説明

車載画像記録装置

【課題】
国民のプライバシーを保護しつつ、犯罪やテロといった事件の捜査に活用できる画像を撮影、記録する方法や装置が求められていた。
【解決手段】
主に車内に取り付けられる画像記録装置であって、前記画像記録装置は、画像を取得する画像取得手段と、取得した画像を符号化する画像符号化手段と、画像取得時の位置及び時刻を算出して位置情報及び時刻情報を生成する生成手段と、符号化された画像を位置情報及び前記時刻情報と関連付けて記録する記録手段と、位置及び時間に関する情報を含む信号を受信する受信手段と、記録手段で記録した画像の中から、受信手段で受信した位置及び時間に関する情報に基づいて特定される範囲内で取得した画像を抽出する抽出手段と、抽出手段で抽出した画像を外部へ出力する出力手段と、を具備する。出力手段から警察等へ提出された画像は犯罪捜査や情報収集等に活用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラで撮影された動画像や静止画像を記録する画像記憶装置、画像記録方法、および画像記憶装置に記録された画像を用いた犯罪捜査補助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、警察における検挙率の低さが問題となっている。近年の日本における刑法犯認知件数は約200万件を超えており、検挙率は30%付近に留まっている。10年前の検挙率は40%を超えており、これと比較すると長期的な傾向として検挙率は低下傾向にある。殺人等の重犯罪でありながら犯人検挙に至らず、野放しになっている事件も多い。
【0003】
このような検挙率低下の大きな要因として、近年、事件に関する情報収集が困難になってきていることが挙げられる。一昔前では、近所付合いのような形で地域住民同士の交流が活発に行われており、事件が起こった場合は、地域の安全を確保するために、被害者の人物像や交友関係や犯人らしき人物の目撃情報などが地域住民から積極的に寄せられていた。しかしながら近年の傾向としては、地域住民同士の交流や関心が希薄化しており、隣に住む住人がどのような人物かさえも知らないといった状況も珍しいものではなくなってきている。
【0004】
このような他人への関心が薄れつつある近年の現状においては、例え自分の住む地区内で起きた事件であっても自分には関係がない事として捉えられがちであり、犯罪発生後に行われる地域住民からの情報収集が機能しなくなってきている。すなわち、情報提供者側の立場からすれば、情報提供時や、その後の複数回に渡る詳しい情報提供の要請による警察からの長い時間の拘束、情報を提供したことによる犯人からの万が一の報復の可能性等を負担に感じ、積極的な情報提供を控える傾向が出てきている。また、記憶の曖昧さや、不確かな情報提供を避ける心理から情報提供が控えられることもある。
【0005】
上記のような理由に起因する情報収集効率の低下を補う方法として、街中に監視カメラを設置する方法がある。特許文献1に記載された発明によれば、映像符号化において動き補償に用いるフレーム間の動きベクトルの平均値の変化量から異常があるかないかを判断し、効率よく記録することで長時間にわたって監視することが可能となる技術が公開されている。
【0006】
また、近年、自動車事故における事故原因の分析のために車載カメラで記録された画像を用いる技術も開発されている。特許文献2には、加速度等に異常が検出された場合にその前後数十秒から数時間程度の画像を撮影し、GPS(Global Positioning System)を用いて求められる位置情報と時間情報と共に画像を記録する技術が公開されている。
【特許文献1】特開2001−309354号公報
【特許文献2】特開2001−304876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されているような監視カメラを情報収集のために街中に設置するためにはインフラストラクチャーを整えるための工事やその後の監視カメラの維持・補修に莫大な資金が必要となる。また、国家が設置した監視カメラによって国民の行動が絶えず国に監視される状況におかれることになるが、このような国家によって一元的に監視される環境をプライバシー等の観点から受け入れられない人も多い。
【0008】
また、特許文献2に記載されている車載カメラは自車両の事故や故障の原因分析を目的としているため、自車両に異常がない場合に記録された映像は準じ消去される構成となっており、取得した映像を自車両の事故や故障の原因分析以外の分野に有効に活用することができないという課題を有していた。
【0009】
本願発明は上記従来の課題を鑑み、現実的な予算で構築できる犯罪検挙率向上のためのシステム及びシステム構築に必要となる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の画像記録装置は、画像を取得する画像取得手段と、取得した画像を符号化する画像符号化手段と、画像取得時の位置及び時刻を算出して位置情報及び時刻情報を生成する生成手段と、符号化された画像を前記位置情報及び前記時刻情報と関連付けて記録する記録手段と、位置及び時刻に関する情報を含む信号を受信する受信手段と、前記記録手段で記録した画像の中から、前記受信手段で受信した位置及び時刻に関する情報に基づいて特定される範囲内で取得した画像を抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出された画像を外部へ出力する出力手段と、を具備する。
【0011】
また、本願発明の画像記録方法は、画像を取得する画像取得ステップと、取得した画像を符号化する画像符号化ステップと、画像取得時の位置及び時刻を算出して位置情報及び時刻情報を生成する生成ステップと、符号化された画像を前記位置情報及び前記時刻情報と関連付けて記録する記録ステップと、位置及び時刻に関する情報を含む信号を受信する受信ステップと、前記記録手段で記録した画像の中から、前記受信手段で受信した位置及び時刻に関する情報に基づいて特定される範囲内で取得した画像を抽出する抽出ステップと、前記抽出手段で抽出された画像を外部へ出力する出力ステップと、を具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、警察は一般の車に搭載された画像記録装置で偶然記録された情報を効率よく収集して犯罪捜査を行うことができるため、情報提供者に過度の負担をかけることなく、犯罪検挙率の向上及び犯罪防止を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像記録装置のブロック図である。画像記録装置1000は、主に、カメラ部110、画像符号化部120、データバッファ部130、位置検出部140、記録部150、システムコントローラ160、無線受信部170、検索処理部180、外部出力インターフェース190、画像表示部200、入力部210で構成され、一部のブロックがシステムバス100を介してお互い接続されている。
【0015】
カメラ部110は、主に光学ブロック111、カメラ制御部112、画像処理部113で構成される。光学ブロック111では、レンズによって結像された被写体像がCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサで代表される撮影素子で光電変換されて画像処理部113に出力される。光学ブロック111は、シャッター機構、振動補正機構、絞り調整機構等も備えており、カメラ制御部112からのシャッター制御信号に基づいてシャッターが切られ、シャッターのタイミング毎に画像が取得される。画像処理部113は、光電変換された画像信号に対して増幅処理、A/D変換処理、及び振動補正処理等を行ってデジタル画像データを取得し、画像符号化部120に出力する。
【0016】
画像符号化部120は、カメラ部110で取得されたデジタル画像データにエンコード処理を行う。取得されたデジタル画像データが静止画像の場合はJPEGやTIFF、動画像の場合はMPEG2やH.264/AVCといった所定のCodecに従って符号化を行い、符合化後の画像データをデータバッファ部130へ出力する。
【0017】
データバッファ部130は、符号化後の画像データを一時保管し、システムコントローラ160からの制御に基づいて画像データをシステムコントローラ160に出力する。また、データバッファ部130は、画像符号化処理で必要となるバッファとしても機能する。
【0018】
位置検出部140は、主にGPSアンテナ141、GPSユニット142、位置情報・時刻情報生成部143、データバッファ部144などで構成される。GPSユニット142は、複数の衛星から送信された衛星固有のC/Aコード信号をGPSアンテナ141を介して受信し、各衛星から受信した信号のタイミングを基に各衛星までの擬似距離を算出して現在の位置および時刻を求める。位置情報・時刻情報生成部143は、GPSユニット142から出力された情報を必要に応じて車速度を検出する車速センサ145や車体の方向を検出する方位センサ146からの情報と組み合わせ、現在の位置を表す位置情報及び現在の時刻を表す時刻情報を生成してデータバッファ部144に格納する。データバッファ部144は、システムコントローラ160からの制御に基づいて位置情報と時刻情報をシステムコントローラ160に出力する。
【0019】
システムコントローラ160は、各演算を行うCPU、プログラムを格納するROM、作業領域として設けられたRAMやクロック生成回路などで構成されており、画像記録装置1000全体の管理及び制御を行う。
【0020】
また、システムコントローラ160では、データバッファ部144から入力した位置情報及び時刻情報に基づいて、カメラ部110で画像データが取得された位置及び時刻を求め、求めた位置及び時刻と画像データを関連付ける処理を行う。この関連付けは、画像データと画像取得位置及び時刻とを纏めた管理ファイルを生成することで関連付けても良いし、画像データのファイル名に直接画像取得位置及び時刻を関連付けても良いし、画像データ内に画像取得位置及び時刻を埋め込んで関連付けても良い。位置及び時刻と関連付けられた画像データは、記録部150に出力されて一定期間記録される。また、後述する無線受信部170で受信される事件情報を検索処理部180に出力する。
【0021】
記録部150は、主にメモリーコントローラ151と情報記録媒体152で構成される。メモリーコントローラ151は、情報記録媒体152へのデータの書き込みと読み込みを制御する。システムコントローラ160から出力された画像データは、メモリーコントローラ151の制御にしたがって、HDD(Hard Disk Drive)などのストレージである情報記録媒体152に位置及び時刻と関連付けられた状態で記録される。また、メモリーコントローラ151は、情報記録媒体152に記録された画像データと画像データが取得された位置及び時刻との対応関係を纏めた管理ファイルを検索処理部180に出力する。また、情報記録媒体152は、音楽ファイルや図示せぬカーナビゲーションシステムで用いられる地図データ、その他図示せぬデジタルTV放送受信部で受信したコンテンツ等も合わせて保管される構成であることも可能である。
【0022】
及び時刻との対応付けが記録された管理ファイルも合わせて出力され図2は、上記管理ファイルの一例を示している。管理ファイルには画像を特定するファイル名、その画像が撮影された位置及び時間が対応付けられた状態で記録されている。また、管理ファイルには、画像データの作成日、更新日、画像データの開始アドレス等も合わせて記録され、新たに撮影される画像や一定期間経過して消去される画像に伴って、管理ファイルも逐次作成・更新される。この管理ファイルは情報記録媒体内の管理ファイル用の専用記録領域に記録されても良いし、画像データと同様通常の記録領域に記録されても良い。また、画像データを後述する外部出力インターフェースを介して外部へ出力される場合は、画像データと当該画像データの取得位置及び時刻との対応付けが記録された管理ファイルも合わせて出力される構成でもよい。
【0023】
無線受信部170は、主にアンテナ171、チューナー部172、分離抽出部173、復調部174、復号部175で構成され、外部の無線通信基地局から送信された信号を受信する。ここで、無線通信(無線放送)方式としては、FM放送、ビーコン、携帯電話無線通信、デジタルテTV等が考えられるが、以下の説明では、無線通信方式をFM放送として説明する。但し、FM放送に限るものではなく、無線受信できる方式であればどのような方式であってもよい。
【0024】
外部に設置されているFM送信局は、音楽等のコンテンツに加えて渋滞情報、DGPS補正データ、及び後述する事件情報等を周波数多重して送信する。
【0025】
FM放送局から送信された信号は、アンテナ171を介してチューナー部172に出力される。チューナー部172は、増幅処理、IF周波数へのダウンコンバート、FM検波処理等を行い、FM検波後の信号を分離抽出部173に出力する。
【0026】
分離抽出部173は、チューナー部172から出力された信号に対してバンドパスフィルタを用いてステレオ信号と多重信号とに分離し、多重信号を抽出して復調部174に出力する。復調部174では、抽出された多重信号に対してLSMK復調処理を行い、復号部175に出力する。
【0027】
復号部175は、復調部174から出力された信号に対して復号処理を行う。ここで復号されるデータにはDGPS補正データ、VICSデータ(VICSは登録商標。以下省略。)などが含まれ、VICSデータには事故情報、渋滞情報、駐車場空き状況などに関するサービス情報、広告などの商業情報、などの既存の情報に加えて後述する警察から要請された情報提供のための事件情報が含まれる。事件情報には、検索処理部180で検索を行う範囲を指定する位置や時間に関する情報等が含まれている。復号されたデータはシステムコントローラ160によって選択・破棄された後、適宜各部に出力される。
【0028】
検索処理部180は、システムコントローラ160から出力された事件情報及びメモリーコントローラ151から出力された管理ファイルを用いて、情報記録媒体152に記録されている画像の中に、事件情報で特定される範囲内で撮影された画像があるかどうかの検索処理を行い、検索結果をシステムコントローラ160へ出力する。
【0029】
システムコントローラ160は、検索処理部180から出力された検索結果に基づいて、情報記録情報媒体152に記録されている画像の中から、事件情報で特定される範囲内で撮影された画像を抽出し、外部出力インターフェース190へ出力させる指示をメモリーコントローラ151に行う。また、必要に応じて、検索処理部180で抽出された画像と位置情報及び時刻情報との対応付けが記録されている管理ファイルも合わせて外部出力インターフェース190へ出力させる制御を行っても良い。また、必要に応じて検索処理部180で抽出されて外部に出力される画像とその画像の取得位置及び時刻を表す位置情報及び時刻情報との対応関係が記録された管理ファイルを新たに作成し、画像と合わせて外部出力インターフェース190へ出力させる制御を行っても良い。また、管理ファイルに記録されている画像と位置情報及び時刻情報との対応関係を、画像データに組み込む変換処理を行っても良い。例えば画像のファイル名を位置情報及び時刻情報と関連付けた名前に変換する変換処理であっても良いし、画像データの中に位置情報及び時刻情報を埋め込む変換処理を行ってもよい。このように、画像データ自体にその画像データが取得された位置及び時刻を表す位置情報及び時刻情報が関連付けられて出力されることにより、口述する捜査の段階でのデータ管理が容易になる。
【0030】
外部出力インターフェース190は、記録部150から出力された画像を外部へ出力するためのインターフェースである。外部出力インターフェース190としては、メモリーカードへ出力するための専用スロットや、無線送信で出力するための無線通信インターフェース等を用いることができる。無線送信インターフェースは、例えば、画像データにターボ符号化やLDPC符号化等の誤り訂正符号化処理を行う符号化部、QPSKや16QAM等の変調処理を行う変調部、増幅処理及びアップコンバート処理等を行う送信部、及びアンテナ等で構成される。また、デジタル変調方式としてはTDMA、OFDM、CDMA、SC−FDMA等どのような方式でもよい。また、DSRC(Dedicated Short Range Communication)を用いた通信方式で路側機に画像データを出力する構成であってもよい。その他、外部出力インターフェース190は、USBコントローラ(USBは登録商標。以下省略。)及びUSB端子などで構成されていても良く、USBメモリーやUSB接続HDDなどの着脱可能な記録媒体へ画像データを移動させることができる構成であってもよい。
【0031】
画像表示部200は、無線受信部170で受信されたVICS情報の描画や、記録部150に記録された画像の表示等を必要に応じて行う。
【0032】
入力部210は、使用者が入力を行うための入力手段であり、設置された入力キーやタッチパネル等で構成される。
【0033】
次に上記画像記録装置を用いた犯罪捜査方法について説明する。図3は、本実施の形態に係わる犯罪捜査のための情報収集システムを表す概念図である。各都道府県警察は、管轄区域内の警察署や交番から寄せられた事件ファイルを基に情報提供の協力要請に必要な情報(以下、事件関連情報と略す)を作成する。作成された事件関連情報は、その他事故に関する情報や渋滞に関する情報と共に図示せぬ日本道路交通情報センターで所定のフォーマットに纏められて事件情報という形でFM放送局から送信される。ここで事件情報には、少なくとも、位置に関する情報及び時間に関する情報が含まれる。
【0034】
図4は、FM放送局から送信される事件情報のデータフォーマットの一例を示している。先頭の番組ヘッダは番組の対象を特定する情報であり、渋滞情報、事故情報、商業情報、ニュース、天気予報及び事件情報などの情報種別を特定するためのサービス識別コードが含まれる。また、番組ヘッダには、同一サービス内での何番目の番組かを示す番組番号や当該番組の頁数を表す総頁数情報が含まれる。
【0035】
番組ヘッダに続く各頁にはそれぞれ1つの事件に関する情報が記されている。各頁は頁ヘッダと頁データとから構成される。頁ヘッダには、頁番号の他、画像提出を求める範囲を特定するための位置情報及び時間情報などが記されている。これらの情報は、画像記録装置内の検索処理部において行われる記録部で記録している画像データの中に指定された位置及び時間の範囲で撮影された画像データが存在するかどうかの検索に用いられる。
【0036】
位置情報及び時間情報にそれぞれ含まれる位置指定種別及び時間指定種別は、それぞれ画像提出を求める範囲を指定する指定方法を示している。図5に位置指定種別と位置指定方法の対応関係を示す。
【0037】
位置指定種別は3ビットで表され、ビットが000の場合は、図5に示すように2つの緯度情報と2つの経度情報を用いた指定方法であることを示している。この場合、画像提出を求める領域は、これらの4本の線で囲まれる範囲内で記録された画像となる。ビットが001の場合は、2つの座標情報を用いた指定方法であることを示しており、2つの座標を対角線上の頂点とする正方形で囲まれる領域が画像提出を求める領域となる。ビット010の場合は、1つの座標と、その座標を中心とする円の半径を用いた指定方法であり、この円領域内で記録された画像データが画像提出の対象となる。ビット011は、1つの座標と、この座標を中心とする正方形の一辺の距離を用いた指定方法である。ビット100は、VICSリンク番号を用いた指定方法であり、位置情報として記された単数又は複数のVICSリンク番号で表される道路上で撮影された画像データが画像提出の対象となる。ビット101は、VICSノード番号及びホップ数を用いた特定方法であり、1つのノード番号と、そのノードからホップ数に記された数だけ離れたノードまでを結ぶすべてのリンク上で撮影された画像データが画像提出の対象となる。ビット100とビット101の指定方法では、例えばナビ研S規格準拠の地図データが装置内の情報記録媒体に記録されており、撮影される画像データはVICSリンク番号を位置情報として対応付けされておくことが望ましい。装置内の検索手段では、画像データに対応付けされたリンク番号の中に、事件情報の位置情報として通知されるリンク番号又はノード番号とホップ数から求められる複数のリンク番号と等しいものがあるかどうかの検索が行われる。ビット110は、1つの座標と、予めデフォルトで設定されている距離に基づいて領域を特定する方法である。例えばデフォルトの距離として2kmが設定されている場合、指定された座標を中心として東西南北に2kmの範囲内で撮影された画像データが画像提出の対象であることを示している。また111は、今後の指定方法として予約されている。その他、図葉番号を位置情報として送信し、装置内の検索手段は、装置内の情報記録媒体に記録した地図データの中から受信した図葉番号に対応する図葉を読み出し、この図葉で特定される範囲内で撮影された画像があるかどうかの検索を行っても良い。
【0038】
時間指定種別は2ビットで表され、ビット00は、時間帯を指定するための2つの時刻情報が、ビット01は1つの時刻情報と時間間隔情報が記されている。ここで時刻情報は年月日まで含んだ時刻であり時間間隔情報は例えば2時間といったような値である。ビット10と11は、今後の指定方法として予約されている。なお、位置情報及び時間情報に基づいて検索範囲をどのように特定するかをプロトコルとして送信側と受信側で予め定められている場合は、位置指定種別と時間指定種別は送信しない構成であってもよい。
【0039】
頁データには、各事件の発生時刻、発生場所、事件内容といった事件に関する情報の他、警察によって設定された情報提供謝礼金などに関する情報などが記されている。頁データに記された情報は、受信処理装置で必要に応じて画像又は音声という形態で使用者に通知される。
【0040】
以上のように、本願第1の実施の形態における画像記録装置では、カメラ部のように画像を取得する取得手段と、取得した画像を符号化する符号化手段と、画像取得時の位置及び時刻を求める算出手段と、前記符号化された画像と前記求められた位置及び時刻とを関連付けて記録する記録手段と、画像提供が求められている位置範囲及び時間範囲を表す情報を含んだ事件情報を受信する受信手段と、画像取得位置及び画像取得時刻と関連付けされた状態で記録されている画像の中から受信した事件情報によって特定される範囲内で取得された画像が記録されていないかどうかの検索を行う検索手段と、検索結果に基づいて画像を位置及び時刻と関連付けた状態で出力する出力手段とを有する構成となっている。この構成により、撮影された画像は位置と時間に対応付けられた状態で一旦装置内の情報記録媒体に保存され、必要に応じて対応関係が保たれたまま外部へ出力できるため、警察等の調査組織は複数の使用者から送られた画像を統合して犯罪捜査に活用できる。
【0041】
なお、上記説明では、検索手段として新たに検索回路で構成される検索処理部を別途設ける場合を説明したが、これに限定されるものではなく、検索プログラムを用いてシステムコントローラ内のCPUが検索処理を行うように構成されていてもよい。
【0042】
また、上記説明では、画像管理ファイルを参照して事件情報に記された位置と時刻の条件を満たす画像があるかどうかの検索を行う構成を示したが、これに限定するものではない。位置情報及び時刻情報と対応付けされた画像データを直接読み込んで、又は、位置情報及び時刻情報と対応付けられたファイル名やヘッダ情報などを参照して該当画像データがあるかどうかの検索を行ってもよい。
【0043】
また、上記説明では事件情報がFM多重放送で送信される場合を説明したが、これに限定するものではなく、光ビーコン、電波ビーコン、デジタル放送、携帯電話網を用いたMBMSなどで送信される構成であってもよい。この場合、図1の無線受信部は、それぞれ光ビーコンの受信・復号処理を行う光ビーコン受信処理部、電波ビーコンの受信・復号処理を行う電波ビーコン受信処理部、デジタル放送の受信・復号処理を行うデジタル放送受信処理部、携帯電話と接続する接続コネクタ等で構成されるインターフェースなどにそれぞれ置き換えられる。さまざまな情報伝達媒体を用いて事件情報が送信されることで、事件情報がより確実に画像記録装置に通知されるため、情報収集効率を向上させることができる。
【0044】
また、上記説明では、事件情報はVICSデータの1つとして説明したが、これに限定するものではなく、情報収集のための新たな専用情報としてプロトコルを定め、事件情報がFM電波やビーコン等を用いて送信される構成であってもよい。既に確立されたVICS技術を用いることで速やかに本情報収集システムを導入することができるが、新たな専用技術を開発することで、より情報収集に適したシステムとすることが可能である。
【0045】
また、事件情報の送信フォーマットは上記説明のフォーマットに限るものではなく、既存のフォーマットを利用してもよいし、図6のように新たなフォーマットで送信されていてもよい。図6のフォーマットでは、先頭に同期用のプリアンブルビットが配置され、ヘッダ部、データ部に続いて後端に誤り検出用のCRCビットが配置されている。ヘッダ部には、事件情報であることを識別するための情報種別、本データが提供された時刻を表す提供時刻、フレーム分割の有無と各フレームを識別するためのフレームID、データ部に記録されている有効データ長などが含まれる。データ部には、各事件に対する位置情報及び時間情報が配置され、装置内の検索処理部では、このデータ部に記述された位置情報及び時間情報に基づいて、これらの情報から特定される位置範囲内及び時間範囲内で取得された画像データがあるかどうかの検索処理が行われることになる。
【0046】
一般に監視カメラを設置する場合はプライバシーに関する問題が必ず浮上する。特に監視カメラで取得された画像が国家によって一元的に管理されることは、たとえ罪を犯していなくても、常に自分の行動がモニタで誰かに監視されている可能性があるということが大きなストレスとなりうる。
【0047】
しかしながら、本発明の画像記録装置を用いて監視する場合、画像データは各画像記録装置の所有者に分散して記録・管理され、必要に応じた時と場所に関する画像データのみ、本装置の所有者の善意に基づいて国家に提供されることになる。つまり、日常生活の中で各国民の姿が高い頻度で画像データとして記録されるが、自分の近くを通り過ぎた複数の車に搭載された画像記録装置にそれぞれ数秒程度の時間ずつ分散して記録されることになる。従って、特定の人物が自分の行動を監視し続けるといった状況にはならない。そして、各画像記録装置で記録される画像は、画像記録装置の所有者であるドライバーが運転中に目に飛び込んでくる風景とほぼ同一のものであるのだから、その風景をドライバーが画像データとして記録してもプライバシー侵害には繋がらない。従って、本発明の画像記録装置を用いた犯罪捜査協力の方法は、警察等の国家組織が犯罪捜査のために街中に監視カメラを取り付ける方法と比べて、プライバシー保護の観点からも大きなメリットがある。
【0048】
また、本発明の画像記録装置は、一般的なカメラやビデオカメラなどを用いて撮影された画像を犯罪捜査に用いる場合に比べても次の点で大きなメリットがある。一般的なカメラやビデオカメラは、撮影者が被写体を選定して撮影する。従って、撮影者が撮りたい画像を撮影できるものの、逆に、撮影者が盗撮などの悪意を持って特定の人物を撮影する可能性がある。このように、撮影する被写体に対して撮影者の意図が反映されることは、場合によっては被写体のプライバシーの侵害に繋がるという可能性を否定することはできない。通常、逃走中の犯人を偶然見かけたとしても、その時点ではその人物が犯人であると識別できず、後で事件が起きたことを知って、ようやく偶然見かけた人物が犯人の可能性があったと言うことができる。換言すれば、撮影時に犯人に関する情報がないということは意図を持って犯人を撮影することができないのだから、撮影者の意図を働かせて撮影できるビデオカメラ等は、逆にプライバシーの侵害の可能性を高めることになる。しかし、本発明の画像記録装置は、車内のダッシュボードの上やバックミラーなどに固定して設置されるため、特定の人物を撮影するためには、車体ごとその人物の方向に向けなければならず、現実的には盗撮などのプライバシー問題には繋がらない。このように、本発明の画像記録装置は、事件前や事件後の犯人のように、そもそも撮影者の意図を働かせて撮影することができない被写体を偶然撮影することに適している。
【0049】
このように、本発明の画像記録装置を用いれば、人物の姿が撮影者の意図を介さず偶然撮影される状態で複数の装置に分散して記録されるため、一定のプライバシーが確保できる。また、画像記録装置は、使用者が購入して設置するため、新たな大掛かりなインフラの整備や補修等が必要ないため、迅速な導入が可能である。また、使用者にとっても画像記録装置を車内に設置することで、長期的な観点から治安が回復できると共に、通常のドライブレコーダやカーナビゲーションの補助として撮影した画像を活用できるため購入に大きなメリットがある。また、必要に応じて警察から支払われる謝礼金によって画像記録装置購入費用以上の金額を回収できる可能性があるため、購入するメリットも大きい。また、謝礼金として払われる金額は、犯人が負担するように法律で設定すれば、国家予算を圧迫することなく謝礼金を大きく設定できることで、画像収集率を向上させる相乗効果も期待できる。
【0050】
なお、無線受信部170で受信した事件情報を管理する事件情報管理ファイルを作成して記録部150で記録する構成も有効である。一般的に本画像記録装置がONになっていない時は事件情報を受信できないため、同一の事件情報は日時を変えて数回送られることになるが、その度に検索処理部180が同一の検索を行うのは消費電力の観点からみて望ましくない。図7は事件情報管理ファイルの一例であり、受信した事件情報を表す事件情報Noと受信日時、事件情報を格納した場所を示す開始アドレス等が記録される。ここで同一の事件情報には同一の事件情報Noが割り当てられている。無線受信部170で新たに事件情報が受信されるとシステムコントローラ160は記録部150に記録された事件情報管理ファイルを読み込み、受信した事件情報に含まれる事件情報Noを読み込んで、同一の事件情報が過去に受信済みかどうかを判断する。事件情報管理ファイルに同一の事件情報が既に記録されている場合は、既にこの事件情報に関して画像検索済みと判断し処理を終了する。事件情報管理ファイルに受信した事件情報と同一の事件情報Noが記されていない場合は、今回が初めて受信した事件情報と判断し、事件情報管理ファイルにこの事件情報に関する情報を記録更新すると共に、受信した事件情報を検索処理部180に出力し、検索処理部180で事件情報に記された位置及び時刻範囲に基づいて画像検索が行われる。このように構成することで無駄な画像検索を何度も行わなくても良くなるため、消費電力の観点で優れた構成とすることが可能である。
【0051】
また、動画像データと動画像データの撮影位置及び撮影時刻とを関連付ける場合は、例えば動画像データを構成する各ピクチャ又は代表するピクチャが取得された位置と時刻とを記載した管理ファイルを生成することで関連付けしてもよいし、動画像データのファイル名に、動画像データを代表する単数又は複数の位置及び時刻に関する情報を関連付けしてもよいし、動画像データ内に動画が撮影された位置及び時刻に関する情報を埋め込んでもよい。図8は、動画像データと動画像データが取得された位置及び時刻との対応関係を記録した管理ファイルの一例である。このように、カメラ部で撮影される動画像は、所定の時間毎に区切られ、異なる動画像データとして記録部に記録される。この場合では、1分毎に動画を区切って記録していく構成となっている。また動画像の撮影位置及び時刻に関する位置情報として、各秒毎にその撮影位置と撮影時刻が管理ファイルに記録される。このように動画像とその取得位置及び時刻との対応関係を記録した管理ファイルを作成し、検索処理部はこの管理ファイルに記録された位置及び時刻が、事件情報で特定される範囲内かどうかを検索し、画像データを抽出する構成となる。
【0052】
また、上記説明では画像データと画像取得位置及び時刻と関連付けて記録したが、更に方位センサー146や位置検出部140において算出した2つの時刻における位置の差分から画像撮影方位を求め、求めた撮影方位と画像データを関連付ける構成でもよい。この構成により、集められた画像をより有効的に犯罪捜査に利用できる。
【0053】
(実施の形態2)
本実施の形態2に関わる画像記録装置は、実施の形態1に関わる車載画像記録装置に新たに無線通信部2220を追加したものである。
【0054】
図9に本実施の形態2における画像記録装置2000を示す。なお、図1の画像記録装置1000と同一のブロックについては一部説明を省略する。
【0055】
無線通信部2220は、路側通信機や無線基地局といった外部通信装置と通信を行う。外部通信装置から送信された事件情報は、アンテナ2221で受信された後、受信部2222に入力される。受信部2222は、ダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行い処理後の信号を復調部2223に出力する。復調部2223は、QPSK等の復調処理を行い、処理後の信号を復号化部2224に出力する。復号化部2224は、入力した信号にターボ復号等の復号処理を行い復号後の信号をバッファ部2228に出力する。バッファ部2228に一時保管された事件情報はシステムコントローラ2160の制御に基づいて検索処理部180へ出力される。また、無線通信部2220は、事件情報以外にも、NACK、ACK信号や、MCSその他通信確立に必要な情報や信号を適宜受信する。
【0056】
図10は、本実施の形態における事件情報の一例である。本事件情報では、画像検索範囲を特定するための位置情報及び事件情報に加えて、新たに提出期限情報、重要度レベル情報、IPアドレス情報が追加されている。提出期限情報は、この事件番号の事件に関する画像データの提出期限を表す情報である。例えば、小さな事件などに関して事件情報が警察から発信されてから1年以上経って画像データが警察に送られては逆に混乱するため、この事件番号に関する画像の提出を求める期間を定める情報として提出期限情報が送信される。
【0057】
重要度レベル情報は、この事件番号に関する事件の重要度を表す情報で例えば8段階評価で表すための3ビット情報である。本発明の画像記録装置の所有者の中には、小さな事件や商用のためには画像を提供したくないというユーザーも考えられる。そのため、各ユーザーは入力部210を通じてどの重要度レベル以上の案件に関してのみ画像送信可能にするかの設定を行う。この場合、設定された重要度レベルより低い重要度の画像データは、たとえ受信した位置情報及び時刻情報で特定される範囲内で撮影された画像であっても送信されない。
【0058】
IPアドレス情報は、画像の提出先を表すアドレス情報である。すべての画像を例えば警視庁に設置された1つの画像保存用サーバのアドレスに送るシステムよりも例えば各県警が画像保存用サーバを配置した方がデータが分散されるため、パケット渋滞を防ぐことが出来る。そこで各事件番号に関する画像データの送信先アドレスが合わせて送られる。
【0059】
検索処理部180は、事件情報で示された位置及び時刻で撮影された画像が記録部150に記録されているかどうかの検索処理を行い、該当する画像データを抽出する。図11は、検索処理を表すフロー図である。ステップ1では、これまでに検索を実行した事件に関する情報を纏めた事件情報管理ファイルを読み込み、新たに受信した事件情報に含まれる事件に関して既に検索が行われているか判断する。新たに受信した事件情報が既に事件情報管理ファイルに記されている場合は、既にこの事件情報に含まれる事件に関して検索済みと判断し検索を終了する。一方、事件情報管理ファイルに記されていない場合は、初めて受信した事件情報と判断し、事件情報管理ファイルに受信した事件情報に関する情報を更新する。次にステップ2では、ユーザーによって設定された重要度レベルと受信した事件情報内に含まれる重要度レベルを比較する。設定された重要度レベルより低い重要度レベルの事件に関しては画像検索は行わず終了し、高い重要度レベルの事件に関しては、位置情報及び時刻情報に基づいて画像検索を行う。ステップ3として、該当画像が発見されなかった場合は検索処理を中止し、該当画像が発見された場合は、図12に示す抽出画像管理ファイルを作成・更新する。
【0060】
抽出画像管理ファイルには、検索処理によって抽出された画像のファイル名、北緯や東経といった画像撮影位置を表す位置情報、画像撮影時刻を表す時刻情報、どの事件に関わる画像かを示す画像番号とその事件の重要度ランク、画像を既に提出したかどうかを示す提出済み可否情報、画像提出期限、画像提出先を表すIPアドレス、及び記録部150における該当画像の格納場所を示す開始アドレス等が記録される。
【0061】
システムコントローラ2160は、路側通信機など外部に設置された通信装置からの信号が無線通信部2200で受信された場合、画像提出が可能な通信装置が近くにあるものとして、まず抽出画像管理ファイルを読み込み、提出可能な画像が記録部150に記録されているかを調べる。提出可能な画像がある場合は、記録部150から該当画像をバッファ部2228へ出力させる制御を行う。また、無線制御部2229に外部通信装置とのコネクションを確立させる制御を行うと共に、該当画像の送信先IPアドレスを無線制御部2229に通知する。コネクション確立後、バッファ部2228に一時保管されている画像データは、無線制御部2229の制御に従って指定されたIPアドレスのパケットに分割して収められ、符号化部2225に出力される。符号化部2225は入力した画像データに対してターボ符号処理等の符号化処理を行い、処理後の信号を変調部2226に出力する。変調部2226では入力した信号にQPSK、QAM等の変調処理を行い処理後の信号を送信部2227に出力する。送信部2227では、入力した信号にD/A変換、増幅処理、アップコンバート等の送信処理を行い、アンテナ2221を介して外部へ出力する。画像データ送信が完了した場合は、システムコントローラは抽出画像管理ファイルを更新する。すなわち、抽出画像管理ファイルから提出済みの画像に関する情報を消去又は、提出済み可否情報をYesに変更する。
【0062】
このように、無線通信部で事件情報を受信し、事件情報に基づいて抽出された画像を外部送信装置に送信する構成とすることで、効率よく複数の車両に搭載された本発明の画像記録装置から画像を回収することができる。
【0063】
また、上記説明では無線通信部は画像データを外部に送信する場合を説明したが、無線通信部は合わせて画像データと取得位置及び取得時刻の対応関係を纏めたファイルを合わせて送信する構成であってもよいし、システムコントローラで取得位置及び取得時刻や本装置の固有アドレスや所有者Noを画像データのファイル名又はヘッダ部分に組み込む変換を行った後、無線通信部から出力される構成であってもよい。
【0064】
(実施の形態3)
本実施の形態3に係わる画像記録装置は、画像データを暗号化する暗号化手段をさらに追加したものである。
【0065】
実施の形態1の画像記録装置では、FM多重放送などで受信した事件情報を基に、情報提供要請が出されている画像が記録されているかを検索し、該当範囲及び時間帯で撮影された画像が記録されていた場合は、該当する静止画像及び動画像を提出することができる。
【0066】
画像提出用の端末としては、路肩に設置された路側通信機や無線基地局の他、交番などの警察施設などに通信端末を配置して画像記録装置から画像を回収する構成が考えられる。また、画像収集効率を上げるため、コンビニエンスストアやガソリンスタンドにも通信端末が配置されることが想定される。これらの形態では、インターネット網を介して画像データが警察に送信されることになるが、インターネット網は、IP−VPNなどと比べて脆弱性が高く、盗聴などの可能性も否定できない。提出されるデータは画像データであり、画像データはプライバシー問題に繋がりやすいため、例えば盗聴などで第3者に画像データが盗まれた場合には大きな問題に繋がる可能性がある。
【0067】
そこで本実施の形態に係わる画像記録装置では、画像データを暗号化する暗号化手段をさらに具備する。この構成により万が一、画像データの提出の過程で画像データが盗聴されても暗号化されているためプライバシーを守ることができる。
【0068】
図13は、本実施の形態に係わる画像記録装置3000のブロック図である。なお、図1の画像記録装置1000と同一の部分に関しては一部説明を省略する。
【0069】
システムコントローラ3160は、記録部150に記録されている画像データの中で、提出要請が出ている画像データを暗号化処理部3270に出力する。
【0070】
暗号化処理部3270は、記録部から出力された画像データに暗号化処理を行い、暗号化後の画像データを外部出力インターフェース190を介して外部へ出力する。ここで暗号化方式としては、公開鍵暗号方式などを用いるとよい。予め暗号化処理部3270内のROMに警察が公開した公開鍵を記録しておき、この公開鍵を用いて暗号化処理を行う。警察では、複数の画像記録装置から送信された暗号化された画像データを秘密鍵を用いて復号し犯罪捜査に活用できる。
【0071】
上記構成によれば、画像データが装置外へ出力される場合に暗号化が施されているので、盗聴などがおきても画像に写った人物などのプライバシーを守ることができる。
【0072】
また、上記構成では、画像データを外部出力する段階で暗号化を行う構成を示したがこれに限定するものではなく、記録部150に画像データを記録する段階で暗号化が行われてもよい。この場合、画像符号化部120で圧縮処理が行われた画像データは暗号化処理部3270に出力され、画像データは圧縮処理及び暗号化処理が行われた状態で、位置情報及び時刻情報と対応付けされて記録部150に記録される構成としてもよい。この場合、記録部に記録される段階で暗号化されるため、万が一画像記録装置が盗難にあっても、記録された画像に写る人物等のプライバシーを守ることができる。また、記録された画像を本画像記録装置で利用する場合には、共通鍵で暗号化する構成であってもよい。すなわち画像符号化部120で圧縮処理が行われた画像データは、暗号化処理部3270に保管されている共通鍵で暗号化処理を行い、位置情報及び時刻情報と対応付けられて記録される。画像表示部200で暗号化されて記録されている画像を再生する場合には、再び暗号化処理部3270で暗号化した共通鍵を用いて復号処理を行い、復号処理後の画像データが画像表示部200に出力されて画像が表示される。このような構成とすることで暗号化処理を施し、秘匿性を高めつつ、必要に応じて本装置内で画像を再生することが出来る。但し、この場合警察には各画像記録装置に記録されている共通鍵と同一の共通鍵が保管されている必要がある。また、暗号化処理部3270は公開鍵と秘密鍵のペアを保有し、この鍵を用いて暗号化・復号化を行う構成であってもよい。
【0073】
また上記の暗号方式を組み合わせて暗号化処理を行う構成であってもよい。すなわち暗号化処理部3270には、共通鍵と警察が公開した公開鍵が格納され、場合に応じて複数の暗号化処理を使い分ける。すなわち、画像符号化部120で圧縮処理が行われた画像データは、共通鍵を用いて暗号化処理が施され記録部150に記録される。無線受信部170で受信された事件情報に基づいて抽出された暗号化された状態で記録されている画像データは、再度暗号化処理部3270へ出力され、更に第2の暗号鍵である公開鍵を用いて再度暗号化処理を施した後に無線送信部などの外部出力インターフェースを通じて警察へ提出される構成であってもよい。本構成を取ることで、さらに秘匿性を高めることが出来る。また、再度暗号化処理部3270へ出力された画像データを第1の鍵である共通鍵で一度復号処理を行い、暗号化を解いた後に第2の鍵である公開鍵で暗号化処理を行い、外部へ出力される構成であってもよい。本構成では警察は各画像記録装置に保管されている共通鍵を必要としないが、画像提出時にも画像記録時にも画像データには暗号化処理が施されているため、高い秘匿性を確保できる。
【0074】
また、暗号化処理部3270は複数の公開鍵を記録し、必要に応じた公開鍵で暗号化処理をする構成であってもよい。例えば、事件情報の中に暗号化に使用する公開鍵を指定する情報を合わせて送り、暗号化処理部は抽出された画像に指定された公開鍵で暗号化処理を施し、暗号化後の画像データを外部へ出力する構成であってもよい。このように構成することで、秘匿レベルを設定できる。すなわち、公開鍵1の秘密鍵を保有する神奈川県警と大阪府警だけが画像データを利用できるといったことや、公開鍵2の秘密鍵2を保有する市役所や企業も場合によっては画像データを利用できるといった柔軟な設定が可能となる。
【0075】
また、暗号化方式は公開鍵暗号方式や共通鍵暗号化方式に限定するものではなく、その他の暗号化方式であってもよい。また、言うまでも無く、必要に応じて画像データと位置情報及び時刻情報が記録された管理ファイルにも合わせて暗号化処理を施し、暗号化後の管理ファイルを外部へ出力する構成も可能である。また、前記公開鍵及び共通鍵は記録部150に格納され、必要に応じて暗号化処理部3270に読み込まれる構成であってもよい。
【0076】
(実施の形態4)
本実施の形態4に係わる車載画像記録装置は、実施の形態3に係わる暗号化手段を強化したものである。
【0077】
実施の形態3に係わる暗号化では、予め暗号化処理部のROMに記録された公開鍵を用いて暗号化を行う。しかしながら、万が一秘密鍵が流出してしまった場合は、それ以後の暗号化は意味を持たなくなる。
【0078】
そこで、本実施の形態に係わる画像記録装置では、公開鍵を受信する受信手段と、受信した公開鍵を用いて暗号化処理を行う暗号化手段をさらに具備する。図13に示す画像記録装置3000において、無線受信部170は、事件情報と合わせて公開鍵を受信する。図14は、公開鍵を含む情報のフォーマットの一例である。頁ヘッダには本データの中に公開鍵が含まれているかを示す1ビットで表される暗号鍵有無情報があり、頁データには、公開鍵の番号及び公開鍵が含まれている。システムコントローラ3160は、受信された公開鍵を暗号化処理部3270へ出力する。また、事件情報を検索処理部180に出力し、検索処理を行わせる。暗号化処理部3270は、抽出された画像を、新たに受信した公開鍵で暗号化を行い、暗号化後の画像が外部へ無線送信出力される。
【0079】
この構成によれば、暗号化を行うための暗号鍵が固定されず、新たに送られてきた暗号鍵でその都度暗号化を行うため秘密鍵が流出してしまっても、新たに送られる別の公開鍵で暗号化できるためプライバシー強化を行うことができる。また、暗号鍵が案件毎に個別に設定できるため、警察だけではなく道路管理者や企業なども画像を利用することが可能となる。ここで、暗号鍵は事件情報に含まれる事件毎に1つずつ含まれていてもよいし、1つの事件情報に対して1つの暗号鍵が送信される構成であってもよい。その他、事件情報とは別の情報として、一定期間毎に暗号鍵が送信される構成であってもよい。
【0080】
なお、外部に設置された通信装置と通信するための通信方式としては、5.8GHz帯域を利用するDSRC方式(Dedicated Short Range Communication)などがある。本発明の画像記録装置は、路側に設置された複数の通信端末から事件情報を受信し、必要に応じて画像データを送信することが可能である。
【0081】
また、上記の説明では画像データを暗号化して送信する場合に関して説明したが、必要に応じて画像データと位置及び時刻との対応関係を纏めた管理ファイルも合わせて暗号化して送信する構成であってもよい。
【0082】
(実施の形態5)
本実施の形態5に関わる画像記録装置は、実施の形態1に関わる車載画像記録装置に新たに人物認識処理部を追加したものである。
【0083】
図15に本実施の形態5における画像記録装置4000を示す。なお、図1の画像記録装置1000と同一のブロックについては一部説明を省略する。
【0084】
画像記録装置4000は新たに認識処理部4280を有する。画像符号化部120で符号化された画像はバッファ部4130を介して認識処理部4280へ出力される。認識処理部では、取得された画像の中に人間が写ってどうかの判断を行う処理を行う。この方法としては、例えば認識処理部4280は予め人間の姿や顔の特徴をサンプルパターンとして記録しておき、画像とサンプルパターンとのマッチング処理を行うことにより判断を行う方法や、画像符号化部120で求められた動きベクトルを参照して、背景に対して移動している部分の移動パターンから判断する方法などがある。
【0085】
認識処理部4280で画像内に人間が写っていると認識された場合は、必要に応じて以下の処理を行う。まず、人間が写っていないと判断された画像に比べて価値が高い画像であると判断し、画像の重要度を高く設定する。この重要度はシステムコントローラ4160の制御に基づいて画像と位置情報及び時刻情報との対応関係を記した管理ファイルにも記録される。図16は、画像の重要度を記録した管理ファイルである。例えば、人間が映っていないと認識された場合は0、人間が写っていると認識された場合は1、人間の顔が写っていると認識された場合は重要度2、人物との距離が近い場合は+1、車速センサ145で検出される車の走行スピードが一定以上のスピード場合は−1、その他、撮影時間帯、明るさ、ピント具合などを加味して、画像の重要度を認定する。画像の重要度は、例えば記録部150における画像の記録期間に用いられる。すなわち重要度が高いと判断された画像は、記録部で他の画像に比べ長期間記録される構成であってもよい。
【0086】
また、人間が写っていると認識された場合は、カメラ部4110にその情報が出力される。カメラ部4110は、ピント調整機能、ズーム機能、ISO設定機構、シャッタースピード変更機能などの機能が備えられているとする。カメラ部4110は、認識処理部4280からの情報に基づいて、人間が認識された位置にピントを合わせる、若しくはズームする。また、カメラ部4110に取り付けられた光量センサの感知結果に基づいて適正なISOに設定したり、車速センサ145から得られる車の速度に関する情報に基づいてシャッタースピードを変更したりする。
【0087】
以上のように、人間や動く物体を認識する機能を有することで、カメラ部で取得される画像に重要度を割り与えたり、人間や動く物体を重点的に高い精度で撮影することができる。
【0088】
以上、各実施の形態で説明したように本発明に係わる画像記録装置によれば、車載カメラによって撮影した画像が位置情報及び時刻情報と関連付けされて記憶されるため、本発明の画像記録装置を用いて複数のドライバーから提供された画像を位置情報と時刻情報を参照して、事件解決の有力な手段として活用することができる。
【0089】
すなわち、本発明の画像記録装置は、画像データを取得する画像取得手段と、取得された画像データを符号化する画像符号化手段と、画像データ取得時の位置及び時刻を算出して位置情報及び時刻情報を生成する生成手段と符号化された画像データを前記位置情報及び前記時刻情報と関連付けて記録媒体に記録する記録手段と、位置及び時間に関する情報を含む信号を受信する受信手段と、前記記録手段で記録された画像データの中から、前記受信手段で受信された位置及び時間に関する情報に基づいて特定される範囲内で取得された画像データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出された画像データを外部へ送信する送信手段と、を具備する構成とすることで、送信された画像を犯罪捜査などに活用することが出来る。
【0090】
また、上記の記録手段は、記録媒体における画像データの記録場所を表すアドレス情報と位置情報及び時刻情報とを記した管理ファイルを作成及び更新することにより画像データを前記位置情報及び前記時刻情報とを関連付けて記録する構成であってもよい。この構成をとることで、画像データの管理が容易になる。
【0091】
また、上記の記録手段は、画像データの取得位置及び取得時刻を画像データのファイル名に書き込んだり、画像データのヘッダ部分に埋め込む処理を行う処理手段をさらに具備していても良い。この変換処理手段は、その他MACアドレスのように本装置が持つ固有のIDや本装置の所有者に割り当てられたIDなども合わせてファイル名に書き込んだり、画像データのヘッダ部分に埋め込んでも良い。このような情報は、警察が画像提供者を特定するために使われる。
【0092】
また、上記の受信手段で受信された位置及び時間に関する情報に基づいて特定される範囲内で取得された画像データの記録場所を表す第2の管理ファイルを作成及び更新する作成更新手段をさらに備え、この受信手段は、前記送信手段で送信される画像データを受信可能な通信装置が存在することを示す信号をさらに受信し、上記の抽出手段は、前記受信手段において前記信号が受信された場合に、前記第2の管理ファイルを参照して画像データを抽出する構成であってもよい。この構成をとることで、画像の抽出が容易になる。
【0093】
また、上記の送信手段は、上記の抽出手段で抽出された画像データに加えて、画像データと位置情報及び時刻情報との対応関係が記録されたファイルを送信する構成であってもよい。対応関係が記録されたファイルも合わせて送信することで、画像を捜査により有効に活用できる。
【0094】
また、別の実施形態の画像記録装置として、画像データを取得する画像取得手段と、取得された画像データを符号化する画像符号化手段と、画像データ取得時の位置及び時刻を算出して位置情報及び時刻情報を生成する生成手段と、符号化された画像データを前記位置情報及び前記時刻情報と関連付けて記録媒体に記録する記録手段と、位置及び時間に関する情報を含む信号を受信する受信手段と、前記記録手段で記録された画像データの中から、前記受信手段で受信された位置及び時間に関する情報に基づいて特定される範囲内で取得された画像データを抽出する抽出手段と、抽出手段で抽出された画像データを暗号鍵を用いて暗号化する暗号化手段と、暗号化手段で暗号化された画像データを外部へ送信する送信手段と、を具備する構成とすることで、画像の秘匿性を高めて外部へ提出することが可能となる。
【0095】
なお、上記説明では情報提供の協力要請に必要な情報である事件情報をFM多重放送で送信される場合を説明したが、これに限定するものではなく、光ビーコンや電波ビーコン、デジタルTV(音声)放送等、どのような通信媒体を用いて送信されても良い。この場合、車載画像記録装置のFM放送受信部は、それぞれ光ビーコンから信号を受信する光ビーコン受信部、電波ビーコンから信号を受信する電波ビーコン受信部、デジタル放送を受信するデジタル放送受信部にそれぞれ置き換わる。また、これら事件情報を受信する各受信部は、車載画像記録装置の一部として組み込まれても良いし、一つの装置として車載画像記録装置とインターフェースを介して接続可能な状態で構成されていても良い。その他、車載画像記録装置を携帯電話と接続可能な構成とし、携帯電話でオンデマンド又はMBMSサービス等で事件情報を受信してインターフェースを介して事件情報が車載画像記録装置に入力される構成であっても良い。
【0096】
なお、車載カメラは車の前方を撮影する場合に限定せず、例えば車の後方を撮影するよう設置しても良いし、複数のカメラで複数の方向を撮影して記録するよう構成してもよい。後方を撮影する場合、車内の映像も同時に取得できるため、車内に不審者が乗り込んできた場合などにも有効に対応できる。また、この場合、前方カメラで撮影した画像は、記録する際に前方を撮影していることを示す”Front”の情報を合わせて記録し、後方カメラで撮影した画像は、”Back”の情報を合わせて記録するようにすると、後の管理が簡略化できる。また、複数のカメラで撮影された画像をそれぞれ異なるファイルとして、画像毎に個別に位置情報、時間情報、撮影カメラの方向を示す情報と対応付けて記録しても良いし、位置情報と時間情報は共通化して、1つの位置情報と時刻情報に、複数のカメラで同一時刻に撮影された複数の画像を対応付けても良い。また、カメラの方向を示す情報を方位情報で代用しても良い。すなわち、車が南東の方向に進んでいる場合に、フロントウィンドウを介して前方を撮影する車載カメラで撮影された画像には南東を表す方位情報と対応付けて記録し、バックウィンドウを介して後方を撮影する車載カメラで撮影された画像には北西を表す方向情報と対応付けて記録するように構成してもよい。このように構成することで、複数のカメラで撮影しても、取得されるすべての画像に画像取得方位を表す方位情報を関連付けることができるため、管理がより簡略化できる。また、複数の車載カメラの中には赤外線カメラや暗視カメラなどが含まれていても良い。このような特殊カメラで撮影することにより、より捜査に有効な画像を取得できる。
【0097】
また、各実施の形態の画像記録装置において、カメラ部、位置情報検出部、FM放送受信部、画像表示部等は、本装置本体に組み込まれる形で設計されていても良いし、本装置本体とコネクタを介して接続可能な状態で個別の装置として設計されていても良い。
【0098】
また、記録部も着脱可能な構成であっても良い。例えば、記録部をUSB接続の外付けHDDとし、画像提出時には、車載画像記録装置から記録部を取り外して自宅のPCや警察などに設置された端末と接続し、記録された画像を警察に提出できるように構成してもよい。このようにすることで、別途記録媒体を用いてデータを移動させる必要がなくなるため、メモリーカードスロットのような出力手段を別途設ける必要がないため、コストを下げることができる。
【0099】
また、上記説明では記録部内に記録されてから一定期間経過した時点で画像データが消去される構成としたがこれに限定されるものではない。例えば記録部の空き記録容量の状況に応じて画像データが消去される構成としてもよいし、抽出された画像や重要度の高い画像を通常より長期間保存する処理を行っても良い。
【0100】
また、一定期間経過した画像データを、より高い圧縮率の圧縮方式で再エンコードを行った後、さらに一定期間記録した場合に消去する構成としてもよい。一定期間経過した画像データは、システムコントローラの制御に従って画像符合化部に出力され、再エンコードが行われた後に再び記録部に一定期間記録される。この構成とすることで、より長い期間画像を保管できる上に、古い画像はより小さいサイズのデータとして記録されることで記録容量の圧迫を防ぐことができる。また、この再エンコードは複数回にわたって行われ、古くなるほど小さいサイズの画像データとして記録される構成としてもよい。また、動画像データの場合はフレームレートを落として再エンコードしても良い。その他、画像データの消去方法は、情報記録媒体の記録容量や空き容量などを踏まえて、独自の方法で自動消去される構成であってもよい。
【0101】
また、本発明のカメラ部で撮影される画像を車間距離の測定や人物の存在検出等に用いてもよい。この場合、前方を走る車と風景の境界を検出し、検出結果から車間距離を推定する演算を行う演算部や、撮影された画像内に人物がいるかを判断するために、予め人物のパターンを複数記録したROMと、画像内にROMに記録されたパターンと一致する特徴があるかのマッチング処理を行うマッチング部等が別途必要となる。また、撮影された画像から白帯を検出し、走行位置を自動修正する運転補助システムに用いることも可能である。
【0102】
なお、本発明の画像記録装置を自車両の事故時の証拠として用いる従来のドライブレコーダとして利用できることは言うまでも無い。また、画像データ等を改竄できないようにデータを暗号化して記録するよう構成しておいてもよい。
【0103】
また、撮影された画像をITS(Intelligent
Transport Systems)の一部として利用することも可能である。例えば、本発明の車載画像記録装置に取り付けた無線送受信部から、撮影した画像を道路脇に取り付けられた通信機に送信し、通信機に送られた画像は交通管理センターや情報サーバに送られるようなシステムを構築してもよい。これらの画像データは、現在の交通状況の把握や他の車へのリアルタイム画像の送信などに活用することができる。
【0104】
また、画像の圧縮方式としては、MPEG2、H.264/AVC、JPEG、TIFF等既存の圧縮方式を用いて圧縮しても良いし、車から撮影する映像は、時間方向に高い相関性があるため、新たに別の圧縮方式を開発しても良い。また、今後の圧縮技術の進歩に従って最新の圧縮技術を適宜採用することが可能である。
【0105】
また、上記説明では警察からVICSセンターを介して既存のVICS技術を活用して事件情報を各画像記録装置へ送信する場合を説明したが、これに限定するものではなく、別のシステムを新たに構築してもよい。但し、VICS技術をそのまま活用することは、装置開発及び新たなシステム構築の費用を抑えることができるためより望ましい。
【0106】
また、事件情報のデータフォーマットもVICSのデータフォーマットを流用しても良いし、新たに別のデータフォーマットを定めてもよい。
【0107】
また、本発明の車載画像記録装置は、自家用車だけではなく、トラック、バス、タクシー、バイク、電車、自転車、ベビーカーなどのように、さまざまな移動可能な乗り物に搭載し、位置情報及び時間情報と対応付けて画像を記録することができる。
【0108】
また、上記説明では本願発明の装置は画像を記録する画像記録装置として説明したが、画像を記録する機能を有するカーナビゲーション装置であっても良いし、画像を記録する機能を有する無線受信装置やビデオカメラであってもよい。
【0109】
また、上記説明では画像記録装置を車に搭載する場合に関して説明したが、予め上記の画像記録装置を車体に組み込んで画像記録機能を有する車としても良い。
【0110】
また、上記で説明したシステムコントローラ、検索処理部、カーナビゲーションユニット、画像符号化部、位置検出部、等は、それぞれ半導体集積回路を用いて実現されてもよい。ここで集積回路はLSI、VLSI,ULSIと称されることもある。
【0111】
その他、本願の発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明に係る画像記録装置は、車内に取り付けて景色を撮影及び記録することで、監視カメラとして用いることができる。また、ドライブレコーダやカーナビゲーション装置に活用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像記録装置のブロック図
【図2】画像データと撮影位置及び時刻との対応関係を記録した管理テーブルを示す図
【図3】本発明の実施の形態1に係る情報収集システムの概略図
【図4】事件情報のフォーマットを示す図
【図5】画像検索範囲の指定方法と種別ビットとの対応関係を示す図
【図6】事件情報の別のフォーマットを示す図
【図7】受信した事件情報を管理する事件情報管理ファイルを示す図
【図8】画像データと撮影位置及び時刻との対応関係を記録した管理テーブルを示す図
【図9】本発明の実施の形態2に係る画像記録装置のブロック図
【図10】事件情報の別のフォーマットを示す図
【図11】検索処理の流れを表すフロー図
【図12】抽出された画像データの格納場所を記録した管理テーブルを示す図
【図13】本発明の実施の形態3に係る画像記録装置のブロック図
【図14】事件情報の別のフォーマットを示す図
【図15】本発明の実施の形態5に係る画像記録装置のブロック図
【図16】画像データの重要度を記録した管理テーブルを示す図
【符号の説明】
【0114】
100 システムバス
110、4110 カメラ部
111 光学ブロック
112 カメラ制御部
113 画像処理部
120 画像符号化部
130、4130 データバッファ部
140 位置検出部
141 GPSアンテナ
142 GPSユニット
143 位置情報・時刻情報生成部
144 データバッファ部
145 車速センサ
146 方位センサ
150 記録部
151 メモリーコントローラ
152 情報記録媒体
160、2160、3160、4160 システムコントローラ
170 無線受信部
171 アンテナ
172 チューナー部
173 分離・抽出部
174 復調部
175 復号部
180 検索処理部
190 外部出力インターフェース
200 画像表示部
210 入力部
2220 無線通信部
2221 アンテナ
2222 受信部
2223 復調部
2224 復号化部
2225 符号化部
2226 変調部
2227 送信部
2228 バッファ部
2229 無線制御部
3270 暗号化処理部
4280 認識処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する画像取得手段と、
取得された画像データを符号化する画像符号化手段と、
画像データ取得時の位置及び時刻を算出して位置情報及び時刻情報を生成する生成手段と、
符号化された画像データを前記位置情報及び前記時刻情報と関連付けて記録媒体に記録する記録手段と、
位置及び時間に関する情報を含む信号を受信する受信手段と、
前記記録手段で記録された画像データの中から、前記受信手段で受信された位置及び時間に関する情報に基づいて特定される範囲内で取得された画像データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された画像データを外部へ送信する送信手段と、
を具備する画像記録装置。
【請求項2】
前記記録手段は、前記記録媒体における前記画像データの記録場所を表すアドレス情報と前記位置情報及び時刻情報とを記した第1の管理ファイルを作成及び更新することで、前記画像データを前記位置情報及び前記時刻情報とを関連付けて記録する、
請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記受信手段で受信された位置及び時間に関する情報に基づいて特定される範囲内で取得された画像データの記録場所を表す第2の管理ファイルを作成及び更新する作成更新手段をさらに備え、
前記受信手段は、前記送信手段で送信される画像データを受信可能な通信装置が存在することを示す信号をさらに受信し、
前記抽出手段は、前記受信手段において前記信号が受信された場合に、前記第2の管理ファイルを参照して画像データを抽出する、
請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記抽出手段で抽出された画像データに加えて、前記画像データと前記位置情報及び前記時刻情報との対応関係が記録されたファイルを送信する、
請求項1から3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記抽出手段で抽出された画像データを第1の暗号鍵を用いて暗号化する暗号化手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記暗号化手段で暗号化された画像データを外部に送信する、
請求項1から3に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記受信手段は、暗号鍵をさらに受信し、
前記暗号化手段は、前記受信した暗号鍵で暗号化する、
請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記符号化手段で符号化された画像データを第2の暗号鍵を用いて暗号化する暗号化手段をさらに備え、
前記記録手段は、符号化及び暗号化された画像データを前記位置情報及び前記時刻情報と関連付けて記録媒体に記録する、
請求項1から3に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記暗号化手段は、前記抽出手段で抽出された画像データを復号し、第3の暗号鍵を用いて復号後の画像データに再度暗号化を行い、
前記送信手段は、再度暗号化された画像データを外部へ送信する、
請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記受信手段は、公開鍵をさらに受信し、
前記暗号化手段は、復号後の画像データを前記受信した公開鍵を用いて再度暗号化を行う、
請求項7に記載の画像記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−204867(P2010−204867A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48611(P2009−48611)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(707000956)
【Fターム(参考)】