説明

車載電源装置

【課題】急峻で大きな回生電力を効率よく蓄電し、長寿命化できる車載電源装置を得る。
【解決手段】車両の制動時や減速時には、エンジン9に連結されたモータジェネレータ6が発電機として動作し車両の慣性エネルギーを電力に変換するが、電子制御ユニット10はインバータ4及び第2のDC/DCコンバータ3を制御してモータジェネレータ6が発電した電力を直流電力に変換して電気二重層キャパシタ7に蓄積する。一定時間車両の運転が停止されるときは、その停止を電子制御ユニット10が一定時間電気二重層キャパシタ7への電力の蓄積動作が行われていないことにて検出して、第3のDC/DCコンバータ5を制御して電気二重層キャパシタ7の電荷をバッテリ1へ移すか他で消費させて電圧を零にする。電気二重層キャパシタ7に回生電力を効率よく蓄積し、長時間使用しないときはその端子電圧を零にするので、電気二重層キャパシタ7を長寿命化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電源装置、例えば従来自動車やハイブリッド自動車や電気自動車などの車両に適用可能な車載電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の二酸化炭素排出量の削減を目指して、エネルギー利用効率や燃費の向上が強く求められている。近年、従来のエンジンのみで走行する従来自動車に加えて、エンジンとモータジェネレータとを組み合わせたハイブリッド自動車や、モータのみで走行する電気自動車などの電動車両が登場し、燃費向上や航続距離延長などの走行性能を高めるために車両に搭載される直流電源装置の大容量化が進んでいる。具体的には、直流電源装置を大容量化する手段として、複数の蓄電装置を並列接続したものがある。また、燃費向上や航続距離延長を行うために、車両の減速時においてモータジェネレータで発生する回生電力を、DC/DCコンバータを介して蓄電装置に蓄電する車載電源装置としての電源システムにおいて、蓄電装置に電気二重層キャパシタを用いることができる旨、記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−027798号公報(段落番号0019〜0020及び図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電源システムにおいて、蓄電装置に電気二重層キャパシタを用いた場合、電気二重層キャパシタを充放電する場合、電気二重層キャパシタは二次電池に比し端子電圧が大きく変化するという電気特性を有している。具体的には、電気二重層キャパシタに充電するとその端子電圧は充電される電荷に比例して上昇し、電気二重層キャパシタから放電すると端子電圧は放電される電荷に比例して低下する。そして、電気二重層キャパシタの電圧が非常に低い状態で回生電力を蓄電すると、蓄電用のDC/DCコンバータの許容量を超える大きな充電電流が流れ、DC/DCコンバータの破損につながるという問題点がある。
【0005】
また、電気二重層キャパシタの特有の特性の一つとして、印加電圧と寿命に関係があり、印加電圧が高いほど短寿命になることが、例えば、M.Okamura,“Status Report 2006 on ECaSS and the Nanogate−capacitors”(Page152及びFigure 3)に記載されている。従って、車載電源装置の非使用時に、本来必要でないにも拘わらず電気二重層キャパシタに高い電圧を印加し続けると無駄に短寿命化するという問題点もある。さらに、蓄電装置に用いる二次電池においては、急峻で大きな回生電力を蓄電したり、急激な大電流を放電したりすることにより大幅な寿命の低下を招くので、このような用途には電気二重層キャパシタを効果的に用いたいという要請がある。
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、急峻で大きな回生電力を効率よく蓄電し、長寿命化できる車載電源装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車載電源装置においては、蓄電装置、エネルギー回収用電力変換装置、充電用電力変換装置、電気二重層キャパシタ及び制御装置を備え車両に搭載される車載電源装置であって、
上記エネルギー回収用電力変換装置は、上記車両の慣性エネルギーを回収するために電気エネルギーに変換した電力を変換して上記電気二重層キャパシタに蓄積するものであり、
上記充電用電力変換装置は、上記電気二重層キャパシタを上記蓄電装置に接続するものであり、
上記制御装置は、上記エネルギー回収用電力変換装置の動作が所定時間以上停止するときに上記電気二重層キャパシタに蓄積されたエネルギーを上記蓄電装置に蓄積するかあるいは消費することにより上記電気二重層キャパシタの端子電圧を所定値以下に低下させるとともに、上記エネルギー回収用電力変換装置の動作開始に先立ち上記充電用電力変換装置を動作させ上記電気二重層キャパシタの端子電圧が上記所定値よりも高い第2の所定値になるように上記蓄電装置から上記電気二重層キャパシタに充電するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、蓄電装置、エネルギー回収用電力変換装置、充電用電力変換装置、電気二重層キャパシタ及び制御装置を備え車両に搭載される車載電源装置であって、
上記エネルギー回収用電力変換装置は、上記車両の慣性エネルギーを回収するために電気エネルギーに変換した電力を変換して上記電気二重層キャパシタに蓄積するものであり、
上記充電用電力変換装置は、上記電気二重層キャパシタを上記蓄電装置に接続するものであり、
上記制御装置は、上記エネルギー回収用電力変換装置の動作が所定時間以上停止するときに上記電気二重層キャパシタに蓄積されたエネルギーを上記蓄電装置に蓄積するかあるいは消費することにより上記電気二重層キャパシタの端子電圧を所定値以下に低下させるとともに、上記エネルギー回収用電力変換装置の動作開始に先立ち上記充電用電力変換装置を動作させ上記電気二重層キャパシタの端子電圧が上記所定値よりも高い第2の所定値になるように上記蓄電装置から上記電気二重層キャパシタに充電するものであるので、
急峻で大きな回生電力を効率よく蓄電し、かつ長寿命化できる車載電源装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1である車載電源装置の構成を示す構成図である。
【図2】車載電源装置の動作を説明するための説明図である。
【図3】図1の車載電源装置の変形例を示す構成図である。
【図4】さらに図1の車載電源装置の別の変形例である車載電源装置の構成を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態2である車載電源装置の構成を示す構成図である。
【図6】図5の車載電源装置の変形例を示す構成図である。
【図7】さらに図5の車載電源装置の別の変形例である車載電源装置の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1〜図4は、この発明を実施するための実施の形態1を示すものであり、図1は車載電源装置の構成を示す構成図、図2は動作を説明するための説明図、図3は図1の車載電源装置の変形例を示す構成図、図4はさらに別の変形例である車載電源装置の構成を示す構成図である。図1において、蓄電装置としてのバッテリ1のプラス側端子は第1のDC/DCコンバータ2の端子2a及び第3のDC/DCコンバータ5の端子5aに接続されており、バッテリ1のマイナス側端子は第1のDC/DCコンバータ2の端子2b及び第3のDC/DCコンバータ5の端子5bに接続されている。第1のDC/DCコンバータ2の端子2cは、第2のDC/DCコンバータ3の端子3a及びインバータ4の直流側端子である端子4a及び平滑コンデンサ8の一方の端子に接続されている。
【0010】
第1のDC/DCコンバータ2の端子2dは、第2のDC/DCコンバータ3の端子3b及びインバータ4の直流側端子である端子4b及び平滑コンデンサ8の他方の端子に接続されている。第2のDC/DCコンバータ3の端子3cは第3のDC/DCコンバータ5の端子5c及び電気二重層キャパシタ7の一方の端子に接続されている。第2のDC/DCコンバータ3の端子3dは第3のDC/DCコンバータ5の端子5d及び電気二重層キャパシタ7の他方の端子に接続されている。インバータ4の図示しない交流側端子と交流回転電機としてのモータジェネレータ(M/G)6とが接続されており、モータジェネレータ6と内燃機関としてのエンジン(ENG)9が機械的に結合されている。インバータ4は、例えば三相分のスイッチング素子を含むブリッジ回路を有し、電子制御ユニット10からの信号S4に基づいてスイッチング動作を行うことにより、直流を可変周波数可変電圧の三相交流に変換し、モータジェネレータ6を電動機として動作させ車両を駆動する。モータジェネレータ6は、三相交流回転機であり、例えば三相交流同期電動発電機が用いられる。
【0011】
制御装置としての電子制御ユニット(ECU)10は、図示しない上位の車両電子制御ユニットからの信号に基づいて信号S1,S2,S3,S4を発信し、第1のDC/DCコンバータ2、第2のDC/DCコンバータ3、第3のDC/DCコンバータ5及びインバータ4を制御する。上記上位の車両電子制御ユニットは、車両の状態(力行動作や回生動作の状態判断等)、アクセルペダルの開度や車両速度などに基づいて電子制御ユニット10に信号を送出する。なお、第1のDC/DCコンバータ2、第2のDC/DCコンバータ3、第3のDC/DCコンバータ5は、一例としては、スイッチング素子、整流素子、リアクトル、平滑コンデンサ、制御回路で構成されるチョッパ回路であり、電子制御ユニット10からの信号S1,S2,S3,S4に基づいて電圧変換を行う。なお、第3のDC/DCコンバータ5がこの発明における充電用電力変換装置であり、第2のDC/DCコンバータ3がこの発明における直流−直流電力変換装置であり、インバータ4がこの発明における回転機用電力変換装置であり、第2のDC/DCコンバータ3及びインバータ4がこの発明におけるエネルギー回収用電力変換装置である。
【0012】
次に、動作について図1及び図2を用いて説明する。まず、車両の運転が夜間など長時間停止されていて、翌朝使用開始される場合について説明する。使用開始時には、端子電圧は例えば零であるとする(詳細、後述)。車両の使用開始に際し図示しない始動スイッチが入れられると、電子制御ユニット10は第3のDC/DCコンバータ5に信号S3を発信して図2(a)における時間t1において第3のDC/DCコンバータ5を動作させ、端子5a,5b間の電圧すなわちバッテリ1の電圧を変換して電気二重層キャパシタ7を図2(b)に示すように定電流Jccで充電し、電気二重層キャパシタ7の端子電圧を図2(a)のVcのように直線状に上昇させ、この発明における第1の所定値(後述)よりも高い第2の所定値としての所定のキャパシタ初期充電電圧Vcs(例えば電気二重層キャパシタ7の定格電圧の1/3〜1/2)まで上昇させ,時間t2において充電を停止する。バッテリ1の電力で走行するときは電子制御ユニット10から信号S1を第1のDC/DCコンバータ2に出力してバッテリ1の電圧を別の電圧に変換し端子2c,2d間に出力させ、信号S4をインバータ4に出力して第1のDC/DCコンバータ2の出力を可変周波数可変電圧の三相交流に変換して出力させ、モータジェネレータ6を電動機として動作させ可変速駆動し走行させる。また、必要に応じてエンジン9にて車両を走行させる。
【0013】
車両の制動時や減速時には、図示しない駆動輪に連結されたモータジェネレータ6が発電機として動作し車両の走行時における慣性エネルギーを電力に変換するが、電子制御ユニット10はインバータ4に信号S4を発信しモータジェネレータ6が発電した交流電力を直流に変換して直流回収電力としての直流出力として出力させるとともに第2のDC/DCコンバータ3に信号S2を発信してインバータ4の直流出力を上記直流出力の電圧とは別の電圧の直流電力に変換して、端子3c,3dに接続された電気二重層キャパシタ7に蓄電する。なお、平滑コンデンサ8はモータジェネレータ6が発電した電力をインバータ4が直流電力に変換するとき、端子4a,4b間の電圧を平滑する。また、必要に応じて電子制御ユニット10は第2のDC/DCコンバータ3に信号S2を発信するとともにインバータ4に信号S4を発信し、電気二重層キャパシタ7に蓄積されたエネルギー(電荷)を、第2のDC/DCコンバータ3及びインバータ4を介して可変周波数可変電圧の三相交流電力に変換しモータジェネレータ6の駆動に用いるとともに、適宜第3のDC/DCコンバータ5に信号S3を発信しバッテリ1に適した電圧に変換し、バッテリ1に充電蓄積する。このようにして、急激に発生する回生エネルギーを急速充放電が可能でサイクル特性に優れ充放電効率の高い電気二重層キャパシタ7に一時的に蓄積し、その後バッテリ1に移したり、モータジェネレータ6による走行に使用する。
【0014】
また、一定時間車両の運転が停止されるとき例えば翌朝までの間使用が停止されるときは、電子制御ユニット10はその停止を例えば一定時間電気二重層キャパシタ7への蓄電動作が行われていないことを例えば電子制御ユニット10から信号S2が一定時間発信されていないことにより検出して、信号S3を第3のDC/DCコンバータ5に発信して、まず時間t3において電気二重層キャパシタ7に充電されている電荷をバッテリ1へ移す動作を開始させ、時間t4において、電気二重層キャパシタ7の電圧をこの発明における第1の所定値としての零にする。このとき、電気二重層キャパシタ7の端子電圧は、例えば図2(a)に示すVcdのように定格電圧Vcrから零になり、電気二重層キャパシタ7の放電電流Jcdは、図2(b)に示すように変化する。これにより、電気二重層キャパシタ7は不使用時は端子電圧が零にされる。なお、一定時間車両の運転が停止される場合を検出する検出方法は、図示していない上位の車両制御ユニットにて電子制御ユニット10から信号S2が一定時間発信されていないことにより検出したり、あるいは他の方法によって検出してもよい。また、電気二重層キャパシタ7の端子電圧をこの発明における第1の所定値としての零にするとして説明したが、一定値以下の低い電圧であれば電気二重層キャパシタ7の寿命は延びるので、第1の所定値は必ずしも零である必要はない。
【0015】
なお、ハイブリッド自動車を想定したモータジェネレータとエンジンとを組み合わせた車両に搭載される車載電源装置について説明を行ったが、図3に示すように車両が電気自動車であってバッテリ1に蓄積された電気エネルギーをインバータ4を介して交流回転電機としての車両駆動用のモータ12に供給し車両を駆動し、車両の制動時や減速時にはモータ12が発電機として動作して回生電力をインバータ4により直流に変換するものであっても、同様の効果を奏する。さらに、図4に示すように従来の自動車であるエンジン9により駆動されるオルタネータ(整流装置内蔵三相交流発電機)11がその端子11a,11bを介して第1のDC/DCコンバータ2及び第2のDC/DCコンバータ3に接続され、車両の制動時や減速時にはエンジン9を介してオルタネータ11が駆動され回生電力を電気二重層キャパシタ7やバッテリ1に蓄積する車載電源装置であっても、同様の効果を奏する。
【0016】
以上のように、この実施の形態によれば、車両の使用開始時に電気二重層キャパシタ7を初期充電することにより、車両が走行するときの慣性エネルギーを電気二重層キャパシタ7に蓄電するときに非常に大きなキャパシタ充電電流が第2のDC/DCコンバータ3に流れることを抑制することができ、急峻に発生するモータジェネレータ6からの大きな回生電力(回生エネルギー)を効率良く電気二重層キャパシタ7に蓄電でき、なおかつ車載電源装置の非使用時に電気二重層キャパシタ7の端子電圧を零あるいは所定値以下の値に制御することにより、電気二重層キャパシタ7の長寿命化を図ることができる。また、急峻に発生するモータジェネレータ6からの大きな回生電力を、まず急速充放電が可能でサイクル特性に優れ充放電効率の高い電気二重層キャパシタ7に蓄積することにより、バッテリ1への急激で大きな電流での充放電を抑制することができ、バッテリ1を長寿命化できるという効果も奏する。
【0017】
実施の形態2.
図5〜図7は、この発明を実施するための実施の形態2を示すものであり、図5は車載電源装置の構成を示す構成図、図6は図5の車載電源装置の変形例を示す構成図、図7はさらに別の変形例である車載電源装置の構成を示す構成図である。図5において、図1における第2のDC/DCコンバータ3及び第3のDC/DCコンバータ5の双方の機能を第4のDC/DCコンバータ13に持たせたものである。図5において、バッテリ1のプラス側端子は第1のDC/DCコンバータ2の端子2aに接続されており、バッテリ1のマイナス側端子は第1のDC/DCコンバータ2の端子2bに接続されている。第1のDC/DCコンバータ2の端子2cは、第4のDC/DCコンバータ13の端子13a、インバータ4の端子4a及び平滑コンデンサ8の一方の端子に接続されている。第1のDC/DCコンバータ2の端子2dは、第4のDC/DCコンバータ13の端子13b、インバータ4の端子4b及び平滑コンデンサ8の他方の端子に接続されている。
【0018】
第4のDC/DCコンバータ13の端子13cは電気二重層キャパシタ7の一方の端子に接続されており、第4のDC/DCコンバータ13の端子13dは電気二重層キャパシタ7の他方の端子に接続されている。モータジェネレータ6とエンジン9は機械的に連結されている。また、制御装置としての電子制御ユニット20は、第1のDC/DCコンバータ2、第4のDC/DCコンバータ13及びインバータ4をここには図示されていない上位車両電子制御ユニットからの信号に基づいて、信号S6,S7,S8を発信して制御する。なお、第4のDC/DCコンバータ13がこの発明における直流−直流電力変換装置であり、かつこの発明における充電用電力変換装置として兼用されるものであり、第4のDC/DCコンバータ13及びインバータ4がこの発明におけるエネルギー回収用電力変換装置である。
【0019】
次に、動作について図5及び図2を用いて説明する。車両の使用開始に際し、図示しない始動スイッチが入れられると、電子制御ユニット20は第1のDC/DCコンバータ2、第4のDC/DCコンバータ13に信号S6,S7を発信して、図2(a)における時間t1において第1のDC/DCコンバータ2、第4のDC/DCコンバータ13を動作させ、端子13a,13b間の電圧を変換して電気二重層キャパシタ7を図2(b)に示すように定電流Jccで充電し、電気二重層キャパシタ7の端子電圧を図2(a)のVcのように直線状に上昇させ、この発明における第1の所定値よりも高い第2の所定値としての所定のキャパシタ初期充電電圧Vcs(例えば電気二重層キャパシタ7の定格電圧の1/3〜1/2)まで上昇させ,時間t2において充電を停止する。
【0020】
車両の制動時や減速時には、図示しない駆動輪に連結されたモータジェネレータ6が発電機として動作し車両の慣性エネルギーを電力に変換するが、電子制御ユニット20はインバータ4に信号S8を発信するとともに第4のDC/DCコンバータ13に信号S7を発信し、モータジェネレータ6が発電した電力を直流電力に変換して、端子13c,13dに接続された電気二重層キャパシタ7に蓄電する。その他の動作については、実施の形態1と同様である。
【0021】
また、一定時間車両の運転が停止されるとき例えば翌朝までの間使用が停止されるときは、電子制御ユニット20はその停止を例えば一定時間電気二重層キャパシタ7への蓄電動作が行われていないことを例えば電子制御ユニット20から信号S7が一定時間発信されていないことにより検出して、信号S7及びS6を第4及び第1のDC/DCコンバータ13及び2に発信して、まず時間t3において電気二重層キャパシタ7に充電されている電荷をバッテリ1へ移す動作を開始させ、時間t4において、電気二重層キャパシタ7の電圧をこの発明における第1の所定値としての零にする。このとき、電気二重層キャパシタ7の端子電圧は、例えば図2(a)に示すVcdのように定格電圧Vcrから零になり、電気二重層キャパシタ7の放電電流Jcdは、図2(b)に示すように変化する。これにより、電気二重層キャパシタ7は不使用時は端子電圧が零にされる。なお、一定時間車両の運転が停止される場合を検出する検出方法は、図示していない上位の車両制御ユニットにて電子制御ユニット20から信号S2が一定時間発信されていないことにより検出したり、あるいは他の方法によって検出してもよい。また、電気二重層キャパシタ7の端子電圧をこの発明における第1の所定値としての零にするとして説明したが、一定値以下の低い電圧であれば電気二重層キャパシタ7の寿命は延びるので、第1の所定値は必ずしも零である必要はない。
【0022】
なお、以上ではハイブリッド自動車を想定したモータジェネレータ6とエンジン9との組み合わせた車載電源装置について説明を行ったが、図6に示すように車両が電気自動車であってバッテリ1の電力を第1のDC/DCコンバータ2及びインバータ4を介してモータ12に供給することにより車両を駆動し、車両の制動時や減速時にはモータ12が発電機として動作して回生電力をインバータ4により直流に変換するものであっても、同様の効果を奏する。さらに、図7に示すように従来の自動車であるエンジン9により駆動される発電機としてのオルタネータ11がその端子11a,11bを介して第1のDC/DCコンバータ2及び第4のDC/DCコンバータ13に接続され、車両の制動時や減速時には車両の慣性エネルギーが車輪からエンジン9を介してオルタネータ11に伝達されて駆動されオルタネータ11で発電した回生電力を電気二重層キャパシタ7やバッテリ1に蓄電する車載電源装置であっても、同様の効果を奏する。また、車両の慣性エネルギーを電力に変換する発電機は、交流発電機に限られるものではなく、直流発電機であってもよく、この場合は例えば図1においてインバータ5の代わりに別のDC/DCコンバータを設けたり、あるいはインバータ5を省略することもできる。
【符号の説明】
【0023】
1 バッテリ、3 第2のDC/DCコンバータ、4 インバータ、
5 第3のDC/DCコンバータ、6 モータジェネレータ、
7 電気二重層キャパシタ、9 エンジン、10,20 電子制御ユニット、
11 オルタネータ、12 モータ、13 第4のDC/DCコンバータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置、エネルギー回収用電力変換装置、充電用電力変換装置、電気二重層キャパシタ及び制御装置を備え車両に搭載される車載電源装置であって、
上記エネルギー回収用電力変換装置は、上記車両の慣性エネルギーを回収するために電気エネルギーに変換した電力を変換して上記電気二重層キャパシタに蓄積するものであり、
上記充電用電力変換装置は、上記電気二重層キャパシタを上記蓄電装置に接続するものであり、
上記制御装置は、上記エネルギー回収用電力変換装置の動作が所定時間以上停止するときに上記電気二重層キャパシタに蓄積されたエネルギーを上記蓄電装置に蓄積するかあるいは消費することにより上記電気二重層キャパシタの端子電圧を所定値以下に低下させるとともに、上記エネルギー回収用電力変換装置の動作開始に先立ち上記充電用電力変換装置を動作させ上記電気二重層キャパシタの端子電圧が上記所定値よりも高い第2の所定値になるように上記蓄電装置から上記電気二重層キャパシタに充電するものである
車載電源装置。
【請求項2】
上記車両は、ハイブリッド車両または電気自動車であって、上記車両を駆動する交流回転電機を有するものであり、
上記エネルギー回収用電力変換装置は、回転電機用電力変換装置と直流−直流電力変換装置とを有するものであって、
上記回転電機用電力変換装置は、直流側端子と交流側端子とを有し、上記直流側端子が上記蓄電装置に接続され上記蓄電装置の直流を上記交流回転電機を駆動するための交流に変換して上記交流側端子から出力し、上記交流回転電機が発電機として動作し上記車両の慣性エネルギーを交流電力として回収するときは上記交流側端子に入力される上記交流電力を直流に変換して上記直流側端子から直流回収電力として出力するものであり、
上記直流−直流電力変換装置は、上記直流回収電力を電圧変換して上記電気二重層キャパシタに蓄積するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の車載電源装置。
【請求項3】
上記直流−直流電力変換装置が上記充電用電力変換装置として兼用されるものである
ことを特徴とする請求項2に記載の車載電源装置。
【請求項4】
上記車両は、内燃機関を車両駆動動力源とするものであり、
上記エネルギー回収用電力変換装置は、上記車両の慣性エネルギーを回収するために電気エネルギーに変換した電力を変換して上記電気二重層キャパシタに蓄積するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の車載電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−23791(P2012−23791A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157483(P2010−157483)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】