説明

車両用蛍光灯装置

【課題】 本発明は、操作スイッチへの配線からノイズを発生することなく、調光の種類に関係無く蛍光灯装置の基板を共通化することができる車両用蛍光灯装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 スイッチング回路12を動作する周波数を55kHzと90kHzとを設けて、調光する際には、その複数の周波数を利用して蛍光灯3の光度を調整し、その内の一つの周波数を選択して固定して使用することをすることができるようにすることで、1つの回路基板で、段階調光機能と連続調光機能と調光機能を持たない車両用蛍光灯装置1とに使い分けることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス等の車両における蛍光灯の光度を調光する調光機能を含んだインバータ回路を備えた車両用蛍光灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両におけるバス等の室内で夜間や暗いときなど室内用の照明として蛍光灯が使用されている。そして、夜間に運転する場合、その蛍光灯の明かりが明るいと運転がしづらくなるため運転席付近だけでも照明を暗くしたいという要望があり、蛍光灯の明るさを運転手の手元から操作して調整する方法が様々に考えられてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、放電電流供給回路の一側に2個の半導体素子を逆並列に接続して双方向に電流が流れるようにしたスイッチング回路を介在させ、そのスイッチング回路を別に設けたパルス発振器で制御することによって、蛍光灯への供給電力を制御して蛍光灯の光度を調節するようにし、発振器におけるパルス幅の調節機能にスイッチ付の可変抵抗器を使用して蛍光灯の調光と点滅とを一軸で操作する装置が開示されている。
また、特許文献1の中には従来例として電流供給回路に挿入されたコンデンサ或いはチョークコイルの切替えによって蛍光灯の光量を調節する装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】実公昭63−22637号公報(図1及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらバスの1台の中でも、調光が必要な蛍光灯や調光の必要のない蛍光灯が混在している。また、バス会社やバスの仕様によっても異なるため、段階調光と連続調光と調光の必要のない蛍光灯装置があり、取付間違いや仕様変更等の対応や作業が繁雑となるという問題と共に、製品コストが高くなるという問題があった。
また、これら調光装置においては、運転手が操作するために運転席近くで調光したい蛍光灯から調光用の操作スイッチを引き回す必要がある。
【0006】
そして、図6に段階調光機能を備えた車両用蛍光灯装置101が示されており、その段階調光操作スイッチ185は、蛍光灯103の2次側の配線から延長され運転席近傍に配置されるため、その配線181は、高電圧・高周波の電力を伴うので、高電圧・高周波によるノイズを放出し、その配線181の近傍に設置される機器に影響を与えるおそれがあった。
そのため、車体配線にシールド線を使用したり、他の配線と束ねないようにするというノイズ対策を行う必要があり、ノイズ対策を考慮するとそれらを制御する3種類の基板を準備しておく必要があった。
【0007】
そこで、本発明は、調光の種類に関係無く蛍光灯装置の基板を共通化することができ、操作スイッチへの配線からノイズを発生することない車両用蛍光灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の車両用蛍光灯装置は、半導体素子を有したスイッチング回路(12)を有したインバータ回路(10)で車両の直流電力を高周波交流電力に変換させた電力を蛍光灯(3)の両端に印可して当該蛍光灯(3)を点灯させると共に、前記スイッチング回路(12)を動作する周波数を変化させることでその供給される電力を変化させ前記蛍光灯(3)の光度を調整する車両用蛍光灯装置(1)であって、前記インバータ回路(10)は、所定の異なる周波数を複数有したインバータ制御回路(20)と、直流電圧からなる入力信号を外部から入力する入力回路(30)と、前記周波数のうち何れの前記周波数で前記スイッチング回路(12)の動作を行うかを選択する周波数選択手段(22)と、前記入力信号に基づいて前記蛍光灯の光度を調整する調光制御を行うか否かを切替える調光切替手段(40・32・31)と、を備えたこと特徴とする。
【0009】
以上の構成により1つの回路基板で、段階調光機能と連続調光機能と調光機能を持たない車両用蛍光灯装置とに使い分けることが可能である。また、直流電圧からなる入力信号を外部から入力して調光を行うことができるので、高電圧・高周波の信号を利用しなくとも簡単に明るさ調整をすることができるようになり、ノイズを発生させる心配が無く、車体配線にシールド線を使用したり、他の配線と一緒に束ねることができるようになった。
【0010】
請求項2記載の車両用蛍光灯装置は、前記調光切替手段(40・32・31)は調光を行わないときには前記周波数選択手段の動作を固定して前記周波数のうち何れか一つの前記周波数(55kHz)に常に固定する周波数固定手段(60・41・42・32・31)を備えたことを特徴とする。 以上の構成により、調光切替手段は、調光の切替回路機能だけではなく、一つの周波数に固定する機能をも兼ねる事ができるので、基板を共通化することが更にし易くなると共に電子部品の部品点数を減らすことができる。
【0011】
請求項3記載の車両用蛍光灯装置は、前記周波数固定手段(60・41・42・32・31)は、短絡した配線(64)を有した接続端子(60)を備えたことを特徴とする。
以上の構成により、調光機能を使用するか、調光機能を使用せず固定して蛍光灯を点灯するかを選択できるので、車両用蛍光灯装置全体を交換をする必要が無く、後からでも簡単に変更が可能となる。また、接続端子60が接続されているか否かを目視で確認できるため、簡単に装置又は基板の識別を行うことができる。
【0012】
請求項4記載の車両用蛍光灯装置は、前記インバータ制御回路(20)は、少なくとも1つの前記周波数の数値を変更することが可能な数値変更手段(R4)を備えたことを特徴とする。
以上の構成により、バッテリーが弱くなった場合や明るさを変更したい場合など、周波数の設定変更ができ蛍光灯の光度調整を行うことができる。
【0013】
請求項5記載の車両用蛍光灯装置は、前記インバータ制御回路(20)は、少なくとも第1の周波数(90kHz)と、当該第1の周波数よりも明るく前記蛍光灯を点灯させる第2の周波数(55kHz)と、を備え、前記周波数選択手段(22)は、パルス信号を有した前記入力信号に基づき、前記第1の周波数(90kHz)と前記第2の周波数(55kHz)とを交互に切替え、その切替え時間を変化させて前記蛍光灯(3)の光度を連続的に調整するようにしたことを特徴とする。
【0014】
以上の構成により、直流電圧のパルス信号に基づき蛍光灯の明るさを無段階に明るさを調整することを可能としたので、高電圧・高周波の信号を利用しなくとも簡単に明るさ調整をすることができるようになり、ノイズを発生させる心配が無く、車体配線にシールド線を使用したり、他の配線と束ねないようにする必要が無くなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図4に基づいて説明する。
図1には、車両用配線端子80と接続しインバータ回路10を内蔵した車両用蛍光灯装置1の概要図が示され、図2には、段階調光操作スイッチ85と接続しインバータ回路10を内蔵した車両用蛍光灯装置1の概要図が示され、図3には、連続調光操作スイッチ86と接続しインバータ回路10を内蔵した車両用蛍光灯装置1の概要図が示され、図4には、車両用蛍光灯装置1のインバータ回路10の構成を示す回路図が示されている。
【0016】
先ず、車両用蛍光灯装置1が蛍光灯の調光機能を有しない車両用蛍光灯装置1となる場合について説明すると、図1に示されているように、車両の室内を明るく照らす蛍光灯3が設けられ、図示しないボックス状の筐体に蛍光灯3と接続されたインバータ回路10が納められ、筐体は車両の天井に設置されている。その筐体には図示しない蛍光灯3の明かりを透過させる図示しないカバーが設けられている。
インバータ回路10は、脱着が可能なコネクタ端子60を備えている。そのコネクタ端子60には短絡コネクタ61、62が設けらており、短絡コネクタ61、62の端子同士が短絡配線64により電気的に接続されている。後述するように、このコネクタ端子60をインバータ回路10に接続することで調光機能を有しない車両用蛍光灯装置1となる。
【0017】
また、車両のバッテリー電源(DC24V)と接続することができるように、車両接続端子80と、インバータ回路10と接続された外部接続端子70とが接続されている。車両用接続端子80と外部接続端子70とには、車両のバッテリー電源(DC24V)の正と接続される電源線81,71と、車両のバッテリー電源(DC24V)の負と接続されるマイナス線83,73と、車両のバッテリー電源(DC24V)の正と接続され、小さな予備球を点灯させる電源となる予備球電源線84,74とが設けられている。
【0018】
次に、車両用蛍光灯装置1が段階的に蛍光灯の調光を行う機能を有した車両用蛍光灯装置1について説明する。また、図1に示されている符号と同じ符号の箇所は同じ機能を有しているので説明を省略する。
【0019】
そして、図2に示すように、インバータ回路10には、図1に示されるコネクタ端子60が取り外され、調光機能を有する車両用蛍光灯装置1となる。図1と異なるのは、段階的に蛍光灯3を調光するための段階調光操作スイッチ85が、車両用接続端子80に接続されている点であり、この段階調光操作スイッチ85は、運転手が操作しやすいように運転席の近傍に装着されている。そして、この段階調光操作スイッチ85は、一端を電源線81と他端を調光線82とに接続され、段階調光操作スイッチ85が操作されることにより、調光線82,72にDC24Vが流れ、DC24VのONとOFFの信号を出力することができる。この段階調光操作スイッチ85は、明と暗の2段階の操作スイッチとなっている。
【0020】
また、車両用蛍光灯装置1が連続的に蛍光灯の調光を行う機能を有した車両用蛍光灯装置1について説明する。また、図1及び図2に示されている符号と同じ符号の箇所は同じ機能を有しているので説明を省略する。
そして、図3に示すように、インバータ回路10には、図1に示されるコネクタ端子60が取り外され、調光機能を有する車両用蛍光灯装置1となる。図1及び図2と異なるのは、連続的に蛍光灯3を調光するための連続調光操作スイッチ86が、車両用接続端子80に接続されている点にあり、この連続調光操作スイッチ86は、第1の端子を電源線81と、第2の端子を調光線82と、第3の端子をマイナス線83,73とに接続されている。また、連続調光操作スイッチ86は、運転手が操作しやすいように運転席の近傍に装着され、無段階に明るさを調整することができるようにロータリ式やスライド式のボリュームスイッチ87とONとOFFで構成されるパルスを発生することができるパルス発生回路88とが設けられ、DC24VのONとOFFのパルス信号を出力することができる。
【0021】
次に、図4に基づいて、インバータ回路10の構成を説明する。インバータ回路10は、蛍光灯3と接続され車両の直流電力を高周波交流電力に変換させた電力を蛍光灯3の両端に印可するトランス11と、電源端子24から得られた直流電力を高周波交流電力に変換するためのスイッチング回路12と、蛍光灯3の両端に接続され蛍光灯3の無負荷状態を検知する無負荷検知回路13と、スイッチング回路12を制御するためのインバータ制御回路20とから構成されている。
【0022】
スイッチング回路12は、半導体素子をから構成されるFETを一組設け、交互にスイッチング動作を行うことでトランス11で昇圧させた高周波交流電力を蛍光灯3の両端に印可させることができる。スイッチング回路12の一組のFETは、インバータ制御用IC21と接続され、このインバータ制御用IC21が、一組のFETのゲートをONすることでスイッチング動作が制御される。
無負荷検知回路13は、インバータ制御用IC21のReset端子に接続され、蛍光灯3が接続されていない事を検知するとインバータ制御用IC21から一組のFETへの出力を停止するものである。
【0023】
次に、インバータ制御回路20について説明すると、インバータ制御回路20は、インバータ制御IC21と、周波数設定回路24と、外部入力回路30と、調光切替回路40とから構成されている。
インバータ制御用IC21は、周波数設定回路24と接続され、RT端子とCT端子で接続されている。また、2段階の周波数(90kHzと55kHz)でスイッチング回路12を制御している。
【0024】
周波数設定回路24は、インバータ制御用IC21が2段階の周波数でスイッチング回路12を制御するための周波数を設定を行う回路であると共に予熱時の動作をも制御している。そして、インバータ制御用IC21と並列に接続された抵抗R1と、抵抗R1と並列に接続された抵抗R2と、抵抗R2と並列に接続された抵抗R3と、抵抗R3と直列に接続され可変することができる可変抵抗R4が設けられている。抵抗R4は、バイパス回路23となるFETのドレインと接続されている。FET23(バイパス回路)のソースは、周波数選択回路22となるFETのドレインと接続されている。また、抵抗R2は予熱切替回路26のFETのドレインと接続され、そのFETのゲートはコンデンサC2と接続されている。
【0025】
外部入力回路30は、蛍光灯3の光度を外部からの操作により調整するいわゆる調光を行うことができるようにするための信号を入力する回路である。そして、周波数設定回路24と接続されており、周波数選択回路22となるFETのゲートと反転回路31となるFETのドレインで接続されている。外部入力回路30は、外部入力端子33、34を備え、外部入力端子33と調光線72とが接続され、外部入力端子34とマイナス線73とが接続されている。また、外部入力回路30は調光切替回路40と端子32で接続されている。
【0026】
次に、調光切替回路40は、調光を行わない場合に所定の周波数(55kHz)に固定してに蛍光灯3を点灯するための回路である。そして、調光切替回路40には、図1に示すように短絡コネクタ61、62同士を短絡配線64によって短絡させたコネクタ端子60が設けられている。短絡コネクタ62の先にはオペアンプIC41のマイナス端子に接続され、短絡コネクタ61の先はオペアンプIC42のプラス端子に接続されている。また、オペアンプIC41のプラス端子は、マイナスと接続され、オペアンプIC41の出力はオペアンプIC42のプラス端子に接続されている。
(車両用蛍光灯装置のインバータ回路の周波数設定の動作)
【0027】
以下に、本発明のインバータ回路10の周波数を設定する動作を図4に基づいて説明する。
周波数設定回路24は、55kHzの周波数でスイッチング動作を行う設定値を設定するための電圧を抵抗R1で生成し、90kHzの周波数でスイッチング動作を行う設定値を設定するための電圧を抵抗R1、抵抗R3及び可変抵抗R4の合成抵抗により生成する。その生成された各電圧がRT端子に印可されることで、インバータ制御用IC21は、周波数の値を認識して異なる55kHzと90kHzの周波数で、スイッチング回路12を制御することができる。
(蛍光灯を点灯する際のインバータ回路の動作)
【0028】
以下に、本発明のインバータ回路10の動作を図4及び図5に基づいて説明する。
最初に、車両用蛍光灯装置1が調光機能を有しない場合のインバータ回路10の動作を説明する。
電源が投入されると、ある一定時間に蛍光ランプ3のフィラメントを予熱するため、100kHz程度の周波数で蛍光灯3を作動させる。その際、RT端子には抵抗R1と抵抗R2とで合成される電圧が設定される。そして、コンデンサC2に充電され、充電が満たされると予熱切替回路26が作動して、周波数が切り替えられる。
【0029】
その際、図1に見られるように短絡コネクタ61、62の端子同士が短絡配線64により電気的に接続されており、オペアンプIC41からはHigh信号が出力され、オペアンプIC42からもHigh信号が出力される。従って、調光切替回路40からはコネクタ端子60を外さない限りON信号が出力され続け、外部入力回路30へは端子32から反転回路31のFETのゲートにON信号が入力され続け、周波数選択回路22はOFFとなる。従って、RT端子に抵抗R1を通る電圧が印可される。このときに、図5(A)に見られるように。スイッチング動作が行われる作動周波数は55kHzに設定され、明るく蛍光灯3を照らすことができる。
【0030】
次に、車両用蛍光灯装置1が段階調光機能を有する場合のインバータ回路10の動作を説明する。上述したように電源が投入されると、予熱され一定時間経過すると予熱切替回路26が作動して、周波数が切り替えられる。
その際、図2に見られるように車両用の蓄電器の電源(DC24V)を利用して、段階調光操作スイッチ85を操作して、電源をONさせるかOFFするかを決定し、調光操作スイッチ85がONの場合には、調光線72と接続された外部入力端子33からDC24V又はDC12V(以下DC24Vとする)が入力され、上述のように反転回路31を作動させ、周波数選択回路22はOFFとなる。従って、RT端子に抵抗R1で生成された電圧が印可される。このときに、図5(B)に見られるように。インバータ制御用IC21は、スイッチング動作が行われる作動周波数を55kHzに設定し、インバータ回路10は、明るく蛍光灯3を照らすことができる。
【0031】
また、調光操作スイッチがOFFの場合には、調光線72と接続された外部入力端子33からDC24Vが入力されず、反転回路31は作動しない、替わりに周波数選択回路22はONとなり、バイパス回路23にも電流が流れ、抵抗R1、抵抗R3及び抵抗R4の合成抵抗により生成された電圧がRT端子に印可される。インバータ制御用IC21は、スイッチング動作が行われる作動周波数を90kHzに設定し、インバータ回路10は、作動周波数を55kHzの場合と比較し暗く蛍光灯3を照らす。
【0032】
次に、車両用蛍光灯装置1が連続調光機能を有する場合のインバータ回路10の動作を説明する。上述したように電源が投入されると、予熱され一定時間経過すると予熱切替回路26が作動して、周波数が切り替えられる。
その際、図3に見られるように車両用の蓄電器の電源(DC24V)を利用して、パルス発生回路88からDC24V又はDC12V(以下DC24Vとする)のパルス信号を発生させる。そして、そのパルス信号は、外部入力端子33からDC24Vが入力され、反転回路31をON・OFFと作動させ、それに連動して周波数選択回路22もON・OFFと作動する。
【0033】
そして、図5(C)に見られるように、パルス発生回路88からON・OFF信号に連動して、作動周波数が55kHzと90kHzとに切り替えられる。図5は、横軸を時間軸を表しており、図5(C−1)に見られるように入力信号1のON時間が長く、OFF時間が短くなっており、55kHzの周波数動作でスイッチング動作されている時間が長いことになる。また、その逆に、図5(C−2)に見られるように入力信号2のOFF時間が長く、ON時間が短くなっており、90kHzの周波数動作でスイッチング動作されている時間が長いことになる。上記により図5(C−1)と図5(C−2)を比較すると図5(C−1)の入力信号1のON時間が長いので、55kHzの周波数動作でスイッチング動作されている時間が長く、図5(C−2)の入力信号2よりも明るく蛍光灯3を照らすことができる。
従って、この入力信号のON・OFF時間のデューティ比を調整することで蛍光灯3の明るさを無段階に所望する明るさに調整することが可能となる。このデューティ比は、パルス発生回路88に接続されたボリュームスイッチ87の抵抗値の変更により調整することが可能である。
【0034】
以上における本実施例から把握される効果を以下に詳述する。
(1)本実施例の車両用蛍光灯装置1は、スイッチング回路12を動作する異なる周波数を複数設けて、調光する際には、その異なる複数の周波数を選択して蛍光灯3の光度を調整し、その内の一つの周波数を選択して固定して使用することをすることができるようにすることで、1つの回路基板で、段階調光機能と連続調光機能と調光機能を持たない車両用蛍光灯装置とに使い分けることが可能である。
【0035】
(2)本実施例の車両用蛍光灯装置1は、直流電源の入力電圧(DC24V又はDC12V程度でありFETが作動する閾値以上の電圧)に基づいて、反転回路31と周波数選択回路22を動作をすることができるため、蛍光灯3から離れた運転席まで配線を引き回しても高電圧・高周波の信号を利用していないため、ノイズを発生させる心配が無く、車体配線にシールド線を使用したり、他の配線と束ねないようにする必要が無くなった。
【0036】
(3)本実施例の車両用蛍光灯装置1は、周波数を決定する抵抗R4に可変抵抗器を採用することにより、90kHzの周波数を明るい方(55kHz)へ変更可能なため、段階調光の暗い方の明るさや連続調光の下限値の変更等が可能であり、車両のバッテリーが弱くなった場合や明るさを変更したい場合など、周波数の設定変更ができ蛍光灯3の光度調整を行うことができる。
【0037】
(4)本実施例の車両用蛍光灯装置1は、短絡コネクタ61・62の端子同士を短絡配線64により短絡させたコネクタ端子60を接続することで、調光機能を使用せず固定して蛍光灯3を点灯することを選択でき、また調光を行いたい場合にはコネクタ端子60を抜き去るだけなので、車両用蛍光灯装置1全体を交換をする必要が無く、後からでも簡単に変更が可能となる。
また、コネクタ端子60が接続されているか否かを目視で確認できるため、簡単に装置1又は基板10の識別を行うことができる。
【0038】
(5)本実施例の車両用蛍光灯装置1は、入力信号ののON・OFF時間のデューティ比を調整することで蛍光灯3の明るさを無段階に明るさを調整することを可能とした。従って、高電圧・高周波の信号を利用しなくとも簡単に明るさ調整をすることができるようになり、ノイズを発生させる心配が無く、車体配線にシールド線を使用したり、他の配線と一緒に束ねることができるようになった。
【0039】
(6)実施例の車両用蛍光灯装置1は、調光切替回路40が、周波数選択回路22の動作を固定することで、調光の切替回路機能だけではなく、蛍光灯を明るく照らす周波数55kHzに固定する機能をも兼ねる事ができるので、基板を共通化することが更にし易くなると共に電子部品の部品点数を減らすことができる。
(他の実施形態への変更例)
【0040】
以上説明した実施形態を他の実施形態へ変更した例を以下に示す。
・段階を2つの周波数で構成した例を示したが、3つの周波数や多数の周波数を設け、多段階の調光回路を構成する車両用蛍光灯装置1であっても良い。
・本実施例の車両用蛍光灯装置1では周波数固定手段として短絡させたコネクタ端子60を使用したが、ディップスイッチやロータリースイッチ、入り切りスイッチ等の手段による調光機能の使用の有無の切替も考えられる。
・ 直流電源の入力電圧(パルス電圧やON・OFF電圧)は、DC24V又はDC12V又はDC10V程度のFETが作動する閾値以上の電圧であれば良い。
【0041】
・本実施例の車両用蛍光灯装置1では、連続的(無段階)に調光を行うのに、入力信号ののON・OFF時間のデューティ比を調整することで蛍光灯3の明るさを無段階に明るさを調整することを可能としたが、複数の周波数のうち蛍光灯の点灯が最も明るい周波数(55kHz)を選択し、入力回路30から入力されるパルス信号に基づき、スイッチング回路12を作動させる時間と、スイッチング回路12を作動しない時間とのデューティー比を変化させることで蛍光灯3の光度を連続的に調整しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】車両用配線端子80と接続しインバータ回路10を内蔵した車両用蛍光灯装置1の概要図。
【図2】段階調光操作スイッチ85と接続しインバータ回路10を内蔵した車両用蛍光灯装置1の概要図。
【図3】連続調光操作スイッチ86と接続しインバータ回路10を内蔵した車両用蛍光灯装置1の概要図。
【図4】車両用蛍光灯装置1のインバータ回路10の構成を示す回路図。
【図5】(A)車両用蛍光灯装置1が調光機能を有しない場合のインバータ回路10の動作を示す動作図。(B)車両用蛍光灯装置1が段階調光機能を有する場合のインバータ回路10の動作を示す動作図。(C)車両用蛍光灯装置1が連続調光機能を有する場合のインバータ回路10の動作を示す動作図。
【図6】従来の段階調光を行うインバータ回路110を備えた車両用蛍光灯装置101の概要図。
【符号の説明】
【0043】
1,101・・・車両用蛍光灯装置、3,103・・・蛍光灯、
10,110・・・インバータ回路、11・・・トランス、
12・・・スイッチング回路、13・・・無負荷検知回路、
20・・・インバータ制御回路(スイッチング回路作動手段)、
21・・・インバータ制御用IC、22・・・周波数選択回路、
23・・・バイパス回路、24・・・周波数設定回路、25・・・電源端子、
26・・・予熱切替回路、
30・・・外部入力回路、31・・・反転回路、32・・・端子、
33,34・・外部入力端子、
40・・・調光切替回路、41,42・・・オペアンプIC、
60・・・コネクタ端子、61、62・・・短絡コネクタ、63・・・空コネクタ、
64・・・短絡配線、
70・・・外部接続端子、71,81・・・電源線、72,82・・・調光線、
73,83・・・マイナス線、74,84・・・予備球電源線、
80・・・車両用接続端子、85・・・段階調光操作スイッチ、
86・・・連続調光操作スイッチ、87・・・ボリュームスイッチ、
88・・・パルス発生回路、Tr・・・トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を有したスイッチング回路を有したインバータ回路で車両の直流電力を高周波交流電力に変換させた電力を蛍光灯の両端に印可して当該蛍光灯を点灯させると共に、前記スイッチング回路を動作する周波数を変化させることでその供給される電力を変化させ蛍光灯の光度を調整する車両用蛍光灯装置であって、
前記インバータ回路は、所定の異なる周波数を複数有したインバータ制御回路と、直流電圧からなる入力信号を外部から入力する入力回路と、前記周波数のうち何れの前記周波数で前記スイッチング回路の動作を行うかを選択する周波数選択手段と、前記入力信号に基づいて前記蛍光灯の光度を調整する調光制御を行うか否かを切替える調光切替手段と、を備えたこと特徴とする車両用蛍光灯装置。
【請求項2】
前記調光切替手段は、調光を行わないときには前記周波数選択手段の動作を固定して前記周波数のうち何れか一つの前記周波数に常に固定する周波数固定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用蛍光灯装置。
【請求項3】
前記周波数固定手段は、短絡した配線を有した接続端子を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか一項に記載の車両用蛍光灯装置。
【請求項4】
前記インバータ制御回路は、少なくとも1つの前記周波数の数値を変更することが可能な数値変更手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両用蛍光灯装置。
【請求項5】
前記インバータ制御回路は、少なくとも第1の周波数と、当該第1の周波数よりも明るく前記蛍光灯を点灯させる第2の周波数と、を備え、
前記周波数選択手段が、パルス信号を有した前記記入力信号に基づき前記第1の周波数と前記第2の周波数とを交互に切替え、その切替えを行う時間を変化させることで前記蛍光灯の光度を連続的に調整することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用蛍光灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−282641(P2008−282641A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125110(P2007−125110)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】