説明

車輪用軸受装置

【課題】 重量増を招くことなく、ハブ輪における内輪突き当て部への応力を緩和できる車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】 車輪用軸受装置は、外方部材1の内周に形成した複数列の転走面3と、これらに対向して内方部材2の外周に形成した複数列の転走面4との間に複数列の転動体5を介在させて構成される。内方部材2は、車輪取付用ハブフランジ9aと軸部9bを有するハブ輪9と、その外周に嵌合した内輪10とでなる。ハブ輪軸部9bの外周には、円筒面部12aとそのアウトボード側端から立ち上がる段差面部12bとでなる断面L字状の内輪嵌合面12が形成され、内輪嵌合面12に内輪10が嵌合する。内輪嵌合面12の円筒面部12aと段差面部12bとの間の隅部に面取り部17を設ける。この面取り部17は、円筒面部12aよりも小径となる環状凹み部17aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗用車用や貨物車用などの車輪用軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪用軸受け装置の従来例として、その回転側部材となる内方部材を、車輪が取付けられるハブ輪と、このハブ輪の軸部外周に嵌合する内輪とで構成したものが知られている(例えば特許文献1)。
前記ハブ輪の軸部の外周には、円筒面部と、この内輪嵌合面部のアウトボード側端から立ち上がる段差面部からなる断面L字状の内輪嵌合面が形成され、この内輪嵌合面に内輪が嵌合する。内輪嵌合面の段差面部には、内輪の端面が突き当てられる。
【0003】
ハブ輪の内輪嵌合面における前記円筒面部と段差面部との間の隅部には、モーメント荷重が負荷された際に応力が集中する。この種の従来の車輪用軸受装置では、図5(B)に示すように、前記内輪嵌合面における隅部の面取り部30の断面形状を、単一の円弧で繋いだ凹曲線状としているが、これでは前記応力を低減できない。そこで、特許文献1に開示された車輪用軸受装置では、面取り部30を、図5(A)に示すように複数の円弧からなる凹曲線状として、前記応力の低減を図っている。なお、図6には、前記内輪嵌合面における隅部30の断面形状を単一の円弧からなる凹曲線状とする場合の寸法例を示している。
【特許文献1】特開平11−129703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内輪嵌合面における隅部の面取り部30に発生する応力を下げるためには、面取り部30の円弧断面の半径を大きくする必要がある。しかし、この面取り部30は、内輪嵌合面に嵌合する内輪の隅部の面取り部が対向する部分であるため、内輪の面取り部よりも大きな半径とすると、内輪の面取り部とハブ輪の面取り部30との干渉等が懸念される。
この干渉を避け、かつ前記面取り部30の半径を大きくするには、内輪の肉厚を厚くして軸受装置の径方向寸法を大きくし、内輪の面取り部の半径を大きくすることが必要となる。内輪の肉厚を同じとしたままで内輪の面取り部の半径を大きくすると、内輪の端面とハブ輪の内輪嵌合面における段差面部との接触面積が不十分となる。この接触面積の確保のために、軸受装置の径方向寸法を大きくしなければならない。しかし、これでは車輪用軸受装置の重量増を招くこととなる。
具体的には、前記内輪嵌合面における隅部30の断面円弧状の半径を1.0mmとした図6(A)の寸法例では、内輪嵌合面の径方向長さが1.0mmとなる。これに対して、前記隅部30の断面円弧状の半径を1.3mmと大きくした図6(B)の寸法例では、内輪嵌合面の径方向長さが1.3mmと長くなってしまう。これに対応して、軸受装置の径方向寸法が大きくなる。
【0005】
この発明の目的は、重量増を招くことなく、ハブ輪における内輪嵌合面の隅部の発生応力を緩和することができる車輪用軸受装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の車輪用軸受装置は、内周に複数列の転走面が形成された外方部材と、前記各転走面に対向する転走面が外周に形成された内方部材と、これら対向する転走面間に介在した複数列の転動体とを備え、前記内方部材が、車輪を取付けるハブフランジおよび軸部を有しこの軸部の外周に円筒面部およびこの円筒面部のアウトボード側端から立ち上がる段差面部からなる断面L字状の内輪嵌合面が形成されたハブ輪と、このハブ輪の前記内輪嵌合面に嵌合した内輪とでなり、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の前記内輪嵌合面における円筒面部と段差面部との間の隅部に、断面円弧状の面取り部を設け、この面取り部を、前記内輪嵌合面の円筒面部に隣接する部分が、この円筒面部よりも小径となる環状凹み部となる形状としたことを特徴とする。
【0007】
この構成によると、ハブ輪の内輪嵌合面における、内輪突き当て部となる断面円弧状の面取り部を、一部が円筒面部よりも小径となる環状凹み部となる形状としている。このため、この面取り部に対向する内輪の面取り部との干渉の問題を生じることなく、ハブ輪の内輪突き当て部となる面取り部の半径を大きくすることができ、この面取り部の半径を大きくすることで、ハブ輪の上記面取り部の発生応力を低減することができる。内輪の面取り部との干渉の問題がないため、内輪の肉厚を増やして軸受装置の径方向寸法を大きくする必要がなく、重量増を招くことがない。このように、重量増を招くことなく、ハブ輪における内輪嵌合面の隅部の発生応力を緩和することができる。
【0008】
この発明において、前記ハブ輪の前記内輪嵌合面は、前記ハブ輪の軸部のインボード側端に形成され、このハブ輪の軸部の前記内輪嵌合面よりもアウトボード側の部分、および前記内輪に、前記複数列の転走面における一部の転走面がそれぞれ形成されても良い。このような、ハブ輪および内輪の両方に転走面が形成された形式の車輪用軸受において、内輪突き当て部となるハブ輪の断面円弧状の面取り部を、一部が円筒面部よりも小径となる環状凹み部となる形状としたことによる、重量増を招くことなく、ハブ輪における内輪嵌合面の隅部の発生応力を緩和するという利点が、効果的に発揮される。
【0009】
この発明において、前記ハブ輪の前記内輪嵌合面は、前記軸部におけるインボード側端から前記ハブフランジの近傍まで続き、前記内輪嵌合面に嵌合する内輪に、前記複数列の転走面の全ての転走面が形成されても良い。このような、内輪のみに転走面を形成した形式の車輪用軸受においても、内輪突き当て部となるハブ輪の断面円弧状の面取り部を、一部が円筒面部よりも小径となる環状凹み部となる形状としたことによる、重量増を招くことなく、ハブ輪における内輪嵌合面の隅部の発生応力を緩和するという利点が、効果的に発揮される。
【0010】
この発明において、前記内輪嵌合面の前記隅部の前記面取り部の表面を研磨面としても良い。面取り部の表面が研磨面であると、表面粗さが細かいため、繰り返し作用する応力に対して、耐久性がより一層向上する。
【0011】
この発明において、前記ハブ輪の外周に、前記内輪嵌合面の前記段差面部から前記ハブフランジ側に続いて、前記外方部材に取付けられて内方部材と外方部材との間を密封するシールが摺接するシール摺接面が形成され、このシール摺接面と前記内輪嵌合面と前記面取り部を、同時研磨された研磨面としても良い。このように同時研磨を行うことで、効率良く研磨でき、かつ各研磨面の間の寸法相互差がより少なくできて、耐久性がより優れたものとなる。
【0012】
この発明において、前記内輪嵌合面の前記隅部の前記面取り部の表面粗さを0.7Ra以下としても良い。面取り部の表面粗さを0.7Ra以下と細かいと、繰り返し作用する応力に対して、耐久性がより一層向上する。
【発明の効果】
【0013】
この発明の車輪用軸受装置は、内周に複数列の転走面が形成された外方部材と、前記各転走面に対向する転走面が外周に形成された内方部材と、これら対向する転走面間に介在した複数列の転動体とを備え、前記内方部材が、車輪を取付けるハブフランジおよび軸部を有しこの軸部の外周に円筒面部およびこの円筒面部のアウトボード側端から立ち上がる段差面部からなる断面L字状の内輪嵌合面が形成されたハブ輪と、このハブ輪の前記内輪嵌合面に嵌合した内輪とでなり、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の前記内輪嵌合面における前記円筒面部と段差面部との間の隅部に、断面円弧状の面取り部を設け、この面取り部を、前記内輪嵌合面の円筒面部に隣接する部分が、この円筒面部よりも小径となる環状凹み部となる形状としたため、重量増を招くことなく、ハブ輪における内輪嵌合面隅部への応力を緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の一実施形態を図1と共に説明する。この実施形態の車輪用軸受装置は、第3世代型の内輪回転タイプで、駆動輪支持用のものである。なお、この明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
【0015】
この車輪用軸受装置は、図1(A)に断面図で示すように、内周に複数列の転走面3を形成した外方部材1と、これら各転走面3に対向する転走面4を外周に形成した内方部材2と、これら外方部材1および内方部材2の転走面3,4間に介在した複列の転動体5とで構成される。この車輪用軸受装置は、複数列の円錐ころ軸受型とされていて、転動体5は円錐ころからなり、各列毎に保持器6で保持されている。外方部材1と内方部材2との間の軸受空間の両端は、外方部材1に取付けられた一対のシール7,8によってそれぞれ密封されている。
【0016】
外方部材1は固定側部材となるものであって、車体の懸架装置におけるナックル(図示せず)に取付ける車体取付用フランジ1aを外周に有し、全体が一体の部品とされている。フランジ1aには円周方向の複数箇所に車体取付用のボルト挿通孔14が設けられ、アウトボード側より前記ボルト挿通孔14に挿通したナックルボルトをナックルのボルト孔(いずれも図示せず)に螺合することにより、車体取付用フランジ1aがナックルに取付けられる。
【0017】
内方部材2は回転側部材となるものであって、車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bのインボード側端の外周に嵌合した単列の内輪10とでなる。ハブ輪9の軸部9bのインボード側端の外周には、円筒面部12aと、この円筒面部12aのアウトボード側端から立ち上がる段差面部12bからなる断面L字状の内輪嵌合面12が形成され、この内輪嵌合面12に内輪10が嵌合している。このハブ輪9の軸部9bの前記内輪嵌合面12よりもアウトボード側の部分、および前記内輪10に、前記複数列の転走面4における一部の転走面4がそれぞれ形成されている。また、ハブ輪9の軸部9bのインボード側端には、内輪10を加締固定する加締部9baが形成されている。ハブ輪9の中心には貫通孔11が設けられている。この貫通孔11に、等速ジョイントの外輪のステム部(図示せず)を挿通し、ステム部の先端に螺合するナット(図示せず)とステム部基端に続くカップ部端面との間で、内方部材2が挟まれ、車輪用軸受装置と等速ジョイントとが連結される。ハブフランジ9aには、円周方向の複数箇所にハブボルト15の圧入孔16が設けられている。ハブ輪9のハブフランジ9aの根元部付近には、車輪および制動部品(図示せず)を案内するパイロット部13がアウトボード側に突出している。また、ハブ輪9の外周には、内輪嵌合面12の段差面部12bからハブフランジ9a側に続いて、アウトボード側のシール7が摺接するシール摺接面9cが形成されている。
【0018】
図1(A)におけるハブ輪9のB部を拡大して示す図1(B)のように、前記内輪嵌合面12における円筒面部12aと段差面部12bとの間の隅部には、面取り部17が設けられている。この面取り部17は、内輪嵌合面12の円筒面部12aに隣接する部分が、この円筒面部12aよりも小径となる環状凹み部17aとなる形状とされている。面取り部17の断面形状は、環状凹み部17aを含めて全体が単一の曲率半径の円弧状とされている。
この実施形態では、前記シール摺接面9cと、前記内輪嵌合面12と、前記面取り部
17とを、同時研磨された研磨面としている。この同時研磨は、前記シール摺接面9c、前記内輪嵌合面12、および前記面取り部17の仕上がり形状の断面形状を有する一体の砥石を用いて行われる。なお、面取り部17のみを研磨面としても良い。また、この実施形態では、面取り部17の表面粗さを0.7Ra以下としている。図1(C)には、前記面取り部17の寸法例を示している。
ハブ輪9の前記面取り部17と対向する内輪10の隅部には、面取り部10aが設けられている。この面取り部10aの断面形状は、全体が単一の曲率半径の円弧状であり、その曲率半径は、ハブ輪9の前記面取り部17の曲率半径と同寸以下とされている。
【0019】
この構成の車輪用軸受装置によると、ハブ輪9の内輪嵌合面12における、内輪突き当て部となる断面円弧状の面取り部17を、一部が円筒面部12aよりも小径となる環状凹み部17aとなる形状としている。このため、この面取り部17に対向する内輪10の面取り部10aとの干渉の問題を生じることなく、ハブ輪9の内輪突き当て部となる面取り部17の半径を大きくすることができる。この面取り部17の半径を大きくすることで、ハブ輪9の上記面取り部17の発生応力を低減することができる。内輪10の面取り部10aとの干渉の問題がないため、内輪10の肉厚を増やして軸受装置の径方向寸法を大きくする必要がなく、重量増を招くことがない。このように、重量増を招くことなく、ハブ輪9における内輪嵌合面12の隅部の発生応力を緩和することができる。
【0020】
具体例を挙げると、ハブ輪9の前記面取り部17の半径を、図6(B)に示す従来例と同じ1.3mmとした場合、図1(C)のように面取り部17の、前記円筒面部12aに対する径方向長さは1.0mmとなり、図6(B)の従来例の場合(径方向長さ1.3mm)よりも短くなる。つまり、面取り部17の半径を、図6(A)の従来例(半径1.0mm)より大きくしていながら、図6(A)の従来例の場合と同じ径方向長さに抑えることができる。この実施形態の寸法例である図1(C)のものと、図6(A)に示す従来例のものについて、発生応力を比較した結果を表1に示す。
【0021】
【表1】

【0022】
この比較結果から、この実施形態のものでは、従来例の場合に比べて前記応力が7.8%だけ低減されていることが分かる。
【0023】
図2は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態の車輪用軸受装置は、第2世代に分類される複数列の円錐ころ軸受型であり、内輪回転タイプでかつ駆動輪支持用のものである。回転側部材である内方部材2は、ハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bの外周に、軸方向に並べてそれぞれ圧入状態に嵌合させた2列の内輪10A,10Bとでなる。ハブ輪9の内輪嵌合面12は、軸部9bにおけるインボード側端からハブフランジ9aの近傍まで続き、この内輪嵌合面12に前記2列の内輪10A,10Bが嵌合する。これら2列の内輪10A,10Bに、内方部材2の複数列の転走面4の全ての転走面4が形成されている。外方部材1の車体取付用フランジ1aの円周方向の複数箇所にはボルト孔14Aが設けられ、インボード側よりナックルのボルト挿通孔に挿通したナックルボルト(いずれも図示せず)を前記ボルト孔14Aに螺合することにより、車体取付用フランジ1aがナックルに取付けられる。図2におけるB部の形状、およびその他の構成は、図1の実施形態の場合と略同様である。
【0024】
図3は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の車輪用軸受装置は、第3世代に分類されるタンデムアンギュラ玉軸受型であり、内輪回転タイプでかつ駆動輪支持用のものである。複数列(ここでは4列)の転動体5はボールからなり、内方部材2の4列の転走面4は、ハブ輪9の軸部9bの外周における内輪嵌合面12よりもアウトボード側の部分に2列、内輪10の外周に2列がそれぞれ形成されている。図3におけるB部の形状、およびその他の構成は、図1の実施形態の場合と略同様である。
【0025】
図4は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の車輪用軸受装置は、第1世代に分類される複列のアンギュラ玉軸受型であり、内輪回転タイプでかつ駆動輪支持用のものである。固定側部材となる外方部材1は、外径面が全体にわたって円筒状面とされ、車体の懸架装置におけるナックル(図示せず)の内径面に嵌合することで、外方部材1がナックルに固定される。回転側部材となる内方部材2は、ハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bの外周に嵌合した複列の内輪10A,10Bとでなる。転動体6はボールからなる。ハブ輪9の中心の貫通孔11に、等速ジョイントの外輪のステム部(図示せず)を挿通し、ステム部の基端周辺の段面と先端に螺合するナット(図示せず)との間で内方部材2を挟むことにより、車輪用軸受装置と等速ジョイントとが連結される。図4におけるB部の形状、その他の構成は図2の実施形態の場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(A)はこの発明の一実施形態にかかる車輪用軸受装置の断面図、(B)は(A)におけるハブ輪のB部の拡大図、(C)はその寸法例を示す図である。
【図2】この発明の他の実施形態にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図3】この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図4】この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図5】従来例におけるハブ輪の内輪嵌合面隅部の各例を示す拡大断面図である。
【図6】図5(B)の隅部形状に対する各寸法例を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1…外方部材
2…内方部材
3,4…転走面
5…転動体
78…シール
9…ハブ輪
9a…ハブフランジ
9b…軸部
9c…シール摺接面
10,10A,10B…内輪
12…内輪嵌合面
12a…円筒面部
12b…段差面部
17…面取り部
17a…環状凹み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周に複数列の転走面が形成された外方部材と、前記各転走面に対向する転走面が外周に形成された内方部材と、これら対向する転走面間に介在した複数列の転動体とを備え、前記内方部材が、車輪を取付けるハブフランジおよび軸部を有しこの軸部の外周に円筒面部およびこの円筒面部のアウトボード側端から立ち上がる段差面部からなる断面L字状の内輪嵌合面が形成されたハブ輪と、このハブ輪の前記内輪嵌合面に嵌合した内輪とでなり、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、
前記ハブ輪の前記内輪嵌合面における前記円筒面部と段差面部との間の隅部に、断面円弧状の面取り部を設け、この面取り部を、前記内輪嵌合面の円筒面部に隣接する部分が、この円筒面部よりも小径となる環状凹み部となる形状としたことを特徴とする車輪用軸受装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ハブ輪の前記内輪嵌合面は、前記ハブ輪の軸部のインボード側端に形成され、このハブ輪の軸部の前記内輪嵌合面よりもアウトボード側の部分、および前記内輪に、前記複数列の転走面における一部の転走面がそれぞれ形成された車輪用軸受装置。
【請求項3】
請求項1において、前記ハブ輪の前記内輪嵌合面は、前記軸部におけるインボード側端から前記ハブフランジの近傍まで続き、前記内輪嵌合面に嵌合する内輪に、前記複数列の転走面の全ての転走面が形成された車輪用軸受装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記内輪嵌合面の前記隅部の前記面取り部の表面を研磨面とした車輪用軸受装置。
【請求項5】
請求項2において、前記ハブ輪の外周に、前記内輪嵌合面の前記段差面部から前記ハブフランジ側に続いて、前記外方部材に取付けられて内方部材と外方部材との間を密封するシールが摺接するシール摺接面が形成され、このシール摺接面と、前記内輪嵌合面と、前記面取り部を、同時研磨された研磨面とした車輪用軸受装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記内輪嵌合面の前記隅部の前記面取り部の表面粗さを0.7Ra以下とした車輪用軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−156450(P2009−156450A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338628(P2007−338628)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】