ステップS4:Yes)。他方、運転者DRが「いや」や「ちがう」などと否定する声を発した場合や、認識した施設条件では検索に不適正な場合には(ステップS4:No)、施設条件の特定または絞込み処理(ステップS5,S6)に移る。
【0048】
施設条件の特定または絞込み処理(ステップS5,S6)では、CPU71は、スピーカ52から施設条件を特定する又は絞込むよう運転者DRに促す音声を出力する(ステップS5)。そして、マイクロホン53により運転者DRが更なる施設条件の入力したことを検知すると(ステップS6:Yes)、ステップS3に戻って再度認識処理を行い、新たな施設条件の復唱を行う。このようにして、施設条件の特定または絞込みは、HMIコントローラ7と運転者DRとの対話形式で行われる。
【0049】
例えば、ステップS4において、使用するクレジットカードの種類が特定されていない場合には、検索に不適正であるとして、「クレジットカードはどれでも良いですか」とスピーカ52から出力して運転者DRに特定を促す。そして、運転者DRが「VISTER」(架空名称)とマイクロホン53に向かって答えると、それを施設条件として認識し、「VISTERカードの使える現在営業中のレストランを検索します」と応答する。
【0050】
また、検索地域が特定されていない場合には、検索に不適正であるとして、「どの範囲までを探しますか」とスピーカ52から出力して運転者DRに特定を促す。そして、運転者DRが「現在地から5km以内」と答えると、それを施設条件として認識し、「現在地から5km以内のクレジットカードの使える現在営業中のレストランを検索します」と応答する。また、経路案内中である場合に運転者DRが「10分以内、道なりで」と答えると、それを施設条件として認識し、「10分以内に到着できる案内経路沿いの、クレジットカードの使える現在営業中のレストランを検索します」と応答する。
【0051】
施設の検索処理(ステップS7)では、ステップS3で認識した施設条件を検索条件として、CPU71は、検索条件に適合する施設(対象施設BL)を施設情報データベース33dから検索する(ステップS7,対象施設検索部93)。例えば、検索条件が「VISTERカードの使える現在営業中のレストラン」である場合、施設情報データベース33dから「レストラン」のジャンル毎に分類されているレストランのうち、現在の時間が営業時間に含まれているもの、使用可能なクレジットカードの種類がVISTERカードであるものを検索する。ここで、施設情報データベース33d内を検索するための検索プログラムは、ROM72に記憶されている。また、現在の時間は、制御回路70等が備えるRTC(Real Time Clock)回路から取得することもできるし、ディスプレイコントローラ1が有するGPS受信器21が車両Cの位置とともに取得するUTC時刻から日本標準時刻に換算して取得することもできる。
【0052】
また、検索条件が現在位置を基準とする場合は、CPU71は、ディスプレイコントローラ1の位置検出器2から車両Cの現在位置を取得し、現在位置を基準に検索地域を設定して、施設情報データベース33dに含まれる位置情報から検索地域内にある施設を特定する。また、検索条件が案内経路沿いである場合は、ディスプレイコントローラ1から案内経路の情報を取得し、案内経路沿いの地域を検索地域として設定する。
【0053】
ステップS7により対象施設BLが検索されなかった場合には(ステップS8:No)、CPU71は、対象施設BLが存在しなかった旨の通知をスピーカ52から行って(ステップS9)、再度の施設条件の入力を促す。一方、対象施設BLが検索された場合には(ステップS8:Yes)、検索件数を運転者に伝える処理(ステップ10)に移る。ここで、検索された対象施設BLの数が所定数を超えている場合には(ステップS11:Yes)、CPU71は、施設条件の再入力を促す音声をスピーカ52より出力し(ステップS12)、施設条件の再入力があった場合には(ステップS13:Yes)、ステップS3に戻る。このようにして、検索される対象施設BLの数が適正となるまでこれらの処理が続けられる。
【0054】
検索された対象施設BLの数が適正である場合には(ステップS11:No)、CPU71は、例えば「この先に3件、条件に合うレストランがあります。レストランに近づいたらウインドシールドに表示してご案内します」等の案内を行う旨の通知をスピーカ52から出力する。それに対して運転者DRが「頼む」,「はい」,「OK」等の肯定の応答をすると、CPU71は、それを検知して(ステップS14:Yes)、対象施設BLの位置データ,クレジットカードの種類や営業時間等の施設条件のデータ,駐車場の位置データなどをディスプレイコントローラ1に送信する(ステップS15)。一方、運転者DRが否定の応答をすると(ステップS14:No)、施設条件の再入力を促す音声をスピーカ52より出力する(ステップS12)。
【0055】
ところで、HMIコントローラ7のCPU71は、以上に説明した処理の他にも、運転者カメラ62により得られる運転者DRの目の画像から運転者DRの視線方向を検出する処理を行っており(視線方向検出部94)、検出した運転者DRの視線方向をディスプレイコントローラ1に送信している。具体的には、視線方向の検出は、運転者DRの顔面付近を撮影している運転者カメラ62から画像データの入力を受けたCPU71が、顔面画像から眼球領域を特定するとともに、眼球形状の曲率から眼球中心座標を求める。その一方、眼球領域から黒目(瞳孔)領域を特定して黒目中心座標も求める。そして、眼球中心座標から黒目中心座標へと向かう方向を視線方向として定める。なお、視線方向の検出には、他にも赤外光を用いる角膜反射法や強膜反射法などを用いることができる。
【0056】
(6−3)ディスプレイコントローラの作動
ディスプレイコントローラ1が行う施設表示ルーチンについて、図6及び図8を参照して説明する。施設表示ルーチンは、上記したようにHMIコントローラ7が対象施設BL(レストラン等)に関するデータを送信すると、CPU11がその受信を検知することで開始される。
【0057】
施設表示ルーチンが開始されると、CPU11は、HMIコントローラ7から受信した対象施設BL(レストラン等)に関するデータのうち、位置データをもとに対象施設BLの地図データ36,37上での位置を特定する(ステップT1,施設位置特定部95)。そして、CPU11は、車両Cの位置情報を位置検出器2から定期的に取得し、車両Cの現在位置と対象施設BLとの間の距離を求めて(ステップT2,視認可否判定部96)、所定の表示開始距離に近づいたか否かをチェックする(ステップT3)。
【0058】
表示開始距離に近づくと(ステップT3:Yes)、CPU11は次に、対象施設BLが運転者DRから視認されるか否かを判定する(ステップT4・T5,視認可否判定部96)。すなわち、CPU11は、図13(b)のイメージ図に示すように、3次元地図データ37から車両Cの現在位置AL及び進行方位CD、運転者DRの視線方向LSに基づいて、運転者DRが見ていると想定される模擬的な情景の画像である模擬情景画像SVS(図13(a)参照)を算出する(ステップT4)。そして、模擬情景画像SVSから対象施設BLが運転者DRから視認されるか否かを判定する(ステップT5)。ここで、車両Cの現在位置AL及び進行方位CDは位置検出器2から得ることができ、運転者DRの視線方向LSはHMIコントローラ7から得られる。図13(a)に示すような2次元的に表された模擬情景画像SVSは、3次元地図データ37から例えばレイトレーシング法により得ることができる。また、対象施設BLが運転者DRから視認されるか否かの判定は、レイトレーシング法において、対象施設BLとなる建物から届く光線が存在するか否かで判定する。
【0059】
そして、対象施設BLが運転者DRから視認されると判定された場合(ステップT5:Yes)、CPU11は、図9に示すように、運転者DRから見て対象施設BLの近傍となるウインドシールドWSの領域に施設条件を表す施設条件表示DIをウインドシールド表示装置8に表示させる(ステップT6,表示制御部99)。本実施形態では、施設条件を表す施設条件表示DIは、使用可能なクレジットカードである「VISTERカード」のマークを表示している。また、施設条件表示DIとして、対象施設BL(レストラン等)の名称や営業時間等の情報を含めることもできる。
【0060】
なお、施設条件表示DIの表示位置は、運転者DRの視線方向に基づいて模擬情景画像SVS(図13(a)参照)において定められ、それがウインドシールドWS上に反映される。また、表示位置を定めるにあたって、模擬情景画像SVSは、運転者が実際に見ている情景の画像である実情景画像により位置補正されているので、模擬情景画像SVSで定めた表示位置が運転者DRが実際に見ている情景における位置と精度良くリンクする。ここで、実情景画像は、車外カメラ61により得られる画像から、HMIコントローラ7から得られる運転者DRの視線方向に基づいて特定される(実情景画像特定部98)。すなわち、車外カメラ61の撮影により得られる画像のうち運転者DRの視線方向にある部分を、運転者DRが見ている実情景画像として特定する。そして、CPU11は、模擬情景画像SVSと実情景画像とを照合(パターンマッチング)させて模擬情景画像SVSの位置補正を行う(情景画像照合部97)。
【0061】
また、施設条件表示DIは、図9に示すように、運転者DRから見て空となるウインドシールドの領域BS(空領域BS)に表示される。空領域BSは、3次元地図データ37から得られる模擬情景画像SVSから特定することができる。例えば、模擬情景画像SVSをレイトレーシング法で得る場合において、建物BL等の物体から届く光線が存在しない領域を空領域BSとする。このように施設条件表示DIが表示されることで、施設条件表示DIが運転者DRの視界を塞いで運転の妨げになるような事態を避けることができる。
【0062】
また、施設条件表示DIは、図10に示すように、対象施設BLの手前に建物が存在する場合に、運転者DRから見て一部が手前の建物に隠れて見えるように表示される(半隠れ施設条件表示HDI)。これは、3次元地図データ37から模擬情景画像SVSを得るに際して、対象施設BLの手前の建物の外形線が得られることから、施設条件表示DIの一部を切り取った切断線を当該手前の建物の外形線と合致させることで、施設条件表示DIの一部が隠れて見えるようになる。これにより、運転者DRは、対象施設BLの位置や近づき度合いが直感的にわかりやすくなる。
【0063】
また、施設条件表示DIは、車両Cの現在位置から対象施設BLまでの距離に応じて、その大きさ,明るさ,色,透明度等を当該距離に応じて変化する。すなわち、CPU11は、車両Cの位置情報を位置検出器2から定期的に取得しており、対象施設BLまでの距離が所定の近さになるのに伴い、施設条件表示DIの明るさを上げたり(ハイライト表示)、大きさを上げたりする。これにより、運転者DRは、対象施設BLの位置や近づき度合いが直感的にわかりやすくなる。また、施設条件表示DIは、透過表示させることができる。これは、ウインドシールドWSに表示される施設条件表示DIの透明度を上げることの他に、明度を下げることでも実現できる。これにより、施設条件表示DIが運転者DRの視界を塞いで運転の妨げになるような事態を避けることができる。
【0064】
一方、ステップT5において対象施設BLが運転者DRから視認されないと判定された場合には(ステップT5:No)、CPU11は、図12に示すように、ウインドシールドWSに対象施設BLの方向を表す方向表示ADIを表示させる(ステップT7,表示制御部99)。例えば、図13(b)に示す模擬情景画像SVSとなるべき領域に含まれているにも関わらず、実際に2次元的な模擬情景画像SVS(図13(a)参照)を得ると手前の建物に隠れて運転者DRからは視認できない対象施設BLがある場合に、運転者DRから見て当該手前の建物の近傍となるウインドシールドWSの領域にその裏側(対象施設BLが隠れている方向)を指し示すような方向表示ADIを表示させることで、運転者DRは対象施設BLの位置や近づき度合いが直感的にわかりやすくなる。また、上記と同様に、方向表示ADIの一部を手前の建物に隠して表示すると、運転者DRは更に対象施設BLの位置や近づき度合いが直感的にわかりやすくなる。なお、方向表示ADIの表示位置は、上記した施設条件表示DIの場合と同様に模擬情景画像SVSに基づいて定めることができる。
【0065】
次に、CPU11は、上記した施設条件表示DIや方向表示ADIを表示している間においても、車両Cの位置情報を位置検出器2から定期的に取得して対象施設BLとの間の距離を監視しており(ステップT8)、車両Cの現在位置と対象施設BLとの間の距離が所定範囲内に達した場合に(ステップT9:Yes)、図11に示すように、対象施設BLの駐車場の入口を表す駐車場表示PDIを表示させる(ステップT10,表示制御部99)。これにより、運転者は、その対象施設BLの駐車場に迷わず安全に(急ブレーキや急ハンドルなしに)辿り付くことができる。駐車場の位置データは、上記したように、施設情報データベース33dに記憶されており、それを読み出したHMIコントローラ7から送信されてくる。
【0066】
次に、CPU11は、車両Cが対象施設BLを通り過ぎたことを検知すると(ステップT11:Yes)、その対象施設BLを対象から除外して、ウインドシールドWSへの表示を取り止める(ステップT12)。車両Cが対象施設BLを通り過ぎたことは、漸減していた対象施設BLとの距離が増加に転じたことを検知すること等によって検知できる。なお、車両CがUターンして対象施設BLに向かうことも想定して、車両Cが対象施設BLを通り過ぎても所定距離以上離れるまでは対象施設BLを対象から除外しないようにする。また、車両Cの走行途中に営業時間を徒過してしまったような場合にも、その対象施設BLを対象から除外して、ウインドシールドWSへの表示を取り止めるようにすることができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施し得るものである。例えば、上記実施形態では施設条件表示DI等をウインドシールド表示装置8によってウインドシールドWSに表示していたが、表示装置51のディスプレイに表示された地図において、対象施設BLの位置と対応付けて施設条件表示DI等を表示させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】車両に取り付けられた状態の本発明の車両用情報表示システムを概略的に表す図
【図2】本発明の車両用情報表示システム全体の電気的ブロック図
【図3】HMIコントローラの電気的ブロック図
【図4】ディスプレイコントローラの電気的ブロック図
【図5】HMIコントローラが行う処理を表す機能ブロック図
【図6】ディスプレイコントローラが行う処理を表す機能ブロック図
【図7】HMIコントローラが行う処理を表すフローチャート
【図8】ディスプレイコントローラが行う処理を表すフローチャート
【図9】ウインドシールドへの第1表示例を示す図
【図10】ウインドシールドへの第2表示例を示す図
【図11】ウインドシールドへの第3表示例を示す図
【図12】ウインドシールドへの第4表示例を示す図
【図13】3次元地図データ及び模擬情景画像の説明図
【図14】ウインドシールド表示装置の説明図
【符号の説明】
【0069】
1 ディスプレイコントローラ
10 ディスプレイコントローラの制御部(表示制御部,施設位置特定部,視認可否判定部,実情景画像特定部,情景画像照合部)
2 位置検出器(位置検出手段)
3 ハードディスク(地図データ記憶手段,施設情報記憶手段)
32d 地図データベース
33d 施設情報データベース
37 3次元地図データ
41 操作スイッチ
51 表示装置(表示手段)
52 スピーカコントローラ(通知手段)
53 マイクロホン(入力手段)
61 車外カメラ(車外撮像手段)
62 運転者カメラ(運転者撮像手段)
7 HMIコントローラ
70 HMIコントローラの制御部(検索条件調整部,対象施設検索部,音声認識部,視線方向検出部)
8 ウインドシールド表示装置(表示手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定条件を具備する施設を運転者に認識させる車両用情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用のナビゲーション装置は、運転者の所望する施設(レストラン等)の検索を行い、走行中に画像表示や音声等によって施設の接近を運転者に案内する機能を有する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−217188号公報
【特許文献2】特開平7−257228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、施設(レストラン等)が運転者にとって不慣れな土地にあると、正確な位置を掴めずに通り過ぎてしまうことがある。また、いざ施設に到着してみたら、既に営業時間が終了していたり、自分の持っているカードが使えなかったりという事態に直面し、施設を探し直す羽目になることが少なくない。
【0005】
本発明は、上記問題を鑑みて為されたものであり、運転者が所望する適切な施設を運転者に直感的に知らしめることが可能な車両用情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の車両用情報表示システムは、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、地図データに含まれる施設に関する施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、運転者の所望する施設条件が入力される入力手段と、該施設条件を検索条件として、それに適合する施設を施設情報記憶手段から検索して対象施設とする対象施設検索部と、対象施設の地図データ上での位置を特定する施設位置特定部と、画像を表示する表示手段と、施設条件を表す施設条件表示を対象施設の位置と対応付けて表示手段に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。これによると、運転者から入力された施設条件に適合する施設を検索し、施設条件表示を対象施設の位置と対応付けて表示させることで、運転者に所望する対象施設を直感的に知らしめることができる。
【0007】
請求項2の車両用情報表示システムでは、入力手段は音声入力手段により構成され、該音声入力手段から入力された運転者の音声を認識する音声認識部を備えるように構成できる。これによると、運転者は音声により施設条件を入力できるので、運転者にとって実際の対話により近い形式で検索条件を調整することができる。
【0008】
請求項3の車両用情報表示システムでは、運転者に対して施設条件の特定または絞込みを促す通知を行うための通知手段と、入力手段及び通知手段により運転者との対話形式で検索条件を調整する検索条件調整部とを備えるように構成できる。これによると、運転者に対して施設条件の特定または絞込みを促す通知を行い、運転者との対話形式で検索条件を調整することにより、運転者が所望する適切な施設を検索することができる。
【0009】
請求項4の車両用情報表示システムでは、検索条件調整部は、対象施設検索部により検索された対象施設の数が所定範囲から外れている場合に、運転者に対して施設条件の再入力を促す通知を通知手段に行わせるように構成できる。これによると、対象施設の数が過度に少ない場合や多い場合に施設条件の再入力を促す通知を行うことで、より適切な施設を運転者に提供できる。
【0010】
請求項5の車両用情報表示システムでは、通知手段は音声通知手段により構成されるようにできる。これによると、運転者は音声により通知が行われるので、運転者にとって実際の対話により近い形式で検索条件を調整することができる。
【0011】
請求項6の車両用情報表示システムでは、表示手段は、車両のウインドシールドに画像を表示するウインドシールド表示手段により構成できる。これによると、施設条件表示が車両のウインドシールドに表示されるので、運転者は施設の位置を直感的に把握することができる。
【0012】
請求項7の車両用情報表示システムでは、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、地図データに基づいて車両と対象施設との位置関係から該対象施設が運転者から視認されるか否かを判定する視認可否判定部とを備え、表示制御部は、視認可否判定部により対象施設が運転者から視認されると判定された場合に、施設条件を表す施設条件表示を対象施設の位置と対応付けて表示手段に表示させるように構成できる。これによると、運転者が対象施設を視認できると判定した場合に施設条件表示の表示を行うので、運転者は車外の情景から対象施設を直感的に把握することができる。
【0013】
請求項8の車両用情報表示システムでは、運転者を撮影する運転者撮像手段と、運転者撮像手段により得られる運転者の目の画像から運転者の視線方向を検出する視線方向検出部とを備え、地図データは3次元地図データであり、視認可否判定部は、車両の現在位置及び運転者の視線方向に基づいて運転者が見ていると想定される模擬情景画像を3次元地図データから算出し、当該模擬情景画像から対象施設が運転者から視認されるか否かを判定し、表示手段は、車両のウインドシールドに画像を表示するウインドシールド表示手段であり、表示制御部は、視認可否判定部により対象施設が運転者から視認されると判定された場合に、運転者から見て対象施設の近傍となるウインドシールドの領域に施設条件表示をウインドシールド表示手段に表示させるように構成できる。これによると、運転者の視線方向を検出するとともに、3次元地図データから運転者が見ていると想定される模擬的な情景の画像(以下、模擬情景画像という)を算出し、それに基づいて、施設条件表示を運転者から見て対象施設の近傍となるウインドシールドの領域に表示することで、運転者は運転中に注視すべき方向から視線を大きく外すことなく、施設の位置を直感的に把握することができる。
【0014】
請求項9の車両用情報表示システムでは、車外を撮影する車外撮像手段と、視線方向検出部により得られる運転者の視線方向及び車外撮像手段により得られる画像から運転者が見ている実情景画像を特定する実情景画像特定部と、模擬情景画像と実情景画像とを照合して該模擬情景画像の位置補正を行う情景画像照合部とを備え、表示制御部は、該情景画像照合部により位置補正された模擬情景画像に基づいて表示制御を行うように構成できる。運転者が実際に見ている情景の画像(以下、実情景画像という)は車外を撮影する車外撮像手段によって得られることから、運転者が実際に見ている情景により近いものであり、これに模擬情景画像を照合させて位置補正を行うことで、施設条件表示の表示位置を精度良く設定できる。
【0015】
請求項10の車両用情報表示システムでは、表示制御部は、運転者から見て空となるウインドシールドの領域に施設条件表示を表示させるように構成できる。これによると、施設条件表示が運転者から見て空となる領域に表示されるので、表示が運転者にとって運転の邪魔になることを防ぐことができる。
【0016】
請求項11の車両用情報表示システムでは、表示制御部は、対象施設の手前に建物が存在する場合に、運転者から見て施設条件表示の一部が該手前の建物に隠れて見えるように該施設条件表示を表示させるように構成できる。これによると、施設条件表示の一部が手前の建物に隠れて見えるので、運転者はより直感的に施設の位置を把握することができる。
【0017】
請求項12の車両用情報表示システムでは、表示制御部は、視認可否判定部により対象施設が運転者から視認されないと判定された場合に、対象施設の方向を表す方向表示を表示させるように構成できる。これによると、対象施設が運転者から視認できない場合であっても、対象施設の方向を表す方向表示が表示されるので、運転者はより直感的に施設の位置を把握することができる。
【0018】
請求項13の車両用情報表示システムでは、視認可否判定部は、車両の現在位置から対象施設までの距離を特定し、当該距離が所定範囲内にある場合に、該対象施設が運転者から視認されるか否かを判定するように構成できる。これによると、対象施設が運転者から視認されるか否かの判定を、車両の現在位置から対象施設までの距離が所定範囲内にある場合にのみ行うので、例えば視認できないことが明らかなほど遠くの対象施設の判定を行うような無駄を省略できる。
【0019】
請求項14の車両用情報表示システムでは、視認可否判定部は、車両の現在位置から対象施設までの距離を特定し、表示制御部は、当該距離が所定範囲内にある場合に、対象施設の駐車場の入口を表す駐車場表示を表示させるように構成できる。これによると、駐車場表示が表示されるので、運転者は迷わず安全に駐車場に辿り付くことができる
【0020】
請求項15の車両用情報表示システムでは、視認可否判定部は、車両の現在位置から対象施設までの距離を特定し、表示制御部は、表示される施設条件表示の大きさ,明るさ,色,透明度等を当該距離に応じて変化させるように構成できる。これによると、距離に応じて施設条件表示の大きさ,明るさ,色,透明度等が変化することから、運転者はより直感的に施設の位置を把握することができる。
【0021】
請求項16の車両用情報表示システムでは、入力手段は運転者を撮影する運転者撮像手段により構成され、該運転者撮像手段により得られる運転者の画像から運転者が行う所定の動作を入力の合図として認識するジェスチャー認識部とを備えるように構成できる。これによると、運転者はジェスチャーによって容易に入力操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(1)車両用情報表示システム
以下、本発明の車両用情報表示システムの実施形態を、図面を参照しながら説明する。車両用情報表示システム100は、車両Cに取り付けられ(図1参照)、図2に示すようにHMI(Human Machine Interface)コントローラ7及びディスプレイコントローラ1,ネットワークハードディスク装置3(以下、単にHDD3という),スピーカコントローラ52(以下、単にスピーカ52という)を備えており、主に、運転者に経路案内を行うナビゲーション機能や運転者が所望する施設の案内を行う施設案内機能を実現する。具体的には、HMIコントローラ7は、エージェント機能と呼ばれる運転者との対話機能を持ち、運転者DRの音声リクエストに回答を返すことができるようなっている。このような機能により、HMIコントローラ7は、運転者DRが所望するレストラン等の施設の条件(施設条件:営業時間や使用可能なカードの種類等)を対話形式で特定または絞込んだ後、該当する施設の検索を行う。そして、HMIコントローラ7は検索された施設(対象施設BL)に関する情報をディスプレイコントローラ1に渡し、ディスプレイコントローラ1は、対象施設BLの情報に基づいて、車両Cが対象施設BLに近付くと車両CのウインドシールドWSに施設条件を表す施設条件表示DI(図9参照)を表示させることで、運転者DRに対象施設BLの位置を直感的に把握させる。以下、車両用情報表示システム100の詳細な構成及び作動について説明する。
【0023】
(2)HMIコントローラ
HMIコントローラ7の構成について説明する。図3は、HMIコントローラ7の電気的ブロック図を示すものである。HMIコントローラ7は、マイクロホン53,操作スイッチ41,運転者カメラ62,通信I/F(インターフェース)76及びこれらが接続された制御回路70を備えている。
【0024】
マイクロホン53は、本発明の音声入力手段(入力手段)として機能するものであり、運転者の声(空気の振動)を電気信号に変換する周知のマイクロホン(集音装置)で構成される。マイクロホン53は、ハンドル部分に設置されており(図1参照)、運転者DRから所望の施設条件が入力されると、これを電気信号にして制御部70に入力する。
【0025】
操作スイッチ41は、メカニカルスイッチとして構成されており、ハンドル部分に設けられている(図1及び図9参照)。操作スイッチ41は、後述する施設検索ルーチン(図7参照)の起動スイッチとして機能し、押下されるとHMIコントローラ7が応答し、運転者DRとの対話が開始される。
【0026】
運転者カメラ62は、本発明の運転者撮像手段として機能するものであり、CCDカメラで構成され、運転者DRを撮影して、撮影した映像をビデオ信号として制御回路70に入力する。この画像を基に運転者DRの視線方向が検出される。
【0027】
通信I/F(インターフェース)76は、車内LANとの間のインターフェース機能を有しており、これによってディスプレイコントローラ1やHDD3,スピーカ52等の車内の他の機器との通信が可能となっている。
【0028】
制御回路70は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU71,ROM72,RAM73,入出力インターフェース(I/O)74及びこれらの構成を接続するバスライン75が備えられている。CPU71は、ROM72及びRAM73に記憶されたプログラム及びデータにより制御を行う。ROM72は、プログラム格納領域72aとデータ記憶領域72bとを有している。プログラム格納領域72aには、HMIプログラム72pが格納されている。このHMIプログラム72pは、RAM73上にてHMIプログラム用ワークメモリ73wを作業領域とする形で作動する。他方、データ記憶領域72bには、HMIプログラム72pの動作に必要な種々のデータが格納されている。なお、これらのプログラム及びデータは、外部メモリを設けてそれに記憶させてもよい。以上の構成によって、制御回路70は、CPU71によりHMIプログラム72pが起動されると、本発明の検索条件調整部,対象施設検索部,音声認識部,視線方向検出部として機能する。
【0029】
(3)ディスプレイコントローラ
ディスプレイコントローラ1の構成について説明する。図4は、ディスプレイコントローラ1の電気的ブロック図を示すものである。ディスプレイコントローラ1は、位置検出器2,表示装置51,ウインドシールド表示装置8,車外カメラ61,通信I/F(インターフェース)16及びこれらが接続された制御回路10を備えている。
【0030】
位置検出器2は、GPS衛星から送信されたGPS電波を受信し、その受信したGPS電波に格納されているパラメータを演算して位置データを取得するGPS受信機21、地磁気に基づいて方位を検出し、その検出した方位を表す方位データを取得する地磁気センサ22、角速度を検出することに基づいて方位を算出し、その算出した方位を示す方位データを取得するジャイロスコープ23、走行距離を検出し、その検出した距離を示す距離データを取得する距離センサ24を備えて構成され、各センサが取得した各データを相互補完することによって、自車の現在位置の検出(特定)と正確な走行距離の計測を行う。以上の構成によって、位置検出器2は、本発明の位置検出手段として機能する。
【0031】
表示装置51は、カラー液晶表示器により構成されており、その画面には位置検出器2から入力された車両現在位置マークと、HDD3から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示するとともに、本画面に経路案内の設定及び経路誘導中の案内が表示される。表示装置51は、本発明の表示手段として利用できる。
【0032】
ウインドシールド表示装置8は、本発明のウインドシールド表示手段(表示手段)として機能するものであり、車両CのウインドシールドWSに映像を表示する(図9及び図14参照)。ウインドシールド表示装置8は、制御回路10から出力された表示命令に基づいてディスプレイ駆動回路81が液晶パネル82及びバックライト83を駆動する。具体的には、液晶パネル82及びバックライト83は、図14に示すように、ウインドシールドWSの下側から車両Cの内側へ延出するインストルメントパネルIPに配設されている。液晶パネル82は、インストルメントパネルIPの開口部分に支持されており、ディスプレイ駆動回路81により駆動するとともにバックライト83からの光を受けることで表示画像を表示する。そして、この表示画像は、表示光としてウインドシールドWSに入射され、運転席に着座した運転者DRの目に向けて反射されることで、虚像として運転者DRに捕らえられる。
【0033】
車外カメラ61は、本発明の車外撮像手段として機能するものであり、CCDカメラで構成され、車外を撮影して、撮影した映像をビデオ信号として制御回路10に入力する。
【0034】
通信I/F(インターフェース)16は、車内LANとの間のインターフェース機能を有しており、これによってHMIコントローラ7やHDD3,スピーカ52等の車内の他の機器との通信が可能となっている。
【0035】
制御回路10は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU11,ROM12,RAM13,入出力インターフェース(I/O)14及びこれらの構成を接続するバスライン15が備えられている。CPU11は、ROM12及びRAM13に記憶されたプログラム及びデータにより制御を行う。ROM12は、プログラム格納領域12aとデータ記憶領域12bとを有している。プログラム格納領域12aには、表示プログラム12pが格納されている。この表示プログラム12pは、RAM13上にて表示プログラム用ワークメモリ13wを作業領域とする形で作動する。他方、データ記憶領域12bには、表示プログラム12pの動作に必要な種々のデータが格納されている。なお、これらのプログラム及びデータは、外部メモリを設けてそれに記憶させてもよい。以上の構成によって、制御回路10は、CPU11により表示プログラム12pが起動されると、本発明の表示制御部,施設位置特定部,視認可否判定部,実情景画像特定部,情景画像照合部として機能する。
【0036】
(4)ハードディスク装置
ネットワークハードディスク装置3(HDD3)は、通常のハードディスク装置の構成に加えて、通常のコンピュータとして構成された制御回路及び車内LANとの間のインターフェース機能を有する通信I/Fを有している(図示せず)。制御回路は、データの読み書きを制御するものであり、要求に応じてHMIコントローラ7やディスプレイコントローラ1にデータを送信する。HDD3は、地図描画のための地図データ(地図データベース32d),位置検出精度向上のためのマップマッチング用データ,施設情報データ(施設情報データベース33d)等を記憶している。なお、これらのデータは、例えばCD−ROM,DVD−ROM,メモリカードなどの情報記録媒体に記憶させ、データ入力器からHMIコントローラ7やディスプレイコントローラ1に入力するようにしてもよい。以上の構成により、HDD3は、本発明の地図データ記憶手段及び施設情報記憶手段として機能する。
【0037】
HDD3に構築された地図データベース32d(地図データ記憶手段)は、経路案内時等に表示装置51の画面に表示される2次元地図データ(2D地図データ)36や3次元地図データ(3D地図データ)37を記憶している。3次元地図データ37は、通常の地図情報に加えて、施設の形状データと高さ情報を有している。図13(b)に3次元地図データ37のイメージ図を示す。また、3次元地図データ37は、後述する模擬情景画像SVS(図13(a)参照)の計算に用いられる。
【0038】
HDD3に構築された施設情報データベース33d(施設情報記憶手段)は、地図データ36,37に含まれる施設に関する施設情報を記憶している。施設情報データベース33dには、施設情報として、「レストラン」等のジャンル毎に分類された各施設についての詳細情報(例えば「営業時間」,「駐車場の位置情報」,「使用可能なクレジットカードの種類」等)などが地図データ36,37上における位置情報と関連付けて記憶されている。
【0039】
(5)スピーカコントローラ
スピーカコントローラ52は、スピーカ,アンプ,D/A変換器を含んで構成されるとともに通信I/Fも有しており(図示せず)、車内LANを経由して入力されるHMIコントローラ7やディスプレイコントローラ1からの入力信号に基づき合成音声を発する。スピーカコントローラ52は、本発明の音声通知手段(通知手段)として機能し、運転者に対して施設条件の特定または絞込みを促すための合成音声を出力する。また、目的地までの経路案内の実行時には案内のための合成音声を出力する。
【0040】
(6)HMIコントローラ及びディスプレイコントローラの作動
HMIコントローラ7及びディスプレイコントローラ1の作動について、図5ないし図8を参照して説明する。ここで、図5は、HMIコントローラ7のCPU71が実行するHMIプログラム72pの施設検索ルーチンを機能ブロック図で示すものであり、図7は同処理をフローチャートで示すものである。図6は、ディスプレイコントローラ1のCPU11が実行する表示プログラム12pの施設情報表示ルーチンを機能ブロック図で示すものであり、図8は同処理をフローチャートで示すものである。
【0041】
(6−1)ナビゲーション処理
HMIコントローラ7及びディスプレイコントローラ1は、メインの処理としてナビゲーション処理を共同して行う。以下、簡略に説明を行う。ナビゲーション処理においてHMIコントローラ7のCPU71は、エージェント機能による対話の中で運転者DRから目的地の入力を受けると、それを認識してディスプレイコントローラ1へと送信する。ディスプレイコントローラ1のCPU11は、HMIコントローラ7から目的地を受信すると、位置検出器2から車両Cの現在位置を求め、該現在位置から目的地までの最適な経路を地図データ36から探索する(経路探索処理)。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。次に、経路探索処理で求めた経路を表示装置51の画面上の道路地図に重ねて表示し、運転者DRに適切な経路を案内する(経路案内処理)。また、表示装置51やスピーカ52によって操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0042】
(6−2)施設検索ルーチン
HMIコントローラ7が行う施設検索ルーチンについて、図5及び図7を参照して説明する。施設検索ルーチンは、上記ナビゲーション処理中などにおいて、CPU71が操作スイッチ41の操作を検知することで開始される。具体的には、運転者DRが道路走行中に食事をしたくなった場合等にハンドル部分に設けられた操作スイッチ41を操作すると、CPU71がそれを検知して施設検索ルーチンを開始する。
【0043】
なお、HMIコントローラ7の施設検索ルーチンの開始は、操作スイッチ41の操作に限らず、例えば、運転者DRが所定の音声をマイクロホン53に向かって発した場合に、CPU71が、その音声を入力の合図として認識することによって開始するように構成することもできる(音声認識部91)。また、運転者DRが所定の動作(ジェスチャー)を行った場合に、CPU71が、運転者カメラ62により得られる運転者DRの画像からそのジェスチャーを入力の合図として認識することによって開始するように構成することもできる(すなわち、CPU71内にジェスチャー認識部を構成する)。この場合、ROM72にはジェスチャーのパターンデータが記憶され、CPU71はこれとの照合を図ることによって、運転者DRのジェスチャーを認識する。
【0044】
施設検索ルーチンが開始されると、まずCPU71は、「リクエストをどうぞ」等の音声をスピーカ52から出力(応答)して、運転者DRに対して施設条件の入力を促す(ステップS1)。このような音声のデータは、ROM72のデータ記憶領域72bに記憶されている。
【0045】
次に、運転者DRが所望の施設条件をマイクロホン53に施設条件(リクエスト)を発すると(ステップS2:Yes)、CPU71は、入力された運転者DRの音声を認識する処理を行う(音声認識部91)。具体的には、入力された音声の信号パターンと認識辞書に蓄えられている信号パターンとを照合して認識する。このようなパターン認識の方法には、隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model)等がある。認識辞書はROM72に記憶されている。例えば、運転者が、食事をしたいが財布には現金が少なくクレジットカードを使おうと考えて「カードが使えて、今営業しているレストランを教えてくれ」とマイクロホン53に向かってリクエストしたとすると、CPU71は、そこから名詞,助詞,動詞等を判断して、“カード”,“使える”,“今”,“営業”,“レストラン”,“教える”といった単語を抽出する。
【0046】
次に、CPU71は、音声認識結果を解析することで施設条件(リクエスト)を認識し、それを復唱する音声をスピーカ52から出力する(ステップS3,検索条件調整部92)。音声認識結果の解析では、音声認識した単語のうち“カード”はクレジットカード、“レストラン”は食物店のジャンルにあるレストラン、“教える”は検索依頼である等の判断を行う。これは、例えば、ROM72に記憶された単語対応例リストと照合するなどの方法によって実現できる。そして、CPU71は、「クレジットカードの使える、今営業中のレストランを教えればよいですね」等の運転者DRのリクエストを復唱する内容の音声をスピーカ52から出力して運転者DRに確認する。
【0047】
次に、CPU71は、認識した施設条件を検索条件として採用するか否かの判断を行う(ステップS4,検索条件調整部92)。これは例えば、ステップS3で反復した内容に対して運転者DRが「はい」や「そう」などと肯定する声を発した場合に、認識した施設条件を検索条件として施設の検索処理(ステップS7)に移る(ステップS4:Yes)。他方、運転者DRが「いや」や「ちがう」などと否定する声を発した場合や、認識した施設条件では検索に不適正な場合には(ステップS4:No)、施設条件の特定または絞込み処理(ステップS5,S6)に移る。
【0048】
施設条件の特定または絞込み処理(ステップS5,S6)では、CPU71は、スピーカ52から施設条件を特定する又は絞込むよう運転者DRに促す音声を出力する(ステップS5)。そして、マイクロホン53により運転者DRが更なる施設条件の入力したことを検知すると(ステップS6:Yes)、ステップS3に戻って再度認識処理を行い、新たな施設条件の復唱を行う。このようにして、施設条件の特定または絞込みは、HMIコントローラ7と運転者DRとの対話形式で行われる。
【0049】
例えば、ステップS4において、使用するクレジットカードの種類が特定されていない場合には、検索に不適正であるとして、「クレジットカードはどれでも良いですか」とスピーカ52から出力して運転者DRに特定を促す。そして、運転者DRが「VISTER」(架空名称)とマイクロホン53に向かって答えると、それを施設条件として認識し、「VISTERカードの使える現在営業中のレストランを検索します」と応答する。
【0050】
また、検索地域が特定されていない場合には、検索に不適正であるとして、「どの範囲までを探しますか」とスピーカ52から出力して運転者DRに特定を促す。そして、運転者DRが「現在地から5km以内」と答えると、それを施設条件として認識し、「現在地から5km以内のクレジットカードの使える現在営業中のレストランを検索します」と応答する。また、経路案内中である場合に運転者DRが「10分以内、道なりで」と答えると、それを施設条件として認識し、「10分以内に到着できる案内経路沿いの、クレジットカードの使える現在営業中のレストランを検索します」と応答する。
【0051】
施設の検索処理(ステップS7)では、ステップS3で認識した施設条件を検索条件として、CPU71は、検索条件に適合する施設(対象施設BL)を施設情報データベース33dから検索する(ステップS7,対象施設検索部93)。例えば、検索条件が「VISTERカードの使える現在営業中のレストラン」である場合、施設情報データベース33dから「レストラン」のジャンル毎に分類されているレストランのうち、現在の時間が営業時間に含まれているもの、使用可能なクレジットカードの種類がVISTERカードであるものを検索する。ここで、施設情報データベース33d内を検索するための検索プログラムは、ROM72に記憶されている。また、現在の時間は、制御回路70等が備えるRTC(Real Time Clock)回路から取得することもできるし、ディスプレイコントローラ1が有するGPS受信器21が車両Cの位置とともに取得するUTC時刻から日本標準時刻に換算して取得することもできる。
【0052】
また、検索条件が現在位置を基準とする場合は、CPU71は、ディスプレイコントローラ1の位置検出器2から車両Cの現在位置を取得し、現在位置を基準に検索地域を設定して、施設情報データベース33dに含まれる位置情報から検索地域内にある施設を特定する。また、検索条件が案内経路沿いである場合は、ディスプレイコントローラ1から案内経路の情報を取得し、案内経路沿いの地域を検索地域として設定する。
【0053】
ステップS7により対象施設BLが検索されなかった場合には(ステップS8:No)、CPU71は、対象施設BLが存在しなかった旨の通知をスピーカ52から行って(ステップS9)、再度の施設条件の入力を促す。一方、対象施設BLが検索された場合には(ステップS8:Yes)、検索件数を運転者に伝える処理(ステップ10)に移る。ここで、検索された対象施設BLの数が所定数を超えている場合には(ステップS11:Yes)、CPU71は、施設条件の再入力を促す音声をスピーカ52より出力し(ステップS12)、施設条件の再入力があった場合には(ステップS13:Yes)、ステップS3に戻る。このようにして、検索される対象施設BLの数が適正となるまでこれらの処理が続けられる。
【0054】
検索された対象施設BLの数が適正である場合には(ステップS11:No)、CPU71は、例えば「この先に3件、条件に合うレストランがあります。レストランに近づいたらウインドシールドに表示してご案内します」等の案内を行う旨の通知をスピーカ52から出力する。それに対して運転者DRが「頼む」,「はい」,「OK」等の肯定の応答をすると、CPU71は、それを検知して(ステップS14:Yes)、対象施設BLの位置データ,クレジットカードの種類や営業時間等の施設条件のデータ,駐車場の位置データなどをディスプレイコントローラ1に送信する(ステップS15)。一方、運転者DRが否定の応答をすると(ステップS14:No)、施設条件の再入力を促す音声をスピーカ52より出力する(ステップS12)。
【0055】
ところで、HMIコントローラ7のCPU71は、以上に説明した処理の他にも、運転者カメラ62により得られる運転者DRの目の画像から運転者DRの視線方向を検出する処理を行っており(視線方向検出部94)、検出した運転者DRの視線方向をディスプレイコントローラ1に送信している。具体的には、視線方向の検出は、運転者DRの顔面付近を撮影している運転者カメラ62から画像データの入力を受けたCPU71が、顔面画像から眼球領域を特定するとともに、眼球形状の曲率から眼球中心座標を求める。その一方、眼球領域から黒目(瞳孔)領域を特定して黒目中心座標も求める。そして、眼球中心座標から黒目中心座標へと向かう方向を視線方向として定める。なお、視線方向の検出には、他にも赤外光を用いる角膜反射法や強膜反射法などを用いることができる。
【0056】
(6−3)ディスプレイコントローラの作動
ディスプレイコントローラ1が行う施設表示ルーチンについて、図6及び図8を参照して説明する。施設表示ルーチンは、上記したようにHMIコントローラ7が対象施設BL(レストラン等)に関するデータを送信すると、CPU11がその受信を検知することで開始される。
【0057】
施設表示ルーチンが開始されると、CPU11は、HMIコントローラ7から受信した対象施設BL(レストラン等)に関するデータのうち、位置データをもとに対象施設BLの地図データ36,37上での位置を特定する(ステップT1,施設位置特定部95)。そして、CPU11は、車両Cの位置情報を位置検出器2から定期的に取得し、車両Cの現在位置と対象施設BLとの間の距離を求めて(ステップT2,視認可否判定部96)、所定の表示開始距離に近づいたか否かをチェックする(ステップT3)。
【0058】
表示開始距離に近づくと(ステップT3:Yes)、CPU11は次に、対象施設BLが運転者DRから視認されるか否かを判定する(ステップT4・T5,視認可否判定部96)。すなわち、CPU11は、図13(b)のイメージ図に示すように、3次元地図データ37から車両Cの現在位置AL及び進行方位CD、運転者DRの視線方向LSに基づいて、運転者DRが見ていると想定される模擬的な情景の画像である模擬情景画像SVS(図13(a)参照)を算出する(ステップT4)。そして、模擬情景画像SVSから対象施設BLが運転者DRから視認されるか否かを判定する(ステップT5)。ここで、車両Cの現在位置AL及び進行方位CDは位置検出器2から得ることができ、運転者DRの視線方向LSはHMIコントローラ7から得られる。図13(a)に示すような2次元的に表された模擬情景画像SVSは、3次元地図データ37から例えばレイトレーシング法により得ることができる。また、対象施設BLが運転者DRから視認されるか否かの判定は、レイトレーシング法において、対象施設BLとなる建物から届く光線が存在するか否かで判定する。
【0059】
そして、対象施設BLが運転者DRから視認されると判定された場合(ステップT5:Yes)、CPU11は、図9に示すように、運転者DRから見て対象施設BLの近傍となるウインドシールドWSの領域に施設条件を表す施設条件表示DIをウインドシールド表示装置8に表示させる(ステップT6,表示制御部99)。本実施形態では、施設条件を表す施設条件表示DIは、使用可能なクレジットカードである「VISTERカード」のマークを表示している。また、施設条件表示DIとして、対象施設BL(レストラン等)の名称や営業時間等の情報を含めることもできる。
【0060】
なお、施設条件表示DIの表示位置は、運転者DRの視線方向に基づいて模擬情景画像SVS(図13(a)参照)において定められ、それがウインドシールドWS上に反映される。また、表示位置を定めるにあたって、模擬情景画像SVSは、運転者が実際に見ている情景の画像である実情景画像により位置補正されているので、模擬情景画像SVSで定めた表示位置が運転者DRが実際に見ている情景における位置と精度良くリンクする。ここで、実情景画像は、車外カメラ61により得られる画像から、HMIコントローラ7から得られる運転者DRの視線方向に基づいて特定される(実情景画像特定部98)。すなわち、車外カメラ61の撮影により得られる画像のうち運転者DRの視線方向にある部分を、運転者DRが見ている実情景画像として特定する。そして、CPU11は、模擬情景画像SVSと実情景画像とを照合(パターンマッチング)させて模擬情景画像SVSの位置補正を行う(情景画像照合部97)。
【0061】
また、施設条件表示DIは、図9に示すように、運転者DRから見て空となるウインドシールドの領域BS(空領域BS)に表示される。空領域BSは、3次元地図データ37から得られる模擬情景画像SVSから特定することができる。例えば、模擬情景画像SVSをレイトレーシング法で得る場合において、建物BL等の物体から届く光線が存在しない領域を空領域BSとする。このように施設条件表示DIが表示されることで、施設条件表示DIが運転者DRの視界を塞いで運転の妨げになるような事態を避けることができる。
【0062】
また、施設条件表示DIは、図10に示すように、対象施設BLの手前に建物が存在する場合に、運転者DRから見て一部が手前の建物に隠れて見えるように表示される(半隠れ施設条件表示HDI)。これは、3次元地図データ37から模擬情景画像SVSを得るに際して、対象施設BLの手前の建物の外形線が得られることから、施設条件表示DIの一部を切り取った切断線を当該手前の建物の外形線と合致させることで、施設条件表示DIの一部が隠れて見えるようになる。これにより、運転者DRは、対象施設BLの位置や近づき度合いが直感的にわかりやすくなる。
【0063】
また、施設条件表示DIは、車両Cの現在位置から対象施設BLまでの距離に応じて、その大きさ,明るさ,色,透明度等を当該距離に応じて変化する。すなわち、CPU11は、車両Cの位置情報を位置検出器2から定期的に取得しており、対象施設BLまでの距離が所定の近さになるのに伴い、施設条件表示DIの明るさを上げたり(ハイライト表示)、大きさを上げたりする。これにより、運転者DRは、対象施設BLの位置や近づき度合いが直感的にわかりやすくなる。また、施設条件表示DIは、透過表示させることができる。これは、ウインドシールドWSに表示される施設条件表示DIの透明度を上げることの他に、明度を下げることでも実現できる。これにより、施設条件表示DIが運転者DRの視界を塞いで運転の妨げになるような事態を避けることができる。
【0064】
一方、ステップT5において対象施設BLが運転者DRから視認されないと判定された場合には(ステップT5:No)、CPU11は、図12に示すように、ウインドシールドWSに対象施設BLの方向を表す方向表示ADIを表示させる(ステップT7,表示制御部99)。例えば、図13(b)に示す模擬情景画像SVSとなるべき領域に含まれているにも関わらず、実際に2次元的な模擬情景画像SVS(図13(a)参照)を得ると手前の建物に隠れて運転者DRからは視認できない対象施設BLがある場合に、運転者DRから見て当該手前の建物の近傍となるウインドシールドWSの領域にその裏側(対象施設BLが隠れている方向)を指し示すような方向表示ADIを表示させることで、運転者DRは対象施設BLの位置や近づき度合いが直感的にわかりやすくなる。また、上記と同様に、方向表示ADIの一部を手前の建物に隠して表示すると、運転者DRは更に対象施設BLの位置や近づき度合いが直感的にわかりやすくなる。なお、方向表示ADIの表示位置は、上記した施設条件表示DIの場合と同様に模擬情景画像SVSに基づいて定めることができる。
【0065】
次に、CPU11は、上記した施設条件表示DIや方向表示ADIを表示している間においても、車両Cの位置情報を位置検出器2から定期的に取得して対象施設BLとの間の距離を監視しており(ステップT8)、車両Cの現在位置と対象施設BLとの間の距離が所定範囲内に達した場合に(ステップT9:Yes)、図11に示すように、対象施設BLの駐車場の入口を表す駐車場表示PDIを表示させる(ステップT10,表示制御部99)。これにより、運転者は、その対象施設BLの駐車場に迷わず安全に(急ブレーキや急ハンドルなしに)辿り付くことができる。駐車場の位置データは、上記したように、施設情報データベース33dに記憶されており、それを読み出したHMIコントローラ7から送信されてくる。
【0066】
次に、CPU11は、車両Cが対象施設BLを通り過ぎたことを検知すると(ステップT11:Yes)、その対象施設BLを対象から除外して、ウインドシールドWSへの表示を取り止める(ステップT12)。車両Cが対象施設BLを通り過ぎたことは、漸減していた対象施設BLとの距離が増加に転じたことを検知すること等によって検知できる。なお、車両CがUターンして対象施設BLに向かうことも想定して、車両Cが対象施設BLを通り過ぎても所定距離以上離れるまでは対象施設BLを対象から除外しないようにする。また、車両Cの走行途中に営業時間を徒過してしまったような場合にも、その対象施設BLを対象から除外して、ウインドシールドWSへの表示を取り止めるようにすることができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施し得るものである。例えば、上記実施形態では施設条件表示DI等をウインドシールド表示装置8によってウインドシールドWSに表示していたが、表示装置51のディスプレイに表示された地図において、対象施設BLの位置と対応付けて施設条件表示DI等を表示させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】車両に取り付けられた状態の本発明の車両用情報表示システムを概略的に表す図
【図2】本発明の車両用情報表示システム全体の電気的ブロック図
【図3】HMIコントローラの電気的ブロック図
【図4】ディスプレイコントローラの電気的ブロック図
【図5】HMIコントローラが行う処理を表す機能ブロック図
【図6】ディスプレイコントローラが行う処理を表す機能ブロック図
【図7】HMIコントローラが行う処理を表すフローチャート
【図8】ディスプレイコントローラが行う処理を表すフローチャート
【図9】ウインドシールドへの第1表示例を示す図
【図10】ウインドシールドへの第2表示例を示す図
【図11】ウインドシールドへの第3表示例を示す図
【図12】ウインドシールドへの第4表示例を示す図
【図13】3次元地図データ及び模擬情景画像の説明図
【図14】ウインドシールド表示装置の説明図
【符号の説明】
【0069】
1 ディスプレイコントローラ
10 ディスプレイコントローラの制御部(表示制御部,施設位置特定部,視認可否判定部,実情景画像特定部,情景画像照合部)
2 位置検出器(位置検出手段)
3 ハードディスク(地図データ記憶手段,施設情報記憶手段)
32d 地図データベース
33d 施設情報データベース
37 3次元地図データ
41 操作スイッチ
51 表示装置(表示手段)
52 スピーカコントローラ(通知手段)
53 マイクロホン(入力手段)
61 車外カメラ(車外撮像手段)
62 運転者カメラ(運転者撮像手段)
7 HMIコントローラ
70 HMIコントローラの制御部(検索条件調整部,対象施設検索部,音声認識部,視線方向検出部)
8 ウインドシールド表示装置(表示手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記地図データに含まれる施設に関する施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、
運転者の所望する施設条件が入力される入力手段と、
該施設条件を検索条件として、それに適合する施設を前記施設情報記憶手段から検索して対象施設とする対象施設検索部と、
前記対象施設の前記地図データ上での位置を特定する施設位置特定部と、
画像を表示する表示手段と、
前記施設条件を表す施設条件表示を前記対象施設の位置と対応付けて前記表示手段に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする車両用情報表示システム。
【請求項2】
前記入力手段は音声入力手段により構成され、該音声入力手段から入力された運転者の音声を認識する音声認識部を備える請求項1に記載の車両用情報表示システム。
【請求項3】
運転者に対して施設条件の特定または絞込みを促す通知を行うための通知手段と、前記入力手段及び前記通知手段により運転者との対話形式で検索条件を調整する検索条件調整部とを備える請求項1または2に記載の車両用情報表示システム。
【請求項4】
前記検索条件調整部は、前記対象施設検索部により検索された前記対象施設の数が所定範囲から外れている場合に、運転者に対して施設条件の再入力を促す通知を前記通知手段に行わせる請求項3に記載の車両用情報表示システム。
【請求項5】
前記通知手段は音声通知手段により構成される請求項3または4に記載の車両用情報表示システム。
【請求項6】
前記表示手段は、車両のウインドシールドに画像を表示するウインドシールド表示手段である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項7】
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、前記地図データに基づいて車両と前記対象施設との位置関係から該対象施設が運転者から視認されるか否かを判定する視認可否判定部とを備え、
前記表示制御部は、前記視認可否判定部により前記対象施設が運転者から視認されると判定された場合に、前記施設条件を表す施設条件表示を前記対象施設の位置と対応付けて前記表示手段に表示させる請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項8】
運転者を撮影する運転者撮像手段と、前記運転者撮像手段により得られる運転者の目の画像から運転者の視線方向を検出する視線方向検出部とを備え、
前記地図データは3次元地図データであり、
前記視認可否判定部は、車両の現在位置及び運転者の視線方向に基づいて運転者が見ていると想定される模擬情景画像を前記3次元地図データから算出し、当該模擬情景画像から前記対象施設が運転者から視認されるか否かを判定し、
前記表示手段は、車両のウインドシールドに画像を表示するウインドシールド表示手段であり、
前記表示制御部は、前記視認可否判定部により前記対象施設が運転者から視認されると判定された場合に、運転者から見て前記対象施設の近傍となる前記ウインドシールドの領域に前記施設条件表示を前記ウインドシールド表示手段に表示させる請求項7に記載の車両用情報表示システム。
【請求項9】
車外を撮影する車外撮像手段と、
前記視線方向検出部により得られる運転者の視線方向及び前記車外撮像手段により得られる画像から運転者が見ている実情景画像を特定する実情景画像特定部と、
前記模擬情景画像と前記実情景画像とを照合して該模擬情景画像の位置補正を行う情景画像照合部とを備え、
前記表示制御部は、該情景画像照合部により位置補正された前記模擬情景画像に基づいて表示制御を行う請求項8に記載の車両用情報表示システム。
【請求項10】
前記表示制御部は、運転者から見て空となる前記ウインドシールドの領域に前記施設条件表示を表示させる請求項8または9に記載の車両用情報表示システム。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記対象施設の手前に建物が存在する場合に、運転者から見て前記施設条件表示の一部が該手前の建物に隠れて見えるように該施設条件表示を表示させる請求項8ないし10のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記視認可否判定部により前記対象施設が運転者から視認されないと判定された場合に、前記対象施設の方向を表す方向表示を表示させる請求項7ないし11のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項13】
前記視認可否判定部は、車両の現在位置から前記対象施設までの距離を特定し、当該距離が所定範囲内にある場合に、該対象施設が運転者から視認されるか否かを判定する請求項7ないし12のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項14】
前記視認可否判定部は、車両の現在位置から前記対象施設までの距離を特定し、前記表示制御部は、当該距離が所定範囲内にある場合に、前記対象施設の駐車場の入口を表す駐車場表示を表示させる請求項7ないし13のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項15】
前記視認可否判定部は、車両の現在位置から前記対象施設までの距離を特定し、前記表示制御部は、表示される前記施設条件表示の大きさ,明るさ,色,透明度等を当該距離に応じて変化させる請求項7ないし14のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項16】
前記入力手段は運転者を撮影する運転者撮像手段により構成され、該運転者撮像手段により得られる運転者の画像から運転者が行う所定の動作を入力の合図として認識するジェスチャー認識部を備える請求項1ないし15のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項1】
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記地図データに含まれる施設に関する施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、
運転者の所望する施設条件が入力される入力手段と、
該施設条件を検索条件として、それに適合する施設を前記施設情報記憶手段から検索して対象施設とする対象施設検索部と、
前記対象施設の前記地図データ上での位置を特定する施設位置特定部と、
画像を表示する表示手段と、
前記施設条件を表す施設条件表示を前記対象施設の位置と対応付けて前記表示手段に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする車両用情報表示システム。
【請求項2】
前記入力手段は音声入力手段により構成され、該音声入力手段から入力された運転者の音声を認識する音声認識部を備える請求項1に記載の車両用情報表示システム。
【請求項3】
運転者に対して施設条件の特定または絞込みを促す通知を行うための通知手段と、前記入力手段及び前記通知手段により運転者との対話形式で検索条件を調整する検索条件調整部とを備える請求項1または2に記載の車両用情報表示システム。
【請求項4】
前記検索条件調整部は、前記対象施設検索部により検索された前記対象施設の数が所定範囲から外れている場合に、運転者に対して施設条件の再入力を促す通知を前記通知手段に行わせる請求項3に記載の車両用情報表示システム。
【請求項5】
前記通知手段は音声通知手段により構成される請求項3または4に記載の車両用情報表示システム。
【請求項6】
前記表示手段は、車両のウインドシールドに画像を表示するウインドシールド表示手段である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項7】
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、前記地図データに基づいて車両と前記対象施設との位置関係から該対象施設が運転者から視認されるか否かを判定する視認可否判定部とを備え、
前記表示制御部は、前記視認可否判定部により前記対象施設が運転者から視認されると判定された場合に、前記施設条件を表す施設条件表示を前記対象施設の位置と対応付けて前記表示手段に表示させる請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項8】
運転者を撮影する運転者撮像手段と、前記運転者撮像手段により得られる運転者の目の画像から運転者の視線方向を検出する視線方向検出部とを備え、
前記地図データは3次元地図データであり、
前記視認可否判定部は、車両の現在位置及び運転者の視線方向に基づいて運転者が見ていると想定される模擬情景画像を前記3次元地図データから算出し、当該模擬情景画像から前記対象施設が運転者から視認されるか否かを判定し、
前記表示手段は、車両のウインドシールドに画像を表示するウインドシールド表示手段であり、
前記表示制御部は、前記視認可否判定部により前記対象施設が運転者から視認されると判定された場合に、運転者から見て前記対象施設の近傍となる前記ウインドシールドの領域に前記施設条件表示を前記ウインドシールド表示手段に表示させる請求項7に記載の車両用情報表示システム。
【請求項9】
車外を撮影する車外撮像手段と、
前記視線方向検出部により得られる運転者の視線方向及び前記車外撮像手段により得られる画像から運転者が見ている実情景画像を特定する実情景画像特定部と、
前記模擬情景画像と前記実情景画像とを照合して該模擬情景画像の位置補正を行う情景画像照合部とを備え、
前記表示制御部は、該情景画像照合部により位置補正された前記模擬情景画像に基づいて表示制御を行う請求項8に記載の車両用情報表示システム。
【請求項10】
前記表示制御部は、運転者から見て空となる前記ウインドシールドの領域に前記施設条件表示を表示させる請求項8または9に記載の車両用情報表示システム。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記対象施設の手前に建物が存在する場合に、運転者から見て前記施設条件表示の一部が該手前の建物に隠れて見えるように該施設条件表示を表示させる請求項8ないし10のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記視認可否判定部により前記対象施設が運転者から視認されないと判定された場合に、前記対象施設の方向を表す方向表示を表示させる請求項7ないし11のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項13】
前記視認可否判定部は、車両の現在位置から前記対象施設までの距離を特定し、当該距離が所定範囲内にある場合に、該対象施設が運転者から視認されるか否かを判定する請求項7ないし12のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項14】
前記視認可否判定部は、車両の現在位置から前記対象施設までの距離を特定し、前記表示制御部は、当該距離が所定範囲内にある場合に、前記対象施設の駐車場の入口を表す駐車場表示を表示させる請求項7ないし13のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項15】
前記視認可否判定部は、車両の現在位置から前記対象施設までの距離を特定し、前記表示制御部は、表示される前記施設条件表示の大きさ,明るさ,色,透明度等を当該距離に応じて変化させる請求項7ないし14のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項16】
前記入力手段は運転者を撮影する運転者撮像手段により構成され、該運転者撮像手段により得られる運転者の画像から運転者が行う所定の動作を入力の合図として認識するジェスチャー認識部を備える請求項1ないし15のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図13】
【図2】
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【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図13】
【公開番号】特開2006−267249(P2006−267249A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82300(P2005−82300)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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