説明

車両遠隔操作システム

【課題】遠隔操作時のセキュリティ性とユーザ利便性とを適切に両立させる車両遠隔操作システムを提供すること。
【解決手段】携帯端末を利用して遠隔操作により車両を移動させる車両遠隔操作システムにおいて、遠隔操作対象車両を第一の状態から第二の状態へ移行させる第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度と、遠隔操作対象車両を上記第二の状態から上記第一の状態へ移行させる第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度とを異なるものとする。第一の状態は例えば車両が所定の駐車スペース内に停車している入庫状態であり、第二の状態は例えば車両が所定の駐車スペース外で停車している出庫状態であり、その場合、第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度を第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度よりも厳しくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、携帯端末を利用して遠隔操作により車両を移動させる車両遠隔操作システムに係り、特に、遠隔操作時のセキュリティ性とユーザ利便性とを適切に両立させる車両遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末を利用して遠隔操作により車両を移動させる車両遠隔操作システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、遠隔操作により車両を操作する際に個人認証を行う装置及び方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−197566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載のような従来装置においては、遠隔操作により車両を移動させる際には一律に同一レベルの個人認証が行われるようになっている。
【0005】
セキュリティ性向上の観点からは、遠隔操作実行の際に要求される個人認証の厳格さは厳しいほど良いが、一方で、ユーザ利便性向上の観点からは、個人認証は手短に済ませられるほど良いと言い得る。
【0006】
すなわち、セキュリティ性向上を重視する余り遠隔操作実行時に要求される個人認証の厳格さを厳しいものとする(例えば、複数種類の認証をパスしなければならないようにする、など)と、正規ユーザに煩わしいとの印象を与えるおそれがある。
【0007】
逆に、ユーザ利便性を重視する余り遠隔操作実行時に要求される個人認証の厳格さを緩いものとする(例えば、一種類の認証をパスすればよい、など)と、遠隔操作対象車両の置かれた状況・状態によってはセキュリティ性が十分でなくなるおそれもある。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、遠隔操作時のセキュリティ性とユーザ利便性とを適切に両立させる車両遠隔操作システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、携帯端末を利用して遠隔操作により車両を移動させる車両遠隔操作システムであって、遠隔操作対象車両を第一の状態から第二の状態へ移行させる第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度と、遠隔操作対象車両を上記第二の状態から上記第一の状態へ移行させる第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度とが異なる、車両遠隔操作システムである。
【0010】
上記一態様によれば、車両を遠隔操作により移動させる際に、遠隔操作者に要求される認証の厳格さの程度が、その移動に伴って車両がどのような状態からどのような状態へと遷移するのかに着目して、その状態遷移に応じて遠隔操作実行に要求される個人認証の厳格さの程度を変えるようにするため、車両状態遷移に応じてセキュリティ性とユーザ利便性とを適切に両立させることができる。
【0011】
なお、上記一態様において、上記第一の状態は例えば車両が所定の駐車スペース内に停車している入庫状態であり、上記第二の状態は例えば車両が所定の駐車スペース外で停車している出庫状態であり、その場合、車両を所定の駐車スペース内へ入庫させる場合よりも出庫させる場合の方が盗難等の危険性が存在する蓋然性が比較的高いであろうとの洞察に基づき、上記第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度を上記第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度よりも厳しくする。
【0012】
ここでは、例えば、1)上記第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証(例えば生体認証)の種類の数を上記第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証(例えば生体認証)の種類の数よりも多くすることによって認証の厳格さの程度を厳しくしてもよく、或いは、2)上記第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証を上記携帯端末において実施される認証(例えば生体認証)と遠隔操作対象車両において実施される認証(例えば生体認証)とから成るようにし、上記第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証を上記携帯端末において実施される認証又は遠隔操作対象車両において実施される認証のいずれか一方から成るようにすることによって認証の厳格さの程度を厳しくしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遠隔操作時のセキュリティ性とユーザ利便性とを適切に両立させる車両遠隔操作システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。なお、携帯端末を利用して遠隔操作により車両を移動させる車両遠隔操作システムの基本概念、主要なハードウェア構成、作動原理、及び基本的な制御手法等については当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
【実施例】
【0015】
以下、図1〜5を用いて、本発明の一実施例に係る車両遠隔操作システムについて説明する。
【0016】
図1は、本実施例に係る車両遠隔操作システム100の全体概略図であり、図1(a)は、正規ユーザPが車両Vを遠隔操作によって所定の駐車位置に駐車(入庫)させる場合の様子を、図1(b)は、正規ユーザPが車両Vを遠隔操作によって駐車されている位置から出庫させる(乗車しやすい位置まで移動させる)場合の様子をそれぞれ示している。
【0017】
本実施例に係る車両遠隔操作システム100は、遠隔操作の対象となる車両Vに搭載された車載装置101と、遠隔操作対象車両Vの正規ユーザである遠隔操作者Pによって携帯される携帯端末102とから構成される。
【0018】
図1(a)及び(b)では、便宜上、1台の遠隔操作対象車両Vを1人の遠隔操作者Pが遠隔操作する場合を図示しているが、複数の車両V〜Vについて正規ユーザとなっている1人の遠隔操作者Pがそれら複数の車両V〜Vのそれぞれに対して遠隔操作可能であるようにシステム構成されてもよく、逆に、1台の車両Vについて複数人P〜Pを正規ユーザとして設定し、これら複数人の遠隔操作者P〜Pの各々が1台の車両Vに対して遠隔操作可能であるようにシステム構成されてもよい。
【0019】
後者の場合、操作系統が混乱しないように、2人以上は同時に遠隔操作できないものとすることが望ましい。また、後者の場合のように複数人のユーザを正規ユーザとして登録できる構成とする場合、害意の第三者が勝手に正規ユーザ登録できないように、エンジン作動中のみ正規ユーザ登録が許容されるようにしたり、或いは、販売店等において専門スタッフの作業/操作によらなければ正規ユーザ登録が許容されないようにしたりするなどの対策が望ましい。
【0020】
図1に示したような遠隔操作による入庫/出庫は、例えば、駐車スペースが狭く、よって左右(又は前後)の周辺駐車車両との間隔が狭く、所定の駐車位置に遠隔操作対象車両Vを駐車させた状態ではドアを大きく開けることが困難で車両Vへの乗り降りが難しい状況において、特に有用である。
【0021】
図2は、本実施例に係る車両遠隔操作システム100において遠隔操作対象車両に搭載される車載装置101の概略構成図である。
【0022】
車載装置101は、携帯端末102から送信された無線信号を受信する通信部201を有する。通信部201が備えるアンテナの性能や形状並びに通信に利用する方式や周波数帯域などについては、特段の制限はなく、任意でよい。具体的には、例えば、既存の無線LAN(Wireless Local Area Network)やDSRC(Dedicated Short Range Communication)などの通信規格に準拠した無線通信方式を採用することが考えられる。
【0023】
車載装置101は、更に、自車両の車速を検出する車速検出部202を有する。車速検出部202は、例えば車輪速センサを利用して、自車両の車速を検出する。本実施例において、車速検出部202は、後述するように例えば駐車場内などにおいて自車両の移動距離を測定するのに用いられるため、自車両が徐行している場合などの極低速領域においても精度良く車速を検出できる性能を備えていることが好ましい。
【0024】
車載装置101は、更に、ステアリングホイールの回転角を検出する舵角検出部203を有する。舵角検出部203は、舵角を検出できる限り当業者には既知の任意の構成・構造でよく、例えば、ステアリングホイールが一定角度回転する度にパルス信号が出力されるように構成されたセンサを含む。この場合、そのようなセンサから出力されるパルス信号数を計数することによって、ステアリングホイールの操舵角が検出できる。
【0025】
車載装置101は、更に、操舵制御部204を有する。車両運転者によりステアリングハンドルに入力された操舵操作とは独立して操舵輪を転舵させて車両の進行方向を変えることができる操舵制御部204を有する。操舵制御部204は、例えば電動パワーステアリング(Electric Power Steering:EPS)用ECUであり、具体的には、例えば、出力軸にウォームギアが取り付けられた電動機(モータ)を通電制御する。この場合、ウォームギアは、コラムシャフト(ステアリングシャフト)に固定的に取り付けられ、コラムシャフトまわりに一体となって回転するホイールギアと噛合される。さらに、コラムシャフトは、いわゆるラック&ピニオン形式のステアリングギアを通じて、ラック軸(ラックバー)に接続される。このような構成により、上記モータを通電制御することによって、コラムシャフトを任意に回転させ、所望の操舵トルクを発生させることができる。
【0026】
車載装置101は、更に、運転者によるアクセルペダル操作とは独立して、自車両において発生する駆動力の大きさを制御する駆動力制御部205を有する。駆動力制御部205は、a)エンジン(内燃機関)を駆動源とするエンジン車においては、スロットル弁開度を制御してエンジン出力を調整することによって、b)動力源を2機搭載し、その内の一方が電気モータであるハイブリッド車や、電気モータを動力源とする電気自動車においては、電気モータの出力トルクを制御することによって、それぞれ自車両の駆動力の大きさを制御する。
【0027】
車載装置101は、更に、例えばブレーキ油圧を制御するなどして、運転者によるブレーキペダル操作とは独立して、自車両において発生する制動力の大きさを制御する制動力制御部206を有する。
【0028】
車載装置101は、更に、自車両に装備された灯火類のオン/オフ制御などを行う灯火類制御部207を有する。ここで、灯火類とは、例えば、ヘッドライト、ハザードランプ、スモールランプ、ブレーキランプ、ウインカー、などである。
【0029】
車載装置101は、更に、遠隔操作が要求されたものの、操作実行に必要な要件が満たされていないために実行が拒絶されたことを遠隔操作要求者であるユーザに知らせる警報出力部208を有する。これは、主として、遠隔操作を要求したにもかかわらず実行されない理由が機器の故障等ではなく、所定の要件が満たされていないことが原因であることをユーザに伝達することを狙いとした警報である。本実施例において遠隔操作実行に要求される条件については後に詳述する。
【0030】
本実施例において、警報出力部208は、例えば、A)車両外側に専用に備えられた警報用のインジケータ又は既存の灯火類(例えばハザードランプなど)を点灯又は点滅させることによって警報を出力するように構成されてもよく、或いは、B)警報内容を伝える音声情報として車両外側に設置されたスピーカから提供することによって警報を出力するように構成されてもよく、或いは、C)これらの任意の組み合わせによって警報を出力するように構成されてもよい。
【0031】
車載装置101は、更に、車載装置101の各構成要素を統括的に制御する主制御部209を有する。主制御部209は、例えば、ECU(Electronic Control Unit;電子制御ユニット)である。
【0032】
また、本実施例においては、主制御部209に、イグニッションスイッチ(IG)のオン/オフ情報が入力されるように構成される。
【0033】
図3は、本実施例に係る車両遠隔操作システム100において、車両Vの正規ユーザPが車両Vを遠隔操作により駐車/出庫させるのに用いる操作端末である携帯端末102の概略構成図である。
【0034】
携帯端末102は、遠隔操作対象車両Vに搭載された車載装置101(の通信部201)と通信するための通信部301を有する。通信部301が備えるアンテナの性能や形状並びに通信に利用する方式や周波数帯域などについては、特段の制限はなく、任意でよい。具体的には、例えば、既存の無線LANやDSRCなどの通信規格に準拠した無線通信方式を採用することが考えられる。
【0035】
携帯端末102は、更に、ユーザが遠隔操作に必要な入力操作を行うユーザ入力部302を有する。ユーザ入力部302は、例えば、押ボタンとして設けられた又はタッチパネル式ディスプレイ上に配置されたキーパッドや矢印キーなどにより構成される。ユーザの手動操作を不要とすることを狙いとして、ユーザ入力部302が音声入力機能を備えるように構成されてもよい。
【0036】
本実施例において、ユーザ入力部302は、主として、遠隔操作対象車両Vの正規ユーザPが、a)遠隔操作の開始を車載装置101へ要求する、b)目標駐車/出庫位置を設定する、及び、c)ユーザ認証に必要な入力操作を行う、ために用いられる。
【0037】
ユーザがユーザ入力部302を通じて入力した情報は、適宜、通信部301によって車載装置101へ送信される。詳しくは後述する。
【0038】
携帯端末102は、更に、ユーザが正規ユーザであるか否かを個人認証するユーザ認証部303を有する。ユーザ認証部303は、例えば、指紋、眼球の奥の虹彩、光彩、静脈、顔面、又は声紋などの身体的特徴によって本人確認を行なう生体認証(バイオメトリクス認証;biometrics authentication)によって正規ユーザであるか否かの認証を行うものとする。各認証方式の基本的原理等は当業者には既知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0039】
遠隔操作中、ユーザが携帯端末102の所定のボタンを押下している間のみ車両Vが移動するように構成される場合、当該ボタン上に指紋認証のための検出部を設けておけば、当該ボタンを押している間、常時、指紋認証によりユーザ認証可能な状態となるため、セキュリティ性向上の観点から好ましい。
【0040】
なお、ここでは、携帯端末102があたかも本実施例に係る遠隔操作専用の携帯型操作端末であるかのように記載したが、本実施例はそのような実施形態に限定されるものではない。携帯端末102は、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯型情報通信端末機器に内蔵された一機能として実現されてもよく、或いは、「スマートキーシステム」(登録商標)などの呼称で知られるスマートエントリー&プッシュスタートシステムにおいて用いられる電子キーの機能を内蔵した統合端末であってもよい。
【0041】
次いで、このような構成の車両遠隔操作システム100における駐車/出庫遠隔操作の動作/処理の流れについて、図4及び5のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
まず、車載装置101の主制御部210は、携帯端末102からの駐車又は出庫の遠隔操作要求を待機する(S11)。
【0043】
遠隔操作要求が受信された場合(S11の「YES」)、次いで、車載装置101の主制御部210は、今回の遠隔操作が遠隔操作対象車両を所定の駐車スペース枠内からその外へと移動させる出庫操作であるか否かを判定する(S12)。
【0044】
これは、所定の駐車スペース枠内に駐車(入庫)された状態から出庫された状態へと移動させる場合の方が、出庫された状態から所定の駐車スペース枠内に駐車(入庫)された状態へと移動させる場合よりも、車両盗難や周辺物体との接触などセキュリティ上及び安全上のリスクが高いであろうとの洞察に基づき、出庫の場合には遠隔操作の実行に要求されるユーザ認証レベル(すなわち、認証を完了するのに要求される厳格さの程度)を高めるための判定である。
【0045】
出庫の遠隔操作であるか否かの判定は、例えば、a)遠隔操作要求時にユーザにより予め選択・入力された情報に基づいて判定されるものとしてもよく、或いは、b)車載装置101に例えばGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)などの自車両Vの現在位置を検出する装置を装備しておき、移動開始前の車両位置が所定の駐車スペース枠内であるときに出庫であると判定されるものとしてもよく、或いは、c)遠隔操作対象車両V又は駐車(入庫)されている駐車スペースがある駐車場に設置された周辺監視カメラを利用して、車両Vが遠隔操作要求時に所定の駐車スペース枠内に停車しているときに出庫であると判定されるものとしてもよく、或いは、d)車載装置101が車両Vのエンジン始動履歴、走行履歴、及びドア開閉履歴を記録しておくように構成され、これら履歴に基づいて遠隔操作要求時に駐車か否かが判定されるものとしてもよく、或いは、e)上記a)〜d)のうちの任意の2以上の組み合わせによって判定されるものとしてもよい。
【0046】
ユーザから要求された遠隔操作が出庫であると判断された場合(S12の「YES」)、主制御部209は、セキュリティ性向上を重視すべき状況であり、認証レベルを上げることが必要であると判断して、通信部201を通じて携帯端末102のユーザ認証部303にユーザ認証時の認証レベルを上げるように指示する(S13)。
【0047】
他方、ユーザから要求された遠隔操作が出庫でないと判断された場合(S12の「NO」)、主制御部209は、ユーザ利便性向上を重視することが許容される状況であり、認証レベルを上げる必要はないと判断して、携帯端末102へは特段の指示を送信しない(S13をスキップ)。
【0048】
ここで、認証レベルとは、認証を完了(パス)するのに要求される厳格さの程度であり、例えば、複数種類の認証をすべてパスしないと最終的に認証完了とはならないようにすることによって、一種類の認証さえパスすれば認証完了となる場合よりも、認証レベルを厳格化することができると言い得る。換言すれば、認証レベル又は認証の厳格さの程度は、要求される認証の種類の数の多少により比較可能である。
【0049】
本実施例では、一例として、デフォルトの認証(すなわち、出庫でないときに要求される認証)においては、指紋、眼球の奥の虹彩、光彩、静脈、顔面、又は声紋のうちいずれか1つの身体的特徴を利用した生体認証をパスすることが必要であるものとし、認証レベルが上げられたときの認証(すなわち、出庫のときに要求される認証)においては、指紋、眼球の奥の虹彩、光彩、静脈、顔面、又は声紋のうちいずれか2つの身体的特徴を利用した生体認証を双方ともパスすることが必要であるものとする。
【0050】
このようにして必要性に応じて認証レベルが上げられた後、携帯端末102のユーザ認証部303は、その時点での認証レベルに基づいて、操作者が正規ユーザであるか否か判定する(S14)。
【0051】
正規ユーザでないと判定された場合(S14の「NO」)、車載装置101の主制御部210は、車載装置101の主制御部210は、警報出力部209にユーザ認証に失敗したことをユーザに伝達するための警報を出力させる(S15)。
【0052】
他方、正規ユーザであると判断されたとき(S14の「YES」)、主制御部209は、遠隔操作要求元の携帯端末102の操作者を遠隔操作対象車両Vの正規ユーザであると認証し、操舵制御部204、駆動力制御部205、及び制動力制御部206が正常に作動し得る状態であることを確認した上で、例えば、1)クラクション(ホーン)を吹鳴させる、或いは、2)所定の音声メッセージやブザー音を車両外に出力する、或いは、3)携帯端末102に音声出力機能を装備しておき、車載装置101からの遠隔操作により携帯端末102から所定の音声メッセージやブザー音を出力させる、或いは、4)ハザードランプを点滅させる、或いは、5)携帯端末102に振動機能を装備しておき、車載装置101からの遠隔操作で携帯端末102を振動させる、或いは、6)携帯端末102にディスプレイを装備しておき、車載装置101からの遠隔操作により携帯端末102に所定の文字メッセージをディスプレイ表示させる、或いは、7)ヘッドライトを所定のパターン(例えば、左右のヘッドライトを同時に短い間隔で「パッ、パッ」と点滅させる、など)で点滅させる、或いは、8)上記1)〜7)のうち任意の2以上の組み合わせ(単に2系統以上を同時に用いるだけでなく、例えば、昼間はクラクション吹鳴/夜間はヘッドライト点滅、などのように周辺の環境に応じて変えることも含む)、などによって、遠隔操作者に遠隔操作要求された駐車(入庫)/出庫の実行を開始することを合図する(S16)。
【0053】
このようにして車両が動き始めることをユーザに注意喚起すると、車載装置101の主制御部209は、制動力制御部206に指示して、電動式パーキングブレーキを解除させると共に、ブレーキをONとして、いつでも動き出せる待機状態とする。
【0054】
次いで、主制御部209は、エンジンが作動しているか否かを確認し(S17)、作動していなければ(S17の「NO」)、作動させる(S18)。例えば、十分な降車スペースがない狭い駐車スペースに車両を駐車しようとするときに、ユーザが当該駐車スペースの近くまで車両を走行させてきて停車させ、エンジンを停止させずに降車し、それから遠隔操作によって駐車(入庫)を指示した場合、エンジンは依然として作動中であるため(S17の「YES」)、S18はスキップされる。
【0055】
これらS17〜S18の工程は、動力源がエンジン以外の車両では不要となる。ただし、一方の動力源がエンジンであるハイブリッド車の場合、a)バッテリ残容量が一定レベル以下のとき、或いは、b)出庫の場合であって、エンジン及び/又は触媒を暖気により暖める必要があると考えられるとき、或いは、c)遠隔操作対象車両周辺の第三者に当該車両が動き出すことを知らせたいとき、などにはあえてエンジンを始動させるようにしてもよい。他方で、d)夜間であることが時計やユーザ設定から判明したとき、或いは、e)GPS等からアイドリングストップ条例が設けられている地域であることが判明したとき、或いは、f)遠隔操作対象車両の進行方向やマフラーの近くに第三者が位置することがクリアランスソナーやレーダやタイヤの干渉センサやカメラ等から判明したとき、にはエンジンを始動させないことが好ましい。
【0056】
車載装置101の主制御部209は、次いで、要求された遠隔操作が追従モードによる出庫操作であるか否かを判定する(S19)。
【0057】
ここで、追従モードとは、車載装置101が車両Vと携帯端末102との間隔が所定距離まで縮まるように、携帯端末102の位置及びその位置の変化に応じて車両Vを走行させることによって、駐車スペースに駐車中の車両Vをユーザ所望の場合まで出庫させる遠隔操作モードである。
【0058】
ここで、車載装置101は、携帯端末102の位置を、例えば、a)携帯端末102から送信された電波の車載装置101における受信電力及び受信方向から携帯端末102の存在方向及び距離間隔を割り出してもよく、或いは、b)携帯端末102を撮像するカメラを備え、撮像された画像を画像解析処理することによって携帯端末102の存在方向及び距離間隔を割り出してもよく、或いは、c)上記a)及びb)の組み合わせによって、携帯端末102の存在方向及び距離間隔を割り出してもよい。
【0059】
追従モードで出庫させるか否かは、遠隔操作前にユーザによって予め包括的に設定されておくものとしてもよく、或いは、遠隔出庫操作要求のたびにユーザが選択指定するものとしてもよい。
【0060】
要求された遠隔操作が追従モードによる出庫でない場合(S19の「NO」)、遠隔操作者には目標駐車(入庫)/出庫位置の設定が要求される(S20)。目標駐車位置は、例えば、ユーザがディスプレイ画面を見ながら、ユーザ入力部302を通じて設定する。
【0061】
追従モードでの出庫の場合は(S19の「YES」)、目標位置を設定する必要がなく、S20はスキップされる。
【0062】
次いで、車載装置101の主制御部209は、車速検出部202により検出された車速に基づく自車両の移動距離及び舵角検出部203により検出されたステアリングハンドル操舵角に基づく自車両の移動方向を監視しながら、操舵制御部204、駆動力制御部205、及び制動力制御部206に指示して、追従モードであれば携帯端末102の移動に追従するように、追従モードでなければ設定された目標位置に到達するように、自車両を走行させる(S21)。
【0063】
駐車(入庫)/出庫いずれの場合であっても、安全確保のため、主制御部209は、車両移動中、車速検出部202により検出された車速を監視し、駆動力制御部205及び制動力制御部206に自車両Vが徐行するように指示する。
【0064】
追従モードでの出庫の場合、携帯端末102を保持した遠隔操作者は、遠隔操作対象車両Vの正面に立ち、車両Vを真正面に見ながら、自分自身及び車両Vの周囲の安全を確保しながら、所望の位置(例えば、乗車するのに十分な程度の車両Vのドアを開けることができる位置、など)へ向けて後退(後ずさり)する。すなわち、車載装置101は、追従モードにおいて、車両Vの頭と携帯端末102との間隔を所定距離に保ったまま車両Vを移動させるように構成される。携帯端末102を保持するユーザの横を一緒に移動する、すなわち車両Vの一側面と携帯端末102との間隔を所定距離に保ったまま車両Vを移動させるように構成することも可能であるが、周囲の状況に応じてはユーザからの死角が増える点で比較的好ましくないと考えられる。
【0065】
このような追従モードでは、ユーザが車両Vの周囲の安全を確認するため及び車載装置101が携帯端末102の位置を検出するために、携帯端末102を保持する遠隔操作者Pが遠隔操作対象車両Vに対して所定の距離・角度範囲内に位置していることが必要となる。車両Vの追従モードでの出庫開始時にユーザがそのような所定の範囲内に位置しない場合には、まず一旦、そのような範囲内を目標位置とした自動走行(例えば切り返しなど)を実行してから、次いで追従モードに入るものとしてもよい。
【0066】
また、駐車(入庫)であるか出庫であるかを問わず、追従モードであるか否かを問わず、当該遠隔操作による車両移動が夜間や雨天時など車両Vの周辺環境が比較的暗い状況下で行われる場合には、車両移動中、遠隔操作者Pであるユーザの足元や、今回又は過去の移動履歴から予想される車両Vの予想進行方向領域などが照らされるように、主制御部209が灯火類制御部207に指示して、車両Vのヘッドライトを点灯させるように構成されることが好ましい。その場合、ヘッドライトの点灯が必要か否かの判断は、例えば、a)光量センサを用いて、車両外の光量が所定レベル以下のときにヘッドライトの点灯が必要と判断してもよく、或いは、b)より簡易に、所定の時間帯をヘッドライト点灯が必要な夜間と予め定めておき、車載クロックの指す時刻に応じて判断してもよく、或いは、c)レインセンサを用いて、雨量が所定レベル以上のときにはヘッドライトの点灯が必要と判断してもよい。
【0067】
さらに、遠隔操作対象車両Vにカメラやレーダなどの障害物検知のための装置を装備しておき、当該遠隔操作によって車両移動中に、車両周囲及び/又はユーザ周囲の障害物を検知するようにし、検知されれば、例えば、1)クラクション(ホーン)を吹鳴させる、或いは、2)注意喚起のための音声メッセージやブザー音を車両外に出力する、或いは、3)携帯端末102に音声出力機能を装備しておき、車載装置101からの遠隔操作により携帯端末102から注意喚起のための音声メッセージやブザー音を出力させる、或いは、4)ハザードランプを点滅させる、或いは、5)携帯端末102に振動機能を装備しておき、車載装置101からの遠隔操作で携帯端末102を振動させる、或いは、6)携帯端末102にディスプレイを装備しておき、車載装置101からの遠隔操作により携帯端末102に注意喚起のための文字メッセージをディスプレイ表示させる、或いは、7)上記1)〜6)のうち任意の2以上の組み合わせ、などによって、ユーザに注意喚起するように構成されることが好ましい。
【0068】
加えて、特に追従モードによる出庫の場合は、上述のように、ユーザが車両Vを真正面に見ながら後退するため、車載装置101に車両Vの正面に位置するユーザの顔の向きを検知するためのカメラ等の装備を備えておき、ユーザにとって死角となっている方向や領域(例えば、ユーザが正面の車両Vを見ていればユーザ自身の後方、ユーザが自分の後方を見ていれば車両Vの周囲、など)を動的に検出して、その死角方向・領域についてのみ障害物検知を実行するようにしてもよい。この場合、遠隔操作者Pの顔の向きを正確に検出するために、上述の車両移動中に周囲が暗ければヘッドライトを点灯させる処理が併せて行われることが望ましい。
【0069】
このようにして遠隔操作対象車両Vを移動させながら、車載装置101は、停車のタイミングを監視する(S22)。目標停車位置が設定されている場合には、当該目標位置に到達したときが停車すなわち自動走行停止のタイミングとなる。
【0070】
追従モードでの出庫の場合、例えば、携帯端末102が一定期間の間移動しなかったときを停車のタイミングとすることができる。
【0071】
追従モードでの出庫が、ユーザが携帯端末102に所定の操作(例えば、所定のボタンの押下)をしている間のみ車両Vが携帯端末102を追従するように構成されている場合には、当該所定の操作が一定期間実行されなかったときが停車のタイミングとなる。
【0072】
また、遠隔操作者が携帯端末102のユーザ入力部302を通じて車載装置101に停車命令を発したときにも、車両Vは入庫/出庫のための移動を停止するものとする。
【0073】
このような停車タイミングのいずれかが到来するまで車両Vの自動走行は続けられる(S22の「NO」でS21へ戻る)。
【0074】
他方、いずれかの停車タイミングとなり、車両Vが停車すると(S22の「YES」)、車載装置101の主制御部209は、制動力制御部206に電動式パワーブレーキを掛けさせると共に、例えば、1)クラクション(ホーン)を吹鳴させる、或いは、2)所定の音声メッセージやブザー音を車両外に出力する、或いは、3)携帯端末102に音声出力機能を装備しておき、車載装置101からの遠隔操作により携帯端末102から所定の音声メッセージやブザー音を出力させる、或いは、4)ハザードランプを点滅させる、或いは、5)携帯端末102に振動機能を装備しておき、車載装置101からの遠隔操作で携帯端末102を振動させる、或いは、6)携帯端末102にディスプレイを装備しておき、車載装置101からの遠隔操作により携帯端末102に所定の文字メッセージをディスプレイ表示させる、或いは、7)ヘッドライトを所定のパターン(例えば、左右のヘッドライトを同時に短い間隔で「パッ、パッ」と点滅させる、など)で点滅させる、或いは、8)上記1)〜7)のうち任意の2以上の組み合わせ(単に2系統以上を同時に用いるだけでなく、例えば、昼間はクラクション吹鳴/夜間はヘッドライト点滅、などのように周辺の環境に応じて変えることも含む)、などによって、遠隔操作者に停車したことを合図する(S23)。
【0075】
次いで、車載装置101の主制御部209は、今回の遠隔操作が駐車(入庫)であったか否か(或いは、出庫でなかった否か)を判定する(S24)。
【0076】
駐車(入庫)であると判断された場合には(S24の「YES」)、停車後直ちにユーザが車両Vに乗車して走行を開始する可能性は極めて低いと判断し、エンジンを自動的にOFFにする(S25)。ただし、その時点において、例えば、センタとの通信において音楽コンテンツをダウンロード中である場合や、ハイブリッド車においてバッテリ残容量が一定レベル以下の場合などには、ダウンロード終了やバッテリ充電完了などを待機してから後でエンジンがOFFされるものとしてもよい。
【0077】
他方、出庫であると判断された場合には(S24の「NO」)、停車後ユーザがそのまま車両Vに乗車し、走行を開始する可能性が高いと判断し、エンジンをOFFにしない(S25をスキップ)。
【0078】
駐車(入庫)の遠隔操作か否かの判定は、例えば、a)遠隔操作要求時にユーザにより予め選択・入力された情報に基づいて判定されるものとしてもよく、或いは、b)車載装置101に例えばGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)などの自車両Vの現在位置を検出する装置を装備しておき、車両現在位置が所定の駐車スペース枠内であるときに駐車(入庫)であると判定されるものとしてもよく、或いは、c)遠隔操作対象車両V又は駐車(入庫)しようとしている駐車スペースがある駐車場に設置された周辺監視カメラを利用して、車両Vが所定の駐車スペース枠内で停車したときに駐車(入庫)であると判定されるものとしてもよく、或いは、d)車載装置101が車両Vのエンジン始動履歴、走行履歴、及びドア開閉履歴を記録しておくように構成され、これら履歴に基づいて停車時に駐車か否かが判定されるものとしてもよく、或いは、e)車両Vの車室内に駐車モード選択ボタンを設け、ユーザが遠隔操作により車両Vを駐車(入庫)させる直前の降車前に当該ボタンが押されたか否かによって判定されるものとしてもよく、或いは、f)上記a)〜e)のうちの任意の2以上の組み合わせによって判定されるものとしてもよい。
【0079】
このように、本実施例によれば、遠隔操作により車両を移動させる際に、移動前の車両状態から移動後の車両状態への状態遷移の態様に応じて遠隔操作実行時に遠隔操作者に要求されるユーザ認証の厳格さの程度を異なるようにし、車両を入庫状態から出庫させる場合には出庫状態から入庫させる場合よりもユーザ認証が厳格化されるものとしたため、出庫時には入庫時よりもセキュリティ性が重視され、入庫時には出庫時よりもユーザ利便性が重視されることとなり、セキュリティ性とユーザ利便性とを車両状況に応じて適切に両立させることができる。
【0080】
なお、上記一実施例においては、一例として、遠隔操作者が車両の遠隔操作に利用する携帯端末にユーザ認証のためのユーザ認証部が備えられるものとしたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、ユーザ認証部は、A)遠隔操作対象車両に設けられてもよく、或いは、B)遠隔操作用携帯端末と遠隔操作対象車両の双方にそれぞれ設けられてもよい。
【0081】
上記A)の場合、入庫の場合と出庫の場合とで認証レベルを変えるために、上記一実施例における携帯端末102側のユーザ認証部303と同様に、車両側に設けられるユーザ認証部が複数種類(少なくとも2種類)の認証方式に対応していることが必要となる。
【0082】
上記B)の場合、入庫の場合と出庫の場合とで認証レベルを変えるために、B1)携帯端末側及び車両側の双方のユーザ認証部がそれぞれ複数種類(少なくとも2種類)の認証方式に対応しており、ユーザがいずれか任意の一方の側のユーザ認証部を利用して認証をパスすればよいものしてもよく、或いは、B2)携帯端末側及び車両側の各ユーザ認証部はそれぞれ1種類の認証式にのみ対応しているものとし、ユーザは、デフォルトの認証レベルが用いられる入庫の場合にはいずれか任意の一方の側のユーザ認証部を利用して認証をパスすればよく、認証レベルが厳格化された出庫の場合には携帯端末側及び車両側の双方のユーザ認証部でそれぞれ認証をパスしなければならないものとしてもよい。
【0083】
また、上記一実施例において、遠隔操作要求が車両の出庫であると判断されて認証レベルを上げる場合、安全性を一層向上させる観点から、併せて、1)追従モードであれば、携帯端末を保持する遠隔操作者が位置しているべき遠隔操作対象車両からの距離範囲及び角度範囲を狭める、或いは、2)車両移動中の障害物検知の距離範囲を伸ばす、角度範囲を広げる、及び/又は、精度を上げる、或いは、3)車両移動中の上限速度を下げる、或いは、4)上記1)〜3)の任意の組み合わせ、などの対応処置が行われるようにしてもよい。
【0084】
また、上記一実施例においては、一例として、遠隔操作命令後にユーザ認証が完了すると実際の車両移動が開始されるものとしたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、ユーザ認証を先に行い、認証完了後所定期間のみ遠隔操作要求が受け付け可能となるようにシステム構成されてもよい。
【0085】
さらに、上記一実施例においては、一例として、指紋、眼球の奥の虹彩、光彩、静脈、顔面、又は声紋などの身体的特徴を利用した生体認証によりユーザ認証を行うものとしたが、本発明はこのような実施形態に限られるものではない。例えば、生体認証に代えて又は加えて、携帯端末側及び/又は車両側に、ユーザID又はパスワードによるユーザ認証を行うユーザ認証部が設けられてもよい。このように、生体認証に代えて又は加えて、ユーザID又はパスワードによるユーザ認証を用いて、出庫時に要求される認証レベルを入庫時に要求される認証レベルよりも厳格にする場合の具体例を以下に6パターン示す。
【0086】
第一のパターンは、携帯端末を保持している者を車両の正規ユーザであると仮定して、入庫時には、携帯端末が遠隔操作者により保持されていれば遠隔操作が許容されるものとし、出庫時には、携帯端末側又は車両側においてユーザID又はパスワードによるユーザ認証が要求されるものとする、という構成である。
【0087】
第二のパターンは、入庫時には、携帯端末においてログイン用のユーザID又はパスワードによるユーザ認証が要求されるものとし、出庫時には、携帯端末側又は車両側において遠隔操作用のユーザID又はパスワードによるユーザ認証が要求されるものとする、という構成である。
【0088】
第三のパターンは、入庫時には、携帯端末側又は車両側におおいて1つのユーザID又はパスワードによるユーザ認証が要求されるものとし、出庫時には、携帯端末側又は車両側において複数の(例えば2つの)ユーザID又はパスワードによるユーザ認証が要求されるものとする、という構成である。
【0089】
第四のパターンは、入庫時には、携帯端末側又は車両側においてユーザID又はパスワードによるユーザ認証が要求されるものとし、出庫時には、携帯端末側又は車両側において生体認証によるユーザ認証が要求されるものとする、という構成である。
【0090】
第五のパターンは、入庫時には、携帯端末側又は車両側において生体認証によるユーザ認証が要求されるものとし、出庫時には、携帯端末側又は車両側におけるユーザID又はパスワードによるユーザ認証と携帯端末側又は車両側における生体認証によるユーザ認証とが双方要求されるものとする、という構成である。
【0091】
第六のパターンは、入庫時には、携帯端末側又は車両側におけるユーザID又はパスワードによるユーザ認証又は携帯端末側又は車両側における生体認証によるユーザ認証のいずれか任意の一方のみが要求されるものとし、出庫時には携帯端末側又は車両側において生体認証によるユーザ認証が要求されるものとする、という構成である。
【0092】
上記第四のパターンでは、生体認証によるユーザ認証の方がユーザID又はパスワードによるユーザ認証よりも認証レベルが相対的により厳格であろうとの考えを前提としている。また、上記第六のパターンでは、入庫時には任意の認証方法を選択できる自由がユーザに与えられている点で、認証方法が生体認証に限定されている出庫時よりも、要求されている認証レベルが相対的に緩やかであると言えるであろうとの考えに基づいている。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、車両遠隔操作システムに利用できる。制御対象となる車両の動力源種類、燃料種類、外観デザイン、重量、サイズ、走行性能等はいずれも不問である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施例に係る車両遠隔操作システムによる入庫/出庫の様子を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る車両遠隔操作システムにおいて遠隔操作対象車両に搭載される車載装置の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施例に係る車両遠隔操作システムにおいて遠隔操作を命令するのに用いられる携帯端末の概略構成図である。
【図4】本発明の一実施例に係る車両遠隔操作システムによる車両遠隔操作処理の流れを示すフローチャートの一部である。
【図5】本発明の一実施例に係る車両遠隔操作システムによる車両遠隔操作処理の流れを示すフローチャートの残部である。
【符号の説明】
【0095】
100 車両遠隔操作システム
101 車載装置
102 携帯端末
201 通信部
202 車速検出部
203 舵角検出部
204 操舵制御部
205 駆動力制御部
206 制動力制御部
207 灯火類制御部
208 警報出力部
209 主制御部
301 通信部
302 ユーザ入力部
303 ユーザ認証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を利用して遠隔操作により車両を移動させる車両遠隔操作システムであって、
遠隔操作対象車両を第一の状態から第二の状態へ移行させる第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度と、遠隔操作対象車両を前記第二の状態から前記第一の状態へ移行させる第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度とが異なる、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。
【請求項2】
請求項1記載の車両遠隔操作システムであって、
前記第一の状態は、入庫状態であり、
前記第二の状態は、出庫状態であり、
前記第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度を、前記第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度よりも厳しくする、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。
【請求項3】
請求項2記載の車両遠隔操作システムであって、
前記第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の種類の数を前記第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の種類の数よりも多くすることによって、前記第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度を前記第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証の厳格さの程度よりも厳しくする、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。
【請求項4】
請求項2記載の車両遠隔操作システムであって、
前記第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証は、前記携帯端末において実施される認証と遠隔操作対象車両において実施される認証とから成り、
前記第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証は、前記携帯端末において実施される認証又は遠隔操作対象車両において実施される認証のいずれか一方から成る、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載の車両遠隔操作システムであって、
前記第一の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証又は前記第二の遠隔車両移動操作を実行する際にユーザに要求される認証は生体認証である、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−33438(P2008−33438A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203696(P2006−203696)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】