説明

車載充放電装置

【課題】供給制御手段が設けられていない住宅に対しても、電動車両からの電力を供給することが可能な車載充放電装置を提供する。
【解決手段】蓄電部11と車両用電力変換部12と車両用供給管理部15とを備えて車載充放電装置1を構成し、車両用供給管理部15によって、蓄電部11から車両2の外部への電力の供給動作、および車両2の外部から蓄電部11への電力の供給動作を制御する。たとえば車載充放電装置1を搭載した車両2が住宅3に接続される場合、車両用供給管理部15によって、蓄電部11から住宅3への電力の供給動作、および住宅3から蓄電部11への電力の供給動作を制御する。これによって、たとえば、太陽光パネル33が発電できない夜間に商用電源が停電した場合、および住宅3に住宅用供給管理部35が設けられていない場合でも、車両2から住宅3に電力を供給して、車両2の電力を利用できるようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載充放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車などの電動車両は、充放電可能な蓄電部を備えることから、住宅などの電源として用いられることがある(たとえば、特許文献1および2参照)。特許文献1に開示される電力システムでは、電動車両からの電力の供給は、住宅内の電力管理装置によって管理される。したがって、住宅に電力を供給する電源が停電して、電力管理装置に電力が供給されなくなると、電力管理装置が動作しなくなり、電動車両の電力を利用できなくなる。
【0003】
これに対して、特許文献2に開示される電力システムでは、住宅とは別に住宅に併設した供給管理装置によって、電動車両からの電力の供給を管理している。これによって、住宅に電力を供給する電源が停電したときでも、電動車両から住宅に電力を供給して、電動車両の電力を利用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−54439号公報
【特許文献2】特許第4270236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示される電力システムでは、住宅とは別に供給管理装置を住宅に併設して、電動車両からの電力の供給を管理することによって、停電時でも電動車両からの電力を利用できるようにしている。しかし、特許文献2に開示される技術では、供給管理装置が併設されていない住宅に対しては、電動車両から電力を供給することができない。したがって、供給管理装置が併設されていない住宅では、停電時などの緊急時に、電動車両の電力を利用することができない。
【0006】
本発明の目的は、供給管理装置のような電力の供給動作を制御する供給制御手段が設けられていない住宅に対しても、電動車両からの電力を供給することが可能な車載充放電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車載充放電装置は、車両に搭載される車載充放電装置であって、電力を充放電可能に構成される蓄電手段と、前記蓄電手段から放電される電力を前記車両の外部に供給可能な電力に変換するとともに、前記車両の外部から供給される電力を前記蓄電手段に充電可能な電力に変換する電力変換手段と、前記蓄電手段から前記車両の外部への電力の供給動作、および前記車両の外部から前記蓄電手段への電力の供給動作を制御する供給制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車載充放電装置によれば、蓄電手段と電力変換手段と供給制御手段とを備えて車載充放電装置が構成され、車両に搭載される。蓄電手段は、電力を充電されるか、または電力を放電する。蓄電手段から放電される電力は、電力変換手段によって車両の外部に供給可能な電力に変換され、車両の外部へ供給される。車両の外部から供給される電力は、電力変換手段によって蓄電手段に充電可能な電力に変換され、蓄電手段に供給される。蓄電手段から車両の外部への電力の供給動作、および車両の外部から蓄電手段への電力の供給動作は、供給制御手段によって制御される。
【0009】
このような供給制御手段が車載充放電装置には備えられているので、この車載充放電装置を搭載した車両を住宅に接続することによって、供給制御手段が設けられていない住宅に対しても、車両から電力を供給することができる。また住宅に供給制御手段が設けられているか否かに拘わらず、停電時などの緊急時に、車両から住宅に電力を供給して、車両の電力を利用することができる。また本発明の車載充放電装置が搭載された複数の車両を接続することによって、複数の車両間で電力を分配することができる。また本発明の車載充放電装置が搭載された車両を他の車両と接続することによって、他の車両に電力を供給して、他の車両を充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の一形態である車載充放電装置1の構成を示す図である。
【図2】車両2と住宅3とを接続した場合の管理部判断モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】車両2と住宅3とを接続した場合の操作部指示モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す車載充放電装置1を搭載した複数の車両2を接続した状態を示す図である。
【図5】複数の車両2を接続した場合の管理部判断モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】複数の車両2を接続した場合の操作部指示モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】供給制御手段が設けられていない住宅5と車両2とを接続した状態を示す図である。
【図8】供給制御手段が設けられていない住宅5と車両2とを接続した場合の操作部指示モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】車載充放電装置1を搭載した車両2と充電専用車両6とを接続した状態を示す図である。
【図10】充放電車両2と充電専用車両6とを接続した場合の操作部指示モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施の一形態である車載充放電装置1の構成を示す図である。図1では、車載充放電装置1が搭載された車両2と、車両2が接続される住宅3とを併せて示す。図1に示す例では、住宅3は、車両2が接続される対象である接続対象に相当する。車両2は、直流電源として蓄電部11を搭載した電動車両である。車両2は、本実施の形態では、ハイブリッド自動車である。より詳細には、車両2は、家庭用コンセントなどの外部電源から電力の供給を受けて充電可能なプラグインハイブリッド自動車である。
【0012】
車両2は、車載充放電装置1と、発電部21と、エンジン22とを備える。車載充放電装置1は、蓄電部11と、車両用電力変換部12と、車両用供給管理部15と、車両用通信部16と、位置情報取得部17と、操作部18とを備えて構成される。車両用電力変換部12は、交流電力生成部13と、直流電力生成部14とを備える。発電部21は、発電手段に相当する。エンジン22は、原動機の一種である。蓄電部11は、蓄電手段に相当する。車両用電力変換部12は、電力変換手段に相当する。車両用供給管理部15は、供給制御手段に相当する。車両用通信部16は、通信手段に相当する。位置情報取得部17は、位置情報取得手段に相当する。
【0013】
発電部21は、エンジン22によって電力、具体的には直流電力を発電する。発電部21は、発電した直流電力を車載充放電装置1、具体的には車載充放電装置1の蓄電部11に与える。発電部21は、たとえばジェネレータによって実現される。
【0014】
蓄電部11は、電力を充放電可能に構成される。具体的には、蓄電部11は、充放電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池などの二次電池によって実現される。蓄電部11は、エンジン22によって発電部21で発電される電力を蓄積可能に構成される。蓄電部11には、エンジン22によって発電部21で発電される電力、具体的には直流電力が与えられる。これによって、蓄電部11が充電される。
【0015】
車両用電力変換部12は、蓄電部11から放電される電力を車両2の外部に供給可能な電力に変換するとともに、車両2の外部から供給される電力を蓄電部11に充電可能な電力に変換する。具体的には、車両用電力変換部12は、蓄電部11から放電される直流電力を、住宅3に供給可能な電力、すなわち交流電力に変換する。また車両用電力変換部12は、住宅3から供給される交流電力を、蓄電部11に充電可能な電力、すなわち直流電力に変換する。
【0016】
車両用供給管理部15は、車両用電力変換部12の動作を制御することによって、蓄電部11から車両2の外部への電力の供給動作、および車両2の外部から蓄電部11への電力の供給動作を制御する。図1に示す例では、車両用供給管理部15は、車両用電力変換部12の動作を制御することによって、蓄電部11から住宅3への電力の供給動作、および住宅3から蓄電部11への電力の供給動作を制御する。つまり、車両用供給管理部15は、車両用電力変換部12を介して、蓄電部11の充電および放電を管理する。
【0017】
住宅3は、電力負荷31と、受電部32と、太陽光パネル33と、住宅用電力変換部34と、住宅用供給管理部35と、住宅用通信部36とを備える。電力負荷31は、受電部32および住宅用電力変換部34に接続される。住宅用電力変換部34は、住宅用供給管理部35を介して、太陽光パネル33に接続される。住宅用通信部36は、住宅用供給管理部35に接続される。住宅用供給管理部35は、住宅3内における電力の供給を制御する。
【0018】
住宅用供給管理部35は、住宅3で消費される電力、住宅3に供給される電力、および住宅3で生成される電力に関する電力状況情報を記憶している。電力状況情報は、住宅3で消費される電力の大きさを表す情報として、住宅3における電力負荷31の消費電力を表す消費電力情報を含む。電力状況情報は、住宅3に供給される電力の大きさを表す情報として、後述する受電部32に供給される商用電源の電力の大きさを表す商用電力情報を含む。電力状況情報は、住宅3で生成される電力の大きさを表す情報として、太陽光パネル33で発電された電力(以下「発電電力」という場合がある)を表す発電電力情報を含む。住宅用供給管理部35に記憶される消費電力情報および発電電力情報などの電力状況情報は、定期的に、すなわち予め定める時間が経過する毎に更新される。
【0019】
電力負荷31は、住宅3内で使用される電気機器、たとえば照明機器である。太陽光パネル33は、住宅3に設置された電源設備である。太陽光パネル33は、直流電力を生成する。太陽光パネル33によって生成された直流電力は、住宅用供給管理部35を介して住宅用電力変換部34に与えられ、住宅用電力変換部34によって交流電力に変換されて、電力負荷31に与えられる。
【0020】
受電部32は、不図示の送電線と電気的に接続される。受電部32は、送電線を住宅3内に引き込むための接続部である。送電線は、不図示のパワーグリッドと電気的に接続される。パワーグリッドは、複数の発電設備を備える商用電力系統である。発電設備は、たとえば火力発電設備、水力発電設備、原子力発電設備、風力発電設備または太陽光発電設備である。住宅3には、送電線を介して、パワーグリッドから商用電源が供給される。住宅3は、送電線を介して、パワーグリッドと電力を授受することができる。
【0021】
車両2は、接続線41を介して、住宅3と電気的に接続される。接続線41は、車両2と住宅3とを電気的に接続するための電力線である。車両2は、接続線41を介して、住宅3と電力を授受することができる。具体的には、車両2の車両用電力変換部12が、接続線41を介して、住宅3の電力負荷31に電気的に接続される。車両2は、車両用電力変換部12の交流電力生成部13によって交流電力を生成し、生成した交流電力を、接続線41を介して住宅3に供給することができる。すなわち車両2は、住宅3の一電源として機能することができる。また車両2は、接続線41を介して住宅3から交流電力の供給を受けて、車両用電力変換部12の直流電力生成部14によって直流電力を生成して、蓄電部11を充電することができる。
【0022】
車両2が接続線41を介して住宅3と電気的に接続されると、車両用供給管理部15は、車載充放電装置1が搭載されている車両(以下「自車両」という)2と住宅3との間で授受される電力(以下「自車両2と住宅3との間の電力」という場合がある)を計測する。具体的には、車両用供給管理部15は、自車両2と住宅3との間の電力として、自車両2への充電のための消費電力と、自車両2からの放電電力とを計測する。自車両2への充電のための消費電力は、住宅3から供給されて、自車両2の蓄電部11を充電するために消費される電力である。自車両2からの放電電力は、自車両2の蓄電部11から放電されて、住宅3に供給される電力である。本実施の形態では、車両用供給管理部15は、自車両2と住宅3とを接続する接続線41に介装された不図示の電力センサを用いて、接続線41に生じている電力を計測し、計測した電力値に基づいて、自車両2と住宅3との間の電力を求める。
【0023】
車両2は、通信線42を介して、住宅3と通信可能に接続される。通信線42は、車両2と住宅3とを通信可能に接続するための電力線である。具体的には、車両2の車両用通信部16が、通信線42を介して、住宅3の住宅用通信部36と通信可能に接続される。車両2と住宅3とは、通信線42を介した電力線通信(Power Line Communications;略称:PLC)によって、互いに情報の送信および受信を行う。車両2と、住宅3と、接続線41と、通信線42と、パワーグリッドと、送電線とは、電力システムを構成する。
【0024】
車両2と接続線41とは、着脱自在に構成される。たとえば、接続線41の一端に凸状のコネクタが装着され、この凸状のコネクタが嵌合する凹状のコネクタが車両2に設けられ、これらのコネクタが嵌合することによって、車両2と接続線41とが接続される。同様に、住宅3と接続線41、車両2と通信線42、および住宅3と通信線42は、それぞれ着脱自在に構成される。
【0025】
車両用供給管理部15は、車両用通信部16を介して、住宅3の電力状況情報、具体的には消費電力情報、商用電力情報および発電電力情報を取得する。車両用供給管理部15は、車両用通信部16によって取得した住宅3の電力状況情報と、前述のようにして計測した自車両2と住宅3との間の電力とに基づいて、車両用電力変換部12の動作を制御する。たとえば、車両用供給管理部15は、車両用通信部16によって取得した住宅3の電力状況情報に基づいて、蓄電部11から住宅3への電力の供給動作、および住宅3から蓄電部11への電力の供給動作のいずれを行うのかを判断する。
【0026】
車両用電力変換部12は、車両用供給管理部15の指示に応じて、蓄電部11に蓄えられた直流電力を取り出し、取り出した直流電力から交流電力生成部13によって交流電力を生成する。車両用電力変換部12は、生成した交流電力を、接続線41を介して、住宅3に供給する。また車両用電力変換部12は、車両用供給管理部15の指示に応じて、住宅3から交流電力の供給を受け、住宅3から供給された交流電力から直流電力生成部14によって直流電力を生成し、蓄電部11に与える。
【0027】
位置情報取得部17は、車両2の現在位置を表す現在位置情報を取得する。位置情報取得部17は、たとえばGPS(Global Positioning System)によって実現される。車両用供給管理部15は、位置情報取得部17によって取得される現在位置情報に基づいて、蓄電部11から、車両2が接続される接続対象である住宅3に供給する電力の周波数および電圧を選択するように、車両用電力変換部12を制御する。具体的には、車両用供給管理部15は、位置情報取得部17によって取得される現在位置情報に基づいて、車両用電力変換部12の交流電力生成部13によって生成する交流電力の周波数および電圧を制御する。より詳細には、車両用供給管理部15は、車両2の現在位置を含む地域で供給される商用電源と同じ周波数および電圧の交流電力を交流電力生成部13で生成するように、車両用電力変換部12を制御する。
【0028】
さらに具体的に述べると、車両2の現在位置が、商用電源の周波数が50Hzである地域、たとえば日本の東京都に含まれる場合、車両用供給管理部15は、交流電力生成部13によって生成する交流電力の周波数を50Hzにするように車両用電力変換部12を制御する。また車両2の現在位置が、商用電源の周波数が60Hzである地域、たとえば日本の大阪府に含まれる場合、車両用供給管理部15は、交流電力生成部13によって生成する交流電力の周波数を60Hzにするように車両用電力変換部12を制御する。
【0029】
操作部18は、たとえばタッチパネルが設けられた液晶ディスプレイによって構成され、使用者によって操作される。使用者は、操作部18を操作することによって、車両2の蓄電部11の充電(以下「車両2の充電」という場合がある)を開始する指示、車両2の充電を停止する指示、車両2の蓄電部11の放電(以下「車両2の放電」という場合がある)を開始する指示、または車両2の放電を停止する指示を入力することができる。また使用者は、操作部18を操作することによって、車両2の充電および放電のいずれかを開始する指示(以下「充放電開始指示」という場合がある)を入力することができる。
【0030】
また使用者は、操作部18を操作することによって、車両用供給管理部15の動作モードを設定することができる。車両用供給管理部15の動作モードは、操作部18から入力される使用者の指示に基づいて車両2の充電および放電を行う操作部指示モードと、車両2の充電を行うのか、または車両2の放電を行うのかを車両用供給管理部15が判断して、車両2の充電および放電を行う管理部判断モードとを含む。使用者は、操作部18を操作することによって、車両用供給管理部15の動作モードを、操作部指示モードまたは管理部判断モードに設定する。
【0031】
図2は、車両2と住宅3とを接続した場合の管理部判断モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートの各処理は、車両用供給管理部15によって実行される。使用者によって操作部18が操作されて管理部判断モードが設定され、車両2が接続線41および通信線42を介して住宅3に接続されると、車両用供給管理部15は、図2に示すフローチャートの処理を開始し、ステップa1に移行する。
【0032】
車両用供給管理部15は、自車両2を示す識別情報を含む識別信号を、車両用通信部16によって定期的に通信線42に送信する。通信線42が、通信相手、ここでは住宅3の住宅用通信部36に接続されると、車両用通信部16から通信線42に送信された識別信号が、通信線42を介して住宅用通信部36によって受信される。住宅3の住宅用供給管理部35は、車両2の車両用通信部16から送信される識別信号を住宅用通信部36によって受信すると、識別信号を受信したことを示すID受信信号を、住宅用通信部36によって車両2の車両用通信部16に送信する。車両2の車両用供給管理部15は、住宅3の住宅用通信部36から送信されたID受信信号を車両用通信部16によって受信すると、車両2が住宅3に接続されたと判断する。このようにして車両用供給管理部15は、車両2が住宅3に接続されたことを検出する。ここでは、識別情報を含む識別信号を定期的に送信する例を示したが、識別情報を含む識別信号は、接続線41の接続による受電電圧の変化をきっかけにして送信してもよい。
【0033】
ステップa1において、車両用供給管理部15は、たとえばコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network;略称:CAN)などの車両2に搭載される不図示の通信ネットワークの通信線を介して、蓄電部11の充電状態(State Of Charge)を表すSOCを取得する。SOCは、蓄電部11に充電可能な電気の最大量である満充電容量(Ah)に対する、充電されている電気の量である残容量(Ah)の比率であり、以下の式(1)に従って求められる。以下、蓄電部11に満充電容量の電気が充電されている状態を、「満充電状態」という。SOCを取得すると、車両用供給管理部15は、ステップa2に移行する。
【0034】
SOC(%)=残容量(Ah)/満充電容量(Ah)×100 …(1)
ステップa2において、車両用供給管理部15は、車両用通信部16を介して、住宅3の住宅用通信部36から、住宅3に設置されている住宅用供給管理部35に記憶される消費電力情報および発電電力情報を取得する。消費電力情報および発電電力情報を取得すると、車両用供給管理部15は、ステップa3に移行する。
【0035】
ステップa3において、車両用供給管理部15は、ステップa2で取得した消費電力情報で表される住宅3における電力負荷31の消費電力が、ステップa2で取得した発電電力情報で表される住宅3における太陽光パネル33の発電電力よりも小さいか否かを判断する。また車両用供給管理部15は、ステップa1で取得した蓄電部11のSOCが、予め定める閾値よりも小さいか否かを判断する。車両用供給管理部15は、住宅3における電力負荷31の消費電力が、太陽光パネル33の発電電力よりも小さいと判断し、かつ蓄電部11のSOCが閾値よりも小さいと判断すると、ステップa4に移行し、それ以外の場合はステップa5に移行する。
【0036】
ステップa3からステップa4に移行した場合、車両用供給管理部15は、ステップa4において、蓄電部11への充電を開始する。具体的には、車両用供給管理部15は、車両用電力変換部12に指示して、住宅3から交流電力の供給を受け、供給された交流電力から直流電力生成部14で直流電力を生成させて、蓄電部11に蓄えさせる。これによって蓄電部11が充電される。蓄電部11への充電を開始すると、車両用供給管理部15は、ステップa1に戻り、前述の処理を繰返す。ステップa4からステップa1に戻って、ステップa1〜ステップa3の各処理を実行した後でステップa4に移行した場合、ステップa4において、車両用供給管理部15は、蓄電部11への充電を継続する。
【0037】
ステップa3からステップa5に移行した場合、車両用供給管理部15は、ステップa5において、住宅3における電力負荷31の消費電力が、太陽光パネル33の発電電力よりも大きいか否かを判断する。また車両用供給管理部15は、ステップa1で取得した蓄電部11のSOCが、前述の閾値よりも大きいか否かを判断する。車両用供給管理部15は、住宅3における電力負荷31の消費電力が、太陽光パネル33の発電電力よりも大きいと判断し、かつ蓄電部11のSOCが閾値よりも大きいと判断すると、ステップa6に移行し、それ以外の場合はステップa7に移行する。
【0038】
ステップa5からステップa6に移行した場合、車両用供給管理部15は、ステップa6において、住宅3側への蓄電部11の放電を開始する。具体的には、車両用供給管理部15は、車両用電力変換部12に指示して、蓄電部11に蓄えられた直流電力から交流電力生成部13によって交流電力を生成させ、生成した交流電力を、接続線41を介して、住宅3に供給する。これによって蓄電部11が放電される。
【0039】
このとき、車両用供給管理部15は、位置情報取得部17によって取得される現在位置情報に基づいて、車両用電力変換部12の交流電力生成部13によって生成する交流電力の周波数および電圧を制御する。具体的には、車両用供給管理部15は、車両2の現在位置を含む地域で供給される商用電源と同じ周波数および電圧の交流電力を交流電力生成部13で生成するように、車両用電力変換部12を制御する。
【0040】
このようにして住宅3側への蓄電部11の放電を開始すると、車両用供給管理部15は、ステップa1に戻り、前述の処理を繰返す。ステップa6からステップa1に戻って、ステップa1〜ステップa5の各処理を実行した後で、ステップa6に移行した場合、ステップa6において、車両用供給管理部15は、蓄電部11の放電を継続する。
【0041】
ステップa5からステップa7に移行した場合、ステップa7において、車両用供給管理部15は、蓄電部11の充電および放電を行わずに、全ての処理を終了する。ステップa4またはステップa6を経てステップa1に戻った後に、ステップa7に移行した場合、ステップa7において、車両用供給管理部15は、蓄電部11の充電または放電を停止し、全ての処理を終了する。
【0042】
以上のように本実施の形態では、車両2に搭載される車載充放電装置1の車両用供給管理部15によって、蓄電部11の充電および放電を制御して、住宅3側から車両2への電力の供給、および車両2から住宅3側への電力の供給を管理する。これによって、停電などによって住宅用供給管理部35に電力が供給されなくなり、住宅用供給管理部35が動作しなくなった場合でも、車両2から住宅3に電力を供給することができる。
【0043】
したがって、たとえば太陽光パネル33が発電できない夜間などに商用電源が停電して、太陽光パネル33から供給される電力および商用電源の電力のいずれも利用できない場合でも、車両2から住宅3に電力を供給して、車両2の電力を利用できるようにすることができる。
【0044】
また本実施の形態では、車両用供給管理部15は、前述の図2に示すように、ステップa2において、車両用通信部16を介して住宅3の電力状況情報を取得する。そして車両用供給管理部15は、取得した電力状況情報に基づいて、ステップa3およびステップa5において、住宅3から蓄電部11への電力の供給動作、すなわち蓄電部11への充電動作と、蓄電部11から住宅3への電力の供給動作、すなわち蓄電部11からの放電動作とのいずれを行うのかを判断する。
【0045】
したがって、車両2と住宅3とを接続するだけで、住宅3における電力の消費状況および生成状況に応じて、蓄電部11の充電または放電を行わせることができる。つまり、使用者は、操作部18を操作して、放電または充電を行うように指示する必要がないので、車両2と住宅3との間の電力の授受を容易に行わせることができる。
【0046】
また本実施の形態では、車両用供給管理部15は、位置情報取得部17によって取得される現在位置情報に基づいて、蓄電部11から住宅3に供給する電力の周波数および電圧を選択するように、車両用電力変換部12を制御する。具体的には、車両用供給管理部15は、位置情報取得部17によって取得される現在位置情報に基づいて、車両用電力変換部12の交流電力生成部13によって生成する交流電力の周波数および電圧を制御する。これによって、住宅3で使用可能な電力を車両2から供給することができるので、住宅3において、車両2の電力をより確実に利用できるようにすることができる。
【0047】
また本実施の形態では、車両2は、エンジン22によって発電する発電部21を備えており、蓄電部11は、発電部21によって発電される電力を蓄積可能に構成される。これによって、住宅3側から電力の供給を受けなくても、蓄電部11を充電することができる。したがって、商用電源の停電時、および夜間のように太陽光パネル33で発電ができない場合に、車両2から住宅3に継続して電力を供給することができるので、住宅3において電力が利用できない期間を可及的に短くすることができる。
【0048】
前述の図2に示すステップa3およびステップa5における判断に用いられる蓄電部11のSOCの閾値は、たとえば、車載充放電装置1を製造するときに、予め車両用供給管理部15に記憶される。これに限定されず、車両用供給管理部15は、使用者が操作部18を操作することによって入力される情報に基づいて、蓄電部11のSOCの閾値を変更可能に構成されてもよい。具体的に述べると、蓄電部11のSOCの閾値は、操作部18によって入力される車両2の使用計画、たとえば車両2の利用予定日時および走行予定距離などに応じて変更されてもよい。この場合、蓄電部11のSOCの閾値は、以下の式(2)および式(3)に従って求められる。
【0049】
必要SOC(%)=走行予定距離/走行可能距離×100 …(2)
閾値(%)=必要SOC(%)×{1−(利用予定日時−現在日時)
/(利用予定日時−使用者が操作入力した日時)} …(3)
式(2)の走行可能距離とは、蓄電部11のSOCが100%であるとき、すなわち蓄電部11が満充電状態にあるときに、蓄電部11に蓄積された電力によって走行可能な距離をいう。式(2)によって算出される必要SOCは、蓄電部11の満充電容量に対する、走行予定距離を走行するのに必要な電気の量の比率を表す。
【0050】
たとえば、使用者が操作入力した日時、利用予定日時、現在日時および必要SOCが、
使用者が操作入力した日時:9月 1日 0:00
利用予定日時: 9月10日 24:00
現在日時: 9月 8日 24:00
必要SOC: 100%
である場合、閾値は、式(3)から、
閾値(%)=100%×(1−2日間/10日間)
=100×(1−1/5)
=100−20
=80%
となる。
【0051】
このように式(3)によれば、利用予定日時が近づくと,閾値が必要SOCに近づくように演算される。
【0052】
図3は、車両2と住宅3とを接続した場合の操作部指示モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの各処理は、車両用供給管理部15によって実行される。図3に示すフローチャートは、前述の図2に示す管理部判断モードのフローチャートと類似するので、同一のステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
【0053】
前述の図2に示す管理部判断モードでは、車両用供給管理部15は、車両2が住宅3に接続されると図2に示すフローチャートの処理を開始し、ステップa1に移行する。これに対して、操作部指示モードでは、使用者によって操作部18が操作されて操作部指示モードが設定され、車両2が住宅3に接続されると、車両用供給管理部15は、図3に示すフローチャートの処理を開始し、ステップb1に移行する。
【0054】
ステップb1において、車両用供給管理部15は、操作部18から充放電開始指示が入力されたか否かを判断する。車両用供給管理部15は、充放電開始指示が入力されたと判断すると、ステップa1に移行し、前述の図2に示す管理部判断モードと同様にして、ステップa1〜ステップa6の各処理を実行する。
【0055】
操作部指示モードでは、車両用供給管理部15は、ステップa4の処理の終了後、およびステップa6の処理の終了後には、ステップb2に移行する。ステップb2において、車両用供給管理部15は、操作部18から充放電停止指示が入力されたか否かを判断する。車両用供給管理部15は、充放電停止指示が入力されたと判断すると、ステップa7に移行し、ステップa7において、管理部判断モードと同様に、蓄電部11の充電および放電を行わずに、または蓄電部11の充電もしくは放電を停止して、全ての処理を終了する。車両用供給管理部15は、ステップb2において充放電停止指示が入力されていないと判断すると、ステップa1に戻って処理を繰返す。
【0056】
以上のように操作部指示モードでは、ステップb1において、操作部18から充放電開始指示が入力されたと判断されると、ステップa1に移行して、ステップa1〜ステップa6において、蓄電部11の充電または放電が行われる。またステップb2において、操作部18から充放電停止指示が入力されたと判断されると、ステップa7に移行して、蓄電部11の充電および放電が行われないか、または蓄電部11の充電もしくは放電が停止されて、全ての処理が終了する。
【0057】
これによって、使用者は、操作部18を操作して充放電開始指示を入力することによって、所望のタイミングで、蓄電部11の充電または放電を開始させることができる。また使用者は、操作部18を操作して充放電停止指示を入力することによって、所望のタイミングで、蓄電部11の充電または放電を停止させることができる。したがって、たとえば蓄電部11の放電が行われている場合に、蓄電部11のSOCが閾値に達する前に充放電停止指示を入力して蓄電部11の放電を停止させることによって、蓄電部11の残容量を所望の値に調整することができる。
【0058】
図4は、図1に示す車載充放電装置1を搭載した複数の車両2を接続した状態を示す図である。図4では、理解を容易にするために、図1に示す位置情報取得部17、発電部21およびエンジン22は、記載を省略する。図4では、3台の車両2を接続した場合を示す。以下において、3台の車両2を区別して示す場合には、第1車両2a、第2車両2b、第3車両2bといい、3台の車両2を区別せずに示す場合には、車両2と総称する。
【0059】
第1〜第3車両2a〜2cは、接続線41を介して電気的に接続される。具体的には、第1〜第3車両2a〜2cの車両用電力変換部12が、接続線41を介して電気的に接続される。第1〜第3車両2a〜2cは、接続線41を介して、電力、具体的には交流電力を授受することができる。第1〜第3車両2a〜2cから引き出された3本の接続線41は、不図示のコネクタを介して接続される。
【0060】
第1〜第3車両2a〜2cは、通信線42を介して、通信可能に接続される。具体的には、第1〜第3車両2a〜2cの車両用通信部16が、通信線42を介して、通信可能に接続される。第1〜第3車両2a〜2cは、通信線42を介したPLCによって、情報の送信および受信を行う。第1〜第3車両2a〜2cから引き出された3本の通信線42は、不図示のコネクタを介して接続される。
【0061】
各車両2の車両用供給管理部15は、他の車両2と接続されると、自車両2の入出力電力、すなわち自車両2に入力される電力と、自車両2から出力される電力とを計測する。自車両2に入力される電力は、自車両2への充電のための消費電力であり、より詳細には、他の車両2から供給されて、自車両2の蓄電部11を充電するために消費される電力である。自車両2から出力される電力は、自車両2からの放電電力であり、より詳細には、自車両2の蓄電部11から放電されて、他の車両2に供給される電力である。車両用供給管理部15は、自車両2から引き出された接続線41に介装された不図示の電力センサによって、この接続線41に生じている電力を計測し、計測された電力値に基づいて、自車両2の入出力電力を求める。
【0062】
また車両用供給管理部15は、車両用通信部16を介して、他の車両2で消費される電力、他の車両2に供給される電力、および他の車両2で生成される電力に関する電力状況情報を取得する。電力状況情報は、他の車両2における消費電力の大きさを表す消費電力情報と、他の車両2の蓄電部11のSOCとを含む。他の車両の蓄電部11のSOCは、他の車両2で消費される電力の大きさ、他の車両2に供給される電力の大きさ、および他の車両2で生成される電力の大きさを反映する。
【0063】
車両用供給管理部15は、車両用通信部16によって取得した他の車両2の電力状況情報と、前述のようにして計測した自車両2の入出力電力とに基づいて、車両用電力変換部12の動作を制御する。たとえば、車両用供給管理部15は、車両用通信部16によって取得した他の車両2の電力状況情報に基づいて、自車両2から他の車両2への電力の供給動作、および他の車両2から自車両2への電力の供給動作のいずれを行うのかを判断する。
【0064】
図5は、複数の車両2を接続した場合の管理部判断モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートの各処理は、第1〜第3車両2a〜2cの車両用供給管理部15によって、それぞれ実行される。使用者によって操作部18が操作されて管理部判断モードが設定され、自車両2が、接続相手となる他の車両(以下「接続相手車両」という場合がある)2に接続されると、車両用供給管理部15は、図5に示すフローチャートの処理を開始し、ステップc1に移行する。たとえば、自車両2が第1車両2aである場合、接続相手車両2は、第2車両2bおよび第3車両2cである。接続相手車両2は、接続対象に相当する。
【0065】
車両用供給管理部15は、自車両2を示す識別情報を含む識別信号を、車両用通信部16によって定期的に通信線42に送信する。通信線42が、通信相手、ここでは他の車両2の車両用通信部16に接続されると、自車両2の車両用通信部16から通信線42に送信された識別信号が、通信線42を介して、他の車両2の車両用通信部16によって受信される。車両用供給管理部15は、他の車両2から送信される識別信号を車両用通信部16によって受信すると、自車両2を示す識別情報を含む識別信号を、車両用通信部16によって他の車両2の車両用通信部16に送信する。車両用供給管理部15は、他の車両2から送信された識別信号を車両用通信部16によって受信すると、自車両2が他の車両2に接続されたと判断する。このようにして車両用供給管理部15は、自車両2が他の車両である接続相手車両2に接続されたことを検出する。ここでは、識別情報を含む識別信号を定期的に送信する例を示したが、識別情報を含む識別信号は、接続線41の接続による受電電圧の変化をきっかけにして送信してもよい。
【0066】
ステップc1において、車両用供給管理部15は、たとえばCANなどの車両2に搭載される不図示の通信ネットワークの通信線を介して、自車両2の蓄電部11のSOCを取得する。SOCを取得すると、車両用供給管理部15は、ステップc2に移行する。
【0067】
ステップc2において、車両用供給管理部15は、車両用通信部16を介して、接続相手車両2の電力状況情報を取得する。電力状況情報は、接続相手車両2で消費される電力、および接続相手車両2で生成される電力に関する情報である。車両用供給管理部15は、具体的には、電力状況情報として、接続相手車両2における消費電力を表す消費電力情報、および接続相手車両2の蓄電部11のSOCを取得する。自車両2が第1車両2aである場合、車両用供給管理部15は、接続相手車両2の消費電力情報および蓄電部11のSOCとして、第2車両2bおよび第3車両2cの消費電力情報および蓄電部11のSOCを取得する。接続相手車両2の消費電力情報および蓄電部11のSOCを取得すると、車両用供給管理部15は、ステップc3に移行する。
【0068】
ステップc3において、車両用供給管理部15は、ステップc1で取得した自車両2の蓄電部11のSOCが、自車両2においてSOCの閾値として予め定める自車両用閾値よりも小さいか否かを判断する。また車両用供給管理部15は、ステップc2で取得した接続相手車両2の蓄電部11のSOCが、接続相手車両2においてSOCの閾値として予め定められる相手車両用閾値よりも大きいか否かを判断する。車両用供給管理部15は、自車両2の蓄電部11のSOCが自車両用閾値よりも小さいと判断し、かつ接続相手車両2の蓄電部11のSOCが相手車両用閾値よりも大きいと判断すると、ステップc4に移行し、それ以外の場合はステップc5に移行する。
【0069】
複数台の接続相手車両2がある場合、ステップc3において、車両用供給管理部15は、自車両2の蓄電部11のSOCが、自車両2においてSOCの閾値として予め定める自車両用閾値よりも小さいか否かを判断するとともに、複数台の接続相手車両2の中に、蓄電部11のSOCが相手車両用閾値よりも大きい接続相手車両2が存在するか否かを判断する。この場合、車両用供給管理部15は、自車両2の蓄電部11のSOCが自車両用閾値よりも小さいと判断し、かつ蓄電部11のSOCが相手車両用閾値よりも大きい接続相手車両2が存在すると判断すると、ステップc4に移行し、それ以外の場合はステップc5に移行する。
【0070】
たとえば自車両2が第1車両2aである場合、車両用供給管理部15は、第1車両2aの蓄電部11のSOCが自車両用閾値よりも小さいと判断し、かつ第2車両2bおよび第3車両2cのいずれか、または両方の蓄電部11のSOCが相手車両用閾値よりも大きいと判断すると、ステップc4に移行する。車両用供給管理部15は、第1車両2aの蓄電部11のSOCが自車両用閾値以上であると判断した場合、および第2車両2bおよび第3車両2cの両方の蓄電部11のSOCが相手車両用閾値以下であると判断した場合、ステップc5に移行する。
【0071】
ステップc3からステップc4に移行した場合、車両用供給管理部15は、ステップc4において、自車両2の蓄電部11への充電を開始する。具体的には、車両用供給管理部15は、車両用電力変換部12に指示して、接続線41を介して接続相手車両2から供給される交流電力から、直流電力生成部14によって直流電力を生成させて、蓄電部11に蓄えさせる。これによって蓄電部11が充電される。蓄電部11への充電を開始すると、車両用供給管理部15は、ステップc1に戻り、前述の処理を繰返す。ステップc4からステップc1に戻って、ステップc1〜ステップc3の処理を実行した後でステップc4に移行した場合、ステップc4において、車両用供給管理部15は、蓄電部11への充電を継続する。
【0072】
ステップc3からステップc5に移行した場合、車両用供給管理部15は、ステップc5において、ステップc1で取得した自車両2の蓄電部11のSOCが、自車両用閾値よりも大きいか否かを判断する。また車両用供給管理部15は、ステップc2で取得した接続相手車両2の蓄電部11のSOCが、相手車両用閾値よりも小さいか否かを判断する。車両用供給管理部15は、自車両2の蓄電部11のSOCが自車両用閾値よりも大きいと判断し、かつ接続相手車両2の蓄電部11のSOCが相手車両用閾値よりも小さいと判断すると、ステップc6に移行し、それ以外の場合はステップc7に移行する。
【0073】
複数台の接続相手車両2がある場合、ステップc5において、車両用供給管理部15は、自車両2の蓄電部11のSOCが自車両用閾値よりも大きいか否かを判断するとともに、複数台の接続相手車両2の中に、蓄電部11のSOCが相手車両用閾値よりも小さい接続相手車両2が存在するか否かを判断する。この場合、車両用供給管理部15は、自車両2の蓄電部11のSOCが自車両用閾値よりも大きいと判断し、かつ蓄電部11のSOCが相手車両用閾値よりも小さい接続相手車両2が存在すると判断すると、ステップc6に移行し、それ以外の場合はステップc7に移行する。
【0074】
たとえば自車両2が第1車両2aである場合、車両用供給管理部15は、第1車両2aの蓄電部11のSOCが自車両用閾値よりも大きいと判断し、かつ第2車両2bおよび第3車両2cのいずれか、または両方の蓄電部11のSOCが相手車両用閾値よりも小さいと判断すると、ステップc4に移行する。車両用供給管理部15は、第1車両2aの蓄電部11のSOCが自車両用閾値以下であると判断した場合、および第2車両2bおよび第3車両2cの両方の蓄電部11のSOCが相手車両用閾値以上であると判断した場合、ステップc7に移行する。
【0075】
ステップc5からステップc6に移行した場合、車両用供給管理部15は、ステップc6において、接続相手車両2への放電を開始する。具体的には、車両用供給管理部15は、車両用電力変換部12に指示して、自車両2の蓄電部11に蓄えられた直流電力から、交流電力生成部13によって交流電力を生成させ、生成した交流電力を、接続線41を介して接続相手車両2に供給する。これによって、自車両2の蓄電部11が放電される。ここで、自車両2の蓄電部11から電力が供給される接続相手車両2は、ステップc5において、蓄電部11のSOCが相手車両用閾値よりも小さいと判断された車両2である。
【0076】
接続相手車両2への放電を開始すると、車両用供給管理部15は、ステップc1に戻り、前述の処理を繰返す。ステップc6からステップc1に戻って、ステップc1〜ステップc5の各処理を実行した後でステップc6に移行した場合、ステップc6において、車両用供給管理部15は、自車両2の蓄電部11の放電を継続する。
【0077】
ステップc5からステップc7に移行した場合、ステップc7において、車両用供給管理部15は、自車両2の蓄電部11の充電および放電を行わずに、全ての処理を終了する。ステップc4またはステップc6を経てステップc1に戻った後に、ステップc7に移行した場合、ステップc7において、車両用供給管理部15は、自車両2の蓄電部11の充電または放電を停止し、全ての処理を終了する。
【0078】
たとえば、第1車両2aの蓄電部11のSOCが閾値よりも大きく、第2車両2bの蓄電部11のSOCが閾値よりも大きく、かつ第3車両2cの蓄電部11のSOCが閾値よりも小さい場合を考える。
【0079】
この場合、第1車両2aの車両用供給管理部15は、図5に示すステップc3において、自車両2である第1車両2aの蓄電部11のSOCが、自車両用閾値よりも小さくないと判断するので、ステップc5に移行する。ステップc5では、第1車両2aの車両用供給管理部15は、自車両2である第1車両2aの蓄電部11のSOCが、自車両用閾値よりも大きいと判断する。また第1車両2aの車両用供給管理部15は、接続相手車両2である第2車両2bおよび第3車両2cのうち、第3車両2cの蓄電部11のSOCが、相手車両用閾値よりも小さいと判断する。したがって、第1車両2aの車両用供給管理部15は、ステップc6に移行し、接続相手車両2、具体的には第3車両2cへの放電を開始する。
【0080】
第2車両2bの車両用供給管理部15は、第1車両2aの車両用供給管理部15と同様の処理を行う。具体的には、図5に示すステップc3からステップc5に移行した後、ステップc6に移行し、第3車両2cへの放電を開始する。
【0081】
第3車両2cの車両用供給管理部15は、図5に示すステップc3において、自車両2である第3車両2cの蓄電部11のSOCが、自車両用閾値よりも小さいと判断するので、ステップc4に移行し、自車両2である第3車両2cの蓄電部11への充電を開始する。このとき、第3車両2cの蓄電部11に充電される電力は、第1車両2aおよび第2車両2bの蓄電部11から放電された電力である。
【0082】
以上のように本実施の形態では、車両用供給管理部15を備える車載充放電装置1が各車両2に搭載されているので、複数の車両2を接続するだけで、複数の車両2間で電力を分配することができる。
【0083】
図6は、複数の車両2を接続した場合の操作部指示モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートの各処理は、図4に示す第1〜第3車両2a〜2cの車両用供給管理部15によって、それぞれ実行される。図6に示すフローチャートは、前述の図5に示す管理部判断モードのフローチャートと類似するので、同一のステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
【0084】
前述の図5に示す管理部判断モードでは、車両用供給管理部15は、自車両2が接続相手車両2に接続されると図5に示すフローチャートの処理を開始し、ステップc1に移行する。これに対して、操作部指示モードでは、使用者によって操作部18が操作されて操作部指示モードが設定され、自車両2が接続相手車両2に接続されると、車両用供給管理部15は、図6に示すフローチャートの処理を開始し、ステップd1に移行する。
【0085】
ステップd1において、車両用供給管理部15は、操作部18から充放電開始指示が入力されたか否かを判断する。車両用供給管理部15は、充放電開始指示が入力されたと判断すると、ステップc1に移行し、前述の図5に示す管理部判断モードと同様にして、ステップc1〜ステップc6の各処理を実行する。
【0086】
操作部指示モードでは、車両用供給管理部15は、ステップc4の処理の終了後、およびステップc6の処理の終了後には、ステップd2に移行する。ステップd2において、車両用供給管理部15は、自車両2の操作部18から充放電停止指示が入力されたか否かを判断する。車両用供給管理部15は、自車両2の操作部18から充放電停止指示が入力されたと判断すると、ステップc7に移行し、ステップc7において、管理部判断モードと同様に、自車両2の蓄電部11の充電および放電を行わずに、または自車両2の蓄電部11の充電もしくは放電を停止して、全ての処理を終了する。車両用供給管理部15は、ステップd2において充放電停止指示が入力されていないと判断すると、ステップc1に戻って処理を繰返す。
【0087】
以上のように操作部指示モードでは、ステップd1において、操作部18から充放電開始指示が入力されたと判断されると、ステップc1に移行して、ステップc1〜ステップc6において、蓄電部11の充電または放電が行われる。またステップd2において、操作部18から充放電停止指示が入力されたと判断されると、ステップc7に移行して、蓄電部11の充電および放電が行われないか、または蓄電部11の充電もしくは放電が停止されて、全ての処理が終了する。
【0088】
これによって、使用者は、操作部18を操作して充放電開始指示を入力することによって、所望のタイミングで、蓄電部11の充電または放電を開始させることができる。また使用者は、操作部18を操作して充放電停止指示を入力することによって、所望のタイミングで、蓄電部11の充電または放電を停止させることができる。したがって、たとえば自車両2の蓄電部11の放電が行われている場合に、自車両2の蓄電部11のSOCが自車両用閾値に達する前に充放電停止指示を入力して蓄電部11の放電を停止させることによって、蓄電部11の残容量を所望の値に調整することができる。
【0089】
図7は、供給制御手段が設けられていない住宅5と車両2とを接続した状態を示す図である。図7に示す住宅5は、前述の図1に示す住宅3と同様に電力負荷31および受電部32を備えるが、前述の図1に示す住宅3とは異なり、太陽光パネル33は備えていない。したがって、図7に示す住宅5は、前述の図1に示す住宅3とは異なり、太陽光パネル33で発電された電力を電力負荷31に供給するための手段を必要としないので、前述の図1に示す住宅用供給管理部35を備えていない。また図7に示す住宅5は、住宅用電力変換部34および住宅用通信部36も備えていない。このように住宅5には、前述の図1に示す住宅用供給管理部35のような電力の供給動作を制御する供給制御手段が設けられていない場合がある。
【0090】
本実施の形態の車載充放電装置1は、前述のように車両用供給管理部15を備えているので、本実施の形態の車載充放電装置1を搭載した車両2は、図7に示す供給制御手段が設けられていない住宅5に接続した場合でも、住宅5に電力を供給することができる。したがって、本実施の形態の車載充放電装置1を車両2に搭載することによって、供給制御手段が設けられていない住宅5においても、停電時などの緊急時に、車両2の電力を利用することができる。
【0091】
図8は、供給制御手段が設けられていない住宅5と車両2とを接続した場合の操作部指示モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートの各処理は、車両用供給管理部15によって実行される。使用者によって操作部18が操作されて操作部指示モードが設定され、車両2が住宅5に接続されると、車両用供給管理部15は、図8に示すフローチャートの処理を開始し、ステップe1に移行する。図8では、操作部18を介して使用者によって車両2の放電が指示される場合を示す。
【0092】
前述の図1に示す場合とは異なり、住宅5に供給制御手段が設けられていない場合、車両用供給管理部15から車両用通信部16を介して車両2の識別番号を送信しても、住宅5側からID受信信号は送信されない。したがって、ID受信信号の受信の有無によって、車両2が住宅に接続されたか否かを判断することはできない。この場合に備えて、本実施の形態では、車両2と住宅5とを接続する接続線41に介装される不図示の電力センサの出力を車両用供給管理部15で監視しておく。車両用供給管理部15は、接続線41に電力が生じたことが電力センサによって検出されると、車両2が住宅5に接続されたと判断する。
【0093】
前述の図1に示すように住宅用供給管理部34を備えている住宅1に車両2が接続された場合、接続線41に電力が生じたことが電力センサによって検出されるとともに、ID受信信号が車両用通信部16によって受信される。したがって、車両用供給管理部15は、接続線41に電力が生じたことが電力センサによって検出されるか否かを判断するとともに、ID受信信号が車両用通信部16によって受信されるか否かを判断するように構成されていればよい。これによって、車両用供給管理部15は、自車両2が、住宅用供給管理部35を備える住宅1に接続されたのか、または住宅用供給管理部35のような供給制御手段が設けられていない住宅5に接続されたのかを判断することができる。
【0094】
このようにして車両2が住宅5に接続されたと判断されて、ステップe1に移行すると、ステップe1において、操作部18から放電開始指示が入力されたか否かを判断する。車両用供給管理部15は、放電開始指示が入力されたと判断するとステップe2に移行し、放電開始指示が入力されていないと判断すると、放電開始指示が入力されるまで待機する。
【0095】
ステップe2において、車両用供給管理部15は、前述の図2に示すステップa6と同様にして、住宅5側への蓄電部11の放電を開始し、ステップe3に移行する。ステップe3において、車両用供給管理部15は、たとえばCANなどの車両2に搭載される不図示の通信ネットワークの通信線を介して、自車両2の蓄電部11のSOCを取得し、ステップe4に移行する。ステップe4において、車両用供給管理部15は、前述の図1に示す場合と同様にして、自車両2と住宅5との間の電力を計測し、ステップe5に移行する。
【0096】
ステップe5において、車両用供給管理部15は、ステップe3で取得した自車両2の蓄電部11のSOCが、予め定める閾値よりも小さいか否かを判断する。また車両用供給管理部15は、ステップe4で計測した自車両2と住宅5との間の電力が、ゼロ(0)以下(≦0)であるか否かを判断する。車両用供給管理部15は、蓄電部11のSOCが閾値よりも小さいと判断するか、または自車両2と住宅5との間の電力がゼロ以下であると判断すると、ステップe6に移行し、それ以外の場合はステップe7に移行する。
【0097】
ステップe7において、車両用供給管理部15は、操作部18から放電停止指示が入力されたか否かを判断する。車両用供給管理部15は、放電停止指示が入力されたと判断すると、ステップe6に移行し、放電停止指示が入力されていないと判断するとステップe3に戻って前述の処理を繰返す。ステップe6において、車両用供給管理部15は、蓄電部11の放電を停止し、全ての処理を終了する。
【0098】
以上のように本実施の形態では、車両2に搭載される車載充放電装置1の車両用供給管理部15によって、蓄電部11の放電の開始および停止を制御して、車両2から住宅5側への電力の供給を管理する。これによって、図7に示すように供給制御手段が設けられていない住宅5に対しても、車両2から電力を供給することができる。したがって、図7に示すように供給制御手段が設けられていない住宅5においても、停電時などの緊急時に、車両2の電力を利用することができる。
【0099】
このように本実施の形態の車載充放電装置1を車両2に搭載することによって、前述の図1に示す住宅用供給管理部35を備える住宅1だけでなく、図7に示すように供給制御手段が設けられていない住宅5に対しても、車両2から電力を供給することができる。
【0100】
図8では、操作部指示モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示したが、車両用供給管理部15は、管理部判断モードに設定されて使用されてもよい。この場合、図8に示すステップe1およびステップe7は設けられない。車両用供給管理部15は、使用者によって操作部18が操作されて管理部判断モードが設定され、車両2が住宅5に接続されると処理を開始し、図8に示すフローチャートのステップe2に移行する。そして車両用供給管理部15は、操作部指示モードの場合と同様にステップe2〜ステップe6の各処理を実行する。
【0101】
管理部判断モードでは、車両用供給管理部15は、ステップe5において、蓄電部11のSOCが閾値よりも小さいと判断するか、または自車両2と住宅5との間の電力がゼロ以下であると判断するとステップe6に移行し、それ以外の場合はステップe3に戻り、処理を繰返す。つまり、管理部判断モードでは、蓄電部11のSOCが閾値よりも小さくなるか、または自車両2と住宅5との間の電力がゼロ以下になると、蓄電部11の放電が停止される。
【0102】
これに対して、操作部指示モードでは、ステップe1において放電開始指示が入力されたか否かが判断されるとともに、ステップe7において放電停止指示が入力されたか否かが判断される。これによって、使用者は、操作部18を操作して放電開始指示または放電停止指示を入力することによって、所望のタイミングで、蓄電部11の放電を開始または停止させることができる。したがって、たとえば蓄電部11のSOCが閾値に達する前に蓄電部11の放電を停止させて、蓄電部11の残容量を所望の値に調整することができる。
【0103】
また図8では、操作部18を介して使用者によって車両2の放電が指示される場合を示したが、車両2は、住宅5から電力の供給を受けて、蓄電部11を充電することも可能である。車両2の蓄電部11を充電する場合、使用者は、たとえば操作部18を操作して、蓄電部11の充電を開始する指示を入力すればよい。
【0104】
図9は、車載充放電装置1を搭載した車両2と充電専用車両6とを接続した状態を示す図である。充電専用車両6は、蓄電部11および車両用電力変換部12Aを備える。充電専用車両6の車両用電力変換部12Aは、直流電力生成部14を備えるが、車載充放電装置1を搭載した車両2の車両用電力変換部12とは異なり、交流電力生成部13を備えていない。具体的には、充電専用車両6は、本実施の形態の車載充放電装置1を搭載していない。したがって充電専用車両6は、蓄電部11の充電はできるが、蓄電部11の放電はできない。
【0105】
本実施の形態の車載充放電装置1は、前述のように車両用供給管理部15を備えているので、本実施の形態の車載充放電装置1を搭載した車両(以下「充放電車両」という場合がある)2を充電専用車両6に接続することによって、充放電車両2の蓄電部11に蓄えられた電力を充電専用車両6に分配して、充電専用車両6を充電することができる。
【0106】
図10は、充放電車両2と充電専用車両6とを接続した場合の操作部指示モードにおける車両用供給管理部15の処理の手順を示すフローチャートである。図10に示すフローチャートの各処理は、車両用供給管理部15によって実行される。図10に示すフローチャートは、前述の図8に示すフローチャートと類似するので、同一のステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。使用者によって操作部18が操作されて操作部指示モードが設定され、充放電車両2と充電専用車両6とが接続されると、車両用供給管理部15は、図10に示すフローチャートの処理を開始し、ステップe1に移行する。車両用供給管理部15は、図8に示すフローチャートのステップe1〜ステップe3およびステップe6〜ステップe7と同様にして、ステップe1〜ステップe3およびステップe6〜ステップe7の各処理を実行する。
【0107】
図10に示すフローチャートでは、図8に示すステップe4に代えて、ステップf1が実行され、図8に示すステップe7に代えて、ステップf2が実行される。ステップf1において、車両用供給管理部15は、前述の図4に示す場合と同様にして、自車両2からの出力電力を計測する。自車両2からの出力電力を計測すると、車両用供給管理部15は、ステップf2に移行する。
【0108】
ステップf2において、車両用供給管理部15は、ステップe3で取得した自車両2の蓄電部11のSOCが、予め定める閾値よりも小さいか否かを判断する。また車両用供給管理部15は、ステップf1で計測した自車両2からの出力電力が、ゼロ(0)以下(≦0)であるか否かを判断する。車両用供給管理部15は、蓄電部11のSOCが閾値よりも小さいと判断するか、または自車両2からの出力電力がゼロ以下であると判断すると、ステップe6に移行し、それ以外の場合はステップe7に移行する。
【0109】
以上のように本実施の形態では、充放電車両2に搭載される車載充放電装置1の車両用供給管理部15によって、充放電車両2の蓄電部11の放電の開始および停止を制御して、充放電車両2から充電専用車両6への電力の供給を管理する。これによって、図9に示すように車載充放電装置1を搭載していない車両、具体的には車両用供給管理部15のような供給制御手段を備えていない充電専用車両6に対しても、充放電車両2から電力を供給することができる。したがって、本実施の形態の車載充放電装置1を車両2に搭載することによって、充電専用車両6の蓄電部11を充電することが可能である。
【0110】
以上に述べた本実施の形態では、車両2がハイブリッド自動車である場合について説明したが、車両2は、これに限定されず、他の電動車両、たとえば電気自動車であってもよい。車両2が電気自動車などの他の電動車両である場合でも、本実施の形態と同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 車載充放電装置、2 車両、2a 第1車両、2b 第2車両、2c 第3車両、3,5 住宅、6 充電専用車両、11 蓄電部、12,12A 車両用電力変換部、13 交流電力生成部、14 直流電力生成部、15 車両用供給管理部、16 車両用通信部、17 位置情報取得部、18 操作部、21 発電部、22 エンジン、31 電力負荷、32 受電部、33 太陽光パネル、34 住宅用電力変換部、35 住宅用供給管理部、36 住宅用通信部、41 接続線、42 通信線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載充放電装置であって、
電力を充放電可能に構成される蓄電手段と、
前記蓄電手段から放電される電力を前記車両の外部に供給可能な電力に変換するとともに、前記車両の外部から供給される電力を前記蓄電手段に充電可能な電力に変換する電力変換手段と、
前記蓄電手段から前記車両の外部への電力の供給動作、および前記車両の外部から前記蓄電手段への電力の供給動作を制御する供給制御手段とを備えることを特徴とする車載充放電装置。
【請求項2】
前記車両が接続される接続対象と通信可能な通信手段をさらに備え、
前記供給制御手段は、前記通信手段を介して、前記接続対象で消費される電力、前記接続対象に供給される電力、および前記接続対象で生成される電力に関する電力状況情報を取得し、取得した電力状況情報に基づいて、前記蓄電手段から前記接続対象への電力の供給動作、および前記接続対象から前記蓄電手段への電力の供給動作のいずれを行うのかを判断することを特徴とする請求項1に記載の車載充放電装置。
【請求項3】
前記車両の現在位置を表す現在位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、
前記供給制御手段は、前記位置情報取得手段によって取得される現在位置情報に基づいて、前記蓄電手段から前記車両の外部に供給する電力の周波数および電圧を選択するように、前記電力変換手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車載充放電装置。
【請求項4】
前記車両は、原動機によって発電する発電手段を備え、
前記蓄電手段は、前記発電手段によって発電される電力を蓄積可能に構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車載充放電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−85406(P2012−85406A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228084(P2010−228084)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】