説明

車載システム及び運転支援方法

【課題】ユーザが走行道路の勾配との関係において、自己の運転の低環境負荷度の評価値を認識できる「車載システム及び運転支援方法」を提供する。
【解決手段】評価ポイントグラフ502の縦軸は評価ポイントとし横軸は道程距離とする。また、標高グラフ501の縦軸は標高とし横軸は道程距離とする。そして、評価ポイントグラフ502と標高グラフ501の横軸は一つの横軸を共有させる。そして、当該横軸の原点を横軸の中心に設定し、横軸の原点より左側の領域、すなわち、道程距離が負となる領域には、標高グラフ501として過去に走行した各地点の標高を表す折れ線グラフを描画すると共に、評価ポイントグラフ502として過去に走行した各地点で算出した評価ポイントを表す棒グラフを描画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境に与える負荷が小さい走行である低環境負荷走行をユーザが行えるように支援する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境に与える負荷が小さい走行である低環境負荷走行をユーザが行えるように支援する技術としては、地図上の既に走行した道路の各区間を、当該区間を走行した際の平均燃費に応じて色分けして表示する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
また、燃費や車両の加減速の度合いよりユーザの低環境負荷度を評価してユーザに通知する装置において、坂を走行中である場合には前記評価を停止する技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平11-180185号公報
【特許文献2】特開2006-77664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
燃費や車両の加減速の度合いよりユーザの低環境負荷度を評価する場合、勾配の大きい道路区間では、ユーザが急激な加減速運転操作を行わなくても、低環境負荷度の評価値が低下してしまうことになる。
一方、このような場合に、特許文献1のように過去に走行した区間の評価値の履歴を表示することとすると、ユーザは、過去の評価値と道路勾配との関係を把握できないために、過去に走行した大勾配区間において評価値が大きく低下した理由が分からず、正しく自己の運転と低環境負荷度の関係を認識することができなくなってしまう。
【0004】
そこで、本発明は、ユーザが、走行道路の勾配との関係において、自己の運転の低環境負荷度の評価値を認識できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される車載システムを、表示装置と、現在位置の標高もしくは現在位置における道路勾配を、道路情報として算出する道路情報算出手段と、自動車の状態に基づいて、ユーザの運転の低環境負荷度を表す評価値を算出する評価手段と、各時点において前記道路情報算出手段が算出した道路情報と各時点において前記評価手段が算出した評価値とを表す評価履歴データを記憶する評価履歴記憶手段と、前記評価履歴記憶手段に記憶された各時点の評価履歴データに基づいて、現在までの前記評価値の推移を、現在までの標高もしくは道路勾配の推移と共に表すグラフを前記表示装置に表示する評価履歴提示手段とを含めて構成したものである。
【0006】
このような車載システムによれば、現在までの前記評価値の推移が、現在までの標高もしくは道路勾配の推移と共にグラフとして表示される。よって、ユーザは、グラフより、過去の走行における自己の運転の低環境負荷度の評価値を、当該評価値と走行道路の標高や道路勾配との関係と共に容易に認識できるようになる。
【0007】
また、このような車載システムに、さらに、ユーザから設定された目的地までの経路を探索し誘導経路として設定する誘導経路設定手段と、誘導経路設定手段が設定した前記誘導経路に従った走行を案内する案内手段とを備え、前記評価履歴提示手段において、誘導経路設定手段が設定した前記誘導経路の現在位置より目的地側の部分における、当該誘導経路に沿った標高もしくは道路勾配の推移も、前記グラフ中に表すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明によれば、ユーザが、走行道路の勾配との関係において、自己の運転の低環境負荷度の評価値を認識できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る車載システムの構成を示す。
車載システムは、自動車に搭載されるシステムであり、図示するように、ナビゲーション装置1と、操作部2と、表示装置3と、車両状態センサ4と、GPS受信機5とを備えて構成される。ここで、車両状態センサは、角加速度センサや地磁気センサなどである方位センサや、車速パルスセンサなどである車速センサなどの各種車両状態を検出する各種センサである。
【0010】
そして、ナビゲーション装置1は、地図を表す地図データを記憶したDVDドライブやHDDなどの記憶装置である地図データ記憶部11、現在状態算出部12、操作部2や表示装置3を用いたユーザとの間の入出力を制御するGUI制御部13、ルート探索部14、メモリ15、制御部16、案内画像生成部17、自動車が備える当該自動車の各部の制御や監視を行うECU6から各種情報を取得するためのECUインタフェース18とを有する。
【0011】
但し、以上のナビゲーション装置1は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路であって良く、この場合、以上に示したナビゲーション装置各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、ナビゲーション装置1に提供されるものであって良い。
【0012】
次に、図2aに、地図データ記憶部11に記憶される地図データの内容を示す。
図示するように、地図データは、地図データのバージョン等を記述した管理データ、路線データ、地図を表す基本地図データとを含んで構成される。
そして、路線データは、各道路毎に設けられた路線レコードを有し、各路線レコードには、道路の識別子である路線番号や、各道路の高速道路、国道、県道などの路線種別や、各道路の路線名称が記述される。
そして、基本地図データは、道路網を表す道路ユニットと、地図に含まれる道路以外の描画オブジェクト(地名や地形図形等)を表す描画ユニットとを有する。
ここで、道路ユニットは、ノードと、ノード間を連結するリンクの集合として道路網を定義しており、当該道路ユニットは、ノード毎に設けられたノードデータと、リンク毎に設けられたリンクデータとを有する。
また、各ノードデータには、対応するノードの識別子となるノード番号、対応するノードの属する路線の路線番号を示す所属路線番号、対応するノードの各種属性を表すノード属性、対応するノードの位置を緯度、経度、標高により表すノード座標、ノード接続情報とが登録される。そして、ノード接続情報には、対応するノードに接続するリンクのリンク番号と、対応するノードに一本のリンクを介して接続する他のノードのノード番号とが登録される。
【0013】
また、各リンクデータには、対応するリンクの識別子となるリンク番号、対応するリンクの属する路線の路線番号を示す所属路線番号、対応するリンクの高速道路、国道、県道などの路線種別その他の各種属性を表すリンク属性、対応するリンクの緯度経度平面上での道程距離を表すリンク道程距離、対応するリンクの端点となる二つノードのノード番号を表す第1端点ノードと第2端点ノード、リンクの端点となる各ノードに接続する他のリンクを表すリンク接続情報が登録される。
【0014】
さて、このような構成において、ナビゲーション装置1の現在状態算出部12は、以下の処理を繰り返し行う。
すなわち、現在状態算出部12は、車両状態センサ4やGPS受信機5の出力から推定される現在位置に対して、地図データ記憶部11から読み出した地図データが示す前回決定した現在位置の周辺の地図とのマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしいリンク上の位置の座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ15に設定する。
【0015】
また、制御部16は、ユーザから操作部2、GUI制御部13を介して目的地の設定を受付け、これをメモリ15にセットする。そして、目的地までの誘導経路をルート探索部14に探索させる。ルート探索部14は、必要地理的範囲の地図データを地図データ記憶部11から読み出し、メモリ15に設定されている現在位置から目的地までの最小コストの経路を、距離最小、時間最小などの複数のコストモデルの各々に基づいて探索し、探索した経路を誘導経路とし、誘導経路の経路データを誘導経路データとして、メモリ15にセットする。
【0016】
ここで、図2bに、このようにしてメモリ15にセットされる誘導経路データを示す。
図示するように誘導経路データには、誘導経路を構成する各リンク毎のエントリを有し、各エントリには、誘導経路上通過する順番に従って、誘導経路を構成するリンクのリンク番号と、リンクデータより求まるリンク道程距離と、リンクデータのリンク属性より求まるリンクの一般道/高速道の種別を表す道路種別と、誘導経路を進行する方向に見てリンクの始点となるノードである始点ノードのノード座標を表す始点ノード座標が格納される。ここで、始点ノード座標が示す座標は、始点ノードのノードデータに格納されたノード座標であり、緯度、経度の他に標高も含む。
【0017】
さて、制御部16は、メモリ15にセットされた現在位置が目的地近傍となったならば、目的地到着と判定し、メモリ15にセットされている目的地と誘導経路をクリアする処理も行う。
また、制御部16は、定期的に、地図表示範囲を算出し、表示装置3の表示画面上に設定したナビゲーションウインドウへの、算出した地図表示範囲の案内画像の表示を案内画像生成部17に要求する処理を繰り返し行う。地図表示範囲の算出は、当該地図表示範囲がメモリ15にセットされた現在位置周辺の範囲となり、当該地図表示範囲を設定されている表示地図縮尺で表した地図のサイズが、ナビゲーションウインドウのサイズに適合するサイズとなるように、地図表示範囲を算定することにより行う。
【0018】
さて、このようにして制御部16から、案内画像の表示を要求された案内画像生成部17は、地図データの描画ユニットが示す地図表示範囲内の描画オブジェクト(地名や地形図形等)と、地図データの道路ユニットのリンクデータが示す地図表示範囲内のリンクを描画して、地図画像を生成する。
【0019】
また、案内画像生成部17は、描画した地図画像上に、メモリ15にセットされている現在位置を表す現在位置マークを描画し、案内画像としてGUI制御部13を介して表示装置3の表示画面上のナビゲーションウインドウに表示する。また、案内画像生成部17は、誘導経路が設定されている場合には、表示装置3に表示する案内画像中に、メモリ15にセットされた誘導経路データが示す誘導経路を地図画像上で示すルート図形を描画する。また、地図表示範囲内に目的地が含まれている場合には、表示装置3に表示する案内画像中に目的地を示す目的地マークの描画も行う。
【0020】
図3aは、このようにして表示装置3の表示画面上に表示される案内画像の例を示すものであり、表示装置3の表示画面のいっぱいに設定されたナビゲーションウインドウ300に表示される案内画像は、現在位置周辺の地図を表す地図画像301上に、現在位置を表す現在位置マーク302と、地図表示範囲内の誘導経路を表すルート図形303が地図画像301上に表されたものとなっている。なお、表示範囲内に目的地が含まれる場合には、案内画像は、さらに目的地を表す目的地マークも地図画像301上に表されたものとなる。
【0021】
ここで、制御部16は、ユーザの運転の低環境負荷度を評価してユーザに提示するために、走行状態履歴取得処理と、評価処理と、評価ポイント提示処理とを行う。
まず、走行状態履歴取得処理において、制御部16は、定期的(たとえば、1秒毎)に、車両状態センサから取得した車速よりの車両の加減速度の算出と、ECU6より取得した燃料噴射量と車速とよりの瞬間燃費の算出を行い、算出した加減速度と瞬間燃費とを走行状態履歴としてメモリ15に保存する処理を行う。
【0022】
また、制御部16は、評価処理を図4aに示すように行う。
図示するように、この処理では、緯度経度平面上での道程距離が予め定めた単位距離(たとえば、500m)となる分走行する度に(ステップ402)、以下の処理を行う。なお、緯度経度平面上での道程距離は、逐次算出される現在位置の緯度経度座標の差分の積分値として求めることができる。
【0023】
すなわち、まず、メモリ15にセットされた現在位置が示す現在の車両の所在地点の標高と、現在位置が位置するリンクの一般道/高速道の種別を表す道路種別を求める(ステップ404)。この現在の所在地点の標高は、たとえば、現在位置が位置するリンクの両端のノードのノード座標からの補間によって求める。また、現在位置が位置するリンクの道路種別は、当該リンクのリンクデータのリンク属性より求めることができる。
【0024】
次に、直近の単位距離走行期間中の車両走行状態履歴を取得し(ステップ406)、直近の単位距離走行区間に置ける評価ポイントを算出する(ステップ408)。ここで、評価ポイントは、予め定めた評価方向にしたがって、直近の単位距離走行期間中の車両走行状態履歴が示す直近の単位距離走行期間中の加減速の度合いが、予め定めた標準の加減速の度合いよりも大きい場合に、その偏差分評価ポイントが50ptよりも小さくなり、直近の単位距離走行期間中の加減速の度合いが、標準の加減速の度合いよりも小さい場合に、その偏差分評価ポイントが50ptよりも大きくなるように定める。または、直近の単位距離走行期間中の車両走行状態履歴が示す瞬間燃費より求まる直近の単位距離走行期間中の燃費が、予め定めた標準の燃費よりも大きい場合に、その偏差分評価ポイントが50ptよりも小さくなり、標準の燃費よりも小さい場合に、その偏差分評価ポイントが50ptよりも大きくなるように定める。
【0025】
そして、メモリ15に図2cに示すように設けた評価実績テーブルに新たなエントリを追加作成し、作成したエントリにステップ404で算出した現在の所在地点の標高と道路種別とステップ408で算出した評価ポイントとを登録する(ステップ410)。
この結果、評価実績テーブルには、過去の走行経路上の、緯度経度平面上でも道程距離が一定間隔おきの各地点の標高と当該地点で算出した評価ポイントと当該地点を含む道路の道路種別とが、各地点の通過順に蓄積されていくことになる。
次に、制御部16は、評価ポイント提示処理を図4bに示すように行う。
すなわち、この処理では、車両の停車の発生と(ステップ452)、走行している道路の種別の変化の発生とを監視する(ステップ454)。なお、車両の停車は、車両状態センサが検出した車速等より判定することができる。また、走行している道路の種別は、メモリ15にセットされている現在位置が位置するリンクのリンクデータのリンク属性より求めることができる。
【0026】
車両の停車(ステップ452)と、走行している道路の種別の変化(ステップ454)とのいずれか一方が発生したならば、GUI制御部13を介して表示装置3の表示画面上に評価ポイント提示ウインドウを設定する(ステップ456)。ここでは、たとえば、図3bに示すように、設定しているナビゲーションウインドウ300の表示エリアを上方に縮小した上で、ナビゲーションウインドウ300の下部に評価ポイント提示ウインドウ310を設定する。
【0027】
そして、評価ポイント提示ウインドウ310に、現在及び過去の評価ポイントの推移を表す評価ポイントグラフを、現在位置及び過去の走行区間の標高の推移を表す標高グラフと共に表示する(ステップ458)。この評価ポイントグラフと標高グラフの表示の詳細については後述する。
【0028】
そして、所定のタイムアウト時間(たとえば、10秒)を有するタイマをセットし(ステップ460)、タイマのタイムアウト(ステップ462)を待って、評価ポイント提示ウインドウ310を消去し、ナビゲーションウインドウ300のサイズを図3aに示す元のサイズに復帰し(ステップ464)、ステップ452、454の監視に戻る。
【0029】
以下、ステップ458で行う評価ポイント提示ウインドウ310への、評価ポイントグラフと標高グラフの表示の詳細について説明する。
まず、誘導経路が設定されている場合には、図5aに示すように、折れ線グラフによる標高グラフ501と、棒グラフによる評価ポイントグラフ502とを表示する、すなわち、評価ポイントグラフ502の縦軸は評価ポイントとし横軸は緯度経度平面上での道程距離とする。また、標高グラフ501の縦軸は標高とし横軸は緯度経度平面上での道程距離とする。そして、評価ポイントグラフ502と標高グラフ501の横軸は一つの横軸を共有させる。そして、当該横軸の原点を横軸の中心に設定し、車両の進行方向に計った道程距離を正方向の道程距離に設定すると共に、横軸のスケールを、横軸の右端の座標が現在位置から目的地までの道程距離となるように設定する。そして、横軸の原点の下に現在位置を表すマーク511を描画し、横軸の右端下に目的地を表すマーク512を描画する。
【0030】
そして、横軸の原点より左側の領域、すなわち、道程距離が負となる領域には、評価ポイント実績テーブルに登録された過去に走行した各地点の標高を折れ線グラフで描画する。すなわち、評価ポイント実績テーブルの各エントリについて、当該エントリに登録された標高をz、当該エントリAを作成してから現在までに走行した緯度経度平面上での道程距離をxとして、(-x、z)をプロットし、プロットした各点を結んで、折れ線グラフを描画する。
【0031】
また、横軸の原点より左側の領域、すなわち、道程距離が負となる領域には、評価ポイント実績テーブルに登録された過去に走行した各地点で算出した評価ポイントを棒グラフで表示する。すなわち、評価ポイント実績テーブルの各エントリについて、当該エントリに登録された評価ポイントをq、当該エントリAを作成してから現在までに走行した緯度経度平面上での道程距離をxとして、-xの座標に、高さqの棒を描画する。なお、評価ポイント実績テーブルのエントリを作成してから現在までに走行した道程距離は、当該エントリが緯度経度平面上での走行距離が単位距離となる度に毎に作成されるので、当該エントリの評価ポイント実績テーブル中の位置と、評価ポイント実績テーブルに最後のエントリを作成してからの走行距離から求めることができる
一方、横軸の原点より右側の領域、すなわち、道程距離が正となる領域には、誘導経路データが示す、誘導経路上の現在位置より目的地側の各ノードの標高を折れ線グラフで描画する。すなわち、誘導経路上の現在位置までの各ノードについて、当該ノードの標高をz、当該ノードまでの現在位置からの緯度経度平面上での道程距離をxとして、(x、z)をプロットし、プロットした各点を結んで、折れ線グラフを描画する。なお、誘導経路上の現在位置より目的地側の各ノードの標高は誘導経路データが示す始点ノード座標より求まり、誘導経路上の現在位置より目的地側の各ノードの現在位置からの道程距離は、誘導経路データが示すリンク道程距離を用いて求めることができる。
【0032】
また、この例では、評価ポイント提示ウインドウ310において、横軸の下に、過去に走行した各区間と、誘導経路の目的地側の各区間の一般道/高速道の種別を表す道路種別道路種別を表す図形521-523も、当該横軸が表す道程座標に従って描画するようにしている。ここで、過去に走行した各区間の道路種別は評価ポイント実績テーブルの道路種別より、誘導経路の目的地側の各区間の道路種別は誘導経路データの道路種別より求めることができる。なお、図5aでは、図形521、523は一般道の区間を表し、図形522は高速道の区間を表している。
【0033】
また、この例では、評価ポイント提示ウインドウ310において、併せて、現在位置の標高531と、最後に算出した評価ポイント532と、当該評価ポイントの良否の判定結果533も表示するようにしている。
次に、誘導経路が設定されていない場合には、図5bに示すように、標高グラフ501、評価ポイントグラフ502とを表示する。
この標高グラフ501、評価ポイントグラフ502の、図5aに示した標高グラフ501、評価ポイントグラフ502との相違は、横軸のスケールを予め定めたスケールに設定している点と、横軸の原点より右側の領域、すなわち、道程距離が正となる領域の標高グラフ501として、現在走行中の路線の現在位置より進行方向側の各ノードの標高を折れ線グラフで描画している点である。現在走行中の路線上の各ノードは、現在位置が位置するリンクのリンクデータと所属路線番号を共通するリンクデータのリンクの端点のノードとして求めることができ、当該ノードの内の進行方向側のノードはリンクデータのリンク接続情報に従って、リンクを現在進行方向側に辿っていくことにより求めることができる。
【0034】
なお、誘導経路が設定されていない場合の、標高グラフ501、評価ポイントグラフ502は、図5cに示すように表示してもよい。
この標高グラフ501、評価ポイントグラフ502の、図5aに示した標高グラフ501、評価ポイントグラフ502との相違は、横軸のスケールを予め定めたスケールに設定している点と、横軸の原点を横軸の右側端に設定し、横軸の原点より左側の領域、すなわち、過去に走行した地点についてのみ標高グラフ501、評価ポイントグラフ502を表示するようにした点である。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように本実施形態によれば、現在までの前記評価値の推移が、現在までの標高の推移と共に、両推移が並進する形態でグラフ表示される。よって、ユーザは、並べて配置される両グラフより、過去の走行における自己の運転の低環境負荷度の評価値を、当該評価値と走行道路の標高や当該標高の変化によって表される勾配との関係と共に容易に認識できるようになる。
【0036】
ところで、図5dに誘導経路が設定されている場合について示したように評価ポイントグラフ502に重ねて、評価ポイントの平均値を表すライン541を表示したり、図5eに誘導経路が設定されている場合について示したように評価ポイントグラフ502である棒グラフ502の各棒を、評価ポイントの平均値に対する大小に応じて色分け表示したりするようにしてもよい。
【0037】
また、以上の実施形態で表示した標高グラフ501に代えて、各地点における道路勾配を表す勾配グラフを表示するようにしてもよい。このようにすることにより、ユーザは、直接的に、過去の走行における自己の運転の低環境負荷度の評価値と走行道路の勾配との関係を認識できるようになる。なお、この勾配グラフはたとえば、標高グラフ501を微分したグラフとして求めることができる。または、評価処理において現在位置の標高に代えて現在位置の道路勾配を現在位置が位置するリンクの両端のノードの標高差等より求めて評価実績テーブルに格納するようにし、この評価実績テーブルから、勾配グラフを作成するようにしてもよい。
【0038】
また、以上の実施形態は、表示装置3の表示画面上n評価ポイント提示ウインドウ310を常時設定し、評価ポイント提示ウインドウ310に、標高グラフ501や評価ポイントグラフ502を、現在位置や評価実績テーブルの変化に追従するように更新しながら常時表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置が保持する地図データ、誘導経路データ、評価実績テーブルを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の表示画面例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る評価処理と評価ポイント提示処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置が表示する評価ポイント提示ウインドウを示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1…ナビゲーション装置、2…操作部、3…表示装置、4…車両状態センサ、5…GPS受信機、6…ECU、11…地図データ記憶部、12…現在状態算出部、13…GUI制御部、14…ルート探索部、15…メモリ、16…制御部、17…案内画像生成部、18…ECUインタフェース、300…ナビゲーションウインドウ、301…地図画像、302…現在位置マーク、303…ルート図形、310…評価ポイント提示ウインドウ、501…標高グラフ、502…評価ポイントグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載される車載システムであって、
表示装置と、
現在位置の標高もしくは現在位置における道路勾配を、道路情報として算出する道路情報算出手段と、
自動車の状態に基づいて、ユーザの運転の低環境負荷度を表す評価値を算出する評価手段と、
各時点において前記道路情報算出手段が算出した道路情報と各時点において前記評価手段が算出した評価値とを表す評価履歴データを記憶する評価履歴記憶手段と、
前記評価履歴記憶手段に記憶された各時点の評価履歴データに基づいて、現在までの前記評価値の推移を、現在までの標高もしくは道路勾配の推移と共に表すグラフを前記表示装置に表示する評価履歴提示手段とを有することを特徴とする車載システム。
【請求項2】
請求項1記載の車載システムであって、
ユーザから設定された目的地までの経路を探索し誘導経路として設定する誘導経路設定手段と、
誘導経路設定手段が設定した前記誘導経路に従った走行を案内する案内手段とを有し、
前記評価履歴提示手段は、誘導経路設定手段が設定した前記誘導経路の現在位置より目的地側の部分における、当該誘導経路に沿った標高もしくは道路勾配の推移も、前記グラフ中に表すことを特徴とする車載システム。
【請求項3】
自動車に搭載される車載システムにおいて、ユーザの低環境負荷な運転を支援する運転支援方法であって、
各時点において、現在位置の標高もしくは現在位置における道路勾配を、道路情報として算出するステップと、
各時点において、自動車の状態に基づいて、ユーザの運転の低環境負荷度を表す評価値を算出するステップと、
各時点において算出した道路情報と各時点で算出した評価値とを表す評価履歴データを記憶するステップと、
記憶された各時点の評価履歴データに基づいて、現在までの前記評価値の推移を、現在までの標高もしくは道路勾配の推移と共に表すグラフを前記表示装置に表示するステップとを有することを特徴とする運転支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−47640(P2009−47640A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215989(P2007−215989)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】