軟質材料による留め具の製造方法
【課題】 構成が簡素で低コストである軟質材料の留め具の製造方法の提供。
【解決手段】凹凸の結合部を有し凹留め具1と凸留め具2で構成される一対の軟質材料の留め具を成形する製造方法である。凹留め具用金型4aと凸留め具用金型4bとにおいて、各々の上金型4cおよび下金型4dの間の型内に所定量のシリコーンゴムを充填させ、この上金型4cと下金型4dの金型を閉じた後、加熱加圧して前記留め具を成形する。凹留め具用金型4aと凸留め具用金型4bは、一体の金型であるとよい。凹留め具用金型4aには入れ子6を挿入して凹留め具1を製造する。
【解決手段】凹凸の結合部を有し凹留め具1と凸留め具2で構成される一対の軟質材料の留め具を成形する製造方法である。凹留め具用金型4aと凸留め具用金型4bとにおいて、各々の上金型4cおよび下金型4dの間の型内に所定量のシリコーンゴムを充填させ、この上金型4cと下金型4dの金型を閉じた後、加熱加圧して前記留め具を成形する。凹留め具用金型4aと凸留め具用金型4bは、一体の金型であるとよい。凹留め具用金型4aには入れ子6を挿入して凹留め具1を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装身具等の連結に使用される留め具の製造方法に関する。更に詳しくは、一対の凹凸部を介して連結、連結解除を行う軟質材料による留め具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装身具等に関する留め具は、従来から種々のタイプのものが提案され実用化されている。この留め具を利用した装身具等は留め具と一体になって使用され市場に流通している。留め具は使用対象に応じ、又デザイン等が考慮され製作されている。例えばベルト等の留め具であれば、金属あるいは合成樹脂(プラスチック)のような硬質のものが使用されている。
【0003】
更に硬質のものと軟質の材質を組み合わせた留め具も知られている。装身具等の対象とする使用範囲は、高価なものから大衆的な低価格のものまで、又幼児から老人までと、さらに健康器具、医療関係のものを含め幅の広い分野に跨っている。特に大衆的なものは、装身具等安価なものが多く、その関係で留め具も簡素で低価格のものが要求される。
【0004】
留め具においてその製品としての従来例を説明すると、例えば、衣服、ベルト、バッグ等の留め具として、硬質素材の雄部材と弾性部材を一体化した雌部材の組み合わせたものがある(例えば、特許文献1参照)。また紐状体の連結手段として、押し引きの動作のみで留め具の連結と解除を行うもので、部材としては複数の部品構成を伴うものがある(例えば、特許文献2参照)。これは筒状部材に突出部材の首部を嵌めこみ結合するものである。
【0005】
又、ゴム拘束式の連結具であるが、一対の留め具を相互に回転させて止める構成のものが知られている(例えば、特許文献3参照)。更に、ネックレス等を一対の凹凸部材の押し引きで連結、連結解除を行うタイプ等が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3069801号公報
【特許文献2】実用新案登録第3094783号公報
【特許文献3】実用新案登録第3066271号公報
【特許文献4】特開2001−275725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、留め具においては種々のものが製造され公知のものが多く、市場で目に触れる機会は多い。しかし市場にあるものは奢侈性の伴うものもあり、工業製品のように必ずしも全てが製造技術として完成されたものではない。特に大衆性が要求されるものは、通常市場価格は安く設定されているので、構成が簡素で低コストで製造できるものでなければならない。
【0007】
従来より、常時、身体につけている装身具、健康器具等においては、軟質の材料で形成され、簡単な操作で連結、連結解除ができる留め具の開発が要望されていたが、軟質の材料で留め具を製造する方法がなかった。すなわち、一般的に行なわれている成形方法は、合成樹脂等の材料を溶融させて射出成形等する方法が多く、軟質の材料を製造するには向いていなかった。
【0008】
本発明は前述のような従来の技術背景の問題点を解決するために開発されたものであり、下記の目的を達成する。
【0009】
本発明の目的は、構成を簡素にして低コストで製造ができ、簡単な操作で連結、連結解除ができる軟質材料による留め具の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するため次の手段を採る。
【0011】
本発明1の軟質材料による留め具の製造方法は、凹凸の結合部を有し凹留め具と凸留め具の一対の留め具を成形する製造方法であって、前記凹留め具を成形するための凹留め具用金型と、前記凸留め具を成形するための凸留め具用金型において、前記凹留め具用金型及び前記凸留め具用金型の各々の上金型及び下金型の間の型内に所定量の軟質材料を充填させ、前記上金型及び下金型を閉じた後、所定の温度、圧力に、加熱、加圧処理して前記一対の留め具を成形することを特徴とする。
【0012】
本発明2の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1において、前記凹留め具用金型の型内に前記軟質材料を充填させるとともに、凹部連結側に前記凸留め具に対応する凸部形状の入れ子を挿入し、前記加熱、加圧処理して成形した後前記入れ子を除去するようにして凹留め具を製造するようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明3の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1において、前記凸留め具用金型の上金型及び下金型の本体用金型の型内に第1の軟質材料を充填させるとともに、前記凸留め具用金型の上金型及び下金型の凸部用金型の型内に前記第1の軟質材料に比し硬度が高い第2の軟質材料を充填し、前記加熱、加圧処理して成形して留め具本体と凸部材とを一体化するようにして前記凸留め具を製造するようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明4の軟質材料による留め具の製造方法は、発本明1において、前記凹留め具用金型と前記凸留め具用金型は一体形状の金型で、前記凹留め具と前記凸留め具を同時成形するようにして前記一対の留め具を製造することを特徴とする。
【0015】
本発明5の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1において、前記凹留め具と前記凸留め具とは同材質の軟質材料のものであることを特徴とする。
【0016】
本発明6の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1において、前記凹留め具用金型と前記凸留め具用金型に、前記一対の留め具を各々貫通する穴を有するように入れ子を挿入し成形するようにしたことを特徴とする。
【0017】
本発明7の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1から6において、
前記軟質材料は、熱可塑性合成樹脂、熱可塑性エラストマ及び合成ゴムから選択される1種以上であることを特徴とする。
【0018】
本発明8の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1から6において、
前記軟質材料は、シリコーンゴムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上、詳記したように、金型構成を凹凸留め具用とし、簡素な構成にし低コストで一対の留め具を軟質材料で製造できるようになった。又、凹凸連結部を軟質材料にすることにより連結、連結解除機能が確実で、手の感触等の良い軟質材料の留め具を製造することができるようになった。また、押し込む操作、引き抜く操作の簡単な操作で、軟質材料の弾性変形、摩擦等を利用し、連結、連結解除動作が確実に行える簡素な構成のものが製造できるようになった。
【0020】
また、軟質材料を金型に充填させ、加熱加圧するだけの簡単な方法で製造することができ、製造方法の簡素化が図れ低コストで製造できる。さらに、軟質材料に入れ子を挿入し、加熱加圧し、固化後入れ子を離脱させるだけの簡単な方法で、留め具の穴の凹形状部の形成を容易に行うことができ、製造方法の簡素化が図れ低コストで製造できる。また、留め具の本体部と凸部材とを、硬度の異なる軟質材料で一体化させることが容易に行え、製造方法の簡素化が図れ低コストで製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の軟質材料としては、弾性変形可能なシリコーンゴム、ウレタンゴム等の軟質の熱可塑性合成樹脂、熱可塑性エラストマ、合成ゴム材料などから選択される1種以上のものが使用できる。なお、本実施の形態においては、軟質材料としてシリコーンゴムを適用した留め具の製造方法で説明を行う。留め具は凹凸部で結合する一対の留め具であり、この一対の留め具は凹留め具と凸留め具に分かれ、凹凸連結部分で連結または連結解除するようになっている。
【0022】
図1は、本発明の軟質材料による留め具の製造方法による一対の留め具製造工程を示すフロー図である。図2は、製造される一対の留め具の形態を示す正面図であり、図2(イ)は連結状態を示し、図2(ロ)は連結解除状態を示す。図3は、金型の平面図、図4は、図3をA−A線で切断した断面図、図5は、図3をB−B線で切断した断面図である。
【0023】
図1のフロー図に従って製造工程を説明する。製造対象の留め具は凹留め具(雌側)と凸留め具(雄側)の一対の留め具である。この一対の留め具の各々を成形するための金型が準備される。
【0024】
留め具の材料となるシリコーンゴム(素材)は、混練されたものである(101)。この混練されたシリコーンゴム(素材)を留め具の大きさ、形状に合せ所定量切り出す(102)。切り出されたシリコーンゴムは一対の留め具の各々を成形するための金型の型内、すなわち凹留め具用金型に形成された空間(キャビティ)及び凸留め具用金型に形成された空間(キャビティ)に充填される(103,104)。
凹留め具用金型に形成された空間に、シリコーンゴム充填中、又は充填後に、凸部形状の入れ子を挿入する。
【0025】
凹留め具用金型及び凸留め具用金型は一体のものであり、上金型と下金型に分かれている。シリコーンゴムの充填、入れ子の挿入を行った後、位置決めピン、位置決め穴等である位置決め部材により位置決めをし、この金型を閉じる(105)。すなわち、両方の金型を組み付けるようにする。金型を閉じた後、所定の温度、所定の圧力に、加熱処理及び加圧処理を施す(106)。次に、金型を開き(107)、両方の金型を分離する。各金型より固化して成形された凹留め具と凸留め具を取り出す(108,109)。凹留め具においては、入れ子を抜き(110)、各々の留め具を仕上げして、凹留め具及び凸留め具は相互に連結可能な一対の留め具構成となり完成する(111)。次にその具体的製造方法について説明する。
【0026】
図2に連結状態(イ)と連結解除状態(ロ)にある一対の留め具を示す。この一対の留め具は、連結部分が穴の凹形状部1aをなす雌形の凹留め具1と、先端が球形の凸形状部2aをなす雄形の凸留め具2とから構成されている。この一対の留め具には装身具3等が取り付けられる。この一対の留め具は、凹凸形状部1a、2aが相互に嵌合可能になっていて、凹留め具1に凸留め具2を挿入するときには、凹形状部1a、凸形状部2aが所定の力以上で押圧されたとき弾性変形する。凹留め具1、凸留め具2が、ともに、軟質のシリコーンゴムで成形されているので、容易に挿入することができる。連結状態にあるときは凸留め具2の凸形状部2aの球形が凹留め具1の凹形状部1aの穴に嵌り込む。そして、嵌り込んだ状態では、摩擦力、弾性力で相互に保持されている。連結を解除するときは一対の留め具を相互に把持して引っ張るとよい。すなわち、所定以上の力で引っ張ったとき、凹形状部1a、凸形状部2aが弾性変形して離脱する。本実施の形態においては、これら凹留め具1と凸留め具2は一体の金型4で同時に成形する製造方法としているが、別々に製造してもよい。すなわち、凹留め具、凸留め具を各々複数量産できる金型を製作しておけばよい。
【0027】
この成形に使用される金型4の形態を図3〜図5に示す。図3は、金型4の平面図で、図4は図3のA−A断面、図5は図3のB−B断面に相当し、シリコーンゴムが充填され成形状態の金型4の断面図を示している。シリコーンゴムは混練されたもの(素材)を必要量切り出して使用する。金型4は上金型4cと下金型4dに分離されていて、開いた状態の凹留め具用金型4aに形成された空間と凸留め具用金型4bに形成された空間にそれぞれシリコーンゴムの素材を所定量充填する。上金型4cと下金型4dは同一形状である。すなわち、上金型4cと下金型4dの間の型内にシリコーンゴム(素材)を充填する。上金型4c又は下金型4dの凸留め具用金型4bは、留め具本体用金型部4eの空間と凸形状部用金型部4fの空間等からなっている。上金型4c又は下金型4dの凹留め具用金型4aは、留め具本体用金型部4gの空間と入れ子挿入空間部4hからなっている。
【0028】
凹留め具用金型4aにおいては、充填中、又は充填後に、入れ子挿入空間部4hに凸留め具2の凸形状部2aに対応する入れ子6を挿入する。すなわち、入れ子6は、入れ子挿入空間部4hに位置を定められ、留め具本体用金型部4g側に延在するように設けられる。言い換えると、入れ子6は、凹留め具用金型4aの入れ子挿入空間部4h等に挿入される(図3参照)。
【0029】
又凸留め具用金型4bにおいては、凸留め具2の凸形状部2aを成形するようになっているが、凸留め具2の凸形状部2aを留め具本体2b用の第1のシリコーンゴム(例えば、JIS A 70)より硬度が高い軟質の第2のシリコーンゴム(例えば、JIS A 80)とする場合、留め具本体用金型4eに留め具本体2b用の第1のシリコーンゴムを、凸形状部用金型4fに凸形状部2a用の硬度が高い軟質の第2のシリコーンゴムを、各々充填する。硬さの異なるシリコーンゴムを2つの金型に充填させた後、上金型4cと下金型4dを閉じる。閉じられた金型4に対して、図示していないヒーター等を有する加熱装置で所定の温度に加熱し、さらに加圧装置で所定の圧力に加圧する。例えば、加熱温度は180℃程度であることが好ましい。加圧力は面積30cm2の加圧板で4.9*104〜9.8*104N(5〜10ton)程度であることが好ましい。この加熱、加圧力で、充填されたシリコーンゴムが一体化する。また、凸留め具用金型4bにおいては、硬さの異なる2種類のシリコーンゴムも一体化する。
【0030】
成形品が金型4内で一体化した後、金型4を開き成形された凹留め具1と凸留め具2を取り出す。凹留め具1においては凸形状部用の入れ子6が挿入された状態になっているので、この凸形状部用の入れ子6を引っ張って取り外す。入れ子6は、所定以上の力で引っ張り出すことで、凹留め具1が弾性変形し容易に取り外すことができる。凸形状部用の入れ子6を取り外した後の取り外し部分は、元の形状に戻り入れ子6の形状に対応する穴になっている。このようにして凹留め具1と凸留め具2は同時に成形される。
【0031】
以上のように本実施の形態例において、凸形状部2aを、留め具本体2bと同じ材料ではあるが硬さの異なる部位として説明したが、凸形状部2aと留め具本体2bとを同じ硬さのシリコーンゴムで成形してもよいことはいうまでもない。
【0032】
このようにして、上金型4cと下金型4dを開いたとき、凹留め具1と凸留め具2が各々同時に成形され図2に示す製品となる。但し、凹留め具1においては、入れ子6を取り外すことになる。
【0033】
図6は、本発明の軟質材料による留め具の製造方法による一対の留め具製造工程の他の実施の形態を示すフロー図である。図7は、他の実施の形態における凸留め具用金型の断面図、図8は、他の実施の形態における凸留め具を示す断面図、図9は、他の実施の形態における凹留め具用金型の断面図である。図7,図9は、各々、図4,図5に相当する図である。
【0034】
次に、図6〜図9に基づき他の実施の形態について説明する。この実施の形態は、凸留め具12を別の工程で製作した凸部材9(ピン形状部材)を差し込むことで製作するものであり、留め具本体側の凸部材の材料を異なる材料で製作可能としたものである。図6のフロー図に従ってその製造工程を説明する。基本的な工程は、図1の場合と同様である。
【0035】
シリコーンゴム5を混練した(201)ものを留め具の大きさ、形状に合わせて切り出す(202)。凹留め具用金型14aの型内、すなわち凹留め具用金型14aに形成された空間(キャビティ)及び凸留め具用金型14bの型内、すなわち凸留め具用金型14bに形成された空間(キャビティ)に切り出したシリコーンゴム(素材)を充填する(203,204)。言い換えると、上金型14cと下金型14dの間の型内にシリコーンゴム(素材)を充填する。この金型構成が前述の形態と異なる。本実施の形態の場合は凸留め具用金型14bにも凸形状部用の入れ子7を挿入する。この入れ子7は凸留め具12を貫通させる形状のものである。凹留め具用金型14aにも前述同様入れ子8を挿入する。この入れ子8は凹留め具11を貫通させる形状のものである。この入れ子8を保持して挿入して成形するのは、入れ子部分の形状即ち入れ子の後に挿入される凸部材の姿勢を正確に安定させるためである。この形態では、入れ子8は凹留め具11全長に亘って中心部を貫通する穴形状になっている。
【0036】
続いて、前述同様に上金型14cと下金型14dを位置決めピン、位置決め穴等位置決め部材による位置決めを行った後閉じる(205)。すなわち、両方の金型を組み付けるようにする。金型を所定の温度、圧力に加熱、加圧する(206)。例えば、加熱温度は180℃程度であることが好ましい。加圧力は面積30cm2の加圧板で4.9*104〜9.8*104N(5〜10ton)程度であることが好ましい。固化後金型を開き(207)、両方の金型を分離する。成型された凹留め具11および凸留め具12を取り出す(208,209)。次に本形態の場合は、各々の留め具11,12から入れ子7,8を取り外す(210,211)。この場合も、凹留め具11に対して入れ子7を所定以上の力で引っ張り出すことで、凹留め具11が弾性変形して入れ子7を容易に取り外すことができる。同様に、凸留め具12から、入れ子8を凸留め具12の弾性変形により取り外す。
【0037】
即ち、この凸留め具12から凸部用の入れ子7を引っ張り出す。従って、入れ子7を凸留め具12から抜いた後は、凸留め具12は元の形状に戻り、入れ子7に対応する凹部形状と留め具本体を貫通した穴10とからなっている。次に図8に示すように、この入れ子7に対応する凹部形状の穴に前述のシリコーンゴムとは異なる異質の材料でできている先端が略球形状の凸部材9(ピン形状部材)、例えば金属材料、合成樹脂(例えば、ポリアセタール、ナイロン等)材料で形成された凸部材9を差し込む(212)。この差し込み動作は、凸留め具12の弾性変形により容易に行うことができる。また、差し込まれた凸部材9は凸留め具12の弾性力、摩擦力等により保持される。又、内部の穴は奥の穴が大径になっているものであり、凸部材9はピン部とピン部より大径の大径軸部を有している。すなわち、凸留め具12に凸部材9が差し込まれた状態では、大径穴の肩部と凸部材9の大径軸部の肩部とが当接するようになっているので簡単に抜け難い構成となっている。このようにして先端の凸部材9が一体となって結合されている留め具本体のシリコーンゴムと異なる他の材料、例えば硬質の合成樹脂で形成された凸留め具12が製造される(213)。このようにすると、凸部材の形状を小径にしたい場合などに好適である。
【0038】
他方、凹留め具11は前述の実施の形態と基本的には同じである。ただし入れ子8の形状は凹留め具11全長に亘って貫通する形状になっている。従って、成形し入れ子8を抜いた後は、凹留め具11は元の形状に戻り、凹留め具11は入れ子7に対応する凹部形状の穴と全長に亘って中心部を貫通する穴とからになっている。このように凹留め具11及び凸留め具12がいずれも内部が貫通する穴形状になっていることは、この貫通部分に所定の線等を通すことを可能としている。
【0039】
各々の留め具を仕上げると、製品として中心部に貫通穴を有する一対の留め具が完成する。この構成の留め具の製造は、特に健康器具関係にも適用され有効な留め具の製造方法である。前述の形態に比し連結部分の異なる構成での製造例である。
【0040】
以上、本発明の留め具の製造方法の実施の形態の説明を行ったが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内で変更ができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の軟質材料による留め具の製造方法による一対の留め具製造工程を示すフロー図である。
【図2】図2は、製造される一対の留め具の形態を示す正面図であり、図2(イ)は連結状態を示し、図2(ロ)は連結解除状態を示す。
【図3】図3は、金型の平面図である。
【図4】図4は、図3をA−A線で切断した断面図である。
【図5】図5は、図3のB−B線で切断した断面図である。
【図6】図6は、本発明の軟質材料による留め具の製造方法による一対の留め具製造工程の他の実施の形態を示すフロー図である。
【図7】図7は、他の実施の形態における凸留め具用金型の断面図である。
【図8】図8は、他の実施の形態における凸留め具を示す断面図である。
【図9】図9は、他の実施の形態における凹留め具用金型の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1,11 …凹留め具
2,12 …凸留め具
3 …装身具
4 …金型
4a,14a…凹留め具用金型
4b,14b…凸留め具用金型
6,7,8 …入れ子
9 …凸部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、装身具等の連結に使用される留め具の製造方法に関する。更に詳しくは、一対の凹凸部を介して連結、連結解除を行う軟質材料による留め具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装身具等に関する留め具は、従来から種々のタイプのものが提案され実用化されている。この留め具を利用した装身具等は留め具と一体になって使用され市場に流通している。留め具は使用対象に応じ、又デザイン等が考慮され製作されている。例えばベルト等の留め具であれば、金属あるいは合成樹脂(プラスチック)のような硬質のものが使用されている。
【0003】
更に硬質のものと軟質の材質を組み合わせた留め具も知られている。装身具等の対象とする使用範囲は、高価なものから大衆的な低価格のものまで、又幼児から老人までと、さらに健康器具、医療関係のものを含め幅の広い分野に跨っている。特に大衆的なものは、装身具等安価なものが多く、その関係で留め具も簡素で低価格のものが要求される。
【0004】
留め具においてその製品としての従来例を説明すると、例えば、衣服、ベルト、バッグ等の留め具として、硬質素材の雄部材と弾性部材を一体化した雌部材の組み合わせたものがある(例えば、特許文献1参照)。また紐状体の連結手段として、押し引きの動作のみで留め具の連結と解除を行うもので、部材としては複数の部品構成を伴うものがある(例えば、特許文献2参照)。これは筒状部材に突出部材の首部を嵌めこみ結合するものである。
【0005】
又、ゴム拘束式の連結具であるが、一対の留め具を相互に回転させて止める構成のものが知られている(例えば、特許文献3参照)。更に、ネックレス等を一対の凹凸部材の押し引きで連結、連結解除を行うタイプ等が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3069801号公報
【特許文献2】実用新案登録第3094783号公報
【特許文献3】実用新案登録第3066271号公報
【特許文献4】特開2001−275725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、留め具においては種々のものが製造され公知のものが多く、市場で目に触れる機会は多い。しかし市場にあるものは奢侈性の伴うものもあり、工業製品のように必ずしも全てが製造技術として完成されたものではない。特に大衆性が要求されるものは、通常市場価格は安く設定されているので、構成が簡素で低コストで製造できるものでなければならない。
【0007】
従来より、常時、身体につけている装身具、健康器具等においては、軟質の材料で形成され、簡単な操作で連結、連結解除ができる留め具の開発が要望されていたが、軟質の材料で留め具を製造する方法がなかった。すなわち、一般的に行なわれている成形方法は、合成樹脂等の材料を溶融させて射出成形等する方法が多く、軟質の材料を製造するには向いていなかった。
【0008】
本発明は前述のような従来の技術背景の問題点を解決するために開発されたものであり、下記の目的を達成する。
【0009】
本発明の目的は、構成を簡素にして低コストで製造ができ、簡単な操作で連結、連結解除ができる軟質材料による留め具の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するため次の手段を採る。
【0011】
本発明1の軟質材料による留め具の製造方法は、凹凸の結合部を有し凹留め具と凸留め具の一対の留め具を成形する製造方法であって、前記凹留め具を成形するための凹留め具用金型と、前記凸留め具を成形するための凸留め具用金型において、前記凹留め具用金型及び前記凸留め具用金型の各々の上金型及び下金型の間の型内に所定量の軟質材料を充填させ、前記上金型及び下金型を閉じた後、所定の温度、圧力に、加熱、加圧処理して前記一対の留め具を成形することを特徴とする。
【0012】
本発明2の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1において、前記凹留め具用金型の型内に前記軟質材料を充填させるとともに、凹部連結側に前記凸留め具に対応する凸部形状の入れ子を挿入し、前記加熱、加圧処理して成形した後前記入れ子を除去するようにして凹留め具を製造するようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明3の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1において、前記凸留め具用金型の上金型及び下金型の本体用金型の型内に第1の軟質材料を充填させるとともに、前記凸留め具用金型の上金型及び下金型の凸部用金型の型内に前記第1の軟質材料に比し硬度が高い第2の軟質材料を充填し、前記加熱、加圧処理して成形して留め具本体と凸部材とを一体化するようにして前記凸留め具を製造するようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明4の軟質材料による留め具の製造方法は、発本明1において、前記凹留め具用金型と前記凸留め具用金型は一体形状の金型で、前記凹留め具と前記凸留め具を同時成形するようにして前記一対の留め具を製造することを特徴とする。
【0015】
本発明5の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1において、前記凹留め具と前記凸留め具とは同材質の軟質材料のものであることを特徴とする。
【0016】
本発明6の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1において、前記凹留め具用金型と前記凸留め具用金型に、前記一対の留め具を各々貫通する穴を有するように入れ子を挿入し成形するようにしたことを特徴とする。
【0017】
本発明7の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1から6において、
前記軟質材料は、熱可塑性合成樹脂、熱可塑性エラストマ及び合成ゴムから選択される1種以上であることを特徴とする。
【0018】
本発明8の軟質材料による留め具の製造方法は、本発明1から6において、
前記軟質材料は、シリコーンゴムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上、詳記したように、金型構成を凹凸留め具用とし、簡素な構成にし低コストで一対の留め具を軟質材料で製造できるようになった。又、凹凸連結部を軟質材料にすることにより連結、連結解除機能が確実で、手の感触等の良い軟質材料の留め具を製造することができるようになった。また、押し込む操作、引き抜く操作の簡単な操作で、軟質材料の弾性変形、摩擦等を利用し、連結、連結解除動作が確実に行える簡素な構成のものが製造できるようになった。
【0020】
また、軟質材料を金型に充填させ、加熱加圧するだけの簡単な方法で製造することができ、製造方法の簡素化が図れ低コストで製造できる。さらに、軟質材料に入れ子を挿入し、加熱加圧し、固化後入れ子を離脱させるだけの簡単な方法で、留め具の穴の凹形状部の形成を容易に行うことができ、製造方法の簡素化が図れ低コストで製造できる。また、留め具の本体部と凸部材とを、硬度の異なる軟質材料で一体化させることが容易に行え、製造方法の簡素化が図れ低コストで製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の軟質材料としては、弾性変形可能なシリコーンゴム、ウレタンゴム等の軟質の熱可塑性合成樹脂、熱可塑性エラストマ、合成ゴム材料などから選択される1種以上のものが使用できる。なお、本実施の形態においては、軟質材料としてシリコーンゴムを適用した留め具の製造方法で説明を行う。留め具は凹凸部で結合する一対の留め具であり、この一対の留め具は凹留め具と凸留め具に分かれ、凹凸連結部分で連結または連結解除するようになっている。
【0022】
図1は、本発明の軟質材料による留め具の製造方法による一対の留め具製造工程を示すフロー図である。図2は、製造される一対の留め具の形態を示す正面図であり、図2(イ)は連結状態を示し、図2(ロ)は連結解除状態を示す。図3は、金型の平面図、図4は、図3をA−A線で切断した断面図、図5は、図3をB−B線で切断した断面図である。
【0023】
図1のフロー図に従って製造工程を説明する。製造対象の留め具は凹留め具(雌側)と凸留め具(雄側)の一対の留め具である。この一対の留め具の各々を成形するための金型が準備される。
【0024】
留め具の材料となるシリコーンゴム(素材)は、混練されたものである(101)。この混練されたシリコーンゴム(素材)を留め具の大きさ、形状に合せ所定量切り出す(102)。切り出されたシリコーンゴムは一対の留め具の各々を成形するための金型の型内、すなわち凹留め具用金型に形成された空間(キャビティ)及び凸留め具用金型に形成された空間(キャビティ)に充填される(103,104)。
凹留め具用金型に形成された空間に、シリコーンゴム充填中、又は充填後に、凸部形状の入れ子を挿入する。
【0025】
凹留め具用金型及び凸留め具用金型は一体のものであり、上金型と下金型に分かれている。シリコーンゴムの充填、入れ子の挿入を行った後、位置決めピン、位置決め穴等である位置決め部材により位置決めをし、この金型を閉じる(105)。すなわち、両方の金型を組み付けるようにする。金型を閉じた後、所定の温度、所定の圧力に、加熱処理及び加圧処理を施す(106)。次に、金型を開き(107)、両方の金型を分離する。各金型より固化して成形された凹留め具と凸留め具を取り出す(108,109)。凹留め具においては、入れ子を抜き(110)、各々の留め具を仕上げして、凹留め具及び凸留め具は相互に連結可能な一対の留め具構成となり完成する(111)。次にその具体的製造方法について説明する。
【0026】
図2に連結状態(イ)と連結解除状態(ロ)にある一対の留め具を示す。この一対の留め具は、連結部分が穴の凹形状部1aをなす雌形の凹留め具1と、先端が球形の凸形状部2aをなす雄形の凸留め具2とから構成されている。この一対の留め具には装身具3等が取り付けられる。この一対の留め具は、凹凸形状部1a、2aが相互に嵌合可能になっていて、凹留め具1に凸留め具2を挿入するときには、凹形状部1a、凸形状部2aが所定の力以上で押圧されたとき弾性変形する。凹留め具1、凸留め具2が、ともに、軟質のシリコーンゴムで成形されているので、容易に挿入することができる。連結状態にあるときは凸留め具2の凸形状部2aの球形が凹留め具1の凹形状部1aの穴に嵌り込む。そして、嵌り込んだ状態では、摩擦力、弾性力で相互に保持されている。連結を解除するときは一対の留め具を相互に把持して引っ張るとよい。すなわち、所定以上の力で引っ張ったとき、凹形状部1a、凸形状部2aが弾性変形して離脱する。本実施の形態においては、これら凹留め具1と凸留め具2は一体の金型4で同時に成形する製造方法としているが、別々に製造してもよい。すなわち、凹留め具、凸留め具を各々複数量産できる金型を製作しておけばよい。
【0027】
この成形に使用される金型4の形態を図3〜図5に示す。図3は、金型4の平面図で、図4は図3のA−A断面、図5は図3のB−B断面に相当し、シリコーンゴムが充填され成形状態の金型4の断面図を示している。シリコーンゴムは混練されたもの(素材)を必要量切り出して使用する。金型4は上金型4cと下金型4dに分離されていて、開いた状態の凹留め具用金型4aに形成された空間と凸留め具用金型4bに形成された空間にそれぞれシリコーンゴムの素材を所定量充填する。上金型4cと下金型4dは同一形状である。すなわち、上金型4cと下金型4dの間の型内にシリコーンゴム(素材)を充填する。上金型4c又は下金型4dの凸留め具用金型4bは、留め具本体用金型部4eの空間と凸形状部用金型部4fの空間等からなっている。上金型4c又は下金型4dの凹留め具用金型4aは、留め具本体用金型部4gの空間と入れ子挿入空間部4hからなっている。
【0028】
凹留め具用金型4aにおいては、充填中、又は充填後に、入れ子挿入空間部4hに凸留め具2の凸形状部2aに対応する入れ子6を挿入する。すなわち、入れ子6は、入れ子挿入空間部4hに位置を定められ、留め具本体用金型部4g側に延在するように設けられる。言い換えると、入れ子6は、凹留め具用金型4aの入れ子挿入空間部4h等に挿入される(図3参照)。
【0029】
又凸留め具用金型4bにおいては、凸留め具2の凸形状部2aを成形するようになっているが、凸留め具2の凸形状部2aを留め具本体2b用の第1のシリコーンゴム(例えば、JIS A 70)より硬度が高い軟質の第2のシリコーンゴム(例えば、JIS A 80)とする場合、留め具本体用金型4eに留め具本体2b用の第1のシリコーンゴムを、凸形状部用金型4fに凸形状部2a用の硬度が高い軟質の第2のシリコーンゴムを、各々充填する。硬さの異なるシリコーンゴムを2つの金型に充填させた後、上金型4cと下金型4dを閉じる。閉じられた金型4に対して、図示していないヒーター等を有する加熱装置で所定の温度に加熱し、さらに加圧装置で所定の圧力に加圧する。例えば、加熱温度は180℃程度であることが好ましい。加圧力は面積30cm2の加圧板で4.9*104〜9.8*104N(5〜10ton)程度であることが好ましい。この加熱、加圧力で、充填されたシリコーンゴムが一体化する。また、凸留め具用金型4bにおいては、硬さの異なる2種類のシリコーンゴムも一体化する。
【0030】
成形品が金型4内で一体化した後、金型4を開き成形された凹留め具1と凸留め具2を取り出す。凹留め具1においては凸形状部用の入れ子6が挿入された状態になっているので、この凸形状部用の入れ子6を引っ張って取り外す。入れ子6は、所定以上の力で引っ張り出すことで、凹留め具1が弾性変形し容易に取り外すことができる。凸形状部用の入れ子6を取り外した後の取り外し部分は、元の形状に戻り入れ子6の形状に対応する穴になっている。このようにして凹留め具1と凸留め具2は同時に成形される。
【0031】
以上のように本実施の形態例において、凸形状部2aを、留め具本体2bと同じ材料ではあるが硬さの異なる部位として説明したが、凸形状部2aと留め具本体2bとを同じ硬さのシリコーンゴムで成形してもよいことはいうまでもない。
【0032】
このようにして、上金型4cと下金型4dを開いたとき、凹留め具1と凸留め具2が各々同時に成形され図2に示す製品となる。但し、凹留め具1においては、入れ子6を取り外すことになる。
【0033】
図6は、本発明の軟質材料による留め具の製造方法による一対の留め具製造工程の他の実施の形態を示すフロー図である。図7は、他の実施の形態における凸留め具用金型の断面図、図8は、他の実施の形態における凸留め具を示す断面図、図9は、他の実施の形態における凹留め具用金型の断面図である。図7,図9は、各々、図4,図5に相当する図である。
【0034】
次に、図6〜図9に基づき他の実施の形態について説明する。この実施の形態は、凸留め具12を別の工程で製作した凸部材9(ピン形状部材)を差し込むことで製作するものであり、留め具本体側の凸部材の材料を異なる材料で製作可能としたものである。図6のフロー図に従ってその製造工程を説明する。基本的な工程は、図1の場合と同様である。
【0035】
シリコーンゴム5を混練した(201)ものを留め具の大きさ、形状に合わせて切り出す(202)。凹留め具用金型14aの型内、すなわち凹留め具用金型14aに形成された空間(キャビティ)及び凸留め具用金型14bの型内、すなわち凸留め具用金型14bに形成された空間(キャビティ)に切り出したシリコーンゴム(素材)を充填する(203,204)。言い換えると、上金型14cと下金型14dの間の型内にシリコーンゴム(素材)を充填する。この金型構成が前述の形態と異なる。本実施の形態の場合は凸留め具用金型14bにも凸形状部用の入れ子7を挿入する。この入れ子7は凸留め具12を貫通させる形状のものである。凹留め具用金型14aにも前述同様入れ子8を挿入する。この入れ子8は凹留め具11を貫通させる形状のものである。この入れ子8を保持して挿入して成形するのは、入れ子部分の形状即ち入れ子の後に挿入される凸部材の姿勢を正確に安定させるためである。この形態では、入れ子8は凹留め具11全長に亘って中心部を貫通する穴形状になっている。
【0036】
続いて、前述同様に上金型14cと下金型14dを位置決めピン、位置決め穴等位置決め部材による位置決めを行った後閉じる(205)。すなわち、両方の金型を組み付けるようにする。金型を所定の温度、圧力に加熱、加圧する(206)。例えば、加熱温度は180℃程度であることが好ましい。加圧力は面積30cm2の加圧板で4.9*104〜9.8*104N(5〜10ton)程度であることが好ましい。固化後金型を開き(207)、両方の金型を分離する。成型された凹留め具11および凸留め具12を取り出す(208,209)。次に本形態の場合は、各々の留め具11,12から入れ子7,8を取り外す(210,211)。この場合も、凹留め具11に対して入れ子7を所定以上の力で引っ張り出すことで、凹留め具11が弾性変形して入れ子7を容易に取り外すことができる。同様に、凸留め具12から、入れ子8を凸留め具12の弾性変形により取り外す。
【0037】
即ち、この凸留め具12から凸部用の入れ子7を引っ張り出す。従って、入れ子7を凸留め具12から抜いた後は、凸留め具12は元の形状に戻り、入れ子7に対応する凹部形状と留め具本体を貫通した穴10とからなっている。次に図8に示すように、この入れ子7に対応する凹部形状の穴に前述のシリコーンゴムとは異なる異質の材料でできている先端が略球形状の凸部材9(ピン形状部材)、例えば金属材料、合成樹脂(例えば、ポリアセタール、ナイロン等)材料で形成された凸部材9を差し込む(212)。この差し込み動作は、凸留め具12の弾性変形により容易に行うことができる。また、差し込まれた凸部材9は凸留め具12の弾性力、摩擦力等により保持される。又、内部の穴は奥の穴が大径になっているものであり、凸部材9はピン部とピン部より大径の大径軸部を有している。すなわち、凸留め具12に凸部材9が差し込まれた状態では、大径穴の肩部と凸部材9の大径軸部の肩部とが当接するようになっているので簡単に抜け難い構成となっている。このようにして先端の凸部材9が一体となって結合されている留め具本体のシリコーンゴムと異なる他の材料、例えば硬質の合成樹脂で形成された凸留め具12が製造される(213)。このようにすると、凸部材の形状を小径にしたい場合などに好適である。
【0038】
他方、凹留め具11は前述の実施の形態と基本的には同じである。ただし入れ子8の形状は凹留め具11全長に亘って貫通する形状になっている。従って、成形し入れ子8を抜いた後は、凹留め具11は元の形状に戻り、凹留め具11は入れ子7に対応する凹部形状の穴と全長に亘って中心部を貫通する穴とからになっている。このように凹留め具11及び凸留め具12がいずれも内部が貫通する穴形状になっていることは、この貫通部分に所定の線等を通すことを可能としている。
【0039】
各々の留め具を仕上げると、製品として中心部に貫通穴を有する一対の留め具が完成する。この構成の留め具の製造は、特に健康器具関係にも適用され有効な留め具の製造方法である。前述の形態に比し連結部分の異なる構成での製造例である。
【0040】
以上、本発明の留め具の製造方法の実施の形態の説明を行ったが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内で変更ができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の軟質材料による留め具の製造方法による一対の留め具製造工程を示すフロー図である。
【図2】図2は、製造される一対の留め具の形態を示す正面図であり、図2(イ)は連結状態を示し、図2(ロ)は連結解除状態を示す。
【図3】図3は、金型の平面図である。
【図4】図4は、図3をA−A線で切断した断面図である。
【図5】図5は、図3のB−B線で切断した断面図である。
【図6】図6は、本発明の軟質材料による留め具の製造方法による一対の留め具製造工程の他の実施の形態を示すフロー図である。
【図7】図7は、他の実施の形態における凸留め具用金型の断面図である。
【図8】図8は、他の実施の形態における凸留め具を示す断面図である。
【図9】図9は、他の実施の形態における凹留め具用金型の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1,11 …凹留め具
2,12 …凸留め具
3 …装身具
4 …金型
4a,14a…凹留め具用金型
4b,14b…凸留め具用金型
6,7,8 …入れ子
9 …凸部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸の結合部を有し凹留め具と凸留め具の一対の留め具を成形する製造方法であって、
前記凹留め具を成形するための凹留め具用金型と、前記凸留め具を成形するための凸留め具用金型において、前記凹留め具用金型及び前記凸留め具用金型の各々の上金型及び下金型の間の型内に所定量の軟質材料を充填させ、前記上金型および下金型を閉じた後、所定の温度、圧力に、加熱、加圧処理して前記一対の留め具を成形する
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の軟質材料による留め具の製造方法において、
前記凹留め具用金型の型内に前記軟質材料を充填させるとともに、凹部連結側に前記凸留め具に対応する凸部形状の入れ子を挿入し、前記加熱、加圧処理して成形した後前記入れ子を除去するようにして凹留め具を製造するようにした
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の軟質材料による留め具の製造方法において、
前記凸留め具用金型の上金型及び下金型の本体形状用金型の型内に第1の軟質材料を充填させるとともに、前記凸留め具用金型の上金型及び下金型の凸形状部用金型の型内に前記第1の軟質材料に比し硬度が高い第2の軟質材料を充填し、前記加熱、加圧処理して成形して留め具本体と凸部材とを一体化するようにして前記凸留め具を製造するようにした
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の軟質材料による留め具の製造方法において、
前記凹留め具用金型と前記凸留め具用金型は一体形状の金型で、前記凹留め具と前記凸留め具を同時成形するようにして前記一対の留め具を製造する
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の軟質材料による留め具の製造方法において、
前記凹留め具と前記凸留め具とは同材質の軟質材料である
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の軟質材料による留め具の製造方法において、
前記凹留め具用金型と前記凸留め具用金型に、前記一対の留め具を各々貫通する穴を有するように入れ子を挿入し成形するようにした
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された軟質材料による留め具の製造方法であって、
前記軟質材料は、熱可塑性合成樹脂、熱可塑性エラストマ及び合成ゴムから選択される1種以上のものである
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載された軟質材料による留め具の製造方法であって、
前記軟質材料は、シリコーンゴムである
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項1】
凹凸の結合部を有し凹留め具と凸留め具の一対の留め具を成形する製造方法であって、
前記凹留め具を成形するための凹留め具用金型と、前記凸留め具を成形するための凸留め具用金型において、前記凹留め具用金型及び前記凸留め具用金型の各々の上金型及び下金型の間の型内に所定量の軟質材料を充填させ、前記上金型および下金型を閉じた後、所定の温度、圧力に、加熱、加圧処理して前記一対の留め具を成形する
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の軟質材料による留め具の製造方法において、
前記凹留め具用金型の型内に前記軟質材料を充填させるとともに、凹部連結側に前記凸留め具に対応する凸部形状の入れ子を挿入し、前記加熱、加圧処理して成形した後前記入れ子を除去するようにして凹留め具を製造するようにした
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の軟質材料による留め具の製造方法において、
前記凸留め具用金型の上金型及び下金型の本体形状用金型の型内に第1の軟質材料を充填させるとともに、前記凸留め具用金型の上金型及び下金型の凸形状部用金型の型内に前記第1の軟質材料に比し硬度が高い第2の軟質材料を充填し、前記加熱、加圧処理して成形して留め具本体と凸部材とを一体化するようにして前記凸留め具を製造するようにした
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の軟質材料による留め具の製造方法において、
前記凹留め具用金型と前記凸留め具用金型は一体形状の金型で、前記凹留め具と前記凸留め具を同時成形するようにして前記一対の留め具を製造する
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の軟質材料による留め具の製造方法において、
前記凹留め具と前記凸留め具とは同材質の軟質材料である
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の軟質材料による留め具の製造方法において、
前記凹留め具用金型と前記凸留め具用金型に、前記一対の留め具を各々貫通する穴を有するように入れ子を挿入し成形するようにした
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された軟質材料による留め具の製造方法であって、
前記軟質材料は、熱可塑性合成樹脂、熱可塑性エラストマ及び合成ゴムから選択される1種以上のものである
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載された軟質材料による留め具の製造方法であって、
前記軟質材料は、シリコーンゴムである
ことを特徴とする軟質材料による留め具の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−1026(P2007−1026A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180432(P2005−180432)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(591115279)株式会社アイリス (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(591115279)株式会社アイリス (16)
【Fターム(参考)】
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