説明

車両用経路案内装置

【課題】計算された所望の燃料消費量に対応して走行することができる車両用経路案内装置を提供する。
【解決手段】本発明による車両用経路案内装置1は、目的地に至る経路を探索する探索手段2aと、探索された経路を表示する表示手段2bとを備える車両用経路案内装置であって、探索された経路に基づいて車速パターンを計算する車速パターン計算手段2cと、車速パターンに基づいて経路の燃料消費量を計算する燃料消費量計算手段2eとを備えるとともに、表示手段2bが燃料消費量と車速パターンを表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装備される車両用経路案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの利便性を高める目的で、多くの車両に、自車両の位置と目的地、それらの最短時間あるいは最短距離の経路をあらかじめデータベースに格納された探索用地図情報を用いて探索して、自車両の位置と目的地および探索された経路を表示用地図情報とともにユーザに提示する車両用経路案内装置が装備されている。
【0003】
この車両用経路案内装置において、特許文献1に記載されているように、目的地を設定した場合に、探索された経路上の道路の種別や渋滞度等を考慮して目的地までの燃料消費量を計算して、この計算された燃料消費量をユーザに提示することが提案されている。
【特許文献1】特開2006−58085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような車両用経路案内装置では、探索された経路を走行した場合の燃料消費量が計算されてユーザに提示されるものの、実際にユーザがどのような車速パターン(加速度、減速度、定常速度)を選択して走行すればよいかが不明であり、計算された燃料消費量と、実際に走行した後の燃料消費量が合致しなくなり、所望した燃料消費量で走行できなくなるおそれがあるという問題が生じる。また、この燃料消費量は従来の運転状況から計算したものであるため、燃料消費量の計算精度が低くこれも所望の燃料消費量で走行できないという問題も生じる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、計算された所望の燃料消費量に対応して走行することができる車両用経路案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決するため、本発明による車両用経路案内装置は、
目的地に至る経路を探索する探索手段と、探索された経路を表示する第一の表示手段とを備える車両用経路案内装置であって、
前記探索された経路に基づいて車速パターンを計算する車速パターン計算手段と、当該車速パターンに基づいて当該経路の燃料消費量を計算する燃料消費量計算手段とを備えるとともに、前記燃料消費量と前記車速パターンを表示する第二の表示手段を備えることを特徴とする。
【0007】
なお、車速パターンとは、横軸を時間又は距離、縦軸を車速とした車両の走行速度のパターンを示すものとする。
【0008】
ここで、前記探索された経路を分割する経路分割手段を備えるとともに、前記車速パターン計算手段が前記分割された経路毎の車速パターンを計算し、前記燃料消費量計算手段が前記分割された経路毎に燃料消費量を計算することが好ましい。
【0009】
これにより、燃料消費量の計算精度を高めることができるとともに、実際の経路の走行環境に適応させた車速パターンを計算してユーザに表示することができる。
【0010】
加えて、前記経路分割手段が、前記探索された経路を前記経路上の車両が停止すると予測される地点毎に分割することが好ましい。
【0011】
これによれば、より適切に経路を分割して、燃料消費量の計算精度を高めることができる。なお、車両が停止することを判断要素とすることに換えて、車速が所定の閾値以下(例えば5km/h)となる地点毎に経路を分割しても良い。
【0012】
あるいは、上記の問題を解決するため、本発明による車両用経路案内装置は、
目的地に至る経路を探索する探索手段と、探索された経路を表示する第一の表示手段とを備える車両用経路案内装置であって、
前記探索された経路に基づいて車速パターンを計算する車速パターン計算手段と、前記探索された経路を前記経路上の車両が停止すると予測される地点毎に分割する経路分割手段と、前記分割された経路毎に燃料消費量を計算する燃料消費量計算手段を備えるとともに、前記燃料消費量を表示する第二の表示手段を備えることを特徴とすることもできる。
【0013】
これによっても燃料消費量の計算精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、計算された所望の燃料消費量に対応して走行することができる車両用経路案内装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明に係る車両用経路案内装置であるカーナビゲーション装置の一実施形態を示すブロック図である。
【0017】
カーナビゲーション装置1は、カーナビゲーションECU2と、GPSアンテナ3、IMU4、アンチロックブレーキシステム(ABS)5、ステアリングセンサ6、受信機7、データベース8、ディスプレイ9、スピーカ10、タッチパネル11、エンジンECU12とから構成される。
【0018】
カーナビゲーションECU2(Electronic Control Unit)は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる処理を行うものである。カーナビゲーションECU2は、探索手段2a、表示手段2b、車速パターン計算手段2c、経路分割手段2d、燃料消費量計算手段2eを具備して構成される。
【0019】
カーナビゲーションECU2にはGPSアンテナ3と、IMU(イナーシャメジャメントユニット)4と、ステアリングセンサ6と、ディスプレイ9と、スピーカ10と、タッチパネル11と、受信機7と、データベース8とが接続され、さらに、ABS(アンチロックブレーキシステム)5およびエンジンECU12がCANあるいはFrexRay等の通信規格により接続される。
【0020】
GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)アンテナ3は、地球上空に打ち上げられた複数の軍事衛星の内三個の軍事衛星からの電波を受信し、これらの電波をもとに、探索手段2aは、三角測量の原理で自車の位置つまりは経度と緯度を測定する。なお、経度と緯度に加え高度も測定する場合には四個の軍事衛星を用いる。
【0021】
ここで、IMU4は車両のヨーレートを検出するものであり、ステアリングセンサ6はここでは図示しない車両の操舵装置に設けられて操舵角を検出するものである。タッチパネル11はユーザが目的地や目標時間等の探索条件と、後述する燃料消費量の計算に用いる車両特性等を入力する入力装置であり、データベース8はCD−ROMやDVD−ROMあるいはハードディスク等の記憶媒体により構成され、表示用の地図情報と、探索用の地図情報を格納し記憶している。
【0022】
ディスプレイ9はタッチパネル11により入力された目的地をもとに探索手段2aが探索した経路を表示用の地図情報とともに表示手段2bの指令の下に表示するものである。また、ABS5は制動時の車輪のロックを防止する装置であり、その制御に用いるための車速を図示しない車輪速センサから取得している。
【0023】
さらに、受信機7は光あるいは電波ビーコンに準拠したものであり、VICS(Vehicle Information & Communication System:道路交通情報システム)からの道路情報を受信する。VICSは、警察が収集した一般路の情報と道路公団が収集した高速道路の情報がVICSセンターに送られて、そこで編集された情報がFM多重放送、電波ビーコンあるいは光ビーコンにより発信されるものである。
【0024】
VICSの発信する情報は渋滞情報(渋滞区間とその距離)が主であるが、自車の位置から目的地までの所要時間、道路工事による交通規制、速度規制、チェーン規制、駐車場情報、地震・津波などの緊急情報も含む。送信の方式としては、FM多重放送(NHKのFMを利用した広域通信方法)、電波ビーコン(主に高速道路に設置された通信方法)、光ビーコン(赤外線を利用した通信方法で主要一般道路に設置)という三つがあり、情報送信方法それぞれに異なる受信機が必要となるが、光あるいは電波ビーコンに準拠した受信機がないと、DRG(Dynamic Route Guidance)という渋滞区間回避経路の探索はできないため、受信機7は前述したように光あるいは電波ビーコンに準拠したものとすることが好ましい。なお、VICSの発信する情報は、文字表示、簡易図形表示、地図表示の三方法により表示される。
【0025】
上述したGPSアンテナ3を用いた自車の位置の測定は、軍事衛星からの電波を利用する特性上、高層ビルの谷間に自車が位置する場合やトンネル内を自車が走行している場合、あるいは、高架橋の下を自車が走行している場合などでは電波をGPSアンテナ3が受信できないため、自車の位置が測定できないという問題が生じる。
【0026】
このため、GPSアンテナ3が電波を受信できない場合には、探索手段2aは、ABS5が検出した車速とIMU4が検出したヨーレート、ステアリングセンサ6が検出した操舵角をもとにして、自車の移動距離と方向を計算して自車の位置を測定し、GPSアンテナ3を用いた自車の位置の測定と併せて、トータルの自車位置の測定の精度を高めている。なお、車速はABS5から取得することに限られず、例えばVSC(Vehicle Dynamic Control)やECB(電子制御ブレーキ)などを搭載した車両であればそれらの装置から取得することも可能である。
【0027】
そして、表示手段2bは、データベース8内の表示用の地図情報(信号、一旦停止)と、上述した方法により測定した自車の位置と、タッチパネル11により入力された目的地と、受信機7により受信した道路工事による交通規制や渋滞区間等の情報と、探索手段2aが探索した経路を併せて地図上の自車の位置を特定しディスプレイ9に表示する。
【0028】
さらに、車速パターン計算手段2cは、探索手段2aが探索した経路において燃料消費量が最小となる車速パターンを計算し、経路分割手段2dは車両が停止すると予測される地点(信号、一旦停止、道路工事による交通規制等)毎に探索手段2aが探索した経路を分割し、燃料消費量計算2eは、分割された経路ごとの車速パターンに基づいて、現在の自車の位置から目的地までの燃料消費量を前述した車両特性により定まる、後述するマップによって計算する。また、燃料消費量計算2eは、エンジンECU12から取得したアクセル開度により瞬時燃費を計算する。
【0029】
これに伴い、表示手段2bは、燃料消費量計算2eが計算した燃料消費量を、ディスプレイ9によりユーザに表示するとともに、分割された経路毎の車速パターンをユーザに表示する。さらに、表示手段2bは、探索手段2aにより探索した経路上の自車位置における車速パターンの目標となる車速と、ABS5により取得した現在の車速を、図2に示すようにディスプレイ9の右下に表示する。また、表示手段2bはディスプレイ9により目的地までの到達可能時間を表示しても良い。
【0030】
以上述べた本発明によるカーナビゲーション装置の制御内容を、図を用いて説明する。
図2は本発明によるカーナビゲーション装置の探索された経路を分割する手法を示すディスプレイの表示画面の一例となる模式図である。また、図3は分割された経路毎の車速パターンを示す。
【0031】
図2中、startは自車位置を示し、endはタッチパネル11により入力された目的地を示す。自車位置startから目的地endに至る経路上に、順番に、信号A、一旦停止B、信号C、信号Dが存在している場合に、ここでは青信号で通過できる信号はないと見なして、経路分割手段2dは、車両が停止すると予測される地点を信号A、一旦停止B、信号C、信号Dとし、経路をこの地点A、B、C、Dに基づいて、(a)(b)(c)(d)(e)に分割する。
【0032】
この分割された経路毎に、車速パターン計算手段2cは図3に示すような、二種類の加速度、一種類の定常速度、二種類の減速度を組み合わせた車速パターンを選択する。この場合にそれぞれの分割された経路毎の車速パターンの面積、つまりは距離の合計は自車位置から目的地までの経路の長さに一致させる。
【0033】
なお燃料消費量が最も小さくなる車速パターンは、前述した車両特性により定まるマップを用いて以下のようにして求められる。図4は定常速度と燃料消費量との相関関係を表したマップであり、図5は加速度と燃料消費量との相関関係を表したマップである。
【0034】
例えば前述した分割された経路(a)の距離が800m、目標時間が100sであった場合に、図4に示したマップより燃料消費量が最小となる定常速度が32km/hであることから、車速パターン計算手段2cはまず定常速度を32km/hと決定する。経路(a)の距離が800mで、目標時間が100sであることから、図3に示した車速パターンの面積が800mとなり、横軸との車速パターンの交点が100sとなるように、車速パターン計算手段2cは加速度及び減速度を決定して、ここでは、車速ゼロからの加速度を1.03m/s、加速から定常速度までの過渡状態の加速度を0.72m/s、定常速度から減速までの過渡状態の減速度を0.13m/s、減速度を0.5m/sと計算する。
【0035】
なお、ここでは、定常速度を計算してから、加速度および減速度を計算したが、図5に示したようなマップにより加速度を計算してから、定常速度及び減速度を計算しても良い。
さらに、ここでは図示しないが、減速度と燃料消費量とのマップにより減速度を計算してから、加速度および定常速度を計算しても良い。なお図5中左側に示すパラメータは加速度(0.2〜2.5)である。また、ここでは、マップにより求められた燃料消費量が最小となる定常速度が32km/hであったが、例えばマップにより求められた燃料消費量が最小となる定常速度が、経路上の制限速度を上回る場合には、制限速度を遵守するために、制限速度を定常速度とすることが好ましい。
【0036】
つまり、カーナビゲーションECU2の車速パターン計算手段2cが保持するマップは、定常速度と燃料消費量の相関関係を示すマップ、加速度と燃料消費量の相関関係を示すマップ、減速度と燃料消費量の相関関係を示すマップ、加速から定常速度までの過渡状態の加速度と燃料消費量との相関関係を示すマップ、定常速度から減速までの過渡状態の減速度と燃料消費量との相関関係を示すマップにより構成される多次元マップとなる。
【0037】
このようにマップを用いて、入力された目標時間と探索された経路の距離の条件下で、燃料消費量が最小となる車速パターンを計算することにより、加速度および減速度を車両特性として実現可能な範囲の値とすることができ、マップ自体の容量を不必要に大きくすることを回避できるため、カーナビゲーションECU2のROMおよびRAMの容量を大きくする必要も廃することができ、カーナビゲーションECU2の計算能力および構成を簡略化することができる。
【0038】
さらに、分割された経路上に、データベース8の地図情報により求められる勾配が含まれる場合には、図6に示すような、勾配(−1〜+3deg)をパラメータとした定常速度と燃料消費量との相関関係を示すマップを用いて、燃料消費量が最小となる定常速度の補正を行う。
【0039】
また、分割された経路上に、データベース8の地図情報により求められる曲線路が含まれる場合には、図7に示すような、旋回半径r、車速、路面μにより定まるコーナリングフォースにより予め求められる補正係数CMAP(r、vel)を用いて、直線路の燃料消費量FC_S=f(distance、vel)に対して曲線路の燃料消費量FC_R=f(distance、vel)×CMAP(r、vel)の補正を行う。
【0040】
以上述べた本発明によるカーナビゲーション装置の制御内容を、フローチャートを用いて説明する。図8は本発明によるカーナビゲーション装置の制御内容を示すフローチャートである。
【0041】
S1において、タッチパネル11によりユーザが目的地および目標時間を入力すると、S2において探索手段2aは自車位置と目的地とから経路を探索し、経路分割手段2dはこの経路とデータベース8の探索用の地図情報およびVICSにより得た道路情報により、信号、一旦停止、工事規制等の情報を取得して、車両が停止すると予測される地点毎に経路を分割する。S3において車速パターン計算手段2cは分割した経路のいずれか一つを選択して燃料消費量が最小となる車速パターンを前述した手法により計算し、燃料消費量計算手段2eはこの車速パターンに基づいて燃料消費量を計算する。
【0042】
S5において、この車速パターンをもとに、表示手段2bがディスプレイ9によりユーザに目標となる車速とABS5により取得した現在の車速とを合わせて表示する。もちろん速度に加えて加速度およびアクセル開度により求められる瞬時燃費を表示しても良い。S6において、車速パターン計算手段2cは経路上の運行状況等の変化による外乱により、S4において求めた車速パターンを逸脱して目標時間内に経路を走行することが不可能になったことを判定すると、S4に戻って、再度燃料消費量が最小となる車速パターンを計算する。
【0043】
S6において外乱がないと判定された場合には、S7にすすんで、車速パターン計算手段2cは分割された経路の全てにおいて、S4からS5の処理による車速パターンの計算が行われたかどうかを判定し、分割された経路の全てにおいてS4からS5の処理による車速パターンの計算が行われたと判定された場合には、処理を終了し、判定されない場合にはS3に戻って、S3からS7までの処理を再度行う。
【0044】
このように、探索された経路を車両が停止すると予測される地点毎に分割し、分割された経路毎に燃料消費量が最小となる車速パターンを計算し、燃料消費量を計算することにより、燃料消費量に対応しかつ実際に走行する経路に応じたきめ細かい車速パターンをユーザに提示することができる。これにより、計算された燃料消費量に対応する車速パターンをユーザが選択せずに、想定される車速パターンから逸脱して、計算された燃料消費量と、実際の燃料消費量が合致しなくなることを防止することができる。
【0045】
さらに、分割された経路毎に燃料消費量を計算することにより、燃料消費量の計算の精度を高めることができる。これによっても、計算された所望する燃料消費量に応じてユーザが車両を走行させることができる。
【0046】
また、本実施例1においては、特許請求の範囲に記載の第一の表示手段と第二の表示手段をまとめて一の表示手段2bとしたが、これを別々の表示手段として備えても良い。以下にその構成を示す。
【実施例2】
【0047】
図9は、本発明に係る車両用経路案内装置であるカーナビゲーション装置の一実施形態を示すブロック図である。なお表示手段以外の構成は図1に示したものと同様であるため、同一の符号を付して個々の説明は省略する。
【0048】
カーナビゲーション装置21は、カーナビゲーションECU2と、GPSアンテナ3、IMU4、アンチロックブレーキシステム(ABS)5、ステアリングセンサ6、受信機7、データベース8、ディスプレイ9、スピーカ10、タッチパネル11、エンジンECU12とから構成される。
【0049】
カーナビゲーションECU2(Electronic Control Unit)は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる処理を行うものである。カーナビゲーションECU2は、探索手段2a、第一の表示手段2b、車速パターン計算手段2c、経路分割手段2d、燃料消費量計算手段2e、第二の表示手段2fを具備して構成される。
【0050】
ディスプレイ9はタッチパネル11により入力された目的地をもとに探索手段2aが探索した経路を表示用の地図情報とともに第一の表示手段2bおよび第二の表示手段2fの指令の下に表示するものである。また、ABS5は制動時の車輪のロックを防止する装置であり、その制御に用いるための車速を図示しない車輪速センサから取得している。
【0051】
そして、第一の表示手段2bは、データベース8内の表示用の地図情報(信号、一旦停止)と、上述した方法により測定した自車の位置と、タッチパネル11により入力された目的地と、受信機7により受信した道路工事による交通規制や渋滞区間等の情報と、探索手段2aが探索した経路を併せて地図上の自車の位置を特定しディスプレイ9に表示する。
【0052】
さらに、第二の表示手段2fは、燃料消費量計算2eが計算した燃料消費量を、ディスプレイ9によりユーザに表示するとともに、分割された経路毎の車速パターンをユーザに表示する。さらに、第二の表示手段2fは、探索手段2aにより探索した経路上の自車位置における車速パターンの目標となる車速と、ABS5により取得した現在の車速を、図2に示すようにディスプレイ9の右下に表示する。なお、制御内容およびフローチャートについては実施例1に示したものと同様であるため説明および図示は省略する。あるいは、第二の表示手段2fは専用の図示しないディスプレイにより燃料消費量および車速パターンを表示しても良い。
【0053】
このような実施例2によっても、探索された経路を車両が停止すると予測される地点毎に分割し、分割された経路毎に燃料消費量が最小となる車速パターンを計算し、燃料消費量を計算することにより、燃料消費量に対応しかつ実際に走行する経路に応じたきめ細かい車速パターンをユーザに提示することができる。これにより、計算された燃料消費量に対応する車速パターンをユーザが選択せずに、想定される車速パターンから逸脱して、計算された燃料消費量と、実際の燃料消費量が合致しなくなることを防止することができる。
【0054】
さらに、分割された経路毎に燃料消費量を計算することにより、燃料消費量の計算の精度を高めることができる。これによっても、計算された所望する燃料消費量に応じてユーザが車両を走行させることができる。
【0055】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0056】
例えば、本実施例においては、車速パターンを、二種類の加速度、一種類の定常速度、二種類の減速度を組み合わせたものとしたが、車速パターンは経路の状況に応じて適宜変更することが可能である。つまり、加速度を複数種類とし、減速度を複数種類とすることもできる。
【0057】
さらに、図2中において、信号A、C、Dを車両が停止すると予測される地点としたが、VICS情報等により、これらの信号のうち例えば信号Cが青信号で通過できることが事前に自明である場合には、車両が停止すると予測される地点から信号Cを除外することもできる。
【0058】
また、車速パターンをユーザに表示する手法として、本実施例においては、現在の車速と車速パターンの目標となる車速とをディスプレイ11上に並べて表示したが、車速パターンを示すグラフをそのまま表示することも可能である。この場合には横軸を時間としても距離としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、探索された経路の燃料消費量を計算して表示することができる車両用経路案内装置に関するものであり、より正確な燃料消費量をユーザに表示し、その燃料消費量を実現するためにどのような車速パターンで運転すればよいかをユーザに表示して、計算された燃料消費量に沿った運転をユーザが実行することができる。これにより、燃料消費量を計算してユーザに表示する効果を高め、省エネルギーを促進することができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係るカーナビゲーション装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るカーナビゲーション装置の経路およびディスプレイの表示内容を示す模式図である。
【図3】本発明に係るカーナビゲーション装置の分割された経路ごとの車速パターンの一例を示す模式図である。
【図4】本発明に係るカーナビゲーション装置の備える定常速度と燃料消費量との相関関係を示すマップの一例を示す模式図である。
【図5】本発明に係るカーナビゲーション装置の備える加速度と燃料消費量との相関関係を示すマップの一例を示す模式図である。
【図6】本発明に係るカーナビゲーション装置の勾配と燃料消費量との相関関係を示すマップの一例を示す模式図である。
【図7】本発明に係るカーナビゲーション装置の曲線路と燃料消費量との相関関係を示すマップの一例を示す模式図である。
【図8】本発明に係わるカーナビゲーション装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係るカーナビゲーション装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1 カーナビゲーション装置
2 カーナビゲーションECU
3 GPSアンテナ
4 IMU
5 ABS
6 ステアリングセンサ
7 受信機
8 データベース
9 ディスプレイ
10 スピーカ
11 タッチパネル
12 エンジンECU
21 カーナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地に至る経路を探索する探索手段と、探索された経路を表示する第一の表示手段とを備える車両用経路案内装置であって、
前記探索された経路に基づいて車速パターンを計算する車速パターン計算手段と、当該車速パターンに基づいて当該経路の燃料消費量を計算する燃料消費量計算手段とを備えるとともに、前記燃料消費量と前記車速パターンを表示する第二の表示手段を備えることを特徴とする車両用経路案内装置。
【請求項2】
前記探索された経路を分割する経路分割手段を備えるとともに、前記車速パターン計算手段が前記分割された経路毎の車速パターンを計算し、前記燃料消費量計算手段が前記分割された経路毎に燃料消費量を計算することを特徴とする請求項1に記載の車両用経路案内装置。
【請求項3】
前記経路分割手段が、前記探索された経路を前記経路上の車両が停止すると予測される地点毎に分割することを特徴とする請求項2に記載の車両用経路案内装置。
【請求項4】
目的地に至る経路を探索する探索手段と、探索された経路を表示する第一の表示手段とを備える車両用経路案内装置であって、
前記探索された経路に基づいて車速パターンを計算する車速パターン計算手段と、前記探索された経路を前記経路上の車両が停止すると予測される地点毎に分割する経路分割手段と、前記分割された経路毎に燃料消費量を計算する燃料消費量計算手段を備えるとともに、前記燃料消費量を表示する第二の表示手段を備えることを特徴とする車両用経路案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−32542(P2008−32542A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206466(P2006−206466)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】