説明

車載装置及び車載装置の制御方法

【課題】 本発明は、車載装置及び車載装置の制御方法に関し、例えばハンズフリーシステムを形成可能なカーオーディオ装置、カーナビゲーション装置に適用して、走行中にあっても、通話対象の音声を明瞭に聞き取ることができるようにする。
【解決手段】 本発明は、コンテンツによる音声を提供している場合には、音量調整の操作子の操作に応動した音量により音声を提供し、ハンズフリーシステムにより音声を提供する場合には、ノイズに応じた音量により音声を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置及び車載装置の制御方法に関し、例えばハンズフリーシステムを形成可能なカーオーディオ装置、カーナビゲーション装置に適用することができる。本発明は、コンテンツによる音声を提供している場合には、音量調整の操作子の操作に応動した音量により音声を提供し、ハンズフリーシステムにより音声を提供する場合には、ノイズ量に応じた音量により音声を提供することにより、走行中にあっても、通話対象の音声を明瞭に聞き取ることができるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、車載装置であるカーオーディオ装置は、音量調整の操作子の操作に応動して、スピーカーから出力する音量を可変し、これによりユーザーの所望する音量で音楽、ラジオ放送等を聴取できるようになされている。このようなカーオーディオ装置に関して、例えば特開平10−236246号公報には、自車位置に応じて音量等を制御する方法が提案されている。
【0003】
また同様の車載装置であるカーナビゲーション装置は、地図等の表示と音声とによりユーザーを道案内するようになされており、近年、さらに音声入力により操作を受け付けるものが提供されている。
【0004】
また従来、携帯電話は、ヘッドセットを使用してハンズフリーシステムを形成することにより、車両を運転している場合でも、安全に通話することができるようになされている。
【0005】
ところでヘッドセット等を用いてハンズフリーシステムにより通話する場合でも、走行中にあっては、通話対象の音声が聞き取り難くなる場合がある。このような場合でも、通話対象の音声を明瞭に聞き取ることができれば、その分、運転に専念することができ、安全性を一段と向上することができると考えられる。
【特許文献1】特開平10−236246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、走行中にあっても、通話対象の音声を明瞭に聞き取ることができる車載装置及び車載装置の制御方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、携帯電話のハンズフリーシステムを形成する車載装置に適用して、前記制御手段は、前記ソースから出力される音声信号により前記スピーカーを駆動する場合、前記音量調整の操作子の操作に応動して、前記スピーカーから出力する音声の音量を設定し、前記携帯電話で取得される音声データにより前記スピーカーを駆動する場合、ノイズ量に応じて、前記スピーカーから出力する音声の音量を可変する。
【0008】
また請求項8の発明においては、携帯電話のハンズフリーシステムを形成する車載装置の制御方法に適用して、前記ソースから出力される音声信号により前記スピーカーを駆動する場合、音量調整の操作子の操作に応動して、前記スピーカーから出力する音声の音量を設定し、前記携帯電話で取得される音声データにより前記スピーカーを駆動する場合、ノイズ量に応じて、前記スピーカーから出力する音声の音量を可変する。
【0009】
運転中に、音楽等のコンテンツを聴取する場合にあっては、漠然と聞いている場合が多く、多少聞き取れない場合があっても、気にならない特徴があり、音量が頻繁に変化したのでは、却って煩わしくなる。これに対して携帯電話による通話においては、通話対象の話を傾聴している場合が多く、これにより音楽等のコンテンツを聴取する場合に比して一段と明瞭に音声出力を聴取できることが望まれる。これにより請求項1の構成により、携帯電話のハンズフリーシステムを形成する車載装置に適用して、前記制御手段は、前記ソースから出力される音声信号により前記スピーカーを駆動する場合、前記音量調整の操作子の操作に応動して、前記スピーカーから出力する音声の音量を設定し、前記携帯電話で取得される音声データにより前記スピーカーを駆動する場合、ノイズ量に応じて、前記スピーカーから出力する音声の音量を可変すれば、コンテンツを提供している場合には、音量が頻繁に変化しないようにして、通話の際には、ノイズ量に応じて音量を可変して明瞭に聞き取ることができるようにすることができる。
【0010】
これにより請求項8の構成によれば、通話対象の音声を明瞭に聞き取ることができる車載装置の制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、走行中にあっても、通話対象の音声を明瞭に聞き取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0013】
(1)実施例の構成
図2は、本発明の実施例1に係る車載システムを示すブロック図である。この車載システム1では、カーオーディオ装置2、カーナビゲーション装置3を用いて、携帯電話4のハンズフリーシステムが形成される。
【0014】
すなわちこの車載システム1において、携帯電話4は、携帯電話部5によりユーザーの操作に応動して一連の通話に係る処理を実行する。すなわち携帯電話部5は、ユーザーの操作に応動して通話対象との間で回線を確立し、ユーザーによる音声を図示しないマイクにより取得して通話対象に送出すると共に、通話対象より得られる音声を図示しないスピーカーによりユーザーに提供する。
【0015】
これに対してユーザーによりハンズフリーシステムによる動作が指示されると、携帯電話部5は、この携帯電話4の操作子による操作に代えて、無線送受信部6で受信されるカーナビゲーション装置3からの制御コマンドに応動して回線を接続し、またこの無線送受信部6を介してカーナビゲーション装置3に着信等を通知して回線を接続する。またさらに回線が接続されると、マイクより取得される音声に代えて、無線送受信部6で受信される音声データによる音声を通話対象に送出し、また通話対象から得られる音声を音声データにより無線送受信部6に出力する。
【0016】
無線送受信部6は、IEEE (The Institute of Electrical and Electoronics Engineers,Inc.)802.11x、ブルーツース(Bluetooth )等によるデータ通信手段であり、携帯電話部5より出力される各種のデータをカーオーディオ装置2に送出し、またカーオーディオ装置2から出力される各種のデータを受信して携帯電話部5に出力する。これらによりこの携帯電話4は、外部機器との間のデータ通信による制御により回線を接続し、さらに通話に係る音声データをこの外部機器との間で送受し、この外部機器によりハンズフリーシステムを構成できるようになされている。
【0017】
これに対してカーオーディオ装置2は、ユーザーの所望するコンテンツの音声信号をユーザーに提供する。またカーナビゲーション装置3による音声ガイド、音声データによる音声をユーザーに提供する。また携帯電話4との間のデータ通信により、これらの音声に代えて、携帯電話4で受信される通話対象の音声をスピーカー7F、7Rから出力し、これによりハンズフリーシステムの音声出力手段を構成する。
【0018】
すなわちこのカーオーディオ装置2において、チュナー部8は、本体部9の制御により動作を切り換え、ラジオ放送を受信して音声信号を出力する。ディスク部10は、光ディスク装置、磁気ディスク装置等により構成され、本体部9の制御により動作を切り換え、各種音楽コンテンツの音声信号を再生して出力する。
【0019】
通信部11は、カーナビゲーション装置3との間で種々のデータを送受して本体部9に出力する。無線送受信部12は、携帯電話4の無線送受信部6に対応するデータ通信手段であり、携帯電話4との間で各種データを送受し、この各種のデータを本体部9との間で入出力する。
【0020】
本体部9は、このカーオーディオ装置2を制御するコントローラと、この車載システム1に係る車両の前席ドア及び後席ドアに配置されたスピーカー7F、7Rを駆動する駆動回路、この駆動回路の駆動に供する音声信号を処理する音声信号処理回路等により形成される。本体部9は、通信部11を介してカーナビゲーション装置3から入力される制御コマンドに応動して動作を切り換え、ユーザーによりラジオ放送の受信が指示されると、チュナー部8から出力される音声信号によりスピーカー7F、7Rを駆動する。またユーザーによりディスク部10に記録されたコンテンツの聴取が指示されると、ディスク部10で再生される音声信号によりスピーカー7F、7Rを駆動する。
【0021】
またカーナビゲーション装置3により音声ガイド、他のコンテンツに係る音声データが出力されると、この音声データによる音声信号によりスピーカー7F、7Rを駆動する。これらによりこの車載システム1では、ラジオ放送、各種記録媒体によるコンテンツを楽しむことができ、さらにはカーナビゲーション装置3によるコンテンツ、音声ガイドを聴取できるように構成される。
【0022】
これに対して無線送受信部12を介して携帯電話4から着信等の各種のデータが入力されると、このデータを通信部11を介してカーナビゲーション装置3に出力する。またこのデータの通知によりカーナビゲーション装置3の応答、さらには発呼等の制御に係るデータについて、通信部11を介して入力されるこれら応答、データを無線送受信部12を介して携帯電話4に通知する。これによりこの車載システム1では、カーナビゲーション装置3の操作により、各種通話に係る操作を実行できるように構成される。
【0023】
またこのような一連の処理により通話対象との間で通話を開始すると、カーナビゲーション装置3による制御により、各種コンテンツの音声信号によるスピーカー7F、7Rの駆動を中止し、無線送受信部12を介して携帯電話4から出力される通話対象の音声データによりスピーカー7F、7Rを駆動する。また通信部11を介してカーナビゲーション装置3から入力される音声データを無線送受信部12を介して携帯電話4に転送し、通話対象に送出する。
【0024】
このようにして各種音源によりスピーカー7F、7Rを駆動するようにして、本体部9は、カーナビゲーション装置3から出力される制御コマンドに応動して音量、音質を可変する。
【0025】
これらカーオーディオ装置2等の構成に対応して、カーナビゲーション装置3は、操作パネルに設けられた操作子の操作、リモートコマンダの操作、マイク13による音声入力により、ナビゲーションに係る各種の処理を実行すると共に、カーオーディオ装置2、携帯電話4の動作を制御する。
【0026】
すなわちカーナビゲーション装置3において、GPS(Global Positioning System )部15は、ナビゲーション本体部19の制御により現在位置を検出してナビゲーション本体部19に通知する。モニタ部17は、ナビゲーション本体部19の制御により道案内に供する地図等を表示する。マイク13は、このカーナビゲーション装置3の音声入力に係るユーザーの音声を取得し、さらにハンズフリーシステムに係るユーザーの音声を取得する。通信部18は、ナビゲーション本体部19の制御により、カーオーディオ装置2との間で種々のデータを送受し、この送受に係るデータをナビゲーション本体部19との間で入出力する。
【0027】
ナビゲーション本体部19は、一連のプログラムを実行する演算処理手段、モニタ部17への表示に供する地図データ、動画データ等を格納する記録手段、加速度センサ等により構成され、マイク13による音声入力により、さらには操作子パネル、リモートコマンダに設けられた操作子の操作により各部の動作を制御すると共にナビゲーションに係る処理を実行する。すなわちマイク13より得られるユーザーの音声を解析してユーザーの指示を検出し、この指示により、さらには操作子パネル、リモートコマンダに設けられた操作子の操作により、ユーザーがナビゲーションに係る地図等の表示を指示すると、モニタ部17により対応する地図等を表示する。また同様にしてユーザーによる目的地の設定を受け付け、この目的地までのルートを検索する。さらにGPS部15で検出される現在位置に基づいて、この目的地までユーザーを道案内する。この処理において、左折、右折等を指示する音声ガイドに係る音声データを通信部18を介してカーナビゲーション装置3に出力する。
【0028】
これに対してユーザーがDVDの光ディスクを装填して再生を指示すると、このDVDを再生して動画データによる動画をモニタ部17で表示し、また対応する音声データをカーオーディオ装置2に転送してスピーカー7F、7Rから出力するように全体の動作を制御する。これに対してユーザーがカーオーディオ装置2の動作を指示すると、この指示に従ってカーオーディオ装置2にラジオ放送の受信、ディスク部10に記録されたコンテンツの再生等を指示する。
【0029】
またユーザーがハンズフリーシステムによる通話を指示すると、カーオーディオ装置2を介して携帯電話4との間で種々の制御コマンド、応答を送受し、これにより回線を接続する。また回線が接続されて通話が開始されると、ラジオ放送、各種記録媒体によるコンテンツの音声に代えて、携帯電話4から得られる通話対象の音声データによるスピーカー7F、7Rの駆動をカーオーディオ装置2に指示する。またマイク13で取得されるユーザーの音声を音声データによりカーオーディオ装置2に出力し、これによりこのマイク13による音声を通話対象に送出する。またこのような通話が終了すると、回線の遮断を指示する。
【0030】
これらによりこの車載システム1では、カーオーディオ装置2によるスピーカー7F、7Rにより通話対象の音声をユーザーに提供すると共に、カーナビゲーション装置3の音声入力に係るマイク13で取得したユーザーの音声を通話対象に送出し、ハンズフリーシステムを構成するようになされている。
【0031】
ナビゲーション本体部19は、カーオーディオ装置2において、各種コンテンツの音声をスピーカー7F、7Rにより提供している場合、操作パネル、リモートコマンダに設けられた音量調整の操作子の操作に応じた音量によりスピーカー出力の音量を設定し、これによりユーザーの指示による音量によりこれらコンテンツの音声を出力する。
【0032】
これに対してハンズフリーシステムにより通話している場合には、ノイズ量に応じてスピーカー7F、7Rにより提供する通話に係る音声の音量を可変する。これによりこの車載システム1では、走行中にあっても、通話対象の音声を明瞭に聞き取ることができるようにする。
【0033】
ナビゲーション本体部19は、ノイズ検出用に設けられたマイクからの出力信号レベルを検出することにより、このような音量の制御に供するノイズ量を検出し、この検出結果によりノイズ量が多くなると、その分、スピーカー7F、7Rからの音声出力を増大させるように、カーオーディオ装置2に音量制御用のコマンドを出力し、これによりノイズ量に応じてスピーカー7F、7Rにより提供する通話に係る音声の音量を可変する。
【0034】
すなわち図1は、このナビゲーション本体部19による音量制御に係る処理手順を示すフローチャートである。ナビゲーション本体部19は、ユーザーにより電源が立ち上げられると、この処理手順を開始してステップSP1からステップSP2に移り、いわゆるラストメモリの手法により直前の電源立ち下げ時の設定により各部の動作を立ち上げ、これにより音量についても直前の電源立ち下げ時の設定によりスピーカー7F、7Rから音声を出力するようにカーオーディオ装置2の動作を設定する。
【0035】
このようにして動作を立ち上げると、ナビゲーション本体部19は、ステップSP3に移り、ここでユーザーにより音量可変が指示されたか否か判断し、ここで肯定結果が得られると、ステップSP3からステップSP4に移って、ユーザーにより指示された音量となるようにカーオーディオ装置2に制御コマンドを出力した後、ステップSP3に移る。これによりこの車載システム1では、各種コンテンツの音声をユーザーに提供している場合には、ユーザーによる音量調整に従って、スピーカー7F、7Rから出力する音量を設定する。
【0036】
これに対してステップSP3で否定結果が得られると、ナビゲーション本体部19は、ステップSP3からステップSP5に移り、ここでユーザーにより携帯電話4による通話が指示されたか否か判断する。ここで否定結果が得られると、ナビゲーション本体部19は、ステップSP5からステップSP3に戻る。これに対してステップSP5で肯定結果が得られると、ステップSP6に移り、ここでノイズ検出用に設けられたマイクからの出力信号レベルを検出することにより、ノイズ量を検出する。また続くステップSP7において、この検出したノイズ量に比例して音声データの信号レベルが増大するように、カーオーディオ装置2に音声データの音量可変を指示する。
【0037】
また続くステップSP8において、ユーザーにより通話の終了が指示されたか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP6に戻るのに対し、肯定結果が得られると、ステップSP9に移り、通話開始直前の音量にスピーカー出力の音量を戻した後、ステップSP3に戻る。
【0038】
(2)実施例の動作
以上の構成において、この車載システム1では、操作パネル、リモートコマンダに設けられた操作子の操作により、又は音声入力により、ラジオ放送、記録媒体に記録されたコンテンツの聴取をユーザーが指示した場合、カーナビゲーション装置3によるカーオーディオ装置2の制御により、ユーザーにより指示されたコンテンツに係るソース8、10が選択され、このソースによる音声信号により本体部9でスピーカー7F、7Rが駆動される。これによりこの車載システム1では、ユーザーの所望するコンテンツの音声がスピーカー7F、7Rより提供される。また同様の操作により、ユーザーがカーナビゲーション装置3に係る処理を指示した場合、カーナビゲーション装置3により対応する処理が実行され、ナビゲーションの処理に係る音声ガイドにあっては、この音声ガイドに係る音声データが、通信部18、11を介してカーナビゲーション装置3からカーオーディオ装置2に伝送され、本体部9によりスピーカー7F、7Rの駆動に供される。またユーザーがDVDの再生を指示した場合、このDVDによる映像がモニタ部17で表示され、また対応する音声データがカーオーディオ装置2に転送されてスピーカー7F、7Rから出力される。
【0039】
これに対してこのカーオーディオ装置2、カーナビゲーション装置3により携帯電話4のハンズフリーシステムを形成するようにユーザーが設定した場合にあって、携帯電話4に着信があった場合、携帯電話4の無線送受信部6を介してカーオーディオ装置2に着信が通知され、着信音がスピーカー7F、7Rから出力されると共に、カーオーディオ装置2からカーナビゲーション装置3に着信が通知される。またこの着信の通知に対応するカーナビゲーション装置3におけるユーザーの操作により、カーオーディオ装置2を介してカーナビゲーション装置3から携帯電話4に着信に係る指示が通知され、これにより携帯電話4で回線接続に係る一連の処理が実行される。これによりこの着信に係る通話対象との間で回線が接続され、通話可能となる。またこれとは逆に、この携帯電話4を所持するユーザーにより通話が指示された場合には、カーオーディオ装置2を介してカーナビゲーション装置3から携帯電話4に発呼に係る指示が通知され、これにより携帯電話4で発呼、回線接続に係る一連の処理が実行され、これにより所望する通話対象との間で回線が接続され、通話可能となる。
【0040】
このようにしてハンズフリーシステムにより通話可能となると、携帯電話4で受信した通話相手の音声データがカーオーディオ装置2に出力され、コンテンツの音声に代えて、この音声データによりスピーカー7F、7Rが駆動され、これにより通話相手の音声がスピーカー7F、7Rから出力される。またカーナビゲーション装置3における音声入力用のマイク13を介してユーザーの音声が取得され、この音声が音声データによりカーオーディオ装置2を介して携帯電話4に通知され、この音声データが通話対象に向けて携帯電話4から送信される。これによりカーオーディオ装置2、カーナビゲーション装置3における音声入出力手段を利用して、携帯電話4のハンズフリーシステムが形成され、このハンズフリーシステムにより通話対象との間で通話することが可能となる。
【0041】
この車載システム1では、このようにしてコンテンツの提供を一時中断してハンズフリーシステムにより通話対象の音声をユーザーに提供するようにして、コンテンツの音声にあっては、音量調整の操作子の操作に応動した音量によりユーザーに提供するのに対し、通話対象の音声にあっては、ノイズ検出用マイクで検出されるノイズ量に応じた音量によりユーザーに提供される。
【0042】
すなわち運転中に、音楽等のコンテンツを聴取する場合にあっては、漠然と聞いている場合が多く、多少聞き取れない場合があっても、気にならない特徴がある。またこのようなコンテンツにあって、音量が頻繁に変化したのでは、却って煩わしくなり、違和感が発生する。これに対して携帯電話による通話においては、通話対象の話を傾聴している場合が多く、ノイズにより聞き取り難くなった場合には、音量を上げる必要がある。しかしながら運転中には、頻繁に音量調整の操作子を操作できない。
【0043】
しかしながらこの車載システム1では、検出されるノイズ量に応じて音量が制御されることにより、ノイズにより通話対象の音声が聞き取り難くなった場合には、その分、音量を自動的に増大させて聞き取り易くすることができる。これにより走行中にあっても、通話対象の音声を明瞭に聞き取ることができる。またこのようなノイズ量による音量の制御を、ハンズフリーシステムによる通話の時にだけ実行することにより、コンテンツを聴取する際の違和感を防止することができる。
【0044】
またこの車載システム1では、ノイズ検出用のマイクでノイズを取得し、このノイズの信号レベルによりノイズ量が検出され、これにより簡易かつ確実にノイズ量を検出して音量の制御に利用することができる。
【0045】
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、コンテンツによる音声を提供している場合には、音量調整の操作子の操作に応動した音量により音声を提供し、ハンズフリーシステムにより音声を提供する場合には、ノイズ量に応じた音量により音声を提供することにより、コンテンツの聴取における違和感を防止して、走行中にあっても、通話対象の音声を明瞭に聞き取ることができる。
【0046】
またこのノイズ量に応じた音量の制御を、マイクで取得されるノイズの信号レベルに応じて実行することにより、簡易かつ確実にノイズ量を検出して音量の制御に利用することができる。
【実施例2】
【0047】
図3は、音量制御に供する音量テーブルを示す図表である。この実施例2に係る車載システムは、この音量テーブルによりカーナビゲーション装置3でカーオーディオ装置2による音量を制御することにより、実施例1について上述したと同様に、ノイズ量に応じて通話に係る音量を可変する。なおこの実施例においては、この音量の制御に係るカーナビゲーション装置3の構成が異なる点を除いて、実施例1の車載システム1と同一に構成されることにより、以下の説明においては、図2の構成を適宜、流用して説明する。
【0048】
ここでこの音量テーブルは、車両の現在位置に応じて予測されるノイズ量の増減に対して、通話に係る音声を明瞭に聞き取ることができる音量を、所定の基準音量を基準にした増減値により記録したテーブルである。なおこの図3の例では、+、−によりそれぞれ音量の増大、減少を示す。この音量テーブルには、通常の一般路を走行する場合に比してトンネル内ではノイズ量が増大することにより、トンネル内では音量調整の操作子の操作量に換算して値3だけ音量を増大させることが記録されている。また同様に、高速道路、市街地、国道では、それぞれ音量を値3、2、1だけ増大させることが記録されており、県道では、何ら音量を増大させないことが記録されている。また郊外では、他の車両等によるノイズが減少することにより、音量を値2だけ減少させることが記録されている。
【0049】
またこの音量テーブルには、時間帯に応じて予測されるノイズ量の増減に対して、通話に係る音声を明瞭に聞き取ることができる音量も、所定の基準音量を基準にした増減値により記録される。すなわちこの図3の例では、早朝の時間帯(4:00〜7:00)では、音量を値1だけ減少させることが記録され、続く時間帯(7:00〜10:00)では、音量を値1だけ増大させることが記録され、真夜中の時間帯(1:00〜4:00)では、音量を値2だけ減少させることが記録されている。
【0050】
なおこの実施例において、この音量テーブルは、カーナビゲーション装置3において、ユーザーにより各項目が設定されて作成される。なお通話中に音量調整の操作子の操作を受け付けるようにして、この通話中のユーザーによる音量の可変を検出してこの音量テーブルを逐次補正することにより、いわゆる学習機能を設けてこの音量テーブルを構築、修正するようにしてもよい。
【0051】
図4は、この音量テーブルによりナビゲーション本体部19の音量制御に係る処理手順を示すフローチャートである。ナビゲーション本体部19は、図1の処理手順を実行して、この図1の処理手順におけるステップSP6、ステップSP7の処理手順に代えて、この図4に示す処理手順を実行する。
【0052】
すなわちナビゲーション本体部19は、図1に示す処理手順を開始してユーザーにより通話が指示されると、ステップSP5からこの図4に示す処理手順に移り、ステップSP11からステップSP12に移る。ここでナビゲーション本体部19は、GPS部15より現在位置の情報を取得する。また続くステップSP13において、この現在位置の情報により保持した地図データを検索し、現在位置が音量テーブルに記録された如何なる区分に属するか検出する。またこの検出結果により音量テーブルの対応する区分を検索し、これにより現在位置による音量を検出する。
【0053】
また続くステップSP14において、内蔵のタイマにより現在時刻を検出し、続くステップSP15において、この現在時刻により音量テーブルを検索し、現在時刻の属する時間帯の音量を検出する。ナビゲーション本体部19は、続くステップSP16において、このようにして検出した現在位置、現在時刻による音量を、基準の音量に加算して最終的な音量を決定し、この最終的な音量となるように、続くステップSP16においてカーオーディオ装置2に制御コマンドを送出する。また続くステップSP18において、この処理手順を終了し、図1におけるステップSP8に移る。
【0054】
この実施例によれば、現在位置検出手段で検出される現在位置に基づいた音量の制御により、現在位置により変化するノイズ量に応じてスピーカーから出力する音声の音量を可変することにより、例えばトンネル内に進入してノイズが増大した場合には、その分、音量を増大させることができ、これにより実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また現在時刻により、このような現在位置に基づいた音量を補正することにより、一段と細かく音量を制御して、通話対象の音声を明瞭に聴取することができる。
【実施例3】
【0056】
この実施例においては、実施例2について上述した現在位置による音量の制御に代えて、車速、天候により音量を制御する。なおこの実施例においては、この音量の制御に係るカーナビゲーション装置3の構成が異なる点を除いて、実施例2の車載システムと同一に構成されることにより、以下の説明においては、図2の構成を適宜、流用して説明する。
【0057】
すなわちこの車載システムのカーナビゲーション装置3におけるナビゲーション本体部19は、車両より車速パルスが入力されるように形成され、この車速パルスにより現在速度を検出できるように形成される。またこの車両に設けられたセンサにより、又は内蔵の無線通信手段によりインターネット等に接続した情報の取得により、現在の天候を検出できるように形成される。
【0058】
図5は、この車速、天候によるナビゲーション本体部19の音量制御に係る処理手順を示すフローチャートである。ナビゲーション本体部19は、図1の処理手順を実行して、この図1の処理手順におけるステップSP6、ステップSP7の処理手順に代えて、この図5に示す処理手順を実行する。
【0059】
すなわちナビゲーション本体部19は、図1に示す処理手順を開始してユーザーにより通話が指示されると、ステップSP5からこの図5に示す処理手順に移り、ステップSP21からステップSP22に移る。ここでナビゲーション本体部19は、車速パルスにより現在の車速を検出し、続くステップSP23において、この現在の車速によるノイズに対して通話対象の音声を明瞭に試聴可能な音量を検出し、これにより車速による音量を検出する。
【0060】
また続くステップSP24において、センサ又は無線通信手段により、現在の天候を検出し、続くステップSP25において、車速により音量を現在の天候の分、補正する。すなわち雨天にあっては、晴天時に比して、車載のノイズが大きくなる。これによりナビゲーション本体部19は、このように天候により増減する車内のノイズを補うように、車速により音量を現在の天候により補正する。
【0061】
ナビゲーション本体部19は、続くステップSP26において、このようにして検出した音量を、基準の音量に加算して最終的な音量を決定し、この最終的な音量となるように、カーオーディオ装置2に制御コマンドを送出する。また続くステップSP27において、この処理手順を終了し、図1におけるステップSP8に戻る。
【0062】
この実施例によれば、車速に基づいて音量を可変し、これにより車速により変化するノイズ量に応じてスピーカーから出力する音声の音量を可変することにより、例えば車速が増大してノイズが増大した場合には、その分、音量を増大させることができ、これにより実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また天候により、このような車速に基づいた音量を補正することにより、一段と細かく音量を制御して、通話対象の音声を明瞭に聴取することができる。
【実施例4】
【0064】
この実施例においては、上述した実施例1〜3の構成において、スピーカー7F、7Rから出力する通話相手の音量が大きくなると、リア側スピーカー7Rの駆動を中止する。これによりノイズ量に応じて複数個のスピーカーを選択して通話対象の音声を出力する。
【0065】
これによりこの実施例においては、ノイズ量に応じて複数個のスピーカーを選択して通話対象の音声を出力することにより、ノイズ量が増大した場合に、一段と明瞭に通話対象の音声を聴取することができるようになされている。
【実施例5】
【0066】
なお上述の実施例においては、マイクで検出したノイズ、現在位置等によりそれぞれ音量を制御する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、上述した実施例1〜4の構成を必要に応じて組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0067】
また上述の実施例においては、カーナビゲーション装置とカーオーディオ装置とを別体に構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これらカーナビゲーション装置及びカーオーディオ装置を一体に構成する場合にも広く適用することができる。
【0068】
また上述の実施例においては、カーオーディオ装置及びカーナビゲーション装置によりハンズフリーシステムを形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、専用装置により携帯電話のハンズフリーシステムを形成する場合等にも広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、例えばハンズフリーシステムを形成可能なカーオーディオ装置、カーナビゲーション装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施例1に係るカーナビゲーション装置におけるナビゲーション本体部の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施例1に係る車載システムを示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例2に係るカーナビゲーション装置における音量テーブルを示す図表である。
【図4】本発明の実施例2に係るカーナビゲーション装置におけるナビゲーション本体部の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例3に係るカーナビゲーション装置におけるナビゲーション本体部の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1……車載システム、2……カーオーディオ装置、3……カーナビゲーション装置、4……携帯電話、5……携帯電話部、6、12……無線送受信部、7F、7R……スピーカー、13……マイク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーからの通話の指示により、ソースから出力される音声によるスピーカーの駆動に代えて、携帯電話で取得される音声データにより前記スピーカーを駆動すると共に、マイクで取得される音声データを前記携帯電話に出力することにより、前記携帯電話のハンズフリーシステムを形成する車載装置であって、
音量調整の操作子と、
前記スピーカーから出力する音量を可変する制御手段とを有し、
前記制御手段は、
前記ソースから出力される音声信号により前記スピーカーを駆動する場合、前記音量調整の操作子の操作に応動して、前記スピーカーから出力する音声の音量を設定し、
前記携帯電話で取得される音声データにより前記スピーカーを駆動する場合、ノイズ量に応じて、前記スピーカーから出力する音声の音量を可変する
ことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
マイクから取得されるノイズの信号レベルにより、前記ノイズ量を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
現在位置を検出する現在位置検出手段を有し、
前記制御手段は、
前記現在位置検出手段で検出される現在位置に基づいて前記スピーカーから出力する音声の音量を可変することにより、前記現在位置により変化するノイズ量に応じて前記スピーカーから出力する音声の音量を可変する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
車速に基づいて前記スピーカーから出力する音声の音量を可変することにより、前記車速により変化するノイズ量に応じて前記スピーカーから出力する音声の音量を可変する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
現在時刻により、前記現在位置に基づいた音量を補正する
ことを特徴とする請求項3に記載の車載装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
天候に応じて、前記現在位置に基づいた音量を補正する
ことを特徴とする請求項3に記載の車載装置。
【請求項7】
前記スピーカーが、複数個設けられ、
前記制御手段は、
前記携帯電話で取得される音声データにより前記スピーカーを駆動する場合、前記ノイズ量に応じて、前記複数個のスピーカーを選択して前記音声データにより駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項8】
ユーザーからの通話の指示により、ソースから出力される音声によるスピーカーの駆動に代えて、携帯電話で取得される音声データにより前記スピーカーを駆動すると共に、マイクで取得される音声データを前記携帯電話に出力することにより、前記携帯電話のハンズフリーシステムを形成する車載装置の制御方法であって、
前記ソースから出力される音声信号により前記スピーカーを駆動する場合、音量調整の操作子の操作に応動して、前記スピーカーから出力する音声の音量を設定し、
前記携帯電話で取得される音声データにより前記スピーカーを駆動する場合、ノイズ量に応じて、前記スピーカーから出力する音声の音量を可変する
ことを特徴とする車載装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−254285(P2006−254285A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70617(P2005−70617)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】