説明

車両用表示装置

【課題】車両と撮像画像との位置関係を容易に判断することができる車両用表示装置を提供すること。
【解決手段】制御回路110は、後方カメラ132にて車両周辺を撮像する。そして、制御回路110は、自車両と表示パネル161に表示する後方カメラ132にて撮像された撮像画像との位置関係をわかりやすくするために、目印画像Mの撮像方向に対応する位置に撮像画像表示部162を設定し撮像画像を表示する。すなわち、目印画像Mの後方に撮像画像表示部162を設定し後方カメラ132による撮像画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両周辺の状況を表示する車両用表示装置として特許文献1に示すものがある。特許文献1における車両用表示装置は、3台の撮像カメラ、制御部、表示部などを備える。3台の撮像カメラのうち、1台の撮像カメラはバックミラーに映る像と同じものを撮像するものであり、他の2台の撮像カメラは左右のサイドミラーに映る像と同じものを撮像するものである。制御部は、表示部の表示を制御するものであり、3台の撮像カメラで撮像した自動車の背後の画像及び左右の後方の画像を表示部に表示する。また、撮像カメラで撮像した画像を表示する際に、制御部は、表示部の上部にはバックミラーの像と略同等の画像を表示し、下部左側には左サイドミラーの像と略同等の画像を表示し、下部右側には右サイドミラーの像と略同等の画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−306057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮像カメラで撮像した画像を表示部に表示する際には、表示部における表示位置を撮像方向に対応させているだけであり、車両と撮像画像との位置関係が判断しにくい場合があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、車両と撮像画像との位置関係を容易に判断することができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に記載の車両用表示装置は、画像を表示する表示手段と、自車両の周辺の後方画像を撮像する撮像手段と、表示手段に自車両に関する後方視認ミラー画像を含む目印画像を表示すると共に、目印画像を基準として撮像方向に対応する位置に撮像手段にて撮像された後方画像を表示する表示制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
このように、表示手段に自車両に関する後方視認ミラー画像を含む目印画像を表示し、その目印画像の撮像方向に対応する位置に撮像手段にて撮像された画像を表示することによって、自車両と撮像画像との位置関係を容易に判断することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の車両用表示装置では、自車両の後方への接近物を検出する接近物検出手段を備え、制御手段は、接近物が検出されると撮像手段にて撮像される接近物の接近方向の画像を表示するようにしてもよい。
【0009】
また、請求項3に記載の車両用表示装置では、接近方向の画像は、自車両の同一車線の後方、自車両の左側車線後方、自車両右側車線後方、のいずれかの画像としてもよい。
【0010】
また、請求項4に記載の車両用表示装置では、目印画像の前記ミラー画像はバックミラーまたはサイドミラーとしてもよい。
【0011】
また、請求項5に記載の車両用表示装置では、表示手段は、接近物が検出されると目印画像のミラー画像を注意喚起の表示形態としてもよい。
【0012】
また、請求項6に記載の車両用表示装置では、接近物が検出されるとミラー画像の色を変更、又は、ミラー画像を点滅させることで該ミラー画像を注意喚起の表示形態としてもよい。
【0013】
また、請求項7に示すように、目印画像にハンドルを示す画像を含むことによって、前方車両と自車両との位置関係が把握しやすくなる。
【0014】
また、請求項8に記載の車両用表示装置では、表示手段は、基本形状の一部を切り欠いた形状を表示範囲とする少なくとも2つの第1の表示部と、第1の表示部間に設けられると共に、表示範囲として第1の表示部の切り欠かれた部位を含む第2の表示部とを備え、表示制御手段は、計器を示す画像を第1の表示部に表示すると共に、目印画像、撮像手段にて撮像された画像、車間距離を示す画像、注意喚起を示す画像を第2の表示部に表示することを特徴とするものである。
【0015】
このように、基本形状の一部を切り欠いた形状を表示範囲とする少なくとも2つの第1の表示部に計器を示す画像を表示し、本来であれば第1の表示部の表示範囲である部位に渡って設けられた第2の表示部に目印画像などを表示することによって、計器と撮像画像などとの目線の移動を少なくしつつ、撮像画像などをできるだけ大きく表示することができる。
【0016】
また、請求項9に示すように。表示手段は、表示パネルに画像表示されるものであり、その表示パネルはフラットパネル構成することにより、請求項1〜8に記載の画像表示をフラットパネルにて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態における車両用表示装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における車両用表示装置の動作を示すフロー図である。
【図3】表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図であり、(a)は撮像方向が前方である場合、(b)は撮像方向が後方である場合を示す図である。
【図4】表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図であり、(a)は撮像方向が左側方である場合、(b)は撮像方向が右側方である場合を示す図である。
【図5】目印画像の変形例を示す模式図である。
【図6】撮像画像と目印画像の表示の変形例を示す模式図であり、(a)は撮像方向が前方である場合、(b)は撮像方向が後方である場合、(c)は撮像方向が左右側方である場合を示す図である。
【図7】車両が走行中の表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図であり、(a)は撮像方向が前方である場合、(b)は撮像方向が後方である場合を示す図である。
【図8】車両が走行中の表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図であり、(a)は撮像方向が左側方である場合、(b)は撮像方向が右側方である場合を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図である。
【図10】本発明の変形例における表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。尚、以下の実施形態においては、複数の表示部における表示が、共通の表示パネルに画像を表示することによってなされるように構成される例を示す。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における車両用表示装置の概略構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の車両用表示装置100は、状態検出部120、撮像装置130、操作デバイス140、外部メモリ150、表示部160、音声入出力部170、リモコンセンサ180、及びこれらに接続された制御回路110を備えている。
【0020】
制御回路110は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、制御回路110が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従って、CPU等が画像の表示位置の変更などの演算処理を実行する。尚、このプログラムは、外部メモリ150を介して外部から取得することも可能である。また、制御回路110には、エンジンの始動及び停止を制御するためのスイッチであるイグニッションSW200が接続される。
【0021】
状態検出部120は、例えば車速やエンジン回転数など車両の状態を検出するものである。すなわち、車両の走行に関する情報を取得する取得部である。本実施形態においては、状態検出部120として、少なくとも、トランスミッション出力軸の回転数を検出する車速センサ121と、エンジンのクランクシャフト(或いはカムシャフト)の回転数を検出する回転センサ122と、燃料タンク内の残燃料を検出する液面センサ123と、エンジン冷却水の温度を検出する温度センサ124を備えている。
【0022】
撮像装置130は、CCDなどの固体撮像素子からなる前方カメラ131、後方カメラ132、左側方カメラ133、右側方カメラ134などを備える。この撮像装置130は、自車両の運転席に着座したドライバーから死角となる部位、具体的には車両前方、車両左右両側のフロント/リヤタイヤを含むそのタイヤ周辺、及び車両後方を撮像する。
【0023】
操作デバイス140は、車両用表示装置100が実行する表示部160の輝度の調整などの機能に対応付けられた操作信号を制御回路110に入力するためのものである。この操作デバイス140は、表示部160と一体に構成され表示画面上に設定されるタッチスイッチ、もしくは表示部160の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等を備える。
【0024】
外部メモリ150は、指針の変化によって計測量を表示するアナログ式メータ画像のうち、指針の背景画像となる文字盤データ(目盛り、文字等)を記憶すると共に、本実施形態の特徴である目印画像Mを表示するための目印画像データを記憶する。尚、文字盤データ及び/又は目印画像Mは、上記外部メモリ150以外にも、制御回路110を構成するROMに記憶させておくことも可能である。
【0025】
表示部160は、TFT型液晶パネル、有機ELパネル、プラズマパネル等のフラットパネルからなる表示パネル161などを備える。表示パネル161の画面には、制御回路110の処理により、例えば状態検出部120から入力された計測量や、撮像装置130にて撮像された車両周辺の画像などを表示する。
【0026】
音声入出力部170は、図示しない入力装置及び出力装置から構成される。入力装置は、ユーザの発話内容を認識して、車両用表示装置100の各種入力に用いるものである。一方、出力装置は、スピーカやオーディオアンプ等から構成されるものである。
【0027】
また、本実施形態の車両用表示装置100は、リモートコントロール端末(以下リモコンと示す)190からの赤外線信号などを受信するリモコンセンサ180を有している。リモコンセンサ180は、リモコン190から送信される赤外線信号を受信すると、受信した赤外線信号に応じて制御回路110が実行する機能に対応付けられた操作信号を制御回路110に入力する。
【0028】
ここで、本実施の形態における車両用表示装置100の動作について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態における車両用表示装置の動作を示すフロー図である。図3は、表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図であり、(a)は撮像方向が前方である場合、(b)は撮像方向が後方である場合を示す図である。図4は、表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図であり、(a)は撮像方向が左側方である場合、(b)は撮像方向が右側方である場合を示す図である。図5は、目印画像の変形例を示す模式図である。図6は、撮像画像と目印画像の表示の変形例を示す模式図であり、(a)は撮像方向が前方である場合、(b)は撮像方向が後方である場合、(c)は撮像方向が左右側方である場合を示す図である。図7は、車両が走行中の表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図であり、(a)は撮像方向が前方である場合、(b)は撮像方向が後方である場合を示す図である。図8は、車両が走行中の表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図であり、(a)は撮像方向が左側方である場合、(b)は撮像方向が右側方である場合を示す図である。
【0029】
図2に示すフローは、車両のイグニッションSW200がオン状態になると実行され、車両のイグニッションSW200がオフ状態になると終了する。
【0030】
まずステップS1では、制御回路110は、撮像装置130にて車両の周辺を撮像し、その撮像画像と共に目印画像Mを表示パネル161に表示する。制御回路110は、前方カメラ131、後方カメラ132、左側方カメラ133、右側方カメラ134の順で所定間隔毎に車両周辺を撮像する。そして、制御回路110は、各カメラ(131〜134)から出力される撮像画像信号を表示部160にて表示可能な画像信号に変換し、その画像信号を表示部160に出力することによって表示パネル161に撮像画像表示部162を設定し撮像画像を表示する。さらに、制御回路110は、撮像画像を表示パネル161に表示する際に自車両に関する目印画像Mを表示する。この撮像画像と目印画像Mを表示する際には、自車両と表示部160に表示する撮像画像との位置関係をわかりやすくするために、目印画像Mを基準として撮像方向に対応する位置に撮像画像表示部162を設定し撮像画像を表示する。
【0031】
具体的には、図3(a)に示すように、表示パネル161の所定位置に、状態検出部120による検出値を指針の変化によって画像表示するアナログ式メータ表示部として、速度計表示部163、回転計表示部164、燃料計表示部165、及び水温計表示部166を有する。そして、前方カメラ131にて車両前方を撮像している時は、目印画像Mの前方(紙面上方)に撮像画像表示部162を設定し撮像画像を表示する。また、後方カメラ132にて車両後方を撮像している時は、図3(b)に示すように、目印画像Mの後方(紙面下方)に撮像画像表示部162を設定し撮像画像を表示する。
【0032】
さらに、左側方カメラ133にて車両左側方を撮像している時は、図4(a)に示すように、目印画像Mの左側方に撮像画像表示部162を設定し撮像画像を表示する。右側方カメラ134にて車両右側方を撮像している時は、図4(b)に示すように、目印画像Mの右側方に撮像画像表示部162を設定し撮像画像を表示する。従って、イグニッションSW200がオン状態になると、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)の順で所定間隔毎に車両の前後左右の撮像画像及び目印画像Mが表示パネル161に表示される。
【0033】
なお、図3(a)(b)及び図4(a)(b)においては、目印画像Mとして車両の上面を示す画像を用いたが、この目印画像Mは、図5に示すようなドライバーの視点に則した画像としてもよい。すなわち、ドライバーが運転席に着座して正面を向いた場合に視界に入るような画像であり、フロントガラス、サイドミラー、バックミラー、ハンドル、インストルメントパネルなどを含む画像である。
【0034】
また、図3(a)(b)及び図4(a)(b)においては、目印画像Mの表示位置を撮像画像表示部162の表示位置にあわせて前後左右方向(紙面上下左右方向)に移動させる例を用いて説明したが、目印画像Mの表示位置を前後方向(紙面上下方向)にのみ移動させるようにしてもよい。この場合、前方カメラ131にて車両前方を撮像している時は、図6(a)に示すように目印画像Mの表示位置を後方向(紙面下方向)に移動させる。後方カメラ132にて車両前方を撮像している時は、図6(b)に示すように目印画像Mの表示位置を前方向(紙面上方向)に移動させる。そして、左側方カメラ133及び右側方カメラ134にて車両前方を撮像している時は、図6(c)に示すように目印画像Mの表示位置を固定して、撮像画像表示部162を左右方向(紙面左右方向)に移動させる。
【0035】
なお、以下撮像画像と目印画像Mとを死角確認画像とも称すると共に、その死角確認画像を表示している領域、すなわち速度計表示部163と回転計表示部164との間のスペースをマルチ表示部とも称する。
【0036】
ステップS2では、制御回路110は、車速センサ121によって車速度を検出する。これは、上述の死角確認画像を表示するか否かを判定するためである。上述の死角確認画像に示す撮像画像及び目印画像Mの表示は、自車両を出発させる際の車両前方の障害物の有無、道路の左端の近くまで幅寄せする際や狭い道路を走行する際の道路端の側溝などの有無や路肩の段差、後退しながら駐停車する際の車両後方の状況などのドライバーから死角となる部位をドライバーに伝えるためである。このような状況の場合、自車両は停止している状態かもしくは徐行(例えば、5km/h)している状態である。従って、車速度を検出することによって死角確認画像を表示するか否かを判定することができる。
【0037】
ステップS3では、制御回路110は、ステップS2にて検出した車速度が所定車速度以内であるか否かを判定する。そして、制御回路110は、検出した車速度が所定車速度以内でないと判定した場合は死角確認画像を表示する状況でないとみなしてステップS4へ進み、検出した車速度が所定車速度以内であると判定した場合は死角確認画像を表示する状況であるとみなしてステップS1へもどる。
【0038】
ステップS4では、制御回路110は、前方カメラ131、後方カメラ132、左側方カメラ133、右側方カメラ134からの撮像画像信号の出力を停止し、マルチ表示部の死角確認画像の表示をオフにする。この場合、制御回路110は、マルチ表示部に図示しないナビゲーション装置による案内経路、シフトレンジ画像などを表示するようにしてもよい。
【0039】
ステップS5では、制御回路110は、接近車両が存在する場合は、自車両のドライバーに対して注意喚起を行うために自車両への接近車両を検出する。制御回路110は、前方カメラ131、後方カメラ132によって撮像された画像をRAMなどに順次記憶していき、その記憶した画像から所定時間Δt前後して得た2画像中の同一物の移動量を検出するなどの処理を行うオプティカルフロー(動きベクトル)法を用いて接近車両を検出する。
【0040】
ステップS6では、制御回路110は、ステップS5での検出結果に基づいて自車両との距離が所定距離内になった車両が存在するか否かによって接近車両の有無を判定し、接近車両が有ると判定した場合は注意喚起が必要であるとみなしてステップS7へ進み。接近車両がないと判定した場合は注意喚起は必要ないとみなしてステップS8へ進む。
【0041】
ステップS7では、制御回路110は、ステップS5にて検出された接近車両を含む画像(以下、接近車両画像とも称する)を目印画像Mと共に表示パネル161に表示する。制御回路110は、前方カメラ131もしくは後方カメラ132から出力される撮像画像信号を表示部160にて表示可能な画像信号に変換し、その画像信号を表示部160に出力することによって表示パネル161のマルチ表示部に撮像画像表示部162を設定し接近車両画像を表示する。
【0042】
さらに、制御回路110は、撮像画像を表示パネル161に表示する際に自車両に関する目印画像Mを表示する。この撮像画像と目印画像Mを表示する際には、自車両と表示部160に表示する撮像画像との位置関係をわかりやすくするために、目印画像Mの撮像方向に対応する位置に撮像画像表示部162を設定し撮像画像を表示する。なお、自車両が停止している状態かもしくは徐行(例えば、5km/h)している状態以外の状態の場合は、目印画像Mをドライバーの視点に則した画像、すなわちドライバーが運転席に着座して正面を向いた場合に視界に入るような画像とするとよい。
【0043】
具体的には、図7(a)に示すように、表示パネル161の所定位置に、状態検出部120による検出値を指針の変化によって画像表示するアナログ式メータ表示部として、速度計表示部163、回転計表示部164、燃料計表示部165、及び水温計表示部166を有する。そして、自車両の前方の所定距離内に車両が存在する場合は、目印画像Mのフロントガラスに対応する位置に撮像画像表示部162を設定し前方カメラ131にて撮像された接近車両画像を表示する。
【0044】
また、自車両の同一車線の後方の所定距離内に車両が存在する場合は、図7(b)に示すように、目印画像Mの後方(紙面下方)に撮像画像表示部162を設定し後方カメラ132にて撮像された同一車線の後方から接近してくる車両を含む接近車両画像を表示する。
【0045】
さらに、自車両の左側車線の後方の所定距離内に車両が存在する場合は、図8(a)に示すように、目印画像Mの左側方に撮像画像表示部162を設定し後方カメラ132にて撮像された自車両の左側車線の後方から接近してくる車両を含む接近車両画像を表示する。また、自車両の右側車線の後方の所定距離内に車両が存在する場合は、図8(b)に示すように、目印画像Mの右側方に撮像画像表示部162を設定し後方カメラ132にて撮像された自車両の右側車線の後方から接近してくる車両を含む接近車両画像を表示する。
【0046】
ステップS8では、制御回路110は、前方カメラ131、後方カメラ132、左側方カメラ133、右側方カメラ134からの撮像画像信号の出力を停止し、マルチ表示部の接近表示画像の表示をオフにする。この場合、制御回路110は、マルチ表示部に図示しないナビゲーション装置による案内経路、シフトレンジ画像などを表示するようにしてもよい。また、接近表示画像を表示する前に案内経路、シフトレンジ画像を表示していた場合は、その画像を表示するようにしてもよい。
【0047】
なお、自車両の同一車線の後方、左側車線の後方及び右側車線の後方の所定距離内に車両が存在する場合は、目印画像Mに含まれるバックミラー、サイドミラーによって注意喚起を行うようにしてもよい。例えば、同一車線の後方に接近車両が存在場合はバックミラーの色を変えたり、バックミラーを点灯させたり、バックミラーを点滅させたりなどバックミラーの表示形態を変えて注意喚起を行う。そして、自車両の左右側車線に接近車両が存在する場合は、存在する方のサイドミラーの色を変えたり、サイドミラーを点灯させたり、サイドミラーを点滅させたりなどサイドミラーの表示形態を変えて注意喚起を行う。
【0048】
また、自車両の同一車線の後方の所定距離内に車両が存在する場合は、目印画像Mに含まれるバックミラーの位置に接近車両画像を表示するようにしてもよい。また、自車両の左側車線の後方及び右側車線の後方の所定距離内に車両が存在する場合は、目印画像Mに含まれるサイドミラーの位置に接近車両画像を表示するようにしてもよい。
【0049】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図9に基づいて説明する。図9は、本発明の第2の実施形態における表示部への撮像画像と目印画像との表示例を示す模式図である。
【0050】
第2の実施形態における車両用表示装置100は、第1の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0051】
第2の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、オートクルーズ装置が搭載された車両に本発明の車両用表示装置100を適用した点である。すなわち、オートクルーズ装置によって、自車両と前方車両との車間距離を表示パネル161に表示する場合に、本発明の車両用表示装置100を適用するものである。
【0052】
オートクルーズ装置は、セットスイッチ、キャンセルスイッチ、車間距離センサ、車両信号送出手段、追従制御用コントローラ、エンジン出力制御装置、変速機制御装置、制動制御装置などを備える。追従制御用コントローラは、車両用表示装置100の制御回路110と接続される。
【0053】
追従制御用コントローラは、セットスイッチが操作されると車間追従制御を開始すると共に、キャンセルスイッチが操作されると車間追従制御を解除する。また、追従制御用コントローラは、セットスイッチが操作された時点の自車両の車速度を設定車速度とする。
【0054】
追従制御用コントローラは、車間追従制御を開始すると車間距離センサによる前方車両捕捉と共に、前方カメラ131による前方車両の撮像を開始する。この車間距離センサは、レーザーレーダやミリ波レーダ等により前方車両の有無と、前方車両の存在が検出されたときの送受時間により自車両と前方車両との車間距離を計測する。
【0055】
追従制御用コントローラは、車両信号送出手段からの検出信号によってオートマチックトランスミッションがドライブレンジであると判定した場合、車間距離センサからの情報により前方車両の有無と車間距離と相対速度を測定する。そして、前方車両が存在しないときは、設定車速度で定速走行するためにエンジン出力制御装置、変速機制御装置、制動制御装置に定速走行駆動信号を出力する。設定車速度より速い前方車両がいると、設定車速度を上限とし、車間距離を保ちながら前方車両に追従走行するためにエンジン出力制御装置、変速機制御装置、制動制御装置に追従走行駆動信号を出力する。さらに、設定車速度より遅い前方車両が現れたときは減速走行するためにエンジン出力制御装置、変速機制御装置、制動制御装置に減速走行駆動信号を出力する。また、設定車速度より遅い前方車両がいなくなったときは、設定車速度までゆっくりと加速走行するためにエンジン出力制御装置、変速機制御装置、制動制御装置に加速走行駆動信号を出力する。
【0056】
エンジン出力制御装置、変速機制御装置、制動制御装置は、追従制御用コントローラからの定速走行駆動信号、追従走行駆動信号、減速走行駆動信号、加速走行駆動信号に応じて、電子制御スロットルバルブの開閉によるエンジン出力の制御、変速機の変速段制御、ブレーキ液圧による制動制御の少なくとも一つの制御を実行する。
【0057】
そして、車両用表示装置100の制御回路110は、図9に示すように表示パネル161のマルチ表示部に目印画像Mを表示すると共に、その目印画像Mの前方(紙面上方)に撮像画像表示部162を設定し撮像画像を表示する。さらに、撮像画像表示部162には、車間距離センサによる前方車両との車間距離に応じた距離ガイド画像Iを撮像画像に重ねて表示する。また、第2の実施形態における目印画像Mとしては、前方車両との位置関係(車間距離)をドライバーに把握しやすくするために、目印画像Mにハンドルを示す画像を含むようにするとよい。
【0058】
なお、表示部160に大画面の表示パネル161を用いる場合や、表示パネル161に速度計表示部163、回転計表示部164、燃料計表示部165、及び水温計表示部166などを表示しない場合は、目印画像M及び撮像画像表示部162の表示スペースも大きくできる。従って、目印画像Mの表示位置を固定し、撮像画像表示部162の表示位置のみを移動させるようにしてもよい。
【0059】
具体的には、図10に示すように、目印画像Mを表示パネル161の略中央に固定表示する。そして、撮像されるカメラ(131〜134)に応じて撮像画像表示部162を撮像画像表示部162a〜162dに移動させて表示する。前方カメラ131にて撮像している時は撮像画像表示部162aに撮像画像を表示し、後方カメラ132にて撮像している時は撮像画像表示部162bに撮像画像を表示し、左側方カメラ133にて撮像している時は撮像画像表示部162cに撮像画像を表示し、右側方カメラ134にて撮像している時は撮像画像表示部162dに撮像画像を表示する。
【符号の説明】
【0060】
100・・・車両用表示装置
110・・・制御回路
120・・・状態検出部
130・・・撮像装置
140・・・操作デバイス
150・・・外部メモリ
160・・・表示部
161・・・表示パネル
162・・・撮像画像表示部
163・・・車速計表示部
164・・・回転計表示部
165・・・燃料計表示部
166・・・水温計表示部
I・・・距離ガイド画像
M・・・目印画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
自車両の周辺の後方画像を撮像する撮像手段と、
前記表示手段に前記自車両に関する後方視認ミラー画像を含む目印画像を表示すると共に、当該目印画像を基準として前記撮像方向に対応する位置に前記撮像手段にて撮像された前記後方画像を表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記自車両の後方への接近物を検出する接近物検出手段を備え、前記制御手段は、前記接近物が検出されると前記撮像手段にて撮像される該接近物の接近方向の画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記接近方向の画像は、自車両の同一車線の後方、自車両の左側車線後方、自車両右側車線後方、のいずれかの画像であることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記目印画像の前記ミラー画像はバックミラーまたはサイドミラーであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記接近物が検出されると前記目印画像の前記ミラー画像を注意喚起の表示形態とすることを特徴とする請求項4に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記接近物が検出されると前記ミラー画像の色を変更、又は、前記ミラー画像を点滅させることで該ミラー画像を注意喚起の表示形態とすることを特徴とする請求項5に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記目印画像は、ハンドルを示す画像を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記表示手段は、基本形状の一部を切り欠いた形状を表示範囲とする少なくとも2つの第1の表示部と、前記第1の表示部間に設けられると共に、表示範囲として前記第1の表示部の切り欠かれた部位を含む第2の表示部とを備え、前記表示制御手段は、計器を示す画像を前記第1の表示部に表示すると共に、前記目印画像を前記第2の表示部に表示することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の車両用表示装置。
【請求項9】
前記表示手段は、表示パネルに画像表示されるものであり、該表示パネルはフラットパネルであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−149306(P2009−149306A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91406(P2009−91406)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【分割の表示】特願2004−217851(P2004−217851)の分割
【原出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】