説明

載置ステージ

【課題】簡単な構成で、対象ワークの位置姿勢制御を極めて高い精度で行うことができる載置ステージを提供する。
【解決手段】露光光が結像されて所定のマスクパターンが露光される対象ワーク22の基準平面に対する位置および姿勢を制御する載置ステージ30である。基準平面に対して固定的に設けられたベース部材31と、基準平面に沿う第1方向(Y軸方向)に移動可能にベース部材31上に設けられた第1駆動機構(32)と、第1駆動機構により支持される第1スライダ(33)と、基準平面に沿いかつ第1方向に対して傾斜する第2方向(X軸方向)に移動可能に、第1スライダ上で第1方向に間隔を置いて対を為して設けられた2つの第2駆動機構(34)と、各第2駆動機構により個別に支持される2つの第2スライダ(35)と、対象ワーク22を載置すべく両第2スライダを第1方向に架け渡して基準平面に沿って設けられた平面調整板(36)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板や液晶基板等の基板が載置される載置ステージ、およびそれを搭載する露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストなどの感光材料を塗布した対象ワークの表面に、所定のマスクパターンを露光装置により露光し、その後エッチング工程により基板上にマスクパターンを形成するフォトリソグラフィ法が種々の分野で広く応用されており、プリント配線基板や液晶基板等も露光装置を用いて製造されている。このような露光装置では、所定のパターンが形成されたマスクを透過した露光光を投影レンズで対象ワーク上に結像させることにより、対象ワーク上に所定のマスクパターンを形成するものがある。この露光装置では、対象ワーク上の所望の位置に結像させるために、対象ワークを移動可能に保持する載置ステージを用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の露光装置の載置ステージは、Y軸方向に延びる2本のYレール上のそれぞれに移動自在にYスライダを設け、その両Yスライダを架け渡すようにXレールを設け、Xレール上に移動自在にXスライダを設け、そのXスライダを載置台としている。この載置ステージでは、2つのYスライダのYレール上での位置を同期させて制御することにより、Y軸方向でのXレールの位置、すなわちその上のXスライダに載置される対象ワークのY軸方向での位置を決定するY軸駆動機構として機能する。また、2つのYスライダのYレール上での位置を個別に制御することにより、X−Y平面上でのXレールの回転姿勢、すなわち対象ワークの回転姿勢を決定する回転駆動機構として機能する。さらに、XスライダのXレール上での位置を制御することにより、決定されたXレールの位置および姿勢に応じたX軸方向での対象ワークの位置を決定するX軸駆動機構として機能する。このため、上記した載置ステージでは、対象ワークをX−Y平面上における任意の位置で任意の回転姿勢とすることができることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3947652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した載置ステージでは、Y軸駆動機構および回転駆動機構として機能する2つのYスライダと2つのYレールとの上に、X軸駆動機構が設けられて構成されている。このため、X軸駆動機構自体が回転機構により回転駆動されることから、X軸方向での対象ワークの位置を決定するためには、Xレールの回転姿勢に応じてXスライダの位置制御を変更する必要があるので、対象ワークの位置姿勢制御が複雑なものとなってしまい、対象ワークを高精度に位置姿勢制御することが困難となってしまう。
【0006】
また、上記した載置ステージでは、書面上では対象ワークをX−Y平面上における任意の位置で任意の回転姿勢とすることが可能ではあるが、実際には、YスライダにおけるXレールの保持のための機構に精密かつ複雑な構成が必要となってしまうので、高い精度で対象ワークの位置姿勢制御をすることが困難となってしまう。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的は、簡単な構成で、対象ワークの位置姿勢制御を極めて高い精度で行うことのできる載置ステージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、露光光が結像されて所定のマスクパターンが露光される対象ワークの基準平面に対する位置および姿勢を制御する載置ステージであって、前記基準平面に対して固定的に設けられたベース部材と、前記基準平面に沿う第1方向に移動可能に前記ベース部材上に設けられた第1駆動機構と、該第1駆動機構により支持される第1スライダと、前記基準平面に沿いかつ前記第1方向に対して傾斜する第2方向に移動可能に、前記第1スライダ上で前記第1方向に間隔を置いて対を為して設けられた2つの第2駆動機構と、該各第2駆動機構により個別に支持される2つの第2スライダと、前記対象ワークを載置すべく前記両第2スライダを前記第1方向に架け渡して前記基準平面に沿って設けられた平面調整板と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の載置ステージであって、前記平面調整板と一方の前記第2スライダとは、一端が板側第1支持点で前記平面調整板に接続し、かつ他端がスライダ側第1支持点で一方の前記第2スライダに接続すべく、前記基準平面に直交する方向に延在する第1連結部で連結され、該第1連結部は、前記板側第1支持点と前記スライダ側第1支持点との位置関係を変更することなく、前記板側第1支持点および前記スライダ側第1支持点を含む基準軸線回りの前記平面調整板と一方の前記第2スライダとの相対的な回転を許容し、前記平面調整板と他方の前記第2スライダとは、一端が板側第2支持点で前記平面調整板に接続し、かつ他端がスライダ側第2支持点で他方の前記第2スライダに接続すべく、前記基準平面に直交する方向に延在する第2連結部で連結され、該第2連結部は、前記基準平面に沿う第3方向での前記板側第2支持点と前記スライダ側第2支持点との相対的な位置の変化を許容するとともに、前記基準平面に直交する方向回りの前記平面調整板と他方の前記第2スライダとの相対的な回転を許容することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の載置ステージであって、前記第3方向は、前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれに対して傾斜することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の載置ステージであって、前記第1方向と前記第2方向とは、直交することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の載置ステージであって、前記板側第1支持点と前記板側第2支持点とは、前記両第2スライダが前記第2方向への移動の基準となる基準位置とされた際、前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれに対して傾斜する直線上に位置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の載置ステージであって、前記第3方向は、前記板側第1支持点と前記板側第2支持点とを結ぶ線分の延在方向であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の載置ステージであって、前記第3方向は、前記両第2スライダが前記第2方向への移動の基準となる基準位置とされた際における前記スライダ側第1支持点と前記スライダ側第2支持点とを結ぶ線分の延在方向であることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の載置ステージであって、前記板側第1支持点と前記板側第2支持点とは、前記両第2スライダが前記基準位置とされた際、互いを結ぶ線分の延在方向が前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれに対して45度の傾斜を為していることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の載置ステージであって、さらに、前記基準平面に直交する第4方向での前記対象ワークの位置および該第4方向に対する傾斜の変更のために前記平面調整板上に設けられた第4方向調整板と、該第4方向調整板の前記第4方向での位置および該第4方向に対する傾斜を変更させる第4方向駆動機構と、を備え、該第4方向駆動機構は、前記第4方向調整板を支持する少なくとも3つの支持部と、該各支持部を前記第4方向に移動させる駆動本体部と、を有し、該駆動本体部は、少なくとも一部を前記第1スライダと前記第2スライダとの間に位置させつつ前記平面調整板の下側に設けられ、前記各支持部は、前記第4方向で見て、前記平面調整板の下方の前記駆動本体部に接続するとともに、前記平面調整板の上方で前記第4方向調整板を支持していることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の載置ステージであって、前記各支持部は、前記第4方向調整板に対する支持位置を変化させることなく該第4方向調整板に対する支持角度を変更自在に支持する第1支持部と、前記第4方向調整板に対する支持位置を前記第1支持部による支持位置との線分方向に変更自在に、かつ前記第4方向調整板に対する支持角度を変更自在に支持する第2支持部と、前記第4方向調整板に対する支持位置を変更自在に、かつ該第4方向調整板に対する支持角度を変更自在に支持する第3支持部と、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の露光装置は、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の載置ステージを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の載置ステージによれば、両第2スライダの第2方向での相対的な位置により平面調整板の回転姿勢を設定することができ、その両第2スライダの相対的な位置関係を維持したまま当該両第2スライダを同期させて駆動制御することにより、平面調整板の回転姿勢を維持したまま平面調整板を第2方向に移動させることができ、第1スライダを第1方向に移動させることにより第2方向での位置に拘らず平面調整板の回転姿勢を維持したまま平面調整板を第1方向に移動させることができる。これにより、平面調整板の第1方向(第1方向)の位置調整のための機構と、平面調整板の第2方向(第2方向)の位置調整のための機構と、の2つの構成で、それぞれの位置調整に影響を及ぼすことなく平面調整板の回転姿勢を設定することのできる回転駆動機構を形成することができる。このように、平面調整板の回転姿勢の変化の影響を受けることなく、平面調整板における第2方向での位置と第1方向での位置とを個別に調整することができるので、平面調整板の回転姿勢に拘らず同一の制御方法により平面調整板すなわち対象ワークの位置を調整することができる。
【0020】
上記した構成に加えて、前記平面調整板と一方の前記第2スライダとは、一端が板側第1支持点で前記平面調整板に接続し、かつ他端がスライダ側第1支持点で一方の前記第2スライダに接続すべく、前記基準平面に直交する方向に延在する第1連結部で連結され、該第1連結部は、前記板側第1支持点と前記スライダ側第1支持点との位置関係を変更することなく、前記板側第1支持点および前記スライダ側第1支持点を含む基準軸線回りの前記平面調整板と一方の前記第2スライダとの相対的な回転を許容し、前記平面調整板と他方の前記第2スライダとは、一端が板側第2支持点で前記平面調整板に接続し、かつ他端がスライダ側第2支持点で他方の前記第2スライダに接続すべく、前記基準平面に直交する方向に延在する第2連結部で連結され、該第2連結部は、前記基準平面に沿う第3方向での前記板側第2支持点と前記スライダ側第2支持点との相対的な位置の変化を許容するとともに、前記基準平面に直交する方向回りの前記平面調整板と他方の前記第2スライダとの相対的な回転を許容することとすると、基準軸線に対する板側第2支持点およびスライダ側第2支持点の位置関係と平面調整板の回転姿勢とを一対一で対応させることができる。このため、両第2スライダの相対的な位置関係により、平面調整板すなわち対象ワークの回転姿勢を高い精度で設定することができる。
【0021】
上記した構成に加えて、前記第3方向は、前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれに対して傾斜することとすると、第1方向と第2方向との角度関係に拘らず、両第2スライダを相対的に第2方向に移動させることにより、平面調整板を回転させることができる。
【0022】
上記した構成に加えて、前記第1方向と前記第2方向とは、直交することとすると、より効率よく平面調整板すなわち対象ワークの位置を設定することができる。
【0023】
上記した構成に加えて、前記板側第1支持点と前記板側第2支持点とは、前記両第2スライダが前記第2方向への移動の基準となる基準位置とされた際、前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれに対して傾斜する直線上に位置されていることとすると、平面調整板すなわち対象ワークの回転方向に拘らず、一方の第2スライダに対して他方の第2スライダを円滑に移動させることができる。
【0024】
上記した構成に加えて、前記第3方向は、前記板側第1支持点と前記板側第2支持点とを結ぶ線分の延在方向であることとすると、移動されたスライダ側第2支持点上に第3方向が位置するように、平面調整板を基準軸線回りに回転させることができる。このため、平面調整板すなわち対象ワークの回転姿勢を設定する際の、一方の第2スライダに対する他方の第2スライダの移動量の設定を容易なものとすることができる。
【0025】
上記した構成に加えて、前記第3方向は、前記両第2スライダが前記第2方向への移動の基準となる基準位置とされた際における前記スライダ側第1支持点と前記スライダ側第2支持点とを結ぶ線分の延在方向であることとすると、移動されたスライダ側第2支持点を含む第3方向上に板側第2支持点が位置するように、平面調整板を基準軸線回りに回転させることができる。このため、平面調整板すなわち対象ワークの回転姿勢を設定する際の、一方の第2スライダに対する他方の第2スライダの移動量の設定を容易なものとすることができる。
【0026】
上記した構成に加えて、前記板側第1支持点と前記板側第2支持点とは、前記両第2スライダが前記基準位置とされた際、互いを結ぶ線分の延在方向が前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれに対して45度の傾斜を為していることとすると、対象ワークの回転方向の差異による影響を極めて小さなものとすることができる。
【0027】
上記した構成に加えて、さらに、前記基準平面に直交する第4方向での前記対象ワークの位置および該第4方向に対する傾斜の変更のために前記平面調整板上に設けられた第4方向調整板と、該第4方向調整板の前記第4方向での位置および該第4方向に対する傾斜を変更させる第4方向駆動機構と、を備え、該第4方向駆動機構は、前記第4方向調整板を支持する少なくとも3つの支持部と、該各支持部を前記第4方向に移動させる駆動本体部と、を有し、該駆動本体部は、少なくとも一部を前記第1スライダと前記第2スライダとの間に位置させつつ前記平面調整板の下側に設けられ、前記各支持部は、前記第4方向で見て、前記平面調整板の下方の前記駆動本体部に接続するとともに、前記平面調整板の上方で前記第4方向調整板を支持していることとすると、第4方向駆動機構を設けることによる高さ寸法(基準平面に直交する方向で見た大きさ寸法)の増大を抑制することができる。
【0028】
上記した構成に加えて、前記各支持部は、前記第4方向調整板に対する支持位置を変化させることなく該第4方向調整板に対する支持角度を変更自在に支持する第1支持部と、前記第4方向調整板に対する支持位置を前記第1支持部による支持位置との線分方向に変更自在に、かつ前記第4方向調整板に対する支持角度を変更自在に支持する第2支持部と、前記第4方向調整板に対する支持位置を変更自在に、かつ該第4方向調整板に対する支持角度を変更自在に支持する第3支持部と、を有することとすると、第4方向調整板が、第4方向駆動機構の第1支持部が固定された箇所を基点として、基準平面に直交する方向回りに回動することを防止することができる。このため、各第4方向駆動機構による支持高さ位置(第4方向で見た支持位置)を適宜変更することにより、平面調整板において設定された位置および回転姿勢の変更を招くことなく、第4方向調整板すなわち対象ワークの第4方向での位置および第4方向に対する傾きを設定することができる。
【0029】
上記した載置ステージを用いた露光装置では、載置ステージにおいて対象ワークが極めて高い精度で位置および回転姿勢が設定されていることから、当該対象ワークにマスクパターン像を適切に露光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願発明に係る露光装置10の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】載置ステージ30の構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】図2のI−I線に沿って得られた断面図である。
【図4】載置ステージ30におけるベース部材31、両Y軸駆動機構32、Y軸スライダ33、両X軸駆動機構34および両X軸スライダ35の様子を示す図2と同様の斜視図である。
【図5】図4にXY調整板36および各連結部(51、52、53、54)を加えた様子を示す図2と同様の斜視図である。
【図6】両X軸スライダ35、XY調整板36および各連結部(51、52、53、54)の位置関係を説明するための説明図である。
【図7】第1連結部51の構成を模式的に示す斜視図である。
【図8】第2連結部52の構成を模式的に示す斜視図である。
【図9】第3連結部53の構成を模式的に示す斜視図である。
【図10】第4連結部54の構成を模式的に示す斜視図である。
【図11】図5に各Z軸駆動機構37を加えた様子を示す図2と同様の斜視図である。
【図12】Z軸駆動機構37Aの構成の説明のために、その駆動本体部の周辺を拡大して示す図3と同様の断面図である。
【図13】図6に示す両X軸スライダ35とXY調整板36とが各連結部(51、52、53、54)により連結された模式図をZ軸方向の上側から見た様子を示す説明図である。
【図14】図13と同様の説明図であり、(a)がX軸スライダ35Bを正面視して左側(X軸方向の負側)に移動した様子を示し、(b)がX軸スライダ35Bを正面視して右側(X軸方向の正側)に移動した様子を示している。
【図15】基準軸線Baを原点Oとする座標上での基準XY調整板36´を示す説明図である。
【図16】図15と同様の説明図であり、(a)が基準XY調整板36´を正側へA度回転させるべく、X軸スライダ35BをX軸方向の負側へXsだけ移動させた様子を示し、(b)が基準XY調整板36´を負側へA度回転させるべく、X軸スライダ35BをX軸方向の正側へXsだけ移動させた様子を示している。
【図17】図15と同様の説明図であり、(a)が正側へA度回転された基準XY調整板36´を移動する様子を示し、(b)が負側へA度回転された基準XY調整板36´を移動する様子を示している。
【図18】座標位置(X、Y)が、基準原点Obを回転中心として任意の回転角度θrだけ回転移動された座標位置を(X、Y)を示す説明図である。
【図19】他の例の第2連結部52´の構成を模式的に示す斜視図である。
【図20】他の例における図16と同様の説明図であり、(a)が基準XY調整板36´を正側へA度回転させるべく、X軸スライダ35BをX軸方向の負側へXsだけ移動させた様子を示し、(b)が基準XY調整板36´を負側へA度回転させるべく、X軸スライダ35BをX軸方向の正側へXsだけ移動させた様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本願発明に係る載置ステージ30の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0032】
先ず、本願発明に係る載置ステージ30を用いた露光装置10の概略的な構成について説明する。図1は、本願発明に係る露光装置の一例としての露光装置10の構成を模式的に示す説明図である。露光装置10は、図1に示すように、光軸方向に沿って出射側から順に、光源11と、コールドミラー12と、露光シャッタ13と、紫外線バンドパスフィルタ14と、インテグレータレンズ15と、コリメータレンズ16と、平面鏡17と、マスクステージ18と、マスクブラインド19と、投影レンズ20と、倍率補正部21と、載置ステージ30(投影露光ステージ)と、を有する。この露光装置10は、露光光として紫外線を用いている。
【0033】
光源11は、露光に用いる露光光としての紫外線の照射のために設けられており、本実施例では、水銀ランプ11aが楕円反射鏡(楕円鏡)11bの第1焦点位置に配置されて構成されている。この光源11では、水銀ランプ11aから出射された出射光を、楕円反射鏡11bで反射してコールドミラー12へと進行させる。
【0034】
コールドミラー12は、入射した光のうち、赤外領域の熱線を透過させるとともに他の波長帯域の光を反射するものであり、入射した光から赤外領域の熱線を分離することができる。このため、光源11からの出射光は、コールドミラー12により赤外領域の熱線が分離されて、露光シャッタ13もしくは紫外線バンドパスフィルタ14へと進行する。
【0035】
その露光シャッタ13は、コールドミラー12により反射された出射光の透過および遮断の切り替えを可能とすべく、コールドミラー12から紫外線バンドパスフィルタ14へと向かう光路(後述する照射光路)上に出し入れ自在とされている。この露光シャッタ13は、光路上から退避されると後述するように対象ワーク22の露光を可能とし、光路上に位置されると対象ワーク22の露光を停止させる。
【0036】
紫外線バンドパスフィルタ14は、入射した光のうち紫外線のみの透過を許すものであり、本実施例では、波長365nmの水銀のスペクトル線であるi線の透過を許すi線バンドパスフィルタにより構成されている。このため、コールドミラー12により反射された出射光は、紫外線バンドパスフィルタ14により紫外線(i線)の波長帯域のみの光(実際には、i線の波長帯域の近傍の強度が高い光)とされて、インテグレータレンズ15へと進行する。
【0037】
インテグレータレンズ15は、入射した光の照度ムラを打ち消して照射面において周辺部まで均一で明るい照度分布とする。このため、紫外線バンドパスフィルタ14を経て紫外線(i線)の波長帯域のみの光とされた入射光は、インテグレータレンズ15により均一な照度分布とされてコリメータレンズ16へと進行する。
【0038】
コリメータレンズ16は、入射した光を平行光(光束)として出射する。このため、インテグレータレンズ15を経て均一な照度分布とされた出射光は、コリメータレンズ16により平行光とされて平面鏡17へと進行し、その平面鏡17により反射されてマスクステージ18へと進行する。
【0039】
マスクステージ18は、パターンが形成されたマスク18aを、平面鏡17により反射された出射光の光路上に位置させつつ当該光路の光軸に直交する方向に移動可能に保持する。また、マスクステージ18は、図示は略すが、マスク18aの取り外しが可能とされており、マスク18aとは異なるパターンが形成されたマスクへの交換が可能とされている。このため、平面鏡17により反射された出射光は、マスク18aを透過することにより、マスク18aに形成されたパターンの形状に応じたものとされて投影レンズ20へと進行する。
【0040】
このことから、露光装置10では、光源11から、コールドミラー12、露光シャッタ13、紫外線バンドパスフィルタ14、インテグレータレンズ15、コリメータレンズ16および平面鏡17を経る光路が、マスク18aを露光光としての紫外線(i線)で照射するための照射光学系として機能する。
【0041】
このマスクステージ18と投影レンズ20との間に、マスクブラインド19が設けられている。マスクブラインド19は、マスク18aを経た出射光の光路上に進退自在に設けられており、マスク18aのマスクパターンのうち所望の領域のみのマスクパターン像を、載置ステージ30に載置された後述する対象ワーク22上に適切に形成すべく、マスク18aのマスクパターンに応じて適宜光路上に進出される。
【0042】
投影レンズ20は、載置ステージ30上の後述する対象ワーク22に、マスク18aに形成されたパターンを適切に露光するためのものであり、マスクステージ18に保持されたマスク18aのパターンの像(以下、マスクパターン像ともいう)を、適宜変倍して載置ステージ30に載置された後述する対象ワーク22の表面に形成する。すなわち、投影レンズ20は、載置ステージ30に載置された状態の対象ワーク22の表面を結像面として、当該結像面とマスク18aとを光学的に共役な位置関係としている。露光装置10では、上述したように、露光光として紫外線(i線)を用いることから、投影レンズ20は、露光光である紫外線(i線)に対して高精度に収差補正されて設定されている。このため、投影レンズ20は、マスク18aを透過した出射光が入射されると、マスク18aのマスクパターン像を載置ステージ30上の結像面(後述する対象ワーク22上)に適切に形成する。
【0043】
この投影レンズ20と載置ステージ30との間に、倍率補正部21が設けられている。倍率補正部21は、載置ステージ30上に載置される後述する対象ワーク22における歪みに応じて、載置ステージ30上の結像面に形成するマスクパターン像を変形させるものである。この倍率補正部21は、光路に直交する面で見て、任意の方向での倍率を適宜変化させることにより、結像面でのマスクパターン像を変形させる。倍率補正部21は、例えば、光路方向に複数枚のガラス板を並列し、各ガラス板を適宜湾曲させたり回転させたりする構成とすることで、実現することができる。
【0044】
このように、露光装置10では、マスクブラインド19、投影レンズ20および倍率補正部21が、所定のパターンが形成されたマスク18aを透過した露光光としての紫外線を、載置ステージ30上の結像面(後述する対象ワーク22上)にマスクパターン像として結像させる投影光学系として機能する。
【0045】
載置ステージ30では、マスクパターンの露光のために対象ワーク22が載置される。この載置ステージ30は、載置される対象ワーク22の表面を投影レンズ20の結像面に一致させて対象ワーク22を保持することができるとともに、保持した対象ワーク22を投影光路に直交する面に沿って移動させることが可能とされている。この載置ステージ30における対象ワーク22の移動は、本実施例では、載置ステージ30の内方に設けられた駆動制御部(図示せず)の制御下で行われる。この載置ステージ30の構成については、後に詳細に説明する。なお、載置ステージ30における対象ワーク22の移動は、手動により行うものであってもよい。
【0046】
その対象ワーク22は、シリコンウエハやガラス基板やプリント基板等に、紫外線(i線)に対して光反応するフォトレジスト等の感光材料が塗布または張り付けられて形成されている。このため、対象ワーク22は、紫外線(i線)の照射により露光可能とされている。
【0047】
この露光装置10では、照射光学系において、光源11から出射された出射光が、コールドミラー12、紫外線バンドパスフィルタ14、インテグレータレンズ15、コリメータレンズ16および平面鏡17を経て、マスクステージ18へと到達することにより、マスクステージ18に保持されたマスク18aを紫外線(i線)で一様に照射する。すると、露光装置10では、投影光学系すなわちマスクブラインド19、投影レンズ20および倍率補正部21の機能により、載置ステージ30上の結像面に、紫外線(i線)によるマスクパターン像が適切に形成される。このことから、露光装置10では、対象ワーク22を結像面に沿う適切な位置(姿勢)とすることにより、対象ワーク22にマスクパターン像を適切に露光することができる。このマスクパターン像に対する対象ワーク22の位置、すなわち光学的に投影光学系(主に、投影レンズ20)を経たマスク18aに対する対象ワーク22の位置は、載置ステージ30が保持する対象ワーク22を結像面上で適宜移動させることにより、調整する(アライメントする)ことができる。
【0048】
本発明に係る露光装置10で用いる載置ステージ30は、図2および図3に示すように、ベース部材31と、2つのY軸駆動機構32と、Y軸スライダ33と、2つのX軸駆動機構34と、2つのX軸スライダ35と、XY調整板36と、3つのZ軸駆動機構37と、Z軸調整板38と、リフト機構39と、チャックプレート40と、を有する。
【0049】
ベース部材31は、上述した投影光学系に対する対象ワーク22(図1参照)の位置関係を設定する際の基準となる基準平面に沿って延在する板状部材であり、当該投影光学系に対して固定的に設けられている。この基準平面は、上述した投影光学系によりマスクパターン像が結像される位置、すなわち投影レンズ20によりマスク18aと光学的に共役な位置関係とされた結像面である。基準平面は、本実施例では、当該投影光学系の光軸方向をZ軸方向として、そのZ軸に直交する平面であるX−Y平面に平行な平面とする。このZ軸方向の正の側は、載置ステージ30から上述した投影光学系へと向かう側(図2を正面視して上側)とし、本明細書では、載置ステージ30における上側とも言う。このため、ベース部材31は、X−Y平面に沿って延在している。このベース部材31の上面に、2つのY軸駆動機構32が設けられている。
【0050】
2つのY軸駆動機構32は、図2ないし図4に示すように、ベース部材31の上面において、X軸方向で見た両端位置に設けられている。この両Y軸駆動機構32は、ベース部材31に対するY軸方向への駆動力をY軸スライダ33へと付与するものである。そのY軸スライダ33は、中央に貫通孔33aを有する板状を呈し、基準平面に沿って設けられている。
【0051】
各Y軸駆動機構32は、後述するX軸駆動機構34と基本的に同様の構成であり、Y軸固定子32aと、一対のベース側Y軸ガイド部材32bと、図示は略すが、Y軸可動子と、一対のスライダ側Y軸ガイド部材と、を有する。Y軸固定子32aは、ベース部材31の上面において、異なる磁極が隣り合うように複数の永久磁石がY軸方向に整列されて形成されており、所謂マグネットトラックを構成している。両ベース側Y軸ガイド部材32bは、ベース部材31の上面において、Y軸固定子32aを挟むように対を為して設けられており、Y軸方向に延在している。この両ベース側Y軸ガイド部材32bは、Y軸スライダ33の下面(裏面)に設けられた一対のスライダ側Y軸ガイド部材(図示せず)と、延在方向(Y軸方向)への摺動自在な嵌合が可能とされている。図示を略すY軸可動子は、Y軸スライダ33の下面(裏面)において、一対のスライダ側Y軸ガイド部材(図示せず)の間に設けられており、Z軸方向(上下方向)でY軸固定子32aと対向可能とされている。このY軸可動子(図示せず)には、電流の印加が可能とされたコイルが収容されている。
【0052】
各Y軸駆動機構32では、Y軸可動子(図示せず)とY軸固定子32aとの間での磁力による吸引反発力を適宜作用させることにより、当該Y軸可動子が固定されたY軸スライダ33をベース部材31に対してY軸方向に適宜移動させることができる。このため、本実施例では、Y軸方向が基準平面に沿う第1方向として機能し、両Y軸駆動機構32が第1駆動機構として機能し、Y軸スライダ33が第1スライダとして機能する。このベース部材31上におけるY軸スライダ33の位置を検出するために、図示は略すが位置検出素子が設けられている。なお、両Y軸駆動機構32は、単一のY軸スライダ33を移動させるものであることから、双方が同期されて制御される。
【0053】
載置ステージ30では、その内方に設けられた駆動制御部(図示せず)により、両Y軸可動子(図示せず)への印加電流を同期的に制御して、当該両Y軸可動子と両Y軸固定子32aとの間での磁力による吸引反発力を適宜作用させることにより、当該両Y軸可動子が固定されたY軸スライダ33をベース部材31に対して適宜移動させる。このとき、上述した駆動制御部(図示せず)では、この移動が磁力による吸引反発力を利用するものであることから、設定した移動目標位置へと適切に移動するように、位置検出素子(図示せず)からの位置情報に基づいてサーボ制御を行う。このY軸スライダ33に、2つのX軸駆動機構34が設けられている。
【0054】
2つのX軸駆動機構34は、Y軸スライダ33の上面において、Y軸方向で見た両端位置に設けられている。この各X軸駆動機構34は、Y軸スライダ33に対するX軸方向への駆動力を、対応するX軸スライダ35(35A、35B)へと付与するものである。その両X軸スライダ35は、X軸方向で見て略等しい長さ寸法とされた板状を呈し、Z軸方向で見て等しい高さ位置(上下位置)で基準平面に沿って設けられている。
【0055】
各X軸駆動機構34は、X軸固定子34aと、一対のベース側X軸ガイド部材34bと、X軸可動子34cと、一対のスライダ側X軸ガイド部材34dと、を有する。X軸固定子34aは、Y軸スライダ33の上面において、異なる磁極が隣り合うように複数の永久磁石がY軸方向に整列されて形成されており、所謂マグネットトラックを構成している。両ベース側X軸ガイド部材34bは、Y軸スライダ33の上面において、X軸固定子34aを挟むように対を為して設けられており、X軸方向に延在している。この両ベース側X軸ガイド部材34bは、対応するスライダ側X軸ガイド部材34dの延在方向への摺動自在な嵌合が可能とされている。X軸可動子34cは、X軸スライダ35の下面(裏面)に設けられており、Z軸方向(上下方向)でX軸固定子34aと対向可能とされている(図3参照)。このX軸可動子34cには、電流の印加が可能とされたコイルが収容されている。X軸可動子34cの両側に、一対のスライダ側X軸ガイド部材34dが設けられている。
【0056】
この2つのX軸駆動機構34は、一方(個別に述べるときは34Aとする)がX軸スライダ35Aに対応されて設けられており、他方が(個別に述べるときは34Bとする)がX軸スライダ35Bに対応されて設けられている。すなわち、X軸駆動機構34Aは、一方のX軸スライダ35AをX軸方向に移動させるべく設けられており、そのX軸可動子34cがX軸スライダ35Aの下面に設けられている。また、X軸駆動機構34Bは、他方のX軸スライダ35BをX軸方向に移動させるべく設けられており、そのX軸可動子34cがX軸スライダ35Bの下面に設けられている。
【0057】
各X軸駆動機構34では、X軸可動子34cとX軸固定子34aとの間での磁力による吸引反発力を適宜作用させることにより、対応するX軸スライダ35(35Aもしくは35B)をY軸スライダ33に対してX軸方向に適宜移動させることができる。このため、本実施例では、X軸方向が基準平面に沿いかつ第1方向に対して傾斜する第2方向として機能し、各X軸駆動機構34が第2駆動機構として機能し、各X軸スライダ35が第2スライダとして機能する。このY軸スライダ33上における各X軸スライダ35A、35Bの位置を検出するために、図示は略すが位置検出素子が設けられている。なお、本実施例では、X軸スライダ35AとX軸スライダ35BとがX軸方向での移動可能な範囲の中央位置にある状態、すなわちX軸スライダ35AとX軸スライダ35BとがY軸スライダ33の上面においてX軸方向での中央位置でY軸方向に整列している状態(図4等参照)を、両X軸駆動機構34による駆動制御(X軸方向への移動)の基準位置としている。
【0058】
載置ステージ30では、その内方に設けられた駆動制御部(図示せず)により、各X軸可動子34cへの印加電流が個別に制御されて、X軸可動子34cとX軸固定子34aとの間での磁力による吸引反発力を適宜作用させることにより、X軸可動子34cが固定されたX軸スライダ35(35Aもしくは35B)がY軸スライダ33に対して適宜個別にもしくは一体的に移動される。このとき、上述した駆動制御部(図示せず)では、この移動が磁力による吸引反発力を利用するものであることから、設定した移動目標位置へと適切に移動するように、位置検出素子(図示せず)からの位置情報に基づいてサーボ制御を行う。この2つのX軸スライダ35を架け渡すように、XY調整板36が設けられている(図5参照)。
【0059】
XY調整板36は、対象ワーク22(図1参照)のX−Y方向での位置およびX−Y平面に沿う回転姿勢の設定(調整)のために設けられている。このXY調整板36は、図5に示すように、板状を呈し、両X軸スライダ35の上方で、当該X軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとを基準平面に沿って架け渡すように、延在されている。XY調整板36は、基本的には、第1連結部51でX軸スライダ35Aに連結されるとともに、第2連結部52でX軸スライダ35Bに連結されている。本実施例では、その第1連結部51および第2連結部52に加えて、第3連結部53でX軸スライダ35Aに連結されるとともに、第4連結部54でX軸スライダ35Bに連結されている。この各連結部(51、52、53、54)は、Z軸方向に延在されており、上側の一端でXY調整板36に接続するとともに、下側の他端でX軸スライダ35(35A、35B)に接続している。
【0060】
ここで、図6に示すように、XY調整板36において、第1連結部51が接続された箇所を板側第1支持点Sb1とし、第2連結部52が接続された箇所を板側第2支持点Sb2とし、第3連結部53が接続された箇所を板側第3支持点Sb3とし、第4連結部54が接続された箇所を板側第4支持点Sb4とする。また、X軸スライダ35Aにおいて、第1連結部51が接続された箇所をスライダ側第1支持点Ss1とし、第3連結部53が接続された箇所をスライダ側第3支持点Ss3とする。さらに、X軸スライダ35Bにおいて、第2連結部52が接続された箇所をスライダ側第2支持点Ss2とし、第4連結部54が接続された箇所をスライダ側第4支持点Ss4とする。本実施例では、XY調整板36における各支持点(Sb1、Sb2、Sb3、Sb4)は、Z軸方向からみると、正方形を描くように配置されている。
【0061】
その第1連結部51は、板側第1支持点Sb1とスライダ側第1支持点Ss1とをZ軸方向で見て同一直線上に位置させつつ相対的な位置関係を固定した状態で、両支持点Sb1、Ss1を含む基準軸線Ba回りにX軸スライダ35AとXY調整板36とが相対的に回転することを許容するように、X軸スライダ35AとXY調整板36とを連結する。本実施例では、第1連結部51は、図7に示すように、X軸スライダ35Aに固定されZ軸方向に延出された連結基部分51aと、その延出端部分51bに対して回転可能に設けられた回転部分51cと、を有する。この連結基部分51aは、全体に円筒状を呈し、その中心軸線(Ba)がZ軸方向に沿うものとされている。この回転部分51cは、連結基部分51aの延出端部分51bを取り囲む環状を呈し、延出端部分51bに対して連結基部分51aの中心軸線(Ba)回りに回転自在とされている。第1連結部51では、回転部分51cがXY調整板36に固定的に取り付けられている。
【0062】
この第1連結部51では、連結基部分51aの中心軸線(Ba)回りに、連結基部分51aと回転部分51cとの相対的な回転が可能であることから、連結基部分51aが設けられたX軸スライダ35Aと、回転部分51cが設けられたXY調整板36と、の上記中心軸線(Ba)回りの相対的な回転を許容しつつ、X軸スライダ35AとXY調整板36とを連結している。このため、第1連結部51では、連結基部分51aの中心軸線が基準軸線Baとなり、連結基部分51aの中心位置がスライダ側第1支持点Ss1となり、回転部分51cの中心位置が板側第1支持点Sb1となる。
【0063】
第2連結部52は、板側第2支持点Sb2とスライダ側第2支持点Ss2とをX−Y平面に沿う第3方向への相対的な位置の変化を許容し、かつZ軸方向回りにX軸スライダ35BとXY調整板36とが相対的に回転することを許容するように、X軸スライダ35BとXY調整板36とを連結する(図6等参照)。この第2連結部52は、本実施例では、図8に示すように、X軸スライダ35Bに固定されZ軸方向に延出された連結基部分52aと、その連結基部分52aに対して回転可能とされた連結回転部分52bと、その上端面に固定されたレール保持部分52cと、そのレール保持部分52cに摺動可能に保持されるレール52dと、そのレール52dに固定された取付部分52eと、を有する。この連結基部分52aは、全体に円筒状を呈し、その中心軸線がZ軸方向に沿うものとされている。連結回転部分52bは、連結基部分52aよりも小さな径寸法の円柱状を呈し、その連結基部分52a上の同心位置に設けられている。この連結回転部分52bは、連結基部分52aに対して当該連結基部分52aの中心軸線回りに回転自在とされている。レール保持部分52cは、X−Y平面に沿う方向であって、X軸方向(第2方向)およびY軸方向(第1方向)に対して傾斜する第3方向へと摺動可能にレール52dを保持することが可能とされている。レール52dは、第3方向に延在された棒状を呈し、取付部分52eに固定されている。取付部分52eは、全体に円柱状を呈し、XY調整板36に固定的に取り付けられている。このため、レール52dは、取付部分52eを介してXY調整板36に固定されていることとなる。このレール52dの延在方向すなわち第3方向は、本実施例では、XY調整板36上において板側第2支持点Sb2と板側第1支持点Sb1とを結ぶ線分の延在方向に一致するものとされており、各支持点(Sb1、Sb2、Sb3、Sb4)が描く正方形の対角線と一致されている。このため、第3方向は、両X軸駆動機構34が駆動制御の基準位置とされると、X軸方向(第2方向)およびY軸方向(第1方向)に対して45度の傾斜を有するものとなる。
【0064】
この第2連結部52では、レール52dとレール保持部分52cとの第3方向への相対的な移動が可能であるとともに、そのレール保持部分52cが設けられた連結回転部分52bの中心軸線回りに、連結回転部分52bと連結基部分52aとの相対的な回転が可能である。このため、第2連結部52は、連結基部分52aが設けられたX軸スライダ35Bと、レール52d(取付部分52e)が設けられたXY調整板36と、の第3方向への相対的な変位を許容し、かつ連結基部分52a(連結回転部分52b)の中心軸線回りのX軸スライダ35BとXY調整板36との相対的な回転を許容しつつ、X軸スライダ35BとXY調整板36とを連結している。このため、第2連結部52では、連結基部分52aの中心位置がスライダ側第2支持点Ss2となり、レール52d(取付部分52e)の中心位置が板側第2支持点Sb2となる。この第2連結部52は、X軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとが駆動制御の基準位置とされた際、板側第2支持点Sb2とスライダ側第2支持点Ss2とをZ軸方向で見て同一直線上に位置させる(レール52dの中心位置(取付部分52eの中心軸線)と連結基部分52aの中心軸線とが一致する)基準位置となるように位置設定されて、X軸スライダ35BとXY調整板36とにそれぞれ設けられている。
【0065】
第3連結部53は、板側第3支持点Sb3とスライダ側第3支持点Ss3とをX−Y平面に沿う方向への相対的な位置の変化を許容し、かつZ軸方向回りにX軸スライダ35AとXY調整板36とが相対的に回転することを許容するように、X軸スライダ35AとXY調整板36とを連結する(図6等参照)。本実施例では、第3連結部53は、図9に示すように、X軸スライダ35Aに固定された第1レール53aと、その第1レール53aを摺動可能に保持する第1レール保持部分53bと、その第1レール保持部分53bに固定された固定板部分53cと、その固定板部分53cに固定された第2レール保持部分53dと、その第2レール保持部分53dに摺動可能に保持される第2レール53eと、その第2レール53eに固定された回転軸部分53fと、その回転軸部分53fに対して回転可能に設けられた回転部分53gと、を有する。この第1レール53aは、Y軸方向に延在された棒状を呈する。第1レール保持部分53bは、第1レール53aの延在方向へと摺動可能に第1レール53aを保持することが可能とされている。固定板部分53cは、板状を呈し、下面側に第1レール保持部分53bが設けられるとともに、上面側に第2レール保持部分53dが設けられており、第1レール保持部分53bと第2レール保持部分53dとの位置関係を固定している。第2レール保持部分53dは、X軸方向へと摺動可能に第2レール53eを保持することが可能とされている。第2レール53eは、X軸方向に延在された棒状を呈し、その延在方向に移動自在に第2レール保持部分53dに保持されている。回転軸部分53fは、全体に円柱状を呈し、中心軸線がZ軸方向に沿うように第2レール53eに固定されている。回転部分53gは、回転軸部分53fを取り囲む環状を呈し、その回転軸部分53fに対して当該回転軸部分53fの中心軸線回りに回転自在とされている。第3連結部53では、回転部分53gがXY調整板36に固定的に取り付けられている。
【0066】
この第3連結部53では、第1レール53aと第1レール保持部分53b(それが固定板部分53cを介して固定された第2レール保持部分53d)とのY軸方向への相対的な移動が可能であり、かつ第2レール保持部分53dと第2レール53eとのX軸方向への相対的な移動が可能であり、しかもその第2レール53eに設けられた回転軸部分53fの中心軸線回りに、回転軸部分53fと回転部分53gとの相対的な回転が可能である。このため、第3連結部53は、第1レール53aが設けられたX軸スライダ35Aと、回転部分53gが設けられたXY調整板36と、のX−Y平面に沿う方向への相対的な変位を許容し、かつ回転軸部分53fの中心軸線回りの相対的な回転を許容しつつ、X軸スライダ35AとXY調整板36とを連結している。このため、第3連結部53では、第1レール53aの中心位置がスライダ側第3支持点Ss3となり、回転部分53gの中心位置が板側第3支持点Sb3となる。この第3連結部53は、X軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとが駆動制御の基準位置とされた際、板側第3支持点Sb3とスライダ側第3支持点Ss3とをZ軸方向で見て同一直線上に位置させる(回転軸部分53fの中心軸線と第1レール53aの中心位置を含むZ軸方向に沿う直線とが一致する)基準位置となるように位置設定されて、X軸スライダ35AとXY調整板36とにそれぞれ設けられている。すなわち、第3連結部53は、板側第3支持点Sb3とスライダ側第3支持点Ss3とのZ軸方向で見た間隔を変動させることなく(当該間隔を所定の大きさ寸法に維持しつつ)、板側第3支持点Sb3とスライダ側第3支持点Ss3とのX−Y平面に沿う方向への相対的な位置の変動を可能とするものである。
【0067】
第4連結部54は、板側第4支持点Sb4とスライダ側第4支持点Ss4とをX−Y平面に沿う方向への相対的な位置の変化を許容し、かつZ軸方向回りにX軸スライダ35BとXY調整板36とが相対的に回転することを許容するように、X軸スライダ35BとXY調整板36とを連結する(図6等参照)。本実施例では、第4連結部54は、図10に示すように、X軸スライダ35Bに固定された第1レール54aと、その第1レール54aを摺動可能に保持する第1レール保持部分54bと、その第1レール保持部分54bに固定された固定板部分54cと、その固定板部分54cに固定された第2レール保持部分54dと、その第2レール保持部分54dに摺動可能に保持される第2レール54eと、その第2レール54eに固定された回転軸部分54fと、その回転軸部分54fに対して回転可能に設けられた回転部分54gと、を有する。この第1レール54aは、X軸方向に延在された棒状を呈する。第1レール保持部分54bは、第1レール54aの延在方向へと摺動可能に第1レール54aを保持することが可能とされている。固定板部分54cは、板状を呈し、下面側に第1レール保持部分54bが設けられるとともに、上面側に第2レール保持部分54dが設けられており、第1レール保持部分54bと第2レール保持部分54dとの位置関係を固定している。第2レール保持部分54dは、Y軸方向へと摺動可能に第2レール54eを保持することが可能とされている。第2レール54eは、Y軸方向に延在された棒状を呈し、その延在方向に移動自在に第2レール保持部分54dに保持されている。回転軸部分54fは、全体に円柱状を呈し、中心軸線がZ軸方向に沿うように第2レール54eに固定されている。回転部分54gは、回転軸部分54fを取り囲む環状を呈し、その回転軸部分54fに対して当該回転軸部分54fの中心軸線回りに回転自在とされている。第4連結部54では、回転部分54gがXY調整板36に固定的に取り付けられている。
【0068】
この第4連結部54では、第1レール54aと第1レール保持部分54b(それが固定板部分54cを介して固定された第2レール保持部分54d)とのX軸方向への相対的な移動が可能であり、かつ第2レール保持部分54dと第2レール54eとのY軸方向への相対的な移動が可能であり、しかもその第2レール54eに設けられた回転軸部分54fの中心軸線回りに、回転軸部分54fと回転部分54gとの相対的な回転が可能である。このため、第4連結部54は、第1レール54aが設けられたX軸スライダ35Bと、回転部分54gが設けられたXY調整板36と、のX−Y平面に沿う方向への相対的な変位を許容し、かつ回転軸部分54fの中心軸線回りの相対的な回転を許容しつつ、X軸スライダ35BとXY調整板36とを連結している。このため、第4連結部54では、第1レール54aの中心位置がスライダ側第4支持点Ss4となり、回転部分54gの中心位置が板側第4支持点Sb4となる。この第4連結部54は、X軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとが駆動制御の基準位置とされた際、板側第4支持点Sb4とスライダ側第4支持点Ss4とをZ軸方向で見て同一直線上に位置させる(回転軸部分54fの中心軸線と第1レール54aの中心位置を含むZ軸方向に沿う直線とが一致する)基準位置となるように位置設定されて、X軸スライダ35BとXY調整板36とにそれぞれ設けられている。すなわち、第4連結部54は、板側第4支持点Sb4とスライダ側第4支持点Ss4とのZ軸方向で見た間隔を変動させることなく(当該間隔を所定の大きさ寸法に維持しつつ)、板側第4支持点Sb4とスライダ側第4支持点Ss4とのX−Y平面に沿う方向への相対的な位置の変動を可能とするものである。
【0069】
このため、XY調整板36は、ベース部材31上において、Y軸スライダ33をY軸方向に適宜移動させることによりY軸方向の位置の調整が可能であるとともに、両X軸スライダ35(35A、35B)を一体的にX軸方向に適宜移動させることによりX軸方向の位置の調整が可能であり、X−Y平面に沿う移動が自在とされている。また、XY調整板36は、図6に示すように、ベース部材31上において、X軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとを個別にX軸方向に適宜移動させることにより、基準軸線Baを回転中心としてZ軸方向回りで見た回転姿勢を適宜調整することが可能とされている(矢印A1参照)。このとき、XY調整板36では、基準軸線Baを基点とする回転に起因する板側第2支持点Sb2およびスライダ側第2支持点Ss2と、板側第3支持点Sb3およびスライダ側第3支持点Ss3と、板側第4支持点Sb4およびスライダ側第4支持点Ss4と、のX−Y平面に沿う方向での変動分が、第2連結部52における第3方向への変位と、第3連結部53および第4連結部54におけるX−Y平面に沿う方向への変位と、で、吸収されることにより、両X軸スライダ35(35A、35B)による支持が可能とされている。また、XY調整板36では、第2連結部52が第3方向への変位のみを許容する構成とされていることから、X軸スライダ35Aに対するX軸スライダ35Bの位置関係とXY調整板36の基準軸線Ba回りの回転姿勢とを一対一で対応させることができる。このため、本実施例では、XY調整板36が平面調整板として機能し、両X軸駆動機構34と両X軸スライダ35とが回転駆動機構としての機能も有する。このXY調整板36における、X−Y平面に沿う状態での位置および回転姿勢の調整の制御については、後に詳細に説明する。
【0070】
このXY調整板36には、中心位置を取り囲むように設けられた3つの支持部挿通孔36a、36b、36cと、その中央に設けられた中央貫通孔36dと、が設けられている。3つの支持部挿通孔36a、36b、36cは、3つのZ軸駆動機構37に対応して設けられている。中央貫通孔36dは、Z軸方向から見てY軸スライダ33の貫通孔33aよりも小さな大きさ寸法とされており、X軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとが駆動制御の基準位置とされた際、当該貫通孔33aの中心に位置するものとされている。
【0071】
その3つのZ軸駆動機構37は、XY調整板36の下側(裏面側)に設けられている(図11および図12参照)。各Z軸駆動機構37は、対象ワーク22(図1参照)のZ軸方向での位置およびZ軸方向に対する傾斜の設定(調整)のために設けられている。この3つのZ軸駆動機構37は、本実施例では、図11に示すように、1つ(個別に述べるときは37Aとする)がX軸スライダ35Aの上方に位置されており、残りの2つ(個別に述べるときは37B、37Cとする)がX軸スライダ35Bの上方に位置されている。この各Z軸駆動機構37は、基本的な構成は等しいものであることから、Z軸駆動機構37Aの概略的な構成を説明し、他については省略する。
【0072】
Z軸駆動機構37Aは、図12に示すように、駆動モータ37aと、変換部37bと、伝達軸37cと、スライド軸受部37dと、第1移動部37eと、第1ガイド部37fと、第2ガイド部37gと、第2ガイド保持部37hと、第2移動部37iと、第3ガイド部37jと、第3ガイド保持部37kと、ボールジョイント軸37lと、球面軸受部37mと、Z軸移動部37nと、を有する。
【0073】
駆動モータ37aは、載置ステージ30の内方に設けられた駆動制御部(図示せず)により、印加電流が適宜制御されて、回転制御される。この駆動モータ37aは、本実施例では、ステッピングモータが用いられている。この駆動モータ37aの出力軸は、変換部37bに接続されている。この変換部37bには、伝達軸37cも接続されており、駆動モータ37a(その出力軸)の回転運動を、伝達軸37cのY軸方向への進退運動に変換する。その伝達軸37cは、Y軸方向に延在された棒状を呈し、スライド軸受部37dにY軸方向への進退自在に保持されている。そのスライド軸受部37dは、XY調整板36の裏面(下側の面)に固定されており、駆動モータ37aから駆動力が付与された伝達軸37cが、Y軸方向に進退移動することを補助する。
【0074】
その伝達軸37cに、第1移動部37eが固定されている。この第1移動部37eは、上面がX−Y平面に沿いかつ下面がX−Y平面に対して傾斜する所謂くさび形状を呈し、上面部で第1ガイド部37fを摺動自在に保持している。その第1ガイド部37fは、Y軸方向に延在された棒状を呈し、XY調整板36の裏面(下側の面)に固定されている。このため、第1移動部37eは、伝達軸37cのY軸方向への進退移動に伴って、Y軸方向への進退移動することが可能とされている。
【0075】
この第1移動部37eの下面に沿うように、第2ガイド部37gが固定されている。この第2ガイド部37gは、棒状を呈し、Y−Z平面に沿いかつY軸に傾斜する方向に延在している。この第2ガイド部37gは、第2ガイド保持部37hに保持される。その第2ガイド保持部37hは、第2ガイド部37gを延在方向に摺動自在に保持可能とされており、第2移動部37iに固定されている。
【0076】
その第2移動部37iは、全体に柱状を呈し、Y軸方向に延出する腕部分37oを有する。腕部分37oの上面は、第1移動部37eの下面と平行とされている。この腕部分37oの上面に、第2ガイド保持部37hが固定されている。第2移動部37iには、Y軸方向で見て腕部分37oが延出された側とは反対側に、第3ガイド部37jが固定されている。この第3ガイド部37jは、棒状を呈し、Z軸方向に延在している。第3ガイド部37jは、第3ガイド保持部37kに保持される。この第3ガイド保持部37kは、第3ガイド部37jを延在方向に摺動自在に保持可能とされており、XY調整板36の延出壁36eに固定されている。この延出壁36eは、XY調整板36の裏面(下側の面)から、Z軸方向に沿って下側へと延出されている。
【0077】
このため、第2移動部37iは、第1移動部37eがY軸方向へと進退移動されると、その第1移動部37eに第2ガイド部37gおよび第2ガイド保持部37hを介して接続されていることにより、第3ガイド保持部37kと第3ガイド部37jとの案内方向であるZ軸方向へと進退移動される。すなわち、第2移動部37iは、伝達軸37cが最も進出する(第1移動部37eが駆動モータ37aから離間する)と、Z軸方向で下側へと移動し、伝達軸37cが最も後退する(第1移動部37eが駆動モータ37aに接近する)と、Z軸方向で上側へと移動する。このことから、各Z軸駆動機構37は、所謂クサビ機構とされている。このZ軸方向に進退移動される第2移動部37iおよび第3ガイド部37jと、XY調整板36に固定されてZ軸方向の高さ位置が一定とされた延出壁36eおよび第3ガイド保持部37kと、は、下部がX軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとの間の空間に位置されている。
【0078】
この第2移動部37iの上部にボールジョイント軸37lが設けられている。このボールジョイント軸37lは、Z軸方向に延出されて設けられており、その延出端が球状(37p)とされている。ボールジョイント軸37lの球状部37pは、球面軸受部37mにより保持されている。この球面軸受部37mは、ボールジョイント軸37lの球状部37pを、その球面形状に沿って摺動自在に保持している。球面軸受部37mの上方にZ軸移動部37nが設けられている。このZ軸移動部37nは、柱状を呈している。Z軸移動部37nは、第2移動部37iに対して、ボールジョイント軸37lの球状部37pの中心位置回りに、揺動自在とされている。
【0079】
このため、Z軸駆動機構37Aでは、駆動モータ37aが適宜回転駆動されることにより第1移動部37eがY軸方向へと進退移動し、この第1移動部37eのY軸方向への進退移動に伴って第2移動部37iがZ軸方向へと進退移動し、その第2移動部37iにボールジョイント軸37lおよび球面軸受部37mを介して取り付けられたZ軸移動部37nが、スライド軸受部37d、第1移動部37eおよび第3ガイド保持部37kを介して取り付けられたXY調整板36に対してZ軸方向で進退移動する。
【0080】
各Z軸駆動機構37は、上述したように、XY調整板36の各支持部挿通孔(36a、36b、36c)に個別に対応して設けられている。具体的には、図11に示すように、Z軸駆動機構37AのZ軸移動部37nは、支持部挿通孔36aに挿通されており、Z軸駆動機構37BのZ軸移動部37nは、支持部挿通孔36bに挿通されており、Z軸駆動機構37CのZ軸移動部37nは、支持部挿通孔36cに挿通されている。各Z軸駆動機構37では、Z軸移動部37nの上方に、Z軸調整板38の支持のための調整板支持部(37q、37r、37s)が設けられている。このため、本実施例では、Z軸方向が基準平面に直交する第4方向となり、Z軸調整板38が第4方向調整板として機能し、各Z軸駆動機構37が第4方向駆動機構として機能する。また、各Z軸駆動機構37では、駆動モータ37a、変換部37b、伝達軸37c、スライド軸受部37d、第1移動部37e、第1ガイド部37f、第2ガイド部37g、第2ガイド保持部37h、第2移動部37i、第3ガイド部37j、第3ガイド保持部37k、ボールジョイント軸37l、球面軸受部37mおよびZ軸移動部37nが駆動本体部として機能する。
【0081】
Z軸駆動機構37AのZ軸移動部37n上に設けられる調整板支持部37qは、全体に円柱状を呈し、Z軸調整板38の裏面(下側の面)に対して所定の位置で固定される。すなわち、調整板支持部37qは、ボールジョイント軸37lと球面軸受部37mとにより揺動自在とされたZ軸移動部37n上に設けられていることから、Z軸調整板38のX−Y平面に対する傾斜の変化を許容(支持角度を変更自在に)しつつZ軸調整板38の所定の位置を固定的に支持している。このため、調整板支持部37qは、第4方向駆動機構における第1支持部として機能する。
【0082】
Z軸駆動機構37BのZ軸移動部37n上に設けられる調整板支持部37rは、長尺なガイドレールを有し、図示は略すがZ軸調整板38の裏面に設けられたガイドレール保持部により摺動可能に当該ガイドレールが保持されることにより、Z軸調整板38の裏面に接続される。このガイドレールは、延在方向の延長線上にZ軸駆動機構37Aの調整板支持部37q(Z軸移動部37n)の軸線が位置するように、換言すると、当該軸線へ向けて延在するように、位置設定されている。この調整板支持部37rは、ボールジョイント軸37lと球面軸受部37mとにより揺動自在とされたZ軸移動部37n上に設けられていることから、Z軸調整板38のX−Y平面に対する傾斜の変化を許容(支持角度を変更自在に)しつつZ軸調整板38の裏面をガイドレールの延在方向へと変位自在に支持している。このため、調整板支持部37rは、第4方向駆動機構における第2支持部として機能する。
【0083】
Z軸駆動機構37CのZ軸移動部37n上に設けられる調整板支持部37sは、全体に円柱状を呈し、Z軸調整板38の裏面に摺動自在に当接される。すなわち、調整板支持部37sは、ボールジョイント軸37lと球面軸受部37mとにより揺動自在とされたZ軸移動部37n上に設けられていることから、Z軸調整板38のX−Y平面に対する傾斜の変化を許容(支持角度を変更自在に)しつつZ軸調整板38を移動自在に支持している。このため、調整板支持部37sは、第4方向駆動機構における第3支持部として機能する。
【0084】
そのZ軸調整板38は、図2に示すように、対象ワーク22(図1参照)を吸着保持するチャックプレート40の固定的な載置を可能とする板状部材である。Z軸調整板38は、各Z軸駆動機構37を同期させて駆動することにより、Z軸方向で見た高さ位置が調整される。また、Z軸調整板38は、各Z軸駆動機構37を適宜個別に駆動することにより、X−Y平面に対する傾斜が調整される。このとき、Z軸調整板38では、Z軸駆動機構37Aの調整板支持部37qが固定された箇所が基点となり、その調整板支持部37q、Z軸駆動機構37Bの調整板支持部37rおよびZ軸駆動機構37Cの調整板支持部37sの高さ位置の差異に起因するそれぞれの間隔の変動分が、調整板支持部37rにおけるガイドレールの延在方向への変位と、調整板支持部37sにおける変位と、で、吸収されることにより、各Z軸駆動機構37による支持が可能とされている。また、Z軸調整板38では、Z軸駆動機構37Bの調整板支持部37rがガイドレールの延在方向への変位のみを許容する構成とされていることから、Z軸駆動機構37Aの調整板支持部37qが固定された箇所を基点として、Z軸方向回りに回動することが防止されている。
【0085】
このZ軸調整板38には、図3に示すように、工具顕微鏡41と超音波センサ42とが設けられている。この工具顕微鏡41と超音波センサ42とは、図示は略すが中央挿通孔38aの内周縁部に固定されている。その工具顕微鏡41は、中央挿通孔38aから下方へと、XY調整板36の中央貫通孔36dおよびX軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとの間の空間に延在されている。工具顕微鏡41は、露光装置10の投影光学系に対するZ軸調整板38(XY調整板36)の基準位置の調整に用いる顕微鏡であり、光軸方向が中央挿通孔38aを介して固定されたZ軸調整板38が基準姿勢とされた状態においてZ軸方向に等しいものとされている。このZ軸調整板38の基準姿勢は、各Z軸駆動機構37(調整板支持部(37q、37r、37s))による支持の高さ位置が等しいものとされた状態、すなわちベース部材31を基準としてX−Y平面に沿う状態をいう。この工具顕微鏡41は、光軸を露光装置10の投影光学系の投影光軸と一致させることにより、露光装置10の投影光学系に対するX−Y平面に沿う方向で見たZ軸調整板38(XY調整板36)の位置を基準位置とするように配置されている。また、工具顕微鏡41は、チャックプレート40上に対象ワーク22が吸着保持された際、当該対象ワーク22を基準平面に沿うものとすべく、上述したチャックプレート40が取り付けられるZ軸調整板38のZ軸方向で見た位置(高さ位置)の調整のためにも用いることが可能とされている。
【0086】
超音波センサ42は、Z軸調整板38の中央挿通孔38aから下方へと、XY調整板36の中央貫通孔36dおよびX軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとの間の空間に延在されている。この超音波センサ42は、チャックプレート40上に平坦な対象ワーク22が吸着保持(載置)されているか否かの判別のために設けられている。超音波センサ42は、検出方向が、Z軸調整板38が基準姿勢とされた状態においてZ軸方向に等しいものとされている。
【0087】
図2および図3に示すように、Z軸調整板38の下方に、リフト機構39(図2および図3参照)が設けられている。このリフト機構39は、チャックプレート40上で、対象ワーク22(図1参照)をZ軸方向(正確にはZ軸を含む高さ方向)に移動させるものである。リフト機構39は、リフトベース39aと、複数のリフトピン39bと、を有する。リフトベース39aは、図示を略す上下駆動部によりZ軸方向へと変位自在に保持された枠部材である。この上下駆動部(図示せず)は、Z軸調整板38の裏面(下側の面)に取り付けられている。このため、リフトベース39aは、Z軸調整板38のX−Y平面に対する傾斜に拘らず、上下駆動部(図示せず)により、Z軸調整板38とXY調整板36との間で、Z軸調整板38の板面に直交する方向で見た位置(Z軸を含む高さ方向の位置)が変位自在とされている。このリフトベース39aに各リフトピン39bが設けられている。
【0088】
各リフトピン39bは、リフトベース39aからZ軸方向の上側に突起された筒状部材であり、上端面に載置される対象ワーク22(図1参照)の吸着保持が可能とされている。この各リフトピン39bは、Z軸調整板38に設けられたピン挿通孔38bおよびチャックプレート40に設けられたピン挿通孔40a(図3参照)を経て、チャックプレート40の上方へと突出可能とされている。このリフト機構39は、各リフトピン39bをチャックプレート40の上方へと突出させた状態で、当該各リフトピン39bの上端面に載置された対象ワーク22(図1参照)を吸着保持し、その後リフトベース39aを下降させて各リフトピン39bをチャックプレート40側へと引き込むことにより、吸着保持した対象ワーク22をチャックプレート40上に載置させる。
【0089】
そのチャックプレート40は、複数の吸着孔40bを有する。その各吸着孔40bは、載置された対象ワーク22(図1参照)の吸着保持が可能とされている。この各吸着孔40bによる吸着動作は、リフト機構39の動作とともに、載置ステージ30の内方に設けられた駆動制御部(図示せず)の制御下で行われる。
【0090】
この載置ステージ30では、チャックプレート40の上方へと突出させた各リフトピン39bの上端面に載置された対象ワーク22(図1参照)を吸着保持し、その対象ワーク22を、リフト機構39の動作により、チャックプレート40による吸着保持へと移行する。その後、載置ステージ30では、チャックプレート40で吸着保持した対象ワーク22の状態に応じて、当該対象ワーク22を露光装置10の投影光学系の結像面(基準平面)に沿う適切な位置(姿勢)とする。具体的には、ベース部材31上において、両Y軸スライダ33をY軸方向に、かつ両X軸スライダ35(35A、35B)をX軸方向に適宜移動させることにより、チャックプレート40、Z軸調整板38および各Z軸駆動機構37を介してXY調整板36に設けられた対象ワーク22のX−Y平面に沿う位置および回転姿勢を調整する。また、各Z軸駆動機構37による支持位置を適宜変更することにより、チャックプレート40およびZ軸調整板38を介してXY調整板36に設けられた対象ワーク22のZ軸方向での位置(高さ位置)およびX−Y平面に対する傾斜を調整する。これにより、露光装置10では、対象ワーク22にマスクパターン像を適切に露光することができる。
【0091】
次に、両Y軸スライダ33および両X軸スライダ35を用いた対象ワーク22すなわちXY調整板36のX−Y平面に沿う状態での位置および回転姿勢の調整について、図13ないし図18を用いて説明する。図13は、図6に示す両X軸スライダ35とXY調整板36とが各連結部(51、52、53、54)により連結された模式図をZ軸方向の上側から見た様子を示す説明図であり、図14は、図13と同様の説明図であり、(a)がX軸スライダ35Bを正面視して左側(X軸方向の負側)に移動した様子を示し、(b)がX軸スライダ35Bを正面視して右側(X軸方向の正側)に移動した様子を示している。
【0092】
先ず、図13に示す基準位置から、両Y軸スライダ33およびX軸スライダ35Aを固定した状態で、X軸スライダ35BのみをX軸方向に移動させる場面を考える(図14参照)。この場合、各連結部(51、52、53、54)の作用により、図14に示すように、第1連結部51の中心軸である基準軸線Ba回りにXY調整板36が回転される。この回転姿勢は、第1連結部51における連結状態に対する第2連結部52における連結状態、すなわち基準軸線Ba(板側第1支持点Sb1およびスライダ側第1支持点Ss1)に対する板側第2支持点Sb2およびスライダ側第2支持点Ss2の位置関係により決定する。これは、第1連結部51が基準軸線Ba回りにX軸スライダ35AとXY調整板36とが相対的に回転することを許容するとともに、第2連結部52がX軸スライダ35BとXY調整板36との第3方向への相対的な変位を許容しかつ連結基部分52aの中心軸線回りの相対的な回転を許容することによる。ここで、以下の説明では、XY調整板36における板側第1支持点Sb1と板側第2支持点Sb2を結ぶ直線である第3方向を、X−Y平面上で見たXY調整板36の回転姿勢の目安とする回転目安線Rmとし、X軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとが駆動制御の基準位置とされた際の回転目安線Rm(第3方向)の延在方向を回転基準線Rbとする。この回転基準線Rbは、本実施例では、X軸方向(第2方向)およびY軸方向(第1方向)に対して45度の傾斜を有する。
【0093】
X軸スライダ35BのみがX軸方向に移動すると、図14(a)および(b)に示すように、X−Y平面上で見て、X軸スライダ35Aのスライダ側第1支持点Ss1が移動しないのに対して、X軸スライダ35Bのスライダ側第2支持点Ss2がX軸方向へと移動する。すると、第2連結部52が、スライダ側第2支持点Ss2に対して、XY調整板36上で固定された板側第2支持点Sb2を、当該XY調整板36上の第3方向である回転目安線Rmに沿って移動可能に連結するものであることから、XY調整板36は、移動されたスライダ側第2支持点Ss2上に回転目安線Rmが位置するように、基準軸線Ba回りに回転する。
【0094】
ここで、以下の説明では、理解容易のために、図15に示すように、各連結部(51、52、53、54)によるXY調整板36における各支持点(Sb1、Sb2、Sb3、Sb4)からなる正方形を基準XY調整板36´とする。この図15では、基準XY調整板36´(XY調整板36)の回転中心となる基準軸線Baを原点Oとし、正面視して上下方向をY軸とするとともに上側を正側とし、左右方向をX軸とするとともに右側を正側とし、反時計方向を基準XY調整板36´(XY調整板36)の回転方向正側(図16(a)および図17(a)参照)とする。また、その基準XY調整板36´において、板側第1支持点Sb1と板側第3支持点Sb3とを結ぶ辺の半分の長さ寸法をAxとし、板側第1支持点Sb1と板側第4支持点Sb4とを結ぶ辺の半分の長さ寸法をAyとする。さらに、Y軸方向に対して回転基準線Rbが為す回転基準角度をθbとし、回転基準線Rbに対して回転目安線Rmが為す角度すなわち基準XY調整板36´(XY調整板36)の基準姿勢からの基準軸線Ba回りの回転角度をθr(図16参照)とする。なお、本実施例では、すべての角度を「°(度)」の単位で示すものとする。ついで、X軸駆動機構34AすなわちX軸スライダ35AのX軸方向への移動量をXmとし、X軸駆動機構34BすなわちX軸スライダ35BのX軸方向への移動量をXsとし、基準軸線Ba(第1連結部51)側に位置するY軸駆動機構32のY軸方向への移動量をYmとし、反対側に位置するY軸駆動機構32のY軸方向への移動量をYsとする。なお、本実施例では、2つのY軸駆動機構32は、単一のY軸スライダ33に対して設けられて常に同期されて制御されることから、移動量Ysと移動量Ymとは等しいものとなる。
【0095】
基準XY調整板36´を基準位置から任意の回転角度θrまで回転させるために、X軸スライダ35Bを基準位置から移動量Xsまで移動させた様子を図16に示す。この図16は、上述したように、X軸スライダ35BのみをX軸方向に移動すると、そのスライダ側第2支持点Ss2上に回転目安線Rmを位置させるように、基準XY調整板36´が基準軸線Ba(スライダ側第1支持点Ss1)回りに回転することに基づく。図16では、(a)が基準XY調整板36´を正側へA度回転させるべく、X軸スライダ35BをX軸方向の負側へXsだけ移動させた様子を示し、(b)が基準XY調整板36´を負側へA度回転させるべく、X軸スライダ35BをX軸方向の正側へXsだけ移動させた様子を示している。このX軸スライダ35Bにおける基準位置からの移動量Xsは、次式(1)で示すことができる。なお、式(1)では、X軸スライダ35BのみをX軸方向に移動するものであることから、移動量Xm、移動量Ysおよび移動量Ymは、いずれも0となる。
【0096】
【数1】

【0097】
この式(1)により、X軸スライダ35Aに対してX軸スライダ35Bを相対的に移動量Xsだけ移動させることにより、基準XY調整板36´すなわちXY調整板36をX−Y平面に沿う状態での任意の回転姿勢(基準姿勢から任意の回転角度θrだけ回転した姿勢)とすることができる。
【0098】
次に、回転中心を基準XY調整板36´の中心位置に変換することを考える。これは、式(1)で示す各移動量は、X軸スライダ35BのみをX軸方向に移動した場面において、基準XY調整板36´が基準軸線Ba(スライダ側第1支持点Ss1)回りに回転角度θrだけ回転させるために必要な値を示すものであることによる。このため、図17に示すように、基準軸線Ba回りに回転角度θrだけ回転させた基準XY調整板36´の中心位置が、基準位置にある基準XY調整板36´の中心位置となるように(矢印A2参照)、回転後の基準XY調整板36´の回転姿勢を維持したまま移動させる(矢印A3参照)。この図17では、(a)が正側へA度回転された基準XY調整板36´を移動する様子を示し、(b)が負側へA度回転された基準XY調整板36´を移動する様子を示している。また、図17では、基準位置にある基準XY調整板36´を一点鎖線で示し、回転後の基準XY調整板36´を実線で示し、回転姿勢が維持されて移動された基準XY調整板36´を二点鎖線で示している。このときの各移動量Xs、Xm、Ys、Ymは、次式(2)で示すことができる。なお、この式(2)では、式(1)による基準XY調整板36´の回転姿勢を維持したまま移動させるものであることから、移動量Xsと移動量Xmとが等しいものとなり、移動量Ysと移動量Ymとが等しいものとなる。
【0099】
【数2】

【0100】
この式(2)により、式(1)で任意の回転姿勢とされた基準XY調整板36´を、その中心位置が基準位置にある基準XY調整板36´の中心位置となるように(矢印A2参照)、変位させることができる(二点鎖線で示す基準XY調整板36´および矢印A3参照)。このため、式(1)および式(2)で示す各移動量を加算したものが、基準位置にある基準XY調整板36´の中心位置回りに、当該基準XY調整板36´を回転角度θrだけ回転させるために必要な各移動量Xs、Xm、Ys、Ymとなる。
【0101】
次に、回転中心を任意の座標位置(X、Y)に変換することを考える。これは、式(1)および式(2)で示す各移動量は、基準位置にある基準XY調整板36´の中心位置を回転中心とするものであることによる。このため、図18に示すように、座標位置(X、Y)が、基準原点Obを回転中心として任意の回転角度θrだけ正側もしくは負側に回転移動された座標位置を(X、Y)として、座標位置(X、Y)から座標位置(X、Y)へと移動させるための移動量(矢印A4参照)を求める。この移動量(矢印A4参照)におけるX軸方向の移動量が移動量Xsおよび移動量Xmとなり、Y軸方向の移動量が移動量Ysおよび移動量Ymとなる。この各移動量Xs、Xm、Ys、Ymは、次式(3)で示すことができる。なお、式(3)では、基準原点Obと座標位置(X、Y)とを結ぶ線分がX軸に対して為す角度をθで示している。
【0102】
【数3】

【0103】
この式(3)は、基準原点Obを回転中心として回転角度θrだけ回転された基準XY調整板36´の回転姿勢を維持したまま、その回転後の基準XY調整板36´において、基準姿勢(回転前)の基準XY調整板36´における任意の座標位置(X、Y)に相当する座標位置(X、Y)を、座標位置(X、Y)に移動させるものとなる。なお、この式(3)において、基準原点Obから見た任意の座標位置(X、Y)の角度θは、下記の条件で示すことができる。
【0104】
【数4】

【0105】
このため、基準姿勢の基準XY調整板36´における中心位置を基準原点Obとみなすと、式(1)、式(2)および式(3)で示す各移動量を加算したものが、任意の座標位置(X、Y)回りに、基準XY調整板36´を回転角度θrだけ回転させるために必要な各移動量Xs、Xm、Ys、Ymとなる。基準姿勢の基準XY調整板36´における中心位置を基準原点Obとみなす場合、基準原点Obを原点(X=0、Y=0)として、回転中心としたい任意の位置の座標(X、Y)を求めるとともに、その座標位置(X、Y)と基準原点Obとを結ぶ線分がX軸に対して為す角度θを求める。
【0106】
また、基準軸線Baを基準原点Obとみなすと、式(1)および式(3)で示す各移動量を加算したものが、任意の座標位置(X、Y)回りに、基準XY調整板36´を回転角度θrだけ回転させるために必要な各移動量Xs、Xm、Ys、Ymとなる。
【0107】
このように、載置ステージ30では、X軸スライダ35Aに対してX軸スライダ35Bを適宜移動させることで、XY調整板36を任意の回転角度θrでの回転姿勢とすることができる。このXY調整板36における回転姿勢は、式(1)を用いて算出した任意の回転角度θrに応じる移動量Xsだけ、X軸スライダ35Aに対してX軸スライダ35Bを移動させるだけで設定することができる。
【0108】
また、載置ステージ30では、両X軸スライダ35を一体的にX軸方向へ適宜移動するとともに、Y軸スライダ33をY軸方向へ適宜移動することにより、任意の回転姿勢としたXY調整板36を、その回転姿勢を維持したままX軸方向およびY軸方向に適宜移動させることができる。このとき、式(2)を用いて算出した任意の回転角度θrに応じる各移動量Xs、Xm、Ys、Ymだけ、両X軸スライダ35およびY軸スライダ33を移動させることにより、基準位置にあるXY調整板36を、その中心位置回りに任意の回転角度θrだけ回転させた状態とすることができる。また、式(2)および式(3)、もしくは式(3)を用いて算出した任意の回転角度θrに応じる各移動量Xs、Xm、Ys、Ymだけ、両X軸スライダ35およびY軸スライダ33を移動させることにより、基準位置にあるXY調整板36を、任意の座標位置(X、Y)回りに任意の回転角度θrだけ回転させた状態とすることができる。
【0109】
本実施例では、上述したようにXY調整板36における各支持点(Sb1、Sb2、Sb3、Sb4)が正方形を形作る(基準XY調整板36´)位置関係とされており、その一辺の長さ寸法が430mmとされている。このことから、長さ寸法Ax=長さ寸法Ay=215mmとなり、回転基準角度θb=45度となる。このため、上述した両Y軸スライダ33および両X軸スライダ35を用いたXY調整板36(基準XY調整板36´)のX−Y平面に沿う状態での回転姿勢の調整のための式(1)は次式(1´)で表すことができる。
【0110】
【数5】

【0111】
また、式(2)は次式(2´)で表すことができる。
【0112】
【数6】

【0113】
なお、式(3)およびその角度θの条件については、回転中心を原点とする座標位置(X、Y)およびその角度θで示すものであることから、上述した通りである。
【0114】
このように、本発明に係る載置ステージ30(露光装置10)では、ベース部材31の上にY軸駆動機構32によりY軸方向(第1方向)に移動自在にY軸スライダ33を設け、そのY軸スライダ33の上にY軸方向に離間した2つのX軸駆動機構34BによりX軸方向(第2方向)に移動自在に2つのX軸スライダ35を設け、このX軸スライダ35をY軸方向で架け渡すようにXY調整板36(平面調整板)が設けられている。このため、X軸スライダ35AとX軸スライダ35BとのX軸方向での相対的な位置によりXY調整板36の回転姿勢を設定することができ、そのX軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとの相対的な位置関係を維持したまま当該両X軸スライダ35を同期させて駆動制御することにより、XY調整板36の回転姿勢を維持したままXY調整板36をX軸方向に移動させることができ、Y軸スライダ33をY軸方向に移動させることによりX軸方向での位置に拘らずXY調整板36の回転姿勢を維持したままXY調整板36をY軸方向に移動させることができる。このことから、XY調整板36のY軸方向(第1方向)の位置調整のための機構と、XY調整板36のX軸方向(第2方向)の位置調整のための機構と、の2つの構成で、それぞれの位置調整に影響を及ぼすことなくXY調整板36の回転姿勢を設定することのできる回転駆動機構を形成することができる。このように、XY調整板36の回転姿勢の変化の影響を受けることなく、XY調整板36におけるX軸方向での位置とY軸方向での位置とを個別に調整することができるので、XY調整板36の回転姿勢に拘らず同一の制御方法によりXY調整板36すなわち対象ワーク22のX−Y平面上での位置を調整することができる。よって、簡単な構成でかつ簡単な位置姿勢制御であるにも拘らず、極めて高い精度でXY調整板36すなわち対象ワーク22のX−Y平面上での位置および回転姿勢を設定することができる。
【0115】
また、載置ステージ30(露光装置10)では、Y軸駆動機構の上方にX軸駆動機構が設けられており、そのX軸駆動機構が回転駆動機構としても機能する構成とされていることから、高さ寸法(Z軸方向で見た大きさ寸法)の増大を抑制することができる。
【0116】
さらに、載置ステージ30(露光装置10)では、式(1)で求めた移動量XsだけX軸スライダ35Aに対してX軸スライダ35Bを移動させることにより、XY調整板36(基準XY調整板36´)をX−Y平面に沿う状態での任意の回転姿勢(基準姿勢から任意の回転角度θrだけ回転した姿勢)とすることができ、その後、式(2)および式(3)で示すように、X軸方向およびY軸方向へと適宜移動させることにより、任意の座標位置をXY調整板36の回転中心とすることができる。このため、XY調整板36すなわち対象ワーク22を、簡易な制御で、X−Y平面に沿う状態での任意の座標位置を回転中心とした任意の回転姿勢とすることができる。
【0117】
載置ステージ30(露光装置10)では、X軸スライダ35AとXY調整板36とが、基準軸線Ba回りの相対的な回転を許容する第1連結部51により連結されるとともに、X軸スライダ35BとXY調整板36とが、第3方向への相対的な変位を許容しかつ連結基部分52aの中心軸線回りの相対的な回転を許容する第2連結部52により連結されていることから、基準軸線Baに対する板側第2支持点Sb2およびスライダ側第2支持点Ss2の位置関係とXY調整板36の回転姿勢とを一対一で対応させることができる。このため、簡易な構成であるにも拘らず、X軸スライダ35Aに対してX軸スライダ35Bを適宜移動させることにより、XY調整板36すなわち対象ワーク22の回転姿勢を高い精度で設定することができる。
【0118】
載置ステージ30(露光装置10)では、第2連結部52がX軸スライダ35Bのスライダ側第2支持点Ss2に対してXY調整板36の板側第2支持点Sb2を第3方向に沿って移動可能に連結するものであり、その第3方向がXY調整板36上において板側第2支持点Sb2から板側第1支持点Sb1へと向かう方向である回転目安線Rmとされていることから、移動されたスライダ側第2支持点Ss2上に回転目安線Rmが位置するように、XY調整板36を基準軸線Ba回りに回転させることができる。このため、XY調整板36すなわち対象ワーク22の回転姿勢を設定する際の、X軸スライダ35Aに対するX軸スライダ35Bの移動量Xsの設定を容易なものとすることができる。
【0119】
載置ステージ30(露光装置10)では、第1連結部51が基準軸線Ba回りにX軸スライダ35AとXY調整板36とが相対的に回転することを許容する構成であるとともに、第2連結部52がX軸スライダ35BとXY調整板36との第3方向への相対的な変位を許容しかつ連結基部分52aの中心軸線回りの相対的な回転を許容する構成であることから、簡易な構成であるにも拘らず、X軸スライダ35Aに対するX軸スライダ35BのX軸方向の位置を設定するだけで、XY調整板36すなわち対象ワーク22の回転姿勢を極めて高い精度で設定することができる。
【0120】
載置ステージ30(露光装置10)では、Y軸スライダ33の移動方向である第1方向と、両X軸スライダ35の移動方向である第2方向と、が直交されていることから、より効率よくXY調整板36すなわち対象ワーク22の位置および回転姿勢を設定することができる。
【0121】
載置ステージ30(露光装置10)では、両X軸スライダ35が基準位置とされた状態において、第1連結部51における板側第1支持点Sb1およびスライダ側第1支持点Ss1と、第2連結部52における板側第2支持点Sb2およびスライダ側第2支持点Ss2と、を結ぶ線分の延在方向が、第1方向および第2方向のそれぞれに傾斜されていることから、XY調整板36すなわち対象ワーク22の回転方向に拘らず、X軸スライダ35Aに対してX軸スライダ35Bを円滑に移動させることができる。特に、本実施例では、上述した線分の延在方向が第1方向および第2方向のそれぞれに対して45度の傾斜とされていることから、対象ワーク22の回転方向の差異による影響を極めて小さなものとすることができる。
【0122】
載置ステージ30(露光装置10)では、各Z軸駆動機構37が、XY調整板36(平面調整板)の支持部挿通孔(36a、36b、36c)を経て当該XY調整板36の上方に突出する調整板支持部(37q、37r、37s)を、駆動本体部(37a〜37n)がXY調整板36に対して第4方向(Z軸方向)に各々進退させる構成とされている。その駆動本体部(37a〜37n)は、XY調整板36の裏面側に設けられているとともに、下方の一部がX軸スライダ35AとX軸スライダ35Bとの間の空間に位置されている。このため、高さ寸法(Z軸方向で見た大きさ寸法)の増大を抑制することができる。これは、各Z軸駆動機構37は、XY調整板36の上方に配置されたZ軸調整板38(第4方向調整板)の、XY調整板36に対する第4方向(Z軸方向)での位置および第4方向に対する傾き(X−Y平面に対する傾き)を変更するものであることから、一般的にはXY調整板36の上方に設けられることによる。特に、本実施例では、駆動本体部(37a〜37n)の他部が、Z軸方向(第4方向)で見て、XY調整板36のX−Y平面に沿う位置および回転姿勢の調整を可能とすべく、Y軸スライダ33と両X軸スライダ35とを連結する各連結部(51、52、53、54)が設けられた位置に配置されていることから、各Z軸駆動機構37を設けることによる高さ寸法(Z軸方向で見た大きさ寸法)の増大を、大幅に抑制することができる。
【0123】
載置ステージ30(露光装置10)では、各Z軸駆動機構37が、XY調整板36の上方に配置されたZ軸調整板38(第4方向調整板)のXY調整板36に対する第4方向(Z軸方向)での位置を設定する機能と、当該Z軸調整板38(第4方向調整板)の第4方向に対する傾き(X−Y平面に対する傾き)を設定する機能と、を併せ持つものであることから、それぞれの機能のための構成を個別に設けることに比較して、高さ寸法(Z軸方向で見た大きさ寸法)を大幅に抑制することができる。
【0124】
載置ステージ30(露光装置10)では、XY調整板36のY軸方向(第1方向)の位置調整のための機構およびXY調整板36のX軸方向(第2方向)の位置調整のための機構の2つの構成で、XY調整板36のY軸方向(第1方向)の位置調整のための機能と、XY調整板36のX軸方向(第2方向)の位置調整のための機能と、XY調整板36の回転姿勢を設定するための機能と、を実現し、かつ単一の構成である各Z軸駆動機構37で、Z軸調整板38のXY調整板36に対するZ軸方向での位置を設定する機能と、当該Z軸調整板38の第4方向に対する傾きを設定する機能と、を実現し、さらに各Z軸駆動機構37がZ軸方向で見てX軸方向(第2方向)の位置調整のための機構と重なる構成とされていることから、極めて小さな構成(大きさ寸法)で5つの機能を具備することができる。
【0125】
載置ステージ30(露光装置10)では、Z軸調整板38が、Z軸駆動機構37Aの調整板支持部37qにより回転自在に支持され、かつZ軸駆動機構37Bの調整板支持部37rによりガイドレールの延在方向への変位のみが許容されて支持され、しかもZ軸駆動機構37Cの調整板支持部37sにより変位自在に支持されていることから、Z軸駆動機構37Aの調整板支持部37qが固定された箇所を基点として、Z軸方向回りに回動することが防止されている。このため、各Z軸駆動機構37による支持高さ位置(Z軸方向で見た支持位置)を適宜変更することにより、XY調整板36において設定されたX−Y平面に沿う状態での位置および回転姿勢の変更を招くことなく、Z軸調整板38すなわち対象ワーク22の第4方向(Z軸方向)での位置および第4方向に対する傾き(X−Y平面に対する傾き)を設定することができる。
【0126】
載置ステージ30(露光装置10)では、リフト機構39のリフトベース39aが、Z軸調整板38(第4方向調整板)の下方において、各Z軸駆動機構37の調整板支持部(37q、37r、37s)により形成されたZ軸調整板38とXY調整板36(平面調整板)との間の空間に配置されているとともに、当該空間内でZ軸方向(第4方向)に移動可能とされていることから、リフト機構39を設けることによる高さ寸法(Z軸方向で見た大きさ寸法)の増大を、大幅に抑制することができる。
【0127】
載置ステージ30(露光装置10)では、対象ワーク22(XY調整板36)のX−Y平面に沿う位置および回転姿勢の設定のためのX軸駆動機構34およびX軸スライダ35が、Y軸スライダ33の上面においてY軸方向で見た両端位置に個別に設けられ、かつその両X軸スライダ35をY軸方向に架け渡すようにXY調整板36(平面調整板)が設けられていることから、そのXY調整板36の下方において、両X軸スライダ35の移動に拘らず容量が略一定の空間を、両X軸スライダ35の間に形成することができる。このため、当該空間を配置スペースとして利用することができるので、大きさ寸法の増大を抑制することができる。例えば、載置ステージ30(露光装置10)では、Z軸調整板38に中央挿通孔38aを設けるとともにXY調整板36に中央貫通孔36dを設けていることから、Z軸調整板38上に載置されるチャックプレート40すなわちそこに吸着保持される対象ワーク22に対する露光装置10の投影光学系に位置設定のための工具顕微鏡41を、両X軸スライダ35の間に形成した空間に配置することができる。また、載置ステージ30(露光装置10)では、Z軸調整板38に中央挿通孔38aを設けるとともにXY調整板36に中央貫通孔36dを設けていることから、Z軸調整板38上に載置されるチャックプレート40に、対象ワーク22が載置されているか否かの判別のための超音波センサ42を、両X軸スライダ35の間に形成した空間に配置することができる。
【0128】
載置ステージ30(露光装置10)では、チャックプレート40に対象ワーク22が載置されているか否かの判別のために、超音波センサ42を用いていることから、チャックプレート40上での高さ位置(Z軸方向で見た位置)に拘らず対象ワーク22の有無を検出することができる。
【0129】
露光装置10では、載置ステージ30において対象ワーク22が極めて高い精度で位置および回転姿勢が設定されていることから、対象ワーク22にマスクパターン像を適切に露光することができる。
【0130】
したがって、本発明に係る載置ステージ30(露光装置10)では、簡単な構成で、対象ワーク22の位置姿勢制御を極めて高い精度で行うことができる。
【0131】
なお、上記した実施例では、本発明に係る載置ステージの一例としての載置ステージ30について説明したが、露光光が結像されて所定のマスクパターンが露光される対象ワークの基準平面に対する位置および姿勢を制御する載置ステージであって、前記基準平面に対して固定的に設けられたベース部材と、前記基準平面に沿う第1方向に移動可能に前記ベース部材上に設けられた第1駆動機構と、該第1駆動機構により支持される第1スライダと、前記基準平面に沿いかつ前記第1方向に対して傾斜する第2方向に移動可能に、前記第1スライダ上で前記第1方向に間隔を置いて対を為して設けられた2つの第2駆動機構と、該各第2駆動機構により個別に支持される2つの第2スライダと、前記対象ワークを載置すべく前記両第2スライダを前記第1方向に架け渡して前記基準平面に沿って設けられた平面調整板と、を備える載置ステージであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0132】
また、上記した実施例では、第1連結部51および第2連結部52が上述したように構成されていたが、第1連結部が、基準軸線Ba回りの相対的な回転を許容しつつX軸スライダ35AとXY調整板36とを連結するものであって、第2連結部が、第3方向への相対的な変位を許容しかつ連結基部分52aの中心軸線回りの相対的な回転を許容しつつX軸スライダ35BとXY調整板36とを連結するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0133】
さらに、上記した実施例では、第3連結部53および第4連結部54が設けられていたが、これらは両X軸スライダ35の上方においてXY調整板36を安定して支えるために設けられているものであることから、XY調整板36側の支持点(Sb3、Sb4)に対する両X軸スライダ35側の支持点(Ss3、Ss4)のZ軸方向での間隔を変動させることなくX−Y方向での位置の変動を許容するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。このことから、第1連結部51と第2連結部52とにより、両X軸スライダ35の上方においてXY調整板36を安定して支えることができるものであれば、第3連結部53および第4連結部54は設けなくてもよい。
【0134】
上記した実施例では、第2連結部52における第3方向が、XY調整板36上において板側第2支持点Sb2から板側第1支持点Sb1へと向かう方向(回転目安線Rm)とされていたが、X軸スライダ35AとX軸スライダ35BとのX軸方向での相対的な位置によりXY調整板36の回転姿勢を設定することができるものであればよいことから、XY調整板36における各支持点(Sb1、Sb2、Sb3、Sb4)の位置関係に対して変動することのない一定の方向、もしくはX軸スライダ35B上において変動することのない一定の方向であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。その実施例とは異なる一例を、以下で図19および図20を用いて説明する。この例では、両X軸駆動機構34が駆動制御の基準位置とされた状態において、X軸スライダ35Bのスライダ側第2支持点Ss2から、X軸スライダ35Aのスライダ側第1支持点Ss1へと向かう方向を第3方向とするものである。この場合、例えば、第2連結部52(図8参照)の代わりに、図19に示す第2連結部52´を用いればよい。この第2連結部52´は、X軸スライダ35Bに固定されZ軸方向に延出された連結基部分52a´と、その上端面に固定されたレール保持部分52b´と、そのレール保持部分52b´に摺動可能に保持されるレール52c´と、そのレール52c´に固定された回転軸部分52d´と、その回転軸部分52d´に対して回転可能に設けられた回転部分52e´と、を有する。この連結基部分52a´は、全体に段付きの円筒状を呈し、その中心軸線がZ軸方向に沿うものとされている。レール保持部分52b´は、X−Y平面に沿う方向であって、X軸方向(第2方向)およびY軸方向(第1方向)に対して傾斜する第3方向へと摺動可能にレール52c´を保持することが可能とされている。レール52c´は、第3方向に延在された棒状を呈し、回転軸部分52d´に固定されている。回転軸部分52d´全体に円柱状を呈し、中心軸線がZ軸方向に沿うようにレール52c´に固定されている。回転部分52e´は、回転軸部分52d´を取り囲む環状を呈し、その回転軸部分52d´に対して当該回転軸部分52d´の中心軸線回りに回転自在とされている。第2連結部52´では、回転部分52e´がXY調整板36に固定的に取り付けられている。このため、レール52c´は、X軸スライダ35Bに対して延在方向が固定されていることとなる。このレール52c´の延在方向すなわち第3方向は、この例では、両X軸駆動機構34が駆動制御の基準位置とされた状態において、X軸スライダ35Bのスライダ側第2支持点Ss2から、X軸スライダ35Aのスライダ側第1支持点Ss1へと向かう方向とされており、各支持点(Ss1、Ss2、Ss3、Ss4)が描く正方形の対角線と一致されている。このため、上記した実施例の設定に合わせると、第3方向は、常にX軸方向(第2方向)およびY軸方向(第1方向)に対して45度の傾斜を有するものとなる。このような構成の場合、上記した実施例の制御式(1)を、次式(4)に変更する必要がある。
【0135】
【数7】

【0136】
また、上記した実施例のように、XY調整板36における各支持点(Sb1、Sb2、Sb3、Sb4)が正方形を形作る(基準XY調整板36´)位置関係とされており、その一辺の長さ寸法が430mmとされているものとすると、長さ寸法Ax=長さ寸法Ay=215mmとなり、回転基準角度θb=45度となる。このため、上述した両Y軸スライダ33および両X軸スライダ35を用いたXY調整板36(基準XY調整板36´)のX−Y平面に沿う状態での回転姿勢の調整のための式(4)は次式(4´)で表すことができる。
【0137】
【数8】

【0138】
この例の構成であっても、基本的に上記した実施例の載置ステージ30(露光装置10)と同様の構成であることから、基本的に上記した実施例と同様の効果を得ることができる。
【0139】
それに加えて、第2連結部52´がX軸スライダ35Bのスライダ側第2支持点Ss2に対してXY調整板36の板側第2支持点Sb2を第3方向に沿って移動可能に連結するものであり、その第3方向が両X軸駆動機構34が駆動制御の基準位置とされた状態において、X軸スライダ35Bのスライダ側第2支持点Ss2から、X軸スライダ35Aのスライダ側第1支持点Ss1へと向かう方向とされていることから、移動されたスライダ側第2支持点Ss2を含む第3方向上に板側第2支持点Sb2が位置するように、XY調整板36を基準軸線Ba回りに回転させることができる。このため、XY調整板36すなわち対象ワーク22の回転姿勢を設定する際の、X軸スライダ35Aに対するX軸スライダ35Bの移動量Xsの設定を容易なものとすることができる。
【0140】
以上、本発明の載置ステージおよびそれを用いた露光装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0141】
10 露光装置
22 対象ワーク
30 載置ステージ
31 ベース部材
32 (第1駆動機構としての)Y軸駆動機構
33 (第1スライダとしての)Y軸スライダ
34 (第2駆動機構としての)X軸駆動機構
35 (第2スライダとしての)X軸スライダ
36 (平面調整板としての)XY調整板
37 (第4方向駆動機構としての)Z軸駆動機構
37q (第1支持部としての)調整板支持部
37r (第2支持部としての)調整板支持部
37s (第3支持部としての)調整板支持部
38 (第4方向調整板としての)Z軸調整板
51 第1連結部
52、52´ 第2連結部
Ba 基準軸線
Sb1 板側第1支持点
Sb2 板側第2支持点
Ss1 スライダ側第1支持点
Ss2 スライダ側第2支持点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光光が結像されて所定のマスクパターンが露光される対象ワークの基準平面に対する位置および姿勢を制御する載置ステージであって、
前記基準平面に対して固定的に設けられたベース部材と、
前記基準平面に沿う第1方向に移動可能に前記ベース部材上に設けられた第1駆動機構と、
該第1駆動機構により支持される第1スライダと、
前記基準平面に沿いかつ前記第1方向に対して傾斜する第2方向に移動可能に、前記第1スライダ上で前記第1方向に間隔を置いて対を為して設けられた2つの第2駆動機構と、
該各第2駆動機構により個別に支持される2つの第2スライダと、
前記対象ワークを載置すべく前記両第2スライダを前記第1方向に架け渡して前記基準平面に沿って設けられた平面調整板と、を備えることを特徴とする載置ステージ。
【請求項2】
前記平面調整板と一方の前記第2スライダとは、一端が板側第1支持点で前記平面調整板に接続し、かつ他端がスライダ側第1支持点で一方の前記第2スライダに接続すべく、前記基準平面に直交する方向に延在する第1連結部で連結され、
該第1連結部は、前記板側第1支持点と前記スライダ側第1支持点との位置関係を変更することなく、前記板側第1支持点および前記スライダ側第1支持点を含む基準軸線回りの前記平面調整板と一方の前記第2スライダとの相対的な回転を許容し、
前記平面調整板と他方の前記第2スライダとは、一端が板側第2支持点で前記平面調整板に接続し、かつ他端がスライダ側第2支持点で他方の前記第2スライダに接続すべく、前記基準平面に直交する方向に延在する第2連結部で連結され、
該第2連結部は、前記基準平面に沿う第3方向での前記板側第2支持点と前記スライダ側第2支持点との相対的な位置の変化を許容するとともに、前記基準平面に直交する方向回りの前記平面調整板と他方の前記第2スライダとの相対的な回転を許容することを特徴とする請求項1に記載の載置ステージ。
【請求項3】
前記第3方向は、前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれに対して傾斜することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の載置ステージ。
【請求項4】
前記第1方向と前記第2方向とは、直交することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の載置ステージ。
【請求項5】
前記板側第1支持点と前記板側第2支持点とは、前記両第2スライダが前記第2方向への移動の基準となる基準位置とされた際、前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれに対して傾斜する直線上に位置されていることを特徴とする請求項4に記載の載置ステージ。
【請求項6】
前記第3方向は、前記板側第1支持点と前記板側第2支持点とを結ぶ線分の延在方向であることを特徴とする請求項5に記載の載置ステージ。
【請求項7】
前記第3方向は、前記両第2スライダが前記第2方向への移動の基準となる基準位置とされた際における前記スライダ側第1支持点と前記スライダ側第2支持点とを結ぶ線分の延在方向であることを特徴とする請求項5に記載の載置ステージ。
【請求項8】
前記板側第1支持点と前記板側第2支持点とは、前記両第2スライダが前記基準位置とされた際、互いを結ぶ線分の延在方向が前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれに対して45度の傾斜を為していることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の載置ステージ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の載置ステージであって、
さらに、前記基準平面に直交する第4方向での前記対象ワークの位置および該第4方向に対する傾斜の変更のために前記平面調整板上に設けられた第4方向調整板と、
該第4方向調整板の前記第4方向での位置および該第4方向に対する傾斜を変更させる第4方向駆動機構と、を備え、
該第4方向駆動機構は、前記第4方向調整板を支持する少なくとも3つの支持部と、該各支持部を前記第4方向に移動させる駆動本体部と、を有し、
該駆動本体部は、少なくとも一部を前記第1スライダと前記第2スライダとの間に位置させつつ前記平面調整板の下側に設けられ、
前記各支持部は、前記第4方向で見て、前記平面調整板の下方の前記駆動本体部に接続するとともに、前記平面調整板の上方で前記第4方向調整板を支持していることを特徴とする載置ステージ。
【請求項10】
前記各支持部は、前記第4方向調整板に対する支持位置を変化させることなく該第4方向調整板に対する支持角度を変更自在に支持する第1支持部と、
前記第4方向調整板に対する支持位置を前記第1支持部による支持位置との線分方向に変更自在に、かつ前記第4方向調整板に対する支持角度を変更自在に支持する第2支持部と、
前記第4方向調整板に対する支持位置を変更自在に、かつ該第4方向調整板に対する支持角度を変更自在に支持する第3支持部と、を有することを特徴とする請求項9に記載の載置ステージ。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の載置ステージを用いることを特徴とする露光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−94557(P2012−94557A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237854(P2010−237854)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】