車両用視線誘導装置
【課題】ドライバに煩わしさを感じさせることなく、効果的にドライバの視線を情報提供装置に誘導して、ドライバに車両の周囲の状況を効果的に認識させることが出来る車両用視線誘導装置を提供する。
【解決手段】本発明は、乗員の視線を所定の情報提供ディスプレイ(10)に誘導する車両用視線誘導装置(1)であって、ドライバの視線方向を誘導するための視線誘導体(30)と、この視線誘導体の挙動を制御する視線誘導体挙動制御手段(40、42)と、を有し、情報提供ディスプレイ(10)は、視線誘導体(30)に対して所定の方向に配置され、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報(50)が提供されるタイミングで、ドライバの視線を情報提供ディスプレイへ誘導するような視線誘導挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御する。
【解決手段】本発明は、乗員の視線を所定の情報提供ディスプレイ(10)に誘導する車両用視線誘導装置(1)であって、ドライバの視線方向を誘導するための視線誘導体(30)と、この視線誘導体の挙動を制御する視線誘導体挙動制御手段(40、42)と、を有し、情報提供ディスプレイ(10)は、視線誘導体(30)に対して所定の方向に配置され、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報(50)が提供されるタイミングで、ドライバの視線を情報提供ディスプレイへ誘導するような視線誘導挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用視線誘導装置に係り、特に、乗員の視線を所定の情報提供ディスプレイに誘導する車両用視線誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドライバの視線誘導や注意喚起を促す表示をフロントウインドに表示する表示方法及び運転支援装置が開示されている。この表示方法及び運転支援装置では、例えば、フロントウインド越しに見える障害物の存在をドライバに注意喚起するための表示をフロントウインド上に表示すると共に、障害物にドライバの視線が向くよう、その注意喚起位置から視線誘導を行う表示をし、さらに、そのような障害物をドライバの視線上且つフロントウインド上に強調表示するようになっている。
【0003】
ここで、近年、車両に搭載されるナビゲーションシステムが普及し、また、フロントウインド上方やダッシュボード上に簡易に設置可能なポータブルナビゲーション機器或いは高機能携帯端末を利用したナビゲーション等の情報提供装置(情報提供機器)が知られている。これらの情報提供装置のディスプレイには、車両の周囲の注意すべき又は注意した方がよい状況(例えば、交差点や横断歩道の有無など)を地図、道路標識記号、文字情報等により表示可能なことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の表示方法及び運転支援装置では、注意喚起位置から障害物の位置まで視線を誘導する表示が必要であり、ドライバにとっては、誘導表示に従わなければ障害物の位置が分かりにくい、という問題があった。また、フロントウインドの比較的全面を使用して、上述した注意喚起表示等、視線誘導表示及び障害物強調表示を行うものであるので、ドライバにとって煩わしい、という問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ドライバに煩わしさを感じさせることなく、効果的にドライバの視線を情報提供装置に誘導して、ドライバに車両の周囲の状況を効果的に認識させることが出来る車両用視線誘導装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、乗員の視線を所定の情報提供ディスプレイに誘導する車両用視線誘導装置であって、ドライバの視線方向を誘導するための視線誘導体と、この視線誘導体の挙動を制御する視線誘導体挙動制御手段と、を有し、所定の情報提供ディスプレイは、視線誘導体に対して所定の方向に配置され、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されるとき、ドライバの視線を情報提供ディスプレイへ誘導するような視線誘導挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されるとき、視線誘導体が、ドライバの視線を情報提供ディスプレイへ誘導するような視線誘導挙動をとるので、ドライバに煩わしさを感じさせることなく、所定の情報を提供する情報提供ディスプレイに効果的に視線を誘導して、ドライバに車両の前方や周囲の状況を効果的に認識させることが出来る。
【0008】
本発明において、好ましくは、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されないとき、視線誘導体に一定の周期の連続的な揺動の通常挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御する。
このように構成された本発明においては、所定の情報が提供されないとき、視線誘導体が、一定の周期で揺動するので、ドライバに親和感や一体感のようなものを感じさせることが出来ると共にドライバに視線誘導装置が正常に作動していることを煩わしくなく伝えることが出来る。
【0009】
本発明において、好ましくは、視線誘導体挙動制御手段は、所定の情報が提供される場所または時間が近づくにつれ、その周期が変動する予告挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御する
このように構成された本発明においては、視線誘導体の周期が変動する予告挙動により、ドライバは、何らかの情報が提供されることを予め認識することが出来るので、その後の視線誘導挙動により、ドライバの視線を、より確実に、情報が提供されるタイミングで情報提供ディスプレイに誘導することが出来る。
【0010】
本発明において、好ましくは、視線誘導体の通常挙動は、一定の振幅を有する揺動であり、視線誘導体挙動制御手段は、所定の情報が提供される場所または時間が近づくにつれ、その振幅が変動する予告挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御する。
このように構成された本発明においては、視線誘導体の振幅が変動する予告挙動により、ドライバは、何らかの情報が提供されることを予め認識することが出来るので、その後の視線誘導挙動により、ドライバの視線を、より確実に、情報が提供されるタイミングで情報提供ディスプレイに誘導することが出来る。
【0011】
本発明において、好ましくは、予告挙動時、視線誘導体の周期及び振幅が通常挙動時よりも小さくなるように制御される。
このように構成された本発明においては、ドライバに、より確実に且つ煩わしさを感じさせることなく、情報提供されることを予め認識させることが出来る。
【0012】
本発明において、好ましくは、さらに、ドライバの頭部の向きを検出する頭部向き検出手段を有し、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されないとき、検出されたドライバの頭部の向きと同期した挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御する。
このように構成された本発明においては、視線誘導体との親和感や一体感のようなものをドライバに感じさせることが出来る。
【0013】
本発明において、好ましくは、視線誘導体挙動制御手段は、視線誘導挙動時、視線誘導体を所定の方向に配置された情報提供ディスプレイの方向に向けて揺動させる。
このように構成された本発明においては、効果的に、所定の情報を提供する情報提供ディスプレイに効果的にドライバの視線を誘導することが出来る。
【0014】
本発明において、好ましくは、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されないとき、視線誘導体を上記視線誘導挙動時の揺動方向とは異なる方向に揺動させる。
このように構成された本発明においては、視線誘導体は、所定の情報が提供されるタイミングでの視線誘導挙動をするときと、所定の情報が提供されないときとで異なる方向に揺動するので、ドライバの視線を無理なく情報提供ディスプレイに誘導することが出来る。
【0015】
本発明において、好ましくは、視線誘導体は水平方向に延びるx軸及び鉛直方向に延びるy軸を有し、視線誘導体挙動制御手段は、視線誘導挙動時、視線誘導体が所定の方向に配置された情報提供ディスプレイの方向に向くよう視線誘導体をそのx軸及び/又はy軸まわりに揺動させ、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されないとき、視線誘導体をそのy軸を揺動軸として揺動させる。
このように構成された本発明においては、視線誘導時、効果的に、所定の情報を提供する情報提供ディスプレイにドライバの視線を誘導することが出来る。
【0016】
本発明において、好ましくは、さらに、ドライバの頭部の向きを検出する頭部向き検出手段を有し、視線誘導体は、立体的な筐体の形状を有する表示画像であり、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されないとき、函体の所定の面が、検出されたドライバの頭部の向きと一致する方向を中心に揺動すると共に、視線誘導挙動時には、所定の面が情報提供ディスプレイに向けた方向に揺動するように制御する。
このように構成された本発明においては、所定の情報が提供されないとき、ドライバに親和感や一体感のようなものを感じさせることが出来ると共に、視線誘導挙動時には、ドライバの頭部の向きと一致する方向に向いていた面が情報提供ディスプレイに向けて揺動するので、効果的に、所定の情報を提供する情報提供ディスプレイにドライバの視線を誘導することが出来る。
【0017】
本発明において、好ましくは、さらに、ステアリングの舵角を検出する舵角検出手段を有し、視線誘導体挙動制御手段は、検出された舵角と連動するように視線誘導体をその縦方向に延びるy軸まわりに揺動させる。
このように構成された本発明においては、視線誘導体が車両の挙動と連動した挙動をするので、車両との一体感をドライバに与えることが出来る。
【0018】
本発明において、好ましくは、視線誘導体挙動制御手段は、車速が所定値を超え且つステアリング舵角が所定値を超えるとき、視線誘導体の視線誘導挙動を禁止する。
このように構成された本発明においては、例えば右左折走行時のように交差点の状況を注視しているような状況で、視線誘導体の視線誘導挙動を禁止することにより、ドライバの運転集中度合いの低下を抑制することが出来る。
【0019】
本発明において、好ましくは、視線誘導体は水平方向に延びるx軸及び鉛直方向に延びるy軸を有し、且つ、これらのx軸及びy軸まわりの挙動がドライバに視認可能な形状及び/又は模様を有する表示画像又は実体物である。
このように構成された本発明においては、ドライバの視線を効果的に情報提供ディスプレイに向けることが出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明による車両用視線誘導装置によれば、ドライバに煩わしさを感じさせることなく、効果的にドライバの視線を情報提供装置に誘導して、ドライバに車両の周囲の状況を効果的に認識させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の配置を車両のフロントウインド及び情報提供機器と共に示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に適用される運転補助情報提供装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態における車両用視線誘導装置の視線誘導体の表示例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における車両用視線誘導装置の図4に示す視線誘導体の基本動作を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態における視線誘導体の他の例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動の振幅(a)及び揺動の周期(b)と情報提供対象物までの到達時間との関係を示す線図である。
【図9】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動振幅の第1の補正係数とステアリング舵角との関係を示す線図である。
【図10】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動の中心姿勢角度とドライバの頭部方向(a)及びステアリング舵角(b)との関係を示す線図である。
【図11】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の通常挙動時及び予告挙動時の動作を説明するための図1と同様に示す概略図である。
【図12】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の交差点走行時における揺動挙動の動作を説明するための図1と同様に示す概略図である。
【図13】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の図7に示す姿勢変更復帰処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の情報提供タイミングにおける視線誘導挙動の動作を説明するための図1と同様に示す概略図である。
【図15】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置における情報提供タイミングでの視線誘導体の姿勢と経過時間との関係を示す線図である。
【図16】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置における押しボタン操作時の視線誘導体の位置と経過時間との関係を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置を説明する。
先ず、図1により、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の配置及びその情報表示装置との位置関係を説明する。図1は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の配置を車両のフロントウインド及び情報提供機器と共に示す概略図である。
先ず、図1に示すように、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置1は、フロントウインド2の下方で且つドライバが視認可能な位置で、ダッシュボード4上に配置されている。フロントウインド2の上方には、バックミラ−6の側方に、運転補助情報提供装置8が配置されている。本実施形態では、車両用視線誘導装置1は、運転補助情報提供装置8のほぼ真下方向に設けられている。
運転補助情報提供装置8は、いわゆるナビゲーション機能を有する高機能携帯端末である。この運転補助情報提供装置8は、情報提供ディスプレイ10を有し、この情報提供ディスプレイ10には、通常はナビゲーションに使用される地図が表示され、また、所定の情報、例えば、事故が多発している交差点や横断歩道、排気ガスが濃く窓を閉めた方が良い場所など、ドライバが認識すべき或いは認識すると良い運転補助情報(障害物の警告情報)が文字、標識記号などで表示されるようになっている。
ここで、運転補助情報提供装置8は、フロントウインド2の上方や下方等、ドライバが適宜その位置を設定することが出来る。なお、運転補助情報提供装置8は、持ち運び可能で、簡易に車内に設けることが出来るポータブルナビゲーション装置や、インパネやダッシュボード等に予め設けられた車載のナビゲーションシステム等の情報表示装置や、車載の所定の投影装置によりフロントウインド2の所定の位置に地図等を投影するものでも良い。
【0023】
次に、図2により、運転補助情報提供装置のシステム構成を説明する。図2は、本発明の実施形態に適用される運転補助情報提供装置のシステム構成を示すブロック図である。
図2に示すように、運転補助情報提供装置8は、外部のインフラからの運転補助情報として、ネットワーク上の蓄積情報を受信する通信手段12と、この受信した運転補助情報から、自車両が走行する地点に関する情報を取得する地点情報取得部14と、通信手段12により受信した情報及び地点情報取得部14により取得した情報を記憶する記憶手段16とを有する。
また、運転補助情報提供装置8は、この運転補助情報提供装置8に内蔵されたカメラ18により、車両の周囲環境の視界を画像として取得する車両周囲画像取得手段20と、この車両周囲画像取得手段20により取得された画像から、例えば、横断歩道、工事標識など、ドライバが認識すべき障害物を検知する障害物検知部22とを有する。なお、カメラ18は、車両に予め搭載された前方撮像カメラ等でも良い。
また、運転補助情報提供装置8は、運転補助情報制御部24を有し、この運転補助情報制御部24は、上述した記憶手段16に記憶された情報及び障害物検知部22により検知された障害物に関する信号を受け取り、情報提供ディスプレイ10に表示する運転補助情報の提供内容及びその提供時期(表示タイミング)を制御する。この制御部24は、地図情報や車速を基に、対象とする障害物(例えば、上述した横断歩道)までの車両の到達時間を算出し、この算出した到達時間に基づいて運転補助情報の提供タイミングを決定する。なお、制御部24は、地図及び車両の現在地の表示も制御する。
【0024】
次に、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置を説明する。
先ず、図3乃至図6により、本実施形態による車両用視線誘導装置のシステム構成及び視線誘導体の例を説明する。図3は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置のシステム構成を示すブロック図であり、図4は、本発明の実施形態における車両用視線誘導装置の視線誘導体の表示例を示す図であり、図5は、本発明の実施形態における車両用視線誘導装置の図4に示す視線誘導体の基本動作を説明するための図であり、図6は、本発明の実施形態における視線誘導体の他の例を示す図である。
本実施形態による車両用視線誘導装置1は、専用のソフトウェアをダウンロードするなどして、視線誘導機能を組み込んだ高機能携帯端末である。
図3に示すように、この視線誘導装置1は、後述する視線誘導体30(図4参照)の基本挙動を生成する基本挙動生成部32を有する。この基本挙動生成部32は、後述するように、通常挙動時及び予告挙動時には、視線誘導体30が、そのy軸まわりに揺動し、一方、視線誘導挙動時には、視線誘導体30がディスプレイ10の方向を向けてx軸及びy軸まわりに揺動するような基本挙動を生成する。
また、視線誘導装置1は、ドライバの頭部画像を取得するドライバ頭部画像取得手段34と、この取得されたドライバの頭部画像からドライバの頭部の挙動を検知するドライバ頭部挙動検知部36とを有する。このドライバ頭部挙動検知部36は、主に、直進時や右左折時等において、ドライバが左右方向に気を配ることにより動く頭部の左右方向の向きを検知する。本実施形態では、ドライバ頭部画像取得手段34は、高機能携帯端末に内蔵されたカメラである。なお、車内に予め設けられた所定のカメラでもよい。
【0025】
また、視線誘導装置1は、上述した運転補助情報提供装置8の運転補助情報制御部24からの運転補助情報の情報提供内容、到達時間及び提供タイミングに関する信号を取得する情報取得手段38を有する。この情報取得手段38は、運転補助情報制御部24からの信号を、無線通信やクラウド(コンピューティング)等を介して受信するようになっている。
また、視線誘導装置1は、基本挙動生成部32で生成された基本挙動、情報取得手段38により取得した情報及びドライバ頭部挙動検知部36により検知された頭部挙動を基に、視線誘導体30の挙動を調整(決定)する挙動調整部40を有する。
さらに、本実施形態では、挙動調整部40は、車両制御部39からの運転操作情報に関する信号からステアリングの舵角を検出する舵角検出手段(図示せず)を有し、挙動調整部40は、この検出したステアリング舵角に基づいて、視線誘導体30の挙動を調整する。
【0026】
さらに、視線誘導装置1は、この挙動調整部40で調整された挙動を有する視線誘導体30を、高機能携帯端末のディスプレイ1aへ表示するように制御する挙動制御部42を有する。本実施形態では、図4に一例を示すように、フロントウインド2に取り付けられた高機能携帯端末(視線誘導装置1)のディスプレイ1aに、視線誘導体30が表示される。
なお、図3に示すようなシステム構成を別体で設け、高機能携帯端末を視線誘導体30の表示装置として用いるような形態でも良い。また、視線誘導体30をヘッドアップディスプレイ等でフロントウインド2に表示するようにした装置をダッシュボード等に設けるような形態でも良い。また、視線誘導体が、後述する他の例による実体物としての視線誘導体(図6参照)である場合には、その実体物に挙動制御部42等を内蔵させ、その実体物が同様の挙動動作をするように制御される。
【0027】
図5に示すように、本実施形態では、視線誘導体30は立体的に表示される筐体30であり、車室側に向く面30a、及び、その裏側のフロントウインド2に向く面30bを有する。図5に示すように、視線誘導体30は、その横方向に延びるx軸及びその縦方向に延びるy軸を有し、図5の矢印A及びBで示すように、そのx軸及びy軸まわりに揺動するよう表示される。本実施形態では、視線誘導体30のx軸は、車両の車体に対して水平方向に延び、y軸は、車両の車体に対して鉛直方向に延びる。
【0028】
なお、図6に示すように、視線誘導体30の他の例として、自動車の外観を模したデザイン(図6(a))、お守りのデザイン(図6(b))、スマイルマーク等のキャラクタの模様を有する球状のデザイン(図6(c))等の実体物をディスプレイ1aの代わりに設けても良い。又は、それらの実体物に相当する画像をディスプレイ1aに表示しても良い。これらのデザインは、ドライバが、そのx軸及びy軸まわりの揺動を容易に視認出来るものであるのが好ましい。
【0029】
ここで、視線誘導装置1と情報表示装置8との相対位置関係について、説明する。
後述するように、ディスプレイ1aに表示される視線誘導体30(又は、実体物としての視線誘導体)は、情報提供時、運転補助情報提供装置8のディスプレイ10の側を向くように制御される。ここで、視線誘導体30が向くべきディスプレイ10の方向は、ドライバの画面入力等で初期調整(実体物の場合はティーチング)される。また、例えば、各ディスプレイ1a、10の配置後、運転席側から、それらのディスプレイ1a、10を含むようにフロントウインド2やダッシュボード6の全景を撮影し、その画像データを基に、初期位置のデータとして挙動調整部40に記憶させるようにしても良いし、装置1及び装置8間での、RFIDによる固体識別のデータから、ディスプレイ10に対するディスプレイ1aの相対位置の認識を行うようにしても良いし、全方位のアンテナを各装置1、8に設けて相対位置を認識するようにしても良い。
なお、運転補助情報提供装置8(ディスプレイ10)及び情報視線誘導装置1(ディスプレイ1a)の配置は、ドライバの好みに応じて適宜配置可能である。即ち、例えば、ディスプレイ10をディスプレイ1aの側方に配置しても良い。一方、ディスプレイ10が、予めインパネ等に設けられるなど、移動出来ない場合もある。これらの場合にも、上述したような手法(ティーチング、RFID等)により、相対位置を認識させ、視線誘導体30(又は、実体物としての視線誘導体)が、情報提供時、ディスプレイ10の側に向くようにすることが出来る。
【0030】
次に、図7乃至図16により、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の制御内容を説明する。図7は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の制御内容を示すフローチャートであり、図8は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動の振幅(a)及び揺動の周期(b)と情報提供対象物までの到達時間との関係を示す線図であり、図9は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動振幅の第1の補正係数とステアリング舵角との関係を示す線図であり、図10は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動の中心姿勢角度とドライバの頭部方向(a)及びステアリング舵角(b)との関係を示す線図であり、図11は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の通常挙動時及び予告挙動時の動作を説明するための図1と同様に示す概略図であり、図12は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の交差点走行時における揺動挙動の動作を説明するための図1と同様に示す概略図であり、図13は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の図7に示す姿勢変更復帰処理の制御内容を示すフローチャートであり、図14は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の情報提供タイミングにおける視線誘導挙動の動作を説明するための図1と同様に示す概略図であり、図15は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置における情報提供タイミングでの視線誘導体の姿勢と経過時間との関係を示す線図であり、図16は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置における押しボタン操作時の視線誘導体の位置と経過時間との関係を示す線図である。なお、図7及び図13において、Sは、各ステップを示す。
【0031】
先ず、図7に示すように、S1において、運転補助情報提供装置8の制御部24から受信した各種情報から、現在の車両位置から運転補助情報の対象物(事故が多発している交差点や横断歩道、排気ガスが濃く窓を閉めた方が良い場所等の障害物)までの到達時間ttcを検出する。
次に、S2において、ステアリングの舵角を検出し、S3において、ドライバ頭部挙動検知部36に検知されたドライバの頭部の挙動から、ドライバの頭部の左右方向の向きを検出する。
次に、S4において、図8(a)に示すようなマップ及びS1で検出した到達時間ttcに基づいて、筐体(視線誘導体)30のy軸(図5参照)まわりの揺動振幅fB(ttc)を決定する。次に、S5において、図8(b)に示すようなマップ及びS1で検出した到達時間ttcに基づいて、筐体30のy軸まわりの揺動周期fF(ttc)を決定する。
ここで、図8(a)及び図8(b)において、横軸に示すTは、情報提供タイミングである。即ち、車両が進行して対象物への到達時間ttcが短くなり、時間Tの時点となると、対象物に関する運転補助情報がディスプレイ10に表示される。この情報提供タイミングTは、例えば、到達時間が3秒のとき、と設定される。
ここで、図8(a)及び図8(b)に示すように、運転補助情報が提供されないとき(到達時間ttcが時間Tより長い場合)において、到達時間ttcが時刻t1以上のときは、揺動振幅fB及び揺動周期fFはいずれも一定(通常挙動)であり、到達時間ttcが時刻t1より短くなると、揺動振幅fB及び揺動周期fFが、いずれも、通常挙動時の一定値より小さく且つ時刻Tに近づくにつれ小さくなるように変動(予告挙動)する。ここで、通常挙動における周期は、例えば、それほど緊張感を必要としないような直線道路走行時に、ドライバが左右方向に気を配ることにより自然と頭部が左右に動くときのような比較的長い周期である。
【0032】
次に、S6において、図9に示すようなマップ及びS2で検出したステアリング舵角θに基づいて、S4で決定した揺動振幅fBの補正係数CB1(θ)を決定する。
ここで、筐体30の揺動姿勢は、以下の式で表される。
筐体揺動姿勢=CB1×CB2×fB×sin(2π/fF×t) ・・・式(1)
第2の補正係数CB2は、このS6では、CB2=1である。
ここで、図9に示すように、ステアリング舵角θが小さいとき(主に直進時)には、補正係数CB1=1であり、ステアリング舵角θが所定値以上の場合(例えば交差点の右左折時)には、筐体30の揺動振幅が小さくなるよう、補正係数CB1が1より小さくなる。
【0033】
次に、S7において、図10(a)及び図10(b)に示すようなマップ、S2で検出したステアリング舵角θ及びS3で検出したドライバの頭部方向に基づいて、筐体30の揺動中心姿勢φ0を決定する。このS7では、検出されたステアリング舵角θ及びドライバの頭部方向のうち、どちらか、その角度の絶対値が大きい方の検出値を用いて、図10(a)又は図10(b)により、揺動中心姿勢φ0を決定する。
本実施形態では、筐体30が、そのy軸まわりに揺動するようにしており、このφ0は、その揺動の中心姿勢角度である。φ0が0のとき、筐体の面30bは車両の正面方向を向く。即ち、φ0が0のとき、ドライバが正面を向いているものとして、筐体30のx軸は車体前後方向に対して直交する方向に延び、筐体30のy軸は車体に対して鉛直方向に延びるようにされる。
このS7の処理により、筐体30は、例えば、直進時にドライバが左側の歩道の方向に気を配ることにより頭部が左に向くとき、揺動中心における面30bの法線が、そのような頭部の向きと一致するよう揺動中心姿勢φ0が同期し、交差点の右左折走行時は、その揺動中心姿勢φ0がステアリング舵角と連動するようにすることが出来る。
【0034】
次に、S8において、筐体30が、S4乃至S7の処理により決定した挙動で揺動するよう制御される。このS8による揺動の例を図11及び図12に示す。図11に示すように、通常挙動(矢印C)及び予告挙動(矢印D)では、筐体30が、揺動中心に対して、そのy軸まわりに揺動する。このとき、筐体30のy軸は、車体に対して鉛直方向に延び、且つ、そのx軸が車体に対して水平方向且つドライバの頭部方向に直交する方向に延びるように揺動する。また、図12に示すように、交差点の左折走行時には、筐体30が、矢印Eで示すように、そのy軸まわりに左折方向に向くよう揺動する。なお、これらの例では、運転補助情報提供装置8のディスプレイ10には、通常のナビゲーション用の地図が表示されている。
【0035】
次に、S9において、情報取得手段38が取得した情報に基づいて、S1で検出した到達時間ttcが、情報提供タイミングT(図8参照)であるか否かを判定する。
S9において、到達時間ttcが情報提供タイミングTに達していない(ttc>T)と判定された場合には、S1乃至S8の処理を繰り返し実行する。
【0036】
S9において、到達時間ttcが情報提供タイミングTに達した(ttc=T)と判定されたときは、S10に進み、S2で検出したステアリング舵角が所定値を超え且つ車速が所定値を超えているか否かを判定する。これらの所定値は、例えば、ドライバがより運転に集中すべき交差点の右左折走行時に、後述する筐体姿勢変更を禁止するように設定されると共に、直進時や、ステアリングを大きく切っていても停止しているときには、後述する筐体姿勢変更を実行するように設定される。
即ち、図7に示すように、S10において、ステアリング舵角が所定値を超え且つ車速が所定値を超えていると判定された場合には、S11乃至S13の処理を実行せず、そうでない場合には、S11に進む。
【0037】
次に、S11において、筐体30の揺動振幅fBの補正係数CB2を0と設定する。この補正係数CB2は、上述した式(1)に代入され、まず筐体30の揺動が止められる。
次に、S12において、筐体30を、情報が提供されるディスプレイ10に向けて揺動させる姿勢変更及び通常挙動への復帰の処理が実行される。
【0038】
図13に示すように、この筐体姿勢変更復帰処理は、まず、S20において、筐体30が情報提供ディスプレイ10に向けて揺動するよう、その姿勢を変更する処理が実行される。このS20による処理は、S21により、筐体30の姿勢が目標値に達すると判定されるまで繰り返し実行される。
ここで、図14に姿勢変更の一例を示す。本実施形態では、図14に示すように、筐体30のウインド2側の面30bが、上方に配置されたディスプレイ10の側を向くように、主にそのx軸まわりに揺動させて、ドライバの視線を誘導する。このような揺動は、例えば人間が視線を持ち上げるときに頭部の向きが自然と上方に向くような動きを模して行われる。このとき、図14に示すように、運転補助情報提供装置8のディスプレイ10には、運転補助情報50として、横断歩道の標識及び文字が表示されている。
これらのS20及びS21の処理では、図15に示すように、面30bの法線ベクトルnが、情報提供タイミングTの時点での法線ベクトルから、目標値である法線ベクトルn1(例えば図14に示すような向き)になるまで遷移するよう制御される。この遷移時間は、本実施形態では、0.5秒である。
【0039】
次に、S22及びS23において、一定時間経過するまで、法線ベクトルn1での姿勢を維持する。これにより、ドライバの視線を情報提供箇所であるディスプレイ10に停留させるようにする。この維持時間は、本実施形態では、0.5秒である。
次にS24及びS25において、筐体30が、初期状態(時刻Tでの状態)に復帰するよう、S20における揺動の向きとは逆の向きで筐体30を揺動させる。この復帰時間は、本実施形態では、0.5秒である。
これらのS20乃至S25の処理の後、図7に示すように、S13に進み、筐体30の揺動振幅fBの補正係数CB2を1に戻す設定をする。この補正係数CB2は、上述した式(1)に代入され、S11で止められていた筐体30の揺動を復帰させる。
その後は、到達時間ttcが0になるまで、筐体30は、S1乃至S7(図7参照)の処理と同様に、図8乃至図10のマップに従って制御される。
【0040】
ここで、例えば、ドライバが地図画面を拡大するボタン(図示せず)等、所定のボタンを押すと、S1乃至S13(図7参照)の処理中、筐体30がどのような揺動をしていても、筐体30が、その操作に反応して、上述したような揺動とは異なる動作をするようになっている。本実施形態では、図16に示すように、筐体30が、ボタンが押された時刻tbから所定の遷移時間(例えば0.5秒)かけてy軸方向に沿って下がり、その後所定の復帰時間(例えば1秒)かけて元の揺動状態に戻るようになっている。
このようなボタン操作に対する連動により、ドライバが装置1の正常動作を確認し、また、ドライバの意思により、筐体30の揺動動作を止めることが出来る。
【0041】
なお、上述した実施形態では、ドライバの頭部の向きを検出し、筐体30の中立位置をその向きに同期させるように制御しているが、ドライバ頭部画像取得手段34により取得された画像からドライバの視線方向を検出し、筐体30の中立位置をこの検出された視線方向に同期させるように制御しても良い。
【0042】
次に、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の作用効果を説明する。
先ず、本実施形態においては、視線誘導体30に対して所定の方向に配置された情報提供ディスプレイ10に対して、そのディスプレイ10により所定の運転補助情報50が提供されるタイミングTで、視線誘導体30がドライバの視線を誘導するような視線誘導挙動をとるので、ドライバに煩わしさを感じさせることなく、情報提供ディスプレイ10に効果的に視線を誘導して、ドライバに車両の前方や周囲の状況を効果的に認識させることが出来る。
また、本実施形態においては、所定の運転補助情報50が提供されないときには、視線誘導体30が一定の周期で揺動するので、ドライバに親和感や一体感のようなものを感じさせることが出来る。さらに、ドライバに視線誘導装置が正常に作動していることを煩わしくなく伝えることが出来る。
【0043】
また、本実施形態においては、所定の運転補助情報50が提供される場所または時間Tが近づくと、視線誘導体30が、その周期及び振幅が通常挙動のときより小さくなる予告挙動をするようにしているので、ドライバに煩わしさを感じさせることなく、何らかの情報が提供されることを予め認識させることが出来る。さらに、その後の視線誘導挙動時に、ドライバの視線をより確実に情報提供ディスプレイ10に誘導することが出来る。また、視線誘導体30の予告挙動により、ドライバにとって、急に視線誘導されるような驚きを抑制すると共にドライバに対して情報提示されることの心構えを与えることが出来る。
【0044】
また、本実施形態においては、情報提供ディスプレイ10により所定の運転補助情報50が提供されないとき、検出されたドライバの頭部の向きと同期した挙動をとるよう視線誘導体30の挙動が制御されるので、視線誘導体30との親和感や一体感のようなものをドライバに感じさせることが出来る。
また、本実施形態においては、視線誘導挙動時、視線誘導体30を情報提供ディスプレイ10の方向に向けて揺動させるので、効果的に、ドライバの視線を情報提供ディスプレイ10に誘導することが出来る。
また、本実施形態においては、視線誘導体30は、視線誘導挙動時と通常挙動時又は予告挙動時とで、異なる方向に揺動するので、ドライバの視線を無理なく情報提供ディスプレイに誘導することが出来る。
【0045】
また、本実施形態においては、視線誘導体30は、立体的な筐体30の形状を有し、通常挙動時及び予告挙動時には、その面30b(30a)が、検出されたドライバの頭部の向きと一致する方向を中心に揺動するので、ドライバに親和感や一体感のようなものを感じさせることが出来る。さらに、視線誘導挙動時には、面30bが情報提供ディスプレイ10側の方向に揺動するので、効果的に、ドライバの視線を情報提供ディスプレイ10に誘導することが出来る。
【0046】
また、本実施形態においては、視線誘導体30が、検出されたステアリング舵角と連動するようにy軸まわりに揺動するようにしているので、このような視線誘導体30により、車両との一体感をドライバに与えることが出来る。
また、本実施形態においては、車速が所定値を超え且つステアリング舵角が所定値を超えるとき、視線誘導体の視線誘導挙動を禁止するので、例えば右左折走行時のように交差点の状況を注視しているような状況で、ドライバの運転集中度合いの低下を抑制することが出来る。
また、本実施形態においては、視線誘導体30は、x軸及びy軸まわりの挙動がドライバに視認可能な形状及び/又は模様を有する表示画像(図4参照)又は実体物(図6参照)であるので、このような視線誘導体30により、ドライバの視線を効果的に情報提供ディスプレイ10に向けることが出来る。
【符号の説明】
【0047】
1 車両用視線誘導装置
2 フロントウインド
8 運転補助情報提供装置
10 情報提供ディスプレイ
30 視線誘導体/筐体
30a、30b 筐体の面
50 運転補助情報
A〜E 視線誘導体/筐体の揺動方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用視線誘導装置に係り、特に、乗員の視線を所定の情報提供ディスプレイに誘導する車両用視線誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドライバの視線誘導や注意喚起を促す表示をフロントウインドに表示する表示方法及び運転支援装置が開示されている。この表示方法及び運転支援装置では、例えば、フロントウインド越しに見える障害物の存在をドライバに注意喚起するための表示をフロントウインド上に表示すると共に、障害物にドライバの視線が向くよう、その注意喚起位置から視線誘導を行う表示をし、さらに、そのような障害物をドライバの視線上且つフロントウインド上に強調表示するようになっている。
【0003】
ここで、近年、車両に搭載されるナビゲーションシステムが普及し、また、フロントウインド上方やダッシュボード上に簡易に設置可能なポータブルナビゲーション機器或いは高機能携帯端末を利用したナビゲーション等の情報提供装置(情報提供機器)が知られている。これらの情報提供装置のディスプレイには、車両の周囲の注意すべき又は注意した方がよい状況(例えば、交差点や横断歩道の有無など)を地図、道路標識記号、文字情報等により表示可能なことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の表示方法及び運転支援装置では、注意喚起位置から障害物の位置まで視線を誘導する表示が必要であり、ドライバにとっては、誘導表示に従わなければ障害物の位置が分かりにくい、という問題があった。また、フロントウインドの比較的全面を使用して、上述した注意喚起表示等、視線誘導表示及び障害物強調表示を行うものであるので、ドライバにとって煩わしい、という問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ドライバに煩わしさを感じさせることなく、効果的にドライバの視線を情報提供装置に誘導して、ドライバに車両の周囲の状況を効果的に認識させることが出来る車両用視線誘導装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、乗員の視線を所定の情報提供ディスプレイに誘導する車両用視線誘導装置であって、ドライバの視線方向を誘導するための視線誘導体と、この視線誘導体の挙動を制御する視線誘導体挙動制御手段と、を有し、所定の情報提供ディスプレイは、視線誘導体に対して所定の方向に配置され、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されるとき、ドライバの視線を情報提供ディスプレイへ誘導するような視線誘導挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されるとき、視線誘導体が、ドライバの視線を情報提供ディスプレイへ誘導するような視線誘導挙動をとるので、ドライバに煩わしさを感じさせることなく、所定の情報を提供する情報提供ディスプレイに効果的に視線を誘導して、ドライバに車両の前方や周囲の状況を効果的に認識させることが出来る。
【0008】
本発明において、好ましくは、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されないとき、視線誘導体に一定の周期の連続的な揺動の通常挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御する。
このように構成された本発明においては、所定の情報が提供されないとき、視線誘導体が、一定の周期で揺動するので、ドライバに親和感や一体感のようなものを感じさせることが出来ると共にドライバに視線誘導装置が正常に作動していることを煩わしくなく伝えることが出来る。
【0009】
本発明において、好ましくは、視線誘導体挙動制御手段は、所定の情報が提供される場所または時間が近づくにつれ、その周期が変動する予告挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御する
このように構成された本発明においては、視線誘導体の周期が変動する予告挙動により、ドライバは、何らかの情報が提供されることを予め認識することが出来るので、その後の視線誘導挙動により、ドライバの視線を、より確実に、情報が提供されるタイミングで情報提供ディスプレイに誘導することが出来る。
【0010】
本発明において、好ましくは、視線誘導体の通常挙動は、一定の振幅を有する揺動であり、視線誘導体挙動制御手段は、所定の情報が提供される場所または時間が近づくにつれ、その振幅が変動する予告挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御する。
このように構成された本発明においては、視線誘導体の振幅が変動する予告挙動により、ドライバは、何らかの情報が提供されることを予め認識することが出来るので、その後の視線誘導挙動により、ドライバの視線を、より確実に、情報が提供されるタイミングで情報提供ディスプレイに誘導することが出来る。
【0011】
本発明において、好ましくは、予告挙動時、視線誘導体の周期及び振幅が通常挙動時よりも小さくなるように制御される。
このように構成された本発明においては、ドライバに、より確実に且つ煩わしさを感じさせることなく、情報提供されることを予め認識させることが出来る。
【0012】
本発明において、好ましくは、さらに、ドライバの頭部の向きを検出する頭部向き検出手段を有し、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されないとき、検出されたドライバの頭部の向きと同期した挙動をとるよう視線誘導体の挙動を制御する。
このように構成された本発明においては、視線誘導体との親和感や一体感のようなものをドライバに感じさせることが出来る。
【0013】
本発明において、好ましくは、視線誘導体挙動制御手段は、視線誘導挙動時、視線誘導体を所定の方向に配置された情報提供ディスプレイの方向に向けて揺動させる。
このように構成された本発明においては、効果的に、所定の情報を提供する情報提供ディスプレイに効果的にドライバの視線を誘導することが出来る。
【0014】
本発明において、好ましくは、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されないとき、視線誘導体を上記視線誘導挙動時の揺動方向とは異なる方向に揺動させる。
このように構成された本発明においては、視線誘導体は、所定の情報が提供されるタイミングでの視線誘導挙動をするときと、所定の情報が提供されないときとで異なる方向に揺動するので、ドライバの視線を無理なく情報提供ディスプレイに誘導することが出来る。
【0015】
本発明において、好ましくは、視線誘導体は水平方向に延びるx軸及び鉛直方向に延びるy軸を有し、視線誘導体挙動制御手段は、視線誘導挙動時、視線誘導体が所定の方向に配置された情報提供ディスプレイの方向に向くよう視線誘導体をそのx軸及び/又はy軸まわりに揺動させ、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されないとき、視線誘導体をそのy軸を揺動軸として揺動させる。
このように構成された本発明においては、視線誘導時、効果的に、所定の情報を提供する情報提供ディスプレイにドライバの視線を誘導することが出来る。
【0016】
本発明において、好ましくは、さらに、ドライバの頭部の向きを検出する頭部向き検出手段を有し、視線誘導体は、立体的な筐体の形状を有する表示画像であり、視線誘導体挙動制御手段は、情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されないとき、函体の所定の面が、検出されたドライバの頭部の向きと一致する方向を中心に揺動すると共に、視線誘導挙動時には、所定の面が情報提供ディスプレイに向けた方向に揺動するように制御する。
このように構成された本発明においては、所定の情報が提供されないとき、ドライバに親和感や一体感のようなものを感じさせることが出来ると共に、視線誘導挙動時には、ドライバの頭部の向きと一致する方向に向いていた面が情報提供ディスプレイに向けて揺動するので、効果的に、所定の情報を提供する情報提供ディスプレイにドライバの視線を誘導することが出来る。
【0017】
本発明において、好ましくは、さらに、ステアリングの舵角を検出する舵角検出手段を有し、視線誘導体挙動制御手段は、検出された舵角と連動するように視線誘導体をその縦方向に延びるy軸まわりに揺動させる。
このように構成された本発明においては、視線誘導体が車両の挙動と連動した挙動をするので、車両との一体感をドライバに与えることが出来る。
【0018】
本発明において、好ましくは、視線誘導体挙動制御手段は、車速が所定値を超え且つステアリング舵角が所定値を超えるとき、視線誘導体の視線誘導挙動を禁止する。
このように構成された本発明においては、例えば右左折走行時のように交差点の状況を注視しているような状況で、視線誘導体の視線誘導挙動を禁止することにより、ドライバの運転集中度合いの低下を抑制することが出来る。
【0019】
本発明において、好ましくは、視線誘導体は水平方向に延びるx軸及び鉛直方向に延びるy軸を有し、且つ、これらのx軸及びy軸まわりの挙動がドライバに視認可能な形状及び/又は模様を有する表示画像又は実体物である。
このように構成された本発明においては、ドライバの視線を効果的に情報提供ディスプレイに向けることが出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明による車両用視線誘導装置によれば、ドライバに煩わしさを感じさせることなく、効果的にドライバの視線を情報提供装置に誘導して、ドライバに車両の周囲の状況を効果的に認識させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の配置を車両のフロントウインド及び情報提供機器と共に示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に適用される運転補助情報提供装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態における車両用視線誘導装置の視線誘導体の表示例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における車両用視線誘導装置の図4に示す視線誘導体の基本動作を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態における視線誘導体の他の例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動の振幅(a)及び揺動の周期(b)と情報提供対象物までの到達時間との関係を示す線図である。
【図9】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動振幅の第1の補正係数とステアリング舵角との関係を示す線図である。
【図10】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動の中心姿勢角度とドライバの頭部方向(a)及びステアリング舵角(b)との関係を示す線図である。
【図11】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の通常挙動時及び予告挙動時の動作を説明するための図1と同様に示す概略図である。
【図12】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の交差点走行時における揺動挙動の動作を説明するための図1と同様に示す概略図である。
【図13】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の図7に示す姿勢変更復帰処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の情報提供タイミングにおける視線誘導挙動の動作を説明するための図1と同様に示す概略図である。
【図15】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置における情報提供タイミングでの視線誘導体の姿勢と経過時間との関係を示す線図である。
【図16】本発明の実施形態による車両用視線誘導装置における押しボタン操作時の視線誘導体の位置と経過時間との関係を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置を説明する。
先ず、図1により、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の配置及びその情報表示装置との位置関係を説明する。図1は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の配置を車両のフロントウインド及び情報提供機器と共に示す概略図である。
先ず、図1に示すように、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置1は、フロントウインド2の下方で且つドライバが視認可能な位置で、ダッシュボード4上に配置されている。フロントウインド2の上方には、バックミラ−6の側方に、運転補助情報提供装置8が配置されている。本実施形態では、車両用視線誘導装置1は、運転補助情報提供装置8のほぼ真下方向に設けられている。
運転補助情報提供装置8は、いわゆるナビゲーション機能を有する高機能携帯端末である。この運転補助情報提供装置8は、情報提供ディスプレイ10を有し、この情報提供ディスプレイ10には、通常はナビゲーションに使用される地図が表示され、また、所定の情報、例えば、事故が多発している交差点や横断歩道、排気ガスが濃く窓を閉めた方が良い場所など、ドライバが認識すべき或いは認識すると良い運転補助情報(障害物の警告情報)が文字、標識記号などで表示されるようになっている。
ここで、運転補助情報提供装置8は、フロントウインド2の上方や下方等、ドライバが適宜その位置を設定することが出来る。なお、運転補助情報提供装置8は、持ち運び可能で、簡易に車内に設けることが出来るポータブルナビゲーション装置や、インパネやダッシュボード等に予め設けられた車載のナビゲーションシステム等の情報表示装置や、車載の所定の投影装置によりフロントウインド2の所定の位置に地図等を投影するものでも良い。
【0023】
次に、図2により、運転補助情報提供装置のシステム構成を説明する。図2は、本発明の実施形態に適用される運転補助情報提供装置のシステム構成を示すブロック図である。
図2に示すように、運転補助情報提供装置8は、外部のインフラからの運転補助情報として、ネットワーク上の蓄積情報を受信する通信手段12と、この受信した運転補助情報から、自車両が走行する地点に関する情報を取得する地点情報取得部14と、通信手段12により受信した情報及び地点情報取得部14により取得した情報を記憶する記憶手段16とを有する。
また、運転補助情報提供装置8は、この運転補助情報提供装置8に内蔵されたカメラ18により、車両の周囲環境の視界を画像として取得する車両周囲画像取得手段20と、この車両周囲画像取得手段20により取得された画像から、例えば、横断歩道、工事標識など、ドライバが認識すべき障害物を検知する障害物検知部22とを有する。なお、カメラ18は、車両に予め搭載された前方撮像カメラ等でも良い。
また、運転補助情報提供装置8は、運転補助情報制御部24を有し、この運転補助情報制御部24は、上述した記憶手段16に記憶された情報及び障害物検知部22により検知された障害物に関する信号を受け取り、情報提供ディスプレイ10に表示する運転補助情報の提供内容及びその提供時期(表示タイミング)を制御する。この制御部24は、地図情報や車速を基に、対象とする障害物(例えば、上述した横断歩道)までの車両の到達時間を算出し、この算出した到達時間に基づいて運転補助情報の提供タイミングを決定する。なお、制御部24は、地図及び車両の現在地の表示も制御する。
【0024】
次に、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置を説明する。
先ず、図3乃至図6により、本実施形態による車両用視線誘導装置のシステム構成及び視線誘導体の例を説明する。図3は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置のシステム構成を示すブロック図であり、図4は、本発明の実施形態における車両用視線誘導装置の視線誘導体の表示例を示す図であり、図5は、本発明の実施形態における車両用視線誘導装置の図4に示す視線誘導体の基本動作を説明するための図であり、図6は、本発明の実施形態における視線誘導体の他の例を示す図である。
本実施形態による車両用視線誘導装置1は、専用のソフトウェアをダウンロードするなどして、視線誘導機能を組み込んだ高機能携帯端末である。
図3に示すように、この視線誘導装置1は、後述する視線誘導体30(図4参照)の基本挙動を生成する基本挙動生成部32を有する。この基本挙動生成部32は、後述するように、通常挙動時及び予告挙動時には、視線誘導体30が、そのy軸まわりに揺動し、一方、視線誘導挙動時には、視線誘導体30がディスプレイ10の方向を向けてx軸及びy軸まわりに揺動するような基本挙動を生成する。
また、視線誘導装置1は、ドライバの頭部画像を取得するドライバ頭部画像取得手段34と、この取得されたドライバの頭部画像からドライバの頭部の挙動を検知するドライバ頭部挙動検知部36とを有する。このドライバ頭部挙動検知部36は、主に、直進時や右左折時等において、ドライバが左右方向に気を配ることにより動く頭部の左右方向の向きを検知する。本実施形態では、ドライバ頭部画像取得手段34は、高機能携帯端末に内蔵されたカメラである。なお、車内に予め設けられた所定のカメラでもよい。
【0025】
また、視線誘導装置1は、上述した運転補助情報提供装置8の運転補助情報制御部24からの運転補助情報の情報提供内容、到達時間及び提供タイミングに関する信号を取得する情報取得手段38を有する。この情報取得手段38は、運転補助情報制御部24からの信号を、無線通信やクラウド(コンピューティング)等を介して受信するようになっている。
また、視線誘導装置1は、基本挙動生成部32で生成された基本挙動、情報取得手段38により取得した情報及びドライバ頭部挙動検知部36により検知された頭部挙動を基に、視線誘導体30の挙動を調整(決定)する挙動調整部40を有する。
さらに、本実施形態では、挙動調整部40は、車両制御部39からの運転操作情報に関する信号からステアリングの舵角を検出する舵角検出手段(図示せず)を有し、挙動調整部40は、この検出したステアリング舵角に基づいて、視線誘導体30の挙動を調整する。
【0026】
さらに、視線誘導装置1は、この挙動調整部40で調整された挙動を有する視線誘導体30を、高機能携帯端末のディスプレイ1aへ表示するように制御する挙動制御部42を有する。本実施形態では、図4に一例を示すように、フロントウインド2に取り付けられた高機能携帯端末(視線誘導装置1)のディスプレイ1aに、視線誘導体30が表示される。
なお、図3に示すようなシステム構成を別体で設け、高機能携帯端末を視線誘導体30の表示装置として用いるような形態でも良い。また、視線誘導体30をヘッドアップディスプレイ等でフロントウインド2に表示するようにした装置をダッシュボード等に設けるような形態でも良い。また、視線誘導体が、後述する他の例による実体物としての視線誘導体(図6参照)である場合には、その実体物に挙動制御部42等を内蔵させ、その実体物が同様の挙動動作をするように制御される。
【0027】
図5に示すように、本実施形態では、視線誘導体30は立体的に表示される筐体30であり、車室側に向く面30a、及び、その裏側のフロントウインド2に向く面30bを有する。図5に示すように、視線誘導体30は、その横方向に延びるx軸及びその縦方向に延びるy軸を有し、図5の矢印A及びBで示すように、そのx軸及びy軸まわりに揺動するよう表示される。本実施形態では、視線誘導体30のx軸は、車両の車体に対して水平方向に延び、y軸は、車両の車体に対して鉛直方向に延びる。
【0028】
なお、図6に示すように、視線誘導体30の他の例として、自動車の外観を模したデザイン(図6(a))、お守りのデザイン(図6(b))、スマイルマーク等のキャラクタの模様を有する球状のデザイン(図6(c))等の実体物をディスプレイ1aの代わりに設けても良い。又は、それらの実体物に相当する画像をディスプレイ1aに表示しても良い。これらのデザインは、ドライバが、そのx軸及びy軸まわりの揺動を容易に視認出来るものであるのが好ましい。
【0029】
ここで、視線誘導装置1と情報表示装置8との相対位置関係について、説明する。
後述するように、ディスプレイ1aに表示される視線誘導体30(又は、実体物としての視線誘導体)は、情報提供時、運転補助情報提供装置8のディスプレイ10の側を向くように制御される。ここで、視線誘導体30が向くべきディスプレイ10の方向は、ドライバの画面入力等で初期調整(実体物の場合はティーチング)される。また、例えば、各ディスプレイ1a、10の配置後、運転席側から、それらのディスプレイ1a、10を含むようにフロントウインド2やダッシュボード6の全景を撮影し、その画像データを基に、初期位置のデータとして挙動調整部40に記憶させるようにしても良いし、装置1及び装置8間での、RFIDによる固体識別のデータから、ディスプレイ10に対するディスプレイ1aの相対位置の認識を行うようにしても良いし、全方位のアンテナを各装置1、8に設けて相対位置を認識するようにしても良い。
なお、運転補助情報提供装置8(ディスプレイ10)及び情報視線誘導装置1(ディスプレイ1a)の配置は、ドライバの好みに応じて適宜配置可能である。即ち、例えば、ディスプレイ10をディスプレイ1aの側方に配置しても良い。一方、ディスプレイ10が、予めインパネ等に設けられるなど、移動出来ない場合もある。これらの場合にも、上述したような手法(ティーチング、RFID等)により、相対位置を認識させ、視線誘導体30(又は、実体物としての視線誘導体)が、情報提供時、ディスプレイ10の側に向くようにすることが出来る。
【0030】
次に、図7乃至図16により、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の制御内容を説明する。図7は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の制御内容を示すフローチャートであり、図8は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動の振幅(a)及び揺動の周期(b)と情報提供対象物までの到達時間との関係を示す線図であり、図9は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動振幅の第1の補正係数とステアリング舵角との関係を示す線図であり、図10は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の揺動の中心姿勢角度とドライバの頭部方向(a)及びステアリング舵角(b)との関係を示す線図であり、図11は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の通常挙動時及び予告挙動時の動作を説明するための図1と同様に示す概略図であり、図12は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の交差点走行時における揺動挙動の動作を説明するための図1と同様に示す概略図であり、図13は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の図7に示す姿勢変更復帰処理の制御内容を示すフローチャートであり、図14は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の視線誘導体の情報提供タイミングにおける視線誘導挙動の動作を説明するための図1と同様に示す概略図であり、図15は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置における情報提供タイミングでの視線誘導体の姿勢と経過時間との関係を示す線図であり、図16は、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置における押しボタン操作時の視線誘導体の位置と経過時間との関係を示す線図である。なお、図7及び図13において、Sは、各ステップを示す。
【0031】
先ず、図7に示すように、S1において、運転補助情報提供装置8の制御部24から受信した各種情報から、現在の車両位置から運転補助情報の対象物(事故が多発している交差点や横断歩道、排気ガスが濃く窓を閉めた方が良い場所等の障害物)までの到達時間ttcを検出する。
次に、S2において、ステアリングの舵角を検出し、S3において、ドライバ頭部挙動検知部36に検知されたドライバの頭部の挙動から、ドライバの頭部の左右方向の向きを検出する。
次に、S4において、図8(a)に示すようなマップ及びS1で検出した到達時間ttcに基づいて、筐体(視線誘導体)30のy軸(図5参照)まわりの揺動振幅fB(ttc)を決定する。次に、S5において、図8(b)に示すようなマップ及びS1で検出した到達時間ttcに基づいて、筐体30のy軸まわりの揺動周期fF(ttc)を決定する。
ここで、図8(a)及び図8(b)において、横軸に示すTは、情報提供タイミングである。即ち、車両が進行して対象物への到達時間ttcが短くなり、時間Tの時点となると、対象物に関する運転補助情報がディスプレイ10に表示される。この情報提供タイミングTは、例えば、到達時間が3秒のとき、と設定される。
ここで、図8(a)及び図8(b)に示すように、運転補助情報が提供されないとき(到達時間ttcが時間Tより長い場合)において、到達時間ttcが時刻t1以上のときは、揺動振幅fB及び揺動周期fFはいずれも一定(通常挙動)であり、到達時間ttcが時刻t1より短くなると、揺動振幅fB及び揺動周期fFが、いずれも、通常挙動時の一定値より小さく且つ時刻Tに近づくにつれ小さくなるように変動(予告挙動)する。ここで、通常挙動における周期は、例えば、それほど緊張感を必要としないような直線道路走行時に、ドライバが左右方向に気を配ることにより自然と頭部が左右に動くときのような比較的長い周期である。
【0032】
次に、S6において、図9に示すようなマップ及びS2で検出したステアリング舵角θに基づいて、S4で決定した揺動振幅fBの補正係数CB1(θ)を決定する。
ここで、筐体30の揺動姿勢は、以下の式で表される。
筐体揺動姿勢=CB1×CB2×fB×sin(2π/fF×t) ・・・式(1)
第2の補正係数CB2は、このS6では、CB2=1である。
ここで、図9に示すように、ステアリング舵角θが小さいとき(主に直進時)には、補正係数CB1=1であり、ステアリング舵角θが所定値以上の場合(例えば交差点の右左折時)には、筐体30の揺動振幅が小さくなるよう、補正係数CB1が1より小さくなる。
【0033】
次に、S7において、図10(a)及び図10(b)に示すようなマップ、S2で検出したステアリング舵角θ及びS3で検出したドライバの頭部方向に基づいて、筐体30の揺動中心姿勢φ0を決定する。このS7では、検出されたステアリング舵角θ及びドライバの頭部方向のうち、どちらか、その角度の絶対値が大きい方の検出値を用いて、図10(a)又は図10(b)により、揺動中心姿勢φ0を決定する。
本実施形態では、筐体30が、そのy軸まわりに揺動するようにしており、このφ0は、その揺動の中心姿勢角度である。φ0が0のとき、筐体の面30bは車両の正面方向を向く。即ち、φ0が0のとき、ドライバが正面を向いているものとして、筐体30のx軸は車体前後方向に対して直交する方向に延び、筐体30のy軸は車体に対して鉛直方向に延びるようにされる。
このS7の処理により、筐体30は、例えば、直進時にドライバが左側の歩道の方向に気を配ることにより頭部が左に向くとき、揺動中心における面30bの法線が、そのような頭部の向きと一致するよう揺動中心姿勢φ0が同期し、交差点の右左折走行時は、その揺動中心姿勢φ0がステアリング舵角と連動するようにすることが出来る。
【0034】
次に、S8において、筐体30が、S4乃至S7の処理により決定した挙動で揺動するよう制御される。このS8による揺動の例を図11及び図12に示す。図11に示すように、通常挙動(矢印C)及び予告挙動(矢印D)では、筐体30が、揺動中心に対して、そのy軸まわりに揺動する。このとき、筐体30のy軸は、車体に対して鉛直方向に延び、且つ、そのx軸が車体に対して水平方向且つドライバの頭部方向に直交する方向に延びるように揺動する。また、図12に示すように、交差点の左折走行時には、筐体30が、矢印Eで示すように、そのy軸まわりに左折方向に向くよう揺動する。なお、これらの例では、運転補助情報提供装置8のディスプレイ10には、通常のナビゲーション用の地図が表示されている。
【0035】
次に、S9において、情報取得手段38が取得した情報に基づいて、S1で検出した到達時間ttcが、情報提供タイミングT(図8参照)であるか否かを判定する。
S9において、到達時間ttcが情報提供タイミングTに達していない(ttc>T)と判定された場合には、S1乃至S8の処理を繰り返し実行する。
【0036】
S9において、到達時間ttcが情報提供タイミングTに達した(ttc=T)と判定されたときは、S10に進み、S2で検出したステアリング舵角が所定値を超え且つ車速が所定値を超えているか否かを判定する。これらの所定値は、例えば、ドライバがより運転に集中すべき交差点の右左折走行時に、後述する筐体姿勢変更を禁止するように設定されると共に、直進時や、ステアリングを大きく切っていても停止しているときには、後述する筐体姿勢変更を実行するように設定される。
即ち、図7に示すように、S10において、ステアリング舵角が所定値を超え且つ車速が所定値を超えていると判定された場合には、S11乃至S13の処理を実行せず、そうでない場合には、S11に進む。
【0037】
次に、S11において、筐体30の揺動振幅fBの補正係数CB2を0と設定する。この補正係数CB2は、上述した式(1)に代入され、まず筐体30の揺動が止められる。
次に、S12において、筐体30を、情報が提供されるディスプレイ10に向けて揺動させる姿勢変更及び通常挙動への復帰の処理が実行される。
【0038】
図13に示すように、この筐体姿勢変更復帰処理は、まず、S20において、筐体30が情報提供ディスプレイ10に向けて揺動するよう、その姿勢を変更する処理が実行される。このS20による処理は、S21により、筐体30の姿勢が目標値に達すると判定されるまで繰り返し実行される。
ここで、図14に姿勢変更の一例を示す。本実施形態では、図14に示すように、筐体30のウインド2側の面30bが、上方に配置されたディスプレイ10の側を向くように、主にそのx軸まわりに揺動させて、ドライバの視線を誘導する。このような揺動は、例えば人間が視線を持ち上げるときに頭部の向きが自然と上方に向くような動きを模して行われる。このとき、図14に示すように、運転補助情報提供装置8のディスプレイ10には、運転補助情報50として、横断歩道の標識及び文字が表示されている。
これらのS20及びS21の処理では、図15に示すように、面30bの法線ベクトルnが、情報提供タイミングTの時点での法線ベクトルから、目標値である法線ベクトルn1(例えば図14に示すような向き)になるまで遷移するよう制御される。この遷移時間は、本実施形態では、0.5秒である。
【0039】
次に、S22及びS23において、一定時間経過するまで、法線ベクトルn1での姿勢を維持する。これにより、ドライバの視線を情報提供箇所であるディスプレイ10に停留させるようにする。この維持時間は、本実施形態では、0.5秒である。
次にS24及びS25において、筐体30が、初期状態(時刻Tでの状態)に復帰するよう、S20における揺動の向きとは逆の向きで筐体30を揺動させる。この復帰時間は、本実施形態では、0.5秒である。
これらのS20乃至S25の処理の後、図7に示すように、S13に進み、筐体30の揺動振幅fBの補正係数CB2を1に戻す設定をする。この補正係数CB2は、上述した式(1)に代入され、S11で止められていた筐体30の揺動を復帰させる。
その後は、到達時間ttcが0になるまで、筐体30は、S1乃至S7(図7参照)の処理と同様に、図8乃至図10のマップに従って制御される。
【0040】
ここで、例えば、ドライバが地図画面を拡大するボタン(図示せず)等、所定のボタンを押すと、S1乃至S13(図7参照)の処理中、筐体30がどのような揺動をしていても、筐体30が、その操作に反応して、上述したような揺動とは異なる動作をするようになっている。本実施形態では、図16に示すように、筐体30が、ボタンが押された時刻tbから所定の遷移時間(例えば0.5秒)かけてy軸方向に沿って下がり、その後所定の復帰時間(例えば1秒)かけて元の揺動状態に戻るようになっている。
このようなボタン操作に対する連動により、ドライバが装置1の正常動作を確認し、また、ドライバの意思により、筐体30の揺動動作を止めることが出来る。
【0041】
なお、上述した実施形態では、ドライバの頭部の向きを検出し、筐体30の中立位置をその向きに同期させるように制御しているが、ドライバ頭部画像取得手段34により取得された画像からドライバの視線方向を検出し、筐体30の中立位置をこの検出された視線方向に同期させるように制御しても良い。
【0042】
次に、本発明の実施形態による車両用視線誘導装置の作用効果を説明する。
先ず、本実施形態においては、視線誘導体30に対して所定の方向に配置された情報提供ディスプレイ10に対して、そのディスプレイ10により所定の運転補助情報50が提供されるタイミングTで、視線誘導体30がドライバの視線を誘導するような視線誘導挙動をとるので、ドライバに煩わしさを感じさせることなく、情報提供ディスプレイ10に効果的に視線を誘導して、ドライバに車両の前方や周囲の状況を効果的に認識させることが出来る。
また、本実施形態においては、所定の運転補助情報50が提供されないときには、視線誘導体30が一定の周期で揺動するので、ドライバに親和感や一体感のようなものを感じさせることが出来る。さらに、ドライバに視線誘導装置が正常に作動していることを煩わしくなく伝えることが出来る。
【0043】
また、本実施形態においては、所定の運転補助情報50が提供される場所または時間Tが近づくと、視線誘導体30が、その周期及び振幅が通常挙動のときより小さくなる予告挙動をするようにしているので、ドライバに煩わしさを感じさせることなく、何らかの情報が提供されることを予め認識させることが出来る。さらに、その後の視線誘導挙動時に、ドライバの視線をより確実に情報提供ディスプレイ10に誘導することが出来る。また、視線誘導体30の予告挙動により、ドライバにとって、急に視線誘導されるような驚きを抑制すると共にドライバに対して情報提示されることの心構えを与えることが出来る。
【0044】
また、本実施形態においては、情報提供ディスプレイ10により所定の運転補助情報50が提供されないとき、検出されたドライバの頭部の向きと同期した挙動をとるよう視線誘導体30の挙動が制御されるので、視線誘導体30との親和感や一体感のようなものをドライバに感じさせることが出来る。
また、本実施形態においては、視線誘導挙動時、視線誘導体30を情報提供ディスプレイ10の方向に向けて揺動させるので、効果的に、ドライバの視線を情報提供ディスプレイ10に誘導することが出来る。
また、本実施形態においては、視線誘導体30は、視線誘導挙動時と通常挙動時又は予告挙動時とで、異なる方向に揺動するので、ドライバの視線を無理なく情報提供ディスプレイに誘導することが出来る。
【0045】
また、本実施形態においては、視線誘導体30は、立体的な筐体30の形状を有し、通常挙動時及び予告挙動時には、その面30b(30a)が、検出されたドライバの頭部の向きと一致する方向を中心に揺動するので、ドライバに親和感や一体感のようなものを感じさせることが出来る。さらに、視線誘導挙動時には、面30bが情報提供ディスプレイ10側の方向に揺動するので、効果的に、ドライバの視線を情報提供ディスプレイ10に誘導することが出来る。
【0046】
また、本実施形態においては、視線誘導体30が、検出されたステアリング舵角と連動するようにy軸まわりに揺動するようにしているので、このような視線誘導体30により、車両との一体感をドライバに与えることが出来る。
また、本実施形態においては、車速が所定値を超え且つステアリング舵角が所定値を超えるとき、視線誘導体の視線誘導挙動を禁止するので、例えば右左折走行時のように交差点の状況を注視しているような状況で、ドライバの運転集中度合いの低下を抑制することが出来る。
また、本実施形態においては、視線誘導体30は、x軸及びy軸まわりの挙動がドライバに視認可能な形状及び/又は模様を有する表示画像(図4参照)又は実体物(図6参照)であるので、このような視線誘導体30により、ドライバの視線を効果的に情報提供ディスプレイ10に向けることが出来る。
【符号の説明】
【0047】
1 車両用視線誘導装置
2 フロントウインド
8 運転補助情報提供装置
10 情報提供ディスプレイ
30 視線誘導体/筐体
30a、30b 筐体の面
50 運転補助情報
A〜E 視線誘導体/筐体の揺動方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の視線を所定の情報提供ディスプレイに誘導する車両用視線誘導装置であって、
ドライバの視線方向を誘導するための視線誘導体と、
この視線誘導体の挙動を制御する視線誘導体挙動制御手段と、を有し、
上記情報提供ディスプレイは、上記視線誘導体に対して所定の方向に配置され、
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されるとき、ドライバの視線を上記情報提供ディスプレイへ誘導するような視線誘導挙動をとるよう上記視線誘導体の挙動を制御することを特徴とする車両用視線誘導装置。
【請求項2】
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記情報提供ディスプレイにより上記所定の情報が提供されないとき、上記視線誘導体に所定の一定の周期の連続的な揺動の通常挙動をとるよう上記視線誘導体の挙動を制御する請求項1に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項3】
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記所定の情報が提供される場所または時間が近づくにつれ、その周期が変動する予告挙動をとるよう上記視線誘導体の挙動を制御する請求項1又は請求項2に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項4】
上記視線誘導体の通常挙動は、一定の振幅を有する揺動であり、
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記所定の情報が提供される場所または時間が近づくにつれ、その振幅が変動する予告挙動をとるよう上記視線誘導体の挙動を制御する請求項3に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項5】
上記予告挙動時、上記視線誘導体の周期及び振幅が上記通常挙動時よりも小さくなるように制御される請求項4に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項6】
さらに、ドライバの頭部の向きを検出する頭部向き検出手段を有し、
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記情報提供ディスプレイにより上記所定の情報が提供されないとき、検出されたドライバの頭部の向きと同期した挙動をとるよう上記視線誘導体の挙動を制御する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項7】
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記視線誘導挙動時、上記視線誘導体を上記所定の方向に配置された情報提供ディスプレイの方向に向けて揺動させる請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項8】
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記情報提供ディスプレイにより上記所定の情報が提供されないとき、上記視線誘導体を上記視線誘導挙動時の揺動方向とは異なる方向に揺動させる請求項7に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項9】
上記視線誘導体は水平方向に延びるx軸及び鉛直方向に延びるy軸を有し、
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記視線誘導挙動時、上記視線誘導体が上記所定の方向に配置された情報提供ディスプレイの方向に向くよう上記視線誘導体をそのx軸及び/又はy軸まわりに揺動させ、上記情報提供ディスプレイにより上記所定の情報が提供されないとき、上記視線誘導体をそのy軸を揺動軸として揺動させる請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項10】
さらに、ドライバの頭部の向きを検出する頭部向き検出手段を有し、
上記視線誘導体は、立体的な筐体の形状を有する表示画像であり、
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記情報提供ディスプレイにより上記所定の情報が提供されないとき、上記函体の所定の面が、検出されたドライバの頭部の向きと一致する方向を中心に揺動すると共に、上記視線誘導挙動時には、上記所定の面が上記情報提供ディスプレイに向けた方向に揺動するように制御する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項11】
さらに、ステアリングの舵角を検出する舵角検出手段を有し、
上記視線誘導体挙動制御手段は、検出された舵角と連動するように上記視線誘導体をその縦方向に延びるy軸まわりに揺動させる請求項1乃至10のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項12】
上記視線誘導体挙動制御手段は、車速が所定値を超え且つステアリング舵角が所定値を超えるとき、上記視線誘導体の視線誘導挙動を禁止する請求項11に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項13】
上記視線誘導体は水平方向に延びるx軸及び鉛直方向に延びるy軸を有し、且つ、これらのx軸及びy軸まわりの挙動がドライバに視認可能な形状及び/又は模様を有する表示画像又は実体物である請求項1乃至12のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項1】
乗員の視線を所定の情報提供ディスプレイに誘導する車両用視線誘導装置であって、
ドライバの視線方向を誘導するための視線誘導体と、
この視線誘導体の挙動を制御する視線誘導体挙動制御手段と、を有し、
上記情報提供ディスプレイは、上記視線誘導体に対して所定の方向に配置され、
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記情報提供ディスプレイにより所定の情報が提供されるとき、ドライバの視線を上記情報提供ディスプレイへ誘導するような視線誘導挙動をとるよう上記視線誘導体の挙動を制御することを特徴とする車両用視線誘導装置。
【請求項2】
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記情報提供ディスプレイにより上記所定の情報が提供されないとき、上記視線誘導体に所定の一定の周期の連続的な揺動の通常挙動をとるよう上記視線誘導体の挙動を制御する請求項1に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項3】
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記所定の情報が提供される場所または時間が近づくにつれ、その周期が変動する予告挙動をとるよう上記視線誘導体の挙動を制御する請求項1又は請求項2に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項4】
上記視線誘導体の通常挙動は、一定の振幅を有する揺動であり、
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記所定の情報が提供される場所または時間が近づくにつれ、その振幅が変動する予告挙動をとるよう上記視線誘導体の挙動を制御する請求項3に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項5】
上記予告挙動時、上記視線誘導体の周期及び振幅が上記通常挙動時よりも小さくなるように制御される請求項4に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項6】
さらに、ドライバの頭部の向きを検出する頭部向き検出手段を有し、
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記情報提供ディスプレイにより上記所定の情報が提供されないとき、検出されたドライバの頭部の向きと同期した挙動をとるよう上記視線誘導体の挙動を制御する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項7】
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記視線誘導挙動時、上記視線誘導体を上記所定の方向に配置された情報提供ディスプレイの方向に向けて揺動させる請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項8】
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記情報提供ディスプレイにより上記所定の情報が提供されないとき、上記視線誘導体を上記視線誘導挙動時の揺動方向とは異なる方向に揺動させる請求項7に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項9】
上記視線誘導体は水平方向に延びるx軸及び鉛直方向に延びるy軸を有し、
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記視線誘導挙動時、上記視線誘導体が上記所定の方向に配置された情報提供ディスプレイの方向に向くよう上記視線誘導体をそのx軸及び/又はy軸まわりに揺動させ、上記情報提供ディスプレイにより上記所定の情報が提供されないとき、上記視線誘導体をそのy軸を揺動軸として揺動させる請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項10】
さらに、ドライバの頭部の向きを検出する頭部向き検出手段を有し、
上記視線誘導体は、立体的な筐体の形状を有する表示画像であり、
上記視線誘導体挙動制御手段は、上記情報提供ディスプレイにより上記所定の情報が提供されないとき、上記函体の所定の面が、検出されたドライバの頭部の向きと一致する方向を中心に揺動すると共に、上記視線誘導挙動時には、上記所定の面が上記情報提供ディスプレイに向けた方向に揺動するように制御する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項11】
さらに、ステアリングの舵角を検出する舵角検出手段を有し、
上記視線誘導体挙動制御手段は、検出された舵角と連動するように上記視線誘導体をその縦方向に延びるy軸まわりに揺動させる請求項1乃至10のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項12】
上記視線誘導体挙動制御手段は、車速が所定値を超え且つステアリング舵角が所定値を超えるとき、上記視線誘導体の視線誘導挙動を禁止する請求項11に記載の車両用視線誘導装置。
【請求項13】
上記視線誘導体は水平方向に延びるx軸及び鉛直方向に延びるy軸を有し、且つ、これらのx軸及びy軸まわりの挙動がドライバに視認可能な形状及び/又は模様を有する表示画像又は実体物である請求項1乃至12のいずれか1項に記載の車両用視線誘導装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−92509(P2013−92509A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236316(P2011−236316)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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