説明

車載機、車両用認証システム及びデータ通信方法

【課題】セキュリティ性の高い認証を実現すること。
【解決手段】車両用認証システムにおいて、車載機は、PINコードと、ユーザに対して秘匿される車載機IDであって、1台の車両に対して1つ登録される車載機IDとを記憶する記憶手段と、PINコードの照合より携帯端末との接続可否判定を行う第1認証手段と、第1認証手段により認証を経て接続された携帯端末に車載機IDを要求し、該要求に応じて該携帯端末から送られてくる車載機IDを、該車載機に登録された車載機IDと比較することで認証を行う第2認証手段と、第2認証手段により認証が得られた携帯端末に対して、該車載機が搭載される車両で得られる所定の車両データであって、車両状態を表す所定の車両データを送信するデータ送信手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機、車両用認証システム及びデータ通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第1の認証情報に基づく認証が成功した場合に、認証が成功した携帯端末との通信接続を許可し、通信接続の許可後に、第2の認証情報に基づく認証を行うことを特徴とする認証装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。第1の認証情報としては、MACアドレス、PIN(Personal Identification Number)コード、及び、携帯端末に対応する固定名称(ユーザが設定できる携帯端末の名称)が使用される。また、第2の認証情報としては、認証装置により生成される携帯端末固有情報(認証鍵)であって、携帯端末が登録処理で取得して記憶部に格納している携帯端末固有情報(認証鍵)が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−123059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車載機が搭載される車両で得られる車両状態を表す車両データを用いるアプリケーションを携帯端末で動作させる場合、車載機側から携帯端末に車両データを送信する必要があるが、セキュリティ性が高い車両データの携帯端末への送信には、それに対応したセキュリティ性が高い認証手続きを経ることが重要である。
【0005】
そこで、本発明は、セキュリティ性の高い認証を実現することができる車載機、車両用認証システム及びデータ通信方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、車載電子機器と携帯端末との間での無線データ通信を中継する車載機であって、
PINコードと、ユーザに対して秘匿される車載機IDであって、1台の車両に対して1つ登録される車載機IDとを記憶する記憶手段と、
PINコードの照合より携帯端末との接続可否判定を行う第1認証手段と、
前記第1認証手段により認証を経て接続された携帯端末に車載機IDを要求し、該要求に応じて該携帯端末から送られてくる車載機IDを、該車載機に登録された車載機IDと比較することで認証を行う第2認証手段と、
前記第2認証手段により認証が得られた携帯端末に対して、前記車載電子機器で得られる所定の車両データであって、車両状態を表す所定の車両データを送信するデータ送信手段とを備えることを特徴とする、車載機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、セキュリティ性の高い認証を実現することができる車載機、車両用認証システム及びデータ通信方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例による車両用認証システム1の要部構成を示す構成図である。
【図2】車載機10の一例の単品状態の外観を示す斜視図である。
【図3】制御部12の主要機能部を示す図である。
【図4】携帯端末50の主要機能部を示す図である。
【図5】本発明による車両用認証システム1の構築方法の一例及び動作の一例を示す図である。
【図6】本発明による車両用認証システム1の構築方法の一例及び動作の一例を示す図である。
【図7】本発明による車両用認証システム1の構築方法の一例及び動作のその他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0010】
図1は、本発明の一実施例による車両用認証システム1の要部構成を示す構成図である。図2は、車載機10の外観構成の一例を示す斜視図である。図3は、制御部12の主要機能部を示す図である。図4は、携帯端末50の主要機能部を示す図である。
【0011】
車両用認証システム1は、図1に示すように、車載機10と、携帯端末50と、データセンタ(サーバ)60とを含む。車載機10と携帯端末50とは、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)のような無線技術により無線通信が可能である。また、携帯端末50とデータセンタ60とは、例えばインターネットのようなネットワークを介して通信が可能である。
【0012】
車載機10は、図1に示すように、制御部12と、無線機14と、記憶部16と、ボタン17aと、インジケータ17bと、LAN通信部18と、電源部19とを備える。車載機10は、後述の如く、携帯端末50と各種車載電子機器(ECU等)30との間の通信のゲートウェイとして機能する。
【0013】
制御部12は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。ROMには、CPUが実行する各種プログラムが格納されている。制御部12には、記憶部16が接続される。記憶部16は、典型的には、書き込み可能なメモリにより構成され、例えばEEPROMやハードディスクドライブ(HDD)のような書き換え可能なメモリにより構成されてもよい。記憶部16には、PINコード及び車載機ID(後述)が記憶される。
【0014】
制御部12は、主要な機能部として、第1認証部12Aと、第2認証部12Bとを含む。これらの各部12A,12Bの機能は、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。これらの各部12A,12Bの機能は、図5及び図6を参照しつつ後述する。
【0015】
車載機10は、無線機14を介して携帯端末50と無線通信を行う。この無線通信には、例えばブルートゥース(登録商標)のような無線技術が利用されてもよい。本例では、ブルートゥース(登録商標)が利用されることとして説明を続ける。車載機10と携帯端末50との間では、認証に必要な各種データがやり取りされる。また、車載機10から携帯端末50には、車載機10が搭載される車両で得られる車両データ(車両状態を表す車両データ)等が送信される。
【0016】
車載機10は、電源部19を介して車載のバッテリ20に接続され、電力の供給を受ける。また、車載機10は、LAN通信部18を介して車載LAN22に接続される。車載機10は、車載LAN22に接続された各種車載電子機器(ECU等)30との間でデータ通信が可能である。車載LAN22は、CAN(controller area network)やLIN(Local Interconnect Network)等に基づくものであってよい。また、車載LAN22は、複数の車載LAN(例えば、パワートレイン系制御用のLAN、ボデー系制御用のLAN)で構成されてもよい。
【0017】
ボタン17aは、ユーザにより操作可能な位置に配置される。インジケータ17bは、ユーザにより視認可能な位置に配置される。例えば、図2に示すように、ボタン17a及びインジケータ17bは、車載機10のハウジング外部に設けられてよい。この場合、車載機10は、ボタン17a及びインジケータ17bが車室側に露出する態様で、車室内の適切な場所(例えば、インストルメントパネルやコンソールボックス等)に設けられてよい。制御部12は、ボタン17aがユーザにより操作されたときに生成される操作信号(オン信号)を受信する。また、制御部12は、インジケータ17bの点灯状態を制御する。
【0018】
携帯端末50は、ユーザが車室内に持ち込んで使用する端末(例えば、スマートフォン)であり、無線通信機能を有する。本例では、携帯端末50は、ブルートゥース(登録商標)による無線通信機能を有する。また、携帯端末50は、インターネットへのアクセスが可能であり、データセンタ60との間で各種データのやり取りを行うことができる。携帯端末50は、図4に示すように、主要な構成として、制御・通信部52と、表示部54と、記憶部56とを含む。
【0019】
データセンタ60は、車両から離れた遠隔地に設置されるサーバを含む。データセンタ60は、車両メーカにより管理・委託されて、各種情報を取り扱う。データセンタ60は、認証に必要な各種データを記憶・管理するデータベース62を含む。
【0020】
図5及び図6は、本発明による車両用認証システム1の構築方法の一例及び動作の一例を示す図である。
【0021】
ここでは、図5及び図6の双方を参照しながら、本発明による車両用認証システム1の構築方法の一例及び動作の一例を説明する。
【0022】
ステップ1では、図5及び図6に示すように、車載機10の仕入先工場(車載機10のメーカ)にて、車載機10毎にPINコード及び車載機IDが割当てられ、車載機10毎に割当てられたPINコード及び車載機IDがデータセンタ60に送信される。データセンタ60は、仕入先工場から送られてくるPINコード及び車載機IDをデータベース62に記憶する。また、仕入先工場で生成されたPINコード及び車載機IDは、車載機10の記憶部16に記憶される。尚、仕入先工場は、車両メーカの管理下にある施設の一例である。
【0023】
ステップ2では、図5に示すように、車載機10が仕入先工場から車両組立工場(車両メーカ)に納入される。尚、車両組立工場は、車両メーカから委託された工場であってもよい。また、仕入先工場は、車両組立工場と同一視できる工場であってもよい。即ち、車載機10は、車両メーカの内製品であってもよい。
【0024】
ステップ3では、図5及び図6に示すように、車載機10が車両に組み付けられると、車両組立工場の作業者は、例えば車両組立工場内のコンピューターを用いて、車載機10の車載機IDと、当該車載機10が組み付けられた車両のVIN(フレーム番号)とを、データセンタ60に送信する。データセンタ60は、車両組立工場から送られてくるVINと車載機IDとを紐付けして、PINコード、車載機ID及びVINをデータベース62に記憶する。
【0025】
ステップ4では、図5に示すように、車載機10が組みつけられた完成品の車両がユーザに引き渡される。
【0026】
ステップ5では、図6に示すように、車両を引き渡されたユーザ(オーナ)は、車両のVINを読んで、自身の携帯端末50に入力(登録)する。携帯端末50の制御・通信部52は、入力されたVINを記憶部56に記憶する。
【0027】
ステップ6では、図5及び図6に示すように、ユーザは、自身の携帯端末50を用いてデータセンタ60にアクセスし、ユーザ登録を行う。具体的には、先ず、図6に示すように、ステップ5で登録したVINと共に、個人情報(例えば生年月日等)をデータセンタ60に登録する。これを受けて、データセンタ60は、メールによりユーザIDと仮パスワードを、ユーザの携帯端末50に送信する。これを受けて、ユーザは、ユーザIDと仮パスワードを使用して、データセンタ60に正規パスワードを登録する。尚、ユーザは、ユーザ登録にて得られたユーザIDと正規パスワードを記憶しておく。
【0028】
ステップ7では、図5及び図6に示すように、データセンタ60は、ユーザ登録に伴って送信されてきたVINに対応するPINコードをデータベース62から取り出し、当該取り出したPINコードをユーザの携帯端末50に送信する。携帯端末50の制御・通信部52は、データセンタ60から送られてきたPINコードを記憶部56(図4参照)に記憶する。
【0029】
ステップ8−1では、図6に示すように、ユーザによりボタン17a(図2参照)の押し下げ操作が実行される。この操作が実行されると、車載機10は、所定時間、待ち受け状態となる。尚、この操作が実行されると、制御部12は、車載機10が待ち受け状態であることをユーザに知らせるために、インジケータ17bを所定時間点灯状態に維持してもよい。
【0030】
ステップ8−2では、図5及び図6に示すように、車載機10が待ち受け状態であり、且つ、ユーザの携帯端末50が例えば車室内のような車載機10と無線通信可能な距離内に位置するとき、車載機10と携帯端末50とのペアリングが実行される。具体的には、図6に示すように、携帯端末50によりサーチが実行される。これを受けて、待ち受け状態にある車載機10は、携帯端末50に対してPINコードを要求する。これを受けて、携帯端末50の制御・通信部52は、ステップ7で得られたPINコードを車載機10に送信する。尚、ペアリングのためのこれらの情報の送受は、ブルートゥース(登録商標)に基づく無線通信により実現される。次いで、車載機10の制御部12の第1認証部12Aは、携帯端末50から送られてきたPINコードを用いて認証を行う。具体的には、第1認証部12Aは、携帯端末50から送られてきたPINコードと、記憶部16に記憶されたPINコードとを比較し、一致した場合には、ペアリングを完了する。
【0031】
尚、一旦ペアリングが完了すると、次回以降の接続時は、第1認証部12Aは、同様に、携帯端末50から送られてきたPINコードを用いて認証を行うこととしてもよい。この場合、第1認証部12Aによる認証処理は、ペアリング時と同様に上記ステップ8−1のボタン17aの押し下げ操作をトリガとして開始されてもよいが、ボタン17aの押し下げ操作無しで自動的に開始されてもよい。
【0032】
ステップ9では、図6に示すように、車載機10は、車載LAN22を介して各種車載電子機器30から第1の車両データを受信する。第1の車両データは、各種車載電子機器30から同報により車載LAN22に送信されるデータであり、比較的低いセキュリティ性のデータであってよい。例えば、第1の車両データは、車速を表すデータ(車輪速センサの検出データ)や舵角を表すデータ(舵角センサの検出データ)であってよい。より具体的な例として、第1の車両データは、車両の燃費表示(燃費算出)に必要なデータであってよい。この場合、第1の車両データは、燃費算出方法に依存するが、走行距離(車速の積分値)や燃料噴射量に関するデータであってよい。
【0033】
ステップ10では、図6に示すように、車載機10の無線機14は、各種車載電子機器30から得た第1の車両データを、ブルートゥース(登録商標)に基づく無線通信により、携帯端末50に送信する。
【0034】
ステップ11では、図6に示すように、携帯端末50の制御・通信部52は、表示部54に第1の車両データを表示する。携帯端末50の制御・通信部52は、第1の車両データをそのまま表示してもよいし、或いは、第1の車両データを他の情報に変換して表示してもよい。
【0035】
ステップ12では、図6に示すように、携帯端末50の制御・通信部52は、データセンタ60にアクセスし、特定アプリケーションを要求する。特定アプリケーションとは、後述の第2の車両データを用いて動作するアプリケーションであってもよく、或いは、後述の第2の車両データを読み出すためのアプリケーションであってもよい。第2の車両データは、第1の車両データと同様、車両状態を表すデータであるが、第1の車両データよりも高いセキュリティ性・秘匿性のデータ(管理に払うべき注意レベルが高いデータ)である。例えば、第2の車両データは、車両の故障・異常状態を表すデータ(ダイアグデータを含む)であってもよい。尚、特定アプリケーションの要求は、車載機10との接続が完了した段階で携帯端末50の制御・通信部52により自動的に実行されてもよいし、或いは、ユーザによる承認・指示を受けてから実行されてもよい。尚、特定アプリケーションは、データセンタ60に複数個用意されていてもよい。この場合、ユーザは、携帯端末50を操作して、所望の特定アプリケーションを選択して要求することしてもよい。
【0036】
ステップ13では、図5及び図6に示すように、データセンタ60は、要求された特定アプリケーションを携帯端末50に送信(ダウンロード)する。この際、データセンタ60は、特定アプリケーションと共に、データベース62内に記憶された車載機IDを携帯端末50に送信する。車載機IDは、特定アプリケーション内に含められてもよい(即ち、特定アプリケーション内に暗号鍵として埋め込まれてもよい)。車載機IDは、特定アプリケーションを携帯端末50にて使用するための暗号鍵として利用される。データセンタ60は、接続中の携帯端末50を特定する情報(例えば、登録されたVIN,登録されたPINコード、ユーザID,パスワード等の少なくともいずれか1つ)に基づいて、当該情報(当該携帯端末50)に紐付けられた車載機IDをデータベース62から抽出してもよい。また、特定アプリケーション及び車載機IDの送信には、認証が必要とされてよく、この場合、SSL(Secure Sockets Layer)やTLS(Transport Layer Security)の認証方法や暗号化方法が利用されてもよい。
【0037】
尚、ステップ13において、ステップ6からデータセンタ60と携帯端末50との間のインターネットを介した接続状態が維持されている場合、又は、データセンタ60においてユーザID及びパスワードの承認状態が維持されている場合、データセンタ60は、ユーザID及びパスワードに対応した紐付けられた車載機IDをデータベース62から抽出してもよい。
【0038】
ステップ14では、図5及び図6に示すように、ユーザによる携帯端末50のボタン押し下げ操作(例えば、車両データ読出ボタンの押し下げ操作)に応答して、携帯端末50の制御・通信部52は、第2の車両データの読み出し要求を、ブルートゥース(登録商標)に基づく無線通信により、車載機10に送信する。尚、第2の車両データの読み出し要求は、特定アプリケーションの起動により実行されてもよい。即ち、第2の車両データの読み出し要求は、ダウンロード(ステップ13)された特定アプリケーションの機能により実行されてもよい。また、第2の車両データの読み出し要求は、特定アプリケーションのダウンロード(ステップ13)に後続して自動的に実行されてもよい。また、第2の車両データの読み出し要求は、車載電子機器30(ECU等)へのデータの書き込みを伴うものであってもよい。
【0039】
ステップ15では、図6に示すように、車載機10は、車両データの読み出し要求を受けて、肯定応答信号ACKを、ブルートゥース(登録商標)に基づく無線通信により、携帯端末50に送信する。肯定応答信号ACKには、車載機IDの要求が含まれる。
【0040】
ステップ16では、図5及び図6に示すように、携帯端末50の制御・通信部52は、車載機10からの車載機IDの要求に応答して、ステップ13で得られた車載機IDを、ブルートゥース(登録商標)に基づく無線通信により、車載機10に送信する。尚、車載機IDは、上記ステップ14での第2の車両データの読み出し要求に含ませてもよく、この場合、ステップ15及び16は省略されてもよい。また、車載機IDを含む第2の車両データの読み出し要求は、ダウンロード(ステップ13)された特定アプリケーションの機能により実行されてもよい。
【0041】
ステップ17では、図6に示すように、車載機10の制御部12の第2認証部12Bは、ステップ16にて携帯端末50から送られてきた車載機IDを用いて認証を行う。具体的には、第2認証部12Bは、携帯端末50から送られてきた車載機IDと、記憶部16に記憶された車載機IDとを比較し、一致した場合には、第2の車両データの読み出しを許可する。
【0042】
ステップ18では、図6に示すように、車載機10は、第2の車両データの読み出しを実行する。具体的には、車載機10は、車載電子機器30から車載LAN22を介して第2の車両データを要求する。尚、車載機10は、携帯端末50からの第2の車両データの読み出し要求(ステップ14)をそのまま車載LAN22に送信するものであってもよい。第2の車両データは、上述の如く、第1の車両データよりも高いセキュリティ性(秘匿性)のデータであり、例えば、車両の故障・異常状態を表す各種データ(各種ダイアグデータを含む)であってもよい。ダイアグデータは、センサの検出データ自体であってもよいし、ECUによりセンサ情報に基づいて生成されるデータであってもよい。車載電子機器30は、要求された第2の車両データを自身のメモリから読み出し、車載LAN22に送信してもよい。尚、車載機10は、要求された第2の車両データの種類に応じて、要求先の車載電子機器30を特定し、当該要求先の車載電子機器30に対して第2の車両データを要求してもよい。
【0043】
ステップ19では、図6に示すように、車載機10は、車載電子機器30から送信される第2の車両データを車載LAN22を介して受信する。第2の車両データは、好ましくは、宛先を特定した個別データとして車載機10に送信される。
【0044】
ステップ20では、図6に示すように、携帯端末50による第2の車両データの個別読み出しが実行される。具体的には、車載機10の無線機14は、ステップ19で得た第2の車両データを、ブルートゥース(登録商標)に基づく無線通信により、携帯端末50に送信する。尚、第2の車両データは、時系列のデータであってもよく、この場合、第2の車両データは、リアルタイムに携帯端末50に送信されてもよいし、所定時間毎に一括で送信されてもよい。
【0045】
ステップ21では、図6に示すように、携帯端末50の制御・通信部52は、表示部54に第2の車両データを表示する。携帯端末50の制御・通信部52は、特定アプリケーションを使用して、第2の車両データをそのまま表示してもよいし、或いは、第2の車両データを他の情報に変換して表示してもよい。後者の例として、第2の車両データは、携帯端末50で実行される特定アプリケーションに利用されてもよい。即ち、特定アプリケーションが第2の車両データにより動作される。
【0046】
図7は、本発明による車両用認証システム1の構築方法の一例及び動作のその他の一例を示す図である。
【0047】
図7に示す例は、上述の図6に示した例に対して、ステップ21の処理に代えて、ステップ22及びステップ23の処理が実行される点が主に異なる。以下では、特に異なる部分について説明する。
【0048】
図7に示す例では、特定アプリケーションは、第2の車両データを読み出すためのアプリケーションであってもよいし、或いは、第2の車両データを読み出し、読み出した第2の車両データをデータセンタ60に転送するためのアプリケーションであってもよい。
【0049】
ステップ22では、図7に示すように、携帯端末50の制御・通信部52は、特定アプリケーションを使用して、第2の車両データをデータセンタ60に送信(アップロード)する。尚、第2の車両データは、時系列のデータであってもよく、この場合、第2の車両データは、リアルタイムにデータセンタ60に送信されてもよいし、所定時間毎に一括で送信されてもよい。
【0050】
ステップ23は、任意的に実行される処理であってよい。ステップ23では、図7に示すように、データセンタ60は、第2の車両データの転送に対するポイントに関するポイント情報を、携帯端末50に送信する。ポイントは、その数(ポイント数)に応じて何らかのユーザの利益に還元できるポイントであってよい。データセンタ60は、携帯端末50毎にポイント情報を管理し、第2の車両データの転送がある毎に、データベース62内のポイント数を所定のポイント数ずつ増加させもよい。また、ステップ23で携帯端末50に送信されるポイント情報は、今回の第2の車両データの転送で付与されたポイント数や現在のポイント数等の情報であってもよい。この際、携帯端末50の制御・通信部52は、表示部54にポイント情報を表示してもよい。
【0051】
以上説明した本実施例の車両用認証システム1によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0052】
本実施例の車両用認証システム1によれば、上述の如く、携帯端末50と車載機10(及びそれに伴い各種車載電子機器30)とを無線接続する際、PINコードによる認証が必要とされる。そして、無線接続した携帯端末50に車載機10からセキュリティ性の高い第2の車両データを送信する際に、車載機IDによる認証が必要とされる。これにより、携帯端末50による車載機10(及びそれに伴い各種車載電子機器30)からの車両データの読み出しを可能とする構成において、該読み出しに対して高いセキュリティ性を確保することができる。特に、車載機IDは、ユーザに対して秘匿され(ユーザが知りえない情報であり)、車両メーカ又はその管理下にある施設で生成されるものであるので、例えば車載機10にてランダムに生成されるような暗号鍵に比べて、秘匿性(機密性)が高く、セキュリティ性を効果的に高めることができる。
【0053】
また、本実施例の車両用認証システム1によれば、セキュリティ性が比較的低い第1の車両データについては、秘匿性が比較的低いPINコードによる認証を経れば、車載機10から携帯端末50への送信が許可される一方、セキュリティ性が比較的高い第2の車両データについては、秘匿性が高い車載機IDによる認証を経なければ、車載機10から携帯端末50への送信が許可されない。このようにして、本実施例によれば、車両データのセキュリティ性に応じて認証方法を可変することで、利便性とセキュリティ性を効果的に両立させることができる。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0055】
例えば、上述の実施例において、特定アプリケーションは、使用毎にステップ12、ステップ13(図6、図7参照)によりダウンロードされてもよいし、或いは、初回だけダウンロードされてもよい。前者の場合、ダウンロードされた特定アプリケーションは、使用終了後、携帯端末50の記憶部56から車載機IDと共に消去されてもよい。他方、後者の場合、ダウンロードされた特定アプリケーションは、使用終了後、携帯端末50の記憶部56に車載機IDと共に保持されてもよい。この場合、ステップ16では、携帯端末50の制御・通信部52は、車載機10からの車載機IDの要求に応答して、記憶部56に保持された車載機IDを車載機10に送信してもよい。
【0056】
また、上述の実施例において、PINコードの照合は、任意の態様であってよい。例えば、第1認証部12Aで照合に使用されるPINコード(記憶部16に記憶されるPINコード)は、車載機10側で生成されてもよいし、携帯端末50側で生成されてもよい。また、PINコードに加えて、MACアドレスなどの他の認証情報が利用されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 車両用認証システム
10 車載機
12 制御部
12A 第1認証部
12B 第2認証部
14 無線機
16 記憶部
17a ボタン
17b インジケータ
18 LAN通信部
19 電源部
20 バッテリ
30 車載電子機器
50 携帯端末
52 制御・通信部
54 表示部
56 記憶部
60 データセンタ
62 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載電子機器と携帯端末との間での無線データ通信を中継する車載機であって、
PINコードと、ユーザに対して秘匿される車載機IDであって、1台の車両に対して1つ登録される車載機IDとを記憶する記憶手段と、
PINコードの照合より携帯端末との接続可否判定を行う第1認証手段と、
前記第1認証手段により認証を経て接続された携帯端末に車載機IDを要求し、該要求に応じて該携帯端末から送られてくる車載機IDを、該車載機に登録された車載機IDと比較することで認証を行う第2認証手段と、
前記第2認証手段により認証が得られた携帯端末に対して、前記車載電子機器で得られる所定の車両データであって、車両状態を表す所定の車両データを送信するデータ送信手段とを備えることを特徴とする、車載機。
【請求項2】
前記車載機IDは、車両メーカ又はその管理下にある施設で生成され、前記記憶手段に記憶される、請求項1に記載の車載機。
【請求項3】
前記データ送信手段は、前記第1認証手段により認証を経て接続された携帯端末であって、前記第2認証手段により認証が得られていない携帯端末に対しては、前記所定の車両データの送信を行わず、前記所定の車両データ以外の車両データを送信する、請求項1又は2に記載の車載機。
【請求項4】
前記所定の車両データは、車載センサの検出データ又はそれに基づいて生成されたデータである、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の車載機。
【請求項5】
車両用認証システムであって、
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の車載機と、
前記車載機IDを管理するデータ管理装置であって、車両メーカ又はその管理下にある施設で管理されるデータ管理装置とを備え、
前記前記データ管理装置は、前記車載機IDを前記携帯端末に送信する、車両用認証システム。
【請求項6】
前記データ管理装置は、前記車載機から送信されてくる前記所定の車両データに関連して動作するアプリケーションと共に、前記車載機IDを前記携帯端末に送信する、請求項5に記載の車両用認証システム。
【請求項7】
前記データ管理装置は、前記携帯端末から送信されてくる前記所定の車両データを受信する、請求項6に記載の車両用認証システム。
【請求項8】
車載機と携帯端末との間のデータ通信方法であって、
前記車載機は、PINコードと、ユーザに対して秘匿される車載機IDであって、1台の車両に対して1つ登録される車載機IDとを記憶しており、
当該方法は、
前記車載機において、PINコードの照合より携帯端末との接続可否判定を行う第1認証ステップと、
前記車載機において、前記第1認証ステップにより認証を経て接続された携帯端末に車載機IDを要求するステップと、
前記車載機において、前記車載機IDの要求に応じて該携帯端末から送られてくる車載機IDを、該車載機に登録された車載機IDと比較することで認証を行う第2認証ステップと、
前記車載機において、前記第2認証ステップにより認証が得られた携帯端末に対して、該車載機が搭載される車両で得られる所定の車両データであって、車両状態を表す所定の車両データを送信するステップとを備えることを特徴とする、データ通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−88913(P2012−88913A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234702(P2010−234702)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】