説明

車載装置

【課題】構成要素の追加を必要最小限に抑え、任意の場所に存在する携帯キーを探索可能な車載装置を得る。
【解決手段】車載装置20内のスマート無線ユニット10は、ボデーECU30に着脱可能に設けられ、ボデーECU30から取り外され分離状態になると、開状態のスマート・ボデー間接続スイッチ22から「キー位置確認モード」であることを認識することができる。キー位置確認モード時において、スマート無線ユニット10内の電源回路11は閉状態の内蔵電池選択用スイッチ18Sを介して内蔵電池18からの内部供給電力を受け、LF送信回路15は、閉状態の内部アンテナ選択用スイッチ16Sを介して接続されるLF送信用内部アンテナ16からLF帯の無線信号を送信する送信動作を実行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載され、スマートエントリーシステムに用いられる携帯キーと送受信可能な車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一部の自動車等車両(以下、単に「車両」という)には、メカニカルキーを用いずに、小型の無線端末(以下、単に「携帯キー」と呼ぶ)を車両の近くや車室内に持ち込むだけで、ドアの施解錠を行ったり、エンジンのスタートを許容したりできる便利なシステムが搭載されている。このようなシステムの呼び方は様々であり、例えば、スマートエントリーシステムやインテリジェントキーシステムなどと呼ばれる。以下、本明細書ではこのようなシステムをスマートエントリーシステムと呼ぶ。
【0003】
図6は従来のスマートエントリーシステムに用いられる車両側の車載装置100及びキー側の携帯キー71の構成を示すブロック図である。
【0004】
同図に示すように、携帯キー71は、UHF送信用内部アンテナ72、UHF送信回路73、CPU74、LF受信回路75、LF受信用内部アンテナ76及び内蔵電池78を主要構成として有している。
【0005】
UHF送信回路73は、UHF帯の無線信号をUHF送信用内部アンテナ72から送信する送信動作を行い、LF受信回路75はLF受信用内部アンテナ76から得られるLF帯の無線信号を受信する受信動作を行う。CPU74はUHF送信回路73による送信動作、LF受信回路75による受信動作等に基づくスマートエントリーシステムに必要な種々の制御動作を行う。UHF送信回路73、CPU74及びLF受信回路75は内蔵電池78から供給される供給電力を動作電源としている。
【0006】
一方、車載装置100はスマートECU80及びボデーECU90を主要部として有しており、スマートECU80及びボデーECU90はそれぞれ車両の所定箇所に固定配置される。
【0007】
スマートECU80はハーネス88を介して車両に搭載されたバッテリー等の主電源より電源供給を受け、同様にボデーECU90はハーネス98を介して上記主電源より電源供給を受ける。また、スマートECU80による携帯キー71に関するID照合結果に関する情報をボデーECU90に伝達する等、必要に応じて、スマートECU80,ボデーECU90間でハーネス88,ハーネス98を介した信号(情報)の授受がなされる。
【0008】
スマートECU80は、電源回路81、UHF受信用内部アンテナ82、UHF受信回路83、CPU84、LF送信回路85、アンテナ接続用内部配線87及び外部アンテナ接続用コネクタ89を主要構成として有している。
【0009】
UHF受信回路83は、携帯キー71から送信されるUHF帯の無線信号をUHF受信用内部アンテナ82から受信する受信動作を行い、LF送信回路85はLF帯の無線信号を携帯キー71に向けて送信する送信動作を行う。
【0010】
CPU84はUHF受信回路83による受信動作、LF送信回路85による送信動作を制御して、携帯キー1との間の送受信動作を含むスマートエントリーシステムに必要な種々の動作制御を行う。UHF受信回路83、CPU84及びLF送信回路85は電源回路81から供給される出力電力を動作電源として受けて動作を行う。なお、電源回路81はハーネス88を介して得られる、車両の所定箇所に配置されたバッテリー等の主電源からの外部供給電力に基づき上記出力電力の供給を行う。
【0011】
また、LF送信回路85はアンテナ接続用内部配線87及び外部アンテナ接続用コネクタ89介して車両の所定箇所に設けられた複数のLF送信用外部アンテナ51,51に接続されており、これらのLF送信用外部アンテナ51,51それぞれからLF帯の無線信号を送信する送信動作を実行することができる。
【0012】
上述したスマートECU80に相当する構成として、例えば、特許文献1において開示された車載装置がある。
【0013】
一方、ボデーECU90は、ボデー制御入力部92、CPU94、及びボデー制御出力部93を主要構成として有している。
【0014】
ボデー制御入力部92は、車両のボデー系の種々の入力信号に基づく入力制御動作を行い、ボデー制御出力部93は出力信号を車両のボデー系の種々の機器に出力して出力制御動作を行う。
【0015】
ボデー制御入力部92、CPU94及びボデー制御出力部93はハーネス98を介して得られる上記主電源からの外部供給電力を動作電源としている。
【0016】
なお、図6で示したように、スマートECU80とボデーECU90とを個別に設ける構成以外に、スマートECU80及びボデーECU90に相当する構成部を一体化したECUも実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2008−150894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来、図6に示すようにスマートECU80及びボデーECU90それぞれが独立して設けられる構成、スマートECU機能及びボデーECU機能を一体化して設ける構成のいずれの車載装置においても、車両に固定配置されており、車両から取り外し分離した状態で使用することはできない。
【0019】
したがって、携帯キー71が、車両に固定されたスマートECU80の送信信号の通信範囲外に存在する場合、携帯キー71の所在を探索することができない。このため、特許文献1では、任意の場所に存在する携帯キー71を探索すべく、携帯キー71と通信可能な単体で動作可能な探索用の携帯器を別途設けていた。
【0020】
しかし、探索用の携帯器を別途設ける分、送信回路、受信回路等の構成要素の増加に伴う製造コストの増加を必然的に招いてしまうという問題点があった。
【0021】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、スマートエントリーシステム全体として構成要素の追加を必要最小限に抑え、任意の場所に存在する携帯キーを探索可能な車載装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この発明に係る請求項1記載の車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両に搭載され、前記車両に関する種々の制御であるボデー制御を行うボデー制御ユニットと、前記ボデー制御ユニットと着脱可能に設けられ、スマートエントリーシステムに用いられる携帯キーと送受信を行うスマート無線ユニットとを備え、前記スマート無線ユニットは、前記ボデー制御ユニットからの分離状態時において、前記車両から独立して単体で前記携帯キーと送受信可能であることを特徴としている。
【0023】
請求項2記載の車載装置は、請求項1記載の車載装置であって、前記スマート無線ユニットは、第1の周波数帯用の受信用内部アンテナと、前記受信用アンテナより受ける前記第1の周波数帯の無線信号を受信する受信動作を行う受信回路と、第2の周波数帯用の送信用内部アンテナと、所定の送信用アンテナより前記第2の周波数帯の無線信号を送信する送信動作を行う送信回路と、受信回路及び送信回路を含む内部回路の動作電源となる出力電力を供給する電源回路と、内部電源と、前記ボデー制御ユニットと着脱可能なコネクタとを含み、前記電源回路は、少なくとも前記コネクタの前記ボデー制御ユニットからの分離時において、前記内部電源を用いて前記電源供給動作を行い、前記送信回路は、少なくとも前記コネクタの前記ボデー制御ユニットからの分離時において、前記送信用内部アンテナを前記所定の送信用アンテナとして用いて前記送信動作を行う。
【0024】
請求項3記載の車載装置は、請求項2記載の車載装置であって、前記スマート無線ユニットは、前記コネクタの前記ボデー制御ユニットからの分離時において、前記第2の周波数帯の無線信号を送信し、前記携帯キーからの前記第1の周波数帯の無線信号の受信の有無を確認することにより、前記携帯キーが前記第2の周波数帯の無線信号の通信範囲内に存在する状態である携帯キー近傍存在状態の有無を確認する、位置確認用プログラムを実行可能な制御部と、前記携帯キー近傍存在状態であることを指示する検出確認情報を出力可能な情報出力部とをさらに含む。
【0025】
請求項4記載の車載装置は、請求項3記載の車載装置であって、前記情報出力部は、前記検出確認情報を聴覚認識に音声出力する音声出力部を含む。
【0026】
請求項5記載の車載装置は、請求項3記載の車載装置であって、前記情報出力部は、前記検出確認情報を視覚認識可能に表示する表示器を含む。
【0027】
請求項6記載の車載装置は、請求項2ないし請求項5のうち、いずれか1項に記載の車載装置であって、前記第1の周波数帯はUHF帯を含み、前記第2の周波数帯はLF帯を含む。
【発明の効果】
【0028】
この発明における請求項1記載の車載装置のスマート無線ユニットは、ボデー制御ユニットからの分離状態時において、車両から独立して単体で携帯キーと送受信可能であるため、車両のユーザはスマート無線ユニット単体を用いて、携帯キーとの送受信を比較的簡単に行うことができる。
【0029】
請求項2記載の車載装置のスマート無線ユニットにおいて、電源回路は、コネクタのボデー制御ユニットからの分離時において、内部電源を用いて出力電力の供給動作を行うため、スマート無線ユニット単体で用いても支障なく電力供給を行うことができる。
【0030】
さらに、送信回路は、コネクタのボデー制御ユニットからの分離時において、送信用内部アンテナを用いて送信動作を行うため、携帯キーとの送信動作を支障なく行うことができる。
【0031】
請求項3記載の車載装置のスマート無線ユニットにおいて、制御部が上記位置確認用プログラムを実行することが可能であり、情報出力部が上記携帯キー近傍存在状態であることを指示する検出確認情報を出力可能である。
【0032】
したがって、車両のユーザは、スマート無線ユニットを用いて上記位置確認用プログラムを実行させて上記検出確認情報の有無を認識することにより、携帯キー近傍存在状態の有無を比較的簡単に確認することができる。
【0033】
請求項4記載の本願発明において、音声出力部からの検出確認情報の音声出力の有無を聴覚認識することにより、携帯キー近傍存在状態の有無を比較的簡単に確認することができる。
【0034】
請求項5記載の本願発明において、表示器による検出確認情報の表示の有無を視覚認識することにより、携帯キー近傍存在状態の有無を比較的簡単に確認することができる。
【0035】
請求項6記載の発明において、第1周波数帯がUHF帯、第2周波数帯がLF帯である。したがって、送信回路については、携帯キーの検出エリア(送信範囲)をスマート無線ユニットの周辺1〜3m程度に容易に制限でき、受信回路については、携帯キー側の出力レベルが微弱でも数十mの通信距離(受信距離)を確保できるため、適切な検出エリア内における携帯キー近傍存在状態を安定して確認することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施の形態である車載装置及び携帯キーの構成(スマート無線ユニット結合時)を示すブロックである。
【図2】この発明の実施の形態である車載装置及び携帯キーの構成(スマート無線ユニット分離時)を示すブロックである。
【図3】スマート無線ユニットが実行可能な位置確認用プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1及び図2で示したスマート無線ユニット10及びボデーECU30の機能構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態1の車載装置を車両に取り付けた状態を模式的に示す説明図である。
【図6】従来の車載装置及び携帯キーの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(構成)
図1はこの発明の実施の形態である車載装置及び携帯キーの構成(スマート無線ユニット結合時)を示すブロックである。
【0038】
同図に示すように、携帯キー1は、UHF送信用内部アンテナ2、UHF送信回路3、CPU4、LF受信回路5、LF受信用内部アンテナ6及び内蔵電池8を主要構成として有している。
【0039】
UHF送信回路3は、UHF帯の無線信号をUHF送信用内部アンテナ2から送信する送信動作を行い、LF受信回路5はLF受信用内部アンテナ6から得られるLF帯の無線信号を受信する受信動作を行う。CPU4はUHF送信回路3による送信動作、LF受信回路5による受信動作等に基づくスマートエントリーシステムに必要な種々の制御動作を行う。なお、UHF送信回路3、CPU4及びLF受信回路5は内蔵電池8から供給される内部供給電力を動作電源としている。
【0040】
一方、本実施の形態における車載装置20はスマート無線ユニット10及びボデーECU30から構成されており、スマート無線ユニット10はボデーECU30に対し着脱自在に設けられる。図1はスマート無線ユニット10がボデーECU30に装着された状態を模式的に示している。
【0041】
図1に示すように、スマート無線ユニット10のスマート側ボデー接続用コネクタ21と、ボデーECU30のボデー側スマート接続用コネクタ31とを結合状態(コネクタ差込状態)にすることにより、スマート無線ユニット10,ボデーECU30間における電気的に接続関係を実現している。
【0042】
スマート無線ユニット10は、電源回路11、UHF受信用内部アンテナ12、UHF受信回路13、CPU14、LF送信回路15、LF送信用内部アンテナ16、内部アンテナ選択用スイッチ16S、アンテナ接続用内部配線17、内蔵電池18(内部電源)、内蔵電池選択用スイッチ18S、外部アンテナ用コネクタ19及びブザー27(あるいは表示器28)を主要構成として有している。
【0043】
そして、LF送信回路15は、閉状態の内部アンテナ選択用スイッチ16Sを介してLF送信用内部アンテナ16と接続可能であり、アンテナ接続用内部配線17を介して外部アンテナ用コネクタ19と接続される。外部アンテナ用コネクタ19は車載外部アンテナ用コネクタ23と結合することにより、車両の所定箇所に設置された複数のLF送信用外部アンテナ51それぞれと電気的に接続することができる。
【0044】
UHF受信回路13は、UHF受信用内部アンテナ12を介して携帯キー1からのUHF帯の無線信号を受信する受信動作を行い、LF送信回路15はLF帯の無線信号を携帯キー1に向けて送信する送信動作を行う。
【0045】
制御部であるCPU14はUHF受信回路13による受信動作及びLF送信回路15による送信動作を制御して、携帯キー1との間の送受信動作を含むスマートエントリーシステムに必要な種々の動作制御を行う。また、CPU14は内部アンテナ選択用スイッチ16S,内蔵電池選択用スイッチ18Sの開閉制御、後述する位置確認用プログラムの制御も行う。
【0046】
UHF受信回路13、CPU14、LF送信回路15、ブザー27(表示器28)は電源回路11から供給される出力電力を動作電源として動作を行う。
【0047】
ブザー27は後述する位置確認用プログラム実行時に、検出確認情報を聴覚認識可能に音声出力する音声出力動作を実行する。
【0048】
表示器28は後述する位置確認用プログラム実行時に、検出確認情報を視覚認識可能に表示する表示動作を実行する。なお、ブザー27及び表示器28はいずれか一方を設ければよい。
【0049】
一方、ボデーECU30は、ボデー制御入力部32、CPU34、及びボデー制御出力部33を主要構成として有している。
【0050】
ボデー制御入力部32は、車両のボデー系の種々の入力信号に基づく入力制御動作を行い、ボデー制御出力部33は出力信号を車両のボデー系の種々の機器に出力して出力制御動作を行う。
【0051】
ボデー制御入力部32、CPU34及びボデー制御出力部33は電源回路41から供給される出力電力を動作電源として受けて動作を行う。電源回路41は、車両の所定箇所に設けられたバッテリー等の主電源(図示せず)からの電源線40Lを介して得られる外部供給電力に基づき上記出力電力を供給している。
【0052】
(スマート無線ユニット10の動作(通常モード時))
このような構成において、スマート側ボデー接続用コネクタ21,ボデー側スマート接続用コネクタ31間が結合状態になると、スマート・ボデー間接続スイッチ22はこの結合状態に連動して閉状態となる。スマート・ボデー間接続スイッチ22が閉状態であるとき、スマート無線ユニット10、ボデーECU30はそれぞれ「通常モード」であると認識することができる。
【0053】
このように、スマート無線ユニット10がボデーECU30に装着された状態時は通常モードとなる。なお、通常モード時には、スマート無線ユニット10の外部アンテナ用コネクタ19は車載外部アンテナ用コネクタ23とも結合される。
【0054】
スマート無線ユニット10は、CPU14の制御下で、スマート・ボデー間接続スイッチ22の閉状態(「通常モード」)に連動して、内部アンテナ選択用スイッチ16Sを開状態、内蔵電池選択用スイッチ18Sを開状態とする。
【0055】
通常モード時において、電源回路11は、ボデーECU30内の電源線40L、ボデー側スマート接続用コネクタ31,スマート側ボデー接続用コネクタ21を介して、上記主電源からの外部供給電力を受け、この外部供給電力に基づきスマート無線ユニット10内部への出力電力の供給を行う。この際、内蔵電池選択用スイッチ18Sは開状態であるため、内蔵電池18からの内部供給電力が電源回路11に供給されることはない。
【0056】
また、LF送信回路15は「通常モード」時におおいて、アンテナ接続用内部配線17、外部アンテナ用コネクタ19及び車載外部アンテナ用コネクタ23を介して車両の所定箇所に設けられた複数のLF送信用外部アンテナ51,51に接続されており、これらのLF送信用外部アンテナ51,51それぞれからLF帯の無線信号を送信する送信動作を実行することができる。この際、内部アンテナ選択用スイッチ16Sは開状態であるため、LF送信用内部アンテナ16を用いた送信動作が行われることはない。
【0057】
(スマート無線ユニット10の動作(キー位置確認モード時))
図2はこの発明の実施の形態である車載装置及び携帯キーの構成(スマート無線ユニット分離時)を示すブロックである。図2はスマート無線ユニット10がボデーECU30から取り外されて分離した状態を模式的に示している。
【0058】
図2に示すように、スマート側ボデー接続用コネクタ21,ボデー側スマート接続用コネクタ31間の結合状態が解除され、スマート無線ユニット10はボデーECU30から取り外され分離状態になると、スマート・ボデー間接続スイッチ22はこの分離状態に連動して開状態となる。スマート・ボデー間接続スイッチ22が開状態であるとき、スマート無線ユニット10、ボデーECU30はそれぞれ「キー位置確認モード」であると認識することができる。
【0059】
なお、図2に示すように、スマート無線ユニット10は分離状態時において、車載外部アンテナ用コネクタ23との結合状態も併せて解除される。
【0060】
スマート無線ユニット10は、CPU14の制御下で、スマート・ボデー間接続スイッチ22の開状態(「キー位置確認モード」)に連動して、内部アンテナ選択用スイッチ16Sを閉状態、内蔵電池選択用スイッチ18Sを閉状態とする。
【0061】
キー位置確認モード時において、電源回路11は閉状態の内蔵電池選択用スイッチ18Sを介して内蔵電池18からの内部供給電力を受け、この内部供給電力に基づき上記出力電力を供給する。この際、スマート側ボデー接続用コネクタ21,ボデー側スマート接続用コネクタ31間は分離されているため、ボデー側スマート接続用コネクタ31から外部電源電力が供給されることはない。
【0062】
また、LF送信回路15は「キー位置確認モード」時において、閉状態の内部アンテナ選択用スイッチ16Sを介して接続されるLF送信用内部アンテナ16から、LF帯の無線信号を送信する送信動作を実行する。この際、外部アンテナ用コネクタ19は、車載外部アンテナ用コネクタ23から分離されているため、複数のLF送信用外部アンテナ51を用いた送信動作が行われることはない。
【0063】
このように、ボデーECU30及び車載外部アンテナ用コネクタ23から分離した単体のスマート無線ユニット10は、内蔵電池18及びLF送信用内部アンテナ16を用いることにより、単体で携帯キー1と送受信可能となる。
【0064】
したがって、スマート無線ユニット10は内部のフラッシュメモリ等の所定の記憶装置等(図示せず)に格納された、携帯キー1に対する位置確認用プログラムをCPU14の制御下で実行することができる。
【0065】
図3は分離状態のスマート無線ユニット10が実行可能な位置確認用プログラムの処理手順を示すフローチャートである。以下、同図を参照して、CPU14の制御下で行う位置確認用プログラムの処理の流れを説明する。
【0066】
まず、位置確認用プログラムは、キー位置確認モード時に自動的に開始される。なお、上記自動的な開始に代えて、利用者がスマート無線ユニット10に対し所定の起動操作を行ったことをトリガーとして位置確認用プログラムを開始するようにしても良い。所定の起動操作としては、例えば、スマート無線ユニット10に設けられたプッシュボタン(図示せず)の押圧等が考えられる。
【0067】
位置確認用プログラムを開始すると、ステップS1において、LF送信回路15によりLF送信用内部アンテナ16から、携帯キー1に対するLH波の探索信号を送信する送信動作を行う。なお、携帯キー1はLF波の探索信号を受信した場合、UHF波の応答信号を送信するように構成されている。
【0068】
そして、ステップS2において、ステップS1実行後の所定期間内に携帯キー1からのUHF波の応答信号がUHF受信用内部アンテナ12からUHF受信回路13に受信されたか否かの応答の有無を判断する。そして、応答があった場合(YES)はステップS3に移行し、応答が無かった場合(NO)はステップS4に移行する。
【0069】
ステップS2で応答があった場合に実行されるステップS3において、探索信号の受信範囲内に携帯キー1が存在すること指示する検出確認情報として、ブザー27より所定の音声を出力した後、位置確認用プログラムを終了する。
【0070】
一方、ステップS2で応答が無かった場合に実行されるステップS4において、音声出力を行わず、位置確認用プログラムを終了する。なお、ステップS4において、上記所定の音声と識別可能な第2の音声を出力するようにしても良い。
【0071】
したがって、位置確認用プログラムを実行してブザー27からの所定の音声出力の有無を認識することにより、スマート無線ユニット10からの探索信号の受信範囲内に携帯キー1が存在するか否かを確認することができる。
【0072】
なお、図3では簡略に図示してあるが、ステップS1,S2の処理では、一回の探索信号送信のみで応答ありか否かを判断する必要はなく、例えば、一回の探索信号送信で応答なかった場合は、再度探索信号の送信を繰り返し、あらかじめ定められた回数の探索信号送信を繰り返しても応答なかった場合に、ステップS2の応答判断処理で否定(NO)判断をする、という構成にしてもよい。
【0073】
また、スマート無線ユニット10がブザー27に代えて表示器28を有する場合、ステップS3,S4の処理における音声出力に関する処理は以下のように置き換えられる。
【0074】
ステップS3において、探索信号の受信範囲内に携帯キー1が存在すること指示する検出確認情報として、表示器28上に「応答あり」等の表示を行う。
【0075】
一方、ステップS4において、探索信号の受信範囲内に携帯キー1が存在しないこと指示する情報として、表示器28上に「応答無し」等の表示を行う、または、何も表示を行わない。
【0076】
このように、本実施の形態の車載装置20において、通常モード時においては、携帯キー1との間でスマートエントリーシステム用に用いられるスマート無線ユニット10を、キー位置確認モード時において、単独で上記位置確認用プログラムを実行可能に構成することにより、携帯キー1の探索用携帯器としても活用することができる。
【0077】
探索用携帯器として主要な構成である、UHF受信用内部アンテナ12、UHF受信回路13、CPU14及びLF送信回路15は、スマートエントリーシステム用の構成要素であるため、位置確認用プログラム実行用にスマート無線ユニット10内で追加された構成要素は、せいぜいLF送信用内部アンテナ16、内蔵電池18等にすぎず、スマート無線ユニット10の回路構成の増加を必要最小限に抑えることができる。
【0078】
(スマート無線ユニット10及びボデーECU30の通常モード時の機能)
図4は図1及び図2で示したスマート無線ユニット10及びボデーECU30の通常モード時に実行される機能構成を模式的に示すブロック図である。なお、図4は通常モード時における機能構成を中心に示しているため、LF送信用内部アンテナ16、内蔵電池18等のキー位置確認モード時に必要となる構成部の図示を適宜、省略している。
【0079】
以下、図4を参照して、スマート無線ユニット10及びボデーECU30の通常モード時における機能について説明する。
【0080】
スマート無線ユニット10の通常モード時において、LF送信回路15は、車両の所定位置設けられた運転席ドア用外部アンテナ51D、助手席ドア用外部アンテナ51A、車室内用外部アンテナ51F、ラゲッジ用外部アンテナ51R及びバックドア用外部アンテナ51Bに接続される。
【0081】
なお、図1に示したように、LF送信回路15は、アンテナ接続用内部配線17及び外部アンテナ用コネクタ19及び車載外部アンテナ用コネクタ23を介してLF送信用外部アンテナ51(51D,51A,51F,51R,51B)に接続されるが、図4では上記コネクタの図示は省略している。
【0082】
スマート無線ユニット10は各ドアリクエスト入力回路25及びシフトポジション入力回路26を有している。
【0083】
各ドアリクエスト入力回路25は、運転席側ドア、助手席側ドア、バックドア等の各ドアの各ドアリクエストSW95より得られる各ドアのリクエスト情報をCPU14に入力する。
【0084】
シフトポジション入力回路26は、Pポジション検出SW96及びシフトSW97より得られるシフトポジションに関する情報をCPU14に入力する。
【0085】
電源回路11は前述したように、ボデーECU30を介して得られる外部供給電力(+B(12V))を受けて、出力電力を内部に供給する。
【0086】
ボデーECU30は前述したように、電源回路41を有しており、電源回路41は主電源より得られる外部供給電力(+B(12V))を受けて、出力電力を内部に供給する。
【0087】
ボデーECU30は、ボデー制御入力部32として各ドア状態入力回路36、ドアロック入力回路37、及びドアアンロック入力回路38を有している。
【0088】
各ドア状態入力回路36は、各ドアカーテンSW56より得られる各ドアのカーテン情報をCPU34に入力する。
【0089】
ドアロック入力回路37は、ドアロックSW57より得られるドアロック情報をCPU34に入力する。
【0090】
ドアアンロック入力回路38はドアアンロックSW58より得られるドアアンロック情報をCPU34に入力する。
【0091】
一方、ボデーECU30は、ボデー制御出力部33として、リレー回路42、インジケータ出力回路43、ブザー駆動回路44、ルームランプ回路45、ターンシグナル回路46、エンジン始動回路47、CAN(Controller Area Network)ドライバ48、及びCAN伝達用情報48A及び警告情報48Bを有している。
【0092】
リレー回路42はCPU34の制御信号に基づき各ドアロックモータ62を動作制御する。インジケータ出力回路43はCPU34の制御信号に基づきセキュリティアラームインジケータ63の表示出力を制御する。ブザー駆動回路44はCPU34の制御信号に基づき車外ブザー64の音声出力制御を行う。
【0093】
また、ルームランプ回路45はCPU34の制御信号に基づきルームランプ65の点灯・消灯制御を行う。ターンシグナル回路46は、CPU34の制御信号に基づき各ターンシグナルランプ66の点灯・消灯制御を行う。
【0094】
エンジン始動回路47はCPU34の制御信号に基づきエンジン始動許可信号等を付与してエンジンECU67の始動を制御する。
【0095】
CANドライバ48はCPU34の制御信号に基づき、CAN伝達用情報48をエンジンECU67に伝達し、警告情報48Bをコンビネーションメータ68に伝達する等の処理を行う。
【0096】
なお、CAN伝達用情報48Aとして、シフトポジション情報、ストップランプSW情報、車速情報、IDコード照合情報等が含まれる。また、警告情報48Bとして、イモビライザ警告灯点灯要求、ACC・ON、プッシュ表示点灯要求、ブザー吹鳴要求等が含まれる。
【0097】
(無線通信範囲)
図5はスマート無線ユニット10及びLF送信用外部アンテナ51の配置例等を示す説明図である。同図(a) はLF送信用外部アンテナ51(51A,51D,51B,51F,51R)及びそのLF送信検知範囲52(52A,52D,52B,52F,52R)を示し、同図(b) はUHF受信検知範囲55を示している。
【0098】
同図(a) に示すように、スマート無線ユニット10自体は車両50の運転席近傍の所定箇所にボデーECU30(図示せず)から着脱自在に設けられる。車両50の位置検出用に助手席側のサイドドア54近傍に配置された助手席ドア用外部アンテナ51A、運転席側のサイドドア54近傍に配置された運転席ドア用外部アンテナ51D、バックドア5近傍に配置されたバックドア用外部アンテナ51Bを有している。さらに、車両50の車室内の位置検出用に車室前方及び後方に設けられた車室内用外部アンテナ51F及びラゲッジ用外部アンテナ51Rを備えている。
【0099】
助手席ドア用外部アンテナ51Aは例えば助手席のサイドドア54の外部に設けられる等により、車両50の外部に無線通信範囲52Aを有している。同様にして、運転席ドア用外部アンテナ51D及びバックドア用外部アンテナ51Bは例えば運転席のサイドドア54及びバックドア55の外部に設けられる等により、車両50の外部に無線通信範囲52D及び52Bを有している。一方、車室内用外部アンテナ51F及びラゲッジ用外部アンテナ51Rは車両50の内部に無線通信範囲52F及び52Rを有している。
【0100】
このように、車両50の外部並びに内部それぞれの位置検出用に独立したLF送信用外部アンテナ51A、51D、51B、51F及び51Rを設けている。
【0101】
図5で示すスマート無線ユニット10、LF送信用外部アンテナ51A、51D、51B、51F及び51Rそれぞれから順次送信される送信信号に対する受信信号(返信信号)の有無により、携帯キー1が無線通信範囲52A、52D、52B、52F及び52Rのいずれに存在するかを特定することができる。
【0102】
一方、図5の(b) に示すように、スマート無線ユニット10におけるUHF受信検知範囲55は比較的広いため、携帯キー1からの返信信号はスマート無線ユニット10内のUHF受信用内部アンテナ12及びUHF受信回路13により確実に受信することができる。
【0103】
(効果)
このように、本実施の形態における車載装置20におけるスマート無線ユニット10は、車両制御ユニットであるボデーECU30から取り外された分離状態時において、車両から独立して単体で携帯キー1と送受信可能であるため、車両のユーザはスマート無線ユニット10単体を用いて、携帯キー1との送受信を含む位置確認用プログラムを比較的簡単に実行することができる。
【0104】
また、スマート無線ユニット10内の電源回路11は、ボデーECU30からの分離時において、内蔵電池18からの内部供給電力を用いて出力電力の供給を行うため、スマート無線ユニット10単体で用いても支障なく出力電力を供給することができる。
【0105】
さらに、LF送信回路15は、ボデーECU30からの分離時時において、LF送信用内部アンテナ16を用いて送信動作を行うため、LF送信用外部アンテナ51を用いることなく、携帯キー1との送信動作を支障なく行うことができる。
【0106】
そして、CPU14の制御下で位置確認用プログラムを実行することにより、情報出力部であるブザー27(表示器28)は、携帯キー1が近傍存在状態であることを示す検出確認情報を聴覚、あるいは視覚認識可能に出力することができる。
【0107】
したがって、車両のユーザは、スマート無線ユニット10を用いて上記位置確認用プログラムを実行させて、ブザー27あるいは表示器28から検出確認情報の有無を認識することにより、携帯キー1が近傍存在状態であるか否かを比較的簡単に確認することができる。
【0108】
また、スマート無線ユニット10の受信信号の周波数帯をUHF帯、送信信号の周波数帯をLF帯としている。したがって、LF送信回路15については、携帯キー1の検出エリア(送信検知範囲)をスマート無線ユニット10の周辺1〜3m程度に容易に制限でき、UHF受信回路13については、携帯キー1側の出力レベルが微弱でも数十mの通信距離を確保できるため、適切な検出エリア内における携帯キー1の存在の有無を安定して確認することができる効果を奏する。
【0109】
(その他)
なお、本実施の形態ではスマート無線ユニット10にブザー27及び表示器28を設けた構成を説明したが、スマート無線ユニット10ではなく携帯キー1にブザー27(表示器28)を設ける態様も考えられる。
【0110】
例えば、携帯キー1にブザー27に相当するブザーを設けた場合、図3で示した位置確認用プログラムは以下のようになる。ステップS1の実行後、ステップS2は携帯キー1が探索信号の受信の有無を確認するステップに置き換わり、ステップS3は携帯キー1のブザーにより所定の音声出力を行うステップ、ステップS4は携帯キー1のブザーによって音声出力を行わないステップにそれぞれ置き換わる。
【0111】
この場合、携帯キー1のブザーの音声発生位置を探索することにより、速やかに携帯キー1を見つけることができる効果を奏する。
【符号の説明】
【0112】
1 携帯キー
2 UHF送信用内部アンテナ
3 UHF送信回路
4 CPU
5 LF受信回路
6 LF受信用内部アンテナ
8 内蔵電池
10 スマート無線ユニット
11 電源回路
12 UHF受信用内部アンテナ
13 UHF受信回路
14 CPU
15 LF送信回路
16 LF送信用内部アンテナ
16S 内部アンテナ選択用スイッチ
17 アンテナ接続用内部配線
18 内蔵電池
18S 内蔵電池選択用スイッチ
19 外部アンテナ用コネクタ
20 車載装置
21 スマート側ボデー接続用コネクタ
22 スマート・ボデー間接続スイッチ
23 車載外部アンテナ用コネクタ
30 ボデーECU
32 ボデー制御入力部
33 ボデー制御出力部
34 CPU
41 電源回路
51 LF送信用外部アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
前記車両に搭載され、前記車両に関する種々の制御であるボデー制御を行うボデー制御ユニットと、
前記ボデー制御ユニットと着脱可能に設けられ、スマートエントリーシステムに用いられる携帯キーと送受信を行うスマート無線ユニットとを備え、
前記スマート無線ユニットは、前記ボデー制御ユニットからの分離状態時において、前記車両から独立して単体で前記携帯キーと送受信可能であることを特徴とする、
車載装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載装置であって、
前記スマート無線ユニットは、
第1の周波数帯用の受信用内部アンテナと、
前記受信用アンテナより受ける前記第1の周波数帯の無線信号を受信する受信動作を行う受信回路と、
第2の周波数帯用の送信用内部アンテナと、
所定の送信用アンテナより前記第2の周波数帯の無線信号を送信する送信動作を行う送信回路と、
受信回路及び送信回路を含む内部回路の動作電源となる出力電力を供給する電源回路と、
内部電源と、
前記ボデー制御ユニットと着脱可能なコネクタとを含み、
前記電源回路は、
少なくとも前記コネクタの前記ボデー制御ユニットからの分離時において、前記内部電源を用いて前記電源供給動作を行い、
前記送信回路は、
少なくとも前記コネクタの前記ボデー制御ユニットからの分離時において、前記送信用内部アンテナを前記所定の送信用アンテナとして用いて前記送信動作を行う、
車載装置。
【請求項3】
請求項2記載の車載装置であって、
前記スマート無線ユニットは、
前記コネクタの前記ボデー制御ユニットからの分離時において、前記第2の周波数帯の無線信号を送信し、前記携帯キーからの前記第1の周波数帯の無線信号の受信の有無を確認することにより、前記携帯キーが前記第2の周波数帯の無線信号の通信範囲内に存在する状態である携帯キー近傍存在状態の有無を確認する、位置確認用プログラムを実行可能な制御部と、
前記携帯キー近傍存在状態であることを指示する検出確認情報を出力可能な情報出力部とをさらに含む、
車載装置。
【請求項4】
請求項3記載の車載装置であって、
前記情報出力部は、
前記検出確認情報を聴覚認識に音声出力する音声出力部を含む、
車載装置。
【請求項5】
請求項3記載の車載装置であって、
前記情報出力部は、
前記検出確認情報を視覚認識可能に表示する表示器を含む、
車載装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のうち、いずれか1項に記載の車載装置であって、
前記第1の周波数帯はUHF帯を含み、
前記第2の周波数帯はLF帯を含む、
車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−137306(P2011−137306A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296703(P2009−296703)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】