説明

車載用電子機器及び移動軌跡表示システム

【課題】 車載用電子機器において位置情報の履歴データを確実に記憶保持すること
【解決手段】 車両の位置を検出するためのGPS受信機12と、持ち運び可能なSDメモリカード15を接続するためのSDスロット14と、車載用電子機器の内部に設け、車両側からの電源の供給がない場合であっても記憶内容を保持可能なEEPROM17とを備える。さらに、制御部18は、GPS受信機12にて検出した位置に基づく位置情報の履歴をEEPROM17に記憶する機能と、SDメモリカード15が装着されているときに、EEPROMに記憶されている情報の少なくとも一部を、SDメモリカード15へ書き込む機能を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出機能を備えた車載用電子機器及び移動軌跡表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自分の移動した軌跡を記録・管理し、地図上にその移動軌跡を表示できると、便利である。最近では、安価な携帯型のGPS機器とWebアプリケーションを組み合わせるだけで手軽に記録できる。すなわち、検出した位置情報の履歴をログ・データとして記憶できるGPS機器を携帯した状態で移動する。その移動時に記憶したログ・データを、パソコンに格納する。このログ・データのパソコンへの格納は、パソコンに有線/無線により接続する機能を備えたGPS機器の場合、所定の通信を利用してデータを転送することによりおこない、係る接続する機能がない場合にはSDメモリカード等の記録媒体にログ・データを記録し、記録媒体をパソコンに装着しパソコンがその記録されたデータを呼び出すことで行なう。このようにしてパソコンに採り込んだ位置情報のログ・データをMotion Based等のWebアプリケーションを提供しているサイトにアップロードし、所定のデータフォーマットに変換することで、Google EarthやGoogle Mapsに、自分の移動した軌跡を表示することができる。また、このようにWebアプリケーションを利用するのではなく、位置情報のログ・データをKML形式のファイルのようにGoogle Earthなどで移動軌跡を表示するためのファイルに変換するためのアプリケーションソフトもフリーウェア等で提供されているので、ユーザが予め係るアプリケーションソフトを入手しておくことで、パソコン内でデータ変換をし、Google Earth等の地図情報に移動軌跡を表示させることもできる。
【0003】
一方、車両速度測定装置の存在を検出した報知する目標物検出装置(マイクロ波検出器:レーダー探知機)には、予めメモリに記録された目標物の位置情報を記憶しておき、搭載したGPSから得られた車両の現在位置情報と比較して所定の距離内にあるなど、一定の条件を満たした場合に警告を行うものがある(特許文献1等)。
【特許文献1】特開2006−46976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、GPS受信機能を備えた目標物検出装置に搭載されたGPSのログ・データ(位置情報の履歴データ)をSDメモリカード等の記録媒体に記録し、その記録したログ・データに基づき、上述したシステムを利用しGoogle Earth等の地図情報に車両の移動軌跡を表示させることを考えた。しかし、係る技術思想を、車載用の目標物検出装置に実際に具現化しようとした場合、以下に示す各種の問題が生じる。
【0005】
すなわち、携帯型のGPS機器の場合には、そのGPS機器をそのままパソコン付近まで携帯することができるが、車載用の目標物検出装置では、車両の所定位置に設置しているので一般のGPS機器のようにパソコン付近まで持って行くことができない。そのため、SDメモリカード等の記録媒体を利用し、目標物検出装置にてログ・データが記録されたSDメモリカードをその目標物検出装置から取り外すと共に、そのSDメモリカードをパソコンのある場所まで持参する必要ある。すると、その取り外しからパソコン付近まで持参する間にSDメモリカードに記録された情報が破損したりする可能性が高くなる。更に、単純に持ち運ぶ移動距離が長くなるだけでなく、車内ではメモリカードの取り外し操作がしにくく、目標物検出装置からSDメモリカードを取り外す際に特に破損の可能性がある。
【0006】
また、SDメモリカードに対して検出した位置情報を書き込みデータの更新をしている最中に電源供給が切られてしまうと、データが破損すると言う問題がある。特に、車載用の目標物検出装置の場合、停車時に自動的に電源がOFFになる機能を備えている機種が多いので、データ更新中に電源供給が切れる可能性は一般の携帯型のGPS機器に比較して高い。また、車両購入後に後付けされる車載用電子機器は、シガーソケット等から電源を得ることが多い。このような電源は、例えばACCOFFといった車両側の操作によって切断されてしまう。そのためデータ更新中に電源供給が切られる可能性が他の機器よりも高い。
【0007】
本発明は、車載用電子機器において位置情報の履歴データ(ログ・データ,ロギングデータ)を確実に記憶保持するとともに、その記憶保持した履歴データをパソコン等に移し移動軌跡を表示させることができる車載用電子機器及び移動軌跡表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を解決するための本発明の車載用電子機器は、(1)車両側からの電源の供給により動作可能な車載用電子機器であって、前記車両の位置を検出するための位置検出手段(“GPS受信機12”に対応)と、持ち運び可能な外部記録媒体(“SDメモリーカード15”に対応)を接続するための接続手段(“SDスロット14”,メモリーカードコネクタ等)と、前記車載用電子機器の内部に設け、前記車両側からの電源の供給がない場合であっても記憶内容を保持可能な内部記憶手段(“EEPROM17”,フラッシュメモリ等)と、前記位置検出手段によって検出した位置に基づく位置情報の履歴を前記内部記憶手段に記憶する記憶制御手段(実施形態の“制御部18の1つの機能”により実現)と、前記外部記録媒体が前記接続手段に接続されているときに、前記内部記憶手段に記憶されている前記位置情報の履歴に基づく情報を、前記接続手段を介して前記外部記録媒体へ書き込む書込制御手段(実施形態の“制御部18の1つの機能”により実現)と、を備えるようにした。
【0009】
この発明によれば、外部記録媒体に直接位置情報の履歴を記憶するのではなく、一旦内部記憶手段に位置情報の履歴を記憶しておき、外部記録媒体が接続されているときに、内部記憶手段に記憶されている情報を外部記録媒体へ書き込むようにしたため、外部記録媒体への書き込み中に車両側からの電源供給が遮断されたことなどにより、外部記録媒体内のデータが破損した場合であっても、内部記憶手段に記憶されている情報を、再度外部記録媒体へ書き出すことが可能となる。
【0010】
(2)ユーザからの指示を入力する指示入力手段(“リモコン21、スイッチ部7”に対応)を備え、前記記憶制御手段は、前記内部記憶手段に記憶した位置情報の履歴を削除する機能を有し、前記指示入力手段によって前記内部記憶手段に記憶された位置情報の履歴の削除指示が入力されるまでは、前記書込制御手段によって前記位置情報の履歴に基づく情報が前記外部記録媒体に書き込まれた場合であっても、前記内部記憶手段に記憶した前記位置情報の履歴の削除を行なわないようにするとよい。
【0011】
この発明によれば、内部記憶手段に記憶された位置情報の履歴外部記録媒体へユーザからの削除指示があるまでは、位置情報の履歴は内部記憶手段に記憶されたままになるので、外部記録媒体への書き込み中に車両側からの電源供給が遮断されたことにより、外部記録媒体内のデータが破損した場合であっても、内部記憶手段に記憶されている情報を、再度外部記録媒体へ書き出すことが可能となる。また、位置情報の履歴が格納された外部記録媒体を車載用電子機器から取り外すとともに、それを持ち運び、パソコン等にセットする。そして、パソコン等にて、その位置情報の履歴データを利用し、Google Earth等の地図情報に移動軌跡を表示させることができる。このとき、多くの場合、車載用電子機器が設置された車両から、パソコン等が設置された場所は離れていることが多く、外部記録媒体の持ち運び距離も長くなるので、その持ち運び中(移動中)等において外部記録媒体に格納されたデータが破損するおそれが高くなる。しかし、仮にデータが破損したとしても、内部記憶手段に履歴データが残っていれば、外部記録媒体を車載用電子機器にセットし再度履歴データの書き込みを行なうことができる。
【0012】
(3)前記外部記録媒体は、ファイル管理情報記録領域と、ファイル管理情報記録領域によって管理される実データ記憶領域とを備えてファイルを単位としてデータを保持するファイルシステム(例えばFAT16等)を有し、前記記憶制御手段は、前記内部記憶手段に前記位置情報の履歴を連続的に記憶していき、前記書込制御手段は、前記内部記憶手段に連続的に記憶された位置情報の履歴を、前記外部記録媒体の有するファイルシステムに適合する前記ファイルに変換して書き込むようにするとよい。
【0013】
ファイル管理情報記録領域と、ファイル管理情報記録領域によって管理される実データ記憶領域と、を備えてファイルを単位としてデータを保持するファイルシステムを有することで、汎用性が高くなる。そして、係る構成の場合には、ファイルの書き込み時に電源が遮断されると、書き込み中のデータはもとより、ファイル管理情報が記録されたファイル管理情報領域内の情報が破損した場合に、外部記録媒体に記録されている複数のファイルが破損(読み出し不能)になるおそれがあるが、本発明では、このような事態になったとしても、再度内部記憶手段の情報を外部記録媒体に書き出すことができるので影響を最小限に抑えることができる。
【0014】
(4)前記外部記録媒体は当該車載用電子機器以外の機器でも書き込み可能なファイルシステムを有し、前記ファイルシステムに備えるファイル管理情報記憶領域には、ファイル名記憶領域を有し、前記書込制御手段は、前記接続手段への前記外部記録媒体の接続が検知された場合に、前記外部記録媒体に記憶されているファイルのファイル名を前記ファイル管理情報記憶領域から読み出し、読み出したファイル名とは異なるファイル名で、書き込みを行なうようにするとよい。
【0015】
この発明によれば、ファイルが上書きされしまうことを防止することができる。また、たとえすでに外部記録媒体に記録済みのデータであっても、再度別名で書き込まれるので、同一内容のデータが複数保存でき、データの破壊をより防止できる。
【0016】
(5)前記外部記録媒体への書き込み中に前記外部記録媒体が前記接続手段から取り外される状況であるかまたは前記車両側からの電源の供給が遮断される状況であるかの少なくともいずれか一方を判定する状況判定手段を備え、前記書込制御手段は、前記状況判定手段の判定結果に基づき前記書き込みを制御するようにすると良い。
【0017】
この書き込み制御としては、例えば、状況判定手段が、“書き込み中に取り外される状況である”または“電源の供給が遮断される状況である”と判定した場合、接続手段に外部記録媒体が接続されていても書き込みを開始しないようにしたり、逆に、“書き込み中に取り外される状況でない”または“電源の供給が遮断される状況でない”と判定された場合には、書き込みを開始するようにしたりすることができる。このようにすると、外部記録媒体への書き込み中に電源供給が遮断され、書き込みエラーとなることを可及的に防止できるし、確実に書き込みできるときに効率よくデータの書き込みを行なうことができるようになる。
【0018】
(6)車両の速度を検出する車速検出手段を備え、前記書込制御手段は、前記車速検出手段によって検出した車速に基づいて前記書き込みを行なうか否かを判定するようにしてもよい。車速検出手段は、例えば位置検出手段により取得した位置情報から移動距離を求め、経過時間(内部時計を持たせても良いし、位置情報をGPS信号から求める場合にはそれに含まれる時刻データを利用しても良い)から車速を算出するようにしたものでも良いし、直接車速を求めるセンサ等を別途も受けても良いし、車両側から車速に関する情報をもらいそこから導き出すものでも良く、さらには、振動センサなど車速に応じて変化する物理量を計測するといった間接的に車速を求めるものでも良い。
【0019】
書き込みを行なうか否かの判定は、例えば、車速が所定の書き込み開始基準車速を上回った場合に、前記書き込みを開始するようにしたり、車速が所定の書き込み禁止基準車速を下回った場合には、書き込みを開始しないようにしたり、書き込み処理中に車速が所定の書き込み中止基準車速を下回った場合に書き込みを中止するようにするなどの各種の態様がとれる。これらは、低速度で走行している場合には、その後停車しエンジン停止(車両からの電源供給カット)になるおそれがあるので、書き込みをしないようにし、逆に高速度で走行している場合には、すぐに停車する可能性は低いので書き込みを行なうための十分な時間があると推定できるからである。また、一旦外部記録媒体への書き込みが開始された状態において、交通状況により一時的に車速が低下した場合に書き込みが中止されてしまう事態を抑制するためには、“書き込み禁止基準速度”>“書き込み中止基準速度”とするとよい。
【0020】
(7)車両の速度を検出する車速検出手段を備え、前記記憶制御手段は、前記車速検出手段によって検出した車速が所定値以下の場合には前記内部記憶手段への記憶を行わないようにするとよい。このようにすることで、内部記憶手段のデータの破壊を防止することができる。
【0021】
(8)車両の速度を検出する車速検出手段を備え、前記記憶制御手段は、前記位置情報の履歴を、所定の時間間隔で前記位置検出手段から取得して生成するものであり、当該所定の時間間隔は、前記車速検出手段によって検出された車速に基づいて制御するように構成するとよい。
【0022】
位置情報の取得間隔を速度によって可変させるとは、例えば、車速が速くなるにつれ時間間隔を短くし、車速が速くなるにつれ時間間隔を短くすることができる。このようにすれば、車速が速くても、記録された位置が飛び飛びにならず(位置の履歴の密度が薄くなることがなく)、その後にGoogle Earthなどで車両の始動軌跡等を正確に表示させることができる。
【0023】
(9)無線受信手段を備え、前記無線受信手段によって無線が受信された場合に、前記位置情報に関連付けて当該無線受信を示す情報を記憶する機能を設けるとよい。このように、位置情報に無線受信を示す情報を付加することにより、無線受信した位置を地図上に表示させることができる。無線受信を示す情報としては、受信した無線がどの無線であるのかを示す情報や、あるいは、受信した周波数、受信強度、変調方式などを含むとよい。
【0024】
(10)本発明の移動軌跡表示システムは、上記の(1)〜(10)のいずれかに記載の車載用電子機器と、前記外部記録媒体に記録された前記位置情報の履歴に基づく情報を読み出し、当該情報に基づいて前記車両の移動軌跡を地図上に表示する表示装置とを備えて構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、一旦内部記憶手段に位置情報の履歴データを格納し、そこから外部記録媒体に書き込むようにしたので、書き込み時に電源供給が遮断されて書き込みエラーを生じたとしても、元の内部記憶手段には正しい履歴データが残っているので、その後電源供給がされた状態において再度外部記録媒体に書き込みを行なうことができる。よって、車載用電子機器において位置情報の履歴データ(ログ・データ,ロギングデータ)を確実に記憶保持するとともに、その記憶保持した履歴データをパソコン等に移し移動軌跡を表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明に係る車載用電子機器の一実施形態の外観図を示しており、図2は内部構成を示している。この車載用電子機器1は、車両の現在位置情報や、外部から飛来する電波情報を取得し、取得した情報が設定した条件に合致した場合に警報・報知をする装置である。この車載用電子機器1は、表示パネル等を収納する第1ケース本体2aの背面側に、各種の受信機等を収納する矩形状の第2ケース本体2bを連係させる構成を採る。第1ケース本体2aは、扁平な矩形箱体を起立させた態様からなり、その前面側に表示パネル3を露出状態で取り付ける。この表示パネル3は、たとえば、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイを用いて実現される。また、この第1ケース本体2aの側面には、SDスロット14の挿入口4が設けられ、そのSDスロット14の挿入口4からSDメモリカード15を装着することで、車載用電子機器1が記憶保持する位置情報等のデータの更新等が行なえる。さらに、第1ケース本体2a内には、スピーカ等の警報出力機器や、制御部その他の電子回路基板などが組み込まれる。
【0027】
また、第2ケース本体2b内には、第1ケース本体2aと反対側の先端側内部にマイクロ波受信機10並びに無線受信機11を配置し、第2ケース本体2bの上面側内部には、GPS受信機12を配置する。これら各受信機10,11,12で受信した情報は、内部の配線を利用して第1ケース本体2aに設けられた電子回路基板上の制御部18へ送られる。また、第1ケース本体2a内には、スピーカ16や、リモコン受信機20等も内蔵されている。さらに、目標物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などは、データベース19に格納される。データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)により実現できる。なお、データベース19には、出荷時に一定の目標物に関する情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)が登録されている。また、使用に応じて各種の位置情報をデータベース19に登録・更新することができる。
【0028】
さらに、ケース本体1の一方の側面(図1(a)と反対側の側面のため、図には現れていない)には、電源スイッチ並びにDCジャックを配置する。DCジャックは、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。
【0029】
制御部18は、CPU・メモリ・I/O等含むマイコンから構成され、SDスロット14に装着された外部記録媒体であるSDメモリカード15に対してアクセスし、データの読み書きが行える。たとえば、SDメモリカード15に、更新すべき目標物の位置情報などが格納されている場合、制御部18はその更新すべきデータを読み出すと共に、データベース19に格納することで更新処理が行える。
【0030】
さらに、車載用電子機器1は、内部記憶手段たるEEPROM17を備え、制御部18は、そのEEPROM17にアクセスし、データの読み書きが行なえる。このEEPROM17は、不揮発性メモリであり、DCジャック・シガープラグコードを経由して車両側からの電源の供給がない場合であっても記憶内容を保持可能となる。
【0031】
マイクロ波受信機10は、所定周波数帯のマイクロ波を受信し、その受信信号を制御部18に送る。所定周波数帯は、たとえば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数が含まれる周波数帯としている。無線受信機11は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信機20は、リモコン(携帯機:子機)21とデータ通信をし、車載用電子機器に対する各種の設定を行なう。また、スイッチ部7も制御部18に接続され、リモコン21と同様の設定を行えるようになっている。GPS受信機12は、GPS信号を受信し、その受信したGPS信号から現在位置を求め、その求めた現在位置の位置情報(経度,緯度)を制御部18に送る。
【0032】
制御部18は、上記の各種の入力機器(受信機等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示パネル3,警報ランプ13,スピーカ16等)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。この入力機器から入力される情報に基づく警報内容を決定する所定の処理は、基本的従来と同様のものを利用することができる。つまり、一定の条件を具備する信号を受信・取得した場合には、対応する警報を出力したりする。なお、スピーカ16を用いた警報は、ブザーや音声等がある。
【0033】
さらに制御部18は、位置検出手段たるGPS受信機12によって検出した位置に基づく位置情報の履歴を、EEPROM17に記憶させる機能と、外部記録媒体たるSDメモリカード15がSDスロット14内に装着されているときに、EEPROM17に記憶されている情報の少なくとも一部を、SDスロット14に装着されたSDメモリカード15へ書き込む機能と、を備えた。
【0034】
EEPROM17に記憶させる機能は、例えば、所定のイベント発生時にGPS受信機12にて受信されるGPS信号に基づく位置情報を取得し、その取得した位置情報を記憶する。このとき、時刻情報その他の各種の情報も関連付けて登録するとよい。そして、この所定のイベントとしては、例えば所定の時間が経過するごとに発するイベント(例えばタイマーイベント)や走行距離検出手段を備えて所定の走行距離ごとに発するイベントなどを用いることができる。
【0035】
また、所定の無線電波(マイクロ波、無線)を受信したことをイベントとして位置情報を取得するとともに、その取得した位置情報にどの無線電波を受信したかの情報を付加して記録することもできる。位置情報に無線受信を示す情報を付加することにより、無線受信した位置を地図上に表示させることができる。無線受信を示す情報としては、受信した無線がどの無線であるのかを示す情報に限らず、受信した周波数,受信強度,変調方式などを含むとよい。例えば、書き込む位置情報をNMEA(National Marine Electronics Association)形式とした場合、そのNMEA形式の情報に関連付けて無線受信を示す情報を書き込むようにすればよい。ここで、NMEA形式は、「NMEA 0183 Interface Standard」のことを指し、これはGPSからリアルタイムで出力されているアスキーデータである。また、書き込む位置情報は、NMEA形式に限らず、例えば、単に、緯度経度、時間、無線受信を示す情報の順にカンマで区切ってテキスト形式(csv形式)で書き込むようにしてもよい。またGPS受信機12の出力モードをバイナリモードに設定し、GPS受信機12から出力されるバイナリデータから緯度経度情報のバイナリデータを取り出して位置情報として記録するようにすると特によい。このようにすれば、EEPROM17のメモリ使用量を抑えることができる。
【0036】
SDメモリカード15は、ファイル管理情報記録領域と、ファイル管理情報記録領域によって管理される実データ記憶領域とを備えてファイルを単位としてデータを保持するファイルシステム(例えばFAT(File Allocation Table)16)を有する。ここでいうファイルシステムは、例えば所定のデータ格納のためのデータ構造を有する記憶領域であり、例えば所定のデータ構造に沿って物理的な記憶領域を論理的に区分して管理されるものである。
【0037】
制御部18のEEPROM17へ記憶する機能は、特別な管理領域はもたずGPS受信機12にて検出した位置情報を連続的に記憶していく。連続的に記憶するとは、例えば、ある時点での位置情報と次の時点での位置情報とを続けて保持するとよい。また、連続的に記憶する場合のデータ構造としては、例えば、配列構造でもよいし、リスト構造でもよい。特に、メモリ領域の連続するアドレスに順次書き込む方式をとるとよい。このようにすると、位置情報は、その取得した順に時系列にEEPROM17の連続したアドレスに順に記憶される。順番に書き込んでいるだけなので書き込み中に電源を切られても破損するのは基本的に書き込み中のデータ1つだけになる。
【0038】
また、このEEPROM17への位置情報の連続的な記憶は、例えば、GPS受信機12にて検出された位置情報にそのチェックサムを算出して付与したものを連続的に記録していくようにしてもよい。このように記憶する情報に基づいて誤り検出符号や誤り訂正符号を生成し、その記憶する情報に関連付けて記憶すると、各情報の信頼性が向上するのでよい。
【0039】
制御部18のSDメモリカード15へ書き込む機能は、EEPROM17に連続的に記憶された位置情報の履歴を読み出し、SDメモリカード15の有する上記のファイルシステムに適合するファイルに変換した後、書き込むようにしている。
【0040】
このように、SDメモリカード15では、ファイル管理情報記録領域と、ファイル管理情報記録領域によって管理される実データ記憶領域と、を備えてファイルを単位としてデータを保持するファイルシステムを有する場合、ファイルの書き込み時に電源が遮断されると他のファイルのファイル管理情報が記録されたファイル管理情報領域内の情報が破損することがある。そして、ファイル管理情報領域内の情報が破損すると、そのSDメモリカード15上に記録されていた別ファイルのファイル管理領域内の情報も破損してしまい他のファイルも読み出せなくなったり、すべてのファイルが読み出せなくなったりする場合がある。
【0041】
例えばファイル管理情報記憶領域は1つの書き換え単位領域内に複数のファイルに関する管理情報を記憶する領域を有する場合、その単位領域内に新たにファイル管理情報を書き込み中に電源が遮断されると、ファイル管理領域に不正な値がある状態となり、記録媒体の一部または全ファイルがアクセス不能になる場合がある。例えばFATなどのファイルシステムでは、ファイルの書き込みの際に、ファイル管理情報をファイルアロケーションテーブルと呼ばれる領域に記憶する。ファイルの書き込み中に電源が遮断されるとファイルアロケーションテーブルの情報が不整合を起こし、書き込んだファイルはもとより、もともと記憶されていたファイルもアクセスできなくなったり、媒体全体の論理構造を再生成(例えばフォーマットと呼ばれる処理)をしなければならなくなったりすることがある。しかし、本実施形態によれば、このような事態になったとしても、SDメモリカード15(必要応じて、再フォーマットしたもの)をSDスロット14に装着した状態で、再度EEPROM17に記憶されている情報をSDメモリカード15に書き込むことができる。
【0042】
また、SDメモリカード15がSDスロット14に装着されているか否かの判断は、例えば、SDメモリカード15が完全にSDスロット14内に挿入されたときにONになるような位置に機械的なスイッチ(リミットスイッチ等)を設け、そのスイッチのON/OFFから判断をするように構成することで実現できる。このスイッチがONになった場合には自動的に書き込みを開始するようにしてもよいし、スイッチのONが検出された場合に、表示パネル3に「SDカードへの書き出しを開始しますか」と表示し、リモコン21またはスイッチ部7から開始指示が入力された場合に書き込みを開始するようにしてもよい。また後述する状況判定機能による判定結果によって書き込みを開始するか否かを決定するようにしてもよい。どのようなタイミングで書き込みを行なうようにするかは、予めリモコン21等から設定できるようにするとよい。
【0043】
このように、本実施形態では、位置情報の履歴データを直接外部記録媒体であるSDメモリカード15に書き込むのではなく、一旦EEPROM17に書き込むようにしているので、SDメモリカード15の装着の有無に関係なく、位置情報の履歴である位置ログ・データをEEPROM17に保存することができる。そして、SDメモリカード15を装着した適宜のタイミングで、制御部18は、EEPROM17に格納された一ログ・データをSDメモリカード15に書き込むので、このSDメモリカード15への書き込み中に車両側からの電源供給が遮断されたことなどにより、SDメモリカード15内のデータが破損することがあっても、EEPROM17からはデータを読み出しているだけであるので、そのEEPROM17に記憶されている情報が破損することはない。よって、その後に車両からの電源供給が行なわれた際に、EEPROM17に記憶されている位置ログ・データ情報を、再度SDメモリカード15へ書き出すことができる。
【0044】
そして、位置ログ・データを格納したSDメモリカード15を取り出すとともに、そのSDメモリカード15をパソコン等の設置場所に携帯し、パソコン等に装着して格納した上記の位置情報の履歴データ(位置ログ・データ)をパソコン内に転送する。これにより、この位置ログ・データに基づき、パソコンにおいて適宜の処理を実行することでGoogle EarthやGoogle Mapsに、自分の移動した軌跡を表示することができる。
【0045】
また、制御部18は、ユーザが操作するリモコン21やスイッチ部7等の指示入力手段からの指示に従い、EEPROM17に記憶している位置ログ・データのリストを表示し、ユーザからの指示に従いリストアップされたデータの中から指定されたデータを削除する機能を持たせる。制御部18は、表示パネル3にリストアップされた中から指示入力手段を介して指示された履歴情報を削除する機能を備える。換言すると、指示入力手段(リモコン21やスイッチ部7等)によってEEPROM17に記憶された位置情報の履歴の削除指示が入力されるまでは、制御部18によって位置情報の履歴がSDメモリカード15に書き込まれた場合であっても、EEPROM17に記憶した位置情報の履歴の削除は行なわれない。
【0046】
このようにユーザからの削除指示があるまでは、位置情報の履歴はEEPROM17に記憶されたままになるので、上述したようにSDメモリカード15への書き込み中に車両側からの電源供給が遮断されてSDメモリカード15内のデータが破損したり、SDメモリカード15を取り外して携帯しパソコンまでの比較的長い距離を移動する間に何かしらの原因からSDメモリカード15内のデータが破損したりした場合であっても、EEPROM17に記憶されている情報を、再度SDメモリカード15へ書き出すことが可能となるので、上記の破損の影響は最小限に抑えることができる。
【0047】
制御部18は、SDメモリカード15が取り外される状況であるか否かや、車両側からの電源供給が遮断される状況であるか否か等の状況を判定する状況判定機能を備える。この状況判定機能は、上記2つの状況判定機能を両方とも備えても良いし、いずれか一方でも良い。制御部18のSDメモリカード15への書き込み機能は、この状況判定機能による判定結果に基づいて動作が制御されるようにする。具体的には、制御部18によるSDメモリカード15への書き込みは、状況判定機能により“取り外し“や”遮断“がされる状況でないと判定されることを条件に行なう。また、制御部18は、SDメモリカード15への書き込み中に状況判定機能が“取り外し“や”遮断“がされる状況であると判定した場合には、書き込みを中止するように動作する。
【0048】
ここで、状況判定機能の具体的態様としては、例えば、GPS受信機12がGPS衛星からのGPSを受信している(GPS測位中)か、受信できていない(非測位)か、を判定し、それまで測位している状態から非測位の状態に移行し、その状態が一定期間以上継続した場合には、電源供給が遮断される状況であると判定する。これは、GPS非測位が一定期間継続した場合には、屋内駐車場等へ進入した可能性が高く、近々停車にともない電源が切られる可能性があると判断できる。また、エンジン始動後に走行開始を検知した場合には、近々電源供給が遮断される状況ではないと判定する。これは、エンジン始動後に走行を開始したらすぐにはエンジンを切らないであろうという経験則に基づくものである。なお、自宅の車庫等から道路に車を移動し、そこで停車して荷物を積み込むこともあるので、走行開始したか否かの判断も所定距離以上或いは所定時間継続して走行していることを条件にするとより好ましい。また、エンジン始動後に走行開始を検知したことを条件にSDメモリカード15への書き込みを開始するようにした場合、前回走行時のデータを確実にSDメモリカードにコピーできるという付随的な効果も奏するので、より好ましい。また、道路データを記憶し、現在位置が道路データによる所定の道路上(例えば高速道路上)の位置に該当したら、近々電源供給が遮断される状況ではないと判定する。これは、所定の道路上でエンジンを切ることは少ないであろうという経験則に基づくものである。そして、高速道路など所定の道路を走行中は、急にエンジンが切られ電源供給が遮断される可能性は低いので、係る道路を走行していることを検知したことを契機として、SDメモリカード15への書き込みを開始するようにしても良い。また、逆に高速道路のサービスエリアやパーキングエリアなどの位置情報を記憶させておくことで、現在位置が係るサービスエリア等の停車する可能性の高い領域に進入,或いは接近した場合には近々電源供給が遮断される状況であると判定することができる。
【0049】
また、SDメモリカード15が取り外される状況であるか否かの判定は、たとえば、SDスロット14のイジェクトボタン(SDメモリカード15を取り出すための操作ボタン)を設けた場合には、そのイジェクトボタンの移動ストロークを大きくとり、取り出される前の推し込み操作を検出したり、イジェクトボタンを設けることなくSDメモリカード15が押し込まれることで、SDスロット14内部に設けた排出機構が稼働しSDメモリカード15が大きく押し戻されるように動作するものの場合には、そのSDメモリカード15の押し込みを検出することで、SDメモリカード15が取り外される状況にあると判断することができる。また、このように機械的な判定ではなく、たとえば、静電容量センサその他の近接センサを実装し、そのセンサ出力に基づいてSDメモリカード15が取り外される状況であるか否かの判定を行なうこともできる。すなわち、この種の車載用電子機器1は、ダッシュボード上やサンバイザーなどに取付支持され、通常の使用状態では、人の手などが車載用電子機器1の付近に位置することが少ない。そして、人の手が車載用電子機器1の付近に移動してきたときは、そのまま、車載用電子機器1のスイッチ部を操作したり、SDメモリカード15の着脱を行なったりする可能性が高い。そこで、内蔵する静電容量センサ等の人(身体の一部)の接近を検出するセンサが、係る人の接近を検出した場合には、SDメモリカード15が取り外される状況にあると判断することができる。
【0050】
制御部18は、SDメモリカード15内の記録済み容量を取得し、それを表示パネル3に表示する機能を備える。これらの表示は、メモリ量の表示でもよいし割合(例えばパーセント)表示でもよい。また残り容量を表示するようにしてもよい。これにより、新たなSDメモリカードを装着する必要の有無が、車載用電子機器の表示パネル(表示画面)を見るだけでわかる。また、係る出力は、表示パネルを利用するのではなく、LED等で形成するインジケータを設け、それを利用することもできる。
【0051】
また、図3に示すように、車両の速度を検出する車速検出手段25を設け、制御部18におけるSDメモリカード15への書き込み処理は、車速検出手段25によって検出した車速に基づいて制御(書き込みの下記の決定)を行なうようにすると良い。車速検出手段25は、たとえば、GPS受信機12の出力から得られる移動距離と移動時間に基づき、車速を算出するようにしても良いし、別途車速センサを設けてもよい。さらには、車速が速くなるほど相対的に車両の振動も大きくなることから、振動センサのように車速に応じて検出対象の物量が変化するものの出力に基づき間接的・簡易に車速を検出するようなものでもよい。つまり、本発明において車速を検出するとは、絶対値としての速度を求めるものに限られない。
【0052】
制御部18のSDメモリカード15へ書き込む機能は、車速検出手段25で検出される車速(車速に対応する物理量)が開始基準車速を上回った場合に、書き込みを開始したり、車速検出手段25によって検出された車速が所定の書き込み禁止基準車速を下回った場合には書き込みを開始しないように動作する。更に、係る書き込む機能は、車速検出手段25によって検出された車速が所定の書き込み開始基準車速を上回った場合に書き込みを開始した後、車速が所定の書き込み中止基準車速を下回った場合に書き込みを中止するように動作させてもよい。中止の場合には、例えばその時点までの書き込みでファイルをクローズする処理を行なうとよい。
【0053】
そして、これらの基準速度は、車両が停車される可能性に基づいて決定するとよい。例えば書き込み開始基準速度は時速30kmとするとよい。また書き込み開始基準速度と書き込み中止基準速度と書き込み禁止基準速度とを設ける場合には、書き込み開始基準速度を書き込み中止基準速度及び書き込み禁止基準速度よりも大きい速度とするとよい。この場合、書き込み中止基準速度と書き込み禁止基準速度とは同一の速度としてもよいが、書き込み中止基準速度を書き込み禁止基準速度よりも小さな速度とするとよい。このようにすれば、交通状況により一時的に車速が落ちた場合に書き込みが中止されてしまう事態を抑制できる。例えば書き込み禁止基準速度を時速20kmとし、書き込み中止基準速度を時速10kmとしてもよい。また車速検出手段25が検出する車速は検出時点の瞬間速度でもよいし、一定時間の平均速度でもよい。
【0054】
更に、制御部18は、車速検出手段25の出力に基づき、EEPROM17への書き込みの制御を行なうようにすると良い。例えば、車速検出手段25によって検出した車速が所定値以下の場合には、EEPROM17への位置情報の書き込みを行なわないようにする。このようにすることで、EEPROM17のデータの破壊を防止することができる。書き込みを行なわないようにする所定値以下の速度は、上記の書き込み中止基準速度(例えば、時速10km)と同じにしても良い。
【0055】
上述したように、車速検出手段25を設けた場合、制御部18は、位置情報の取得間隔(EEPROM17に位置情報を格納する間隔)を速度によって可変させるようにすることができる。すなわち、位置情報の検出は、上述したように定期的に発生するイベント(一定時間間隔,一定走行距離ごと等)に基づいて行なうようにしても良いが、“所定の時間間隔”を同一の基準時間ごとではなく、車速検出手段25によって検出された車速に基づいて制御、すなわち、例えば、車速が速くなるにつれてイベント発生の時間間隔を短くする。このようにすれば、車速が速くても、記録された位置が飛び飛びにならず(位置の履歴の密度が薄くなることがなく)、最終的に記憶した位置情報の履歴ログ・データに基づいてGoogle Earthなどで車両の軌跡等を表示させる際に正確に移動軌跡の再現が行なえる。
【0056】
また、外部記録媒体は、SDメモリカード15に限ることはなく、例えば、所定のブロック単位で、消去した後に書き込みを行なう媒体とするとよい。このような媒体としては、NAND型フラッシュメモリなどがある。このような媒体は、所定のブロック単位で消去する必要があり、書き込み中に電源が遮断されると、当該ブロックが消去された状態となってしまい、データが破壊されやすい。本願の構成によれば、SDメモリカード15内のデータが破損した場合であっても、EEPROM17に記憶されている情報を、再度外部記録媒体へ書き出すことが可能となる。
【0057】
また、外部記録媒体(SDメモリカード15)は、車載用電子機器以外の機器でも書き込み可能なファイルシステムを有するものとした。そして、そのファイルシステムに備えるファイル管理情報記憶領域には、ファイル名記憶領域を有する。また、制御部18が持つSDメモリカード15への書き込み機能は、SDメモリカード15に記憶されているファイルのファイル名をファイル管理情報記憶領域から読み出し、EEPROM17に記憶された位置情報の履歴データをSDメモリカード15へ書き込む際には、上記読み出したファイル名とは異なるファイル名で行なうようにした。これにより、ファイルの上書きが防止され、ファイル上書きをしないため、SDメモリカード15に記憶された情報を破損する可能性を小さくすることができる。
【0058】
図4は、本発明の移動軌跡表示システムの一実施形態を示している。同図に示すように、車載用電子機器1と、パソコン30とを備える。車載電子機器1に装着したSDメモリカード15に必要な位置情報の履歴データを書き込みを行なったならば、そのSDメモリカード15を取り外し、そのSDメモリカード15をパソコン等の設置場所に携帯し、パソコン30の接続された所定のカードリーダ30aに装着する。そして、ユーザは、パソコン30を操作し、SDメモリカード15に書き込まれた位置情報の履歴データをパソコン30内に転送するともに、所定のデータフォーマットに変換することで、Google EarthやGoogle Mapsに、自分の移動した軌跡を表示することができる。また位置情報に付加された無線受信を示す情報に基づいて、どの場所でどのような無線を受信したかも地図上に表示することができる。
【0059】
データフォーマットの変換は、係る変換サービスを行なっているWebサイトにアップロードして行なったり、変換を行なうアプリケーションソフトをパソコン30にインストールしている場合には、そのアプリケーションソフトを利用して行なったりすることができる。なお、パソコン30にとっては、SDメモリカード15も外部記録媒体の1つとなるので、上記のように必ずしも位置情報の履歴データをパソコン内の記憶手段に転送する必要はなく、SDメモリカード15にアクセスしつつ、データ変換を行なうようにしても良い。
【0060】
なお、本実施形態が適用される車載用電子機器は、上述した構成の各車載用電子機器に限ることはなく、たとえば、マイクロ波検出器(レーダー探知機),赤外線検出器,目標物検出装置,PND(ポータブルナビゲーションデバイス)等の各種のものに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る車載用電子機器の好適な一実施形態を示す外観図である。
【図2】本発明に係る車載用電子機器の好適な一実施形態を示す内部ブロック図である。
【図3】本発明に係る車載用電子機器の好適な別の実施形態を示す内部ブロック図である。
【図4】本発明に係る移動軌跡表示システムの好適な一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 車載用電子機器
2a 第1ケース本体
2b 第2ケース本体
3 表示パネル
4 挿入口
7 スイッチ部
10 マイクロ波受信機
11 無線受信機
12 GPS受信機
13 警報ランプ
14 SDスロット(接続手段)
15 SDメモリカード(外部記録媒体)
16 スピーカ
17 EEPROM(内部記憶手段)
18 制御部
19 データベース
20 リモコン受信機
21 リモコン
25 車速検出手段
30 パソコン(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側からの電源の供給により動作可能な車載用電子機器であって、
前記車両の位置を検出するための位置検出手段と、
持ち運び可能な外部記録媒体を接続するための接続手段と、
前記車載用電子機器の内部に設け、前記車両側からの電源の供給がない場合であっても記憶内容を保持可能な内部記憶手段と、
前記位置検出手段によって検出した位置に基づく位置情報の履歴を前記内部記憶手段に記憶する記憶制御手段と、
前記外部記録媒体が前記接続手段に接続されているときに、前記内部記憶手段に記憶されている前記位置情報の履歴に基づく情報を、前記接続手段を介して前記外部記録媒体へ書き込む書込制御手段と
を備えることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
ユーザからの指示を入力する指示入力手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記内部記憶手段に記憶した位置情報の履歴を削除する機能を有し、前記指示入力手段によって前記内部記憶手段に記憶された位置情報の履歴の削除指示が入力されるまでは、前記書込制御手段によって前記位置情報の履歴に基づく情報が前記外部記録媒体に書き込まれた場合であっても、前記内部記憶手段に記憶した前記位置情報の履歴の削除を行なわないこと
を特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記外部記録媒体は、ファイル管理情報記録領域と、ファイル管理情報記録領域によって管理される実データ記憶領域とを備えてファイルを単位としてデータを保持するファイルシステムを有し、
前記記憶制御手段は、前記内部記憶手段に前記位置情報の履歴を連続的に記憶していき、
前記書込制御手段は、前記内部記憶手段に連続的に記憶された位置情報の履歴を、前記外部記録媒体の有するファイルシステムに適合する前記ファイルに変換して書き込むこと
を特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記外部記録媒体は、当該車載用電子機器以外の機器でも書き込み可能なファイルシステムを有するとともに、前記ファイルシステムに備えるファイル管理情報記憶領域には、ファイル名記憶領域を有し、
前記書込制御手段は、前記接続手段への前記外部記録媒体の接続が検知された場合に、前記外部記録媒体に記憶されているファイルのファイル名を前記ファイル管理情報記憶領域から読み出し、読み出したファイル名とは異なるファイル名で、前記位置情報の書き込みを行なうものとしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記外部記録媒体への書き込み中に前記外部記録媒体が前記接続手段から取り外される状況であるかまたは前記車両側からの電源の供給が遮断される状況であるかの少なくともいずれか一方を判定する状況判定手段を備え、
前記書込制御手段は、前記状況判定手段の判定結果に基づき前記書き込みを制御すること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項6】
車両の速度を検出する車速検出手段を備え、
前記書込制御手段は、前記車速検出手段によって検出した車速に基づいて前記書き込みを行なうか否かを判定すること
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項7】
車両の速度を検出する車速検出手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記車速検出手段によって検出した車速が所定値以下の場合には前記内部記憶手段への記憶を行わないこと
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項8】
車両の速度を検出する車速検出手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記位置情報の履歴を、所定の時間間隔で前記位置検出手段から取得して生成するものであり、当該所定の時間間隔は、前記車速検出手段によって検出された車速に基づいて制御すること
を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項9】
無線受信手段を備え、
前記無線受信手段によって無線が受信された場合に、前記位置情報に関連付けて当該無線受信を示す情報を記憶すること
を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の車載用電子機器と、
前記外部記録媒体に記録された前記位置情報の履歴に基づく情報を読み出し、当該情報に基づいて前記車両の移動軌跡を地図上に表示する表示装置と
を備えた移動軌跡表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−186267(P2009−186267A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25171(P2008−25171)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】