説明

車両

【課題】車両外部に配置された送電用コイルと、車両の底面に配置された受電用コイルとの位置決めの容易化が図られた車両を提供する。
【解決手段】車両100は、車両の外部に設置された送電用コイルユニット223Aと非接触の状態で電力を受電可能とされ、車両の底面に配置された受電用コイルユニット110と、車両の底面に設けられたガイド板112A,112Bとを備えた車両であって、送電用コイルユニット223Aは、底面よりも下方に位置し、少なくとも車両の幅方向に移動可能なように設けられ、ガイド板112A,112Bは、送電用コイルユニット223Aを送電コイルの下方に位置する充電エリアR内に案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関し、特に、非接触で外部から電力を受電可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平9−213378号公報に記載された電気自動車用充電システム、特開平9−172743号公報に記載された充電装置、および特開2003−61266号公報に記載された駐機設備などのように、従来から、電磁誘導を利用して、車両に搭載されたバッテリを充電する充電システムや充電装置などが各種提案されている。
【0003】
さらに、近年では、特開2009−106136号公報に記載された車両のように、電磁場を介して外部から電力を受電する車両についても各種提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−213378号公報
【特許文献2】特開平9−172743号公報
【特許文献3】特開2003−61266号公報
【特許文献4】特開2009−106136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の車両には、車両外部に配置された送電用コイルユニットと、車両の底面に設けられた受電用コイルユニットとの位置決めを行う構成を備えていない。このため、充電の前段階において、受電用コイルと受電用コイルとの位置決めを行うことが困難であった。
【0006】
本発明は、上記のような課題にか鑑みてなされたものであって、その目的は、車両外部に配置された送電用コイルと、車両の底面に配置された受電用コイルとの位置決めの容易化が図られた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両は、車両の外部に設置された送電用コイルと非接触の状態で電力を受電可能とされ、車両の底面に配置された受電用コイルと、車両の底面に設けられたガイド部とを備える。上記送電用コイルは、底面よりも下方に位置し、少なくとも車両の幅方向に移動可能なように設けられ、ガイド部は、送電用コイルを送電コイルの下方に位置する所定の範囲内に案内する。
【0008】
好ましくは、互いに車両の幅方向に間隔をあけて設けられた第1後輪および第2後輪をさらに備え、ガイド部は、第1後輪よりも後方に設けられた第1ガイド板と、第2後輪よりも後方に設けられた第2ガイド板とを含む。
【0009】
好ましくは、上記第1ガイド板と第2ガイド板とは、第1ガイド板および第2ガイド板の車両の幅方向の距離が車両の後方に向けて大きくなるように形成される。好ましくは、上記ガイド部によって案内された送電用コイルを所定の範囲内に位置決めする位置決め部材をさらに備える。好ましくは、上記位置決め部材は、緩衝部材とされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両外部に配置された送電用コイルと、車両に搭載された受電用コイルとの位置決めを簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態に係る充電設備を模式的に示す斜視図である。
【図2】車両100の後方部分を示す側面図である。
【図3】図2に示す車両100の背面を示す背面図である。
【図4】コイル搭載器220を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5は、コイル搭載器220の断面図である。
【図6】送電用コイルユニット223および緩衝部材224の断面図である。
【図7】車両100に搭載された受電用コイルユニット110の側断面図である。
【図8】受電用コイルユニット110の断面図である。
【図9】給電設備200から車両100に電力を送電する送電原理を説明する模式図である。
【図10】電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
【図11】図1に示した車両100の詳細構成図である。
【図12】車両100を給電設備200の駐車スペースに駐車するときの様子を車両100側からの視線で示した模式図である。
【図13】車両100を給電設備200の駐車スペースに駐車するときの様子を車両100側からの視線で示した模式図である。
【図14】車両100を給電設備200の駐車スペースに駐車するときの様子を車両100側からの視線で示した模式図である。
【図15】ガイド板112A、112Bの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る車両および充電システムについて図1から図15を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る充電設備を模式的に示す斜視図である。車両100は、停車した状態で給電設備200によって充電される。
【0013】
給電設備200は、車両100が駐車する駐車スペースに設けられており、給電設備200は、車両100の後輪101を止める輪止201と、コイル搭載器220と、コイル搭載器220に接続された高周波電力ドライバ221と、高周波電力ドライバ221が接続された交流電源222とを含む。
【0014】
交流電源222は、車両外部の電源であり、たとえば、系統電源である。高周波電力ドライバ221は、交流電源222から受ける電力を高周波の電力に変換し、その変換した電力をコイル搭載器220に供給する。なお、高周波電力ドライバ221が生成する高周波電力の周波数は、たとえば1M〜10数MHzである。コイル搭載器220および輪止201は地面に設置されている。なお、この図1に示す例においては、地面に白線202などの目印線が設けられている。運転手は、白線202を確認しながら車両100を操作することで、コイル搭載器220から電力を受け取り可能なように車両100を駐車スペースに配置することができる。
【0015】
図2は、車両100の後方部分を示す側面図である。この図2に示すように、車両100は、受電用コイルユニット110と、バッテリ150とを含む。
【0016】
受電用コイルユニット110は、たとえば、リヤフロアパネル111の下面に配置されている。リヤフロアパネル111は、車両100内部と外部とを区画するものであり、車両100の下面に相当する。バッテリ150は、リヤフロアパネル111の上面上に搭載されている。バッテリ150は、受電用コイルユニット110の上方に配置されている。
【0017】
バッテリ150を充電するときには、車両100は、給電設備200の駐車スペースに停車する。車両100が給電設備200の駐車スペースに停車すると、受電用コイルユニット110は、コイル搭載器220の上方に位置する。受電用コイルユニット110とコイル搭載器220とが対向した状態で、コイル搭載器220は受電用コイルユニット110に電力を送電し、受電用コイルユニット110が電力を受け取り、バッテリ150が充電される。なお、電力の送電方法の詳細については後述する。
【0018】
この図2に示すように、受電用コイルユニット110は、車両100の前後方向の中央部よりも後方側に配置されている。このため、バッテリ150を充電するときには、車両100は後進しながら駐車スペースに入り込む。
【0019】
図3は、図2に示す車両100の背面を示す背面図である。この図3に示すように、車両100のリヤフロアパネルまたはリヤバンパの下面には、ガイド部113が設けられており、ガイド部113は、車両100の幅方向に間隔をあけて設けられた2つのガイド板112A,112Bを含む。
【0020】
図4は、コイル搭載器220を模式的に示す斜視図であり、図5は、コイル搭載器220の断面図である。図4に示すように、コイル搭載器220は、送電用コイルユニット223と、送電用コイルユニット223の外周に装着された環状の緩衝部材224と、送電用コイルユニット223を支持する支持台225と、支持台225の底面に設けられた車輪226とを含む。
【0021】
図5に示すように、送電用コイルユニット223は、樹脂ケース227と、樹脂ケース227内に配置された筒状のボビン228と、ボビン228の外周面に装着された一次コイル229および一次自己共振コイル230と、樹脂ケース227の内周面に形成されたシールド材231とを含む。
【0022】
一次コイル229と、一次自己共振コイル230とは、ボビン228の高さ方向に間隔をあけて設けられている。シールド材231は、上方に向けて開口するように形成されており、樹脂ケース227の内周面および底面上に形成されている。緩衝部材224は、樹脂ケース227の外周面に装着されており、弾性変形可能な樹脂などから形成されている。
【0023】
支持台225は、バネ収容ケース232と、バネ収容ケース232内に収容された複数のバネ233とを含む。バネ収容ケース232の上面には、送電用コイルユニット223が固定されている。バネ収容ケース232の下面には、複数の車輪226が設けられており、バネ収容ケース232の下面には、開口部234が形成されている。開口部234には、地面に立設された中空状の筒部235が挿入されている。筒部235の外周面と開口部234との間には、所定の間隔が設けられている。バネ233の一方の端部は、バネ収容ケース232の内周面に固定されており、バネ233の他方の端部は、筒部235に固定されている。バネ233は、筒部235の周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0024】
筒部235内には、ケーブル236が挿入されている。ケーブル236の一端は一次コイル229に接続されており、他端は、上記の高周波電力ドライバ221に接続されている。このコイル搭載器220において、緩衝部材224が外部から押されると、バネ233が弾性変形し、バネ収容ケース232および送電用コイルユニット223が一体的に移動する。
【0025】
ここで、緩衝部材224に外力が加えられていない状態では、開口部234の開口部縁部と、筒部235の外周面との間には隙間が形成されており、バネ収容ケース232および送電用コイルユニット223は、水平方向に移動可能となっている。このため、バネ収容ケース232および送電用コイルユニット223は、図1に示す車両100の幅方向に移動可能となっている。
【0026】
図6は、送電用コイルユニット223および緩衝部材224の断面図である。この図6に示すように、ボビン228内には、キャパシタ237が収容されており、このキャパシタ237は、一次自己共振コイル230に接続されている。ケーブル236は、ボビン228内に引き出されており、ケーブル236はボビン228の外周面に装着された一次コイル229に接続されている。
【0027】
図7は、車両100に搭載された受電用コイルユニット110の側断面図である。この図7に示すように、受電用コイルユニット110は、樹脂ケース114と、樹脂ケース114内に設けられた筒状のボビン115と、ボビン115の外周面に装着された二次コイル116および二次自己共振コイル117と、樹脂ケース114とを含む。
【0028】
二次自己共振コイル117と、二次コイル116とは、高さ方向に間隔をあけて設けられており、二次コイル116は二次自己共振コイル117の上方に配置されている。シールド材118は、樹脂ケース114の内表面のうち、上面および内周面に設けられている。図8は、受電用コイルユニット110の断面図であり、図8に示すように、ボビン115内には、キャパシタ119が配置されており、キャパシタ119は、二次自己共振コイル117に接続されている。
【0029】
図9は、給電設備200から車両100に電力を送電する送電原理を説明する模式図である。図9においては、送電原理を説明するために、構成を簡略化している。本実施の形態においては、共鳴法による送電方法が採用されている。この共鳴法では、2つの音叉が共鳴するのと同様に、同じ固有振動数を有する2つのLC共振コイルが電磁場(近接場)において共鳴することによって、一方のコイルから他方のコイルへ電磁場を介して電力が伝送される。
【0030】
具体的には、交流電源222に高周波電力ドライバを介して一次コイル229を接続し、電磁誘導により一次コイル229と磁気的に結合される一次自己共振コイル230へ1M〜10数MHzの高周波電力を給電する。一次自己共振コイル230は、コイル自身のインダクタンスと浮遊容量とによるLC共振器であり、一次自己共振コイル230と同じ共振周波数を有する二次自己共振コイル117と電磁場(近接場)を介して共鳴する。そうすると、一次自己共振コイル230から二次自己共振コイル117へ電磁場を介してエネルギー(電力)が移動する。二次自己共振コイル117へ移動したエネルギー(電力)は、電磁誘導により二次自己共振コイル117と磁気的に結合される二次コイル116によって取出され、バッテリ150へ供給される。なお、共鳴法による送電は、一次自己共振コイル230と二次自己共振コイル117との共鳴強度を示すQ値がたとえば100よりも大きいときに実現される。
【0031】
図10は、電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図10を参照して、電磁界は3つの成分を含む。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。
【0032】
この中でも波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域があるが、共鳴法では、この近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、近接場を利用して、同じ固有振動数を有する一対の共鳴器(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、一方の共鳴器(一次自己共振コイル)から他方の共鳴器(二次自己共振コイル)へエネルギー(電力)を伝送する。この近接場は遠方にエネルギー(電力)を伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によりエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0033】
図11は、図1に示した車両100の詳細構成図である。図11を参照して、車両100は、バッテリ150と、システムメインリレーSMR1と、昇圧コンバータ162と、インバータ164,166と、モータジェネレータ172,174と、エンジン176と、動力分割装置177と、駆動輪178とを含む。また、車両100は、二次自己共振コイル117と、二次コイル116と、整流器140と、DC/DCコンバータ142と、システムメインリレーSMR2と、電圧センサ190とをさらに含む。さらに、車両100は、制御装置180とをさらに含む。
【0034】
この車両100は、エンジン176およびモータジェネレータ174を動力源として搭載する。エンジン176およびモータジェネレータ172,174は、動力分割装置177に連結される。そして、車両100は、エンジン176およびモータジェネレータ174の少なくとも一方が発生する駆動力によって走行する。エンジン176が発生する動力は、動力分割装置177によって2経路に分割される。すなわち、一方は駆動輪178へ伝達される経路であり、もう一方はモータジェネレータ172へ伝達される経路である。
【0035】
モータジェネレータ172は、交流回転電機であり、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機から成る。モータジェネレータ172は、動力分割装置177によって分割されたエンジン176の運動エネルギーを用いて発電する。たとえば、バッテリ150の充電状態(「SOC(State Of Charge)」とも称される。)が予め定め
られた値よりも低くなると、エンジン176が始動してモータジェネレータ172により発電が行なわれ、バッテリ150が充電される。
【0036】
モータジェネレータ174も、交流回転電機であり、モータジェネレータ172と同様に、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機から成る。モータジェネレータ174は、バッテリ150に蓄えられた電力およびモータジェネレータ172により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。そして、モータジェネレータ174の駆動力は、駆動輪178に伝達される。
【0037】
また、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時には、運動エネルギーや位置エネルギ
ーとして車両に蓄えられた力学的エネルギーが駆動輪178を介してモータジェネレータ174の回転駆動に用いられ、モータジェネレータ174が発電機として作動する。これにより、モータジェネレータ174は、走行エネルギーを電力に変換して制動力を発生する回生ブレーキとして作動する。そして、モータジェネレータ174により発電された電力は、バッテリ150に蓄えられる。
【0038】
動力分割装置177は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車から成る。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン176のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、モータジェネレータ172の回転軸に連結される。リングギヤはモータジェネレータ174の回転軸および駆動輪178に連結される。
【0039】
バッテリ150は、再充電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオンやニッケル水素などの二次電池から成る。バッテリ150は、DC/DCコンバータ142から供給される電力を蓄えるほか、モータジェネレータ172,174によって発電される回生電力も蓄える。そして、バッテリ150は、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給する。なお、バッテリ150として大容量のキャパシタも採用可能であり、給電設備200(図1)から供給される電力やモータジェネレータ172,174からの回生電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
【0040】
システムメインリレーSMR1は、バッテリ150と昇圧コンバータ162との間に配設される。システムメインリレーSMR1は、制御装置180からの信号SE1が活性化されると、バッテリ150を昇圧コンバータ162と電気的に接続し、信号SE1が非活性化されると、バッテリ150と昇圧コンバータ162との間の電路を遮断する。昇圧コンバータ162は、制御装置180からの信号PWCに基づいて、正極線PL2の電圧をバッテリ150から出力される電圧以上の電圧に昇圧する。なお、この昇圧コンバータ162は、たとえば直流チョッパ回路から成る。インバータ164,166は、それぞれモータジェネレータ172,174に対応して設けられる。インバータ164は、制御装置180からの信号PWI1に基づいてモータジェネレータ172を駆動し、インバータ166は、制御装置180からの信号PWI2に基づいてモータジェネレータ174を駆動する。なお、インバータ164,166は、たとえば三相ブリッジ回路から成る。
【0041】
二次自己共振コイル117は、LC共振コイルであり、給電設備200の一次自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより給電設備200から受電する。なお、二次自己共振コイル117の容量成分は、コイルの両端に接続されるキャパシタとされている。この二次自己共振コイル117については、給電設備200の一次自己共振コイルとの距離や、一次自己共振コイルおよび二次自己共振コイル117の共鳴周波数等に基づいて、一次自己共振コイルと二次自己共振コイル117との共鳴強度を示すQ値(たとえば、Q>100)およびその結合度を示すκ等が大きくなるようにその巻数が適宜設定される。
【0042】
二次コイル116は、二次自己共振コイル117と同軸上に配設され、電磁誘導により二次自己共振コイル117と磁気的に結合可能である。この二次コイル116は、二次自己共振コイル117により受電された電力を電磁誘導により取出して整流器140へ出力する。
【0043】
整流器140は、二次コイル116によって取出された交流電力を整流する。DC/DCコンバータ142は、制御装置180からの信号PWDに基づいて、整流器140によって整流された電力をバッテリ150の電圧レベルに変換してバッテリ150へ出力する
。システムメインリレーSMR2は、DC/DCコンバータ142とバッテリ150との間に配設される。システムメインリレーSMR2は、制御装置180からの信号SE2が活性化されると、バッテリ150をDC/DCコンバータ142と電気的に接続し、信号SE2が非活性化されると、バッテリ150とDC/DCコンバータ142との間の電路を遮断する。電圧センサ190は、整流器140とDC/DCコンバータ142との間の電圧VHを検出し、その検出値を制御装置180へ出力する。
【0044】
制御装置180は、アクセル開度や車両速度、その他種々のセンサからの信号に基づいて、昇圧コンバータ162およびモータジェネレータ172,174をそれぞれ駆動するための信号PWC,PWI1,PWI2を生成し、その生成した信号PWC,PWI1,PWI2をそれぞれ昇圧コンバータ162およびインバータ164,166へ出力する。そして、車両の走行時、制御装置180は、信号SE1を活性化してシステムメインリレーSMR1をオンさせるとともに、信号SE2を非活性化してシステムメインリレーSMR2をオフさせる。
【0045】
図12は、車両100を給電設備200の駐車スペースに駐車するときの様子を示した模式平面図である。
【0046】
車両100の後部には、サスペンション238が設けられており、サスペンション238は、車両の幅方向に間隔をあけて設けられ、各後輪101の近傍に配置された緩衝ユニット239と、緩衝ユニット239間に配置されたトーションバ240とを含む。緩衝ユニット239は、コイルバネやダンパなどを含む。車両100の下面には、緩衝ユニット239の周面に設けられた緩衝部材250A,250Bと、トーションバ240に設けられた緩衝部材251とが設けられている。受電用コイルユニット110は、車両100の後部側であって、車両100の幅方向の中央部に配置されている。
【0047】
ガイド板112A,112Bおよび受電用コイルユニット110を上方から平面視すると、ガイド板112Aとガイド板112Bとは、受電用コイルユニット110の両側に配置されており、受電用コイルユニット110はガイド板112Aおよびガイド板112Bの間の中央部に位置している。
【0048】
ガイド板112Aとガイド板112Bとは、ガイド板112Aとガイド板112Bとの車両100の幅方向の距離Lが車両100の前方側から後方側に向かうにつれて大きくなるように形成されている。すなわち、ガイド板112Aおよびガイド板112Bは、末広がりとなるように配置されている。なお、車両100の前方側に位置するガイド板112Aの端部と、前方側に位置するガイド板112Bの端部との間の距離は、緩衝部材224の外径または緩衝部材224の外径よりも少し大きい。
【0049】
ガイド板112A,112Bによって車両100の下方に案内されたコイル搭載器220が、緩衝部材250A,250Bおよび緩衝部材251の少なくとも1つと接触するときには、コイル搭載器220の送電用コイルユニット223は、受電用コイルユニット110の下方に位置する充電エリアR内に位置する。すなわち、ガイド板112A,112Bは、送電用コイルユニット223を充電エリアR内に案内し、緩衝部材250A,250Bおよび緩衝部材251がガイド板112A,112Bによって案内された送電用コイルユニット223を充電エリアR内に位置決めする。
【0050】
図12および上記図1において、車両100は後退しながら、給電設備200の駐車スペースに入り込む。図12中において、コイル搭載器220Aは、車両100が駐車スペースに入り込み始めたときにおけるコイル搭載器を示す。
【0051】
この図12に示す例においては、車両100は横方向に位置ずれしており、後退方向Bにそのまま後退したとしても、コイル搭載器220と受電用コイルユニット110とは、車両100の幅方向にずれる。
【0052】
その後、図13に示すように、車両100が駐車スペースにさらに進入すると、車両100とコイル搭載器220とはさらに近接する。
【0053】
コイル搭載器220Bは、一方のガイド板112Aと接触するときのコイル搭載器を示す。この際、コイル搭載器220Bの緩衝部材224Bは、ガイド板112Aのうち、車両後方側の端部と接触する。そして、図14に示すように、車両100がさらに後退方向Bに進むと、緩衝部材224Cと送電用コイルユニット223Cがガイド板112Aによって受電用コイルユニット110の下方に案内される。上記図5に示すように、送電用コイルユニット223は水平面方向に移動可能に設けられており、少なくとも車両100の幅方向に移動可能に設けられている。なお、ここでの車両100の幅方向とは、図1に示すように、受電を良好に行うことができる状態における車両100の幅方向を意味する。
【0054】
そして、図中のコイル搭載器220Cに示すように、緩衝部材224Cと緩衝部材251とが接触するときには、コイル搭載器220Cの送電用コイルユニット223Cは、受電用コイルユニット110の下方に位置する。なお、この際、図1に示すように後輪101が輪止201にあたり、車両100の後退がとまる。
【0055】
緩衝部材250A,250Bおよび緩衝部材251の少なくとも1つと、コイル搭載器220の緩衝部材224とが接触することで、充電エリアR内にコイル搭載器220が位置決めされる。
【0056】
このように、車両100が位置ずれした状態で給電設備200の駐車スペースに進入したとしても、ガイド板112A,112Bが送電用コイルユニット223を受電用コイルユニット110の充電エリアRに案内する。
【0057】
このため、充電する前作業として、受電用コイルユニット110(二次自己共振コイル117)と送電用コイルユニット223A(一次自己共振コイル230)とが対向するように車両100を操作する作業負担が低減され、運転手等の作業負担の軽減を図ることができる。
【0058】
なお、緩衝部材250A,250Bおよび緩衝部材251は、弾性変形可能な樹脂などで構成されており、コイル搭載器220と接触した際にコイル搭載器220の損傷を抑制する。
【0059】
ガイド板112Aは、一方の後輪101よりも後方に配置されており、ガイド板112Bも他方の後輪101よりも後方側に配置されている。
【0060】
このため、ガイド板112A,112Bは、後輪101から飛散する泥などを受け止める。このように、ガイド板112A,112Bは、泥よけとしての機能も発揮する。
【0061】
さらに、ガイド板112Aおよびガイド板112Bは、車両100の下面を流れる空気の流れを整流し、高速走行時の安定性、快適性を向上させる。特に、車両100の下面を流れる空気が車両100の側方に抜けることを抑制し、気流の流れが乱れることを抑制することができる。
【0062】
図15は、ガイド板112A、112Bの平面図である。この図15に示すように、ガイド板112Aは、片部120と、片部120よりも車両100の後方側に位置する片部121とを含む。この図14において、仮想線L1,L2は、車両100の幅方向に延びる仮想線である。
【0063】
仮想線L2と片部121とがなす角度θ1は、仮想線L1と片部120とがなす角度θ2よりも小さくなるように、ガイド板112Aは形成されている。ガイド板112Bは、片部122と、片部122よりも車両100の後方側に設けられた片部123とを含む。
【0064】
片部123と仮想線L2とのなす角度θ3は、片部122と仮想線L1とのなす角度θ4よりも小さい。
【0065】
このため、片部121の端部と片部123との端部との間の距離を長くなり、コイル搭載器220を受け入れやすくなっている。そして、片部121,123がコイル搭載器220が捉えた後、片部120,122が、コイル搭載器220を案内する。ガイド板112A,112Bの形状は、上記の形状に限られず、車両100の後方に向けて広がる末広がり形状であればよい。
【0066】
なお、本実施の形態においては、受電用コイルユニット110が車両100の前後方向の中央部よりも後方に配置された例について説明したが、中央部よりも前方に配置するようにしてもよい。この場合には、ガイド板112A,112Bは、受電用コイルユニット110よりも前方側に配置され、ガイド板112Aおよびガイド板112Bの距離は、車両100の前方側に向けて大きくなるように形成される。
【0067】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、車両に適用することができ、特に、外部に設けられたコイルユニットから電磁場を介して電力を受電可能な車両に好適である。
【符号の説明】
【0069】
100 車両、101 後輪、110 受電用コイルユニット、111 リヤフロアパネル、112A,112B ガイド板、113 ガイド部、114 樹脂ケース、115 ボビン、116 二次コイル、117 二次自己共振コイル、118 シールド材、119 キャパシタ、140 整流器、142 コンバータ、150 バッテリ、162 昇圧コンバータ、164,166 インバータ、172,174 モータジェネレータ、176 エンジン、177 動力分割装置、178 駆動輪、180 制御装置、190 電圧センサ、200 給電設備、201 輪止、202 白線、220 コイル搭載器、221 高周波電力ドライバ、222 交流電源、223 送電用コイルユニット、224 緩衝部材、225 支持台、226 車輪、227 樹脂ケース、228 ボビン、229 一次コイル、230 一次自己共振コイル、231 シールド材、232 バネ収容ケース、233 バネ、234 開口部、235 筒部、236 ケーブル、237 キャパシタ、238 サスペンション、239 緩衝ユニット、240 トーションバ、250 緩衝部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に設置された送電用コイルと非接触の状態で電力を受電可能とされ、車両の底面に配置された受電用コイルと、
車両の底面に設けられたガイド部と、
を備えた車両であって、
前記送電用コイルは、前記底面よりも下方に位置し、少なくとも車両の幅方向に移動可能なように設けられ、
前記ガイド部は、前記送電用コイルを前記受電用コイルの下方に位置する所定の範囲内に案内する、車両。
【請求項2】
互いに車両の幅方向に間隔をあけて設けられた第1後輪および第2後輪をさらに備え、
前記ガイド部は、前記第1後輪よりも後方に設けられた第1ガイド板と、前記第2後輪よりも後方に設けられた第2ガイド板とを含む、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第1ガイド板と前記第2ガイド板とは、前記第1ガイド板および前記第2ガイド板の前記車両の幅方向の距離が車両の後方に向けて大きくなるように形成された、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記ガイド部によって案内された前記送電用コイルを前記所定の範囲内に位置決めする位置決め部材をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両。
【請求項5】
前記位置決め部材は、緩衝部材とされた、請求項4に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−250593(P2011−250593A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121506(P2010−121506)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】