説明

車両用番組表作成装置

【課題】走行案内ルート上に放送波を受信できない受信不能地域が含まれていても空欄のない番組表を作成できる車両用番組表作成装置を提供する。
【解決手段】車両用番組表作成装置1は、放送波を選択して受信する放送受信部5と、放送受信部5が受信した放送波から番組表を作成する際、目的地までの走行案内ルート上の放送受信部5が放送波を受信できない受信不能地域を走行する時間帯について、放送受信部5が放送波を受信せずに楽曲または映像が再生される再生番組を組み込んだ組込番組表を作成する番組表作成部11とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行案内ルートに基づいて番組表を作成する車両用番組表作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において、EPG(Electronic Program Guide;電子番組ガイド)に基づいた番組表を運転者や同乗者に提供する技術が知られている。この種の技術に関して、例えば特許文献1には、車両の走行を案内するナビゲーション部を有し、そのナビゲーション部が算出したルート上の各地域の走行予定時間帯における番組放送予定を時系列に組み合わせることによって、各時間帯に車両が位置すると予測される地域の番組放送予定情報を運転者や同乗者に提供するようにした番組放送予定情報提供装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−279860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した番組放送予定情報提供装置によれば、目的地までの走行案内ルートに基づき各地域で受信可能な放送の番組表を運転者や同乗者に提供することができる。
【0005】
しかし、走行案内ルート上の地域の中に放送波を受信できない地域(受信不能地域)が含まれている場合がある。車両がそのような受信不能地域を走行しているときは放送波を受信できなくなるため、前述した番組放送予定情報提供装置では、提供しようとする番組表の一部の時間帯に空欄ができてしまうことがあった。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、走行案内ルート上に放送波を受信できない受信不能地域が含まれていても空欄のない番組表を作成できる車両用番組表作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、放送波を選択して受信する受信手段と、その受信手段が受信した放送波から番組表を作成する際、目的地までの走行案内ルート上の受信手段が放送波を受信できない受信不能地域を走行する時間帯について、受信手段が放送波を受信せずに楽曲または映像が再生される再生番組を組み込んだ組込番組表を作成する番組表作成手段とを有する車両用番組表作成装置を特徴とする。
【0008】
この車両用番組表作成装置では、走行案内ルート上に受信手段が放送波を受信できない受信不能地域がある場合、その受信不能地域を走行する時間帯については、受信手段が放送波を受信せずに楽曲または映像が再生される再生番組を組み込んだ組込番組表が作成される。
【0009】
また、ユーザの嗜好を示す嗜好データを記憶する嗜好データ記憶手段を更に有し、番組表作成手段は、嗜好データ記憶手段に記憶されている嗜好データにしたがい組込番組表を作成することが好ましい。
【0010】
この車両用番組表作成装置では、ユーザの嗜好にあった組込番組表を作成することができる。
【0011】
さらに、番組表作成手段が放送波から作成した番組表に番組が組み込まれていない空白時間帯があるか否かを判定する判定手段を更に有し、番組表作成手段は、判定手段によって空白時間帯があると判定されたときに、組込番組表を作成することができる。
【0012】
そして、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、その地図データ記憶手段に記憶されている地図データを用いて走行案内ルートを検索するルート検索手段とを更に有し、番組表作成手段は、ルート検索手段が検索した走行案内ルートに基づいて、組込番組表を作成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、走行案内ルート上に放送波を受信できない受信不能地域が含まれていても空欄のない番組表を作成できる車両用番組表作成装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用番組表作成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ルート案内からの再生処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図3】別のルート案内からの再生処理の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態に係る車両用番組表作成装置1の構成を示すブロック図である。車両用番組表作成装置1は、ECU2と、データ記憶部3と、表示装置4と、放送受信部5と、入力操作部6と、ディスクドライブ7とを有し、図示しない車両に搭載されている。
【0017】
ECU2は、CPU,ROM,RAM,入出力ポート等を備え、CPUがROMに記憶されている制御プログラムにしたがいRAMに対するデータの読み書きを行いながら作動して、番組表作成部11、再生処理部12、ルート検索部13としての機能を実現している。
【0018】
番組表作成部11は、後述する放送信号5dからEPG情報を抽出し、抽出したEPG情報を用いて入力操作部6からの操作データ6dにしたがって番組表を作成し、作成した番組表を表示装置4に表示させる。
【0019】
再生処理部12は、番組表作成部11によって作成された番組表にしたがう楽曲や映像の再生に必要な処理を実行する。ルート検索部13は、地図データ記憶部15に記憶されている地図データを用いて操作データ6dにしたがい目的地までの道順を示す走行案内ルートを探すルート検索を行い、検索した走行案内ルートを示すルートデータを後述するルートデータ記憶部14に記憶させる。
【0020】
データ記憶部3は、HDD(Hard Disk Drive)によって構成され、ルートデータ記憶部14と、地図データ記憶部15と、再生データ記憶部16と、嗜好データ記憶部17とが設けられている。
【0021】
ルートデータ記憶部14は、ルート検索部13によって検索された走行案内ルートを示すルートデータと、走行案内ルート上における車両の位置を示す現在地データとが記憶される。
【0022】
地図データ記憶部15は地図データを記憶している。この地図データはルート検索部13によるルート検索に用いられ、表示装置4に地図を表示するときに用いられる。
【0023】
再生データ記憶部16は、ラジオ放送の録音やテレビ放送の録画を行って得られ、楽曲や映像を再生するための再生データまたは後述する記録メディアDから読み取った楽曲や映像を再生するための再生データが記憶されている。嗜好データ記憶部17には、ユーザの嗜好を示す嗜好データが記憶される。
【0024】
表示装置4は、液晶表示パネルによって構成され、地図、走行案内ルート、番組表などが表示される。また、表示装置4には、ユーザに入力操作を促すメッセージや入力操作の内容を説明するためのメッセージが表示される。
【0025】
放送受信部5は、アンテナ5aが捉える放送波から所望の放送波を選択して受信し、受信した放送波から放送信号5dを抽出して出力する。例えば、放送受信部5は、AM、FMのラジオ放送やテレビ放送の放送波を選択して受信する。
【0026】
入力操作部6は、複数の操作ボタンを有し、複数の操作ボタンを用いた入力操作が行われたときに操作データ6dをECU2に入力する。ディスクドライブ7は、記録メディアD(例えば、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)等)から、記録されているデジタルデータを読み取り、楽曲や映像を再生するための再生データ7dを出力する。
【0027】
続いて、以上のような構成を有する車両用番組表作成装置1の動作内容について詳述する。
【0028】
車両用番組表作成装置1が搭載されている車両において、ユーザがルート案内からの再生を指定すると、車両用番組表作成装置1が図2に示すフローチャートに沿って作動する。ここで、ルート案内からの再生とは、ユーザがルート検索を指示した場合において、検索された走行案内ルート上の各地域(予定走行地域)で受信できる放送波から得たEPG情報を用いて番組表を作成し、その番組表にしたがって楽曲や映像を再生することを意味している。図2は、ルート案内からの再生処理の動作手順を示すフローチャートである。
【0029】
車両用番組表作成装置1は、ルート案内からの再生処理をスタートすると、S1において、まず、ECU2が表示装置4にキーワード入力を促すメッセージを表示させてユーザにキーワードを入力させる。ユーザは、入力操作部6を操作して所望のキーワードを入力する。すると、入力されたキーワードを示す操作データ6d(以下「キーワードデータ」という)がECU2に入力される。例えば、ユーザは聞きたい楽曲を特定するためのバンド名や歌手名を入力することができ、また、聞きたい楽曲のジャンルを特定するためのキーワード(演歌、ロックなど)を入力することもできる。キーワードデータ6dは、ユーザの嗜好を示す嗜好データとして嗜好データ記憶部17に記憶される。
【0030】
続くS2では、ECU2が、ルート検索部13が検索した走行案内ルートを示すルートデータをルートデータ記憶部14から取得する。次に、ECU2はS3に動作を進め、放送受信部5から得られる放送信号5dから、嗜好データ記憶部17に記憶されているキーワードデータ6dに対応したEPG情報を取得する。続くS4では、ECU2の番組表作成部11が作動し、S4で取得したEPG情報を用いて番組表を作成する。
【0031】
そして、ECU2はS5に進むと判定手段としての動作を行い、S4で作成した番組表に番組が組み込まれずに空いている時間帯(空白時間帯といい、空欄ともいう)があるか否かを判定し、空白時間帯があればS6に動作を進め、そうでなければS8に動作を進める。
【0032】
ECU2は、ルートデータから走行案内ルート上の地域を割り出すことができる。各地域は、放送受信部5が放送波を受信できる受信可能地域か、放送受信部5が放送波を受信できない受信不能地域に分けることができる。また、出発時刻が分かれば各地域を走行する予定の時間帯を求めることができる。求めた各時間帯の中で受信可能地域に対応している時間帯はEPG情報を用いた番組が組み込まれるが、受信不能地域に対応している時間帯はEPG情報を用いた番組を組み込むことができないため、空白時間帯になっている。
【0033】
S6に動作が進むとECU2の番組表作成部11が作動し、キーワードデータ6dに対応した再生データをデータ記憶部3またはディスクドライブ7から取得する。続くS7では、ECU2が番組表作成部11としての動作を行い、S6で取得した再生データを用いて再生される番組を再生番組として空白時間帯に組み込む。本実施の形態では、再生番組を組み込んだ番組表を組込番組表という。
【0034】
そして、S8に進むと、ECU2が再生処理部12としての動作を行い、作成された番組表にしたがい楽曲や映像を再生し、その後、ルート案内からの再生処理を終了する。
【0035】
従来技術では、走行予定地域に受信不能地域があると、番組表に空欄が生じていた。しかしながら、走行予定地域に受信不能地域があった場合、本実施の形態に係る車両用番組表作成装置1では、空欄に再生番組を組み込んだ組込番組表を作成するので、作成される番組表は空欄を生じないものとなっている。そのため、車両用番組表作成装置1では、作成された番組表に基づき、連続して楽曲や映像を再生することができる。したがって、ユーザは、番組のチェックや記録メディアDの切り替えを行うことなく連続して楽曲や映像を楽しむことができる。再生番組の組み込みは受信不能地域があるときだけに行われるので、放送波の受信によるリアルタイムの再生を再生データによる再生よりも優先することができる。
【0036】
また、番組表に組み込まれる再生番組がキーワードデータ6dに対応したものとなっているので、車両用番組表作成装置1は、再生番組を組み込むときもユーザの嗜好にあった番組表を作成することができる。
【0037】
そして、ルート案内からの再生処理は、S3に示すフローチャートにしたがって実行することもできる。
【0038】
図3に示すフローチャートは、図2に示すフローチャートと比較して、S10、S11、S12を有する点で相違している。
【0039】
そして、ECU2はS2に続いてS10に進み、放送信号にキーワードデータ6dに対応するデータがあるか否かを判定し、かかるデータがあるときはS3に動作を進めてS3からS8まで図2の場合と同様に動作を行うが、そうでなければS11に動作を進める。S11では、データ記憶部3またはディスクドライブ7からキーワードデータ6dに対応した再生データを取得し、続くS12では、取得した再生データを用いて再生処理部12が楽曲や映像を再生し、その後、ルート案内からの再生処理を終了する。
【0040】
このようにしても、図2の場合と同様、作成される番組表は空欄を生じないものとなっているため、連続して楽曲や映像を再生することができる。また、図3の場合、放送信号5dにキーワードデータ6dに対応したデータがなければ再生データを用いて楽曲や映像を再生するようになっている。そのため、走行予定地域上で放送波を受信できたとしても、放送信号5dがユーザの嗜好に合わないときは再生データを用いた再生が行われるため、ユーザの嗜好に合った楽曲や映像を再生できるようになっている。
【0041】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
1…車両用番組表作成装置、2…ECU、3…データ記憶部、4…表示装置、5…放送受信部、6…入力操作部、7…ディスクドライブ、11…番組表作成部、12…再生処理部、13…ルート検索部、14…ルートデータ記憶部、15…地図データ記憶部、16…再生データ記憶部、17…嗜好データ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波を選択して受信する受信手段と、
該受信手段が受信した前記放送波から番組表を作成する際、目的地までの走行案内ルート上の前記受信手段が前記放送波を受信できない受信不能地域を走行する時間帯について、前記受信手段が前記放送波を受信せずに楽曲または映像が再生される再生番組を組み込んだ組込番組表を作成する番組表作成手段と、
を備える車両用番組表作成装置。
【請求項2】
ユーザの嗜好を示す嗜好データを記憶する嗜好データ記憶手段を更に有し、
前記番組表作成手段は、前記嗜好データ記憶手段に記憶されている前記嗜好データにしたがい前記組込番組表を作成する、
請求項1に記載の車両用番組表作成装置。
【請求項3】
前記番組表作成手段が前記放送波から作成した前記番組表に番組が組み込まれていない空白時間帯があるか否かを判定する判定手段を更に有し、
前記番組表作成手段は、前記判定手段によって前記空白時間帯があると判定されたときに、前記組込番組表を作成する、
請求項1または2に記載の車両用番組表作成装置。
【請求項4】
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
該地図データ記憶手段に記憶されている前記地図データを用いて前記走行案内ルートを検索するルート検索手段とを更に有し、
前記番組表作成手段は、前記ルート検索手段が検索した前記走行案内ルートに基づいて、前記組込番組表を作成する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用番組表作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−161580(P2010−161580A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1866(P2009−1866)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】