農作業車の動力伝達装置
【課題】作業機系伝動機構の一部を変更することで、極力低コストで農作業車の仕様を多様化する。また伝動ケースの組付操作も簡単なものとする。
【解決手段】走行用伝動機構M1を内装する走行系ミッションケース1に対し、各種の作業機系伝動機構を内装する各種の伝動ケース2を交換自在に連結する。この際、作業機系伝動機構は、少なくともケース部材2a,2bと、前記ミッションケース1から動力を取り入れる入力軸80と、前記作業系伝動機構M2Aの動力伝動状態を入切するクラッチCと、同クラッチCを入切操作するクラッチ操作軸6と、前記動力を伝動ケース2から出力する出力軸9とを共通部材として構成する。そして、同ケース2を、ミッションケース1のPTO軸54と出力軸9を受ける筒軸94に対し車体側方から取り付ける。
【解決手段】走行用伝動機構M1を内装する走行系ミッションケース1に対し、各種の作業機系伝動機構を内装する各種の伝動ケース2を交換自在に連結する。この際、作業機系伝動機構は、少なくともケース部材2a,2bと、前記ミッションケース1から動力を取り入れる入力軸80と、前記作業系伝動機構M2Aの動力伝動状態を入切するクラッチCと、同クラッチCを入切操作するクラッチ操作軸6と、前記動力を伝動ケース2から出力する出力軸9とを共通部材として構成する。そして、同ケース2を、ミッションケース1のPTO軸54と出力軸9を受ける筒軸94に対し車体側方から取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農作業車の動力伝達装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業車には、特開2004−180532号公報に示されるように、ミッションケースの一側部から伝動軸を突出させ、この伝動軸を隣接した作業機系伝動ケース(第一ロータリケース34)内に貫入させて、この伝動軸の回転をケース内部の伝動機構を介して作業機へ伝達するものが知られている。そして、前記公報による農作業車では、作業機系伝動ケースを種々のもの、例えば逆転PTO機構を内装する仕様や、変速機構を内装する仕様に付け替えて前記作業機の駆動形態を変更する構成が示唆されている。
【特許文献1】特開2004-180523号公報(段落〔0042〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記農作業車のように、伝動機構の一部を変更して各種仕様を構成する場合は、変更に係る部品を極力少なく、即ち共用部品を極力数多く構成して生産コストを抑える構成が望まれる。また生産組付時、或いは生産後に作業機系伝動ケースを組み替える時にも、この組付作業が簡単となる構成が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決するべく、農作業車の動力伝達装置を以下のように構成した。
即ち請求項1の発明では、走行用伝動機構(M1)を内装する走行系ミッションケース(1)に対し、作業機系伝動機構(M2A,M2B)を内装する各種の伝動ケース(2)を交換自在に連結して、作業部(3)の駆動形態を変更自在に構成した農作業車であって、少なくとも前記伝動ケース(2)のケース部材(2a,2b)と、前記ミッションケース(1)から動力を取り入れる入力軸(80)と、前記作業系伝動機構(M2A,M2B)の動力伝動状態を入切するクラッチ(C)と、同クラッチ(C)を入切操作するクラッチ操作軸(6)と、前記動力を伝動ケース(2)から出力する出力軸(9)とを共通部材として、前記入力軸(80)と出力軸(9)間の伝動機構を変更することで、各種の作業機系伝動機構を内装する伝動ケース(2A,2B)を構成したことを特徴とする農作業車の動力伝達装置とした。
(請求項1の作用)
以上のように構成した農作業車の動力伝達装置では、前記伝動ケース(2)のケース部材(2a,2b)と、前記ミッションケース(1)から動力を取り入れる入力軸(80)と、前記作業系伝動機構(M2A,M2B)の動力伝動状態を入切するクラッチ(C)と、同クラッチ(C)を入切操作するクラッチ操作軸(6)と、前記動力を伝動ケース(2)から出力する出力軸(9)とを共通部材として構成された伝動ケースを、走行系ミッションケース(1)に対し着脱自在に連結する。
【0005】
また請求項2の発明では、前記伝動ケース(2)の一側面に、前記走行系ミッションケース(1)から突設するPTO軸(52)を挿入自在に開口する開口部(80a)を備えると共に、同側面に、前記作業機系伝動機構を経て伝動される前記出力軸(9)を前記走行系ミッションケース(1)の正面視下方位置まで突設し、前記伝動ケース(2A,2B)を、前記PTO軸(52)及び出力軸(9)を連結する車体側の連結軸(94)に対して、側方から着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1に記載の農作業車の伝動装置とした。
(請求項2の作用)
以上のように構成した農作業車の動力伝達装置では、前記伝動ケース(2A,2B)を、前記PTO軸(52)と出力軸(9)を連結する車体側の連結軸(94)に対して、側方から着脱する。
【発明の効果】
【0006】
これにより、請求項1の発明では、各種の作業に対応して種々の伝動機構を構成する際にも、少なくとも、ケース部材(2a,2b)と、前記ミッションケース(1)から動力を取り入れる入力軸(7)と、前記作業機系伝動機構の動力伝動状態を入切するクラッチ(5)及び同クラッチ(5)を入切操作する操作軸(6)と、ケース外へ動力を出力する出力軸(8)とを共通部材として、各種の伝動機構を構成するので、仕様変更に係る部品点数を極力削減して生産コストを削減することができる。
【0007】
また請求項2の発明では、前記伝動ケース(2)を側方から着脱する際に、上部の入力部と下部の出力部の連結位置が略同位置に設定されているので、例えば入力軸若しくは出力軸の軸の内、一方だけが長く延設された状態で伝動ケース(2)を着脱する構成と比較して、ケース(2)自体の取扱性が良い上、両ケース(1,2)間での両軸合わせも簡単となり、着脱、交換作業が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
最初に農作業車Tの全体構成に付いて説明する。
農作業車Tは、図1と図2に示すように、車体前部左右に角材から成る前フレーム11を前後方向に沿わせて配し、この左右の前フレーム11,11間にエンジン取付用の二本の補助フレーム12,12を架け渡す構成となっている。また、前フレーム11の後端部を、上下傾斜方向に配した中間フレーム13を介して後フレーム14を接続し、この後フレーム14,14後部間に操縦席支持プレート15を架け渡すと共に、後フレーム14の後端部同士を後輪支持フレーム16にて接続して、車体フレーム枠を構成している。
【0009】
また前記左右の前フレーム11前端部同士は、側面視L状のバッテリ取付プレート17にて接続し、このプレート17中間部にエンジンEにより充電されるバッテリBを載置固定すると共に、同フレーム11の左右側面には、平面視ループ状の歩行用ハンドル18を取り付ける構成となっている。これにより、前記歩行用ハンドル18は、オペレータが乗車しているときに車体前部を保護するバンパーとして、或いは背丈の高い作物を左右に振り分けて作物を損傷しなようナローガイドとしても利用することができる。
【0010】
また前記歩行用ハンドル18の左右両側部には、左右前輪20F,20Fの操向用クラッチ45,45を個別に入切するクラッチレバー22,22を設け、左右一側には、前記両クラッチ45,45を共に切りに保持する車両停止レバー23を備える構成となっている。
【0011】
また前記エンジン取付用補助フレーム12,12の間には、前記前フレーム11よりも外側に突出させる複数のロッド21…を架設して、このロッド21上のブラケットに作業機昇降用アクチュエータとなる昇降用電動シリンダ24の基部を取り付ける構成となっている。
【0012】
また前記エンジンEの後方には、ハンドルポスト25を設け、同ポスト25の上端部に乗車用ハンドル19を突設すると共に、同ポスト25内部には、ステアリング軸26の回転に連動して押し引きされるワイヤーを設け、このワイヤーの押し引き操作にて前記左右夫れ夫れの前輪20F,20Fのクラッチ45,45を個別に入切する構成となっている。
【0013】
これにより、乗車用ハンドル19を左方向に切ると左前輪20Fのクラッチ45が切となって、左前輪20Fを支点として車両は左側に操向し、ハンドル19を右方向に切ると右前輪20F側のクラッチ45が切となって、右前輪20Fを支点として車両は右側に操向することができる。
【0014】
また前記後フレーム14の上方には、ステップフロア28を支持し、同フロア28上方に前記操縦席29を支持すると共に、同フレーム14の後端部同士は、同フロア28の左右幅よりも外側に突設させた二本の後輪支持フレーム16,16にて接続し、同フレーム16,16の左右外端部にキャスター式の後輪20Rを取り付ける構成となっている。
【0015】
また前記左右後輪20R,20Rは、前記ステアリング軸26の回転操作に連動して押し引きされるワイヤーを接続し、前記乗用用ハンドル19の回転操作に連動して左右に操舵する構成となっている。
【0016】
また前記二本の後輪支持フレーム16,16間には、プレート部材を架け渡して補強部材とすると共に、車体後方から乗り降りする際の乗降用ステップ30Aを構成している。また同フレーム16下方に延設する後輪支持アーム31にも前方へ向ってプレート部材を突設し、車体側方から乗り降りする際の乗降用ステップ30Bを構成している。
【0017】
以上のように構成した農作業車Tでは、車体前部にエンジンEやバッテリBや後述するミッションケース1等を集中配置して重量を重くする一方、車体後部、特に後輪20Rは、前輪20Fと比較して小径で且つ駆動機構を備えず軽量な構成としているので、オペレータが下車した状態では、後輪20Rの接地荷重が極めて小さい構成となっている。
【0018】
これにより、オペレータは、前記歩行用ハンドル18を下方へ押圧して前輪20Fを支点に車体後部を持ち上げる場合、極力小さな力で操作することができ歩行操作時の操作性を向上することができる。
【0019】
尚、図1中符号32は、前記バッテリBの前方へ張り出した補助ペダルを示し、前記歩行用ハンドル18を押圧操作する際に同ペダル32を踏み込むことで体重をかけ、歩行用ハンドル18の押圧力を補助する構成となっている。また一転鎖線Xは、車体の左右中央線を示し、この線上に前記エンジンEの他、走行系ミッションケース1、筒軸94、操縦席29を配置する構成となっている。
【0020】
次に、この農作業車Tの走行系伝動機構M1と作業機系伝動機構M2について説明する。
図4乃至図8は、正転2段の変速機構を構成した第一の作業系伝動機構M1Aに関する図であり、図9乃至図11は、正逆切替機構を構成した第二の作業機系伝動機構M2Bに関する図である。
【0021】
走行系の動力伝達機構M1は、前記エンジンEの出力軸40の回転を、伝動上手側から順にベルトケース41、走行系ミッションケース1、前輪支持用ポータルケース42内の各伝動機構を介して伝達し、前輪20Fを駆動する構成となっている。
【0022】
詳細に説明すると、図4に示すように、前記エンジンEの左右一側には、エンジン出力軸40を車体外側へ向けて突設し、同軸40の回転をベルトケース41内の駆動側プーリ43a及び従動側プーリ43bと、両プーリ43a,43b間を接続するゴム製の伝動ベルト39を介して、後方の走行系ミッションケース1の入力軸(第一軸50)へ伝達する構成となっている。
【0023】
また前記走行系ミッションケース1は、車体中央部に配置され且つ前後方向に配した金属製ケースであって、このケース後上部の入力軸50から回転を入力し、ケース前下部の出力軸55から回転を出力する構成となっている。
【0024】
また前記走行系ミッションケース1の内部は、六本のギヤ軸(以下、第一軸50、第二軸51、…第六軸55)を軸受けする構成となっており、前記第一軸50と第二軸51、第二軸51と第三軸52との間には、夫れ夫れ減速ギヤ組56,57を設け、前記第一軸50の回転を夫れ夫れ減速する構成となっている。また前記第一軸50が突出しているケース一側面とは反対側のケース他側面には、前記第三軸52の一端部を、作業機系出力軸、即ちPTO軸として突設し、後述する作業機系動力伝達機構M2を介して各種の作業機Rを駆動する構成となっている。
【0025】
また、前記第四軸53には、二つの走行用変速ギヤ(走行用第一変速ギヤ60,二段ギヤ式の走行用第二変速ギヤ61)を設け、前記ハンドルポスト25側方に突設した主変速レバー62により両ギヤ60,61を軸53上でスライドさせる構成となっている。
【0026】
そして、前記変速レバー62により、走行用第一変速ギヤ60を右側へ移動させて第二軸51上の後進用低速ギヤ63と噛み合わせるか、或いは同ギヤ60を左側へ移動させて第三軸52上の前進用低速ギヤ65と噛み合わせるか、或いは前記走行用第二変速ギヤ61を右側に移動させて第二軸51上の後進用高速ギヤ64と噛み合わせるか、或いは同ギヤ61を左側へ移動させて前記第三軸52上の前進用高速ギヤ66と噛み合わせて、前後二速の内、一速を選択する構成となっている。
【0027】
また前記第四軸53と第五軸54間には、回転数を高速で伝達する高速ギヤ組67と、低速で伝達する低速ギヤ組68を設け、第五軸54上の副変速クラッチ69を操縦席29側方の副変速レバーの前後回動操作によりどちらか一方のギヤ組67,68のクラッチ爪を噛み合わせて、第五軸54を駆動する構成となっている。
【0028】
以上のように構成した走行系伝動機構M1内の主及び副変速機構により、農作業車Tは前進4段、後進4段の変速を得ることができる。
また更に、前記第五軸54と第六軸55との間にも、減速ギヤ組70を設け、前記主及び副変速機構で減速された回転を、第六軸55に設けた駆動側スプロケット71へ伝達し、チェーンCを介してスプロケット支持軸73を駆動する構成となっている。
【0029】
また前記走行系ミッションケース1下部の走行用出力軸73には、前記チェーンCを噛み合わせる従動側スプロケット72を軸受けし、同スプロケット72を支持する軸の左右夫れ夫れにクラッチ45,45を構成すると共に、同クラッチ45,45の被駆動軸側に走行用出力軸74を、前記前フレーム11の外側まで突設する構成となっている。
【0030】
また更に、前記走行用出力軸74は、前記前輪支持用ポータルケース42内部のチェーンCを介してケース下部の前輪アクスル軸76を駆動する構成となっている。
以上のように構成した農作業車Tでは、主及び副変速レバーの回動操作によって、前進4段、後進4段の走行変速を適宜切り替えることができ、また前記歩行用ハンドル18に設けたクラッチレバー22,22の把持操作によって、前記クラッチ45を入切操作して左右一方の前輪20Fを被駆動状態として車体を左右操向することができる。
【0031】
次に変速機構を備えた作業機系動力伝達機構M2Aに付いて説明する。
作業機系の動力伝達機構M2は、図4と図5に示すように、前記ミッションケース1側部に突出させた第三軸(PTO軸)52の回転を、動力上手側から順に、この発明の作業機系伝動ケースとなる第一ロータリケース2A、そして左右の第二ロータリケース46,46、左右第三ロータリケース47,47内の各伝動機構を介して伝達し、更に作業機Rへ伝達する構成となっている。
【0032】
尚、図例では、畝W上または畝溝雑草を除草するカルチロータリ作業機Rを取り付ける構成となっている。
詳細に説明すると、前記変速機構M2Aを内装する第一ロータリケース2Aは、金属製の内側ケース2aと外側ケース2bをボルトにて連結して内部に潤滑油を充填し、車体中央部から左右一側に変位させて位置させる構成となっており、図5に示すように、左右内外の内には、五本の伝動軸(作業系第一軸80から作業系第五軸84)を軸受けすると共に、最上部にはクラッチ操作用シフタ7を支持するシフタ操作軸6を支持する構成となっている。
【0033】
そして前記第一ロータリケース2Aには、前記ミッションケース1から突設したPTO軸52をケース一側の開口部80aに貫入させながら両ケース1,2Aの当接面同士を嵌合させた状態で備える構成となっている。また第一ロータリケース2A内には、上部の入力軸となる作業系第一軸80、この作業系第一軸80と平行に軸架した作業系第二軸81、そして下部の作業系第三軸82を軸支する構成となっている。
【0034】
前記作業系第一軸80は、筒軸形態に構成され、前記ミッションケース1側を開放し且つ内部に内歯車を備える構成となっている。またその筒軸80外周部には、駆動側クラッチ爪85aを備えたクラッチ筒85をスライド自在に嵌合し、同軸80の先端側に前記駆動側クラッチ爪85aと噛合う被駆動側クラッチ爪86aを備えた広幅状の駆動ギヤ86を軸着する構成となっている。
【0035】
そして、前記クラッチ筒85をケース2A上部に軸受けしたシフタ7によって軸80上をスライド操作し、前記PTO軸52の回転から第一軸80へ伝達される回転、即ち第一ロータリケース2A内に入力する回転を入切する構成となっている。
【0036】
また前記シフタ7のシフタ操作軸6は、外側ケース2b上部の開口穴10と内側ケース2a内面に亘って支持し、このケース内先端部に、回動ピンPとこのピンPを同軸周りに斜め方向へ案内するガイド溝Gから成るカム機構を備える共に、同操作軸6中間部に前記外側ケース2bとの端面に当接させるストッパピン87を備える構成となっている。これにより、シフタ操作軸6の操作レバー8をケース側面に沿って前後に回動させると、同軸6は前記ストッパピン87により規制されるまで回動し、前記カム機構により同軸6は車体外側方向へ横移動して前記両クラッチ爪85a,86aを噛合わせる。尚、前記操作レバー8には、別途スプリングを備え、同スプリングの支点超え作用により同レバーの回動位置を保持する構成となっている。
【0037】
また前記作業系第二軸81には、二つのギヤを有する二段ギヤ88(高速ギヤ88Hと低速ギヤ88L)を同軸81上にスライド自在に設ける一方、前記作業機系第三軸82には前記高速ギヤ88Hと低速ギヤ88Lに噛み合わせる被駆動ギヤ89を設け、この二段ギヤ88を軸81上でスライド操作することにより、前記第一軸80上の広幅ギヤ86の回転を第三軸82へ伝達する構成となっている。
【0038】
また前記二段ギヤ88は、図6に示すように、ケース前面に突設させた作業用変速レバー90dとレバー操作軸90b及びシフタ90aを介して連動連結され、同レバー90dをケース2に前方で左右方向に回動することによって前記二段ギヤ88を軸81上でスライドする構成となっている。
【0039】
詳しくは、図7の(A)に示すように、前記作業用変速レバー90dを車体内側へ向って回動すると、前記二段ギヤ88が車体内側にスライドして、低速ギヤ88Lとこれと噛合う第三軸82の被駆動ギヤ91を介して動力が低速で伝達される。
【0040】
また、図7の(B)に示すように、作業用変速レバー90dを車体外側へ向って回動すると、前記二段ギヤ88が車体外側にスライドして、高速ギヤ88Hとこれと噛合う第三軸82の被駆動ギヤ92を介して動力が高速で伝達される。
【0041】
尚、図中、符号90cは同レバー90dを位置決めさせるスプリングとボールとから成るディテント機構を示す。
また前記作業系第三軸82と作業系第四軸83間には、減速ギヤ組93を設け、これら減速ギヤ組93を介して伝達された動力は、第五軸84に挿通した延長軸9(出力軸9)を駆動する構成となっている。
【0042】
また前記延長軸9は、前記筒軸94とピンPで連結された二本の軸から構成され、図1に示すように、この左右外端を前記前フレーム11の左右に突設した筒部材33に挿通支持する構成となっている。また前記延長軸9の左右両端部には、所定間隔毎に複数の取付穴34,34…を開口し、これら取付穴34を選択して後述する第二ロータリケース46を取り付け支持する構成となっている。
【0043】
次に、図8乃至図11に基づいて、正逆切替機構を備えた作業系伝動機構M2Bについて説明する。
尚、前述と同じ構成については同符号を記し説明を説明を省略し、形状等一部異なる部材に付いてはコーテーションマークを記す。
【0044】
この正逆転切替機構を備えた第一ロータリケース2Bは、前記同様、五本の伝動軸(作業系第一軸80から作業系第五軸84’)を軸受けすると共に、最上部にはクラッチ操作用シフタ7を支持するシフタ操作軸6を支持する構成となっている。
【0045】
そして前記第一ロータリケース2Bは、前記ミッションケース1から突設したPTO軸52を貫入させながら、両ケース1,2Aの当接面同士を嵌合させた状態で備える構成となっている。また第一ロータリケース2B内には、上部の入力軸となる作業系第一軸80、この作業系第一軸80と平行に軸架した作業系第二軸81’、そして下部の作業系第三軸82’を軸支する構成となっている。
【0046】
そして、前記作業機系動力を入切するクラッチ機構C及びこの操作機構8、及び第一軸80に関する構成は前述した構成と同一としている。
また前記第二軸81’には、中継ギヤ95を同軸81’上でスライド自在に設ける一方、前記第三軸82’には前記中継ギヤ95と噛合う正転用被駆動ギヤ96Fを設け、第四軸83’には同中継ギヤ95と噛合う逆転用被駆動ギヤ96Rを設け、前記中継ギヤ95を軸81上でスライド操作することにより、前記第一軸80上の広幅ギヤ86’の回転を第三軸82’、若しくは第四軸83’へ伝達する構成となっている。
【0047】
また前記第三軸82’と第四軸83’との間には、常時噛合式の減速ギヤ組97を設け、前記正転用被駆動ギヤ96Fに伝達された回転を第四軸83’へ伝達する構成となっている。
【0048】
また前記中継ギヤ95は、正逆転切替レバー99dとシフタ99a及びレバー操作軸99bを介して連動連結され、同レバー99dを左右方向に回動することによって同ギヤ95を軸上でスライドする構成となっている。
【0049】
詳しくは、図11の(A)に示すように、正逆転切替レバー99dを車体内側へ向って回動すると、中継ギヤ95が車体内側にスライドして、正転用被駆動ギヤ96Fが噛合って、動力が第四軸83へ正転で伝達される。また図11の(B)に示すように、正逆転切替レバー99dを車体外側へ向って回動すると、中継ギヤ95が車体外側にスライドして、逆転用被駆動ギヤ96Rが噛合って動力は第四軸83’へ逆転で伝達される。
【0050】
また前記第四軸83’には、筒状の前記第五軸84’へ動力を伝達する減速ギヤ98を設け、これら減速ギヤ98を介して伝達された動力は、筒状の第四軸84’に挿通したこの発明の出力軸となる前記延長軸9を駆動する構成となっている。
【0051】
以上のように構成した農作業車Tでは、各種作業部に応じて、走行系ミッションケース1に対し、変速機構を備えた第一ロータリケース2Aを取り付けるか、若しくは逆転機構を備えた第一ロータリケース2Bを取り付けるかを選択し、作業に応じた駆動形態を選択することができ、農作業車Tの汎用性を高めることができる。例えば、作業系第五軸84の回転を変速して土壌の硬度に応じた耕耘作業が可能な耕耘部を構成したり、作業系第五軸84の回転を正逆切り替えて土寄作業が可能な作業部を構成することができる。
【0052】
またこの第一ロータリケース2は、内外のケース部材2a,2bと、前記走行系ミッションケース1から動力を取り入れる入力軸80と、前記作業系伝動機構の動力伝動状態を入切するクラッチCと、同クラッチCを入切操作する操作軸6と、ケース外へ動力を出力する出力軸9とを共通部材として、各種の伝動機構を構成するので、仕様変更に係る部品点数を極力削減して生産コストを削減することができる。
【0053】
そして、伝動機構の変速を切替操作する作業系変速レバー8A、若しくは正逆切替を切り替える正逆転切替レバー8Bも、第一ロータリケース2A,2Bと一体でユニット構成され、前記PTO軸52と延長軸9を連結する筒軸94に対し、車両の側方から、正面視略同位置で連結する構成としているので、生産時の組付、或いは生産後の交換時にも、伝動ケース2自体の取扱性が良く、取付作業も簡単である。
【0054】
また更に、前記各第一ロータリケース2A(2B)の各操作レバー90d(99d)は、ケース前方に配置する構成としているので、車体に搭乗しているオペレータが誤って操作したり、衣類などが引っ掛かって操作されることが無く、作業走行中は安定した作業を行なうことができる。
【0055】
次に作業機の一例として、図12と図13に基づいてカルチロータリRについて説明する。
前記カルチロータリRは、左右の畝溝除草部100sと中央部の畝上除草部100cからなる3つの耕耘部とから構成され、作業に応じて中央除草部100cのみにカルチ爪37を装着した状態と、左右除草部100sのみにカルチ爪37を装着した状態と、3つの除草部全てにカルチ爪37を装着した状態で作業する構成となっている。尚、図12例では、中央部の除草部100cにだけカルチ爪37を装着し、畝W上の雑草を除草する状態を示す。
【0056】
また前記畝溝除草部100sは、左右夫れ夫れ前記第二ロータリケース46と第三ロータリケース47と一体構成し、畝上除草部100cは、前記左右各第三ロータリケース47の内側に取り付ける第四ロータリケース48と、複数の伝動軸及び第五ロータリケース49から構成している。
【0057】
また前記左右の各第二ロータリケース46は、上部に前記延長軸9の先端部を貫通支持し、同延長軸9の回転をチェーンCの回転を介してケース46下部の伝動軸101へ伝達すると共に、前記第三ロータリケース47は、前記伝動軸101をケース47上部に貫通支持し、同軸101の回転をチェーンCの回転を介してケース下部の耕耘軸102へ伝達する構成となっている。
【0058】
また前記第二ロータリケース46の上部には、図1に示すように、前記電動シリンダ24のピストン先端部を接続し、前記第三ロータリケース47と前記車体フレーム11間をプレート状のリンクアーム35にて接続する構成となっている。これにより、前記電動シリンダ24のピストン伸縮操作すると、前記第二ロータリケース46と第三ロータリケース47は伝動軸101を中心に屈折しながら上下、即ち同ケース47下部に備えた除草部100c,100sを一体で上下する構成となっている。
【0059】
また前記第四ロータリケース48のケース下部には、前記伝動軸101とチェーンCを介して連動する出力軸103を突設し、この筒軸103に前記畝上除草部100cへ動力を伝達する筒軸104を連結する構成となっている。
【0060】
また前記第五ロータリケース49は、このケース上部左右に複数の位置決め穴を有する入力軸105を突設し、前記筒軸104に対し左右の入力軸105の挿通量を調整することでケース49の左右位置、即ち即ち畝上除草部100cの左右位置を調整できる構成となっている。
【0061】
また前記左右の第三ロータリケース47のロータリカバー106上には、支持杆107を架け渡し、この支持杆107に第五ロータリケース49を固定する構成となっている。
また前記第五ロータリケース47内部には、上部の入力軸105と下部の耕耘軸108との間にチェーンCを架け渡し、入力軸105の回転を耕耘軸108、即ちカルチ爪37へ伝達して回転させる構成となっている。
【0062】
これにより、前記カルチロータリRは、前記電動シリンダ24のピストン長を伸縮調整することで、作業高さを調整し、農作業車Tに変速機構を備えた前記第一ロータリケース2Aを備える場合は、土壌の硬さや作物の状態応じて回転速を変更し、除草作業を行なう。またこのカルチロータリRに代えて、通常のロータリ作業機を備える場合は、正逆転機構を備えた前記第一ロータリケース2Bを備え、耕耘作業若しくは土寄せ作業等に応じてダウンカット耕法、若しくはアップカット耕法を選択して作業を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】農作業車の全体側面図。
【図2】農作業車のフレーム構成を示す平面図。
【図3】作業機を装着した農作業車の全体側面図。
【図4】変速機構を備えた農作業車の動力伝達機構線図。
【図5】変速機構を備えた第一ロータリケースの断面図。
【図6】変速機構を内装した第一ロータリケースの側面図。
【図7】変速レバーの切替操作を示す側面図。
【図8】正逆転機構を備えた農作業車の動力伝達機構線図。
【図9】正逆転機構を備えた第一ロータリケースの断面図。
【図10】正逆転機構を内装した第一ロータリケースの側面図。
【図11】正逆切替レバーの切替操作を示す側面図。
【図12】カルチロータリを装着した農作業車の全体側面図。
【図13】カルチロータリの伝動構成を示す各ケースを断面した図。
【符号の説明】
【0064】
1 走行系ミッションケース
2 作業機系伝動ケース
2A 変速機構を内装した作業機系伝動ケース
2B 正逆転機構を内装した作業機系伝動ケース
2a 内側ケース
2b 外側ケース
3 作業部
9 出力軸(延長軸)
80 入力軸
80a 開口部
52 PTO軸(走行系第三軸)
94 連結軸(筒軸)
【技術分野】
【0001】
この発明は、農作業車の動力伝達装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業車には、特開2004−180532号公報に示されるように、ミッションケースの一側部から伝動軸を突出させ、この伝動軸を隣接した作業機系伝動ケース(第一ロータリケース34)内に貫入させて、この伝動軸の回転をケース内部の伝動機構を介して作業機へ伝達するものが知られている。そして、前記公報による農作業車では、作業機系伝動ケースを種々のもの、例えば逆転PTO機構を内装する仕様や、変速機構を内装する仕様に付け替えて前記作業機の駆動形態を変更する構成が示唆されている。
【特許文献1】特開2004-180523号公報(段落〔0042〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記農作業車のように、伝動機構の一部を変更して各種仕様を構成する場合は、変更に係る部品を極力少なく、即ち共用部品を極力数多く構成して生産コストを抑える構成が望まれる。また生産組付時、或いは生産後に作業機系伝動ケースを組み替える時にも、この組付作業が簡単となる構成が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決するべく、農作業車の動力伝達装置を以下のように構成した。
即ち請求項1の発明では、走行用伝動機構(M1)を内装する走行系ミッションケース(1)に対し、作業機系伝動機構(M2A,M2B)を内装する各種の伝動ケース(2)を交換自在に連結して、作業部(3)の駆動形態を変更自在に構成した農作業車であって、少なくとも前記伝動ケース(2)のケース部材(2a,2b)と、前記ミッションケース(1)から動力を取り入れる入力軸(80)と、前記作業系伝動機構(M2A,M2B)の動力伝動状態を入切するクラッチ(C)と、同クラッチ(C)を入切操作するクラッチ操作軸(6)と、前記動力を伝動ケース(2)から出力する出力軸(9)とを共通部材として、前記入力軸(80)と出力軸(9)間の伝動機構を変更することで、各種の作業機系伝動機構を内装する伝動ケース(2A,2B)を構成したことを特徴とする農作業車の動力伝達装置とした。
(請求項1の作用)
以上のように構成した農作業車の動力伝達装置では、前記伝動ケース(2)のケース部材(2a,2b)と、前記ミッションケース(1)から動力を取り入れる入力軸(80)と、前記作業系伝動機構(M2A,M2B)の動力伝動状態を入切するクラッチ(C)と、同クラッチ(C)を入切操作するクラッチ操作軸(6)と、前記動力を伝動ケース(2)から出力する出力軸(9)とを共通部材として構成された伝動ケースを、走行系ミッションケース(1)に対し着脱自在に連結する。
【0005】
また請求項2の発明では、前記伝動ケース(2)の一側面に、前記走行系ミッションケース(1)から突設するPTO軸(52)を挿入自在に開口する開口部(80a)を備えると共に、同側面に、前記作業機系伝動機構を経て伝動される前記出力軸(9)を前記走行系ミッションケース(1)の正面視下方位置まで突設し、前記伝動ケース(2A,2B)を、前記PTO軸(52)及び出力軸(9)を連結する車体側の連結軸(94)に対して、側方から着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1に記載の農作業車の伝動装置とした。
(請求項2の作用)
以上のように構成した農作業車の動力伝達装置では、前記伝動ケース(2A,2B)を、前記PTO軸(52)と出力軸(9)を連結する車体側の連結軸(94)に対して、側方から着脱する。
【発明の効果】
【0006】
これにより、請求項1の発明では、各種の作業に対応して種々の伝動機構を構成する際にも、少なくとも、ケース部材(2a,2b)と、前記ミッションケース(1)から動力を取り入れる入力軸(7)と、前記作業機系伝動機構の動力伝動状態を入切するクラッチ(5)及び同クラッチ(5)を入切操作する操作軸(6)と、ケース外へ動力を出力する出力軸(8)とを共通部材として、各種の伝動機構を構成するので、仕様変更に係る部品点数を極力削減して生産コストを削減することができる。
【0007】
また請求項2の発明では、前記伝動ケース(2)を側方から着脱する際に、上部の入力部と下部の出力部の連結位置が略同位置に設定されているので、例えば入力軸若しくは出力軸の軸の内、一方だけが長く延設された状態で伝動ケース(2)を着脱する構成と比較して、ケース(2)自体の取扱性が良い上、両ケース(1,2)間での両軸合わせも簡単となり、着脱、交換作業が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
最初に農作業車Tの全体構成に付いて説明する。
農作業車Tは、図1と図2に示すように、車体前部左右に角材から成る前フレーム11を前後方向に沿わせて配し、この左右の前フレーム11,11間にエンジン取付用の二本の補助フレーム12,12を架け渡す構成となっている。また、前フレーム11の後端部を、上下傾斜方向に配した中間フレーム13を介して後フレーム14を接続し、この後フレーム14,14後部間に操縦席支持プレート15を架け渡すと共に、後フレーム14の後端部同士を後輪支持フレーム16にて接続して、車体フレーム枠を構成している。
【0009】
また前記左右の前フレーム11前端部同士は、側面視L状のバッテリ取付プレート17にて接続し、このプレート17中間部にエンジンEにより充電されるバッテリBを載置固定すると共に、同フレーム11の左右側面には、平面視ループ状の歩行用ハンドル18を取り付ける構成となっている。これにより、前記歩行用ハンドル18は、オペレータが乗車しているときに車体前部を保護するバンパーとして、或いは背丈の高い作物を左右に振り分けて作物を損傷しなようナローガイドとしても利用することができる。
【0010】
また前記歩行用ハンドル18の左右両側部には、左右前輪20F,20Fの操向用クラッチ45,45を個別に入切するクラッチレバー22,22を設け、左右一側には、前記両クラッチ45,45を共に切りに保持する車両停止レバー23を備える構成となっている。
【0011】
また前記エンジン取付用補助フレーム12,12の間には、前記前フレーム11よりも外側に突出させる複数のロッド21…を架設して、このロッド21上のブラケットに作業機昇降用アクチュエータとなる昇降用電動シリンダ24の基部を取り付ける構成となっている。
【0012】
また前記エンジンEの後方には、ハンドルポスト25を設け、同ポスト25の上端部に乗車用ハンドル19を突設すると共に、同ポスト25内部には、ステアリング軸26の回転に連動して押し引きされるワイヤーを設け、このワイヤーの押し引き操作にて前記左右夫れ夫れの前輪20F,20Fのクラッチ45,45を個別に入切する構成となっている。
【0013】
これにより、乗車用ハンドル19を左方向に切ると左前輪20Fのクラッチ45が切となって、左前輪20Fを支点として車両は左側に操向し、ハンドル19を右方向に切ると右前輪20F側のクラッチ45が切となって、右前輪20Fを支点として車両は右側に操向することができる。
【0014】
また前記後フレーム14の上方には、ステップフロア28を支持し、同フロア28上方に前記操縦席29を支持すると共に、同フレーム14の後端部同士は、同フロア28の左右幅よりも外側に突設させた二本の後輪支持フレーム16,16にて接続し、同フレーム16,16の左右外端部にキャスター式の後輪20Rを取り付ける構成となっている。
【0015】
また前記左右後輪20R,20Rは、前記ステアリング軸26の回転操作に連動して押し引きされるワイヤーを接続し、前記乗用用ハンドル19の回転操作に連動して左右に操舵する構成となっている。
【0016】
また前記二本の後輪支持フレーム16,16間には、プレート部材を架け渡して補強部材とすると共に、車体後方から乗り降りする際の乗降用ステップ30Aを構成している。また同フレーム16下方に延設する後輪支持アーム31にも前方へ向ってプレート部材を突設し、車体側方から乗り降りする際の乗降用ステップ30Bを構成している。
【0017】
以上のように構成した農作業車Tでは、車体前部にエンジンEやバッテリBや後述するミッションケース1等を集中配置して重量を重くする一方、車体後部、特に後輪20Rは、前輪20Fと比較して小径で且つ駆動機構を備えず軽量な構成としているので、オペレータが下車した状態では、後輪20Rの接地荷重が極めて小さい構成となっている。
【0018】
これにより、オペレータは、前記歩行用ハンドル18を下方へ押圧して前輪20Fを支点に車体後部を持ち上げる場合、極力小さな力で操作することができ歩行操作時の操作性を向上することができる。
【0019】
尚、図1中符号32は、前記バッテリBの前方へ張り出した補助ペダルを示し、前記歩行用ハンドル18を押圧操作する際に同ペダル32を踏み込むことで体重をかけ、歩行用ハンドル18の押圧力を補助する構成となっている。また一転鎖線Xは、車体の左右中央線を示し、この線上に前記エンジンEの他、走行系ミッションケース1、筒軸94、操縦席29を配置する構成となっている。
【0020】
次に、この農作業車Tの走行系伝動機構M1と作業機系伝動機構M2について説明する。
図4乃至図8は、正転2段の変速機構を構成した第一の作業系伝動機構M1Aに関する図であり、図9乃至図11は、正逆切替機構を構成した第二の作業機系伝動機構M2Bに関する図である。
【0021】
走行系の動力伝達機構M1は、前記エンジンEの出力軸40の回転を、伝動上手側から順にベルトケース41、走行系ミッションケース1、前輪支持用ポータルケース42内の各伝動機構を介して伝達し、前輪20Fを駆動する構成となっている。
【0022】
詳細に説明すると、図4に示すように、前記エンジンEの左右一側には、エンジン出力軸40を車体外側へ向けて突設し、同軸40の回転をベルトケース41内の駆動側プーリ43a及び従動側プーリ43bと、両プーリ43a,43b間を接続するゴム製の伝動ベルト39を介して、後方の走行系ミッションケース1の入力軸(第一軸50)へ伝達する構成となっている。
【0023】
また前記走行系ミッションケース1は、車体中央部に配置され且つ前後方向に配した金属製ケースであって、このケース後上部の入力軸50から回転を入力し、ケース前下部の出力軸55から回転を出力する構成となっている。
【0024】
また前記走行系ミッションケース1の内部は、六本のギヤ軸(以下、第一軸50、第二軸51、…第六軸55)を軸受けする構成となっており、前記第一軸50と第二軸51、第二軸51と第三軸52との間には、夫れ夫れ減速ギヤ組56,57を設け、前記第一軸50の回転を夫れ夫れ減速する構成となっている。また前記第一軸50が突出しているケース一側面とは反対側のケース他側面には、前記第三軸52の一端部を、作業機系出力軸、即ちPTO軸として突設し、後述する作業機系動力伝達機構M2を介して各種の作業機Rを駆動する構成となっている。
【0025】
また、前記第四軸53には、二つの走行用変速ギヤ(走行用第一変速ギヤ60,二段ギヤ式の走行用第二変速ギヤ61)を設け、前記ハンドルポスト25側方に突設した主変速レバー62により両ギヤ60,61を軸53上でスライドさせる構成となっている。
【0026】
そして、前記変速レバー62により、走行用第一変速ギヤ60を右側へ移動させて第二軸51上の後進用低速ギヤ63と噛み合わせるか、或いは同ギヤ60を左側へ移動させて第三軸52上の前進用低速ギヤ65と噛み合わせるか、或いは前記走行用第二変速ギヤ61を右側に移動させて第二軸51上の後進用高速ギヤ64と噛み合わせるか、或いは同ギヤ61を左側へ移動させて前記第三軸52上の前進用高速ギヤ66と噛み合わせて、前後二速の内、一速を選択する構成となっている。
【0027】
また前記第四軸53と第五軸54間には、回転数を高速で伝達する高速ギヤ組67と、低速で伝達する低速ギヤ組68を設け、第五軸54上の副変速クラッチ69を操縦席29側方の副変速レバーの前後回動操作によりどちらか一方のギヤ組67,68のクラッチ爪を噛み合わせて、第五軸54を駆動する構成となっている。
【0028】
以上のように構成した走行系伝動機構M1内の主及び副変速機構により、農作業車Tは前進4段、後進4段の変速を得ることができる。
また更に、前記第五軸54と第六軸55との間にも、減速ギヤ組70を設け、前記主及び副変速機構で減速された回転を、第六軸55に設けた駆動側スプロケット71へ伝達し、チェーンCを介してスプロケット支持軸73を駆動する構成となっている。
【0029】
また前記走行系ミッションケース1下部の走行用出力軸73には、前記チェーンCを噛み合わせる従動側スプロケット72を軸受けし、同スプロケット72を支持する軸の左右夫れ夫れにクラッチ45,45を構成すると共に、同クラッチ45,45の被駆動軸側に走行用出力軸74を、前記前フレーム11の外側まで突設する構成となっている。
【0030】
また更に、前記走行用出力軸74は、前記前輪支持用ポータルケース42内部のチェーンCを介してケース下部の前輪アクスル軸76を駆動する構成となっている。
以上のように構成した農作業車Tでは、主及び副変速レバーの回動操作によって、前進4段、後進4段の走行変速を適宜切り替えることができ、また前記歩行用ハンドル18に設けたクラッチレバー22,22の把持操作によって、前記クラッチ45を入切操作して左右一方の前輪20Fを被駆動状態として車体を左右操向することができる。
【0031】
次に変速機構を備えた作業機系動力伝達機構M2Aに付いて説明する。
作業機系の動力伝達機構M2は、図4と図5に示すように、前記ミッションケース1側部に突出させた第三軸(PTO軸)52の回転を、動力上手側から順に、この発明の作業機系伝動ケースとなる第一ロータリケース2A、そして左右の第二ロータリケース46,46、左右第三ロータリケース47,47内の各伝動機構を介して伝達し、更に作業機Rへ伝達する構成となっている。
【0032】
尚、図例では、畝W上または畝溝雑草を除草するカルチロータリ作業機Rを取り付ける構成となっている。
詳細に説明すると、前記変速機構M2Aを内装する第一ロータリケース2Aは、金属製の内側ケース2aと外側ケース2bをボルトにて連結して内部に潤滑油を充填し、車体中央部から左右一側に変位させて位置させる構成となっており、図5に示すように、左右内外の内には、五本の伝動軸(作業系第一軸80から作業系第五軸84)を軸受けすると共に、最上部にはクラッチ操作用シフタ7を支持するシフタ操作軸6を支持する構成となっている。
【0033】
そして前記第一ロータリケース2Aには、前記ミッションケース1から突設したPTO軸52をケース一側の開口部80aに貫入させながら両ケース1,2Aの当接面同士を嵌合させた状態で備える構成となっている。また第一ロータリケース2A内には、上部の入力軸となる作業系第一軸80、この作業系第一軸80と平行に軸架した作業系第二軸81、そして下部の作業系第三軸82を軸支する構成となっている。
【0034】
前記作業系第一軸80は、筒軸形態に構成され、前記ミッションケース1側を開放し且つ内部に内歯車を備える構成となっている。またその筒軸80外周部には、駆動側クラッチ爪85aを備えたクラッチ筒85をスライド自在に嵌合し、同軸80の先端側に前記駆動側クラッチ爪85aと噛合う被駆動側クラッチ爪86aを備えた広幅状の駆動ギヤ86を軸着する構成となっている。
【0035】
そして、前記クラッチ筒85をケース2A上部に軸受けしたシフタ7によって軸80上をスライド操作し、前記PTO軸52の回転から第一軸80へ伝達される回転、即ち第一ロータリケース2A内に入力する回転を入切する構成となっている。
【0036】
また前記シフタ7のシフタ操作軸6は、外側ケース2b上部の開口穴10と内側ケース2a内面に亘って支持し、このケース内先端部に、回動ピンPとこのピンPを同軸周りに斜め方向へ案内するガイド溝Gから成るカム機構を備える共に、同操作軸6中間部に前記外側ケース2bとの端面に当接させるストッパピン87を備える構成となっている。これにより、シフタ操作軸6の操作レバー8をケース側面に沿って前後に回動させると、同軸6は前記ストッパピン87により規制されるまで回動し、前記カム機構により同軸6は車体外側方向へ横移動して前記両クラッチ爪85a,86aを噛合わせる。尚、前記操作レバー8には、別途スプリングを備え、同スプリングの支点超え作用により同レバーの回動位置を保持する構成となっている。
【0037】
また前記作業系第二軸81には、二つのギヤを有する二段ギヤ88(高速ギヤ88Hと低速ギヤ88L)を同軸81上にスライド自在に設ける一方、前記作業機系第三軸82には前記高速ギヤ88Hと低速ギヤ88Lに噛み合わせる被駆動ギヤ89を設け、この二段ギヤ88を軸81上でスライド操作することにより、前記第一軸80上の広幅ギヤ86の回転を第三軸82へ伝達する構成となっている。
【0038】
また前記二段ギヤ88は、図6に示すように、ケース前面に突設させた作業用変速レバー90dとレバー操作軸90b及びシフタ90aを介して連動連結され、同レバー90dをケース2に前方で左右方向に回動することによって前記二段ギヤ88を軸81上でスライドする構成となっている。
【0039】
詳しくは、図7の(A)に示すように、前記作業用変速レバー90dを車体内側へ向って回動すると、前記二段ギヤ88が車体内側にスライドして、低速ギヤ88Lとこれと噛合う第三軸82の被駆動ギヤ91を介して動力が低速で伝達される。
【0040】
また、図7の(B)に示すように、作業用変速レバー90dを車体外側へ向って回動すると、前記二段ギヤ88が車体外側にスライドして、高速ギヤ88Hとこれと噛合う第三軸82の被駆動ギヤ92を介して動力が高速で伝達される。
【0041】
尚、図中、符号90cは同レバー90dを位置決めさせるスプリングとボールとから成るディテント機構を示す。
また前記作業系第三軸82と作業系第四軸83間には、減速ギヤ組93を設け、これら減速ギヤ組93を介して伝達された動力は、第五軸84に挿通した延長軸9(出力軸9)を駆動する構成となっている。
【0042】
また前記延長軸9は、前記筒軸94とピンPで連結された二本の軸から構成され、図1に示すように、この左右外端を前記前フレーム11の左右に突設した筒部材33に挿通支持する構成となっている。また前記延長軸9の左右両端部には、所定間隔毎に複数の取付穴34,34…を開口し、これら取付穴34を選択して後述する第二ロータリケース46を取り付け支持する構成となっている。
【0043】
次に、図8乃至図11に基づいて、正逆切替機構を備えた作業系伝動機構M2Bについて説明する。
尚、前述と同じ構成については同符号を記し説明を説明を省略し、形状等一部異なる部材に付いてはコーテーションマークを記す。
【0044】
この正逆転切替機構を備えた第一ロータリケース2Bは、前記同様、五本の伝動軸(作業系第一軸80から作業系第五軸84’)を軸受けすると共に、最上部にはクラッチ操作用シフタ7を支持するシフタ操作軸6を支持する構成となっている。
【0045】
そして前記第一ロータリケース2Bは、前記ミッションケース1から突設したPTO軸52を貫入させながら、両ケース1,2Aの当接面同士を嵌合させた状態で備える構成となっている。また第一ロータリケース2B内には、上部の入力軸となる作業系第一軸80、この作業系第一軸80と平行に軸架した作業系第二軸81’、そして下部の作業系第三軸82’を軸支する構成となっている。
【0046】
そして、前記作業機系動力を入切するクラッチ機構C及びこの操作機構8、及び第一軸80に関する構成は前述した構成と同一としている。
また前記第二軸81’には、中継ギヤ95を同軸81’上でスライド自在に設ける一方、前記第三軸82’には前記中継ギヤ95と噛合う正転用被駆動ギヤ96Fを設け、第四軸83’には同中継ギヤ95と噛合う逆転用被駆動ギヤ96Rを設け、前記中継ギヤ95を軸81上でスライド操作することにより、前記第一軸80上の広幅ギヤ86’の回転を第三軸82’、若しくは第四軸83’へ伝達する構成となっている。
【0047】
また前記第三軸82’と第四軸83’との間には、常時噛合式の減速ギヤ組97を設け、前記正転用被駆動ギヤ96Fに伝達された回転を第四軸83’へ伝達する構成となっている。
【0048】
また前記中継ギヤ95は、正逆転切替レバー99dとシフタ99a及びレバー操作軸99bを介して連動連結され、同レバー99dを左右方向に回動することによって同ギヤ95を軸上でスライドする構成となっている。
【0049】
詳しくは、図11の(A)に示すように、正逆転切替レバー99dを車体内側へ向って回動すると、中継ギヤ95が車体内側にスライドして、正転用被駆動ギヤ96Fが噛合って、動力が第四軸83へ正転で伝達される。また図11の(B)に示すように、正逆転切替レバー99dを車体外側へ向って回動すると、中継ギヤ95が車体外側にスライドして、逆転用被駆動ギヤ96Rが噛合って動力は第四軸83’へ逆転で伝達される。
【0050】
また前記第四軸83’には、筒状の前記第五軸84’へ動力を伝達する減速ギヤ98を設け、これら減速ギヤ98を介して伝達された動力は、筒状の第四軸84’に挿通したこの発明の出力軸となる前記延長軸9を駆動する構成となっている。
【0051】
以上のように構成した農作業車Tでは、各種作業部に応じて、走行系ミッションケース1に対し、変速機構を備えた第一ロータリケース2Aを取り付けるか、若しくは逆転機構を備えた第一ロータリケース2Bを取り付けるかを選択し、作業に応じた駆動形態を選択することができ、農作業車Tの汎用性を高めることができる。例えば、作業系第五軸84の回転を変速して土壌の硬度に応じた耕耘作業が可能な耕耘部を構成したり、作業系第五軸84の回転を正逆切り替えて土寄作業が可能な作業部を構成することができる。
【0052】
またこの第一ロータリケース2は、内外のケース部材2a,2bと、前記走行系ミッションケース1から動力を取り入れる入力軸80と、前記作業系伝動機構の動力伝動状態を入切するクラッチCと、同クラッチCを入切操作する操作軸6と、ケース外へ動力を出力する出力軸9とを共通部材として、各種の伝動機構を構成するので、仕様変更に係る部品点数を極力削減して生産コストを削減することができる。
【0053】
そして、伝動機構の変速を切替操作する作業系変速レバー8A、若しくは正逆切替を切り替える正逆転切替レバー8Bも、第一ロータリケース2A,2Bと一体でユニット構成され、前記PTO軸52と延長軸9を連結する筒軸94に対し、車両の側方から、正面視略同位置で連結する構成としているので、生産時の組付、或いは生産後の交換時にも、伝動ケース2自体の取扱性が良く、取付作業も簡単である。
【0054】
また更に、前記各第一ロータリケース2A(2B)の各操作レバー90d(99d)は、ケース前方に配置する構成としているので、車体に搭乗しているオペレータが誤って操作したり、衣類などが引っ掛かって操作されることが無く、作業走行中は安定した作業を行なうことができる。
【0055】
次に作業機の一例として、図12と図13に基づいてカルチロータリRについて説明する。
前記カルチロータリRは、左右の畝溝除草部100sと中央部の畝上除草部100cからなる3つの耕耘部とから構成され、作業に応じて中央除草部100cのみにカルチ爪37を装着した状態と、左右除草部100sのみにカルチ爪37を装着した状態と、3つの除草部全てにカルチ爪37を装着した状態で作業する構成となっている。尚、図12例では、中央部の除草部100cにだけカルチ爪37を装着し、畝W上の雑草を除草する状態を示す。
【0056】
また前記畝溝除草部100sは、左右夫れ夫れ前記第二ロータリケース46と第三ロータリケース47と一体構成し、畝上除草部100cは、前記左右各第三ロータリケース47の内側に取り付ける第四ロータリケース48と、複数の伝動軸及び第五ロータリケース49から構成している。
【0057】
また前記左右の各第二ロータリケース46は、上部に前記延長軸9の先端部を貫通支持し、同延長軸9の回転をチェーンCの回転を介してケース46下部の伝動軸101へ伝達すると共に、前記第三ロータリケース47は、前記伝動軸101をケース47上部に貫通支持し、同軸101の回転をチェーンCの回転を介してケース下部の耕耘軸102へ伝達する構成となっている。
【0058】
また前記第二ロータリケース46の上部には、図1に示すように、前記電動シリンダ24のピストン先端部を接続し、前記第三ロータリケース47と前記車体フレーム11間をプレート状のリンクアーム35にて接続する構成となっている。これにより、前記電動シリンダ24のピストン伸縮操作すると、前記第二ロータリケース46と第三ロータリケース47は伝動軸101を中心に屈折しながら上下、即ち同ケース47下部に備えた除草部100c,100sを一体で上下する構成となっている。
【0059】
また前記第四ロータリケース48のケース下部には、前記伝動軸101とチェーンCを介して連動する出力軸103を突設し、この筒軸103に前記畝上除草部100cへ動力を伝達する筒軸104を連結する構成となっている。
【0060】
また前記第五ロータリケース49は、このケース上部左右に複数の位置決め穴を有する入力軸105を突設し、前記筒軸104に対し左右の入力軸105の挿通量を調整することでケース49の左右位置、即ち即ち畝上除草部100cの左右位置を調整できる構成となっている。
【0061】
また前記左右の第三ロータリケース47のロータリカバー106上には、支持杆107を架け渡し、この支持杆107に第五ロータリケース49を固定する構成となっている。
また前記第五ロータリケース47内部には、上部の入力軸105と下部の耕耘軸108との間にチェーンCを架け渡し、入力軸105の回転を耕耘軸108、即ちカルチ爪37へ伝達して回転させる構成となっている。
【0062】
これにより、前記カルチロータリRは、前記電動シリンダ24のピストン長を伸縮調整することで、作業高さを調整し、農作業車Tに変速機構を備えた前記第一ロータリケース2Aを備える場合は、土壌の硬さや作物の状態応じて回転速を変更し、除草作業を行なう。またこのカルチロータリRに代えて、通常のロータリ作業機を備える場合は、正逆転機構を備えた前記第一ロータリケース2Bを備え、耕耘作業若しくは土寄せ作業等に応じてダウンカット耕法、若しくはアップカット耕法を選択して作業を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】農作業車の全体側面図。
【図2】農作業車のフレーム構成を示す平面図。
【図3】作業機を装着した農作業車の全体側面図。
【図4】変速機構を備えた農作業車の動力伝達機構線図。
【図5】変速機構を備えた第一ロータリケースの断面図。
【図6】変速機構を内装した第一ロータリケースの側面図。
【図7】変速レバーの切替操作を示す側面図。
【図8】正逆転機構を備えた農作業車の動力伝達機構線図。
【図9】正逆転機構を備えた第一ロータリケースの断面図。
【図10】正逆転機構を内装した第一ロータリケースの側面図。
【図11】正逆切替レバーの切替操作を示す側面図。
【図12】カルチロータリを装着した農作業車の全体側面図。
【図13】カルチロータリの伝動構成を示す各ケースを断面した図。
【符号の説明】
【0064】
1 走行系ミッションケース
2 作業機系伝動ケース
2A 変速機構を内装した作業機系伝動ケース
2B 正逆転機構を内装した作業機系伝動ケース
2a 内側ケース
2b 外側ケース
3 作業部
9 出力軸(延長軸)
80 入力軸
80a 開口部
52 PTO軸(走行系第三軸)
94 連結軸(筒軸)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用伝動機構(M1)を内装する走行系ミッションケース(1)に対し、作業機系伝動機構(M2A,M2B)を内装する各種の伝動ケース(2)を交換自在に連結して、作業部(3)の駆動形態を変更自在に構成した農作業車であって、少なくとも前記伝動ケース(2)のケース部材(2a,2b)と、前記ミッションケース(1)から動力を取り入れる入力軸(80)と、前記作業系伝動機構(M2A,M2B)の動力伝動状態を入切するクラッチ(C)と、同クラッチ(C)を入切操作するクラッチ操作軸(6)と、前記動力を伝動ケース(2)から出力する出力軸(9)とを共通部材として、前記入力軸(80)と出力軸(9)間の伝動機構を変更することで、各種の作業機系伝動機構を内装する伝動ケース(2A,2B)を構成したことを特徴とする農作業車の動力伝達装置。
【請求項2】
前記伝動ケース(2)の一側面に、前記走行系ミッションケース(1)から突設するPTO軸(52)を挿入自在に開口する開口部(80a)を備えると共に、同側面に、前記作業機系伝動機構を経て伝動される前記出力軸(9)を前記走行系ミッションケース(1)の正面視下方位置まで突設し、前記伝動ケース(2A,2B)を、前記PTO軸(52)及び出力軸(9)を連結する車体側の連結軸(94)に対して、側方から着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1に記載の農作業車の伝動装置。
【請求項1】
走行用伝動機構(M1)を内装する走行系ミッションケース(1)に対し、作業機系伝動機構(M2A,M2B)を内装する各種の伝動ケース(2)を交換自在に連結して、作業部(3)の駆動形態を変更自在に構成した農作業車であって、少なくとも前記伝動ケース(2)のケース部材(2a,2b)と、前記ミッションケース(1)から動力を取り入れる入力軸(80)と、前記作業系伝動機構(M2A,M2B)の動力伝動状態を入切するクラッチ(C)と、同クラッチ(C)を入切操作するクラッチ操作軸(6)と、前記動力を伝動ケース(2)から出力する出力軸(9)とを共通部材として、前記入力軸(80)と出力軸(9)間の伝動機構を変更することで、各種の作業機系伝動機構を内装する伝動ケース(2A,2B)を構成したことを特徴とする農作業車の動力伝達装置。
【請求項2】
前記伝動ケース(2)の一側面に、前記走行系ミッションケース(1)から突設するPTO軸(52)を挿入自在に開口する開口部(80a)を備えると共に、同側面に、前記作業機系伝動機構を経て伝動される前記出力軸(9)を前記走行系ミッションケース(1)の正面視下方位置まで突設し、前記伝動ケース(2A,2B)を、前記PTO軸(52)及び出力軸(9)を連結する車体側の連結軸(94)に対して、側方から着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1に記載の農作業車の伝動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−151302(P2006−151302A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347847(P2004−347847)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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