説明

車両用運転支援装置

【課題】死角領域にある物体を表示する場合に、表示された物体をより明確に認識できるようにする。
【解決手段】カメラ10によって、運転者の視野を阻害する視野阻害部材(例えばフロントピラー7R、7L)によって形成される死角領域αR、αLが撮像される。カメラ10で撮像された画像データ中の物体の輪郭線が抽出されて、抽出された輪郭線が強調補正される。輪郭線が強調された強調輪郭線が、視野阻害部材7R、7Lの車室内側面に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両においては、車体の一部を構成する視野阻害部材によって運転者の視野が妨げられる死角領域が存在する。この視野阻害部材の代表的な存在として、例えばフロントピラーがある。特許文献1には、カメラによって前方を撮像して、得られた画像からフロントピラーの死角となっている領域を切り出して、この切り出した画像をフロントピラーの車室内側面に設けた表示装置に表示することが提案されている。
【特許文献1】特開2004−64131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した特許文献1に開示の技術は、死角領域にある物体を運転者に認識させるという点では好ましい反面、明るい環境、特に視野阻害部材に直射日光があたっているようなときは、視野阻害部材に表示されている画像の視認性が悪くなり、死角領域にある物体、特に自車両にとって危険となる物体を明確に認識しずらい場合が多々生じる、ということが判明した。このような問題を解決するために、表示される画像のコントラストを高くすることも考えられるが、高コントラスト化には限度があって十分な解決とはならない。また、周囲環境が、夜間、雨天、濃霧時のように元々低コントラストのときは、表示される画像をそのまま運転者に提示しても、運転者に対して認知させるための情報としては殆ど意味をなさないものとなってしまうという問題もある。
【0004】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、死角領域にある物体sを表示する場合に、表示された物体をより明確に認識できるようにした車両用運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
車体の一部を構成すると共に運転者の視野を阻害する視野阻害部材によって形成される死角領域を撮像する撮像手段と、
該撮像手段で撮像された画像データ中の物体の輪郭線を抽出する輪郭線抽出手段と、
前記輪郭線抽出手段で抽出された輪郭線を強調補正する輪郭線強調手段と、
前記輪郭線強調手段で輪郭線が強調された強調輪郭線を、前記視野阻害部材の車室内側面に表示させる画像表示手段と、
を備えているようにしてある。上記解決手法によれば、死角領域にある物体についての強調輪郭線が視野阻害部材に表示されるので、運転者は死角領域にある物体をより明確に認識することができる。特に、人間は、物体の形状認識を主としてその輪郭を把握することによって行うので、輪郭線が強調されていることによって、表示された物体の形状がどのようなものであるかを明確に認識することができる。
【0006】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
運転者が前記視野阻害部材を通して前記死角領域にある実際の物体を見たときの輪郭形状を想定したときに、該想定された輪郭形状と一致するように前記強調輪郭線の位置および形状を補正する表示補正手段をさらに備え、
前記表示手段には、前記表示補正手段によって補正された後の強調輪郭線が表示される、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、視野阻害部材に表示される画像を、あたかも視野阻害部材を通して死角領域にある実際の物体を見ているかのように表示させることができる。
【0007】
前記死角領域にある物体の自車両に対する危険度を判定する危険度判定手段をさらに備え、
前記輪郭線の強調度合が、前記危険度判定手段によって判定された危険度が高いほど高くされる、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、危険度の高い物体ほど運転者への認識性を高めることができ、危険回避の上でより好ましいものとなる。
【0008】
前記物体が、車両、二輪車、歩行者のいずれかである、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、車両、二輪車、歩行者はそれぞれ、自車両にとって危険物体となるので、この危険物体を明確に運転者に認識させる上で好ましいものとなる。
【0009】
前記輪郭線の強調度合が、周囲環境、運転者特性に基づいて変更される、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、周囲環境や運転者の特性に対応して、視野阻害部材に表示される物体の認識性を適切に設定する上で好ましいものとなる。
【0010】
前記画像表示手段が、レーザプロジェクタとされている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、レーザプロジェクタの特性から、表示面に凹凸があってもピントがずれることないので、視野阻害部材の画像表面に凹凸等があっても、表示される物体の形状を運転者に正確に認識させる上で好ましいものとなる。
【0011】
前記レーザプロジェクタが、運転者の頭部に装着される、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、レーザプロジェクタを車体に別途装着する必要性がなくなると共に、運転者の視線方向からの画像を表示する上でも好ましいものとなる。また、運転者の頭部の向きに応じて変化される死角領域にある物体の画像を表示させることも可能となる。
【0012】
前記レーザプロジェクタが、運転者の頭部付近にある車両部材に装着される、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、運転者に対してレーザプロジェクタを装着することによるわずらわしさを与えることなく、運転者の視線方向からの画像を表示する上で好ましいものとなる。
【0013】
前記死角領域にある物体の自車両に対する危険度を判定する危険度判定手段をさらに備え、
前記画像表示手段に表示される前記強調輪郭線の色が、前記危険度判定手段によって判定された危険度に応じて変更される、
ようにしてある(請求項9対応)。この場合、表示される強調輪郭線の色の相違を利用して、死角領域にある物体の危険度を運転者により明確に認識させる上で好ましいものとなる。
【0014】
前記視野阻害部材が、フロントピラーとされている、ようにしてある(請求項10対応)。この場合、自車両に対して斜め前方という危険性の高い死角領域にある物体を運転者に認識させる上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、死角領域にある物体をより明確に運転者に対して認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
車両としての自動車1を示す図1において、2は運転席、3は助手席、4は後席、5はハンドル、6はフロントウインドガラスである。フロントウインドガラス6の左右端部が接合される左右一対のフロントピラー7R、7Lによって、運転席2に着座する運転者の斜め前方の視界が阻害される。右側のフロントピラー7Rによって形成される死角領域がαRで示され、左側のフロントピラー7Lによって形成される死角領域がαLで示される。このように、フロントピラー7R、7Lが、運転者に対して死角領域を形成する視野阻害部材となっている。
【0017】
車室内のうちフロントウインドガラス6の近傍には、カメラ10、センサ11,12が装備される。カメラ10は、撮像手段となるもので、前述した死角領域αRとαLとの各領域を撮影できるようになっている。また、センサ11は、周囲環境の明るさを検出する照度センサである。センサ12は、運転者の視線方向を検出する視線センサであって、例えば運転者の瞳の位置を検出することによって視線方向を検出するものとなっている。このセンサ12は、例えば、運転者を向くようにしてバックミラーに装着されるが、カメラを利用して構成することもできる。
【0018】
左右のフロントピラー7R、7Lの車室内側面には、画像表示手段としての例えば液晶画面からなる表示画面(表示装置)20R、20Lが装着されている。図5には、右側のフロントピラー7Rに装着した表示画面20Rが示されており、左側のフロントピラーに装着された表示画面20Lも同様に構成されている。勿論、各表示画面20R、20Lの向きは、運転席2に着座している運転者を向く方向に設定されている(運転者から表示画面20R、20Lの表示面を目視できるように設定)。なお、図5およびこれに対応した図6〜図9において、自車両が左カーブを走行しているときを示し、25は自車両の走行車線、26は対向車線、27はセンターラインである。
【0019】
図2には、自動車1に装備されたコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)Uが示される。このコントローラUは、表示画面20R、20Lに表示する画像を制御するもので、前述したカメラ10、センサ11,12からの出力を受ける他、センサ13からの出力を受ける。センサ13は、運転者の特性を検出するもので、実施形態では運転者の年齢を検出するものとなっている。すなわち、輝度(明るさ)に対する適正が年齢によって相違してくるので、表示画面20R、20Lの表示輝度をセンサ13で検出された年齢に応じた適切な輝度に設定するようになっている。センサ13は、例えば、運転者毎に持参するICカードと、自動車1に装備されたICカード読み取り器によって構成することができる。
【0020】
コントローラUには、次のような処理部31〜36が構成されている(処理機能を有する)。処理部31は、カメラ10で撮影された画像データ(死角領域αRとαLとの両方の領域を含む画像データ)の中から、センサ12で検出された運転者の視線方向にある死角領域αRとαLとのいずれか一方の領域を選択する。処理部32は、処理部31で処理された後の画像データの中から、危険物体となる車両と二輪車(バイクと自転車との両方を含む)と歩行者とを抽出する。
【0021】
処理部33は、処理部32で抽出された危険物体の輪郭線を抽出する。抽出される輪郭線は、物体の外縁をあらわす線や物体を特徴づける線要素であり、例えば自動車の場合は、例えばボディ外縁をあらわす線とタイヤの外形をあらわす線とウインドガラスの縁部とが輪郭線として抽出される。
【0022】
処理部34は、処理部33で抽出された輪郭線を強調補正する処理が行われる。この強調処理は、元画像対して輪郭線の輝度や彩度コントラストを増大させる処理となる。この輪郭線強調の際に、処理部35で判定された危険物体の危険度合に応じて、センサ11で検出される周囲環境の明るさに応じて、さらには運転者の特性(年齢)に応じて、強調度合が変更(補正)される。処理部34で強調された強調輪郭線が、後述する処理部36の処理を経た後、表示画面20Rあるいは20Lに表示される。また、輪郭線強調を、輪郭線を元画像よりも太くすることにより行うこともできる。
【0023】
処理部36での処理について、右側の死角領域αRにある物体の強調輪郭線を表示画面20Rに表示する場合について説明すると、運転者があたかもフロントピラー20Rを通して死角領域αRにある物体を見ているかのような形状に補正する処理となる(強調輪郭線の位置合わせと形状変更)。処理部36の処理内容について、よりわかり易く説明すると、まず、死角領域αRに車両としてのトラックXが存在したとき、運転者からは、図5に示すように、実線で示すトラックXの荷台41(の前部)は目視可能であるが、破線で示す車体前部42(車体前部に形成されたサイドウインドガラス43),前輪44はフロントピラー7Rに隠れて見えない状態となっている。
【0024】
図6では、フロントピラー7Rの一部を破断して示しているので、トラックXが、車体前部42(サイドウインドガラス43)や前輪44を含めて見える状態となっている。処理部36は、図5においてトラックXの破線で示す部分のうち表示画面20Rの位置に相当する部分を、目視可能な荷台41との連続性を保つようにして、表示画面20に表示するようになっている。図7には、トラックXのうちフロントピラー7Rに隠れている部分が表示された一例を示し、車体前部42の外縁をあらわす線やサイドウインドガラス43の外縁をあらわす線およびタイヤ44の外形をあらわす線がそれぞれ強調されて(太く描かれた状態で)、表示画面20Rに表示される。なお、処理部36の処理を行わない場合は、図7に示す表示画面20Rに表示された車体前部42等の位置が、目視可能な荷台41と例えば上下方向にずれて表示される場合もあり得ることになる。なお、図7,図8から明かなように、表示画面20Rは、フロントピラー7Rの幅方向全長に渡っては存在しないために、車体前部42と荷台41との間に、物体表示されていない領域が形成されるものとなっている。
【0025】
処理部34での輪郭線の強調補正を行うことにより、図7に示すように、輪郭線が極めて太く表示される状態や、図8に示すように比較的細く表示される場合が適宜選択的に使い分けられることになる。また、実施形態では、処理部35での危険度合の判定結果に応じて、後述するように、強調輪郭線の「色」が使い分けられるようになっている。表示画面20Rあるいは20Lに、死角領域αRあるいはαLに存在する物体の輪郭線が強調表示されることによって、運転者は物体を明確に認識することができる。特に、表示画面20R、20Lに直射日光が照射されているようなときでも、表示画面で得られる一般的輝度の範囲でも、物体を明確に認識することができる。また、夜間、雨天時、濃霧時等の周囲のコントラストが低コントラストであっても(カメラ10で撮影される画像が低コントラストでも)、輪郭線の強調表示によって、表示される物体を明確に認識することができる。
【0026】
次に、図3,図4のフローチャートを参照しつつ、コントローラUによる具体的な制御例について説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、図3のQ1において、カメラ10,センサ11〜13からの信号が読み込まれる。次いで、Q2において、センサ12で検出された運転者の視線方向によって、運転者の向いている方向にある死角領域αRあるいはαLのいずれかが選択される。この後、Q3において、選択された死角領域を撮影した画像データの中から、危険物体としての車両、二輪車、歩行者が抽出される。なお、Q3では、あらかじめ記憶してある車両、二輪車、歩行者の画像データとの一致度合をみることにより危険物体を抽出してもよく、特に車両や二輪車の抽出に際しては、路車間通信によって得られる相手車両(二輪車)との位置や速度を利用して危険物体を抽出することもできる。
【0027】
上記Q3の後、Q4において、Q3での抽出処理の結果、危険物体としての車両、二輪車あるいは歩行者が存在するか否かが判別される。このQ4の判別でYESのときは、Q5において、後述するようにして、検出された危険物体の輪郭線が抽出される。Q5での輪郭線の抽出に際しては、取得画像の輝度あるいは彩度を微分して、微分値(変化量)が所定値以上となる部分を輪郭として抽出することができる。この後、Q6において、抽出された危険物体の危険度合やその輪郭線の強調表示の処理が、後述のようにして行われる。
【0028】
上記Q6の後、あるいは前記Q4の判別でNOのときは、それぞれ、Q7において、センサ11で検出された周囲環境の照度に応じて、輪郭線の輝度が補正される。すなわち、周囲照度が明るいほど輝度が高くされる(周囲照度が暗い場合はこの逆)。次いで、Q8において、運転者の特性に応じて、輪郭線の輝度が補正される。すなわち、運転者が高齢なほど輝度が高くされる(高齢でない場合はこの逆)。
【0029】
上記Q8の後、Q9において、センサ12で検出される運転者の視線方向に応じた表示位置(表示画面20R、20Lのうちのいずれか)が選択される。次いでQ10において、選択された表示画面を通して死角領域にある物体を見た時を想定した画像処理が行われる(位置、形状設定)。そして、Q11において、Q10で処理された画像が表示画面20Rまたは20Lに表示される。
【0030】
前記Q6の詳細が、図4に示される。この図4のQ21において、検出された危険物体までの距離と相対速度とが検出される。次いで、Q22において、距離と相対速度とから、危険物体と衝突するまでの時間Tcが算出される。この後、Q23において、衝突までの時間(つまり危険度合)に応じて、輪郭線の強調度合が変更(補正)される。すなわち、例えば衝突までの時間Tcが5秒以内であるときは、危険度合が高いときであるとして、輪郭線が太くかつ赤色表示となるように設定される。また、衝突までの時間Tcが例えば10秒以上であるときは、危険度合が低いときであるとして、輪郭線が細くかつ青色表示となるように設定される。さらに、衝突までの時間Tcが例えば5秒〜10秒の間であるときは、危険度合が中程度であるとして、輪郭線が中くらいの太さでかつ黄色表示となるように設定される。なお、危険度合に応じた輪郭線の強調表示は、2段階あるいは4段階以上(無段階を含む)に変更するようにしてもよく、同様に、表示の色も、2色あるいは4色以上に変更するようにしてもよく、色分け表示をしないようにすることもできる。勿論、危険度合が高いほど、輪郭線の輝度を高くようにしてもよい。
【0031】
図9は、本発明の第2の実施形態を示すもので、レーザプロジェクタを用いて死角領域にある物体の表示を行うようにした場合を示す。すなわち、図1において、運転席2のヘッドレスト2aに、左右一対のレーザプロジェクタ51R、51Lを装着してある。そして、右側のレーザプロジェクタ51Rは、右側のフロントピラー7Rに向けて画像投射し、右側のレーザプロジェクタ51Lは、左側のフロントピラー7Lに向けて画像投射するようにしてある。レーザプロジェクタ51R、51Lは、走査型の表示デバイスであって、描画範囲を絞ることによって表示輝度(ほぼ表示コントラストと考えることができる)を上昇させる制御が可能である。また、結像によらない画像表示であるので、焦点補償機構は不要であって、凹凸面を投影スクリーンとして利用することが可能になり、死角をほぼ完全に無くす表示を行うことが可能となる。図9を図7あるいは図8と対比させれば明らかなように、フロントピラー7R、7lの幅全長に渡って物体を表示することができる。
【0032】
図10は、本発明の第3の実施形態を示すもので、レーザプロジェクタ53(51R、51L対応)を、運転者Dの頭部、より具体的には利き目側の耳に着脱自在に装着するようにしたものである。なお、耳への装着具は図示を略してあるが、補聴器等で適用されている装着具をそのまま利用することができる。なお、運転者Dの頭部にレーザプロジェクタ53を装着できるようにするには、適宜の手法を採択することができ、例えば運転者Dが装着するヘルメット、帽子、眼鏡(サングラス)等にレーザプロジェクタ53を装着することができる。
【0033】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。フロントピラーに限らず、運転者に対する死角領域となる視野阻害部材であれば、同様に本発明を適用できる。例えば、センタピラーやリアピラーにその死角領域にある物体の強調輪郭線を表示するようにしてもよく、あるいはワゴン車は1ボックスカーなどにおいては、視野阻害部材となるバックドアにその死角領域にある物体の強調輪郭線を表示することもできる。左右のフロントピラー7R、7Lに、常時対応した死角領域αR、αLに存在する危険物体の強調輪郭線を表示するようにしてもよく、この場合、助手席3に乗員が着座しているときに限り、運転者が助手席側を向いたときにのみ助手席側のフロントピラーに強調輪郭線を表示するようにしてもよい。また、運転者によってマニュアル操作されるスイッチを設けて、左右のフロントピラー7R、7Lの両方に強調輪郭線を表示する状態と、運転者側のフロントピラー7Rにのみ強調輪郭線を表示する状態と、運転者の視線方向にあるフロントピラーにのみ強調輪郭線を表示する状態と、強調輪郭線を全く表示しない状態との任意の2つ以上の組み合わせの中から1つの状態を適宜選択できるようにしてもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明が適用された車両の簡略平面図。
【図2】本発明の制御系統例を示すブロック図。
【図3】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図4】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図5】フロントピラーによって死角領域が形成される状況を示す図。
【図6】死角領域にある危険物体をフロントピラーの一部を破断して示す図で、図5に対応した図。
【図7】フロントピラーに設けた表示画面に、その死角領域にある危険物体の強調輪郭線を強調度合を太く表示した状態を示す図で、図5に対応した図。
【図8】フロントピラーに設けた表示画面に、その死角領域にある危険物体の強調輪郭線を強調度合を細く表示した状態を示す図で、図7に対応した図。
【図9】レーザプロジェクタを用いてフロントピラーに強調輪郭線を表示した場合の一例を示すもので、図7,図8に対応した図。
【図10】レーザプロジェクタを運転者の頭部に装着する場合の一例を示す図。
【符号の説明】
【0035】
U:コントローラ
αR:右側の死角領域
αL:左側の死角領域
X:トラック(死角領域にある危険物体)
1:自動車
2:運転席
2a:ヘッドレスト
3:助手席
5:ハンドル
6:フロントウインドガラス
7R:右側のフロントピラー
7L:左側のフロントピラー
10:カメラ(死角領域撮影用)
11:センサ(周囲の明るさ検出)
12:センサ(運転者の視線方向検出)
13:センサ(運転者の特性検出)
20R:表示画面
20L:表示画面
41:トラックXの荷台
42:トラックXの車体前部
43:トラックXのサイドウインドガラス
44:トラックXの前輪
51R:右側のレーザプロジェクタ
51L:左側のレーザプロジェクタ
53:レーザプロジェクタ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の一部を構成すると共に運転者の視野を阻害する視野阻害部材によって形成される死角領域を撮像する撮像手段と、
該撮像手段で撮像された画像データ中の物体の輪郭線を抽出する輪郭線抽出手段と、
前記輪郭線抽出手段で抽出された輪郭線を強調補正する輪郭線強調手段と、
前記輪郭線強調手段で輪郭線が強調された強調輪郭線を、前記視野阻害部材の車室内側面に表示させる画像表示手段と、
を備えていることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
請求項1において、
運転者が前記視野阻害部材を通して前記死角領域にある実際の物体を見たときの輪郭形状を想定したときに、該想定された輪郭形状と一致するように前記強調輪郭線の位置および形状を補正する表示補正手段をさらに備え、
前記表示手段には、前記表示補正手段によって補正された後の強調輪郭線が表示される、
ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記死角領域にある物体の自車両に対する危険度を判定する危険度判定手段をさらに備え、
前記輪郭線の強調度合が、前記危険度判定手段によって判定された危険度が高いほど高くされる、
ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記物体が、車両、二輪車、歩行者のいずれかである、ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項5】
前記輪郭線の強調度合が、周囲環境、運転者特性に基づいて変更される、ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記画像表示手段が、レーザプロジェクタとされている、ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記レーザプロジェクタが、運転者の頭部に装着される、ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記レーザプロジェクタが、運転者の頭部付近にある車両部材に装着される、ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項9】
請求項1または請求項2において、
前記死角領域にある物体の自車両に対する危険度を判定する危険度判定手段をさらに備え、
前記画像表示手段に表示される前記強調輪郭線の色が、前記危険度判定手段によって判定された危険度に応じて変更される、
ことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、
前記視野阻害部材が、フロントピラーとされている、ことを特徴とする車両用運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−58742(P2010−58742A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228681(P2008−228681)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】