説明

農産物の箱詰装置

【課題】低コスト化を図りながら迅速な箱詰め作業を可能とする箱詰装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも吸着体がm行n列のマトリックス状に配置された第1の吸着部を有する吸着ユニット(8,9)と、該吸着ユニットを箱詰待機位置と箱詰位置との間で移動させる移動手段(74など)と、前記吸着ユニットに設けられ、外力を受けて、前記第1の吸着部の吸着体の列間隔を変更する間隔変更機構(77,78など)と、前記間隔変更機構に対して前記外力を付与する外力付与手段(76)とを有し、前記外力付与手段は、前記吸着ユニットとは別に固定配置され、前記吸着ユニットが前記箱詰位置に移動したときに、前記間隔変更機構に対して前記外力を付与することにより、前記第1の吸着部の吸着体の列間隔を変更することを特徴とする農産物の箱詰装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱内のスペースを効率良く利用しながら、箱詰めを行う箱詰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
選別コンベアから等級別階級別に排出された複数の農産物を吸着して、箱詰めをする箱詰装置として、図13及び図14に図示する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、図13は、従来の箱詰装置の上下方向の断面図である。吸着テーブル300に整列した複数の長物農産物Kは、第1の吸着ユニット422の各吸着部422aに吸着される。これらの長物農産物Kを吸着した第1の吸着ユニット422は、移動枠体441に保持されており、この移動枠体441を不図示の水平シリンダで水平方向に駆動することにより、第1の吸着ユニット422を吸着テーブル300上方の箱詰待機位置と、農産物を箱詰めする箱詰位置との間で水平移動させることができる。
【0003】
吸着ユニット422には、各吸着部422aを吊持するための複数の吊持部448が上下方向に延びて設けられており、吊持部448は、該水平シリンダによる駆動直交水平方向に延びるガイド軸442aにスライド移動可能に係合している。ガイド軸442aの両端部は移動ブロック443a(図14参照)に固定されている。
【0004】
移動枠体441には、間隔調整シリンダ446が設けられており、この間隔調整シリンダ446の先端部は、移動ブロック443aに軸支されたリンク機構444に対して軸支されている。
【0005】
そして、間隔調整シリンダ446を伸長及び短縮方向に駆動することによって、リンク機構444が揺動し、吸着部422aの矢印D方向の間隔を短縮することができる。これにより、箱内のスペースを有効活用しながら、各長物農産物の箱詰め作業をすることができる。
【特許文献1】特許第3453419号明細書(第1図、第3図など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の構成では、移動枠体441に間隔調整シリンダ446が取り付けられているため、移動枠体441を箱詰待機位置と箱詰位置との間で移動させる際に、間隔調整シリンダ446の重量が負荷となって、移動枠体441の動作が遅くなるおそれがある。そして、高速な箱詰め動作を妨げるおそれがある。
【0007】
また、吸着ユニットを複数とした場合、各吸着ユニットに間隔調整シリンダ46を設けなければならないため、コストが増大する。
【0008】
そこで、本願発明は、低コスト化を図りながら迅速な箱詰め作業を可能とする箱詰装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願発明は一つの観点として、少なくとも吸着体がm行n列のマトリックス状に配置された第1の吸着部を有する吸着ユニットと、該吸着ユニットを箱詰待機位置と箱詰位置との間で移動させる移動手段と、前記吸着ユニットに設けられ、外力を受けて、前記第1の吸着部の吸着体の列間隔を変更する間隔変更機構と、前記間隔変更機構に対して前記外力を付与する外力付与手段とを有し、前記外力付与手段は、前記吸着ユニットとは別に固定配置され、前記吸着ユニットが前記箱詰位置に移動したときに、前記間隔変更機構に対して前記外力を付与することにより、前記第1の吸着部の吸着体の列間隔を変更することを特徴とする。
【0010】
また、本願発明は、別の観点として、少なくとも吸着体がm行n列のマトリックス状に配置された第1の吸着部を有する吸着ユニットと、該吸着ユニットを箱詰待機位置と箱詰位置との間で移動させる移動手段と、前記吸着ユニットに設けら、外力を受けて、前記第1の吸着部の吸着体の列間隔を変更する間隔変更機構と、前記間隔変更機構に対して前記外力を付与する外力付与手段とを有し、前記外力付与手段は、前記箱詰待機位置から前記箱詰位置に前記吸着ユニットが移動するのに応じて、前記第1の吸着部の吸着体の列間隔を徐々に変更するように、前記間隔変更機構に対して前記外力を付与することを特徴とする。
【0011】
ここで、前記吸着ユニットは、吸着体を保持する保持フレームユニットを有し、一列目の吸着体は前記保持フレームユニットに対して固定され、n列目の吸着体は前記保持フレームユニットに対して移動可能に取り付けるとよい。
【0012】
また、前記吸着ユニットは、前記第1の吸着部の行方向に第2の吸着部を有しており、前記第1の吸着部における列間隔の調整に応じて、前記第2の吸着部は、前記第1の吸着部に対して前記行方向に移動可能であり、前記吸着ユニットが前記箱詰位置に移動したときに、前記間隔変更機構に対して前記外力付与手段による前記外力を付与することにより、前記第2の吸着部は前記第1の吸着部側に移動させるとよい。
【0013】
また、前記吸着ユニットは、前記第1の吸着部の行方向に第2の吸着部を有しており、前記第1の吸着部における列間隔の調整に応じて、前記第2の吸着部は、前記第1の吸着部に対して前記行方向に移動可能であり、前記箱詰待機位置から前記箱詰位置に前記吸着ユニットが移動するのに応じて、前記第2の吸着部は、前記第1の吸着部側に移動させるとよい。
【0014】
さらに、前記吸着ユニットを複数有し、前記移動手段は、前記各吸着ユニットを水平方向に旋回させることにより間欠的に箱詰位置に進入させ、前記箱詰待機位置から前記箱詰位置に移動したときに、前記農産物の向きが180°反転させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、吸着ユニットに間隔変更機構が取り付けられていないため、吸着ユニットが軽量化され箱詰め動作が早くなる。また、吸着ユニットが複数ある場合、吸着ユニットごとに間隔調整機構を設ける必要がないため、コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明の実施例である箱詰装置を備えた仕分け搬送箱詰め設備について図1及び図2を参照しながら説明する。ここで、図1は、仕分け搬送箱詰め設備の平面図であり、図2は仕分け搬送箱詰め設備の上下方向の断面図である。
仕分けコンベア部1上を搬送される複数の長物の農産物(例えば、茄子、胡瓜)は、所定の仕分け排出部から等級別階級別に仕分け排出され、引き出しコンベア部2に進入する。引き出しコンベア部2の終端部には位置揃えコンベア部3が連結されており、この位置揃えコンベア部3の終端部には農産物をコンベアの中央に整列させるための整列コンベア部4が連結され、この整列コンベア部4の終端部には、作業者が枕詰めなどを行うための枕詰め待機コンベア部5が連結されている。
【0017】
引き出しコンベア部2に進入した一組の農産物は、搬送方向の位置が異なっており、位置揃えコンベア部3の各搬送路に複数のストッパ31を進入させて先頭を進行する農産物の搬送動作を一旦停止させることにより、位置揃えを行い、搬送方向における位置が揃った状態で、整列コンベア部4に進入する。
【0018】
整列コンベア部4に進入した一組の農産物は、コンベアの中央側に移動しながら下流に搬送され、隣接する各農産物が搬送直交方向に接触した状態で、枕詰め待機コンベア部5に進入する。
【0019】
枕詰め待機コンベア部5では、二組の農産物の搬送動作を一旦停止した状態で作業者Wによる枕詰め用の農産物の載置作業が行われ、枕詰め作業が行われた後、これらの農産物は、箱詰め待機コンベア部6に進入し、箱詰め待機コンベア部6の終端部に当接して停止する。
【0020】
箱詰め待機コンベア部6の近傍には、箱詰装置7が配置されており、この箱詰装置7は、第1及び第2の吸着ユニット8、9を有しており、これらの吸着ユニット8.9は、保持板回転軸74aを回転軸として、水平方向(矢印X方向)に旋回し、箱詰め待機コンベア部6の上方である箱詰待機位置と、箱詰め作業を行う箱詰位置との間を間欠移動する。
【0021】
箱詰待機位置に農産物を吸着した第1の吸着ユニット8(第2の吸着ユニット9)が進入すると、装置外装部材75に固定された間隔調整シリンダ76(第1の外力付与手段)が作動し、農産物を吸着している吸着体が矢印B方向に移動して、農産物の箱詰め間隔が短縮される。
【0022】
このように、一つの間隔調整シリンダ76を用いて農産物の箱詰め間隔を調整できるため、各吸着ユニットに間隔調整シリンダを配置している従来技術よりも、シリンダの数を減らすことができる。これにより、コストを削減でき、また、吸着ユニットの軽量化により箱詰め動作が速くなる。
【0023】
間隔調整シリンダ76により箱詰め間隔が短縮されると、箱詰装置7の下方から上昇する箱体の内側に、第1の吸着ユニット8(第2の吸着ユニット9)が進入し、農産物が箱体の底面に達すると、箱体はその場に停止する。箱体が停止すると、第1の吸着ユニット8(第2の吸着ユニット9)による農産物の吸着が解除され、農産物が箱詰めされる。
【0024】
一段目の農産物の箱詰め動作が終了すると、箱体が一旦下降した後180°水平方向に回転するとともに、再び上昇し、箱詰位置に進入した第2の吸着ユニット9(第1の吸着ユニット8)によって二段目の農産物の箱詰め動作が行われる。このように、二段目の農産物の箱詰めの向きを、一段目の農産物の箱詰めの向きに対して水平方向に180°反転させることにより、箱体内のスペースを有効に活用することができる。
【0025】
次に、仕分け搬送箱詰め設備を構成する各部の構成について詳細に説明する。
(仕分けコンベア部1について)
図1及び図2に図示するように、仕分けコンベア部1の上流側には、農産物の等級及び階級を計測する不図示の計測装置が設けられている。仕分けコンベア部1上を搬送される所定の等級及び階級を有する農産物が、対応する仕分け領域に達すると、仕分けコンベア部1の搬送面が開き状態となり、仕分けコンベア部1の直下に設けられたホッパー装置11に落下供給される。
【0026】
このホッパー装置11には、複数の受け部が仕分けコンベア部1による農産物の搬送方向に並設されており、ホッパー装置11に落下供給された農産物がこれらの受け部に所定個数(本例では5個)溜まると、引き出しコンベア部2に落下する構成となっている。なお、本例では、引き出しコンベア部2に略同じタイミングで落下供給された5個の農産物を一組の農産物という。
【0027】
(引き出しコンベア部2について)
図1及び図2に図示するように、引き出しコンベア部2は、仕分けコンベア部1に対して平面視略垂直に設置されており、引き出しコンベア部2に落下した一組の農産物は、引き出しコンベア部2の搬送直交方向に所定の間隔を空け、位置揃えコンベア部3に進入する。このとき、落下時の反動等により搬送方向における位置が不揃いの状態となり、位置揃えコンベア部3に進入する場合もある。
【0028】
(位置揃えコンベア部3について)
位置揃えコンベア部3は、ローラ式のコンベアであり、不図示のローラ駆動装置から駆動力を受けて回転するローラベルトが各ローラの軸部に加圧接触しており、該ローラベルトによって各ローラが回転する。
【0029】
位置揃えコンベア部3のローラ下側には、押し上げシリンダ33が複数配置されており、押し上げシリンダ33を伸長方向に駆動すると、ローラベルトの各ローラ軸部に対する接触が絶たれて、位置揃えコンベア部3による搬送動作が停止される。
【0030】
また、位置揃えコンベア部3には、一組の農産物の個数に応じて複数の搬送レーン31〜3が設けられている。
【0031】
また、図1及び図2に図示ように、各搬送レーン31〜3には、上流側から順に農産物の搬送路に対して進退可能な第1〜4位置揃えストッパ31a〜31dが所定間隔で配置されている。
【0032】
各搬送レーン31〜3に配置された第1位置揃えストッパ31aは一体的に駆動され、搬送レーン31〜3の下部に配置された第1ストッパ駆動シリンダ32a(図2参照)のピストンロッドを伸長又は短縮方向に駆動することによって、第1位置揃えストッパ31aが農産物の搬送路に対して進退する構成となっている。
【0033】
また、第2〜第4位置揃えストッパ31b〜31dも第1位置揃えストッパ31aと同様にそれぞれ、第2〜第4ストッパ駆動シリンダ32b〜32dから駆動力を受けて農産物の搬送路に進退する構成となっている。
【0034】
例えば、搬送方向における位置が不揃いである一組の農産物が位置揃えコンベア部3に進入した場合、第1位置揃えストッパ31aが農産物の搬送路に進入し、先頭の農産物が下流に搬送されるのを阻止する。先頭の農産物が停止してから所定時間が経過すると、第1位置揃えストッパ31aは搬送路から退避する。これにより、一組の農産物における先頭の農産物と最後尾の農産物との間隔が短縮される。第2〜第3位置揃えストッパ31b、31cでは、同様の方法により先頭の農産物と最後尾の農産物との間隔がさらに短縮される。そして、一組の農産物が、第4の位置揃えストッパ31dに当接した時に、各農産物の搬送方向における位置が揃うようになっている。
【0035】
一組の農産物が各第4の位置揃えストッパ31dに当接して停止すると、直ちに搬送方向左右両端の搬送レーン3、3から第4の位置揃えストッパ31dが退避し、続いて搬送レーン3、3から第4の位置揃えストッパ31dが退避し、最後に中央の搬送レーン3から第4の位置揃えストッパ31dが退避する。
【0036】
こうして、位置揃えコンベア部3の終端部に待機している一組の農産物は、コンベアの両側方側から順番に整列コンベア部4に進入する。
【0037】
(整列コンベア部4について)
図1及び図2に図示するように、整列コンベア部4は、複数のローラ41をコンベアの側方側に向かって下流側に傾斜配置した平面視八の字状の搬送コンベアである。位置揃えコンベア部3から進入した農産物は、傾斜配置された各ローラ41のローラ面を搬送方向下流に移動しながら、コンベアの中央に集まり、図1に示すように、隣接する農産物が搬送直交方向において接触した状態で、枕詰め待機コンベア部5に進入する。
【0038】
また、整列コンベア部4の搬送面には、搬送方向左右一対のガイドコンベア部42が設けられており、表面の凹凸や曲がり等により中央に幅寄せしにくい農産物の搬送動作を矯正している。
【0039】
(枕詰め待機コンベア部5について)
枕詰め待機コンベア部5は、ローラ式のコンベアであり、不図示のローラ駆動装置から駆動力を受けて回転するローラベルトが各ローラの軸部に加圧接触しており、該ローラベルトから駆動力を受けて各ローラは回転する。
【0040】
また、枕詰め待機コンベア部5は、搬送方向上流側から順に第1の待機部51、第2の待機部52及び第3の待機部53を有して構成されている。
【0041】
第1の待機部51は、二組の農産物を貯留できるスペースを有しており、その終端部にはコンベアの搬送路に対して進退可能な待機ストッパ51aが設けられている。
【0042】
第2の待機部52の下側には、ピストンロッドの先端部に押し上げフランジ板55が固定された第2の待機部前列用押し上げシリンダ52eが設けられており、第2の待機部前列用押し上げシリンダ52eを伸長方向に駆動することにより、第2の待機部52における下流側のローラの駆動を停止させることができる。
【0043】
また、第2の待機部前列用押し上げシリンダ52eの上流側には、第2の待機部後列用押し上げシリンダ52dが設けられており、第2の待機部後列用押し上げシリンダ52dを伸長方向に駆動することにより、第2の待機部52における上流側のローラの駆動を停止させることができる。
【0044】
第2の待機部52のコンベア側方には、作業者が枕詰め作業を行うための枕詰め作業領域が設けられており、第2の待機部52の終端部には、第1の待機部51から搬送される二組の農産物を一旦停止させるための枕詰めストッパ52aが設けられている。この枕詰めストッパ52aは、待機ストッパ51aと同様にコンベアの搬送路に対して進退可能となっている。枕詰め作業領域の上流側には、枕詰め用の農産物を載置した農産物載置台57が設置されており、下流側には、待機ストッパ51a及び枕詰めストッパ52aに対して搬送路への進入及び退避を指示する押しボタン式の待機ストッパ操作スイッチ51b及び枕詰めストッパ操作スイッチ52bが設けられている。
【0045】
第3の待機部53には、下流側から順に搬送方向前側の一組の農産物を停止するための待機ストッパ53a、該前側の一組の農産物と後側の一組の農産物とを分断する下流側分断ストッパ53b及び後側の一組の農産物と枕詰め用の農産物とを分断する上流側分断ストッパ53cが搬送路に対して進退可能に設けられている。
【0046】
ここで、図2に図示するように、第2及び第3の待機部53における農産物の搬送面は、下流側に向かって傾斜している。このように傾斜させた理由は以下の通りである。枕詰め用の農産物は、ローラの回転軸方向と平行な方向に載置されており、二つのローラに跨った状態となる場合がある。この状態でローラを回転させた場合に、搬送方向に搬送されることなく農産物がその場で回転するおそれがある。そこで、ローラによる搬送力に加えて、農産物の自重によっても枕詰め用の農産物が搬送されるようにするために、農産物の搬送面を下流側に傾斜配置している。
【0047】
次に、枕詰め待機コンベア部5に進入した農産物の動作について説明する。
【0048】
まず、整列コンベア部4から第1の待機部51内に進入した一組の農産物は、第1の待機部51の終端部まで搬送され待機ストッパ51aに当接して停止する。
【0049】
そして、この待機ストッパ51aにおいて待機状態にある一組の農産物の後端部に、整列コンベア部4から進入した新しい一組の農産物が当接し、第1の待機部51内に二組の農産物(10個)が貯留される。なお、第1の待機部51に農産物が搬送される前の状態において、待機ストッパ51a、枕詰めストッパ52aはコンベアの搬送路に進入した状態となっている。
【0050】
作業者Wは、二組の農産物が待機部51に貯留されたことを目視により確認すると、待機ストッパ操作スイッチ51bを押し込み、待機ストッパ51aを搬送路外へ退避させる。
【0051】
これにより、それまで待機状態にあった二組の農産物は一体となって、第2の待機部52に進入し、第2の待機部52の終端部に設けられた枕詰めストッパ52aに当接して停止する。
【0052】
なお、二組の農産物が第2の待機部52に移送されたことを目視により確認した後は、再び待機ストッパ操作スイッチ51bを押し込み、待機ストッパ51aを搬送路に進入させることにより、次の農産物の貯留に備える。
【0053】
この二組の農産物が枕詰めストッパ52aに当接すると、第2の待機部前列用押し上げシリンダ52e及び第2の待機部後列用押し上げシリンダ52dが伸長方向に駆動され、第2の待機部52における農産物の搬送動作が停止される。
【0054】
作業者Wは、第2の待機部52の搬送動作が停止したことを目視により確認すると、農産物載置台57から二個の農産物を取り出し、枕詰め作業を行う。ここで、枕詰め作業とは、第2の待機部52に待機している後側の一組の農産物の後端部に、二個の農産物をその長手方向が搬送直交方向に向くように載置することをいう。
【0055】
この枕詰め作業が終了すると、作業者Wは、枕詰めストッパ操作スイッチ52bを押し込み、枕詰めストッパ52aを搬送路外に退避させる。この退避動作に同期して、第2の待機部前列用押し上げシリンダ52eが短縮方向に駆動され、前列の一組の農産物のみが第3の待機部53に進入する。
【0056】
そして、第2の待機部前列用押し上げシリンダ52eが短縮方向に駆動されてから、所定時間(例えば、1秒)経過後に、第2の待機部後列用押し上げシリンダ52dが短縮方向に駆動され、前側の一組の農産物に遅れて後側の一組の農産物が第3の待機部53に進入する。
【0057】
前側の一組の農産物が第3の待機部53に進入したとき下流側分断ストッパ53b及び上流側分断ストッパ53cは搬送路から退避しており、前側の一組の農産物は、下流側分断ストッパ53b及び上流側分断ストッパ53cに当接することなく下流に搬送され、終端部の待機ストッパ53aに当接して停止する。
【0058】
待機ストッパ53aに前側の一組の農産物が当接すると同時に、第3の待機部前列用押し上げシリンダ53eが伸長方向に駆動され、前側の一組の農産物の搬送動作が停止されるとともに、下流側分断ストッパ53bが搬送路内に進入する。下流側分断ストッパ53bの上流側に配置した不図示のセンサが後列の一組の農産物を検出すると上流側分断ストッパ53cが搬送面から少しだけ上がった位置まで上昇する。
【0059】
このため、後列の一組の農産物の後端が上流側分断ストッパ53cの上を通過している時でも、農産物が上流側分断ストッパ53cを乗り越えることができ、また、枕詰用の農産物の搬送方向への移動も防ぐことができる。
【0060】
そして、第3の待機部53に進入した後側の一組の農産物が下流側分断ストッパ53bに当接して一旦停止し、それと同時に待機部後列用押し上げシリンダ53dが伸長方向に駆動され、後列の一組の農産物の搬送動作が一旦停止される。
【0061】
(箱詰め待機コンベア部6について)
次に、図1乃至図5を参照して、箱詰め待機コンベア部6について説明する。ここで、図3は箱詰め待機コンベア部6及び箱詰装置の上下方向の断面図であり、図4は箱詰め待機コンベア部6の搬送直交方向の断面図であり、図5は箱詰め待機コンベア部6の搬送方向の断面図である。
【0062】
図4に図示するように、箱詰め待機コンベア部6を構成する各ローラ61のローラ回転軸61aは、左右一対の回転軸支持フレーム62に回転可能に支持されている。
【0063】
回転軸支持フレーム62のうち、その上端部及び下端部はコンベア側方に向かって折れ曲がっており、その上側の曲げ部62a上にガイドローラ63を支持する左右一対のガイドベルト支持フレーム64が固定されている。
【0064】
ガイドローラ63は、箱詰め待機部6の搬送路に沿って、搬送路の左右両側に複数設けられており、曲がった形状の農産物などが搬送路の外側に突出しないように、農産物の向きを矯正している。
【0065】
ローラ回転軸61aには下方からローラ駆動ベルト65が摩擦接触しており、このローラ駆動ベルト65は不図示の駆動装置から駆動力を受けて無端回動する。
【0066】
ローラ駆動ベルト65が無端回動すると、ローラ61は、ローラ回転軸61a周りに回転する。
【0067】
また、各ローラ61の左右両側には、ガイド円板66が設けられており、このガイド円板66の中央部に形成された不図示の円形開口部をローラ回転軸61aに嵌合させることにより、ガイド円板66は取り付けられている。このガイド円板66の機能は、ガイドローラ63と同様である。
【0068】
図4及び図5に図示するように、箱詰め待機コンベア部6を構成する各ローラ61は、前後二組の農産物に対応した領域では太鼓形状のローラと円筒形状のローラとを交互に配置して構成となっており、枕詰め用の農産物に対応した領域では円筒形状のローラによって構成されている。
【0069】
このように太鼓形状のローラ61を設けて、その谷部に沿って農産物を配置することにより、整列コンベア部4によって整列された前後二組の各農産物が搬送直交方向に位置ずれするのを防止できる。
【0070】
図5に図示するように、箱詰め待機コンベア部6の外装フレーム67は、主昇降シリンダ68及びこの主昇降シリンダ68を挟んで搬送方向左右両側に配置される一対の昇降ガイド69によって昇降移動可能に構成されている。主昇降シリンダ68を伸長方向に駆動することにより、箱詰め待機コンベア部6を箱詰待機位置まで上昇させることができ、また、主昇降シリンダ68を短縮方向に駆動することにより、箱詰め待機コンベア部6を枕詰め待機コンベア部5と略同じ高さにまで下降させることができる。
【0071】
回転軸支持フレーム62には、箱詰め待機コンベア部6の傾斜角度を調整するための傾動シリンダ6aが設けられており、傾動シリンダ6aを短縮方向に駆動すると、回転軸6bを回転軸として回転軸支持フレーム62が時計周り反対方向に回動する(図5参照)。これにより、箱詰め待機コンベア部6が下流側に傾斜して、箱詰め待機コンベア部6及び第3の待機部53が連結状態(以下「貯留可能状態」という)に設定される。
【0072】
他方、傾動シリンダ6aを伸長方向に駆動すると、回転軸6bを回転軸として回転軸支持フレーム62が時計周り方向に回動する(図5参照)。これにより、箱詰め待機コンベア部6が水平になり、箱詰め待機コンベア部6及び第3の待機部53が非連結状態(以下「貯留禁止状態」という)に設定される。
【0073】
貯留可能状態であって、かつ、箱詰め待機コンベア部6に農産物が無い場合には、待機ストッパ53a、下流側分断ストッパ53b及び上流側分断ストッパ53cが搬送路から退避するとともに、第3の待機部前列用押し上げシリンダ53e及び第3の待機部後列用押し上げシリンダ53dが短縮方向に駆動される。これにより、第3の待機部53において待機している枕詰め作業後の二組の農産物の搬送動作が開始される。
【0074】
上述の構成において、枕詰め用の農産物が箱詰め待機コンベア部6に到達すると、不図示の駆動装置が停止する。その後、傾動シリンダ6aが作動して、箱詰め待機コンベア部6が貯留可能状態から貯留禁止状態に切り替ると同時に、主昇降シリンダ68が伸長方向に作動し、箱詰め待機コンベア部6は、吸着ユニット8,9によって農産物が吸着される箱詰待機位置まで上昇する。
【0075】
(箱詰装置7について)
次に、図6乃至図9を用いて、箱詰装置7の構成について説明する。ここで、図6は、吸着体8Aの正面図であり、図7は農産物の箱詰め前の箱詰装置の状態を図示した箱詰装置の上下方向の断面図であり、図8は農産物の箱詰め時の箱詰装置の状態を図示した箱詰装置の上下方向の断面図である。図9は、箱詰め時の各吸着子の配置を示している。
【0076】
第1の吸着ユニット8は、平面視マトリックス状に配列されたベローズ型の吸着子81A〜82Dを有しており、図6に図示するように第1列の吸着子81A〜85Aはそれぞれ上下方向に延びる吸着子保持管811A〜855Aの先端部に取り付けられており、各吸着保持管811A〜855Aは保持管支持バー96によって吊り持ち支持されている。そして、第1列の吸着子81A〜85Aによって第1列の吸着体8Aが構成される。吸着子保持管811A〜855Aを介して各吸着子81A〜85Aに負圧を加えることにより、農産物を吸着することができる。
【0077】
ここで、本明細書において、行方向とは保持管支持バー96の長手方向に直交する水平方向、つまり、第1の吸着ユニット8が箱詰待機位置に待機している状態において、農産物の搬送方向である矢印A方向(図1参照)を意味している。また、列方向とは行方向の直交水平方向、つまり保持管支持バー96の長手方向を意味している。
【0078】
第1の吸着ユニット8が箱詰待機位置に待機した状態において、第1列の吸着体8Aの行方向、すなわち、農産物の搬送方向下流側(図3の図中左側)には第2列の吸着体8Bが配置されており、この第2列の吸着体8Bは、第1列の吸着体8Aと同様に5つの吸着子81B〜85Bを有している。この第1及び第2列の吸着体8A及び8Bにより、特許請求の範囲に記載の第1の吸着部が構成される。
【0079】
さらに、第2列の吸着体8Bの図3の図中左側には、第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子8Dが配置されている。第1及び第2の枕詰め用吸着子8C及び8Dは、図9に図示するようにそれぞれ、枕詰め用の農産物を一つ吸着する構成となっている。なお、図9においてハッチングした領域は、第1列の吸着体8A、第2列の吸着体8B,第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子8Dによる農産物の吸着位置を示している。第1及び第2の枕詰め用吸着子8C、8Dにより特許請求の範囲に記載の第2の吸着部が構成される。
【0080】
そして、第1列〜第2列の吸着体8A〜8B、第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子8Dによって第1の吸着ユニット8が構成される。
【0081】
第1列〜第2列の吸着体8A〜8Bは吸着ユニット保持板73に保持されているが、このうち第1列の吸着体8Aは吸着ユニット保持板73に対して固定されており、第2列の吸着体8B、第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子8Dは吸着ユニット保持板73に対して行方向に移動可能となっている。
【0082】
図3に図示するように、吸着ユニット保持板73は、支持バー95を介して回転板91に保持されており、この回転板91の上面中央部には、装置上方に向かって延びる保持板回転軸74aが固定されており、この保持板回転軸74aに駆動力を付与するシャフト駆動モータ74は装置外装部材75の上面に固定されている。
【0083】
回転板91の両端部には、フランジ板91aが装置上方に延びて設けられており、各フランジ板91aには板厚方向に延びる上下一対の回転軸92aが固定されており、これらの固定軸92aに対してガイドローラ92が回転可能に支持されている。
【0084】
装置外装75の内周面には、支持プレート94が平面視周状に取り付けられており、この支持プレート94にはガイドリング93が支持されており、このガイドリング93は上下一対のガイドローラ92に挟み込まれた状態となっている。保持板回転軸74aを矢印X方向に回転させると、ガイドローラ92はガイドリング93上を回転しながら移動し、第1の吸着ユニット8が箱詰待機位置と箱詰位置との間で旋回移動する。
【0085】
第2の吸着ユニット9の構成は、第1の吸着ユニット8の構成と略同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0086】
次に、図7及び図8を参照して、第1列及び第2列の吸着体8A、8Bの列間隔、吸着体8A、8Bに対する第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子の列方向の間隔を調整する調整手段の構成について説明する。
【0087】
間隔調整シリンダ76は、装置外装75に固定されており、間隔調整シリンダ76のピストンロッド76aを伸長方向に作動すると、当接板77が押し込まれて、第2列の吸着体8B、第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子8Dが一体となって図中右側方向、つまり吸着体8A、8Bの行方向に移動し、列間隔が短縮される。
【0088】
当接板77の下部における、図中右側の面には間隔調整シリンダ76の作動方向に延びるスライドバー78が固定されており、左側の面には第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子8を吊り持ち支持する保持フランジ79が固定されている。
【0089】
吸着ユニット保持板73の下面略中央には、装置下側方向に延びるフランジ板80が固定されており、このフランジ板80に形成された開口部80aに対して、スライドバー78が進退する構成となっている。
【0090】
スライドバー78には、バネ当接板81及び第2列の吸着体8Bが固定されており、これらのバネ当接板81及び第2列の吸着体8Bは、吸着ユニット保持板73に取り付けられた間隔調整シリンダ76の作動方向に沿って延びるガイド部材73aにガイドされる。
【0091】
スライドバー78の外周には間隔調整バネ82が巻き回されており、この間隔調整バネ82の一端はフランジ板80に当接し、他端はバネ当接板81に当接し、間隔調整バネ82は、フランジ板80及びバネ当接板81により挟み込まれた状態となっている。
【0092】
上述の構成において、ピストンロッド76aを伸長方向に駆動して当接板77を押し込むと、第2列の吸着体8B、第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子8Dが一体となって矢印B方向、つまり吸着体の行方向に移動し、第1列の吸着体8Aに対する列方向の間隔が短縮される。
【0093】
次に、箱体昇降装置102の構成について説明する。
【0094】
上下方向の断面がL字形状の昇降台102aには、箱体支持台102bを水平方向に回転させるための水平回転シリンダ102cが設けられている。
【0095】
昇降台102aの図中左側には、昇降台102aの昇降方向に沿って延びるガイドフレーム83が立設されており、このガイドフレーム83の上端部には、矢印A方向に延びる出力軸を備えた昇降駆動モータ102dが設置されており、この出力軸の先端部にはスプロケッット102eが取り付けられている。スプロケット102eには、チェーン102fの一端が巻き回されており、チェーン102fの他端は、昇降台102aに固定されている。
【0096】
また、昇降台102aには、昇降ガイド部材102gが設けられており、この昇降ガイド部材102gは、ガイドフレーム83に対して上下方向に移動可能に係合している。なお、昇降台102a上に載置される箱体の内側には、箱体の底面及び側面を覆うビニールシート109が敷かれている。
【0097】
箱体昇降装置102の上方には、箱体の内側に傾斜したフラップを矯正するためのフラップ矯正装置104が設けられている。
【0098】
フラップ矯正装置104は、昇降移動可能なシリンダ支持台104aを有しており、このシリンダ支持台104aの図中右側の端部には、支持台ガイドバー104bが上下方向に延びて設けられている。この支持台ガイドバー104bは、固定ガイドフレーム105(図3参照)の上端部に設けられた腕部に形成された上下方向に延びるガイド開口部105aにガイドされる。
【0099】
また、上述した昇降台102aには、シリンダ支持台104aの高さを調整するための高さ調整シリンダ106が設置されており、シリンダ支持台104aの図中左側の下面には、高さ調整シリンダ106のピストンロッド106aが当接する凸形状の当接部104cが設けられている。
【0100】
シリンダ支持台104a上には、箱体のフラップに対応するようにフラップ矯正シリンダ104dが4箇所に配置されており、フラップ矯正シリンダ104dのピストンロッド1041dの先端部には、箱体の内側に傾斜したフラップを箱体の内側方向から当接して矯正する一対の鉄製のフラップ矯正板104eが装置下側方向に延びて設けられている。なお、シリンダ支持台104aには、フラップ矯正板104eとの干渉を避けるための不図示の切欠部が形成されている。
【0101】
各フラップ矯正板104eには、箱体の内側に進入する農産物との干渉を防止するための布製の干渉防止シート105が取り付けられており、この干渉防止シート105によって、各フラップ矯正板104eにおける箱体内側方向の面が覆われた状態となっている。上述の構成によれば、箱体を箱詰位置に移動させるときに、鉄製のフラップ矯正板104eに吸着ユニット8に吸着された農産物が摩擦接触して、農産物を傷めるなどの不具合を防止できる。
【0102】
また、干渉防止シート105の装置下側方向の寸法を、フラップ矯正板104eよりも大きく設定してもよい。これにより、箱体を箱詰位置に移動させるときに箱体の内周面に敷設されたビニールシート109と農産物とが干渉するのを防止できる。さらに、干渉防止シート105の材質については、紙や布の表面をブラシ状に加工したものなどの農産物との摩擦抵抗が低いものであればよい。
【0103】
なお、干渉防止シート105は、各フラップ矯正板104eの上部に設けられた凸状のシート保持部材105aに取り付けられている。
【0104】
次に、箱詰装置により箱詰め動作について詳細に説明する。
【0105】
箱詰待機位置に待機している第1の吸着ユニット8の各吸着子81A〜85Dに農産物が吸着されると、保持板回転軸74aが矢印X方向に180°回転し、第1の吸着ユニット8が箱詰位置に移動する。
【0106】
第1の吸着ユニット8が箱詰位置に移動すると、間隔調整シリンダ76が駆動され、ピストンロッド76aによって当接板77が図中右側方向に押し込まれる。このとき、第2列の吸着体8B、第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子8Dは、一体となってピストンロッド76aの伸長方向にスライド移動し、図4の一点破線で示す位置まで移動する。これにより、吸着体の列間隔が短縮され、農産物の箱詰め間隔を短縮することができる
ここで、第2列の吸着体8B、第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子8Dの移動量はピストンロッド76aのストローク量に一致しているため、例えば、図9に図示するように農産物の箱詰め間隔Cを、箱詰め間隔cに短縮して箱詰め作業を行う場合、該ストローク量をC−cに設定すればよい。このように本実施例では、間隔調整シリンダ76のストローク量を調整するだけで、農産物の箱詰め間隔を容易に調整することできる。
【0107】
次に、昇降駆動モータ102dを駆動して、チェーン102fを巻き上げ、箱体搬送コンベア10の下方で待機している昇降台102aをガイドフレーム83にガイドさせながら上昇させる。
【0108】
この昇降台102aが所定距離上昇すると、昇降台102a上に設置された高さ調整シリンダ106のピストンロッド106aがフラップ矯正装置104の当接部104cに当接し、その後、昇降台102a及びシリンダ支持台104aは、ガイドフレーム83及びガイド開口部105aにガイドされながら一体となって上昇する。なお、ピストンロッド106aが当接部104cに当接する前の状態において、対向する一対のフラップ矯正板104eの間隔は、箱体の矢印A方向の寸法よりも小さく設定されている。
【0109】
ピストンロッド106a及び当接部104cが当接すると、一対のフラップ矯正シリンダ104dが短縮方向に駆動され、箱体の内向き方向に傾斜したフラップに対してフラップ矯正板104eが箱体の内側方向から当接する。そして、フラップが箱体の外側に押し込まれ、フラップの傾きが矯正される。なお、フラップ矯正板104eの高さ位置は、高さ調整シリンダ106のピストンロッド106aを進退させることにより調整できる。これにより後述の2段目、3段目を箱詰めする際にフラップ矯正板104eが箱詰めした農産物に接触することはない。
【0110】
昇降台102aが農産物を箱詰めする箱詰め高さに達すると、昇降駆動モータ102dによる巻き上げ動作が停止され、昇降台102aは箱詰位置に停止する(図8参照)。
【0111】
昇降台102aが箱詰位置に達すると、それまで各吸着子81A〜8Dに加えられていた負圧が解除され、各吸着子81A〜8Dによる農産物の吸着が解除される。これにより、箱体内側の箱詰めスペースを有効活用しながら、10個の農産物を箱体の底部に効率よく箱詰めすることができる。
【0112】
箱体底部への箱詰め動作が終了すると、昇降駆動モータ102dの回転方向が正逆反転され、昇降台102a及びフラップ矯正装置104が一体となって下降する。そして下降途中において、フラップ矯正装置104は固定ガイドフレーム105に当接して停止する。他方、昇降台102aは、少なくとも農産物入りの箱体のフラップがフラップ矯正板104eの下部、すなわち、フラップ及びフラップ矯正板104eが干渉しない位置まで下降する。
【0113】
次に、保持板回転軸74aを矢印X方向に180°回転させ、第2の吸着ユニット9を箱詰待機位置から箱詰位置に移動させる。そして、第1の吸着ユニット8と同様の方法で、吸着体8A〜8B、枕詰め用吸着子8C、8Dの列方向の間隔を短縮する。
【0114】
そして、水平回転シリンダ102cを回転させ、農産物が一段箱詰めされた箱体を水平方向に180°回転させた後、昇降駆動モータ102dを駆動して、該箱体を箱詰位置に移動させる。箱体が箱詰位置に移動すると、第2の吸着ユニット9の吸着状態が解除され、二段目の農産物が載置される(図10参照)。図10に図示するように、二段目の農産物の箱詰めの向きを、一段目の農産物の箱詰めの向きに対して水平方向に180°反転させることにより、箱体内のスペースを有効活用することができる。
【0115】
上記と同様の方法により、三段目の農産物は箱詰めされる。
【0116】
三段目の農産物の箱詰め動作が完了すると、昇降台102aは下降し、箱体支持台102bが、箱体搬送コンベア10のローラ面と同じ高さにまで下降すると、箱体支持台102b上の箱体が、箱体搬送コンベア10に乗り移り、昇降台102aは、箱体搬送ローラ下部の初期位置に戻る。
【0117】
箱体が箱体搬送コンベア10上に載置されると、箱体ストッパ10aがローラの搬送面から退避し、箱体は、下流に向かって搬送される。
(実施例2)
本実施例の箱詰装置は、実施例1の箱詰装置と間隔調整機構の構成が異なっている。
【0118】
図11及び図12を参照しながら、本実施例の間隔調整機構の構成について説明する。なお、間隔調整機構以外の構成は、実施例1と同様であるため、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0119】
実施例1の間隔調整機構の当接板77に相当する位置には、スライドバー78をフランジ板80の開口部に対して進退させるためのスライドバー駆動板501が固定されている。このスライドバー駆動板501には、二つのフランジ板502が上下方向に対向するようにして設けられており、これらのフランジ板502の間に橋渡すように固定されたカムフォロア軸部503に対して一対のカムフォロア504が軸支されている。
【0120】
図12に図示するように、装置外装75の内側には、平面視弧状のカム505(第2の外力付与手段)が設けられており、保持板回転軸74a周りに回動する吸着ユニット8、9が吸着位置よりも箱詰位置に近い領域で回転駆動されるときに、カムフォロア504はカム505上を移動する。
【0121】
また、カム505の曲率半径は、吸着ユニット8、9が箱詰位置に近づくに従って漸次小さくなるように設定されている。上述の構成によれば、吸着ユニット8、9が箱詰位置に近づくにしたがい、スライドバー駆動板101がカムフォロア504によって吸着体の行方向に押し込まれ、実施例1と同様に農産物の箱詰め間隔を短縮することができる。
【0122】
このように、本実施例では、吸着ユニットが箱詰位置に達する前に、農産物の箱詰め間隔の調整を開始し、箱詰位置に達したときには、間隔調整動作が終了しているため、吸着ユニットが箱詰位置に達してから間隔調整を行う場合よりも、箱詰め作業を高速に行うことができる。
【0123】
なお、上述の実施例では、吸着ユニットの数を二つとしたが、三つ以上にしてもよい。また、二段目の農産物を一段目の農産物に載置する前に、箱体を180°回転させたが、箱体を回転せずに吸着ユニットを180°回転させることにより、一段目と二段目との箱詰め向きを反対方向にしてもよい。
【0124】
また、枕詰め用の農産物を二つとしたが、一つでもよく、農産物の個数は本実施例に限定されない。
【0125】
また、吸着ユニット8、9を旋回移動させることにより、箱詰位置に進入させているが、箱詰待機位置から箱詰位置に対して吸着ユニットを直線移動させる構成であってもよい。
【0126】
さらに、第1の枕詰め用吸着子8C及び第2の枕詰め用吸着子8を備えていない吸着ユニットにも本願発明は適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】仕分け搬送箱詰め設備の平面図である。
【図2】仕分け搬送箱詰め設備の上下方向の断面図である。
【図3】箱詰め待機コンベア部及び箱詰装置の上下方向の断面図である。
【図4】箱詰め待機コンベア部の搬送直交方向の断面図である。
【図5】箱詰め待機コンベア部の搬送方向の断面図である。
【図6】吸着体の正面図である。
【図7】農産物の箱詰め前の箱詰装置の状態を図示した箱詰装置の上下方向の断面図である。
【図8】農産物の箱詰め時の箱詰装置の状態を図示した箱詰装置の上下方向の断面図である。
【図9】農産物の箱詰め間隔が異なる二つの箱体の平面図である。
【図10】三段の農産物が載置された箱体の上下方向の断面図である。
【図11】実施例2の箱詰装置の平面図である。
【図12】実施例2の農産物の箱詰め時の箱詰装置の状態を図示した箱詰装置の上下方向の断面図である。
【図13】従来例の図面
【図14】従来例の箱詰め装置の農産物搬送直交方向の断面図
【符号の説明】
【0128】
1 仕分けコンベア部
2 引き出しコンベア部
3 位置揃えコンベア部
4 整列コンベア部
5 枕詰めコンベア部
6 箱詰め待機コンベア部
7 箱詰装置
8 第1の吸着ユニット
8A〜8B 第1〜第2列の吸着体
8C〜8D 第1〜第2の枕詰め用の吸着子
9 第2の吸着ユニット
9A〜9B 第1〜第2列の吸着体
9C〜9D 第1〜第2の枕詰め用の吸着子
11 ホッパー装置
75 装置外装
76 間隔調整シリンダ
77 当接板
78 スライドバー
80 フランジ板
81 バネ当接板
82 間隔調整バネ
102 箱体昇降装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも吸着体がm行n列のマトリックス状に配置された第1の吸着部を有する吸着ユニットと、
該吸着ユニットを箱詰待機位置と箱詰位置との間で移動させる移動手段と、
前記吸着ユニットに設けられ、外力を受けて、前記第1の吸着部の吸着体の列間隔を変更する間隔変更機構と、
前記間隔変更機構に対して前記外力を付与する外力付与手段とを有し、
前記外力付与手段は、前記吸着ユニットとは別に固定配置され、前記吸着ユニットが前記箱詰位置に移動したときに、前記間隔変更機構に対して前記外力を付与することにより、前記第1の吸着部の吸着体の列間隔を変更することを特徴とする農産物の箱詰装置。
【請求項2】
少なくとも吸着体がm行n列のマトリックス状に配置された第1の吸着部を有する吸着ユニットと、
該吸着ユニットを箱詰待機位置と箱詰位置との間で移動させる移動手段と、
前記吸着ユニットに設けられ、外力を受けて、前記第1の吸着部の吸着体の列間隔を変更する間隔変更機構と、
前記間隔変更機構に対して前記外力を付与する外力付与手段とを有し、
前記外力付与手段は、前記箱詰待機位置から前記箱詰位置に前記吸着ユニットが移動するのに応じて、前記第1の吸着部の吸着体の列間隔を徐々に変更するように、前記間隔変更機構に対して前記外力を付与することを特徴とする農産物の箱詰装置。
【請求項3】
前記吸着ユニットは、吸着体を保持する保持フレームユニットを有し、一列目の吸着体は前記保持フレームユニットに対して固定され、n列目の吸着体は前記保持フレームユニットに対して移動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の農産物の箱詰装置。
【請求項4】
前記吸着ユニットは、前記第1の吸着部の行方向に第2の吸着部を有しており、前記第1の吸着部における列間隔の調整に応じて、前記第2の吸着部は、前記第1の吸着部に対して前記行方向に移動可能であり、
前記吸着ユニットが前記箱詰位置に移動したときに、前記間隔変更機構に対して前記外力付与手段による前記外力を付与することにより、前記第2の吸着部は前記第1の吸着部側に移動することを特徴とする請求項1又は3に記載の農産物の箱詰装置。
【請求項5】
前記吸着ユニットは、前記第1の吸着部の行方向に第2の吸着部を有しており、前記第1の吸着部における列間隔の調整に応じて、前記第2の吸着部は、前記第1の吸着部に対して前記行方向に移動可能であり、
前記箱詰待機位置から前記箱詰位置に前記吸着ユニットが移動するのに応じて、前記第2の吸着部は、前記第1の吸着部側に移動することを特徴とする請求項2又は3に記載の農産物の箱詰装置。
【請求項6】
前記吸着ユニットを複数有し、
前記移動手段は、前記各吸着ユニットを水平方向に旋回させることにより間欠的に箱詰位置に進入させ、
前記箱詰待機位置から前記箱詰位置に移動したときに、前記農産物の向きが180°反転していることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の農産物の箱詰装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−261628(P2007−261628A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88653(P2006−88653)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000137328)株式会社マキ製作所 (48)
【Fターム(参考)】